(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178646
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20241218BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20241218BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20241218BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20241218BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20241218BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/96
B01D53/14 210
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096945
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英介
(72)【発明者】
【氏名】江端 佑介
(72)【発明者】
【氏名】鎌塚 昭光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 統吾
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA12
4D002BA13
4D002CA07
4D002DA31
4D002EA02
4D002EA03
4D002EA08
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB05
4D002GB20
4D002HA08
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
4D020BC01
4D020CB08
4D020CC01
4D020DA01
4D020DA02
4D020DB05
4D020DB15
4G146JA02
4G146JC13
4G146JC28
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素吸収塔内におけるアミン水溶液の液面高さを適切に保持できる二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収装置10aは、アミン水溶液から二酸化炭素が放散されるように構成される二酸化炭素放散塔12と、外部から送給されたガスに含まれる二酸化炭素が二酸化炭素放散塔12から送給されたアミン水溶液に吸収されるように構成される二酸化炭素吸収塔11と、二酸化炭素吸収塔11の内部に存在するアミン水溶液を二酸化炭素放散塔12へ送給するリッチポンプ17と、二酸化炭素吸収塔11の内部に存在するアミン水溶液の液面高さを計測可能な液面高さ計測器16と、アミン水溶液の液面高さの計測結果を用いて二酸化炭素吸収塔11の内部に存在するアミン水溶液の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるようにリッチポンプ17の出力を制御する制御装置22とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素吸収溶液に吸収されている二酸化炭素が前記二酸化炭素吸収溶液から放散されるように構成される二酸化炭素放散塔と、
外部から二酸化炭素を含有するガスが供給されるガス経路および前記二酸化炭素放散塔へ前記二酸化炭素吸収溶液を送給可能な二酸化炭素吸収溶液経路が接続され、前記ガス経路を介して送給された前記ガスに含まれる二酸化炭素が前記二酸化炭素吸収溶液に吸収されるように構成される第一の二酸化炭素吸収塔と、
動作することにより、前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記アミン水溶液を、前記二酸化炭素吸収溶液経路を介して前記二酸化炭素放散塔へ送給するように構成される第一のポンプと、
前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さを計測可能な第一の液面高さ計測器と、
前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さの計測結果を用いて、前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように前記第一のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する制御装置と、
を備える、二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記二酸化炭素吸収溶液経路を通じて前記第一の二酸化炭素吸収塔から前記二酸化炭素放散塔へ送給される前記二酸化炭素吸収溶液の流量を計測するように構成される第一の流量計を備え、
前記制御装置は、前記第一の液面高さ計測器による前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さの計測結果と前記第一の流量計による前記二酸化炭素吸収溶液の流量の計測結果とを用いて、前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように前記第一のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収装置であって、
1基の前記第一の二酸化炭素吸収塔および前記1基の第一の二酸化炭素吸収塔とは異なる1基以上の第二の二酸化炭素吸収塔を含み、前記二酸化炭素吸収溶液が流通可能な中間二酸化炭素吸収溶液経路および前記ガスが流通可能な中間ガス経路により互いに直列にかつ前記第一の二酸化炭素吸収塔が前記二酸化炭素吸収溶液の流れの最も下流側に位置するように接続される複数の二酸化炭素吸収塔と、
動作することにより前記第二の二酸化炭素吸収塔から当該第二の二酸化炭素吸収塔に前記中間二酸化炭素吸収溶液経路を介して接続される他の二酸化炭素吸収塔に前記二酸化炭素吸収溶液を送給するように構成される第二のポンプと、
前記第二の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さを計測可能な第二の液面高さ計測器と、
を備え、
前記制御装置は、前記第二の液面高さ計測器による前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さの計測結果を用いて、前記第二の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように前記第二のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記第二のポンプにより送給される前記二酸化炭素吸収溶液の流量を計測可能に構成される第二の流量計を備え、
前記制御装置は、前記第二の液面高さ計測器による前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さの計測結果、および前記第二の流量計による前記二酸化炭素吸収溶液の流量の計測結果を用いて、前記第二の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように前記第二のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収装置であって、
1基の前記第一の二酸化炭素吸収塔および前記1基の第一の二酸化炭素吸収塔とは異なる単数または複数の第二の二酸化炭素吸収塔を含み、前記二酸化炭素吸収溶液が流通可能な中間二酸化炭素吸収溶液経路および前記ガスが流通可能な中間ガス経路により互いに直列にかつ前記第一の二酸化炭素吸収塔が前記二酸化炭素吸収溶液の流れの最も下流側に位置するように接続される複数の二酸化炭素吸収塔と、
動作することにより前記第二の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する流体を当該第二の二酸化炭素吸収塔に前記中間二酸化炭素吸収溶液経路を介して繋がっている他の二酸化炭素吸収塔に送給するように構成される第二のポンプと、
動作することにより前記二酸化炭素放散塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液を前記単数の第二の二酸化炭素吸収塔または前記複数の第二の二酸化炭素吸収塔のうちの前記二酸化炭素吸収溶液の流れの最も上流側に位置する前記第二の二酸化炭素吸収塔へ送給するように構成される第三のポンプと、
前記第二のポンプにより送給される前記流体の流量を計測可能に構成される第二の流量計、および前記第三のポンプにより送給される前記二酸化炭素吸収溶液の流量を計測可能に構成される第三の流量計と、
を備え、
前記制御装置は、前記第二の二酸化炭素吸収塔から他の前記二酸化炭素吸収塔に送給される流体の流量を、当該第二の二酸化炭素吸収塔に送給される前記二酸化炭素吸収溶液の流量よりも多くなるように、前記第二の流量計による前記流体の流量の計測結果および前記第三の流量計による前記二酸化炭素吸収溶液の流量の計測結果に基づいて、前記第二のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量および前記第三のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する、
二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される二酸化炭素回収装置は、二酸化炭素吸収塔に燃焼排ガスなどといった二酸化炭素の回収の対象となるガス(対象ガス)を導入するとともに、二酸化炭素吸収塔と二酸化炭素放散塔とに二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)を循環させるように構成される。そして、二酸化炭素吸収塔において対象ガスに含まれる二酸化炭素を二酸化炭素吸収溶液に吸収させ、二酸化炭素放散塔において二酸化炭素吸収溶液から二酸化炭素を放散させるとともに、二酸化炭素放散塔において放散させた二酸化炭素を回収するように構成される。
【0003】
1段式の吸収塔または多段式の吸収塔の最下段(二酸化炭素吸収溶液の流れの最も下流側に位置する吸収塔)において、二酸化炭素吸収溶液の液面高さが過剰に高くなると、外部から対象ガスの供給を受ける経路に二酸化炭素吸収溶液が流入するおそれがある。そして、この経路に二酸化炭素吸収溶液が流入すると、この経路を通じて送給される対象ガスの量が減少するほか、流入した二酸化炭素吸収溶液によって当該経路に設けられるポンプが腐食するおそれがある。
【0004】
また、1段式の吸収塔または多段式の吸収塔の最下段において、二酸化炭素吸収溶液の液面高さが過剰に低くなると、二酸化炭素放散塔に二酸化炭素吸収溶液を送給する経路に対象ガスが流入するおそれがある。そして、対象ガスが当該経路を通じて二酸化炭素放散塔に流入すると、二酸化炭素放散塔において二酸化炭素吸収溶液から放出される二酸化炭素に対象ガスが混入するため、回収される二酸化炭素の純度が低下するおそれがある。
【0005】
また、多段式の吸収塔を備える二酸化炭素回収装置においては、最下段以外の吸収塔内の二酸化炭素吸収溶液の液面が過剰に低くなると(または、最下段以外の吸収塔内に二酸化炭素吸収溶液が溜まっていない状態になると)、上段側の吸収塔(二酸化炭素吸収溶液の流れの上流側、かつ、対象ガスの流れの下流側に隣接する吸収塔をいうものとする)から二酸化炭素吸収溶液の供給を受ける経路を介して対象ガスが流入する(還流する)ことがある。その結果、還流した対象ガスの量だけ処理する対象ガスの量が減少する(換言すると、外部から送給される対象ガスの量が減少する)ため、二酸化炭素の吸収の効率が低下する。一方で、各段の吸収塔内の二酸化炭素吸収溶液の液面が過剰に高くなると、二酸化炭素吸収溶液が下段側の吸収塔から対象ガスの供給を受ける経路を塞ぐことにより、下段側からの対象ガスの送給が妨げられるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
上記実情に鑑み、本発明の目的の1つは、吸収塔(1段式の吸収塔、および多段式の各段の吸収塔)における二酸化炭素吸収溶液の液面高さを適切に保持できる二酸化炭素回収装置を提供することである。
【0008】
(課題を解決するための手段)
前記目的を達成するため、本発明に係る二酸化炭素回収装置は、
二酸化炭素吸収溶液に吸収されている二酸化炭素が前記二酸化炭素吸収溶液から放散されるように構成される二酸化炭素放散塔と、
外部から二酸化炭素を含有するガスが供給されるガス経路および前記二酸化炭素放散塔へ前記二酸化炭素吸収溶液を送給可能な二酸化炭素吸収溶液経路が接続され、前記ガス経路を介して送給された前記ガスに含まれる二酸化炭素が前記二酸化炭素吸収溶液に吸収されるように構成される第一の二酸化炭素吸収塔と、
動作することにより、前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液を、前記二酸化炭素吸収溶液経路を介して前記二酸化炭素放散塔へ送給するように構成される第一のポンプと、
前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さを計測可能な第一の液面高さ計測器と、
前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さの計測結果を用いて、前記第一の二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記二酸化炭素吸収溶液の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように前記第一のポンプによる前記二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する制御装置と、を備える。
【0009】
本発明に係る二酸化炭素回収装置によれば、液面高の計測結果に基づいて、第一の二酸化炭素吸収塔の内部に溜まっている二酸化炭素吸収溶液の液面高さを、所定の高さ(目標液面高さ)に保持する。これにより、第一の二酸化炭素吸収塔の内部に溜まっている二酸化炭素吸収溶液が対象ガスの経路に流入することを防止または抑制できる。また、第一の二酸化炭素吸収塔の内部に溜まっている二酸化炭素吸収溶液が第一の二酸化炭素吸収塔の内部の対象ガスが二酸化炭素吸収溶液を放散塔へ送給するための経路を介して放散塔へ流入することを防止または抑制できる。すなわち、液面高さを「外部から吸収塔へのガスの送給が妨げられず、かつ、吸収塔から放散塔へ二酸化炭素吸収溶液を送給する経路にガスが流入しない」ような高さ(適切な高さ)に保持できるか、またはこのような高さに近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の第二実施形態に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の第三実施形態に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の第四実施形態に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の第五実施形態に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、二酸化炭素回収装置を「回収装置」と略し、二酸化炭素吸収塔を「吸収塔」と略し、二酸化炭素放散塔を「放散塔」と略すことがある。また、回収装置による二酸化炭素の回収の対象であるガス(すなわち、二酸化炭素を含有するガス)を「対象ガス」と記すことがある。各図中の実線の矢印は、二酸化炭素吸収溶液の流れの方向を示し、破線の矢印は対象ガスの流れの方向を示す。
【0012】
各実施形態に係る回収装置10a,10b,10c,10d,10eに用いられる二酸化炭素吸収溶液として、アミン水溶液を示す。アミン水溶液に含まれるアミンの種類は特に限定されるものではなく、公知の二酸化炭素回収装置に適用される各種アミンが適用可能である。また、対象ガスの発生源および対象ガスの種類も特に限定されるものではない。例えば、対象ガスの発生源として浸炭炉などが適用され、この場合の対象ガスには浸炭炉の燃焼排ガスが適用される。
【0013】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る回収装置10aの構成を示す模式図である。第一実施形態に係る回収装置10aは、1基の吸収塔11(1段式の吸収塔11)を備える。
図1に示すように、回収装置10aは、吸収塔11、放散塔12(「二酸化炭素再生塔」と称されることもある)、リッチ経路13、リーン経路14、熱交換器15、リッチポンプ17、リーンポンプ18、リボイラー20、凝集器21、および制御装置22を備える。
【0014】
吸収塔11は、本発明の第一の二酸化炭素吸収塔の例である。吸収塔11は、アミン水溶液と対象ガスとを気液接触させることにより、アミン水溶液が二酸化炭素を吸収するように(換言すると、対象ガスから二酸化炭素が除去されるように)構成される。吸収塔11の内部には、対象ガスとアミン水溶液との気液接触を促進するための部材である上部充填材111および下部充填材112が配置される。上部充填材111は吸収塔11の頂部の近傍に配置され、下部充填材112はその下方に配置される。また、吸収塔11の内部であって底部近傍の部分(下部充填材112よりも下方の部分)は、アミン水溶液を貯留可能に構成される。
【0015】
吸収塔11には対象ガス導入経路23の一端が接続される。対象ガス導入経路23は、本発明のガス経路の例である。対象ガス導入経路23は、対象ガスを吸収塔11の内部に送給するための経路であり、その他端は対象ガスの発生源に接続される。なお、対象ガス導入経路23には図略の送気ポンプが設けられており、この送気ポンプが動作することにより対象ガスの発生源から吸収塔11に送給される。なお、対象ガス導入経路23の一端は、吸収塔11の内部(底部)に溜まっているアミン水溶液によって対象ガスの吸収塔11への送給(換言すると対象ガスの流入)が阻害されないように、吸収塔11の内部の底面からある程度上方に離間した位置に接続される。吸収塔11の頂部またはその近傍であって上部充填材111の上方には、対象ガス排出経路24の一端が接続される。対象ガス排出経路24は対象ガスを吸収塔11から排出するための経路であり、その他端は例えば大気開放される。
【0016】
さらに、吸収塔11にはリッチ経路13の一端が接続される。リッチ経路13は、本発明の二酸化炭素吸収溶液経路の例であり、アミン水溶液を吸収塔11から放散塔12に送給するための経路である。リッチ経路13の一端は、吸収塔11に溜まっているアミン水溶液を放散塔12に送給できるように、吸収塔11の底部またはその近傍に接続される。なお、リッチ経路13の一端は、前記の対象ガス導入経路23の一端が接続される位置よりも下方に接続される。吸収塔11の上部であって上部充填材111と下部充填材112との間には、リーン経路14の一端が接続される。
【0017】
放散塔12は、アミン水溶液を加熱することにより、アミン水溶液から二酸化炭素が放散されるように構成される。放散塔12の内部には、アミン水溶液と後述する水蒸気との気液接触を促進するための部材である上部充填材121および下部充填材122が配置される。なお、上部充填材121は頂部近傍に配置され、下部充填材122はその下方に配置される。放散塔12の上部であって上部充填材121と下部充填材122との間にはリッチ経路13の他端が接続され、放散塔12の底部またはその近傍であって下部充填材122の下方には、リーン経路14の他端が接続される。
【0018】
リボイラー20は、アミン水溶液を加熱することにより、アミン水溶液を「二酸化炭素を放散する反応が生じる温度」に加熱できる温度の水蒸気を発生させるように構成される。リボイラー20は、放散塔12の底部にアミン水溶液の経路および水蒸気の経路を介して接続される。そして、リボイラー20は、アミン水溶液の経路を通じて流入したアミン水溶液を加熱して水蒸気を発生させる。リボイラー20において発生した水蒸気は、水蒸気の経路を介して放散塔12の内部に流入する。
【0019】
放散塔12の頂部(またはその近傍)であって上部充填材121の上方には、二酸化炭素排出経路25の一端が接続される。二酸化炭素排出経路25上には凝集器21(冷却器および気液分離器)が配置される。凝集器21は、放散塔12から排出された水蒸気と二酸化炭素との混合気から水蒸気を分離するように構成される。凝集器21は還流経路26により放散塔12に接続される。還流経路26は、凝集器21において発生した凝集水が放散塔12の上部充填材121の上方に還流するように構成される。
【0020】
リッチ経路13上には、リッチポンプ17が設けられる。リッチポンプ17は、本発明の第一のポンプの例である。リッチポンプ17は、動作することにより、吸収塔11の内部(具体的には底部)に溜まっているアミン水溶液を、リッチ経路13を通じて放散塔12に送給するように構成される。リッチポンプ17には公知の電動の送液ポンプが適用される。
【0021】
リーン経路14は、アミン水溶液を放散塔12から吸収塔11に送給するための経路である。リーン経路14の一端は吸収塔11の上部に接続され、リーン経路14の他端は放散塔12の底部に接続される。リーン経路14上にはリーンポンプ18およびリーン流量計19が設けられる。リーンポンプ18は、動作することによって、放散塔12の内部(具体的には底部)に溜まっているアミン水溶液を、リーン経路14を通じて吸収塔11に送給するように構成される。リーンポンプ18には公知の電動の送液ポンプが適用できる。リーン流量計19は、リーン経路14を流れるアミン水溶液の単位時間当たりの流量(以下、「単位時間当たりの流量」を単に「流量」と記す)、すなわち、放散塔12から吸収塔11に送給されるアミン水溶液の流量を計測できる。リーン流量計19には、従来公知の各種の液体の流量を計測できる流量計が適用できる。
【0022】
熱交換器15は、リッチ経路13およびリーン経路14のそれぞれの中間部に配置される。そして、熱交換器15は、リッチ経路13を流れるアミン水溶液とリーン経路14を流れるアミン水溶液との間で熱交換されるように構成される。具体的には、熱交換器15は、リッチ経路13を流れるアミン水溶液を加熱し、リーン経路14を流れるアミン水溶液を冷却するように構成される。
【0023】
吸収塔11に設けられる液面高さ計測器16は、本発明の第一の液面高さ計測器の例である。液面高さ計測器16は、吸収塔11の内部に溜まっているアミン水溶液の液面高さをリアルタイムで継続的に計測可能に構成される。または、液面高さ計測器16は、吸収塔11の内部に溜まっているアミン水溶液の液面高さの演算に用いられる所定の指標をリアルタイムで継続的に計測可能に構成される。この場合、後述する制御装置22は、取得した所定の指標を用いて、吸収塔11の内部に溜まっているアミン水溶液の液面高さを演算する。以下、「吸収塔11の内部に溜まっているアミン水溶液の液面高さ」を、単に「液面高さ」と略して記すことがある。
【0024】
液面高さ計測器16には、例えば超音波距離センサが適用される。この場合、超音波距離センサは、吸収塔11の底部に溜まっているアミン水溶液の液面に向かって超音波を照射し、当該液面で反射した超音波を受信できるように配置される。そして、超音波センサは、「液面高さの演算に用いられる所定の指標」として、「アミン水溶液の液面に超音波を照射してからその反射波を受信するまでの時間」を計測できる。
【0025】
制御装置22は、リッチポンプ17、リーンポンプ18、およびリボイラー20に接続されており、これらを制御できるように構成される。また、制御装置22は、液面高さ計測器16により計測される液面高さをリアルタイムで継続的に取得できる。または、制御装置22は、液面高さ計測器16により計測される前記所定の指標をリアルタイムで継続的に取得し、取得した指標を用いて液面高さをリアルタイムで継続的に演算できる。前記のように、液面高さ計測器16が超音波センサであれば、制御装置22は、超音波センサから取得した「超音波を発してから反射波を受信するまでの時間」と超音波センサの吸収塔11内における配置位置とから、液面高さを演算できる。なお、以下の説明では、「液面高さを計測する」は、「液面高さ計測器により直接的に液面高さを計測する」こと、および「液面高さ計測器により計測された所定の指標から液面高さを演算すること」を含むものとする。さらに、制御装置22は、リーン流量計19に接続されており、リーン流量計19により計測される「放散塔12から吸収塔11に送給されるアミン水溶液の流量」をリアルタイムで継続的に取得できる。
【0026】
制御装置22は、CPU、RAM、ROM、およびI/Fを備えるコンピュータを含む装置である。コンピュータのROMには、回収装置10aを制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。そして、コンピュータのCPUは、ROMに格納されているコンピュータプログラムを読み出し、RAMに展開して(RAMをワークエリアとして用いて)実行する。これにより、回収装置10aが制御される。
【0027】
なお、吸収塔11、放散塔12、リッチ経路13、リーン経路14、リボイラー20、凝集器21、および熱交換器15の構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種の構成が適用できる。
【0028】
次に、回収装置10aの動作について説明する。外部の対象ガスの発生源から対象ガス導入経路23を通じて吸収塔11の内部に流入した対象ガスは、吸収塔11の内部を底部から頂部に向かって上昇移動する。また、リーンポンプ18の動作によってリーン経路14を通じて吸収塔11の内部に流入したアミン水溶液は、吸収塔11の内部を頂部から底部に向かって流下する。そして、吸収塔11の内部に配置される下部充填材112においてアミン水溶液と対象ガスとが気液接触(向流接触)し、これにより対象ガスに含まれる二酸化炭素がアミン水溶液に吸収される。すなわち、対象ガスから二酸化炭素が除去(分離)される。
【0029】
二酸化炭素が除去された対象ガス(オフガスと称されることもある)は、上部充填材111を通過し、対象ガス排出経路24を通じて吸収塔11の外部に排出される。なお、二酸化炭素が除去された対象ガスは、上部充填材111を通過する間に冷却される。このため、対象ガスに含まれる水蒸気は、凝集されることにより対象ガスから除去される。
【0030】
二酸化炭素を吸収したアミン水溶液は、吸収塔11の底部に溜まる。前記のとおり、吸収塔11には液面高さ計測器16が設けられており、この液面高さ計測器16により液面高さがリアルタイムで継続的に計測される。そして、制御装置22は、液面高さ計測器16による液面高さの計測結果をリアルタイムで継続的に取得する。
【0031】
吸収塔11の底部に溜まったアミン水溶液は、リッチポンプ17の動作により、リッチ経路13を通じて熱交換器15を経由して放散塔12に送給される。リッチ経路13を通じて吸収塔11から放散塔12に送給されるアミン水溶液は、熱交換器15においてリーン経路14を流通するアミン水溶液と熱交換することにより加熱され(予熱され、ということもできる)、その後、放散塔12の上部からその内部に流入する。
【0032】
放散塔12に流入したアミン水溶液は、下部充填材122を通過して放散塔12の底部に溜まる。放散塔12の底部に溜まったアミン水溶液の一部は、リボイラー20に流入し、リボイラー20により加熱される。リボイラー20において発生した水蒸気は、放散塔12の内部に流入し、その後、放散塔12の底部から下部充填材122を通過して上昇する。そして、水蒸気は、下部充填材122において頂部から流下するアミン水溶液と向流接触(気液接触)する。これにより、頂部から流下するアミン水溶液が加熱され、アミン水溶液から二酸化炭素が放散される。
【0033】
アミン水溶液の加熱により発生した水蒸気およびアミン水溶液から放散された二酸化炭素の混合気は、放散塔12の上部充填材121を通過し、放散塔12の頂部に接続されている二酸化炭素排出経路25を通じて放散塔12の外部に流出する。そして、二酸化炭素排出経路25上に配置される凝集器21において、この混合気から水蒸気が除去される。凝集器21において発生した凝集水は、還流経路26を通じて放散塔12の上部充填材121に送給される。これにより、凝縮水は上部充填材121を通過する混合気の冷却に用いられる。
【0034】
放散塔12の底部に溜まったアミン水溶液は、リーンポンプ18の動作により、リーン経路14を通じて吸収塔11に向けて送給される。リーン経路14を流れるアミン水溶液は、熱交換器15においてリッチ経路13を流れるアミン水溶液と熱交換する。これにより、リーン経路14を放散塔12から吸収塔11に向けて送給されるアミン水溶液が冷却される。そして、熱交換器15を通過したアミン水溶液は、吸収塔11の上部からその内部に送給される。吸収塔11の内部に送給されたアミン水溶液は、吸収塔11の内部を流下し、その間に対象ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する。
【0035】
このように、リッチポンプ17とリーンポンプ18との動作により、アミン水溶液は、吸収塔11、リッチ経路13、放散塔12、リーン経路14、の順に循環する。そして、アミン水溶液は、循環している間に、吸収塔11において対象ガスに含まれる二酸化炭素を吸収し、放散塔12において二酸化炭素を放散する、という反応を繰り返す。
【0036】
次に、制御装置22の動作について説明する。
【0037】
前記のとおり、吸収塔11の底部にはリッチ経路13の一端が接続される。このため、液面高さが過剰に低いと、または吸収塔11の底部にアミン水溶液が溜まっていないと、リッチ経路13の一端がアミン水溶液に覆われなくなる(換言するとリッチ経路13がアミン水溶液により液封されなくなる)。そしてこの場合には、吸収塔11の内部の対象ガスの一部がリッチ経路13を通じて放散塔12に流入し、対象ガスがアミン水溶液から放出される二酸化炭素に混入するおそれがある。対象ガスが二酸化炭素に混入すると、回収装置10aにより回収される二酸化炭素の純度が低下する。一方、液面高さが過剰に高くなると、アミン水溶液によって対象ガス導入経路23の一端が塞がれ、その結果、対象ガス導入経路23を通じた対象ガスの送給(流入)が阻害されるおそれがある。また、アミン水溶液が対象ガス導入経路23を逆流することにより、対象ガス導入経路23および対象ガス導入経路23上に設けられる送気ポンプが腐食するおそれがある。
【0038】
このため、液面高さは、適切な高さ、すなわち「アミン水溶液によってリッチ経路13を液封でき、かつ、アミン水溶液が対象ガス導入経路23の一端を塞がない(アミン水溶液が対象ガス導入経路23に流入しない)」高さに保持されることが求められる。そこで、このような適切な液面高さが予め目標液面高さとして設定される。この目標液面高さは、ある所定の範囲を有してもよい。そして、制御装置22は、実際の液面高さが目標液面高さになるように(または実際の液面高さが目標液面高さに近づくように)、リッチポンプ17の出力を制御する。例えば、制御装置22は、液面高さを制御量としてリッチポンプ17の出力をフィードバック制御(より具体的にはPID制御)する。なお、「リッチポンプ17の出力を制御する」とは、「リッチポンプ17によるアミン水溶液の流量(送給量)を制御する」ということもできる(他のポンプも同様である)。なお、目標液面高さは、あらかじめ制御装置22のROMに格納されている。そして、制御装置22は、リッチポンプ17の制御の際に、目標液面高さをROMから読み出して使用する。
【0039】
具体的には、制御装置22は、吸収塔11の液面高さをリアルタイムで継続的に取得する。さらに、制御装置22は、取得した液面高さを用いて、液面高さの時間に対する変化率(以下、単に「変化率」と記すことがある)を継続的に演算する。そして、制御装置22は、液面高さと変化率のとの組合わせに応じて、リッチポンプ17の出力を制御する。
【0040】
例えば、現在の液面高さが目標液面高さであり、変化率の絶対値の大きさが所定の閾値以内である場合、制御装置22は、リッチポンプ17の出力を現在の出力に保持する。現在の液面高さが目標液面高さであり、変化率の絶対値の大きさが所定の閾値超でありかつ変化率が正値である場合(すなわち、液面高さが上昇中である場合)、制御装置22は、リッチポンプ17の出力を現在の出力から上昇させる。現在の液面高さが目標液面高さであり、変化率の絶対値の大きさが所定の閾値超でありかつ変化率が負値である場合(すなわち、液面高さが下降中である場合)、制御装置22は、リッチポンプ17の出力を現在の出力から低下させる。
【0041】
また、現在の液面高さが目標液面高さより高い場合、制御装置22は、リッチポンプ17の出力を現在の出力から上昇させる。この場合、制御装置22は、変化率に応じて出力の上昇の程度を調整する。具体的には、変化率が大きいほど出力の上昇の程度を大きくする。一方、現在の液面高さが目標液面高さより低い場合、制御装置22は、リッチポンプ17の出力を現在の出力から低下させる。この場合にも、制御装置22は、変化率に応じて出力の低下の程度を調整する。具体的には、変化率が大きいほど出力の低下の程度を大きくする。ただし、制御装置22によるリッチポンプ17の制御方法は、前記方法に限定されない。
【0042】
なお、本実施形態では、制御装置22は、放散塔12から吸収塔11に送給されるアミン水溶液の流量が目標流量になるように(または目標流量に近づくように)、リーン流量計19によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づいて、リーンポンプ18の出力を制御する。このような制御としては、例えば、アミン水溶液の流量の計測結果を用いるフィードバック制御(アミン水溶液の流量を制御量として用いるフィードバック制御)が適用できる。なお、目標流量はあらかじめ規定されており、あらかじめ制御装置22のROMに格納されている。
【0043】
このような構成によれば、液面高さを目標液面高さに保持または目標液面高さに近づけることができる。すなわち、液面高さを適切な高さに保持できる。このため、液面高さが過剰に低くなることにより(またはアミン水溶液が無くなることにより)対象ガスがリッチ経路13を介して放散塔12に流入することが防止または抑制される。このため、回収装置10aにより回収される二酸化炭素の純度の低下を防止または抑制できる。また、このような構成によれば、液面高さが過剰に高くなってアミン水溶液が対象ガス導入経路23を塞ぐことまたは対象ガス導入経路23に流入することが防止または抑制できる。このため、対象ガスの吸収塔11への送給が阻害されることが防止または抑制されるとともに、アミン水溶液による対象ガス導入経路23の構成部材やポンプの腐食を防止または抑制できる。
【0044】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態について説明する。
図2は、第二実施形態に係る回収装置10bの構成を示す模式図である。なお、第一実施形態と共通の構成には第一実施形態と同じ符号を付して示し、説明を省略することがある。
図2に示すように、第二実施形態に係る回収装置10bは、リッチ流量計30を備える。それ以外は第一実施形態と共通の構成が適用できる。
【0045】
リッチ流量計30は、リッチ経路13を吸収塔11から放散塔12へ向けて流れるアミン水溶液の流量、すなわち、吸収塔11から放散塔12へ送給されるアミン水溶液の流量をリアルタイムで継続的に計測するように構成される。制御装置22はリッチ流量計30と接続されており、リッチ流量計30によるアミン水溶液の流量の計測結果をリアルタイムで取得できる。なお、リッチ流量計30の構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種の液体の流量を計測できる流量計が適用できる。
【0046】
制御装置22は、リーン流量計19による「吸収塔11に送給されるアミン水溶液の流量の計測結果」およびリッチ流量計30による「吸収塔11から放散塔12へ送給されるアミン水溶液の流量の計測結果」をリアルタイムで継続的に取得する。そして、制御装置22は、両者の値と目標流量とを比較し、両者の値が目標流量になるように、または目標流量に近づくように、リーンポンプ18およびリッチポンプ17の出力を制御する。
【0047】
また、制御装置22は、第一実施形態と同様に吸収塔11の液面高さをリアルタイムで継続的に計測するとともに液面高さの変化率を演算する。そして、制御装置22は、第一実施形態と同様に液面高さと変化率とに応じて、リッチポンプ17の出力を制御する。
【0048】
この場合、制御装置22は、まず、吸収塔11から放散塔12に送給されるアミン水溶液の流量および放散塔12から吸収塔11に送給されるアミン水溶液の流量がそれぞれ目標流量になるように、リッチ流量計30およびリーン流量計19による計測結果に基づいてリッチポンプ17およびリーンポンプ18の出力を制御する。例えば、制御装置22は、吸収塔11から放散塔12に送給されるアミン水溶液の流量を制御量として、リッチポンプ17の出力をフィードバック制御する。同様に、制御装置22は、放散塔12から吸収塔11に送給されるアミン水溶液の流量がそれぞれを制御量として、リーンポンプ18の出力をフィードバック制御する。そして、制御装置22は、両者の値が目標流量になった後は、液面高さおよび変化率に基づいて、吸収塔11の液面高さが目標液面高さを保持するように、または目標液面高さに近づくように、リッチポンプ17の出力を制御する。
【0049】
また、制御装置22は、リッチ流量計30によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づくリッチポンプ17の出力の制御と、液面高さおよびその変化率に基づくリッチポンプ17の出力の制御とを並列的に実行してもよい。例えば、液面高さが目標液面高さである間は、制御装置22は、リッチ流量計30による計測結果に基づいて、吸収塔11から放散塔12に送給されるアミン水溶液の単位時間当たりの流量が目標流量を保持するように、リッチポンプ17の出力を制御する。そして、液面高さが目標液面高さから外れた場合(または液面高さが目標液面高さから外れそうな場合)には、液面高さおよび変化率に基づいてリッチポンプ17の出力を制御する。
【0050】
第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第二実施形態によれば、リッチ流量計30によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づいてリッチポンプ17の出力を制御するため、液面高さおよび変化率のみを用いる制御に比較して、アミン水溶液の流量を目標流量に保持すること(または目標流量に近づけること)が容易であるとともに、アミン水溶液の流量を安定させることができる。
【0051】
<第三実施形態>
次に第三実施形態について説明する。
図3は、第三実施形態に係る回収装置10cの構成を示す模式図である。第三実施形態に係る回収装置10cは、複数の吸収塔11U,11M,11D(換言すると多段式の吸収塔)を備える。すなわち、第三実施形態に係る回収装置10cは、第一実施形態に係る回収装置10aの吸収塔(本発明の第一の二酸化炭素吸収塔)のアミン水溶液の流れの上流側に、前記吸収塔とは異なる他の吸収塔(本発明の第二の二酸化炭素吸収塔)が追加された構成を備える、ということができる。
【0052】
なお、
図3および以下の説明においては、3基の吸収塔11U,11M,11D(3段式の吸収塔)を備える構成を例示する。そして、説明の便宜上、3基の吸収塔について、アミン水溶液の流れの最上流に位置する吸収塔を「最上段吸収塔11U」と記し、最下流に位置する吸収塔を「最下段吸収塔11D」と記し、それらの間に位置する吸収塔を「中間段吸収塔11M」と記して区別することがある。ただし、回収装置10cが備える吸収塔の数(吸収塔の段数)は限定されない。
【0053】
最下段吸収塔11Dは本発明の第一の二酸化炭素吸収塔の例である。最上段吸収塔11Uおよび中間段吸収塔11Mは本発明の第二の二酸化炭素吸収塔の例である。なお、各段の吸収塔11U,11M,11Dのそれぞれの内部には、第一実施形態の吸収塔11と同様に上部充填材111と下部充填材112とが設けられる。また、最下段吸収塔11D、中間段吸収塔11M、および最上段吸収塔11Uは、いずれも、第一実施形態の吸収塔11と同様に、内部(底部)にアミン水溶液を貯留できるように構成される。
【0054】
最下段吸収塔11Dには対象ガス導入経路23の一端および中間送気経路34の一端が接続される。対象ガス導入経路23は、対象ガスを最下段吸収塔11Dの内部に導入するための経路であり、その他端は対象ガスの発生源に接続される。なお、対象ガス導入経路23の一端は、最下段吸収塔11Dの内部に溜まっているアミン水溶液によって対象ガスの最下段吸収塔11Dへの送給が阻害されないように、最下段吸収塔11Dの内部の底面からある程度上方に離間した位置(ただし下部充填材112よりは下方の位置)に接続される。中間送気経路34は、最下段吸収塔11Dから中間段吸収塔11Mへ対象ガスを送給するための経路である。中間送気経路34の一端は、最下段吸収塔11Dの上端部近傍であって上部充填材111の上方に接続される。
【0055】
最下段吸収塔11Dにはリッチ経路13の一端が接続される。リッチ経路13は、アミン水溶液を最下段吸収塔11Dから放散塔12に送給するための経路である。リッチ経路13の一端は、最下段吸収塔11Dの内部に溜まっているアミン水溶液を放散塔12へ送給できるように、最下段吸収塔11Dの底部またはその近傍で、かつ、対象ガス導入経路23の一端が接続される位置よりも下方に接続される。このほか、最下段吸収塔11Dには中間送液経路32の一端が接続される。中間送液経路32は、中間段吸収塔11Mから最下段吸収塔11Dへアミン水溶液を送給するための経路である。中間送液経路32の一端は、最下段吸収塔11Dの下部充填材112にアミン水溶液を流すことができるように、下部充填材112の上方かつ上部充填材111の下方に接続される。
【0056】
中間段吸収塔11Mには中間送気経路34の他端および中間送気経路33の一端が接続される。中間送気経路33,34は、本発明の中間ガス経路の例である。中間送気経路34の他端は、最下段吸収塔11Dからの対象ガスの流入が中間段吸収塔11Mの内部に溜まっているアミン水溶液によって阻害されないように、中間段吸収塔11Mの内部の底面からある程度上方に離間した位置(ただし下部充填材112よりは下方の位置)に接続される。中間送気経路33は、中間段吸収塔11Mから最上段吸収塔11Uへ対象ガスを送給するための経路である。中間送気経路33の一端は、中間段吸収塔11Mの上端部近傍であって上部充填材111の上方に接続される。
【0057】
中間段吸収塔11Mには中間送液経路32の他端が接続される。中間送液経路32の他端は、中間段吸収塔11Mの内部に溜まっているアミン水溶液を最下段吸収塔11Dへ送給できるように、中間段吸収塔11Mの底部またはその近傍で、かつ、中間送気経路34の他端が接続される位置よりも下方に接続される。このほか、中間段吸収塔11Mには中間送液経路31の一端が接続される。中間送液経路31は、最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへアミン水溶液を送給するための経路である。中間送液経路31の一端は、中間段吸収塔11Mの下部充填材112にアミン水溶液を流すことができるように、下部充填材112の上方かつ上部充填材111の下方に接続される。
【0058】
最上段吸収塔11Uには中間送気経路33の他端および対象ガス排出経路24の一端が接続される。中間送気経路33の他端は、中間段吸収塔11Mからの対象ガスの流入が最上段吸収塔11Uの内部に溜まっているアミン水溶液によって阻害されないように、最上段吸収塔11Uの内部の底面からある程度上方に離間した位置(ただし下部充填材112よりは下方の位置)に接続される。対象ガス排出経路24は、対象ガスを最上段吸収塔11Uから外部へ排出するための経路である。対象ガス排出経路24の一端は、最上段吸収塔11Uの上端部近傍であって上部充填材111の上方に接続される。
【0059】
最上段吸収塔11Uには中間送液経路31の他端が接続される。中間送液経路31の他端は、最上段吸収塔11Uの内部に溜まっているアミン水溶液を中間段吸収塔11Mへ送給できるように、最上段吸収塔11Uの底部またはその近傍で、かつ、中間送気経路33の他端が接続される位置よりも下方に接続される。このほか、最上段吸収塔11Uにはリーン経路14の一端が接続される。リーン経路14は、放散塔12から最上段吸収塔11Uへアミン水溶液を送給するための経路である。リーン経路14の一端は、最上段吸収塔11Uの下部充填材112にアミン水溶液を流すことができるように、下部充填材112の上方かつ上部充填材111の下方に接続される。
【0060】
各中間送液経路31,32には、中間ポンプ35,36が設けられる。中間ポンプ35,36は、本発明の第二のポンプの例である。中間ポンプ35は、動作することにより、最上段吸収塔11Uの内部に溜まっているアミン水溶液を中間段吸収塔11Mへ送給できるように構成される。中間ポンプ36は、動作することにより、中間段吸収塔11Mの内部に溜まっているアミン水溶液を最下段吸収塔11Dへ送給できるように構成される。
【0061】
このように、各段の吸収塔11U,11M,11Dは、対象ガスが最下段吸収塔11D、中間段吸収塔11M、最上段吸収塔11Uの順に流れるように、中間送気経路33,34によって互いに直列に接続される。また、各段の吸収塔11U,11M,11Dは、アミン水溶液が最上段吸収塔11U、中間段吸収塔11M、最下段吸収塔11Dの順に流れるように、中間送液経路31,32によって互いに直列に接続される。
【0062】
各段の吸収塔11U,11M,11Dには、液面高さ計測器16U,16M,16Dが設けられる。最下段吸収塔11Dに設けられる液面高さ計測器16Dが本発明の第一の液面高さ計測器の例であり、最上段吸収塔11Uと中間段吸収塔11Mのそれぞれに設けられる液面高さ計測器16U,16Mが本発明の第二の液面高さ計測器の例である。液面高さ計測器16U,16M,16Dは、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さをリアルタイムで継続的に計測できる。
【0063】
第三実施形態に係る回収装置10cの基本的な動作は次のとおりである。放散塔12の内部に溜まっているアミン水溶液は、リーンポンプ18の動作によって、リーン経路14を通じて最上段吸収塔11Uに送給される。最上段吸収塔11Uに送給されたアミン水溶液は、下部充填材112を伝って流下し、最上段吸収塔11Uの内部(具体的には底部)に溜まる。最上段吸収塔11Uの内部に溜まったアミン水溶液は、中間ポンプ35の動作によって、中間送液経路31を通じて中間段吸収塔11Mに送給される。以降、アミン水溶液は、中間段吸収塔11M、中間送液経路32を経て最下段吸収塔11Dの内部に溜まり、リッチポンプ17の動作によって、リッチ経路13を通じて放散塔12に送給される。そして、アミン水溶液は、最下段吸収塔11D、中間段吸収塔11M、および最上段吸収塔11Uの内部を流れている間に、対象ガスと接触して対象ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する。
【0064】
一方、対象ガス導入経路23を通じて最下段吸収塔11Dの内部に流入した対象ガスは、最下段吸収塔11D、中間送気経路34、中間段吸収塔11M、中間送気経路33,最上段吸収塔11Uの順に流れる。そして、対象ガスに含まれる二酸化炭素は、最下段吸収塔11D、中間段吸収塔11M、および最上段吸収塔11Uの内部を流れている間に、アミン水溶液と接触して吸収される。このため、対象ガスの二酸化炭素濃度は順次低くなる。その後、対象ガスは、対象ガス排出経路24を通じて回収装置10cの外部に排出される。
【0065】
このような複数の吸収塔11U,11M,11D(多段式の吸収塔)を備える回収装置10cにおいて、最下段吸収塔11Dの内部に溜まっているアミン水溶液の液面高さが過剰に低い場合、または過剰に高い場合には、第一実施形態と同様の問題が生じるおそれがある。
【0066】
さらに、中間段吸収塔11Mの液面高さが過剰に低い場合、中間段吸収塔11Mの内部に存在する対象ガスの一部が、中間送液経路32を通じて最下段吸収塔11Dに戻るおそれがある。そして、対象ガスの一部が最下段吸収塔11Dに戻ると、対象ガス導入経路23を通じて最下段吸収塔11Dに導入された対象ガスと中間送液経路32を通じて最下段吸収塔11Dに戻った対象ガスとが、中間送気経路34を通じて中間段吸収塔11Mに流入する。このため、中間送液経路32を通じて最下段吸収塔11Dに戻った対象ガスの量だけ、外部から導入される対象ガスが減少する。したがって、回収装置10cが処理する対象ガスの量が減少する。換言すると、回収装置10cの効率が低下する。同様に、最上段吸収塔11Uの液面高さが過剰に低い場合には、最上段吸収塔11Uの内部に存在する対象ガスの一部が、中間送液経路31を通じて中間段吸収塔11Mに戻るおそれがある。このためこの場合にも、前記同様の問題が生じるおそれがある。
【0067】
一方、最上段吸収塔11Uの液面高さが過剰に高い場合、アミン水溶液が中間送気経路33の他端を塞ぐことにより、中間段吸収塔11Mから最上段吸収塔11Uへの対象ガスの流入が阻害されるおそれがある。同様に、中間段吸収塔11Mの液面高さが過剰に高い場合は、アミン水溶液が中間送気経路34の他端を塞ぐことにより、最下段吸収塔11Dから中間段吸収塔11Mへの対象ガスの流入が阻害されるおそれがある。このため、回収装置10cが処理できる対象ガスの量が減少するおそれがある。換言すると、回収装置10cの効率が低下するおそれがある。
【0068】
第三実施形態では、制御装置22は、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さ計測器16U,16M,16Dによる各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さの計測結果を、リアルタイムで継続的に取得する。さらに、制御装置22は、取得した液面高さの計測結果から、各段の吸収塔11U,11M,11Dの変化率をリアルタイムで継続的に演算する。そして、制御装置22は、液面高さおよび変化率に応じて、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さが目標液面高さになるように(または目標液面高さに近づくように)、リッチポンプ17および中間ポンプ35,36の出力(アミン水溶液の流量)を制御する。リッチポンプ17および中間ポンプ35,36の出力の制御方法は第一実施形態と同じである。
【0069】
このような構成によれば、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さを目標液面高さに保持できるか、または目標液面高さに近づけることができる。すなわち、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さを適切な高さに保持できる。このため、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さが過剰に低くなることにより(またはアミン水溶液が無くなることにより)対象ガスが下段側に隣接する他の吸収塔11M,11Dに流入すること、および、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さが過剰に高くなることによりアミン水溶液が下段側に隣接する他の吸収塔11M,11Dに流入することを防止または抑制できる。そしてこれにより、回収装置10cにより回収される二酸化炭素の純度の低下を防止または抑制できる。また、アミン水溶液が中間送気経路33,34に流入することが防止または抑制されることにより、対象ガスの中間送気経路33,34を通じた各段の吸収塔11U,11Mへの流入が阻害されることが防止または抑制される。
【0070】
<第四実施形態>
次に、第四実施形態について説明する。
図4は、第四実施形態に係る回収装置10dの構成を示す模式図である。
図4に示すように、回収装置10dは多段式の吸収塔(吸収塔11U,11M,11D)を備える。さらに、回収装置10dは、リッチ流量計30と、中間流量計37,38とを備える。なお、各段の吸収塔11U,11M,11Dの構成、および相互の接続の態様は、第三実施形態と共通である。
【0071】
リッチ流量計30は、第二実施形態のリッチ流量計30と同様に、「最下段吸収塔11Dから放散塔12に送給されるアミン水溶液の流量」をリアルタイムで継続的に計測できる。中間流量計37は、「最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mに送給されるアミン水溶液の流量」をリアルタイムで継続的に計測できる。中間流量計38は、「中間段吸収塔11Mから最下段吸収塔11Dに送給されるアミン水溶液の流量」をリアルタイムで継続的に計測できる。また、制御装置22は、これらの中間流量計37,38による計測結果をリアルタイムで取得できる。なお、それ以外は第三実施形態に係る回収装置10cと同様の構成が適用できる。このため、第四実施形態に係る回収装置10dは、第三実施形態に係る回収装置10cに、リッチ流量計30および中間流量計37,38が追加された構成を備える、ということもできる。
【0072】
制御装置22は、リーン流量計19による「最上段吸収塔11Uに送給されるアミン水溶液の流量の計測結果」、中間流量計37による「中間段吸収塔11Mに送給されるアミン水溶液の流量の計測結果」、中間流量計38による「最下段吸収塔11Dに送給されるアミン水溶液の流量の計測結果」、およびリッチ流量計30による「吸収塔11から放散塔12へ送給されるアミン水溶液の流量の計測結果」をリアルタイムで継続的に取得する。そして、制御装置22は、これらの値と目標流量とを比較し、これらの値が目標流量になるように、または目標流量に近づくように、リーンポンプ18、中間ポンプ35,36、およびリッチポンプ17の出力を制御する。
【0073】
また、制御装置22は、第一実施形態と同様に各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さをリアルタイムで継続的に計測するとともに液面高さの変化率を演算する。そして、制御装置22は、第一実施形態と同様に液面高さと変化率とに応じて、中間ポンプ35,36およびリッチポンプ17の出力を制御する。
【0074】
この場合、制御装置22は、まず、最下段吸収塔11Dから放散塔12に送給されるアミン水溶液の流量、放散塔12から最上段吸収塔11Uに送給されるアミン水溶液の流量、最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mに送給されるアミン水溶液の流量、および中間段吸収塔11Mから最下段吸収塔11Dに送給されるアミン水溶液の流量が、それぞれ目標流量になるように、リッチ流量計30、中間流量計37,38、およびリーン流量計19による計測結果に基づいてリッチポンプ17、中間ポンプ35,36およびリーンポンプ18の出力を制御する。そして、制御装置22は、これらの値が目標流量になった後は、液面高さおよび変化率に基づいて、各段の吸収塔11U,11M,11Dの液面高さが目標液面高さを保持するように、または目標液面高さに近づくように、中間ポンプ35,36およびリッチポンプ17の出力を制御する。
【0075】
また、制御装置22は、第二実施形態と同様に、リッチ流量計30によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づくリッチポンプ17の出力の制御と、液面高さおよびその変化率に基づくリッチポンプ17の出力の制御とを並列的に実行してもよい。さらに、制御装置22は、中間流量計37,38によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づく中間ポンプ35,36の出力の制御と、液面高さおよびその変化率に基づく中間ポンプ35,36の出力の制御とを並列的に実行してもよい。
【0076】
本実施形態によれば、第三実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、多段式の吸収塔を備える回収装置10cにおいて、1段式の吸収塔を備える第二実施形態に係る回収装置10bと同様の効果を奏することができる。なお、第四実施形態に係る回収装置10dはリッチ流量計30を備えなくてもよい。この場合、リッチポンプ17の出力の制御は、第三実施形態と同じ方法が適用できる。
【0077】
<第五実施形態>
次に第五実施形態について説明する。
図5は、第五実施形態に係る回収装置10eの構成を示す模式図である。第五実施形態に係る回収装置10eは、第三実施形態と同様に、多段式の吸収塔(吸収塔11U,11M,11D)を備える。なお、各段の吸収塔11U,11M,11Dの構成、および各段の吸収塔11U,11M,11Dの接続の態様は、第三実施形態と同じである。
【0078】
図5に示すように、第五実施形態に係る回収装置10eは、各中間送液経路31,32に設けられる中間ポンプ35,36および中間流量計37,38と、最下段吸収塔11D(すなわち、本発明の第一の二酸化炭素吸収塔)に設けられる液面高さ計測器16Dと、リッチ経路13上に設けられるリッチポンプ17とを備える。中間ポンプ35,36が本発明の第二のポンプの例であり、リーンポンプ18が本発明の第三のポンプの例である。ただし、中間段吸収塔11Mおよび最上段吸収塔11U(すなわち、本発明の第二の二酸化炭素吸収塔)には液面高さ計測器が設けられない。このため、第五実施形態に係る回収装置10eは、第三実施形態に係る回収装置10cから、最上段吸収塔11Uおよび中間段吸収塔11M(すなわち、本発明の第二の二酸化炭素吸収塔)の液面高さ計測器が除去され、中間送液経路31,32に第四実施形態と同様の中間流量計37,38が設けられた構成を備える、ということもできる。なお、中間流量計37,38は、液体と気体が混合している流体の流量を計測可能に構成される。
【0079】
制御装置22は、リーン流量計19により計測される「最上段吸収塔11Uへ送給されるアミン水溶液の流量」、中間流量計37により計測される「最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ送給されるアミン水溶液の流量」、および中間流量計38により計測される「中間段吸収塔11Mから最下段吸収塔11Dへ送給されるアミン水溶液の流量」をリアルタイムで継続的に取得する。すなわち、制御装置22は、各段の吸収塔11U,11M,11Dに送給されるアミン水溶液の流量をリアルタイムで継続的に取得する。
【0080】
そして、制御装置22は、「最上段吸収塔11Uへ送給されるアミン水溶液の流量」があらかじめ決定される目標値である目標流量になるように、または目標流量に近づくように、リーン流量計19によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づいて、リーンポンプ18の出力を制御する。また、制御装置22は、最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ送給される流体の流量が、放散塔12から最上段吸収塔11Uへ送給されるアミン水溶液の流量よりも多くなるように、リーン流量計19および中間流量計37によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づいて、中間ポンプ35の出力を制御する。同様に、制御装置22は、中間段吸収塔11Mから最下段吸収塔11Dへ送給される流体の流量が、最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ送給されるアミン水溶液の流量よりも多くなるように、中間流量計37および中間流量計38によるアミン水溶液の流量の計測結果に基づいて、中間ポンプ36の出力を制御する。
【0081】
例えば、制御装置22は、リーン流量計19および中間流量計37によるアミン水溶液の流量の計測結果と中間流量計37による流体の流量の計測結果の差分を演算し、演算した差分が所定の目標値になるように、中間ポンプ35の出力を制御する。なお、この場合、リーンポンプ18の出力は、最上段吸収塔11Uへ送給されるアミン水溶液の流量が所定の目標値になるように制御される。同様に、制御装置22は、中間流量計37および中間流量計38による流体の流量の計測結果の差分を演算し、演算した差分が所定の値(目標値)になるように、中間ポンプ36の出力を制御する。すなわち、制御装置22は、これらの差分を制御量としてフィードバック制御を行う。
【0082】
中間ポンプ35の出力が、「最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ送給される流体の流量が、放散塔12から最上段吸収塔11Uへ送給されるアミン水溶液の流量よりも多くなるよう」に制御されると、「最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ送給されるアミン水溶液」の全量と、中間ポンプ35の出力の大きさに応じた量の「最上段吸収塔11Uに存在する対象ガス」とが、最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ送給される。このため、最上段吸収塔11Uは内部にアミン水溶液が溜まらない状態に保持されるとともに、中間ポンプ35の出力に応じた量の対象ガスが中間段吸収塔11Mに戻る。中間ポンプ36および中間段吸収塔11Mについても同様である。
【0083】
制御装置22は、最下段吸収塔11Dの液面高さ計測器16Dによる液面高さの計測結果をリアルタイムで継続的に取得するとともに、最下段吸収塔11Dの液面高さの変化率をリアルタイムで継続的に演算する。そして、制御装置22は、液面高さおよび変化率に応じて、最下段吸収塔11Dの液面高さが目標液面高さになるように(または目標液面高さに近づくように)、リッチポンプ17の出力(アミン水溶液の流量)を制御する。リッチポンプ17の出力の制御方法は第一実施形態と同じである。
【0084】
このように、制御装置22は、最下段吸収塔11Dの内部にアミン水溶液が溜まった状態に保持され、最下段以外の吸収塔11U,11Mの内部にはアミン水溶液が溜まらない状態に保持されるように、中間ポンプ35,36およびリッチポンプ17の出力を制御する。
【0085】
このような制御によれば、最上段吸収塔11Uおよび中間段吸収塔11Mは内部にアミン水溶液が溜まらない状態に保持される。このため、中間送気経路33を通じた最上段吸収塔11Uへの対象ガスの流入が阻害されない。同様に、中間送気経路34を通じた中間段吸収塔11Mへの対象ガスの流入が阻害されない。したがって、回収装置10eの効率の低下を防止または抑制できる。
【0086】
一方で、中間ポンプ35,36の出力が大きくなるにしたがって、最上段吸収塔11Uから中間段吸収塔11Mへ戻る対象ガスの流量、および中間段吸収塔11Mから最下段吸収塔11Dへ戻る対象ガスの量が多くなる。すなわち、アミン水溶液の流れの上流側(上段側)の吸収塔から下流側(下段側)の吸収塔に戻る対象ガスの量が多くなる。そして、下流側の吸収塔に戻る対象ガスの量が多くなると、前記のとおり回収装置10eの効率が低下する。そこで、制御装置22は、最下段吸収塔11Dを除く各段の吸収塔11U,11Mからそれぞれ下流側に隣接する吸収塔11M,11Dへ送給される流体の流量が、当該各段の吸収塔11U,11Mへ送給されるアミン水溶液の流量よりも多くなるが、その差分ができるだけ小さくなるように、各中間ポンプ35,36の出力を制御する。
【0087】
このような制御によれば、中間送気経路33,34がアミン水溶液に塞がれることによる最下段吸収塔11D以外の各段の吸収塔11U,11Mへの対象ガスの流入が阻害されることを防止または抑制しつつ、中間送液経路31,32を通じて対象ガスが下流側の吸収塔11M,11Dに戻ることを防止もしくは抑制できる。したがって、回収装置10eの効率の低下を防止または抑制できる。
【0088】
そして、第五実施形態によれば、最下段以外の吸収塔11U,11Mには液面高さ計測器が不要である。また、リッチポンプ17の出力は最下段吸収塔11Dの液面高さに基づいて制御されるため、第四実施形態のリッチ流量計30に相当する流量計は不要である。
【0089】
<実施形態のまとめ>
各実施形態に係る回収装置10a,10b,10c,10d,10eは、
二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)に吸収されている二酸化炭素が二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)から放散されるように構成される二酸化炭素放散塔(放散塔12)と、
外部から二酸化炭素を含有するガス(対象ガス)が供給されるガス経路(対象ガス導入経路23)および二酸化炭素放散塔(放散塔12)へ二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)を送給可能な二酸化炭素吸収溶液経路(リッチ経路13)が接続され、ガス経路(対象ガス導入経路23)を介して送給されたガス(対象ガス)に含まれる二酸化炭素が二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)に吸収されるように構成される第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)と、
動作することにより、第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)を、二酸化炭素吸収溶液経路(リッチ経路13)を介して二酸化炭素放散塔(放散塔12)へ送給するように構成される第一のポンプ(リッチポンプ17)と、
第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さを計測可能な第一の液面高さ計測器(液面高さ計測器16,16D)と、
二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さの計測結果を用いて、第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように第一のポンプ(リッチポンプ17)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を制御する制御装置22と、を備える。
【0090】
本発明の各実施形態に係る回収装置10a,10b,10c,10d,10eによれば、第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)の液面高さを目標液面高さに保持または目標液面高さに近づけることができる。このため、液面高さが過剰に低くなることにより(または二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が無くなることにより)ガス(対象ガス)が二酸化炭素吸収溶液経路(リッチ経路13)を介して二酸化炭素放散塔(放散塔12)に流入することが防止または抑制される。このため、回収装置10a,10b,10c,10d,10eにより回収される二酸化炭素の純度の低下を防止または抑制できる。また、このような構成によれば、第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)の液面高さが過剰に高くなって二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)がガス経路(対象ガス導入経路23)を塞ぐことまたはガス経路(対象ガス導入経路23)に流入することを防止または抑制できる。このため、ガス(対象ガス)の第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)のへの送給が阻害されることが防止または抑制されるとともに、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)によるガス経路(対象ガス導入経路23)の構成部材やポンプの腐食を防止または抑制できる。
【0091】
第二実施形態および第四実施形態に係る回収装置10b,10dは、
二酸化炭素吸収溶液経路(リッチ経路13)を通じて第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)から二酸化炭素放散塔(放散塔12)へ送給される二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を計測するように構成される第一の流量計(リッチ流量計30)を備え、
制御装置22は、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さの計測結果と二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量の計測結果とを用いて、第一の二酸化炭素吸収塔(吸収塔11,最下段吸収塔11D)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように第一のポンプ(リッチポンプ17)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を制御する。
【0092】
このような構成によれば、第一の流量計(リッチ流量計30)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量の計測結果に基づいて第一のポンプ(リッチポンプ17)の出力を制御するため、液面高さおよび変化率のみを用いる制御に比較して、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を目標流量に保持すること(または目標流量に近づけること)が容易であるとともに、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を安定させることができる。
【0093】
第三実施形態および第四実施形態に係る回収装置10c,10dは、
1基の第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)および1基の第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)とは異なる1基以上の第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)を含み、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が流通可能な中間二酸化炭素吸収溶液経路(中間送液経路31,32)およびガス(対象ガス)が流通可能な中間ガス経路(中間送気経路33,34)により、互いに直列にかつ第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)が二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流れの最も下流側に位置するように接続される複数の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U、中間段吸収塔11M、最下段吸収塔11D)と、
動作することにより互いに隣接する一方の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U、中間段吸収塔11M)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)を他方の二酸化炭素吸収塔(中間段吸収塔11M、最下段吸収塔11D)に送給するように構成される第二のポンプ(中間ポンプ35,36)と、
第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さを計測可能な第二の液面高さ計測器(液面高さ計測器16U,16M)と、を備える。
【0094】
また、第四実施形態に係る回収装置10dは、さらに、
第二のポンプ(中間ポンプ35,36)により送給される二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を計測可能に構成される第二の流量計(中間流量計37,38)を備える。
【0095】
そして、第三実施形態に係る回収装置10cの制御装置22は、第二の液面高さ計測器(液面高さ計測器16U,16M)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さの計測結果を用いて、第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように中間ポンプ35,36による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を制御する。
【0096】
第四実施形態に係る回収装置10dの制御装置22は、第二の液面高さ計測器(液面高さ計測器16U,16M)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さの計測結果、および第二の流量計(中間流量計37,38)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量の計測結果を用いて、第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の液面高さがあらかじめ規定された範囲内になるように第二のポンプ(中間ポンプ35,36)による二酸化炭素吸収溶液の流量を制御する。
【0097】
このような構成によれば、多段式の吸収塔を備える構成において、各段の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M,最下段吸収塔11D)の液面高さを目標液面高さに保持できるか、または目標液面高さに近づけることができる。具体的には、各段の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)の液面高さが過剰に低くなることにより(または二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が無くなることにより)上段側の二酸化炭素吸収塔(二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流れの上流側、かつ、対象ガスの流れの下流側に隣接する二酸化炭素吸収塔をいうものとする)から二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の供給を受ける経路を介してガス(対象ガス)が流入する(還流する)ことを防止または抑制できる。その結果、還流したガス(対象ガス)の量だけ処理する対象ガスの量が減少する(換言すると、外部から送給されるガス(対象ガス)の量が減少する)ことを防止または抑制できるため、二酸化炭素の吸収の効率が低下することを防止または抑制できる。さらに、第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)の液面高さが過剰に低くなることにより(または二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が無くなることにより)ガス(対象ガス)が二酸化炭素吸収溶液経路(リッチ経路13)を介して二酸化炭素放散塔(放散塔12)に流入することが防止または抑制される。このため、回収装置10c,10dにより回収される二酸化炭素の純度の低下を防止または抑制できる。また、各段の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M,最下段吸収塔11D)の液面高さが過剰に高くなることにより二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が下段側に隣接する他の二酸化炭素吸収塔(中間段吸収塔11M,最下段吸収塔11D)に流入することを防止または抑制できる。また、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が中間ガス経路(中間送気経路33,34)に流入することが防止または抑制されることにより、ガス(対象ガス)の中間ガス経路(中間送気経路33,34)を通じた各段の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)への流入が阻害されることが防止または抑制される。
【0098】
第五実施形態に係る回収装置10eは、
1基の第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)および1基の第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)とは異なる単数または複数の第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)を含み、二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)が流通可能な中間二酸化炭素吸収溶液経路(中間送液経路31,32)およびガス(対象ガス)が流通可能な中間ガス経路(中間送気経路33,34)により互いに直列にかつ第一の二酸化炭素吸収塔(最下段吸収塔11D)が二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流れの最も下流側に位置するように接続される複数の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M,最下段吸収塔11D)と、
動作することにより第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)の内部に存在する流体を当該第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)に中間二酸化炭素吸収溶液経路(中間送液経路31,32)を介して繋がっている他の二酸化炭素吸収塔(中間段吸収塔11M,最下段吸収塔11D)に送給するように構成される第二のポンプ(中間ポンプ35,36)と、
動作することにより二酸化炭素放散塔(放散塔12)の内部に存在する二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)を前記単数の第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U)または前記複数の第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)のうちの前記二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流れの最も上流側に位置する第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U)へ送給するように構成される第三のポンプ(リーンポンプ18)と、
第二のポンプ(中間ポンプ35,36)により送給される流体の流量を計測可能に構成される第二の流量計(中間流量計37,38)、および前記第三のポンプ(リーンポンプ18)により送給される前記二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を計測可能に構成される第三の流量計(リーン流量計19)と、を備え、
制御装置22は、第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)から他の前記二酸化炭素吸収塔(中間段吸収塔11M,最下段吸収塔11D)に送給される流体の流量を、第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)に送給される前記二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量よりも多くなるように、第二の流量計(中間流量計37,38)による流体の流量の計測結果および第三の流量計(リーン流量計19)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量の計測結果に基づいて、第二のポンプ(中間ポンプ35,36)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量および第三のポンプ(リーンポンプ18)による二酸化炭素吸収溶液(アミン水溶液)の流量を制御する。
【0099】
このような制御によれば、第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)は内部にアミン水溶液が溜まらない状態に保持される。このため、中間ガス経路(中間送気経路33)を通じた第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U)へのガス(対象ガス)の流入が阻害されない。同様に、中間ガス経路(中間送気経路34)を通じた第二の二酸化炭素吸収塔(中間段吸収塔11M)へのガス(対象ガス)の流入が阻害されない。したがって、回収装置10eの効率の低下を防止または抑制できる。また、このような構成によれば、第二の二酸化炭素吸収塔(最上段吸収塔11U,中間段吸収塔11M)に液面高さ計測器が設けられなくてもよい。
【0100】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前記各実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。また、二酸化炭素吸収溶液は前記各実施形態ではアミン水溶液としたが、限定されるものではなく、他の二酸化炭素吸収溶液でもよい。
【0101】
例えば、前記各実施形態では、1段式および3段式の吸収塔を示したが、吸収塔の段数は限定されるものではない。例えば、2段式、4段式、5段式またはそれ以上であってもよい。2段式の場合は、回収装置が最上段吸収塔11Uと最下段吸収塔11Dを備え、中間段吸収塔11Mを備えない。この場合、最上段吸収塔11Uと最下段吸収塔11Dとが直接に接続される。4段式以上の場合、回収装置は互いに直列に接続される複数の中間段吸収塔11Mを備える。
【符号の説明】
【0102】
10a,10b,10c,10d,10e…二酸化炭素回収装置、11,11U,11M,11D…二酸化炭素吸収塔、12…二酸化炭素放散塔、13…リッチ経路、14…リーン経路、16,16U,16M,16D…液面高さ計測器、17…リッチポンプ、22…制御装置。