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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178563
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】半導体駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/0812 20060101AFI20241218BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241218BHJP
   H03K 17/08 20060101ALN20241218BHJP
   H03K 17/567 20060101ALN20241218BHJP
【FI】
H03K17/0812
H02M7/48 M
H03K17/08 Z
H03K17/567
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096784
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
【テーマコード(参考)】
5H770
5J055
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA02X
5H770HA09Z
5H770LB09
5J055AX34
5J055BX16
5J055CX20
5J055DX09
5J055DX56
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY17
5J055EY21
5J055EZ10
5J055EZ14
5J055EZ25
5J055EZ31
5J055EZ40
5J055FX12
5J055GX01
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、ソフトシャットダウンを実現することが可能な半導体駆動回路を提供する。
【解決手段】半導体駆動回路100は、半導体素子を駆動するための半導体駆動回路100である。半導体駆動回路100は、入力信号を入力し、入力信号に基づいて、セット信号及びリセット信号を生成する制御回路110を備える、また、半導体駆動回路100は、セット信号の立ち上がりエッジに応じて半導体素子の駆動信号をオンにし、リセット信号の立ち上がりエッジに応じて駆動信号をオフにする駆動信号回路120を備える。さらに、半導体駆動回路100は、セット信号及びリセット信号が同時にオンになった場合に、セット信号及びリセット信号の立ち上がりエッジに応じて、駆動信号回路120により駆動信号をオフするよりも緩やかに、半導体素子の駆動信号をソフトターンオフさせるソフト遮断回路130を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を駆動するための半導体駆動回路であって、
入力信号を入力し、前記入力信号に基づいて、セット信号及びリセット信号を生成する制御回路と、
前記セット信号の立ち上がりエッジに応じて前記半導体素子の駆動信号をオンにし、前記リセット信号の立ち上がりエッジに応じて前記駆動信号をオフにする駆動信号回路と、
前記セット信号及び前記リセット信号が同時にオンになった場合に、前記セット信号及び前記リセット信号の立ち上がりエッジに応じて、前記駆動信号回路により前記駆動信号をオフするよりも緩やかに、前記半導体素子の前記駆動信号をソフトターンオフさせるソフト遮断回路と、を備える、半導体駆動回路。
【請求項2】
前記ソフト遮断回路による前記ソフトターンオフに要する時間は、前記駆動信号回路により前記駆動信号をオフにする時間に比べ、少なくとも3倍の時間を要する、請求項1に記載の半導体駆動回路。
【請求項3】
前記制御回路は、アラート信号を入力し、前記アラート信号がオンの場合に、前記セット信号及び前記リセット信号を同時にオンにする、請求項1又は2に記載の半導体駆動回路。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記入力信号及び前記アラート信号に基づいて、パルスセット信号、パルスアラート信号、及びパルスリセット信号を生成するパルス生成部と、
前記パルスセット信号又は前記パルスアラート信号に基づいて、前記セット信号を生成するセット信号生成回路と、
前記パルスリセット信号又は前記パルスアラート信号に基づいて、前記リセット信号を生成するリセット信号生成回路と、を備える、請求項3に記載の半導体駆動回路。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記入力信号に対して所定の時間、フィルタ処理を行うフィルタ回路と、
前記入力信号の立ち上がりエッジに応じて第1パルスセット信号を出力し、前記入力信号の立ち下がりエッジに応じて第1パルスリセット信号を出力する第1パルス変換回路と、
前記フィルタ回路の出力信号の立ち上がりエッジに応じて第2パルスセット信号を出力し、前記フィルタ回路の出力信号の立ち下がりエッジに応じて第2パルスリセット信号を出力する第2パルス変換回路と、
前記第1パルスリセット信号及び前記第2パルスリセット信号の論理和信号を出力する論理和回路と、
前記論理和信号の立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号のオンオフを反転させるTFF回路と、
前記第1パルスセット信号の立ち上がりエッジに応じて、前記TFF出力信号を遅延させて第1遅延信号を出力する第1DFF回路と、
前記第1パルスリセット信号の立ち上がりエッジに応じて、前記第1遅延信号を遅延させて第2遅延信号を出力する第2DFF回路と、
前記第2遅延信号の立ち上がりエッジに応じて、パルスアラート信号を生成する第3パルス変換回路と、
前記第2パルスリセット信号又は前記パルスアラート信号に基づいて、前記リセット信号を生成するリセット信号生成回路と、
前記第2パルスセット信号又は前記パルスアラート信号に基づいて、前記セット信号を生成するセット信号生成回路と、を備え、
前記入力信号は、前記半導体駆動回路の異常検知時に、前記フィルタ回路の時定数より短い時間でオン、オフ、及びオンと変化するパルス波が印加される信号である、請求項1又は2に記載の半導体駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体素子を用いてモータ等の負荷を制御する装置において、パワー半導体素子と、それらを制御する集積回路チップとを単一のパッケージ内に組み込んだパワーモジュールに関する技術が存在する。このパワーモジュールの出力端子に過電流や短絡等の異常が発生した場合、異常検知信号をパワーモジュール内部に伝達し出力素子の遮断(ターンオフ)処理を行うことで、パワーモジュール等を保護する技術が提案されている。特許文献1には、半導体デバイス駆動回路が開示されている。特許文献1に開示された半導体デバイス駆動回路は、エラー発生時に半導体スイッチング素子のゲート電圧を緩やかに低下させることで、緩やかに半導体スイッチング素子を遮断し、短絡保護を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/098624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された半導体デバイス駆動回路においては、不飽和電圧検知回路で検知したエラー信号を一旦、第2レベルシフト主回路で高電位エラー信号にレベルシフトさせる必要がある。しかし、第2レベルシフト主回路で示されるようなレベルシフト回路は、一般的に多くの半導体素子を必要とし、そのため、回路規模が増大する。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、簡易な構成で、ソフトシャットダウンを実現することが可能な半導体駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る半導体駆動回路は、半導体素子を駆動するための半導体駆動回路であって、入力信号を入力し、入力信号に基づいて、セット信号及びリセット信号を生成する制御回路と、セット信号の立ち上がりエッジに応じて半導体素子の駆動信号をオンにし、リセット信号の立ち上がりエッジに応じて駆動信号をオフにする駆動信号回路と、セット信号及びリセット信号が同時にオンになった場合に、セット信号及びリセット信号の立ち上がりエッジに応じて、駆動信号回路により駆動信号をオフするよりも緩やかに、半導体素子の駆動信号をソフトターンオフさせるソフト遮断回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成で、ソフトシャットダウンを実現することが可能な半導体駆動回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は第1の実施形態に係る半導体駆動回路の構成を示す図である。
図2図2は第1の実施形態に係る半導体駆動回路の動作について説明するためのタイミングチャートである。
図3図3は、第1の実施形態に係る半導体駆動回路に設けられた制御回路の概略示す回路図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る半導体駆動回路に設けられた制御回路の動作について説明するためのタイミングチャートである。
図5図5は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路の構成を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路に設けられた制御回路の概略示す回路図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路に設けられた制御回路の動作について説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のいくつかの実施形態に係る半導体駆動回路100を、図面を参照しながら詳細に説明する。各実施形態に係る駆動回路の図中の同一又は相当部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100の構成を示す図である。本実施形態に係る半導体駆動回路100は、負荷(三相モータ300)を駆動する装置である。図1に示す例においては、電源400から供給される三相モータ300のU端子への電力を制御する半導体駆動回路100の構成を示している。なお、V端子及びW端子に電力を供給する半導体駆動回路100は、図1に示す回路と同じ構成となるため、ここでは図示及び説明を省略する。
【0011】
半導体駆動回路100は、ハイサイド半導体素子QHと、ローサイド半導体素子QLと、ハイサイド駆動ICチップHSDICと、ローサイド駆動ICチップLSDICと、を備える。半導体駆動回路100は、コントロールIC200からの制御信号に基づいて動作する。本実施形態において、ハイサイド半導体素子QH及びローサイド半導体素子QLはパワー半導体素子であり、ゲート端子がそれぞれハイサイド駆動ICチップHSDIC及びローサイド駆動ICチップLSDICと接続される。パワー半導体素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。なお、本実施形態において、ハイサイド半導体素子QHは、半導体素子に相当する。
【0012】
コントロールIC200は、半導体駆動回路100を制御する回路であり、ハイサイド駆動ICチップHSDIC及びローサイド駆動ICチップLSDICに、制御信号を伝達する。また、コントロールIC200は、ローサイド駆動ICチップLSDICから伝達された異常に関する情報を取得し、ハイサイド駆動ICチップHSDICに伝達する。なお、第1の実施形態において、ハイサイド駆動ICチップHSDICへの異常情報の伝達は、アラート信号Alertにより行われる。ハイサイド駆動ICチップHSDIC及びローサイド駆動ICチップLSDICは、それぞれ電源端子VCCHU、VCCLに供給される電力で駆動する。
【0013】
半導体駆動回路100は、ハイサイド駆動ICチップHSDIC及びローサイド駆動ICチップLSDICから、ハイサイド半導体素子QH及びローサイド半導体素子QLのゲートに駆動信号を送ることで、三相モータ300を制御する。
【0014】
ハイサイド駆動ICチップHSDICは、低電圧領域LAに制御回路110を備え、高電圧領域HAに、レベルシフタ、駆動信号回路120、及びソフト遮断回路130を備える。なお、ハイサイド駆動ICチップHSDIC及びローサイド駆動ICチップLSDICは、1チップに収められてもよく、あるいは、ハイサイドとローサイドとでチップが分かれて構成されてもよい。
【0015】
ローサイド駆動ICチップLSDICは、図1に示すように、ローサイド半導体素子QLを駆動するための、ローサイド側制御回路141及びローサイド側駆動回路142を備える。また、ローサイド駆動ICチップLSDICは、電流検出端子senseにおいて検出された異常に関する情報をコントロールIC200に伝達させるための、半導体素子143及び比較器144を備える。
【0016】
制御回路110は、入力信号HINを入力し、入力信号HINに基づいて、セット信号Set及びリセット信号Resetを生成する。また、制御回路110は、コントロールIC200からアラート信号Alertを入力し、アラート信号Alertがオンの場合に、セット信号Set及びリセット信号Resetを同時にオンにする。なお、本実施形態において、セット信号Set及びリセット信号Resetの同時オンは、時間的に完全にオンするタイミングが一致されるものに限定されない。例えば、後述の駆動信号回路120及びソフト遮断回路130で、同時にオンさせたことが検出されるタイミングであれば、セット信号Set及びリセット信号Resetの同時オンのタイミングにおける微小な時間のズレを含んでもよい。
【0017】
駆動信号回路120は、セット信号Setの立ち上がりエッジに応じてハイサイド半導体素子QHの駆動信号HOをオンにし、リセット信号Resetの立ち上がりエッジに応じて駆動信号HOをオフにする。また、駆動信号回路120は。セット信号Set及びリセット信号Resetが同時にオンされた場合には、駆動信号HOをオフにする。なお、本明細書において、駆動信号回路120による駆動信号HOのオフを、後述のソフトターンオフと区別するために、「通常のターンオフ」と称する場合がある。
【0018】
ソフト遮断回路130は、セット信号Set及びリセット信号Resetの立ち上がりエッジに応じて、ハイサイド半導体素子QHをソフトシャットダウンさせるための駆動信号HOを生成する。具体的には、ソフト遮断回路130は、セット信号Set及びリセット信号Resetが同時にオンされた場合には、ハイサイド半導体素子QHをソフトシャットダウンさせるための駆動信号HOを生成する。すなわち、ソフト遮断回路130は、セット信号Set及びリセット信号Resetが同時にオンになった場合に、セット信号Set及びリセット信号Resetの立ち上がりエッジに応じて、駆動信号HOをソフトターンオフさせる。このソフト遮断回路130によるソフトターンオフは、駆動信号回路120により駆動信号HOをオフするよりも緩やかに、駆動信号HOをオフさせるものである。
【0019】
本実施形態において、ソフトターンオフに要する時間は、駆動信号回路120により駆動信号HOをオフにする時間に比べ、少なくとも3倍の時間を要する。なお、本実施形態においてソフトターンオフに要する時間が、駆動信号回路120によってターンオフされる時間より少なくとも3倍を要する形態は、本実施形態の構成を限定するものではない。例えば、ソフトターンオフに要する時間が、駆動信号回路120によってターンオフされる時間より3倍~10倍程度の時間が掛かる構成であってもよい。
【0020】
また、セット信号Set及びリセット信号Resetが同時にオンとなる場合には、上述の通り、駆動信号HOは、駆動信号回路120による通常のターンオフ及びソフト遮断回路130によりソフトターンオフが実施される。この場合、ソフトターンオフは、通常のターンオフ動作の少なくとも3倍の時間を要するため、実際にハイサイド半導体素子QHのゲート電圧が遮断されるのは、ソフトターンオフが完了したタイミングとなる。
【0021】
図2は第1の実施形態に係る半導体駆動回路100の動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0022】
まず、図2の期間T1(時刻t1~時刻t3)に示す通常のターンオンの動作は、ハイサイドの入力信号HINの立ち上がりエッジに応じて制御回路110でセット信号Setが生成される(時刻t2)。制御回路110で生成されたセット信号Setは、レベルシフトされ駆動信号回路120及びソフト遮断回路130に伝達される。駆動信号回路120は、伝達されたセット信号Setに基づいて、ハイサイド半導体素子QHのゲート駆動信号である駆動信号HOを「L」(オフ)から「H」(オン)に遷移させる(時刻t2~時刻t3)。なお、ソフト遮断回路130は、時刻t2において、リセット信号Resetがオフであるため、このタイミングではソフトターンオフの処理を行わない。
【0023】
また、図2の期間T2(時刻t4~時刻t6)に示す通常のターンオフの動作は、入力信号HINの立ち下がりエッジに応じて、制御回路110でリセット信号Resetが生成される(時刻t5)。制御回路110で生成されたリセット信号Resetは、レベルシフトされ駆動信号回路120に伝達される。駆動信号回路120は、伝達されたリセット信号Resetに基づいて、ハイサイド半導体素子QHのゲート駆動信号である駆動信号HOを「H」(オン)から「L」(オフ)に遷移させる(時刻t5~時刻t6)。なお、ソフト遮断回路130は、時刻t2において、セット信号Setがオフであるため、このタイミングではソフトターンオフの処理を行わない。
【0024】
次に図2の期間T3(時刻t10~時刻t14)に示す異常が発生した場合の半導体駆動回路100の動作について説明する。半導体駆動回路100の出力素子であるハイサイド半導体素子QH又はローサイド半導体素子QLに、例えば過電流等の異常が発生した場合に、その過電流はローサイド半導体素子QLの電流検出端子senseにより検知される。
【0025】
電流検出端子senseから異常であることがローサイド駆動ICチップLSDICに伝達され、異常であることを示す情報がローサイド駆動ICチップLSDICの異常検出出力端子FOから、コントロールIC200に伝達される。
【0026】
その後、コントロールIC200は、異常検出出力端子FOから伝達された情報に基づいて、ハイサイド駆動ICチップHSDICの異常検知信号端子(アラート信号Alert)が「L」から「H」に遷移する形で異常検知信号が伝達される。
【0027】
制御回路110は、アラート信号Alertの立ち上がりエッジにより、セット信号Set及びリセット信号Resetの両方に対して、同時に信号パルスが生成する。このセット信号Set及びリセット信号Resetの両方がレベルシフトされ、駆動信号回路120及びソフト遮断回路130に伝達される。
【0028】
ソフト遮断回路130は、セット信号Set及びリセット信号Resetに基づいて、通常より緩やかにターンオフするような、なだらかな立ち下がりで「H」(オン)から「L」(オフ)に遷移させる(時刻t13~時刻t14)。また、駆動信号回路120は、リセット信号Resetに基づいて、ハイサイド半導体素子QHの駆動信号HOを通常のタイミングで「H」(オン)から「L」(オフ)に遷移させる。ここで、駆動信号HOは、駆動信号回路120及びソフト遮断回路130により、「L」(オフ)に遷移されるが、ソフト遮断回路130によって、緩やかに「H」(オン)から「L」(オフ)に遷移される。
【0029】
このように、半導体駆動回路100は、異常が発生した場合、ハイサイド半導体素子QHの駆動信号HOをソフトターンオフすることにより、ハイサイド半導体素子QHがソフトシャットダウンされ、遮断時に出力端子に発生するサージ電圧を低減することができる。
【0030】
図3は、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100に設けられた制御回路110の概略示す回路図である。図3に示すように、制御回路110は、パルス生成部111と、セット信号生成回路112aと、リセット信号生成回路112bと、を含んで構成される。
【0031】
パルス生成部111は、入力信号HIN及びアラート信号Alertに基づいて、パルスセット信号P_Set、パルスアラート信号P_Alert、及びパルスリセット信号P_Resetを生成する。
【0032】
セット信号生成回路112aは、パルスセット信号P_Set又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、セット信号Setを生成する。具体的には、セット信号生成回路112aは、図3に示すように、論理和回路で構成され、パルスセット信号P_Setと、パルスアラート信号P_Alertとの論理和により、セット信号Setを生成する。
【0033】
リセット信号生成回路112bは、パルスリセット信号P_Reset又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、リセット信号Resetを生成する。具体的には、リセット信号生成回路112bは、図3に示すように、論理和回路で構成され、パルスリセット信号P_Resetと、パルスアラート信号P_Alertとの論理和により、リセット信号Resetを生成する。
【0034】
図4は、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100に設けられた制御回路110の動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0035】
図4の時刻t1における入力信号HINの立ち上がりエッジに応じて、パルス生成部111は、パルスセット信号P_Setを生成する。また、セット信号生成回路112aは、パルスセット信号P_Setに応じて、セット信号Setを出力する。
【0036】
図4の時刻t2における入力信号HINの立ち下がりエッジに応じて、パルス生成部111は、パルスリセット信号P_Resetを生成する。また、リセット信号生成回路112bは、パルスリセット信号P_Resetに応じて、リセット信号Resetを出力する。
【0037】
図4の時刻t3における入力信号HINの立ち上がりに基づく動作については、上述の時刻t1における動作と同じとなるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
図4の時刻t4におけるアラート信号Alertの立ち上がりエッジに応じて、パルス生成部111は、パルスアラート信号P_Alertを生成する。また、セット信号生成回路112a及びリセット信号生成回路112bは、パルスアラート信号P_Alert信号に応じて、セット信号Set及びリセット信号Resetを出力する。
【0039】
上述の通り、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100は、半導体素子を駆動するための半導体駆動回路100である。半導体駆動回路100は、入力信号HINを入力し、入力信号HINに基づいて、セット信号及びリセット信号を生成する制御回路110を備える。また、半導体駆動回路100は、セット信号の立ち上がりエッジに応じて半導体素子の駆動信号をオンにし、リセット信号の立ち上がりエッジに応じて駆動信号をオフにする駆動信号回路120を備える。さらに、半導体駆動回路100は、セット信号及びリセット信号が同時にオンになった場合に、セット信号及びリセット信号の立ち上がりエッジに応じて、半導体素子の駆動信号をソフトターンオフさせるソフト遮断回路130を備える。また、ソフト遮断回路130は、駆動信号回路120により駆動信号をオフするよりも緩やかに、半導体素子の駆動信号をソフトターンオフさせる。
【0040】
これにより、半導体駆動回路100は、異常検出信号に対して、電圧を高電圧にレベルシフトさせるレベルシフタを設ける必要がなく、回路の小規模化を図ることが可能となる。すなわち、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100は、簡易な構成で、ソフトシャットダウンを実現することが可能となる。
【0041】
また、半導体駆動回路100のソフト遮断回路130によるソフトターンオフに要する時間は、駆動信号回路120により駆動信号をオフにする時間に比べ、少なくとも3倍の時間を要してもよい。これにより、半導体駆動回路100は、緩やかに半導体素子を遮断することが可能となり、遮断時に出力端子に発生するサージ電圧を低減することが可能となる。
【0042】
また、半導体駆動回路100の制御回路110は、アラート信号Alertを入力し、アラート信号Alertがオンの場合に、セット信号Set及びリセット信号Resetを同時にオンにしてもよい。これにより半導体駆動回路100は、制御回路110から駆動信号回路120及びソフト遮断回路130へのアラート信号の経路を設ける必要がない。すなわち、半導体駆動回路100は、アラート信号の電圧を高電圧にレベルシフトさせるレベルシフタを設ける必要がなく、回路の小規模化を図ることが可能となる。
【0043】
さらに、制御回路110は、入力信号HIN及びアラート信号Alertに基づいて、パルスセット信号P_Set、パルスアラート信号P_Alert、及びパルスリセット信号P_Resetを生成するパルス生成部111を備えてもよい。また、制御回路110は、パルスセット信号P_Set又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、セット信号Setを生成するセット信号生成回路112aを備えてもよい。さらに、制御回路110は、パルスリセット信号P_Reset又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、リセット信号Resetを生成するリセット信号生成回路112bを備えてもよい。これにより、半導体駆動回路100は、簡易な構成で、アラート信号Alertの立ち上がりエッジに応じて、セット信号Set及びリセット信号Resetを同時にオンさせる回路を構成し、小規模化を図ることが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、コントロールIC200から入力したアラート信号Alertに基づいて、セット信号Set及びリセット信号Resetの両方を同時に立ち上げる形態について例示した。
【0045】
ここではさらに、異常検出時にフィルタ回路113のフィルタ時定数より短い間隔でオン、オフ、及びオンと変化するパルス波を入力信号HINに印加させる第2の実施形態に係る半導体駆動回路100について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0046】
図5は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100の構成を示す図である。第2の実施形態に係る半導体駆動回路100は、コントロールIC200から半導体駆動回路100に伝達されるアラート信号Alertが存在しない点で、図1に示す第1の実施形態に係る半導体駆動回路100の構成と異なる。
【0047】
図6は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100に設けられた制御回路110の概略示す回路図である。図6に示すように、第2の実施形態に係る制御回路110は、フィルタ回路113と、第1パルス変換回路114aと、第2パルス変換回路114bと、第3パルス変換回路114cと、論理和回路112cと、を備える。また、第2の実施形態に係る制御回路110は、TFF回路115と、第1DFF回路116aと、第2DFF回路116bと、セット信号生成回路112eと、リセット信号生成回路112dと、を備える。
【0048】
フィルタ回路113は、入力信号HINに対して所定の時間、フィルタ処理を行う。一般的に、ハイサイド半導体素子QHのようなパワーモジュールへの駆動信号はノイズ等の影響をなくすため、フィルタ処理を実施し、遅延させたあと、セット信号Setやリセット信号Resetを出力する。そのため、フィルタ回路113の時定数より短い時間で、フィルタ回路113に入力する信号が「H」→「L」→「H」と変化した場合、フィルタ処理の後のパルス波形は発生せず、それにより、ノイズ波形による誤動作を防ぐことができる。
【0049】
このフィルタ回路113における処理について、図7のタイミングチャートを用いて具体的に説明する。図7は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100の動作について説明するためのタイミングチャートである。図7の時刻t1における入力信号HINの立ち上がりエッジに応じて、フィルタ回路113及び後述の第2パルス変換回路114bを介して、時刻t2のタイミングで第2パルスセット信号P2_Setが生成される。同様に、図7の時刻t3における入力信号HINの立ち下がりエッジに応じて、フィルタ回路113及び後述の第2パルス変換回路114bを介して、時刻t4のタイミングで第2パルスリセット信号P2_Resetが生成される。
【0050】
図7に示すように、フィルタ回路113及び第2パルス変換回路114bを介して生成された第2パルスセット信号P2_Set及び第2パルスリセット信号P2_Resetは、所定の時間だけ遅延して生成される。
【0051】
一方で、図7に示す時刻t8から時刻t9に示されるように、フィルタ回路113に入力させる入力信号HINがフィルタ時定数より短い期間(図中、期間(i))で「H」→「L」→「H」と変化した場合、ノイズ除去と同様に処理される。すなわち、時刻t8~時刻t9の入力信号HINの変化に応じては、第2パルスセット信号P2_Set及び第2パルスリセット信号P2_Resetは、図7において、「×」で示すように、生成されない。
【0052】
また、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100の制御回路110においては、入力信号HINを、フィルタ回路113を介さずに第1パルス変換回路114aでパルス変換した信号としても用いる。これにより、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100は、上述のようなごく短い時間の入力信号HINのパルス波形入力を、異常検知時の信号として半導体駆動回路100に認識させることができる。すなわち、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100は、異常検知時の専用の信号(端子)を用いないことで、回路を小型化することが可能となる。また、高電圧のパワーモジュールでは絶縁距離の確保という課題があり、パワーモジュールに設置できる端子数に制限が付く場合がある。このような状況では、異常検知を伝えるための端子を設置できないケースがあり、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100の構成を活用することができる。
【0053】
第1パルス変換回路114aは、入力信号HINの立ち上がりエッジに応じて第1パルスセット信号P1_Setを出力し、入力信号HINの立ち下がりエッジに応じて第1パルスリセット信号P1_Resetを出力する。
【0054】
第2パルス変換回路114bは、フィルタ回路113の出力信号の立ち上がりエッジに応じて第2パルスセット信号P2_Setを出力し、フィルタ回路113の出力信号の立ち下がりエッジに応じて第2パルスリセット信号P2_Resetを出力する。
【0055】
論理和回路112cは、第1パルスリセット信号P1_Reset及び前記第2パルスリセット信号P2_Resetの論理和信号Cを出力する。
【0056】
TFF回路115(TFF:トグルフリップフロップ)は、論理和信号Cの立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号TOのオンオフを反転させる。
【0057】
第1DFF回路116a(DFF:ディレイフリップフロップ)は、第1パルスセット信号P1_Setの立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号TOを遅延させて第1遅延信号DO1を出力する。
【0058】
第2DFF回路116bは、第1パルスリセット信号P1_Resetの立ち上がりエッジに応じて、第1遅延信号DO1を遅延させて第2遅延信号DO2を出力する。
【0059】
第3パルス変換回路114cは、第2遅延信号DO2の立ち上がりエッジに応じて、パルスアラート信号P_Alertを生成する。
【0060】
リセット信号生成回路112dは、第2パルスリセット信号P2_Reset又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、リセット信号Resetを生成する。すなわち、リセット信号生成回路112dは、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100のリセット信号生成回路112bと同様に、論理和回路で構成される。つまり、リセット信号生成回路112dは、第2パルスリセット信号P2_Resetと、パルスアラート信号P_Alertとの論理和により、リセット信号Resetを生成する。
【0061】
セット信号生成回路112eは、第2パルスセット信号P2_Set又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、セット信号Setを生成する。すなわち、セット信号生成回路112eは、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100のセット信号生成回路112aと同様に、論理和回路で構成される。つまり、セット信号生成回路112eは、第2パルスセット信号P2_Setと、パルスアラート信号P_Alertとの論理和により、セット信号Setを生成する。
【0062】
また、上述の通り、第2の実施形態において、入力信号HINは、半導体駆動回路100の異常検知時に、フィルタ回路113の時定数より短い時間でオン、オフ、及びオンと変化するパルス波(パルス信号)が印加される信号である。
【0063】
すなわち、第2の実施形態においてコントロールIC200は、異常検出出力端子FOを介して伝達された情報に基づいて、入力信号HINに、フィルタ回路113の時定数より短い時間のパルス信号を印加することで、異常状態に関する情報を伝達する。
【0064】
図7は、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100の動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0065】
図7の時刻t1においては、入力信号HINの立ち上がりに応じて、第1パルス変換回路114aで第1パルスセット信号P1_Setが生成される。また、時刻t2において、フィルタ回路113及び第2パルス変換回路114bを介して、第2パルスセット信号P2_Setが生成される。図7の時刻t1及び時刻t2に示されるように、第2パルスセット信号P2_Setは、フィルタ回路113における遅延分だけ、第1パルスセット信号P1_Setより遅れて生成される。なお、図7に示す例においては、フィルタ回路113における遅延時間を斜線パターンの矩形で模式的に示している。
【0066】
また、時刻t2において、第2パルスセット信号P2_Setに応じて、セット信号生成回路112eでセット信号Setが生成され、駆動信号HOのターンオンが実施される。
【0067】
図7の時刻t3において、入力信号HINの立ち下がりに応じて、第1パルスリセット信号P1_Reset(時刻t3)及び第2パルスリセット信号P2_Reset(時刻t4)が生成される。なお、第2パルスリセット信号P2_Resetは、第2パルスセット信号P2_Setと同様に、フィルタ回路113における遅延分だけ、第1パルスリセット信号P1_Resetより遅れて生成される。
【0068】
また、時刻t4において、第2パルスリセット信号P2_Resetに応じて、リセット信号生成回路112dでリセット信号Resetが生成され、駆動信号HOの通常のターンオフが実施される。
【0069】
図7の時刻t5及び時刻t6において、ターンオン処理が実施される。このターンオン処理は、上述の時刻t1及び時刻t2におけるターンオン処理と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
図7の時刻t7において異常が検知され、時刻t8及び時刻t9において、コントロールIC200の入力信号HINに、期間(i)のパルス信号(パルス波)が印加される。上述の通り、この期間(i)は、フィルタ回路113の時定数より短い期間である。これにより、第2パルス変換回路114bにおいては、パルス信号は生成されない(図中「×」参照)。すなわち、時刻t8及び時刻t9において、それぞれ第1パルス変換回路114aにより第1パルスリセット信号P1_Reset及び第1パルスセット信号P1_Setが生成されるのみである。
【0071】
時刻t8において、論理和回路112cで論理和信号Cが生成されTFF回路115においてTFF出力信号TOがオンになる。時刻t9において、第1DFF回路116aで、第1パルスセット信号P1_Setにより、TFF出力信号TOが遅延して、第1遅延信号DO1として出力される。
【0072】
時刻t10において、第2DFF回路116bで、第1パルスリセット信号P1_Resetにより、第1遅延信号DO1が遅延して第2遅延信号DO2がオンになる。この第2遅延信号DO2の立ち上がりに応じて、第3パルス変換回路114cにおいてパルスアラート信号P_Alertが生成され、セット信号生成回路112e及びリセット信号生成回路112dに入力される。
【0073】
時刻t10でセット信号Set及びリセット信号Resetが同時にオンになることにより、第1の実施形態の半導体駆動回路100と同様に、時刻t11から時刻t12の期間においてソフト遮断回路130により、ソフトターンオフが実施される。
【0074】
上述の通り、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100において制御回路110は、入力信号HINに対して所定の時間、フィルタ処理を行うフィルタ回路113を備えてもよい。また、制御回路110は、入力信号HINの立ち上がりエッジに応じて第1パルスセット信号P1_Setを出力し、入力信号HINの立ち下がりエッジに応じて第1パルスリセット信号P1_Resetを出力する第1パルス変換回路114aを備えてもよい。また、制御回路110は、第2パルス変換回路114bを備えてもよい。第2パルス変換回路114bは、フィルタ回路113の出力信号の立ち上がりエッジに応じて第2パルスセット信号P2_Setを出力し、フィルタ回路113の出力信号の立ち下がりエッジに応じて第2パルスリセット信号P2_Resetを出力する。また、制御回路110は、第1パルスリセット信号P1_Reset及び第2パルスリセット信号P2_Resetの論理和信号Cを出力する論理和回路112cを備えてもよい。また、制御回路110は、論理和信号Cの立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号TOのオンオフを反転させるTFF回路115を備えてもよい。また、制御回路110は、第1パルスセット信号P1_Setの立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号TOを遅延させて第1遅延信号DO1を出力する第1DFF回路116aを備えてもよい。また、制御回路110は、第1パルスリセット信号P1_Resetの立ち上がりエッジに応じて、第1遅延信号DO1を遅延させて第2遅延信号DO2を出力する第2DFF回路116bを備えてもよい。また、制御回路110は、第2遅延信号DO2の立ち上がりエッジに応じて、パルスアラート信号P_Alertを生成する第3パルス変換回路114cを備えてもよい。また、制御回路110は、第2パルスリセット信号P2_Reset又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、リセット信号Resetを生成するリセット信号生成回路112dを備えてもよい。また、制御回路110は、第2パルスセット信号P2_Set又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、セット信号Setを生成するセット信号生成回路112eを備えてもよい。さらに、制御回路110の入力信号HINは、半導体駆動回路100の異常検知時に、フィルタ回路113の時定数より短い時間でオン、オフ、及びオンと変化するパルス波が印加される信号であってもよい。
【0075】
これにより、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100は、アラート信号Alertを入力するための専用の端子を設ける必要がなく、回路を小型化することが可能となる。また、高電圧のパワーモジュールでは絶縁距離の確保という課題があり、パワーモジュールに設置できる端子数に制限が付く場合がある。このような状況では、異常検知を伝えるための端子を設置できないケースがあり、第2の実施形態に係る半導体駆動回路100の構成を活用することができる。
【0076】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0077】
上述の実施形態において、半導体駆動回路100と、コントロールIC200と、を含む半導体駆動装置も、本実施形態の範囲に含まれる。
【0078】
以下に、半導体駆動回路100の特徴について記載する。
【0079】
第1の態様に係る半導体駆動回路100は、半導体素子を駆動するための半導体駆動回路100である。半導体駆動回路100は、入力信号HINを入力し、入力信号HINに基づいて、セット信号及びリセット信号を生成する制御回路110を備える。また、半導体駆動回路100は、セット信号の立ち上がりエッジに応じて半導体素子の駆動信号をオンにし、リセット信号の立ち上がりエッジに応じて駆動信号をオフにする駆動信号回路120を備える。さらに、半導体駆動回路100は、セット信号及びリセット信号が同時にオンになった場合に、セット信号及びリセット信号の立ち上がりエッジに応じて、半導体素子の駆動信号をソフトターンオフさせるソフト遮断回路130を備える。また、ソフト遮断回路130は、駆動信号回路120により駆動信号をオフするよりも緩やかに、半導体素子の駆動信号をソフトターンオフさせる。
【0080】
この構成により、半導体駆動回路100は、異常検出信号に対して、電圧を高電圧にレベルシフトさせるレベルシフタを設ける必要がなく、回路の小規模化を図ることが可能となる。すなわち、第1の実施形態に係る半導体駆動回路100は、簡易な構成で、ソフトシャットダウンを実現することが可能となる。
【0081】
第2の態様に係る半導体駆動回路100のソフト遮断回路130によるソフトターンオフに要する時間は、駆動信号回路120により駆動信号をオフにする時間に比べ、少なくとも3倍の時間を要してもよい。
【0082】
この構成により、半導体駆動回路100は、緩やかに半導体素子を遮断することが可能となり、遮断時に出力端子に発生するサージ電圧を低減することが可能となる。
【0083】
第3の態様に係る半導体駆動回路100の制御回路110は、アラート信号Alertを入力し、アラート信号Alertがオンの場合に、セット信号Set及びリセット信号Resetを同時にオンにしてもよい。
【0084】
この構成により、半導体駆動回路100は、制御回路110から駆動信号回路120及びソフト遮断回路130へのアラート信号の経路を設ける必要がない。すなわち、半導体駆動回路100は、アラート信号の電圧を高電圧にレベルシフトさせるレベルシフタを設ける必要がなく、回路の小規模化を図ることが可能となる。
【0085】
第4の態様に係る半導体駆動回路100の制御回路110は、パルス生成部111を備えてもよい。パルス生成部111は、入力信号HIN及びアラート信号Alertに基づいて、パルスセット信号P_Set、パルスアラート信号P_Alert、及びパルスリセット信号P_Resetを生成してもよい。また、制御回路110は、パルスセット信号P_Set又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、セット信号Setを生成するセット信号生成回路112aを備えてもよい。さらに、制御回路110は、パルスリセット信号P_Reset又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、リセット信号Resetを生成するリセット信号生成回路112bを備えてもよい。
【0086】
この構成により、半導体駆動回路100は、簡易な構成で、アラート信号Alertの立ち上がりエッジに応じて、セット信号Set及びリセット信号Resetを同時にオンさせる回路を構成し、小規模化を図ることが可能となる。
【0087】
第5の態様に係る半導体駆動回路100の制御回路110は、入力信号HINに対して所定の時間、フィルタ処理を行うフィルタ回路113を備えてもよい。また、制御回路110は、入力信号HINの立ち上がりエッジに応じて第1パルスセット信号P1_Setを出力し、入力信号HINの立ち下がりエッジに応じて第1パルスリセット信号P1_Resetを出力する第1パルス変換回路114aを備えてもよい。また、制御回路110は、第2パルス変換回路114bを備えてもよい。第2パルス変換回路114bは、フィルタ回路113の出力信号の立ち上がりエッジに応じて第2パルスセット信号P2_Setを出力し、フィルタ回路113の出力信号の立ち下がりエッジに応じて第2パルスリセット信号P2_Resetを出力する。また、制御回路110は、第1パルスリセット信号P1_Reset及び第2パルスリセット信号P2_Resetの論理和信号Cを出力する論理和回路112cを備えてもよい。また、制御回路110は、論理和信号Cの立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号TOのオンオフを反転させるTFF回路115を備えてもよい。また、制御回路110は、第1パルスセット信号P1_Setの立ち上がりエッジに応じて、TFF出力信号TOを遅延させて第1遅延信号DO1を出力する第1DFF回路116aを備えてもよい。また、制御回路110は、第1パルスリセット信号P1_Resetの立ち上がりエッジに応じて、第1遅延信号DO1を遅延させて第2遅延信号DO2を出力する第2DFF回路116bを備えてもよい。また、制御回路110は、第2遅延信号DO2の立ち上がりエッジに応じて、パルスアラート信号P_Alertを生成する第3パルス変換回路114cを備えてもよい。また、制御回路110は、第2パルスリセット信号P2_Reset又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、リセット信号Resetを生成するリセット信号生成回路112dを備えてもよい。また、制御回路110は、第2パルスセット信号P2_Set又はパルスアラート信号P_Alertに基づいて、セット信号Setを生成するセット信号生成回路112eを備えてもよい。さらに、制御回路110の入力信号HINは、半導体駆動回路100の異常検知時に、フィルタ回路113の時定数より短い時間でオン、オフ、及びオンと変化するパルス波が印加される信号であってもよい。
【0088】
この構成により、半導体駆動回路100は、アラート信号Alertを入力するための専用の端子を設ける必要がなく、回路を小型化することが可能となる。また、高電圧のパワーモジュールでは絶縁距離の確保という課題があり、パワーモジュールに設置できる端子数に制限が付く場合がある。このような状況では、異常検知を伝えるための端子を設置できないケースがあり、本実施形態により半導体駆動回路100の構成を活用することができる。
【符号の説明】
【0089】
100 半導体駆動回路
110 制御回路
111 パルス生成部
112a、112e セット信号生成回路
112b、112d リセット信号生成回路
112c 論理和回路
113 フィルタ回路
114a 第1パルス変換回路
114b 第2パルス変換回路
114c 第3パルス変換回路
115 TFF回路
116a 第1DFF回路
116b 第2DFF回路
120 駆動信号回路
130 ソフト遮断回路
141 ローサイド側制御回路
142 ローサイド側駆動回路
143 半導体素子
144 比較器
200 コントロールIC
300 三相モータ
400 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7