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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178643
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】内装材及び内装材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/10 20060101AFI20241218BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B32B3/10
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096937
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰弘
【テーマコード(参考)】
4F100
4F206
【Fターム(参考)】
4F100AJ01A
4F100AJ01B
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100BA02
4F100DC11A
4F100DG00A
4F100DG00B
4F100EH36A
4F100EJ33A
4F100GB08
4F100JB16A
4F100JB16B
4F100JN01B
4F206AD05
4F206AD08
4F206AH26
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB15
4F206JL02
(57)【要約】
【課題】より短時間で光透過部を形成することが可能な構成の内装材を提供する。
【解決手段】天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなし、板厚方向に貫通する所定パターンの貫通孔21を有する第1板状部材20と、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなし、第1板状部材20における一方の面20Aに対して貫通孔21を覆う形で接合され、光透過性を有する第2板状部材40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなし、板厚方向に貫通する所定パターンの貫通孔を有する第1板状部材と、
天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなし、前記第1板状部材における一方の面に対して前記貫通孔を覆う形で接合され、光透過性を有する第2板状部材と、を備える、内装材。
【請求項2】
天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状の第1板状部材に対して、板厚方向に貫通する所定パターンの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔形成工程の後に行われ、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含み、光透過性を有する板状の第2板状部材を前記第1板状部材における一方の面に対して前記貫通孔を覆う形で接合する接合工程と、を備える、内装材の製造方法。
【請求項3】
前記接合工程の後に行われ、前記貫通孔に光透過性を有する樹脂を充填する樹脂充填工程を備える、請求項2に記載の内装材の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂充填工程においては、成形型によって前記第1板状部材及び前記第2板状部材がプレス成形された状態で、前記第1板状部材における前記第2板状部材とは反対側の面に光透過性を有する溶融樹脂を射出することで、前記貫通孔に前記溶融樹脂を充填する、請求項3に記載の内装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、内装材及び内装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内装材として、ケナフ等の天然繊維が熱可塑性樹脂により結着されてなる板状部材が用いられている。天然繊維は、光合成によって二酸化炭素を吸収することから、地球環境の保全にとって有効なものとなっている。また、このような板状部材の意匠性をより高くするために、板状部材を部分的に光が透過できる程度に薄くすることで薄肉部を形成し、板状部材に光が照射された際に、光透過部である薄肉部を光が透過することで、薄肉部が模様として浮かび上がるものが検討されている。板状部材が天然繊維を含む場合、薄肉部を有する板状部材を射出成形によって製造することは困難である。このため、板状部材を加工することで、薄肉部を形成することが考えられる。板状部材に薄肉部を形成するための加工方法として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には切削加工によって板状部材に凹部を形成することで、薄肉部を形成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-30160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記切削加工において、凹部を一度の加工で形成しようとすると、板状部材が割れたり、切削によって生じる大きい削りカスが凹部に入り込み、加工の妨げになったりする事態が懸念される。このため、浅い凹部を繰り返し形成することで所定の深さの凹部を形成する必要があり、加工時間が長くなってしまうという問題点がある。
【0005】
本明細書で開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、より短時間で光透過部を形成することが可能な構成の内装材、及び内装材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される内装材は、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなし、板厚方向に貫通する所定パターンの貫通孔を有する第1板状部材と、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなし、前記第1板状部材における一方の面に対して前記貫通孔を覆う形で接合され、光透過性を有する第2板状部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成とすれば、内装材において貫通孔に対応する箇所に光を透過させることができ、内装材に光を照射することで、貫通孔の形状に対応した所定パターンの模様を表示させることができる。そして、貫通孔は、第2板状部材によって覆われているため、貫通孔を通じて内装材の裏側が視える事態を抑制できる。また、光透過部を形成するために板状部材に切削加工によって薄肉部を形成する方法と比べると、一度の作業で貫通孔を形成することができるため、より短時間で光透過部を形成することができる。
【0008】
次に、上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される内装材の製造方法は、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状の第1板状部材に対して、板厚方向に貫通する所定パターンの貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔形成工程の後に行われ、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含み、光透過性を有する板状の第2板状部材を前記第1板状部材における一方の面に対して前記貫通孔を覆う形で接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、内装材において貫通孔に対応する箇所に光を透過させることができ、内装材に光を照射することで、貫通孔の形状に対応した所定パターンの模様を表示させることができる。そして、貫通孔は、第2板状部材によって覆われているため、貫通孔を通じて内装材の裏側が視える事態を抑制できる。また、光透過部を形成するために板状部材に切削加工によって薄肉部を形成する方法と比べると、一度の作業で貫通孔を形成することができるため、より短時間で光透過部を形成することができる。
【0010】
また、前記接合工程の後に行われ、前記貫通孔に光透過性を有する樹脂を充填する樹脂充填工程を備えるものとすることができる。貫通孔に樹脂を充填することで、剛性をより高くすることができる。
【0011】
また、前記樹脂充填工程においては、成形型によって前記第1板状部材及び前記第2板状部材がプレス成形された状態で、前記第1板状部材における前記第2板状部材とは反対側の面に光透過性を有する溶融樹脂を射出することで、前記貫通孔に前記溶融樹脂を充填するものとすることができる。第1板状部材及び第2板状部材を成形しつつ、貫通孔に樹脂を充填することができる。また、貫通孔に溶融樹脂を充填することで、貫通孔の内面に樹脂を溶着させることができ、樹脂の接合に係る作業を省略することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より短時間で光透過部を形成することが可能な構成の内装材、及び内装材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】内装材を切断して視た断面図
図2】第1板状部材を車室外側から視た図
図3】貫通孔を形成する前の第1板状部材を切断して視た断面図
図4】貫通孔形成工程を示す断面図
図5】接合工程を示す断面図
図6】比較例に係る凹部を形成した第1板状部材を切断して視た断面図
図7】実施形態2に係る第1板状部材及び第2板状部材を一対の成形型の間に配した断面図
図8】樹脂充填工程を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図6によって説明する。本実施形態では、車両用のドアトリムとして用いられる内装材10を例示する。内装材10は、図1に示すように、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなす第1板状部材20と、天然繊維及び熱可塑性樹脂を含む板状をなす第2板状部材40と、を備える。
【0015】
第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる天然繊維としては、例えば、ケナフ繊維が用いられる。第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる天然繊維の種類はこれに限定されず、綿、麻、サイザル、ジュートなどから採取した植物性繊維や、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、合成樹脂繊維等を用いることができる。このうち、木質茎を有し、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有し、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献するアオイ科植物であるケナフに由来する線状繊維体(ケナフ繊維)であることが特に好ましい。
【0016】
第1板状部材20及び第2板状部材40において、天然繊維は、バインダーとしての熱可塑性樹脂により結着されている。第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレンが用いられる。第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる熱可塑性樹脂の種類はこれに限定されず、ポリエチレンなどを用いてもよい。なお、第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる天然繊維は、異なるものであってもよく、第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる熱可塑性樹脂についても異なるものであってもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、第1板状部材20は、板厚方向に貫通する所定パターンの貫通孔21を有する。本実施形態では、長手状をなす貫通孔21が、複数配列されているものを例示するが、貫通孔の形状は、これに限定されない。第2板状部材40は、第1板状部材20における一方の面20A(意匠面側の面)に対して複数の貫通孔21を覆う形で接合されている。
【0018】
第2板状部材40の厚さは、第1板状部材20の厚さに比べて小さいものとされ、光透過性を有する程度の厚さとされる。なお、第1板状部材20の厚さは、例えば2.5mm程度とされ、第2板状部材40の厚さは、例えば、0.2mm~0.4mmの範囲内で設定される。また、第2板状部材40の目付は、例えば、50~600g/mの範囲内で設定される。さらに、第2板状部材40における繊維の含有率は、例えば、10重量%~75重量%の範囲内で設定され、第2板状部材40における熱可塑性樹脂の含有率は、例えば、25重量%~90重量%の範囲内で設定される。
【0019】
なお、第1板状部材20及び第2板状部材40の厚さ、第2板状部材40の目付、第2板状部材40における繊維と熱可塑性樹脂の含有率は上記した値に限定されず適宜変更可能である。第2板状部材40は、材質、厚さ、目付、天然繊維と熱可塑性樹脂の含有率等を適宜設定することで光透過性を有するものであればよい。
【0020】
また、内装材10においては、第1板状部材20に対して第2板状部材40とは反対側(車室外側)に照明装置50が配されており、各貫通孔21に対して光を出射することが可能となっている。照明装置50としては、例えば、複数の光源(LED等)が第1板状部材20の面方向に沿って配列されてなるものを例示することができる。また、照明装置が、光源と、光源からの光を導いて貫通孔に向かって出射させる導光部材と、を備えるものであってもよい。
【0021】
照明装置50が動作していない状態では、第2板状部材40に覆われている貫通孔21は、車室内の乗員に視認されることがない。これに対して、照明装置50を動作させることで、照明装置50からの出射光が各貫通孔21及び第2板状部材40を通じて車室内に出射される。これにより、乗員に対して、複数の貫通孔21を模様として表示させることができる。
【0022】
次に本実施形態の内装材10の製造方法について説明する。本実施形態の内装材10の製造方法は、第1板状部材20に対して貫通孔21を形成する貫通孔形成工程と、貫通孔形成工程の後に行われ、第2板状部材40を第1板状部材20における一方の面20Aに対して貫通孔21を覆う形で接合する接合工程と、を備える。第1板状部材20及び第2板状部材40は、それぞれ、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維とが混合された混合繊維を積層させることで繊維ウェブを形成した後、繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡装置により交絡させることで、不織布状の繊維マットとし、その後、繊維マットをプレス装置を用いて加熱プレスすることで、その厚さを小さくして繊維マットよりも剛性の高い板状に成形することで製造することができる。
【0023】
(貫通孔形成工程)
貫通孔形成工程では、図3及び図4に示すように、第1板状部材20に対して、複数の切断刃23を押し当てることで、複数の貫通孔21を形成する。
【0024】
(接合工程)
接合工程では、第1板状部材20及び第2板状部材40を互いに離間させた状態でそれぞれ個別に加熱し、第1板状部材20及び第2板状部材40に含まれる熱可塑性樹脂が溶融する温度とした後、図5に示すように、プレス装置51を用いて第1板状部材20及び第2板状部材40をプレスする。その後、第1板状部材20及び第2板状部材40を冷却することで、溶融された熱可塑性樹脂が冷却固化し、バインダーの機能を果たすことで、第2板状部材40が第1板状部材20における一方の面20Aに対して接合(溶着)される結果、第1板状部材20及び第2板状部材40が一体化される。
【0025】
なお、第1板状部材20及び第2板状部材40を加熱しつつプレスすることで、一体化してもよいが、第1板状部材20と第2板状部材40とが互いに接触した状態で両板状部材20,40を加熱すると、第2板状部材40が熱によって膨張し、膨張した部分が貫通孔21に入り込むことで、第2板状部材40における貫通孔21に対応する箇所が薄肉化してしまう事態が懸念される。これにより、第2板状部材40における貫通孔21を覆う部分の厚さが貫通孔21毎に異なってしまい、第2板状部材40を透過して車室内に出射される光にムラが生じることが懸念される。このため、上記方法のように、第1板状部材20及び第2板状部材40を互いに離間させた状態で個別に加熱することがより好ましい。
【0026】
また、第1板状部材20及び第2板状部材40をそれぞれ繊維マットの状態で一体化してもよい。繊維マットの状態で接合工程を行うことで、第1板状部材20と第2板状部材40とが互いに接合し易くなり、より強固に接合することができる。しかしながら、第2板状部材40が比較的柔らかい繊維マットの状態であると、第1板状部材20及び第2板状部材40をプレスした際に、第2板状部材40を構成する繊維が貫通孔21に入ってしまい、第2板状部材40における貫通孔21に対応する箇所が薄肉化してしまう事態が懸念される。このような事態を抑制するために、第1板状部材20及び第2板状部材40を予め加熱プレスすることで、その厚さを小さくして繊維マットよりも剛性の高い状態にしておくことが好ましい。
【0027】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、内装材10において貫通孔21に対応する箇所に光を透過させることができ、内装材10に光を照射することで、貫通孔21の形状に対応した所定パターンの模様を表示させることができる。そして、貫通孔21は、第2板状部材40によって覆われているため、貫通孔21を通じて内装材10の裏側が視える事態を抑制できる。
【0028】
また、図6の比較例に示すように、第1板状部材20に切削加工によって薄肉部を形成して光透過部24とした場合、切削刃によって、浅い凹部を繰り返し形成することで所定の深さの凹部25を形成する必要があり、加工時間が長くなってしまう。また、切削刃を第1板状部材20の平面上に沿って移動させることで、光透過部24の形状を彫る必要があり、加工時間が長くなってしまう。
【0029】
このような切削加工によって光透過部を形成する方法と比べると、本実施形態では、一度の作業(第1板状部材20に対して複数の切断刃を押し当てる作業)で貫通孔21を形成することができるため、より短時間で光透過部(貫通孔21及び第2板状部材40において貫通孔21を覆う箇所)を形成することができる。
【0030】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図7から図8によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態の内装材110は、図8に示すように、第1板状部材20と、第2板状部材40と、樹脂板131と、複数の樹脂部132と、を備える。本実施形態では、一体化された状態の第1板状部材20及び第2板状部材40を成形装置160によって所定の製品形状に成形すると共に、第1板状部材20の貫通孔21に樹脂を充填する。成形装置160は、図7に示すように、互いに対向配置された一対の成形型161,162と、射出装置163と、を備える。一対の成形型161,162のうち、上型161は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等)を備え、下型162に対し上下方向へ移動が可能な可動型とされる。上型161は、上方に凹む成形面161Aを有する。下型162は、上方に膨出する成形面162Aを有する。
【0031】
射出装置163は、例えばスクリュータイプとされ、光透過性を有する溶融樹脂(例えばアクリルやポリカーボネート等)を下型162に貫通形成された樹脂供給路164に向けて射出可能とされている。下型162は、成形面162Aに凹設された凹部165を有する。凹部165は、複数の貫通孔21に対応した箇所に設けられ、一対の成形型161,162を型閉じした状態(図8参照)では、各貫通孔21と連通する構成となっている。樹脂供給路164は、射出装置163から凹部165に向けて延びている。
【0032】
本実施形態の内装材110の製造方法は、上記実施形態で説明した貫通孔形成工程及び接合工程に加えて、接合工程の後に行われ、貫通孔21に光透過性を有する樹脂を充填する樹脂充填工程と、を備える。樹脂充填工程においては、一対の成形型161,162によって第1板状部材20及び第2板状部材40がプレス成形された状態で、第1板状部材20における第2板状部材40とは反対側の面20Bに光透過性を有する溶融樹脂を射出することで、貫通孔21に溶融樹脂を充填する。
【0033】
より詳しくは、樹脂充填工程では、第1板状部材20及び第2板状部材40を図示しない加熱手段(例えば通電によって発熱するヒータなど)によって加熱し、両板状部材20,40を軟化状態にする。その後、一対の成形型161,162の間に両板状部材20,40を配し、一対の成形型161,162を型閉じする。これにより、両板状部材20,40が、成形面161Aと成形面162Aとの間で挟まれることで、成形面161A,162Aの形状に倣う形状にプレス成形される。
【0034】
次に、両板状部材20,40を両成形面161A,162Aで挟んだ状態を維持しつつ、溶融樹脂を射出装置163から樹脂供給路164に射出する。樹脂供給路164に射出された樹脂は、凹部165に供給された後、凹部165と連通する各貫通孔21に充填される。その後、射出された溶融樹脂が冷却し、固化することで、凹部165に充填された樹脂は板状の樹脂板131となり、貫通孔21に充填された樹脂は、貫通孔21の内面に接合された樹脂部132となる。これにより、内装材110の製造が完了する。
【0035】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、貫通孔21に樹脂を充填することで、剛性をより高くすることができる。さらに、樹脂板131を成形することで、剛性をより高くすることができる。
【0036】
また、樹脂充填工程では、第1板状部材20及び第2板状部材40を成形しつつ、貫通孔21に樹脂を充填することができる。さらに、貫通孔21に溶融樹脂を充填することで、貫通孔21の内面に樹脂部132を溶着させることができ、樹脂の接合に係る作業を省略することができる。
【0037】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態で例示した内装材10,110は、車両用に限定されない。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記内装材10,110を適用することができ、乗物以外の用途で内装材10,110を用いてもよい。
(2)上記実施形態では、切断刃23を用いて第1板状部材20に貫通孔21を形成したが、貫通孔21の形成方法はこれに限定されない。例えば、レーザー加工によって貫通孔21を形成してもよい。
(3)貫通孔の形状は、上記実施形態で例示した形状(長手状)に限定されず、適宜変更である。
(4)上記実施形態では、第2板状部材40が第1板状部材20に対して車室内側に配される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、第1板状部材20が第2板状部材40に対して車室内側に配され、意匠面を構成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10,110…内装材、20…第1板状部材、20A…第1板状部材における一方の面、21…貫通孔、40…第2板状部材、161,162…成形型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8