(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178583
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/593 20210101AFI20241218BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241218BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241218BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241218BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20241218BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241218BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241218BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/211
H01M50/548 301
H01M50/505
H01M50/51
H01M50/588
H01M50/591
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096826
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺倉 一眞
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AT04
5H043AA19
5H043CA08
5H043FA04
5H043FA22
5H043GA23
(57)【要約】
【課題】ラミネートタイプの電池セルの電極端子同士の接合精度が高い電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュールの第1および第2側部において、各電池セルは、第1および第2正極端子が形成された第1端部と、第1および第2負極端子が形成された第2端部とが交互に積層方向に並ぶ。第1および第2側部において、第1正極端子と第1負極端子とが積層方向に交互に並び、第2正極端子と第2負極端子とが積層方向に交互に並ぶ。電池モジュールは、一方の側部において、所定の電池セルの第1正極端子と、所定の電池セルに隣接する電池セルの第1負極端子とを接合する接合部材と、当該側部において、所定の電池セルの第2正極端子と、隣接する電池セルの第2負極端子とを絶縁する絶縁部材とをさらに備える。絶縁部材は、第2正極端子と第2負極端子とを覆い、かつ、第2正極端子と第2負極端子との間の距離を一定に維持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、
第1の方向に積層されたラミネートタイプの複数の電池セルを備え、
各前記電池セルは、前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びた第1の端部と、前記第1の端部とは反対側において前記第2の方向に延びた第2の端部とを含み、
前記第1の端部には、前記第2の方向に間隔を開けて、第1および第2の正極端子が形成され、
前記第2の端部には、前記第2の方向に間隔を開けて、第1および第2の負極端子が形成され、
前記電池モジュールは、前記第1の方向に延びた第1の側部と、前記第1の側部とは反対側の第2の側部とをさらに備え、
前記第1の側部と前記第2の側部とにおいて、各前記電池セルは、前記第1の端部と前記第2の端部とが交互に前記第1の方向に並ぶように積層され、
前記第1の側部と前記第2の側部とにおいて、前記第1の正極端子と前記第1の負極端子とが前記第1の方向に交互に並ぶとともに、前記第2の正極端子と前記第2の負極端子とが前記第1の方向に交互に並び、
前記電池モジュールは、
前記第1の側部と前記第2の側部とのうちの一方の側部において、前記複数の電池セルのうち所定の電池セルの前記第1の正極端子と、前記複数の電池セルのうち前記所定の電池セルに前記第1の方向のうちの一方の向き側で隣接する電池セルの前記第1の負極端子とを接合する第1の接合部材と、
前記一方の側部において、前記所定の電池セルの前記第2の正極端子と、前記隣接する電池セルの前記第2の負極端子とを絶縁する第1の絶縁部材とをさらに備え、
前記第1の絶縁部材は、前記第2の正極端子と前記第2の負極端子との間の距離を一定に維持するスペーサ部を内部に有し、かつ、前記第2の正極端子と前記第2の負極端子とを覆う、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1の側部と前記第2の側部とのうちの他方の側部において、前記所定の電池セルの前記第2の負極端子と、前記複数の電池セルのうち前記所定の電池セルに前記第1の方向のうちの他方の向き側で隣接する電池セルの前記第2の正極端子とを接合する第2の接合部材と、
前記他方の側部において、前記所定の電池セルの前記第1の負極端子と、前記他方の向き側で隣接する電池セルの前記第1の正極端子とを絶縁する第2の絶縁部材とをさらに備え、
前記第2の絶縁部材は、前記第1の正極端子と前記第1の負極端子との間の距離を一定に維持するスペーサ部を内部に有し、かつ、前記第1の正極端子と前記第1の負極端子とを覆う、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1の側部と前記第2の側部とのうちの他方の側部において、前記所定の電池セルの前記第1の負極端子と、前記複数の電池セルのうち前記所定の電池セルに前記第1の方向のうちの他方の向き側で隣接する電池セルの前記第1の正極端子とを接合する第2の接合部材と、
前記他方の側部において、前記所定の電池セルの前記第2の負極端子と、前記他方の向き側で隣接する電池セルの前記第2の正極端子とを絶縁する第2の絶縁部材とをさらに備え、
前記第2の絶縁部材は、前記第2の正極端子と前記第2の負極端子との間の距離を一定に維持するスペーサ部を内部に有し、かつ、前記第2の正極端子と前記第2の負極端子とを覆う、請求項1に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラミネートタイプの電池セルを積層した電池モジュールが知られている。たとえば、特開2008-147089号公報(特許文献1)には、このような電池モジュールの製造方法が開示されている。特許文献1の製造方法では、外装体がラミネートフィルムの扁平型電池(ラミネートタイプの電池セル)を厚み方向に複数枚積層して、電池積層体を形成する。次いで、電池積層体の各から突出された板状の電極端子を接合して、扁平型電池を電気的に直列に接続する。さらに、端子接合部間に絶縁部材を挿入する。特許文献1では、このような処理により、電池モジュールが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラミネートタイプの電池セルは、内部で箔を電極端子に溶着させているだけであるため、電池セルの積層後も電極端子が動きやすい。このため、特許文献1では、電極端子同士の位置合わせが難しい。それゆえ、電極端子同士の接合精度が高いとは言えない。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、ラミネートタイプの電池セルの電極端子同士の接合精度が高い電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、電池モジュールは、第1の方向に積層されたラミネートタイプの複数の電池セルを備える。各電池セルは、第1の方向に垂直な第2の方向に延びた第1の端部と、第1の端部とは反対側において第2の方向に延びた第2の端部とを含む。第1の端部には、第2の方向に間隔を開けて、第1および第2の正極端子が形成されている。第2の端部には、第2の方向に間隔を開けて、第1および第2の負極端子が形成されている。電池モジュールは、第1の方向に延びた第1の側部と、第1の側部とは反対側の第2の側部とをさらに備える。第1の側部と第2の側部とにおいて、各電池セルは、第1の端部と第2の端部とが交互に第1の方向に並ぶように積層されている。第1の側部と第2の側部とにおいて、第1の正極端子と第1の負極端子とが第1の方向に交互に並ぶとともに、第2の正極端子と第2の負極端子とが第1の方向に交互に並んでいる。電池モジュールは、第1の側部と第2の側部とのうちの一方の側部において、複数の電池セルのうち所定の電池セルの第1の正極端子と、複数の電池セルのうち所定の電池セルに第1の方向のうちの一方の向き側で隣接する電池セルの第1の負極端子とを接合する接合部材と、一方の側部において、所定の電池セルの第2の正極端子と、隣接する電池セルの第2の負極端子とを絶縁する第1の絶縁部材とをさらに備える。第1の絶縁部材は、第2の正極端子と第2の負極端子との間の距離を一定に維持するスペーサ部を内部に有し、かつ、第2の正極端子と第2の負極端子とを覆う。
【0007】
このような構成によれば、スペーサ部により、第1の側部において、所定の電池セルの第2の正極端子と、所定の電池セルに第1の方向のうちの一方の向き側で隣接する電池セルの第2の負極端子との間の距離を一定に維持することができる。これにより、第1の側部において、所定の電池セルの第1の正極端子と、所定の電池セルに隣接する電池セルの第1の負極端子との位置合わせが行える。このような状態で、接合部材を用いて、所定の電池セルの第1の正極端子と、所定の電池セルに隣接する電池セルの第1の負極端子とを接合することができる。それゆえ、第1の側部において、所定の電池セルの第1の正極端子と、所定の電池セルに隣接する電池セルの第1の負極端子との接合の精度を高めることができる。
【0008】
好ましくは、電池モジュールは、第1の側部と第2の側部とのうちの他方の側部において、所定の電池セルの第2の負極端子と、複数の電池セルのうち所定の電池セルに第1の方向のうちの他方の向き側で隣接する電池セルの第2の正極端子とを接合する接合部材と、他方の側部において、所定の電池セルの第1の負極端子と、他方の向き側で隣接する電池セルの第1の正極端子とを絶縁する第2の絶縁部材とをさらに備える。第2の絶縁部材は、第1の正極端子と第1の負極端子との間の距離を一定に維持するスペーサ部を内部に有し、かつ、第1の正極端子と第1の負極端子とを覆う。
【0009】
このような構成によれば、第2の絶縁部材のスペーサ部により、第2の側部において、所定の電池セルの第1の負極端子と、所定の電池セルに第1の方向のうちの他方の向き側で隣接する電池セルの第1の正極端子との間の距離を一定に維持することができる。これにより、第2の側部において、所定の電池セルの第2の負極端子と、所定の電池セルに他方の向き側で隣接する電池セルの第2の正極端子との位置合わせが行える。このような状態で、接合部材を用いて、所定の電池セルの第2の負極端子と、所定の電池セルに他方の向き側で隣接する電池セルの第2の正極端子とを接合することができる。それゆえ、第2の側部において、所定の電池セルの第2の負極端子と、所定の電池セルに他方の向き側で隣接する電池セルの第2の正極端子との接合の精度を高めることができる。
【0010】
好ましくは、電池モジュールは、第1の側部と第2の側部とのうちの他方の側部において、所定の電池セルの第1の負極端子と、複数の電池セルのうち所定の電池セルに第1の方向のうちの他方の向き側で隣接する電池セルの第1の正極端子とを接合する接合部材と、他方の側部において、所定の電池セルの第2の負極端子と、他方の向き側で隣接する電池セルの第2の正極端子とを絶縁する第2の絶縁部材とをさらに備える。第2の絶縁部材は、第2の正極端子と第2の負極端子との間の距離を一定に維持するスペーサ部を内部に有し、かつ、第2の正極端子と第2の負極端子とを覆う。
【0011】
このような構成によれば、第2の絶縁部材のスペーサ部により、第2の側部において、所定の電池セルの第2の負極端子と、所定の電池セルに第1の方向のうちの他方の向き側で隣接する電池セルの第2の正極端子との間の距離を一定に維持することができる。これにより、第2の側部において、所定の電池セルの第1の負極端子と、所定の電池セルに他方の向き側で隣接する電池セルの第1の正極端子との位置合わせが行える。このような状態で、接合部材を用いて、所定の電池セルの第1の負極端子と、所定の電池セルに他方の向き側で隣接する電池セルの第1の正極端子とを接合することができる。それゆえ、第2の側部において、所定の電池セルの第1の負極端子と、所定の電池セルに他方の向き側で隣接する電池セルの第1の正極端子との接合の精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電池モジュールにおいて、ラミネートタイプの電池セルの電極端子同士の接合精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ラミネートタイプの電池セルの正面図である。
【
図3】電池セルの積層方法を説明するための図である。
【
図7】一方の側部側の接合および絶縁状態を簡略化して示した模式図である。
【
図8】他方の側部側の接合および絶縁状態を示した模式図である。
【
図9】他方の側部側の接合および絶縁状態の変形例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、ラミネートタイプの電池セルの正面図である。
図2は、
図1に示した電池セルの側面図である。詳しくは、
図2は、
図1に示した電池セルを矢印902の方向から視た図である。
図1および
図2に示すように、電池セル10は、端部11,12と、電極体13と、溶接部14,15と、外装体16と、端子部材17,18とを備える。電池セル10は、扁平型である。
【0016】
端子部材17,18は、金属である。端子部材17,18は、電池セル10の正面視において、コの字状(U字状)である。端子部材17に、正極端子P1と正極端子P2とが形成されている。金属の端子部材18に、負極端子N1と負極端子N2とが形成されている。
【0017】
端部11は、電池セル10の長手方向の端部である。端部12は、端部11とは反対側の端部である。電池セル10では、端部11において、矢印901の方向に間隔を開けて、正極端子P1と正極端子P2とが形成されている。同様に、電池セル10では、端部12において、矢印901の方向に間隔を開けて、負極端子N1と負極端子N2とが形成されている。正極端子P1は、負極端子N2の反対側に位置する。正極端子P2は、負極端子N1の反対側に位置する。
【0018】
溶接部14は、電極体13と端子部材17とを溶接した箇所である。溶接部15は、電極体13と端子部材18とを溶接した箇所である。当該溶接により、正極端子P1,P2は、電極体13の正極端子として機能する。負極端子N1,N2は、電極体13の負極端子として機能する。
【0019】
電極体13は、外装体16に収容されている。電極体13は、外装体16に封止されている。溶接部14,15も外装体16に収容されている。
【0020】
外装体16は、ラミネートフィルムで構成されている。本例では、外装体16は、2枚のラミネートフィルムを貼り合わせることにより構成されている。端子部材17の部位17aと、端子部材18の部位18aとは、矢印901の方向に沿って、ラミネートフィルムで覆われている。
【0021】
電池セル10は、外装体16がラミネートフィルムで構成されているため、
図2に示すように厚みは薄い。さらに、端子部材17,18と電極体13とは端部同士が溶接されて接続されているにすぎない。このため、端子部材17,18の先端(溶接部14,15とは反対側の端部)は、それぞれ、
図2の矢印903,904の方向に変位し易い。すなわち、正極端子P1,P2と、負極端子N1,N2とは、電池セル10の厚み方向に動き易い。
【0022】
図3は、電池セル10の積層方法を説明するための図である。
図3に示されるように、各電池セル10の端部11,12の向きを交互に入れ換えて、電池セル10が積層方向に積層される。これにより、図中下側の電池セル10の正極端子P1に、矢印905の方向に積層する電池セル10(図中上側の電池セル10)の負極端子N1が隣接する。図中下側の電池セル10の正極端子P2に、図中上側の電池セル10の負極端子N2が隣接する。同様に、図中下側の電池セル10の負極端子N1,N2に、それぞれ、矢印905の方向に積層する電池セル10の正極端子P1,P2が隣接する。
【0023】
このような方法で、所定数の電池セル10を積層方向に積層する。詳しくは、冷却板を適宜挟みながら、電池セル10を積層する。その結果、積層方向において、正極端子P1と負極端子N1とが隣接し、かつ、正極端子P2と負極端子N2とが隣接する積層体が生成される。
【0024】
図4は、電池モジュールの斜視図である。
図5は、電池モジュールの上面図である。詳しくは、
図5は、
図4に示した電池モジュールを矢印906の方向から視た図である。なお、
図4および
図5においては、説明の便宜上、8つの電池セル10のみを記載し、他の電池セル10については記載を省略している。さらに、
図4および
図5においては、積層された8つの電池セル10の各々を識別可能とすべく、異なる参照符号を付している。具体的には、8つの電池セル10に対して、X軸正方向に順に、参照符号「10_1」,「10_2」,…,「10_8」を付している。
【0025】
図4および
図5に示されるように、電池モジュール100は、上述した電池セル10の積層体を含んで構成される。電池モジュール100は、複数の電池セル10に加えて、複数の冷却板20と、複数の接合部材30と、複数の絶縁部材40と、複数のワイヤハーネス52とを備える。
【0026】
複数の電池セル10を積層して積層体を生成した後に、複数の絶縁部材40が積層体に取り付けられる。その後、複数の接合部材30を用いて、正極端子と負極端子とが接合される。このような順序で、電池モジュール100が製造される。
【0027】
なお、
図4および
図5においては、4つの接合部材30の各々を識別可能とすべく、4つの接合部材30に対して、X軸正方向に順に、異なる参照符号「30_1」,「30_2」,…,「30_4」を付している。同様に、4つの絶縁部材40の各々を識別可能とすべく、4つの絶縁部材40に対して、X軸正方向に順に、異なる参照符号「40_1」,「40_2」,…,「40_4」を付している。なお、X軸方向と、積層方向とは平行である。
【0028】
本例では、電池セル10に対して2つおきに、冷却板20が配置されている。すなわち、積層方向において、2つの冷却板20の間に、2つの電池セル10が配置されている。
【0029】
電池モジュール100は、積層方向に延びた側部101をさらに有する。側部101において、各電池セル10は、上述したように、端部11と端部12とが交互に積層方向に並ぶように積層されている。このため、側部101において、正極端子P1と負極端子N1とが積層方向に交互に並ぶとともに、正極端子P2と負極端子N2とが積層方向に交互に並んでいる。
【0030】
側部101において、接合部材30_1は、電池セル10_1の正極端子P2と、電池セル10_2の負極端子N2とを接合する。詳しくは、接合部材30_1は、電池セル10_1の正極端子P2と、電池セル10_1に積層方向の一方の向き側(本例では、X軸正方向側)で隣接する電池セル10_2の負極端子N2とを接合する。
【0031】
図4に示すように、本例では、正極端子P2と負極端子N2とは、Y軸正方向に視て、L字状となっている。より詳しくは、正極端子P2と負極端子N2とは、接合部材30_1に対して対称となっている。したがって、Y軸正方向から視た正極端子P2と負極端子N2との形状がI字状となっている場合に比べ、接合部材30_1の位置決めが容易となる。なお、他の各端子も、同一の形状を有する。
【0032】
接合部材30_2は、電池セル10_3の正極端子P1と、電池セル10_4の負極端子N1とを接合する。詳しくは、接合部材30_2は、電池セル10_3の正極端子P1と、電池セル10_3に積層方向の一方の向き側(X軸正方向側)で隣接する電池セル10_4の負極端子N1とを接合する。
【0033】
接合部材30_3は、電池セル10_5の正極端子P2と、電池セル10_6の負極端子N2とを接合する。接合部材30_4は、電池セル10_7の正極端子P1と、電池セル10_8の負極端子N1とを接合する。
【0034】
各接合部材30は、本例では、2つの同じ形状の部品31を貼り合わせることにより形成されている。部品31は、板を当該板の延伸方向において異なる2箇所で屈曲させた形状を有する。部品31は、Y軸正方向に向かって、YZ平面に平行な第1部位31aと、YZ平面に対して傾斜した第2部位31bと、YZ平面に平行な第3部位31cとを有する。なお、第2部位31bの第1部位31aに対する傾斜角は、鋭角である。接合部材30では、2つの部品31の第1部位31aの一方の面同士を、第3部位31c同士が離間するように貼り合わせている。
【0035】
各接合部材30は、第3部位31c側から正極端子と負極端子との隙間に挿入され、かつ、正極端子および負極端子に溶接で接合される。具体的には、後述する絶縁部材40が取り付けられた後に、接合部材30が取り付けられる。
【0036】
側部101において、絶縁部材40_1は、電池セル10_1の正極端子P1と、電池セル10_2の負極端子N1とを絶縁する(
図7参照)。詳しくは、絶縁部材40_1は、電池セル10_1の正極端子P1と、電池セル10_1に積層方向の一方の向き側(X軸正方向側)で隣接する電池セル10_2の負極端子N1とを絶縁する。
【0037】
絶縁部材40_2は、電池セル10_3の正極端子P2と、電池セル10_4の負極端子N2とを絶縁する(
図7参照)。詳しくは、絶縁部材40_2は、電池セル10_3の正極端子P2と、電池セル10_3に積層方向の一方の向き側(X軸正方向側)で隣接する電池セル10_4の負極端子N2とを絶縁する。
【0038】
絶縁部材40_3は、電池セル10_5の正極端子P1と、電池セル10_6の負極端子N1とを絶縁する(
図7参照)。絶縁部材40_4は、電池セル10_7の正極端子P2と、電池セル10_8の負極端子N2とを絶縁する(
図7参照)。
【0039】
各絶縁部材40は、1つの正極端子と1つの負極端子とを覆うカバーである。絶縁部材40_1,40_3は、正極端子P1と負極端子N1とを覆うカバーである。絶縁部材40_2,40_4は、正極端子P2と負極端子N2とを覆うカバーである。各絶縁部材40は、典型的には、樹脂製である。各絶縁部材40から、ワイヤハーネス52が延びている。
【0040】
詳細については後述するが、電池モジュール100は、積層方向に延びた側部102(
図8)をさらに有する。側部102は、側部101とは反対側の部位である。側部102においても、各電池セル10は、上述したように、端部11と端部12とが交互に積層方向に並ぶように積層されている。このため、側部102においても、正極端子P1と負極端子N1とが積層方向に交互に並ぶとともに、正極端子P2と負極端子N2とが積層方向に交互に並んでいる。
【0041】
図6は、
図5のVI-VI線矢視断面図である。
図6に示されるように、絶縁部材40_1は、枠体41と、スペーサ部42とを有する。スペーサ部42は、枠体41の内部に設けられている。本例では、枠体41とスペーサ部42とが一体形成されている。
【0042】
絶縁部材40_1のスペーサ部42は、電池セル10_1の正極端子P1と、電池セル10_2の負極端子N1との間の距離を一定に維持する。これにより、正極端子P1が形成された端子部材17(
図1)と、負極端子N1が形成された端子部材18との位置合わせがなされる。その結果、電池セル10_1の正極端子P2と、電池セル10_2の負極端子N2との位置合わせが行える。
【0043】
このような状態で、接合部材30_1を用いて、電池セル10_1の正極端子P2と、電池セル10_2の負極端子N2とを接合することができる(
図4)。それゆえ、電池セル10_1の正極端子P2と、電池セル10_2の負極端子N2との接合の精度を高めることができる。
【0044】
さらに、絶縁部材40_1により、側部101側において、電池セル10_2の負極端子N1と、電池セル10_2の隣の電池セル10_3の正極端子P1とを絶縁することができる。よって、絶縁部材40_1により、電池セル10_2の負極端子N1と、電池セル10_3の正極端子P1との短絡を防止できる。
【0045】
絶縁部材40_1の内部において、正極端子P1に電圧検出端子51が接続されている。電圧検出端子51は、ワイヤハーネス52と接続されている。詳しくは、電圧検出端子51は、ワイヤハーネス52の電線521と接続されている。本例では、電圧検出端子51は、スペーサ部42と正極端子P1との間に挟まれている。枠体41には、ワイヤハーネス52を引き出す開口が形成されている。
【0046】
図7は、側部101側の接合および絶縁状態を簡略化して示した模式図である。絶縁部材40_1以外の他の絶縁部材40についても、絶縁部材40_1と同様の構成および機能を有する。
【0047】
図7に示すように、たとえば絶縁部材40_2により、電池セル10_3の正極端子P1と電池セル10_4の負極端子N1との接合部材30による接合の精度を高めることができる。さらに、絶縁部材40_2により、側部101側において、電池セル10_2の負極端子N2と、電池セル10_3の正極端子P2とを絶縁することができる。電池セル10_4の負極端子N2と、電池セル10_5の正極端子P2とを絶縁することができる。よって、絶縁部材40_2により、電池セル10_2の負極端子N2と電池セル10_3の正極端子P2との短絡と、電池セル10_4の負極端子N2と電池セル10_5の正極端子P2との短絡とを防止できる。
【0048】
このように、絶縁部材40により、絶縁部材40が取り付けられた2つの電池セル10の正極端子と負極端子との接合部材30による接合の精度を高めることができる。さらに、絶縁部材40で覆われた正極端子と負極端子と、積層方向(X軸正方向、X軸負方向)に沿って当該正極端子または当該負極端子の隣に位置する負極端子または正極端子との短絡を防止できる。
【0049】
図8は、側部101の反対側の側部102側の接合および絶縁状態を示した模式図である。
図8に示すように、電池モジュール100は、側部102側においても、複数の接合部材30と、複数の絶縁部材40とを備える。
【0050】
なお、
図8においては、5つの接合部材30の各々を識別可能とすべく、5つの接合部材30に対して、X軸正方向に順に、異なる参照符号「30A_1」,「30A_2」,…,「30A_5」を付している。同様に、5つの絶縁部材40の各々を識別可能とすべく、5つの絶縁部材40に対して、X軸正方向に順に、異なる参照符号「40A_1」,「40A_2」,…,「40A_5」を付している。
【0051】
電池モジュール100では、複数の電池セル10が直列に並ぶように、正極端子と負極端子とが接合されている。上述した側部101においては、電池セル10_1と電池セル10_2とが接合部材30_1によって接合されるため、側部101とは反対側の側部102においては、電池セル10_2と電池セル10_3とが接合部材30A_2によって接合されている。詳しくは、電池セル10_2の正極端子P2と電池セル10_3の負極端子N2とが接合されている。
【0052】
同様に、電池セル10_4と電池セル10_5とが接合部材30A_3によって接合されている。詳しくは、電池セル10_4の正極端子P1と電池セル10_5の負極端子N1とが接合されている。電池セル10_6と電池セル10_7とが接合部材30A_4によって接合されている。詳しくは、電池セル10_6の正極端子P2と電池セル10_7の負極端子N2とが接合されている。
【0053】
絶縁部材40A_2は、電池セル10_2の正極端子P1と、電池セル10_3負極端子N1とを絶縁する。絶縁部材40A_3は、電池セル10_4の正極端子P2と、電池セル10_5の負極端子N2とを絶縁する。絶縁部材40A_4は、電池セル10_6の正極端子P1と、電池セル10_7の負極端子N1とを絶縁する。
【0054】
側部102側においても、側部101側と同様に、絶縁部材40により、絶縁部材40が取り付けられた2つの電池セル10の正極端子と負極端子との接合部材30による接合の精度を高めることができる。さらに、絶縁部材40で覆われた正極端子と負極端子と、積層方向に沿って当該正極端子または当該負極端子の隣に位置する負極端子または正極端子との短絡を防止できる。
【0055】
図9は、側部102側の接合および絶縁状態の変形例を示した模式図である。
図9に示すように、電池モジュール100は、側部102側においても、複数の接合部材30と、複数の絶縁部材40とを備える。
【0056】
なお、
図9においては、5つの接合部材30の各々を識別可能とすべく、5つの接合部材30に対して、X軸正方向に順に、異なる参照符号「30B_1」,「30B_2」,…,「30B_5」を付している。同様に、5つの絶縁部材40の各々を識別可能とすべく、5つの絶縁部材40に対して、X軸正方向に順に、異なる参照符号「40B_1」,「40B_2」,…,「40B_5」を付している。
【0057】
本変形例では、接合部材30で接合する2つの端子と絶縁部材40で覆う2つの端子との上下関係(Z軸方向)が、
図8の状態と反対になっている。たとえば、
図8では、電池セル10_2の正極端子P2と電池セル10_3の負極端子N2とが接合部材30A_2によって接合されているのに対し、
図9では、電池セル10_2の正極端子P1と電池セル10_3の負極端子N1とが接合部材30B_2接合されている。
図8では、絶縁部材40A_2が、電池セル10_2の正極端子P1と、電池セル10_3負極端子N1とを絶縁するのに対し、
図9では、絶縁部材40B_2が、電池セル10_2の正極端子P2と、電池セル10_3負極端子N2とを絶縁する。
【0058】
このような構成によっても、
図8に示した接合および絶縁状態と同様の効果を奏する。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
10 電池セル、11,12 端部、13 電極体、14,15 溶接部、16 外装体、17,18 端子部材、20 冷却板、30,30A,30B 接合部材、40,40A,40B 絶縁部材、41 枠体、42 スペーサ部、51 電圧検出端子、52 ワイヤハーネス、100 電池モジュール、101,102 側部、N1,N2 負極端子、P1,P2 正極端子。