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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178610
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】切羽監視システム及び切羽監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/88 20060101AFI20241218BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20241218BHJP
   E21D 9/093 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G01S13/88
G01S7/03 240
E21D9/093 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096879
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】多田 浩幸
【テーマコード(参考)】
2D054
5J070
【Fターム(参考)】
2D054GA06
2D054GA82
5J070AC20
5J070AE07
5J070AF01
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】振動可視化レーダの移動が容易な切羽監視システム及び切羽監視方法を提供する。
【解決手段】トンネル掘削工事における切羽を監視する切羽監視システムにおいて、切羽に監視波を送信するとともに監視波の反射波を受信する1台の振動可視化レーダと、振動可視化レーダの受信信号に基づいて切羽の変化を検出する検出装置とを備え、振動可視化レーダはトンネルの天端近傍部位にに固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削工事における切羽を監視する切羽監視システムにおいて、
前記切羽に監視波を送信するとともに前記監視波の反射波を受信する1台の振動可視化レーダと、
前記振動可視化レーダの受信信号に基づいて前記切羽の変化を検出する検出装置とを備え、
前記振動可視化レーダは、トンネルの天端近傍部位に固定されることを特徴とする切羽監視システム。
【請求項2】
前記振動可視化レーダは、アングル材を介して前記トンネルに構築される鋼製支保工に固定されることを特徴とする請求項1に記載の切羽監視システム。
【請求項3】
前記振動可視化レーダは、受信アンテナの配列方向が垂直方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の切羽監視システム。
【請求項4】
トンネル掘削工事における切羽を監視する切羽監視システムにおいて、
1台の振動可視化レーダから前記切羽に監視波を送信するとともに前記監視波の反射波を前記振動可視化レーダで受信する第1工程と、
前記振動可視化レーダの受信信号に基づいて前記切羽の変化を検出する第2工程とを有し、
前記振動可視化レーダは、トンネルの天端近傍部位に固定されることを特徴とする切羽監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切羽監視システム及び切羽監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、トンネル切羽安全監視システム及びトンネル切羽安全監視方法(背景技術)が開示されている。この背景技術は、主にトンネル坑内に配置されて切羽面の変位、振動を計測する振動可視化レーダと、同様にトンネル坑内に配置されて、計測データの信号処理と切羽崩落予知の評価指標の算定、計測結果等の表示画像の作成などを行う計測制御PCとから構成され、切羽面の微小変位と振動特性の変化を同時にリアルタイムで計測することにより、切羽作業中の地山の緩み・崩落の予兆を事前に検知するものである。
【0003】
より詳細には、背景技術では、トンネル坑内での切羽面の変位挙動計測するにあたり、振動可視化レーダを切羽から10~20m程度の離れた左右側壁の壁際に配置し、計測制御PCを振動可視化レーダから10m程度後方に配置する。切羽における掘削作業では、ドリルジャンボなどの施工機械が切羽に接近して、削孔等の作業を行う工程が含まれる。この場合、振動可視化レーダから発射された電波が施工機械に当たり、切羽面からの反射波が観測されない部分が生じ得る。これを回避するために、トンネル側壁の片側のみではなく、左右両側から電波を切羽面に向かって発射する。
【0004】
すなわち、背景技術では、片側の振動可視化レーダから発射された電波が施工機械等に遮られ、切羽面に到達できない部分が生じても、もう一方の振動可視化レーダから発射された電波が当該部分に到達し、反射波を観測することが可能となる。このような振動可視化レーダの配置によって、切羽面からの反射波が観測されない部分を最小限に抑える。なお、背景技術では、トンネル切羽から所定の距離後方に離れた位置に施工された鋼製支保工に設置架台を固定し、この設置架台上に振動可視化レーダを取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7157414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記背景技術には以下の問題点がある。すなわち、トンネル掘削による切羽の進行に伴って、振動可視化レーダと切羽との間の距離が計測可能範囲(10~20m程度)を超えた場合、振動可視化レーダを切羽側に移動させる必要がある。その際、2台の振動可視化レーダを設置架台から取り外して、設置架台を前方の支保工に付け替え、移動させた設置架台上に振動可視化レーダを設置し直す一連の作業が生じ、労力と時間を要する。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、振動可視化レーダの移動が容易な切羽監視システム及び切羽監視方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、切羽監視システムに係る第1の解決手段として、トンネル掘削工事における切羽を監視する切羽監視システムにおいて、前記切羽に監視波を送信するとともに前記監視波の反射波を受信する1台の振動可視化レーダと、前記振動可視化レーダの受信信号に基づいて前記切羽の変化を検出する検出装置とを備え、前記振動可視化レーダは、トンネルの天端近傍部位に固定される、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、切羽監視システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記振動可視化レーダは、アングル材を介して前記トンネルに構築される鋼製支保工に固定される、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、切羽監視システムに係る第3の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記振動可視化レーダは、受信アンテナの配列方向が垂直方向である、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、切羽監視方法に係る解決手段として、トンネル掘削工事における切羽を監視する切羽監視システムにおいて、1台の振動可視化レーダから前記切羽に監視波を送信するとともに前記監視波の反射波を前記振動可視化レーダで受信する第1工程と、前記レーダの受信信号に基づいて前記切羽の変化を検出する第2工程とを有し、前記振動可視化レーダは、トンネルの天端近傍部位に固定される、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、振動可視化レーダの移動が容易かつ保護が可能な切羽監視システム及び切羽監視方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る切羽監視システムの全体構成を示す模式図(a)及び振動可視化レーダの設置状態を示す模式図(b)である。
図2】本発明の一実施形態における振動可視化レーダの詳細な設置状態を示す拡大図である。
図3】本発明の一実施形態における受信アンテナの配置状態を示す模式図(a)及びレーダ座標系を示す模式図(b)である。
図4】本発明の一実施形態における切羽面座標系を示す模式図(a)及び切羽面上の画素を示す模式図(b)である。
図5】本発明の一実施形態における振動可視化レーダをトンネルの左側壁側に設置した場合を示す模式図(a)及び切羽面上の画素分割を示す模式図(b)である。
図6】本発明の一実施形態において、水平配列の受信アンテナを用いた振動可視化レーダをトンネルの天端近傍に設置した状態を示す模式図(a)及び切羽面上の画素分割を示す模式図(b)である。
図7】本発明の一実施形態において、90度回転させた受信アンテナを用いた振動可視化レーダーをトンネルの天端近傍に設置した状態を示す模式図(a)及び切羽面上の画素分割を示す模式図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、山岳トンネルの標準掘削工法として周知のNATM(New Austrian Tunneling Method)でトンネル掘削工事を行う場合について説明する。
【0015】
NATMでは、発破や機械を使ってトンネルを掘削した後、掘削面に鋼製支保工(例えばH形鋼)をあばら骨状に構築する。そして、NATMでは、鋼製支保工を埋めるように掘削面にコンクリートを吹き付けた後にトンネル内から地山に向かってロックボルトの打設を行う。さらに、NATMでは、防水シートをトンネル内に取り付け、型枠を組んでコンクリート覆工を行う。
【0016】
最初に、本実施形態に係る切羽監視システムAの全体構成について、図1を参照して説明する。切羽監視システムAは、図1(a)に示すように、掘削中のトンネルT内に設けられた振動可視化レーダ1とコンピュータ2とを備える。この切羽監視システムAは、掘削中のトンネルTの先端部である切羽Wを監視対象とする監視装置であり、例えば幅30cm×高さ20cm×奥行き25cm程度の小型軽量の箱型である。
【0017】
振動可視化レーダ1は、図1(b)に示すように、鋼製支保工Sに固定される1台のレーダである。この振動可視化レーダ1は、2次元範囲に亘る切羽Wの略全領域に対して所定の周波数の電波を監視波として二次元走査状に送信(照射)するとともに、当該監視波の切羽Wにおける反射波を受信する。本実施形態における監視波は、例えばミリ波である。
【0018】
すなわち、この振動可視化レーダ1は、指向性が先鋭なビーム状の監視波を切羽Wに照射する。また、この振動可視化レーダ1は、切羽Wにおける監視波(ビーム波)の照射位置を二次元状に走査することにより、切羽Wの略全領域に監視波(ビーム波)を照射し、監視波(ビーム波)の照射位置における反射波を受信する。
【0019】
このような振動可視化レーダ1は、1次元状に配列する複数の受信アンテナ1a(図3参照)を備えており、切羽Wにおいて監視波が反射することによって発生する反射波(散乱波)を複数の受信アンテナ1aで同時に受信する。振動可視化レーダ1は、各受信アンテナ1aの受信信号をコンピュータ2に出力する。この受信信号は、切羽Wにおける監視波の照射位置つまり反射波の反射位置における変位量を示す信号である。
【0020】
鋼製支保工Sは、トンネルTの掘削面HつまりトンネルTの側面にあばら骨状に構築される鋼製構造物であり、トンネルTの入口から切羽Wに亘って所定間隔で構築される。すなわち、この鋼製支保工Sは、トンネルTの掘削方向に所定間隔で設けられるとともに十分な機械的な強度を有する。
【0021】
コンピュータ2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、振動可視化レーダ1と電気的に接続されている。このコンピュータ2は、予め搭載された切羽監視プログラム(アプリケーションプログラム)に基づいて振動可視化レーダ1における複数の受信信号をリアルタイムで合成処理することによって、監視対象物の変化(変位量)を二次元的かつ高速に検出する。なお、コンピュータ2は、本発明における検出装置に相当する。
【0022】
このコンピュータ2は、切羽Wに有意な変化を検出すると、トンネルT内に別途設置された警告通知装置や作業者が携帯するスマートフォン等の携帯端末に対して警告信号を送信する。なお、上記警告通知装置は、例えば警告灯の場合、避難を示す音声とともに赤色灯を点滅させて、作業者に対して切羽Wから遠ざかることを通知する。また、上記携帯端末は、インストールされている警告アプリケーションにより、避難を示す音声あるいはアラームを鳴らし、作業者に対して切羽Wから遠ざかることを通知する。
【0023】
また、コンピュータ2は、現場詰め所や現場事務所の管理センターに設けられたパーソナルコンピュータなどの端末や警告灯などの警告通知装置に対し、無線ルーターを介して警告信号を送信する。なお、コンピュータ2と上記警告通知装置、上記端末及び警告通知装置との送受信は、無線あるいは有線のいずれを用いても良い。また、トンネルTを掘削する作業現場以外の掘削作業に関連する部署の端末にインターネット回線などを介して危険信号や切羽面座標系における切羽面の状態を示す画像を送信しても良い。
【0024】
続いて、図2を参照して振動可視化レーダ1の詳細な設置状態を説明する。振動可視化レーダ1は、図1(b)に示したように鋼製支保工Sに固定されるが、トンネルTの周方向における固定位置は、図2(a)に示すようにトンネルTの天端近傍部位である。すなわち、振動可視化レーダ1の固定位置は、例えばトンネルTの天端から1~2m(メートル)の範囲内に設定される。
【0025】
また、振動可視化レーダ1は、図2(a)及び図2(b)に示すように、設置架台3及び雲台4を介して鋼製支保工Sに固定されている。設置架台3は、複数のフレーム材つまり2本の垂直フレーム3a、3bと1本の下方フレーム3c(水平フレーム)とを備え、コの字状に形成されている。
【0026】
2本の垂直フレーム3a、3bのうち、一方の垂直フレーム3aは、垂直姿勢の棒状アングル材であり、上端が鋼製支保工Sの下端部に接続し、下端が下方フレーム3cの一端に接続する。他方の垂直フレーム3bは、一方の垂直フレーム3aと所定間隔を空けて平行対峙する垂直姿勢の棒状アングル材である。他方の垂直フレーム3bは、上端が鋼製支保工Sの下端部に接続し、下端が下方フレーム3cの他端に接続する。
【0027】
下方フレーム3cは、水平姿勢の棒状アングル部材であり、一端が一方の垂直フレーム3aにおける下端に接続し、他端が他方の垂直フレーム3baにおける下端に接続する。この下方フレーム3cにおいて、長さ方向(水平方向)における略中央には雲台4が設置されている。
【0028】
雲台4は、図示するように下方フレーム3cと振動可視化レーダ1の下部との間に設けられている。この雲台4は、振動可視化レーダ1を設置架台3に据え付けるための中継部材であり、振動可視化レーダ1の向きつまり切羽Wにおける監視波の照射方向を設定する。
【0029】
続いて、図3を参照して振動可視化レーダ1における複数の受信アンテナ1aの配列状態について説明する。振動可視化レーダ1は、複数の受信アンテナ1aの配列方向が垂直方向である。すなわち、受信アンテナ1aは、図3(a)に示すように送信アンテナ1bに対して垂直方向に位置する。
【0030】
図3(b)は、本実施形態における振動可視化レーダ1の監視座標系(レーダ座標系)を示している。このレーダ座標系は、受信アンテナ1aの配列方向に相当するクロスレンジ方向(垂直方向)と、受信アンテナ1aの配列方向に直交する方向に相当するレンジ方向(水平方向)とからなる曲座標系である。なお、図3(c)は、一般的なレーダにおける受信アンテナの配置を示している。一般的なレーダでは、この図に示すように受信アンテナが送信アンテナの側方つまり水平方向における送信アンテナの隣に配置される。
【0031】
次に、本実施形態に係る切羽監視システムAの動作つまり切羽監視システムAを用いた切羽監視方法について、図4~7を参照して詳しく説明する。
【0032】
この切羽監視システムAでは、振動可視化レーダ1から切羽Wに監視波を送信するとともに監視波の切羽Wにおける反射波を振動可視化レーダ1で受信する(第1工程)。本実施形態に係る切羽監視方法では、この第1工程によって受信信号を取得する。この受信信号は、図3(b)に示したレーダー座標系(曲座標系)における切羽Wの表面(切羽面)の各座標における変位量を示す信号である。
【0033】
コンピュータ2は、レーダー座標系における各座標の変位量を図4に示す切羽面座標系(X-Y-Z直交座標系)における各座標の変位量に座標変換する。そして、コンピュータ2は、図4(b)に示すように、切羽面座標系つまり切羽面において格子状に区切られた各画素の変位量を取得する。すなわち、コンピュータ2は、振動可視化レーダ1から順次入力される受信信号に基づいて切羽Wの変化つまり切羽面の変位量を検出する(第2工程)。
【0034】
この第2工程における切羽面の画素分割は、振動可視化レーダ1の空間分解能に応じて設定される。また、その格子分割の形状は、振動可視化レーダ1の設置位置と切羽面の位置関係によって任意形状となる。また、振動可視化レーダ1の設置位置は、図4(b)に示すように切羽面座標系(X-Y-Z直交座標系)における原点Oである。
【0035】
ここで、図5(a)は、上述した一般的なレーダをトンネルTの左側壁側の底部に設置した状態を示している。この場合、左下方から右上方を見上げる観測配置になるので、切羽面における画素分割は、図5(b)に示すように左下方部分の画素分割が粗く、また右上方にむけて細かくなる。
【0036】
続いて、図6(a)は、上述した一般的なレーダをトンネルTの天端近傍に設置した状態を示している。この場合、切羽面における画素分割は、左上方から右下方に見下ろす観測配置になるので、図6(b)に示すように左上方部分の画素分割が粗く、また下方にむけて細かくなる。
【0037】
続いて、図7(a)は、本実施形態における振動可視化レーダ1を用いた場合、つまり受信アンテナが垂直方向に並ぶ振動可視化レーダ1をトンネルTの天端近傍に設置した状態を示している。この場合には、左上方から右下方に見下ろす観測配置になるが、受信アンテナ1aが垂直方向に配列するので、上下方向の画素の幅が均等になり、右方向に向けて画素の幅が小さくなる。この結果、上方の画素の鉛直方向の幅が上述した一般的なレーダを用いた場合よりも小さくなり、天端付近の空間分解能の低下が抑制される。
【0038】
このような本実施形態によれば、トンネル掘削工事における切羽Wを監視する切羽監視システムAにおいて、切羽Wに監視波を送信するとともに監視波の反射波を受信する振動可視化レーダ1と、振動可視化レーダ1の受信信号に基づいて切羽Wの変化を検出するコンピュータ2(検出装置)とを備え、振動可視化レーダ1はトンネルTの天端近傍部位に固定されるので、振動可視化レーダ1の移動に要する労力と時間を軽減できる。
【0039】
すなわち、背景技術では2台の振動可視化レーダを移動させる必要があるが、本実施形態に係る切羽監視システムAでは、トンネルTの天端近傍部位に振動可視化レーダ1を固定するので、1台の振動可視化レーダ1を用いることにより切羽Wの変化を検出することが可能である。したがって、本実施形態によれば、振動可視化レーダ1の移動が容易な切羽監視システムA及び切羽監視方法を提供することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、振動可視化レーダ1を天端近傍に設置するので、トンネル掘削工事に使用される施工機械や運搬機械等の作業範囲から遠ざけることが可能となり、施工機械や運搬機械等の接触による振動可視化レーダ1の破損を防ぐことが可能である。
【0041】
また、本実施形態によれば、振動可視化レーダ1を1台さけ使用するので、発破により飛散した岩石片や吹付けにより跳ね返った砕石の直撃を避けるための振動可視化レーダ1を保護する手段を1台分に軽減することが可能である。
【0042】
また、本実施形態によれば、背景技術のような2台の振動可視化レーダを同時に稼働するための複雑な処理が不要となるので、計測システム製作の手間と振動可視化レーダ1の使用に必要なコストを軽減することが可能である。
【0043】
また、本実施形態によれば、振動可視化レーダ1を天端近傍に設置するので、施工機械の上方から電波を発射することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、背景技術のように左右両側に振動可視化レーダを配置することなく、反射波が観測されない部分を最小限に抑制することが可能である。
【0044】
また、本実施形態によれば、振動可視化レーダ1の受信アンテナ1aを垂直方向に配列させるので、天端付近の空間分解能の低下を改善することが可能である。
【0045】
さらに、本実施形態によれば、振動可視化レーダ1を天端の中央部より左右どちらかに1~2m程度離れた位置に設置するので、振動可視化レーダ1と切羽面上の画素との間の距離が等距離となることにより識別できなくなる画素が生じることを効果的に回避することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
A 切羽監視システム
H 掘削面
S 鋼製支保工
T トンネル
W 切羽
1 振動可視化レーダ
2 コンピュータ(検出装置)
3 設置架台
3a、3b 垂直フレーム
3c 下方フレーム
4 雲台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7