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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178647
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】表示ユニット及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20241218BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241218BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20241218BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 310
G09F9/30 349C
G09F9/30 349Z
G09F9/30 308Z
G09F9/30 308A
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096946
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】財部 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】深谷 祥孝
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA38
5C094BA25
5C094DA05
5C094DA06
5C094DA07
5C094DA09
5C094DA13
5C094DB01
5C094ED15
5F142AA12
5F142BA02
5F142BA22
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB22
5F142CB23
5F142CC01
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD24
5F142CD44
5F142CG01
5F142DB02
5F142DB24
5F142FA03
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】コントラストの低下が抑えられるにも関わらず、平坦な表示画面を構成することができるのは勿論、曲がった表示画面も容易に構成することができる表示ユニットと、その表示ユニットを備える表示装置とを提供する。
【解決手段】表示ユニット700において、回路基板200は、可撓性を有する。発光素子100は、回路基板200の表面200aに配列されている。防水層300は、回路基板200の表面200a及び各々の発光素子100を被覆している。マスク層400は、防水層300を被覆している。マスク層400には、発光素子100によって放射された放射光が通過する開口410が、発光素子100ごとに形成されている。防水層300のみならずマスク層400も、回路基板200が撓められた場合に、下地面への面状の密着を保ったまま、回路基板200と一緒に撓む可撓性及び伸縮性を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する回路基板と、
前記回路基板の表面に配列されており、各々可視光を放射する複数の発光素子と、
前記発光素子から放射される前記可視光である放射光に対する透過性と防水性とを有し、前記回路基板の前記表面及び各々の前記発光素子を被覆している防水層と、
外部から前記回路基板に向かって入射しようとする可視光である外部光及び前記放射光に対する吸収性を有し、前記防水層を被覆しており、前記発光素子によって放射された前記放射光が通過する開口が、前記発光素子ごとに形成されているマスク層と、
を備え、
前記防水層は、前記防水層に対する下地面である前記回路基板の前記表面に面状に密着しているとともに、前記マスク層は、前記マスク層に対する下地面である前記防水層に面状に密着しており、
前記防水層のみならず前記マスク層も、前記回路基板が撓められた場合に、前記下地面への面状の密着を保ったまま、前記回路基板と一緒に撓む可撓性及び伸縮性を有する、
表示ユニット。
【請求項2】
前記回路基板は、前記回路基板の厚さ方向に関して前記表面とは反対側の裏面と、前記裏面と前記表面とをつなぐ側面と、を有し、
前記マスク層は、前記回路基板の前記表面と対向する領域のみならず、前記回路基板の前記側面と対向する領域、及び前記回路基板の前記裏面における少なくとも周縁部と対向する領域にも及んでいる、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記回路基板、前記防水層、及び前記マスク層を、撓められた状態に保持する保持板、
をさらに備える、請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記表示ユニットに対して、前記表示ユニットを用いて構成される表示画面において左右方向となる方向に平行なX軸と、前記表示画面において上下方向となる方向に平行なY軸と、前記X軸及び前記Y軸に直交するZ軸とを有し、前記表示画面から前記表示画面の正面に向かう方向となる方向を前記Z軸のプラス方向とするXYZ直交座標系を定義したとき、
前記Y軸の方向に視て、前記Z軸の前記プラス方向に突出した凸部と、前記Z軸のマイナス方向に突出した凹部とが、前記X軸に平行な方向に交互に繰り返し構成されている繰り返し形状を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示ユニット。
【請求項5】
前記発光素子は、前記回路基板の前記表面における、各々の前記凹部の底部を構成している箇所にのみ配置されている、
請求項4に記載の表示ユニット。
【請求項6】
前記発光素子は、前記回路基板の前記表面における、各々の前記凸部の頂部から、該凸部の、前記X軸のプラス方向の隣に位置する前記凹部の底部へ向かう途中を構成している箇所にのみ配置されている、
請求項4に記載の表示ユニット。
【請求項7】
前記発光素子は、前記回路基板の前記表面における、各々の前記凸部の頂部から、該凸部の、前記X軸のマイナス方向の隣に位置する前記凹部の底部へ向かう途中を構成している箇所にのみ配置されている、
請求項4に記載の表示ユニット。
【請求項8】
前記繰り返し形状とは、前記Y軸の方向に視て、それぞれ前記Z軸に平行な方向を振幅の方向とする、正弦波、三角波、又は矩形波の形状を指す、
請求項4に記載の表示ユニット。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示ユニットを複数備え、
複数の前記表示ユニットが組み合わされて構成されている、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示ユニット及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、複数の表示ユニットを備える表示装置が知られている。複数の表示ユニットがマトリクス状に配列されることにより、全体として1つの表示画面が構成される。
【0003】
各々の表示ユニットは、複数の発光素子と、それら複数の発光素子が表面に配列される回路基板と、その回路基板の表面及び各々の発光素子を被覆している防水層と、その防水層に対向して配置されるマスク板とを備える。
【0004】
マスク板の、各々の発光素子と対向する箇所には、その発光素子から放射された可視光が通過する開口が形成されている。なお、このような形状を有するマスク板は、熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂の射出成形によって製造されている。
【0005】
マスク板は、外部から回路基板に向かって入射しようとする外部光を吸収する。これにより、外部光の反射が抑えられるため、上記表示画面に表示される映像の明暗の差を表すコントラストの低下が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/138892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、コントラストの低下が抑えられるにも関わらず、平坦な表示画面を構成することができるのは勿論、曲がった表示画面も容易に構成することができる表示ユニットと、その表示ユニットを備える表示装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る表示ユニットは、
可撓性を有する回路基板と、
前記回路基板の表面に配列されており、各々可視光を放射する複数の発光素子と、
前記発光素子から放射される前記可視光である放射光に対する透過性と防水性とを有し、前記回路基板の前記表面及び各々の前記発光素子を被覆している防水層と、
外部から前記回路基板に向かって入射しようとする可視光である外部光及び前記放射光に対する吸収性を有し、前記防水層を被覆しており、前記発光素子によって放射された前記放射光が通過する開口が、前記発光素子ごとに形成されているマスク層と、
を備え、
前記防水層は、前記防水層に対する下地面である前記回路基板の前記表面に面状に密着しているとともに、前記マスク層は、前記マスク層に対する下地面である前記防水層に面状に密着しており、
前記防水層のみならず前記マスク層も、前記回路基板が撓められた場合に、前記下地面への面状の密着を保ったまま、前記回路基板と一緒に撓む可撓性及び伸縮性を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、防水層のみならずマスク層も回路基板と一緒に撓む可撓性及び伸縮性を有するので、コントラストの低下が抑えられるにも関わらず、平坦な表示画面を構成することができるのは勿論、曲がった表示画面も容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る表示装置の表示画面の正面図
図2】実施形態1に係る表示ユニットの構成を示す斜視図
図3】実施形態1に係る発光素子の断面図
図4】実施形態1に係る表示ユニットの、図2のIV-IV線の位置における局所的な断面図
図5】実施形態1に係るひさし部の形成方法を説明するための概念図
図6】実施形態1に係る表示ユニット製造方法のフローチャート
図7】実施形態2に係る表示ユニットの、Y軸の方向に視た平面図
図8】実施形態3に係る表示ユニットの、Y軸の方向に視た平面図
図9】実施形態4に係る表示ユニットの、Y軸の方向に視た平面図
図10】実施形態5に係る表示ユニットの、Y軸の方向に視た平面図
図11】実施形態6に係る表示ユニットの、Y軸の方向に視た平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、実施形態に係る表示装置について説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
【0012】
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置800は、各々映像を表示する複数の表示ユニット700が組み合わされて構成されている。
【0013】
複数の表示ユニット700は、縦横にマトリクス状に配列されている。これにより、複数の表示ユニット700が、全体として1つの表示画面810を構成している。つまり、各々の表示ユニット700は、表示画面810の一部を構成している。
【0014】
以下の説明を容易にするために、表示画面810を正面に視た場合の左右方向をU軸方向とし、上下方向をV軸方向とし、U軸方向及びV軸方向に直角な方向をW軸方向とする、右手系のUVW直交座標系を、表示装置800に対して定義する。左方から右方に向かう方向を、U軸のプラス方向とする。
【0015】
本実施形態では、U軸は、複数の表示ユニット700が構成するマトリクスの行と平行であり、V軸は、そのマトリクスの列と平行である。V軸は、表示装置800が設置された現場においては、典型的には、鉛直に延在する。
【0016】
なお、図1は、表示画面810の、W軸の方向に視た正面図である。表示画面810は、V軸の方向に視て、曲がった形状を有していてもよいし、U軸の方向に真っ直ぐに延在する平坦な形状を有していてもよい。表示画面810が曲がった形状を有する場合、W軸は、典型的には、表示画面810の、UV仮想平面内での中央の局所における法線と平行である。
【0017】
以下、各々の表示ユニット700の構成について具体的に説明する。
【0018】
図2に示すように、各々の表示ユニット700に対しては、XYZ直交座標系を定義する。X軸は、その表示ユニット700によって構成される、図1の表示画面810においてU軸方向となる方向に平行である。Y軸は、その表示ユニット700によって構成される、図1の表示画面810においてV軸方向となる方向に平行である。Z軸は、X軸及びY軸に直交する。
【0019】
XYZ直交座標系も、UVW直交座標系と同じく右手系である。図1の表示画面810から、表示画面810の正面に向かう方向、即ち、W軸のプラス方向となる方向を、Z軸のプラス方向とする。
【0020】
表示ユニット700は、各々可視光を放射する複数の発光素子100と、それら複数の発光素子100を保持する保持構造体600とを備える。各々の発光素子100は、図1の表示画面810において画素を構成する。
【0021】
図3に示すように、各々の発光素子100は、赤色の光を出射する赤色LED(Light Emitting Diode)111Rと、緑色の光を出射する緑色LED111Gと、青色の光を出射する青色LED111Bとを有する。これら赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bの各々は、可視光の放射源である。
【0022】
また、発光素子100は、赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bを保持するパッケージ部材120と、赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bの各々に、発光に必要な電力を供給するリードフレーム130とを備える。
【0023】
パッケージ部材120は、図2に示す保持構造体600の厚さ方向に深さをもつ有底の凹部を有する。その凹部の底面に、赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bが配置されている。
【0024】
そして、その凹部に、透明封止部材140が充填されている。透明封止部材140は、赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bを覆っている。透明封止部材140は、可視光を透過させる樹脂で形成されている。
【0025】
図4に示すように、発光素子100を保持する保持構造体600は、回路基板200を有する。回路基板200は、発光素子100が実装される表面200aと、回路基板200の厚さ方向に関して表面200aとは反対側の裏面200bと、裏面200bと表面200aとをつなぐ側面200cとを有する。
【0026】
複数の発光素子100は、回路基板200の表面200aに配列されている。具体的には、複数の発光素子100は、回路基板200の表面200aに、マトリクス状に分布している。回路基板200の表面200aには、図示せぬ電極パッドが発光素子100ごとに形成されていて、その電極パッドに発光素子100が電気的及び機械的に接続されている。
【0027】
図3に示した赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bの各々は、リードフレーム130を通じて、上記電極パッドと電気的に接続される。
【0028】
図4に戻り、説明を続ける。一方、回路基板200の裏面200bには、制御回路210及び図示せぬ金属配線が設けられている。それら金属配線及び制御回路210と、上記電極パッドとは、回路基板200の厚さ方向に延在するビア孔に形成された金属メッキを通じて電気的に接続されている。
【0029】
このようにして発光素子100と電気的に接続された制御回路210は、図3に示した赤色LED111R、緑色LED111G、及び青色LED111Bが放射する3原色の光成分間の強度比を制御する。これにより、図1に示した表示画面810への映像の表示が実現される。なお、制御回路210は、矩形状の集積回路素子で構成されている。
【0030】
また、保持構造体600は、少なくとも、回路基板200の表面200a及び各々の発光素子100を被覆している防水層300も有する。本実施形態に係る防水層300は、回路基板200の表面200a及び発光素子100のみならず、回路基板200の側面200c、並びに回路基板200の裏面200b及び制御回路210をも被覆している。
【0031】
防水層300は、防水性を有する樹脂製のシートによって構成されている。このため、表示ユニット700を屋外に設置しても、防水層300が、回路基板200及び発光素子100を雨水、結露水、空気中の水分等から保護する役割を果たす。
【0032】
なお、JIS(日本工業規格)では、厚さが250μm未満のものをフィルムと呼び、厚さが250μm以上のものをシートと呼んで両者を区別しているが、本明細書では、JISでいうフィルムもシートの概念に含まれるものとする。
【0033】
防水層300は、防水層300に対する下地面である回路基板200の表面200aに面状に密着している。また、本実施形態に係る防水層300は、回路基板200の裏面200b及び側面200cにも面状に密着している。これにより、防水層300と、回路基板200の表面200a、裏面200b、及び側面200cとの間に、砂塵、水分等が入り込むことが抑止される。
【0034】
但し、防水層300と回路基板200の側面200cとの間、防水層300と発光素子100の周縁との間、防水層300と制御回路210の周縁との間等に間隙が存在していてもよい。
【0035】
なお、防水層300は、発光素子100から放射される可視光(以下、放射光という。)に対する透過性を有する。このため、発光素子100から放射される放射光は、防水層300で遮られることなく、防水層300を透過する。
【0036】
また、保持構造体600は、防水層300を被覆しているマスク層400も有する。マスク層400は、マスク層400に対する下地面である防水層300に面状に密着している。このため、マスク層400と防水層300との間に、砂塵、水分等が入り込むことが抑止される。
【0037】
マスク層400は、少なくとも、回路基板200の表面200aと対向する領域に形成されている。具体的には、本実施形態に係るマスク層400は、回路基板200の表面200aと対向する領域のみならず、回路基板200の側面200cと対向する領域、及び回路基板200の裏面200bの周縁部と対向する領域にも及んでいる。
【0038】
このように、回路基板200の表面200aと対向する領域に形成されているマスク層400が、回路基板200の裏面200bと対向する領域に回り込んでいる。このため、マスク層400が回路基板200の表面200aと対向する領域にのみ形成されている場合に比べると、マスク層400が回路基板200から脱落しにくい。
【0039】
なお、マスク層400は、回路基板200の裏面200b及び制御回路210と対向する領域の全域に及んでいてもよい。
【0040】
マスク層400は、外部から回路基板200に向かって入射しようとする太陽の光、照明の光、その他の可視光(以下、外部光と総称する。)及び既述の放射光に対する吸収性を有する。マスク層400によって外部光が吸収されるので、表示ユニット700による外部光の反射が抑えられる結果、図1に示した表示画面810に表示される映像のコントラストの低下が抑えられる。
【0041】
コントラストの低下を抑える効果をより高めるために、マスク層400の、既述の放射光に対する光吸収率は、20%以上100%以下であることが好ましい。なお、マスク層400は、黒色を呈する樹脂製のシートによって構成される。マスク層400を構成する樹脂に光吸収剤を添加することにより、上記光吸収率を高めることができる。
【0042】
また、既述のとおり、本実施形態では、マスク層400が、回路基板200の側面200cと対向する領域、及び回路基板200の裏面200bにおける周縁部と対向する領域にも及んでいる。このため、図1に示す表示画面810において、U軸方向及びV軸方向に隣り合う表示ユニット700どうしの境界を目立たなくすることができる。このことは、表示画面810の画質の向上に寄与する。
【0043】
また、マスク層400には、発光素子100によって放射された放射光が通過する開口410が、発光素子100ごとに形成されている。つまり、開口410は、マスク層400の、各々の発光素子100と重なる部分に形成されている。
【0044】
また、マスク層400は、各々の開口410への外部光の入射を抑制するひさし部420を有する。ひさし部420は、開口410ごとに形成されている。ひさし部420は、各々の開口410の縁部から外方に向かって立ち上がっている。具体的には、ひさし部420は、各々の開口410の、上方、即ちY軸のプラス方向の縁部に配置されている。
【0045】
ひさし部420は、開口410への外部光の入射を抑制することにより、図1に示す表示画面810に表示される映像のコントラストの向上、その映像の色調の変化の抑制等に寄与する。
【0046】
以下では、回路基板200と、その回路基板200に面状に密着している防水層300と、その防水層300に面状に密着しているマスク層400とによって構成される構造体を可撓性構造体610と呼ぶことにする。
【0047】
保持構造体600は、可撓性構造体610の他、可撓性構造体610を保持する保持板620も有する。保持板620は、ステンレスその他の金属で形成されている。
【0048】
保持板620は、回路基板200の裏面200bと対向する位置に配置される背板部621と、背板部621の縁から立ち上がった側板部622とを有する。側板部622は、回路基板200の側面200cと対向する位置に配置されている。保持板620は、回路基板200の表面200aと対向する領域は開放させている。
【0049】
保持板620の側板部622は、可撓性構造体610に密接している。このため、外部から可撓性構造体610と背板部621との間への水分、塵埃等の侵入が防止される。
【0050】
具体的には、本実施形態では、保持板620の側板部622は、マスク層400に密接している。但し、保持板620の側板部622は、防水層300に密接していてもよいし、回路基板200の側面200cに密接していてもよい。
【0051】
本実施形態に係る表示ユニット700は、可撓性構造体610が全体として可撓性を有する点を最大の特徴としている。つまり、回路基板200が撓められた場合には、防水層300のみならずマスク層400も、下地面への面状の密着を保ったまま、回路基板200と一緒に撓む可撓性及び伸縮性を有する。
【0052】
このため、本実施形態に係る表示ユニット700によれば、平坦な表示画面810を構成することができるのは勿論、曲がった形状の表示画面810も容易に構成することができる。保持板620は、可撓性構造体610の形状を定める役割を果たす。
【0053】
つまり、平坦な表示画面810を構成したい場合は、保持板620の背板部621も平坦に形成され、保持板620は、可撓性構造体610を平坦な状態で保持する。
【0054】
一方、曲がった形状の表示画面810を構成したい場合は、保持板620の背板部621も曲がった形状に形成され、保持板620は、可撓性構造体610を、背板部621に沿って撓められた状態に保持する。
【0055】
なお、本明細書において“曲がった形状”の概念には、滑らかな曲面状に曲がった湾曲形状のみならず、折れ曲がった屈曲形状も含まれるものとする。また、“撓められた状態”の概念には、滑らかな曲面状に曲げられた状態のみならず、屈曲形状に折り曲げられた状態も含まれるものとする。
【0056】
一例として、保持板620が可撓性構造体610を曲面状に撓められた状態に保持している表示ユニット700を複数組み合わせる。これにより、ビルの壁面、競技場の壁面等に沿った曲面状の表示画面810を容易に構成することができる。
【0057】
なお、長方形の形状を有する集積回路素子で構成される制御回路210は、その長方形の長手方向がY軸に平行に揃えられた向きで回路基板200に取り付けられていることが好ましい。これにより、回路基板200を、局所的に又は全体的に、Y軸まわりに撓める際に、制御回路210が邪魔になりにくい。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る可撓性構造体610は、様々な形状の保持板620に対して共通して適用できる汎用性を有する。
【0059】
また、可撓性のみならず伸縮性を有するマスク層400は、剛性を有する従来のマスク板に比べて薄く形成できる。このことは、表示ユニット700の軽量化に資する。
【0060】
また、回路基板200として、ポリイミド樹脂で形成されたシート状のものを用いることにより、従来使用されていた剛性を有するリジッド基板と比較して、回路基板200の軽量化が図られる。このことも、表示ユニット700の軽量化に資する。
【0061】
以下、図5を参照し、マスク層400の製造方法について説明する。
【0062】
図5に示すように、まず、マスク層400を構成することとなるマスクシートMSを製造する。マスクシートMSの厚さは、マスク層400の厚さと一致する。マスク層400に充分な可撓性と伸縮性とを付与するために、マスクシートMSの厚さは、0.1mm以上、3.0mm以下であることが好ましい。
【0063】
マスクシートMSの素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シリコーン等の樹脂を用いることができる。マスクシートMSの組織中に繊維が存在していてもよい。
【0064】
また、マスクシートMSは、互いに素材の異なる複数の部分層が積層された積層構造を有していてもよい。一例として、マスクシートMSは、樹脂で形成された部分層と、繊維で形成された部分層とが積層された積層構造を有していてもよい。繊維で形成された部分層は、マスク層400の構造的強度を高めることに資する。
【0065】
また、マスクシートMSとして、樹脂の組織中に空隙が分散している発泡構造をもつものを採用してもよい。発泡構造は、マスクシートMSの全体が有していてもよいし、上記部分層が有していてもよい。発泡構造は、多孔質構造とも呼ばれる。発泡構造は、マスク層400のさらなる軽量化、可撓性及び伸縮性の向上、断熱性の向上等に資する。マスク層400に断熱性を付与することは、マスク層400自身、回路基板200、保持板620等の、太陽光から受ける熱に起因する熱変形を抑えることに役立つ。
【0066】
また、マスクシートMSの表面には、外部光を散乱させる表面加工が施されていてもよい。外部光が入射する表面に表面加工が施されたマスク層400によれば、特定の方向にのみ外部光が強く反射されることが防止される。このため、表示画面810のコントラストのさらなる向上が図られる。
【0067】
なお、上記表面加工としては、凹凸を付与する凹凸加工、シボを付与するシボ加工等が例示される。凹凸加工で付与する凹凸は周期的に繰り返されるものであってもよい。その場合の周期は、1μm以上、5mm以下であることが好ましい。
【0068】
次に、マスクシートMSに、ひさし部420を構成することとなる切り起こし部420Aを囲むU字状の切り込みSLを形成する。切り起こし部420は、切り込みSLの無い繋ぎ部430を介して、マスクシートMSにおける、切り起こし部420A以外の本体部400Aと繋がっている。
【0069】
切り込みSLの形成には、刃物の押し付けで切り込みSLを形成するトムソン加工、レーザ光で切り込みSLを形成するレーザ加工等を用いることができる。これらの加工方法によれば、高価な金型を用いずにひさし部420を形成できるので、生産コストを抑えることができる。
【0070】
次に、切り起こし部420Aを、外方に折り曲げる。これにより、マスクシートMSの本体部400Aから起立した状態の切り起こし部420Aによって、ひさし部420が構成される。同時に、切り起こし部420Aが配置されていた箇所に、既述の放射光が通過する開口410が構成される。
【0071】
なお、切り起こし部420Aを外方に折り曲げる前に、切り込みSLに囲まれた切り起こし部420Aと、マスクシートMSにおける、切り起こし部420A以外の本体部400Aとの境に位置する繋ぎ部430に、図示せぬ溝を形成してもよい。その溝の形成により、切り起こし部420Aの、外方に折り曲げを容易に行える。
【0072】
また、繋ぎ部430を樹脂で補強してもよい。これにより、所望の折り曲げの角度で、ひさし部420を固定することもできる。
【0073】
以下、図6を参照し、本実施形態に係る表示ユニット製造方法について説明する。
【0074】
図6に示すように、まず、回路基板200に複数の発光素子100を実装する(発光素子実装工程S1)。また、回路基板200には、制御回路210も実装される。なお、回路基板200は、シート状に形成されたものであってもよい。回路基板200の素材としては、ポリイミド樹脂その他の樹脂が例示される。
【0075】
次に、少なくとも、実装された発光素子100及び回路基板200の表面200aを被覆する防水層300を形成する(防水層形成工程S2)。防水層300は、回路基板200の裏面200b及び制御回路210、並びに回路基板200の側面200cも被覆していることが好ましい。
【0076】
なお、防水層300の、発光素子100、回路基板200の表面200a等への接合には、接着剤、両面テープ等を用いてもよい。その場合、防水層300の概念には、接着剤、両面テープ等も含まれるものとする。
【0077】
一方で、図5を参照して説明したように、マスクシートMSを製造しておき(マスクシート製造工程S3)、かつそのマスクシートMSに複数の切り込みSLを形成しておく(切り込み形成工程S4)。切り込みSLは、発光素子100の数と同じ数だけ形成する。
【0078】
次に、複数の切り込みSLが形成されたマスクシートMSを、防水層300で被覆された回路基板200に被せ、被せたマスクシートMSを防水層300に接合する(マスク層形成工程S5)。これにより、マスク層400が完成する。
【0079】
マスクシートMSは、各々の切り起こし部420Aが発光素子100と対向している位置決め状態で、回路基板200に被せられる。マスクシートMSを回路基板200に被せる過程で、発光素子100によって、切り起こし部420Aが自ずと外方に折り曲げられる。このようにして、開口410に発光素子100が嵌り、かつひさし部420が起立した状態が形成される。
【0080】
なお、マスクシートMSの、防水層300への接合には、接着剤、両面テープ等を用いてもよい。その場合、マスクシートMSの概念には、接着剤、両面テープ等も含まれるものとする。また、加熱による溶着によって、マスクシートMSを防水層300に接合してもよい。また、マスクシートMSは、螺子、リベット、クリップ等の固定具によって、防水層300ごと回路基板200に固定されてもよい。
【0081】
以上で、発光素子100を保持した可撓性構造体610が完成する。次に、その可撓性構造体610を、必要に応じて撓めた状態で、保持板620に固定する(保持工程S6)。以上で、本実施形態に係る表示ユニット700が完成する。
【0082】
[実施形態2]
上記実施形態1に係る構成において、発光素子100として、その発光素子100から放射される放射光の強度分布がランバート分布に従うもの(以下、ランバート分布型の発光素子100という。)を用いてもよい。その場合、放射光は、発光素子100の光軸に直角な方向に進行する成分を有しうる。
【0083】
ここで、発光素子100の光軸とは、その発光素子100が設けられている箇所における回路基板200の法線に平行な仮想直線であって、その法線の方向に視てその発光素子100の中央を通る仮想直線を指す。発光素子100の光軸に直角な方向とは、具体的には、図3に示す放射面100aに平行な方向を指す。
【0084】
以下、ランバート分布型の発光素子100を用いる場合に適した構成を述べる。
【0085】
図7に示すように、本実施形態に係る表示ユニット700は、Y軸の方向に視て、Z軸のマイナス方向に突出した凹部600aと、Z軸のプラス方向に突出した凸部600bとが、X軸に平行な方向に交互に繰り返し構成されている繰り返し形状を有する。本実施形態では、繰り返し形状とは、Z軸の方向を振幅の方向とする正弦波の形状である。
【0086】
なお、上記繰り返し形状における繰り返しの周期、具体的には上記正弦波の周期を表すX軸方向の寸法は、上記繰り返し形状における凹部600aの深さを表す振幅、具体的には上記正弦波の振幅を表すZ軸方向の寸法よりも長い。
【0087】
そして、本実施形態では、ランバート分布型の発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける、各々の凹部600aの底部を構成している箇所にのみ配置されている。
【0088】
回路基板200の表面200aにおける、各々の凹部600aの底部を構成している箇所においては、複数の発光素子100がY軸の方向に並んでいる。従って、Z軸の方向に視ると、複数の発光素子100がマトリクス状に分布している。
【0089】
以下、本実施形態に係る構成の意義について述べる。
【0090】
従来、ランバート分布型の発光素子100を用いる場合は、或る発光素子100(以下、第1発光素子100という。)から放射された放射光の、第1発光素子100の光軸に直角な方向に伝播する成分(以下、面内方向成分という。)が、他の発光素子100(以下、第2発光素子100という。)を照らす事態が生じ得た。その場合、第2発光素子100が表示画面810において構成する画素の色調が、上記面内方向成分の照射が無い場合に比べて、変化してしまうおそれがある。
【0091】
これに対して、本実施形態によれば、或る発光素子100と、その発光素子100のX軸方向の隣の発光素子100との間に、凸部600bが介在している。このため、発光素子100から放射される放射光が上記面内方向成分を有していても、その面内方向成分の、X軸方向の隣の発光素子100への入射が、凸部600bの存在によって遮られる。
【0092】
なお、図4に示すマスク層400は、外部光に対する吸収性のみならず、放射光に対する吸収性も有する。このため、凸部600bに入射した上記面内方向成分は、マスク層400に吸収される。このようにして、上記面内方向成分のうち、Y軸と交差する方向に伝播する大部分は、マスク層400における凸部600bを構成している領域で吸収される。
【0093】
また、上記面内方向成分のうち、Y軸方向に伝播するものは、図4に示すマスク層400のひさし部420に入射する。このため、発光素子100から放射された上記面内方向成分の、Y軸方向の隣の発光素子100への入射も回避される。
【0094】
以上の理由で、本実施形態によれば、ランバート分布型の発光素子100を用いるにも関わらず、或る発光素子100の放射光の上記面内方向成分が別の発光素子100に入射することに起因する色調の変化を回避でき、色調の変化のない正常な画像を表示画面810に表示することができる。
【0095】
[実施形態3]
ランバート分布型の発光素子100に適した配置は、図7に示す態様に限られない。以下では、ランバート分布型の発光素子100に適した他の構成について述べる。
【0096】
図8に示すように、本実施形態に係る表示ユニット700では、ランバート分布型の発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける、各々の凸部600bの頂部から、その凸部600bの、X軸のプラス方向の隣に位置する凹部600aの底部へ向かう途中を構成している箇所(以下、右側中腹箇所という。)にのみ配置されている。
【0097】
回路基板200の表面200aにおける右側中腹箇所においては、複数の発光素子100がY軸の方向に並んでいる。従って、Z軸の方向に視ると、複数の発光素子100がマトリクス状に分布している。
【0098】
本実施形態では、各々の発光素子100から放射される放射光の上記面内方向成分のうち、Y軸と交差する方向に伝播する大部分は、マスク層400における凹部600aの底部を構成している領域で吸収される。また、上記面内方向成分のうち、Y軸方向に伝播するものは、図4に示すマスク層400のひさし部420で吸収される。
【0099】
この結果、本実施形態に係る構成でも、実施形態2と同様、或る発光素子100の放射光の上記面内方向成分が別の発光素子100に入射することに起因する色調の変化を回避でき、色調の変化のない正常な画像を表示画面810に表示することができる。
【0100】
[実施形態4]
以下では、図8に示した構成の変形例について述べる。
【0101】
図9に示すように、本実施形態に係る表示ユニット700では、ランバート分布型の発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける、各々の凸部600bの頂部から、その凸部600bの、X軸のマイナス方向の隣に位置する凹部600aの底部へ向かう途中を構成している箇所(以下、左側中腹箇所という。)にのみ配置されている。
【0102】
回路基板200の表面200aにおける左側中腹箇所においては、複数の発光素子100がY軸の方向に並んでいる。従って、Z軸の方向に視ると、複数の発光素子100がマトリクス状に分布している。本実施形態でも、実施形態3と同様の作用効果が得られる。
【0103】
[実施形態5]
図7図9には、表示ユニット700が呈する繰り返し形状が、正弦波の形状である構成を例示した。以下では、繰り返し形状の他の例について述べる。
【0104】
図10に示すように、本実施形態では、凹部600aと凸部600bとをX軸の方向に交互に繰り返している繰り返し形状が、Y軸の方向に視て、Z軸の方向を振幅の方向とする三角波の形状である。
【0105】
発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける、各々の凹部600aの底部を構成している箇所にのみ配置されている点は、実施形態2と同じである。このため、本実施形態でも、実施形態2と同様の作用効果が得られる。
【0106】
なお、繰り返し形状を三角波の形状とする場合でも、図8に示したように、発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける右側中腹箇所にのみ配置された構成を採ってもよい。その場合は、実施形態3と同様の作用効果が得られる。
【0107】
また、繰り返し形状を三角波の形状とする場合でも、図9に示したように、発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける左側中腹箇所にのみ配置された構成を採ってもよい。その場合は、実施形態4と同様の作用効果が得られる。
【0108】
[実施形態6]
以下では、繰り返し形状のさらに他の例について述べる。
【0109】
図11に示すように、本実施形態では、凹部600aと凸部600bとをX軸の方向に交互に繰り返している繰り返し形状が、Y軸の方向に視て、Z軸の方向を振幅の方向とする矩形波の形状である。
【0110】
発光素子100が、回路基板200の表面200aにおける、各々の凹部600aの底部を構成している箇所にのみ配置されている点は、実施形態2と同じである。このため、本実施形態でも、実施形態2と同様の作用効果が得られる。
【0111】
[実施形態7]
図4に示すマスク層400は、マスク層400の厚さ方向に一体の単層構造を有していてもよいし、マスク層400の厚さ方向に複数の部分層が積層された積層構造を有していてもよい。以下では、積層構造を有するマスク層400の一具体例を述べる。
【0112】
本実施形態に係るマスク層400は、各々シート状の第1部分層及び第2部分層が重ねられた積層構造を有する。第1部分層には、マスク層400が構成する各々のひさし部420の一部を構成する第1ひさし部が形成される。第2部分層には、マスク層400が構成する各々のひさし部420の残部を構成する第2ひさし部が形成される。
【0113】
第1ひさし部と第2ひさし部とは異なる形状を有する。第1部分層と第2部分層とを重ね合せることにより、第1ひさし部と第2ひさし部とで1つのひさし部420が構成される。このため、単層構造のマスク層400を用いる場合に比べて、コントラストの低下を抑える効果に優れた複雑な形状のひさし部420を、容易に構成することができる。
【0114】
[実施形態8]
図4には、保持板620を備える表示ユニット700を例示したが、表示ユニット700において保持板620は必須でない。以下、保持板620を省略する場合に適した構成について述べる。
【0115】
本実施形態では、回路基板200が、可撓性に加えて可塑性も有する。このため、防水層300及びマスク層400が形成された回路基板200を、表示画面810を構成するために求められる形状に撓めると、回路基板200が、その撓められた形状に塑性変形する。
【0116】
つまり、回路基板200自身が、撓められた形状を維持する。防水層300及びマスク層400の形状は、回路基板200によって定められる。このため、保持板620の省略が可能となる。
【0117】
なお、可撓性のみならず可塑性も有する回路基板200の素材としては、金属を用いることができる。一例として、アルミニウム製のシートで、回路基板200を構成することができる。アルミニウム製のシートで構成された回路基板200の表面200a及び裏面200bには、絶縁層が形成される。そして、その絶縁層の上に、電極パッド及び金属配線が形成される。
【0118】
以上、実施形態1-8について説明した。以下に述べる変形も可能である。
【0119】
図3には、3種類のLEDを有する発光素子100を例示したが、発光素子100はLEDを1種類のみ有するものであってもよい。また、発光素子100を構成する、可視光の放射源として、LEDの他、LD(Laser Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)等を用いてもよい。
【0120】
図7図9には、既述の繰り返し形状として正弦波の形状を例示し、図10には、繰り返し形状として三角波の形状を例示し、図11には、繰り返し形状として矩形波の形状を例示した。繰り返し形状は、これらの形状に限られない。繰り返し形状は、階段波の形状、のこぎり波の形状等であってもよい。
【0121】
実施形態8では、可塑性を有する回路基板200を用いることで保持板620を省略する構成を述べた。回路基板200が可塑性を有せずとも、一例として、表示画面810を設置する設置面が、可撓性構造体610の形状を定める役割を果たす場合には、保持板620を省略しうる。つまり、可撓性構造体610を設置面に沿わせた状態に撓ませて、その設置面に取り付ける。可撓性構造体610は、設置面に直接取り付けてもよいし、設置面と可撓性構造体610との間に、ゴムシートその他の保護部材を介在させてもよい。なお、上記設置面とは、典型的には、建物の壁面を指す。
【0122】
以下、本開示の諸態様を付記する。
【0123】
(付記1)
可撓性を有する回路基板と、
前記回路基板の表面に配列されており、各々可視光を放射する複数の発光素子と、
前記発光素子から放射される前記可視光である放射光に対する透過性と防水性とを有し、前記回路基板の前記表面及び各々の前記発光素子を被覆している防水層と、
外部から前記回路基板に向かって入射しようとする可視光である外部光及び前記放射光に対する吸収性を有し、前記防水層を被覆しており、前記発光素子によって放射された前記放射光が通過する開口が、前記発光素子ごとに形成されているマスク層と、
を備え、
前記防水層は、前記防水層に対する下地面である前記回路基板の前記表面に面状に密着しているとともに、前記マスク層は、前記マスク層に対する下地面である前記防水層に面状に密着しており、
前記防水層のみならず前記マスク層も、前記回路基板が撓められた場合に、前記下地面への面状の密着を保ったまま、前記回路基板と一緒に撓む可撓性及び伸縮性を有する、
表示ユニット。
(付記2)
前記回路基板は、前記回路基板の厚さ方向に関して前記表面とは反対側の裏面と、前記裏面と前記表面とをつなぐ側面と、を有し、
前記マスク層は、前記回路基板の前記表面と対向する領域のみならず、前記回路基板の前記側面と対向する領域、及び前記回路基板の前記裏面における少なくとも周縁部と対向する領域にも及んでいる、
付記1に記載の表示ユニット。
(付記3)
前記回路基板、前記防水層、及び前記マスク層を、撓められた状態に保持する保持板、
をさらに備える、付記1又は2に記載の表示ユニット。
(付記4)
前記表示ユニットに対して、前記表示ユニットを用いて構成される表示画面において左右方向となる方向に平行なX軸と、前記表示画面において上下方向となる方向に平行なY軸と、前記X軸及び前記Y軸に直交するZ軸とを有し、前記表示画面から前記表示画面の正面に向かう方向となる方向を前記Z軸のプラス方向とするXYZ直交座標系を定義したとき、
前記Y軸の方向に視て、前記Z軸の前記プラス方向に突出した凸部と、前記Z軸のマイナス方向に突出した凹部とが、前記X軸に平行な方向に交互に繰り返し構成されている繰り返し形状を有する、
付記1から3のいずれかに記載の表示ユニット。
(付記5)
前記発光素子は、前記回路基板の前記表面における、各々の前記凹部の底部を構成している箇所にのみ配置されている、
付記4に記載の表示ユニット。
(付記6)
前記発光素子は、前記回路基板の前記表面における、各々の前記凸部の頂部から、該凸部の、前記X軸のプラス方向の隣に位置する前記凹部の底部へ向かう途中を構成している箇所にのみ配置されている、
付記4に記載の表示ユニット。
(付記7)
前記発光素子は、前記回路基板の前記表面における、各々の前記凸部の頂部から、該凸部の、前記X軸のマイナス方向の隣に位置する前記凹部の底部へ向かう途中を構成している箇所にのみ配置されている、
付記4に記載の表示ユニット。
(付記8)
前記繰り返し形状とは、前記Y軸の方向に視て、それぞれ前記Z軸に平行な方向を振幅の方向とする、正弦波、三角波、又は矩形波の形状を指す、
付記4又は5に記載の表示ユニット。
(付記9)
付記1から8のいずれかに記載の表示ユニットを複数備え、
複数の前記表示ユニットが組み合わされて構成されている、
表示装置。
【符号の説明】
【0124】
100 発光素子、100a 放射面、111R 赤色LED、111G 緑色LED、111B 青色LED、120 パッケージ部材、130 リードフレーム、140 透明封止部材、200 回路基板、200a 表面、200b 裏面、200c 側面、210 制御回路、300 防水層、400 マスク層、400A 本体部、410 開口、420 ひさし部、420A 切り起こし部、430 繋ぎ部、600 保持構造体、600a 凹部、600b 凸部、610 可撓性構造体、620 保持板、621 背板部、622 側板部、700 表示ユニット、800 表示装置、810 表示画面、MS マスクシート、SL 切り込み。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11