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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178608
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】食品容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B65D81/32 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096876
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】598143343
【氏名又は名称】赤松化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000143444
【氏名又は名称】株式会社高速
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤松 外之彦
(72)【発明者】
【氏名】樋本 裕司
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013AB01
3E013AC13
3E013AD12
3E013AE06
(57)【要約】
【課題】収納空間を大きくした食品容器を提供する。
【解決手段】食品容器100は、第一底面11と、第一側面12を備え、上面を開口した第一開口面17を有する第一容器1と、第二底面21と、第二側面22を備え、上面を開口した第二開口面27を有し、第一開口面17にセットされた状態で第二側面22を第一容器1から部分的に表出可能な第二容器2と、第一開口面17または第二開口面27のいずれかを嵌合して閉塞可能な蓋3とを備える。第二開口面27の第二内径28は、第一開口面17の第一内径18よりも大きく、蓋3は、第一内径18と嵌合する第一壁39aと、第二内径28と嵌合する第二壁39bとを設けてなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一底面と、第一側面を備え、上面を開口した第一開口面を有する第一容器と、
第二底面と、第二側面を備え、上面を開口した第二開口面を有し、前記第一開口面にセットされた状態で前記第二側面を前記第一容器から部分的に表出可能な第二容器と、
前記第一開口面または前記第二開口面のいずれかを嵌合して閉塞可能な蓋と、
を備える食品容器であって、
前記第二開口面の第二内径は、前記第一開口面の第一内径よりも大きく、
前記蓋は、
前記第一内径と嵌合する第一壁と、
前記第二内径と嵌合する第二壁とを設けてなる食品容器。
【請求項2】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記蓋が、前記第一開口面を嵌合して閉塞可能に構成してなる食品容器。
【請求項3】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記蓋は、
その周辺から、階段状に形成された前記第二壁と、
前記第二壁部から、階段状に形成された前記第一壁と、
を形成してなる食品容器。
【請求項4】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記第二容器は、前記第二側面の中間に、前記第一開口面を嵌合して閉塞する第二閉塞構造を設けてなる食品容器。
【請求項5】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記蓋は、側面に開口したフランジを有する食品容器。
【請求項6】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記第二容器は、前記第二底面に、部分的にU字状の切り込みを形成しており、
前記蓋は、前記第二容器の前記第二開口面と対向する周縁の少なくとも一部に、凹部を形成してなる食品容器。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の食品容器であって、
前記第一側面が凹凸部を有する食品容器。
【請求項8】
請求項7に記載の食品容器であって、
前記第一容器が、スープを収容する空間であり、
前記第二容器が、麺又は具を収容する空間である食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品容器に関し、例えば麺類などの容器であって、麺や具材とスープとを別々に収納可能な食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類などの食品を収納する容器が種々開発されている。麺や具材は、スープに浸かったままだと伸びてコシを損なってしまうため、麺や具材を、スープと別々に収納する容器が利用されている。同様に、親子どんぶりなどにおいても、ご飯とおかずとを別々に収納する容器が利用されている。このような食品容器は、従来のスーパーマーケットやコンビニエンスストアといった食品売場での使用に加えて、近年のコロナ禍の内籠もり需要に従い、テイクアウト、デリバリー用にも利用されるようになっている。
【0003】
このような食品容器900では、従来、図9に示すように、底容器901に中皿容器902を完全に埋没させる形で落とし込んで、蓋903で閉塞する構造となっていた。この構成であれば、共通の蓋903で、中皿容器902と底容器901を共に閉塞できる。しかしながら、この構成では、図9の断面図に示すように、底容器901の収納空間が、中皿容器902を収納する関係上狭くなってしまうという問題があった。かといって、中皿容器902を薄くすると、今度は中皿容器902の収納空間が狭くなってしまう。このように、従来の食品容器900では中皿容器902と底容器901の容積を両立させて確保することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-199274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的の一は、収納空間を大きくした食品容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、本開示の一形態に係る食品容器は、第一底面と、第一側面を備え、上面を開口した第一開口面を有する第一容器と、第二底面と、第二側面を備え、上面を開口した第二開口面を有し、第一開口面にセットされた状態で第二側面を第一容器から部分的に表出可能な第二容器と、第一開口面または第二開口面のいずれかを嵌合して閉塞可能な蓋と、を備える食品容器であって、第二開口面の第二内径は、第一開口面の第一内径よりも大きく、蓋は、第一内径と嵌合する第一壁と、第二内径と嵌合する第二壁とを、同心円状に設けてなる。
【0007】
上記構成により、第二容器を第一容器に完全に埋没させるのでなく、一部のみを埋没させることで第二容器を第一容器から部分的に表出させ、第一容器と第二容器の容量を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る食品容器の概略斜視図である。
図2図1に示す食品容器の分解斜視図である。
図3】第一容器、第二容器、蓋の概略断面図である。
図4】第一容器、第二容器、蓋の各々が嵌合された状態を示す概略断面図である。
図5図4の要部拡大断面図である。
図6】第一容器と蓋の概略斜視図である。
図7】第一容器と蓋が嵌合された状態を示す概略断面図である。
図8】凹部の概略斜視図及び平面図である。
図9】従来の食品容器の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の形態は、以下の構成や特徴によって特定されてもよい。
本開示の一態様に係る食品容器は、第一底面と、第一側面を備え、上面を開口した第一開口面を有する第一容器と、第二底面と、第二側面を備え、上面を開口した第二開口面を有し、第一開口面にセットされた状態で第二側面を第一容器から部分的に表出可能な第二容器と、第一開口面または第二開口面のいずれかを嵌合して閉塞可能な蓋と、を備える食品容器であって、第二開口面の第二内径は、第一開口面の第一内径よりも大きく、蓋は、第一内径と嵌合する第一壁と、第二内径と嵌合する第二壁とを設けてなる。
【0010】
上記構成により、第二容器を第一容器に完全に埋没させるのでなく、一部のみを埋没させることで第二容器を第一容器から部分的に表出させ、第一容器と第二容器の容量を確保することが可能となる。
【0011】
また、上記構成により、第二容器を第一容器にセットし易くできる。セットした状態で第二容器が第一容器から部分的に表出する部分を有し、第一内径が第二側面の中央部に接触して第二容器が第一開口面にセットされるため、この接触する第二側面の強度を向上でき、よれ、曲がり、変形を防止し、第二容器が回転、ローリングすることを防止して、セットする力を効率よく伝えて、簡単かつ容易に、ストレスなく第二容器をセットできるからである。
【0012】
他の態様に係る食品容器は、上記の形態において、蓋が、第一開口面を嵌合して閉塞可能に構成している。上記構成により、第二容器を使用しない第一容器のみでも蓋を閉塞して使用可能とでき、蓋を別途設けることなく共用可能として、用途に応じて使用可能とできる。
【0013】
他の態様に係る食品容器は、上記いずれかの形態において、蓋は、その周辺から、階段状に形成された第二壁と、第二壁部から、階段状に形成された第一壁とを形成してなる。上記構成により、階段状とした簡単な構成で、内径の異なる第一開口面と第二開口面を共通の蓋で嵌合構造にて閉塞することが可能となる。
【0014】
他の態様に係る食品容器は、上記いずれかの形態において、第二容器は、第二側面の中間に、第一開口面を嵌合して閉塞する第二閉塞構造を設けてなる。上記構成により、第二容器を第一容器に重ねた状態で第二閉塞構造にて嵌合して、第一容器を安定的に閉塞することが可能となる。
【0015】
他の態様に係る食品容器は、上記いずれかの形態において、蓋は、側面に開口したフランジを有する。上記構成により、蓋の上面からゴミなど異物が第一容器または第二容器に混入することを防止できる。第一容器または第二容器の蒸気を排出でき、第一容器の内容物の熱で第二容器の内容物を温めることができる。例えば、第一容器の液体スープの熱で第二容器の麺の温め、保温、保湿して、麺の乾燥とコシがなくなることを防止できる。
【0016】
他の態様に係る食品容器は、上記いずれかの形態において、第二容器は、第二底面に、部分的にU字状の切り込みを形成しており、蓋は、第二容器の第二開口面と対向する周縁の少なくとも一部に、凹部を形成してなる。上記構成により、第一容器に収納されたスープなどの熱を、切り込みを通じて第二容器に案内して加温しつつ、第二容器から外部へは凹部を通じて上記などを排出できるようになる。これにより、従来のように蓋にU字状の切り込みを設けた際に、外部から異物が侵入する事態を回避しつつ、蒸気などを排出することが可能となる。
【0017】
他の態様に係る食品容器は、上記いずれかの形態において、第一側面は、凹凸部を有することができる。上記構成により、凹凸部の凹凸、段差、溝、辺、線などを内容物の分量の目印にして第一容器の内容物の分量を簡単に判断でき、分量を測定することなく、適量の内容物を簡単、迅速に入れることができる。例えば、液体スープを入れる場合、スープを毎回測量して入れる作業は手間と時間がかかり面倒であるが、凹凸部の目印を基準にすることで、大盛り、中盛り、小盛りなど注文に応じた適量を簡単かつ迅速に入れることができる。また、凹凸部は第一側面を補強できる。さらに、凹凸部は第一容器を持ち易くでき、また第一容器の蒸気、熱の伝達具合を調整できる。
【0018】
他の態様に係る食品容器は、上記いずれかの形態において、第一容器が、スープを収容する空間であり、第二容器が、麺又は具を収容する空間にできる。上記構成により、例えば、下側の第一容器のスープの蒸気、熱で、上側の第二容器の麺又は具材を保温、保湿できる。
【0019】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本開示の技術思想の具体例を示すものであって、本開示を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
(食品容器100)
【0020】
実施形態1に係る食品容器100を図1図8に基づいて説明する。これらの図において、図1は実施形態1に係る食品容器100の概略斜視図、図2は食品容器100の分解斜視図、図3は第一容器1、第二容器2、蓋3の概略断面図、図4は第一容器1、第二容器2、蓋3の各々が嵌合された状態の概略断面図、図5は嵌合部分の概略拡大断面図、図6は第一容器1と蓋3の分解斜視図、図7は第一容器と蓋が嵌合された状態の概略断面図、図8は凹部の概略斜視図及び平面図、をそれぞれ示している。
【0021】
食品容器100は、食材を収納する容器であり、第一容器1と、第二容器2と、蓋3とを備える。図1の食品容器100は、第一容器1を底容器として下側に、第二容器2を中皿容器として第一容器1の上側にセットして配置する。食品容器100は、第一容器1と第二容器2に、同じまたは異なる内容物(被収納物、被収容物)を分離収納できる。
【0022】
食品容器100は、各々第一容器1と第二容器2に、内容物を分離収納できる。食品容器100は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの食品売場での使用に加え、テイクアウト、デリバリー、宅配用などの容器として使用できる。食品容器100は、内容物の食材を第一容器1と第二容器2に分離収納する容器として使用できる。例えば、内容物がラーメン、うどん、そば等の場合、液体スープを第一容器1に、麺や具材を第二容器2に、それぞれ分離して収納できる。これにより、麺が液体スープに浸かって伸びることを防止できる。また内容物が、カツ丼、親子丼、カレーライス等の場合は、第一容器1にあんかけやカレーなどを、第二容器2にご飯をそれぞれ収納して、ご飯にあんかけ等が染み込まない、出来たて感のある料理を提供できる。このように食品容器100は、内容物を分離収納しながら、飲食直前に一方を他方の上に載せる、または混ぜるなど一体化する容器に適する。また、第一容器1と第二容器2のいずれか一方または双方を皿として使用でき、第一容器1と第二容器2に収納された2種類の食材を同時または交互に食べることができる。
【0023】
食材には、時間の経過、保存状態により、味や風味、食感などが低下するものがある。例えばテイクアウトの場合、店内提供と同じような味、風味、食感の食材を提供することは容易でない。例えば、温かい食材は、なるべく温かい状態で提供することが好ましい。しかし、単に温度だけの問題ではなく、食材の保存、収納状態、容器も影響する。提供時に液体と固体のように状態が異なる、温度や味付けが異なる食材を分離収納することなく一緒に提供すると、例えば固体具材が液体スープに浸された状態になる、麺類の芯がなくなる、伸びる、味が混ざる、具材の温度が上がり過ぎる、蒸し過ぎるなどの問題が生じ得る。また、例えば食材が冷えると、味、風味、食感が低下する、乾燥する、固くなるなどの問題が生じ得る。食材が食品容器に収納提供されてから実際に食すまで一定の時間を要するテイクアウトなどの場合、店内提供との差がより顕著となる。食品容器で分離収納して提供し、食事の直前に上乗せする、混ぜるなど、一体化することで味が混ざることを防止でき、一定の効果がある。さらに、収納する容器内で、温度、湿度、食材の状態を良好に保持することで、店内提供に近い風味、味、食感、食材の状態を実現できる。このように本開示の食品容器100は、2種類の食材を第一容器1と第二容器2に分離収納でき、さらに、温度、湿度、食材の状態を良好に保持することで、風味、味、食感低下の低下を防止できる。
【0024】
第二容器2は、第一容器1の第一開口面17にセットされた状態で、第二側面22を第一容器1から部分的に表出する。図1に示す第二容器2は、第一開口面17にセットされた状態で、第二側面22を第一開口面17から部分的に表出する。以上の食品容器100は、第二容器2が第一開口面17から部分的に表出する、第一開口面17よりも上方にはみ出る分だけ、第二容器2の容量を拡大できる。また、第二容器2が第一開口面17から部分的に表出する部分は、第一容器1の容量を制限することもない。従来の食品容器900は、底容器901(第一容器1)に中皿容器902(第二容器2)を完全に埋没させる形で落とし込まれる(埋め込まれる)構造である。これに比べ、食品容器100は、第二容器2が第一開口面17から部分的に表出することで、第二容器2が第一容器1の容量を制限することを減少しながら、第一容器1と第二容器2の容量を十分確保できる。
【0025】
食品容器100は、プラスチックシートを熱成形により、所定の立体形状に成形したものである。熱成形の方法は、例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などがある。プラスチックシートは、例えば、ポリスチレンやポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなるシート材が使用できる。プラスチックシートは、発砲シート、非発泡シートのいずれであってもよく、1または複数のシートが積層された積層シートを用いることもできる。積層シートとしては、例えば、発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、押出ラミネートシートなどを用いることができる。プラスチックシートは、成形性、耐熱性、保温性に優れる。プラスチックシートは、環境に配慮したものを使用できる。
【0026】
食品容器100を成形するプラスチックシートは、その肉厚を、例えば、0.1mm~4.0mm、好ましくは0.4mm~2.5mmとすることができる。第一容器1、第二容器2および蓋3は、同じまたは異なる肉厚にできる。プラスチックシートは、部分的に異なる厚みにできる。また、第一容器1、第二容器2および蓋3は、同じまたは異なる色にできる。例えば、白色、黒色、その他の有色にでき、または内容物の食材を視認するため無色透明できる。また、一部に模様、図柄、ロゴ、店名、商品名、注意書きなどをプラスチックシートに付すこともできる。
(第一容器1)
【0027】
第一容器1は、内容物を収納可能な有底筒状である。第一容器1は、第一底面11と、第一底面11に連結された第一側面12を備え、上面を開口した第一開口面17を有する。第一底面11は、第一容器1の底部を構成する。第一側面12は、第一容器1の周壁を構成し、第一底面11の外縁から上向きに延伸する側壁である。
【0028】
図2の第一容器1は、底容器である。図において、第一底面11は円形であり、第一側面12は円形環状側壁を形成する。図示しないが、第一底面を円形以外の形状、例えば三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形、楕円形などの整形のほか、不整形などにできる。
【0029】
図3の第一容器1は、略円形の第一底面11と、この第一底面11の外周縁から第一開口面17に向かって断面積を次第に大きくする略テーパー状に形成された第一側面12とを備えている。第一開口面17の開口面積は、第一底面11の底部面積より大きく、第一側面12は上向きに広がる傾斜角を有する。ただし、図示しないが、第一側面を垂直面にできる。
【0030】
第一容器1は、第一底面11または第一側面12に凹凸部13を有する。凹凸部13は、平面または曲面に対し凹または凸形状の部分であり、凹凸部13は、例えば、溝、段差、突出形状などの凹凸の形状にできる。第一容器1は、1または複数の凹凸部13が設けられる。凹凸部13は、平面または曲面に対して凹凸、段差などの形状を補強リブとして、シートの厚みを増加させることなく、または厚みと共に、強度を向上できる。例えば、凹凸部13は、第一側面12の強度、剛性を向上し、反り、ねじれ、曲げなどの変形を防止抑止して、第一容器1を補強できる。側面のリブは、輸送時の衝撃に強く、デリバリーなどの容器に適する。
【0031】
凹凸部13は、内容物の分量の目印、目安、目盛りなどを認識、識別できる分量認識線15を有することができる。分量認識線15は、内容物の分量を認識、識別できる線、形状であり、上下方向に伸びる面(例えば、第一側面12)に設けられる。凹凸部13は、例えば分量を認識できる線、形状、段差など分量認識線15を別途に設けることができ、また、立体形状や段差など凹凸部13の線、辺、端部、特定部分、段差、形状などを分量認識線15として利用できる。分量認識線15は、線状形状に限定されず、複数の特定形状で分量を認識できるものであれば足りる。分量認識線15は、一定の長さの線、辺、段差、凹凸などの形状や特定部分で、およそ静置した状態の内容物の上面で、分量を極めて容易に、迅速に識別できる。また複数の分量認識線15を設けることで、いずれかの分量認識線15で判断可能となり、より認識し易くできる。また、複数の分量を設定することもできる。凹凸部13の分量認識線15を目印として、大盛り、中盛り、小盛り量など注文に応じた分量を第一容器1に入れることができる。例えば、図2において、凹凸部13aの上面は大盛り線を示す分量認識線15a、凹凸部13cの段差線は中盛り線を示す分量認識線15b、凹凸部13bの上面は小盛り線を示す分量認識線15cにできる。分量認識線15を見ながら内容物を適量入れることで、毎回注文に応じた分量を測量する手間と時間がかかる面倒な作業が不要となり、誰でも、適量の分量を判断でき、迅速かつ容易に入れることができる。手間をかけずに、時間短縮して内容物を容器に入れる作業効率の向上と共に、コストダウンを図ることができる。
【0032】
その他にも、凹凸部13は、第一容器1の持ちやすさ、滑り止め、運びやすさに寄与できる。また、凹凸部13は、容器のデザイン性、意匠性にも寄与できる。また、凹凸部13は、第二容器2を所定の位置及び姿勢に支持、保持できる。凹凸部13の配置、形状、第二容器2との接触具合により、第二容器2が第一開口面17にセットされた第二容器2の位置決め、回転や位置ズレ、傾動防止、第二容器2の支持、姿勢の安定的保持に利用できるからである。また、凹凸部13は、第一容器1の蒸気、熱の伝導方向、伝わり具合を調整できる。また、凹凸部13は、第一側面12の傾斜勾配と共に容器の縦積み高さを抑える形状として、第一容器1を積み重ねたスタック高を低く抑え、保管スペースを小さく、便利に使用できる。
【0033】
凹凸部13は、設けられる配置、役割に応じた形状、サイズとする。一例として、図2の第一容器1は、大きめの三角状の内側凸状の凹凸部13a、小さめの三角状の内側凸状の凹凸部13b、第一側面12の中間に水平方向に伸びる段差の凹凸部13c、第一嵌合部19との境界の水平方向に伸びる段差の凹凸部13d、上下方向に伸び、外側凸状(内面凹状)の凹凸部13eを備えている。例えば、凹凸部13a、13bは、容器下部の強度を向上し、収納された内容物を含め容器の形状を維持する。凹凸部13a、13b、13cは、三角状の上面と段差で内容物の分量認識線15a、15b、15cとして利用できる。凹凸部13dは、第一開口面17付近の強度を向上する。凹凸部13eは、第一側面12の上から下まで伸び、容器全体の強度を向上し、また第一容器1内の蒸気、熱の伝わり具合の調整用として設けられる。ただし、凹凸部の形状、サイズは図示されるものに限定されない。例えば、内容物に応じてまたは様々な内容物に対応できるように分量認識線を設けることができ、同様に補強リムを設けることができる。
【0034】
第一容器1は、第二容器2または蓋3に嵌合する第一嵌合部19を有する。図3の第一嵌合部19は、第二容器2の第二側面22または蓋3の第一壁39aと嵌合する。第一嵌合部19は、円筒状の第一側面12の上部、第一開口面17の周縁に設けられる。第一嵌合部19は、第一側面12の内面側に設けられ、第二側面22の外面側の第二嵌合部29(第二嵌合構造29A)が嵌合されて、第一容器1の内側に第二容器2がセットされる。第一嵌合部19は、好ましくは第一側面12と異なる角度、勾配とする。図3において、第一側面12は凹凸部13を除き上広がりの傾斜とし、第一嵌合部19は第一側面12とは反対側の下広がりに傾斜するテーパー面とする。図示しないが、第一側面は上広がりの傾斜とし、第一嵌合部を垂直面にできる。第一嵌合部19は、一旦嵌合された部材を確実に嵌合でき、嵌合部同士が面接触して密閉度を向上できる。第一嵌合部19は嵌合された部同士で強度を向上する。第一嵌合部19は、第二容器2を確実に嵌合できる。図3の第一嵌合部19は、第一側面12との間に段差(凹凸部13d)を設けている。段差は第一嵌合部19と共に嵌合された部材の嵌合度、密閉度を向上でき、また第一側面12の強度を向上できる。
【0035】
図2の第一側面12は、第一フランジ16を有している。第一フランジ16は、第一側面12の周縁から外側に延びて形成される鍔部である。第一フランジ16は、第一開口面17の外周沿いの、第一側面12に対して略垂直に第一側面12の上端に連結される。第一フランジ16は、一定の幅を有する平面または曲面もしくは平面と曲面の組み合わせにできる。図3の第一フランジ16は、第一側面12の上端から外側水平方向に伸び、下向きの曲面と、先端に折り曲げ部とを有している。第一フランジ16は、第一側面12の周縁を囲み、第一側面12の曲がり、歪み、変形を防止し、第一容器1全体の形状を保持し、強度を向上する。第一フランジ16は、第一側面12の上端の第一開口面17の外周沿いの強度を向上し、輸送時の衝撃に強く、第一容器1と第二容器2または蓋3との嵌合強度、密着、密閉度合いを向上する。
【0036】
第一フランジ16は、1または複数の取っ手16aを設けることができる。図2の第一フランジ16は、取っ手16aを設ける。取っ手16aは、指でつまみ易く、また指を掛け易く、第一容器1にセットされた第二容器2または第一容器1を閉塞する蓋3の取り外しを容易にでき、第一容器1に第二容器2をセットし易く、蓋3を閉め易くできる。第一フランジ16及び取っ手16aの形状は特に限定されない。
(第二容器2)
【0037】
第二容器2は、内容物を収納可能な有底筒状で、第二底面21と、第二底面21に連結された第二側面22を備え、上面を開口した第二開口面27を有する。図1の食品容器100は、第二容器2が第一容器1にセットされた状態で、下側に配置される底容器の第一容器1の上側に配置される第二容器2は中皿容器となる。第二容器2は、蓋3と第一底面11との間に配置され、中皿容器として使用できる。第二容器2は、第一容器1と同じまたは異なる内容物を分離収容できる。
【0038】
図2の第二底面21が略円形であるが、第一容器1と同様に略円形以外の形状にできる。図2の第二容器2は、略円形の第二底面21と、この第二底面21の外周縁から第二開口面27に向かって断面積を次第に大きくする略テーパー状に形成された第二側面22とを備えている。第二開口面27の開口面積は、第二底面21の底部面積より大きく、第二側面22は上向きに広がる傾斜角を有する。ただし、図示しないが、第二側面を垂直面にできる。
【0039】
図4に示すように、第二容器2が第一容器1にセットされた状態で、第一開口面17から第二側面22が部分的に表出する。第一開口面17と第二開口面27が同一面またはほぼ同一面の容器に比べ、第一開口面17から上方に表出する分、第二容器2の容量を大きくできる。しかも、第一開口面17から上方に表出する分、第一容器1の容量を減少させることなく、第二容器2の容量を増量できる。
【0040】
第二容器2が第一側面12から表出する第二側面22の表出高さ22Aは、好ましくは1cm以上、より好ましくは1.5cm以上とする。一定の高さ(幅)のある筒状の表出高さ22Aが表出することで、第二容器2がセットされた食品容器100全体の強度と安定性を向上できる。第二容器2は、第二側面22と第二底面21で立体形状が基本的に保持され、加えて、第二側面22は、凹凸部23の他、表出高さ22Aと、表出高さ22Aを上下で挟む第二嵌合部29(第二嵌合構造29A、29B)と、さらに第二フランジ26で補強される。一定の高さ幅のある筒状の表出高さ22Aが第二嵌合部29と共に、第二容器2の上部の強度向上に寄与するからである。
【0041】
従来の食品容器900(図9)の場合、中皿容器902(第二容器)を底容器901(第一容器)に完全に埋め込まれ、中皿容器902の上部の強度が十分でない。中皿容器902を底容器901にセットする際に、中皿容器902の上部がよれて曲がり、中皿容器902を押し込むと、中皿容器902の一部が入った状態で回転(ローリング)するなど、中皿容器902をセットするために押し込む力が逃げて上手く効率よく伝わらず、中皿容器902が上手く嵌まらないことが生じ得る。この場合、中皿容器902をセット、嵌合させるために周縁部を離れた2以上の複数位置で押し込む動作が必要で、また力を要する。中皿容器902の密閉度が高くなるほど、この問題はより顕著になり、中皿容器902のセットに手間、時間を要しストレスの原因となり、作業効率を低下させる。中皿容器902を蓋903で閉塞する場合も同様であり、蓋閉め作業を効率よく行うことができない。これに対し、筒状の表出高さ22Aが第一容器1から表出する第二容器2は、第一内径18が接触する第二側面22の中央部より上方に、筒状の表出高さ22Aが存在し、上部の強度が向上されている。これにより、第二容器2のよれ、曲がり、変形を防止、抑制して、回転、ローリングを防止して、第二容器2を押し込む力を効率よく第一容器への嵌合、セットに伝えることができ、簡単、容易かつ素早く、ストレスなく第二容器2をセットでき、セット作業を効率化できる。第二容器2への蓋閉め作業も同様に、効率化できる。
【0042】
図4に示すように、第二容器2は、第一容器1内に部分的に埋め込まれて収まることでセットされる。第一開口面17(第一側面12の上端)が第二側面22の中央部に接触する位置で、第二容器2がセットされる。したがって、第二底面21は第一内径18よりも小さい。また、凹凸部23を除き、第二側面22が上広がりの一定の勾配を有する場合、第二内径28は第一内径18よりも大きい。第二側面22の外側形状を、第一側面12の内側形状に合わせることで、第二容器2を第一容器1内の所定の位置及び姿勢にセットでき、第一容器1が第二容器2の位置ずれ、傾動、回転を防止して、第二容器2を安定的に支持、保持できる。第二容器2がセットされた状態で、第二底面21は第一開口面17よりも低い位置に配置され、外側の第一側面12と内側の第二側面22に重なりがあることで、第一側面12が第二容器2を安定的に支持できる。また、内容物が第二容器2に収納されて重心が低下する。
【0043】
第二容器2の第二側面22にも 第一側面12と同様に、凹凸部23を設けることができる。一例として、図2の第二容器2は、第二側面22の中間に水平方向に伸びる段差の凹凸部23a、23b、第二側面22の上方に水平方向に伸びる段差の凹凸部23c、上下方向に伸び、内側凸状の凹凸部23dを備えている。例えば、凹凸部23a、23bは、第二嵌合構造29Aを挟むように上下に配置し、近接する二段の段差で第二側面22の中央部の強度を向上する。凹凸部13cは、第二嵌合構造29Bと共に第二開口面27付近の強度を向上する。凹凸部23dは、第二側面22の中央部及び下方部の強度を向上し、また第一容器1内の蒸気、熱の伝わり具合の調整用として設けられる。凹凸部23dは、第一容器1内の蒸気、熱の伝わり具合を調整できる。第二容器2がセットされた状態で、第一側面12が第二側面22の内側に接触または近接して配置され、第一側面12及び第二側面22の両方または一方の凹凸部13、23(例えば23d、13e)により、第一側面12と第二側面22の隙間を形成し、第一容器1の空間を第二側面22に延伸でき、第一容器1内の内容物の蒸気の熱の移動を可能とし、第二側面22の外側から熱を伝えることができる。なお、凹凸部23の形状、サイズは、上記と同様に図示されるものに限定されない。
【0044】
第二容器2は、第一容器1及び蓋3に嵌合する第二嵌合部29を有する。図5の第二嵌合部29は、第二側面22の中間に、第一開口面17を嵌合して閉塞する第二閉塞構造29Aと、第二開口面27に蓋3を嵌合して閉塞する第二閉塞構造29Bとを有している。第二嵌合部29は、第二側面22と異なる角度、勾配にできる。例えば、図5において、第二側面22は上広がりの傾斜とし、第二閉塞構造29A、29Bは第二側面22とは反対の下広がりの傾斜するテーパー面とする。この第二閉塞構造29A、29Bは、一旦嵌合された部材を確実に嵌合できる。図において、第二嵌合構造29Aと第一嵌合部19を確実に嵌合させて、密閉度を向上でき、また第二閉塞構造29Bと蓋嵌合部39(第二壁39b)を確実に嵌合させて、密閉度を向上できる。図示しないが、第二側面は上広がりの傾斜とし、第二嵌合部を垂直面にできる。図2の第二嵌合部29はこれに隣接して、凹凸部23a、23b、23cの段差を設けている。例えば第二嵌合構造29Aは、これの上下に配置される凹凸部23a、23bの段差と共に第二側面22の強度を向上し、第二嵌合構造29A及び嵌合される部材(第一嵌合部19)と共に嵌合度、密閉度を向上できる。
【0045】
第一側面12の高さに対する第二側面22の高さの比は、好ましくは0.2以上1.5以下、より好ましくは0.3以上1以下とする。第一側面12の高さに対する第二側面22の表出高さ22Aの比は、好ましくは0.1以上0.5以下とする。第二側面22の高さに対する表出高さ22Aの比は、好ましくは0.1以上0.7以下とする。第一側面12及び第二側面22、表出高さ22Aの高さは、第一容器1と第二容器2が、各々の容器に収納する内容物の分量、質量などに応じた容量を確保すると共に、第二容器2がセットされた状態の安定性、全体のバランスが保持される必要がある。表出高さ22Aは、容器のシートの厚みと共に第二側面22の強度、第二容器2のセットのし易さ、取り外し易さ、蓋3の開閉のし易さ、互いに嵌合される部分と共に嵌合、密閉具合、強度を適切な範囲とする必要がある。
【0046】
第二容器2は、1または複数の切り込み24a、穴、スリットなど開口24を設けることができる。開口24は、第一容器1内の蒸気、熱を第二容器2内に移動、流動させ、取り込むことで、第二容器2内の内容物を保温、保湿できる。例えば、図2の第二容器2は、第二底面21に、部分的にU字状の切り込み24aを設けている。第二底面21のU字状の切り込み24aを介して、下の第一容器1からの蒸気、熱を上の第二容器2内に移動させて、第二容器2内の内容物を保温、保湿できる。U字状の切り込み24aは、折り曲げ角度を変更して、開口面積を変更、調整できる。図示しないが、複数の切り込みなどの開口を分散配置することで、偏りなく保温、保湿できる。例えば、第一容器1内の液体スープの蒸気、熱で第二容器2内の麺を均一に蒸らすことができる。開口24の形状、サイズ、配置、個数などで第一容器1から第二容器2への蒸気、熱の移動量を調整できる。開口24を第二底面21の周縁部付近以外に設けることで、例えば運搬時の容器の揺れ、傾きなどで開口24からの液漏れを防止できる。開口24は、第二底面21の中央部付近とすることで、容器の大きな揺れや傾きが生じても液漏れを防止できる。開口の形状、サイズ、配置、個数などは、図示されるものに限定されない。
【0047】
図2の第二側面22は、第二フランジ26を有している。第二フランジ26は、第二側面22の周縁から外側に延びて形成される鍔部である。第二フランジ26は、第二開口面27の外周沿いの、第二側面22に対して略垂直に第二側面22の上端に連結される。第二フランジ26は、一定の幅を有する平面または曲面もしくは平面と曲面の組み合わせにできる。第二フランジ26は、第二側面22の上部の曲がり、歪み、変形を防止して補強し、第二容器2全体の形状を保持性、強度を向上する。第二フランジ26は、第二側面22の上方の第二開口面27の外周沿いの強度を向上し、第一容器1と第二容器2または蓋3との嵌合強度、密着、密閉度合いを向上する。第二フランジ26は、第二容器2を第一容器1にセットする際に、第二容器2を押し込みやすく、力を効率よく伝えて嵌合し易く、第二容器2を第一容器1にセットし易くできる。
【0048】
第二容器2は、1または複数の取っ手26aを設けることができる。図2の第二フランジ26は取っ手26aを設ける。取っ手26aは、指でつまみ易く、また指を掛け易く、第一容器1にセットされた第二容器2または第二容器2を閉塞する蓋3を取り外し易くできる。また第二容器2をセットし易くできる。第二フランジ26、取っ手26aの形状は特に限定されない。
(蓋3)
【0049】
蓋3は、第一容器1の第一開口面17、または第二容器2の第二開口面27のいずれかを閉塞する。蓋3は、天面部31と蓋嵌合部39とを備える。蓋3は、図4に示すように第二容器2に脱着自在に嵌合し、第二開口面27を閉塞することもできるし、あるいは図7に示すように第一容器1に脱着自在に嵌合し、第一開口面17を閉塞することもできる。このように、第一容器1用、第二容器2用にそれぞれ専用の蓋を準備することなく、共通の蓋3を用いて、第一容器1と第二容器2をそれぞれ閉塞することができ、利便性が高まる。
【0050】
図3の蓋3は、天面部31と、その周辺の蓋周縁部32とを有している。蓋周縁部32は、第一開口面17または第二開口面27のいずれかに内嵌合して、閉塞する蓋嵌合部39と、蓋嵌合部39の周縁に蓋フランジ36を有する。蓋嵌合部39は、第一開口面17の第一内径18と嵌合する第一壁39aと、第二開口面27の第二内径28と嵌合する第二壁39bとを有する。図2に示す円形の蓋3の場合、蓋嵌合部39は第一壁39aと第二壁39bとを同心円状に設けている。図3の蓋3は、第二開口面27を嵌合して第二容器2を閉塞する。蓋3は、第一開口面17を嵌合して第一容器1を閉塞することもできる。図3に示すように、第一壁39aと第二壁39bは別々に設けることが好ましいが、蓋3が第一開口面17と第二開口面27を同時に閉塞することはなく、図示しないが、第一壁と第二壁を連続的に設けることができ、第一壁と第二壁を兼用する形状の壁にすることもできる。
【0051】
図5の蓋3は、蓋周縁部32に、第一内径18と嵌合する第一壁39aと、第二内径28と嵌合する第二壁39bとを、同心円状に設ける。図5の蓋3は、その周縁から、蓋フランジ36と、蓋フランジ36から階段状に形成された第二壁39bと、第二壁部39bから階段状に形成された第一壁39aとを形成してなる。第一壁39aと第二壁39bは、各々嵌合される第一嵌合部19、第二嵌合部29(第二嵌合構造29B)に合わせた形状、角度とする。図5の第一壁39aと第二壁39bは、いずれも下広がりに傾斜する面とする。図5の蓋周縁部32は、蓋フランジ36、第一壁39a、第二壁39bを近接して階段状に形成して、強度を向上している。この蓋周縁部32は、蓋3を嵌合させて閉める際に、蓋3によれ、曲がり、変形を防止、抑制できる。蓋周縁部32は、押し込んだ蓋3の一部が第二開口面27に入った状態で回転して残りの部分は入らないローリングを防止して、蓋3を押し込む力を効率よく第二容器2への嵌合、閉塞に伝えることができ、簡単、容易かつ素早く、ストレスなく蓋3を閉じることができ、蓋閉め作業を効率化できる。第一容器1への蓋閉め作業も同様に、効率化できる。
【0052】
図4の蓋3は、第二開口面27に嵌合して閉塞する。蓋3は、平面視での外形が正円形状であり、第二容器2に内嵌合する。内嵌合は、第二側面22の内面側の部分と第二壁39bの外面側の部分とが当接して嵌合する。内嵌合は、外嵌合に比べ液体漏れ防止効果は高く、外周部分を小さくコンパクトにできる。蓋嵌合部39は、第一嵌合部19と第二嵌合部29と同様に、嵌合された部同士で強度、閉塞性、密着度を向上できる。
【0053】
蓋3は、開口38を形成する凹部37を有する。蓋3は、第二容器2の第二開口面27と対向する周縁の少なくとも一部に、1または複数の凹部37を設けることができる。凹部37は、開口38を介して通気する。凹部37は、蓋周縁部32に設けられる。凹部37は、開口38が通気孔となって、蓋3で閉塞された内部空間内の蒸気、熱を外部に排出、移動できる。凹部37を有する蓋3は、第二容器2または第一容器1を閉塞するが、密閉しない。蓋3は、第二容器2の第二開口面27と対向する周縁の少なくとも一部に、凹部37を形成する。図8の凹部37は、階段状の蓋嵌合部39に凹形状の凹みを有する。凹部37は、通気路を形成し、通気が可能である。凹部37は、蓋3で閉塞された空間内の蒸気を外部に排出できる。図8の凹部37は、蓋フランジ36が上側に凸状を形成し、凸状の内側(蓋フランジ36の下面側から見て)に上方向の凹みを有し、各々第一壁39a及び第二壁39bに中心方向の凹みを有する。凹部37は、蓋3で閉塞する第一容器1または第二容器2内を通気し、蒸気、熱を外部に排出することで、蒸気、熱を移動させて、容器内の保温、保湿の調整ができる。図2の凹部37は、第一容器1内の内容物、例えば高温の液体スープの蒸気、熱を上方の第二容器2内に進行させて、保温、保湿調整しつつ、外部に排出する。凹部37から蒸気を排出することで、容器内部の蒸気、熱を上方に誘導でき、例えば、下側の第一容器1内の液体スープの熱と蒸気により、上側の第二容器2内の麺を温め(保温)、保湿して、風味、味、食感の低下を防止抑制できる。また凹部37は、内部の蒸気を外部に排出し蒸気抜きして、充満した蒸気で蓋3が開かれることを防止できる。また、蓋フランジ36の上側の凸状の凹部37は、蓋フランジ36の閉塞性、密閉性を保持できる。複数の凹部37は、分散して通気、蒸気の排出できる。
【0054】
凹部37は、通気して蒸気を排出するが、一時的に容器が傾く、容器内で液面揺動などが生じても容器内の液体が漏れ出ることを防止できる適切な開口面積とする。凹部37は、好ましくは、なるべく小さな開口面積として、液体が外部に漏れ出ることを防止でき、また、容器内の蒸気と熱を有効利用して、内容物を保温、保湿できる。図示しないが、蓋は、微細穴を設けることもできる。
【0055】
蓋3は、蓋フランジ36を有し、側面に開口する。図8の平面図に示すように、凹部37は、開口38を蓋3の側面に形成する。凹部37は、開口38を外側水平方向に向けて開口する。凹部37は、蓋の上面からのホコリ、ゴミ、虫など異物混入を確実に防止できる。上面側に開口、穴を設ける蓋は、上面側からの異物混入を防止できない。特に、店内提供に比べ異物混入のおそれが大きいテイクアウト用の容器の場合、異物混入対策は重要である。凹部37は、蓋3の側面側に開口38を設け、開口38を小さな開口とすることで異物混入の可能性を小さくし、防止できる。さらに、容器内から排出される蒸気、熱も相まって異物混入を防止できる。例えば、図8の蓋フランジ36に設ける凹部37のように、蓋3の側面に開口38を形成する凹部37は、通気可能で、蒸気、熱を排出できるが、液体漏れを防止できる小さな開口サイズ、形状を形成し易い。小さな開口は、蓋3の側面を含めて異物混入を防止できる。凹部37の形状は、開口38が通気できるものであれば足り、限定されない。断面形状は、例えば、半円、三角形など曲面、平面またはこれらを組み合わせて形成できる。
【0056】
凹部37は、蓋閉め作業を簡単、効率化できる。それは、凹部37で通気性があるため、蓋フランジ36により密閉性のよい蓋3であっても、蓋3を簡単に嵌合させて閉めることができるからである。また、凹部37の存在が蓋周縁部32を円周方向(接線方向)に伸縮可能とするからである。凹部37は、階段状の蓋周縁部32沿いに形成され、蓋フランジ36の外縁から中心方向に階段状に伸びている。図8の概略斜視図の凹部37は、蓋フランジ36から上側に凸状(反対側は凹状)の凹部37a、第二壁39bを内側に凹状の凹部37b、蓋フランジ36から一段下がった水平面から上側に凸状(反対側は凹状)の凹部37c、第一壁39aを内側に凹状の凹部37dとを有する。凹部37a、37b、37c、37dの階段状の4面に沿って凹状形状が形成されている。凹部37の存在が、蓋3が曲がる、よれるなど変形を防止して蓋周縁部32の強度を向上でき、蓋閉めのために加えられた力が逃げて、蓋閉めに伝わらず、蓋が回転、ローリングすることを防止して、蓋閉め作業を簡単、容易に、ストレスなく、素早く行うことを可能として、蓋閉め作業を容易化、省力化、効率化できる。
【0057】
蓋フランジ36は、第一フランジ16、第二フランジ26と同様に、蓋3の強度を向上し、嵌合強度をはじめ閉塞性、密閉性を高めることができる。図4に示すように、蓋3で第二容器2が閉塞される場合、蓋フランジ36の下面が第二フランジ26の上面に面接触し、この接面部分の密閉度を向上できる。蓋3は、第一容器1、第二容器2と同様に、1または複数の取っ手36aを設けることができる。図2の蓋3は、蓋フランジ36に取っ手36aを設けている。取っ手36aは、指でつまみ易く、また指を掛け易くして、蓋3を開け易くでき、また閉じ易くできる。蓋3は一旦嵌合、閉塞されると外れにくい反面、取っ手36aをキッカケに容易に取り外し易くして開けることができる。蓋フランジ36は、凹凸部36bを設けることができる。図2図5の蓋フランジ36は、取っ手36aに凹凸部36bを設けて、取っ手36aが第二容器2の取っ手26aと重なった場合においても、取っ手36a、26aの先端間に隙間ができ、指でつまみ易く、また指を掛け易くして、蓋3を開け易くできる。
【0058】
第一容器1に第二容器2がセットされた状態、または蓋3が閉塞された状態において、第一容器1、第二容器2、蓋3を回転自在に嵌合できる。例えば、第一容器1、第二容器2、蓋3の各々の取っ手16a、26a、36aの位置を揃えることで、運搬、保管時などに邪魔になること防止でき、また各々を取り外す、分離する際には、各々の取っ手を異なる位置にずらすことで、より容易に蓋3を開けることができ、第一容器1から第二容器2を外すことができる。
【0059】
蓋3は 第一容器1、第二容器2と同様に、凹凸部33を設けることができる。凹凸部33は、蓋3の強度を向上でき、蓋3の開閉をし易くでき、またデザイン性、意匠性を高めることができる。例えば、図2の蓋3は、天面部31と蓋周縁部32の境界に凹凸部33a、蓋嵌合部39に対面する中心側の面に上下に伸びる複数の外側凸状の凹凸部33bを備えている。
【0060】
蓋3は、第一開口面17に嵌合して第一容器1を閉塞可能である。図6図7に示すように、食品容器100は、第二容器2を介在させることなく、蓋3を第一開口面17に嵌合して第一容器1を閉塞できる。例えば、食品容器100は、第二容器2を使用することなく、第一容器1と蓋3で使用できる。また食品容器100は、第一容器1と第二容器2に内容物を分離収納し、食事直前に第二容器2の内容物を第一容器1の内容物の上に載せ、または混ぜるなど一体化した上で、第一容器1とこれを閉塞する蓋3として使用できる。図示しないが、第二容器を取り皿などに使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示の食品容器は、第一容器と第二容器とに分離収納可能としながら、各々の収納空間を大きくした食品容器として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0062】
100、900…食品容器
1…第一容器
2…第二容器
3…蓋
11…第一底面
12…第一側面
13、13a、13b、13c、13d、13e…凹凸部
15、15a、15b、15c…分量認識線
16…第一フランジ
16a…取っ手
17…第一開口面
18…第一内径
19…第一嵌合部
21…第二底面
22…第二側面
22A…表出高さ
23、23a、23b、23c、23d…凹凸部
24…開口
24a…切り込み
26…第二フランジ
26a…取っ手
27…第二開口面
28…第二内径
29…第二嵌合部
29A…第二嵌合構造
29B…第二嵌合構造
31…天面部
32…蓋周縁部
33、33a、33b…凹凸部
36…蓋フランジ
36a…取っ手
36b…凹凸部
37…凹部
38…開口
39…蓋嵌合部
39a…第一壁
39b…第二壁
901…底容器
902…中皿容器
903…蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9