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特開2024-178620情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178620
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0836 20230101AFI20241218BHJP
【FI】
G06Q10/0836
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096896
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】518216490
【氏名又は名称】株式会社SPACER
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 章仁
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性を向上させること。
【解決手段】情報処理システムにおける顔画像登録情報提供部123は、所定物品を閉空間から受け取るユーザについての生体認証のための比較元情報を、所定物品が閉空間に入れられて施錠された場合、閉空間側の所定データベースに提供する。顔認証部201は、ユーザが所定物品を受け取る際に、当該ユーザの生体認証のための比較先情報を取得して、前記所定データベースに格納された比較元情報と比較することで、当該生体認証を実行する。施錠・開錠制御部202は、生体認証が成功したことを所定条件として開錠処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件を満たすと開錠処理を実行することで出入口の開錠がなされる閉空間を管理する情報処理システムにおいて、
所定物品を前記閉空間から受け取るユーザについての生体認証のための比較元情報を、前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠された場合、前記閉空間側の所定データベースに提供する生体認証用情報提供手段と、
前記ユーザが前記所定物品を受け取る際に、当該ユーザの前記生体認証のための比較先情報を取得して、前記所定データベースに格納された前記比較元情報と比較することで、当該生体認証を実行する生体認証実行手段と、
前記生体認証が成功したことを前記所定条件として、前記開錠処理を実行する開錠処理実行手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記閉空間を管理する装置であって前記所定データベースを有する第1情報処理装置と、
前記第1情報処理装置と所定ネットワークを介して通信する第2情報処理装置と、
を有し、
前記第2情報処理装置は、
前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠される前に、前記ユーザの前記比較元情報を取得する生体認証用情報取得手段と、
取得された前記比較元情報を、前記所定データベースとは異なるデータベースに格納して管理する生体認証用情報管理手段と、
前記生体認証用情報提供手段と、
を備え、
前記第1情報処理装置は、
前記生体認証実行手段と、
前記開錠処理実行手段と、
を備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記閉空間を管理する装置であって前記所定データベースを有する情報処理装置
を有し、
前記情報処理装置は、
前記所定物品が前記ユーザに入れられる際に、前記ユーザの前記比較元情報を取得する生体認証用情報取得手段と、
前記生体認証用情報提供手段と、
前記生体認証実行手段と、
前記開錠処理実行手段と、
を備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記生体認証は、顔認証であり、
前記ユーザの前記比較元情報及び前記比較先情報は、当該ユーザの顔画像に基づく情報である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
所定条件を満たすと開錠処理を実行することで出入口の開錠がなされる閉空間を管理する情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
所定物品を前記閉空間から受け取るユーザについての生体認証のための比較元情報を、前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠された場合、前記閉空間側の所定データベースに提供する生体認証用情報提供ステップと、
前記ユーザが前記所定物品を受け取る際に、当該ユーザの前記生体認証のための比較先情報を取得して、前記所定データベースに格納された前記比較元情報と比較することで、当該生体認証を実行する生体認証実行ステップと、
前記生体認証が成功したことを前記所定条件として、前記開錠処理を実行する開錠処理実行ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
所定条件を満たすと開錠処理を実行することで出入口の開錠がなされる閉空間を管理する情報処理システムを制御するコンピュータに、
所定物品を前記閉空間から受け取るユーザについての生体認証のための比較元情報を、前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠された場合、前記閉空間側の所定データベースに提供する生体認証用情報提供ステップと、
前記ユーザが前記所定物品を受け取る際に、当該ユーザの前記生体認証のための比較先情報を取得して、前記所定データベースに格納された前記比較元情報と比較することで、当該生体認証を実行する生体認証実行ステップと、
前記生体認証が成功したことを前記所定条件として、前記開錠処理を実行する開錠処理実行ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の金銭を支払うことにより利用できるロッカー、即ちコインロッカーが、駅の構内等に設置されている。コインロッカーの利便性を向上させるため、コインロッカーの設置場所、使用状況確認、利用予約、携帯通信端末を用いて決済を行うといったことに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-259545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性をさらに向上させたいという要望がある。しかしながら、特許文献1を含む従来の技術では、その要望に十分に応えることができていたとは言えない状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
所定条件を満たすと開錠処理を実行することで出入口の開錠がなされる閉空間を管理する情報処理システムにおいて、
所定物品を前記閉空間から受け取るユーザについての生体認証のための比較元情報を、前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠された場合、前記閉空間側の所定データベースに提供する生体認証用情報提供手段と、
前記ユーザが前記所定物品を受け取る際に、当該ユーザの前記生体認証のための比較先情報を取得して、前記所定データベースに格納された前記比較元情報と比較することで、当該生体認証を実行する生体認証実行手段と、
前記生体認証が成功したことを前記所定条件として、前記開錠処理を実行する開錠処理実行手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の上記情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにより提供されるサービスの特長を示す図である。
図2】本発明の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図3図2に示す情報処理システムのうち、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図2の情報処理システムを利用した、物品の受け渡しサービスの概要を示すイメージ図である。
図5図2の情報処理システムのサーバ及びロッカー装置の夫々の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6】実施形態の情報処理システムのサーバの動作を示すフローチャートである。
図7】駅に配置したロッカー装置での物品の取り置きサービスの事例を示す図である。
図8】ネットスーパーで購入した商品をロッカー装置で受け取ることができるサービスの事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
まず、図1を参照して本発明の情報処理システムにより提供されるサービスの特長を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る情報処理システムにより提供されるサービス(以下「本サービス」と呼ぶ)の特長を示す図である。
【0011】
本サービスは、ECサイト(Webサイト)やそのサイトにアクセスするアプリケーションプログラム等(以下「アプリ・サイトC」と称す)を管理するサイト管理者U、及びアプリ・サイトCに商品D(販売する物品)を出品する商品等提供者S、及びアプリ・サイトCを利用して商品Dを購入する購入者B、の夫々に対して、アプリ・サイトCと配送連携API(Application Programming Interface)_Aを連携させて、ロッカー装置4を介した物品の受け渡しサービスを提供する。
【0012】
本サービスでは、アプリ・サイトCに出品された商品Dを購入者Bが購入する際に、アプリ・サイトCを用いて、顔認証用の自身の顔画像の情報を配送連携API_Aに登録する。以下、当該情報を、「顔画像登録情報」と呼ぶ。
【0013】
本サービスでは、アプリ・サイトCにおいて、商品等提供者Sが販売する商品Dが購入者Bにより購入されて取引が成立したときに、商品等提供者Sからの依頼を受けたサービス提供者SAが商品Dをロッカー装置4まで配送し、そして、ロッカー装置4における閉空間(ロッカーボックス)に収納する。
本サービスでは、商品Dが収納されて閉空間が施錠され、そして、扉閉鎖検知の信号を配送連携API_Aが受信すると、この配送連携API_Aからロッカー装置4に顔画像登録情報がダウンロードされると共に、配送連携API_Aから購入者Bに配送完了通知が送信される。
【0014】
本サービスでは、購入者Bが商品Dの受取のためロッカー装置4に足を運び、その際に、ロッカー装置4の前で顔認証用の自身の顔画像の情報をロッカー装置4に取得させると、その取得した情報と上記顔画像登録情報との間で比較をする顔認証が行われる。
本サービスでは、この顔認証において認証OKであれば購入者Bが受取人であるとされて、商品Dが収納された閉空間の開錠が行われ、そして、購入者Bが商品Dを閉空間から取出すと受取が完了する。
【0015】
サイト管理者Uは、例えばロッカー装置4が設置される駅やコンビニエンスストア等を管理し、サービス提供者SAからロッカー装置4を買い取るか又はサービス提供者SAとの契約によりロッカー装置4の管理権限を有するものとする。
サイト管理者Uは、例えば駅等にロッカー装置4を設置する場合は例えば鉄道会社等である。
【0016】
サービス提供者SAは、アプリ・サイトCに配送連携API_Aを連携させてロッカー装置4を用いた物品の受け渡しサービスをビジネスとして実現する者であり、サイト管理者Uの許可を得て駅等にロッカー装置4を設置する。
【0017】
商品等提供者Sは、アプリ・サイトCに商品D(販売する物品)を出品する者である。商品等提供者Sがアプリ・サイトCに出品するものとしては、商品Dの他、役務(物品に対して作業を請け負うサービス等)等も含まれる。
【0018】
なお、この実施形態では、説明を分かり易くするために、サイト管理者Uが商品等提供者Sを兼ねる例とし、取引が成立した商品Dの配送についても、サイト管理者U(商品等提供者S)からの依頼でサービス提供者SAが商品Dをロッカー装置4に配送、収納するものとするが、商品Dをロッカー装置4に配送する者は、商品等提供者Sであってもよく、また商品等提供者Sに委託された配送業者であってもよい。
本サービスでは、購入者端末5にアプリをダウンロードさせて、アプリ・サイトCのプラットホームを表示させてアプリ・サイトCにおける商品Dの提供(販売)処理が可能である。
【0019】
本サービスには、第1の特徴乃至第3の特徴がある。
第1の特徴は、スマートフォンで完結できる、という点である。
本サービスは、スマートフォン等の情報処理装置にインストールしたアプリでロッカー装置4に関する処理をフルコントロールすることが可能である。物理鍵は使用しないため、物理鍵の複製の危険性がなく、鍵の紛失等による交換も不要である。また、ロッカー装置4をアプリ・サイトCでコントロールするため、新機能を随時追加したりアップデートしたりすることが可能であり、ロッカー装置4を一度設置したら、同じ機能のままずっと使い続けなければならないこともない。
【0020】
第2の特徴は、顔認証を電子鍵として用いることができる、という点である。
本サービスでは、ロッカー装置4に購入者Bの顔画像登録情報が記憶された後、購入者Bが商品Dの受取のため例えばロッカー装置4の前で顔認証用の自身の顔画像の情報をロッカー装置4に取得させると、顔認証OKであれば閉空間を開錠させることができる。
本サービスでは、上記同様に物理鍵を使用しないため、物理鍵の複製の危険性がなく、鍵の紛失等による交換も不要である。
本サービスでは、ロッカー装置4の前で顔画像の情報を取得させればよいので、商品Dの受取の際にスマートフォン等の情報処理装置を操作する必要がない。
【0021】
第3の特徴は、ダイナミックプライシング、という点である。
ロッカー装置4の個々のロッカーボックスをカスタマイズして夫々のボックス単位に機能設定や価格設定等を行える。
ダイナミックプライシングの場合、時間課金制や立地・曜日・時間帯等の混雑状況により価格を変動させるので、収益性を高めることができる。
また、ダイナミックプライシングでは、利用者は現金は元より、クレジットカード決済、携帯キャリア決済、交通系の非接触ICカードによる電子決済等、多彩な決済方式を選択してロッカー装置4の使用料を支払うことが可能である。
このようにダイナミックプライシングでは、自由な価格設定と多彩な決済が可能である。
【0022】
ここで、配送連携API_Aについて説明する。
配送連携API_Aは、顔認証の管理の他、集荷依頼情報登録機能、お届け予定日通知機能、認証用URL発行機能、送り状番号連携機能、荷物ステータス連携機能、送り状情報削除機能等を有する。
集荷依頼情報登録機能は、サービス提供者SAが商品等提供者Sからの依頼で集荷に伺う際に必要な情報を送信する。
お届け予定日通知機能は、発送予定日と発地、着地の住所情報を受信する。
認証用URL発行機能は、送り状発行時に直営店の端末で認証するためのURLを連携する。受付番号を受信し、URLを返却する。
送り状番号連携機能は、取引IDを受信し、送り状番号を返却する。
荷物ステータス連携機能は、送り状番号を受信し、荷物ステータス(配送状況)を返却する。
送り状情報削除機能は、直営店で送り状を発行する前の送り状情報を削除する。
なお、送り状を発行後は、送り状情報を削除できない。また、集荷依頼情報も削除できない。
【0023】
続いて、図2を参照して本発明の情報処理システムについて説明する。
図2は、本発明の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示す情報処理システムは、サービス提供者SAが管理するサーバ1及び携帯端末6と、商品や役務を提供するためのアプリ・サイトCを運営、管理するサイト管理者Uにより管理される商品等提供装置2と、商品D等の物品を収納する1以上のロッカーボックス31(閉空間)の施錠と開錠とを行うと共に、その開錠の際に顔認証も行うロッカー装置4-1乃至4-m(mは1以上の任意の整数値)と、購入者B1乃至Bp(pは1以上の任意の整数値)の夫々が操作する購入者端末5-1乃至5-d(dは1以上の任意の整数値)の夫々と、を含むように構成されている。
サーバ1と、商品等提供装置2と、ロッカー装置4-1乃至4-mと、購入者端末5-1乃至5-dと、携帯端末6とは、インターネット(Internet)等のネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0025】
購入者端末5-1乃至5-dは、例えばスマートフォン、タブレット等で構成される。
購入者端末5-1乃至5-dは、夫々の購入者B1乃至Bpにより操作される。購入者端末5-1乃至5-dには、商品D1、D2に夫々対応するロッカーボックス31から商品D1、D2の取り出しを購入者B1乃至Bpが行う際に利用するアプリがインストールされており、アプリの画面への操作により商品Dの購入から受け取りまでの一連の処理を完結できる。
購入者端末5-1乃至5-dは、購入者B1乃至Bpの夫々の顔画像登録情報を記憶させるために必要な機能を有する。
【0026】
なお、以下、断りのない限り、「購入者Bが購入者端末5を操作する」と表現している場合、それは、購入者B1乃至Bpが、購入者端末5-1乃至5-dにインストールされた専用アプリを起動して各種操作を行うことを意味している。
【0027】
携帯端末6は、サービス提供者SAの配送スタッフが操作する端末であり、ロッカー配送アプリがインストールされている。携帯端末6は、サーバ1に配送スタッフ自身の顔画像登録情報を記憶させるために必要な機能を有する。
【0028】
ロッカー装置4は、閉空間となる複数のロッカーボックス31を有する。ロッカーボックス31は、商品D1やD2が収納され、この後に扉が閉められると、ロッカーボックス31は自動で施錠される。
ロッカー装置4からは、ロッカーボックス31の施錠と共に、サーバ1にロッカーボックス31の扉が閉鎖(施錠)されたことを通知する情報、即ち扉閉鎖検知の信号が送信される。
【0029】
なお、以下、購入者B1乃至Bpの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「購入者B」と呼ぶ。また、購入者端末5-1乃至5-dの夫々を個々に区別する必要がない場合も、これらをまとめて「購入者端末5」と呼ぶ。また、ロッカー装置4-1乃至4-mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ロッカー装置4」と呼ぶ。
【0030】
サーバ1は、商品等提供装置2、ロッカー装置4、購入者端末5及び携帯端末6と連携して各情報を管理する。サーバ1は、購入者Bがアプリ・サイトCで購入した商品Dを、ロッカー装置4を利用して受け渡す本サービスを提供すべく、各種各様な処理を実行する。
具体的には、サーバ1は、顔認証を電子鍵として用いた開錠処理によってロッカーボックス31の扉の開錠がなされるロッカー装置4を管理する。
また、サーバ1は、顔画像登録情報の送信に際して、商品Dの決済に関する所定条件(例えば商品Dの代金が決済済み、又は配送スタッフによるロッカーボックス31の扉の閉鎖が検知された等という条件)が満たされたか否かを判定したうえで、顔画像登録情報の送信に関する処理(以下「顔認証開錠処理」と呼ぶ)を実行する。なお、サーバ1がこれらの処理を実行するために備える機能の具体的内容については、図5を参照して後述する。
【0031】
ロッカー装置4は、商品Dを収納した状態で施錠可能な1以上のロッカーボックス31を有する。ロッカー装置4は、顔認証による認証結果に基づいて、1以上のロッカーボックス31の夫々の出入口である(扉)の少なくとも開錠を行う。
【0032】
図3は、図2に示す情報処理システムのうち、サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memoy)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0034】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0035】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。通信部19には、ロッカー装置4を撮像する防犯カメラ等の撮像装置が接続されている。
【0036】
出力部16は、液晶等のディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。
入力部17は、各種ハードウェア釦等で構成され、操作者の指示操作に応じて各種情報を入力する。
【0037】
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(図1の商品等提供装置2、ロッカー装置4、購入者端末5、携帯端末6)との間で行う通信を制御する。
【0038】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア30が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0039】
なお、図示はしないが、図2の情報処理システムのうち、商品等提供装置2、ロッカー装置4、購入者端末5、携帯端末6等も、図2のサーバ1のハードウェア構成と同様の構成とすることができるため、その説明を省略する。
ただし、購入者端末5がスマートフォンやタブレットで構成される場合には、出力部16及び入力部17として、タッチパネルを有している。
【0040】
このような図2のサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サーバ1において、後述する各種処理を実行することが可能になる。その結果、サービス提供者SAは、購入者Bに対し、後述する各種サービスを提供することができる。
【0041】
図4は、図2の情報処理システムを利用した、物品の受け渡しサービスの概要を示すイメージ図である。
【0042】
図4に示すように、本サービスは、購入者Bが購入者端末5を操作してアプリ・サイトCにアクセスし、商品等提供者Sが販売する商品Dを購入し、決済が実行されると、商品等提供者Sの商品等提供装置2からの配送依頼が送信される。
また、本サービスは、購入者Bが購入者端末5を操作しアプリ・サイトCを介して顔認証用の自身の顔画像の情報(顔画像登録情報)が配送連携API_Aを実装したサーバ1に登録される。
上記配送依頼を受けたサービス提供者SAは、商品Dをロッカー装置4に配送(搬送)し所定ロッカーボックス31に収納して扉を閉めと、その際、ロッカー装置4は、扉の閉鎖を検知してサーバ1に扉閉鎖検知の信号を送信する。
すると、サーバ1は、ロッカー装置4からの扉閉鎖検知の信号を受信したことにより、決済に関する所定条件を満たしたものとして、顔画像登録情報をロッカー装置4に提供する。
【0043】
購入者Bは、購入者端末5への配送完了通知の提供を受けて、ロッカー装置4が設置されている駅まで商品Dを受け取りに行き、ロッカー装置4の前で顔認証用の自身の顔画像の情報をロッカー装置4に取得させる。
ロッカー装置4では、取得した情報と上記顔画像登録情報との間で比較をする顔認証が行われ、顔認証OKであればロッカー装置4の所定ロッカーボックス31の扉が開放されて、ボックス内の商品Dを購入者Bが受け取ることができる。
【0044】
図5を参照して図2の情報処理システムのサーバ及びロッカー装置の夫々の機能的構成について説明する。
図5は、図2の情報処理システムのサーバ及びロッカー装置の夫々の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0045】
図5に示すように、サーバ1のCPU11においては、顔認証開錠処理が実行される場合に、購入者認証部101と、API制御部102と、ロッカー管理部103と、顔認証制御部104と、履歴管理部105と、が機能する。
サーバ1の記憶部18の一領域には、購入者DB401と、ロッカーDB402と、顔画像登録情報DB403と、履歴DB404と、が設けられている。
【0046】
購入者DB401には、購入者Bに関する各種の情報が記憶され管理されている。具体的には、購入者Bを一意に識別する情報(以下、「購入者ID」と呼ぶ)、購入者Bの氏名、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス)、口座情報等が含まれる。また、購入者Bが使用する購入者端末5を一意に識別する情報(電話番号やBTのデバイス名等)も、購入者DB401に記憶され管理されている。
【0047】
ロッカーDB402には、ロッカー情報が記憶されている。具体的には、ロッカー装置4を一意に識別する情報(以下、「ロッカーID」と呼ぶ)と、ロッカー装置4の複数のロッカーボックス31のうち所定のロッカーボックス31を一意に識別する情報(以下、「ボックス番号」と呼ぶ)と、ロッカー装置4の設置場所を示す位置情報と、夫々のロッカーボックスの機能が設定された機能設定情報と、ロッカー装置4の利用状況等の情報と、が対応してロッカーDB402に記憶されている。
また、ロッカーDB402には、ロッカーID毎に、1以上のロッカーボックス31の夫々に関する情報が紐付けられて管理されている。具体的には、ロッカーボックス31の施錠の状態、開錠指示を出した端末の電話番号、購入者Bの購入者ID等の情報等がロッカーDB402に管理されている。
また、ロッカーDB402には、ロッカー装置4の利用予約に関する情報が予約情報として、ユーザ単位に記憶され管理されている。
予約情報は、具体的には、例えば購入者IDと、ロッカーボックス31のボックス番号と、予約した日と、ロッカーボックス31を実際に利用する日と、時間帯とを含む。
【0048】
顔画像登録情報DB403には、購入者Bについての生体認証のための比較元情報が記憶されている。
具体的には、購入者Bが商品Dを購入するにあたり、購入者B自身が購入者端末5を用いて撮影し、そして、サーバ1に送信された顔画像の情報、即ち顔画像登録情報が記憶されている。
顔画像登録情報は、後に顔認証のためにロッカー装置4の前で取得される自身の顔画像の情報(比較先情報)との間で比較される比較元情報である。
【0049】
履歴DB404には、ロッカー装置4の利用履歴、及び利用料金の課金状況等が、ロッカーボックス31の単位で記憶され管理されている。ロッカー装置4の利用履歴は、開錠時刻、収容物、施錠時刻等である。この他、開錠時にコンテクスト情報(例えば画像等)が取得された場合は、開錠時刻に紐づけてコンテクスト情報が記憶される。
【0050】
購入者認証部101は、購入者DB401に記憶されている購入者の各種情報(以下、「購入者情報」と呼ぶ)と、購入者端末5の夫々から送信されてきた認証対象となる購入者の各種情報(以下、「認証購入者情報」と呼ぶ)と、に基づいて、購入者Bに対する購入者本人の認証処理を行う。
ここで、登録ユーザとは、具体的に、本サービスの利用を希望して、サーバ1に対して所定の情報を送信したユーザを意味する。
この他、購入者認証部101は、購入者情報の管理や削除等に関する処理を実行する。
【0051】
ロッカー管理部103は、ロッカー装置4の登録、及びロッカー装置4の利用状況の管理を行う。ロッカー装置4の登録が行われると、そのロッカー装置4に関する情報(以下、「ロッカー情報」と呼ぶ)は、ロッカーDB402に記憶される。また、ロッカー装置4の利用状況も、ロッカーDB402に随時記憶される。
【0052】
API制御部102は、商品等提供装置2において、顔画像登録情報提供部123を含む顔認証制御部104の機能を発揮させる配送連携API_Aによる制御を実行する。
これにより、サービス提供者SAは、ロッカー装置4を鉄道会社の駅に設置してもらい、アプリ・サイトCに配送連携API_Aを連携させるだけで、ロッカー装置4を用いたビジネスを実現することができる。
【0053】
API制御部102は、アプリ・サイトCにおいて、顔画像登録情報提供部123を含む顔認証制御部104の機能を発揮させる制御を実行する。
これにより、サービス提供者は、アプリ・サイトCと連携動作する配送連携API_Aをサーバ1に実装するだけで、商品Dを提供するアプリ・サイトCを管理することなく、ロッカー装置4を用いたビジネスを実現することができるので、ビジネスへの投資コストを抑えることができる。
【0054】
ロッカー管理部103は、図示しない機能設定画面を、サイト管理者Uが操作する商品等提供装置2に表示し、ロッカー装置4の各ロッカーボックス31を1単位として、N単位(Nは2以上の整数値)のロッカーボックス31を管理する。
ロッカー管理部103は、設定機能部111を有する。
設定機能部111は、図示しない機能設定画面において、サイト管理者Uの操作によりN単位の夫々について、ロッカー装置4に商品Dを収納する機能を含む複数の機能のうち、所定機能を割り当てる設定を行う。
複数の機能は、ロッカー装置4の単位毎のロッカーボックス31を、例えば無料ロッカーにする機能、交通系非接触式ICカードで利用可能なロッカーにする機能、ロッカーの利用料金やその内部に収容される物品の価格を設定する機能、施錠・開錠に係る生体認証(ここでは顔認証)を実現する機能等である。
【0055】
この他、ロッカー管理部103は、商品Dを収納し得るロッカー装置4の1以上のロッカーボックス31のうち、予約使用可能に設定されているロッカーボックス31が予約可能な時間帯に所定の利用料で使用させる予約を受け付ける。
具体的には、ロッカー管理部103は、購入者端末5からの予約に関する情報を受け付け、受け付けた予約に関する情報を予約情報としてロッカーDB402に記憶し、1以上の利用者の夫々からのロッカー装置4の利用予約を管理する。
【0056】
顔認証制御部104は、ロッカー装置4の1以上のロッカーボックス31の扉の施錠を開錠するための生体認証の制御、即ちここでは顔認証の制御に係る機能として、顔画像登録情報取得部121と、顔画像登録情報管理部122と、顔画像登録情報提供部123とを備える。
【0057】
顔画像登録情報取得部121は、商品Dがロッカーボックス31に入れられて施錠される前に、購入者Bの顔画像登録情報を取得する。
具体的に、顔画像登録情報取得部121は、購入者B自身が購入者端末5を用いて撮影し、そして、サーバ1に送信された購入者B自身の顔画像の情報、即ち顔画像登録情報を取得する。
【0058】
顔画像登録情報管理部122は、顔画像登録情報取得部121にて取得した顔画像登録情報を顔画像登録情報DB403に格納して管理する。
具体的に、顔画像登録情報管理部122は、顔画像登録情報を購入者Bの購入者IDに対応付けて顔画像登録情報DB403に記憶し、管理する。
【0059】
顔画像登録情報提供部123は、購入者Bの顔画像登録情報をロッカー装置4側の図示しないデータベースに提供する。
具体的に、顔画像登録情報提供部123は、商品Dの決済に関する所定条件(例えば商品Dの代金が決済済み(取引成立)や所定のロッカーボックス31の扉閉鎖検出の信号を受けたこと等の条件)が満たされた場合に、購入者Bの顔画像登録情報を、ネットワークNWを介してロッカー装置4側の図示しないデータベースに提供する。
【0060】
履歴管理部105は、顔認証による開錠処理が実行され、そして、扉が開錠された場合に、ロッカーボックス31の扉の開錠を示す情報(開錠時刻、URL鍵等)と、購入者Bの購入者ID等とを対応付けて、これをロッカー装置4の利用履歴に係る履歴情報として管理する。
【0061】
履歴管理部105は、必要に応じて、取得されるコンテクスト情報を履歴情報に含めて記憶する。
コンテクスト情報は、例えば所定のロッカーボックス31の扉を開放した時や閉鎖した時にロッカー装置4を撮像するように設置された防犯カメラ等により撮像された受取人を被写体に含む画像等である。
【0062】
履歴管理部105は、ロッカー装置4の利用履歴や利用料金の課金状況を管理する。ロッカー装置4の利用履歴や利用料金の課金状況は、履歴DB404に記憶される。
履歴管理部105は、購入者Bが予約したロッカー装置4のロッカーボックス31を開錠すると、購入者Bの購入者IDを開錠時刻と共に、取引履歴の一部の利用履歴として履歴DB404に記録するとともに、今回開錠に使用された顔画像登録情報を直ちに無効化する処理を行う。なお、顔画像登録情報を直ちに無効化する処理は、顔認証制御部104が行ってもよい。
【0063】
図5に示すように、ロッカー装置4のCPUにおいては、顔認証開錠処理が実行される場合に、顔認証部201と、施錠・開錠制御部202と、が機能する。
ロッカー装置4の記憶部の一領域には、少なくともサーバ1の顔画像登録情報提供部123から提供された購入者Bの顔画像登録情報を記憶するための図示しないデータベースが設けられている。
【0064】
顔認証部201は、購入者Bが商品Dを受取ろうとする際に、例えばロッカー装置4の前で例えば図示しない撮像部で撮像して取得した購入者B自身の顔画像の情報と、上記図示しないデータベースに記憶された購入者Bの顔画像登録情報とを比較することで、顔認証を実行する。
【0065】
施錠・開錠制御部202は、顔認証が成功したことを所定条件として、所定のロッカーボックス31の扉の開錠処理を実行する。
【0066】
続いて、図6を参照して実施形態の情報処理システムのサーバの動作を説明する。
図6は、実施形態の情報処理システムのサーバの動作を示すフローチャートである。
【0067】
サーバ1では、ステップS11において、購入者Bが商品Dを購入し、ロッカー装置4を受け渡し場所とする取引が成立すると、アプリ・サイトCからサーバ1に商品Dの配送依頼が通知される。
サーバ1では、ステップS12において、購入者B自身が購入者端末5を用いて撮影し、そして、サーバ1に送信された購入者B自身の顔画像の情報、即ち顔画像登録情報を顔画像登録情報取得部121が取得する。
サーバ1では、ステップS13において、取得した顔画像登録情報を顔画像登録情報DB403に記憶し、そして、顔画像登録情報管理部122が管理する。
サーバ1では、ステップS14において、ロッカー装置4からの扉閉鎖検知の信号を受信すると、顔画像登録情報DB403に記憶された顔画像登録情報をロッカー装置4に提供する。
サーバ1では、ステップS15において、ロッカー装置4の所定のロッカーボックス31が顔認証により開錠されたか否かをロッカー管理部103が判断し、開錠された場合にはステップS16に移行する。一方、開錠されていない場合には、ステップS15を繰り返す。
サーバ1では、ステップS16において、今回開錠に使用された顔画像登録情報を直ちに無効化する処理を履歴管理部105が実行する(これにより、次回以降は今回使用された顔画像登録情報は使用できなくなる)。
サーバ1では、ステップS17において、購入者Bの購入者IDを開錠時刻と対応付けた履歴情報を履歴管理部105が作成し、取引履歴の一部の利用履歴として履歴DB404に記録する。なお、顔画像登録情報の無効化と履歴情報を作成は順序が逆であってもよい。
【0068】
このように一回のみ使用できる顔画像登録情報を提供することで、ロッカー装置4の不正な利用行為を防止しつつ購入者Bの利便性の良い一時保管サービスを提供することができる。
【0069】
次に、図7を参照して上記情報処理システムを適用したビジネスモデルの第1事例を説明する。
図7は、駅に配置したロッカー装置での物品の取り置きサービスの事例を示す図である。
【0070】
この第1事例は、図7に示すように、例えば鉄道会社の駅で営業するクリーニング店の近隣の場所等にロッカー装置4を配置し、クリーニング店で購入者Bから預かった洗濯物D3を洗濯した後、ロッカー装置4に収納することで、購入者Bは、クリーニング店の営業時間に関わらず、ロッカー装置4から洗濯物D3を受け取ることができるビジネスモデルの事例である。
【0071】
なお、この事例において、クリーニング店の洗濯は、「役務」に相当し、洗濯物D3は「役務に供する物」に相当するため、この事例において、洗濯に対して支払いをする人を、役務を購入する「購入者」と呼ぶ。
【0072】
ステップS41において、購入者Bは、洗濯物D3を持って駅のクリーニング店に来店し、洗濯物D3をクリーニング店の店員である商品等提供者Sに洗濯を依頼し、洗濯物D3を商品等提供者Sに預ける。
【0073】
商品等提供者Sは、依頼された洗濯等の役務に対し、ステップS42において、商品等提供装置2を操作して決済処理を行う。
この際、商品等提供者Sは、購入者Bに洗濯物D3を受け取るロッカー装置4の設置場所やロッカーボックス31の選択を促すと共に、購入者Bに顔認証用の自身の顔画像の情報(顔画像登録情報)を登録するよう促す。
購入者Bは、購入者端末5を操作してロッカー装置4の設置場所やロッカーボックス31の選択を行う。また、購入者Bは、自身の顔画像を撮影し、この撮影した顔画像の情報、即ち顔画像登録情報を商品等提供装置2に送信する。
なお、決済処理等の後、購入者Bは例えば通勤のため駅に向かう。
【0074】
ステップS43において、商品等提供装置2は、購入者Bの顔画像登録情報をサーバ1に送信する。
ステップS44において、商品等提供者Sは、依頼に対して請け負った洗濯物D3の洗濯を行い、洗濯が済んだ洗濯物D3を持ってロッカー装置4のところに行き、洗濯物D3を所定のロッカーボックス31に収納する。
なお、特に図示しないが、商品等提供者Sは、所定のロッカーボックス31を開錠するために購入者Bと同様の顔認証を行うものとする。
【0075】
商品等提供者Sが、所定のロッカーボックス31に洗濯物D3を収納後、所定のロッカーボックス31の扉を閉めると、ロッカー装置4からはサーバ1に向けて扉閉鎖検知の信号が送信される(ステップS45)。
【0076】
サーバ1では、ステップS46において、扉閉鎖検知の信号が受信されたことにより、顔認証制御部104が、決済に関する所定条件を満たしたものと判定し、購入者端末5に配送完了通知を送信する(ステップS47)。
また、サーバ1では、ロッカー装置4に向けて購入者Bの顔画像登録情報を送信する(ステップS48)。
【0077】
ステップS49において、購入者端末5にて配送完了通知を見た購入者Bは、会社帰り等に駅のロッカー装置4のところへ洗濯物D3を受け取りに行く。
そして、購入者Bが、ロッカー装置4の前で顔認証用の自身の顔画像の情報をロッカー装置4に取得させる(ステップS50)。
これにより、ロッカー装置4では、取得した情報と上記顔画像登録情報との間で比較をする顔認証を行い、この顔認証において認証OKであれば購入者Bが受取人であるとされて、所定のロッカーボックス31の開錠が行われる。よって、購入者Bは洗濯物D3を所定のロッカーボックス31から取出すことができる。
【0078】
このような事例によれば、駅に設置したロッカー装置4によるクリーニング後の洗濯物D3の取り置きサービスを提供することができる、というビジネスモデルを実現することができる。
【0079】
次に、図8を参照して上記情報処理システムを適用したビジネスモデルの第2事例を説明する。
図8は、ネットスーパーで購入した商品をロッカー装置で受け取ることができるサービスの事例を示す図である。
【0080】
この第2事例は、例えばスーパーマーケット等の商品等提供者SがECサイトに出店し、商品を販売、配送するサービスをネットスーパーというが、図8に示すように、ネットスーパーで販売されている商品、例えば野菜D4等の配送先を、鉄道会社の駅のロッカー装置4に指定して購入者Bが購入することができる。野菜D4は、例えば保冷パックに収納された上でロッカー装置4に配送及び収納され、購入者Bは、野菜D4が宅配されるのを自宅で待機することなく、会社帰り等に駅のロッカー装置4から野菜D4を受け取ることができる、というビジネスモデルの事例である。
【0081】
ステップS61において、購入者Bは、購入者端末5を操作して、アプリ・サイトCに出店しているネットスーパーで野菜D4を注文する。この際、アプリ・サイトCの画面で野菜D4の配送先に、ロッカー装置4を指定する。注文は、商品等提供装置2により受注される。
ステップS62において、上記注文に伴い、購入者Bは自身の顔画像を撮影し、この撮影した顔画像の情報、即ち顔画像登録情報をアプリ・サイトCに(商品等提供装置2に)送信する。顔画像登録情報は、商品等提供装置2からサーバ1に送信される(ステップS63)。
【0082】
商品等提供者Sは、商品等提供装置2に野菜D4の受注が入ると、商品等提供装置2を操作して表示されたアプリ・サイトCの画面で、指定された場所のロッカー装置4の空き状況を確認した上で、ステップS64において、注文された野菜D4を保冷バッグに入れた状態で収納可能なロッカーボックス31を選択する。
【0083】
ステップS65において、商品等提供者Sは、注文された野菜D4をロッカー装置4へ配送し、選択したロッカーボックス31に収納する。
野菜D4をロッカーボックス31に収納した後、特に図示しないが、ロッカー装置4はサーバ1に向けて扉閉鎖検知の信号を送信する。
ステップS67において、サーバ1は、顔認証制御部104が決済に関する所定条件を満たしたものと判定し、購入者端末5に配送完了通知を送信すると共に、ロッカー装置4に向けて購入者Bの顔画像登録情報を送信する(ステップS66)。
【0084】
ステップS68において、購入者端末5にて配送完了通知を見た購入者Bは、会社帰り等に駅のロッカー装置4のところへ野菜D4を受け取りに行く。
そして、購入者Bが、ロッカー装置4の前で顔認証用の自身の顔画像の情報をロッカー装置4に取得させる(ステップS69)。
これにより、ロッカー装置4では、取得した情報と上記顔画像登録情報との間で比較をする顔認証を行い、この顔認証において認証OKであれば購入者Bが受取人であるとされて、所定のロッカーボックス31の開錠が行われ、そして、購入者Bは野菜D4を所定のロッカーボックス31から取出すことができる。
【0085】
このように第2事例によれば、ネットスーパーで購入者Bが購入した野菜D4等の商品を駅に設置されたロッカー装置4で受け取ることができる、というビジネスモデルを実現することができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0087】
上述の実施形態では、サーバ1とロッカー装置4とがネットワークNWを介して相互に接続されていたが、ユーザ(上述の購入者Bに相当する)が所定物品を自身で所定のロッカーボックス31に入れて施錠し、自身が開錠して所定物品を取り出す場合に、ロッカー装置4は、次のような構成であってもよい。
具体的に、ロッカー装置4は、少なくともサーバ1の顔認証制御部104をさらに備えている(ロッカー装置4は、顔認証の制御に係る機能としての、顔画像登録情報取得部121、顔画像登録情報管理部122、顔画像登録情報提供部123をさらに備えている)。
このようなロッカー装置4において、ユーザは、所定物品を自身で所定のロッカーボックス31を入れて施錠する際、上述同様の決済処理を行う他、自身の顔画像登録情報を例えば近距離無線通信方式の通信によりロッカー装置4に送信する。これにより、ユーザの顔画像登録情報は、ロッカー装置4で記憶、管理される。
一方、所定のロッカーボックス31から所定物品を取り出す際には、ロッカー装置4の前で顔認証用の自身の顔画像の情報をロッカー装置4に取得させて顔認証を実行させればよい。
上記例によれば、インターネット等のネットワークNWとの通信機能を不要とするロッカー装置4の実現が可能であり、このようなロッカー装置4のロッカーボックス31を介して、商品や役務等の物品を安全に受取人(購入者B等)に受け渡すことを可能になる。
【0088】
上記近距離無線通信方式の例として、Bluetooth(登録商標)規格の無線通信が一例として挙げられるが、これ以外に、例えばNFC(Near Field Communication)(登録商標)や交通系非接触ICカード等を用いるものであってもよく、近距離無線通信方式は特に限定されない。
【0089】
上述の実施形態では、生体認証として顔認証を採用したが、この限りでないものとする。即ち、顔認証の他、例えば音声(声紋)認証、網膜認証、指紋認証、掌紋認証等や、これらの組み合わせを採用してもよい。
【0090】
また、例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図5に示した機能的構成は例示に過ぎず、図5の機能的構成のみに特に限定されるものではない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図1乃至図8の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図1乃至図8に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ1の機能ブロック及びデータベースを商品等提供装置2等に移譲させてもよい。逆に商品等提供装置2の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。上述のように、サーバ1の機能ブロック等をロッカー装置4に移譲させてもよい。
また、一つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0091】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0092】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0093】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0094】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
【0095】
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば図2の情報処理システム等)は、
所定条件を満たすと開錠処理を実行することで出入口の開錠がなされる閉空間(例えば図2のロッカーボックス31等)を管理する情報処理システムにおいて、
所定物品(例えば図1の商品D等)を前記閉空間から受け取るユーザ(例えば図1の購入者B等)についての生体認証(例えば図1の顔認証等)のための比較元情報(例えば図1の顔画像登録情報等)を、前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠された場合、前記閉空間側の所定データベース(例えば図1のロッカー装置4側の図示しないデータベース等)に提供する生体認証用情報提供手段(例えば図5の顔画像登録情報提供部123等)と、
前記ユーザが前記所定物品を受け取る際に、当該ユーザの前記生体認証のための比較先情報(例えば図1のロッカー装置4の前で取得される顔認証用の購入者B自身の顔画像の情報等)を取得して、前記所定データベースに格納された前記比較元情報と比較することで、当該生体認証を実行する生体認証実行手段(例えば図5のロッカー装置4の顔認証部201等)と、
前記生体認証が成功したことを前記所定条件として、前記開錠処理を実行する開錠処理実行手段(例えば図5のロッカー装置4の施錠・開錠制御部202等)と、
を備える。
これにより、受取人(購入者B等)は、駅やコンビニエンスストア等に設置されている閉空間(例えば図2のロッカー装置4のロッカーボックス31等)を介して、アプリ・サイトC等で購入者Bが購入した商品Dや役務の提供を受けた物品(図9の洗濯物D3等)を会社帰りや外出したついでに受け取れる。
この結果、駅やコンビニエンスストア等の公衆の空間に設置される物品の保管場所(ロッカー装置4等)の利便性を向上しつつ物品(アプリ・サイトC等で購入した商品Dや洗濯物D3等)を受取人(購入者B等)に安全に受け渡すことができるビジネスを実現可能にすることができる。
【0096】
本発明が適用される情報処理システム(例えば図2の情報処理システム等)は、
前記閉空間を管理する装置であって前記所定データベースを有する第1情報処理装置(例えば図1のロッカー装置4等)と、
前記第1情報処理装置と所定ネットワーク(例えば図2のネットワークNW等)を介して通信する第2情報処理装置(例えば図2のサーバ1等)と、
を有し、
前記第2情報処理装置は(例えば図2のサーバ1等)、
前記所定物品が前記閉空間に入れられて施錠される前に、前記ユーザの前記比較元情報を取得する生体認証用情報取得手段(例えば図5の顔画像登録情報取得部121等)と、
取得された前記比較元情報を、前記所定データベースとは異なるデータベース(例えば図5の顔画像登録情報DB403等)に格納して管理する生体認証用情報管理手段(例えば図5の顔画像登録情報管理部122等)と、
前記生体認証用情報提供手段(例えば図5の顔画像登録情報提供部123等)と、
を備え、
前記第1情報処理装置(例えば図1のロッカー装置4等)は、
前記生体認証実行手段(例えば図5のロッカー装置4の顔認証部201等)と、
前記開錠処理実行手段(例えば図5のロッカー装置4の施錠・開錠制御部202等)と、
を備える。
第1情報処理装置(例えば図1のロッカー装置4等)と、第2情報処理装置(例えば図2のサーバ1等)とを有する情報処理システム(例えば図2の情報処理システム等)により、物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性を従来よりも向上させることができる。
【0097】
本発明が適用される情報処理システムは、
前記閉空間(ユーザが所定物品を自身で入れて施錠し、自身が開錠して所定物品を取り出す場合の上述のロッカーボックス等)を管理する装置であって前記所定データベースを有する情報処理装置(ユーザが所定物品を自身で入れて施錠し、自身が開錠して所定物品を取り出す場合の上述のロッカー装置等)
を有し、
前記情報処理装置は、
前記所定物品が前記ユーザに入れられる際に、前記ユーザの前記比較元情報を取得する生体認証用情報取得手段(例えば図5の顔画像登録情報取得部121と同様の機能部等)と、
前記生体認証用情報提供手段(例えば図5の顔画像登録情報提供部123と同様の機能部等)と、
前記生体認証実行手段(例えば図5のロッカー装置4の顔認証部201等)と、
前記開錠処理実行手段(例えば図5のロッカー装置4の施錠・開錠制御部202等)と、
を備える。
情報処理装置(ユーザが所定物品を自身で入れて施錠し、自身が開錠して所定物品を取り出す場合の上述のロッカー装置等)を有する情報処理システム(ユーザが所定物品を自身で入れて施錠し、自身が開錠して所定物品を取り出す場合の情報処理システム等)により、物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性を従来よりも向上させることができる。
【0098】
本発明が適用される情報処理システム(例えば図2の情報処理システム等)は、
前記生体認証は、顔認証であり、
前記ユーザの前記比較元情報及び前記比較先情報は、当該ユーザの顔画像に基づく情報である。
顔認証により、物品を一時保管するサービスの利用や管理における利便性を従来よりも向上させることができる。
【符号の説明】
【0099】
1・・・サーバ、2・・・商品等提供装置、4・・・ロッカー装置、5・・・購入者端末、6・・・携帯端末、11・・・CPU、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、30・・・リムーバブルメディア、31・・・ロッカーボックス、101・・・購入者認証部、102・・・API制御部、103・・・ロッカー管理部、104・・・顔認証制御部、105・・・履歴管理部、111・・・設定機能部、121・・・顔画像登録情報取得部、122・・・顔画像登録情報管理部、123・・・顔画像登録情報提供部、401・・・購入者DB、402・・・ロッカーDB、403・・・顔画像登録情報DB、404・・・履歴DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8