(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178594
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】トグルスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 23/14 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H01H23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096850
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伊織
(72)【発明者】
【氏名】中根 敏雄
【テーマコード(参考)】
5G035
【Fターム(参考)】
5G035AA18
5G035CA04
5G035CB02
5G035DA14
(57)【要約】
【課題】乗員からの操作荷重が及ぶ方向と、電気スイッチの接点部の動作方向が略直交する関係にあっても、部品点数および組み付け工数を抑えたトグルスイッチを提供すること。
【解決手段】トグルスイッチ1は、固定接点部11を有する基板10を有する。ラバースイッチ20は、基板10に取り付けられ、固定接点部11に接触可能な可動接点部21を有する。ハウジング30には、基板10が取り付けられる。レバー40は、回動軸42によりハウジング30に回転可能に組み付けられるレバー本体41と、ラバー22を押圧可能にレバー本体41から延出するアーム44を有する。レバー本体41を回動軸42の軸回りに一方向に回転させると、アーム44がラバー22を押圧することでラバー22が弾性変形して可動接点部21が固定接点部11に接触する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トグルスイッチであって、
固定接点部を有する基板と、
前記基板に取り付けられ、前記固定接点部に接触可能な可動接点部を有するラバースイッチと、
前記基板が取り付けられるハウジングと、
回転軸により前記ハウジングに回転可能に組み付けられるレバー本体と、前記ラバーを押圧可能に前記レバー本体から延出するアームと、を有するレバーと、を備え、
前記アームが前記ラバーを押圧する方向と、前記固定接点部に対する前記可動接点部の接触方向は、略直交する関係であり、
前記レバー本体を前記回転軸の軸回りに一方向に回転させると、前記アームが前記ラバーを押圧することで前記ラバーが弾性変形して前記可動接点部が前記固定接点部に接触するトグルスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のトグルスイッチであって、
前記ラバースイッチは、前記アームからの押圧方向が逆方向となるように前記基板に2つ取り付けられ、
前記アームは、前記2つの前記ラバースイッチにそれぞれ対応するように前記レバー本体に2つ有するトグルスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のトグルスイッチであって、
前記2つの前記ラバースイッチの前記ラバーは、互いの一部が繋がった状態であるトグルスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トグルスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内装部材(センタークラスター、コンソール等)は、車両に搭載されている各種機能(例えば、空調機能、オーディオ機能、運転モード選択機能等)を操作するためにトグルスイッチを備える。トグルスイッチは、例えば、特許文献1に開示されているように、ハウジングに枢着されたトグル本体と、トグル本体にリンク接続されハウジングに枢着されたロッカーアームと、第1電気スイッチと第2電気スイッチを有する回路基板を備える。トグル本体が一方向に回転するように乗員がツマミ(トグルキャップ)を操作すると、この回転により他方向に回転するロッカーアームの一端が第1電気スイッチを作動させる(引用文献1において、
図2B参照)。これとは逆に、乗員がトグル本体のツマミを他方向に回転させると、この回転により一方向に回転するロッカーアームの他端が第2電気スイッチを作動させる(引用文献1において、
図2C参照)。このように簡便な操作で電気スイッチをON-OFFできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したトグルスイッチでは、乗員のツマミの操作によるトグル本体からの操作荷重が及ぶ方向(引用文献1の
図2B、
図2Cにおいて、紙面における下または上方向)と、第1電気スイッチおよび第2電気スイッチの接点部の動作方向(引用文献1の
図2B、
図2Cにおいて、紙面における左方向)は、略直交する関係にある。そのため、トグル本体からの操作荷重を第1電気スイッチおよび第2電気スイッチの接点部の動作方向に変換するためのリンク部材としてロッカーアームを必要としていた。したがって、部品点数および組み付け工数の増加となっていた。そこで、乗員(トグル本体)からの操作荷重が及ぶ方向と、電気スイッチの接点部の動作方向が略直交する関係にあっても、部品点数および組み付け工数を抑えたトグルスイッチを提供することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、トグルスイッチは、固定接点部を有する基板を有する。ラバースイッチは、基板に取り付けられ、固定接点部に接触可能な可動接点部を有する。ハウジングには、基板が取り付けられる。レバーは、回転軸によりハウジングに回転可能に組み付けられるレバー本体と、ラバーを押圧可能にレバー本体から延出するアームを有する。アームがラバーを押圧する方向と、固定接点部に対する可動接点部の接触方向は、略直交する関係である。レバー本体を回転軸の軸回りに一方向に回転させると、アームがラバーを押圧することでラバーが弾性変形して可動接点部が固定接点部に接触する。
【0006】
そのため、ラバーは、乗員からのレバー本体の操作によるレバーからの操作荷重が及ぶ方向を固定接点部に対する可動接点部の接触方向に変換する。したがって、従来技術で説明したリンク部材としてのロッカーアームに相当する部材を必要とすることがない。ゆえに、乗員(レバー)からの操作荷重が及ぶ方向と、固定接点部に対する可動接点部の接触方向が略直交する関係にあっても、トグルスイッチの部品点数および組み付け工数を抑えることができる。
【0007】
本開示の他の特徴によると、ラバースイッチは、アームからの押圧方向が逆方向となるように基板に2つ取り付けられる。アームは、2つのラバースイッチにそれぞれ対応するようにレバー本体に2つ有する。
【0008】
そのため、1つのレバーで2つの操作が可能となる。例えば、レバーが空調機能の温度設定をするものであれば、このレバーの操作により設定温度を低くまたは高く調節できる。
【0009】
また、本開示の他の特徴によると、2つのラバースイッチのラバーは、互いの一部が繋がった状態である。
【0010】
そのため、ラバースイッチが2つであっても、トグルスイッチを組み立てる際、例えば、2つのラバースイッチを基板とハウジングに挟み込む作業を個別でなく一度で実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るトグルスイッチの全体斜視図である。
【
図6】他の実施形態に係るトグルスイッチの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態を、
図1~5を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上下、前後、左右は、各図に記した向きである。トグルスイッチ1は、自動車等の車両(図示しない)に搭載されている各種機能(例えば、空調機能、オーディオ機能、運転モード選択機能等)を操作するために車両の内装部材(例えば、センタークラスター、コンソール等)に備えられる。
【0013】
図1~3に示すように、本実施形態では、トグルスイッチ1に5つのスイッチ機能を備えている、すなわち、トグルスイッチ1に5つのノブ47(レバー40)を備えている。この5つのスイッチ機能は、同一の構成であるため、そのうちの1つのスイッチ機能を説明することで、残りの4つスイッチ機能の説明を省略する。
【0014】
図2に示すように、トグルスイッチ1は、主として、基板10と、左右一対のラバースイッチ20、25(第1ラバースイッチ20、第2ラバースイッチ25)と、ハウジング30と、レバー40と、ベースパネル50を備える。基板10は、車両に搭載されている各種機能を制御するものであって、後述する両ラバースイッチ20、25の各可動接点部21、26にそれぞれ対応し導電部材から成る左右一対の固定接点部(第1固定接点部11、第2固定接点部12)を備える。基板10の四隅には、ビス(図示しない)を螺合させるビス孔13をそれぞれ備える。
【0015】
図4に示すように、第1ラバースイッチ20は、第1固定接点部11に接触可能な導電部材から成る第1可動接点部21と、第1可動接点部21を覆うように一体的に成形された第1ラバー22を備える。第1ラバー22は、シリコンゴムのような合成ゴム等、弾性を有する素材から形成されている。第1ラバー22は、第1可動接点部21を覆うラバー本体22aと、ラバー本体22aの前縁の周縁に屈曲可能に形成された接続部22cを介して形成されるフランジ状の座部22bを備える。
【0016】
図2に示すように、ラバー本体22aは、一部(下側の後縁)が切り欠かれて形成される押圧面23を備える。
図4に示すように、押圧面23は、後述するように第1ラバースイッチ20が基板10とハウジング30に挟み込まれた状態において、略水平な状態となる。
図2に示すように、座部22bは、前方向に突出する上下一対の位置決め凸部24を備える。
図4に示すように、接続部22cは、その上側に位置する上側部位22dが下側に位置する下側部位22eより十分に肉薄になっている。
【0017】
そのため、第1ラバー22のラバー本体22aの押圧面23を下側から上側に向けて押圧すると、第1ラバー22の接続部22cの上側部位22dが屈曲する。したがって、第1ラバー22の接続部22cの下側部位22eが弾性変形して回転の中心(ヒンジ)となることでラバー本体22aが基板10に向けて回転する(
図4において、ラバー本体22aが時計回り方向に回転する)。
【0018】
図5に示すように、第2ラバースイッチ25は、第1ラバースイッチ20に対して上下対称に構成され、第2固定接点部12に接触可能な導電部材から成る第2可動接点部26と、第2可動接点部26を覆うように一体的に成形された第2ラバー27を備える。第2ラバー27は、シリコンゴムのような合成ゴム等、弾性を有する素材から形成されている。第2ラバー27は、第2可動接点部26を覆うラバー本体27aと、ラバー本体27aの前縁の周縁に屈曲可能に形成された接続部27cを介して形成されるフランジ状の座部27bを備える。
【0019】
図2に示すように、ラバー本体27aは、一部(上側の後縁)が切り欠かれて形成される押圧面28を備える。
図5に示すように、押圧面28は、後述するように第2ラバースイッチ25が基板10とハウジング30に挟み込まれた状態において、略水平な状態となる。接続部27cは、その下側に位置する下側部位27dが上側に位置する上側部位27eより十分に肉薄になっている。
【0020】
そのため、第2ラバー27のラバー本体27aの押圧面28を上側から下側に向けて押圧すると、第2ラバー27の接続部27cの下側部位27dが屈曲する。したがって、第2ラバー27の接続部27cの上側部位27eが弾性変形して回転の中心(ヒンジ)となることでラバー本体27aが基板10に向けて回転する(
図5において、ラバー本体27aが反時計回り方向に回転する)。なお、
図2から明らかなように、両ラバースイッチ20、25の各ラバー22、27は、互いの座部22b、27bが左右に繋がった状態である。すわなち、両ラバースイッチ20、25は、上下に対称で、且つ左右に隣り合うように設けられている。
【0021】
図2に示すように、ハウジング30は、内部に後述するレバー40を挿入可能に前後方向に沿って貫通する四角筒状に構成される。ハウジング30の後側の開口31の左右の縁は、U字状の軸受穴32がそれぞれ形成されている。軸受穴32は、レバー40の回動軸42を載せて(受け入れて)回転可能に支持できる。ハウジング30は、上下の前縁から突出する略L字状の張出部33をそれぞれ備える。張出部33は、上下方向に延出する縦壁34と、縦壁34の先端から後方向に延出する横壁35を備える。
【0022】
上下の縦壁34の前面(
図2において、見えない側の面)は、第1ラバースイッチ20の上下一対の位置決め凸部24に対応する(挿し込み可能な)位置決め穴が上下に対を成すように形成されている。
図3に示すように、ハウジング30の上内面36は、両ラバースイッチ20、25の位置決めのため、下方向に向けて突出するお椀状の突部36aを備える。同様に、ハウジング30の下内面37は、上方向に向けて突出するお椀状の突部37aを備える。
図3に示すように、突部36aと突部37aは、上下方向において対向するように形成されている。ハウジング30(上下の縦壁34)の四隅には、ビスを貫通させるビス孔34aをそれぞれ備える。
【0023】
図2、4,5に示すように、レバー40は、前後方向に沿って延出するレバー本体41と、レバー本体41の前端部43から前方向に延出する2つのアーム44、45(第1アーム44、第2アーム45)を備える。レバー本体41の左右側面は、互いが離れる方向に突出する円柱状の回動軸42を備える。レバー本体41の後端部46は、乗員が操作するためのツマミとしてのノブ47が挟み込み可能となっている。
【0024】
第1アーム44は、レバー本体41の前端部43の左下縁に沿って延出する。第1アーム44の先端は、上方向に突出するお椀状の突部44aを備える。第2アーム45は、レバー本体41の前端部43の右上縁に沿って延出する。第2アーム45の先端は、下方向に突出するお椀状の突部45aを備える。
【0025】
図2、4,5に示すように、ベースパネル50は、ハウジング30の後側を覆う意匠部材であって、ハウジング30の開口31に対応する位置に開口51を備える。ベースパネル50により、トグルスイッチ1の意匠性を高めることができる。ベースパネル50の前縁の四隅には、係合爪52がそれぞれ形成されている。係合爪52は、ハウジング30の張出部33の横壁35の係合部(図示しない)に係合可能である。
【0026】
続いて、上述した基板10と、左右一対のラバースイッチ20、25と、ハウジング30と、レバー40と、ベースパネル50から成るトグルスイッチ1の組み立ての手順の一例を説明する。まず、
図2に示す状態から、ハウジング30の上下一対の位置決め穴に第1ラバースイッチ20の上下一対の位置決め凸部24を挿し込む作業を行う。これにより、ハウジング30の前側に両ラバースイッチ20、25が位置合わせされる。
【0027】
次に、この位置合わせ状態のまま、両ラバースイッチ20、25の前側(背面側)に基板10を押し当てる。このとき、ハウジング30の上下の縦壁34に基板10が押し当てられるため、この押し当てられる領域を十分に確保できる。したがって、ハウジング30に対して基板10を安定させることができる。次に、この押し当て状態のまま、ハウジング30のビス孔34aに後側からビスを貫通させ、この貫通させたビスを基板10のビス孔13に螺合させる(ビス締めする)作業を行う。この締結作業を4か所行う。
【0028】
これにより、両ラバースイッチ20、25が基板10とハウジング30に挟み込まれた状態となる。すなわち、両ラバースイッチ20、25を挟み込んだ状態でハウジング30に基板10が取り付けられた状態となる。したがって、基板10に両ラバースイッチ20、25が取り付けられ、さらに、この基板10がハウジング30に取り付けられた状態となる。次に、ハウジング30の開口31からレバー40を挿し込み、挿し込んだレバー40の両回動軸42をハウジング30の両軸受穴32に載せる作業を行う。
【0029】
次に、ハウジング30の係合部にベースパネル50の係合爪52をそれぞれ係合させて、ハウジング30にベースパネル50を取り付ける作業を行う。これにより、ハウジング30に挿し込んだレバー40が抜け落ちることを防止できる。最後に、ベースパネル50の開口51から突出するレバー40の後端部46にノブ47を挟み込む作業を行う。この挟み込みは、爪嵌合(図示しない)により行われる。このようにして、トグルスイッチ1が組み立てられる。
【0030】
組み立てられたトグルスイッチ1では、
図4に示すように、レバー40の第1アーム44の突部44aは、第1ラバースイッチ20の押圧面23に接触した状態となっている。
図4から明らかなように、この押圧面23は、第1ラバー22の接続部22cの下側部位22eより上側且つ後側に位置している。また、押圧面23を有する部位は、接続部22cの上側部位22dと比較すると、十分な厚み(上下方向の厚み)を有する。
【0031】
すなわち、押圧面23を有する部位は、接続部22cの上側部位22dと比較すると、十分な剛性を有する。したがって、押圧面23が押圧されると、押圧面23を有する部位より先に接続部22cの上側部位22dが屈曲する。なお、
図4から明らかなように、基板10の第1固定接点部11に対する第1ラバースイッチ20の第1可動接点部21の接触方向(前方向)と、レバー40の第1アーム44が第1ラバー22の押圧面23を押圧する方向(上方向)は、略直交する関係にある。
【0032】
同様に、
図5に示すように、レバー40の第2アーム45の突部45aは、第2ラバースイッチ25の押圧面28に接触した状態となっている。
図5から明らかなように、この押圧面28は、第2ラバー27の接続部27cの上側部位27eより下側且つ後側に位置している。また、押圧面28を有する部位は、接続部27cの下側部位27dと比較すると、十分な厚み(上下方向の厚み)を有する。
【0033】
すなわち、押圧面28を有する部位は、接続部27cの下側部位27dと比較すると、十分な剛性を有する。したがって、押圧面28が押圧されると、押圧面28を有する部位より先に接続部27cの下側部位27dが屈曲する。なお、
図5から明らかなように、基板10の第2固定接点部12に対する第2ラバースイッチ25の第2可動接点部26の接触方向(前方向)と、レバー40の第2アーム45が第2ラバー27の押圧面28を押圧する方向(下方向)は、略直交する関係にある。
【0034】
また、このトグルスイッチ1では、既に説明したように、基板10に2つのラバースイッチ20、25が取り付けられている。また、2つのラバースイッチ20、25にそれぞれ対応するようにレバー本体41に2つのアーム44、45を有する。また、2つのラバースイッチ20、25に対する2つのアーム44、45の押圧方向は逆方向となる。なお、既に説明したように、レバー40の両アーム44、45の各突部44a、45aが、両ラバースイッチ20、25の各押圧面23、28に接触した状態となっているため、レバー40の中立位置が保持される。
【0035】
最後に、トグルスイッチ1の動作を説明する。
図4の実線で示す状態から想像線で示すように、ノブ47を下側に操作すると、このノブ47と共にレバー40が回動軸42の軸回りに一方向に回転する。すると、レバー40の第1アーム44の突部44aの先端が第1ラバースイッチ20の押圧面23を下側から上側に向けて押圧するため、第1ラバー22の接続部22cの上側部位22dが屈曲する。
【0036】
そのため、第1ラバー22の接続部22cの下側部位22eが弾性変形して回転の中心(ヒンジ)となることでラバー本体22aが基板10に向けて回転する(
図4において、ラバー本体22aが時計回り方向に回転する)。すなわち、第1ラバー22は、ノブ47の操作によるレバー40からの操作荷重が及ぶ方向を第1固定接点部11に対する第1可動接点部21の接触方向に変換する。
【0037】
したがって、基板10の第1固定接点部11に第1ラバースイッチ20の第1可動接点部21が接触して導通状態となる。例えば、このノブ47が空調機能の温度設定をするものであれば、このノブ47の操作により設定温度が低下する。なお、ハウジング30の上内面36に突部36aを有するため、ラバー本体22aが基板10に向けて回転する際、このラバー本体22aが横倒れすることを抑制できる。また、第1アーム44からの押圧面23に対する押圧が点接触となるため、この押圧をラバー本体22aに確実に伝達できる。
【0038】
図5の実線で示す状態から想像線で示すように、ノブ47を上側に操作すると、このノブ47と共にレバー40が回動軸42の軸回りに他方向に回転する。すると、レバー40の第2アーム45の突部45aの先端が第2ラバースイッチ25の押圧面28を上側から下側に向けて押圧するため、第2ラバー27の接続部27cの下側部位27dが屈曲する。
【0039】
そのため、第2ラバー27の接続部27cの上側部位27eが弾性変形して回転の中心(ヒンジ)となることでラバー本体27aが基板10に向けて回転する(
図5において、ラバー本体27aが反時計回り方向に回転する)。すなわち、第2ラバー27は、ノブ47の操作によるレバー40からの操作荷重が及ぶ方向を第2固定接点部12に対する第2可動接点部26の接触方向に変換する。
【0040】
したがって、基板10の第2固定接点部12に第2ラバースイッチ25の第2可動接点部26が接触して導通状態となる。例えば、このノブ47が空調機能の温度設定をするものであれば、このノブ47の操作により設定温度が上昇する。なお、ハウジング30の下内面37に突部37aを有するため、ラバー本体27aが基板10に向けて回転する際、このラバー本体27aが横倒れすることを抑制できる。また、第2アーム45からの押圧面28に対する押圧が点接触となるため、この押圧をラバー本体27aに確実に伝達できる。
【0041】
以上のようなトグルスイッチ1によれば、基板10は、第1固定接点部11を有する。第1ラバースイッチ20は、基板10に取り付けられ、第1固定接点部11に接触可能に第1ラバー22のラバー本体22aに覆われた第1可動接点部21を有する。ハウジング30には、基板10が取り付けられる。レバー40は、回動軸42によりハウジング30に回転可能に組み付けられるレバー本体41と、第1ラバー22の押圧面23を押圧可能にレバー本体41から延出する第1アーム44を有する。第1アーム44が第1ラバー22の押圧面23を押圧する方向と、基板10の第1固定接点部11に対する第1ラバースイッチ20の第1可動接点部21の接触方向は、略直交する関係である。レバー本体41を回動軸42の軸回りに一方向に回転させると、レバー本体41が第1ラバー22の押圧面23を押圧することで第1ラバー22の下側部位22eが弾性変形して第1可動接点部21が第1固定接点部11に接触する。
【0042】
そのため、第1ラバー22は、乗員からのノブ47の操作によるレバー40からの操作荷重が及ぶ方向(上または下方向)を第1固定接点部11に対する第1可動接点部21の接触方向(後方向)に変換する。したがって、従来技術で説明したリンク部材としてのロッカーアームに相当する部材を必要とすることがない。ゆえに、乗員(レバー40)からの操作荷重が及ぶ方向と、第1固定接点部11に対する第1可動接点部21の接触方向が略直交する関係にあっても、トグルスイッチ1の部品点数および組み付け工数を抑えることができる。
【0043】
さらに、トグルスイッチ1は、基板10に2つのラバースイッチ20、25が取り付けられている。2つのラバースイッチ20、25にそれぞれ対応するようにレバー40のレバー本体41に2つのアーム44、45を有する。また、2つのラバースイッチ20、25に対する2つのアーム44、45の押圧方向は逆方向となる。そのため、1つのレバー40で2つの操作が可能となる。例えば、レバー40が空調機能の温度設定をするものであれば、このレバー40の操作により設定温度を低くまたは高く調節できる。
【0044】
さらに、第1ラバースイッチ20の第1ラバー22の座部22bと、第2ラバースイッチ25の第2ラバー27の座部27bは、繋がった状態である。そのため、ラバースイッチ20、25が2つであっても、トグルスイッチ1を組み立てる際、2つのラバースイッチ20、25を基板10とハウジング30に挟み込む作業を個別でなく一度で実施できる。さらに、2つのラバースイッチ20、25と同様のラバースイッチが、
図2に示すように4組設けられており、各ラバースイッチのラバーの座部が第1ラバー22の座部22bおよび第2ラバー27の座部27bと繋がった状態であり、ラバースイッチが3つ以上であっても基板10とハウジング30に挟み込む作業を個別でなく一度で実施できる。
【0045】
以上、実施形態について説明したが、この実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。実施形態では、両ラバースイッチ20、25は、上下に対称で、且つ左右に隣り合うように設けられる構成を説明した。これに替えて、
図6に示すように、両ラバースイッチ20、25は、上下に対称で、且つ上下に隣り合うように設けられる構成でも構わない。
図6において、実施形態で説明した部材と同一もしくは均等な構成の部材には、同一の符号を付している。その際、レバー40のレバー本体41から上下に突出するように補強部材48を備えても構わない。これにより、レバー40(レバー本体41)の剛性を高めることができる。
【0046】
また、実施形態では、基板10に第1固定接点部11を設け、第1ラバースイッチ20に第1可動接点部21を設けた構成を説明した。これに替えて、基板10にスイッチ(押圧されると動作するスイッチ)を設け、第1ラバースイッチ20にスイッチを押圧する突部を設ける構成でも構わない。このことは、第2ラバースイッチ25においても同様である。
【0047】
また、実施形態では、レバー40が回動軸42の軸回りに一方向または他方向に回転する構成を説明した。これに替えて、レバー40が回動軸42の軸回りに一方向または他方向のいずれか一方のみに回転する構成でも構わない。その場合、レバー40の回転が一方向または他方向のいずれか一方のみに規制されるようにストッパ等を設ける必要がある。
【符号の説明】
【0048】
1 トグルスイッチ
10 基板
11 第1固定接点部
20 第1ラバースイッチ
21 第1可動接点部
22 第1ラバー
12 第2固定接点部
25 第2ラバースイッチ
26 第2可動接点部
27 第2ラバー
30 ハウジング
40 レバー
41 レバー本体
42 回動軸
44 第1アーム
45 第2アーム