(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178571
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】露光装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20241218BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20241218BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
G03G15/04
H04N1/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096795
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2C162
5C051
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162AE69
2C162AE73
2C162FA17
2C162FA44
5C051AA02
5C051CA08
5C051DA04
5C051DB02
5C051DB04
5C051DB06
5C051DB08
5C051DB18
5C051DB22
5C051DB29
5C051DC03
5C051DC07
5C051DE29
5C051FA01
(57)【要約】
【課題】基板に過度な力が掛かることに起因する基板の発光素子が実装された部分の撓みの影響を最小限に抑える。
【解決手段】感光体を露光する露光装置であって、感光体の軸線方向に延伸した長手形状をなす基板と、前記基板の一方の面に実装され、前記基板の長手方向に並べられた複数の発光素子と、前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズアレイと、前記基板と前記レンズアレイを保持する保持体と、前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に設けられ、前記発光素子に電気的に接続され、接離可能に接触された接触端子を通して前記発光素子の発光を制御する信号を入力する接点と、を備え、前記接点は、前記基板の表裏面において前記基板の前記発光素子が実装された領域に重ならない位置に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を露光する露光装置であって、
感光体の軸線方向に延伸した長手形状をなす基板と、
前記基板の一方の面に実装され、前記基板の長手方向に並べられた複数の発光素子と、
前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズアレイと、
前記基板と前記レンズアレイを保持する保持体と、
前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に設けられ、前記発光素子に電気的に接続され、接離可能に接触された接触端子を通して前記発光素子の発光を制御する信号を入力する接点と、を備え、
前記接点は、前記基板の表裏面において前記基板の前記発光素子が実装された領域に重ならない位置に配置されている、ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に実装され、前記発光素子に電気的に接続され、ケーブルが抜き差し可能に接続されるコネクタを備え、
前記接点は、前記基板の長手方向において前記コネクタよりも端部側に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記コネクタは、前記基板の長手方向において中央よりも一端側に偏って配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記接点は、前記基板の長手方向において、前記コネクタとの間の距離よりも、前記基板の前記接点を設けた側の端部との間の距離が短い位置に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項5】
前記接点は、前記コネクタを介して前記発光素子に電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項6】
前記基板は前記発光素子に信号を供給するための配線を有し、
前記接点は、前記コネクタに接続された、前記発光素子の発光を制御する制御信号を供給する配線に接続された接点を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記基板は前記発光素子に信号を供給するための配線を有し、
前記接点は、前記コネクタに接続された、前記発光素子の発光を制御する電源を供給する配線に接続された接点を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項8】
前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に実装され、前記発光素子に電気的に接続され、前記発光素子の発光を制御するICを備え、
前記接点は、前記基板の長手方向において前記ICよりも端部側に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項9】
前記コネクタは、前記ICを介して前記発光素子に電気的に接続され、
前記接点は、前記コネクタを介して前記発光素子に電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
前記接点は、前記基板の長手方向の一方の端部に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項11】
感光体を露光する露光装置であって、
感光体の軸線方向に延伸した長手形状をなす基板と、
前記基板の一方の面に実装され、前記基板の長手方向に並べられた複数の発光素子と、
前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズアレイと、
前記基板と前記レンズアレイを保持する保持体と、
前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に実装され、前記発光素子に電気的に接続され、ケーブルを抜き差し可能に保持するコネクタと、
前記コネクタとは別に前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に設けられ、前記発光素子に電気的に接続され、接離可能に接触された接触端子を通して前記発光素子の発光を制御する信号を入力する接点と、を備え、
前記接点は、前記基板の表裏面において前記基板の前記発光素子が実装された領域に重ならない位置に配置されている、ことを特徴とする露光装置。
【請求項12】
感光体と、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の露光装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を露光する露光装置および露光装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、LEDアレイおよびレンズアレイを備えた露光装置から、感光体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを付着させてトナー像を現像するものが普及している(特許文献1)。
【0003】
従来の露光装置において、LEDアレイが搭載された基板は、接着剤を介してレンズホルダに接着されている。また、LEDアレイが搭載された基板と、画像形成装置の本体制御部との電気的な接続は、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFCとも称する)を用いて行われている。LEDアレイが搭載された基板にはコネクタが実装されており、この基板に実装されたコネクタに、FFCが抜き差し可能に接続されることで、画像形成装置の本体制御部と電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の露光装置においては、画像形成装置に露光装置を組み込む前に、工具を用いて基板の位置や光量等を調整している。その際、画像形成装置と同様にFFCを用いて、基板と工具とを電気的に接続して、基板の位置や光量等の調整を行っている。
【0006】
しかし、LEDアレイが搭載された基板は長尺であるため、FFCの抜き差し時に基板に掛かる力によって、基板のLEDアレイが実装された部分に撓みが生じてしまう可能性があった。特に基板の表裏面においてLEDアレイの実装領域にコネクタが重なっていると、基板のLEDアレイの実装領域に過度な力が掛かり、基板のLEDアレイが実装された部分に、より大きな撓みが生じてしまう可能性があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、基板に過度な力が掛かることに起因する基板のLEDアレイが実装された部分の撓みの影響を最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、感光体を露光する露光装置であって、感光体の軸線方向に延伸した長手形状をなす基板と、前記基板の一方の面に実装され、前記基板の長手方向に並べられた複数の発光素子と、前記発光素子から出射された光を感光体に集光するレンズアレイと、前記基板と前記レンズアレイを保持する保持体と、前記基板の前記発光素子が実装された面とは反対側の面に設けられ、前記発光素子に電気的に接続され、接離可能に接触された接触端子を通して前記発光素子の発光を制御する信号を入力する接点と、を備え、前記接点は、前記基板の表裏面において前記基板の前記発光素子が実装された領域に重ならない位置に配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板に過度な力が掛かることに起因する基板の発光素子が実装された部分の撓みの影響を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)、(b)、(c)実施例に係る基板の説明図
【
図3】画像形成装置が備える光プリントヘッドの概略斜視図
【
図4】(a)、(b)、(c)基板を示す図、(d)、(e)レンズアレイを示す図
【
図5】(a)、(b)比較例の基板の反りを模式的に表した図
【
図6】(a)、(b)実施例の基板の反りを模式的に表した図
【
図7】実施例に係る基板のコネクタとチェックパッドの部分を拡大して表した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
(画像形成装置)
まず、画像形成装置1の概略構成を説明する。
図2は画像形成装置1の概略断面図である。
図2に示す画像形成装置1は読取装置を備えたカラープリンタ(MFP:Multi Function Printer)であるが、実施の形態は読取装置を備えていない複写機であってもよい。また、実施の形態は、
図2に示すような複数の感光ドラム103を備える所謂タンデム方式のカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
【0013】
図2に示す画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4基の画像形成部102Y、102M、102C、102K(以下、総称して単に「画像形成部102」とも称する)を備える。
【0014】
また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、それぞれ感光ドラム103Y、103M、103C、103K(以下、総称して単に「感光ドラム103」とも称する)を備える。これらの感光ドラムは、それぞれ離間して配列されている。
【0015】
また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kをそれぞれ帯電させる帯電器104Y、104M、104C、104K(以下、総称して単に「帯電器104」とも称する)を備える。
【0016】
また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを露光する光を出射する露光光源としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ユニット500Y、500M、500C、500K(以下、総称して単に「露光ユニット500」とも称する)を備える。
図2に示す画像形成装置1は感光ドラム103を下方から露光する所謂「下面露光方式」の画像形成装置である。
【0017】
さらに、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム103上に各色のトナー像を現像する現像器106Y、106M、106C、106K(以下、総称して単に「現像器106」とも称する)を備える。なお、符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
【0018】
画像形成装置1は、感光ドラム103に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107と、感光ドラム103に形成されたトナー像を当該中間転写ベルトに順次転写させる一次転写ローラ108(Y、M、C、K)を備える。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送されてきた記録材Sに転写させる二次転写ローラ109と、二次転写された画像を記録材Sに定着させる定着器100を備える。
【0019】
一次転写後の感光ドラム103Y、103M、103C、103Kの表面にはトナーが残留している。これら残留トナーはドラムクリーニング装置(第1清掃装置)8Y、8M、8C、8K(以下、総称して単に「ドラムクリーニング装置8」とも称する)によって除去され、回収トナー容器5に回収される。
【0020】
また、二次転写後の中間転写ベルト107の表面にもトナーが残留している。この残留トナーはベルトクリーニング装置(第2清掃装置)7によって除去され、回収トナー容器5に回収される。
【0021】
(画像形成プロセス)
次に画像形成装置の画像形成プロセスについて簡単に説明する。帯電器104Yは、感光ドラム103Yの表面を帯電する。露光ユニット500Yは帯電器104Yによって帯電された感光ドラム103Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム103Yには静電潜像が形成される。次に、現像器106Yは感光ドラム103Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム103Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写ローラ108Yによって中間転写ベルト107上に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで形成され、中間転写ベルト107に重ね合わせるように転写される。
【0022】
中間転写ベルト107上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト107によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2に配置された二次転写ローラ109にはトナー像を記録材Sに転写するための転写バイアスが印加されている。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ109の転写バイアスによって、給紙部(給紙カセット)101から搬送されてきた記録材Sに転写される。
【0023】
記録材Sは給紙部101内に積載される形で収納されており、画像形成タイミングに合わせて搬送路20へと給紙される。給紙方法は、まず給紙ローラ80の摩擦で記録材Sの先端が跳ね上げられ、記録材Sの二重送りを防止するための用紙分離用搬送ローラ対9a,9bにより記録材Sが1枚のみ搬送路20へ搬送される。その後、搬送ローラ対10a,10bで引き抜かれた記録材Sは、搬送路20を通りレジストローラ対11a,11bまで搬送され一旦停止される。なお、レジストローラ対11a,11bでは斜行補正やタイミング補正が行われた後、二次転写部T2へと搬送される。
【0024】
二次転写部T2にてトナー像が転写された記録材Sは定着器100に搬送される。定着器100は、熱と圧力によって記録材Sにトナー像を定着させる。定着器100によって定着処理がなされた記録材Sは、排紙部111に排出される。
【0025】
また、
図2に示すように画像形成装置1はトナー容器4Y、4M、4C、4K(以下、総称して単に「トナー容器4」とも称する)を備える。画像形成を行うことにより、現像器106内のトナー量が減少する。その際には、トナーが、各画像形成部102Y、102M、102C、102Kに対応して設けられたトナー容器4Y、4M、4C、4Kから不図示のパイプを介して現像器106に供給される。
【0026】
(光プリントヘッドの基本構成)
次に、露光ユニット500が備える光プリントヘッド(露光ヘッド、露光装置)105について説明する。ここで、電子写真方式の画像形成装置に採用される露光方式の一例として、半導体レーザの照射ビームを回転するポリゴンミラーなどで走査しf-θレンズ等を介して感光ドラムを露光するレーザビーム走査露光方式がある。本実施例で説明する「光プリントヘッド105」は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って配列されたLED等の発光素子を用いて感光ドラム103を露光するLED露光方式に用いられるものであって、上記に言うレーザビーム走査露光方式には用いられない。
【0027】
本実施例で説明する光プリントヘッド105は、感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向下側に設けられており、光プリントヘッド105が有するLED503が感光ドラム103を下方から露光する。
図3は、本実施例の画像形成装置1が備える光プリントヘッド105の概略斜視図である。
【0028】
光プリントヘッド(露光ヘッド)105は、感光ドラム103の回転軸線方向に延びる長尺の形状(長手形状)をなす。光プリントヘッド105は、基板502と、基板502に実装された発光素子と、レンズアレイ506と、基板502とレンズアレイ506とを保持する保持体505と、を備える。ここでは、光プリントヘッド105は、光を出射する発光素子として、LED503(Light Emitting Diode)を備えている(
図4(c)参照)。基板502は、保持体505の内部に設置される。保持体505には、レンズアレイ506を取り付けるためのレンズ取付部701が設けられている。
【0029】
保持体505は金属製の厚み1mm程度の薄板であり、電気亜鉛メッキ鋼板をプレス型で加工した部品となっている。
【0030】
保持体505のレンズ取付部701はレンズアレイ506に対して一回り大きい開口であり、レンズアレイ506は接着剤507により保持体505に固定される。また基板502は保持体505よりも一回り小さく形成しており、基板502はLED503の光軸をレンズアレイ506の中心に合わせるよう位置調整される。その後、保持体505の短手方向(長手方向に直交する方向)の基板502の両側にある壁面との間で接着剤(不図示)により保持体505に固定される。この接着剤は、例えば紫外線硬化型の接着剤であり、液体状ないしゲル状のまま接着箇所に塗布された後に紫外線が照射されることで、硬化するようになっている。
【0031】
保持体505に保持される基板502について説明する。
図4(a)は基板502の概略斜視図である。
図4(b)は基板502に複数個設けられたLED503の基板502上での配列を示す。
図4(c)は
図4(b)の拡大図である。
【0032】
基板502にはLEDチップ639が実装されている。
図4(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が設けられ、他方の面(発光素子が並べられている側とは反対側の面)には長尺のFFCコネクタ504が設けられている。FFCコネクタ504は、その長手方向が基板502の長手方向に沿うように基板502の下側の面に取り付けられている。基板502には各LEDチップ639に信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ504には、ケーブルの一例としてのフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCとも称する)160の一端が抜き差し可能に接続される。
【0033】
画像形成装置1本体には、制御部とコネクタとを備える制御基板(不図示)が設けられている。FFC160の他端は、この制御基板が備えるコネクタに接続されている。すなわち、FFC160は画像形成装置1本体の制御基板(制御部)と光プリントヘッド105の基板502とを電気的に接続している。基板502には、画像形成装置1本体の制御部からFFC160およびコネクタ504を介して制御信号(駆動信号)が入力される。LEDチップ639は、基板502に入力された制御信号によって駆動される。
【0034】
基板502に実装されたLEDチップ639について説明する。
図4(b)および
図4(c)に示すように、基板502の一方の面には複数のLED503(発光素子の一例)が配置された複数のLEDチップ639-1~639-29(29個)が配列されている。各LEDチップ639-1~639-29はそれぞれ、その長手方向に516個のLED503が一列に配列されている。LEDチップ639の長手方向において、隣り合うLED503の中心間距離k2は画像形成装置1の解像度に対応している。
【0035】
LEDチップ639-1から639-29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、
図4(b)に示すように、左側から数えて奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29が基板502の長手方向に一列に実装され、偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28が基板502の長手方向に一列に実装されている。LEDチップ639をこのように配置することで、
図4(c)に示すように、LEDチップ639の長手方向において、隣り合う異なるLEDチップ639における一方のLEDチップ639の一端と他方のLEDチップ639の他端とに配置されたLEDの中心間距離k1を一つのLEDチップ639上における隣り合うLED503の中心間距離k2と等しくすることができる。
【0036】
なお、本実施例において発光素子(露光光源)は発光ダイオードである半導体LEDであるが、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)でも構わない。このOLEDは、有機EL(Organic Electro-Luminescence)とも呼ばれており、電流駆動型の発光素子である。OLEDは例えばTFT(Thin Film Transister)基板上で主走査方向(感光ドラム2の軸線方向)に沿ってライン上に配置され、同じく主走査方向に沿って設けられた電源配線によって電気的に並列に接続される。
【0037】
次にレンズ集合体であるレンズアレイ506について説明する。
図4(d)はレンズアレイ506を感光ドラム103側から見た時の概略図である。また、
図4(e)はレンズアレイ506の概略斜視図である。
図4(d)に示すように、レンズアレイ506は、発光素子から出射された光を感光ドラム103に集光する。レンズアレイ506は、複数のレンズを有するレンズ集合体である。これらの複数のレンズは、複数のLED503の配列方向に沿って二列に並べられている。各レンズは、一方の列のレンズの配列方向において隣り合うレンズの両方に接するように他方の列のレンズの一つが配置されるよう交互に配置されている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズである。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
【0038】
図4(e)に示す点線Zはレンズの光軸を示す。光プリントヘッド105は不図示の移動機構によって点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向(以下、光軸方向とも称する)に移動可能である。ここで言うレンズの光軸とは、レンズの光出射面の中心と当該レンズの焦点とを結ぶ線を意味する。レンズアレイ506は複数のレンズを有するレンズ集合体であり、前述した「光軸」はこれら複数のレンズのうちの任意のレンズの光軸である。ここで、厳密にはレンズアレイ506が有する複数のレンズはそれぞれ互いに若干傾いていることがある。これは組み立て時の公差によるものである。しかしながら、ここで言う公差程度のずれは光軸の方向を定義する場合には考慮しないこととする。よって、複数のレンズそれぞれの光軸はいずれも同じ方向であると考える。レンズアレイ506はLED503から出射された光を感光ドラム103の表面に集光する役割をもつ。すなわち、LED503から出射された放射光はレンズアレイ506が備えるレンズに入射する。レンズは入射した放射光を感光ドラム103の表面上に集光させる機能を有する。
【0039】
レンズアレイ506は、光プリントヘッド105の組み立て時に、レンズ取付部701(
図3参照)に対する取付位置が調整される。具体的には、レンズアレイ506は、LED503の発光面とレンズの光入射面との距離と、レンズの光出射面と感光ドラム103の表面との距離とが略等しくなるように、レンズ取付部701(
図3参照)に対する取付位置が調整される。
【0040】
(基板の接点)
次に基板502の構成について、
図1(a)、
図1(b)、
図1(c)、
図5、
図6、
図7を用いてさらに詳しく説明する。
【0041】
図1(a)は、基板502をコネクタ504側から見た図である。
図1(b)は、基板502をLEDチップ639側から見た図である。
図1(c)は、基板502を厚み方向から見た図である。
図7は、基板502のコネクタ504とチェックパッド601の部分を拡大して表した図である。
【0042】
基板502は、
図1(a)~
図1(c)に示すように、感光ドラム103の軸線方向に延伸した長手形状をなす。
【0043】
基板502は、
図1(a)に示すように、LEDチップ639の発光を制御するIC600を備える。IC600は、基板502のLEDチップ639が実装された面とは反対側の面に実装されている。IC600は、LEDチップ639に電気的に接続されている。
【0044】
前述したように、基板502にはLEDチップ639に信号を供給するための配線(不図示)が設けられている。この基板502が有する配線のうち、IC600には、各LEDチップ639の発光を制御する制御信号を供給する複数の配線(不図示)が接続されている。IC600に接続された前記複数の配線は各LEDチップ639に接続されている。このようにIC600は、基板502が有する配線によってLEDチップ639に電気的に接続されている。
【0045】
基板502は、
図1(a)、
図1(c)に示すように、FFC160が抜き差し可能に接続されるFFCコネクタ504を備える。FFCコネクタ504は、基板502のLEDチップ639が実装された面とは反対側の面に実装されている。FFCコネクタ504は、LEDチップ639に電気的に接続されている。
【0046】
FFCコネクタ504には、前述した基板502が有する配線のうち、LEDチップ639の発光を制御する制御信号を供給する配線(不図示)が接続されている。このFFCコネクタ504に接続された、制御信号を供給する配線は、前記IC600に接続されている。すなわち、FFCコネクタ504は、前記IC600を介してLEDチップ639に電気的に接続されている。
【0047】
またFFCコネクタ504には、前述した基板502が有する配線のうち、LEDチップ639の発光を制御する電源を供給する配線(不図示)が接続されている。このFFCコネクタ504に接続された、電源を供給する配線は、各LEDチップ639に並列に接続されている。このFFCコネクタ504に接続された、電源を供給する配線は、IC600を介することなく、LEDチップ639に直接接続されている。
【0048】
さらに基板502は、
図1(a)に示すように、前記FFCコネクタ504とは別に、接点としてのチェックパッド601を備える。チェックパッド601は、複数設けられている。チェックパッド601は、基板502のLEDチップ639が実装された面とは反対側の面に設けられている。チェックパッド601は、基板502に設けられた銅箔部分であり、後述する調整用の工具に接続された接触端子としてのコンタクトプローブ(不図示)が、接離可能に接触される接点である。チェックパッド601には、接離可能に接触された接触端子としてのコンタクトプローブ(不図示)を通してLEDチップ639の発光を制御する信号が入力される。
【0049】
複数のチェックパッド601は、LEDチップ639に電気的に接続されている。
図7に示すように、複数のチェックパッド601は、それぞれ基板502が有する配線603によってFFCコネクタ504に電気的に接続されている。このチェックパッド601とFFCコネクタ504とを接続する複数の配線603は、LEDチップ639の発光を制御する制御信号を供給する配線と、LEDチップ639の発光を制御する電源を供給する配線と、を含む。
【0050】
言い換えれば、複数のチェックパッド601は、FFCコネクタ504に接続された、LEDチップ639の発光を制御する制御信号を供給する配線に接続された接点を含む。また複数のチェックパッド601は、FFCコネクタ504に接続された、LEDチップ639の発光を制御する電源を供給する配線に接続された接点を含む。
【0051】
またFFCコネクタ504は、前述したように、制御信号を供給する配線によってIC600に電気的に接続され、電源を供給する配線によってLEDチップ639に電気的に接続されている。さらにIC600は、制御信号を供給する配線によってLEDチップ639に電気的に接続されている。このようにして、チェックパッド601は、基板502が有する配線によってFFCコネクタ504を介してLEDチップに電気的に接続されている。
【0052】
基板502は、
図1(b)、
図1(c)に示すように、複数のLED503が配列された複数のLEDチップ639を備えており、LEDチップ639は、基板502の一方の面に実装されている。
【0053】
チェックパッド601は、
図1(a)に示すように、基板502の長手方向の一方の端部に配置されている。
【0054】
このチェックパッド601は、
図1(b)に示すように、基板502の表裏面において基板502のLEDチップ639が実装された領域に重ならない位置(オーバーラップしない位置)に配置されている。言い換えれば、チェックパッド601は、基板502の長手方向において基板502のLEDチップ639が実装された領域の外側に配置されている。
【0055】
このときチェックパッド601は、基板502の長手方向において、基板502のLEDチップ639が実装された領域との間の間隔L3よりも、基板502のチェックパッド601を設けた側の端部との間の間隔L1が狭い位置に配置されている(L3>L1)。
【0056】
またFFCコネクタ504は、
図1(a)に示すように、基板502の長手方向において中央よりも一端側に偏って配置されている。チェックパッド601は、基板502の長手方向において前記FFCコネクタ504よりも端部側に配置されている。
【0057】
具体的には、チェックパッド601は、基板502の長手方向において、FFCコネクタ504との間の間隔L2よりも、基板502のチェックパッド601を設けた側の端部との間の間隔L1が狭い位置に配置されている(L2>L1)。
【0058】
なお、
図1(a)に示す基板502は、FFCコネクタ504がIC600よりも基板502の長手方向の端部側に配置された構成であるため、チェックパッド601は、基板502の長手方向においてIC600よりも端部側に配置されているとも言える。
【0059】
(基板の位置や光量の調整)
基板502は、画像形成装置1に光プリントヘッド105を組み付ける前に、基板502と工具(不図示)とを電気的に接続して、基板502の位置や光量等を調整している。基板502に設けたチェックパッド601は、この基板502の位置や光量等を調整する際に使用される。
【0060】
本実施例に係る基板502は、前述したように、チェックパッド601を、基板502の長手方向において一方の端部に配置している。またチェックパッド601を、基板502の表裏面において基板502のLEDチップ639が実装された領域に重ならない位置(オーバーラップしない位置)に配置している。
【0061】
ここで比較例を用いて、本実施例について説明する。
図5(a)、
図5(b)は比較例の基板を示す図である。
図6(a)、
図6(b)は本実施例の基板を示す図である。
【0062】
図5(a)、
図5(b)に示す比較例の基板は、チェックパッド601を、基板502の長手方向においてほぼ中央に配置している。またチェックパッド601を、基板502の表裏面において基板502のLEDチップ639が実装された領域に重なる位置(オーバーラップする位置)に配置している。
【0063】
前述の調整の際には、まず基板502の長手方向の複数個所を吸引パッド602で吸引して、光プリントヘッド105の組み立て時の基板502の反りや撓みを矯正している。そして、基板502に設けたチェックパッド601に、工具に電気的に接続されたコンタクトプローブ(不図示)を接触させる。そして、コンタクトプローブを通して基板502にLEDチップの発光を制御する信号を入力して、基板502のLEDチップ639を発光させた状態で、基板502の位置を調整する。そして、位置が決まったところで、基板502を保持体505に接着固定する。
【0064】
図示していないが、例えばコンタクトプローブは、チェックパッド601の数と同じ数のプローブが、チェックパッド601の位置に合わせて支持部材に固定されたものを用いる。各プローブは、チェックパッドに接触する接触棒(プランジャー)が、中空の筒状部材(バレル、パイプ)にスライド移動可能に支持されており、筒状部材の中に設けられた付勢部材(バネ)によって移動方向に付勢されている。この構成により、位置調整のために基板502を移動させても、プローブの接触棒が基板502の移動に追従してストロークすることで、プローブとチェックパッド601とが離間することなく、その接触状態が維持される。
【0065】
この接触状態を維持するために、基板502に対してプローブの押圧力Fが作用する。比較例では、
図5(a)に示すようにチェックパッド601は基板502の長手方向の中央部に配置している。そのため、プローブの押圧力Fが、チェックパッド601を配置した基板502の長手方向の中央部に発生することになり、基板502は長手全域においてプローブの押圧力の影響を受けることになる。これに対して、本実施例では、
図6(a)に示すようにチェックパッド601は基板502の長手方向の一方の端部に配置している。そのため、プローブの押圧力Fが、チェックパッド601を配置した基板502の長手方向の端部に発生することになり、比較例に比べてプローブの押圧力の影響を受けにくくなる。これにより、本実施例によれば、基板502に押圧力Fが掛かることに起因する基板502のLEDチップ639が実装された部分の撓みの影響を抑えることができる。
【0066】
さらに、比較例では、チェックパッド601が、基板502のLEDチップ639の実装領域内に配置されているのに対し、本実施例では、基板502のLEDチップ639の実装領域外に配置されている。そのため、基板502に押圧力Fが掛かることに起因する基板502のLEDチップ639が実装された部分の撓みの影響を最小限に抑えることができる。
【0067】
前述の調整の際に、チェックパッド601ではなく、FFC160を使用することも可能である。しかし、調整の際にFFC160を使用する場合、FFC160をFFCコネクタ504に差し込んだり、FFCコネクタ504から引き抜いたりする作業が発生する。LEDチップ639が実装された基板502は長尺であるため、FFC160の抜き差し時に基板502に掛かる力によって、基板502のLEDチップ639が実装された部分に撓みが生じてしまう可能性がある。特に基板502の表裏面においてLEDチップ639の実装領域にFFCコネクタ504が重なっていると、基板502のLEDチップ639の実装領域に過度な力が掛かり、基板のLEDアレイが実装された部分に、より大きな撓みが生じてしまう可能性がある。
【0068】
本実施例に係る基板502は、FFCコネクタ504とは別にチェックパッド601を設けている。基板502に作用するコンタクトプローブ(不図示)の押圧力は、基板の位置調整の際に接触状態を維持する範囲であるため、FFC160を保持する力を有するFFCコネクタ504に対してFFC160の抜き差しする力に比べて非常に小さい。すなわち、基板502に作用するコンタクトプローブ(不図示)の押圧力は、FFCコネクタ504の抜き差し時に基板502に掛かる力に比べて非常に小さい。しかも、本実施例のように、チェックパッド601からコンタクトプローブ(不図示)を離間させる構成では、FFC160を引き抜く時に基板502に掛かる力は、生じない。そのため、基板に過度な力が掛かることに起因する基板のLEDチップが実装された部分の撓みの影響を最小限に抑えることができる。
【0069】
なお前述した実施例では、チェックパッド601を、基板502の長手方向の一方の端部に配置した構成を例示したが、これに限定されるものではない。チェックパッド601を、基板の長手方向の両側の端部に配置した構成としても良い。
【0070】
また前述した実施例では、ケーブルが抜き差し可能に接続されるFFCコネクタ504を備えた構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、前述したチェックパッド601を、コネクタ504の代替として設けた構成としても良い。この場合も、チェックパッド601は、基板502のLEDチップ 639の実装領域に重ならない位置に配置される構成であれば良い。
【0071】
また前述した実施例では、チェックパッドは、コネクタを介して発光素子に電気的に接続される構成を例示したが、これに限定されるものではない。チェックパッドは、発光素子に電気的に接続される構成であれば他の構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0072】
1 …画像形成装置
102 …画像形成部
103 …感光ドラム(感光体)
105 …光プリントヘッド(露光ヘッド、露光装置)
160 …FFC(フレキシブルフラットケーブル)
500 …露光ユニット
502 …基板
503 …LED(発光素子)
504 …FFCコネクタ
505 …保持体
506 …レンズアレイ
600 …IC
601 …チェックパッド(接点)
602 …吸引パッド
603 …配線
639 …LEDチップ