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特開2024-178591コンバインおよびコンバインの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178591
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】コンバインおよびコンバインの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/24 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A01D34/24 103
A01D34/24 101
A01D34/24 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096845
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】中川 直人
【テーマコード(参考)】
2B382
【Fターム(参考)】
2B382GA03
2B382GB01
2B382GC02
2B382GC03
2B382GC04
2B382GC12
2B382GC13
2B382GD02
2B382HB02
2B382HF03
2B382HF18
2B382HF19
2B382HF22
2B382HF27
2B382HG03
2B382JA02
2B382JA23
2B382JC01
2B382JD06
2B382LA09
2B382LA12
2B382LC04
2B382LC05
2B382MA29
(57)【要約】
【課題】刈取部の高さ制御を行う構成において、刈取部が地面に接触したり突っ込んだりすることを抑制することができるとともに、刈残し等の刈取り不具合を抑制することができるコンバインを提供する。
【解決手段】走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、走行機体に対する刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、制御装置は、刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、制御開始時から、走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、前記刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、前記走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、前記刈高検出装置および前記対機体高さ検出装置の検出信号に基づいて前記刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、
前記制御装置は、
前記刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
前記対機体高さ検出装置により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、前記走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間、または所定の時間が経過するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、前記刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、前記走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、前記刈高検出装置および前記対機体高さ検出装置の検出信号に基づいて前記刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、
前記制御装置は、
前記刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
前記対機体高さ検出装置により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、前記走行機体の車速が所定の速度に達するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記刈取基準高さを、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、前記所定時間毎に更新する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
刈取部の対地高さである刈高さ、および走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて前記刈取部の高さを制御するコンバインの制御方法であって、
検出する刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間、または所定の時間が経過するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバインの制御方法。
【請求項5】
刈取部の対地高さである刈高さ、および走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて前記刈取部の高さを制御するコンバインの制御方法であって、
検出する刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、走行機体の車速が所定の速度に達するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバインの制御方法。
【請求項6】
前記刈取基準高さを、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、前記所定時間毎に更新する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のコンバインの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ調整可能な刈取部を有するコンバインおよびコンバインの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンバインは、走行機体の前側に刈取部を備えるとともに、走行機体上に脱穀部を備え、走行しながら刈取部による穀稈の刈取りや脱穀部による脱穀等を行う。従来、コンバインには、刈取部を走行機体に対して昇降可能に設け、刈取部の地面からの高さである刈高さ(対地高さ)を制御するため、刈高検出装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。このような構成においては、刈高検出装置の検出信号に基づき、刈取部を昇降させる油圧シリンダ等の昇降用装置の動作が制御され、刈高さの自動制御が行われる。
【0003】
特許文献1には、刈取部の高さ制御に関し、作業開始時においては、通常の刈取作業時に比べて機体が大きく前後に傾斜しやすくなるため、作業開始に際して刈高検出装置が刈高さの検出状態に切り換わることで、その後の所定時間の間は刈取部の下降動作を停止させる制御内容が記載されている。このような刈取部の高さ制御によれば、作業開始当初は刈取部の下降動作が制限されるため、機体が大きく前後に傾斜した場合であっても、刈取部が地面に接触したり地面に突っ込んだりすることが回避されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭61-7533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような刈取部の高さ制御によれば、所定時間の間刈取部の下降動作が停止されることから、刈取部の地面に対する接触等は回避できるとしても、刈取作業時において目標の刈高さに達せずに刈残し等の刈取り不具合が発生する懸念がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、刈取部の高さ制御を行う構成において、刈取部が地面に接触したり突っ込んだりすることを抑制することができるとともに、刈残し等の刈取り不具合を抑制することができるコンバイン及びコンバインの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインは、走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、前記刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、前記走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、前記刈高検出装置および前記対機体高さ検出装置の検出信号に基づいて前記刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、前記制御装置は、前記刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、前記対機体高さ検出装置により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、制御開始時から、前記走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間、または所定の時間が経過するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とするものである。
【0008】
本発明に係るコンバインは、走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、前記刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、前記走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、前記刈高検出装置および前記対機体高さ検出装置の検出信号に基づいて前記刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、前記制御装置は、前記刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、前記対機体高さ検出装置により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、制御開始時から、前記走行機体の車速が所定の速度に達するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とするものである。
【0009】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記制御装置は、前記刈取基準高さを、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、前記所定時間毎に更新するものである。
【0010】
本発明に係るコンバインの制御方法は、刈取部の対地高さである刈高さ、および走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて前記刈取部の高さを制御するコンバインの制御方法であって、検出する刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、制御開始時から、走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間、または所定の時間が経過するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とするものである。
【0011】
本発明に係るコンバインの制御方法は、刈取部の対地高さである刈高さ、および走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて前記刈取部の高さを制御するコンバインの制御方法であって、検出する刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、制御開始時から、走行機体の車速が所定の速度に達するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とするものである。
【0012】
本発明の他の態様に係るコンバインの制御方法は、前記コンバインの制御方法において、前記刈取基準高さを、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、前記所定時間毎に更新するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、刈取部が地面に接触したり突っ込んだりすることを抑制することができるとともに、刈残しを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの右側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの刈取部の構成を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る分草部および刈高検出装置の構成を示す左側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る刈高検出装置およびその支持構成を示す左前方斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る刈高検出装置およびその支持構成を示す左側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る刈高検出装置およびその支持構成を示す右側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る刈高検出装置の平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るセンサユニットを示す前方斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係るコンバインの制御構成を示すブロック図である。
図11】本発明の一実施形態に係るコンバインが有する刈取作業用の操作部の一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る自動刈高さスイッチ、およびモード表示部の動作状態の一例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る昇降範囲制限制御についての説明図である。
図14】本発明の一実施形態に係る刈取部の昇降制御の第1の制御態様についての説明図である。
図15】本発明の一実施形態に係る刈取基準高さの算出・更新についての説明図である。
図16】本発明の一実施形態に係る刈取部の昇降制御の第2の制御態様についての説明図である。
図17】本発明の一実施形態に係る刈取部の昇降制御の第3の制御態様についての説明図である。
図18】本発明の一実施形態に係る制御装置による刈取基準高さに関する処理の一例を示すフローチャートである。
図19】刈取部の昇降制御における課題についての説明図である。
図20】刈取部の昇降制御における課題についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、高さ調整可能な刈取部を有し、刈取部の高さである刈高さの検出値に基づいて刈取部の高さを制御する構成において、制御開始から初期段階での制御とその後の制御とで制御内容を分けること等により、刈取部が地面に接触したり突っ込んだりすることを抑制するとともに、刈残し等の刈取り不具合を抑制しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
[コンバインの全体構成]
図1および図2を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方(図1における左方)に向かって左側および右側を、それぞれコンバイン1における左側および右側とする。
【0017】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るコンバイン1は、左右一対のクローラ部3,3を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部2と、走行部2により支持された走行機体4とを備える。走行機体4は、コンバイン1の車体の枠状の構造部を含む。コンバイン1は、走行機体4上に搭載された駆動源としてのエンジン11を備える。
【0018】
走行機体4の前部には、圃場の稲、麦等の穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部5が設けられている。走行機体4上には、刈取部5により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部6と、脱穀部6から取り出された穀粒を貯留する穀粒タンク7とが、横並び状に設けられている。脱穀部6は機体左側に、穀粒タンク7は機体右側にそれぞれ配置されている。コンバイン1は、走行部2により走行しながら刈取部5による穀稈の刈取りや脱穀部6による脱穀等を行う。
【0019】
走行部2を構成する各クローラ部3は、走行機体4の下方において前後方向に延設されたトラックフレーム3aと、トラックフレーム3aに支持された駆動スプロケット3b等の各種回転体と、これらの回転体に巻回された履帯3cとを有する。クローラ部3は、駆動スプロケット3bにおいてエンジン11の動力の伝達を受けて駆動する。
【0020】
刈取部5は、エンジン11からの駆動力によって駆動し、穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を脱穀部6等に搬送する。刈取部5は、走行機体4の前側において、コンバイン1の機体幅の略全体にわたって設けられている。刈取部5は、走行機体4に対して昇降可能に設けられている。なお、図2は、刈取部5を図1に示す状態に対して下降させた状態を示している。
【0021】
脱穀部6は、前後方向を回転軸方向とする扱胴6aと、扱胴6aの左方に設けられた穀稈供給装置とを有する。穀稈供給装置は、刈取部5により刈り取られた穀稈の株元を挟持して穂先を扱胴6a側とした横臥姿勢で穀稈を後方へ搬送する。穀稈供給装置は、左右方向を回転軸方向とする複数のスプロケットに巻回されたフィードチェン6bと、これと協動して穀稈の株元を挟扼する穀稈供給挟扼体6cとを含んで構成されている。
【0022】
走行機体4上における脱穀部6の下方には、脱穀部6により脱穀処理された処理物を選別処理する選別部8が設けられている。選別部8は、揺動選別装置8aと、風選別装置および穀粒搬送装置とを有する。選別部8は、脱穀部6から落下してきた処理物を揺動選別装置8aにより揺動選別し、揺動選別後の処理物を風選別装置により風選別する。選別部8は、風選別後の処理物のうち、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて右方へ搬送し、藁屑や塵埃などを風選別装置により後方へ飛ばして機体の外部に排出する。穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて搬送された穀粒は、穀粒タンク7に貯留される。
【0023】
走行機体4上の右側後端部には、穀粒タンク7内の穀粒を外部へ排出する穀粒排出装置としての排出オーガ9が旋回可能に設けられている。排出オーガ9は、先端部に排出口9aを有し、穀粒タンク7に貯留されている穀粒を排出口9aから排出する。排出口9aから排出された穀粒は、トラックの荷台やコンテナ等に投入される。
【0024】
走行機体4上において、脱穀部6の後方には、脱穀部6による脱穀処理後の排藁を処理する排藁処理部10が設けられている。排藁処理部10は、排藁搬送装置10aと、排藁切断装置10bとを有する。排藁搬送装置10aは、脱穀部6により脱穀済みの穀稈(排稈)を後方に搬送して機体の外部に排出するかあるいは排藁切断装置10bに搬送する。排藁切断装置10bは、排藁搬送装置10aから搬送された排稈を切断して機体の外部に排出する。
【0025】
走行機体4上において、刈取部5の右方であって穀粒タンク7の前方には、キャビン13により覆われた運転部14が設けられている。運転部14の前部には、操向操作部としてのハンドル部15が設けられており、ハンドル部15の後方に、運転席16が設けられており、運転席16の側方に、主変速レバー17を含む各種操作具や、ダイヤル、スイッチ等の各種の操作部群300等をサイドコラム19に対して配設した側方操作部12が設けられている(図11参照)。
【0026】
運転部14の下方にはエンジン11を含む原動機部が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンである。エンジン11の動力は、変速装置等を介して、コンバイン1が各部において備える各種装置に伝達される。
【0027】
刈取部5について、図1から図3を用いて説明する。刈取部5は、刈取フレームとしての刈取支持機枠20を有し、この刈取支持機枠20に、分草板21、引起装置22、掻込装置23、刈刃装置24、穀稈搬送装置25等を支持させて構成されている。刈取部5が有する各装置は、エンジン11から動力が伝達されることで作動する。
【0028】
分草板21は、刈取部5が有する分草部50を構成する分草体の一例であり、刈取部5の前部に設けられている。分草板21は、先細り形状を有し、圃場に植生する穀稈を分草する。引起装置22は、分草板21の後側に設けられており、チェンで連結された複数のタイン22aを動作させることで、倒伏している穀稈を引き起こす。
【0029】
掻込装置23は、引起装置22の後側に設けられており、チェン駆動する搬送機構23aや回転パッカー23b等を含んで構成されており、穀稈を掻き込む。なお、図3においては、掻込装置23のうち、左側の端部に設けられた構成部分のみを示し、他の構成部分についての図示を省略している。
【0030】
刈刃装置24は、引き起された穀稈の株元を切断するバリカン型の装置である。穀稈搬送装置25は、刈り取られた穀稈を搬送する装置であり、複数条の刈取り穀稈を合流して後上方へ挟持搬送し、脱穀部6のフィードチェン6bの始端部に横倒れ姿勢で受け渡す。
【0031】
図1に示すように、刈取支持機枠20は、走行機体4の前側において前下がり状に配された支持フレーム26により支持されている。支持フレーム26は、機体左右方向の略中央部に設けられており、支持フレーム26の前側に、刈取支持機枠20が設けられている。
【0032】
図3に示すように、刈取支持機枠20は、機体の左右方向に延伸した横フレーム31と、横フレーム31から前方に延出した複数の分草フレーム32,34とを有する。刈取支持機枠20は、横フレーム31において支持フレーム26による支持を受ける。
【0033】
横フレーム31は、角パイプ状の部材からなる直線状のフレーム部分である。分草フレーム32,34は、丸パイプ状の部材からなるフレーム部分であり、所定の屈曲形状または湾曲形状を有し、平面視で前後方向に延伸している。分草フレーム32,34は、後端部または後部を横フレーム31に固定支持させることで、片持ち状に支持されている。
【0034】
複数の分草フレーム32,34は、左右方向に所定の間隔を隔てて、並列配置されている。分草フレーム32,34は、コンバイン1の刈取りの条数よりも1つ多い本数設けられる。本実施形態に係るコンバイン1は6条刈りであり、7本の分草フレーム32,34が設けられている。7本の分草フレーム32,34のうち、左から2番目、6番目にそれぞれ位置する分草フレーム34は、他の複数の(5本の)分草フレーム32と異なる形状を有する。
【0035】
左右に隣り合う分草フレーム32,34間に、引起装置22が配置されており、合計6台の引起装置22が設けられている。引起装置22の下部が、各分草フレーム32,34の前部に図示せぬ支持ステー等を介して連結支持されている。また、各分草フレーム32,34の前部に、分草板21が取り付けられている。なお、複数の分草板21としては、比較的大きいものと比較的小さいものとの2種の分草板21が所定の配置で設けられている。本実施形態では、4つの比較的大きい分草板21と3つの比較的小さい分草板21とが左右方向について交互に配置されている。
【0036】
以上のような構成を備えた刈取部5は、走行機体4に対して、昇降用装置としての刈取昇降シリンダ18(図1参照)を介して所定の回動軸回りに回動可能に装着されている。つまり、刈取部5は、刈取昇降シリンダ18の伸縮動作による回動動作によって走行機体4に対して昇降可能に設けられている。刈取昇降シリンダ18は、油圧シリンダであり、走行機体4と支持フレーム26との間に設けられている。支持フレーム26の後端部が、刈取昇降シリンダ18による刈取部5の昇降動作の回動支点として走行機体4に対して左右方向の軸回りに回動可能に支持されている。
【0037】
以上のように、コンバイン1は、刈取部5を走行機体4に対して昇降可能に設けている。そして、コンバイン1は、刈取部5の地面30からの高さである刈高さ(対地高さ)を制御するため、刈高検出装置40と、制御装置200(図10参照)とを備える。このような構成においては、刈高検出装置40の検出信号に基づき、制御装置200により、刈取部5を昇降させる刈取昇降シリンダ18の動作が制御され、刈高さの自動制御が行われる。
【0038】
刈取昇降シリンダ18の動作は、制御弁である電磁弁の動作制御によって制御される。制御装置200は、刈高検出装置40の検出信号に基づいて、刈取昇降シリンダ18の制御弁の動作を制御することで、刈高さを制御する。
【0039】
刈高さの自動制御は、刈高検出装置40の検出信号に基づいて、刈取部5の刈高さを設定値に維持するように、刈取昇降シリンダ18の制御弁の動作を制御し、刈取部5を自動的に昇降制御するものである。刈高さの自動制御において、制御装置200は、刈高検出装置40により検出された刈高さがあらかじめ設定された目標値(以下「刈高目標値」という。)となるように刈取部5の高さを制御する。
【0040】
すなわち、制御装置200は、検出された刈高さが刈高目標値を下回っている場合は、刈取部5を上昇させ、検出された刈高さが刈高目標値を上回っている場合は、刈取部5を下降させることで、刈取部5の高さが刈高目標値に対応した高さに保持されるように刈取部5の昇降制御を行う。
【0041】
また、刈高さの自動制御において、刈高目標値は、所定の範囲内の値(幅を持った値)として設定されてもよい。この場合、制御装置200は、検出された刈高さが刈高目標値の下限値を下回っている場合は、刈取部5を上昇させ、検出された刈高さが刈高目標値の上限値を上回っている場合は、刈取部5を下降させることで、刈取部5の高さが刈高目標値に対応した高さの範囲内に保持されるように刈取部5の昇降制御を行う。
【0042】
運転部14には、刈高さ調整用の操作部が設けられており、例えば、刈高さの自動制御中において、刈高さ調整用の操作部の操作による刈高さの調整を優先させる制御が行われる。刈高さ調整用の操作部として、刈取部5を昇降操作させるための刈取昇降レバー35(図10参照)が設けられている。
【0043】
刈取昇降レバー35によれば、刈取昇降レバー35の手動操作により、制御装置200を介して刈取昇降シリンダ18の制御弁の動作が制御され、刈取部5が昇降操作される。刈取昇降レバー35を中立位置から上昇側に操作することで、刈取昇降シリンダ18が伸長するように制御され、刈取部5が上昇する。刈取昇降レバー35を中立位置から下降側に操作することで、刈取昇降シリンダ18が収縮するように制御され、刈取部5が下降する。なお、刈高さ調整用の操作部は、例えばスイッチ操作部(刈取昇降スイッチ)等、レバー以外の操作具により構成されたものであってもよい。
【0044】
また、運転部14には、刈取部5の操作を行うための操作部として、刈取部5を設定した所定の高さ位置まで上昇させる刈取オートリフトスイッチ36と、刈取部5を設定した所定の高さ位置まで下降させる刈取オートセットスイッチ37が設けられている。エンジン11始動後、刈取クラッチがONの状態で、刈取オートリフトスイッチ36がON操作されることで、刈取昇降シリンダ18の伸長駆動をともない、刈取部5があらかじめ設定された所定の高さ位置となるまで自動的に上昇する。また、エンジン11始動後、刈取クラッチがONの状態で、刈取オートセットスイッチ37がON操作されることで、刈取昇降シリンダ18の収縮駆動をともない、刈取部5があらかじめ設定された所定の高さ位置となるまで自動的に下降する。刈取オートリフトスイッチ36および刈取オートセットスイッチ37は、例えば主変速レバー17に操作ボタンとして配置される。これらのスイッチ操作による刈取部5の昇降中においては、刈取昇降レバー35の操作による刈取部5の昇降操作が優先される。なお、刈取クラッチは、運転部14に配置された作業クラッチレバー等のクラッチ操作具の操作によってONの状態とされる。
【0045】
本実施形態では、刈高検出装置40は、7個の分草板21のうち、左から2番目、6番目にそれぞれ位置する分草板21Aの後側に配置されている(図3参照)。分草板21Aは、他の分草フレーム32と形状が異なる分草フレーム34により支持されている。分草板21Aは、2種の分草板21のうち比較的小さい分草板21である。このように、コンバイン1は、2つの刈高検出装置40を備えている。ただし、コンバイン1が備える刈高検出装置40の数や刈高検出装置40を設ける位置は限定されるものではない。刈高検出装置40は、例えば、左端または右端の分草板21の後側の1箇所に設けられてもよい。
【0046】
[刈高検出装置の構成]
刈高検出装置40の構成について、図4から図9を用いて説明する。図4から図9に示すように、刈高検出装置40は、装置本体41と、接地体42と、刈高さ検出用のセンサである刈高センサ43と、装置本体41を支持する部材であるユニット支持体44とを備える。
【0047】
刈高検出装置40において、装置本体41、接地体42、および刈高センサ43により、一体的なセンサユニット45が構成されており(図9参照)、このセンサユニット45が、ユニット支持体44に対して左右方向の軸回りに回動可能に支持されている。ユニット支持体44は、分草部50に対して、前後方向の軸回りに回動可能に支持されている。
【0048】
刈高検出装置40は、全体として、分草部50に対して前後方向の軸回りに回動可能に支持されるとともに、センサユニット45を、ユニット支持体44に対して左右方向の軸回りに回動可能に支持させている。刈高検出装置40の前後方向軸回りの回動、およびセンサユニット45の左右方向軸回りの回動は、刈高検出装置40に作用する外力に応じて行われる。以下では、刈高検出装置40に外力が作用していない状態を基準状態とし、基本的に基準状態の刈高検出装置40について説明する。
【0049】
センサユニット45において、装置本体41は、例えば金属製の鋳物で構成されたケース51内に、各種のギアやバネ等を所定の軸に支持させた構成を有する。ケース51は、ケース51の本体部をなす右ケース体52と、右ケース体52の左側を蓋状に覆う左ケース体53とによる左右二分割構造を有する。右ケース体52と左ケース体53は、側面視でケース51の周囲の4箇所で固定ボルト55により互いに固定されている。ケース51は、側面視において前後方向(図6における左右方向)を長手方向とした概略矩形状の外形を有する。ケース51は、側面視において上辺側を上側に凸の山型形状としている。
【0050】
センサユニット45において、接地体42は、ケース51の後端の後側から下方に延出している。また、刈高センサ43は、ケース51の右側面部に付設された態様で設けられている。
【0051】
ユニット支持体44は、幅狭の板状部材が平面視で所定の形状をなすように屈曲形成された態様の部材であり、前後方向に延伸している。ユニット支持体44は、図8に示すように、主にユニット支持体44の左側の部分を構成する第1支持体46と、主にユニット支持体44の右側の部分を構成する第2支持体47とを有する。
【0052】
ユニット支持体44は、前後方向に細長い左側面部44aと、左側面部44aの前端部から右方に向けて直角状をなすように形成された前面部44bと、前面部44bの右端部から後方に向けて形成され前後方向に細長い右側面部44cとを有する。ユニット支持体44をなすこれらの面部は、いずれも縦面部である。すなわち、第1支持体46および第2支持体47は、いずれも平面視で所定の形状をなすように屈曲形成された態様の板状部材であり、これらの支持体によって左側面部44a、前面部44bおよび右側面部44cが形成されている。
【0053】
図8に示すように、第1支持体46は、ユニット支持体44の左側面部44aをなす外側壁面部46aと、ユニット支持体44の前面部44bの一部をなす前側壁面部46bと、前側壁面部46bの右端部から後方に向けて直角状をなすように形成された内側壁面部46cとを有する。第1支持体46は、外側壁面部46a、前側壁面部46bおよび内側壁面部46cにより、平面視で略「J」字状の屈曲形状をなしている。また、図8に示すように、第2支持体47は、ユニット支持体44の右側面部44cをなす側壁面部47aと、ユニット支持体44の前面部44bの一部をなす前側壁面部47bと、側壁面部47aと前側壁面部47bによる角部に形成され底面視で面取り形状をなす斜面壁面部47cとを有する。
【0054】
ユニット支持体44の左側面部44a(第1支持体46の外側壁面部46a)は、左右方向を板厚方向とする前後に細長い板状の部分である。左側面部44aは、前後方向について、後端部の位置を、ケース51の後端部よりも後方に延出させている。ユニット支持体44の前面部44bは、前後方向を板厚方向とする板状の部分である。前面部44bは、第1支持体46の前側壁面部46bと、第2支持体47の前側壁面部47bとにより形成されている。
【0055】
第1支持体46および第2支持体47は、前側壁面部46b,47b同士の重なり部分を貫通するネジ体48およびナット49により締結固定されることで、互いに連結されている。ネジ体48は、ネジ部を第2支持体47の前側壁面部47bから前方に突出させており、この突出部分にナット49が螺合している。ネジ体48による固定部は、上下2箇所に設けられている。
【0056】
ユニット支持体44の右側面部44c(第2支持体47の側壁面部47a)は、左右方向を板厚方向とする前後に細長い板状の部分であり、左側面部44aに対して左右方向に対向するように設けられている。右側面部44cは、前後方向について、後端部の位置を、ケース51の後端部と略同じ位置としている。
【0057】
ユニット支持体44は、上下を開放させるとともに、左側面部44a、前面部44b、および右側面部44cにより、平面視で、前後方向を長手方向とした略矩形状に沿う形状を有する。ユニット支持体44は、左側面部44a、前面部44b、および右側面部44cを、それぞれセンサユニット45(図9参照)の左側方、前方、および右側方に位置させ、センサユニット45の周囲を囲む周壁部を構成している。すなわち、センサユニット45は、平面視において、略全体を、ユニット支持体44により囲まれた空間部分に位置するように設けられている。センサユニット45は、前後方向および左右方向について、略全体をユニット支持体44の内側に位置させている。
【0058】
センサユニット45の各部について説明する。装置本体41は、第1軸である前側固定軸61に上下回動可能に設けられている。前側固定軸61は、左右方向を軸方向とする支軸であり、第1軸心P1を中心としてセンサユニット45を回動可能に支持する(図6図8参照)。
【0059】
前側固定軸61は、装置本体41において、ケース51の前端部近傍に位置している。前側固定軸61は、右端部を、第1支持体46の内側壁面部46cに対して支持プレート56を介して固定させた状態で、内側壁面部46cから左方に向けて延出している。前側固定軸61は、内側壁面部46cに対して片持ち状に支持された固定軸である。支持プレート56は、内側壁面部46cの内側(左側)に重なった状態で、ボルト57により上下2箇所で固定されている。なお、前側固定軸61は、ユニット支持体44に対して固定された軸であればよい。前側固定軸61は、ケース51に対して相対回転可能に支持されている。つまり、ケース51は、前側固定軸61に対して回動可能に支持されている。
【0060】
このように、センサユニット45は、ユニット支持体44に固設された固定軸である前側固定軸61に対して、左右方向を軸方向として片持ち支持の状態で上下回動可能に設けられている(図6、矢印A1参照)。すなわち、ユニット支持体44は、前側固定軸61によってセンサユニット45の装置本体41を第1軸心P1回りに上下回動可能に支持している。
【0061】
ユニット支持体44に対するセンサユニット45の第1軸心P1回りの回動に関し、センサユニット45は、ケース51内に設けられたバネ等の弾性部材であるケース戻し部材により、下方回動方向(左側面視で右回り方向)に付勢されている。ケース戻し部材は、例えば、コイル状の本体部の両端側を直線状の延出部としたトーションバネである。この場合、ケース戻し部材は、本体部に前側固定軸61を貫通させ、一方の延出部を前側固定軸61側に係止させるとともに他方の延出部をケース51側に係止させた状態で設けられ、前側固定軸61側に対してケース51を下側に押し下げる力を作用させる。これにより、センサユニット45が、前側固定軸61の軸回りに下方に回動する方向に付勢される。
【0062】
また、前側固定軸61のケース51からの右方への突出部分には、センサユニット45を前側固定軸61に対して下方回動方向に付勢するためのケース戻しバネ58が設けられている(図8参照)。ケース戻しバネ58は、コイル状の本体部の両端側を直線状の延出部58aとしたトーションバネである。
【0063】
ケース戻しバネ58は、本体部に前側固定軸61を貫通させ、一方の延出部58aをケース51の右ケース体52の前部の右側に形成された係止孔部52a(図7参照)に挿入させて係止させるとともに、他方の延出部58aをユニット支持体44の前面部44bに所定の態様で係止させた状態で設けられ、前側固定軸61側に対してケース51を下側に押し下げる力を作用させる。これにより、センサユニット45が、前側固定軸61の軸回りに下方に回動する方向に付勢される。
【0064】
一方、ユニット支持体44に対するセンサユニット45の回動に関し、ケース51に設けられたケースストッパボルト59により、センサユニット45の下方への回動が基準状態の位置で規制されている。ケースストッパボルト59は、左ケース体53の上縁部の前後中間部に左方から螺挿されており、頭部を左ケース体53から左方に向けて突出させている。
【0065】
このような構成により、基準状態において、センサユニット45は、ケースストッパボルト59の頭部をユニット支持体44の左側面部44aの上縁に当接させることで、ユニット支持体44に対する下方への相対回動を不能としている。なお、ユニット支持体44に対するセンサユニット45の係止部は、左ケース体53の一部として突出形成された突起部分であってもよい。
【0066】
このように、センサユニット45は、前側固定軸61回りの回動について、下方回動方向に付勢された状態で、基準状態からのユニット支持体44に対する下方回動が規制されている。したがって、センサユニット45を前側固定軸61回りに上方に回動させるような地面30等からの外力がセンサユニット45に作用することで、センサユニット45は、ケース51内のケース戻し部材およびケース戻しバネ58の付勢力に抗して上方に回動する。上方に回動した状態のセンサユニット45は、外力の作用が解除されることで、ケース戻しバネ58等の付勢力によって自動的に下方に回動し、ケースストッパボルト59のユニット支持体44に対する係止作用によって基準状態の位置に戻る。
【0067】
接地体42は、装置本体41に対して前側固定軸61の後方に位置する第2軸である後側回動軸62により回動可能に支持されている。後側回動軸62は、左右方向を軸方向とする支軸であり、第2軸心P2を中心として、装置本体41のケース51に対して接地体42を回動可能に支持する。
【0068】
後側回動軸62は、ケース51の後端部近傍に位置し、ケース51に対してブッシュ等の軸受部材を介して相対回転可能に支持されている。後側回動軸62のケース51から右方への突出部分に、接地体42が固設されている。接地体42は、装置本体41から下方に延出した部分である接地体本体部42aと、後側回動軸62に対する支持部分である支持アーム部42bとを有する。接地体本体部42aおよび支持アーム部42bは、いずれも所定の形状を有する板状の部分である。
【0069】
接地体本体部42aは、上側から下側にかけて徐々に幅(左右方向の寸法)を広げた下広がりの形状を有するへら状の部分である。支持アーム部42bは、ケース51の直後方に位置する接地体本体部42aの上端部から、ケース51に沿うように右前側に延出され、後側回動軸62に固定されている。支持アーム部42bは、その前部に後側回動軸62の右端部を貫通させ、ナット68等により後側回動軸62に締結固定されている。後側回動軸62の右端部には、ナット68の螺合を受けるネジ部が形成されている。
【0070】
このように、接地体42は、後側回動軸62に固定され、第2軸心P2を中心として後側回動軸62と一体的に回動する。接地体42は、その回動範囲において、ケース51に干渉しないように設けられている。接地体42の回動位置に関し、基準状態の刈高検出装置40における接地体42の位置を基準位置とする。
【0071】
接地体42は、装置本体41に対する後側回動軸62回りの相対回動として、次のような回動を行う。すなわち、接地体42は、先端を地面30に接触させた状態で、コンバイン1が前進することによる地面30からの引きずり抵抗(接地摺動抵抗)により、先端側を後方に移動させるように回動(後方回動)する(図6、矢印C1参照)。一方、接地体42は、コンバイン1が後進することによる接地摺動抵抗により、先端側を前方に移動させるように回動(前方回動)する(図6、矢印C2参照)。
【0072】
刈高センサ43は、接地体42の後側回動軸62回りの回動量を検出するセンサである。刈高センサ43は、刈高検出装置40が備える第3軸である中間回動軸70に対して設けられ、中間回動軸70の回動量から、接地体42の後側回動軸62回りの回動量を検出する。
【0073】
中間回動軸70は、左右方向を軸方向とする支軸であり、第3軸心P3を中心として、装置本体41のケース51に対してブッシュ等の軸受部材を介して相対回動可能に支持されている。中間回動軸70は、前後方向について、前側固定軸61と後側回動軸62の中間に位置している。
【0074】
刈高センサ43は、ロータリ型のポテンショメータであり、中間回動軸70および後側回動軸62を介して、接地体42の回転位置を検出する。刈高センサ43は、右ケース体52の右側面部に対して、ボルト73により上下2箇所で右ケース体52に固定されている(図7参照)。
【0075】
刈高センサ43は、中間回動軸70の右端部の連結を受け、中間回動軸70を検出軸として、直接的には中間回動軸70の第3軸心P3回りの回転位置を検出する。刈高センサ43は、本体部43aと、本体部43aにおいて信号線を接続させるコネクタ部43bを有する。コネクタ部43bには、信号線としてのワイヤハーネス(図示略)の一端側が接続される。刈高センサ43は、ワイヤハーネスにより、走行機体4側に備えられた制御装置200に接続されている。なお、刈高センサ43は、制御装置200に対する接続構成として、本体部から信号線を直接延出させた構成を有するものであってもよい。
【0076】
中間回動軸70は、接地体42の回動にともなう後側回動軸62の回転動力の伝達を受けて回動する。中間回動軸70は、後側回動軸62および中間回動軸70の各軸に対して設けられたギア等を介して、後側回動軸62の回転動力の伝達を受ける。中間回動軸70の回動が、刈高センサ43によって検出される。なお、接地体42は、ケース51内に設けられたバネ等の弾性部材である接地体戻し部材が用いられ、接地体戻し部材やケース戻し部材等の付勢力(トルク)の設定等により、後側回動軸62回りの回動について、外力の作用を受けていない状態で所定の基準位置に位置決めされるように設けられている。
【0077】
以上のような構成を備えた刈高検出装置40において、接地体42は、基準位置より後方に位置する状態では、前側固定軸61軸回りの回動を停止させた状態の装置本体41に対し、後側回動軸62回りに回動するように設けられている。すなわち、例えばコンバイン1の機体前進時等において、接地体42が前方からの押圧作用を受けることで基準位置よりも後側に回動した状態では、装置本体41は前側固定軸61回りに回動することなく、接地体42のみが装置本体41に対して後側回動軸62回りに相対回動することとなる。
【0078】
そして、刈高センサ43は、接地体42の基準位置から後方への回動量を検出する。すなわち、接地体42が基準位置にある状態からの接地体42の装置本体41に対する後方への相対回動が、刈高さを検出するための回動として、刈高センサ43によって検出される。
【0079】
一方、接地体42の装置本体41に対する相対回動に関し、接地体42の基準位置から前方への回動については、ケース51の上昇回動をともなうことになる。すなわち、接地体42の基準位置から前方への回動においては、接地体42の回動に連動して、装置本体41が全体的に前側固定軸61回りに上昇回動することとなる。ここで、装置本体41に対する接地体42の基準位置から前方への相対回動においては、中間回動軸70は回動することなく、刈高センサ43による中間回動軸70の回動の検出は行われない。
【0080】
以上のように、刈高検出装置40は、装置本体41に対する接地体42の基準位置からの後方への回動状態において、刈高センサ43による接地体42の回動量の検出が行われるように構成されている。
【0081】
以上のような構成を備えた刈高検出装置40により、コンバイン1は、刈高センサ43による検出信号に基づいて刈取部5の高さ(刈高さ)を検出する。上述のとおり、刈高検出装置40は、接地体42の後方回動を検出するものであるため、主にコンバイン1の機体前進時において、刈高さの検出を行う。
【0082】
刈高検出装置40において、刈高センサ43は、接地体42の回動に連動して回動する中間回動軸70の回動位置を検出することで、分草板21の地面30からの高さ、つまり刈高さを検出する。刈高センサ43の検出信号は、ワイヤハーネスにより制御装置200に送られる。制御装置200は、刈高センサ43からの検出信号の入力を受け、その検出信号に基づき、検出結果から算出される刈高さを設定値に保持するように、刈取昇降シリンダ18(図1参照)を動作させ、刈高さを調整する。
【0083】
装置本体41のケース51の外側に刈高センサ43を取り付けた構成において、装置本体41には、刈高センサ43を被覆するセンサカバー170が設けられている。センサカバー170は、ボルト176によりケース51に固定されている。
【0084】
[刈高検出装置の支持構成]
図4から図8を用いて、刈高検出装置40の支持構成について説明する。刈高検出装置40は、分草部50に対するユニット支持体44の支持構成により、前後方向に沿う軸心線O1(図6図8参照)を中心に、左右に揺動するように回動可能に支持されている。
【0085】
図4から図8に示すように、分草部50は、刈取部5の下部に設けられた分草フレーム34と、分草フレーム34の前側に設けられた分草板21とを含む。ここで、刈高検出装置40の支持に関する分草板21および分草フレーム34は、左から2番目、6番目にそれぞれ位置する分草板21Aおよび分草フレーム34である(図3参照)。
【0086】
分草フレーム34は、後端側から前端側にかけて、前下がりの傾斜部分である後側傾斜部101と、水平状の部分である中間水平部102と、中間水平部102とともに鈍角状の角部をなす前上がりの傾斜部分である前側傾斜部103とを有する。中間水平部102および前側傾斜部103は、湾曲状の角部104を形成している。分草フレーム34は、後側傾斜部101の後端部を基端部とし、前側傾斜部103の前端部を先端部とする。分草フレーム34は、後側傾斜部101の後端部を横フレーム31の上方に位置させ、横フレーム31に固設された所定の支持部材105を介して、後側傾斜部101を横フレーム31に固定させている(図4参照)。
【0087】
分草板21は、分草板本体121と、分草板本体121の後側に設けられたリブ板部122とを有する。分草板本体121は、平面断面視において前側を凸側とする板状の部材であり、正面視および平面視において後側から前側にかけて徐々に幅狭となる先鋭形状を有する。分草板本体121は、側面視において前下がりかつ後下側を凸側とした湾曲形状を有する。リブ板部122は、左右方向を板厚方向とする板状の部分であり、分草板本体121の正面板部の後側において、分草板本体121と一体の部分として設けられている。分草板本体121にリブ板部122を設けた構成は、略左右対称な形状を有する。
【0088】
また、分草部50は、分草板21の後側に設けられた分草板支持部材としてのヒッチ125を含む。ヒッチ125は、長手状の板状部材であり、その長手方向を、分草板21の後上がりの傾斜に沿わせるように、後上がりの傾斜状に設けられている。ヒッチ125は、ヒッチ支持板124を介して分草フレーム34に固定されている。ヒッチ支持板124は、左右方向を板厚方向とする板状の部材であり、分草フレーム34の前側傾斜部103に対して溶接等により固設されている。
【0089】
ヒッチ125は、ヒッチ支持板124に対して後部を左側から重ねた状態で、前後2箇所でボルト127およびナット128によりヒッチ支持板124に締結固定されている。ヒッチ125に対して、分草板21が取り付けられている。分草板21は、ヒッチ125の前部に対して、リブ板部122の後部を右側から重ねた状態で、前後2箇所でボルト141およびナット142によりヒッチ125に締結固定されている。このように、ヒッチ125は、分草フレーム34に固定されることで、分草フレーム34の前方に分草板21を支持する。
【0090】
以上のような構成を備えた分草部50に対して、刈高検出装置40は、前後方向の軸回りに回動可能に支持されている。刈高検出装置40は、その前側に、分草部50に対する支持部分として軸支部130を有し、この軸支部130により、前後方向の軸心線O1を回動軸として回動可能に支持されている。
【0091】
軸支部130は、分草板21の後側に設けられている。軸支部130は、分草板21の後側に設けられた支持部であるボス部132と、ユニット支持体44の前端部に設けられ、ボス部132に支持された支持軸部131とを有する。軸支部130は、ユニット支持体44の前面部44bの前側壁面部46bから前方に向けて突設された支持軸部131を、ヒッチ125の下端部に設けられたボス部132に支承させた構成を有する。つまり、刈高検出装置40の前端部側は、ボス部132を介してヒッチ125に取り付けられている。
【0092】
支持軸部131は、ユニット支持体44と一体の部分として、前側壁面部46bから前方に向けて突出しており、軸心を軸心線O1に一致させている。ボス部132は、後側を開口させた中空円筒状の部分であり、円筒状の部材をヒッチ125の下端部に固定することで設けられている。支持軸部131は、前部をボス部132内に挿入させた状態でブッシュ等の軸受部材を介してボス部132に回動可能に支持されるとともに、止めネジ137およびロックナット138によってボス部132に対して抜け止めされている(図8参照)。
【0093】
このように、軸支部130は、分草板21に対して、ヒッチ125を介して、ボス部132により、ユニット支持体44の前部に設けられた支持軸部131を支承している。これにより、軸支部130は、分草部50に対して、刈高検出装置40の前側を、前後方向を回動軸として回動可能に支持している。刈高検出装置40は、軸支部130により、分草部50に対して片持ち支持されている。
【0094】
以上のように、刈高検出装置40は、分草部50に対してユニット支持体44を前後方向の軸心線O1回りに回動可能に支持させることで、ユニット支持体44に支持されたセンサユニット45を左右揺動可能に支持させている。
【0095】
刈高検出装置40は、前後方向の軸回りの回動について、軸支部130に設けられた戻しバネ147により、所定の中立位置に位置するように弾性的に位置決めされている。戻しバネ147は、いわゆるトーションバネであり、コイル状の部分にボス部132の後部を貫通させるとともに、ボス部132の上方において前側壁面部46bから前方に向けて突設された係止ピン148に係止されている。
【0096】
戻しバネ147は、係止ピン148の左右両側に両端の延出部147aを位置させ、延出部147aにより係止ピン148を左右両側から弾性力を持って挟持している。また、戻しバネ147は、係止ピン148の上方に位置するヒッチ125の下部の左右両側に延出部147aを位置させ、左右の延出部147aにより弾性力を持ってヒッチ125を挟持している。
【0097】
このような構成によれば、刈高検出装置40を軸心線O1回りに回動させる所定の大きさ以上の外力が刈高検出装置40に作用すると、刈高検出装置40は、回動方向に応じて係止ピン148により一方の延出部147aを押すとともに他方の延出部147aをヒッチ125に係止させた状態で、戻しバネ147の弾性力に抗して回動する。そして、外力の作用が無くなると、戻しバネ147の弾性力によって刈高検出装置40が中立位置に復帰する。
【0098】
[刈高検出装置の動作]
刈高検出装置40の動作について説明する。コンバイン1による通常作業時、つまり機体前進状態での作業時には、刈高さが設定値に保持されるように、刈高検出装置40による刈高さの検出値に基づいて、刈高さの制御が行われる。刈高さの検出は、接地体42が装置本体41に対する回動位置を基準位置より後方とした状態で行われる。
【0099】
機体前進時において、先端を地面30に接触させた状態で摺動する接地体42は、接地摺動抵抗により、装置本体41のケース51に対して、基準位置から後側回動軸62回りに後方に回動する(図6、矢印C1参照)。接地体42は、後側回動軸62と一体的に第2軸心P2回りに回動し、後側回動軸62の回動がギア等を介して中間回動軸70に伝達され、この中間回動軸70の回動が刈高センサ43によって検出され、中間回動軸70の回動量に基づいて刈高さが検出される。
【0100】
また、例えば接地体42が接地した状態で機体の操向操作が行われた場合等、刈高検出装置40に横方向の外力が作用した場合、刈高検出装置40は、軸支部130により、前後方向の軸心線O1回りに回動して逃げることになる。刈高検出装置40に対する横方向の外力の作用が無くなると、戻しバネ147および係止ピン148による付勢構造により、刈高検出装置40は、所定の中立位置に戻ることになる。
【0101】
[コンバインの制御構成]
コンバイン1の制御構成について、図10を用いて説明する。図10に示すように、コンバイン1は、制御装置200を備える。制御装置200は、コンバイン1が備える各種センサ等からの入力信号に基づき、コンバイン1が備える各部を制御する。制御装置200は、各種演算処理や制御を実行する演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置、データ入出力用の入出力インターフェイス等の入出力装置(入出力回路)、クロック回路等の周辺回路等をバス等により接続した構成を備える。制御装置200のCPUは、ROM等に記憶された各種のプログラムに従って演算処理を行う。
【0102】
図10に示すように、コンバイン1は、制御装置200の入力装置(入力回路)に電気的に接続された構成として、刈高検出装置40の刈高センサ43のほか、車速センサ201、刈高目標値設定操作部としての刈高さ調節ダイヤル202、自動刈高さスイッチ205、対機体高さセンサ203および穀稈検出センサ204を有する。制御装置200は、これらのセンサやスイッチ等からの信号の入力を受け、これらの信号に基づいて制御信号を生成する。
【0103】
対機体高さセンサ203は、走行機体4に対して刈取部5を左右方向に沿う所定の回動軸回りに回動可能に支持する軸支部に設けられている。対機体高さセンサ203は、走行機体4に対する刈取部5の高さである対機体高さ(対本機高さ)を検出するための対機体ポジションセンサである。対機体高さセンサ203は、例えば、ロータリ型のポテンショメータであり、走行機体4に対する刈取部5の回動軸等を介して、刈取部5の回動位置を検出する。
【0104】
車速センサ201は、コンバイン1(走行機体4)の走行速度である車速を検出するセンサである。制御装置200は、車速センサ201からの検出信号の入力を受け、車速を検知する。制御装置200は、車速センサ201の検出信号に基づき、車速の制御を行う。制御装置200は、車速センサ201の検出情報と時間経過情報に基づき、コンバイン1の走行距離を算出するように構成されている。
【0105】
コンバイン1は、車速に関する駆動部220として、走行変速を行うための走行用のHSTを有する。ここで、「HST」とは、油圧ポンプを駆動させることで発生させた油圧を油圧モータで再び回転力に変換する方式を採用した油圧式無段変速装置である。HSTは、互いに流体的に接続された可変容積型のポンプおよびモータと、ポンプおよびモータそれぞれに対応した電磁弁と、出力軸とを有する。HSTにおいては、エンジン11からの動力を受けつつポンプ用の電磁弁を介してポンプの調整駆動(走行駆動調整)が行われ、調整駆動によるモータの駆動が出力軸に伝達される。
【0106】
走行用のHSTの出力軸は、走行部2を構成する左右のクローラ部3,3に対して駆動力の伝達を行うための伝動機構に連動連結されている。この伝動機構は、遊星歯車群等を含んで構成されており、左右のクローラ部3の駆動スプロケット3bに駆動力を伝達する左右の出力軸を有する。
【0107】
制御装置200は、主変速レバー17の前後回動操作位置(操作量)についての検出信号の入力を受け、その検出信号に基づいて制御情報を生成し、生成した制御情報に基づき、駆動部220の駆動を制御する。主変速レバー17の操作量は、例えばロータリエンコーダやロータリポテンショメータ等により検出される。制御装置200は、HSTに対し、電磁弁の制御を行うことでポンプおよびモータの駆動を制御し、出力軸から伝動機構への動力伝達を制御する。
【0108】
このような構成において、車速センサ201は、車速として、例えばクローラ部3の回転速度や走行用のHSTの出力軸の回転速度を検出する。制御装置200は、車速センサ201によって検出される車速が主変速レバー17等の人為操作に応じた速度となるように、駆動部220を制御する。
【0109】
制御装置200は、刈高センサ43からの検出信号に基づき、刈高さが刈高目標値に保持されるように、刈取昇降シリンダ18を動作させて刈取部5の昇降制御を行う。制御装置200は、刈取昇降シリンダ18の油圧制御用の電磁弁221の動作を制御することにより、刈取昇降シリンダ18の伸縮動作を制御する。
【0110】
制御装置200には、刈取部5の昇降制御に用いられる刈高目標値が設定され記憶される。制御装置200に対する刈高目標値の設定は、刈高さ調節ダイヤル202により行われる。
【0111】
刈高さ調節ダイヤル202は、図11に示すように、運転部14における運転席16の左側方に設けられた側方操作部12において、サイドコラム19の上面部に設けられた操作部群300の1つの操作部として設けられており、運転席16に着座しているオペレータにより操作される。刈高さ調節ダイヤル202は、刈高目標値を段階的に調節する操作具であって、回動操作される円筒状の突起部(つまみ)として設けられており、本実施形態では、刈高目標値を例えば10~50mmの範囲で5段階に調節可能に構成されている。
【0112】
以上のように、コンバイン1は、走行機体4に対して昇降可能に設けられた刈取部5と、刈取部5の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置40と、走行機体4に対する刈取部5の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置としての対機体高さセンサ203と、刈高検出装置40および対機体高さセンサ203の検出信号に基づいて刈取部5の高さを制御する制御装置200とを備えている。
【0113】
[刈取部の昇降制御]
以上のような構成を備えたコンバイン1において制御装置200によって行われる刈取部5の昇降制御について説明する。本実施形態に係る刈取部5の昇降制御においては、例えば、2つの刈高検出装置40の検出信号のうち、低い刈高さを検出している方の検出信号が用いられる。ただし、2つの刈高検出装置40の使用態様は特に限定されない。
【0114】
制御装置200は、刈取部5の昇降制御として、第1の制御である刈高さ制御と、第2の制御である昇降範囲制限制御との2つの制御を行う。これらの制御は、基本的にはコンバイン1による刈取作業中において並行して行われる。
【0115】
刈高さ制御について説明する。刈高さ制御は、刈高検出装置40の検出信号に基づく制御であり、上述した刈高さの自動制御を含む制御である。制御装置200は、刈高さ制御の制御モードとして、上述した刈高さの自動制御を行う第1の制御モードである自動刈高さモードと、所定の条件により刈取部5を一定の高さに上昇制御する第2の制御モードである自動リフトモードとを有する。以下では、これら2つの制御モードを含む制御であって刈高検出装置40の検出信号に基づく刈高さ制御を「自動刈高さ制御」という。
【0116】
自動刈高さ制御の自動刈高さモードは、刈高検出装置40により検出される刈高さが所定の目標値(刈高目標値)となるように刈取部5の高さを制御し、刈取作業中に刈取部5の高さを地面30に対して一定の高さに保持するモードである。自動刈高さ制御の自動リフトモードは、刈高検出装置40により検出される刈高さに基づき、刈取作業中に刈取部5の高さが地面30に対して設定高さより低くなると刈取部5を一定の高さに上昇させるモードである。
【0117】
自動刈高さスイッチ205は、自動刈高さ制御における自動刈高さモードと自動リフトモードとを切り替えるためのモード切替えスイッチとして機能する。自動刈高さスイッチ205は、図11に示すように、操作部群300において、刈高さ調節ダイヤル202とセットの操作部として、刈高さ調節ダイヤル202の近傍に配置されている。本実施形態では、自動刈高さスイッチ205は、押圧操作される操作部であり、刈高さ調節ダイヤル202の右側(図11における下側)の近傍に配置されている。
【0118】
自動刈高さスイッチ205の近傍には、現状の制御モードを示すモード表示部206が設けられている。モード表示部206は、自動刈高さモードに対応した「自動刈高さ」の文字を表示した第1表示部206aと、自動リフトモードに対応した「OKリフト」の文字を表示した第2表示部206bとを有する。第1表示部206aおよび第2表示部206bは、明滅可能に構成されており、自動刈高さスイッチ205の操作によって選択されている制御モードに対応した表示部が点灯するように構成されている。また、自動刈高さスイッチ205の操作により、自動刈高さモードおよび自動リフトモードのいずれのモードも選択しないことで、自動刈高さ制御がオフとなる。自動刈高さ制御がオフの状態では、第1表示部206aおよび第2表示部206bがいずれも消灯した状態となる。つまり、自動刈高さスイッチ205の操作により、自動刈高さ制御の自動刈高さモードの状態、自動刈高さ制御の自動リフトモードの状態、および自動刈高さ制御のオフの状態の3つの状態の切替えが行われる。
【0119】
自動刈高さモードで作業する場合、エンジン11が始動した状態で、自動刈高さスイッチ205の操作によって、自動刈高さモードが選択される。自動刈高さモードが選択された状態では、図12Aに示すように、第1表示部206aが点灯し、第2表示部206bは消灯した状態となる。
【0120】
自動刈高さモードが選択された状態で刈取作業が開始され、刈取作業中に、刈高さ調節ダイヤル202が「1」~「5」のいずれかの目盛りに調節される。図12Aに示す例では、刈高さ調節ダイヤル202は「3」の目盛りに設定されている。これにより、刈高さ調節ダイヤル202により設定された目盛りに対応した刈高さを刈高目標値として、刈高検出装置40の検出信号に基づいて、刈高さが刈高目標値に自動的に保持されるように制御される。
【0121】
自動リフトモードで作業する場合、エンジン11が始動した状態で、自動刈高さスイッチ205の操作によって、自動リフトモードが選択される。自動リフトモードが選択された状態では、図12Bに示すように、第2表示部206bが点灯し、第1表示部206aは消灯した状態となる。
【0122】
自動リフトモードが選択された状態で刈取作業が開始されると、刈取作業中に、刈高検出装置40によって検出される刈高さが設定高さ(例えば10mm)以下であることが検出されると、刈取部5が自動的に所定量(例えば1~2cm)上昇するように制御される。また、自動リフトモードが選択された状態において、機体が走行停止中、または刈高検出装置40によって検出される刈高さが他の設定高さ(例えば20mm)以上であることが検出されると、刈取部5の上昇を停止するように制御される。自動リフトモードについての設定高さおよび所定量は、制御装置200においてあらかじめ設定され記憶される。
【0123】
昇降範囲制限制御について説明する。昇降範囲制限制御は、対機体高さセンサ203により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に刈取部5の昇降範囲を制限するものである。刈取基準高さは、制御装置200において記憶される。
【0124】
刈取基準高さは、例えば、刈高さの自動制御において、所定の範囲内の値として設定された刈高目標値の不感帯内にある時間が一定時間経過した場合に記憶される対機体高さである。この場合、刈取基準高さは、刈高検出装置40による検出値に基づいて制御装置200において記憶される値となる。制御装置200に記憶される対機体高さは、後述するように平均値の算出の対象となり、その平均値が刈取基準高さとして用いられてもよい。
【0125】
図13に示すように、昇降範囲制限制御において、刈取部5の対機体高さについての基準値として、刈取基準高さH0が設定される。刈取基準高さH0に対し、所定の上昇量ΔH1高い対機体高さが、上昇禁止高さH1として設定される。また、刈取基準高さH0に対し、所定の下降量ΔH2低い対機体高さが、下降禁止高さH2として設定される。
【0126】
本実施形態では、上昇量ΔH1は、下降量ΔH2より大きい値として設定されている。具体的には、例えば、上昇量ΔH1は50mm、下降量ΔH2は30mmとして設定される。なお、上昇量ΔH1および下降量ΔH2それぞれの値や両者の大小関係は限定されるものではないが、地面に対する刈取部5の突っ込みを抑制する観点からは、ある程度の大きさの上昇量ΔH1を確保するため、上昇量ΔH1は下降量ΔH2より大きい値として設定される。
【0127】
制御装置200は、昇降範囲制限制御において、対機体高さセンサ203により検出される検出信号に基づき、対機体高さが、刈取基準高さH0より上昇側については上昇禁止高さH1以下となるように、刈取基準高さH0より下降側については下降禁止高さH2以上となるように、刈取昇降シリンダ18の電磁弁221の動作を制御することで、刈取部5の対機体高さを制御する。
【0128】
すなわち、刈高検出装置40の検出信号に基づく自動刈高さ制御によって、刈取部5の対機体高さが上昇禁止高さH1より高い高さに上昇制御されようとした場合、昇降範囲制限制御により、刈取部5の対機体高さが上昇禁止高さH1を上回らないように、刈取部5の上昇制御が制限(禁止)される。同様に、刈高検出装置40の検出信号に基づく自動刈高さ制御によって、刈取部5の対機体高さが下降禁止高さH2より低い高さに下降制御されようとした場合、昇降範囲制限制御により、刈取部5の対機体高さが下降禁止高さH2を下回らないように、刈取部5の下降制御が制限(禁止)される。
【0129】
このように、昇降範囲制限制御によれば、刈取基準高さH0に対して所定の上昇量ΔH1および下降量ΔH2の範囲内に刈取部5の昇降範囲が制限される。上昇量ΔH1および下降量ΔH2は、制御装置200が有する記憶部においてあらかじめ設定され記憶される。
【0130】
以上のように自動刈高さ制御および昇降範囲制限制御が行われる構成において、制御装置200は、刈取作業における刈取開始のタイミングから一定の期間、つまり刈取作業の初期において、昇降範囲制限制御を無効とする制御を行う。すなわち、制御装置200は、刈取開始のタイミングから一定の期間、昇降範囲制限制御は行わずに自動刈高さ制御のみを行う。なお、自動刈高さ制御が行われる状態は、上述した自動刈高さモードと自動リフトモードのいずれかの制御モードが選択されている状態である。
【0131】
このように刈取作業の初期において昇降範囲制限制御を無効とする制御の第1の制御態様として、制御装置200は、制御開始時である刈取開始時から、走行機体4の走行距離が所定の距離となるまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御のみを行う。
【0132】
図14に示すように、コンバイン1が任意の開始位置Q0において刈取作業を開始した場合、その刈取開始時が、刈取部5の制御を開始する制御開始時となる。刈取開始時について、制御装置200は、例えば次のような条件が満たされたタイミングを、刈取開始時と判断する。すなわち、(1)車速センサ201により検出されるコンバイン1の車速についての所定の条件(例えば車速が一定の速度以上であること)が成立し、かつ、(2)刈高検出装置40により検出される刈高さ(対地高さ)についての所定の条件(例えば刈高さが一定の高さ以下であること)、または対機体高さセンサ203により検出される対機体高さについての所定の条件(例えば対機体高さが一定の高さ以下であること)が成立し、かつ、(3)運転部14に配置されたクラッチ操作具の操作により作業クラッチ(刈取クラッチ)がONの状態とされたタイミングである。
【0133】
そして、制御装置200は、コンバイン1による刈取開始後、開始位置Q0からのコンバイン1の(走行機体4の)走行距離Dが所定の距離D1に達するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御のみを行う。すなわち、走行距離Dを0とする開始位置Q0にて刈取作業を開始したコンバイン1の開始位置Q0からの走行距離Dが距離D1となる位置Q1に達するまでの走行区間E1は、昇降範囲制限制御の無効区間となる。
【0134】
図14に示す例では、走行機体4の前後方向の略中央の所定の位置をコンバイン1の位置の基準としている。また、図14において、横軸で表す走行距離Dは、コンバイン1の進行方向に関わらずコンバイン1が移動した距離を表しており、コンバイン1の刈取開始後の走行距離である刈取距離に対応している。
【0135】
コンバイン1の走行距離Dは、制御装置200において、例えばクローラ部3の回転速度等として検出される車速センサ201の検出情報と、制御装置200が有するタイマ機能によって計測される時間の情報とに基づいて算出される。
【0136】
図14に示すように、刈取開始時からのコンバイン1の走行距離Dが距離D1に達したタイミングで、昇降範囲制限制御を無効とする処理が解除され、昇降範囲制限制御が開始される。すなわち、コンバイン1においては、刈取開始時から距離D1の刈取距離の間、自動刈高さ制御のみをともなった刈取作業または走行が行われた後、制御装置200によって自動刈高さ制御と昇降範囲制限制御とが並行して行われる状態となり、この状態が刈取終了時まで継続する。
【0137】
刈取終了時は、刈取部5の制御が終了する制御終了時となる。刈取終了時について、制御装置200は、車速センサ201により検出されるコンバイン1の車速、刈高検出装置40により検出される刈高さ(対地高さ)、および対機体高さセンサ203により検出される対機体高さの少なくとも1つに関する所定の条件が満たされたタイミング、あるいはクラッチ操作具の操作により作業クラッチ(刈取クラッチ)がOFFの状態とされたタイミングを、刈取終了時と判断する。図14に示すように、本例では、制御装置200により、刈取距離(走行距離D)の算出は、刈取開始時から刈取終了時まで、つまり刈取作業中の間継続して行われている(矢印F1参照)。
【0138】
以上のような刈取部5の昇降制御によれば、コンバイン1の制御方法として、次のような制御が行われている。すなわち、コンバイン1の制御方法は、刈高さ(対地高さ)および対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて刈取部5の高さを制御するものであって、自動刈高さ制御と昇降範囲制限制御とを行うものであり、制御開始時から、走行機体4の走行距離Dが所定の距離D1となるまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とする。
【0139】
昇降範囲制限制御に用いられる刈取基準高さH0は、刈取作業中に制御装置200によって算出されて更新されるものであってもよい。刈取基準高さH0を算出・更新する場合の制御態様の一例として、制御装置200は、刈取基準高さH0を、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、所定時間毎に更新する。
【0140】
具体的には、図15Aに示すように、制御装置200は、刈取作業中において所定時間Δt1が経過する毎に、その時点で対機体高さセンサ203によって検出される対機体高さを刈取基準高さH0として記憶する。対機体高さは、刈高検出装置40による自動刈高さ制御によって適宜変動するものであり、自動刈高さ制御の制御下において適宜変動する対機体高さが対機体高さセンサ203により検出される。
【0141】
図15Aにおいて、破線で示すグラフG1は、所定時間Δt1が経過する毎のその時点での対機体高さの変化の一例を示したものである。つまり、グラフG1は、所定時間Δt1経過毎の各時点での対機体高さの検出値(測定値)を表しており、これらの対機体高さの検出値が制御装置200においてその都度記憶されていく。なお、図15Aに示すグラフにおいて、横軸は時間であり、縦軸は対機体高さである。
【0142】
制御装置200は、所定時間Δt1経過毎に記憶した対機体高さについて、対機体高さを記憶するタイミング毎に、その時点までに記憶した全ての対機体高さの値の平均値を算出することで、その算出した平均値をその時点での刈取基準高さH0として設定する。図15Aにおいて、実線で示すグラフG2は、所定時間Δt1経過毎に算出された刈取基準高さH0の変化の一例を示している。
【0143】
具体的には、図15Aに示す例において、任意の時刻taに算出される刈取基準高さH0(点R1参照)は、その時刻taに検出された対機体高さ(点R2参照)を含みそれまでに所定時間Δt1経過毎に記憶された対機体高さ(グラフG1参照)の平均値である。すなわち、時刻taにおいて算出される刈取基準高さH0の値は、刈取開始から時刻taまでに所定時間Δt1経過毎に記憶されたすべての対機体高さ(時刻taで記憶した対機体高さを含む)の合計値を、刈取開始から時刻taまでに記憶した回数(時刻taでの記憶を含む)、つまり刈取開始から所定時間Δt1が経過した回数で割った値となる。
【0144】
以上のようにして算出される刈取基準高さH0が、昇降範囲制限制御に用いられる。つまり、昇降範囲制限制御で用いられる刈取基準高さH0は、所定時間Δt1経過毎に算出されて更新されることになる。
【0145】
昇降範囲制限制御において刈取基準高さH0が算出・更新される場合、刈取基準高さH0の変動に応じて、昇降範囲制限制御における上昇禁止高さH1および下降禁止高さH2も変動することになる。図15Bにおいて、グラフG3は、所定時間Δt1経過毎の上昇禁止高さH1の変化の一例を示しており、グラフG4は、所定時間Δt1経過毎の下降禁止高さH2の変化の一例を示している。すなわち、図15Bに示すように、それぞれ刈取基準高さH0に対する上昇量ΔH1および下降量ΔH2によって定まる上昇禁止高さH1および下降禁止高さH2は、所定時間Δt1毎に算出・更新される刈取基準高さH0の変動に追従して変動する。
【0146】
このように、コンバイン1の制御方法においては、刈取基準高さH0を、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、所定時間毎に更新する方法が用いられてもよい。
【0147】
刈取基準高さH0が算出・更新される場合、図14に示すように、昇降範囲制限制御が無効となる走行区間E1においては、刈取基準高さH0の算出・更新処理が行われない。そして、開始位置Q0からのコンバイン1の走行距離Dが所定の距離D1に達し、昇降範囲制限制御の無効が解除されることで、昇降範囲制限制御の開始とともに刈取基準高さH0の算出・更新処理が開始され、刈取終了時まで行われる(矢印F2参照)。
【0148】
刈取作業の初期において昇降範囲制限制御を無効とする制御の第2の制御態様について説明する。第2の制御態様として、制御装置200は、制御開始時である刈取開始時から、所定の時間が経過するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御のみを行う。すなわち、第1の制御態様では刈取開始時からの昇降範囲制限制御を無効とする期間が走行距離に基づいて定まるのに対し、第2の制御態様では同期間が時間に基づいて定まる。
【0149】
図16に示すように、コンバイン1が任意の開始時刻T0において刈取作業を開始した場合、その刈取開始時が、刈取部5の制御を開始する制御開始時となる。そして、制御装置200は、コンバイン1による刈取開始後、開始時刻T0から所定の時刻T1に達するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御のみを行う。すなわち、開始時刻T0から時刻T1までの経過時間Tである時間J1の間は、昇降範囲制限制御の無効区間となる。
【0150】
図16に示すように、刈取開始時から時間J1が経過して時刻T1となったタイミングで、昇降範囲制限制御を無効とする処理が解除され、昇降範囲制限制御が開始される。すなわち、コンバイン1においては、刈取開始時から時間J1の間、自動刈高さ制御のみをともなった刈取作業または走行が行われた後、制御装置200によって自動刈高さ制御と昇降範囲制限制御とが並行して行われる状態となり、この状態が刈取終了時まで継続する。他の制御内容については第1の制御態様と同様であるため説明を省略する。
【0151】
以上のような刈取部5の昇降制御によれば、コンバイン1の制御方法として、次のような制御が行われている。すなわち、コンバイン1の制御方法は、刈高さ(対地高さ)および対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて刈取部5の高さを制御するものであって、自動刈高さ制御と昇降範囲制限制御とを行うものであり、制御開始時から、所定の時間が経過するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とする。
【0152】
刈取作業の初期において昇降範囲制限制御を無効とする制御の第3の制御態様について説明する。第3の制御態様として、制御装置200は、制御開始時である刈取開始時から、走行機体4の車速が所定の速度に達するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御のみを行う。すなわち、第1の制御態様では刈取開始時からの昇降範囲制限制御を無効とする期間が走行距離に基づいて定まるのに対し、第3の制御態様では同期間が車速に基づいて定まる。
【0153】
図17に示すように、コンバイン1が任意の車速V0において刈取作業を開始した場合、その刈取開始時が、刈取部5の制御を開始する制御開始時となる。そして、制御装置200は、コンバイン1による刈取開始後、車速Vが車速V0から上昇して所定の車速V1に達するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御のみを行う。すなわち、車速Vが車速V0から上昇して車速V1に達するまでの区間K1は、昇降範囲制限制御の無効区間となる。なお、車速Vは、車速センサ201により検出されるコンバイン1の車速である。また、刈取開始時における車速V0は、車速Vが0の状態、つまりコンバイン1の走行停止状態であってもよい。
【0154】
図17に示すように、刈取開始時から車速Vが車速V0から上昇して車速V1となったタイミングで、昇降範囲制限制御を無効とする処理が解除され、昇降範囲制限制御が開始される。すなわち、コンバイン1においては、刈取開始時から車速Vが車速V1まで上昇するまでの間、自動刈高さ制御のみをともなった刈取作業または走行が行われた後、制御装置200によって自動刈高さ制御と昇降範囲制限制御とが並行して行われる状態となり、この状態が刈取終了時まで継続する。他の制御内容については第1の制御態様と同様であるため説明を省略する。
【0155】
以上のような刈取部5の昇降制御によれば、コンバイン1の制御方法として、次のような制御が行われている。すなわち、コンバイン1の制御方法は、刈高さ(対地高さ)および対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて刈取部5の高さを制御するものであって、自動刈高さ制御と昇降範囲制限制御とを行うものであり、制御開始時から、走行機体4の車速が所定の速度に達するまでの間は、昇降範囲制限制御を無効とする。
【0156】
上述した昇降範囲制限制御における刈取基準高さに関する制御処理の一例について、図18に示すフローチャートを用いて説明する。以下に説明する制御処理は、制御装置200のCPUがRAM等の記憶装置に記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0157】
図18に示すように、まず、刈取基準高さの算出・更新に際しては、以下に示す条件のいずれか1つが成立しているか否かの判断が行われる。すなわち、「刈取手動上昇操作中」、「刈取手動下降操作中」、「刈取オートリフト中」、「刈取オートセット中」および「刈高さ調節ダイヤルを動かした」のいずれか1つが成立しているか否かの判断が行われる(S10)。
【0158】
ステップS10において、「刈取手動上昇操作中」および「刈取手動下降操作中」は、それぞれ刈取昇降レバー35の手動操作による上昇操作中、および下降操作中に対応する。「刈取オートリフト中」は、刈取オートリフトスイッチ36の操作による刈取部5の自動的な上昇動作中である。「刈取オートセット中」は、刈取オートセットスイッチ37の操作による刈取部5の自動的な下降動作中である。「刈高さ調節ダイヤルを動かした」ことは、刈高さ調節ダイヤル202の操作により刈高目標値が変更されたことである。
【0159】
ステップS10において、上記の条件のうちいずれか1つの条件が成立していると判断された場合(S10、Yes)、刈取基準高さの算出・更新は行われず、次のような処理が行われる。すなわち、刈取基準高さは未設定とされ(設定されず)、バッファに格納された値、つまりそれまでに制御装置200において記憶された対機体高さの値がクリアされ、昇降停止時間が0にリセットされ(S20)、処理は終了する。なお、刈取基準高さに関する制御処理において、制御装置200は、刈取昇降シリンダ18の制御弁に対する制御信号等に基づいて、刈取部5が昇降していない時間を昇降停止時間として常時計測する。
【0160】
一方、ステップS10において、上記の条件のうちいずれの条件も成立していないと判断された場合(S10、No)、刈取基準高さが未設定であるか否かが判断される(S30)。ステップS30において、刈取基準高さが未設定であると判断された場合(S30、Yes)、以下に示す条件が成立しているか否かの判断が行われる。すなわち、「刈取距離が一定以上」、「本機直進車速が一定以上」、「縦搬送穀稈検出センサがON」および「刈高さが自動刈高さ制御の目標範囲内」のすべての条件が成立しているか否かの判断が行われる(S40)。
【0161】
ステップS40において、「刈取距離が一定以上」は、コンバイン1の刈取開始後の走行距離があらかじめ設定された所定の距離以上であることである。なお、走行距離は、上述のとおり車速センサ201の検出情報と時間経過情報に基づいて算出される。「本機直進車速が一定以上」は、機体の直進状態において車速センサ201によって検出される車速があらかじめ設定された所定の速度以上であることである。
【0162】
同じくステップS40において、「縦搬送穀稈検出センサ=ON」は、刈取部5にて刈り取った穀稈の有無を検出する穀稈検出センサ204(図10参照)がONの状態のことである。穀稈検出センサ204は、例えば、刈取部5において、穀稈搬送装置25による縦搬送の搬送経路に対して配置され、穀稈の接触の有無によって穀稈の有無を検出する接触センサである。ただし、穀稈検出センサ204の種類は限定されない。穀稈検出センサ204の検出信号は、制御装置200に入力される。穀稈検出センサ204がONの状態であることは、刈取部5において刈り取られた穀稈が穀稈搬送装置25を搬送されていることであり、刈取作業中であることに対応する。
【0163】
同じくステップS40において、「刈高さが自動刈高さ制御の目標範囲内」は、自動刈高さ制御において刈高目標値が所定の範囲内の値として設定された場合について、刈高検出装置40によって検出される刈高さ(対地高さ)が刈高目標値の範囲内(不感帯内)にあることである。この条件が満たされる場合、自動刈高さ制御において刈取部5の昇降は停止している。
【0164】
ステップS40において、上記の条件のうちすべての条件が成立していると判断されなかった場合(S40、No)、つまり上記の条件のうち少なくとも1つの条件が満たされていなかった場合、処理は終了する。
【0165】
一方、ステップS40において、上記の条件のうちすべての条件が成立していると判断された場合(S40、Yes)、現在の(その時点での)対機体高さがバッファに格納され(S50)、刈取基準高さが、それまでに制御装置200において記憶された対機体高さの値の平均値として算出される(S60)。ここで算出された刈取基準高さが、昇降範囲制限制御で用いられる刈取基準高さとして更新される。これにより、処理は終了する。
【0166】
ステップS30に戻り、刈取基準高さが未設定であると判断されなかった場合(S30、No)、つまり刈取基準高さがとして所定の値が設定されていた場合、以下に示す条件が成立しているか否かの判断が行われる。すなわち、「本機直進車速が一定以上」、「刈高さが一定以下」、「刈高さが自動刈高さ制御の目標範囲内」、「対機体高さが上昇禁止高さより低い」、「対機体高さが下降禁止高さより高い」のすべての条件が成立しているか否かの判断が行われる(S70)。
【0167】
ステップS70において、「刈高さが一定以下」は、刈高検出装置40によって検出される刈高さ(対地高さ)があらかじめ設定された所定の刈高さ以下であることである。この条件は、例えば刈高検出装置40が地面30から完全に浮いた状態(接地体42が接地していない状態)を除くためのものである。また、「対機体高さが上昇禁止高さより低い」は、対機体高さセンサ203により検出される対機体高さが上述した昇降範囲制限制御における上昇禁止高さH1より低いことであり、「対機体高さが下降禁止高さより高い」は、対機体高さが昇降範囲制限制御における下降禁止高さH2より高いことである。
【0168】
ステップS70において、上記の条件のうちすべての条件が成立していると判断された場合(S70、Yes)、昇降停止時間のカウントアップが開始される(S80)。そして、昇降停止時間が一定時間以上か否かが判断され(S90)、昇降停止時間が一定時間以上であると判断された場合(S90、Yes)、現在の対機体高さがバッファに格納され、昇降停止時間が0にリセットされる(S100)。つまり、一定の車速以上で走行中において刈取部5の高さが昇降範囲制限制御の上昇・下降の禁止高さの範囲内にあり、かつ自動刈高さ制御による不感帯内である状態が一定時間継続した場合、その時点での対機体高さが記憶される。そして、刈取基準高さが、それまでに制御装置200において記憶された対機体高さの値の平均値として算出される(S60)。ステップS70において、上記の条件のうちすべての条件が成立していると判断されなかった場合(S40、No)、昇降停止時間のカウントアップは開始されず、処理はステップS90に進む。
【0169】
ステップS90において、昇降停止時間が一定時間以上であると判断されなかった場合(S90、No)、刈取基準高さが、それまでに制御装置200において記憶された対機体高さの値の平均値として算出され(S60)、刈取基準高さが更新される。つまり、ステップS90において昇降停止時間が一定時間経過しない限り、その時点での対機体高さは記憶されず、それまでの記憶情報から対機体高さの平均値が刈取基準高さとして算出される。ステップS90における一定時間は、あくまでも一例であるが、1秒から数秒程度である。
【0170】
以上のような一連の制御処理により、昇降範囲制限制御における刈取基準高さの算出・更新が行われる。
【0171】
以上のような構成を備えたコンバイン1およびコンバイン1の制御方法によれば、刈取部5が地面に接触したり突っ込んだりすることを抑制することができるとともに、刈残しを抑制することができる。
【0172】
自動刈高さ制御において、例えば刈取部5が地面の凹部に差し掛かると、刈高検出装置40によって検出される地面が部分的に下がるため、地面からの刈取部5の高さ(対地高さ)が高くなったと誤認識されることになる。このような場合、刈取部5の下降制御が働き、刈取部5の分草板21が地面に突っ込む可能性がある。
【0173】
このような誤作動を防止するため、例えば、刈取部の上昇制御が働いたときの対機体高さを記憶し、自動刈高さ制御中、対機体高さがその記憶した対機体高さ(下降禁止高さ)を下回る場合には刈取部の下降制御を禁止するという昇降制御が考えられる。しかし、このような昇降制御によれば、次のような問題がある。
【0174】
図19Aに示すように、例えばコンバイン1が圃場に進入するとき等、平坦な圃場210に続く前下がりの傾斜面211上にコンバイン1が位置することで機体が前傾状態となるとともに、刈取部5を圃場210上に位置させた状態となることがある。このような状態で刈高検出装置40の検出により刈取部5の上昇制御が働いたときの対機体高さは、傾斜面211が圃場210に対して上側に位置する分、本来検出すべき対機体高さより高い値となり、その値が下降禁止高さとして記憶されてしまう。このような場合、図19Bに示すように、平地である圃場210での刈取作業時において、必要以上に高い高さとして記憶された下降禁止高さによって、刈取部5を目標の刈高さに位置させることができなくなる。
【0175】
また、図20Aに示すように、刈取作業の初期(刈り始め)において、例えば刈高検出装置40が圃場の作物212に当たる等することで、刈取部5が目標高さに到達する前に、刈高検出装置40の検出により上昇制御が働くことが考えられる。このような場合、図20Bに示すように、誤ってその高さが下降禁止高さとして記憶されてしまい、刈取部5を目標の刈高さに位置させることができなくなる。また、刈り始めに限らず、刈取作業の途中であっても、刈高検出装置40が作物212に乗り上げる可能性があり、意図せぬ上昇制御が働く可能性がある。
【0176】
そこで、本実施形態に係るコンバイン1においては、刈取部5の昇降制御として、制御開始時から、走行機体4の走行距離、経過時間および車速の上昇の少なくともいずれか1つに基づいて規定される一定の区間、昇降範囲制限制御を無効とし、自動刈高さ制御が行われる。つまり、刈取開始時から、自動刈高さ制御が行われる状態で一定の間刈取作業を行った後、昇降範囲制限制御が開始される。
【0177】
このような構成によれば、圃場が安定した状態では、安定して刈取作業を行うことが可能となり、刈取部5が地面に接触したり突っ込んだりすることを抑制することができるとともに、刈残し等の刈取り不具合を抑制することができる。すなわち、機体の姿勢が安定しない状態では、刈取部5の昇降範囲を規制する昇降範囲制限制御を行わず、刈取部5の昇降範囲の規制が無い状態で刈高検出装置40による自動刈高さ制御を行い、機体が安定したタイミング(例えば車速がある程度の高速状態となった時)で、昇降範囲制限制御を開始することにより、例えば圃場の凹凸部を刈高検出装置40が検知した場合等に、刈取部5の地面への接触や突っ込みを防止することが可能となる。
【0178】
また、自動刈高さ制御と並行して昇降範囲制限制御を行うことにより、刈取部5の昇降範囲について下降禁止高さを設けることで、例えば地面凹部等への刈取部5の突っ込みを回避することができ、刈取部5の昇降範囲について上昇禁止高さを設けることで、刈取部5による作物への乗り上げによる刈取部5の上昇を回避することができる。
【0179】
そして、下降禁止高さおよび上昇禁止高さの基準となる対本機高さが、刈取作業中において所定の条件が成立する都度刈取基準高さとして算出・更新され記憶されていく。刈取基準高さの記憶制御に関し、上述したような刈取開始時期における昇降範囲制限制御の無効制御を行うことにより、コンバイン1の圃場進入時や刈り始めに誤った値を記憶することを抑制することができ、刈取部5の高さについての目標高さへの追従が可能となる。
【0180】
また、刈取基準高さとして算出・更新において、刈取基準高さとして、それまでに刈取基準高さとして記憶した対機体高さの平均値が使用されている。このような構成によれば、地面の凹凸等によって仮に特異な値が刈取基準高さとして記憶された場合が生じたとしても、平均値を使用することで、値を均すことができ、特異な値の記憶値の影響を低減することができる。これにより、刈取部5の地面への突っ込みや刈残しを効果的に抑制することができ、刈取部5の操作性を向上させることができる。
【0181】
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0182】
本技術は、以下のような構成を取ることができる。なお、以下に記載の構成は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
(1)
走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、前記刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、前記走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、前記刈高検出装置および前記対機体高さ検出装置の検出信号に基づいて前記刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、
前記制御装置は、
前記刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
前記対機体高さ検出装置により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、前記走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間、または所定の時間が経過するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバイン。
(2)
走行機体に対して昇降可能に設けられた刈取部と、前記刈取部の対地高さである刈高さを検出するための刈高検出装置と、前記走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出するための対機体高さ検出装置と、前記刈高検出装置および前記対機体高さ検出装置の検出信号に基づいて前記刈取部の高さを制御する制御装置と、を備えたコンバインであって、
前記制御装置は、
前記刈高検出装置により検出される刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
前記対機体高さ検出装置により検出される対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、前記走行機体の車速が所定の速度に達するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバイン。
(3)
前記制御装置は、
前記刈取基準高さを、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、前記所定時間毎に更新する
ことを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のコンバイン。
(4)
刈取部の対地高さである刈高さ、および走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて前記刈取部の高さを制御するコンバインの制御方法であって、
検出する刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、走行機体の走行距離が所定の距離となるまでの間、または所定の時間が経過するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバインの制御方法。
(5)
刈取部の対地高さである刈高さ、および走行機体に対する前記刈取部の高さである対機体高さを検出し、検出した刈高さおよび対機体高さに基づいて前記刈取部の高さを制御するコンバインの制御方法であって、
検出する刈高さが所定の目標値となるように前記刈取部の高さを制御する刈高さ制御と、
対機体高さについての基準値である刈取基準高さに対して所定の上昇量および下降量の範囲内に前記刈取部の昇降範囲を制限する昇降範囲制限制御と、を行うものであり、
制御開始時から、走行機体の車速が所定の速度に達するまでの間は、前記昇降範囲制限制御を無効とする
ことを特徴とするコンバインの制御方法。
(6)
前記刈取基準高さを、所定時間毎に記憶した対機体高さの平均値として算出し、前記所定時間毎に更新する
ことを特徴とする前記(4)または前記(5)に記載のコンバインの制御方法。
【符号の説明】
【0183】
1 コンバイン
4 走行機体
5 刈取部
40 刈高検出装置
43 刈高センサ
200 制御装置
201 車速センサ
202 刈高さ調節ダイヤル
203 対機体高さセンサ(対機体高さ検出装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20