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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178600
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20241218BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B62D25/20 H
B62D21/15 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096860
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真康
(72)【発明者】
【氏名】川辺 悟
(72)【発明者】
【氏名】宮永 啓世
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB07
3D203BB24
3D203BB25
3D203CA26
3D203CA37
(57)【要約】
【課題】サイドフレーム及びパネルによる荷重吸収効率を向上させることができ、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与する車体構造を提供する。
【解決手段】車体構造Veは、上部パネル17及び下部パネル18と、各パネル17,18の車幅方向外側に接続され車両前後方向に延在する左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15と、を備える。左リアサイドフレーム14は、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を有する。第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32は、左リアサイドフレーム14の内側面21及び外側面22に設けられる。第2剛性変化領域32は、第1剛性変化領域31に対して長手方向において異なる位置に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両下方に設けられるパネルと、
前記パネルの車幅方向外側に接続され車両前後方向に延在するサイドフレームと、
を備え、
前記サイドフレームは、複数の剛性変化領域を有し、
前記複数の剛性変化領域は、前記サイドフレームの車幅方向外側及び車幅方向内側に設けられ、
前記車幅方向外側に設けられる剛性変化領域は、前記車幅方向内側に設けられる剛性変化領域に対して長手方向において異なる位置に設けられている、
ことを特徴とする車体構造。
【請求項2】
前記サイドフレームは、車両上側及び車両下側において車幅方向に連続する脆弱部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
【請求項3】
前記サイドフレームは車両後方に設けられており、
前記複数の剛性変化領域は、前記サイドフレームの後端部寄りに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
【請求項4】
前記サイドフレームは車両前方に設けられており、
前記複数の剛性変化領域は、前記サイドフレームの前端部寄りに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
【請求項5】
前記脆弱部及び前記剛性変化領域は、
車両前後方向において重なる位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて車体剛性に関する開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。例えば、車体構造として、パネルの車幅方向左右側にサイドフレームが設けられ、サイドフレームが車両前後方向に延在されたものが知られている。
【0003】
サイドフレームは、サイドフレーム本体と、サイドフレーム本体の上部に設けられた上壁部材と、を備える。サイドフレーム本体の下部には、脆弱部が長手方向(車両前後方向)に間隔をあけて複数形成されている。上壁部材には、折れ起点部が設けられている。この車体構造によれば、車両前後から衝撃荷重が入力した際に、サイドフレームを脆弱部と折れ起点部とにより上下方向に折れ曲がるように変形させることにより衝撃荷重を吸収することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-160412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の従来技術では、サイドフレームを上下方向に変形させて衝撃荷重を吸収するため、サイドフレームに関連させてパネルを十分に変形させることが難しい。このため、サイドフレームに関連させてパネルを十分に変形させることによる荷重吸収効率の向上について改善の余地がある。
【0006】
本発明は、サイドフレーム及びパネルによる荷重吸収効率を向上させることができ、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与する車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る車体構造は、車両下方に設けられるパネル(例えば、実施形態の上部パネル17,107、下部パネル18,108)と、前記パネルの車幅方向外側(例えば、実施形態の車幅方向左外側部17a,18a、車幅方向右外側部17b,18b)に接続され車両前後方向に延在するサイドフレーム(例えば、実施形態の左リアサイドフレーム14、右リアサイドフレーム15、左フロントサイドフレーム102、右フロントサイドフレーム104)と、を備え、前記サイドフレームは、複数の剛性変化領域(例えば、実施形態の第1剛性変化領域31、第2剛性変化領域32)を有し、前記複数の剛性変化領域は、前記サイドフレームの車幅方向外側(例えば、実施形態の外側面22,27)及び車幅方向内側(例えば、実施形態の内側面21,26)に設けられ、前記車幅方向外側に設けられる剛性変化領域(例えば、実施形態の第2剛性変化領域32)は、前記車幅方向内側に設けられる剛性変化領域(例えば、実施形態の第1剛性変化領域31)に対して長手方向において異なる位置に設けられている。
【0008】
このように構成することで、サイドフレームの車幅方向外側及び車幅方向内側に剛性変化領域を設けた。このため、サイドフレームに車両前後方向から衝撃荷重が入力した場合、サイドフレームを車幅方向外側及び車幅方向内側に剛性変化領域を起点として折り曲げるように変形させることができる。サイドフレームが折れ曲がるように変形することにより、入力した衝撃荷重を吸収する。
【0009】
ここで、サイドフレームにパネルが接続されている。このため、サイドフレームが剛性変化領域を起点として車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がることにより、サイドフレームからパネルに荷重が伝達される。具体的には、パネルを車幅方向内側に圧縮する荷重や、車幅方向外側に伸張する荷重がサイドフレームからパネルに伝達される。さらに、パネルを車両前後方向に変形させる荷重がサイドフレームからパネルに伝達される。これにより、パネルの全域に荷重を効率よく伝達させることができ、パネルの全域を好適に変形させることができる。
【0010】
加えて、車幅方向外側の剛性変化領域と車幅方向内側の剛性変化領域とをサイドフレームの長手方向において異なる位置に設けた。これにより、サイドフレームの一部に応力を集中させることなく、剛性変化領域を起点としてサイドフレームを好適に折り曲げるように変形させることができる。
このように、サイドフレームを好適に変形させるとともに、パネルの全域を好適に変形させることにより、サイドフレーム及びパネルによる荷重吸収効率を向上させることができる。延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0011】
(2)上記態様において、前記サイドフレームは、車両上側(例えば、実施形態の上面23,28)及び車両下側(例えば、実施形態の下面24,29)において車幅方向に連続する脆弱部(例えば、実施形態の第1脆弱部41~第6脆弱部46)が設けられていてもよい。
【0012】
このように構成することで、車幅方向外側の剛性変化領域及び車幅方向内側の剛性変化領域とともに脆弱部を変形させることができる。これにより、サイドフレームを剛性変化領域を起点として車幅方向に折り曲げる変形を一層好適に促進できる。
また、サイドフレームが応力集中により座屈することを抑制して、剛性変化領域を起点としてサイドフレームを車幅方向に好適に折り曲げることができる。このため、パネルの全域に荷重を好適に分配(伝達)できる。これにより、分配された荷重によりパネルの全域を好適に変形させることができる。
【0013】
(3)上記態様において、前記サイドフレーム(例えば、実施形態の左リアサイドフレーム14、右リアサイドフレーム15)は車両後方に設けられており、前記複数の剛性変化領域は、前記サイドフレームの後端部(例えば、実施形態の後部14c)寄りに設けられていてもよい。
【0014】
このように構成することで、車両後方から衝撃荷重が入力した際に、サイドフレームの後端部側を車幅方向外側及び車幅方向内側に折り曲げるように変形させることにより荷重を吸収できる。
【0015】
サイドフレームの後端部側が車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がることにより、サイドフレームの後端部側からパネルの後端部側に荷重が伝達される。
具体的には、パネルの後端部側を車幅方向内側に圧縮する荷重や、車幅方向外側に伸張する荷重が、サイドフレームの後端部側からパネルの後端部側に伝達される。また、パネルの後端部側を車両前方に変形させる荷重が、サイドフレームの後端部側からパネルに伝達される。これにより、パネルの後端部側からパネルの全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
【0016】
加えて、サイドフレームの後端部側に複数の剛性変化領域を設けることにより、車両後方から衝撃荷重が入力した際に、パネルが車両前方に大きく変形する前にサイドフレームの後端部側を車幅方向に折り曲げることができる。これにより、サイドフレームで衝撃荷重を吸収しながら、パネルの全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
この結果、サイドフレームで衝撃荷重を吸収しながら、面積の広いパネルの全域に荷重を好適に分配させることができ、パネルによる荷重吸収効率を向上させることができる。
【0017】
(4)上記態様において、前記サイドフレーム(例えば、実施形態の左フロントサイドフレーム102、右フロントサイドフレーム104)は車両前方に設けられており、前記複数の剛性変化領域は、前記サイドフレームの前端部(例えば、実施形態の前部102c)寄りに設けられていてもよい。
【0018】
このように構成することで、車両前方から衝撃荷重が入力した際に、サイドフレームの前端部側を車幅方向外側及び車幅方向内側に折り曲げるように変形させることにより荷重を吸収できる。
【0019】
サイドフレームの前端部側が車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がることにより、サイドフレームの前端部側からパネルの前端部側に荷重が伝達される。
具体的には、パネルの前端部側を車幅方向内側に圧縮する荷重や、車幅方向外側に伸張する荷重が、サイドフレームの前端部側からパネルの前端部側に伝達される。また、パネルの前端部側を車両後方に変形させる荷重が、サイドフレームの前端部側からパネルに伝達される。これにより、パネル前端部側からパネルの全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
【0020】
加えて、サイドフレームの前端部側に複数の剛性変化領域を設けることにより、車両前方から衝撃荷重が入力した際に、パネルが車両後方に大きく変形する前にサイドフレームの前端部側を車幅方向に折り曲げることができる。これにより、サイドフレームで衝撃荷重を吸収しながら、パネルの全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
この結果、サイドフレームで衝撃荷重を吸収しながら、面積の広いパネルの全域に荷重を好適に分配させることができ、パネルによる荷重吸収効率を向上させることができる。
【0021】
(5)上記態様において、前記脆弱部及び前記剛性変化領域は、車両前後方向において重なる位置に設けられていてもよい。
【0022】
このように構成することで、サイドフレームに車両前後方向から入力した衝撃荷重で脆弱部が変形することにより、サイドフレームにおける車両前後方向への変形を促進できる。
ここで、脆弱部は、剛性変化領域に車両前後方向において重なる(ラップする)位置に設けられている。よって、サイドフレームの長手方向において、異なる位置に設けられた剛性変化領域に応力が集中することを抑えることができる。異なる位置に設けられた剛性変化領域への応力集中を抑えることにより、サイドフレームが車両前後方向に座屈することを抑制できる。
したがって、剛性変化領域を起点としてサイドフレームを車幅方向外側及び車幅方向内側に確実に折り曲げることができる。この結果、パネルを車幅方向内側に圧縮する荷重や、車幅方向外側に伸張する荷重をサイドフレームからパネルに確実に伝達できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、サイドフレーム及びパネルによる荷重吸収効率を向上させることができ、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態における車体構造を車両前方左側方からみた斜視図である。
図2】本発明の実施形態における車体構造を車幅方向左側からみた側面図である。
図3】本発明の実施形態における車体構造の左リアサイドフレームを車両前方左側からみた斜視図である。
図4】本発明の実施形態における車体構造の左リアサイドフレームを上方からみた平面図である。
図5】本発明の実施形態における車体構造のリアフロア構造に車両後方から入力した衝撃荷重の伝達を説明する平面図である。
図6】本発明の実施形態における変形例のフロントフロア構造を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る車体構造を説明する。図面において、矢印FRは車両の前方、矢印UPは車両の上方、矢印LHは車両の左側方を示す。
【0026】
図1は、車体構造を車両前方左側方からみた斜視図である。図2は、車体構造を車幅方向左側からみた側面図である。
<車体構造>
図1図2に示すように、車体構造Veは、車両後部において後部荷室12の下部にリアフロア構造10を備えている。リアフロア構造10は、例えば、車幅方向の両側に配置された左リアサイドフレーム(サイドフレーム)14及び右リアサイドフレーム(サイドフレーム)15と、各リアサイドフレーム14,15の後端部14b,15bに架け渡されるリアバンパビーム16と、各リアサイドフレーム14,15の上面23,28に設けられた上部パネル(パネル)17と、各リアサイドフレーム14,15の下面24,29に設けられた下部パネル(パネル)18と、を備えている。
【0027】
左リアサイドフレーム14は、後部荷室12において車幅方向左側の下部に設けられている。左リアサイドフレーム14は、車両前後方向において前端部14aから後端部14bに向けて車両後方へ延在されている。
左リアサイドフレーム14は、車幅方向内側の内側面21、車幅方向外側の外側面22、車両上側の上面23、及び車両下側の下面24を有する。すなわち、内側面21及び外側面22は、左リアサイドフレーム14の全周を形成しないように車幅方向内側と車幅方向外側とに離された状態に形成されている。左リアサイドフレーム14は、内側面21、外側面22、上面23、及び下面24により断面矩形の中空状に形成されている。
【0028】
右リアサイドフレーム15は、後部荷室12において車幅方向右側の下部に設けられている。右リアサイドフレーム15は、車両前後方向において前端部15aから後端部15bに向けて車両後方へ延在されている。すなわち、右リアサイドフレーム15は、左リアサイドフレーム14に沿って車両後方へ向けて延在されている。
右リアサイドフレーム15は、車幅方向内側の内側面26、車幅方向外側の外側面27、車両上側の上面28、及び車両下側の下面29を有する。すなわち、内側面26及び外側面27は、右リアサイドフレーム15の全周を形成しないように車幅方向内側と車幅方向外側とに離された状態に形成されている。右リアサイドフレーム15は、内側面26、外側面27、上面28、及び下面29により断面矩形の中空状に形成されている。
【0029】
本実施形態では、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15を矩形状の中空体に形成する例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、左リアサイドフレーム及び右リアサイドフレームを、上部を開口する断面U字状のフレーム部材と、フレーム部材の上部を閉塞する上フレーム部とにより矩形状の中空体に形成してもよい。あるいは、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15を円形状の中空体に形成してもよい。
【0030】
リアバンパビーム16は、車幅方向に延在されている。左リアサイドフレーム14、右リアサイドフレーム15、及びリアバンパビーム16は、車体構造Ve(具体的には、リアフロア構造10)の骨格を剛性の高い部材である。
【0031】
上部パネル17及び下部パネル18は、後部荷室12の下部(車両下方)に設けられて後部荷室12の床部を形成する。具体的には、上部パネル17は、上面視において概ね矩形状の板材で形成されている。左リアサイドフレーム14の上面23に、上部パネル17の車幅方向左外側部(車幅方向外側)17aが車両上方から接続されている。右リアサイドフレーム15の上面28に、上部パネル17の車幅方向右外側部(車幅方向外側)17bが車両上方から接続されている。
【0032】
下部パネル18は、上面視において概ね矩形状の板材で形成されている。左リアサイドフレーム14の下面24に、下部パネル18の車幅方向左外側部(車幅方向外側)18aが車両下方から接続されている。右リアサイドフレーム15の下面29に、下部パネル18の車幅方向右外側部(車幅方向外側)18bが車両下方から接続されている。
【0033】
すなわち、左リアサイドフレーム14は、上部パネル17の車両下方面、かつ車幅方向左外側部17aに接続されるとともに、下部パネル18の車両上方面、かつ車幅方向左外側部18aに接続された状態において車両前後方向に延在されている。
右リアサイドフレーム15は、上部パネル17の車両下方面、かつ車幅方向右外側部17bに接続されるとともに、下部パネル18の車両上方面、かつ車幅方向右外側部18bに接続された状態において車両前後方向に延在されている。
【0034】
本実施形態では、リアフロア構造10に上部パネル17及び下部パネル18を備える例について説明するが、これに限らない。左リアサイドフレーム14の上面23及び右リアサイドフレーム15の上面28に上部パネル17のみを接続してもよい。左リアサイドフレーム14の下面24及び右リアサイドフレーム15の下面29に下部パネル18のみを接続してもよい。
【0035】
<リアサイドフレーム>
図3は、車体構造の左リアサイドフレームを車両前方左側からみた斜視図である。図4は、車体構造の左リアサイドフレームを上方からみた平面図である。
左リアサイドフレーム14は、複数の剛性変化領域31,32と、複数の脆弱部41~46と、を有する。本実施形態では、複数の剛性変化領域31,32として第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32の2つを例示する。複数の剛性変化領域は、2つに限らないで任意に選択してもよい。
【0036】
第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32は、左リアサイドフレーム14の後端部14b側において後部14cに設けられている。後部14cは、車両前後方向において左リアサイドフレーム14の中心より車両後方で、かつ、左リアサイドフレーム14の後端部14b寄りに位置する。後端部14b寄りとは、完全に後端部14bに接する位置で無くてもよいことを意味する。本実施形態では、後部14cとして、後端部14bから車両前方に所定距離離れた位置までの範囲を例に説明する。
【0037】
第1剛性変化領域31は、例えば、左リアサイドフレーム14の内側面21においてリアバンパビーム16に最も近い左リアサイドフレーム14の後端部14b寄りの位置に設けられている。第1剛性変化領域31は、左リアサイドフレーム14の内側面21から車幅方向外側(すなわち、左リアサイドフレーム14の内側)に向けて湾曲状に凹むように形成され、車両上下方向に延びている。このため、第1剛性変化領域31は、左リアサイドフレーム14の車両前後方向において剛性が変化するように形成されている。
【0038】
第2剛性変化領域32は、例えば、左リアサイドフレーム14の外側面22において第1剛性変化領域31に対して車両前方に間隔をあけた位置に設けられている。すなわち、第2剛性変化領域32は、第1剛性変化領域31に対して長手方向において異なる位置に設けられている。長手方向とは、左リアサイドフレーム14の長手方向(すなわち、車両前後方向)をいう。
第2剛性変化領域32は、左リアサイドフレーム14の外側面22から車幅方向内側(すなわち、左リアサイドフレーム14の内側)に向けて湾曲状に凹むように形成され、車両上下方向に向けて延びている。このため、第2剛性変化領域32は、左リアサイドフレーム14の車両前後方向において剛性が変化するように形成されている。
【0039】
このように、左リアサイドフレーム14の内側面21に、第1剛性変化領域31が設けられている。左リアサイドフレーム14の外側面22に、第2剛性変化領域32が設けられている。第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32は、車両前後方向に間隔をあけて設けられている。
このため、左リアサイドフレーム14に車両後方から衝撃荷重が入力した場合に、左リアサイドフレーム14は、第1剛性変化領域31を起点として車幅方向外側に折れ曲がる。左リアサイドフレーム14は、第2剛性変化領域32を起点として車幅方向内側に折れ曲がる。すなわち、左リアサイドフレーム14は、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を起点として車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がるように変形する。
【0040】
本実施形態では、左リアサイドフレーム14の内側面21に第1剛性変化領域31を設け、左リアサイドフレーム14の外側面22に第2剛性変化領域32を設ける例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、左リアサイドフレーム14の外側面22に第1剛性変化領域31を設け、左リアサイドフレーム14の内側面21に第2剛性変化領域32を設けてもよい。
【0041】
本実施形態では、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を左リアサイドフレーム14の内側に向けて湾曲状に凹むように形成する例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1剛性変化領域及び第2剛性変化領域を左リアサイドフレーム14の外側に向けて突出するように形成してもよい。あるいは、第1剛性変化領域及び第2剛性変化領域を左リアサイドフレーム14に開口部を形成したり、左リアサイドフレーム14の肉厚(板厚)を異ならせたりすることにより形成してもよい。
【0042】
左リアサイドフレーム14の後部14cに複数の脆弱部41~46が設けられている。本実施形態では、複数の脆弱部41~46として第1脆弱部41、第2脆弱部42、第3脆弱部43、第4脆弱部44、第5脆弱部45、及び第6脆弱部46の6つを例示する。複数の脆弱部は、6つに限らないで任意に選択してもよい。
【0043】
第1脆弱部41、第2脆弱部42、及び第3脆弱部43は、左リアサイドフレーム14の後部14cのうち上面23において車両前後方向に間隔をあけて設けられている。第1脆弱部41、第2脆弱部42、及び第3脆弱部43は、例えば上面23から車両上方に突出した形状において車幅方向に連続されている。
【0044】
第1脆弱部41は、両前後方向において第1剛性変化領域31に重なる(ラップする)位置に設けられている。第1脆弱部41は、例えば、車幅方向において内端41aが第1剛性変化領域31に接続され、外端41bが左リアサイドフレーム14の外側面22に接続されている。第1脆弱部41は、内端41aが第1剛性変化領域31から離れていてもよく、外端41bが左リアサイドフレーム14の外側面22から離れていてもよい。
【0045】
第2脆弱部42は、第1脆弱部41の車両前方に設けられ、両前後方向において第2剛性変化領域32に重なる(ラップする)位置に設けられている。第2脆弱部42は、例えば、車幅方向において内端42aが左リアサイドフレーム14の内側面21に接続され、外端42bが第2剛性変化領域32に接続されている。第2脆弱部42は、内端42aが左リアサイドフレーム14の内側面21から離れていてもよく、外端42bが第2剛性変化領域32から離れていてもよい。
【0046】
第3脆弱部43は、第2脆弱部42の車両前方に設けられている。第3脆弱部43から第2脆弱部42までの車両前後方向の間隔は、例えば、第1脆弱部41及び第2脆弱部42の車両前後方向の間隔と同じである。第3脆弱部43は、例えば、車幅方向において内端43aが左リアサイドフレーム14の内側面21に接続され、外端43bが左リアサイドフレーム14の外側面22に接続されている。第3脆弱部43は、内端43aが左リアサイドフレーム14の内側面21から離れていてもよい。左リアサイドフレーム14の外側面22から外端43bが離れていてもよい。
【0047】
第4脆弱部44、第5脆弱部45、及び第6脆弱部46は、左リアサイドフレーム14の後部14cのうち下面24において車両前後方向に間隔をあけて設けられている。第4脆弱部44、第5脆弱部45、及び第6脆弱部46は、例えば下面24から車両下方に突出した形状において車幅方向に連続されている。
【0048】
第4脆弱部44は、車両前後方向において第1剛性変化領域31に重なる(ラップする)位置に設けられている。第4脆弱部44は、第1脆弱部41に対して上下方向において対称に形成されている。よって、第4脆弱部44についての詳しい説明を省略する。
【0049】
第5脆弱部45は、第4脆弱部44の車両前方において第2剛性変化領域32に重なる(ラップする)位置に設けられている。第5脆弱部45は、第2脆弱部42に対して上下方向において対称に形成されている。よって、第5脆弱部45についての詳しい説明を省略する。
【0050】
第6脆弱部46は、第5脆弱部45の車両前方に設けられている。第6脆弱部46から第5脆弱部45に至る間の車両前後方向の間隔は、例えば、第4脆弱部44及び第5脆弱部45の車両前後方向の間隔と同じである。第6脆弱部46は、第3脆弱部43に対して上下方向において対称に形成されている。よって、第6脆弱部46についての詳しい説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、第1脆弱部41から第6脆弱部46を左リアサイドフレーム14の外側に向けて突出するように形成する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1脆弱部から第6脆弱部を左リアサイドフレーム14の内側に向けて湾曲状に凹むように形成してもよい。あるいは、第1脆弱部~第6脆弱部を左リアサイドフレーム14に開口部を形成したり、左リアサイドフレーム14の肉厚(板厚)を薄くしたりすることにより形成してもよい。
【0052】
図1に示すように、右リアサイドフレーム15は、車幅方向において左リアサイドフレーム14に対して左右対称に形成されている。このため、右リアサイドフレーム15に設ける複数の剛性変化領域、及び複数の脆弱部に左リアサイドフレーム14の第1剛性変化領域31、第2剛性変化領域32、及び第1脆弱部41から第6脆弱部46と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0053】
次に、図2図5に基づいて、車体構造Veのリアフロア構造10に衝撃荷重F1が車両後方から入力した場合に、入力した衝撃荷重F1をリアフロア構造10で吸収する例を説明する。
図5は、車体構造のリアフロア構造に車両後方から入力した衝撃荷重の伝達を説明する平面図である。
【0054】
図2図5に示すように、左リアサイドフレーム14の内側面21に第1剛性変化領域31を設け、左リアサイドフレーム14の外側面22に第2剛性変化領域32を設けた。右リアサイドフレーム15の内側面26に第1剛性変化領域31を設け、右リアサイドフレーム15の外側面27に第2剛性変化領域32を設けた。この状態において、リアフロア構造10に車両後方から衝撃荷重F1が入力される。
【0055】
衝撃荷重F1がリアフロア構造10に入力された場合、左リアサイドフレーム14を第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を起点として車幅方向外側及び車幅方向内側に折り曲げるように変形させることができる。同様に、右リアサイドフレーム15を第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を起点として車幅方向外側及び車幅方向内側に折り曲げるように変形させることができる。左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15が折れ曲がるように変形することにより、入力した衝撃荷重F1が吸収される。
【0056】
ここで、左リアサイドフレーム14の上面23及び右リアサイドフレーム15の上面28に上部パネル17が接続されている。左リアサイドフレーム14の下面24及び右リアサイドフレーム15の下面29に下部パネル18が接続されている。左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15が車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がるように変形することにより、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15から上部パネル17及び下部パネル18に荷重が伝達される。
【0057】
具体的には、上部パネル17及び下部パネル18を車幅方向外側に伸張する荷重F2や、車幅方向内側に圧縮する荷重F3が、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15から上部パネル17及び下部パネル18に伝達される。
さらに、上部パネル17及び下部パネル18を車両前方に変形させる荷重F4が、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15から上部パネル17及び下部パネル18に伝達される。
これにより、上部パネル17及び下部パネル18の全域に荷重を効率よく伝達させることができ、上部パネル17及び下部パネル18の全域を好適に変形させることができる。
【0058】
加えて、左リアサイドフレーム14の第1剛性変化領域31と第2剛性変化領域32とを車両前後方向において異なる位置に設けた。右リアサイドフレーム15の第1剛性変化領域31と第2剛性変化領域32とを車両前後方向において異なる位置に設けた。
これにより、左リアサイドフレーム14の一部に応力を集中させることなく、第1剛性変化領域31と第2剛性変化領域32とを起点として左リアサイドフレーム14を車幅方向に好適に折り曲げるように変形させることができる。右リアサイドフレーム15の一部に応力を集中させることなく、第1剛性変化領域31と第2剛性変化領域32とを起点として右リアサイドフレーム15を車幅方向に好適に折り曲げるように変形させることができる。
【0059】
以上説明したようにリアフロア構造10によれば、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15を車幅方向に好適に折り曲げるように変形させることができる。加えて、リアフロア構造10によれば、上部パネル17及び下部パネル18の全域を好適に変形させることができる。
これにより、左リアサイドフレーム14、右リアサイドフレーム15、上部パネル17、及び下部パネル18による荷重吸収効率を向上させることができる。延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0060】
ここで、左リアサイドフレーム14及び右リアサイドフレーム15は、左右対称に形成されている。このため、以下、左リアサイドフレーム14について説明して、右リアサイドフレーム15の詳しい説明を省略する。
左リアサイドフレーム14には上面23に第1脆弱部41、第2脆弱部42、及び第3脆弱部43がそれぞれ車幅方向へ連続するように設けられている。左リアサイドフレーム14には下面24に第4脆弱部44、第5脆弱部45、及び第6脆弱部46がそれぞれ車幅方向へ連続するように設けられている。
このため、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32とともに第1脆弱部41から第6脆弱部46を変形させることができる。これにより、左リアサイドフレーム14を第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を起点として車幅方向に折り曲げる変形を一層好適に促進できる。
【0061】
左リアサイドフレーム14が応力集中により座屈することを抑制して、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を起点として左リアサイドフレーム14を車幅方向に好適に折り曲げることができる。このため、上部パネル17及び下部パネル18の全域に荷重を好適に分配(伝達)できる。これにより、分配された荷重により上部パネル17及び下部パネル18の全域を好適に変形させることができる。
【0062】
左リアサイドフレーム14の後部14cに第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を設けた。このため、車両後方から衝撃荷重F1が入力した際に、左リアサイドフレーム14の後部14cを車幅方向外側及び車幅方向内側に折り曲げるように変形させることにより荷重を吸収できる。
【0063】
左リアサイドフレーム14の後部14cが車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がることにより、左リアサイドフレーム14の後部14cから上部パネル17及び下部パネル18の後端部側に荷重が伝達される。
具体的には、上部パネル17及び下部パネル18の後端部側を車幅方向外側に伸張する荷重F2や、車幅方向内側に圧縮する荷重F3は、左リアサイドフレーム14の後部14cから上部パネル17及び下部パネル18の後端部側に伝達される。上部パネル17及び下部パネル18の後端部側を車両前方に変形させる荷重F4は、左リアサイドフレーム14の後部14cから上部パネル17及び下部パネル18に伝達される。これにより、上部パネル17及び下部パネル18の後端部側から上部パネル17及び下部パネル18の全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
【0064】
加えて、左リアサイドフレーム14の後部14cに第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32が設けられている。このため、車両後方から衝撃荷重F1が入力した際に、上部パネル17及び下部パネル18が車両前方に大きく変形する前に後部14cを車幅方向に折り曲げることができる。これにより、左リアサイドフレーム14で衝撃荷重F1を吸収しながら、上部パネル17及び下部パネル18の全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
この結果、左リアサイドフレーム14で衝撃荷重F1を吸収しながら、面積の広い上部パネル17及び下部パネル18の全域に荷重を好適に分配させることができ、上部パネル17及び下部パネル18による荷重吸収効率を向上させることができる。
【0065】
加えて、第1脆弱部41及び第1剛性変化領域31を車両前後方向において重なる位置に設けた。第2脆弱部42及び第2剛性変化領域32を車両前後方向において重なる位置に設けた。このため、左リアサイドフレーム14に車両後方から入力した衝撃荷重F1で第1脆弱部41及び第2脆弱部42が変形することにより、左リアサイドフレーム14における車両前方への変形を促進できる。
【0066】
第1脆弱部41は、第1剛性変化領域31に車両前後方向において重なる位置に設けられている。第2脆弱部42は、第2剛性変化領域32に車両前後方向において重なる位置に設けられている。このため、左リアサイドフレーム14の長手方向(すなわち、車体前後方向)において、異なる位置に設けられた第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32に応力が集中することを抑えることができる。このように、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32への応力集中を抑えることにより、左リアサイドフレーム14が車両前後方向に座屈することを抑制できる。
【0067】
したがって、第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を起点として左リアサイドフレーム14を車幅方向外側及び車幅方向内側に確実に折り曲げることができる。この結果、上部パネル17及び下部パネル18を車幅方向外側に伸張する荷重F2や、車幅方向内側に圧縮する荷重F3を、左リアサイドフレーム14から上部パネル17及び下部パネル18に確実に伝達できる。
【0068】
[変形例]
本実施形態では、本発明を車両後部のリアフロア構造10に適用する例について説明したが、これに限らない。以下、その他の変形例として、本発明を車両前部に備えたフロントフロア構造に適用することも可能である。以下、変形例のフロントフロア構造100を図6に基づいて説明する。変形例において実施形態のリアフロア構造10と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説を省略する。
【0069】
図6は、変形例のフロントフロア構造を説明する平面図である。
図6に示すように、変形例のフロントフロア構造100は、車両前部に設けられている。フロントフロア構造100は、左フロントサイドフレーム(サイドフレーム)102及び右フロントサイドフレーム(サイドフレーム)104を備える。左フロントサイドフレーム102の前端部102a及び右フロントサイドフレーム104の前端部104aにフロントバンパビーム106が架け渡されている。左フロントサイドフレーム102及び右フロントサイドフレーム104の上面には、上方から上部パネル(パネル)107が接合されている。また、左フロントサイドフレーム102及び右フロントサイドフレーム104の下面には、下方から下部パネル(パネル)108が接合されている。
【0070】
左フロントサイドフレーム102は、車両前方において車幅方向左側の下部に設けられている。左フロントサイドフレーム102は、車両前後方向において後端部102bから前端部102aに車両前方へ向けて延在されている。左フロントサイドフレーム102の前部102cに、第1剛性変化領域31、第2剛性変化領域32、及び第1脆弱部41から第6脆弱部46が設けられている。
【0071】
前部102cは、車両前後方向において左フロントサイドフレーム102の中心より車両前方で、かつ、左フロントサイドフレーム102の前端部102a寄りに位置する。
前端部102a寄りとは、完全に前端部102aに接する位置で無くてもよいことを意味する。変形例では、前部102cとして、前端部102aから車両後方に所定距離離れた位置までの範囲を例に説明する。
【0072】
右フロントサイドフレーム104は、車幅方向において左フロントサイドフレーム102に対して左右対称に形成されている。このため、右フロントサイドフレーム104に設ける複数の剛性変化領域、及び複数の脆弱部に左フロントサイドフレーム102の第1剛性変化領域31、第2剛性変化領域32、及び第1脆弱部41から第6脆弱部46と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0073】
以上説明した変形例のフロントフロア構造100によれば、左フロントサイドフレーム102及び右フロントサイドフレーム104を車幅方向に好適に折り曲げるように変形させることができる。加えて、フロントフロア構造100によれば、上部パネル107及び下部パネル108の全域を好適に変形させることができる。
これにより、左フロントサイドフレーム102、右フロントサイドフレーム104、上部パネル107、及び下部パネル108による荷重吸収効率を向上させることができる。延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0074】
ここで、左フロントサイドフレーム102及び右フロントサイドフレーム104は、左右対称に形成されている。このため、以下、左フロントサイドフレーム102について説明して、右フロントサイドフレーム104の詳しい説明を省略する。
左フロントサイドフレーム102の前部102cに第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32を設けた。このため、車両前方から衝撃荷重F5が入力された際に、左フロントサイドフレーム102の前部102cを車幅方向外側及び車幅方向内側に折り曲げるように変形させることにより荷重を吸収できる。
【0075】
左フロントサイドフレーム102の前部102cが車幅方向外側及び車幅方向内側に折れ曲がることにより、左フロントサイドフレーム102の前部102cから上部パネル107及び下部パネル108の前端部側に荷重が伝達される。
すなわち、上部パネル107及び下部パネル108の前端部側を車幅方向外側に伸張する荷重F6や、車幅方向内側に圧縮する荷重F7は、左フロントサイドフレーム102の前部102cから上部パネル107及び下部パネル108の前端部側に伝達される。上部パネル107及び下部パネル108の前端部側を車両後方に変形させる荷重F8は、左フロントサイドフレーム102の前部102cから上部パネル107及び下部パネル108に伝達される。これにより、上部パネル107及び下部パネル108の前端部側から上部パネル107及び下部パネル108の全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
【0076】
加えて、左フロントサイドフレーム102の前部102cに第1剛性変化領域31及び第2剛性変化領域32が設けられている。このため、車両前方から衝撃荷重F5が入力した際に、上部パネル107及び下部パネル108が車両後方に大きく変形する前に前部102cを車幅方向に折り曲げることができる。これにより、左フロントサイドフレーム102で衝撃荷重F5を吸収しながら、上部パネル107及び下部パネル108の全域に荷重を効率よく伝達させることができる。
この結果、左フロントサイドフレーム102で衝撃荷重F5を吸収しながら、面積の広い上部パネル107及び下部パネル108の全域に荷重を好適に分配させることができ、上部パネル107及び下部パネル108による荷重吸収効率を向上させることができる。
【0077】
変形例のフロントフロア構造100によれば、上述の実施形態のリアフロア構造10と同様の作用、効果を得ることができる。
【0078】
本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0079】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
Ve…車体構造
10…リアフロア構造
12…後部荷室
14…左リアサイドフレーム(サイドフレーム)
14a…左リアサイドフレームの前端部
14b…左リアサイドフレームの後端部
14c…左リアサイドフレームの後部(後端部側)
15…右リアサイドフレーム(サイドフレーム)
15a…右リアサイドフレームの前端部
15b…右リアサイドフレームの後端部
17,107…上部パネル(パネル)
17a,18a…車幅方向左外側部(パネルの車幅方向外側)
17b,18b…車幅方向右外側部(パネルの車幅方向外側)
18,108…下部パネル(パネル)
21,26…内側面(サイドフレームの車幅方向内側)
22,27…外側面(サイドフレームの車幅方向外側)
23,28…上面(サイドフレームの車両上側)
24,29…下面(サイドフレームの車両下側)
31…第1剛性変化領域(剛性変化領域)
32…第2剛性変化領域(剛性変化領域)
41…第1脆弱部(脆弱部)
42…第2脆弱部(脆弱部)
43…第3脆弱部(脆弱部)
44…第4脆弱部(脆弱部)
45…第5脆弱部(脆弱部)
46…第6脆弱部(脆弱部)
100…フロントフロア構造
102…左フロントサイドフレーム(サイドフレーム)
102a…左フロントサイドフレームの前端部
102b…左フロントサイドフレームの後端部
102c…左フロントサイドフレームの前部(後端部側)
104…右フロントサイドフレーム(サイドフレーム)
104a…右フロントサイドフレームの前端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6