(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178629
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/63 20230101AFI20241218BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241218BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20241218BHJP
G03B 17/20 20210101ALI20241218BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N23/63 300
H04N23/60 500
H04N23/667
G03B17/20
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096909
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】平井 雄一
【テーマコード(参考)】
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H102AA33
2H102BB06
2H102BB22
2H102CA03
2H102CA32
5C122EA41
5C122EA42
5C122FA09
5C122FD01
5C122FD10
5C122FD13
5C122FH12
5C122FH14
5C122FH18
5C122FK33
5C122FK37
5C122FK41
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA87
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】ユーザが容易に所望の合焦範囲での撮影条件を取得することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(100)は、第1撮影を行う際の第1撮影条件と第2撮影を行う際の第2撮影条件とを取得する取得手段(17)と、被写体とAF候補枠とを重畳表示する表示手段(23、101)と、第1撮影条件での第1撮影により得られる第1被写界深度で、AF候補枠に対応する位置が合焦範囲に収まるか否かを判定する第1判定手段(26)と、第2撮影条件での第2撮影により得られる第2被写界深度で、AF候補枠に対応する位置が合焦範囲に収まるか否かを判定する第2判定手段(27)とを有し、表示手段は、第1判定手段および第2判定手段の判定結果に応じて、AF候補枠に対応する位置に関する合焦状態を表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮影を行う際の第1撮影条件と第2撮影を行う際の第2撮影条件とを取得する取得手段と、
被写体とAF候補枠とを重畳表示する表示手段と、
前記第1撮影条件での前記第1撮影により得られる第1被写界深度で、前記AF候補枠に対応する位置が合焦範囲に収まるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第2撮影条件での前記第2撮影により得られる第2被写界深度で、前記AF候補枠に対応する前記位置が前記合焦範囲に収まるか否かを判定する第2判定手段と、を有し、
前記表示手段は、前記第1判定手段および前記第2判定手段の判定結果に応じて、前記AF候補枠に対応する前記位置に関する合焦状態を表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1撮影は、1回合焦撮影であり、
前記第2撮影は、フォーカスブラケット撮影であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2被写界深度は、前記第2撮影条件における前記フォーカスブラケット撮影で得られる各合焦位置における被写界深度を元に計算した値であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記フォーカスブラケット撮影により取得された複数の画像を用いて深度合成を行う画像処理手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
ユーザの操作に応じて、前記第1撮影条件または前記第2撮影条件の少なくとも一つを変更するための操作部材を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1撮影条件または前記第2撮影条件を選択する選択手段を更に有し、
前記選択手段は、前記第1撮影条件の絞り値が所定値よりも大きい場合、前記第2撮影条件を選択することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1撮影条件または前記第2撮影条件を選択する選択手段を更に有し、
前記選択手段は、前記第1撮影条件において前記AF候補枠が前記合焦範囲に収まらない場合、前記第2撮影条件を選択することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1撮影条件または前記第2撮影条件を選択する選択手段と、
前記被写体の移動量を検出する検出手段と、を更に有し、
前記選択手段は、前記被写体の前記移動量が所定の移動量よりも大きい場合、前記第1撮影条件を選択することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記選択手段による選択結果を表示することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記表示手段に前記選択結果が表示された後に、ユーザの操作に応じて前記第1撮影条件または前記第2撮影条件を変更するための操作部材を更に有することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
第1被写体と第2被写体とを含む認識被写体を認識可能な認識手段と、
前記認識被写体ごとに、前記第1被写体の第1奥行き情報と前記第2被写体の第2奥行き情報とを紐付けて記憶する記憶手段と、を更に有し、
前記AF候補枠に対応する前記位置に存在する前記被写体が前記第1被写体または前記第2被写体である場合、前記記憶手段から前記第1奥行き情報または前記第2奥行き情報が読み出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
認識被写体を認識可能な認識手段と、
前記認識被写体ごとに奥行き情報を記憶する記憶手段と、を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1撮影条件は、前記被写体を適露光で前記第1撮影を行うための撮影条件であり、
前記第2撮影条件は、前記被写体を適露光で前記第2撮影を行うための撮影条件であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第1撮影条件および前記第2撮影条件はそれぞれ、絞り値、シャッター速度、およびISO感度に関する条件を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項15】
第1撮影を行う際の第1撮影条件と第2撮影を行う際の第2撮影条件とを取得する取得ステップと、
被写体とAF候補枠とを重畳表示する表示ステップと、
前記第1撮影条件での前記第1撮影により得られる第1被写界深度で、前記AF候補枠に対応する位置が合焦範囲に収まるか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第2撮影条件での前記第2撮影により得られる第2被写界深度で、前記AF候補枠に対応する前記位置が前記合焦範囲に収まるか否かを判定する第2判定ステップと、を有し、
前記表示ステップにおいては、前記第1判定ステップおよび前記第2判定ステップの判定結果に応じて、前記AF候補枠に対応する前記位置に関する合焦状態を表示することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のプログラムを記憶していることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オートフォーカス(AF)により合焦制御を行う技術が知られている。特許文献1には、被写界深度内を合焦可能エリアとしてユーザに報知し、その中から合焦希望エリアの設定を可能にした装置が開示されている。また従来、焦点調節レンズの駆動を制御して焦点位置をずらしながら複数枚撮影するフォーカスブラケット撮影により得られた複数の画像を合成して、1回合焦撮影では得られない光学特性を超えた被写界深度を得る、深度合成の技術が知られている。特許文献2には、異なる合焦位置の同一撮影範囲の複数の画像を、合焦範囲を抽出して合成することで、撮影範囲を再合成してマルチフォーカス画像を生成する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―165997号公報
【特許文献2】特開平10―290389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画角内の合焦範囲を所望の設定にしたくても、ユーザが即座に必要な被写界深度を掴むのは困難である。また、特許文献1のように合焦可能エリアをユーザに報知してユーザが合焦希望エリアを設定する場合、合焦可能エリア外の領域については、合焦させることができない。
【0005】
必要な被写界深度の確保が光学特性上や被写体との距離上困難な場合でも、特許文献2のような深度合成のためのフォーカスブラケット撮影を鑑みて、1回合焦撮影とフォーカスブラケット撮影とを並行して準備可能な撮像装置が必要となる。そのとき、1回合焦撮影とフォーカスブラケット撮影とを選択する判定が必要であり、それぞれの撮影条件での合焦範囲を報知するユーザインターフェースが必要である。
【0006】
そこで本発明は、ユーザが容易に所望の合焦範囲での撮影条件を取得することが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、第1撮影を行う際の第1撮影条件と第2撮影を行う際の第2撮影条件とを取得する取得手段と、被写体とAF候補枠とを重畳表示する表示手段と、前記第1撮影条件での前記第1撮影により得られる第1被写界深度で、前記AF候補枠に対応する位置が合焦範囲に収まるか否かを判定する第1判定手段と、前記第2撮影条件での前記第2撮影により得られる第2被写界深度で、前記AF候補枠に対応する前記位置が前記合焦範囲に収まるか否かを判定する第2判定手段とを有し、前記表示手段は、前記第1判定手段および前記第2判定手段の判定結果に応じて、前記AF候補枠に対応する前記位置に関する合焦状態を表示する。
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが容易に所望の合焦範囲での撮影条件を取得することが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1における撮像システムのブロック図である。
【
図3】各実施例における撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】各実施例におけるLV表示処理を示すフローチャートである。
【
図5(a)】各実施例における1回合焦撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図5(b)】各実施例における1回合焦撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図6(a)】実施例1における2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図6(b)】実施例1における2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図6(c)】実施例1における2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図7】各実施例における再生表示処理を示すフローチャートである。
【
図8】各実施例における撮影条件1による撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図9】各実施例における撮影条件2によるフォーカスブラケット撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図10】実施例2における撮像システムのブロック図である。
【
図11(a)】実施例2における2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図11(b)】実施例2における2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図11(c)】実施例2における2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
【
図12】実施例1におけるAF候補枠の例を示す図である。
【
図13】実施例2におけるAF候補枠の例を示す図である。
【
図14】被写体距離とデフォーカス量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例0012】
まず、
図1(a)、(b)を参照して、本発明の実施例1におけるデジタルカメラ(撮像装置)100について説明する。
図1(a)、(b)はデジタルカメラ100の外観図であり、
図1(a)はデジタルカメラ100の前面斜視図、
図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図をそれぞれ示す。デジタルカメラ100はミラーレスカメラであるが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の撮像装置にも適用可能である。また、デジタルカメラ100に対してレンズ装置が着脱可能であるが、本実施例はこれに限定されるものではなく、カメラ本体とレンズ装置とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
【0013】
101は、画像や各種情報を表示するためにデジタルカメラ100の背面に設けられた表示部である。102は、撮影指示を行うためのシャッター釦である。103は、デジタルカメラ100の電源をONにして起動指示を出し、電源をOFFにして停止指示を出すための電源スイッチである。104は、デジタルカメラ100が着脱可能なレンズ装置、またはレンズ装置を接続するためのアダプターとの通信を行うための通信端子である。105は、接眼ファインダー(覗き込み型のファインダー)の接眼部であり、ユーザは、接眼部105を介して内部の電子ビューファインダー(
図2参照)に表示された映像を視認することができる。106は、接眼部105にユーザが接眼しているか否かを検知する接眼検知センサである。107は、記録メディア25(
図2参照)を格納するスロットの蓋である。
【0014】
デジタルカメラ100は、操作部材として、メイン電子ダイヤル112、サブ電子ダイヤル113,十字キー114、およびSET釦115を含む。またデジタルカメラ100は、操作部材として、第2のシャッター釦116、AEロック釦117(AEは、Auto Exposure)、拡大釦118、再生釦119、メニュー釦120、モード切替えスイッチ121、およびINFO釦122を含む。
【0015】
112は、回転操作部材としてのメイン電子ダイヤルであり、シャッター速度や絞り値等の設定値変更に用いる。113は、回転操作部材としてのサブ電子ダイヤルであり、撮影時のAF枠の選択位置の移動や、再生時の画像送り等に用いても良い。114は、十字キーである。上、下、左、右部分を夫々押し込み可能な4方向キーで例示しており、押した部分に応じた操作割当てが可能である。同
図1中115はSET釦であり、主に選択項目の決定に用いられる押し釦である。116は、第2のシャッター釦であり、後述する2条件撮影モードにおけるフォーカスブラケット撮影(第2撮影)の開始指示に用いても良い。該撮影モード以外では、動画撮影の開始・終了指示に用いても良い。
【0016】
117は、AEロック釦であり、S1状態からS2を押下する(S1、S2については後述する)一つの撮影形態(1回合焦撮影、第1撮影)では、撮影待機状態で押下することにより、露出状態を固定する。後述する2条件撮影モード時には、選択中のAF候補枠の深度内追加・除外指示の開始・完了の切替え釦として機能する。
【0017】
118は拡大釦であり、例えばライブビュー表示(LV表示)において拡大モードのON/OFFに用いる。例えば、拡大モードをONにしてからメイン電子ダイヤル112を操作することによりLV表示画像の拡大・縮小を行える。再生表示時における再生表示画像についても同様である。再生釦119は、撮影と再生表示との処理を切り替える操作釦である。任意の撮影モード中に該再生釦119を押下することで再生モードに移行し、記録メディア25に記録された画像のうち例えば最新の画像を表示部101に表示させることができる。120はメニュー釦であり、各種設定を行うためのメニュー表示を前記表示部101に表示するときに押下する。ユーザは、表示部101に表示されたメニュー画面と、十字キー114やSET釦115を用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0018】
121は、各種モードを切り替えるモード切替えスイッチである。モード切替えスイッチ121で、後述する2条件撮影モードを選択することができる。INFO釦122は、表示部101等表示部材への情報表示内容の切り替えに用いる。INFO釦122は、後述する2条件撮影モード時に選択中のAF候補枠の深度内追加・除外入力切り替えに用いることができる。
【0019】
ユーザがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすいグリップ形状を持ち、ユーザが右手の小指、薬指、中指でデジタルカメラ100を握って保持した状態で、右手の人差し指で操作可能な位置に、シャッター釦102が配置されている。また、同じ状態で、右手の人差し指で操作可能な位置に、メイン電子ダイヤル112および第2のシャッター釦116が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル113が配置されている。
【0020】
次に、
図2を参照して、本実施例における撮像システム200について説明する。
図2は、撮像システム200のブロック図である。撮像システム200は、デジタルカメラ100と、デジタルカメラに対して着脱可能なレンズ装置(交換レンズ)13とを備えて構成される。
【0021】
デジタルカメラ100において、10は、デジタルカメラ100を制御するCPUである。11は、CPU10の制御プログラムを記憶しているフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。12は、画像データ等の中間処理データを一時記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の大容量メモリである。DRAMは、フラッシュメモリよりも高速に大量のデータアクセスを行うことができる。CPU10は、電源(不図示)ON後に、起動処理として不揮発性メモリ11からプログラムを読み出して実行する。プログラムは、高速処理を目論んで不揮発性メモリ11から一旦大容量メモリ12に展開してから実行しても良い。
【0022】
13は、デジタルカメラ100が搭載する交換レンズとしてのレンズ装置である。レンズ装置13は、レンズ132を有する。レンズ132は、通常、複数枚のレンズで構成されており、複数枚のレンズの間に絞り(開口絞り)131が配置されている。なお
図2では、レンズ132として簡略的に一枚のレンズのみを示し、また、レンズ132の前面に絞り131を模式的に示す。
【0023】
135は、レンズ装置13がデジタルカメラ100側と通信を行うための通信端子であり、レンズ装置13がデジタルカメラ100に装着される際にデジタルカメラ100側の通信端子104と接続する。レンズ装置13は、レンズシステム制御回路130を用いて、デジタルカメラ100との通信を行う。絞り駆動回路133は絞り131を駆動し、レンズ駆動回路134はレンズ132を駆動するが、デジタルカメラ100からの指示要求はレンズシステム制御回路130を介して伝達される。レンズ駆動回路134内のアクチュエーター(不図示)に連動するエンコーダー(不図示)またはポテンショメーターを設けて、焦点調節レンズの制御位置を把握して、被写体距離に変換する仕組みを備えても良い。レンズ装置13内に不揮発性メモリ136を配し、レンズ装置13の光学特性情報を保持しても良い。光学特性情報は、後述する補正手段15で光学補正をするパラメータを含んでも良い。
【0024】
14は撮像手段であり、光電変換を含む画素を格子状に配置したアレイ部を持つCMOSセンサ等の撮像素子を有する。撮像手段14は、撮像素子の画素部で光電変換したアナログ信号出力をデジタル信号に変換するAD変換器と、デジタルデータを後段の処理に転送するIFと、1枚の画像データとして撮像するためのタイミングコントロール部と、を含んでも良い。撮像手段14の画素の受光部は、像面位相差方式のAFを実施するために(左目、右目の)視差画像を取得できるように1画素を瞳分割して夫々電荷の蓄積、読み出しを可能としても良い。
【0025】
15は補正手段であり、撮像手段14に関する補正とレンズ装置13に関する補正とを実施する。撮像手段14に関する補正は、例えばシェーディング補正、暗電流によるノイズの除去、または画素欠陥の補正を含むが、これらに限定されるものではない。レンズ装置13に関する補正は、周辺光量補正、倍率色収差補正、回折の影響除去、または歪補正等を含むが、これらに限定されるものではない。補正手段15による処理後のRAWデータを一旦大容量メモリ12に格納してから、画像処理や評価値取得を実行しても良い。16は画像処理手段であり、ホワイトバランス(White Balance:)WB)調整、ベイヤーデータの同時化、YUV化、ノイズ抑圧処理、偽色低減処理、またはガンマ処理等の画像処理を行う。なお、上述の補正処理および画像処理については、本実施例の特徴ではないため、詳細な説明は省略する。また、補正手段15または画像処理手段16の少なくとも一方に、画像データの縮小処理手段(不図示)が含まれていても良い。
【0026】
17は評価手段であり、調光やホワイトバランスのための評価値(積分値等)を取得する。評価手段17は、被写体を適露光で撮影するための撮影条件(第1撮影条件および第2撮影条件)を取得する取得手段として機能する。18は合焦手段であり、視差画像から夫々における像ずれ量を検出して、デフォーカス量(合焦からどれ位はずれているかの量)を求める。CPU10は、AF制御の合焦動作においてデフォーカス量に変換係数を掛けてレンズ駆動量を決定する。19はレンズ通信手段であり、合焦動作においてレンズ駆動量の情報を、通信端子104、135を介してレンズ装置13のレンズシステム制御回路130へ転送する。レンズシステム制御回路130は、合焦後の被写体距離を、レンズ装置13からデジタルカメラ100へ転送する。
【0027】
20は、画像データの圧縮および/または符号化(圧縮)を行うコーデックであり、圧縮された画像をデジタルカメラ100内で再生する場合には復号化および/または伸長(伸長)を行っても良い。本実施例では、大容量メモリ12に一時記憶した画像処理手段16の処理後の画像データを圧縮するが、補正手段15の処理後のRAW画像を圧縮しても良い。圧縮画像データのフォーマットは、例えばJPEG規格を準拠したものでも良い。
【0028】
21は表示制御手段、22は映像を一時保持するビデオRAM(VRAM)、23は電子ビューファインダー(EVF)、101は表示部101である。EVF23の映像は、接眼ファインダー105を介してユーザに視認させる。拡大・縮小表示用のリサイズ回路が搭載されても良い。24は記録制御手段であり、記録メディア25へのファイルアクセスを実行する。ユーザは、蓋107を開けて、記録メディア25の挿抜を行うことが可能である。
【0029】
26は第1判定手段であり、1回合焦撮影の撮影条件(撮影条件1、第1撮影条件)で得られる被写界深度(第1被写界深度)でAF候補枠が合焦範囲に収まるか否かを判定する。27は第2判定手段であり、後述する2条件撮影におけるフォーカスブラケット撮影の撮影条件(撮影条件2、第2撮影条件)で得られる、夫々の合焦位置での被写界深度(第2被写界深度)でAF候補枠が合焦範囲に収まるか否かを判定する。
【0030】
ここで、
図12(a)を参照して、本実施例におけるAF候補枠について説明する。
図12(a)は、AF候補枠の一例である。
図12(a)では、複数のAF候補枠の配列として、(A)~(E)の5列および(1)~(6)の6行の配列として例示している。ただし本実施例は、この配列に限定されるものではない。
図12(a)は、EVF23で確認するLV表示画像上にAF候補枠を重畳表示した例である。後述する視差像の相関判定やデフォーカス量推定に関る処理画像領域は、
図12(a)の(表示画像上の被写体に対する)AF候補枠の位置と等価な位置関係を保つように、画素データを読み出して処理する。なお
図12(a)は、明示的に枠を大きく描画しているが、枠の大きさを限定するものではない。
【0031】
デジタルカメラ100の任意の処理手段は、1つのLSIとして実装されても良い(例えば、CPU10と
図2中の15~27の夫々手段(23,25を除く)をSOC構成とする)。なお本実施例において、これらの形態は限定されるものではない。
【0032】
次に、
図3を参照して、本実施例におけるデジタルカメラ100の全体の制御方法について説明する。
図3は、デジタルカメラ100の全体の制御方法を示すフローチャートである。本フローチャートは、デジタルカメラ100の電源スイッチ103がOFFからONに操作されたことに応じて開始する。
【0033】
まずステップS301において、CPU10は、電源(不図示)からの給電開始に応じて起動処理を実行する。CPU10の起動処理において、CPU10は、制御プログラムを不揮発性メモリ11から読み出す。そしてCPU10は、制御プログラムに設定された起動時処理(例えば、内部クロック設定、ポート設定、リセット処理、大容量メモリ12の起動および接続チェック、内部モジュールのレジスタ設定等)を実行する。
【0034】
続いてステップS302において、CPU10は、デジタルカメラ100の起動処理を実行する。例えばCPU10は、プリセットされた各種メニュー設定の反映や、タイマー(不図示)の起動、部材状態の確認を行う(例えば、モード切替えスイッチ121の状態の確認)。タイマー(不図示)の起動は、電源ONのままの状態でバッテリーが消耗するのを避けるための措置であり、一定期間何も操作が行われなかった場合に、デジタルカメラ100の電源をOFFするために用いる。またCPU10は、起動処理時に、レンズ装置13から接点135,104を介して、接続されているレンズの情報(補正パラメータ等)を受信する。
【0035】
続いてステップS303において、CPU10は、再生釦119の押下(再生表示の指示)を検出したか否かを判定する。再生釦119の押下が検出された場合、デジタルカメラ100は再生モードに移行し、ステップS309の再生表示処理へ遷移する。一方、再生釦119の押下が検出されていない場合、ステップS304へ遷移する。
【0036】
ステップS304において、CPU10は、シャッター釦102がS1状態(S1押下状態)であるか否かを判定する。シャッター釦102は、半押し状態でONとなるS1状態(S1押下状態)と全押し状態でONとなるS2状態(S2押下状態)の2つの状態を有する。S1状態では、撮影準備状態として合焦動作を行うとともに、撮影条件(絞り値、シャッター速度、およびISO感度等)を決定する。合焦して撮影条件が決定した状態でシャッター釦102がS1状態からS2状態へ移行すると、静止画撮影が実行される。ステップS304にてS1状態であることが検出された場合、ステップS305へ遷移する。一方、S1状態であることが検出されない場合、ステップS306へ遷移し、CPU10はLV表示処理を行う。
【0037】
なお、S1状態を経ずにS2状態へ移行した場合、それを無視してステップS306に遷移しても良い。メニュー設定で、非合焦撮影を認める設定を設けて、それを選択した場合には、通常撮影を実行(ステップS307に遷移)しても良い。
【0038】
ステップS305において、CPU10は、撮影モードを判定する。撮影モードは、モード切替えスイッチ121で設定可能である。本実施例では、1回合焦撮影のみを行う1回合焦撮影モード(第1モード)と、1回合焦撮影またはフォーカスブラケット撮影のいずれを行うかを撮影直前に選択することが可能な2条件撮影モード(第2モード)とのいずれかを選択することができる。ただし本実施例において、選択可能な撮影モードは、これらの2つのモードに限定されるものではない。撮影モードには、シャッター速度優先、絞り優先、プログラムAE、全自動撮影等、任意に複数存在しても良く、本実施例において限定されるものではない。本実施例では、説明の簡素化のため、1回合焦撮影を代表として説明するが、これに限定されるものではなく、例えばプログラムAEモード等の他のモードでも良い。また、1度の撮影操作で複数枚撮影して暗部や明部の画素値の飽和を避ける撮影方式もあるが、合焦状態が変化しない場合はそれも1回合焦撮影に含める。
【0039】
ステップS305において、撮影モードが1回合焦撮影モードであると判定された場合、ステップS307に遷移する。一方、撮影モードが2条件撮影モードであると判定された場合、ステップS308に遷移する。ステップS306~S309のいずれの終了後、ステップS310に遷移する。ステップS310において、CPU10は、タイマー(不図示)が所定期間の計時を完了したか否か(所定期間が経過したか否か)を判定する。所定期間が経過したと判定された場合、ステップS311に遷移する。一方、所定期間が経過していないと判定された場合、ステップS303へ遷移して、処理を継続する。
【0040】
ステップS311において、CPU10は、デジタルカメラ100の停止処理(現在のデジタルカメラ100の設定の不揮発性メモリ11への退避と、電源のシャットオフ)を行う。ステップS311での停止処理は、部材操作によってCPU10を復帰できるスリープ状態である。なお、復帰処理は、本実施例の特徴ではないため、不図示としている。デジタルカメラ100の完全な電源オフは、電源スイッチ103の操作による。その場合のシャットオフは、例外処理(不図示)としてステップS311の停止処理同様の措置が裏で実行されても良い。ただし、電源スイッチ103操作によってのみCPU10は再起動できる。ここで一連の処理フローとして示している再生釦119の押下状態や、タイマー(不図示)計時完了は、割り込み処理としても良い。
【0041】
次に、
図4(a)、(b)を参照して、本実施例におけるデジタルカメラ100のLV表示処理(S306)について説明する。
図4(a)は、LV表示処理におけるプレ処理を示すフローチャートであり、撮像、補正、および評価値の取得に関する処理を示す。
図4(b)は、
図4(a)に示されるプレ処理を含むLV表示処理の全体を示すフローチャートである。
【0042】
まず、
図4(a)のステップS401において、CPU10は、撮像手段14の駆動制御設定を行う。LV表示は、動画像の撮像であるため、例えば1秒間に60フレーム(60fps)の撮像処理を実行する。ここでの設定は、撮像手段14の画素部の蓄積時間、アナログアンプゲイン、AD変換器のリファレンス電圧(ランプ入力)の傾き、読み出しライン等の設定を含むが、これらに限定されるものではない。また、前回撮像制御を踏襲する設定については省略しても良い。設定値は、CPU10から撮像手段14に転送される(通信手段は不図示)。
【0043】
続いてステップS402において、CPU10は、センサ読出しを実行する。センサ読出しは、光電変換で得た画素部電荷を、画素部トランジスタで電圧値としてAD変換器に取り出して、デジタル値として取得する処理であり、画素アレイに対して例えば水平ライン毎の読み出しを、垂直方向に走査して1フレームのデータを取得する。
【0044】
続いてステップS403において、CPU10は、ステップS402にて読み出したデジタル信号の画素データに対して、センサ補正処理を実行する。
図4(a)中の処理は、夫々のステップがフレームの処理を完了してから次の処理を開始するのではなく、処理の終わった画素から次のステップの処理に転送しても良い。その場合、全体の処理遅延は、各処理のレイテンシーの総和になる。
【0045】
図4(a)中のステップS404、S405は並行して処理するように示している。ステップS404は、露光量調整(AE)やホワイトバランス調整のための評価値の取得処理フローである。ステップS404において、CPU10は、評価値取得のための輝度信号や色信号の任意のブロックの積分値や、ヒストグラムを評価値として取得する。CPU10は、取得した評価値に基づいて、絞り131の絞り値(F値)や、画像処理手段16のホワイトバランス(WB)調整用ゲイン値を算出する。WB調整用ゲイン値は、画像処理手段16に転送される。合焦動作のために絞り131を開放にしている場合、絞り値は撮影実行時にレンズ通信手段19からレンズ装置13に転送される。LV表示画像が実絞りで再現している場合、随時、レンズ装置13に転送される。ステップS405において、CPU10は、補正手段15を用いて、周辺光量補正、倍率色収差補正、および回折影響除去等の光学補正処理を実行する。
【0046】
次に、
図4(b)について説明する。
図4(b)のステップS400は、
図4(a)のプレ処理であり、前述のように、CPU10は、LV表示用画像の撮像、補正、および評価値の取得を行う。続いてステップS406において、CPU10は、LV表示用画像の現像処理を実行する。ここでは、WB調整用ゲイン値を用いたWB調整や、
図2を参照して説明した処理を実行する。続いてステップS407において、CPU10は、必要に応じてLV表示画像の補正を行う。例えば、有機EL等表示デバイスが持つシェーディングに対する補償である。続いてステップS408において、表示手段(EVF23または表示部101の少なくとも一方)にLV表示するためのLV表示処理を実行する。表示制御手段21は、表示用の画像をVRAM22に準備して、表示用同期信号に合わせてEVF23または表示部101の少なくとも一方に映像信号を出力する。画面全体がピントの合っていないLV表示は好ましくないため、LV表示処理中に任意に主被写体推定をして合焦動作をしても良い(
図4(a)、(b)中には不図示)。このとき、レンズ駆動は急峻である必要は無い。
【0047】
次に、
図5(a)および
図5(b)を参照して、本実施例におけるデジタルカメラ100の1回合焦撮影(ステップS307)について説明する。
図5(a)および
図5(b)は、デジタルカメラ100の1回合焦撮影のフローチャートである。
【0048】
まずステップS500において、CPU10は、
図4(a)に示されるプレ処理を行う。続いてステップS501において、CPU10は、撮影条件(撮影条件1)を決定する。CPU10は、ステップS500のプレ処理にて取得した評価値に基づいて、適露光となるように、絞り値、シャッター速度、およびISO感度等の撮影条件を決定する。なお、本フローを既に巡回しており、撮影条件が決定済、合焦済であれば、本フローはスルーしても良い(判定処理は不図示)。
【0049】
続いてステップS502において、CPU10は、合焦済であるか否かを判定する。合焦済であると判定された場合、ステップS507へ遷移する。一方、合焦していないと判定された場合、ステップS503へ遷移する。
【0050】
ステップS503において、CPU10は、主被写体の推定を実行する。主被写体の推定は、画像中のコントラストを参照したり、認識手段(不図示)による人体・顔・瞳・動物・任意の物体等の検出結果を採択したりしても良い。本実施例において、推定方法は限定されるものではない。続いてステップS504において、CPU10は、推定した主被写体に合焦するための視差入力の相関判定をして、撮像素子の撮像面上での像ずれ量を求める。なお、本実施例の特徴ではないため詳細は説明しないが、求めた像ずれ量に装置固有の変換係数を掛けて光軸上のデフォーカス量を算出することができる。続いてステップS505において、CPU10は、合焦判定を行う。像ずれ量が無く、視差入力の像が一致すると判定された場合、ステップS507へ遷移する。一方、合焦と見做されないと判定された場合、ステップS506へ遷移する。
【0051】
ステップS506において、デジタルカメラ100は、焦点調節レンズを移動するように、レンズ駆動指示をレンズ装置13に対して発生する。
図2中のレンズ装置13において、複数のレンズ群をまとめてレンズ132として示したが、焦点調節レンズとは、複数のレンズ群のうち焦点調節に関るレンズを指す。像ずれ量からレンズ駆動量を計算するのは、CPU10で実行しても良い。前述のように、視差入力の像ずれ量に対して変換係数を掛けることでデフォーカス量を計算する。変換係数は、像面位相差方式では、撮影画像の各AF候補枠位置において射出瞳の位置関係から基線長を求めることで定義できるが、本実施例の特徴ではないため、その詳細の説明は省略する。
【0052】
デフォーカス量と焦点調節レンズ移動量との関係は、レンズ構成によって異なる。全体繰り出しの単焦点レンズであれば、その関係は略1:1である。ただし、リアフォーカス、前群繰り出し等、レンズ装置13のレンズ132の構成によっては異なる関数関係になるため、レンズ内で関数を持ってそのときのデフォーカス量からレンズ移動量を算出すれば良い。レンズ移動算出については特に限定されるものではなく、本実施例の特徴ではないためその詳細の説明は省略する。
【0053】
図12(b)は、本実施例における合焦枠の例示である。前述のように、6行5列のAF候補枠のうち、D列3行目の枠に合焦した場合を例示している。ただし、これは説明用であり、実際には後述する
図12(c)の状態でEVF23に表示される。
【0054】
図5(a)のステップS507において、CPU10は、レンズ装置13より主被写体の被写体距離を取得する。被写体距離情報の取得は、前述の様にレンズ駆動回路134内の機構(エンコーダー等、不図示)で把握する。なお、レンズ装置13からの被写体距離(撮影距離)の取得方法については、公知であるため、その説明を省略する。本実施例では、前述のように、
図12(b)中のD列3行目の被写体位置を取得することになる。
【0055】
続いて、
図5(a)のステップS508において、CPU10は、AF候補枠全てにおいて、合焦面に対するデフォーカス量を推定する。デジタルカメラ100に搭載する撮像手段14に瞳分割した画素を持てば、像面位相差方式のAF処理を実行できる。全画面全画素で瞳分割していれば、全画面のデフォーカス量を演算してデフォオーカスマップを作成できるが、本実施例ではAF候補枠の位置におけるデフォーカス量が算出できれば良い。
【0056】
デフォーカス量が大きい場合、計算結果の精度は低い。合焦や調光の過程では、レンズの絞り131を開放にしている場合があるので、合焦近辺以外はデフォーカス量が大きく出る場合がある。また、AF候補枠近辺で遠近競合やオクルージョンの影響があっても計算結果の精度は落ちる。デフォーカス量計算の信頼度が低いAF候補枠については、合焦範囲の選択から除く制御を入れても良い。本実施例では、デフォーカス量計算結果の信頼度について、特に限定はしない。
【0057】
続いてステップS509において、CPU10は、第1判定手段26を用いて、AF候補枠上の被写体と主被写体との位置関係(実距離関係)が撮影条件1における被写界深度内に収まっているかを判定する。この判定は、合焦位置の被写体距離と撮像素子上の像距離およびAF候補枠夫々のデフォーカス量との関係に基づいて行われる。
【0058】
図14は、被写体距離とデフォーカス量との関係を示す図である。ここで、レンズの横倍率をM,焦点距離をf,被写体距離をA+f,像距離をB+f、被写体側物体の高さをX,像の高さをYとする。このとき、以下の式(1)が成立する。
【0059】
M=Y/X=f/A=B/f …(1)
式(1)に(fA)を乗じると、以下の式(2)が成立する。
【0060】
f/A・(fA)=B/f・(fA) …(2)
このため、以下の式(3)が成立する。
【0061】
f2=A・B …(3)
また、物体移動量をa、これに対応するデフォーカス量をbとすると、以下の式(4)が成立する。
【0062】
(A+a)・(B+b)=f2 …(4)
そして、式(3)と式(4)とを用いて、以下の式(5)が得られる。
【0063】
(A+a)=(A・B)/(B+b) …(5)
被写体距離(A+a)とデフォーカス量bとの関係は、式(5)により表される。被写界深度は、絞り値と被写体距離と焦点距離と許容錯乱円とをパラメータとして計算することができる。なお、これは公知な式であるため、その詳細の説明は省略する。許容錯乱円は、センサ画素ピッチか、エアリーディスク径(光学的な結像限界)の大きい方の値を適用するが、表示サイズや、画像縮小をする場合等の影響を考慮した値を適用しても良い。ここでは、限定しない。被写界深度は、主被写体に対して、前方被写界深度と後方被写界深度夫々の計算が必要であり、以下のように表される。
【0064】
被写界深度 = 前方被写界深度 + 後方被写界深度
CPU10は、ステップS501~S509の処理フローと並行して、LV表示用画像の準備も行う。
図5(a)のステップS511において、
図4(b)のステップS406と同様に、撮像画像の現像処理を行う。撮像画像サイズからLV表示画像サイズへの変換は、補正手段15または画像処理手段16で行われても良く、本実施例では特に限定されるものではない。続いてステップS512において、CPU10は、
図4(b)のステップS407と同様に、LV表示用のシェーディング補正を実行する。
【0065】
続いて、
図5(b)のステップS520において、CPU10は、ステップS509の深度判定が実行済みであるか否かを判定する。未合焦であり被写界深度の判定が済んでいない状態では、合焦状態をユーザ報知せずにステップS521に遷移して被写体のみLV表示する。一方、主被写体に合焦時には、ステップS523に遷移し、AF候補枠への被写体深度内評価結果の重畳表示を行う。
【0066】
ステップS521において、合焦していない状態では、EVF23の表示画面上に
図12(b)の合焦枠は表示できない。このため、
図12(e)のように被写体像に対してAF候補枠を重畳しないか、
図12(a)の状態で表示することになる。なお、表示形態については限定されるものではない。
【0067】
ステップS523において、CPU10は、
図12(b)の状態に対して、ステップS509で判定した合焦範囲となるAF候補枠の情報を重畳表示する。
図12(c)は、ステップS523における合焦範囲のAF候補枠のユーザ報知例である。D列3行目の合焦枠に加えて、撮影条件1による撮影で得られる被写界深度内のAF候補枠をユーザに分かる形で重畳表示する。
図12(c)において、B列2行目~5行目、C列2行目~5行目、D列4行目~5行目、F列5行目を、被写界深度内(合焦範囲)として例示している。重畳表示は、枠の配色を他と変更しても良いし、点滅表示しても良く、表示形態は限定されるものではない。
【0068】
ステップS524において、CPU10は、ユーザにより撮影条件が変更されたか否かを判定する。例えば、ユーザが電子ダイヤル112でシャッター速度や絞り値等の変更操作をした場合、ステップS525に遷移し、CPU10は撮影条件1の設定を変更する。一方、CPU10は、ユーザの操作を検出していない場合、ステップS526へ遷移する。
【0069】
ステップS526において、CPU10は、シャッター釦102がS2押下状態であるか否かを判定する。シャッター釦102がS2押下状態であると判定された場合、撮影要求として処理をステップS527に遷移する。一方、シャッター釦102がS2押下状態ではないと判定された場合、ステップS528へ遷移する。
【0070】
ステップS527において、CPU10は、撮影条件1による撮影を行う。ここで、
図8を参照して、撮影条件1による撮影について説明する。
図8は、撮影条件1による撮影を示すフローチャートである。
【0071】
まずステップS801において、CPU10は、
図4(a)と同様に、撮像処理、補正処理、および評価値の取得を含むプレ処理を行う。ただし、センサ駆動設定はLV表示とは異なる。すなわち、
図5(a)のステップS501で設定された撮影条件1のシャッター速度から画素の蓄積時間を、絞り値やISO感度からアナログゲイン値(AD変換器のリファレンス電圧のランプ傾きを含む)を、夫々決定して、撮像手段14の駆動制御を実行する。
【0072】
続いてステップS802において、CPU10は、ステップS406のLV表示用画像の現像処理と同様な処理を静止画記録画像に対して実行する(現像処理)。続いてステップS803において、CPU10は、現像処理された静止画記録用画像データを、コーデック20で圧縮する(画像圧縮処理)。続いてステップS804において、CPU10は、記録制御手段24を用いて、圧縮した記録用データを記録メディア25にファイルとして記録する(記録制御)。
【0073】
図5(b)のステップS526にてシャッター釦102がS2押下状態でないと判定された場合、CPU10は、ステップS528にてシャッター釦102がS1状態を開放しているか否かを判定する。シャッター釦102がS1状態を保持していると判定された場合、LV表示を継続するためにステップS500へ遷移し、次期フレームデータの撮像に備える。一方、シャッター釦102の状態がS1状態から開放されていると判定された場合、1回合焦撮影の処理を完了する。すなわち、
図3において、ステップS307の処理を完了して、ステップS310へ遷移する。
【0074】
次に、
図6(a)、
図6(b)、および
図6(c)を参照して、本実施例におけるデジタルカメラ100の2条件撮影について説明する。
図6(a)、
図6(b)、および
図6(c)は、デジタルカメラ100の2条件撮影の処理を示すフローチャートである。
図3を参照して説明したように、2条件撮影モードでは1回合焦での(撮影条件1による)撮影と、フォーカスブラケットによる合焦位置移動を伴う(撮影条件2による)複数枚撮影と、のそれぞれの撮影条件を準備して、撮影時にユーザに選択させる。
【0075】
まずステップS601において、CPU10は、AF候補枠の選択を初期化する。2条件撮影モードでは、AF候補枠の位置の被写体に対して、ユーザの合焦範囲の希望選択を受け付ける。このステップでは、初期状態として全てのAF候補枠を選択した状態に設定する。続いてステップS602において、
図5(a)のステップS500と同様に、CPU10はプレ処理を行う。なお、
図6(a)のステップS611~S618は、
図5(a)のステップS501~508とそれぞれ同様であるため、それらの説明は省略する。また、
図6(c)のステップS641、S642は、
図5(a)のステップS511、S512と同様であるため、それらの説明は省略する。
【0076】
図6(b)のステップS621~S624は撮影条件1に関する処理フローであり、
図6(b)のステップS631~S638は撮影条件2に関する処理フローであり、これらは並行して実行される。
図12(b)のAF候補枠は、2条件撮影モードにおける例示でもある。
図6(a)、
図6(b)、および
図6(c)の説明においても、合焦位置を
図12(b)のD列3行目の位置で例示する。
【0077】
図6(b)のステップS621において、CPU10は初期撮影条件であるか否かを判定する。すなわちCPU10は、このフロー通過時の撮影条件1が初期撮影条件(最初に求めた撮影条件)か、それ以降かを検出する。初期撮影条件であると判定された場合、目標被写界深度を有しないため、ステップS624に遷移する。もし、撮影条件がユーザの要求により更新されたものであれば、装置が最初に提示した撮影条件での合焦範囲に変更が入ったものとして、ステップ622において目標とする被写界深度を更新し、絞り値を再定義する。
【0078】
続いてステップS623において、CPU10は、更新した絞り値で適露光となるように、シャッター速度やISO感度を見直し、撮影条件1を決定する。再定義した絞り値ではシャッター速度やISO感度が成立しない場合、絞り値を調整する。このとき、デジタルカメラ100の本モード時の設定として、ISO感度やシャッター速度も調整範囲を設定できる様な装置構成としても良い。
【0079】
続いてステップS624において、CPU10は、第1判定手段26を用いて、夫々AF候補枠の位置の被写体が、主被写体の被写体距離に対して被写界深度(合焦範囲)内かを判定する。
【0080】
ステップS631において、CPU10は、合焦範囲に入れる対象のAF候補枠夫々の被写体距離を、主被写体距離と枠毎のデフォーカス量から必要被写界深度として求める。デフォーカス量と被写体距離(実距離)との関係は、式(5)で求めても良い。続いてステップS632において、CPU10は、フォーカスブラケット撮影のための撮影条件2を設定する。本実施例のフォーカスブラケット撮影は、後程、撮影した複数の画像から合焦範囲を抽出して1枚の画像に合成する(深度合成)ために実行する。深度合成は、デジタルカメラ100内(例えば画像処理手段16)で行っても、別の装置(PC等)で行っても良く、特に限定はしない。この撮影条件2では、複数枚の各撮影において絞り値、シャッター速度、ISO感度は共通としても良い。
【0081】
本実施例のフォーカスブラケット撮影画像の深度合成で得られる被写界深度は、連続した合焦範囲とし、任意の撮影枚数の合成でそれを達成する。このため、焦点調節レンズを少しずつ移動してフォーカスブラケット撮影したときの、連続した撮影において被写体距離(撮影距離)に対する被写界深度の範囲が離散しない様な絞り値を計算する必要がある。
【0082】
続いてステップS633において、CPU10は、フォーカスブラケット撮影毎で得られる被写界深度を取得する。ここで、フォーカスブラケット撮影が何枚撮影になれば深度合成による必要被写界深度が得られるかが分かる。以下、これを深度合成のための「分割枚数」とする。前述のように絞り値が共通の場合、焦点調節レンズが移動すれば夫々の撮影での合焦位置に対する被写界深度は変化する(手前ほど浅くなる)。現在の絞り設定で、連続した撮影における各焦点調節レンズ位置に対する被写界深度に間隙が無いように(深度合成が破綻しないように)、分割枚数を決定する。計算の簡易化のために、一番深度の浅い最前位置の被写界深度で必要被写界深度を除して分割枚数としても良い。
【0083】
続いてステップS634において、CPU10は、分割枚数が限界か否かを判定する。本実施例のフォーカスブラケット撮影の撮影枚数は、前述の分割枚数である。三脚を使って静物を撮る場合と、手持ち撮影や動く対象を取る場合とでは、フォーカスブラケット撮影の許容枚数が異なる。このため、デジタルカメラ100における分割枚数の上限値は、別途メニューで設定できても良い。もし、ステップS633で求めた分割枚数が事前設定した分割枚数の上限値を超えている場合、ステップS635に遷移する。一方、分割枚数が上限値を超えていない場合、ステップS637に遷移する。
【0084】
ステップS635において、CPU10は、撮影条件2の絞り値を1段絞り、撮影毎の被写界深度を深くして撮影枚数を減らす方向に制御する。続いてステップS636において、CPU10は、更新した絞り値が事前設定の限界値より大きいか否かを判定する。絞りの限界値は、回折の影響(解像度低下)を避けるために定義する。撮影条件2の初期値として、絞りの開始値と、限界値と、を、別途メニューで設定できても良い。レンズ毎に装置側で定義していても良い。本実施例において、これらは特に限定されるものではない。絞り値が限界値を超えている場合、ステップS637へ遷移する。絞りの変更が可能であれば、ステップS632に戻り、撮影条件2の設定を更新する。
【0085】
ステップS637において、CPU10は、フォーカスブラケット撮影毎に設定した被写体距離(撮影距離)から、式(5)の関係を利用して像側の移動距離を算出する。そしてCPU10は、前述のように、レンズ毎の関数関係等から、撮影毎のレンズ移動量を算出する(前述のように、簡易的に分割枚数を決定したのであれば、撮影毎等間隔となる)。続いてステップS638において、CPU10は、第2判定手段27を用いて、撮影毎の焦点調節レンズ位置における被写界深度内判定を、ステップS624と同様に実行する。
【0086】
図6(c)のステップS641はステップS511と、ステップS642はステップS512と、夫々同様に、S1押下中のLV表示用処理であるため、これらの説明は省略する。続いてステップS651において、CPU10は、合焦後深度判定が完了したか否かを判定する。ステップS615にて未合焦と判定してステップS616を経由してステップS651に遷移している場合、ステップS652に遷移して、ステップS521と同様のLV表示処理を実行する。合焦後であり、ステップS624、S638の夫々で深度判定済である場合、ステップS653に遷移する。
【0087】
ステップS653において、CPU10は、LV表示の被写体に重畳してAF候補枠を表示させ、現在の深度状態(合焦範囲)をユーザ報知する。
図12(d)は、ステップS653における合焦範囲のAF候補枠のユーザ報知例である。合焦枠は、D列3行目の枠である。撮影条件1による1回合焦撮影で得られる被写界深度内のAF候補枠は、B列2行目~5行目、C列2行目~5行目、D列4行目~5行目、F列5行目である。
【0088】
撮影条件2でのフォーカスブラケット撮影の際、撮影毎に被写界深度内の(深度合成結果、合焦範囲となる)AF候補枠は、
図12(d)のA列3行目、B列2行目~5行目、C列2行目~5行目、D列4行目~5行目、F列5行目、E列2行目~3行目である。重畳表示上は、撮影条件1の撮影でも撮影条件2の撮影でも、撮影画像上で合焦範囲となる枠は、撮影条件1による撮影で得られる被写界深度内のAF候補枠の表示と同様の表示としている。
【0089】
図12(d)中の撮影条件2の撮影でのみ得られる合焦範囲に該当するAF候補枠は、枠内を塗り潰して示している。
図12(d)のA列3行目と、E列2行目~3行目の枠がそれにあたる。ユーザは、この表示状態を確認して、撮影条件1で撮影するのか、撮影条件2で撮影するのか、撮影条件1を変更するのか、または、合焦範囲とするAF候補枠の選択(追加、削除)をするのか、を選択する。
【0090】
ステップS654において、ステップS653で報知した合焦範囲に対してユーザが任意のAF候補枠を合焦範囲への追加、合焦範囲からの削除、を要求する場合、ステップS655に遷移する。そうでなければ、ステップS656に遷移する。ステップS655への状態遷移は、例えば、2条件撮影モードにおいてはAEロック釦117押下を割り当てても良い。
【0091】
ステップS655において、十字キー114、SET釦115を使ってAF候補枠の選択位置変更、選択決定を行い、ステップS662へと遷移する。合焦範囲への追加、削除の切り替えは、本モードに限るのでINFO釦122を割り当てても良い。選択された追加希望枠、削除希望枠は、枠の色変更や点滅表示等でユーザ報知しても良い。なお本実施例では、この変更に関る表示形態について限定されるものではない。
【0092】
合焦範囲枠の追加は、撮影条件1に対しては絞り値を大きくする方向で調整される。ステップS623で、絞り値の決定が調整範囲外になった場合は、絞り値を適露光範囲内での上限値に決定する。撮影条件2に対しては、フォーカスブラケット撮影の撮影枚数の追加(焦点調節レンズの移動量の増加)となる。枚数上限に引っ掛かれば、変更は不成立となり、合焦範囲は据え置きとなる。合焦範囲枠の解除は、撮影条件1に対しては絞り値を小さくする方向で調整される。調光上不成立となった場合は、据え置きとなる。撮影条件2に対してはフォーカスブラケット撮影の撮影枚数の削減となる。
【0093】
前述のように、合焦範囲枠の調整は、不成立となる場合も存在する。絞り値等限界値まで調整した結果で、ステップS624,S638で再評価をして、ステップS653でユーザ報知内容を更新する。現状の設定を放棄したい場合は、一旦シャッター釦102のS1押下状態を開放すれば良い。
【0094】
ステップS656において、CPU10は、ユーザによる撮影条件1が変更されたか否かを判定する。例えばメイン電子ダイヤル112等でシャッター速度や絞り値等の設定が変更された場合、ステップS657に遷移して、撮影条件1の変更処理を実行する。そうでなければ、ステップS658へ遷移する。ステップS657において、撮影条件1の設定値を更新し、適露光となるように、シャッター速度、絞り値、ISO感度等を変更する(部材操作で変更されたものに対して、その他の値を変更する)。また、撮像手段14に関る設定値も更新する(プレ処理S602内撮像手段制御S401で、撮像手段14に転送する)。
【0095】
ステップS658において、CPU10は、シャッター釦102のS2押下による撮影要求があったか否かを判定する。S2押下状態であれば、ステップS659に遷移する。そうでなければ、ステップS660へ遷移する。ステップS659において、CPU10は、撮影条件1による撮影を実行する。なお本ステップは、ステップS527と同様であるため、重複する説明は省略する。ステップS659の処理完了後、2条件撮影のフローを完了する。ステップS660において、CPU10は、シャッター釦116押下による撮影要求があったか否かを判定する。シャッター釦116押下状態である場合、ステップS661に遷移する。そうでなければ、ステップS662へ遷移する。
【0096】
ステップS661において、CPU10は、撮影条件2によるフォーカスブラケット撮影を実行する。ここで、
図9(a)を参照して、撮影条件2によるフォーカスブラケット撮影について説明する。
図9(a)は、撮影条件2によるフォーカスブラケット撮影の処理を示すフローチャートである。
【0097】
まずステップS901において、CPU10は、本フローで必要な撮像が全て完了したのかを判定する。全ての枚数の撮像が完了したと判定された場合、ステップS904へ遷移する。そうでなければ、ステップS902へ遷移する。
【0098】
ステップS902において、CPU10は、次の撮像の受け付けが可能か否かを判定する。受け付け不可であると判定された場合、ステップS904に遷移する。一方、次の静止画を撮像可能であると判定された場合、ステップS903へ遷移する。ステップS903において、
図9(b)に示される次期撮像処理実行をキックする。
【0099】
図9(b)の撮像処理は、
図9(a)の処理ルーチンと並行して実行する。
図9(a)の処理はフォーカスブラケット撮影により複数枚の撮影を高速に実行するために、撮影とそれ以降の処理を並行して行うので、撮像処理を別の処理ルーチンとしている。
【0100】
図9(b)は、該撮影条件2によるフォーカスブラケット撮影実行時の撮像処理フローチャートである。まずステップS920において、CPU10は、撮像手段14の駆動を制御する(駆動手段14の設定)。なお、ステップS920は
図4のステップS401と同様であるため、その説明は省略する。続いてステップS921において、CPU10はセンサ読出しを行う。なお、ステップS921は
図4のステップS402と同様であるため、その説明は省略する。続いてステップS922において、CPU10はセンサ補正処理を行う。なお、ステップS922は、
図4のステップS403と同様であるため、その説明は省略する。撮像し補正したRAW画像データは、大容量メモリ12に一時記憶しても良い。データの一時記憶のタイミングを限定するものではない。
図9(b)に関る画像データは、例えばCPU10でセマフォによる制御をしても良い。ステップS902の撮像受け付け判定をそれで行うことができる。
【0101】
図9(a)のステップS904において、CPU10は、圧縮処理する枚数を完了したか否かを判定する。完了であれば、ステップS908へ遷移する。未完了であれば、ステップS905へ遷移する。本実施例では、2条件撮影モードのフォーカスブラケット撮影の撮像結果RAW画像ファイルを可逆圧縮(Lossless圧縮)処理してファイル記録する様、
図9(a)に示される。深度合成自体は、デジタルカメラ100の外部のPC等で実現しても良い。または、デジタルカメラ100の内部で、特許文献2で言及しているマルチフォーカス画像を生成しても良い。デジタルカメラ100内部で処理する場合、RAW画像データをLossless圧縮しないで、大容量メモリ12に一時記憶しても良い。本実施例において、RAW画像の記憶/記録および/または深度合成手段については、限定されるものではない。
【0102】
ステップS905において、CPU10は、この時点で処理すべきRAW画像データがあるか否かを判定する。Lossless圧縮可能なRAW画像データがあれば、ステップS906に遷移する。そうでなければ、ステップS908へ遷移する。続いてステップS906において、CPU10は、コーデック20の処理受け付け状態を判定する。コーデック20がデータ受け付け可能であれば、ステップS907に遷移する。既に以前に撮像したRAWデータの圧縮処理中であれば、ステップS908へ遷移する。
【0103】
続いてステップS907において、CPU10は、Lossless圧縮処理の実行をキックする(深度合成前の画像なのでLossless圧縮処理としたが、Lossy圧縮としても良い。特に限定はしない)。処理自体は、別途コーデック20を起動して該フローと並行して実行すれば良いが、それ以外の処理は無いので不図示としている。圧縮後の画像データは、大容量メモリ12に一時記憶して、CPU10でセマフォ管理しても良い。続いてステップS908において、CPU10は、2条件撮影モードにおけるフォーカスブラケット撮影で取得する画像ファイル枚数を全て記録メディア25に記録したか否かを判定する。全枚数記録していれば、本フローチャートを完了し、
図6(a)、
図6(b)、および
図6(c)に示される2条件撮影のフローも完了する。そうでなければ、ステップS909へ遷移する。
【0104】
ステップS909において、CPU10は、記録メディア25に記録可能な圧縮済の画像データがあるか否かを判定する。圧縮済の画像データがあれば、ステップS910に遷移する。そうでなければ、ステップS901へ遷移する。
【0105】
ステップS910において、CPU10は、記録制御処理の実行をキックする。記録制御手段24の制御で、圧縮済の画像データを記録メディア25にファイルとして記録する。本実施例では、ファイルフォーマットや記録メディアについては限定されるものではない。なお、記録メディア25の挿抜や、空き容量の確認については、本実施例の特徴ではなく、限定されるものではないため、不図示としている。記録制御の完了は、記録メディア25への書き込み完了でCPU10に割込みをかけても良い。ステップS910処理完了後、ステップS901へ遷移する。
【0106】
図6(c)のステップS661の処理完了後、2条件撮影のフローを完了する。
図6(c)のステップS662において、CPU10は、シャッター釦116押下状態を判定する。S1押下状態であれば、
図6(a)のステップS602へ遷移する。S1開放状態であれば、2条件撮影のフローを完了する。判断S654,S656,S658,S660のフローは一瞬であり、ユーザの操作が追いつかない場合がある。その場合は、ステップS662の判断からステップS602に遷移して同様の処理が繰り返される。本実施例では、一回合焦後は焦点調節レンズを固定する様なフローとしているが、被写体の追尾を行う様なAFモードとして、ステップS612を持たない(フロー毎に処理S613~S616が実施される様な)処理構成としても良い。
【0107】
CPU10は、
図3のステップS303の再生表示判定の際に再生釦119押下を検出して、ステップS309の再生表示処理を実行する。
図7は、本実施例におけるデジタルカメラ100の再生表示処理を示すフローチャートである。
【0108】
まずステップS701において、CPU10は、表示再生画像を選択する。一例として、再生画像のユーザ選択のために、表示部101には記録メディア25に記録している画像ファイルのサムネイル画像を表示する。サムネイル画像は、画像ファイル中に表示用画像データとして本画像データと共に記録されていても良い。表示部101上に複数のサムネイル画像が表示され、画像の選択状態は十字キー114で移動できて、SET釦115で選択を決定できても良い。画像選択後、ステップS702に遷移する。
【0109】
続いてステップS702において、CPU10は、圧縮画像読出し処理を実行する。すなわちCPU10は、記録制御手段24で記録メディア25から選択画像のファイルデータを読み出して、圧縮画像データとして大容量メモリ12に一時記憶する。続いてステップS703において、CPU10は、読み出した圧縮画像の伸長処理を実行する。すなわちCPU10は、コーデック20で大容量メモリ12に一時記した圧縮画像データを伸長する。続いてステップS704において、CPU10は、表示制御処理を実行する。すなわちCPU10は、伸長した画像データを表示部101に表示する。表示制御手段21は、大容量メモリ12から画像データを読み出して、VRAM22上に展開する。もし、INFO釦122の押下が検出されれば、VRAM22上には画像情報を重畳した形で展開するが、本実施例の特徴ではないため、その詳細は省略する。
【0110】
続いてステップS705において、CPU10は、表示時間の経過判定を行う。計時には、CPU10の周辺手段としてタイマー(不図示)を搭載しても良い。タイマーの起動はステップS704で行っても良い。表示完了(タイマー完了)であればステップS708に遷移する。一方、表示継続であればステップS706へ遷移する。
【0111】
ステップS706において、CPU10は、モードが変更されたか否かを判定する。選択画像を表示中にモード切替えスイッチ121が操作されたことが検出された場合、再生表示処理を中断するためにステップS708へ遷移する。そうでなければ、ステップS707へ遷移する。
【0112】
ステップS707において、CPU10は、ユーザによる表示画像の変更が要求されたか否かを判定する。現在選択されている画像を表示中に、例えば再生釦119の押下が検出された場合、ステップS701に遷移し、サムネイル画像を表示して、新たな画像選択により表示画像の変更を可能とする。そうでなければ、ステップS705に遷移し、現在の画像表示を継続する。
【0113】
表示画像の変更は、上記の他、例えば十字キー114で左(右)釦の押下を検知して、現在選択中のファイル番号の前(後)のファイルを選択ファイルとして更新しても良い。このときのファイル番号は、OSに依存していても良いし、連番になったファイル名で管理されていても良い。番号ではなく、作成時刻で管理されていても良い。ここでは限定しない。この場合ファイル選択は済なので、処理は同
図7中ステップS702に遷移(不図示)しても良い。
【0114】
ステップS708において、CPU10は、表示停止の制御処理を実行する。すなわちCPU10は、表示部101への給電を停止する。また、ここで記録制御手段24が記録メディア25へのファイルアクセスを停止しても良い。ステップS705,S706,S707のイベント処理はCPU10への割り込み処理としても良い。ここでは、限定しない。
【0115】
第1判定手段26および第2判定手段27は、AF候補枠毎に算出したデフォーカス量を一時記憶するレジスタ(不図示)と、AF候補枠毎のデフォーカス量から被写体距離(実距離)を演算する手段(式(5)の関係による。不図示)と、を具備しても良い。判定は、合焦位置(主被写体距離)に対する被写界深度の実距離範囲に、AF候補枠毎に求めた被写体距離(実距離)が収まるかどうかで判定しても良い。判定結果を一旦保持するレジスタ(不図示)を具備しても良い。CPU10を用いてソフトウエアで実現しても良く、実装形態を限定するものではない。
【0116】
第2判定手段27を具備せず(
図6(b)のステップS638を実行せずに)、ステップS653におけるユーザ報知を、
図12(c)と同様のEVF表示とする様な装置構成としても良い。その場合は、撮影条件1の1回合焦撮影での被写界深度のユーザ報知状態で、ユーザは1回合焦撮影とするか、深度合成のためのフォーカスブラケット撮影とするか、を判定する。
【0117】
撮像手段14の撮像素子(イメージセンサ)の画素が像面位相差方式AFに対応するための瞳分割された画素を実装(不図示)しており、例えばそれが画素アレイ前面に展開されていれば、
図12(a)に示されるAF候補枠の配置は任意の位置に設定可能である。本実施例では、AF候補枠の配置・配列について、限定されるものではない。また本実施例では、AF方式についても限定されるものではない。
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例1では、1回合焦撮影と深度合成によるフォーカスブラケット撮影との撮影条件を準備して、ユーザインターフェースから撮影形態の選択肢を提供する構成例を説明した。一方、本実施例では、実施例1と同様に1回合焦撮影とフォーカスブラケット撮影との撮影条件の準備をするが、その過程で撮像装置自身がどちらの撮影形態を採択するかを決定する構成例を説明する。
本実施例では、物体認識手段を用いて被写体の認識処理を行う。被写体の認識対象に、被写体固有の被写界深度を情報として紐付けておき、撮影時の被写体に認識対象が現れたときに紐付けた被写界深度データを撮影時の目標被写界深度(目標合焦範囲)計算に用いる。認識対象を見做し合焦判定する際に、認識対象が主被写体なのか、その他の被写体なのかで、合焦範囲の扱いを変えても良い。例えば、主被写体以外では合焦しなくても良い場合は、主被写体(第1被写体)の紐付け値とその他の被写体(第2被写体)の紐付け値とを、分けて設定する必要がある。
例えば、正面寄りから撮影する自動車を認識対象として、「奥行き3m」程度を想定する。主被写体のみ合焦範囲としたい場合には、主被写体のDOF(DOFは、Depth Of Field(被写界深度)の略)=3m、その他の被写体のDOF=0m(DOF=0mは、被写界深度外でも良い、深度内となっても良い)と設定する。DOFには、前被写界深度と後被写界深度があるが、ユーザには物体の奥行きとして設定させるのが分かり易い。「合焦位置から後方に何m確保」と計算が簡易になるため、後方被写界深度のみの定義と割り切っても良い。この認識対象への奥行き情報の紐付けは、メニューを用いてユーザに登録させても良い。
本実施例において、物体認識手段は、第1被写体と第2被写体とを含む認識被写体を認識可能である。記憶手段(例えば、不揮発性メモリ11または大容量メモリ12)は、認識被写体に対して主被写体(第1被写体)時の第1奥行き情報と、主被写体以外の被写体(第2被写体)としての第2奥行き情報と、を紐付けて記憶する。AF候補枠に対応する位置に存在する被写体が第1被写体か第2被写体かで、記憶手段から読み出す情報は、第1奥行き情報か、第2奥行き情報か、を切り替えて読み出す。すなわち、AF候補枠に対応した画像領域上に主被写体または主被写体以外の被写体として、物体認識手段の認識対象が出現した場合、紐付けられた奥行き情報を記憶手段から呼び出し、それに基づいて撮影時の被写界深度とする。また記憶手段は、異なる認識被写体ごとに奥行き情報を記憶していても良い。
動き検出手段30は、被写体(動体)の動きを検出する検出手段である。本実施例において、動き検出の方法については限定されるものではない。例えば、公知技術である、画像全体に含まれる被写体像の動きベクトルの大きさと向きを検出する動きベクトル検出部の結果を用いて、CPU10で被写体の移動の向きと大きさを判定することができる。
物体認識手段31は、被写体を推定する(被写体を認識する)認識手段である。なお本実施例において、そのアルゴリズムについては限定されるものではない。幾何学的な特徴を捉えても良いし、画像を数値化して統計的にテンプレートと比較していっても良い。後者の方式であれば、汎用的な深層学習手段として実装されていても良く、物体の認識結果を座標で得ても良いし、ブロック毎に数値化したマップとしても良い。
ステップS1120において、CPU10は、物体認識結果に出現した登録物体の奥行き情報を適用する。本ステップで、主被写体枠位置と認識物体位置との位置関係の整合をとる。任意の認識物体が主被写体枠の位置に重なれば、その物体については奥行き情報のうち主被写体(第1被写体)のDOF値を参照する。主被写体でなければ、その他の被写体(第2被写体)のDOF値を参照する。
続いてステップS1143において、CPU10は、ステップS1119と同様に、物体認識手段31による認識結果を判定する。奥行き情報を紐付けた物体が認識されていれば、ステップS1144へ遷移する。そうでなければ、1回合焦撮影を実行するためにステップS1147へ遷移する。
ステップS1144において、CPU10は、ステップS1118の動き検出結果から、動体の移動量が制限値(所定の移動量)以下であるか否か(動体制限があるか否か)を判定する。動体の移動量が制限値以下であれば、シャッター速度と連写速度との関係から数枚程度でのフォーカスブラケット撮影による深度合成が成立するとして、ステップS1145へ遷移する。そうでなければ、1回合焦撮影を実行するため、ステップS1147へ遷移する。なお本実施例では、動体制限について限定されるものではない。動体が検出された場合、ステップS1147へ遷移しても良い。
ステップS1145において、CPU10は、ステップS1141で決定した1回合焦撮影のための撮影条件1の絞り値の大小判定を行う。大小判定は事前の所定値を基準として行い、該所定値は絞りの回折の影響を考慮して事前に決定(例えば、絞り値F11を超えて1回合焦撮影を選択しない等)しておく。絞り値(所定値)はレンズ装置13で固定の値でも良いし、ユーザがメニュー画面から決定しても良く、設定に関わる限定はしない。絞り値が所定値よりも大きいと判定された場合、フォーカスブラケット撮影を実行するためにステップS1148へ遷移する。そうでなければ、ステップS1146へ遷移する。
ステップS1146において、CPU10は、ステップS1142の判定結果に基づく深度判定を行う。第1判定手段26が選択中のAF候補枠位置の被写体が全て合焦位置に対して合焦範囲にあると判定した場合、1回合焦撮影を実行するためにステップS1147へ遷移する。そうでなければ、フォーカスブラケット撮影を実行するためにステップS1148へ遷移する。
ステップS1147において、CPU10は、1回合焦撮影を実行するために撮影条件1の使用を選択し、S2押下に備える。CPU10は、S2押下時に撮影条件1の撮影をするように制御設定する。ステップS1148においてCPU10は、フォーカスブラケット撮影を実行するために撮影条件2を選択して、S2押下に備える。CPU10は、S2押下時に撮影条件2の複数枚撮影を実行するように制御設定する。
次に、2条件撮影モードにおける、フォーカスブラケット撮影準備に関する処理について説明する。ステップS1150において、CPU10は、ステップS1143と同様に、物体認識手段31による認識結果を判定する。奥行き情報を紐付けた物体が認識されていれば、ステップS1151へ遷移する。そうでなければ、フォーカスブラケット撮影は選択されないため、ステップS1161へ遷移する。このとき撮影条件2に関するAF候補枠の被写界深度内判定を実行しないので、第2判定手段出力を全枠深度外判定とするように制御しても良い(処理フローは不図示)。
続いてステップS1152において、CPU10は、フォーカスブラケット撮影のための撮影条件2を決定する。デジタルカメラ100aにおいて、事前のメニュー設定において2条件撮影モードにおけるフォーカスブラケット撮影で、デフォルトとして用いる絞り値と、深度合成のためにブラケット撮影する最大枚数と、を設定しておいても良い。
フォーカスブラケット撮影のための絞り値のデフォルト値は、例えば、レンズのMTFの良好な絞り値(例えば、F5.6等)を定義しても良い。絞り値が小さければ、ブラケット撮影の枚数は多くなる。また、絞り値が大きければ画像に回折の影響が出て、画像解像度が低下する。本実施例において、絞り値のデフォルト値については限定されるものではない。絞り値と評価手段17の測光値とから、シャッター速度、ISO感度等を決定する。
続いてステップS1153において、CPU10は、複数回撮影毎の被写界深度を計算する。ステップS1105にて、前述のように必要な合焦範囲の装置最近の被写体距離は得ているため、手前から撮影するときの被写界深度を計算する。前方被写界深度は、被写体距離がある程深くなる。このため、現在被写界深度計算結果の後方被写界深度分深い距離に同様に得た前方被写界深度分を加算した位置を、次の焦点調節レンズの移動で得る合焦位置とする。この新たな合焦位置に対する前方被写界深度、後方被写界深度の計算をして、次の合焦位置を決定する。これを、必要被写界深度分後方へと計算を繰り返す。この繰り返した回数が、フォーカスブラケット撮影の撮影枚数となる。続いてステップS1154において、CPU10は、ステップS1153で求めた撮影枚数が、設定した最大枚数を超えているか否か(分割枚数が限界か否か)を判定する。もし、撮影枚数が最大枚数を超えていると判定された場合、ステップS1155へ遷移する。撮影枚数が許容範囲であると判定された場合、ステップS1157へ遷移する。
ステップS1155において、CPU10は、撮影条件2の絞り値を1段絞る様、設定更新する。続いてステップS1156において、CPU10は、絞り値が設定値に到達したか否か(絞り値が限界か否か)を判定する。絞り値が設定値に到達したと判定された場合、フォーカスブラケット撮影による深度取得の限界に到達したため、ステップS1157に遷移する。そうでなければ、ステップS1152へ戻る。ここでいう絞り値限界の設定値とは、レンズ絞り値の最大値でも良いし、回折の影響を考えてメニューによって事前設定できる値としても良い。本実施例では、設定方法および範囲について限定されるものではない。
認識対象に紐付けるDOF値は、ユーザが被写体をどの角度から撮影したいかで変化する。本実施例では、ユーザが自動車をほぼ正面から撮影するつもりで、事前に奥行きを3mに設定したものとして例示している。DOF値の決定方法については、本実施例において限定されるものではない。DOF値の設定は、メニュー画面(不図示)から設定しても良い。
ステップS1166において、CPU10は、シャッター釦102のS2押下による撮影要求があったか否かを判定する。シャッター釦102がS2押下状態であれば、ステップS1167に遷移する。そうでなければ、ステップS1168へ遷移する。
ステップS1168において、CPU10は、シャッター釦116の押下状態を判定する。シャッター釦116がS1押下状態であれば、ステップS1102へ遷移する。S1開放状態であれば、2条件撮影の本フローを完了する。
本実施例では、自動車を物体認識の対象として例示した。ただし本実施例において、物体認識の対象は限定されるものではなく、また、同時に複数の異なる対象を認識しても良い。また、例えば人体を認識の対象とする場合、大人と子供でDOF設定値を切り替える様にしても良い。子供は大人よりも動きがあると仮定すると、手足が伸びた状態等も考慮して、奥行きに余裕を持たせても良い。動物の種類毎(犬、猫)(犬の種類毎)に、紐付けとなるDOF値を別途設定できる様にしても良い。本実施例において、物体認識手段31の仕様については限定されるものではない。適宜認識対象のDOF値を個別に有しても構わない。また、代表的なDOF値を、工場出荷時等でプリセットしておいても構わない。
フォーカスブラケット撮影は、例えば、カタログに載せる商品全体を合焦範囲に収めるように、例えば10枚に分けて焦点調節レンズを移動させながら複数枚撮影し、深度合成アルゴリズムで各撮影画像中合焦範囲の画像を選択し1枚画像に合成する際に適用される。本実施例では、動体の撮影も考慮に入れており、深度合成結果が破綻しない様に、例えば、2~4枚程度の画像撮影で済む様に分割枚数上限を(ユーザがメニュー画面から)決定しても良い。撮影条件2の決定に際して、ステップS1154で分割枚数の上限判定が実行されるのは、前述のとおりである。
本実施例におけるフォーカスブラケット撮影の連写速度は使用するレンズの駆動速度にも関係するが、駆動要求に対する反応が遅いレンズでは、ステップS1144の動体制限を敏感にする様、設計時の調整が必要である。製品個々の仕様にもよるので、ここではレンズ毎の調整については言及しない。
デフォーカス量から被写体距離への変換に、レンズの横倍率の関係から式(5)を導入して利用したが、被写体条件および/または撮影条件(オクルージョンや遠近競合等)によってはデフォーカス量推定の信頼度は低下する。このため、例えばデジタルカメラ100に別途専用の測距手段を具備しても良い。光を照射して、反射光の跳ね返りの時間を計測して測距するLiDAR(Light Detection And Rangingの略)という技術を利用しても良い。本実施例では、被写体距離の求め方については限定されるものではない。
各実施例によれば、ユーザが被写界深度または被写体距離と過焦点距離との関係を考慮することなく、所望の合焦範囲での撮影条件を取得することができる。このため各実施例によれば、ユーザが容易に所望の合焦範囲での撮影条件を取得することが可能な撮像装置、撮像装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体を提供することができる。