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特開2024-178657撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラム
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  • 特開-撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178657
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241218BHJP
   H04N 1/32 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N23/60 300
H04N1/32 144
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096964
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祥晴
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122EA01
5C122GA20
5C122GA21
5C122GA34
5C122GC52
5C122GE01
5C122HA28
5C122HA40
5C122HA75
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮像装置がハードウェア的に改造された恐れがある場合には、電子署名機能を無効化できるようにする。
【解決手段】撮像装置は、撮像装置であって、前記撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出手段と、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、電子署名付与機能を無効化する制御手段とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
前記撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、電子署名付与機能を無効化する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記電子署名付与機能が無効化されていない場合には、データに電子署名を付与し、前記電子署名付与機能が無効化された場合には、データに電子署名を付与しない付与手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記電子署名が付与されたデータを配信する配信手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記配信手段は、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、通知を配信することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記付与手段は、映像データに電子署名を付与することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像部により撮像された映像データを符号化する符号化手段をさらに有し、
前記付与手段は、前記符号化手段により符号化された映像データに対して電子署名を付与することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、第1の設定がされている場合には、電子署名付与機能を無効化し、
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、第2の設定がされている場合には、前記撮像装置の起動処理を停止することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、前記第2の設定がされている場合には、通知を配信する配信手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、前記第2の設定がされている場合には、通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記付与手段は、前記電子署名付与機能の設定が有効化の設定である場合には、データに電子署名を付与し、前記電子署名付与機能の設定が無効化の設定である場合には、データに電子署名を付与せず、
前記制御手段は、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、前記電子署名付与機能の設定が有効化の設定である場合には、前記電子署名付与機能の設定を無効化の設定に変更することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記電子署名付与機能の設定は、不揮発性記憶部に保存されていることを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、前記電子署名付与機能の設定を無効化の設定から有効化の設定に変更できないように制御することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項14】
撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、電子署名付与機能を無効化する制御ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項15】
撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、撮像装置の電子署名付与機能を無効化する制御ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、静的な電子データの真正性を証明するための技術として、電子署名技術が一般的に広く使用されている。この電子署名技術は、公開鍵暗号技術と暗号学的ハッシュ技術を組み合わせたものであるが、従来の情報処理装置では、性能が低く、動的に生成される電子データへの電子署名の付与は困難だった。
【0003】
しかし、近年では、情報処理装置の性能向上により、動的に生成される電子データに対してリアルタイムに電子署名を付与することが可能になってきている。その応用例として、撮像装置によって撮像された映像を符号化し、その符号化したデータに対して電子署名を付与する技術がある。
【0004】
この技術によって符号化データが特定個体の撮像装置が撮像したこと、また符号化データが改ざんされていないことを証明できるようになる。これは、コンピュータグラフィックスを使用したリアルな架空の映像データと明確に区別ができることを意味し、撮像装置によって撮像された符号化データの証拠性が飛躍的に向上する。
【0005】
また、特許文献1には、セキュリティ機能付きカードリーダー装置において、装置筐体が開梱されたことを検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-291050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば撮像装置の一つである監視用ネットワークカメラは、映像を監視する場所から離れたところに設置される場合が多いこと、また人気の少ないところに設置される場合が多いことから、ハードウェアの改変が困難であるとは言いにくい。
【0008】
また、撮像装置内部の撮像素子と情報処理装置との間のインターフェースは、MIPI(登録商標)を始めとした一般的に公開されているものが広く使われており、情報処理装置に対して、その場で撮像していない、偽の映像を入力することも不可能ではない。
【0009】
この結果、偽の符号化データに対して電子署名を付与してしまうことになり、先の技術により悪用が可能となってしまう。
【0010】
本開示の目的は、撮像装置がハードウェア的に改造された恐れがある場合には、電子署名機能を無効化できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
撮像装置は、撮像装置であって、前記撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出手段と、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、電子署名付与機能を無効化する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、撮像装置がハードウェア的に改造された恐れがある場合には、電子署名機能を無効化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】撮像装置のハードウェア構成例を示す図である。
図2】撮像装置の機能構成例を示す図である。
図3】撮像装置の動作を示すフローチャートである。
図4】撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが解決手段に必須のものとは限らない。なお、実施形態に係る撮像装置としてネットワークカメラを例に説明する。しかしながら適用範囲はネットワークカメラに限定せず、電子署名機能を有する撮像装置であればよい。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、例えば、ネットワークカメラであり、カメラエンジン110とネットワークエンジン120を有する。
【0016】
カメラエンジン110は、図示しない撮像素子と信号処理装置を有し、撮像した映像をネットワークエンジン120で処理しやすいデータ形式で出力する。ネットワークエンジン120は、カメラエンジン110からの映像データを入力にして、画像処理や符号化を行い、図示しない外部装置へネットワーク経由で符号データを出力する。
【0017】
次に、ネットワークエンジン120の説明を行う。ネットワークエンジン120は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、ネットワーク制御部104と、カメラ通信部105と、表示部106と、開閉センサ部107と、バス109を有する。
【0018】
CPU101は、ネットワークエンジン120のプログラムを実行し、撮像装置100の制御を行う。
【0019】
ROM102は、リードオンリーメモリであり、CPU101が実行するプログラムを格納している。近年では、ROM102は、電気的に書き換え可能なリードオンリーメモリ(フラッシュメモリ)を使用することが一般的である。
【0020】
RAM103は、ランダムアクセスメモリであり、CPU101がネットワークエンジン120を制御する際に、プログラムや一時的なデータの格納などに使用される。
【0021】
ネットワーク制御部104は、図示しないネットワーク上の対向機器とのデータの送受信を制御する。
【0022】
カメラ通信部105は、カメラエンジン110の制御を行い、カメラエンジン110から映像データを受信する。
【0023】
表示部106は、ネットワークエンジン120もしくはカメラエンジン110の各種内部状態を表示する。
【0024】
開閉センサ部107は、撮像装置100の筐体が開いたか否かを検出する。
【0025】
バス109は、CPU101、ROM102、RAM103、ネットワーク制御部104、カメラ通信部105、表示部106、及び開閉センサ部107を相互に接続する。
【0026】
図2は、第1の実施形態に係る撮像装置100の機能構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、撮像部200と、符号化部210と、署名付与部220と、配信部230と、開閉検出部240と、通知部250を有する。
【0027】
撮像部200は、図1のカメラエンジン110に相当し、撮像処理、ノイズ除去処理、及び色空間変換処理などを行い、映像データを出力する。
【0028】
符号化部210は、撮像部200により撮像された映像データに対して、ネットワーク配信しやすいように符号化する。本実施形態では、符号化部210は、CPU101がROM102に格納されたプログラムをRAM103上に転送して実行するソフトウエア処理を想定しているが、ハードウェア符号化回路を搭載してハードウェアで符号化処理を行ってもよい。
【0029】
署名付与部220は、符号化部210により符号化された映像データに対して、電子署名を生成し、符号化された映像データに電子署名を付与する。電子署名技術については、広く使われている公知の技術のため説明を割愛する。また、電子署名を符号化データへ付与する方法についても、公知であるため説明を割愛する。
【0030】
配信部230は、電子署名が付与された符号化データをネットワーク配信する。また、配信部230は、後述する開閉検出部240で筐体が開いたことを検出した場合には、その検出結果をネットワーク配信する。
【0031】
開閉検出部240は、図1の開閉センサ部107に相当し、撮像装置100の筐体が開いたか否かを検出する。検出方法は、筐体を開いた時に状態が変化するように取り付けられた物理的なスイッチを用いることを想定しているが、他に例えば筐体を開いた時に内部が明るくなることを利用した光センサなどを用いてもよい。また、開閉検出部240は、筐体が開いたことの情報を電気的に格納し、CPU101から参照できるようにする格納手段や、撮像装置100が電源に接続されていなくても、この格納手段の状態を維持するために必要な電源等も開閉検出部240に含まれている。
【0032】
通知部250は、図1の表示部106に相当し、前述の開閉検出部240で撮像装置100の筐体が開いたことを検出した場合には、その検出結果を表示する。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る撮像装置100の制御方法を示すフローチャートであり、電源が投入されたときの、CPU101が実行する処理の一部を示すフローチャートである。この処理は、プログラムがROM102に格納されており、CPU101がROM102からプログラムを読み出しながら実行する場合もある。また、この処理は、あらかじめROM102からRAM103へプログラムを転送した後で、CPU101がRAM103からプログラムを読み出しながら実行する場合もある。
【0034】
ステップS3010では、CPU101は、検出部として機能し、開閉センサ部107を用いて、撮像装置100の筐体が開いたか否かを検出する。具体的には、CPU101がバス109を通じて開閉センサ部107に問い合わせを行うことで実現する。CPU101は、撮像装置100の筐体が開いたことが検出された場合には、ステップS3020に処理を進め、撮像装置100の筐体が開いたことが検出されなかった場合には、図3の処理を終了する。
【0035】
ステップS3020では、CPU101は、制御部として機能し、電子署名付与機能を無効化する。これは、図2の開閉検出部240が署名付与部220へ撮像装置100の筐体が開いたことの指示を出すことに相当する。この場合、以後、署名付与部220は、符号化部210が出力する符号化データに対して、署名を付与せずに配信部230へ出力する。これにより、撮像装置100の筐体が開いた後の撮像装置100は、署名が付与された符号化データを出力しなくなる。
【0036】
署名付与部220は、電子署名付与機能が無効化されていない場合には、符号化された映像データに電子署名を付与し、電子署名付与機能が無効化された場合には、符号化された映像データに電子署名を付与しない。配信部230は、署名付与部220により電子署名が付与されたデータ、又は、電子署名が付与されていないデータを配信する。
【0037】
また、ステップS3020では、開閉検出部240が配信部230へ撮像装置100の筐体が開いたことの検出結果を出力することで、配信部230は、図示しない対向機器に対してその旨の通知を配信することも可能である。
【0038】
さらに、ステップS3020では、開閉検出部240が通知部250へ撮像装置100の筐体が開いたことの検出結果を出力することで、通知部250は、その旨の通知を行うことができる。例えば、表示部106は、その旨の表示を行うことができる。これらにより、遠隔地にいるユーザ、又は撮像装置100の近くにいるユーザが異常に気づくことが可能になる。
【0039】
以上、本実施形態によれば、撮像装置100は、撮像装置100の筐体が開かれ、撮像装置100のハードウェアの改変が行われた可能性を検出でき、撮像装置100が出力する符号化データに署名付与処理を行わないようにすることが可能になる。これにより、撮像装置100が持つ電子署名付与機能の悪用を防ぐことが可能になる。
【0040】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ステップS3010で、撮像装置100の筐体が開いたことが検出された場合に、ステップS3020で、電子署名付与機能を無効化し、その後、撮像装置100の起動処理を継続する例を示した。
【0041】
一方、撮像装置100の筐体が開かれ、撮像装置100のハードウェアの改変の可能性があった場合に、撮像装置100の起動処理を継続せずに、動作を停止させる方が、よりセキュリティの観点で安全であるという考え方も存在する。これに対応するように、撮像装置100の筐体が開いたことを検出した後の動作を設定できるように構成することも可能である。
【0042】
そこで、ユーザが撮像装置100の動作を継続させるか、動作を停止させるかを設定可能な撮像装置100も考えられる。この場合は、表示部106がユーザの操作を受け付けるように構成して入力を受け付けたり、図示しない対向機器からの入力を受け付けたりし、CPU101はこれらの入力の設定状態をROM102に保存しておく。そして、CPU101は、撮像装置100の起動時にそれを参照して、設定状態に従い動作するように構成すればよい。
【0043】
図4は、第2の実施形態に係る撮像装置100制御方法を示すフローチャートであり、撮像装置100の電源が投入されたときの、CPU101が実行する処理の一部を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS3010では、CPU101は、開閉センサ部107を用いて、撮像装置100の筐体が開いたか否かを検出する。具体的には、CPU101がバス109を通じて開閉センサ部107に問い合わせを行うことで実現する。CPU101は、撮像装置100の筐体が開いたことが検出された場合には、ステップS4030に処理を進め、撮像装置100の筐体が開いたことが検出されなかった場合には、図4の処理を終了する。
【0045】
ステップS4030では、CPU101は、ROM102に保存されている設定状態が、撮像装置100の起動処理を停止させる設定状態であるか否かを判定する。この設定状態は、CPU101により、表示部106のユーザ入力又は対向機器からの入力に応じた設定状態として、ROM102に格納されている。
【0046】
CPU101は、撮像装置100の起動処理を停止させない設定状態(第1の設定)がROM102に保存されている場合には、ステップS3020に処理を進める。このステップS3020の処理は、図3のステップS302の処理と同様である。
【0047】
また、CPU101は、撮像装置100の起動処理を停止させる設定状態(第2の設定)がROM102に保存されている場合には、撮像装置100の起動処理を停止する。このとき、開閉検出部240が通知部250へ撮像装置100の筐体が開いたことの検出結果を出力することで、通知部250は、その旨の通知を行うことができる。すなわち、表示部106は、その旨の表示を行うことができる。また、配信部230の初期化処理が完了している時に、この処理を実行する場合には、開閉検出部240が配信部230へ撮像装置100の筐体が開いたことの検出結果を出力することで、配信部230は、対向機器に対して、その旨の通知を配信することができる。これらにより、撮像装置100の近くにいるユーザや遠隔地にいるユーザが異常に気づくことが可能になる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、撮像装置100の筐体が開かれ、撮像装置100のハードウェアの改変が行われた可能性を検出したときに、撮像装置100の起動処理を継続するか停止させるかを設定可能になる。これにより、撮像装置100が持つ電子署名付与機能の悪用を、さらに厳密に防ぐことができる。
【0049】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、電子署名付与機能の有効化/無効化の設定は、ユーザが設定不可能であった。しかし、ユーザが電子署名付与機能の有効化/無効化を設定可能な撮像装置100も考えられる。この場合は、表示部106はユーザの操作を受け付けるよう構成して入力を受け付けたり、図示しない対向機器からの入力を受けたりし、CPU101がこの入力の設定状態をROM102に保存しておく。そして、署名付与部220がそれを参照して、設定状態に従い動作するように構成する。
【0050】
CPU101は、表示部106のユーザ操作の入力又は対向機器からの入力に応じて、電子署名付与機能の有効化/無効化の設定状態をROM102に保存しておく。ROM102は、不揮発性記憶部の一例である。署名付与部220は、ROM102の電子署名付与機能の設定が有効化の設定である場合には、データに電子署名を付与し、ROM102の電子署名付与機能の設定が無効化の設定である場合には、データに電子署名を付与しない。
【0051】
CPU101は、撮像装置100の起動時に、開閉検出部240によって撮像装置100の筐体が開いたことが検出された場合には、ROM102に保存されている設定状態が電子署名付与機能の有効化の設定であるか否かを判定する。設定状態が電子署名付与機能の有効化の設定である場合、CPU101は、ROM102において、電子署名付与機能の設定を有効化の設定から無効化の設定に変更するように書き換え、電子署名付与機能を無効化する。
【0052】
さらに、CPU101は、開閉検出部240によって撮像装置100の筐体が開いたことが検出された場合には、ユーザが電子署名付与機能の設定を無効化の設定から有効化の設定に変更できないように制御することで、さらに厳密に悪用を防ぐことができる。
【0053】
また、CPU101は、撮像装置100の起動時に、開閉検出部240によって撮像装置100の筐体が開いたことが検出されなかった場合には、ROM102に保存されている設定状態に応じて、電子署名付与機能を有効化又は無効化する。
【0054】
CPU101が開閉検出部240により撮像装置100の筐体が開いたことが検出されたことを保持する方法として、電気的ヒューズを用いることができる。CPU101は、撮像装置100の筐体が開いたことが検出された場合には、電気的ヒューズを切断するように制御すれば、後から筐体が開いたことが検出されなかった状態に電気的ヒューズを戻すことが不可能になり、さらに厳密に悪用を防ぐことができる。
【0055】
また、第1及び第2の実施形態では、カメラエンジン110で撮像した映像を符号化したデータに対して電子署名を付与する説明を行ったが、電子署名を付与するデータはこれに限定されない。
【0056】
第1~第3の実施形態によれば、撮像装置100がハードウェア的に改造を施した場合には、生成される符号化データには電子署名が付与されなくなり、技術の悪用を防止することが可能になる。
【0057】
(その他の実施形態)
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0058】
なお、上述の実施形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本開示はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0059】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法及びプログラムを含む。
(構成1)
撮像装置であって、
前記撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、電子署名付与機能を無効化する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
(構成2)
前記電子署名付与機能が無効化されていない場合には、データに電子署名を付与し、前記電子署名付与機能が無効化された場合には、データに電子署名を付与しない付与手段をさらに有することを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)
前記電子署名が付与されたデータを配信する配信手段をさらに有することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成4)
前記配信手段は、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、通知を配信することを特徴とする構成3に記載の撮像装置。
(構成5)
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする構成1~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成6)
前記付与手段は、映像データに電子署名を付与することを特徴とする構成2~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成7)
撮像部により撮像された映像データを符号化する符号化手段をさらに有し、
前記付与手段は、前記符号化手段により符号化された映像データに対して電子署名を付与することを特徴とする構成2~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成8)
前記制御手段は、
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、第1の設定がされている場合には、電子署名付与機能を無効化し、
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、第2の設定がされている場合には、前記撮像装置の起動処理を停止することを特徴とする構成1~7のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成9)
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、前記第2の設定がされている場合には、通知を配信する配信手段をさらに有することを特徴とする構成8に記載の撮像装置。
(構成10)
前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、前記第2の設定がされている場合には、通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする構成8又は9に記載の撮像装置。
(構成11)
前記付与手段は、前記電子署名付与機能の設定が有効化の設定である場合には、データに電子署名を付与し、前記電子署名付与機能の設定が無効化の設定である場合には、データに電子署名を付与せず、
前記制御手段は、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出され、かつ、前記電子署名付与機能の設定が有効化の設定である場合には、前記電子署名付与機能の設定を無効化の設定に変更することを特徴とする構成2~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成12)
前記電子署名付与機能の設定は、不揮発性記憶部に保存されていることを特徴とする構成11に記載の撮像装置。
(構成13)
前記制御手段は、前記検出手段により前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、前記電子署名付与機能の設定を無効化の設定から有効化の設定に変更できないように制御することを特徴とする構成11又は12に記載の撮像装置。
(方法1)
撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、電子署名付与機能を無効化する制御ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
(プログラム1)
撮像装置の筐体が開いたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記撮像装置の筐体が開いたことが検出された場合には、撮像装置の電子署名付与機能を無効化する制御ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0060】
100 撮像装置、110 カメラエンジン、120 ネットワークエンジン、200 撮像部、210 符号化部、220 署名付与部、230 配信部、240 開閉検出部、250 通知部
図1
図2
図3
図4