(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178665
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】無停電電源システムおよび無停電電源システムを用いた電力供給方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20241218BHJP
H02J 3/40 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J3/40
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096979
(22)【出願日】2023-06-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】木水 拓也
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
【Fターム(参考)】
5G015GA07
5G015GA08
5G015JA22
5G015JA33
5G066HA11
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】3系統の無停電電源を同期制御させて負荷に対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源が出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源の各々の出力を適切に同期させることが可能な無停電電源システムを提供する。
【解決手段】交流電力を変換して出力する電力変換部20a~20cおよび交流電源Sの電力を直接出力する第1バイパス回路30a~30cを含む無停電電源100a~100cを3系統以上用いて、電力供給を行う無停電電源システム200であって、無停電電源100a~100cの各々は同期制御部8a~8cを含み、同期制御部8a~8cは、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の前記負荷に電力供給を行う無停電電源システムであって、
前記無停電電源の各々は、
前記無停電電源における自系統の前記バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて取得される検出情報、および、前記無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信部と、
前記検出情報および前記運転状態情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、自系統の前記バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御部とを含み、
前記同期制御部は、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報を取得した際に、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、無停電電源システム。
【請求項2】
前記同期制御部は、前記無停電電源に含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことにより前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報を取得した際に、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統の前記母線の電圧が他系統から同期する対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成し、
前記運転状態情報は、自系統の前記無停電電源における前記情報通信部が、前記インターロック情報が生成されていないという情報を含む、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、
他系統の前記無停電電源が前記バイパス回路を用いて給電を行っているという前記運転状態情報と、他系統の前記無停電電源において、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという前記運転状態情報と、自系統が他系統の前記母線の電圧を正常に検出できない状態であることを示す前記運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報は、自系統の前記無停電電源が前記バイパス回路を用いて給電を行っているというバイパス給電情報を含む、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記無停電電源の各々に含まれる前記バイパス回路は、前記電力変換部を介して前記負荷に電力を給電する場合にオフとなり、前記バイパス回路を介して前記負荷に給電する場合にオンとなるバイパス開閉器を含み、
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統の前記バイパス開閉器がオンとなっている場合に、前記バイパス給電情報を生成して通信するように構成され、
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、自系統の前記情報通信部から取得した他系統の前記バイパス給電情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記バイパス給電情報を出力する他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項5に記載の無停電電源システム。
【請求項7】
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、前記検出情報が正常であるか否かを判定し、自系統の前記母線の電圧が正常であると判定した場合に母線正常状態情報を生成し、自系統の前記母線の電圧が正常でないと判定した場合に母線異常状態情報を生成して前記情報通信部に通信するように構成され、
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統の前記母線の電圧が他系統から同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報を生成し、他系統から、自系統の前記無停電電源が前記バイパス回路を用いて給電を行っているというバイパス給電情報と、前記母線正常状態情報と、前記優先同期情報と、他系統の前記無停電電源が前記母線の電圧を検出できない状態であることを示す母線電圧検出異常情報とを含む前記運転状態情報を取得した場合に、自系統の前記母線の電圧が、他系統から同期する対象として選択されないようにするための前記インターロック情報を生成するように構成される、請求項3に記載の無停電電源システム。
【請求項8】
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統が前記インターロック情報を生成していない状態において、他系統との通信により前記母線正常状態情報を取得した場合に、前記優先同期情報を生成するように構成されており、
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記優先同期情報を出力している他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項7に記載の無停電電源システム。
【請求項9】
交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の前記負荷に電力供給を行う無停電電源システムを用いた電力供給方法であって、
前記無停電電源における自系統の前記バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて取得される検出情報、および、前記無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信ステップと、
前記検出情報および前記運転状態情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、自系統の前記バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御ステップとを含み、
前記同期制御ステップは、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報を取得した際に、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行う、無停電電源システムを用いた電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源に接続された2系統の無停電電源のうち、いずれかの無停電電源を用いて、3系統以上の負荷に電力を給電する無停電電源システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載の無停電電源システムは、3系統の負荷へ電力供給を行う2系統の無停電電源装置を備えている。無停電電源装置の各々は、交流電源からの電力を直接負荷へ供給するバイパス電源回路と、負荷へ供給する電力を調整する電力変換部と、自系統の電力変換部の出力および他系統の電力変換部の出力を検出する電圧検出器と、電圧検出器を介して電圧を取得する同期選択回路とを含む無停電電源を備える。
【0003】
また、上記特許文献1では、無停電電源装置の各々は、同期選択回路の取得した電圧を相互に通信するための信号中継回路をさらに備える。そして、上記特許文献1に記載の無停電電源システムでは、停電などにより、2系統の無停電電源のうちの一方側の無停電電源に含まれるバイパス電源回路の電圧に異常が生じた場合に、自系統の出力する母線の電圧を、2系統の無停電電源のうちの他方側の無停電電源に含まれる正常電圧のバイパス電源回路の電圧に同期させるように電力変換部を制御する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記特許文献1では、3系統以上の無停電電源装置における同期対象の制御方法、および、いずれかの系統の無停電電源において異常が生じた場合の制御方法については明記されていない。そのため、上記特許文献1の構成では、3系統以上の無停電電源のうち、いずれかの系統の無停電電源が異常な状態となった場合に、どのようにして同期すれば負荷に対して適切な電力を供給できるかが不明であり、無停電電源の各々が、不適切な電圧に同期して電力を供給してしまう場合があるという問題点が考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、3系統以上の無停電電源を同期制御させて負荷に対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源が出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源の各々の出力を適切に同期させることが可能な無停電電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による無停電電源システムは、交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、交流電源の電力を負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の負荷に電力供給を行う無停電電源システムであって、無停電電源の各々は、無停電電源における自系統のバイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて取得される検出情報、および、無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信部と、検出情報および運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、自系統のバイパス回路の電圧、または、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御部とを含み、同期制御部は、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。
【0008】
この発明の第1の局面による無停電電源システムは、上記のように、3系統以上の無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、3系統以上の複数の無停電電源を用いる場合において、いずれかの系統の無停電電源が出力する電圧を制御することができなくなった場合にも、電圧を制御することができる系統の各々の母線の電圧を、母線の電圧を制御することができなくなった系統の母線の電圧に同期させることができる。その結果、3系統以上の無停電電源を同期制御させて負荷に対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源が出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源の各々の出力を適切に同期させることができる。
【0009】
上記第1の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、同期制御部は、無停電電源に含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことにより母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、3系統以上の複数の無停電電源を用いる場合において、いずれかの系統の無停電電源が、無停電電源に含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことに起因して、出力する電圧を制御することができなくなった場合にも、電圧を制御することができる系統の各々の無停電電源が、電圧を制御することができなくなった系統の出力電圧に同期する。その結果、3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う際に、無停電電源に含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことに起因していずれかの系統の無停電電源が出力を同期制御できなくなったとしても、3系統以上の無停電電源の各々の出力を同期させることができる。
【0010】
上記第1の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、無停電電源の各々に含まれる情報通信部は、自系統の母線の電圧が他系統から同期する対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成し、運転状態情報は、自系統の無停電電源における情報通信部が、インターロック情報が生成されていないという情報を含む。このように構成すれば、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、インターロック情報を含む運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、インターロック情報を含まない運転状態情報を出力している系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う。その結果、3系統以上の無停電電源の各々の同期制御部は、3系統以上の無停電電源の各々の出力を、不適切な系統の母線電圧に同期させることを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、自系統の電力変換部が出力する電圧を、他系統の無停電電源がバイパス回路を用いて給電を行っているという運転状態情報と、他系統の無停電電源において、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという運転状態情報と、自系統が他系統の母線の電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、無停電電源の各々に含まれる同期制御部が、他系統の無停電電源がバイパス回路を用いて給電を行っているという運転状態情報に基づく場合には、バイパス回路を用いて給電を行っているという運転状態情報を出している系統に同期対象を切り替えることができる。また、他系統の無停電電源において、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという運転状態情報に基づく場合には、優先同期情報が生成されていない系統に同期させないようにすることができる。また、自系統が他系統の母線の電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報に基づく場合には、自系統が他系統の母線の電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報を出している系統に同期対象を切り替えることができる。その結果、3系統以上の無停電電源の各々の同期制御部が、自系統の電力変換部が出力する電圧を、複数の運転状態情報のうち、他系統の無停電電源がバイパス回路を用いて給電を行っているという運転状態情報と、他系統の無停電電源において、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという運転状態情報と、自系統が他系統の母線の電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する系統の母線の電圧に適切に同期させることができる。
【0012】
上記一の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報は、自系統の無停電電源がバイパス回路を用いて給電を行っているというバイパス給電情報を含む。このように構成すれば、無停電電源の各々に含まれる同期制御部が、母線の電圧を同期制御できない状態であることを示すバイパス給電情報を含む運転状態情報に基づいて、同期対象とするべき系統の母線の電圧に同期させることができる。その結果、3系統以上の無停電電源の各々の同期制御部が、自系統の電力変換部が出力する電圧を、バイパス給電を行っている系統の母線の電圧に同期することで、3系統以上の無停電電源の各々の出力を同期させることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、無停電電源の各々に含まれるバイパス回路は、電力変換部を介して負荷に電力を給電する場合にオフとなり、バイパス回路を介して負荷に給電する場合にオンとなるバイパス開閉器を含み、無停電電源の各々に含まれる情報通信部は、自系統のバイパス開閉器がオンとなっている場合に、バイパス給電情報を生成して通信するように構成され、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、自系統の情報通信部から取得した他系統のバイパス給電情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、バイパス給電情報を出力する他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、無停電電源の各々に含まれる同期制御部が、バイパス開閉器のオンまたはオフの単純な動作によって生成されるバイパス給電情報に基づいて、母線の電圧を同期制御できない状態である系統の母線の電圧に同期することができる。その結果、3系統以上の無停電電源の各々の同期制御部が、バイパス開閉器のオンまたはオフの単純な動作によって生成されるバイパス給電情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、適切な系統の母線の電圧に、容易に同期させることができる。
【0014】
上記無停電電源の各々に含まれる情報通信部が、自系統の母線の電圧が他系統から同期される対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成する無停電電源システムにおいて、好ましくは、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、検出情報が正常であるか否かを判定し、自系統の母線の電圧が正常であると判定した場合に母線正常状態情報を生成し、自系統の母線の電圧が正常でないと判定した場合に母線異常状態情報を生成して情報通信部に通信するように構成され、無停電電源の各々に含まれる情報通信部は、自系統の母線の電圧が他系統から同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報を生成し、他系統から、自系統の無停電電源がバイパス回路を用いて給電を行っているというバイパス給電情報と、母線正常状態情報と、優先同期情報と、他系統の無停電電源が母線の電圧を検出できなくなっていることを示す母線電圧検出異常情報とを含む運転状態情報を取得した場合に、自系統の母線の電圧が、他系統から同期される対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成するように構成される。このように構成すれば、無停電電源の各々の同期制御部が、バイパス給電情報と、母線正常状態情報と、優先同期情報を含む運転状態情報とに基づいて生成されたインターロック情報に基づいて、同期対象を切り替えることができる。その結果、3系統以上の無停電電源の各々の同期制御部は、自系統の電力変換部が出力する電圧を、インターロック情報を生成してない系統の母線電圧に同期させることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、無停電電源の各々に含まれる情報通信部は、自系統がインターロック情報を生成していない状態において、他系統との通信により母線正常状態情報を取得した場合に、優先同期情報を生成するように構成されており、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、自系統の電力変換部が出力する電圧を、優先同期情報を出力している他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、優先同期情報に基づいて、無停電電源の各々の同期制御部が、いずれの系統の母線電圧を同期対象とするかを適切に選択することができる。その結果、3系統以上の無停電電源の各々の同期制御部が、優先同期情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、優先同期情報を出力している系統の母線の電圧に容易に同期させることができる。
【0016】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による無停電電源システムを用いた電力供給方法は、交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、交流電源の電力を負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の負荷に電力供給を行う無停電電源システムを用いた電力供給方法であって、無停電電源における自系統のバイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出ステップと、検出ステップの検出結果に基づいて取得される検出情報、および、無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信ステップと、検出情報および運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、自系統のバイパス回路の電圧、または、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御ステップとを含み、同期制御ステップは、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行う。
【0017】
この発明の第2の局面による無停電電源システムを用いた電力供給方法は、上記のように、同期制御ステップは、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行う。これにより、3系統以上の複数の無停電電源を用いる場合においていずれかの系統の無停電電源が出力する電圧を制御することができなくなった場合にも、電圧を制御することができる系統の各々の母線の電圧を、母線の電圧を制御することができなくなった系統の母線の電圧に同期させることができる。その結果、3系統以上の無停電電源を同期制御させて負荷に対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源が出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源の各々の出力を適切に同期させることが可能な電力供給方法を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、3系統以上の無停電電源を同期制御させて負荷に対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源が出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源の各々の出力を適切に同期させることが可能な無停電電源システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による無停電電源システムの構成を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態による無停電電源における情報通信部の回路構成を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態による同期対象の切り替え動作における各信号の一例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態による同期対象の切り替え動作の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態による同期対象の切り替え動作における各信号の一例を示した図である。
【
図6】本発明の変形例によるバイパス部を設けた無停電電源システムの構成を示した図である。
【
図7】本発明の変形例による無停電電源を並列接続する無停電電源システムの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1を参照して、本実施形態による無停電電源システム200の構成を説明する。
【0022】
(無停電電源システム200の構成)
図1に示すように、無停電電源システム200は、第1の系統A、第2の系統Bおよび第3の系統Cを介して、交流電源Sから出力される電力を、3系統の負荷50a、50bおよび50cに供給するシステムである。無停電電源システム200は、交流電源Sから供給される電力を変換するためのトランス1a、1bおよび1cと、負荷50a、50bおよび50cに対して電力を供給する系統を切り替えるための切り替え機40a、40bおよび40cとを備える。また、無停電電源システム200は、第1の系統Aにおいて、第1バイパス回路30aと、無停電電源100aとを備える。また、無停電電源システム200は、第2の系統Bにおいて、第1バイパス回路30bと、無停電電源100bとを備える。また、無停電電源システム200は、第3の系統Cにおいて、第1バイパス回路30cと、無停電電源100cとを備える。以下の説明では、第1の系統Aの構成について説明するが、第2の系統Bおよび第3の系統Cにおいても同様の説明が可能である。
【0023】
第1バイパス回路30aは、第1の系統Aの無停電電源100aに一部が含まれるように構成され、トランス1aから出力された電力を、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutに伝達するための回路である。第1バイパス回路30aは、開閉器31aと、電力線32aと、サイリスタスイッチ33aと、第1バイパス開閉器34aとを含むように構成されている。第1の系統Aの無停電電源100aにおいて、電力変換部20aが、異常により正常に動作できなくなった場合に、開閉器31aがオンとなり、サイリスタスイッチ33aを通して第1の系統Aの母線10aにおける接続点Aoutに電力が供給される。そして、サイリスタスイッチ33aに電流が流れ、第1バイパス開閉器34aがオンとなると、第1バイパス開閉器34aを介して、電力が供給されるように切り換わる。第1バイパス回路30aに用いられる電力線32aとしては、単線またはより線を被覆したケーブル線や金属バスバーが用いられる。
【0024】
第2バイパス回路2aは、第1の系統Aの無停電電源100aが、メンテナンスまたは交換などにより外されている際に、交流電源Sから供給された電力を、第2バイパス回路2aを介して負荷50a~50cに伝達するための回路である。第2バイパス回路2aは、トランス1aから出力された電力を、第1の系統Aの母線10aにおける接続点Aoutに伝達する電力線である。また、第2バイパス回路2aは、必要に応じて開閉する第2バイパス開閉器3aを備える。第2バイパス回路2aに用いられる電力線としては、単線またはより線を被覆したケーブル線や金属バスバーが用いられる。
【0025】
無停電電源100aは、停電などの非常事態においても、負荷50a~50cに対して電力を供給するための電源であり、UPS(Uniterruptible Power System)とも呼ばれる。無停電電源100aは、内部に第1バイパス回路30aと、コンバータ部21aおよびインバータ部22aを含む電力変換部20aと、第1バイパス回路30aの電圧および母線10aにおける接続点Aoutの電圧を検出する検出部7aと、電力変換部20aの動作を制御するための同期制御部8aと、検出部7aが検出した結果に基づいて得られた情報を通信するための情報通信部9aとを備えている。
【0026】
検出部7aは、分圧抵抗などにより構成されており、トランス12aを介して供給された第1バイパス回路30aの電圧、およびトランス11aを介して供給された母線10aにおける接続点Aoutの電圧を検出する。また、検出部7aは、同期制御部8aと接続されており、検出した電圧の電圧値や周波数および位相などの情報を含む検出情報が同期制御部8aに伝達される。
【0027】
同期制御部8aは、検出部7a、情報通信部9aおよび電力変換部20aと接続されており、検出部7aが検出した電圧に基づく検出情報、および、情報通信部9aから取得した他系統からの検出情報に基づいて、電力変換部20aの動作を制御する。より具体的には、電力変換部20aのインバータ部22aから出力される母線10a上の接続点Aoutの電圧を、第1バイパス回路30aの電圧、B系の母線10b上の接続点Boutの電圧、または、C系の母線10c上の接続点Coutの電圧のいずれかに同期させるように、インバータ部22aの動作を制御する。また、同期制御部8aは、検出部7aから伝達された検出情報が、正常範囲内にあるか否かを判定し、判定した結果に基づいて、インバータ部22aの出力する電圧の同期対象を切り替えるような制御を行う。なお、同期制御部8aは、マイクロコンピュータなどが用いられ、たとえばPCB基板に実装される。同期制御部8aは、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0028】
情報通信部9aは、第1の系統Aにおける同期制御部8aと、バイパス情報通信部15aと、第2の系統Bの情報通信部9bとに接続されており、検出部7aが検出した結果に基づいて得られた検出情報および同期制御部8aが生成する運転状態情報を通信する。情報通信部9a、9bおよび9cは、ループ状に接続されている。情報通信部9aは、ループ状に接続された他の情報通信部9bおよび9cと通信を行うことにより、検出部7bおよび検出部7cが検出した結果に基づいて得られた検出情報を取得し、同期制御部8aに伝達する。なお、情報通信部9a~9cはロジック回路を含む電子回路で構成されている。
【0029】
無停電電源100a~100cに含まれる情報通信部9a~9cは、全体としてみた時にループ状(環状)をなすように構成されており、情報通信部9a~9cの各々は、接続された他の情報通信部9a~9cと相互に情報を通信することにより、全ての情報通信部9a~9cが出力する情報を取得することができる。ここで、例えば無停電電源100dが追加され、無停電電源100a~100dの各々に含まれる情報通信部9a~9dが、9a、9b、9c、9dの順で、ループ状に接続された場合を想定した説明をする。このとき、情報通信部9aと9dとは、直接接続されていないが、ループ状に接続された情報通信部9bおよび9cを介して、情報を相互に通信する。また、情報通信部9bと9cとは、直接接続されていないが、ループ状に接続された情報通信部9aおよび9dを介して、情報を相互に通信する。このように、無停電電源の数が4つ以上に増えた場合にも、無停電電源の各々に含まれる情報通信部をループ状に接続することにより、全ての情報通信部を相互に接続することなく、情報の通信を行う。
【0030】
また、無停電電源100aの情報通信部9aと無停電電源100dの情報通信部9dとを接続する通信線が、故障などにより、通信に不具合が発生した場合について説明する。この場合、無停電電源100aの情報通信部9aと無停電電源100dの情報通信部9dとは、互いに接続されている通信線を用いて情報の通信を行うことはできないが、無停電電源100aの情報通信部9aと無停電電源100bの情報通信部9bを接続する通信線、無停電電源100bの情報通信部9bと無停電電源100cの情報通信部9cを接続する通信線、および、無停電電源100cの情報通信部9cと無停電電源100dの情報通信部9dを接続する通信線を用いて、相互に情報を通信する。このように、ループ状に接続された情報通信部9a~9dのうち、1箇所で通信に不具合が生じた場合にも、情報通信部9a~9dは、相互に情報の通信を行うことが可能である。
【0031】
ここで、情報通信部9aの内部構成について
図2を用いて説明する。情報通信部9aはロジック回路L1~L11と、スイッチsw1L~sw3Lと、ディレイ回路L12およびL13と、ブロックダイオードL14とを含むように構成されている。情報通信部9aは、各種開閉器から、開閉器が開状態(オフの状態)であるとき「0」の信号が入力され、開閉器が閉状態(オンの状態)であるとき「1」の信号が入力される。そして、情報通信部9aは、ロジック回路L1~a11などを用いたハード回路に入力された各開閉スイッチの状態に基づいて運転状態情報を生成し、他系統の情報通信部9bおよび9cと通信を行うように構成されている。なお、情報通信部9aは、電源出力開閉器16aが閉となった場合に、電源出力開閉器16a信号「1」が入力され、sw1aおよびsw2aがオンとなる。これにより、他系統の情報通信部9bおよび9cと通信を行うように構成されている。
【0032】
(バイパス給電情報の生成)
また、情報通信部9aは、自系統である第1の系統Aにおいて、第1バイパス回路30aを用いて給電を行っているというバイパス給電情報を生成する。情報通信部9aは、電源出力開閉器16a信号「1」が入力され、スイッチsw2Lがオンとなっている状態において、第1バイパス開閉器34aが閉じられた時に、バイパス給電情報としてのバイパス開閉器34a信号「1」が入力される。そして、情報通信部9aは、バイパス開閉器34a信号「1」が入力されると、他系統の情報通信部9bおよび9cに伝達する。なお、情報通信部9bおよび情報通信部9cにとって、情報通信部9aからバイパス給電情報を取得したバイパス給電情報は、「母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源がある」という運転状態情報に含まれる。
【0033】
(インターロック情報の生成)
また、情報通信部9aは、自系統の母線10aの電圧が、他系統から同期する対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成する。情報通信部9aは、電源出力開閉器16a信号「1」が入力されずに、スイッチsw1Lおよびsw2Lがオフとなっている状態で、インターロック情報を生成する。また、情報通信部9aは、他系統の第1バイパス開閉器34bおよび34cの少なくともいずれか一方がオンになって、情報通信部9bまたは9cから、バイパス給電情報である第1バイパス開閉器34b信号「1」または第1バイパス開閉器34c信号「1」を取得した場合、または、自系統の第1バイパス開閉器34aがオンになって第1バイパス開閉器34a信号「1」が入力された場合に、インターロック情報を生成する。また、情報通信部9aは、情報通信部9bまたは情報通信部9cから、後述する「優先同期情報」を取得した場合に、インターロック情報を生成する。ここで、情報通信部9aは、自系統の無停電電源100aが他系統の母線10bおよび10cの電圧を正常に検出できる状態である場合に「0」を出力し、正常に検出できない状態である場合に「1」を出力するような、母線電圧検出異常情報である、母線電圧検出異常信号が入力される。また、情報通信部9aは、インバータ開閉器6aがオンとなっている状態を示すインバータ開閉器信号「1」と、インバータ部22aが給電している状態を示すインバータ給電中6a信号「1」と、母線10aの電圧が正常な状態である母線正常状態信号「1」とのうち、いずれかの信号が入力されていない場合であって、自系統の母線電圧検出異常信号が「0」であり、第2の系統Bの無停電電源100bおよび第3の系統Cの無停電電源100cのうち少なくとも一方から、母線電圧検出信号「1」を取得した場合に、インターロック情報を生成する。なお、インターロック情報は、ロジック回路L7から「1」の信号として、ディレイ回路L12によって、所定の時間経過後、ロジック回路L10の入力として出力される。
【0034】
(優先同期情報の生成)
また、情報通信部9aは、自系統の母線10aの電圧が他系統から同期される対象である被同期権を持つ系統として優先的に選択されるようにするための優先同期情報を生成する。情報通信部9aは、自系統である第1の系統Aにおいて、ロジック回路L7から出力される信号「1」が出力されていない状態で、第1の系統Aにおいて母線電圧が検出されたことを示す母線電圧検出信号「1」と、インバータ開閉器信号「1」またはバイパス開閉器信号「1」のいずれかの信号とが入力された場合に、優先同期情報として、ロジック回路L10から「1」の信号が出力される。ロジック回路L10から出力された「1」の信号は、ディレイ回路L13によって、所定の時間経過後、スイッチsw1Lを介して、他系統の情報通信部9bおよび情報通信部9cへ伝達される。なお、スイッチsw3Lは、ロジック回路L8から「1」の信号が出力された場合に、ロジック回路L9によって「0」の信号が入力されてオフとなるため、自系統である第1の系統Aが優先同期情報を出力することによってインターロック情報が生成してしまうことを抑制する。
【0035】
図1に示すように、電力変換部20aは、トランス1aを介して供給された交流電源Sからの電力を、母線10a上の接続点Aoutに電圧として出力するためのものである。また、電力変換部20aは、開閉器4a、5aおよびインバータ開閉器6aを開く(オフにする)ことにより、交流電源Sや負荷50aから切り離すことが可能なように構成されている。電力変換部20aを用いて電力を出力する場合には、開閉器4a、5aおよびインバータ開閉器6aを閉じる(オンにする)ことにより、コンバータ部21aに電力を供給する。コンバータ部21aは、供給された交流の電力を直流の電力に変換することができる、いわゆるAC―DCコンバータである。コンバータ部21aから出力された直流電力は、図示しない蓄電部に蓄えられるとともに、インバータ部22aに出力される。インバータ部22aは、コンバータ部21aまたは図示しない蓄電部から直流の電力が供給されたときに、同期制御部8aによって所望の交流電力を母線10a上の接続点Aoutにて電圧として出力するように制御される。なお、コンバータ部21aおよびインバータ部22aは、ダイオードブリッジおよびスイッチなどを組み合わせた電子回路で構成されている。
【0036】
切り替え機40aは、母線10a上の接続点Aoutと、母線10a上の接続点Boutと、負荷50aとに接続されている。切り替え機40aは、母線10a上の接続点Aoutの電力または母線10a上の接続点Boutの電力のうち、いずれかの電力を負荷50aに供給するように切り替えるためのものである。切り替え機40aは、例えばリレーなどを用いたスイッチであり、設定により所望の条件において、負荷50aに供給する電力を切り替える。負荷50aは、交流電力によって動作する電気機器であり、例えばモーターやポンプなどである。
【0037】
(無停電電源システム200により同期制御を行った電力供給方法)
次に、
図2~
図5を参照して、本実施形態における無停電電源システム200における同期対象の切り替え処理について説明する。この同期対象の切り替え動作は、任意のタイミング、または、所定の時間毎に行われる。
【0038】
この説明においては、まず、第1の系統A、第2の系統Bおよび第3の系統Cの各々が、第1バイパス回路30a~30cおよび第2バイパス回路2a~2cを用いずに、無停電電源100a~100cの電力変換部20a、20bおよび20cを用いて、負荷側に電力を供給している場合を想定する。ここで、本実施形態においては、第2の系統Bが、第1の系統Aおよび第3の系統Cから同期される対象となるような被同期権をもっている。具体的には、無停電電源100aの同期制御部8aは、第2の系統Bの母線10b上の接続点Boutの電圧に同期するように、インバータ部22aの動作を制御している。また、同様に無停電電源100cの同期制御部8cは、第2の系統Bの母線10b上の接続点Boutの電圧に同期するように、インバータ部22cの動作を制御している。また、第1の系統Aに含まれる電源出力開閉器16a、第2の系統Bに含まれる電源出力開閉器16bおよび第3の系統Cに含まれる電源出力開閉器16cは、閉じられており(オンにされており)、負荷50a~50cに電力が供給されている。
【0039】
(無停電電源100aが、異常により第1バイパス回路30aを用いて給電を行う場合)
ここで、無停電電源100aが、異常により第1バイパス回路30aを用いて給電を行う場合について、
図2および
図3を用いて説明する。なお、
図2の「a」と「b」とを入れ替え、「系統B」を「系統A」に置き換えた回路が、第2の系統Bの情報通信部9bであり、情報通信部9bも説明に用いる。無停電電源100a~100cの各々は、検出ステップとして、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、および、自系統の電力変換部20a~20cから出力される母線10a~10cの電圧を検出している。また、無停電電源100a~100cの各々は、情報通信ステップとして、検出結果に基づく検出情報、および、無停電電源100a~100cに関する運転状態情報を通信している。
【0040】
ここで、
図3のt1において、たとえば第1の系統Aの電力変換部20aに異常が発生し、バイパス給電を行うために第1バイパス開閉器34aが閉じられた(オンになった)場合、運転状態信号としての第1バイパス開閉器34a信号「1」が、情報通信部9bのロジック回路L1に入力される。これにより、ロジック回路L2が「1」の信号を出力し、
図3の時刻t2において、第1の系統Aのロジック回路L7はインターロック情報であるインターロック信号「1」を出力する。また、インターロック信号「1」が出力されたことに伴い、第2の系統Bのロジック回路L10の優先同期情報である優先同期信号が「1」から「0」になる。その後、第1の系統Aの情報通信部9aは、ロジック回路L3に入力される信号が「0」になるため、時刻t3において、インターロック情報としてのロジック回路L7の出力であるインターロック信号が「1」から「0」となる。第1の系統Aは、インターロック情報が解除されたことにより、ディレイ回路L13によって設定された時間の経過後、時刻t4において、優先同期信号が「0」から「1」となる。このようにして、第1の系統Aは、他系統から同期される対象である被同期権を取得することで、同期制御ステップとして、無停電電源100a~100cの各々に含まれる電力変換部20a~20cの出力の同期対象が第2の系統Bの母線10bの電圧から、第1の系統Aの母線10aの電圧に切り替わる。
【0041】
(無停電電源100aが、異常により他系統の母線電圧を観測できない場合)
次に、無停電電源100aが、異常により他系統の母線電圧を観測できない場合について、
図2、
図4および
図5を用いて説明する。なお、
図2の「a」と「b」とを入れ替え、「系統B」を「系統A」に置き換えた回路が、情報通信部9bであり、情報通信部9bも説明に用いる。同期対象切り替え動作が開始されると、
図4のステップS1として、第1の系統Aの無停電電源100aにおける情報通信部9aは、第2の系統Bの母線10b上の接続点Boutおよび第3の系統Cの母線10b上の接続点Coutの電圧の検出情報を取得する。ここで、例えば第1の系統Aにおいて無停電電源100aの故障により、同期制御部8aが、他系統の母線10b上の接続点Boutおよび母線10c上の接続点Coutの電圧を検出できなくなった場合について、第1の系統Aにおける無停電電源100aの動作の処理を説明する。第1の系統Aにおける無停電電源100aは、他系統の母線10bおよび10cにおける電圧を検出することに異常がある場合に、母線電圧検出異常信号「1」が入力され、
図4のステップS1でYesに進む。その後、ステップS2の処理に進む。
【0042】
ステップS2では、第1の系統Aの無停電電源100aはアラームを出力する。このアラームは、作業者が無停電電源100aの故障に気付くことが可能となるように、音や画面表示などによって、無停電電源100aの本体から出力される。その後、ステップS3の処理に進む。
【0043】
ステップS3では、第1の系統Aの母線10aの電圧が、他系統の無停電電源100bおよび100cから同期される対象とされていることを示す被同期権を取得する。ここで、第1の系統Aの母線10aの電圧が、被同期権を取得する場合の動作について、
図3および
図5を用いて、具体的に説明する。まず、第1の系統Aにおける無停電電源100aの同期制御部8aが、
図5の時刻t11において、他系統の母線10b上の接続点Boutおよび母線10c上の接続点Coutの電圧を検出できなくなったとする。このとき、
図2に示すように、第2の系統Bの無停電電源100bの情報通信部9bには、他系母線電圧検出異常信号に「1」が入力され、インターロック情報が、ロジック回路L7から「1」としてディレイ回路L12を介して、ロジック回路L10に出力される。ロジック回路L10は、インターロック情報である信号「1」が入力されると、優先同期情報は信号「0」として出力する。これにより、
図5の時刻t12において、第2の系統Bは、インターロック信号が「0」から「1」に切り替わるとともに、優先同期信号が「1」から「0」に切り替わる。また、第2の系統Bにおける優先同期信号が「1」から「0」となったため、時刻t13において、第1の系統Aの情報通信部9aのロジック回路L3の出力信号が「0」となり、情報通信部9aのインターロック信号は「1」から「0」に切り替わる。インターロック情報(インターロック信号「1」)が解除されたことにより、第1の系統Aの情報通信部9aは、ロジック回路L10から優先同期信号を出力し、ディレイ回路L13によって設定された時間の経過後、時刻t14において、第1の系統Aが、被同期権を取得する。これにより、同期対象の切り替え動作の処理が完了する。
【0044】
次に、上記無停電電源100aが、異常により他系統の母線電圧を観測できない場合における、第2の系統Bの無停電電源100bの動作について説明する。第2の系統Bの無停電電源100bにおける情報通信部9bは、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutおよび第3の系統Cの母線10b上の接続点Coutの電圧の検出情報を取得する。第2の系統Bにおける無停電電源100bは、他系統の母線電圧を正常に検出することができた場合に、
図4のフローチャートでNoを選択して、ステップS4の処理に進む。
【0045】
ステップS4において、無停電電源100bの情報通信部9bは、他系統の無停電電源100aおよび100cが、他系統の母線電圧を検出することができるか否かを判定する。無停電電源100bの情報通信部9bは、第1の系統Aにおいて、他系統の母線電圧の検出が正常にできていないことを示す他系統母線電圧検出異常信号「1」が入力されたことを通信により取得し、Yesを選択してステップS5の処理に進む。
【0046】
ステップS5において、無停電電源100bの情報通信部9bは、自系統が、他系統から同期する対象とされていることを示す、被同期権をもっているか否かを判定する。無停電電源100bの情報通信部9bは、ロジック回路L10から優先同期情報である信号「1」を出力して、他系統から同期されているため、Yesを選択してステップS6の処理に進む。
【0047】
ステップS6において、無停電電源100bの情報通信部9bは、自系統が非同期権を放棄するように動作する。他系母線電圧検出異常信号に「1」が入力され、インターロック情報が、ロジック回路L7から「1」としてディレイ回路L12を介して、ロジック回路L10に出力される。優先同期情報「1」を出力していたロジック回路L10は、入力されたインターロック情報に基づいて、優先同期情報を「1」から「0」に切り替える。これにより、優先同期情報が「0」となり、非同期権が放棄される。その後、同期対象切り替え処理は完了する。
【0048】
(無停電電源100a~100cが正常に他系統の母線電圧を検出している場合)
次に、系統A~Cの各々において無停電電源100a~100cが正常動作している場合を説明する。第1の系統Aにおける無停電電源100aの動作について説明する。同期対象切り替え動作が開始されると、
図4のステップS1として、第1の系統Aの無停電電源100aにおける情報通信部9aは、第2の系統Bの母線10b上の接続点Boutおよび第3の系統Cの母線10b上の接続点Coutの電圧の検出情報を取得する。第1の系統Aにおける無停電電源100aの情報通信部9aは、他系統の母線電圧を正常に検出することができた場合に、母線電圧検出異常信号「0」がロジック回路L5およびL6に入力され、
図4のフローチャートでNoに進む。その後、ステップS4の処理に進む。
【0049】
ステップS4では、第1の系統Aの情報通信部9aは、他系統の無停電電源100bの情報通信部9bおよび100cの情報通信部9cと通信を行うことにより、他系統の無停電電源100bおよび100cの母線電圧検出異常信号を取得する。他系統の無停電電源100bおよび100cに異常がない場合、第1の系統Aの情報通信部9aは、第2の系統Bおよび第3の系統Cのいずれからも母線電圧検出異常信号「0」を取得してロジック回路L5に入力され、
図4のフローチャートでNoに進み、同期対象の切り替え動作が終了する。具体的には、情報通信部9aは、ロジック回路L5に他系統の母線検出異常信号「0」が入力されたことに基づいて、インターロック情報であるロジック回路L7のインターロック信号「0」を生成し、ロジック回路L10から優先同期情報「0」が出力される。これにより、同期対象は切り替わることなく、動作が終了する。
【0050】
上記のようにして、系統A~Cの各々は、3系統以上の無停電電源100a~100cを用いて負荷50a~50cに電力を供給する場合にも、自系統の電圧を、他系統の母線10a~10cの電圧に同期することができなくなっている系統の、母線10a~10cの電圧に同期対象を切り替える動作を行う。
【0051】
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0052】
本実施形態の無停電電源システム200は、交流電源Sの電力を変換して負荷50a~50cへ出力する電力変換部20a~20c、および、交流電源Sの電力を負荷50a~50cへ直接出力する第1バイパス回路30a~30cを含む無停電電源100a~100cを3系統以上用いて、3系統以上の負荷50a~50cに電力供給を行う無停電電源システム200であって、無停電電源100a~100cの各々は、無停電電源100a~100cにおける自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、および、自系統の電力変換部20a~20cから出力される母線10a~10cの電圧を検出する検出部7a~7cと、検出部7a~7cの検出結果に基づいて取得される検出情報、および、無停電電源100a~100cの運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信部9a~9cと、検出情報および運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、または、他系統の母線10a~10cの電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御部8a~8cとを含み、同期制御部8a~8cは、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cがあるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、3系統以上の複数の無停電電源100a~100cを用いる場合において、いずれかの系統の無停電電源100a~100cが出力する電圧を制御することができなくなった場合にも、電圧を制御することができる系統の各々の母線10a~10cの電圧を、母線10a~10cの電圧を制御することができなくなった系統の母線10a~10cの電圧に同期させることができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cを同期制御させて負荷50a~50cに対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源100a~100cが出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の出力を適切に同期させることができる。
【0053】
なお、本実施形態の無停電電源システム200では、同期制御部8a~8cは、無停電電源100a~100cに含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことにより母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cがあるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、3系統以上の複数の無停電電源100a~100cを用いる場合において、いずれかの系統の無停電電源100a~100cが、無停電電源100a~100cに含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことに起因して、出力する電圧を制御することができなくなった場合にも、電圧を制御することができる系統の各々の無停電電源100a~100cが、電圧を制御することができなくなった系統の出力電圧に同期する。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cを同期制御させて3系統以上の負荷50a~50cに対して電力供給を行う際に、無停電電源100a~100cに含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことに起因していずれかの系統の無停電電源100a~100cが出力を同期制御できなくなったとしても、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の出力を同期させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cは、自系統の母線10a~10cの電圧が他系統から同期する対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成し、運転状態情報は、自系統の無停電電源100a~100cにおける情報通信部9a~9cが、インターロック情報が生成されていないという情報を含む。これにより、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、インターロック情報を含む運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、インターロック情報を含まない運転状態情報を出力している系統の母線10a~10cの電圧に切り替えて同期させる制御を行う。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cは、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の出力を、不適切な系統の母線10a~10cの電圧に同期させることを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、他系統の無停電電源100a~100cが第1バイパス回路30a~30cを用いて給電を行っているという運転状態情報と、他系統の無停電電源100a~100cにおいて、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという運転状態情報と、自系統が他系統の母線10a~10cの電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、自系統が他系統の母線10a~10cの電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cが、他系統の無停電電源100a~100cが第1バイパス回路30a~30cを用いて給電を行っているという運転状態情報に基づく場合には、第1バイパス回路30a~30cを用いて給電を行っているという運転状態情報を出している系統に同期対象を切り替えることができる。また、他系統の無停電電源100a~100cにおいて、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという運転状態情報に基づく場合には、優先同期情報が生成されていない系統に同期させないようにすることができる。また、自系統が他系統の母線10a~10cの電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報に基づく場合には、自系統が他系統の母線10a~10cの電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報を出している系統に同期対象を切り替えることができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cが、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、複数の運転状態情報のうち、他系統の無停電電源100a~100cが第1バイパス回路30a~30cを用いて給電を行っているという運転状態情報と、他系統の無停電電源100a~100cにおいて、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという運転状態情報と、自系統が他系統の母線10a~10cの電圧を正常に検出できない状態であることを示す運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する系統の母線10a~10cの電圧に適切に同期させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cがあるという運転状態情報は、自系統の無停電電源100a~100cが第1バイパス回路30a~30cを用いて給電を行っているというバイパス給電情報を含む。これにより、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cが、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態であることを示すバイパス給電情報を含む運転状態情報に基づいて、同期対象とするべき系統の母線10a~10cの電圧に同期させることができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cが、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、バイパス給電を行っている系統の母線10a~10cの電圧に同期することで、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の出力を同期させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる第1バイパス回路30a~30cは、電力変換部20a~20cを介して負荷50a~50cに電力を給電する場合にオフとなり、第1バイパス回路30a~30cを介して負荷50a~50cに給電する場合にオンとなる第1バイパス開閉器34a~34cを含み、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cは、自系統の第1バイパス開閉器34a~34cがオンとなっている場合に、バイパス給電情報を生成して通信するように構成され、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、自系統の情報通信部9a~9cから取得した他系統のバイパス給電情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、バイパス給電情報を出力する他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cが、第1バイパス開閉器34a~34cのオンまたはオフの単純な動作によって生成されるバイパス給電情報に基づいて、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態である系統の母線10a~10cの電圧に同期することができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cが、第1バイパス開閉器34a~34cのオンまたはオフの単純な動作によって生成されるバイパス給電情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、適切な系統の母線10a~10cの電圧に、容易に同期させることができる。
【0058】
また、本実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、検出情報が正常であるか否かを判定し、自系統の母線10a~10cの電圧が正常であると判定した場合に母線正常状態情報を生成し、自系統の母線10a~10cの電圧が正常でないと判定した場合に母線異常状態情報を生成して情報通信部9a~9cに通信するように構成され、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cは、自系統の母線10a~10cの電圧が他系統から同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報を生成し、他系統から、自系統の無停電電源100a~100cが第1バイパス回路30a~30cを用いて給電を行っているというバイパス給電情報と、母線正常状態情報と、優先同期情報と、他系統の無停電電源100a~100cが母線10a~10cの電圧を検出できなくなっていることを示す母線電圧検出異常情報とを含む運転状態情報を取得した場合に、自系統の母線10a~10cの電圧が、他系統から同期される対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成するように構成される。これにより、無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cが、バイパス給電情報と、母線正常状態情報と、優先同期情報と、母線電圧検出異常情報とを含む運転状態情報とに基づいて生成されたインターロック情報に基づいて、同期対象を切り替えることができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cは、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、インターロック情報を生成してない系統の母線10a~10cの電圧に同期させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cは、自系統がインターロック情報を生成していない状態において、他系統との通信により母線正常状態情報を取得した場合に、優先同期情報を生成するように構成されており、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、優先同期情報を出力している他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、優先同期情報に基づいて、無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cが、いずれの系統の母線10a~10cの電圧を同期対象とするかを適切に選択することができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の同期制御部8a~8cが、優先同期情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、優先同期情報を出力している系統の母線10a~10cの電圧に容易に同期させることができる。
【0060】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、3系統の無停電電源100a~100cを用いて、3系統の負荷50a~50cに電力供給を行う無停電電源システム200の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、4系統以上の無停電電源を用いて、4系統以上の負荷50a~50cに電力を供給するように構成されていてもよく、負荷50a~50cの数に応じて、無停電電源の数を増やすとよい。
【0062】
また、上記実施形態では、系統A~Cの各々において、無停電電源100a~100cとは別個に第2バイパス回路2aを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、系統A~Cの各々は、無停電電源100a~100cのみを備えるように構成されていてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、3系統の無停電電源100a~100cを用いて、3系統の負荷50a~50cに電力供給を行う無停電電源システム200の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図6の変形例に示す無停電電源システム201のように、系統A~Cの各々に、無停電電源100a~100cとは別個に設けられ、電源出力開閉器16a~16cよりも負荷50a~50c側の母線10a~10cに接続されるとともに、交流電源Sの電力を負荷50a~50cへ直接出力する第2バイパス回路2aと、第2バイパス回路2a~2cの電圧を検出するバイパス電圧検出部13a~13cと、バイパス電圧検出部13a~13cによって得られた検出情報を通信するバイパス情報通信部15a~15cと、を含むバイパス部110a~110cをさらに備え、バイパス情報通信部15a~15cは、他の情報通信部9a~9cと互いに接続されることにより、情報の通信を行うように構成されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、系統A~Cの各々において、無停電電源100a~100cを単機運転する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図7の変形例に示す無停電電源システム202のように、系統A~Cの各々において、無停電電源101a、102a、101b、102b、101cおよび102cを2台並列に接続するように構成されていてもよいし、3台以上の複数台並列に接続するように構成されていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cがループ状に接続されて通信を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cの各々が相互に通信できればよく、たとえば中央監視盤のように、情報を集約する機構を設けて通信を行うように構成されていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、同期制御部8a~8cは、無停電電源100a~100cに含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことにより母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cがあるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、無停電電源100a~100cの一部を保守または交換することにより、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cがあるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行ってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、情報通信部9a~9cは、ロジック回路L1~a11と、ディレイ回路L12およびa13とを用いたハード回路により、各種情報を生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、情報通信部9a~9cまたは別途設ける制御部などがCPUを含むように構成され、各信号に基づいて、プログラムにより各種情報を生成するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
7a、7b、7c 検出部
8a、8b、8c 同期制御部
9a、9b、9c 情報通信部
13a、13b、13c バイパス電圧検出部
15a、15b、15c バイパス情報通信部
16a、16b、16c 電源出力開閉器
17a、17b、17c 並列通信回路
20a、20b、20c 電力変換部
21a、21b、21c コンバータ部
22a、22b、22c インバータ部
30a、30b、30c 第1バイパス回路
40a、40b、40c 切り替え機
50a、50b、50c 負荷
100a~102a、100b~102b、100c~102c 無停電電源
110a、110b、110c バイパス部
200a~202a、200b~202b、200c~202c 無停電電源システム
L1~L11 ロジック回路
L12、L13 ディレイ回路
L14 ブロックダイオード
A 第1の系統
B 第2の系統
C 第3の系統
S 交流電源
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の前記負荷に電力供給を行う無停電電源システムであって、
前記無停電電源の各々は、
前記無停電電源における自系統の前記バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて取得される検出情報、および、前記無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信部と、
前記検出情報および前記運転状態情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧の同期対象を、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御部とを含み、
前記同期制御部は、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報を取得した際に、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、無停電電源システム。
【請求項2】
前記同期制御部は、前記無停電電源に含まれる構成部材の一部が動作不良を起こすことにより前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報を取得した際に、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統の前記母線の電圧が他系統から同期する対象として選択されないようにするためのインターロック情報を生成し、
前記運転状態情報は、自系統の前記無停電電源における前記情報通信部が、前記インターロック情報が生成されていないという情報を含む、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、
他系統の前記無停電電源が前記バイパス回路を用いて給電を行っているという前記運転状態情報と、他系統の前記無停電電源において、同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報が生成されていないという前記運転状態情報と、自系統が他系統の前記母線の電圧を正常に検出できない状態であることを示す前記運転状態情報との少なくとも1つを含む情報を有する前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報は、自系統の前記無停電電源が前記バイパス回路を用いて給電を行っているというバイパス給電情報を含む、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記無停電電源の各々に含まれる前記バイパス回路は、前記電力変換部を介して前記負荷に電力を給電する場合にオフとなり、前記バイパス回路を介して前記負荷に給電する場合にオンとなるバイパス開閉器を含み、
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統の前記バイパス開閉器がオンとなっている場合に、前記バイパス給電情報を生成して通信するように構成され、
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、自系統の前記情報通信部から取得した他系統の前記バイパス給電情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記バイパス給電情報を出力する他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項5に記載の無停電電源システム。
【請求項7】
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、前記検出情報が正常であるか否かを判定し、自系統の前記母線の電圧が正常であると判定した場合に母線正常状態情報を生成し、自系統の前記母線の電圧が正常でないと判定した場合に母線異常状態情報を生成して前記情報通信部に通信するように構成され、
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統の前記母線の電圧が他系統から同期される対象として優先的に選択されるようにするための優先同期情報を生成し、他系統から、自系統の前記無停電電源が前記バイパス回路を用いて給電を行っているというバイパス給電情報と、前記母線正常状態情報と、前記優先同期情報と、他系統の前記無停電電源が前記母線の電圧を検出できない状態であることを示す母線電圧検出異常情報とを含む前記運転状態情報を取得した場合に、自系統の前記母線の電圧が、他系統から同期する対象として選択されないようにするための前記インターロック情報を生成するように構成される、請求項3に記載の無停電電源システム。
【請求項8】
前記無停電電源の各々に含まれる前記情報通信部は、自系統が前記インターロック情報を生成していない状態において、他系統との通信により前記母線正常状態情報を取得した場合に、前記優先同期情報を生成するように構成されており、
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記優先同期情報を出力している他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される、請求項7に記載の無停電電源システム。
【請求項9】
交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の前記負荷に電力供給を行う無停電電源システムを用いた電力供給方法であって、
前記無停電電源における自系統の前記バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて取得される検出情報、および、前記無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信ステップと、
前記検出情報および前記運転状態情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧の同期対象を、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御ステップとを含み、
前記同期制御ステップは、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源があるという前記運転状態情報を取得した際に、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行う、無停電電源システムを用いた電力供給方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による無停電電源システムは、交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、交流電源の電力を負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の負荷に電力供給を行う無停電電源システムであって、無停電電源の各々は、無停電電源における自系統のバイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて取得される検出情報、および、無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信部と、検出情報および運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧の同期対象を、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御部とを含み、同期制御部は、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行うように構成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による無停電電源システムを用いた電力供給方法は、交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、交流電源の電力を負荷へ直接出力するバイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の負荷に電力供給を行う無停電電源システムを用いた電力供給方法であって、無停電電源における自系統のバイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から出力される母線の電圧を検出する検出ステップと、検出ステップの検出結果に基づいて取得される検出情報、および、無停電電源の運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信ステップと、検出情報および運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧の同期対象を、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御ステップとを含み、同期制御ステップは、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源があるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部が出力する電圧を、母線の電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源の母線の電圧に同期させる制御を行う。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
ステップS6において、無停電電源100bの情報通信部9bは、自系統が被同期権を放棄するように動作する。他系母線電圧検出異常信号に「1」が入力され、インターロック情報が、ロジック回路L7から「1」としてディレイ回路L12を介して、ロジック回路L10に出力される。優先同期情報「1」を出力していたロジック回路L10は、入力されたインターロック情報に基づいて、優先同期情報を「1」から「0」に切り替える。これにより、優先同期情報が「0」となり、被同期権が放棄される。その後、同期対象切り替え処理は完了する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
本実施形態の無停電電源システム200は、交流電源Sの電力を変換して負荷50a~50cへ出力する電力変換部20a~20c、および、交流電源Sの電力を負荷50a~50cへ直接出力する第1バイパス回路30a~30cを含む無停電電源100a~100cを3系統以上用いて、3系統以上の負荷50a~50cに電力供給を行う無停電電源システム200であって、無停電電源100a~100cの各々は、無停電電源100a~100cにおける自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、および、自系統の電力変換部20a~20cから出力される母線10a~10cの電圧を検出する検出部7a~7cと、検出部7a~7cの検出結果に基づいて取得される検出情報、および、無停電電源100a~100cの運転状態に関する運転状態情報を通信する情報通信部9a~9cと、検出情報および運転状態情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧の同期対象を、他系統の母線10a~10cの電圧に切り替えて同期させる制御を行う同期制御部8a~8cとを含み、同期制御部8a~8cは、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cがあるという運転状態情報を取得した際に、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、母線10a~10cの電圧を同期制御できない状態となっている他系統の無停電電源100a~100cの母線10a~10cの電圧に同期させる制御を行うように構成される。これにより、3系統以上の複数の無停電電源100a~100cを用いる場合において、いずれかの系統の無停電電源100a~100cが出力する電圧を制御することができなくなった場合にも、電圧を制御することができる系統の各々の母線10a~10cの電圧を、母線10a~10cの電圧を制御することができなくなった系統の母線10a~10cの電圧に同期させることができる。その結果、3系統以上の無停電電源100a~100cを同期制御させて負荷50a~50cに対して電力供給を行う際に、いずれかの系統の無停電電源100a~100cが出力を同期制御できない場合においても、3系統以上の無停電電源100a~100cの各々の出力を適切に同期させることができる。