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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178568
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】乗物用シートのクッション体
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20241218BHJP
   A47C 27/15 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C27/15 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096791
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】花瀬 務
(72)【発明者】
【氏名】金原 大悟
【テーマコード(参考)】
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3B096AB07
(57)【要約】
【課題】クッション感がよく表面の感触も良好な乗物用シートのクッション体を低コストで提供する。
【解決手段】自動車用シート1のクッション体であるクッションパッド10は、シート幅方向中央部分の略平坦な部分であるメイン部11が、着座面に近い側から表面層17、中間層16、裏面層15と並ぶいずれも発泡樹脂製の3層構造とされている。裏面層15は成形型を用いた発泡成形により形成されたものである。表面層17と中間層16はスラブ状の発泡樹脂である。各層の硬度は、中間層16、裏面層15、表面層17の順に硬く、各層の厚みは、裏面層15、表面層17、中間層16の順に厚く形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートのクッション体であって、
シート幅方向中央部分の略平坦な部分であるメイン部が、着座面に近い側から表面層、中間層、裏面層と並ぶいずれも発泡樹脂製の3層構造とされ、
前記裏面層は成形型を用いた発泡成形により形成されたものであり、
前記表面層と前記中間層はスラブ状の発泡樹脂であり、
各層の硬度は、前記中間層、前記裏面層、前記表面層の順に硬く、
各層の厚みは、前記裏面層、前記表面層、前記中間層の順に厚く形成されている乗物用シートのクッション体。
【請求項2】
請求項1において、
前記クッション体は、シートバックに適用されるバックパッドであり、
前記中間層における着座乗員の腰部に対応する第1部分がその他の部分である第2部分に比べて高硬度とされている乗物用シートのクッション体。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1部分と前記第2部分との連結部は、厚み方向に対して傾斜した面とされているか、又は厚み方向に見たとき等ピッチで折れ曲がる線が厚み方向に延びた面とされている乗物用シートのクッション体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートのクッション体に関する。詳しくは、複層構造をした乗物用シートのクッション体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の乗物に装備される乗物用シートにおいて、着座乗員の体重を支えながら接触部分の柔らかい感触を保つために複層構造のクッション体が使用されることがある。特許文献1に記載されたシート用クッション体においては、体圧・荷重分散性、ストローク感、ハネ感、タッチ感等のシート性能を付与しながら、底突き感、ヘタリ等の発生を妨げて耐久性能を保つために、高硬度の樹脂発泡フォームと低硬度の樹脂発泡フォームとの間に布材を中間層として介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-142571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載されたシート用クッション体においては、中間層である布材が樹脂発泡フォームに比べて面内方向へ伸びにくいものであるので、局部的に座圧が高まる部分が生じて座り心地に違和感を覚えるおそれがあった。また、中間層である布材を高硬度の樹脂発泡フォームと低硬度の樹脂発泡フォームに対して、それぞれ一体化するために2回の発泡樹脂成形が必要となり成形型の必要数が増加してコスト高につながりやすいという問題もあった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、クッション感がよく表面の感触も良好な乗物用シートのクッション体を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、乗物用シートのクッション体であって、シート幅方向中央部分の略平坦な部分であるメイン部が、着座面に近い側から表面層、中間層、裏面層と並ぶいずれも発泡樹脂製の3層構造とされ、前記裏面層は成形型を用いた発泡成形により形成されたものであり、前記表面層と前記中間層はスラブ状の発泡樹脂であり、各層の硬度は、前記中間層、前記裏面層、前記表面層の順に硬く、各層の厚みは、前記裏面層、前記表面層、前記中間層の順に厚く形成されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、乗物用シートのクッション体は、発泡樹脂製の3層構造なので各層の面内方向への伸びは、著しく異なるものではなく局部的に座圧が高まる部分が生じて座り心地に違和感を覚えるおそれを抑制できる。また、3層構造の部分はシート幅方向中央部分の略平坦な部分であるメイン部であるので、スラブ状の中間層と表面層は、成形型により発泡成形された裏面層に対して接着によって一体化でき成形型の必要数を低減できるのでコスト高となるのを抑制できる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記クッション体は、シートバックに適用されるバックパッドであり、前記中間層における着座乗員の腰部に対応する第1部分がその他の部分である第2部分に比べて高硬度とされていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、バックパッドは、中間層において、着座乗員の腰部に対応する第1部分がその他の部分である第2部分より高硬度に形成されているので、着座乗員の腰部を背部等のその他の部分より強く支持することができる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記第1部分と前記第2部分との連結部は、厚み方向に対して傾斜した面とされているか、又は厚み方向に見たとき等ピッチで折れ曲がる線が厚み方向に延びた面とされていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、第1部分と第2部分との連結部は、厚み方向に対して傾斜した面とされているか、又は厚み方向に見たとき等ピッチで折れ曲がる線が厚み方向に延びた面とされているので硬さが急に変化するのを抑止できる。これによって、着座乗員の腰部を違和感なく支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のクッション体が適用された自動車用シートの斜視図である。
図2】上記実施形態に係る自動車用シートのクッションパッドの平面図である。
図3図2のIII-III矢視線断面図である。
図4図2のIV-IV矢視線断面図である。
図5】上記実施形態に係る自動車用シートのバックパッドの正面図である。
図6図5のVI-VI矢視線断面図である。
図7図5のVII-VII矢視線断面図である。
図8】バックパッドの中間層の変形例である。
図9】バックパッドの中間層の変形例である。
図10】バックパッドの中間層の変形例である。
図11】バックパッドの中間層の変形例である。
図12】バックパッドの中間層の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図7に基づき、本発明の一実施形態に係る自動車用シート1に適用されるクッションパッド10及びバックパッド20について説明する。以下の説明において、方向に関する説明は、各図に示される上下前後左右の各方向に基づいて行うものとする。ここで、上下前後左右の各方向は、自動車用シート1を自動車フロアFに取付けたときの自動車用シート1を基準に定めたものである。ここで、自動車用シート1が、特許請求の範囲の「乗物用シート」に相当する。また、クッションパッド10とバックパッド20が、それぞれ特許請求の範囲の「クッション体」に相当する。
【0014】
図1に示すように、自動車用シート1は、着座乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション2と、着座乗員の腰部及び背部を支持するシートバック3と、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト4と、を有する。シートクッション2は、骨格をなすクッションフレーム2Fと、クッションフレーム2Fの上に被せつけて配置されたクッション材としてのクッションパッド10と、クッションパッド10を被覆する表皮材としてのクッションカバー2Cと、を有する。クッションパッド10は、発泡ウレタン樹脂により形成された弾性体であり、その外形がシートクッション2の外形を定めている。シートバック3は、骨格をなすバックフレーム3Fと、バックフレーム3Fの上に被せつけて配置されたクッション材としてのバックパッド20と、バックパッド20を被覆する表皮材としてのバックカバー3Cと、を有する。バックパッド20は、発泡ウレタン樹脂により形成された弾性体であり、その外形がシートバック3の外形を定めている。
【0015】
図2図4に示すように、クッションパッド10は、左右方向中央部のメイン部11と、メイン部11の左右両側に位置する左右一対のサイド部12と、を有する。メイン部11は、着座面側である上面S1が水平方向に略平坦な形状に形成されており、着座乗員の大腿部と臀部を下から支える部分である。左右一対のサイド部12は、その上面S2がメイン部11の上面S1より上方に向けて突出した形状に形成されており、着座乗員の大腿部と臀部を側方から支える部分である。メイン部11と左右一対のサイド部12との間には、上方に向けて開口し略前後方向に延びる左右一対の縦溝13が形成されている。また、メイン部11の前後方向中央部から若干後方には、上方に向けて開口し左右方向に延びる横溝14が形成されている。メイン部11と左右一対のサイド部12における、上面S1と上面S2の反対側の面は、クッションフレーム2Fの上面に対応する面である下面S3として形成されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、メイン部11は、下から裏面層15、中間層16、表面層17と並ぶ3層構造をしている。左右一対のサイド部12は、裏面層15のみで形成された1層構造をしている。裏面層15は、左右一対のサイド部12の上面S2とメイン部11の上面である裏面層メイン部上面S4と、下面S3を有する。キャビティ面形状が上面S2と裏面層メイン部上面S4に対応する面とされた上型(図示せず)と、キャビティ面形状が下面S3に対応する面とされた下型(図示せず)と、によってウレタン樹脂が発泡成形されて形成されている。中間層16は、スラブ状のウレタン発泡樹脂が、裏面層メイン部上面S4の形状に合うように切り出されて形成されている。表面層17は、スラブ状のウレタン発泡樹脂が、中間層16の形状に合うように切り出されて形成されている。裏面層15、中間層16、表面層17の硬度は、中間層16が最も高く次に裏面層15、表面層17の順である。裏面層15、中間層16、表面層17の厚みは、裏面層15が最も厚く次に表面層17、中間層16の順である。
【0017】
裏面層15を発泡成形したのち、裏面層メイン部上面S4の上に中間層16を接着によって貼り付け一体化する。次に裏面層15に取付けられた中間層16の上に表面層17を接着により貼り付け一体化する。このとき、図3において二点鎖線で示すように、クッションパッド10の前端上部には前張出部18が形成され、後端上部には後張出部19が形成されている。前張出部18と後張出部19は、クッションパッド10の上面にクッションカバー2Cを被せ付けたとき、クッションカバー2Cにより圧縮されて変形し実線で示す形状になる。
【0018】
このようにして形成されたクッションパッド10は、裏面層15、中間層16、表面層17が、いずれもウレタン発泡樹脂製で各層の面内方向への伸びは、著しく異なるものではない。これによって、中間層を布帛等の面内方向への伸びが著しく小さい材質のものとした場合に比べて、局部的に座圧が高まる部分が生じて座り心地に違和感を覚えるおそれを抑制できる。また、3層構造の部分はシート幅方向中央部分の略平坦な部分であるメイン部11であるので、スラブ状の中間層16と表面層17は、成形型により発泡成形された裏面層15に対して接着によって一体化でき成形型の必要数を低減できるのでコスト高となるのを抑制できる。
【0019】
図5図7に示すように、バックパッド20は、左右方向中央部のメイン部21と、メイン部21の左右両側に位置する左右一対のサイド部22と、を有する。メイン部21は、着座面側である前面S5が水平方向に対して垂直な方向に略平坦な形状に形成されており、着座乗員の腰部と背部を後方から支える部分である。左右一対のサイド部22は、その前面S6がメイン部21の前面S5より前方に向けて突出した形状に形成されており、着座乗員の腰部と背部を側方から支える部分である。メイン部21と左右一対のサイド部22との間には、前方に向けて開口し略前後方向に延びる左右一対の縦溝23が形成されている。また、メイン部21の上下方向中央部から若干下方には、前方に向けて開口し左右方向に延びる横溝24が形成されている。メイン部21と左右一対のサイド部22における、前面S5と前面S6の反対側の面は、バックフレーム3Fの前面に対応する面である後面S7として形成されている。
【0020】
図6及び図7に示すように、メイン部21は、下から裏面層25、中間層26、表面層27と並ぶ3層構造をしている。左右一対のサイド部22は、裏面層25のみで形成された1層構造をしている。裏面層25は、左右一対のサイド部22の前面S6とメイン部21の前面である裏面層メイン部前面S8と、後面S7を有する。キャビティ面形状が前面S6と裏面層メイン部前面S8に対応する面とされた上型(図示せず)と、キャビティ面形状が後面S7に対応する面とされた下型(図示せず)と、によってウレタン樹脂が発泡成形されて形成されている。中間層26は、スラブ状のウレタン発泡樹脂が、裏面層メイン部前面S8の形状に合うように切り出されて形成されている。表面層27は、スラブ状のウレタン発泡樹脂が、中間層26の形状に合うように切り出されて形成されている。裏面層25、中間層26、表面層27の硬度は、中間層26が最も高く次に裏面層25、表面層27の順である。裏面層25、中間層26、表面層27の厚みは、裏面層25が最も厚く次に表面層27、中間層26の順である。
【0021】
裏面層25を発泡成形したのち、裏面層メイン部前面S8の上に中間層26を接着によって貼り付け一体化する。次に裏面層25に取付けられた中間層26の上に表面層27を接着により貼り付け一体化する。このとき、図6において二点鎖線で示すように、バックパッド20の上端前部には上張出部28が形成され、下端前部には下張出部29が形成されている。上張出部28と下張出部29は、バックパッド20の前面にバックカバー3Cを被せ付けたとき、バックカバー3Cにより圧縮されて変形し実線で示す形状になる。
【0022】
このようにして形成されたバックパッド20は、裏面層25、中間層26、表面層27が、いずれもウレタン発泡樹脂製で各層の面内方向への伸びは、著しく異なるものではない。これによって、中間層を布帛等の面内方向への伸びが著しく小さい材質のものとした場合に比べて、局部的に座圧が高まる部分が生じて座り心地に違和感を覚えるおそれを抑制できる。また、3層構造の部分はシート幅方向中央部分の略平坦な部分であるメイン部21であるので、スラブ状の中間層26と表面層27は、成形型により発泡成形された裏面層25に対して接着によって一体化でき成形型の必要数を低減できるのでコスト高となるのを抑制できる。
【0023】
図8図12に本発明の変形例を示す。いずれもバックパッド20における中間層26の変形例である。図8図9には、第1の変形例である中間層26aが示される。図8が前方から見た正面図で、図9は左右方向から見た側面図である。中間層26aは、着座乗員の腰部に対応する部分の下側部26a1と、着座乗員の背部に対応する部分の上側部26a2と、が連結部26a3で連結されている。下側部26a1の方が上側部26a2より硬度が高く設定されている。連結部26a3は、下側部26a1の厚みが上方に向かうにつれて徐々に薄くなり、上側部26a2の厚みが下方に向かうにつれて徐々に薄くなるように設定されている。この厚みが徐変する部分を重ね合わせて接着することにより一体化されている。これによって、着座乗員の腰部を背部より強く支持することができる。また、上側部26a2と下側部26a1は、双方の厚みが徐変する連結部26a3において接着により一体化されているので、硬さが上下方向で急に変化するのを抑止でき、着座乗員の腰部を違和感なく支持することができる。ここで、下側部26a1と上側部26a2が、それぞれ特許請求の範囲の「第1部分」と「第2部分」に相当する。
【0024】
図10には、第2の変形例である中間層26bが示される。図10は、前方から見た正面図である。中間層26bは、着座乗員の腰部に対応する部分の下側部26b1と、着座乗員の背部に対応する部分の上側部26b2と、が連結部26b3で連結されている。下側部26b1の方が上側部26b2より硬度が高く設定されている。連結部26b3は、前方から見たとき等ピッチの三角波形状で厚み方向に延びる面として形成され、この面で下側部26b1と上側部26b2が接着により一体化されている。これによって、着座乗員の腰部を背部より強く支持することができる。また、上側部26b2と下側部26b1は、前方から見たとき等ピッチの三角波形状で厚み方向に延びる面である連結部26b3において接着により一体化されているので、硬さが上下方向で急に変化するのを抑止でき、着座乗員の腰部を違和感なく支持することができる。ここで、下側部26b1と上側部26b2が、それぞれ特許請求の範囲の「第1部分」と「第2部分」に相当する。
【0025】
図11には、第3の変形例である中間層26cが示される。図11は、前方から見た正面図である。中間層26cは、着座乗員の腰部に対応する部分の下側部26c1と、着座乗員の背部に対応する部分の上側部26c2と、が連結部26c3で連結されている。下側部26c1の方が上側部26c2より硬度が高く設定されている。連結部26c3は、前方から見たとき等ピッチの略正弦波形状で厚み方向に延びる面として形成され、この面で下側部26c1と上側部26c2が接着により一体化されている。これによって、着座乗員の腰部を背部より強く支持することができる。また、上側部26c2と下側部26c1は、前方から見たとき等ピッチの略正弦波形状で連結部26c3において接着により一体化されているので、硬さが上下方向で急に変化するのを抑止でき、着座乗員の腰部を違和感なく支持することができる。ここで、下側部26c1と上側部26c2が、それぞれ特許請求の範囲の「第1部分」と「第2部分」に相当する。
【0026】
図12には、第4の変形例である中間層26dが示される。図12は、前方から見た正面図である。中間層26dは、着座乗員の腰部に対応する部分の下側部26d1と、着座乗員の背部に対応する部分の上側部26d2と、が連結部26d3で連結されている。下側部26d1の方が上側部26d2より硬度が高く設定されている。連結部26d3は、前方から見たとき等ピッチの矩形波形状で厚み方向に延びる面として形成され、この面で下側部26d1と上側部26d2が接着により一体化されている。これによって、着座乗員の腰部を背部より強く支持することができる。また、上側部26d2と下側部26d1は、前方から見たとき等ピッチの矩形波形状で連結部26d3において接着により一体化されているので、硬さが上下方向で急に変化するのを抑止でき、着座乗員の腰部を違和感なく支持することができる。ここで、下側部26d1と上側部26d2が、それぞれ特許請求の範囲の「第1部分」と「第2部分」に相当する。
【0027】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0028】
1.上記実施形態においては、変形例をバックパッド20に適用したが、クッションパッド10に適用することもできる。例えば、中間層16の着座乗員の臀部に対応する部分と、着座乗員の大腿部に対応する部分と、で硬さを変更し、臀部に対応する部分を大腿部に対応する部分より硬くしてもよい。連結部は第1の変形例~第4の変形例のいずれかを採用する。
【0029】
2.上記実施形態においては、中間層16は表面層17より厚みが薄く、中間層26は表面層27より厚みが薄いものとして構成した。しかし、これに限らず、中間層16の厚みと表面層17の厚みが同一であってもよいし、中間層26の厚みと表面層27の厚みが同一であってもよい。
【0030】
3.上記実施形態においては、自動車用シート1に本願発明を適用したが飛行機、船舶、鉄道車両等のシートに適用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 自動車用シート(乗物用シート)
2 シートクッション
3 シートバック
10 クッションパッド(クッション体)
11 メイン部
12 サイド部
15 裏面層
16 中間層
17 表面層
20 バックパッド(クッション体)
21 メイン部
22 サイド部
25 裏面層
26 中間層
26a 中間層
26a1 下側部(第1部分)
26a2 上側部(第2部分)
26a3 連結部
26b 中間層
26b1 下側部(第1部分)
26b2 上側部(第2部分)
26b3 連結部
26c 中間層
26c1 下側部(第1部分)
26c2 上側部(第2部分)
26c3 連結部
26d 中間層
26d1 下側部(第1部分)
26d2 上側部(第2部分)
26d3 連結部
27 表面層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12