(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178570
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20241218BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/14 B
G06F3/02 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096793
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】西尾 英次
【テーマコード(参考)】
5B020
5G206
【Fターム(参考)】
5B020DD02
5G206AS33F
5G206AS33H
5G206AS33J
5G206BS52F
5G206BS52H
5G206BS52J
5G206CS04F
5G206CS04H
5G206CS04J
5G206DS02J
5G206HU13
5G206KS03
(57)【要約】
【課題】キー押下時のクリック感の向上を図ることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、配線基板と、配線基板上に実装されたタクタイルスイッチと、配線基板上に配置され、タクタイルスイッチに向けて突出したキー部を有し、エラストマー材料で形成されたキーシートと、配線基板とキーシートの間に配置され、キー部が挿入される保持穴が形成された保持部材と、キー部の下面から突出し、タクタイルスイッチを押下する、キーシートよりも硬い材料で形成された押し子と、キーシート上に配置され、キー部の上面が現れる開口が形成されたパネルと、を備える。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に実装されたタクタイルスイッチと、
前記配線基板上に配置され、前記タクタイルスイッチに向けて突出したキー部を有し、エラストマー材料で形成されたキーシートと、
前記配線基板と前記キーシートの間に配置され、前記キー部が挿入される保持穴が形成された保持部材と、
前記キー部の下面から突出し、前記タクタイルスイッチを押下する、前記キーシートよりも硬い材料で形成された押し子と、
前記キーシート上に配置され、前記キー部の上面が現れる開口が形成されたパネルと、
を備える、電子機器。
【請求項2】
前記押し子は、前記キー部に埋め込まれ、前記タクタイルスイッチに向けて延び、前記キー部の下面から突出する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記押し子の上端は、前記保持部材の前記保持穴の周縁部の上端より上方に位置する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記保持部材は、前記保持穴の底部を有し、
前記底部に、前記押し子が通る貫通孔が形成される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記押し子の下端部は前記貫通孔を通過可能な形状を有し、
前記押し子の上端部は前記貫通孔を通過不能な形状を有する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記保持部材の前記保持穴の周縁部は、筒状に形成され、
前記周縁部の内壁面が、前記キー部の側面と接触する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記キーシートは、複数の前記キー部を有し、
前記パネルの前記開口には、複数の前記キー部の上面が現れる、
請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キートップを押下することにより、ラバーシートの押し子を介してメタルドームが押下され、スイッチパターンが導通する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術のような押し子がゴムで形成される構造では、キーが押されたときに、押し子が変形することで力が分散したり、位置がずれて、クリック感を損ねることがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、キー押下時のクリック感の向上を図ることが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の電子機器は、配線基板と、前記配線基板上に実装されたタクタイルスイッチと、前記配線基板上に配置され、前記タクタイルスイッチに向けて突出したキー部を有し、エラストマー材料で形成されたキーシートと、前記配線基板と前記キーシートの間に配置され、前記キー部が挿入される保持穴が形成された保持部材と、前記キー部の下面から突出し、前記タクタイルスイッチを押下する、前記キーシートよりも硬い材料で形成された押し子と、前記キーシート上に配置され、前記キー部の上面が現れる開口が形成されたパネルと、を備える。これによれば、キー押下時のクリック感の向上を図ることが可能となる。
【0007】
上記態様において、前記押し子は、前記キー部に埋め込まれ、前記タクタイルスイッチに向けて延び、前記キー部の下面から突出してもよい。これによれば、キー部の剛性を高めて、クリック感のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記押し子の上端は、前記保持部材の前記保持穴の周縁部の上端より上方に位置してもよい。これによれば、キー部の剛性を高めて、クリック感のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0009】
上記態様において、前記保持部材は、前記保持穴の底部を有し、前記底部に、前記押し子が通る貫通孔が形成されてもよい。これによれば、タクタイルスイッチに対する押し子の位置精度を向上させることが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記押し子の下端部は前記貫通孔を通過可能な形状を有し、前記押し子の上端部は前記貫通孔を通過不能な形状を有してもよい。これによれば、押し子を所定の向きで配置することが可能となる。
【0011】
上記態様において、前記保持部材の前記保持穴の周縁部は、筒状に形成され、前記周縁部の内壁面が、前記キー部の側面と接触してもよい。これによれば、タクタイルスイッチに対する押し子の位置精度を向上させることが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記キーシートは、複数の前記キー部を有し、前記パネルの前記開口には、複数の前記キー部の上面が現れてもよい。これによれば、1つの開口に複数のキーを配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】
図2のVI-VI線で切断したときの断面図である。
【
図7】
図2のVII-VII線で切断したときの断面図である。
【
図12】
図8のXII-XII線で切断したときの断面図である。
【
図13】
図8のXIII-XIII線で切断したときの断面図である。
【
図15】キーシート、保持部材、及び押し子の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0015】
図1は、電子機器1の構成例を示す分解斜視図である。電子機器1は、配線基板2、キーシート3、保持部材4、及びフロントパネル6を備えている。同図では、筐体及び表示部などの図示を省略している。以下の説明では、配線基板2に対してフロントパネル6が位置する方向を上方向とし、その反対方向を下方向とする。
【0016】
配線基板2上には、複数のタクタイルスイッチ21が実装されている。複数のタクタイルスイッチ21は、格子状に配列している。
【0017】
キーシート3は、配線基板2上に配置されている。キーシート3は、複数のタクタイルスイッチ21に対応する複数のキー部31を有している。キーシート3は、例えばシリコンゴム等のエラストマー材料で形成されている。
【0018】
複数のキー部31のそれぞれは、押し子5を保持している。キー部31が人の指によって押下されると、キー部31に保持された押し子5がタクタイルスイッチ21を押下する。押し子5は、例えば合成樹脂などの、キーシート3よりも硬い材料で形成される。
【0019】
保持部材4は、配線基板2とキーシート3の間に配置されている。保持部材4は、ネジ等によりフロントパネル6に固定され、保持部材4とフロントパネル6の間にキーシート3が保持される。保持部材4には、複数のキー部31が挿入される複数の保持穴4aが形成されている。
【0020】
フロントパネル6は、キーシート3上に配置されている。フロントパネル6には、複数のキー部31の上面が現れる開口6aが形成されている。
【0021】
以下、キーシート3、保持部材4、及び押し子5の具体的な構成について説明する。
【0022】
図2ないし
図5は、キーシート3の構成例を示す平面図、正面図、左側面図、及び底面図である。
図6は、
図2のVI-VI線で切断したときの断面図である。
図7は、
図2のVII-VII線で切断したときの断面図である。
【0023】
図8ないし
図11は、保持部材4の構成例を示す平面図、正面図、左側面図、及び底面図である。
図12は、
図8のXII-XII線で切断したときの断面図である。
図13は、
図8のXIII-XIII線で切断したときの断面図である。
【0024】
図14は、押し子5の構成例を示す正面図である。
図15は、キーシート3、保持部材4、及び押し子5の具体的な構成例を示す部分拡大断面図である。
【0025】
以下の説明では、図中のX1方向を前方向、X2方向を後方向、Y1方向を右方向、Y2方向を左方向、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向という。
【0026】
図2ないし
図7に示すように、キーシート3は、矩形枠状の枠部39を有しており、枠部39の内側に複数のキー部31を有している。キーシート3は、全体として略矩形板状に形成されている。
【0027】
キー部31は、下方向に向けて突出しており、上面32と下面33を有している。具体的には、キー部31は、矩形板状の頭部と、頭部から下方向に突出する柱状の突出部とを有している。突出部は、下方向に向かうほど細くなっている。キー部31の上面32は矩形状に形成されており、キー部31の下面33は楕円状に形成されている。
【0028】
キー部31には、押し子5を保持するための上下方向に延びた埋込穴3aが形成されている。埋込穴3aは、キー部31の下面33に開口している。押し子5は、下部がキー部31の下面33から突出するように、キー部31に埋め込まれる。
【0029】
隣り合う2つのキー部31の間には、上下方向に延びる壁部34が設けられている。キー部31と壁部34は、連結膜342によって連結されている(
図15参照)。具体的には、キー部31の頭部と壁部34の上端部の間に連結膜342が設けられている。
【0030】
図8ないし
図13に示すように、保持部材4は、矩形板状の板状部49を有しており、板状部49に複数の保持穴4aが形成されている。保持穴4aは、上方向に開口した有底の穴である。
【0031】
保持穴4aの底部43には、上下方向に貫通した貫通孔4bが形成されている。貫通穴43は、タクタイルスイッチ21の被押下部の上方向に位置する(
図15参照)。キー部31に保持された押し子5は、貫通穴4bを通ってタクタイルスイッチ21を押下する。
【0032】
保持穴4aの周縁部41は、筒状に形成されており、周縁部41の内壁面がキー部31の側面と接触する(
図15参照)。周縁部41は、キー部31の挿入部分に対応して楕円筒状に形成されている。
【0033】
隣り合う2つの穴部4aの間には、連結部44が設けられている。連結部44には、キーシート3の壁部34が載せられる(
図15参照)。連結部44の端には、上方向に延びる壁部414が設けられている。
【0034】
壁部414の上端部は、周縁部41の上端部と連結されている。このため、壁部414と周縁部41は、下方向に開いた逆U字状の形状を有している。
【0035】
図14に示すように、押し子5は、上下方向に延びた軸状に形成されている。押し子5は、上下方向の中途に鍔部51を有しており、鍔部51よりも上方向の部分を上部52とし、鍔部51よりも下方向の部分を下部53とする。
【0036】
押し子5の上部52には、複数のリブ524が形成されており、押し子5の下部53にも、複数のリブ534が形成されている。押し子5の上部52は、下部53よりも太く形成されている。
【0037】
図15に示すように、キー部31に埋め込まれた押し子5の上端部522は、保持穴4aの周縁部41の上端部よりも上方に位置する。このため、押し子5の上端部522は、キー部31の上面32の近くに位置している。
【0038】
押し子5の下端部533は、保持穴4aの底部43の貫通孔4bを通過可能な形状を有しており、貫通孔4bを通って底部43よりも下方に突出し、タクタイルスイッチ21を押下する。
【0039】
なお、押し子5の上端部522は貫通孔4bを通過不能な形状を有している。このため、キー部31に押し子5が上下反対に誤って取り付けられると、上端部522が貫通孔4bを通過できない。
【0040】
以上に説明した実施形態によれば、キーシート3よりも硬い材料で形成された押し子5をキー部31に設けることで、キー部31が押下されたときのクリック感の向上を図ることが可能となる。
【0041】
また、タクタイルスイッチ21は、一般に、小型化・薄型化が進むほど被押下部が小さく、硬くなり、押下側に要求される位置精度が高くなるが、本実施形態のように、キーシート3よりも硬い材料で形成された押し子5をキー部31に設けることで、タクタイルスイッチ21を正確に押下することが可能となる。
【0042】
特に、保持穴4aの底部43に押し子5を通すための貫通孔4bを設けることや、保持穴4aの周縁部41を筒状にしてキー部31の側面と接触させることで、タクタイルスイッチ21に対する押し子5の位置精度を向上させ、タクタイルスイッチ21を正確に押下することが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【0044】
以下、本発明の代表的な実施形態を列挙する。
【0045】
(1)
配線基板と、
前記配線基板上に実装されたタクタイルスイッチと、
前記配線基板上に配置され、前記タクタイルスイッチに向けて突出したキー部を有し、エラストマー材料で形成されたキーシートと、
前記配線基板と前記キーシートの間に配置され、前記キー部が挿入される保持穴が形成された保持部材と、
前記キー部の下面から突出し、前記タクタイルスイッチを押下する、前記キーシートよりも硬い材料で形成された押し子と、
前記キーシート上に配置され、前記キー部の上面が現れる開口が形成されたパネルと、
を備える、電子機器。
【0046】
(2)
前記押し子は、前記キー部に埋め込まれ、前記タクタイルスイッチに向けて延び、前記キー部の下面から突出する、
(1)に記載の電子機器。
【0047】
(3)
前記押し子の上端は、前記保持部材の前記保持穴の周縁部の上端より上方に位置する、
(2)に記載の電子機器。
【0048】
(4)
前記保持部材は、前記保持穴の底部を有し、
前記底部に、前記押し子が通る貫通孔が形成される、
(1)ないし(3)の何れかに記載の電子機器。
【0049】
(5)
前記押し子の下端部は前記貫通孔を通過可能な形状を有し、
前記押し子の上端部は前記貫通孔を通過不能な形状を有する、
(4)に記載の電子機器。
【0050】
(6)
前記保持部材の前記保持穴の周縁部は、筒状に形成され、
前記周縁部の内壁面が、前記キー部の側面と接触する、
(1)ないし(5)の何れかに記載の電子機器。
【0051】
(7)
前記キーシートは、複数の前記キー部を有し、
前記パネルの前記開口には、複数の前記キー部の上面が現れる、
(1)ないし(6)の何れかに記載の電子機器。
【符号の説明】
【0052】
1 電子機器、2 配線基板、21 タクタイルスイッチ、3 キーシート、31 キー部、32 上面、33 下面、34 壁部、342 連結膜、39 枠部、3a 埋込穴、4 保持部材、4a 保持穴、4b 貫通孔、41 周縁部、414 壁部、43 底部、44 連結部、49 板状部、5 押し子、51 鍔部、52 上部、522 上端部、524 リブ、53 下部、533 下端部、534 リブ、6 フロントパネル、6a 開口