(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178601
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 65/04 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B65D65/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096862
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】田内 隆利
(72)【発明者】
【氏名】小松野 幹
(72)【発明者】
【氏名】野畠 歌乃
(72)【発明者】
【氏名】砂川 扶葵
(72)【発明者】
【氏名】寺田 拓摩
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 翼
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AA22
3E086AB01
3E086AD02
3E086AD13
3E086AD26
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB71
3E086BB74
3E086CA01
3E086CA29
3E086CA35
3E086CA40
(57)【要約】
【課題】開封形態での使用性を向上させることができる容器を提供すること。
【解決手段】シート2を折り込んでなる容器1は、底壁3と側壁4a,4bと上壁5a,5bと前後壁6a,6bとを少なくとも有して構成されており、封入形態では、上壁5a,5bが側壁4a,4bの上縁から内側に折り込まれており、封入形態から前後壁6a,6bを介して展開することで、上方に開口12を有する箱状をなす開封形態となり、側壁4a,4bは、中央が上方に張り出す形状をなしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを折り込んでなる容器であって、
底壁と側壁と上壁と耳壁とを少なくとも有して構成されており、
封入形態では、前記上壁が前記側壁の上縁から内側に折り込まれており、
前記封入形態から前記耳壁を介して展開することで、上方に開口を有する箱状をなす開封形態となり、
前記側壁は、中央が上方に張り出す形状をなしていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記側壁の上縁は、上向き凸状の円弧をなしていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記底壁に連なる前記側壁の下縁は、中央が下方に張り出す形状をなしていることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記底壁に連なる前記側壁の下縁は、下向き凸状の円弧をなしていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記上壁と前記耳壁とは、折り込み部を介して連接されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記耳壁は、前記封入形態において、前記底壁との境界から該底壁側に折り込まれることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記上壁は、左右一対の上壁からなり、
前記左右一対の上壁のうち一方の左右寸法は、他方の左右寸法よりも長寸であり、
前記封入形態において前記左右一対の上壁それぞれの一部が上下に重なることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記耳壁の前後寸法は、前記上壁の左右寸法よりも長寸であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを折り込んでなる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や料理などの被収容物を収容可能な容器として、例えば、1枚の紙製のシートを折り込むことにより構成されるもの等がある。
【0003】
この種の容器として、例えば、平面視四角形状の底壁と、底壁から四方に延出される4つの側壁と、4つの側壁の上辺から延出される上壁と、隣り合う側壁の間に設けられる折畳部と、から箱状に構成され、4つの上壁のうち対向する2つの上壁同士を係止することで直方体形状の封入形態となるとともに、封入形態から4つの上壁を外側に折り返すことで上方に開口する箱状をなす開封形態となり、開封形態に展開することで容器をそのまま食器のように使用できるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-105943号公報(第4頁、第3~4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の容器にあっては、開封形態において底壁の周囲が直立する側壁により囲まれていることで、上方の開口が狭いと、箸が側壁に接触して内部の食品や料理を箸で掻き混ぜたり掴んだりする際の扱いが難しくなるため、開封形態での使用性に問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、開封形態での使用性を向上させることができる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の容器は、
シートを折り込んでなる容器であって、
底壁と側壁と上壁と耳壁とを少なくとも有して構成されており、
封入形態では、前記上壁が前記側壁の上縁から内側に折り込まれており、
前記封入形態から前記耳壁を介して展開することで、上方に開口を有する箱状をなす開封形態となり、
前記側壁は、中央が上方に張り出す形状をなしていることを特徴としている。
この特徴によれば、側壁の上縁に沿って上壁が折り込まれると該上壁が外向き凸状に膨らむことで、開封形態において上壁を直立させたときに上方の開口が拡がって被収容物の扱いが容易になるため、開封形態での使用性が向上する。
【0008】
前記側壁の上縁は、上向き凸状の円弧をなしていることを特徴としている。
この特徴によれば、内側に折り込まれた上壁が湾曲状に膨らむことで折り目が付きにくくなる。
【0009】
前記底壁に連なる前記側壁の下縁は、中央が下方に張り出す形状をなしていることを特徴としている。
この特徴によれば、封入形態において上壁と底壁とが上下に凸状に膨らむため、容器の形状が潰れにくくなる。
【0010】
前記底壁に連なる前記側壁の下縁は、下向き凸状の円弧をなしていることを特徴としている。
この特徴によれば、封入形態において底壁が湾曲状に膨らむことで折り目が付きにくくなる。
【0011】
前記上壁と前記耳壁とは、折り込み部を介して連接されていることを特徴としている。
この特徴によれば、耳壁を折り込むことで上壁が連動して封入形態から開封形態に変化するため、開封時に被収容物に手指が触れることを防止できる。
【0012】
前記耳壁は、前記封入形態において、前記底壁との境界から該底壁側に折り込まれることを特徴としている。
この特徴によれば、封入形態において上壁が耳壁に引っ張られるため密封性を高めることができる。
【0013】
前記上壁は、左右一対の上壁からなり、
前記左右一対の上壁のうち一方の左右寸法は、他方の左右寸法よりも長寸であり、
前記封入形態において前記左右一対の上壁それぞれの一部が上下に重なることを特徴としている。
この特徴によれば、封入形態から開封形態または開封形態から封入形態に変化するときに、左右一対の上壁が常に上下でスライド状に動作することで突き当りが回避されるため、スムーズに開閉させることができる。
【0014】
前記耳壁の前後寸法は、前記上壁の左右寸法よりも長寸であることを特徴としている。
この特徴によれば、開封形態において耳壁の一部が上壁より上方に位置するので、上壁に干渉せずに操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は本発明の実施例としての封入形態の容器を右斜め前上方から見た状態を示す斜視図、(b)は開封形態の容器を右斜め前上方から見た状態を示す斜視図である。
【
図2】(a)はシートを示す展開図、(b)は底壁と上壁とを重ねるようにシートを折り込んだ状態を示す平面図、(c)は封入形態の容器を示す平面図、(d)は底面図である。
【
図3】(a)は封入形態の容器を示す正面図、(b)は右側面図である。
【
図4】(a)は底壁と上壁とを重ねるようにシートを折り込んだ状態を示す平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)のC-C断面図である。
【
図5】(a)は前後壁を上向きに折り込んだ状態を示す平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)のD-D断面図である。
【
図6】(a)は開封形態の容器を示す平面図、(b)は(a)のE-E断面図である。
【
図7】(a)は開封形態の容器を示す右側面図、(b)は(a)のF-F断面図である。
【
図8】容器を立てて使用する状態を示す斜視図である。
【
図9】(a)は本発明の変形例としてのシートを示す展開図、(b)は底壁と上壁とを重ねるようにシートを折り込んだ状態を示す平面図、(c)は封入形態の容器を示す平面図である。
【
図10】(a)は底壁と上壁とを重ねるようにシートを折り込んだ状態を示す平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は本発明の変形例としての封入形態の容器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る容器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
本発明に係る実施例としての容器につき、
図1~
図8を参照して説明する。尚、以下の説明において、
図1(a),(b)の左斜め下方を容器の前方、
図1(a),(b)の右斜め上方を容器の後方、
図1(a),(b)の左斜め上方を容器の左方、
図1(a)の右斜め下方を容器の右方、
図1(a),(b)の上方を容器の上方として説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施例としての容器1は、被収容物の一例である食品(本実施例では納豆)を収容可能であり、
図1(a)に示すように、内部に納豆N(
図3参照)が封入された封入形態と、
図1(b)に示すように、上方が開口することにより、内部に収容されている納豆Nを扱うこと等が可能な開封形態と、に変化可能に構成されている。
【0019】
尚、本実施例では、被収容物の一例として、食品である納豆Nを収容した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、被収容物は、例えば、オートミールやお菓子など納豆以外の食品、または料理でもよい。また、食品であれば、納豆のような粘性を有する食品だけでなく、きな粉等の粉末状の食品やゼリー等の半固体状の食品でもよい。また、食材とレシピがセットになっているミールキット等でもよい。さらに、食品や料理以外の物品(例えば、接着剤と硬化促進剤などであってもよく、これらの内混合用の容器が必要なものが特に好ましい)等でもよい。
【0020】
図2(a)に示すように、容器1は、例えば、平面視略正方形状をなす1枚のシート2からなり、予め設けられた折り目の通りに折り込むことにより各壁面が構成される。シート2は、本実施例では厚紙からなるが、表面に樹脂がラミネートされることにより耐水性や耐油性を有するものでもよいし、合成樹脂製のシート等でもよい。また、
図2(a)に示すシート2の展開状態では、容器1が封入形態であるときの前後・左右・上下方向を基準として説明する。
【0021】
図2(a)に示すように、シート2を、封入形態における内面を上向きにして展開した状態において、破線の谷折り線(内折り線)に沿って谷折りするとともに、1点鎖線の山折り線(外折り線)に沿って山折りすることにより各壁面が構成される。詳しくは、シート2の中央には底壁3が設けられ、底壁3の左右側には側壁4a,4bが設けられ、側壁4a,4bのさらに左右側には上壁5a,5bが設けられ、底壁3の前後側には、前後壁6a,6bが設けられている。また、上壁5aと前後壁6aとの間には折畳部7aが設けられ、上壁5bと前後壁6aとの間には折畳部7bが設けられ、上壁5aと前後壁6bとの間には折畳部7cが設けられ、上壁5bと前後壁6bとの間には折畳部7bが設けられる。
【0022】
側壁4a,4bは、前後方向の中央が左右側に膨出するとともに、前端及び後端に向けて漸次先細になる紡錘形に形成されている。このように、側壁4a,4bは底壁3及び上壁5a,5bに向けて凸状に張り出していることで、底壁3における側壁4a,4bとの境界縁は外向き凹状に形成されるとともに、上壁5a,5bにおける側壁4a,4bとの境界縁は内向き凹状に形成される。
【0023】
また、シート2の左側辺には、上壁5a及び前後の折畳部7a,7cの一部を切り欠くことにより切凹欠部8(
図2(a)において網点で示す領域)が形成されている。これにより、上壁5aにおける側壁4aとの境界縁から左側縁までの左右寸法L2は、上壁5bにおける側壁4bとの境界縁から右側縁までの左右寸法L1よりも短寸である(L1>L2)。また、前後壁6a,6bにおける底壁3との境界縁から前後縁までの前後寸法L3は、上壁5bにおける側壁4bとの境界縁から右側縁までの左右寸法L1よりも長寸である(L3>L1)。また、上壁5a,5bの左右寸法L1,L2及び前後壁6a,6bの前後寸法L3は、側壁4a,4bの上下寸法L4よりも長寸である(L1>L4,L2>L4,L3>L4)。
【0024】
シート2を折り込んで封入形態とするには、まず、
図2(a)に示すように、底壁3の左側の上壁5a及び前後の折畳部7a,7cを、前後方向を向く谷折り線f1に沿って内側に向けて折り畳んだ後、上壁5b及び前後の折畳部7b,7dを、前後方向を向く谷折り線f2に沿って内側に向けて折り畳む。これにより、側壁4a,4bが起立するとともに、上壁5a,5bが底壁3の上方に離間して重なるとともに、上壁5a及び前後の折畳部7a,7c右縁部の上方に、上壁5b及び前後の折畳部7b,7dの左縁部が接触するようにして重なる(
図2(b)参照)。そして、前後壁6aと折畳部7a,7bの前縁部9a及び前後壁6bと折畳部7c,7dの後縁部9bを、接着剤、両面テープ、ステープラー等の固着手段により固着して、折り畳まれた折畳部7a~7dが浮き上がらないようにする。
【0025】
次いで、
図2(b)に示すように、前後壁6a及びその上方に重なった折畳部7a,7bを、上下方向を向く山折り線f3に沿って下側に折り畳んだ後、前後壁6b及びその上方に重なった折畳部7c,7dを、上下方向を向く山折り線f4に沿って下側に折り畳む。これにより、前後壁6a及び折畳部7a,7bと、前後壁6b及び折畳部7c,7dとが、底壁3の下方に重なって封入形態となる(
図2(c),(d)参照)。尚、前後壁6b及び折畳部7c,7dの端縁をシール10などにより閉じてもよい。
【0026】
容器1は、
図1(a)及び
図3(a),(b)に示す封入形態では、底面を形成する底壁3と、上面を形成する上壁5a,5bと、左右側面を形成する側壁4a,4bと、から紡錘筒箱状に構成され、底壁3の下方に、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dが折り畳まれてなる。底壁3は、側面視において、側壁4a,4bの下縁に沿って下向き凸状の円弧をなすように湾曲するとともに、上壁5a,5bは、側面視において、側壁4a,4bの上縁に沿って上向き凸状の円弧をなすように湾曲する。
【0027】
また、
図3(b)に示すように、底壁3と上壁5a,5bの前端縁及び後端縁は、側壁4a,4bを介すことなく接している(尚、本実施例では接しているが極近接しているものでもよい)ことで、底壁3、側壁4a,4b及び上壁5a,5bの4面からなる平面視略正方向の箱状に形成されている。また、
図2(c)に示すように、左側の側壁4aは平面視で左向き凹状に形成され、右側の側壁4bは平面視で右向き凹状に形成されている。
【0028】
次に、封入形態から開封形態に展開する方法を説明する。尚、以下においては、説明の便宜上、容器1内に収容されている納豆Nの図示は省略する。
【0029】
図4(a),(b)に示すように、まず、封入形態において、前後壁6a,6bと底壁3との境界の左右方向を向く谷折り線f5,f6に沿って、底壁3の下方に折り畳まれている前後壁6a,6b及び折畳部7a~7d(
図4(b)の2点鎖線参照)の前後端縁部を把持して、前後方向に略水平に拡げる。ここで、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dが下方に折り畳まれているときは、上壁5a,5bが前後壁6a,6bにより前後側に向けて引っ張られて張力が生じていることで、上壁5a,5b各々の縁部は、浮き上がることなく上下に接触して重なった状態で維持されるため、密封性が向上する(
図4(c)の左側の図を参照)。
【0030】
尚、内部に納豆Nが充満されていれば、上壁5a,5bに張力が付与された状態で内部からも反力がかかることで、上壁5a,5b同士がより密接して密封状態が高まる。このように密封性が高まることで、一般的な納豆容器内に設けられている乾燥等を防止するためのフィルム等を設けることは必須ではなくなる。
【0031】
しかし、
図4(b)に示すように、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dが前後方向に略水平に拡がることで張力が低下すると、上壁5a,5b及び折畳部7a~7dが、折畳部7a~7dに予め斜めに形成された谷折り線f7~f10に沿って折り込まれることで上方に浮き上がる(
図4(b)及び
図4(c)の右側の図参照)。また、
図4(c)に示すように、上壁5aは上壁5bの下方に位置するとともに、上壁5aの左右寸法L2は、上壁5bの左右寸法L1よりも短寸である。よって、上壁5aは、常に上壁5bの下方で開放動作する一方で、短寸のため上壁5bに接触しにくくなるので、スムーズに開放させることができる。
【0032】
次いで、
図5(a)~(c)に示すように、谷折り線f5,f6に沿って前後壁6a,6bを上側に折り込んでいく。この前後壁6a,6bの折り込みにより、折畳部7a~7dに斜めに形成された谷折り線f7~f10に沿って折畳部7a~7dが折り込まれることで、上壁5a,5bが左右外方に拡がりながら起立するとともに、側壁4a,4bが左右側方に傾いていく。つまり、前後壁6a,6bと上壁5a,5bとが折畳部7a~7dを介して連接されていることで、前後壁6a,6bの折り込みに連動して上壁5a,5bが起立していく。これにより、上壁5a,5b及び折畳部7a~7dの左右側縁が左右側に拡がって上方の開口12が大きくなっていく。
【0033】
さらに、
図6(a),(b)及び
図7(a),(b)に示すように、前後壁6a,6bが略直立状態となると、前後壁6a,6bの内面側に折畳部7a~7dが折り畳まれることで、折畳部7a~7dが底壁3上に張り出して納豆Nに接触することがない。また、前後壁6a,6bとともに上壁5a,5bが略直立状態となる。これにより、底壁3、上壁5a,5b及び前後壁6a,6bにより平面視略正方形状の開口12が上方に形成される箱体が形成され、食器として利用することが可能な開封形態となる。
【0034】
また、側壁4a,4bの上縁に沿って上壁5a,5bが内側に折り込まれることにより、上壁5a,5bが外向き凸状に膨らむことで(
図6(a)参照)、上壁5a,5bが起立したときに上方の開口12の左右側縁が拡がる。これにより箸が上壁5a,5bに接触しにくくなるので、箸により納豆Nを扱いやすくなる。また、上壁5a,5bが起立することで左右の側壁4a,4bが外側方に向けて約45度傾くことで収容部底面が左右側方に拡がるため、納豆Nをより扱いやすくなる(
図7(b)参照)。このとき、左右の側壁4a,4bが外側方に向けて約45度傾くことで、上壁5a,5bの離間距離は底壁3の左右寸法よりも長くなっている(
図7(b)参照)。また、上壁5a,5bと底壁3との間で左右の側壁4a,4bが約45度傾くことで、底壁3の周囲の角部が直角より鈍角になって納豆Nが取出しやすくなるため、容器1内を隅まで広く有効に使用することができる。
【0035】
また、前後壁6a,6bの前後寸法L3は、上壁5a,5bの左右寸法L1,L2よりも長寸であることで(L1,L2<L3)、前後壁6a,6bの前後端縁部を把持して開封形態に変化させる際に、手指が上壁5a,5bに接触しにくくなり、前後壁6a,6bの折り込み操作に影響が及ぶことが防止される。尚、開封形態として納豆Nを取出した後、前後壁6a,6bを再び底壁3の下方側まで折り返すだけで、簡単に開封形態から封入形態に戻すことができる。よって、封入形態から開封形態にするときや、開封形態から封入形態にするときに、手指が納豆Nに触るなどして汚すことなく開封したり閉じたりすることができる。
【0036】
また、開封形態において略直立となる上壁5a,5bの上下寸法(左右寸法L1,L2)及び前後壁6a,6bの上下寸法(前後寸法L3)は、封入形態における側壁4a,4bの上下寸法L4よりも長寸であることで、開封形態では、封入形態のときよりも深さが大きくなる。このように、封入形態においては納豆Nをコンパクトに密封することができる一方で、開封形態においては容器1内で納豆Nを掻き混ぜるときなどに納豆Nが零れたり手が触れて汚れたりしにくくなるため、使用性が向上する。
【0037】
また、容器1は、封入形態において、側壁4a,4bの下方に折り畳まれた前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dが配置されたときに、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dの左右側が側壁4a,4bより外側に位置する。また、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dの左右側縁は下向き凸状に湾曲するが、平面視で前後方向に直線状に延設されるため、例えば、
図8に示すように、右側壁4b(または側壁4a)を下方に向け、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dの左右側縁を床面上に載置することで、容器1を立て掛けるように設置することができる。
【0038】
[作用・効果]
以上説明したように、本発明の実施例としての容器1は、シート2を折り込んでなる容器1であって、底壁3と側壁4a,4bと上壁5a,5bと前後壁6a,6bとを少なくとも有して構成されており、封入形態では、上壁5a,5bが側壁4a,4bの上縁から内側に折り込まれており、封入形態から前後壁6a,6bを介して展開することで、上方に開口12を有する箱状をなす開封形態となり、側壁4a,4bは、中央が上方に張り出す形状をなしている。これによれば、側壁4a,4bの上縁に沿って上壁5a,5bが折り込まれると該上壁5a,5bが外向き凸状に膨らむことで、開封形態において上壁5a,5bを直立させたときに上方の開口12が拡がって納豆Nの扱いが容易になるため、開封形態での使用性が向上する。
【0039】
また、側壁4a,4bの上縁は、上向き凸状の円弧をなしていることで、開封形態において内側に折り込まれた上壁5a,5bが湾曲状に膨らむため折り目が付きにくくなる。
【0040】
また、底壁3に連なる側壁4a,4bの下縁は、中央が下方に張り出す形状をなしていることで、封入形態において上壁5a,5bと底壁3とが上下に凸状に膨らむため、容器1の形状が潰れにくくなる。
【0041】
また、底壁3に連なる側壁4a,4bの下縁は、下向き凸状の円弧をなしていることで、封入形態において底壁3が湾曲状に膨らむことで折り目が付きにくくなる。
【0042】
また、上壁5a,5bと前後壁6a,6bとは、折り込み部としての折畳部7a~7dを介して連接されていることで、前後壁6a,6bを折り込むことで上壁5a,5bが連動して封入形態から開封形態に変化するため、開封時に納豆Nに手指が触れることを防止できる。また、前後壁6a,6bを折り込むだけの簡単な操作を1回行うだけで、封入形態から開封形態または開封形態から封入形態に容易に変化させることができるとともに、開封形態では封入形態よりも容積が大きくなるので、容器1内から納豆Nを掴んで取出すときの使用性だけでなく、掻き混ぜたり、たれやからしなどの調味料を加えたりするといった一手間加えるときの使用性が向上する。
【0043】
また、前後壁6a,6bは、封入形態において、底壁3との境界から該底壁3側に折り込まれることで、封入形態において上壁5a,5bが前後壁6a,6bに引っ張られるため密封性を高めることができる。
【0044】
また、上壁は左右一対の上壁5a,5bからなり、上壁5aの左右寸法L2は、他方の上壁5bの左右寸法L1よりも短寸であり(L1>L2)、封入形態において左右一対の上壁5a,5bそれぞれの一部が上下に重なることで、封入形態から開封形態または開封形態から封入形態に変化するときに、左右一対の上壁5a,5bが常に上下で動作することで接触が回避されるため、スムーズに開閉させることができる。
【0045】
また、前後壁6a,6bの前後寸法L3は、上壁5a,5bの左右寸法L1,L2よりも長寸であることで(L1,L2<L3)、開封形態において前後壁6a,6bの一部が上壁5a,5bより上方に位置するので、上壁5a,5bに干渉せずに操作することができる。
【0046】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、
図2(a)に示すようにシート2が展開された状態において、前後壁6a,6bの左右側縁は折畳部7a~7dに連接されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図9(a)に示すように、前後壁6a,6bと左右の折畳部7a~7dとの間に、側壁4a,4bと略同形の切欠部20が形成されていてもよい。つまり、前後壁6a,6bと左右の折畳部7a~7dとは必ずしも連接されていなくてもよい。また、切欠部20を側壁4a,4bと略同形の紡錘形とすることで、
図9(b)に示すように、折畳部7a~7dを前後壁6a,6b側に折り畳んだときに、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dの左右側縁が左右側方に向けて凹状の円弧となる。
【0048】
これにより、
図9(c)に示すように、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dを底壁3の下方に折り畳んだときに、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dの左右側縁が側壁4a,4bの上縁に沿うことで、側壁4a,4bの左右側方に突出することを回避できるため、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dが接触により折れ曲がることを防止できる。
【0049】
また、前記実施例では、封入形態において、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dは底壁3の下方に折り畳まれる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図10(a)~(c)に示すように、封入形態において、前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dを底壁3の上方に折り畳んでもよい(
図10(b)の2点鎖線参照)。
【0050】
また、前記実施例では、側壁4a,4bは、側面視略紡錘形状をなしている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも上壁5a,5bに連なる上縁の中央が上方に張り出す形状をなしていれば、側面視略紡錘形状をなしていなくてもよい。また、側壁4a,4bの上縁は、上向き凸状の円弧をなしているが、中央が上方に張り出す形状をなしていれば必ずしも円弧でなくてもよく、例えば、略三角形状や略凸状に形成されていてもよい。
【0051】
また、前記実施例では、底壁3、側壁4a,4b、上壁5a,5bの4面からなる紡錘筒箱状に形成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、底壁と側壁と上壁と耳壁とを少なくとも有していれば、必ずしも4面でなくてもよく、5面以上の箱体にて構成されていてもよい。また、各壁面の形状や大きさ等も任意であり、種々に変更可能である。
【0052】
また、前記実施例では、上壁5aの左右寸法L2は、上壁5bの左右寸法L1よりも短寸である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上壁5aの左右寸法L2を上壁5bの左右寸法L1よりも長寸としてもよいし、上壁5aの左右寸法L2と上壁5bの左右寸法L1とを同寸としてもよい。さらに上壁は、左右の側壁4a,4bから各々連なる左右一対の上壁5a,5bからなる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、左右の側壁4a,4bのうち一方から内側に折り込まれる1個の上壁にて構成されていてもよい。
【0053】
また、前記実施例では、容器1の封入形態において、内部には納豆Nのみが収容された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、底壁3と前後壁6a,6b及び折畳部7a~7dとの間に、たれやからしなどの調味料や説明書等を挟み込んでもよい(
図3(b)参照)。このようにすることで、側面から調味料や説明書等を確認できるとともに、上壁5a,5bに生じる張力を高めるなど、張力を調整することが可能となる。
【0054】
また、前記実施例では、容器1は、1枚のシート2を折り込むことで形成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2枚以上のシートを組合せて折り込むことにより構成されてもよい。
[産業上の利用可能性]
【0055】
本発明の容器は、納豆以外にも、餅、きな粉、オートミール、お菓子、氷菓等の食品、総菜等の料理品、ミールキット、接着剤、シール剤、小型玩具、文房具、コイン等を収容する容器にも適用可能である。