(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178662
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】生成プログラム、生成システム、及び生成方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/131 20220101AFI20241218BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241218BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20241218BHJP
【FI】
H04L67/131
G06T19/00 A
G06F21/60 320
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096972
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】脊尾 信好
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA26
5B050FA02
(57)【要約】
【課題】さまざまなデータを仮想空間上に具現化する。
【解決手段】生成プログラムは、コンピュータに、ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得する識別子データ取得部と、事前に定められる具現化ルール及び識別子データに基づいて、識別子データを仮想空間上で具現化するための具現化データを生成する具現化部と、具現化データを外部の情報処理システムに出力する具現化データ出力部と、を実現させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得する識別子データ取得部と、
事前に定められる具現化ルール及び前記識別子データに基づいて、前記識別子データを前記仮想空間に具現化するための具現化データを生成する具現化部と、
前記具現化データを外部の情報処理システムに出力する具現化データ出力部と、
を実現させるための生成プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記具現化データを取得する具現化データ取得部と、
事前に定められる識別子化ルール及び前記取得される具現化データに基づいて、前記具現化データの生成の元となった前記識別子データを生成する識別子化部と、
前記生成された識別子データを外部の情報処理システムに出力する識別子データ出力部と、
をさらに実現させるための請求項1に記載の生成プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、前記識別子データに所定の演算処理を施して、処理済み識別子データを生成する前処理部をさらに実現させ、
前記具現化部は、前記具現化ルール及び前記処理済み識別子データに基づいて、前記具現化データを生成する、
請求項1又は2に記載の生成プログラム。
【請求項4】
前記前処理部は、前記識別子データに、前記ユーザに対応する所定の鍵情報を用いて暗号化する暗号化処理を施して、前記処理済み識別子データを生成し、
前記具現化部は、前記具現化ルール、及び前記暗号化処理により生成される前記処理済み識別子データに基づいて、前記具現化データを生成する、
請求項3に記載の生成プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、
前記識別子データに、前記ユーザに対応する所定の鍵情報を用いて暗号化する暗号化処理を施して、処理済み識別子データを生成する前処理部をさらに実現させ、
前記具現化部は、前記具現化ルール、及び前記暗号化処理により生成される前記処理済み識別子データに基づいて、前記具現化データを生成し、
前記識別子化部は、前記識別子化ルール、及び前記具現化データに基づいて生成される前記処理済み識別子データを復号して、前記識別子データを生成する、
請求項2に記載の生成プログラム。
【請求項6】
ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得する識別子データ取得部と、
事前に定められる具現化ルール及び前記識別子データに基づいて、前記識別子データを前記仮想空間に具現化するための具現化データを生成する具現化部と、
前記具現化データを外部の情報処理システムに出力する具現化データ出力部と、
を備える生成システム。
【請求項7】
コンピュータが、
ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得し、
事前に定められる具現化ルール及び前記識別子データに基づいて、前記識別子データを前記仮想空間に具現化するための具現化データを生成し、
前記具現化データを外部の情報処理システムに出力する、
生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成プログラム、生成システム、及び生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想空間で用いられるユーザのキャラクター(例えば、アバター)を自動生成する技術が知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているアバター生成装置は、ユーザに対応づけるアバターを生成するアバター装置である。当該装置は、ユーザの外見からは識別不可能な情報である非外見情報を取得し、非外見情報と関連づけて記憶されているアイテムの中からユーザに対応付けるアバターに使用するアイテムを選択してアバターを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているアバター生成装置では、ユーザの所属やプロフィールに関する情報等の非外見情報とアイテムとが事前に関連づけられて記憶されており、非外見情報自体が想起させるイメージに沿ったアイテムが選択される。すなわち、特許文献1に記載されている非外見情報は、アイテムとの関連付けが可能な程度に、非外見情報自体が何らかのイメージを想起させる情報であることが前提となっていた。そのため、例えば、文字列が羅列されたデータ等、データ自体が特定のイメージを想起させないデータを、仮想空間に具現化することは考慮されていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、さまざまなデータを仮想空間に具現化することが可能な生成プログラム、生成システム、及び生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る生成プログラムは、コンピュータに、ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得する識別子データ取得部と、事前に定められる具現化ルール及び識別子データに基づいて、識別子データを仮想空間に具現化するための具現化データを生成する具現化部と、具現化データを外部の情報処理システムに出力する具現化データ出力部と、を実現させる。
【0008】
本発明の一態様に係る生成システムは、ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得する識別子データ取得部と、事前に定められる具現化ルール及び識別子データに基づいて、識別子データを仮想空間に具現化するための具現化データを生成する具現化部と、具現化データを外部の情報処理システムに出力する具現化データ出力部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る生成方法は、コンピュータが、ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得し、事前に定められる具現化ルール及び識別子データに基づいて、識別子データを仮想空間に具現化するための具現化データを生成し、具現化データを外部の情報処理システムに出力する。
【0010】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」又は装置が有する機能が2つ以上の物理的手段、装置、又はソフトウェアモジュールにより実現されても、2つ以上の「部」又は装置の機能が1つの物理的手段、装置、又はソフトウェアモジュールにより実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、さまざまなデータを仮想空間に具現化することが可能な生成プログラム、生成システム、及び生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である生成システム100における処理の概要を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態である生成システム100の構成を示す図である。
【
図3】記憶部110に記憶される識別子データの例を示す図である。
【
図4】記憶部110に記憶される具現化データの例を示す図である。
【
図5】生成システム100における処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】生成システム100における処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である生成システム100における処理の概要を示す図である。
【0014】
生成システム100は、生成プログラムによって実現される情報処理システムであり、具現化ルール及び識別子データに基づいて、具現化データを生成し、識別子化ルール及び具現化データに基づいて、具現化データの生成の元となった識別子データを生成する情報処理システムである。生成システム100は、いわば、識別子データと具現化データとを相互に変換する情報処理システムである。
【0015】
まず、生成システム100は、情報処理システムから、識別子データを取得する(S101)。生成システム100は、具現化ルール及び識別子データに基づいて、具現化データを生成し、情報処理システムに出力する(S102)。
【0016】
また、生成システム100は、情報処理システムから、具現化データを取得する(S103)。生成システム100は、識別子化ルール及び具現化データに基づいて、識別子データを生成し、情報処理システムに出力する(S104)。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態である生成システム100の構成を示す図である。生成システム100は、情報処理システム200とインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続される。情報処理システム200は、さらに、ユーザ端末300とインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続される。生成システム100の詳細については、後述する。
【0018】
なお、生成システム100は、ユーザ端末300とインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続されてもよい。この場合、生成システム100は、情報処理システム200と送受信するデータを、ユーザ端末300と送受信してもよい。
【0019】
情報処理システム200は、例えば、事業者の情報処理システムである。事業者は、例えば、仮想空間を管理し運営する事業者であってもよい。ここで、仮想空間は、特に限定されないが、例えば、メタバース、仮想現実、拡張現実、複合現実であってもよい。
【0020】
情報処理システム200は、生成システム100に対し、識別子化及び具現化を要求することができる。すなわち、情報処理システム200は、ユーザの識別子データ及び具現化データを生成システム100に対し提供することができ、また、生成システム100において生成された具現化データ及び識別子データを生成システム100から取得することができる。
【0021】
ユーザ端末300は、情報処理システム200のユーザが利用するコンピュータであり、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。ユーザは、例えば、情報処理システム200が提供する仮想空間のユーザである。
【0022】
ユーザは、例えば、ユーザ端末300を通じて情報処理システム200にアクセスし、情報処理システム200が提供する仮想空間を利用する。そして、ユーザは、仮想空間上で識別子化及び具現化を要求する。このとき、ユーザ端末300が、情報処理システム200に対し、当該ユーザの識別子データを出力する。
【0023】
続いて、生成システム100及び情報処理システム200の間で、識別子データ及び具現化データの入出力が行われる。情報処理システム200は、生成システム100から取得する具現化データを用いて識別子データを仮想空間に具現化し、ユーザによる利用を可能にする。また、情報処理システム200は、生成システム100から取得する識別子データを、ユーザ端末300に出力する。これにより、ユーザは、具現化データを仮想空間で利用し、また、識別子データを取得することができる。
【0024】
このとき、識別子データを情報処理システム200に出力するユーザ端末300と、識別子化により生成された識別子データを取得するユーザ端末300とは異なるユーザのユーザ端末300であってもよい。すなわち、第1ユーザの第1ユーザ端末が、情報処理システム200に対し識別子データを出力して、具現化を要求し、第2ユーザの第2ユーザが、識別子化を要求して、情報処理システム200から、生成された識別子データを取得してもよい。これにより、生成システム100は、識別子データと具現化データとを相互に変換して、ユーザ間での識別子データのやり取りを支援することができる。
【0025】
なお、
図2において、情報処理システム200及びユーザ端末300は、それぞれ1つずつ示されているが、それぞれ複数の情報処理システム200及びユーザ端末300であってもよい。
【0026】
続いて、生成システム100の詳細について説明する。生成システム100は、記憶部110、識別子データ取得部120、前処理部130、具現化部140、具現化データ出力部150、具現化データ取得部160、識別子化部170、識別子データ出力部180を備える。
図2に示す各部は、例えば、記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0027】
記憶部110は、生成システム100において処理される情報を記憶する。記憶部110は、例えば、後述する、識別子データ、具現化データを記憶することができる。
【0028】
識別子データ取得部120は、ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得して、識別子データを記憶部110に格納する。
【0029】
ここで、利用データは、例えば、ユーザが仮想空間で利用するデータである。利用データは、例えば、ユーザの連絡先を示す連絡先データ、決済時にユーザが用いる決済手段に関する決済手段データ、仮想空間で利用する利用物に関する利用物データ、又は現実空間において交換可能な特典に関する特典データを含む。
【0030】
識別子データは、利用データを識別するデータである。利用データが連絡先データである場合、識別子データは、例えば、住所、電話番号又はメールアドレスを示すデータであってもよい。利用データが決済手段データである場合、識別子データは、例えば、クレジットカード番号、口座番号、又はトークン(例えば、決済ブランドが提供するEMV(Europay International, MasterCard, Visa)規格のトークン)のIDであってもよい。利用データが利用物データである場合、識別子データは、例えば、JAN(Japanese Article Number)コード、GTIN(Global Trade Item Number)コード、又は製造番号であってもよい。利用データが特典データである場合、識別子データは、例えば、当該特典に対応する特典コードであってもよい。
【0031】
識別子データは、所定の情報処理システム(例えば、情報処理システム200又はその他の情報処理システム)において自動生成されたデータであってもよい。また、識別子データは、ユーザによって任意で設定されたデータであってもよい。また、識別子データは、一定の制約条件の下、ユーザによって任意で設定されたデータであってもよい。ここで、一定の制約条件は、例えば、桁数の上限若しくは下限に関する制約条件、又は文字列の種別に関する制約条件であってもよい。
【0032】
識別子データは、例えば、ユーザに対し特定のイメージを想起させないようなデータであってもよい。また、識別子データは、例えば、英数字及びカナ文字の少なくともいずれかから構成される文字列データであってもよい。また、識別子データは、数字のみから構成される文字列データであってもよい。
【0033】
図3は、記憶部110に記憶される識別子データの例を示す図である。記憶部110に記憶される識別子データは、例えば、識別子データID及び識別子内容データを含む。識別子データIDは、記憶部110に記憶される識別子データを識別する情報である。識別子内容データは、識別子の内容(例えば、文字列)を示す情報である。
【0034】
前処理部130は、識別子データに所定の演算処理を施して、処理済み識別子データを生成し、記憶部110に格納する。
【0035】
前処理部130は、例えば、識別子データに、ユーザに対応する所定の鍵情報を用いて暗号化する暗号化処理を施して、処理済み識別子データを生成してもよい。このとき、処理済み識別子データは、所定の鍵情報により暗号化されたデータである。
【0036】
暗号化処理は、特に限定されないが、例えば、共通鍵暗号方式による暗号化処理又は公開鍵暗号方式による暗号化処理であってもよい。
【0037】
また、前処理部130は、例えば、後述する具現化部140による具現化処理が可能な形式に識別子データを処理した、処理済み識別子データを生成してもよい。具体的には、例えば、後述する具現化部140が、所定の桁のデータに基づいて具現化処理する場合であって、識別子データ取得部120が取得した識別子データが当該所定の桁でない形式のデータである場合に、前処理部130は、識別子データを処理して、当該所定の桁の処理済み識別子データを生成する。
【0038】
具現化部140は、事前に定められる具現化ルール及び識別子データに基づいて、利用データを仮想空間に具現化するための具現化データを生成し、具現化データを記憶部110に格納する。
【0039】
また、具現化部140は、具現化ルール及び処理済み識別子データに基づいて、具現化データを生成することができる。また、具現化部140は、具現化ルール、及び暗号化処理により生成される処理済み識別子データに基づいて、具現化データを生成することができる。
【0040】
ここで、具現化データは、識別子データを仮想空間に具現化したデータである。具現化データは、仮想空間でユーザが知覚可能な任意のデータであればよい。
【0041】
具現化データは、例えば、仮想空間でユーザが視覚的に認識可能なデータであってもよい。具体的には、具現化データは、例えば、現実空間に存在する若しくは存在した物若しくは生物を表すデータ、想像上の物若しくは生物を表すデータ、又は撮影画像若しくはイラスト画像(例えば、キャラクター)を表すデータであってもよい。
【0042】
また、具現化データは、例えば、仮想空間でユーザが、聴覚的、嗅覚的、味覚的、又は触覚的に認識可能なデータであってもよい。具体的には、具現化データは、例えば、音に関する音データ、匂いに関する匂いデータ、味に関する味データ、感触に関する感触データであってもよい。
【0043】
識別子データは、数字が羅列されたデータである場合があり、また、ユーザが設定したものではなく所定の情報処理システムにおいて自動生成されたデータである場合がある。また、識別子データは、ユーザによって設定可能であっても、データの性質上、一定の制約条件の下で設定されたデータである場合がある。そのため、識別子データはいわば無機質なデータである場合があり、ユーザは、識別子データに愛着や思い入れを持ちづらい場合がある。
【0044】
そこで、生成システム100(特に具現化部140)は、いわば無機質なデータである識別子データに基づいて、仮想空間に具現化するための具現化データを生成する。これにより、ユーザは、いわば無機質なデータである識別子データを、具現化された具現化データとして仮想空間上で認識することができ、識別子データに愛着や思い入れを持つことができる。さらに、ユーザは、具現化データを通じて、仮想空間上の他のユーザと交流することができる。
【0045】
より具体的に、クレジットカード番号の識別子データが、鳥のキャラクターの具現化データに具現化されている場合を考える。ユーザは、現実空間においては、クレジットカードを提示して決済する。一方、仮想空間においては、クレジットカード番号が鳥のキャラクターに具現化されている。そのため、当該ユーザは、仮想空間において決済する際、仮想空間上の決済相手に対し、あたかも、当該鳥のキャラクターを提示して、決済することができる。これにより、仮想空間上の決済に際して、クレジットカード番号を提示する場合と比較して、ユーザは、より質の高いユーザ体験を享受することができる。
【0046】
具現化ルールは、識別子データを所定の演算処理により変換して、具現化データを生成するためのルールである。
【0047】
具現化ルールは、例えば、識別子データと具現化データとの対応関係を示す対応関係データであってもよい。また、具現化ルールは、例えば、識別子データを入力すると、具現化データを出力する計算モデルであってもよい。また、具現化ルールは、複数の対応関係データを組み合わせたルール、複数の計算モデルを組み合わせたルール、又は、少なくとも1つの対応関係データ及び少なくとも1つの計算モデルを組み合わせたルールであってもよい。
【0048】
具現化ルールが対応関係データである場合、具現化部140は、例えば、対応関係データを参照して、識別子データに対応する具現化データを抽出し、当該抽出された具現化データを生成してもよい。
【0049】
具現化ルールが計算モデルである場合、具現化ルールは、例えば、識別子データの所定の桁の所定の数値に基づいて、当該所定の桁に対応する所定の部位を、当該所定の数値に対応する所定の形状(色若しくは透明度を含んでもよい)とした具現化データを生成するものであってもよい。具体的には、識別子データが12桁の数値データであり、具現化データとして人型のキャラクターが生成される場合に、具現化ルールは、例えば、1桁目及び2桁目が具現化データの頭部、3桁目及び4桁目が具現化データの腕部に対応するルールであり、また、例えば、1桁目及び2桁目の数値が、具現化データの頭部の形状に対応するルールであってもよい。
【0050】
特に具現化ルールが計算モデルである場合、生成システム100は、識別子データ及び具現化データの対応関係を全て記憶しておく必要がないため、生成システム100の記憶容量を削減することができる。
【0051】
具現化ルールは、識別子データの種別ごとに異なる具現化ルールであってもよい。すなわち、識別子データがメールアドレスを示すデータである場合は、具現化部140は、第1の具現化ルールに基づいて、当該メールアドレスを示す識別子データから具現化データを生成してもよく、また、識別子データがクレジットカード番号である場合は、具現化部140は、第2の具現化ルールに基づいて、当該クレジットカード番号を示す識別子データから具現化データを生成してもよい。これにより、生成システム100は、識別子データの種別に適した具現化ルール(例えば、識別子データの桁数や文字列の種別に適した具現化ルール)に基づいて、具現化データを生成することができる。
【0052】
また、具現化ルールは、異なる識別子データからは同一の具現化データを生成しないルールであってもよい。これにより、生成システム100は、識別子データごとに固有の具現化データを生成することができる。なお、具現化データの固有性は、同一の識別子データの種別の範囲において満たされるものであってもよい。
【0053】
また、具現化ルールは、1つの具現化データのみを生成するものであってもよく、また、複数の具現化データの候補を生成するものであってもよい。具現化ルールが複数の具現化データの候補を生成するものである場合、具現化部140は、例えば、生成された複数の具現化データの候補をユーザ端末300に提供し、ユーザが、ユーザ端末300を通じて、当該複数の具現化データのうちから1つの具現化データを選択することにより、当該選択された具現化データを、識別子データに基づいて生成された具現化データとして処理してもよい。
【0054】
具現化部140は、識別子データに対応する利用データの利用状況に関する利用状況データにさらに基づいて、具現化データを生成してもよい。具体的には、例えば、具現化部140は、利用データが決済手段データである場合に、当該決済手段データが示す決済手段の利用回数にさらに基づいて、具現化データを生成してもよい。このとき、具現化部140は、例えば、利用回数が多いほど、より魅力的な具現化データ(例えば、より攻撃力の高いキャラクター又はより人気のあるキャラクター)が生成されてもよい。
【0055】
また、具現化部140は、生成した具現化データに対するユーザによる加工処理を受け付けてもよい。すなわち、生成システム100は、ユーザによる加工処理が施された具現化データを、識別子データに基づいて生成された具現化データとして処理してもよい。これにより、生成システム100は、ユーザによる具現化データに対する自分好みの加工を許容し、ユーザに対し、具現化データに対する愛着をより強く持たせることができる。
【0056】
また、このとき、生成システム100は、ユーザによる加工処理の履歴に関する加工履歴情報を記憶してもよい。これにより、後述する識別子化部170は、加工履歴情報にさらに基づいて、識別子データを生成することができる。
【0057】
図4は、記憶部110に記憶される具現化データの例を示す図である。記憶部110に記憶される具現化データは、例えば、具現化データID、具現化内容データを含む。具現化データIDは、記憶部110に記憶される具現化データを識別する情報である。具現化内容データは、具現化データの内容(例えば、キャラクターの形状)を示す情報である。
【0058】
具現化データ出力部150は、具現化データを外部の情報処理システムに出力する。
【0059】
具現化データ出力部150は、例えば、情報処理システム200に具現化データを出力することができる。
【0060】
情報処理システム200は、具現化データを取得して、例えば、具現化データを仮想空間に表示する。ユーザは、ユーザ端末300を通じて情報処理システム200の仮想空間を利用して、当該具現化データを認識することができる。
【0061】
具現化データ取得部160は、具現化データを取得する。
【0062】
具現化データ取得部160は、例えば、情報処理システム200から具現化データを取得してもよい。
【0063】
識別子化部170は、事前に定められる識別子化ルール及び取得される具現化データに基づいて、具現化データの生成の元となった識別子データを生成する。
【0064】
識別子化ルールは、具現化データを所定の演算処理により変換して、識別子データを生成するためのルールである。
【0065】
識別子化ルールは、例えば、具現化データと識別子データとの対応関係を示す対応関係データであってもよい。また、識別子化ルールは、例えば、具現化データを入力すると、識別子データを出力する計算モデルであってもよい。また、識別子化ルールは、複数の対応関係データを組み合わせたルール、複数の計算モデルを組み合わせたルール、又は、少なくとも1つの対応関係データ及び少なくとも1つの計算モデルを組み合わせたルールであってもよい。
【0066】
特に識別子化ルールが計算モデルである場合、生成システム100は、識別子データ及び具現化データの対応関係を全て記憶しておく必要がないため、生成システム100の記憶容量を削減することができる。
【0067】
識別子化ルールは、具現化ルールと反対の演算処理を行うルールであってもよく、また、当該反対の演算処理を行うルールとは異なる演算処理を行うルールであってもよい。
【0068】
このように、生成システム100は、識別子データの具現化処理のみならず、当該具現化処理によって生成された具現化データを識別子化して、いわば、具現化データを識別子データに戻すことができる。これにより、ユーザに対して仮想空間上で具現化データを扱っていると認識させながらも、識別子データを用いたコンピュータ処理が実行可能となる。
【0069】
また、具現化部140が処理済み識別子データに基づいて具現化データを生成した場合、識別子化部170は、事前に定められる識別子化ルール及び取得される具現化データに基づいて、具現化データの生成の元となった処理済み識別子データを生成し、さらに、識別子データを生成することができる。このとき、識別子化部170は、例えば、前処理部130により所定の演算処理と反対の演算処理を施して、処理済み識別子データから識別子データを生成してもよい。
【0070】
また、具現化部140が、所定の鍵情報により暗号化された処理済み識別子データに基づいて具現化データを生成した場合、識別子化部170は、事前に定められる識別子化ルール及び取得される具現化データに基づいて、具現化データの生成の元となった処理済み識別子データを生成し、さらに、処理済み識別子データを復号して、識別子データを生成することができる。このとき、識別子化部170は、例えば、前処理部130が用いた所定の鍵情報に対応する鍵情報を用いて、処理済み識別子データを復号することができる。
【0071】
この場合、生成システム100は、ユーザ端末300から情報処理システム200を通じて復号のための鍵情報を取得し、識別子化部170は、当該復号のための鍵情報を用いて、処理済み識別子データを復号して識別子データを生成してもよい。これにより、生成システム100は、正当な権限のないユーザへの識別子データの出力を防止することができる。
【0072】
また、情報処理システム200が複数の情報処理システム200を含む場合、生成システム100は、複数の情報処理システム200のそれぞれについて、識別子化部170による識別子化処理の可否を設定してもよい。すなわち、識別子化部170は、具現化データ取得部160が取得した具現化データの提供元の情報処理システム200が、識別子化処理が許可された情報処理システムである場合に限って、識別子化処理を行ってもよい。これにより、生成システム100は、識別子データの流出を防止することができる。
【0073】
なお、識別子化処理の可否の設定は、情報処理システム200ごとに、また、識別子データの種別ごとに設定されてもよい。これにより、生成システム100は、情報処理システム200ごとに、又は、識別子データの種別ごとに、識別子データの流出防止対策を講じることができる。
【0074】
識別子データ出力部180は、生成された識別子データを外部の情報処理システムに出力する。
【0075】
識別子データ出力部180は、例えば、情報処理システム200に識別子データを出力してもよく、また、ユーザ端末300に識別子データを出力してもよい。
【0076】
ここで、識別子データ出力部180は、識別子データに対応する第1ユーザとは異なる第2ユーザの第2ユーザ端末に、識別子データを出力してもよい。これにより、第1ユーザは、生成システム100を通じて、仮想空間において具現化データを扱いつつも、生成システム100を利用して、仮想空間上で第2ユーザと識別子データをやり取りすることができる。
【0077】
第1ユーザ及び第2ユーザの間における識別子データのやり取りについて、第1ユーザのクレジットカード番号を識別子データとした第1具体例を用いて、説明する。
【0078】
まず、第1ユーザが、第1ユーザ端末を通じて、情報処理システム200にクレジットカード番号の識別子データを提供する。識別子データ取得部120が、情報処理システム200から識別子データを取得し、具現化部140が、識別子データに基づいて具現化データを生成し、具現化データ出力部150が、情報処理システム200に対し具現化データを出力する。情報処理システム200が、具現化データを仮想空間に具現化し、ユーザが、第1ユーザ端末を通じて、仮想空間で具現化データを認識する。ユーザが、第1ユーザ端末を通じて仮想空間を利用し、仮想空間上で、第2ユーザに対し決済要求をする。
【0079】
第2ユーザは、第2ユーザ端末を通じて、仮想空間上で、第1ユーザから具現化データを用いた決済要求を受ける。第2ユーザは、第2ユーザ端末を通じて、情報処理システム200に対し、当該具現化データに対応する識別子データの提供を要求する。情報処理システム200は、生成システム100に対し、当該具現化データに対応する識別子データの提供を要求する。具現化データ取得部160が、情報処理システム200から具現化データを取得し、識別子化部170が、具現化データに基づいて、当該具現化データの生成の元となった識別子データ(すなわち、この場合は、第1ユーザのクレジットカード番号)を生成し、識別子データ出力部180が、当該生成された識別子データを情報処理システム200に出力する。情報処理システム200が、第2ユーザ端末に対し、当該生成された識別子データを提供する。第2ユーザは、取得した識別子データ(すなわち、この場合は、第1ユーザのクレジットカード番号)に基づいて、第1ユーザとの決済に関する決済処理を行う。
【0080】
続いて、第1ユーザ及び第2ユーザの間における識別子データのやり取りについて、交換可能な特典に関する特典データを識別子データとした第1具体例を用いて、説明する。ここで、当該特典データは、例えば、当該特典データを所持するユーザに対し、当該特典データの交付と引き換えに、所定の特典(例えば、商品の提供)を受けることができる特典に関する特典データである。
【0081】
まず、第1ユーザが、第1ユーザ端末を通じて、情報処理システム200に特典データの識別子データを提供する。識別子データ取得部120が、情報処理システム200から識別子データを取得し、具現化部140が、識別子データに基づいて具現化データを生成し、具現化データ出力部150が、情報処理システム200に対し具現化データを出力する。情報処理システム200が、具現化データを仮想空間に具現化し、ユーザが、第1ユーザ端末を通じて、仮想空間で具現化データを認識する。ユーザが、第1ユーザ端末を通じて仮想空間を利用し、仮想空間上で、第2ユーザに対し具現化データを提供する。このとき、第1ユーザは、例えば、第2ユーザとの決済の特典として、当該具現化データを提供してもよい。
【0082】
第2ユーザは、第2ユーザ端末を通じて、仮想空間上で、第1ユーザから具現化データを取得する。第2ユーザは、第2ユーザ端末を通じて、情報処理システム200に対し、当該具現化データに対応する識別子データの提供を要求する。情報処理システム200は、生成システム100に対し、当該具現化データに対応する識別子データの提供を要求する。具現化データ取得部160が、情報処理システム200から具現化データを取得し、識別子化部170が、具現化データに基づいて、当該具現化データの生成の元となった識別子データ(すなわち、この場合は、特典データ)を生成し、識別子データ出力部180が、当該生成された識別子データを情報処理システム200に出力する。情報処理システム200が、第2ユーザ端末に対し、当該生成された識別子データを提供する。第2ユーザは、取得した識別子データ(すなわち、この場合は、特典データ)に基づいて、特典を享受する。
【0083】
このように、生成システム100による具現化処理及び識別子化処理により、第1ユーザ及び第2ユーザは、いわば無機質データである識別子データを、キャラクター等により具現化された具現化データとして仮想空間上で認識し扱うことができ、また、第1ユーザ及び第2ユーザは、具現化データの生成の元となった識別子データを処理することができる。
【0084】
図5は、生成システム100における処理の例を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、具現化データの生成に関する処理の例を示すフローチャートである。
【0085】
まず、識別子データ取得部120が、識別子データを取得する(S501)。前処理部130が、識別子データに所定の演算処理を施して、処理済み識別子データを生成する(S502)。なお、前処理部130による処理は、行われなくてもよい。
【0086】
続いて、具現化部140が、具現化ルール、及び、識別子データ若しくは処理済み識別子データに基づいて、具現化データを生成する(S503)。具現化データ出力部150が、具現化データを外部の情報処理システム、例えば情報処理システム200に出力する(S504)。
【0087】
図6は、生成システム100における処理の例を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、識別子データの生成に関する処理の例を示すフローチャートである。
【0088】
具現化データ取得部160が、具現化データを取得する(S601)。識別子化部170が、識別子化ルール及び具現化データに基づいて、識別子データを生成する(S602)。識別子データ出力部180が、識別子データを外部の情報処理システム、例えば、情報処理システム200に出力する(S603)。
【0089】
以上、本発明の一実施形態について説明した。生成システム100は、ユーザが仮想空間で利用する利用データを識別する識別子データを取得し、具現化ルール及び識別子データに基づいて具現化データを生成し、具現化データを外部の情報処理システムに出力することができる。これにより、生成システム100は、さまざまなデータを仮想空間に具現化することができる。
【0090】
また、生成システム100は、具現化データを取得し、識別子化ルール及び具現化データに基づいて、具現化データの生成の元となった識別子データを生成し、生成された識別子データを外部の情報処理システムに出力することができる。これにより、生成システム100は、識別子データと具現化データとを相互に変換することができ、ユーザは、仮想空間上で、具現化データとして、識別子データを扱うことができる。
【0091】
また、生成システム100は、識別子データに所定の演算処理を施して処理済み識別子データを生成し、具現化ルール及び処理済み識別子データに基づいて、具現化データを生成することができる。これにより、生成システム100は、具現化ルールに沿った適切な処理済み識別子データに基づいて、さまざまなデータを仮想空間に具現化することができる。
【0092】
また、生成システム100は、識別子データに所定の鍵情報を用いて暗号化する暗号化処理を施して、処理済み識別子データを生成し、具現化ルール、及び暗号化処理により生成される処理済み識別子データに基づいて、具現化データを生成することができる。これにより、生成システム100は、識別子データを暗号化した処理済み識別子データに基づいて、さまざまなデータを仮想空間に具現化することができる。
【0093】
生成システム100は、具現化ルール、及び暗号化処理により生成される処理済み識別子データに基づいて、具現化データを生成し、識別子化ルール、及び具現化データに基づいて生成される処理済み識別子データを復号して、識別子データを生成することができる。これにより、識別子データを暗号化させた処理済み識別子データに基づいて生成された具現化データから、再度、識別子データを生成することができる。
【0094】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0095】
100 生成システム、110 記憶部、120 識別子データ取得部、130 前処理部、140 具現化部、150 具現化データ出力部、160 具現化データ取得部、170 識別子化部、180 識別子データ出力部、200 情報処理システム、300 ユーザ端末