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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178582
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096824
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重松 良輔
(72)【発明者】
【氏名】中川 才
(72)【発明者】
【氏名】中田 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】尹 辰五
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA12
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD12
5H730DD16
5H730EE13
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD21
5H730FD41
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】電力変換装置において、電力変換装置内の電圧情報とは別の外部の電圧情報を用いずに、電力変換装置内の電圧センサ値のみを用いて、異常が発生した電圧センサの特定を行う電力変換装置を提供する。
【解決手段】低電圧側コンデンサの電圧を検出する第1電圧センサと高電圧側コンデンサの電圧を検出する第2電圧センサ及び第3電圧センサを備え、第2電圧センサによる電圧値及び第3電圧センサによる電圧値を比較して第2電圧センサ及び第3電圧センサの異常の有無を判定し、第2センサ電圧による電圧値から推定した第1電圧センサ推定値と第1電圧センサによる電圧値とを比較することで、第1電圧センサ及び第2電圧センサの異常の有無を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電圧を異なる値の第2の直流電圧に変換する電圧変換回路と、少なくとも2つのコンデンサと、前記電圧変換回路の電圧変換幅を制御する制御装置と、を備えた電力変換装置であって、
前記第1の直流電圧に並列に接続された第1コンデンサと、
前記第2の直流電圧に並列に接続された第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの電圧を検出する第1の電圧センサと、
前記第2コンデンサの電圧を検出する第2の電圧センサと、を有するとともに、
第3コンデンサが前記電圧変換回路にある場合は前記第3コンデンサの電圧を検出し、前記第3コンデンサがない場合は前記第1コンデンサまたは前記第2コンデンサの電圧を検出する第3の電圧センサを有し、
前記制御装置は、
前記第1の電圧センサにより検出された第1電圧センサ値、前記第2の電圧センサにより検出された第2電圧センサ値及び前記第3の電圧センサにより検出された第3電圧センサ値を用いて、前記電圧変換回路の電圧変換幅を制御するとともに、
前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値に予め設定された係数を乗算した値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行い、
前記第1判定処理において、
前記第1の差分が前記第1の閾値以上の場合、前記第1電圧センサ値と前記第2電圧センサ値とを一致させる直結制御を行い、前記第1電圧センサ値と前記第2電圧センサ値との差分である第2の差分を算出し、前記第2の差分が予め設定された第2の閾値以上か否かを判定する第2判定処理を行い、
前記第2判定処理において、
前記第2の差分が前記第2の閾値以上の場合前記第2の電圧センサが異常であると判定し、前記第2の差分が前記第2の閾値より小さい場合前記第3の電圧センサが異常であると判定し、
前記第1判定処理において、
前記第1の差分が前記第1の閾値より小さい場合、前記第1電圧センサ値と、前記第2電圧センサ値から算出した第1電圧センサ推定値と、の差分である第3の差分を算出し、前記第3の差分が予め設定された第3の閾値以上か否かを判定する第3判定処理を行い、
前記第3判定処理において、
前記第3の差分が前記第3の閾値以上の場合前記第1の電圧センサが異常であると判定し、
前記第3の差分が前記第3の閾値より小さい場合いずれの電圧センサも正常であると判定する、電力変換装置。
【請求項2】
前記電圧変換回路は、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有し、
前記第1の直流電圧の正極側に一端が接続されたリアクトルを備え、
前記第1の直流電圧の負極側に前記第1のスイッチング素子の一方の端子が接続され、
前記第1のスイッチング素子の他方の端子及び前記リアクトルの他端が前記第2のスイッチング素子の一方の端子に接続され、
前記第2のスイッチング素子の他方の端子は前記第2の直流電圧の正極側に接続されるとともに、
前記第3の電圧センサは前記第2コンデンサの電圧を検出するように配置されており、
前記制御装置は、
前記第1の差分を算出する係数を1として、前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行う、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電圧変換回路は、順次直列に接続された第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子、及び一端が前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点に接続され他端が前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との接続点に接続された中間コンデンサを有し、
前記第1の直流電圧の正極側に一端が接続されたリアクトルを備え、
前記第1の直流電圧の負極側に前記第1のスイッチング素子の一方の端子が接続され、
前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との接続点に前記リアクトルの他端が接続され、
前記第4のスイッチング素子の一方の端子と前記第2の直流電圧の正極側に接続されるとともに、
前記第3の電圧センサは前記中間コンデンサの電圧を検出するように配置されており、
前記制御装置は、
前記第1の差分を算出する係数を2として、前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値に2を乗じた値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行う、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値とともに前記電圧変換回路の電圧変換幅を用いて算出される、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記電圧変換回路の具備する前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子が同時にオンしないようにデッドタイムを設けて駆動し、
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値、前記電圧変換回路の電圧変換幅及び前記デッドタイムを用いて算出される、請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値とともに前記電圧変換回路の電圧変換幅を用いて算出される、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記電圧変換回路の具備する前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子が同時にオンしないようにデッドタイムを設けて駆動し、
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値、前記電圧変換回路の電圧変換幅及び前記デッドタイムを用いて算出される、請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1電圧センサ推定値は、さらに前記電圧変換回路のスイッチング遅延時間を用いて算出される、請求項4から7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第1電圧センサ推定値は、さらに前記電圧変換回路の電力変換効率を用いて算出される、請求項4から7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第1の直流電圧から前記第2の直流電圧への電圧変換動作と、
前記第2の直流電圧から前記第1の直流電圧への電圧変換動作と、が切り替え可能である、請求項1から7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記第1の直流電圧から前記第2の直流電圧への電圧変換動作と、前記第2の直流電圧から前記第1の直流電圧への電圧変換動作と、で前記第1電圧センサ推定値は異なる、請求項10に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動化車両においては、高効率を達成するために、低圧のバッテリから電力変換装置へ入力された電圧を昇圧してモータに電力を供給し(即ち、力行)、モータ側の電力をバッテリに戻す(即ち、回生)制御が必要である。そしてこの制御には、電力変換装置の入力電圧(以下、低圧側電圧)、電力変換装置の出力電圧(以下、高圧側電圧)をそれぞれ検知する必要がある。そのため、これらの電圧を検知する電圧センサに故障が発生すると、的確な電圧制御ができなくなってしまうため、電力変換装置の状態に関わらずにセンサの異常を監視する技術が重要になる。
【0003】
従来の電力変換装置の異常監視装置においては、電力変換装置に接続されたバッテリのバッテリ電圧、電力変換装置の低圧側電圧及び高圧側電圧を用いることにより、異常状態となっている電圧センサが特定される(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3632657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の異常監視装置においては、電力変換装置における異常状態となった電圧センサの特定を行うために、バッテリ電圧を利用する必要があった。しかし、ハイブリッド車両のように、バッテリの制御システムと電力変換装置の制御システムとが別系統の場合は、バッテリ電圧の情報を外部から受け取り、電力変換装置の異常監視装置に用いる必要がある。その場合、外部のシステム処理周期などを考慮した上で、受け取ったバッテリ電圧を信号処理しなければ、信頼できるバッテリ電圧情報として使用できず、異常状態の電圧センサの特定を行うことができない。
【0006】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、外部の電圧情報を使用することなく、電圧センサの異常判定を行うことができる電力変換装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示される電力変換装置は、
第1の直流電圧を異なる値の第2の直流電圧に変換する電圧変換回路と、少なくとも2つのコンデンサと、前記電圧変換回路の電圧変換幅を制御する制御装置と、を備えた電力変換装置であって、
前記第1の直流電圧に並列に接続された第1コンデンサと、
前記第2の直流電圧に並列に接続された第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの電圧を検出する第1の電圧センサと、
前記第2コンデンサの電圧を検出する第2の電圧センサと、を有するとともに、
第3コンデンサが前記電圧変換回路にある場合は前記第3コンデンサの電圧を検出し、前記第3コンデンサがない場合は前記第1コンデンサまたは前記第2コンデンサの電圧を検出する第3の電圧センサを有し、
前記制御装置は、
前記第1の電圧センサにより検出された第1電圧センサ値、前記第2の電圧センサにより検出された第2電圧センサ値及び前記第3の電圧センサにより検出された第3電圧センサ値を用いて、前記電圧変換回路の電圧変換幅を制御するとともに、
前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値に予め設定された係数を乗算した値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行い、
前記第1判定処理において、
前記第1の差分が前記第1の閾値以上の場合、前記第1電圧センサ値と前記第2電圧センサ値とを一致させる直結制御を行い、前記第1電圧センサ値と前記第2電圧センサ値との差分である第2の差分を算出し、前記第2の差分が予め設定された第2の閾値以上か否かを判定する第2判定処理を行い、
前記第2判定処理において、
前記第2の差分が前記第2の閾値以上の場合前記第2の電圧センサが異常であると判定し、前記第2の差分が前記第2の閾値より小さい場合前記第3の電圧センサが異常であると判定し、
前記第1判定処理において、
前記第1の差分が前記第1の閾値より小さい場合、前記第1電圧センサ値と、前記第2電圧センサ値から算出した第1電圧センサ推定値と、の差分である第3の差分を算出し、前記第3の差分が予め設定された第3の閾値以上か否かを判定する第3判定処理を行い、
前記第3判定処理において、
前記第3の差分が前記第3の閾値以上の場合前記第1の電圧センサが異常であると判定し、
前記第3の差分が前記第3の閾値より小さい場合いずれの電圧センサも正常であると判定する、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本願によれば、外部のバッテリ電圧情報を使用することなく、電圧センサの異常判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示す図である。
図2A】実施の形態1に係る電圧センサの異常判定を行う処理を示すフローチャートである。
図2B】実施の形態1に係る電圧センサの異常判定を行う処理を示すフローチャートである。
図3】実施の形態1に係る電圧変換回路におけるゲート駆動信号とリアクトル電流波形を示す図である。
図4】実施の形態1に係る電圧変換回路における動作モード(力行動作時)を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る電圧変換回路における動作モード(回生動作時)を説明する図である。
図6】実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示す図である。
図7】実施の形態2における電圧変換回路の動作モードを説明するための図である。
図8】実施の形態2に係る電圧変換回路におけるゲート駆動信号とリアクトル電流波形を示す図である。
図9A】実施の形態2に係る電圧センサの異常判定を行う処理を示すフローチャートである。
図9B】実施の形態2に係る電圧センサの異常判定を行う処理を示すフローチャートである。
図10】実施の形態1及び2に係る制御装置のハードウエアの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願で開示される電力変換装置の実施の形態について図を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当する部分を示すものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る電力変換装置について図を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示す図である。電力変換装置3は、バッテリ1と負荷2との間に接続され、電源システムを構成している。すなわち、電力変換装置3は、入力側の端子にバッテリ1が接続され、出力側の端子に負荷2が接続されたDC/DCコンバータであって、バッテリ1の電圧を設定された電圧に昇圧して負荷2に電力を供給する力行動作と負荷2によって発電される電力をバッテリ1に蓄積する回生動作とを切り替え可能に構成されている。
【0012】
<電力変換装置3の構成>
電力変換装置3は、主回路30及び制御装置31を備える。
主回路30は、低電圧側コンデンサ51、リアクトル4、電圧変換回路32、高電圧側コンデンサ52を備え、さらに、低電圧側コンデンサ51に印加される電圧V1を検出する第1の電圧センサ61、高電圧側コンデンサ52に印加される電圧V2を検出する第2の電圧センサ62及び第3の電圧センサ63を備える。
【0013】
低電圧側コンデンサ51はバッテリ1に対して並列に接続され、高電圧側コンデンサ52は負荷2に対して並列に接続される。リアクトル4は、第1の端子と第2の端子とを有し、第1の端子がバッテリ1の高電位側(正極側)の端子に接続されている。
【0014】
電圧変換回路32は、第1のスイッチング素子32aと第2のスイッチング素子32bとが直列に接続された構成となっており、負荷2に並列に接続されている。第1のスイッチング素子32a及び第2のスイッチング素子32bは、それぞれ図1に示されるように例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)にダイオードが逆並列接続された構成である。第1のスイッチング素子32aは、一方の端子(エミッタ側端子)がバッテリ1の低電位側(負極側)の端子に接続され、第2のスイッチング素子32bは、一方の端子(コレクタ側端子)が負荷2の高電位側の端子に接続されている。第1のスイッチング素子32aの他方の端子(コレクタ側端子)と第2のスイッチング素子32bの他方の端子(エミッタ側端子)との接続点である第1の接続部32cは、リアクトル4の第2の端子に接続されている。また、電流センサ40はリアクトル4と第1の接続部32cの間に配置され、リアクトル4に流れる電流ILを検出する。
【0015】
制御装置31には、第1の電圧センサ61で検出された電圧情報V1sen、第2の電圧センサ62で検出された電圧情報V2Msen、第3の電圧センサ63で検出された電圧情報V2Ssen、及び電流センサ40で検出された電流値ILがそれぞれ入力される。また、制御装置31は電圧変換回路32の第1のスイッチング素子32a及び第2のスイッチング素子32bのゲートをオンオフするためのゲート駆動信号を生成し、電圧変換回路32に出力する。詳細は以下で説明する。
【0016】
<電力変換装置3の動作>
電力変換装置3の第1のスイッチング素子32aおよび第2のスイッチング素子32bには制御装置31で生成されたゲート駆動信号が印加され、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、第1のスイッチング素子32aおよび第2のスイッチング素子32bのそれぞれのゲートがオンオフ動作することで、負荷2に印加される電圧を制御している。
制御周期Tswは第1及び第2のスイッチング素子32a、33bの駆動周波数fswの逆数となる。すなわち、
Tsw=1/fsw
である。
【0017】
直列接続された第1のスイッチング素子32a及び第2のスイッチング素子32bのスイッチングパターンは、スイッチング素子32aと第2のスイッチング素子32bとが同時にオンしないようにデッドタイムが設けられている。電力変換装置3のDC/DCコンバータにおけるデューティDutyは、制御周期Tswの1周期における第1のスイッチング素子32aのゲート駆動信号のオン時間Tonの比率で定義される。すなわち、
Duty=Ton/Tsw
である。また、昇圧される電圧V2は次に示す式(1)によって求められる。
V2=V1/(1-Duty) ・・・(1)
電圧変換回路32の電圧変換幅(デューティDuty)は電圧V1、電圧V2で記述されることになる。
【0018】
<各電圧センサ61、62、63の異常判定を行う手順>
図2A及び2Bは、実施の形態1に係る制御装置31において、第1の電圧センサ61、第2の電圧センサ62、及び第3の電圧センサ63に対する異常判定を行う手順を示すフローチャートである。図2A及び2Bに示す処理は、設定時間ごと、例えば1msごとに繰り返し実施される。
ステップS101の電圧センサ異常検出がスタートすると、ステップS102において、制御装置31は、第1の電圧センサ61から第1電圧センサ値V1sen、第2の電圧センサ62から第2電圧センサ値V2Msen、第3の電圧センサ63から第3電圧センサ値V2Ssen、及び第1のスイッチング素子32aのオン時間比率、つまりDC/DCコンバータの制御状態である指令デューティDutyを取得する。
【0019】
次に、ステップS103において、制御装置31は、電圧変換回路32が「昇圧制御」で制御中か判定する。「昇圧制御」とは低圧側電圧を昇圧して高圧側電圧を生成するように第1の電圧変換回路32を制御するものである。ステップS103において、「昇圧制御中」と判定されれば(ステップS103でYES)、ステップS104に進み、「昇圧制御中」ではないと判定されれば(ステップS103でNO)、ステップS103に戻る。
【0020】
ステップS104において、制御装置31は、第2電圧センサ値V2Msenと第3電圧センサ値V2Ssenとの差分の絶対値を演算する。
【0021】
次に、ステップS105において、制御装置31は、ステップS104の演算結果と予め設定された閾値A1とを比較する。ステップS104の演算結果が閾値A1より小さい場合(ステップS105でNO)、第2の電圧センサ62及び第3の電圧センサ63に異常は無いと判断し、ステップS111に進む。一方、ステップS104の演算結果が閾値A1以上である場合(ステップS105でYES)、第2の電圧センサ62及び第3の電圧センサ63のうち、いずれかに異常が生じていると判定し、ステップS106に進む。なお、閾値A1は、試験によって決めてもよい。もしくは、閾値A1は、センサの誤差を根拠にして設定してもよい。
【0022】
ステップS106において、制御装置31は、電圧変換回路32に対し直結制御を行い、低圧側電圧と高圧側電圧を一致させる。すなわち、第1電圧センサ値V1senと高電圧側コンデンサ電圧を検出した第2電圧センサ値V2Msenとを一致させるように制御する。
なお、「直結制御」とは低圧側電圧と高圧側電圧とが一致するように電圧変換回路32を制御するもので、第2のスイッチング素子32bのオン時間比率が1で、第1のスイッチング素子32aのオン時間比率が0の状態で動作中の状態である。
次に、ステップS107において、低電圧側コンデンサ51の電圧を検出した第1電圧センサ値V1senと高電圧側コンデンサ52の電圧を検出した第2電圧センサ値V2Msenとの差分の絶対値を演算する。
【0023】
次に、ステップS108において、制御装置31は、ステップS107の演算結果と予め設定された閾値B1とを比較する。ステップS107の演算結果が閾値B1より小さい場合(ステップS108でNO)、ステップS106の直結制御にて電圧が一致している低電圧側コンデンサ51の電圧と高電圧側コンデンサ52の電圧とを、それぞれ第1の電圧センサ61と第2の電圧センサ62とが正常に検出していると判断する。その結果、第3の電圧センサ63が異常であると判定する(ステップS109)。
【0024】
一方、ステップS107の演算結果が閾値B1以上である場合(ステップS108でYES)、第1の電圧センサ61及び第2の電圧センサ62のうち、いずれかに異常が生じていると判定する。第2の電圧センサ62及び第3の電圧センサ63のうちいずれかに異常が生じていると判定されたステップS105の結果と合わせ、両者の結果に共通する第2の電圧センサ62が異常であると判定する(ステップS110)。なお、閾値B1は、試験によって決めてもよい。もしくは、閾値B1は、センサの誤差を根拠にして設定してもよい。
【0025】
ステップS105の判定の結果、ステップS104の演算結果が閾値A1より小さい場合(ステップS105でNO)、ステップS111にて、電力変換装置3が力行動作または回生動作のいずれかの動作中かを判断する。
力行動作または回生動作の判断は電流センサ40で検出した電流値ILを用いて、電流値がプラスであれば力行動作中、マイナスであれば回生動作中と判断する。回生動作中であればステップS112に進み、力行動作中であればステップS113に進む。
【0026】
ステップS112においては、回生動作中の第1電圧センサ値V1senと第1電圧センサ値V1senの推定値を演算した第1電圧センサ推定値V1estregとの差分を求める。ステップS113においては、力行動作中の第1電圧センサ値V1senと第1電圧センサ値V1senの推定値を演算した第1電圧センサ推定値V1estrunとの差分を求める。
【0027】
ここで、第1電圧センサ推定値の演算方法について図3から図5を用いて説明する。
図3は、電圧変換回路32におけるゲート駆動信号とリアクトル電流ILとの関係を示す図である。図3中(a)は、電圧変換回路32に出力されるゲート駆動信号で、上側がスイッチング素子32bのゲート駆動信号、下側がスイッチング素子32aのゲート駆動信号である。スイッチング素子32bのオン時間とスイッチング素子32aのオン時間が重なると、高電圧側コンデンサ52の高電位側と低電位側とが短絡してしまう。そのため、スイッチング素子のターンオン及びターンオフの遅れなども考慮して、必ずスイッチング素子32bとスイッチング素子32aが同時にオンとならないようにデッドタイム(Td)を設けている。従って、スイッチング素子32bとスイッチング素子32aとは、デッドタイムを挟んで交互にオンしている。
【0028】
図3中(b)は力行動作時のリアクトル電流、図3中(c)は回生動作時のリアクトル電流の挙動を示しているが、両者の挙動は異なっている。
まず、図3中(b)の力行動作時のリアクトル電流について、図4の力行動作時の動作モードに対応したリアクトル電流の流れを用いて説明する。
【0029】
モード1の区間においては、スイッチング素子32bがオフ、スイッチング素子32aがオンとなる。図4の(a)モード1にて図示されているようにスイッチング素子32a、低電圧側コンデンサ51のループに電流が流れ、接続部32cの電位は0となりリアクトル電流は増加する。
【0030】
モード2の区間においては、スイッチング素子32bがオン、スイッチング素子32aがオフとなる。図4の(b)モード2に図示されているように、スイッチング素子32b、高電圧側コンデンサ52、低電圧側コンデンサ51のループに電流が流れ、接続部32cの電位はV2となり、電流が減少する。
【0031】
モード3の区間においては、スイッチング素子32b、スイッチング素子32aともにオフとなる。図4の(c)モード3に図示されているように、モード2と同じ電流ループとなり、電流が減少する。つまり、力行動作時は、デッドタイム期間中はスイッチング素子32bをオンしているモード2と同様の電流挙動となる。
【0032】
次に、図3(c)の回生動作時リアクトル電流について、図5の回生動作時の動作モードに対応したリアクトル電流の流れを用いて説明する。
モード1の区間においては、スイッチング素子32bがオフ、スイッチング素子32aがオンとなり、図5の(a)モード1にて図示されているようにスイッチング素子32a、低電圧側コンデンサ51のループに電流が流れ、接続部32cの電位は0となりリアクトル電流は増加する。
【0033】
モード2の区間においては、スイッチング素子32bがオン、スイッチング素子32aがオフとなり、図5の(b)モード2に図示されているように、高電圧側コンデンサ52、スイッチング素子32b、低電圧側コンデンサ51のループに電流が流れ、接続部32cの電位はV2となり、電流が減少する。
【0034】
モード3の区間においては、スイッチング素子32bがオフ、スイッチング素子32aもオフとなり、図5の(c)モード3に図示されているように、モード1と同じ電流ループとなり、電流が増加する。つまり、回生動作時は、デッドタイム期間中は、スイッチング素子32aをオンしているモード1と同様の電流挙動となる。
【0035】
以上のことから、電圧V1、V2、指令デューティDutyの関係は力行動作時と回生動作時とではデッドタイムの影響分異なるため、電圧センサの異常判定に用いる電圧V1の推定値の演算にはデッドタイムの情報を含み異なる計算式を用いて補正すれば第1電圧センサ推定値の演算精度を向上することができる。
【0036】
また、ゲート駆動信号のオフからオン、オンからオフとスイッチングがターンオン、ターンオフするタイミングには遅延時間が発生する。図3にて説明したデッドタイムの影響と同様に、このスイッチング遅延時間の影響も力行動作時と回生動作時で異なるため、電圧センサの異常判定に用いる電圧V1の推定値の演算にはスイッチング遅延時間の情報を含み異なる計算式を用いて補正すれば第1電圧センサ推定値の演算精度を向上することができる。
【0037】
さらに、力行動作時と回生動作時とで電圧V1の推定値の演算の違いの要因として、電力変換装置3の電力変換の効率がある。バッテリ1側の電力をP1、負荷側の電力をP2とした場合、力行動作時の電力変換効率はEffrun=P2/P1(<1)、回生動作時の電力変換効率はEffreg=P1/P2(<1)と定義する。
【0038】
力行動作時の電力変換効率Effrunを用いた昇圧電圧V2の式は(1)より
V2=1/(1-Duty)×V1×Effrun
となり、電力変換効率が1のときと同じ指令デューティDutyの場合、V2電圧は小さくなる。
【0039】
一方、回生動作時に降圧制御をしていると考えると、回生動作時の電力変換効率Effregを用いた降圧電圧V1の式は(1)より、
V1=(1-Duty)×V2×Effreg
となり、電力変換効率が1のときと同じ指令デューティDutyの場合、電圧V1は小さくなる。
【0040】
従って、ステップS112及びステップS113において、電圧センサの異常判定に用いる電圧V1の推定値の演算には電力変換効率の情報を含み、力行動作時と回生動作時とで異なる計算式を用いて補正すれば第1電圧センサ推定値の演算精度を向上することができる。
【0041】
ステップS112、S113にて第1電圧センサ値V1senと第1電圧センサ値V1senの推定値を演算した第1電圧センサ推定値V1estとの差分を求めるが、理想的には第1電圧センサ推定値V1estは次の式(2)より求めることができる。
V1est=V2 × (1-Duty) ・・・(2)
実際には、デッドタイム、スイッチング遅延時間、効率の影響があり、力行動作時、回生動作時とでは指令デューティDutyと電圧V1、V2との関係が異なるため、推定値に対して補正を行う。
【0042】
力行動作時は、次の式(3)を用いて第1電圧センサ推定値V1estrunを求める。
【数1】
回生動作時は、次の式(4)を用いて第1電圧センサ推定値V1estregを求める。
【数2】
【0043】
ここで、力行動作時と回生動作時の電力変換効率Effrun、Effregは等価と仮定したが、それぞれ異なる値を用いても良い。また負荷の大きさによって変えても良いし、試験によって決めてもよい。
【0044】
ここで、図2のフローチャートに戻る。
ステップS112において、制御装置31は第1電圧センサ値V1senと式(4)から求めた第1電圧センサ推定値V1estregとの差分ΔVを算出し、ステップS114に進む。
また、ステップS113において、第1電圧センサ値V1senと式(3)から求めた第1電圧センサ推定値V1estrunとの差分ΔVを算出し、ステップS114に進む。
【0045】
ステップS114において、ステップS112の演算結果またはステップS113の演算結果である、差分ΔVの絶対値と予め設定された閾値C1とを比較する。差分ΔVの絶対値が閾値C1より小さい場合(ステップS114でNO)、第2電圧センサ値V2Msenから算出した第1電圧センサ推定値V1estと第1電圧センサ値V1senとが一致していると判断できる。これより前のステップS105において第2の電圧センサ62に異常は無いと判定しているため、第1の電圧センサ61も異常が無いと判定され、全ての電圧センサは全て正常と判定する(ステップS115)。
【0046】
ステップS114において、差分ΔVの絶対値が閾値C1以上の場合(ステップS114でYES)、第1の電圧センサ61及び第2の電圧センサ62のうち、いずれかに異常が生じていると判定される。ステップS105において第2の電圧センサ62に異常は無いと既に判定しているため、第1の電圧センサ61に異常が発生していると判定する(ステップS116)。
【0047】
なお、ステップS114において、閾値C1は試験によって決めてもよい。もしくは、閾値C1は、センサの誤差及びゲート駆動信号と実際にスイッチング素子がオンまたはオフとなるまでの遅延時間を根拠にして設定してもよい。
【0048】
なお、上述では第3の電圧センサ63を用いて第2コンデンサの電圧V2を測定するようにしたが、第1コンデンサの電圧V1を測定するようにしてもよい。
その場合、第3の電圧センサ63が検出する第1コンデンサの電圧を第3電圧センサ値V1Ssenとし、以下電圧センサの以上判定手順を説明する。
【0049】
図2AのステップS104において、制御装置31は、第1電圧センサ値V1senと第3電圧センサ値V1Ssenとの差分の絶対値を演算する。次に、ステップS105において、制御装置31は、ステップS104の演算結果と予め設定された閾値A1とを比較する。
【0050】
また、ステップS107において、制御装置31は、第1電圧センサ値V1senと第2電圧センサ値V2Msenとの差分の絶対値を演算する。次に、ステップS108において、制御装置31は、ステップS107の演算結果が閾値B1より小さい場合(ステップS108でNO)、ステップS106の直結制御にて電圧が一致している低電圧側コンデンサ51の電圧と高電圧側コンデンサ52の電圧とを、それぞれ第1の電圧センサ61と第2の電圧センサ62とが正常に検出していると判断する。その結果、第3の電圧センサ63が異常であると判定する(ステップS109)。
【0051】
一方、ステップS107の演算結果が閾値B1以上である場合(ステップS108でYES)、第1の電圧センサ61及び第2の電圧センサ62のうち、いずれかに異常が生じていると判定する。第1の電圧センサ61及び第3の電圧センサ63のうち、いずれかに異常が生じていると判定されたステップS105の結果と合わせ、両者の結果に共通する第1の電圧センサ61が異常であると判定する(ステップS110)。
【0052】
ステップS114において、差分ΔVの絶対値が閾値C1より小さい場合(ステップS114でNO)、第2電圧センサ値V2Msenから算出した第1電圧センサ推定値V1estと第1電圧センサ値V1senとが一致していると判断できる。これより前のステップS105において第1の電圧センサ61に異常は無いと判定しているため、第2の電圧センサ62も異常が無いと判定され、全ての電圧センサは全て正常と判定する(ステップS115)。
【0053】
ステップS114において、差分ΔVの絶対値が閾値C1以上の場合(ステップS114でYES)、第1の電圧センサ61及び第2の電圧センサ62のうち、いずれかに異常が生じていると判定される。ステップS105において第1の電圧センサ61に異常は無いと判定しているため、第2の電圧センサ62に異常が発生していると判定する(ステップS116)。
【0054】
以上のように、実施の形態1によれば、電力変換装置3は第1の直流電圧であるバッテリ1の電圧を異なる値の第2の直流電圧に変換する電圧変換回路32と、少なくとも2つのコンデンサ51、52と、電圧変換回路32の電圧変換幅を制御する制御装置と、を備えたDC/DCコンバータであって、電圧変換回路32は直列に接続された第1のスイッチング素子32aと第2のスイッチング素子32bを有し、バッテリ1に並列に接続された第1コンデンサ51と、第2の直流電圧に並列に接続された第2コンデンサ52と、第1コンデンサ51の電圧を検出する第1の電圧センサ61と、第2コンデンサ52の電圧を検出する第2の電圧センサ62と、第1コンデンサ51または第2コンデンサ52の電圧を検出する第3の電圧センサ63を有している。そして、制御装置は、第1の電圧センサ61により検出された第1電圧センサ値V1sen、第2の電圧センサ62により検出された第2電圧センサ値V2Msen及び第3の電圧センサ63により検出された第3電圧センサ値V2Ssenを用いて、電圧変換回路32の電圧変換幅を指令デューティDutyにより制御する。さらに、第2電圧センサ値V2Msenと第3電圧センサ値V2Ssenに予め設定された係数である1を乗算した値との差分である第1の差分を算出し、第1の差分が予め設定された第1の閾値A1以上か否かを判定する第1判定処理を行い、第1の差分が第1の閾値A1以上の場合、直結制御を行い、第1電圧センサ値V1senと第2電圧センサ値V2Msenとの差分である第2の差分を算出し、第2の差分が予め設定された第2の閾値B1以上か否かを判定する第2判定処理を行い、第2の差分が第2の閾値B1以上の場合第2の電圧センサ62が異常であると判定し、第2の差分が第2の閾値B1より小さい場合第3の電圧センサ63が異常であると判定する。第1判定処理において、第1の差分が第1の閾値A1より小さい場合、第1電圧センサ値V1senと、第2電圧センサ値V2Msenから算出した第1電圧センサ推定値V1estと、の差分である第3の差分を算出し、第3の差分が予め設定された第3の閾値C1以上か否かを判定する第3判定処理を行い、第3の差分が第3の閾値C1以上の場合第1の電圧センサ61が異常であると判定し、第3の差分が前記第3の閾値C1より小さい場合いずれの電圧センサも正常であると判定するようにした。これにより、外部の電圧情報を使用することなく、第1の電圧センサ61、第2の電圧センサ62、及び第3の電圧センサ63のいずれが異常であるか特定し判定することができる。
【0055】
なお、上述の実施の形態1ではバッテリ1側が低電圧で負荷側が高電圧の非絶縁昇圧DC/DCコンバータを例に説明してきたが、非絶縁降圧DC/DCコンバータに適用しても良い。
【0056】
また、上述ではステップS103において昇圧制御の場合に次のステップに進み、電圧センサの正常または異常を判定するフローとして説明した。直結制御の場合は第1電圧センサ値V1sen、第2電圧センサ値V2Msen、第3電圧センサ値V2Ssenを比較することにより、図2のワークフローとは別に第1の電圧センサ61、第2の電圧センサ62、第3の電圧センサ63の正常または異常を判定してもよい。すなわち、直結制御の場合、理想的にはV1sen=V2Msen=V2Ssenとなるので、3者のうちの2者の差分を確認することで、いずれかの電圧センサに異常が発生しているか否か判定することができる。このように、昇圧制御、直結制御によらず電圧センサの故障を特定することが可能となる。
【0057】
実施の形態2.
以下に、実施の形態2に係る電力変換装置について図を用いて説明する。図6は、実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示す図である。電力変換装置3は、実施の形態1と同様にバッテリ1と負荷2との間に接続され、電源システムを構成している。すなわち、電力変換装置3は入力側の端子にバッテリ1を出力側の端子に負荷2が接続されたDC/DCコンバータである。実施の形態1と異なるのは、DC/DCコンバータが、中間コンデンサ53を備えたマルチレベルコンバータである点である。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0058】
<電力変換装置3の構成>
図6において、電力変換装置3は、主回路30及び制御装置31を備える。
主回路30は、低電圧側コンデンサ51、リアクトル4、電圧変換回路33、中間コンデンサ53、及び高電圧側コンデンサ52を備え、さらに、リアクトル4を流れる電流を検出する電流センサ40、低電圧側コンデンサ51に印加される電圧V1を検出する第1の電圧センサ61、高電圧側コンデンサ52に印加される電圧V2を検出する第2の電圧センサ62及び中間コンデンサ53に印加される電圧V0を検出する第3の電圧センサ63を備える。低電圧側コンデンサ51、リアクトル4、電流センサ40、及び第1の電圧センサ61の配置は、実施の形態1と同様である。
【0059】
電圧変換回路33は、負荷2に並列に接続されている。電圧変換回路33は、第1のスイッチング素子33a、第2のスイッチング素子33b、第3のスイッチング素子33c及び第4のスイッチング素子33dが直列に接続されている。第1のスイッチング素子33aと第2のスイッチング素子33bとの接続点を第1の接続部33fとし、第2のスイッチング素子33bと第3のスイッチング素子33cとの接続点を第2の接続部33eとし、第3のスイッチング素子33cと第4のスイッチング素子33dとの接続点を第3の接続部33gとして構成されている。
【0060】
第1のスイッチング素子33aの一方の端子(エミッタ側端子)は、バッテリ1の低電位側(負極側)の端子に接続され、第4のスイッチング素子33dの一方の端子(コレクタ側端子)は、負荷2の高電位側(正極側)の端子に接続されている。第2の接続部33eは、リアクトル4の第2の端子に接続されている。第1から第4のスイッチング素子33a、33b、33c、33dは実施の形態1と同様に例えばそれぞれIGBTにダイオードが逆並列接続された構成である。
【0061】
高電圧側コンデンサ52は負荷2と並列に接続され、低電圧側コンデンサ51はバッテリ1と並列に接続され、中間コンデンサ53は第1の接続部33fと第3の接続部33gとに接続されている。電流センサ40は、リアクトル4と第2の接続部33eとの間に配置され、リアクトル4に流れる電流値ILを検出する。
【0062】
制御装置31には、第2の電圧センサ62で検出された電圧情報V2sen、第1の電圧センサ61で検出された電圧情報V1sen、第3の電圧センサ63で検出された電圧情報V0sen、電流センサ40で検出された電流値ILsenがそれぞれ入力される。
【0063】
<電圧変換回路33の動作モード>
次に、図6に示した電圧変換回路33の動作モードについて、図7を用いて説明する。
図7中(a)~(d)に示すように、第1から第4のスイッチング素子33a、33b、33c、33dのオンオフパターンである動作モードは、(a)モード1から(d)モード4の4つがある。バッテリ1から負荷2に電力を供給する場合の力行動作と、負荷2からバッテリ1に電力を供給する場合の回生動作では一部スイッチング素子のIGBTを通るか逆並列のダイオードを通るかの違いがあるが、破線で記載した電流経路は同じで逆方向であるため、ここでは力行動作についての説明を行う。
【0064】
モード1では、第1のスイッチング素子33a及び第3のスイッチング素子33cがオン、第2のスイッチング素子33b及び第4のスイッチング素子33dがオフである。図7(a)に示す電流経路のように、第3のスイッチング素子33cのダイオードと第1のスイッチング素子33aのIGBTを電流が流れ、中間コンデンサ53にエネルギを蓄積する状態となる。
【0065】
モード2では、第1のスイッチング素子33a及び第3のスイッチング素子33cがオフ、第2のスイッチング素子33b及び第4のスイッチング素子33dがオンである。この動作によって、図7(b)に示す電流経路のように、第2のスイッチング素子33bのIGBTと第4のスイッチング素子33dのダイオードを電流が流れ、中間コンデンサ53のエネルギを放出する状態となる。
【0066】
モード3では、第1のスイッチング素子33a及び第2のスイッチング素子33bがオフ、第3のスイッチング素子33c及び第4のスイッチング素子33dがオンである。この動作によって、図7(c)に示す電流経路のように、第3のスイッチング素子33cのダイオードと第4のスイッチング素子33dのダイオードを電流が流れ、リアクトル4のエネルギを放出する状態となる。
【0067】
モード4では、第1のスイッチング素子33a及び第2のスイッチング素子33bがオン、第3のスイッチング素子33c及び第4のスイッチング素子33dがオフである。この動作によって、図7(d)に示す電流経路のように、第1のスイッチング素子33aのIGBTと第2のスイッチング素子33bのIGBTを電流が流れ、リアクトル4にエネルギを蓄積する状態となる。
【0068】
図8は実施の形態2の電圧変換回路33におけるゲート駆動信号とリアクトル電流ILとの関係を示す図である。図8(a)は、電圧変換回路33に出力されるゲート駆動信号で、上からスイッチング素子33d、スイッチング素子33a、スイッチング素子33c、スイッチング素子33bのゲート駆動信号である。スイッチング素子33dのオン時間とスイッチング素子33aのオン時間が重なり、短絡を防止するため、スイッチング素子のターンオン及びターンオフの遅れなども考慮して、必ずスイッチング素子33dとスイッチング素子33aが同時にオンとならないようにデッドタイム(Td)を設けている。同様に、スイッチング素子33cのオン時間とスイッチング素子33bのオン時間が重なり、短絡を防止するため、必ずスイッチング素子33cとスイッチング素子33bが同時にオンとならないようにデッドタイム(Td)を設けている。
【0069】
実施の形態2におけるマルチレベルコンバータでは、第1のスイッチング素子33aに対しデューティDuty1、第2のスイッチング素子33bにデューティDuty2がそれぞれ定義される。基本的にはデューティDuty1とデューティDuty2とは同じだが、V0電圧の制御によってはデューティDuty1とデューティDuty2の時間を意図的にずらすこともある。マルチレベルコンバータの場合でも式(1)を用いてV2電圧とデューティDutyとの関係が表される。また、第1のスイッチング素子33aと第2のスイッチング素子33bのゲート信号は、スイッチング周波数(fsw)に対して位相が180度ずれている。
【0070】
これらの動作モードの時間比率を適宜調整することにより、負荷2に印加される電圧V2を制御し、かつリアクトル4に印加される電圧を小さくするために中間コンデンサ53に印加される電圧V0をV2の半分に制御することが可能となる。
【0071】
<各電圧センサ61、62、63の異常判定を行う手順>
図9A及び9Bは、実施の形態2に係る制御装置31において、第1の電圧センサ61、第2の電圧センサ62、及び第3の電圧センサ63に対する異常判定を行う手順を示すフローチャートである。図9A及び9Bに示す処理は、設定時間ごと、例えば1msごとに繰り返し実施される。
【0072】
ステップS201の電圧センサ異常検出がスタートすると、ステップS202において、制御装置31は、第1の電圧センサ61から第1電圧センサ値V1sen、第2の電圧センサ62から第2電圧センサ値V2sen、第3の電圧センサ63から第3電圧センサ値V0sen、及びマルチレベルコンバータの制御状態である指令デューティDutyを取得する。
【0073】
ステップS203において、制御装置31は電圧変換回路33が「昇圧制御」で制御中か判定する。
ステップS204において、中間コンデンサ53に印加される電圧V0は、高電圧側コンデンサ52に印加される電圧V2の半分になるように制御されるため、制御装置31は、第2電圧センサ値V2senと第3電圧センサ値V0senの2倍との差分の絶対値を演算する。
【0074】
次に、ステップS205において、制御装置31は、ステップS204の演算結果と予め設定された閾値A2とを比較する。なお、閾値A2は、試験によって決めてもよい。もしくは、閾値A2は、センサの誤差を根拠にして設定されてもよい。
ステップS204の演算結果が閾値A2より小さい場合(ステップS205でNO)、第2の電圧センサ62及び第3の電圧センサ63に異常は無いと判断し、ステップS211に進む。一方、ステップS204の演算結果が閾値A2以上である場合(ステップS205でYES)、第2の電圧センサ62及び第3の電圧センサ63のうち、いずれかに異常が生じていると判定し、ステップS206に進む。
【0075】
実施の形態2におけるステップS206からステップS216は、実施の形態1におけるステップS106からステップS116と同様であるため、説明を省略する。また実施の形態2における他の閾値B2,C2についても実施の形態1の閾値B1,C1と同様に設定すればよい。
このように、マルチレベルコンバータを備えた電力変換装置3であっても、電力変換装置3に設けられた低電圧側コンデンサの電圧を検出する第1の電圧センサ61、高電圧側コンデンサの電圧を検出する第2の電圧センサ62及び中間コンデンサの電圧を検出する第3の電圧センサ63の異常を外部の電圧情報を使用することなく、特定することができる。
【0076】
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。すなわち、実施の形態2に係る電力変換装置3は第1の直流電圧であるバッテリ1の電圧を異なる値の第2の直流電圧に変換する電圧変換回路33と、3つのコンデンサ51、52、53と、電圧変換回路33の電圧変換幅を制御する制御装置31と、を備えたマルチレベルコンバータであって、電圧変換回路33は直列に接続された第1から第4のスイッチング素子33a、33b、33c、33dを有し、バッテリ1に並列に接続された第1コンデンサ51と、第2の直流電圧に並列に接続された第2コンデンサ52と、一端が第1のスイッチング素子33aと第2のスイッチング素子33bとの接続点に接続され他端が第3のスイッチング素子33cと第4のスイッチング素子33dとの接続点とに接続された中間コンデンサ53と、第1コンデンサ51の電圧を検出する第1の電圧センサ61と、第2コンデンサ52の電圧を検出する第2の電圧センサ62と、第3のコンデンサである中間コンデンサ53の電圧を検出する第3の電圧センサ63と、を有している。そして、制御装置31は、第1の電圧センサ61により検出された第1電圧センサ値V1sen、第2の電圧センサ62により検出された第2電圧センサ値V2sen及び第3の電圧センサ63により検出された第3電圧センサ値V0senを用いて、電圧変換回路33の電圧変換幅を指令デューティDutyにより制御する。さらに、第2電圧センサ値V2senと第3電圧センサ値V0senに予め設定された係数である2を乗算した値との差分である第1の差分を算出し、第1の差分が予め設定された第1の閾値A2以上か否かを判定する第1判定処理を行い、第1の差分が第1の閾値A2以上の場合、直結制御を行い、第1電圧センサ値V1senと第2電圧センサ値V2senとの差分である第2の差分を算出し、第2の差分が予め設定された第2の閾値B2以上か否かを判定する第2判定処理を行い、第2の差分が第2の閾値B2以上の場合第2の電圧センサ62が異常であると判定し、第2の差分が第2の閾値B2より小さい場合第3の電圧センサ63が異常であると判定する。第1判定処理において、第1の差分が第1の閾値A2より小さい場合、第1電圧センサ値V1senと、第2電圧センサ値V2senから算出した第1電圧センサ推定値V1estと、の差分である第3の差分を算出し、第3の差分が予め設定された第3の閾値C2以上か否かを判定する第3判定処理を行い、第3の差分が第3の閾値C2以上の場合第1の電圧センサ61が異常であると判定し、第3の差分が前記第3の閾値C2より小さい場合いずれの電圧センサも正常であると判定するようにした。これにより、外部の電圧情報を使用することなく、第1の電圧センサ61、第2の電圧センサ62、及び第3の電圧センサ63のいずれが異常であるか特定し判定することができる。
【0077】
なお、実施の形態2では、3レベルのマルチレベルコンバータの例であり、ステップS204において、第2電圧センサ値V2senと第3電圧センサ値V0senに予め設定された係数である2を乗算した値との差分である第1の差分を算出したが、コンバータの回路構成によって係数を変えればよい。
【0078】
<制御装置31のハードウエア構成>
なお、制御装置31は、ハードウエアの一例を図10に示すように、プロセッサ100と記憶装置101から構成される。記憶装置は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備えている。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を備えてもよい。
【0079】
プロセッサ100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などで構成される。プロセッサ100は、記憶装置101から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ100にプログラムが入力される。また、プロセッサ100は、演算結果等のデータを記憶装置101の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0080】
<その他の実施の形態>
(1)図1、6において、スイッチング素子がIGBTで構成されている例を示したが、本構成に限るものではない。例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されていてもよい。また、スイッチング素子はSi(ケイ素)半導体で構成されるものに限らず、ワイドバンドギャップ型半導体である、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)等の半導体を用いてもよい。GaN-HEMT(Gallium Nitride-High Mibility Transistor)などのスイッチング素子で構成されてもよい。
【0081】
(2)上記実施の形態1,2において、第1電圧センサ推定値V1estの算出には式(2)から式(4)を用いるが、第2電圧センサ値及び電圧変換幅に関する指令デューティDutyに加え、デッドタイム、電圧変換回路32,33のスイッチング遅延時間、力行動作時または回生動作時における電力変換効率の項目を適宜考慮して算出すればその精度を向上する。組み合わせる項目は任意に選択すればよい。
【0082】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0083】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0084】
(付記1)
第1の直流電圧を異なる値の第2の直流電圧に変換する電圧変換回路と、少なくとも2つのコンデンサと、前記電圧変換回路の電圧変換幅を制御する制御装置と、を備えた電力変換装置であって、
前記第1の直流電圧に並列に接続された第1コンデンサと、
前記第2の直流電圧に並列に接続された第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの電圧を検出する第1の電圧センサと、
前記第2コンデンサの電圧を検出する第2の電圧センサと、を有するとともに、
第3コンデンサが前記電圧変換回路にある場合は前記第3コンデンサの電圧を検出し、前記第3コンデンサがない場合は前記第1コンデンサまたは前記第2コンデンサの電圧を検出する第3の電圧センサを有し、
前記制御装置は、
前記第1の電圧センサにより検出された第1電圧センサ値、前記第2の電圧センサにより検出された第2電圧センサ値及び前記第3の電圧センサにより検出された第3電圧センサ値を用いて、前記電圧変換回路の電圧変換幅を制御するとともに、
前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値に予め設定された係数を乗算した値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行い、
前記第1判定処理において、
前記第1の差分が前記第1の閾値以上の場合、前記第1電圧センサ値と前記第2電圧センサ値とを一致させる直結制御を行い、前記第1電圧センサ値と前記第2電圧センサ値との差分である第2の差分を算出し、前記第2の差分が予め設定された第2の閾値以上か否かを判定する第2判定処理を行い、
前記第2判定処理において、
前記第2の差分が前記第2の閾値以上の場合前記第2の電圧センサが異常であると判定し、前記第2の差分が前記第2の閾値より小さい場合前記第3の電圧センサが異常であると判定し、
前記第1判定処理において、
前記第1の差分が前記第1の閾値より小さい場合、前記第1電圧センサ値と、前記第2電圧センサ値から算出した第1電圧センサ推定値と、の差分である第3の差分を算出し、前記第3の差分が予め設定された第3の閾値以上か否かを判定する第3判定処理を行い、
前記第3判定処理において、
前記第3の差分が前記第3の閾値以上の場合前記第1の電圧センサが異常であると判定し、
前記第3の差分が前記第3の閾値より小さい場合いずれの電圧センサも正常であると判定する、電力変換装置。
(付記2)
前記電圧変換回路は、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子を有し、
前記第1の直流電圧の正極側に一端が接続されたリアクトルを備え、
前記第1の直流電圧の負極側に前記第1のスイッチング素子の一方の端子が接続され、
前記第1のスイッチング素子の他方の端子及び前記リアクトルの他端が前記第2のスイッチング素子の一方の端子に接続され、
前記第2のスイッチング素子の他方の端子は前記第2の直流電圧の正極側に接続されるとともに、
前記第3の電圧センサは前記第2コンデンサの電圧を検出するように配置されており、
前記制御装置は、
前記第1の差分を算出する係数を1として、前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行う、付記1に記載の電力変換装置。
(付記3)
前記電圧変換回路は、順次直列に接続された第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子、及び一端が前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点に接続され他端が前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との接続点に接続された中間コンデンサを有し、
前記第1の直流電圧の正極側に一端が接続されたリアクトルを備え、
前記第1の直流電圧の負極側に前記第1のスイッチング素子の一方の端子が接続され、
前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との接続点に前記リアクトルの他端が接続され、
前記第4のスイッチング素子の一方の端子と前記第2の直流電圧の正極側に接続されるとともに、
前記第3の電圧センサは前記中間コンデンサの電圧を検出するように配置されており、
前記制御装置は、
前記第1の差分を算出する係数を2として、前記第2電圧センサ値と前記第3電圧センサ値に2を乗じた値との差分である第1の差分を算出し、前記第1の差分が予め設定された第1の閾値以上か否かを判定する第1判定処理を行う、付記1に記載の電力変換装置。
(付記4)
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値とともに前記電圧変換回路の電圧変換幅を用いて算出される、付記2に記載の電力変換装置。
(付記5)
前記制御装置は、
前記電圧変換回路の具備する前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子が同時にオンしないようにデッドタイムを設けて駆動し、
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値、前記電圧変換回路の電圧変換幅及び前記デッドタイムを用いて算出される、付記4に記載の電力変換装置。
(付記6)
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値とともに前記電圧変換回路の電圧変換幅を用いて算出される、付記3に記載の電力変換装置。
(付記7)
前記制御装置は、
前記電圧変換回路の具備する前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子が同時にオンしないようにデッドタイムを設けて駆動し、
前記第1電圧センサ推定値は、前記第2電圧センサ値、前記電圧変換回路の電圧変換幅及び前記デッドタイムを用いて算出される、付記6に記載の電力変換装置。
(付記8)
前記第1電圧センサ推定値は、さらに前記電圧変換回路のスイッチング遅延時間を用いて算出される、付記4から7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記9)
前記第1電圧センサ推定値は、さらに前記電圧変換回路の電力変換効率を用いて算出される、付記4から8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記10)
前記第1の直流電圧から前記第2の直流電圧への電圧変換動作と、
前記第2の直流電圧から前記第1の直流電圧への電圧変換動作と、が切り替え可能である、付記1から9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
(付記11)
前記第1の直流電圧から前記第2の直流電圧への電圧変換動作と、前記第2の直流電圧から前記第1の直流電圧への電圧変換動作と、で前記第1電圧センサ推定値は異なる、付記10に記載の電力変換装置。
【符号の説明】
【0085】
1:バッテリ、 2:負荷、 3:電力変換装置、 4:リアクトル、 30:主回路、 31:制御装置、 32、33:電圧変換回路、 32a,32b,33a,33b,33c,33d:スイッチング素子、 32c,33e,33f,33g:接続部、 40:電流センサ、 51:低電圧側コンデンサ、 52:高電圧側コンデンサ、 53:中間コンデンサ、 61:第1の電圧センサ、 62:第2の電圧センサ、 63:第3の電圧センサ、 100::プロセッサ、 101:記憶装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10