(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178638
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】表示ユニット及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241218BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20241218BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241218BHJP
【FI】
G09F9/00 346A
G09F9/33
G09F9/00 350Z
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096927
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】白石 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】橘 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】越前谷 大介
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA15
5C094AA31
5C094BA25
5C094DA01
5C094DA09
5C094HA01
5F142AA56
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD32
5F142CD44
5F142DB02
5F142DB24
5F142FA03
5F142GA02
5G435AA06
5G435AA18
5G435BB04
5G435EE04
5G435EE32
5G435EE36
5G435LL19
(57)【要約】
【課題】従来よりも薄型化及び軽量化した表示ユニット及び表示装置を提供する。
【解決手段】回路基板20と、回路基板20の表面22に実装された発光素子30と、回路基板20の表面22とは裏面23に実装され、発光素子30の点灯を制御する制御装置90と、回路基板20の裏面23に対向して配置され、回路基板20に向けて突出した凸部70と、凸部70に周囲を囲まれて凸部70よりも凹んだ凹部80とが形成された支持板40と、を備える。支持板40は、凸部70に載置された回路基板20を支持し、制御装置90は、凹部80により画定された収容空間91に収容されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板の第1面に実装された発光素子と、
前記回路基板の前記第1面とは反対の第2面に実装され、前記発光素子の点灯を制御する制御装置と、
前記回路基板の前記第2面に対向して配置され、前記回路基板に向けて突出した凸部と、前記凸部に周囲を囲まれて前記凸部よりも凹んだ凹部とが形成された支持板と、を備え、
前記支持板は、前記凸部に載置された前記回路基板を支持し、
前記制御装置は、前記凹部により画定された収容空間に収容されている、
表示ユニット。
【請求項2】
前記支持板の形状は、矩形状であり、
前記支持板に形成された前記凸部は、前記支持板の外縁部に形成され前記支持板の4辺に平行に延びて一周する外周凸部を含む、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記支持板は、長手方向と短手方向とを有し、
前記凸部は、前記外周凸部の一方の短手部と他方の短手部とを接続する、直線状に連続して延在する長手方向凸部を含む、
請求項2に記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記凸部は、前記外周凸部の一方の長手部と他方の長手部とを接続する、直線状に連続して延在する短手方向凸部を含む、
請求項3に記載の表示ユニット。
【請求項5】
前記支持板は、長手方向と短手方向とを有し、
前記凸部は、前記外周凸部の一方の短手部と他方の短手部とを接続する、曲線状に連続して延在する長手方向凸部を含む、
請求項2に記載の表示ユニット。
【請求項6】
前記凸部は、前記外周凸部の一方の長手部と他方の長手部とを接続する、曲線状に連続して延在する短手方向凸部を含む、
請求項5に記載の表示ユニット。
【請求項7】
前記長手方向凸部の本数は、前記短手方向凸部の本数よりも多い、
請求項4または6に記載の表示ユニット。
【請求項8】
前記凸部と前記凹部の形状は、長手方向に直交する前記表示ユニットの中心線に対して対称である、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項9】
前記回路基板の前記第2面には、前記支持板の前記凹部に対向する領域にのみ、配線が形成されている、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項10】
前記制御装置が収容された前記収容空間には、前記制御装置と前記支持板とに接触する熱伝導性樹脂が設けられている、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項11】
前記支持板の外縁には、前記凸部よりも突出した側壁が立設しており、
前記側壁により、前記支持板に支持された前記回路基板の周囲が囲まれている、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項12】
前記側壁の内周面と前記回路基板の側面との間には粘着剤が介在している、
請求項11に記載の表示ユニット。
【請求項13】
前記凸部には、前記回路基板を締結するための雌ねじを有するフランジが形成されている、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項14】
格子状に複数配列された請求項1に記載の表示ユニットと、
前記表示ユニットを保持する筐体と、
を備える表示装置。
【請求項15】
前記凹部には、前記筐体に前記支持板を締結するためのナットが設けられている、
請求項14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示ユニット及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
格子状に配列された複数の表示ユニットの表示面を組み合わせて、一つの大きな表示面を形成した大型の表示装置が知られている。例えば特許文献1に記載の大型の表示装置には、表示ユニットの各種部品を保持するケースに樹脂成型品を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の大型の表示装置は、屋外での使用が想定され、強風時の風荷重に耐える必要がある。そこで風対策のために、樹脂製のケースを補強したり、大型映像表示装置の筐体を堅牢なつくりとしたりする必要があり、表示ユニット及び表示装置が大きく、かつ重くなりやすい。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、従来よりも薄型化及び軽量化した表示ユニット及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る表示ユニットは、回路基板と、前記回路基板の第1面に実装された発光素子と、前記回路基板の前記第1面とは反対の第2面に実装され、前記発光素子の点灯を制御する制御装置と、前記回路基板の前記第2面に対向して配置され、前記回路基板に向けて突出した凸部と、前記凸部に周囲を囲まれて前記凸部よりも凹んだ凹部とが形成された支持板と、を備える。前記支持板は、前記凸部に載置された前記回路基板を支持し、前記制御装置は、前記凹部により画定された収容空間に収容されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、支持板に凸部及び凹部を形成することにより、支持板の機械的強度をあげることによって支持板自体を薄くできるとともに、発光素子の点灯を制御する制御装置を支持板の凹部に収容することができる。これにより、従来よりも薄型化及び軽量化した表示ユニット及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る表示ユニットの平面図
【
図2】
図1中の断面線II-IIで切断した表示ユニットの断面図
【
図4】
図1中の断面線IV-IVで切断した表示ユニットの断面図
【
図6】本開示の実施の形態1に係る表示ユニットの支持板の平面図
【
図7】
図6に示す支持板の製造工程を工程順((a)~(d))に示した断面図
【
図8】本開示の実施の形態1の表示ユニットを格子状に配列した表示装置の斜視図
【
図9】本開示の実施の形態2に係る表示ユニットの平面図
【
図10】
図9中の断面線X-Xで切断した表示ユニットの断面図
【
図11】表示ユニットの他の例の支持板を示した平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る表示ユニット及び表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、理解を容易にするために、野外において、地面に対して正面を垂直にして表示ユニット10が設置されたと仮定し、地面と表示ユニット10の正面とに平行な方向をX軸方向、地面に対して垂直な方向をY軸方向、X軸方向とY軸方向とに垂直な方向をZ軸方向とした右手座標系を規定し、この座標系を適宜参照しながら説明する。なお、Z軸方向において矢印で指し示す+Z方向が、表示ユニット10が映像を表示する方向である。
【0010】
(実施の形態1)
図2及び
図4に示すように、表示ユニット10は、第1面である表面22を+Z方向に向けた回路基板20と、回路基板20を支持する支持板40と、回路基板20と回路基板20に搭載された各種の電子部品とを覆う防水フィルム50と、防水フィルム50に覆われた回路基板20の表面22を覆うマスク60とを備える。また、回路基板20には、表面22に実装された発光素子30と、表面22の反対側の第2面である裏面23に実装された
図4に示す制御装置90とが設けられている。
【0011】
回路基板20は、長手方向をX軸方向に、短手方向をY軸方向に向けた矩形の平面形状を有し、絶縁性の樹脂材料から形成されている。回路基板20には、その他の材料として、ガラス繊維あるいはセラミックスを使用することができる。回路基板20の裏面23には、図示しない配線と、
図4に示す電極24が形成されている。図示しない配線と電極24とは電気的に接続されている。また、回路基板20の表面22には、
図2及び
図4に示すように、電極25が形成されている。図示しない配線と電極25とは、回路基板20に形成されたビア20aを介して電気的に接続されている。
【0012】
発光素子30は、回路基板20に形成された電極25に接続されている。発光素子30は、例えば、表面実装型LED素子であり、回路基板20の表面22に4行×6列の格子状に配列されている。
【0013】
発光素子30は、図示しない赤色光を発光する赤色LED(Light-Emitting Diode)、緑色を発光する緑色LED及び青色光を発光する青色LEDを有する。3つのLEDは、電極25を介してそれぞれに供給される電力によって、独立に調整される。これにより、発光素子30から、任意の色の光が任意の強度で出射される。その結果、複数の発光素子30によって、表示ユニット10にカラー画像が表示される。
【0014】
防水フィルム50は、
図3及び
図5に示すように、発光素子30、回路基板20の表面22、回路基板20の側面26及び回路基板20の裏面周縁部23aを覆う。防水フィルム50は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂等の透光性を有する樹脂から形成されている。これにより、発光素子30からの光は、防水フィルム50を透過する。
【0015】
防水フィルム50は、柔軟で可撓性を有する。防水フィルム50の厚さは、例えば50μm~500μm、柔軟性と耐久性の観点から、好ましくは150μm~300μmである。これにより、防水フィルム50を、発光素子30及び回路基板20の形状に合わせて貼り付けることができ、発光素子30及び回路基板20の表面を、雨水、及び空気中の水分などから保護することができる。
【0016】
マスク60は、
図1に示すように、平面視すると矩形状であり、+Z側から回路基板20の表面22を覆う。マスク60には、発光素子30に対応する位置に、防水フィルム50に覆われた発光素子30を露出させる開口60aが形成されている。これにより、発光素子30からの光は、開口60aを通り表示ユニット10から出射される。
【0017】
マスク60は、例えば黒色の樹脂製である。マスク60は、表示ユニット10の外部から表示ユニット10に入射する光を遮り、表示ユニット10の表示のコントラストを向上させる。マスク60は、
図3及び
図5に示すように、回路基板20に取り付けた図示しないアタッチメントにねじ35を締結することにより、回路基板20に固定される。
【0018】
図4及び
図5に示す制御装置90は、回路基板20の裏面23に形成された電極24に接続されている。制御装置90は、格子状に配列された複数の発光素子30の点灯を制御する。制御装置90は、走査回路、駆動回路または制御回路などの集積回路(IC(Integrated Circuit))を含み得る。制御装置90は、これらの回路を複数含む場合もあるし、1つの回路のみを含む場合もある。
【0019】
支持板40は、例えば、アルミニウムまたはステンレスなどの金属製であり、平面視して矩形の形状を有している。支持板40は、
図5に示すように、表面に凹凸が形成されており、+Z方向に突出した凸部70と、凸部よりも-Z方向に凹んだ凹部80とが隣接して形成されている。このように、凸部70と凹部80とが形成されることにより、支持板40の機械的強度が向上する。また、支持板40には、折り曲げられて+Z方向に向けて立設した側壁43が、支持板40の外縁一周にわたって形成されている。側壁43は、
図6に示すように、支持板40に形成された凸部70及び凹部80の周囲を取り囲んでいる。なお、
図6における平面図では、凸部70にハッチングを施して、凸部70及び凸部70に囲まれた凹部80の範囲が容易に理解できるようにしている。したがって、
図6に示すハッチングは断面を表すものではない。
【0020】
凸部70は、側壁43の内側に隣接して、支持板40の外縁部に外周の4辺と平行に延びて一周する外周凸部71と、X軸に対して平行に延びる長手方向凸部72と、Y軸に対して平行に延びる短手方向凸部73とを有している。
【0021】
外周凸部71は、X軸方向に沿って互いに平行に設けられた長手部71a,71bと、Y軸方向に沿って互いに平行に設けられた短手部71c,71dと、を有している。長手部71a,71bは、短手部71c,71dの端部同士を接続している。
【0022】
長手方向凸部72は、外周凸部71の一方の短手部71cと、他方の短手部71dとを接続する、直線状に連続して延在する凸部である。支持板40には、互いに平行で異なる間隔で7本の長手方向凸部72が形成されている。7本の長手方向凸部72の幅は同一ではなく、一部の長手方向凸部72の幅は、互いに異なっている。このように、支持板40の長手方向に沿って横断する長手方向凸部72を形成することにより、支持板40の機械的強度を高めることができる。
【0023】
短手方向凸部73は、外周凸部71の一方の長手部71aと、他方の長手部71bとを接続する、直線状に連続して延在する凸部である。支持板40には、X軸方向における中央部に一本の短手方向凸部73が形成されている。このように支持板40の短手方向に沿って縦断する短手方向凸部73を形成することにより、支持板40の機械的強度を高めることができる。
【0024】
また凸部70は、Y軸方向に延び、短手方向凸部73よりも短い凸部73a,73bを有している。凸部73a,73bは、X軸方向に直交する支持板40の中心線CLに対して対称に配置されている。
【0025】
また、凸部70には、
図5に示すように、バーリング加工により、-Z方向に立ち上がり、内周面に雌ネジが形成されたフランジ41が形成されている。フランジ41は、
図6に示すように、長手方向凸部72に、その延在方向であるX軸方向に沿って複数形成されている。なお、
図6において、フランジ41は白抜きの円で図示しており、塗りつぶした円で図示するクリンチングナット45と見分けがつくようにしている。雌ねじを有するフランジ41は、回路基板20を支持板40に締結するために用いられる。すなわち、
図5に示す回路基板20に挿通されたねじ27は、フランジ41に形成された雌ねじと螺合する。これにより、回路基板20は、支持板40の凸部70上に固定される。
【0026】
なお、
図3及び
図5に示すように、回路基板20と凸部70との間には、絶縁性フィルム55が配置されている。絶縁性フィルム55は、平面視すると凸部70の形状と合致しており、
図5に示すように凹部80に対応する部分には、開口55aが形成されている。絶縁性フィルム55は、例えば凸部70に貼り付けられており、回路基板20の裏面に形成された配線が短絡するのを防止する。
【0027】
凹部80は、
図6に示すように、X軸方向及びY軸方向に延びる凸部70により四方を囲まれており、これにより、平面視すると矩形の形状を有している。凹部80は、支持板40に複数形成されており、X軸方向及びY軸方向において隣接する凸部70の間隔によって、種々の大きさに形成されている。また、支持板40の凹部80には、クリンチングナット45が圧入されている。クリンチングナット45は、
図1に示す表示ユニット10を大型の表示装置の筐体に取り付ける際に用いられる。
【0028】
また、凹部80は、
図5に示すように、回路基板20の裏面に設けられた制御装置90を収容する収容空間91を画定する。凹部80は、収容された制御装置90の周囲に、例えば0.5mm以上の隙間が形成されるように形成されている。凹部80の深さは、例えば4mmである。
【0029】
凹部80と制御装置90との隙間には、熱伝導性樹脂95が設けられている。熱伝導性樹脂95は、凹部80と制御装置90との間の隙間全体に充填されている。これにより、熱伝導性樹脂95は、制御装置90と支持板40との双方に接触しており、制御装置90で生じた熱を、支持板40を通じて外部へと放熱する。
【0030】
なお、支持板40に形成された凸部70及び凹部80は、
図6に示すように、X軸に直交する支持板40の中心線CLに対して対称に形成されている。これにより、支持板40の機械的強度に非対称な偏りを生じさせることがない。
【0031】
側壁43は、
図3及び
図5に示すように、凸部70よりも+Z方向側に突出している。これにより、支持板40には、側壁43の内壁43aと、凸部70とにより区画された回路基板20を収容するためのスペースが形成されている。防水フィルム50に覆われた回路基板20は、凸部70に載置されるとともに、側面26を側壁43の内壁43aに当接した状態で設置されている。これにより、支持板40に支持された回路基板20の周囲は、側壁43により囲まれている。また、回路基板20の側面26と側壁43の内壁43aとの間には、粘着剤96が介在している。このように回路基板20の周囲を、粘着剤96を介して、一周にわたり側壁43とくっつけることにより、回路基板20と支持板40との間への水の侵入を防止することができ、表示ユニット10の防水性を確保することができる。なお、粘着剤96のかわりに接着剤を介在させて、回路基板20と支持板40とを接着させてもよい。
【0032】
次に、支持板40の製造方法について、
図7を参照しながら説明する。まず、
図7(a)に示すように、例えばアルミニウム製のプレート46を準備する。続いて、
図7(b)に示すように、プレス機械を用いてプレート46を金型に加圧して、凸部70及び凹部80を形成する。なお、プレート46の外縁部45aは、凸部70が形成されていない未加工部である。次に、
図7(c)に示すように、プレート46の凸部70にバーリング加工をして、フランジ41を形成するとともにフランジ41に雌ねじを形成する。また、プレート46の凹部80に
図6に示すクリンチングナット45を圧入する。最後に、
図7(d)に示すように、制御装置90(
図4)を収容する凹部80に熱伝導性樹脂95を充填するとともに、プレート46の外縁部45aを内側に折り曲げて側壁43を形成する。これにより、支持板40を製造することができる。
【0033】
このように製造した支持板40と回路基板20との間に絶縁性フィルム55を配置して、回路基板20を支持板40の凸部70の上に載置する。そして、回路基板20に挿通させた
図5に示すねじ27を、フランジ41に形成された雌ねじと螺合させる。これにより、回路基板20を、支持板40の凸部70上に固定させることができる。最後に、回路基板20と側壁43との隙間に粘着剤96を充填させることで表示ユニット10を製造することができる。
【0034】
このように製造した複数の表示ユニット10を、格子状に配列して組み合わせることによって、1つの大きな表示面を有する大型の表示装置100を製造することができる。
図8に示すように、表示装置100は、例えば、格子状に配列された12個の表示ユニット10と、これらの12個の表示ユニット10を収納する筐体200とを備える。筐体200は、格子状のフレーム230を有しており、この格子状のフレーム230に挿通した図示しないねじを、
図6に示すクリンチングナット45に締め付ける。これにより、複数の表示ユニット10を筐体200に取り付けることができる。表示装置100は、競技場、ビルの壁面等の屋内及び屋外に設置される。
【0035】
本実施の形態1によれば、金属板をプレス加工して凹凸形状を有する支持板40を形成したことから、支持板40の機械的強度を高めることができる。特にプレス加工された金属は、繊維状の金属組織の流れ、いわゆる鍛流線が形成されるため、切削加工された金属よりも機械的強度が向上する。金属板をプレス加工して形成した支持板40を用いることにより、支持板40自体を薄型化でき、支持板40に別途の補強部材を設けたり、表示装置の筐体を堅牢なつくりとしたりする必要がなく、表示ユニット及び表示装置を薄型化及び軽量化することができる。
【0036】
また、支持板40の機械的強度を増すために形成した凹部80に、回路基板20に実装された電子部品である制御装置90を収容することができる。そのため、制御装置90を収容するための新たな収容空間を設ける必要がなく、表示ユニット及び表示装置を薄型化することができる。
【0037】
また支持板40の外周の4辺と平行に延びて一周する外周凸部71を有することで、支持板40の外縁部を補強することができる。
【0038】
また、支持板40には、外周凸部71の一方の短手部71cと、他方の短手部71dとを接続する、直線状に連続して延在する長手方向凸部72が形成されている。また、支持板40には、外周凸部71の一方の長手部71aと、他方の長手部71bとを接続する、直線状に連続して延在する短手方向凸部73が形成されている。これにより、外周凸部71に囲われた領域を、長手方向凸部72及び短手方向凸部73で補強することができ、支持板40の機械的強度を全面にわたって向上させることができる。
【0039】
また長手方向凸部72の本数を短手方向凸部73の本数よりも多くしている。これにより、機械的強度がより必要とされる支持板40の長手方向において、機械的強度をより向上させることができる。
【0040】
また、凸部70及び凹部80は、支持板40のX軸方向における中心線CLに対して対称に形成されている。これにより、支持板40の機械的強度に、非対称な偏りが生じることがない。これにより、支持板40において、局所的に強度が弱い箇所をなくすことができる。
【0041】
また、支持板40の外周の4辺部は、凸部70が突出する方向に折り曲げられて、側壁43が形成されている。この側壁43によって、支持板40の外縁の機械的強度を向上させることができる。また、回路基板20の側面26と側壁43の内壁43aとの間には粘着剤96が介在させることで、回路基板20と支持板40との間への水の侵入を防止することができ、表示ユニット10の防水性を確保することができる。
【0042】
また、回路基板20に取り付けられた制御装置90を収容する凹部80に熱伝導性樹脂95を充填している。これにより、熱伝導性樹脂95を、制御装置90と支持板40との双方に接触させることができ、制御装置90で生じた熱を、支持板40を通じて外部へと放熱することができる。
【0043】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る表示ユニット及び表示装置について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。上記実施の形態1では、支持板40には、外縁を一周する側壁43が立設されていると説明したが、本実施の形態2の表示ユニット110の支持板140には、側壁が形成されておらず、
図10に示すように外周凸部71が最外縁に形成されている。一方で、本実施の形態は、上記実施の形態1と共通する構成も多いことから、共通の構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
図10に示すように、防水フィルム50に覆われた回路基板20は、支持板140に形成された凸部70上に載置され固定されている。回路基板20及びマスク60の平面寸法と、支持板140の平面寸法は同程度である。そのため、回路基板20は、外縁を支持板140の外縁と一致させた状態で、支持板140上に載置されている。このように、支持板140に側壁が設けられていないため、支持板140は、
図9に示すように、マスク60及び回路基板20により+Z側が完全に覆われる。
【0045】
また、防水フィルム50に覆われた回路基板20の裏面23の周縁部と支持板140の外周凸部71との間には粘着剤150が介在している。粘着剤150は、外周凸部71上に、支持板140の外縁一周にわたって形成されている。これにより、回路基板20と支持板140との間への水の侵入を防止することができ、表示ユニット110の防水性を確保することができる。
【0046】
なお、支持板140の製造は、実施の形態1における製法と同様に、金属板をプレス加工することにより行われる。しかしながら、本実施の形態では、支持板140に、
図7(b)に示す未加工部である外縁部45aを形成せずに、プレス加工時に外周凸部71が支持板140の最外縁部を形成するようにプレス加工する。したがって、側壁43を形成する工程は省略されるが、その他の支持板140の製造工程については、上記実施の形態1と同様である。
【0047】
実施の形態2によれば、支持板140の最外縁に外周凸部71を形成することにより、支持板140の外縁部を補強することができ機械的強度を支持板140の全面にわたって向上させることができる。これにより、表示ユニット及び表示装置を薄型化及び軽量化することができる。
【0048】
また、粘着剤150を、外周凸部71上に、支持板140の外縁一周にわたって形成することにより、回路基板20と支持板140との間への水の侵入を防止することができ、表示ユニット110の防水性を確保することができる。なお、その他の効果については、上記実施の形態1の効果と同様である。
【0049】
この開示は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、長手方向凸部72は、直線状でX軸に平行な方向に延在する態様で外周凸部71の一方の短手部71cと、他方の短手部71dとを接続すると説明した。しかしながら、支持板40の機械的強度を高めることができるのであれば、凸部をどのように延在させるかは任意である。例えば、X軸に平行ではなく、支持板40の長手方向に対して斜めに直線的に延在させる態様としてもよい。また、
図11に示すように、支持板140の長手方向凸部172は、曲線状に連続して延在して短手部71cと短手部71dとを接続してもよいし、幾重にも曲がりくねって延在する態様としてもよい。また、短手方向凸部173についても、同様に、支持板40の短手方向に対して斜めに直線的に延在させる態様としてもよい。また、
図11に示すように、支持板140の短手方向凸部173は、曲線状に連続して延在して長手部71aと長手部71bとを接続してもよいし、幾重にも曲がりくねって延在する態様としてもよい。なお、
図11において、4本の長手方向凸部172と2本の短手方向凸部173を図示したが、これらの本数は限定されず、適宜本数を変更してもよい。また、長手方向凸部172及び短手方向凸部173は、X軸方向に直交する支持板140の中心線CLに対して対称に形成されている。
【0050】
また、表示ユニット10の平面形状は、X軸方向に長手方向を、Y軸方向に短手方向を有する矩形状であると説明したが、X軸方向及びY軸方向の長さを互いに同じにしてもよい。すなわち、表示ユニットの平面形状を、正方形としてもよい。この場合、X軸方向に延びる凸部の本数と、Y軸方向に延びる凸部の本数とを同じ本数としてもよい。
【0051】
また、表示ユニット10の短手方向の長さが長手方向の長さよりも極めて短い場合には、
図6に示す短手方向凸部73を省略することができる。すなわち、表示ユニット10の形状、大きさ等に応じて長手方向凸部72及び短手方向凸部73の本数を適宜設定することができる。
【0052】
また、制御装置90が発する熱を放熱するために、制御装置90を収容する凹部80と制御装置90との隙間全体に熱伝導性樹脂95を充填したが、制御装置90と支持板40との隙間の一部に部分的に充填してもよい。また、熱伝導性樹脂95は、複数ある制御装置のうち発熱量が多い制御装置90に限定して配置してもよい。また、放熱性が十分に確保できる場合には、熱伝導性樹脂を省略してもよい。また、熱伝導性樹脂を省略して、制御装置と支持板とを接触させて、制御装置で発生した熱を外部へと放熱させてもよい。
【0053】
また、回路基板20の裏面に形成された配線の短絡を防止するため、支持板40の凸部70に絶縁性フィルム55を貼り付けた形態について説明した。しかしながら、絶縁性フィルム55を、回路基板の裏面に張り付けられてもよい。また、回路基板20の裏面に絶縁層を形成しても良い。また、回路基板20と支持板40の凸部70との間に、絶縁性のスペーサを挟んでも良い。さらに、回路基板20の配線は、支持板の凹部に対向する領域にのみ、形成されるようにしても良い。これにより、回路基板20の裏面23に設けられた配線が短絡しないようにすることができる。
【0054】
また、本実施形態としては、回路基板20の裏面23に搭載させる電子部品として、1つの制御装置90のみを図示し説明したが、その他複数の制御装置、コンデンサー、抵抗といった電子部品が、回路基板20の裏面23に搭載されている。これらの電子部品も同様に、支持板40の凹部80に収容されている。
【0055】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0056】
(付記1)
回路基板と、
前記回路基板の第1面に実装された発光素子と、
前記回路基板の前記第1面とは反対の第2面に実装され、前記発光素子の点灯を制御する制御装置と、
前記回路基板の前記第2面に対向して配置され、前記回路基板に向けて突出した凸部と、前記凸部に周囲を囲まれて前記凸部よりも凹んだ凹部とが形成された支持板と、を備え、
前記支持板は、前記凸部に載置された前記回路基板を支持し、
前記制御装置は、前記凹部により画定された収容空間に収容されている、
表示ユニット。
(付記2)
前記支持板の形状は、矩形状であり、
前記支持板に形成された前記凸部は、前記支持板の外縁部に形成され前記支持板の4辺に平行に延びて一周する外周凸部を含む、
付記1に記載の表示ユニット。
(付記3)
前記支持板は、長手方向と短手方向とを有し、
前記凸部は、前記外周凸部の一方の短手部と他方の短手部とを接続する、直線状に連続して延在する長手方向凸部を含む、
付記2に記載の表示ユニット。
(付記4)
前記凸部は、前記外周凸部の一方の長手部と他方の長手部とを接続する、直線状に連続して延在する短手方向凸部を含む、
付記3に記載の表示ユニット。
(付記5)
前記支持板は、長手方向と短手方向とを有し、
前記凸部は、前記外周凸部の一方の短手部と他方の短手部とを接続する、曲線状に連続して延在する長手方向凸部を含む、
付記2に記載の表示ユニット。
(付記6)
前記凸部は、前記外周凸部の一方の長手部と他方の長手部とを接続する、曲線状に連続して延在する短手方向凸部を含む、
付記5に記載の表示ユニット。
(付記7)
前記長手方向凸部の本数は、前記短手方向凸部の本数よりも多い、
付記4または6に記載の表示ユニット。
(付記8)
前記凸部と前記凹部の形状は、長手方向に直交する前記表示ユニットの中心線に対して対称である、
付記1から7のいずれか1つに記載の表示ユニット。
(付記9)
前記回路基板の前記第2面には、前記支持板の前記凹部に対向する領域にのみ、配線が形成されている、
付記1から8のいずれか1つに記載の表示ユニット。
(付記10)
前記制御装置が収容された前記収容空間には、前記制御装置と前記支持板とに接触する熱伝導性樹脂が設けられている、
付記1から9のいずれか1つに記載の表示ユニット。
(付記11)
前記支持板の外縁には、前記凸部よりも突出した側壁が立設しており、
前記側壁により、前記支持板に支持された前記回路基板の周囲が囲まれている、
付記1から10のいずれか1つに記載の表示ユニット。
(付記12)
前記側壁の内周面と前記回路基板の側面との間には粘着剤が介在している、
付記11に記載の表示ユニット。
(付記13)
前記凸部には、前記回路基板を締結するための雌ねじを有するフランジが形成されている、
付記1から12のいずれか1つに記載の表示ユニット。
(付記14)
格子状に複数配列された付記1から13のいずれか1つに記載の表示ユニットと、
前記表示ユニットを保持する筐体と、
を備える表示装置。
(付記15)
前記凹部には、前記筐体に前記支持板を締結するためのナットが設けられている、
付記14に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0057】
10…表示ユニット、20…回路基板、20a…ビア、22…表面、23…裏面、23a…裏面周縁部、24,25…電極、26…側面、27…ねじ、30…発光素子、35…ねじ、40…支持板、41…フランジ、43…側壁、43a…内壁、45…クリンチングナット、45a…外縁部、46…プレート、50…防水フィルム、55…絶縁性フィルム、55a…開口、60…マスク、60a…開口、70…凸部、71…外周凸部、71a,71b…長手部、71c,71d…短手部、72…長手方向凸部、73…短手方向凸部、73a,73b…凸部、80…凹部、90…制御装置、91…収容空間、95…熱伝導性樹脂、96…粘着剤、100…表示装置、110…表示ユニット、140…支持板、150…粘着剤、172…長手方向凸部、173…短手方向凸部、200…筐体、230…フレーム、CL…中心線。