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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017858
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置、及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20240201BHJP
   B23B 15/00 20060101ALI20240201BHJP
   B23B 13/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B23Q7/04 R
B23B15/00 N
B23B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120778
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮川 直巳
(72)【発明者】
【氏名】泉 和之
(72)【発明者】
【氏名】日沖 高弘
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 陽一
【テーマコード(参考)】
3C033
3C045
【Fターム(参考)】
3C033BB06
3C033HH14
3C033HH22
3C045FA06
3C045FC18
(57)【要約】
【課題】小型化が可能なワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送装置1は、第1方向に延伸する基台部2と、第1方向に直交する第2方向に基台部2から起立して配置される収容部3と、収容部3に収容される収容位置に配置されるスライド部4と、スライド部4を収容位置から移動するスライド部移動機構8と、スライド部4を第2方向に案内するリニアガイド部7と、スライド部4の基台部2と反対側の端部の近傍において、スライド部4の第1面41に配置され、ワークWを把持するワーク把持部6とを有し、ワーク把持部6の基台部2側の端部と基台部2との間の離隔距離は、スライド部4の基台部2と反対側の端部と基台部2との間の離隔距離よりも短い。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する基台部と、
前記第1方向に直交する第2方向に前記基台部から起立して配置される収容部と、
前記収容部に収容される収容位置に配置されるスライド部と、
前記スライド部を前記収容位置から移動するスライド部移動機構と、
前記スライド部を前記第2方向に案内するリニアガイド部と、
前記スライド部の前記基台部と反対側の端部の近傍において、前記スライド部の第1面に配置され、ワークを把持するワーク把持部と、を有し、
前記ワーク把持部の前記基台部側の端部と前記基台部との間の離隔距離は、前記スライド部の前記基台部と反対側の端部と前記基台部との間の離隔距離よりも短い、
ことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記スライド部は、前記基台部と反対の端部に切欠きが形成され、
前記ワーク把持部に把持されたワークの少なくとも一部は、前記スライド部に形成される切欠きの内部に配置される、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記リニアガイド部は、
前記スライド部の前記第2方向に延伸する一対の辺の一方に沿って配置される第1リニアガイドと、
前記スライド部の前記第2方向に延伸する一対の辺の他方に沿って配置される第2リニアガイドと、
を有する、請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記第1リニアガイドは、前記スライド部の前記第1面と反対の第2面に配置され、前記第2方向に延伸する第1レール、及び前記収容部に配置され、前記第1レールを保持する第1保持器を有し、
前記第2リニアガイドは、前記スライド部の前記第2面に配置され、前記第2方向に延伸する第2レール、及び前記収容部に配置され、前記第2レールを保持する第2保持器を有する、請求項3に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記第1レール及び前記第2レールは、前記スライド部に形成される切欠きを挟むように配置される、請求項4に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記収容部は、前記基台部と反対の端部に切欠きが形成され、
前記第1保持器及び前記第2保持器は、前記収容部に形成される切欠きを挟むように配置される、請求項4に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記ワーク把持部の外端は、前記第1方向から正面視されたときに、前記第1レールと前記第2レールに近接して視認される位置に配置される、請求項5に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記スライド部移動機構は、前記スライド部の前記第2方向に延伸する一対の辺の一方に沿って前記第1面に配置されるラックギア、及び前記ラックギアと螺合するピニオンを有する、請求項4に記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
前記ワーク把持部の前記基台部と反対側の端部と前記基台部との間の離隔距離は、前記スライド部の前記基台部と反対側の端部と前記基台部との間の離隔距離と等しい、又はスライド部の前記基台部と反対側の端部と前記基台部との間の離隔距離よりも短い、請求項1~8の何れか一項に記載のワーク搬送装置。
【請求項10】
ワークを回転可能に保持する主軸と、
前記主軸に保持されたワークを加工する工具を保持する刃物台と、
前記主軸に保持されたワークを搬送するワーク搬送装置と、を有し、
前記ワーク搬送装置は、
第1方向に延伸する基台部と、
前記第1方向に直交する第2方向に前記基台部から起立して配置される収容部と、
前記収容部に収容される収容位置に配置されるスライド部と、
前記スライド部を前記収容位置から移動するスライド部移動機構と、
前記スライド部を前記第2方向に案内するリニアガイド部と、
前記スライド部の前記基台部と反対側の端部の近傍において、前記スライド部の第1面に配置され、ワークを把持するワーク把持部と、を有し、
前記ワーク把持部の前記基台部側の端部と前記基台部との間の離隔距離は、前記スライド部の前記基台部と反対側の端部と前記基台部との間の離隔距離よりも短い、
ことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置、及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
支持フレームに配置されるラックに螺合するピニオンを回転することで、一対のガイドアームの先端に接続される板部材の下面に接続され、ワークを把持するチャックハンドをラックの延伸方向に移動させる機構が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載される機構を使用して、支持フレームの高さを一対のガイドアームの高さと略同一とすることで、鉛直方向のスペースに制限がある場所においてもワーク搬送装置が配置可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57-163762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、特許文献1に記載される機構を使用することで、工作機械及び搬送装置を含むシステムの製造コストが低減されると共に工作機械及び搬送装置を含むシステムのスペースを小さくすることができる。しかしながら、工作機械において、ワーク搬送装置の更なる小型化が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、小型化が可能なワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワーク搬送装置は、第1方向に延伸する基台部と、第1方向に直交する第2方向に基台部から起立して配置される収容部と、収容部に収容される収容位置に配置されるスライド部と、スライド部を収容位置から移動するスライド部移動機構と、スライド部を第2方向に案内するリニアガイド部と、スライド部の基台部と反対側の端部の近傍において、スライド部の第1面に配置され、ワークを把持するワーク把持部とを有し、ワーク把持部の基台部側の端部と基台部との間の離隔距離は、スライド部の基台部と反対側の端部と基台部との間の離隔距離よりも短い。
【0007】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置ではスライド部は、基台部と反対の端部に切欠きが形成され、ワーク把持部に把持されたワークの少なくとも一部は、スライド部に形成される切欠きの内部に配置されることが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、リニアガイド部は、スライド部の第2方向に延伸する一対の辺の一方に沿って配置される第1リニアガイドと、スライド部の第2方向に延伸する一対の辺の他方に沿って配置される第2リニアガイドとを有することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、第1リニアガイドは、スライド部の第1面と反対の第2面に配置され、第2方向に延伸する第1レール、及び収容部に配置され、第1レールを保持する第1保持器を有し、第2リニアガイドは、スライド部の第2面に配置され、第2方向に延伸する第2レール、及び収容部に配置され、第2レールを保持する第2保持器を有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、第1レール及び第2レールは、スライド部に形成される切欠きを挟むように配置されることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、収容部は、基台部と反対の端部に切欠きが形成され、第1保持器及び第2保持器は、収容部に形成される切欠きを挟むように配置されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、ワーク把持部の外端は、第1方向から正面視されたときに、第1レールと第2レールに近接して配置されるように視認されることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、スライド部移動機構は、スライド部の第2方向に延伸する一対の辺の一方に沿って第1面に配置されるラックギア、及びラックギアと螺合するピニオンを有することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係るワーク搬送装置では、ワーク把持部の基台部と反対側の端部と基台部との間の離隔距離は、スライド部の基台部と反対側の端部と基台部との間の離隔距離と等しい、又はスライド部の基台部と反対側の端部と基台部との間の離隔距離よりも短いことが好ましい。
【0015】
本発明の一側面に係る工作機械は、ワークを回転可能に保持する主軸と、主軸に保持されたワークを加工する工具を保持する刃物台と、主軸に保持されたワークを搬送するワーク搬送装置と、を有し、ワーク搬送装置は、第1方向に延伸する基台部と、第1方向に直交する第2方向に基台部から起立して配置される収容部と、収容部に収容される収容位置に配置されるスライド部と、スライド部を収容位置から移動するスライド部移動機構と、スライド部を第2方向に案内するリニアガイド部と、スライド部の基台部と反対側の端部の近傍において、スライド部の第1面に配置され、ワークを把持するワーク把持部とを有し、ワーク把持部の基台部側の端部と基台部との間の離隔距離は、スライド部の基台部と反対側の端部と基台部との間の離隔距離よりも短い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワーク搬送装置は小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る工作機械の斜視図である。
図2】筐体が取り外された図1に示す工作機械の斜視図である。
図3図1に示す工作機械によるワーク加工処理を示す図であり、(a)は第1状態を示し、(b)は第2状態を示し、(c)は第3状態を示し、(d)は第4状態を示し、(e)は第5状態を示し、(f)は第6状態を示す。(g)は第7状態を示し、(h)は第8状態を示し、(i)は第9状態を示す。
図4図2に示すワーク搬送装置の斜視図(その1)である。
図5図2に示すはワーク搬送装置1の斜視図(その2)である。
図6図2に示すワーク搬送装置の要部の部分斜視図である。
図7図2に示す(a)はワーク搬送装置1要部の正面図であり、(b)は図2に示すワーク搬送装置の要部の背面図である。
図8】(a)は図4に示す収容部の斜視図(その1)であり、(b)は図4に示す収容部の斜視図(その2)である。
図9】(a)は図4に示す収容部、スライド部、把持基部、ワーク把持部、リニアガイド部及びスライド部移動機構の斜視図(その1)であり、(b)は図4に示す収容部、スライド部、把持基部、ワーク把持部、リニアガイド部及びスライド部移動機構の斜視図(その2)である。
図10】(a)は図4に示す把持基部の斜視図であり、(b)はカバーが外された図4に示す把持基部の斜視図である。
図11】(a)は図2に示すワーク搬送装置の正面図であり、(b)は図2に示すワーク搬送装置の背面図である。
図12】水平ステッピングモータを外した図2に示すワーク搬送装置の部分斜視図である。
図13】(a)は収容位置においてワークWを把持した図2に示すワーク搬送装置の正面図であり、(b)は収容位置においてワークWを把持した図2に示すワーク搬送装置の背面図である。
図14】(a)は把持位置においてワークWを把持した図2に示すワーク搬送装置の正面図であり、(b)は把持位置においてワークWを把持した図2に示すワーク搬送装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るワーク搬送装置、及び工作機械について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
図1は実施形態に係る工作機械の斜視図であり、図2は筐体が取り外された図1に示す工作機械の斜視図である。
【0020】
工作機械100は、傾斜するように配置されるベッド101と、正面主軸102と、背面主軸103と、タレット刃物台104と、筐体105と、NC装置110と、ワーク搬送装置1とを有するスラントタイプの工作機械である。ベッド101には、正面主軸102、背面主軸103及びタレット刃物台104が搭載され、筐体105に収容される。正面主軸102は、ワークを把持可能な部材であり、ベッド101に固定される。背面主軸103は、正面主軸102に把持されたワークを把持可能な部材であり、X軸方向及びY軸方向に沿って移動する移動機構106上に設置されることによってX軸方向及びY軸方向の2方向に移動可能である。タレット刃物台104は、種々の工具を保持し、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動する移動機構107上に設置されることによってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3方向に移動可能である。正面主軸102及び背面主軸103の回転並びに背面主軸103及びタレット刃物台104の移動等は、NC装置110によって制御される。
【0021】
図3は工作機械100によるワーク加工処理を示す図であり、図3(a)は第1状態を示し、図3(b)は第2状態を示し、図3(c)は第3状態を示し、図3(d)は第4状態を示し、図3(e)は第5状態を示し、図3(f)は第6状態を示す。
【0022】
まず、第1状態において、正面主軸102は、ワークWを保持する。次いで、第2状態において、正面主軸102がワークWを回転すると共に、工具108をタレット刃物台104が移動することで、タレット刃物台104に保持される工具108によってワークWが加工される。工具108によるワークWの加工が終了すると、背面主軸103は、正面主軸102に近接する位置に移動して、工具108によって加工されたワークWを把持する。次いで、第3状態において、背面主軸103がワークWを回転すると共に、工具109をタレット刃物台104が移動することで、タレット刃物台104に保持される工具109によってワークWが加工される。背面主軸103で保持されたワークの加工が完了した後、第4状態において、ワーク搬送装置1は、背面主軸103に保持されるワークWを把持する。次いで、第5状態において、ワーク搬送装置1は、把持したワークWを持ち上げて、矢印で示されるように水平方向に移動する。そして、第6状態において、ワーク搬送装置1は、把持したワークWを工作機械100の外に搬出すると共に、次のワークWの加工が開始される。
【0023】
図4はワーク搬送装置1の斜視図(その1)であり、図5はワーク搬送装置1の斜視図(その2)である。
【0024】
ワーク搬送装置1は、基台部2と、収容部3と、スライド部4と、把持基部5と、ワーク把持部6と、リニアガイド部7と、スライド部移動機構8とを有し、背面主軸103に保持されたワークWを搬出する。なお、工作機械100では、ワーク搬送装置1は、背面主軸103に保持されたワークWを搬出するが、実施形態に係る工作機械では、ワーク搬送装置1は、工作機械の内部にワークWを搬入してもよく、工作機械の内部でワークWを搬送してもよい。
【0025】
図6はワーク搬送装置1の要部の部分斜視図であり、図7(a)はワーク搬送装置1の要部の正面図であり、図7(b)はワーク搬送装置1の要部の背面図である。
【0026】
基台部2は、基台平板20と、レール21と、水平駆動装置22と、給電機構23と、基台接続材24とを有し、筐体105の天井近傍に配置され、工作機械100の内部に配置される。基台部2は、第1方向とも称される工作機械100の長手方向に延伸するように配置される。基台平板20は、平板状の部材であり、上面に基台接続材24が配置され、下面にレール21、水平駆動装置22が配置され、長辺が第1方向に延伸するように配置される。レール21は、基台平板20の長辺よりも長い棒状の部材であり、基台平板20の長辺に平行に延伸するように配置される。水平駆動装置22は、水平ステッピングモータ25、ラックアンドピニオン26を有し、収容部3、スライド部4、把持基部5、ワーク把持部6、リニアガイド部7及びスライド部移動機構8を、レール21に沿って第1方向に移動する。給電機構23は、NC装置110から出力される制御信号に応じた電流を水平ステッピングモータ25及び収容部3が有する鉛直ステッピングモータ35に供給する。基台接続材24は、筐体105の天井近傍で筐体105に固定される。水平ステッピングモータ25は、給電機構23を介して電流が供給されることに応じて水平駆動装置22に動力を供給する。ラックアンドピニオン26は、水平ステッピングモータ25の軸が回転することに応じて、スライド部4、把持基部5、ワーク把持部6、リニアガイド部7及びスライド部移動機構8を第1方向に移動する。
【0027】
図8(a)は収容部3の斜視図(その1)であり、図8(b)は収容部3の斜視図(その2)である。
【0028】
収容部3は、第1基台31と、第2基台32と、正面板材33と、背面板材34と、鉛直ステッピングモータ35とを有し、基台部2が延伸する第1方向に直交する第2方向に基台部2から起立して配置され、スライド部4を収容位置に収容する。第1基台31は、基部36,第1腕部37及び第2腕部38を有するコの字型の部材であり、スライド部4を収容する収容位置を形成する。基部36は、平板状の形状を有し、水平駆動装置22に接続される。第1腕部37は、基部36の一対の長辺の一方の一端から基部36の延伸方向から直交方向に直立する平板である。第2腕部38は、基部36の一対の長辺の他方の一端から、第1腕部37に対向するように直立する平板である。第2基台32は、正面板材33を介して,第1腕部37及び第2腕部38の先端に接続される。正面板材33は、第1腕部37及び第2腕部38に接続される。
【0029】
背面板材34は、正面板材33に対向するように第1腕部37及び第2腕部38の先端に接続される平板状の部材である。背面板材34は、基台部2と反対の端部に第1切欠き39が形成される。鉛直ステッピングモータ35は、給電機構23を介して電流が供給されることに応じてスライド部移動機構8に動力を供給する。
【0030】
図9(a)は、収容部3、スライド部4、把持基部5、ワーク把持部6、リニアガイド部7及びスライド部移動機構8の斜視図(その1)である。図9(b)は、収容部3、スライド部4、把持基部5、ワーク把持部6、リニアガイド部7及びスライド部移動機構8の斜視図(その2)である。
【0031】
スライド部4は、第2切欠き40が基台部2と反対の端部に形成された板状の部材であり、収容部3に収容される収容位置とワークを把持する把持位置との間で第2方向に移動可能なように、リニアガイド部7を介して収容部3に保持される。スライド部4の第1面41には把持基部5、ワーク把持部6及びスライド部移動機構8が配置され、スライド部4の第1面41の反対の第2面42にはリニアガイド部7が配置される。
【0032】
図10(a)は把持基部5の斜視図であり、図10(b)はカバーが外された把持基部5の斜視図である。
【0033】
把持基部5は、把持駆動部50と、第1把持部支持板51と、第2把持部支持板52と、第1切削油噴射部53と、第2切削油噴射部54と、カバー55とを有し、ワーク把持部6をスライド部4の短手方向に移動可能に支持する。把持駆動部50は、圧縮空気が供給されることに応じて、第1把持部支持板51及び第2把持部支持板52のそれぞれに支持されるワーク把持部6をスライド部4の短手方向に移動する。把持駆動部50は、ワーク把持部6がワークWを開放する開位置になるように圧縮空気が供給されると、第1把持部支持板51及び第2把持部支持板52を外側に移動させる。また、把持駆動部50は、ワーク把持部6がワークWを把持する閉位置になるように圧縮空気が供給されると、第1把持部支持板51及び第2把持部支持板52を内側に移動させる。
【0034】
第1把持部支持板51及び第2把持部支持板52は、板状の部材であり、把持駆動部50によって移動可能に保持されると共に、ワーク把持部6を支持する。第1切削油噴射部53及び第2切削油噴射部54は、ワーク把持部6に把持されるワークWが加工されるときにワークWに切削油を噴射する。カバー55は、把持駆動部50、第1把持部支持板51、第2把持部支持板52、第1切削油噴射部53及び第2切削油噴射部54を覆うように配置される。
【0035】
ワーク把持部6は、把持駆動部50の第1把持部支持板51及び第2把持部支持板52によって支持され、把持駆動部50が第1把持部支持板51及び第2把持部支持板52を移動することに応じて移動する。ワーク把持部6は、開位置ではワークWを開放し、閉位置ではワークWを把持する。把持基部5及びワーク把持部6は、エアチャックとも称される。
【0036】
図11(a)はワーク搬送装置1の正面図であり、図11(b)はワーク搬送装置1の背面図である。
【0037】
ワーク把持部6の基台部2側の端部と基台部2との間の離隔距離である第1離隔距離L1は、スライド部4の基台部2と反対側の端部と基台部2との間の離隔距離である第2離隔L2よりも短い。また、ワーク把持部6の基台部2と反対側の端部と基台部2との間の離隔距離である第3距離L3は、スライド部4の基台部2と反対側の端部と基台部2との間の離隔距離である第2離隔L2よりも短い。第3距離L3が第2離隔L2よりも短いので、ワーク把持部6は、ワーク搬送装置を正面視したときに、スライド部4の第2切欠き40に重畳するように配置される。
【0038】
第1離隔距離L1、第2離隔距離L2及び第2離隔距離L3は、基台部2の所望の基準位置とスライド部4及びワーク把持部6との間の第2方向の離隔距離である。例えば、第1離隔距離L1、第2離隔距離L2及び第2離隔距離L3を規定するときの基台部2の基準位置は、基台平板20の下面としてもよく、基台平板20の上面としてもよい。
【0039】
図9に示すように、リニアガイド部7は、第1リニアガイド71と、第2リニアガイド72を有し、スライド部4を第2方向に案内する。第1リニアガイド71は、第1レール73と、第1保持器74とを有し、スライド部4の第2方向に延伸する一対の長辺の一方に沿って第2面42に配置される。第2リニアガイド72は、第2レール75と、第2保持器76とを有し、スライド部4の第2方向に延伸する一対の長辺の他方に沿って第2面42に配置される。第1レール73及び第2レール75は、スライド部4の長辺に沿って配置される。第1保持器74及び第2保持器76は、転がりガイドとも称される玉循環リニア軸受であり、背面板材34に配置される。
【0040】
図12は、鉛直ステッピングモータ35を外したワーク搬送装置1の部分斜視図である。
【0041】
スライド部移動機構8は、ラックギア81と、ピニオン82とを有する。ラックギア81は、スライド部4の第2方向に延伸する一対の長辺の一方に沿って第1面41に配置される。ピニオン82は、ラックギア81に螺合すると共に、鉛直ステッピングモータ35の軸に篏合する。ピニオン82は、鉛直ステッピングモータ35の軸が回転することに応じて回転し、螺合されるラックギア81を移動することで、スライド部4を第1方向に沿って移動する。
【0042】
図13(a)は収容位置においてワークWを把持したワーク搬送装置1の正面図であり、図13(b)は収容位置においてワークWを把持したワーク搬送装置1の背面図である。図14(a)は把持位置においてワークWを把持したワーク搬送装置1の正面図であり、図14(b)は把持位置においてワークWを把持したワーク搬送装置1の背面図である。
【0043】
収容位置及び把持位置の双方において、ワーク搬送装置1に把持されるワークWは、スライド部4に形成される第2切欠き40の内部に配置され、正面視したときに、第2切欠き40に重畳するように視認される。また、収容位置において、ワーク搬送装置1に把持されるワークWは、第2切欠き40に加えて背面板材34に形成される第1切欠き39の内部に配置され、正面視したときに、第1切欠き39及び第2切欠き40に重畳するように視認される。
【0044】
ワーク搬送装置1では、ワーク把持部6は、ワーク搬送装置1を正面視したときに、スライド部4の第2切欠き40に重畳するように配置されるので、スライド部4の基台部2と反対側の端部から突出することなく配置される。ワーク搬送装置1では、ワーク把持部6は、スライド部4の基台部2と反対側の端部から突出することなく配置されるので、ワーク把持部がスライド部4から突出する場合よりも第2方向の長さを短くなり、小型化が可能になる。ワーク搬送装置1は、第2方向の長さが短いので、工作機械100の内部の天井近傍に配置可能になる。
【0045】
また、ワーク搬送装置1では、ワークWは、収容位置において第1切欠き39及び第2切欠き40の内部に配置されるので、ワークWの下端はスライド部4の下端よりも上方に位置する。ワークWの下端がスライド部4の下端よりも上方に位置するので、スライド部4の下端から突出することなくワークWを第1方向に移動することができる。
【0046】
また、ワーク搬送装置1では、第1レール73及び第2レール75は、第2切欠き40を挟むように配置されるので、収容位置においてワークWを第2切欠き40の内部に配置しながら、収容部3の第2方向の長さを最小化できる。
【0047】
また、ワーク搬送装置1では、第1保持器74及び第2保持器76は、第1切欠き39を挟むように配置されるので、収容位置においてワークWを第1切欠き39の内部に配置しながら、第1レール73及び第2レール75の長さを最大化できる。
【0048】
また、ワーク搬送装置1は、板状の部材であるスライド部4を有するので、スライド部を有さないワーク搬送装置よりも剛性を高くすることができる。
【0049】
また、ワーク搬送装置1では、第1リニアガイド71の第1レール73及び第2リニアガイド72の第2レール75は、スライド部4の長辺に沿って第2方向に延伸するように配置されるので、ワーク搬送装置1の剛性を更に高くすることができる。また、第1レール73及び第2レール75をスライド部4の長辺に沿って配置することで、スライド部4を高精度に第2方向に案内することができる。
【0050】
また、ワーク搬送装置1では、ワーク把持部6は、第1方向から正面視されたときに、第1レール73と第2レール75に近接して視認される位置に配置されるので、ワーク搬送装置1の幅を最小限とすることができる。
【0051】
また、ワーク搬送装置1では、リニアガイド部7は把持基部5及びワーク把持部6が配置されるスライド部4の第1面41と反対の第2面42に配置され、スライド部移動機構8は把持基部5及びワーク把持部6が配置されるスライド部4の第1面41に配置される。ワーク搬送装置1は、リニアガイド部7及びスライド部移動機構8の配置を最適化することで、小型化することができる。
【0052】
ワーク搬送装置1では、ワーク把持部6の基台部2と反対側の端部と基台部2との間の離隔距離である第3距離L3は、スライド部4の基台部2と反対側の端部と基台部2との間の離隔距離である第2離隔L2よりも短い。しかしながら、実施形態に係るワーク搬送装置では、第3距離L3は、第2離隔L2と等しくてもよく、第2離隔L2よりも長くてもよい。
【0053】
また、ワーク搬送装置1では、リニアガイド部7は、第1リニアガイド71と、第2リニアガイド72を有するが、実施形態に係るワーク搬送装置では、リニアガイド部は、単一のレール及び保持器を有してもよい。
【0054】
また、ワーク搬送装置1では、背面板材34は、第1切欠き39が形成されるが、実施形態に係るワーク搬送装置では、背面板材は切欠きが形成されなくもよい。背面板材に切欠きが形成されないとき、第1保持器74及び第2保持器76は、ワーク把持部6と、基台部2との間に配置される。
【0055】
また、工作機械100は、正面主軸102及び背面主軸103の2つの主軸を有するが、実施形態に係る工作機械は、単一の主軸を有してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 ワーク搬送装置
2 基台部
3 収容部
4 スライド部
5 把持基部
6 ワーク把持部
7 リニアガイド部
8 スライド部移動機構
100 工作機械
102 正面主軸(主軸)
103 背面主軸(主軸)
104 タレット刃物台
105 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図14