(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178686
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】排水集合管および排水集合管の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20241218BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20241218BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20241218BHJP
F16L 55/033 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F16L41/02
E03C1/12 E
F16L5/00 N
F16L55/033
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097013
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】八木 博史
(72)【発明者】
【氏名】宮永 亮一
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB05
2D061AC07
3H019AA04
3H019AB04
3H019BA44
3H019BB01
3H019BC01
3H019BD05
3H025CA01
3H025CA04
3H025CB05
(57)【要約】
【課題】外層部材単体でも外層部材を除く排水集合管単体でも実現し得ない外層部材の止水性を排水集合管自体が備える技術的特徴として備えさせる。
【解決手段】排水集合管100は、上部管140および下部管110を含み、枝下から下部管110までの外周に外層部材700が取り付けられている。第1の時間が経過するまで第1水圧を外層部材700の遮音カバー730の上側止水部WP(U)に付与する第1の状態を継続させて、次に第2の時間が経過するまで第1の水圧よりも低い第2水圧を外層部材700の遮音カバー730の下側止水部WP(D)に付与する第2の状態を継続させて、それらの後に外層部材700の遮音カバー730における上側止水部WP(U)および下側止水部WP(D)からの水の侵入がないことが確認して、排水集合管自体が外層部材700の止水性が良好である技術的特徴を備えさせる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における枝下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記外周側部材の少なくとも上端および下端には前記内周側部材が存在せず、前記内周側部材を水に接触させないように止水性を備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられ、
第1の時間が経過するまで、第1水圧を前記上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、
第2の時間が経過するまで、前記第1の水圧よりも低い第2水圧を前記下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間が経過するまで前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、
前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記上端および前記下端からの水の侵入がないことを確認したことにより、前記止水性が良好であると判断されたことを特徴とする、排水集合管。
【請求項2】
前記第1の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記上端から水面までの距離が前記第1水圧に対応する深さまで、前記上端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項3】
前記第1の時間は12時間であって、前記第1水圧は200mm水頭であることを特徴とする、請求項2に記載の排水集合管。
【請求項4】
前記第2の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を上方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下同じ状態で、前記下端から水面までの距離が前記第2水圧に対応する深さまで、前記下端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項5】
前記第2の時間は12時間であって、前記第2水圧は35mm水頭であることを特徴とする、請求項4に記載の排水集合管。
【請求項6】
前記第3の状態は、水を入れた散水器を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記下端の部分に散水器で散水することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項7】
前記第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3であることを特徴とする、請求項6に記載の排水集合管。
【請求項8】
水の侵入がないことは、前記状態の完了前後の前記排水集合管の重量の変化を確認すること、筒状の前記外層部材を前記排水集合管の軸芯に沿って切断して切り開いて前記内周側部材を確認すること、または、筒状の前記外層部材を筒状のままで前記排水集合管の軸芯に沿って抜いて前記内周側部材を確認することを特徴とする、請求項1に記載の排水集
合管。
【請求項9】
前記外周側部材と前記内周側部材との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、前記水分検出素材が変性していないことを確認することを特徴とする、請求項8に記載の排水集合管。
【請求項10】
建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管の製造方法であって、前記排水集合管は外層部材を備え、前記製造方法は前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含み、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記製造方法は、
前記排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、前記樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、
前記樹脂製の部品を用いて前記排水集合管を組み立てる組み立てステップと、
前記外周側部材の少なくとも上端および下端に前記内周側部材が存在しないように、かつ、前記内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、前記外周側部材を前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、
前記排水集合管が備える前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、
前記検査ステップは、
前記上端から水面までの距離が所定の深さまで前記上端の部分を含めて前記排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、
前記水浸ステップの完了後に、前記上端からの水の侵入がないことを確認することにより、前記止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含むことを特徴とする、排水集合管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、床スラブの上方に突出する上部管と上部管の下方に接着された下部管と排水集合管における枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材(外層カバーと区別しないで記載する場合がある)とを含む排水集合管に関し、特に、特定の条件を満足する止水性を備えて外層部材が設けられた排水集合管に関する。なお、本発明は、このような排水集合管(自体)に加えて、迅速に、容易に、かつ、確実に外層部材の止水性が確認された排水集合管(自体)も含むものである。また、本発明は、このような排水集合管(自体)に加えて、外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含む(排水集合管の)製造方法も含むものである。ここで、この「(自体)」との記載は、特定の製造方法により製造された排水集合管、特定の検査ステップにより外層部材の止水性を担保された(外層部材が止水性を満足する)排水集合管との区別を明確にするための記載であって、(これらの方法により特定されるものではない)排水集合管そのものを意味するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やオフィスビルなどには、給水設備および排水設備が設けられる。このうちの排水設備は、建物の各階層を上下に貫く縦管(立て管、上立て管、下立て管、上管、下管)と、各階層内に設置される横管(横枝管、枝管)と、これらを接続する排水集合管(排水配管継手、排水管継手、排水集合継手とも称される)とを備えた排水配管構造が代表的なものとして広く知られている。
【0003】
そして、このような排水集合管は、建築物に施工された際に、床スラブの貫通孔に配置される上部管(本体部、管本体)とその上部管の下方に接着される下部管とを備え、上部管は、上流側(上層側)の上管(上立て管)に接続可能な上管接続部を上端に、横枝管に接続可能な横枝管接続部を側面に備えるとともに、下部管は(最下階用ではない場合には)旋回羽根を備えるとともに下階へ排水を流出させる下管(下立て管)を接続する下管接続部を備えたり、(最下階用である場合には)縮径部を備えるとともに横主管へ排水を流出させる脚部ベント管を(直接または別体の配管を介して)接続する下管接続部を備えたり、されている。また、このような排水集合管として、ひとつまたは複数の樹脂製(典型的には硬質塩化ビニル(塩ビ)製)の射出成型品で形成されたものが広く知られている。
【0004】
このような樹脂製の排水集合管の一例として、特開2020-094481号公報(特許文献1)に開示される排水配管継手がある。この特許文献1に開示された排水配管継手は、ひとつまたは複数の樹脂製の射出成形品で形成され、建築物に施工された際に、床スラブの貫通孔に配置される管本体と、前記床スラブの上方に突出し上階からの排水を流入させる排水立管を接続する上立管接続部と、前記床スラブの下方に突出し下階に排水を流下させる排水立管を接続する下立管接続部と、前記床スラブの上方で排水横枝管を接続する横枝管接続部とを備え、前記管本体における前記横枝管接続部と前記下立管接続部との間には、前記管本体の内面に突出する突出部が形成され、前記管本体の外面には前記突出部に対応するくぼみが形成され、前記くぼみの部分に熱膨張性耐火材が充填されたことを特徴とする。また、前記熱膨張性耐火材の外層には、耐火性能および振動抑制性能を備えた3層構造の部材(外層部材)であって、前記管本体の外面から最内層710の制振材、耐火性無機繊維によって形成された中間層の振動絶縁体、最外層の遮音カバーの順に前記管本体の外面に外層部材が設けられていることを特徴とする(特許文献1の請求項1、6、7)。
【0005】
この特許文献1に開示された外層部材を備えた排水配管継手においては、外層部材と樹脂製の排水配管継手との接合部(接着部)には止水性が必要である。この止水性が低いと雨水などが上階に溜まった際に外層部材内の遮音材が濡れてしまい遮音性能が十分に発揮されなくなったり、上階の水が下階へ漏れ伝わる可能性があったりするために、止水性を(製品の抜き取り検査または試作品の性能評価検査等を含めて)検査して出荷する必要が
ある。
【0006】
ところで、このような止水性検査に関して、(排水集合管とその外層部材との止水性を対象とするものではないが)特開平10-307072号公報(特許文献2)に開示された、管を連結するためのフランジ継手をタンクのような容器に取り付ける場合にその取付け部の良否即ち漏洩の有無を短時間に且つ容易に検査する方法がある。この特許文献2に開示された漏洩検査方法は、少なくとも2つの部品の取付け部における漏洩を検査する漏洩検査方法であって、一方の部品の取付け面に他方の部品を取り付けた取付け部に、空気の通過により気泡を発生する粘性材料を塗布すること、次いでこの取付け部を包囲するように囲って前記一方の部品の取付け面に透明なカバーを当接させて配置すること、その後このカバーの内部を負圧にすること、前記カバー内の負圧状態を所定時間に亘って維持し、前記粘性材料を塗布した前記取付け部での気泡の発生を前記カバーの外から目視して前記取付け部の漏洩を検査することから構成される。
【0007】
この特許文献2に開示された、ポリエチレン製のタンクに熱融着させたポリエチレン製のフランジ継手からの水の漏洩を熱融着部に石鹸水を塗布してその熱融着部を含んで透明カバーで密閉状態にして真空引きして融着部の石鹸水が泡立つと漏れを検出する技術を、排水集合管における外層部材の止水性検査に適用することも、
図10に示すように可能ではある。
図10(A)に示すように、排水集合管1000における管本体(より詳しくは排水集合管1000を構成する上部管140とその上部管の下方に接着された下部管110)と(
図5(B)と同じ符号を付した)
図10(B)に示す外層部材700との取付部(本発明においては接合部、接着部と同義)を含んで透明カバー1010で密閉状態にして真空ポンプ1020を用いて排水集合管1000を内包する透明カバー1010を真空引きして取付部の石鹸水が泡立つと止水性が良好でないことを検出することができる。なお、排水集合管1000における管本体と外層部材700との取付部には、上側止水部WP(U)と下側止水部WP(D)とがある。また、外層部材700の詳細な構成については実施の形態で
図5を参照して説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-094481号公報
【特許文献2】特開平10-307072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1に開示された排水配管継手に設けられた外層部材の止水性を特許文献2に開示された漏洩検査方法を用いて検査する場合において、たとえ可能であるとしても、透明カバーを製作する必要があったり、真空引きする必要があったりするために、止水性検査に多大な費用と時間とを必要とする。このため、外層部材を備えた排水集合管における排水集合管(本体)と外層部材との接合部(接着部)における止水性を、迅速に、容易に、かつ、確実に、確認(検査)することのできる、外層部材を備えた排水集合管および排水集合管における外層部材の止水性の検査方法が求められているが、実現できていないという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、床スラブの上方に突出する上部管と上部管の下方に接着された下部管と排水集合管における枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含む排水集合管であり、特定の条件を満足する止水性を備えて外層部材が設けられた排水集合管(自体)、および、迅速に、容易に、かつ、確実に外層部材の止水性を検査することができる(外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含む)排水集合管の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る排水集合管および製造方法は、以下の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明のある局面に係る排水集合管は、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製
の排水集合管であって、前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における枝下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、前記外周側部材の少なくとも上端および下端には前記内周側部材が存在せず、前記内周側部材を水に接触させないように止水性を備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられ、第1の時間が経過するまで、第1水圧を前記上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、第2の時間が経過するまで、前記第1の水圧よりも低い第2水圧を前記下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間が経過するまで前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記上端および前記下端からの水の侵入がないことを確認したことにより、前記止水性が良好であると判断されたことを特徴とする。
【0013】
このある局面に係る排水集合管は、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における枝下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、前記外周側部材の少なくとも上端および下端には前記内周側部材が存在せず、前記内周側部材を水に接触させないように止水性を備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられている排水集合管であって、以下の<条件>を満足する排水集合管である。<条件>
第1の時間が経過するまで、第1水圧を前記上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、第2の時間が経過するまで、前記第1の水圧よりも低い第2水圧を前記下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間が経過するまで前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記上端および前記下端からの水の侵入がない。
【0014】
好ましくは、前記第1の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記上端から水面までの距離が前記第1水圧に対応する深さまで、前記上端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すように構成することができる。
【0015】
さらに好ましくは、前記第1の時間は12時間であって、前記第1水圧は200mm水頭であるように構成することができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記第2の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を上方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下同じ状態で、前記下端から水面までの距離が前記第2水圧に対応する深さまで、前記下端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すように構成することができる。
【0017】
さらに好ましくは、前記第2の時間は12時間であって、前記第2水圧は35mm水頭であるように構成することができる。
【0018】
さらに好ましくは、前記第3の状態は、水を入れた散水器を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記下端の部分に散水器で散水するように構成することができる。
【0019】
さらに好ましくは、前記第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3であるように構成することができる。
【0020】
さらに好ましくは、水の侵入がないことは、前記状態の完了前後の前記排水集合管の重量の変化を確認すること、筒状の前記外層部材を前記排水集合管の軸芯に沿って切断して切り開いて前記内周側部材を確認すること、または、筒状の前記外層部材を筒状のままで前記排水集合管の軸芯に沿って抜いて前記内周側部材を確認するように構成することができる。
【0021】
さらに好ましくは、前記外周側部材と前記内周側部材との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、前記水分検出素材が変性していないことを確認するように構成することができる。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の別の局面に係る排水集合管の製造方法は、建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管の製造方法であって、前記排水集合管は外層部材を備え、前記製造方法は前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含み、前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、前記製造方法は、前記排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、前記樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、前記樹脂製の部品を用いて前記排水集合管を組み立てる組み立てステップと、前記外周側部材の少なくとも上端および下端に前記内周側部材が存在しないように、かつ、前記内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、前記外周側部材を前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、前記排水集合管が備える前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、前記検査ステップは、前記上端から水面までの距離が所定の深さまで前記上端の部分を含めて前記排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、前記水浸ステップの完了後に、前記上端からの水の侵入がないことを確認することにより、前記止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、床スラブの上方に突出する上部管と上部管の下方に接着された下部管と排水集合管における枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含む排水集合管であり、特定の条件を満足する止水性を備えて外層部材が設けられた排水集合管(自体)、および、迅速に、容易に、かつ、確実に外層部材の止水性を検査することができる(外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含む)排水集合管の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態に係る排水集合管100が採用された排水配管構造を示す図であって、(A)排水集合管100が外層部材700を備えた状態を示す斜視図であって、(B)排水集合管100が外層部材700を備えない状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る排水集合管100を示す図であって、(A)熱膨張性耐火材116が充填された状態を示す斜視図であって、(B)熱膨張性耐火材116が充填されていない状態を示す斜視図である。
【
図3】(A)
図2(B)に示す排水集合管100の分解図であって、(B)管壁を透視した下部管110の斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る排水集合管100の二面図である。
【
図5】(A)
図4(A)における5A-5A断面図、(B)
図5(A)における外層部材700の拡大断面図、(C)
図5(B)において外層部材700がゴムリング900を介して上部管140に取り付けられる場合の外層部材700の拡大断面図、(D)熱膨張性耐火材116が充填されない場合の5A-5Aの一部断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る排水集合管における外層部材の止水性の検査方法を説明するための図(その1)である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る排水集合管における外層部材の止水性の検査方法を説明するための図(その2)である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る排水集合管における外層部材の止水性の検査方法を説明するための図(その3)である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る排水集合管における外層部材の止水性の検査方法を説明するための図(その4)である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る排水集合管(自体)の特徴を説明するための図(その1)である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る排水集合管(自体)の特徴を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下において、本発明の実施の形態に係る排水集合管(自体)100、および、排水集合管100が備える外層部材の止水性(より詳しくは内周側部材と内周側部材の外周を覆うように排水集合管100に取り付けられる外周側部材とを含む外層部材において、外周側部材の少なくとも上端および下端には内周側部材が存在せず、内周側部材が水に接触しないという止水性)を担保するための検査ステップを含む排水集合管の製造方法について、
図1~
図9、
図11、
図12を参照して詳しく説明する。
【0026】
ここで、本発明に係る排水集合管とは、後述する止水性の検査方法により外層部材(外層カバーと区別しないで記載する場合がある)700の上端側である上側止水部WP(U)および下端側である下側止水部WP(D)からの水の侵入がないことを確認できる(さらには水の侵入がないことを確認できたことにより止水性が良好であると判断される)技術的特徴を備えた排水集合管(排水集合管自体が備える技術的特徴がこの外層部材の止水性であって、排水集合管そのものが備える技術的特徴がこの外層部材の止水性であって、外層部材単体でも外層部材を除く排水集合管単体でも実現し得ない技術的特徴としての外層部材の止水性)である。すなわち、本発明に係る排水集合管は、外層部材を備えた排水集合管において、外層部材単体でも外層部材を除く排水集合管単体でも実現し得ない外層部材の止水性を、後述する条件を満足することをもって排水集合管自体が備える技術的特徴として備えさせたことを最大の特徴とする。
【0027】
また、このような排水集合管は、排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、樹脂製の部品を用いて排水集合管を組み立てる組み立てステップと、外周側部材の少なくとも上端および下端に内周側部材が存在しないように、かつ、内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、外周側部材を排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、排水集合管が備える外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、この検査ステップは、上端から水面までの距離が所定の深さまで上端の部分を含めて排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、水浸ステップの完了後に、上端からの水の侵入がないことを確認することにより、止水性が良好であると判断する判断ステップとを含む(検査ステップを含む)製造方法により製造される。このため、本発明に係る排水集合管の製造方法は、(検査ステップについて、全製品について実施するのか、製品から抜き取り検査するのか、試作品の性能検査に組み入れるのかによらず)、樹脂準備ステップ、組み立てステップ、外層部材取り付けステップ、および、(水浸ステップと判断ステップとを含む)検査ステップ(この検査ステップを検査ステップAとする)を少なくとも含む製造方法である。
【0028】
ここで、この検査ステップAと入れ替えて、下端から水面までの距離が所定の深さまで下端の部分を含めて排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、水浸ステップの完了後に、下端からの水の侵入がないことを確認することにより、止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含む検査ステップBとすることもできる。さら
に、この検査ステップAと入れ替えて、水を入れた散水器で下端の部分に散水する散水ステップと、散水ステップの完了後に、下端からの水の侵入がないことを確認することにより、止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含む検査ステップCとすることもできる。さらには、検査ステップは、検査ステップA、BおよびCの中から、任意の1つのみを採用しても構わないし、任意の2つのみを採用しても構わないし、全ての3つを採用しても構わない。
【0029】
そして、本発明に係る排水集合管の製造方法は、外層部材を備えた排水集合管において、外層部材単体でも外層部材を除く排水集合管単体でも実現し得ない外層部材の止水性を、後述する[排水集合管(自体)が満足する外層部材の止水性についての条件]を満足することを検査ステップで確認することにより排水集合管自体が備える技術的特徴として備えさせたことを最大の特徴とする。
【0030】
なお、以下の説明において、外周面と外表面と外側、外層側と外周側と外側、内層側と内周側と内側、熱膨張性耐火材と耐火材と熱膨張材、とは、明確に区別して記載していない場合がある。また、本発明を容易に理解するために、横枝管の方向を0時、3時、6時および9時と時計の時針を利用して特定する場合がある(
図4)。また、図において一点鎖線に付した(数字+(必要に応じて)アルファベットからなる)符号は、数字が図番を、アルファベットがその図における枝番(A、B、C等)を、それぞれ示し、その符号により特定される図には断面図が示されている(
図4(A)、
図5(A))。
[排水集合管の全体構成]
以下、本発明の実施の形態に係る排水集合管100を、図面に基づき詳しく説明する。
図1~
図5に示すように、この排水集合管100を用いた排水配管構造は、建築物における床スラブを上下に貫通する貫通孔に設けられる非耐火性の樹脂製の排水集合管100と、この排水集合管100に接続される樹脂製の排水立管(上階からの排水を流入させる上階側排水立管220(単に上管220と記載する場合がある)220および下階に排水を流下させる下階側排水立管230(単に下管230と記載する場合がある))とを有している。ここで、「非耐火性」とは、建築物内で火災が生じたときに、これによる熱によって変形、溶融または燃焼可能な性質をいい、たとえば樹脂製のものが該当する。また、任意的ではあるが、排水集合管100を構成する樹脂製の複数の部品について、耐衝撃性に優れた樹脂を採用した部分を含むようにすることも好ましい。ここで、耐衝撃性に優れた樹脂を採用した部分を含む排水集合管とは、耐衝撃性改良樹脂(強化剤)を、塩ビ樹脂100重量部に対し1~20重量部を混合して樹脂成形された部分を含む排水集合管である。より具体的には、樹脂製の(複数の)部品(ここでは一例ではあるが上部管140、下部管110、上管受口部材144、横枝管受口部材146×3の6つのうちの少なくとも1つ)が塩ビ樹脂100重量部に対し1~20重量部を混合して樹脂成形されている。また、任意的ではあるが、排水集合管100を構成する樹脂製の複数の部品について、耐衝撃性に優れた樹脂を採用した部分を含むようにすることも好ましい。ここで、耐衝撃性に優れた樹脂を採用した部分を含む排水集合管とは、耐衝撃性改良樹脂(強化剤)を、塩ビ樹脂100重量部に対し1~20重量部を混合して樹脂成形された部分を含む排水集合管である。より具体的には、樹脂製の(複数の)部品(ここでは一例ではあるが上部管140、下部管110、上管受口部材144、横枝管受口部材146×3の6つのうちの少なくとも1つ)が塩ビ樹脂100重量部に対し1~20重量部を混合して樹脂成形されている。
【0031】
この排水集合管100および排水立管(上階側排水立管220(上管220)および下階側排水立管230(下管230))は、たとえば塩化ビニル、ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレンあるいはナイロン等によって形成されている。なお、排水立管には、たとえばいわゆる耐火2層管を用いてもよい。この排水集合管100は、
図3(A)に示すように、ひとつまたは複数(ここでは一例ではあるが上部管140、下部管110、上管受口部材144、横枝管受口部材146×3の6つ)の樹脂製の射出成形品で形成されている。そして、この排水集合管100は、
図1~
図3に示すように、建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管であって、排水集合管100は、床スラブの上
方に突出する上部管140と、上部管140の下方に接着された下部管と110を含む。上部管140は、上階から排水を流入させる上管220を接続するための上管受口部材144が接着される上管接続部143と、床スラブの上方において横枝管を接続するための横枝管受口部材146が接着される少なくとも1つ(ここでは3つ)の横枝管接続部142とを含む。下部管110は、下階へ排水を流出させる下管230を接続する下管接続部130を含む。上管接続部143および横枝管接続部142に、それぞれ樹脂製の受口部材(より詳しくは上管受口部材144および横枝管受口部材146)が接着される。
【0032】
ここで、この排水集合管100が最下階用ではない場合においては、
図3(A)および
図3(B)に示すように、一例ではあるが、下部管110における下管接続部130よりも上に、下部管110の内面に突出する突出部としての旋回羽根114が形成され、下部管110の外面にはこの突出部(ここでは旋回羽根114)に対応するくぼみ112が形成され、このくぼみ112の部分に熱膨張性耐火材116が充填されている。なお、このくぼみ112に熱膨張性耐火材116を充填する点については、本発明に係る排水集合管においては任意的事項であって、後述する
図5(D)に示すように、くぼみ112に熱膨張性耐火材116を充填しない排水集合管が本発明に係る排水集合管であっても構わない。さらに、この
図5(D)に示す排水集合管は、くぼみ112に熱膨張材116が充填されないことに加えて、熱膨張性耐火材712が上下2箇所ではなく上方の1箇所のみに設けられ、熱膨張性耐火材712が設けられていた下方の1箇所には制振材714が設けられている。このような上下2箇所ではなく上方の1箇所のみに熱膨張性耐火材712を設けた(熱膨張性耐火材と旋回羽根とが高さ方向の位置において重ならない)排水集合管が本発明に係る排水集合管であっても構わない。
【0033】
ここで、限定されるものではないが、この熱膨張性耐火材116は、パテ状に形成されており、排水集合管100の下部管110の外面のくぼみ112が、下部管110の外径程度まで埋まるように(所望の耐火性を十分に実現できる量が)充填されている。したがって、排水集合管100の下部管110の外径は従来の排水配管継手と同じ程度である。このように、熱膨張性耐火材116は、
図1(B)に示すように、突出部(旋回羽根114)に対応するくぼみ112の部分に(樹脂含有ではなく純粋な)熱膨張性耐火材116自体が充填される。
【0034】
このような排水集合管100が建築物における床スラブを上下に貫通する貫通孔に施工されると、
図1(A)に示すように、この突出部(旋回羽根114)のくぼみ112は、建築物に施工された際に、少なくともその一部が床スラブの上端から下端までの範囲の少なくとも一部に対応する位置になるように形成されている。なお、この突出部は、排水集合管100内の排水の流れを変化させる部分であれば、旋回羽根114に限定されるものではなく、偏流板等であっても構わず、下部管110の外面に対応するくぼみ112が形成されるものであれば、旋回羽根にも偏流板にも限定されない。
【0035】
さらに、熱膨張性耐火材116の外層には、耐火性能および振動抑制性能を備えた外層部材700を、下部管110の外周に筒状に巻き付けるように覆われて設けることが好ましく、この外層部材700は上部管140の下方を筒状に覆っても構わない。
図4に示す排水集合管100の二面図および
図5に示す断面図を参照して、外層部材700について説明する。これらの図に示すように、この外層部材700の一例として、3層構造を備え、排水集合管100の外表面から、制振材714、耐火性無機繊維によって形成された振動絶縁体720、遮音カバー730の順に、排水集合管100の上部管140の下方を覆う場合を含めて下部管110の外周面を覆うように設けられている。一例ではあるが、最内層710の制振材714は、ブチル系(ブチルゴム等)またはアスファルト系(ゴムアスファルト、改質アスファルト等)の材料を含んで形成され、最外層の遮音カバー730は、ゴム系(EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等)、エラストマー系または樹脂系の材料を含んで形成され(ゴム等の軟質材料のみならず硬質の塩ビ製でも構わない)、中間層の耐火性無機繊維によって形成された振動絶縁体720は、耐火性を備えた無機繊維の集合体(グラスウール、ロックウールまたはセラミックファイバー等)から形成される。なお、最内層710において制振材714に代えて熱膨張性耐火材712が設けら
れている部分が存在する。すなわち、3層構造の外層部材700は、最内層710の熱膨張性耐火材712または制振材714、中間層の振動絶縁体720、および、最外層の遮音カバー730で構成される。なお、外層部材700が2層以上の構造を備えることを除けば、外層部材700が3層構造であることも、このような素材で形成されていることも、本発明において限定されるものではない。
【0036】
この排水集合管100における上部管140は、
図3(A)および
図4に示すように、上管220を上管受口部材144を介して接続する上管接続部143および上面視で90°間隔で3箇所に横枝管を横枝管受口部材146を介して接続する横枝管接続部142を備えた集水室(符号なし)と、上管受口部材144と、3つの横枝管受口部材146とで構成されている。ここで、横枝管接続部の個数は限定されるものではなく、また、限定されるものではないが、横枝管受口部材146は、縮径せずに横枝管を接続するものであっても(図示した横枝管受口部材)、縮径して横枝管を接続するものであっても構わない。
【0037】
また、この排水集合管100は、この排水集合管100の製造工場において、上述したように
図3(A)に示す6つの樹脂製の射出成形品で形成され、
図3(A)に示すこれらの別々の射出成形品の射出成形品どうしの接合部分が接着剤で接着される。ここで、本発明に直接的な関係は低いが、
図3(A)において符号の数字の直後に続く、アルファベットMは雄側を、アルファベットFは雌側を意味する。なお、本発明は、排水集合管を構成する射出成形品の個数および形状は限定されるものではないが、以下の構成を備える排水集合管に好ましく適用される。
【0038】
本発明に係る排水集合管は、以下の構成を備える。この排水集合管100は、
図1に示したように建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管である。この排水集合管100は、
図1~
図5に示すように、床スラブの上方に突出する上部管140と、上部管140の下方に接着された下部管110と、排水集合管100における枝下(この枝下とは上部管140における横枝管接続部142の直下近傍を示す)から下部管110までの外周に設けられた少なくとも2層(ここでは3層)からなる外層部材700とを含む。この上部管140は、上階から排水を流入させる上管220を接続する上管接続部143と、床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つ(ここでは3つ)の横枝管接続部142とを含み、上管接続部143には樹脂製の上管受口部材144が、横枝管接続部142には樹脂製の横枝管受口部材146が接着されている。また、
図5(A)(のみ)に示すように、排水集合管100は、上管受口部材144にゴム輪144Gを、横枝管受口部材146にゴム輪146Gを、それぞれ(任意的構成として)備えるものであっても構わない。
【0039】
排水集合管100が備える外層部材700は、内周側部材(ここでは最内層710の熱膨張性耐火材712または制振材714、および、中間層の振動絶縁体720)と、内周側部材の外周を覆うように排水集合管100に取り付けられる外周側部材(ここでは最外層の遮音カバー730)とを含み、外周側部材(遮音カバー730)の少なくとも上端(上側止水部WP(U)を形成することになる)および下端(下側止水部WP(D)を形成することになる)には内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)が存在せず、内周側部材を水に接触させないように止水性を備えて外周側部材(遮音カバー730)が排水集合管100の上部管140および下部管110に、
図5(B)に示すように直接、または、
図5(B)に示すように他部材であるゴムリング900を用いて取り付けられている。ここで、内周側部材(特に振動絶縁体720として好ましく採用される無機繊維の集合体)は、水に触れるとその機能が低減するという性質を備える。このため、止水性を担保するために、より具体的には、限定されるものではないが、外周側部材(遮音カバー730)が、排水集合管100の上部管140および下部管110に(さらにゴムリング900を介して)接着剤により止水性を備えて取り付けられている。
【0040】
なお、本発明は、床スラブの上方に突出する上部管と、上部管の下方の下部管と、排水集合管における枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含む排水集合管であって、この外層部材は、内周側部材と、内周側部材の外周を覆う
ように排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、外周側部材の少なくとも上端および下端には内周側部材が存在せず、内周側部材を水に接触させないように止水性を備えて外周側部材が排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられており、その外層部材の止水性が良好であることが確認できる排水集合管(自体)を対象とするともに、後述するように、この排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、樹脂製の部品を用いて排水集合管を組み立てる組み立てステップと、外周側部材の少なくとも上端および下端に内周側部材が存在しないように、かつ、内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、外周側部材を排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、排水集合管が備える外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、この検査ステップは、上端から水面までの距離が所定の深さまで上端の部分を含めて排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、水浸ステップの完了後に、上端からの水の侵入がないことを確認することにより、止水性が良好であると判断する判断ステップとを少なくとも含む(検査ステップを含む)、排水集合管の製造方法を対象としている。
[排水集合管(自体)が満足する外層部材の止水性についての条件]
以下において、本発明に係る排水集合管が上述した構成に加えて、以下に示す条件を満足することを特徴とする。本発明に係る排水集合管(自体)が満足する条件とは、
(1)
図6に示すように、第1の時間が経過するまで、第1水圧を外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)に付与する第1の状態を継続させて、
(2)
図7に示すように第2の時間が経過するまで、第1の水圧よりも低い第2水圧を外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)に付与する第2の状態を継続させて、または、
図8に示すように第3の時間が経過するまで外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)に散水する第3の状態を継続させて、
(4)(4-1)第1の状態および第2の状態の完了後に、(4-2)第1の状態および第3の状態の完了後に、または、(4-3)第1の状態、第2の状態および第3の状態の完了後に、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)における上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)および下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)からの水の侵入がない(認められない)、
という条件であって、本発明に係る排水集合管は、このような条件を満足する排水集合管であることを特徴とする。さらに、本発明に係る排水集合管は、このように水の侵入がないことが確認されたことにより、止水性が良好であると判断された排水集合管であることを特徴とする。そして、この条件を満足する排水集合管(自体)が本発明の対象であって、この条件を満足するか否かを検査する方法が検査方法であって、この検査方法は、後述する排水集合管の製造方法における検査ステップに対応するものである。
【0041】
ここから、上述した条件について、さらに詳しく説明する。まず、第1の時間および第1の状態における水圧について詳しく説明する。この第1の状態は、
図6に示すように、水Wを貯めた水槽800を準備して、排水集合管100の上部管140を下方にした状態であって床スラブに施工された後と上下逆の状態で、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)から水面までの距離が第1水圧に対応する深さまで、上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)を含めて排水集合管を、第1の時間が経過するまで、水槽800に貯めた水Wに浸す。ここで、本発明に係る排水集合管が満足する条件における第1の時間は12時間であって、第1水圧は200mm水頭である。ここで、第1水圧が200mm水頭である理由について
図9を参照して説明する。
図9は、段付き床スラブに排水集合管が施工された側面図を示す。このような段付き床スラブに排水集合管が施工されると、最大で(段付きスラブにおけるほぼ最大の段差である)200mm程度の深さの水に、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)が浸されることになる。このような
状態を想定して、第1水圧は200mm水頭と設定している。
【0042】
次に、第2の時間および第2の状態における水圧について詳しく説明する。この第2の状態は、
図7に示すように、水Wを貯めた水槽800を準備して、排水集合管100の上部管140を上方にした状態であって床スラブに施工された後と上下同じ状態で、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)から水面までの距離が第2水圧に対応する深さまで、下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)を含めて排水集合管を、第2の時間が経過するまで、水槽800に貯めた水Wに浸す。ここで、本発明に係る排水集合管が満足する条件における第2の時間は12時間であって、第2水圧は(第1水圧よりも低い)35mm水頭である。ここで、第2水圧が第1水圧よりも低い理由は、
図9を参照して説明したように、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)は、雨水等が侵入してその雨水等に触れることはあっても、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)のように段付き床スラブに施工されても200mmの深さの水に浸されることはないためである。
【0043】
次に、第3の時間および第3の状態における水圧(散水)について詳しく説明する。この第3の状態は、水を入れた散水器810を準備して、排水集合管100の上部管140を下方にした状態であって床スラブに施工された後と上下逆の状態で、下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)に散水器810で散水する。ここで、第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3である。この第3の時間および第3の状態も、上述した第2の時間および第2の状態と同じく、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)の止水性についての排水集合管100が備える条件であって、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)のように段付き床スラブに施工されても200mmの深さの水に浸されることはないために、本発明に係る排水集合管が満足する条件であって、外層部材700の止水性に関する条件として、第3の状態である散水状態を用いて止水性についての条件を適用することができる。
【0044】
なお、第2の状態および第2の時間、ならびに、第3の状態および第3の時間については、本発明に係る排水集合管が段付き床スラブに施工された場合であっても、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)が最大で200mm程度の深さの水に浸されることを想定できないために、雨水がかかる程度を想定しているとも言える。
【0045】
本発明に係る排水集合管が満足すべき条件として、(4-1)第1の状態および第2の状態の完了後に、(4-2)第1の状態および第3の状態の完了後に、または、(4-3)第1の状態、第2の状態および第3の状態の完了後に、外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分)および外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分)からの水の侵入がない(認められない)という条件である。この上側止水部WP(U)の部分および下側止水部WP(D)の部分からの水の侵入がない(認められない)という、本発明に係る排水集合管が満足する条件について詳しく説明する。本発明に係る排水集合管が満足する条件における、水の侵入がないことは、各状態の完了前後(第1の状態を第1の時間継続させた前後、第2の状態を第2の時間継続させた前後、単位時間あたりの散水量で第3の状態を第3の時間継続させた前後、および、これらの状態を組み合わせて実行した前後)における、(A)排水集合管100の重量の変化を確認すること、(B)筒状の外層部材700を排水集合管100の軸芯(方向)に沿って切断して切り開いて内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)を確認すること、または、(C)筒状の外層部材700を筒状のままで排水集合管100の軸芯(方向)に沿って抜いて内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)を確認することが挙げられる。この場合において、外周側部材(遮音カバー730)と内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、水
分検出素材が変性していないことをすることが挙げられる。なお、水分検出素材に好適に採用される水分または湿気により変性する材料としては、マイクロカプセル、シリカゲル、塩化コバルト六水和物等の水分または湿気により変色する材料、吸水シート、水溶性シート等の水分または湿気により変質する(形状が変化する)が考えられる。このように、本発明における変性(性質が変化)とは、一例ではあるが、色が変化する変色、形状が変化する変質を含むものである。
[排水集合管の(止水性)検査方法]
以下において、本発明に係る(排水集合管100における外層部材700の)止水性の検査方法(以下において単に止水性検査方法と記載する場合がある)について、詳しく説明する。この止水性検査方法は、上述した構成(6つの樹脂製の射出成形品で形成された排水集合管とそれに取り付けられた3層構造の外層部材等)を備えた排水集合管100に対して、その排水集合管100が備える外層部材700の止水性を検査する。
【0046】
<第1検査ステップ:検査ステップAの水浸ステップ>
図6に示すように、水Wを貯めた水槽800を準備して、12時間が経過するまで、排水集合管100の上部管140を下方にした状態であって床スラブに施工された後と上下逆の状態で、第1水圧である200mm水頭に対応する上端の部分(外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の上端の部分(上側止水部WP(U)の部分))から水面までの距離が200mmの深さまで、上端の部分を含めて排水集合管100を水槽800に貯めた水に浸す。
【0047】
<第2検査ステップ:検査ステップBの水浸ステップ>
図7に示すように、水Wを貯めた水槽800を準備して、12時間が経過するまで、排水集合管100の上部管140を上方にした状態であって床スラブに施工された後と上下同じ状態で、第2水圧である35mm水頭に対応する下端の部分(外層部材700の外周側部材(遮音カバー730)の下端の部分(下側止水部WP(D)の部分))から水面までの距離が35mmの深さまで、下端の部分を含めて排水集合管100を水槽800に貯めた水に浸す。
【0048】
<第3検査ステップ:検査ステップCの散水ステップ>
図8に示すように、水を入れた散水器810を準備して、排水集合管100の上部管140を下方にした状態であって床スラブに施工された後と上下逆の状態で、1秒あたりの散水量を100cm
3として100秒が経過するまで散水器810で下端の部分(下側止
水部WP(D)の部分))に散水する。
【0049】
<判断ステップ:検査ステップA、B、Cの判断ステップ>
第1検査ステップおよび第2検査ステップの完了後、第1検査ステップおよび第3検査ステップの完了後、または、第1検査ステップ、第2検査ステップおよび第3検査ステップの完了後に、筒状の外層部材700を排水集合管100の軸芯(方向)に沿って切断して切り開いて内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)を確認可能な状態、もしくは、筒状の外層部材700を筒状のままで排水集合管100の軸芯(方向)に沿って抜いて内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)を確認可能な状態にして、外周側部材(遮音カバー730)と内周側部材(熱膨張性耐火材712または制振材714および振動絶縁体720)との間に設けた水分または湿気により変性する水分検出素材が変性していないことを確認することにより、または、状態の完了前後の排水集合管100の重量の変化を確認することにより、止水性が良好であると判断する。
[排水集合管の製造方法]
以下、本発明の実施の形態に係る排水集合管100の製造方法を、上述した[排水集合管の(止水性)検査方法]を参照して説明する。この製造方法は、建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管100の製造方法である。この排水集合管100は、排水集合管は外層部材を備え、この製造方法は、この外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含む。この排水集合管100は、床スラブの上方に突出する上部管と、上部管の下方の下部管と、排水集合管における横枝管接続部の下から下部管までの外周に
設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、外層部材は、内周側部材と、内周側部材の外周を覆うように排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含む。
【0050】
この排水集合管100の製造方法は、上述したように、外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含む。この排水集合管100の製造方法は、このような検査ステップに加えて、排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、樹脂製の部品を用いて排水集合管を組み立てる組み立てステップと、外周側部材の少なくとも上端および下端に内周側部材が存在しないように、かつ、内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、外周側部材を排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、排水集合管が備える外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含む。この検査ステップは、上端から水面までの距離が所定の深さまで上端の部分を含めて排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、水浸ステップの完了後に、上端からの水の侵入がないことを確認することにより、止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含む。ここで、樹脂準備ステップと樹脂準備ステップ以外のステップとを実施する者および/または場所が異なる場合には、樹脂準備ステップは排水集合管100に含まれる樹脂製の複数の部品を樹脂成形する樹脂成形工場から排水集合管の製造工場へ搬入して準備するステップとなり、樹脂準備ステップと樹脂準備ステップ以外のステップとを実施する者および/または場所が同じ場合には、樹脂準備ステップは、排水集合管100に含まれる樹脂製の複数の部品を樹脂成形して準備するステップとなる。組み立てステップは、
図3(A)に示す6つの樹脂製の射出成形品どうしの接合部分を接着剤で接着する。
図3(A)において符号の数字の直後に続く、アルファベットMが示す雄側を、アルファベットFが示す雌側に嵌合させるとともに嵌合部分を接着剤で接着する。この接着部における詳細は、
図4を参照して上述した通りである。
[排水集合管(自体)の特徴]
以下において、本発明に係る排水集合管(自体)の特徴について説明する。以下の説明により、本発明に係る排水集合管(自体)の特徴が明らかになるとともに、排水集合管(自体)が備える性能(接着部の接着性能、外層部材の止水性能、耐衝撃性能等)が明らかになる。
【0051】
・接着部の接着性能(接着性)に関する排水集合管(自体)の特徴
本発明に係る排水集合管100においては、上部管140と下部管110とが、上部管140における上管接続部143に樹脂製の上管受口部材144が、横枝管接続部142に樹脂製の横枝管受口部材146が、それぞれの接着部において接着剤で接着されて1つの排水集合管が製造される。排水集合管100および受口部材が樹脂成形品であることに起因して、これらの接着部に、パーティングラインまたはウエルドラインが入って僅かな段差を生じている。このように排水集合管100(ここでは上部管140および下部管110)および受口部材(上管受口部材144および横枝管受口部材146)がこれらの段差を備えることは、接着部において接着性を阻害する要因となる。この僅かな段差は、0.01mm以上0.8mm以下であって、パーティングラインまたはウエルドラインに加えて、バリやグイチによる僅かな段差を生じている場合を含む。このように排水集合管100(ここでは上部管140および下部管110)および受口部材(上管受口部材144および横枝管受口部材146)がこれらの段差を備えることにより接着部において接着性を阻害するにも関わらず、排水集合管100における上部管140と下部管110との接着部、上部管140と受口部材との接着部における良好な接着性を排水集合管100(自体)が備える。この接着性について確認された排水集合管(自体)が本発明に係る排水集合管である。
【0052】
さらに、本発明に係る排水集合管100においては(特に受口部材に)、部分的に肉厚が厚い箇所を備える。具体的には、元の肉厚Tに対して、部分的(幅0.5T以上)に肉厚(1.1T以上)な部分がある。具体的な一例としては、
図11に示すように、受口部
品(この
図11においては横枝管受口部材146)の(雄側)接着部146Mの内側に設けられたリブ146MLである。この部分は、元の肉厚Tに対して部分的に肉厚が厚い箇所となり、ヒケの原因となる。そのヒケによりその部分(ここでは上部管140の横枝管接続部142と横枝管受口部材146との接着部)において接着性を阻害する要因となるが、この部分を含めた接着部(上部管140と下部管110との接着部、上部管140と受口部材(上管受口部材144および横枝管受口部材146)との接着部)の接着性について確認された排水集合管(自体)が本発明に係る排水集合管である。特に、樹脂(射出)成形部には成形の際の油分が付着した状態で外層部材が取り付けられる場合があって油分が残ったまま部品どうしを接着した接着部(ここでは上部管140と下部管110との接着部、上部管140と受口部材(上管受口部材144および横枝管受口部材146)との接着部)において接着不良をおこす可能性があるが、そのような可能性も本発明に係る排水集合管では回避または抑制されている。また、受口部材(上管受口部材144および横枝管受口部材146)における(円形状の)接着部の中心と、排水集合管における(円形状の)受口の中心がズレており接着の際に受口部分を押して受口に圧入すると接着部分との芯ズレが原因で部品が傾いて接着不良を起こす可能性があるが、そのような可能性も本発明に係る排水集合管では回避または抑制されている。
【0053】
さらに、本発明に係る排水集合管100においては、上部管140と下部管110との接着部、上部管140の横枝管接続部142と横枝管受口部材146との接着部、および、上部管140の上管接続部143と上管受口部材144との接着部が存在する。これらの接着部においては、接着性能として、接着後24時間を経過した接着部の接着力が0.5MPa以上を備える。この接着力は、引張試験(10mm/分)の最大荷重を接着部の面積で除して算出したものである。そして、これらの接着部における(接着後24時間経過後の)接着力が0.5MPa以上である排水集合管(自体)が本発明に係る排水集合管である。
【0054】
・外層部材の止水性能(止水性)に関する排水集合管(自体)の特徴
本発明に係る排水集合管100が外層部材700を備え、外層部材(より詳しくは後述するように遮音カバー)の上端および下端が排水集合管100の(上部管140および/または下部管110の)外周面に密着して取り付けられて排水集合管100を形成している場合において、排水集合管100が樹脂成形品であることに起因して外層部材700の上端および下端の部分に対応する排水集合管100の外表面の位置に、パーティングラインまたはウエルドラインが入って僅かな段差を生じている。このように排水集合管(自体)100がこれらの段差を備えることは、外層部材700の取り付け箇所において止水性を阻害する要因となる。この僅かな段差は、0.01mm以上0.8mm以下である点、および、パーティングラインまたはウエルドラインに加えて、バリやグイチによる僅かな段差を生じている場合を含む点は、上述した通りである。このように排水集合管100(自体)がこれらの段差を備えることにより外層部材700の取り付け箇所において止水性を阻害する要因となるが、排水集合管100と外層部材700との間から水の侵入を回避するための止水性を排水集合管100(自体)が備える。この止水性について確認された排水集合管(自体)が本発明に係る排水集合管である。
【0055】
また、外層部材700が2層以上の構造を備える場合において(ここでは排水集合管100の外表面から、制振材、耐火性無機繊維によって形成された振動絶縁体、遮音カバーの3層構造)、上述した上端および下端は最外層の遮音カバーのみが存在して、その遮音カバーは(EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等)、エラストマー系または樹脂系の材料を含んで形成されている(ゴム等の軟質材料のみならず硬質の塩ビ製でも構わない)。この遮音カバーを含めて外層部材700を排水集合管100の外表面に取り付けなければならないために(より詳しくは遮音カバーの上端および下端を排水集合管の外表面に密着させて取り付けなければならないために)、遮音カバーの内径が排水集合管100の本体(上部管140および/または下部管110)の外径と同じまたは大きい(小さいとわざわざ広げないと取り付けることができない)。このように、締り嵌めになっていないために止水性に不利であるが(止水性を阻害する要因となるが)、排水集合管100と
外層部材700との間から水の侵入を回避するための止水性を排水集合管100(自体)が備える。この止水性について確認された排水集合管(自体)が本発明に係る排水集合管である。特に、樹脂(射出)成形部には成形の際の油分が付着した状態で外層部材が取り付けられる場合があって油分が残ったまま部品どうしを接着すると(ここでは外層部材を排水集合管に接着すると)接着不良をおこす可能性があるが、そのような可能性も本発明に係る排水集合管では回避または抑制されている。
【0056】
・耐衝撃性能(耐衝撃性)に関する排水集合管(自体)の特徴
本発明に係る排水集合管100においては、上部管140と下部管110との2部材で構成され(上部管140と下部管110とが接着されて排水集合管が構成され)、上部管140の横枝管接続部142に上部管140とは別部材である横枝管受口部材146が(接着されて)取り付けられ、および、上部管140の上管接続部143に上部管140とは別部材である上管受口部材144が(接着されて)取り付けられた状態における、耐衝撃性を備える。
【0057】
これらの上部管140、下部管110および受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)から構成される本発明に係る排水集合管は、樹脂成形品であって、角(カド)または隅(スミ)に設けられる面取りが小さい(より具体的にはR0.1以上R0.3以下)箇所があることに起因して、排水集合管が落下した際にこの面取りが小さい箇所に応力が集中して割れ(破損)の起点となる。たとえば、このような箇所としては、
図12に示すように、上部管140の下端が挿入される下部管110の受口の底110Eに設けられた面取り部110ERがある。このような面取り部110ERを底部に備えた(下部管110の)受口に差し口(上部管140の下端)が挿入されると、下部管110の受口が外向きに拡げられる力が加わる。このとき、受口における面取り部110ERの面取りが小さい場合には(R0.1以上R0.3以下)、応力が集中しやすくなり、排水集合管が落下した際にその部分(ここでは上部管140と下部管110との接着部であるが
図7等に示す二段の排水集合管200の場合には上側の下部管110と下側の上部管140との接着部)に応力が集中してしまい(面取り部110ERが)割れの起点となって(受口側の樹脂成形品の受口が)破損することがある。
【0058】
なお、上述した
図12に示す上部管140の下端が挿入される下部管110の受口のみならず、差し口側が挿入されて取り付けられる(受口側の)樹脂成形品であって受口の底の面取り部の面取りが小さい(R0.1以上R0.3以下)場合には、上述したように応力が集中しやすくなり、排水集合管が落下した際にその部分に応力が集中してしまい割れの起点となって(受口側の樹脂成形品の受口が)破損することがある。本発明に係る排水集合管(自体)は、受口の底の面取り部の面取りが小さくなく(R0.3より大きく)耐衝撃性を向上させたことを特徴とする。
【0059】
また、本発明に係る排水集合管を構成する受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の接着部(たとえば
図11(B)に示す横枝管受口部材146における(雄側)接着部146M)の周方向の厚みは3mm以上10mm以下であるために(耐衝撃性を上げることを理由として受口部材の周方向の厚みを過度に厚くするようには設計していないために)、上述したように排水集合管が落下した際の応力集中により破損することがある。本発明に係る排水集合管(自体)は、受口部材の周方向の厚みが過度に厚くない(10mmを超えない)にも関わらず耐衝撃性を向上させたことを特徴とする。また、本発明に係る排水集合管を構成する受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の先端外周の面取り(R)が小さいと、上述したように排水集合管が落下した際に破損することがあるので通常の排水集合管の受口部材においてはR3より大きいことが好ましい。本発明に係る排水集合管(自体)は、受口部材の先端外周の面取り(R)を過度に大きくない(R0.1≦R≦R3)にも関わらず耐衝撃性を向上させたことを特徴とする。たとえば、本発明に係る排水集合管を構成する受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の先端外周の面取り(R)はR1であって、通常の排水集合管を構成する受口部材の先端外周の面取り(R)(たとえば通常の場合にはR3よりも大きいためにR3は含まれないがここではR3とする)よりも相当に小さいにもかかわらず、
排水集合管が落下した際に破損しないという耐衝撃性を備える。
【0060】
このような特徴(受口の底の面取り部の面取りが小さい箇所を備えない、および/または、受口部材の周方向の厚みが過度に厚くない)を備えた本発明に係る排水集合管は、排水集合管の製造工場から施工現場までの輸送途中に梱包資材であるダンボール箱ごと落下しても排水集合管および排水集合管に含まれる樹脂製の受口部材が破損しないことが担保されている。このような耐衝撃性を備えた排水集合管が本発明に係る排水集合管である。すなわち、受口の底に上述した大きさの面取りを備えないで(受口の底にR0.3よりも大きな面取り部を備えて)耐衝撃性を備えた、および/または、受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の接着部(たとえば横枝管受口部材146における(雄側)接着部146Mの周方向の厚みは3mm以上10mm以下であるにも関わらず耐衝撃性を備えた排水集合管が、本発明に係る排水集合管である。なお、上述した樹脂成形品に入っているウエルドラインも排水集合管が落下した際に割れの起点となる。
【0061】
・その他の排水集合管(自体)の特徴
さらに、本発明に係る排水集合管は以下の特徴を備える。
・樹脂成形品である塩ビ部品における内面の粗度係数が0.009以上0.014以下である。
・樹脂成形品である塩ビ部品のJIS K6739に基づく引張強さが40MPa以上60MPa以下である。
【0062】
以上のようにして、本実施の形態に係る排水集合管および排水集合管における製造方法によると、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、床スラブの上方に突出する上部管と上部管の下方に接着された下部管と排水集合管における枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含む排水集合管であって、特定の条件を満足する止水性を備えて外層部材が設けられた排水集合管を提供することができる。また、迅速に、容易に、かつ、確実に外層部材の止水性を検査することができる検査ステップを含む排水集合管の製造方法を提供することができる。
【0063】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、床スラブの上方に突出する上部管と上部管の下方に接着された下部管と排水集合管における枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含む排水集合管に好ましく、特定の条件を満足する止水性を備えて外層部材が設けられた排水集合管に特に好ましい。さらに、本発明に係る製造方法は、排水集合管の枝下から下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材の止水性を、迅速に、容易に、かつ、確実に、確認(検査)することのできる点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0065】
100 排水集合管
110 下部管
114 旋回羽根
116 熱膨張性耐火材
130 下管接続部
140 上部管
142 横枝管接続部
143 上管接続部
144 上管受口部材
146 横枝管受口部材
700 外層部材
710 最内層
712 熱膨張性耐火材
714 制振材
720 (中間層の)振動絶縁体
730 (最外層の)遮音カバー
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記排水集合管が樹脂製であることに起因して前記外層部材の取り付け箇所においてパーティングラインまたはウエルドラインによる0.01mm以上0.8mm以下の段差を前記排水集合管の外表面に備え、
前記外層部材の内径が前記排水集合管の外径よりも小さい締り嵌めではなく、
前記段差があることおよび前記締り嵌めではないことが、前記外層部材の止水性を阻害する要因となり、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記内周側部材を水に接触させないように物としての以下の<条件>を満足する止水性を、前記止水性を阻害する要因を物としての特徴として備えた排水集合管であるにも関わらず、備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられた排水集合管。
<条件>
第1の時間が経過するまで、第1水圧を前記上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、
第2の時間が経過するまで、前記第1水圧よりも低い第2水圧を前記下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間が経過するまで前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、
前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記上端および前記下端からの水の侵入がない。
【請求項2】
前記第1の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記上端から水面までの距離が前記第1水圧に対応する深さまで、前記上端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項3】
前記第1の時間は12時間であって、前記第1水圧は200mm水頭であることを特徴とする、請求項2に記載の排水集合管。
【請求項4】
前記第2の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を上方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下同じ状態で、前記下端から水面までの距離が前記第2水圧に対応する深さまで、前記下端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項5】
前記第2の時間は12時間であって、前記第2水圧は35mm水頭であることを特徴とする、請求項4に記載の排水集合管。
【請求項6】
前記第3の状態は、水を入れた散水器を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記下端の部分に散水器で散水することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項7】
前記第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3であることを特徴とする、請求項6に記載の排水集合管。
【請求項8】
水の侵入がないことは、前記状態の完了前後の前記排水集合管の重量の変化を確認すること、筒状の前記外層部材を前記排水集合管の軸芯に沿って切断して切り開いて前記内周側部材を確認すること、または、筒状の前記外層部材を筒状のままで前記排水集合管の軸芯に沿って抜いて前記内周側部材を確認することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項9】
前記外周側部材と前記内周側部材との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、前記水分検出素材が変性していないことを確認することを特徴とする、請求項8に記載の排水集合管。
【請求項10】
建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管の製造方法であって、前記排水集合管は外層部材を備え、前記製造方法は前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含み、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記製造方法は、
前記排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、前記樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、
前記樹脂製の部品を用いて前記排水集合管を組み立てる組み立てステップと、
前記内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、前記外周側部材を前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、
前記排水集合管が備える前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、
前記検査ステップは、
前記上端から水面までの距離が所定の深さまで前記上端の部分を含めて前記排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、
前記水浸ステップの完了後に、前記上端からの水の侵入がないことを確認することにより、前記止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含み、
前記所定の深さは200mm水頭に対応する深さであって、前記所定の時間は12時間であることを特徴とする、排水集合管の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
この排水集合管100の製造方法は、上述したように、外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含む。この排水集合管100の製造方法は、このような検査ステップに加えて、排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、樹脂製の部品を用いて排水集合管を組み立てる組み立てステップと、外周側部材の少なくとも上端および下端に内周側部材が存在しないように、かつ、内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、外周側部材を排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、排水集合管が備える外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含む。この検査ステップは、上端から水面までの距離が所定の深さまで上端の部分を含めて排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、水浸ステップの完了後に、上端からの水の侵入がないことを確認することにより、止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含む。ここで、樹脂準備ステップと樹脂準備ステップ以外のステップとを実施する者および/または場所が異なる場合には、樹脂準備ステップは排水集合管100に含まれる樹脂製の複数の部品を樹脂成形する樹脂成形工場から排水集合管の製造工場へ搬入して準備するステップとなり、樹脂準備ステップと樹脂準備ステップ以外のステップとを実施する者および/または場所が同じ場合には、樹脂準備ステップは、排水集合管100に含まれる樹脂製の複数の部品を樹脂成形して準備するステップとなる。組み立てステップは、
図3(A)に示す6つの樹脂製の射出成形品どうしの接合部分を接着剤で接着する。
図3(A)において符号の数字の直後に続く、アルファベットMが示す雄側
(上部管140と下部管110とが接着される受口部においては受口部材における雄側に相当する雄側140MD)を、アルファベットFが示す雌側
(上述した受口部においては受口部材における雌側に相当する雌側110F)に嵌合させるとともに嵌合部分を接着剤で接着する。
ここで、図3(A)に示すように本実施の形態に係る排水集合管100における上部管140には、上管接続部143に上管接続部材144が、横枝管接続部142に横枝管受口部材146が、上部管140の下端に下部管110が、それぞれ接続される。この場合において、図3に示すように、上管接続部143が雄側140MUとして上管接続部材144が雌側144Fとして雄側140MUを雌側144Fに外嵌させて(雌側144Fに雄側140MUを挿入して)、横枝管接続部142が雌側142Fとして横枝管接続部材146が雄側146Mとして雄側146Mを雌側142Fに外嵌させて(雌側142Fに雄側146Mを挿入して)、上部管140の下端が雄側140MDとして下部管110の上端が雌側110Fとして雄側140MDを雌側110Fに外嵌させて(雌側110Fに雄側140MDを挿入して)、接続されている。そして、これらに示すように、上部管140に、雄側(具体的には雄側140MU、雄側140MD)が形成されている場合も、雌側(具体的には雌側142F)が形成されている場合もあり得る。本発明に係る排水集合管においては、雄側と雌側とは、図3と雄雌関係が反対であっても構わない。
[排水集合管(自体)の特徴]
以下において、本発明に係る排水集合管(自体)の特徴について説明する。以下の説明により、本発明に係る排水集合管(自体)の特徴が明らかになるとともに、排水集合管(自体)が備える性能(接着部の接着性能、外層部材の止水性能、耐衝撃性能等)が明らかになる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
これらの上部管140、
上部管140に外嵌されて接着された下部管110および受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)から構成される本発明に係る排水集合管は、樹脂成形品であって、角(カド)または隅(スミ)に設けられる面取りが小さい(より具体的にはR0.1以上R0.3以下)箇所があることに起因して、排水集合管が落下した際にこの面取りが小さい箇所に応力が集中して割れ(破損)の起点となる。たとえば、このような箇所としては、
図12に示すように、上部管140の下端が挿入される下部管110の受口
(雌側110F)の底110Eに設けられた面取り部110ERがある。このような面取り部110ERを底部に備えた(下部管110の)受口
(雌側110F)に差し口(上部管140の下端
の雄側140MD)が挿入されると、下部管110の受口
(雌側110F)が外向きに拡げられる力が加わる。このとき、
下部管110の受口
(雌側110F)における面取り部110ERの面取りが小さい場合には(R0.1以上R0.3以下)、応力が集中しやすくなり、排水集合管が落下した際にその部分(ここでは上部管140と下部管110との接着部
(受口部)である
が二段の排水集合管の場合には上側の下部管110と下側の上部管140との接着部
(受口部))に応力が集中してしまい(面取り部110ERが)割れの起点となって
(樹脂成形品の受口
(雌側110F)が)破損することがある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
なお、上述した
図12に示す上部管140の下端が挿入される下部管110の受口
(雌側110F)のみならず
、受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の接着部(受口部材が接着される部分)における雌側は、差し口側が挿入されて取り付けられる(受口側
(雌側)の)樹脂成形品であって
挿入される側の受口
側(雌側)の底の面取り部の面取りが小さい(R0.1以上R0.3以下)場合には、上述したように応力が集中しやすくなり、排水集合管が落下した際にその部分に応力が集中してしまい割れの起点となって(受口側の樹脂成形品の受口
(雌側)が)破損することがある。本発明に係る排水集合管(自体)は、受口
(雌側)の底の面取り部の面取りが小さくなく(R0.3より大きく)耐衝撃性を向上させたことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
また、本発明に係る排水集合管を構成する
、上部管140の下端が挿入される下部管110の受口における(図12(B)、(C)に示す)雌側の肉厚tおよび受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の接着部
(受口部材が接着される部分)における雌側の周方向の厚み
(肉厚)は
、3mm以上10mm以下であるために(耐衝撃性を上げることを理由として受口部材の周方向の厚み
(肉厚)を過度に厚くするようには設計していないために)、上述したように排水集合管が落下した際の応力集中により破損することがある。本発明に係る排水集合管(自体)は、受口部材
(雌側)の周方向の厚み
(肉厚)が過度に厚くない(10mmを超えない)にも関わらず、
受口(雌側)の底の面取り部の面取りが小さくないために(R0.3より大きいために)耐衝撃性を向上させたことを特徴とする。
より具体的には、本発明に係る排水集合管の(物自体の)構造上の特徴としては、図3および図12に示すとともに上述したように、(a)上部管140の雄側140MDと下部管110の雌側110Fとの接続部における雌側110Fのみならず、(b)上部管110の上管接続部143の雄側140MUと上管受口部材144の雌側144Fとの接続部における雌側144F、および、(c)上部管110の横枝管接続部142の雌側142Fと横枝管受口部材146の雄側146Mとの接続部における雌側142Fの(a)(b)(c)の3箇所の接続部のうちのいずれかが、(α)雌側の受口の底にR0.3よりも大きな面取り部を備えること、(β)雌側の受口の底にR0.3よりも大きな面取り部を備えることに加えて雌側の接着部の肉厚が10mmを超えないこと、である。また、本発明に係る排水集合管を構成する受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の先端外周の面取り(R)が小さいと、上述したように排水集合管が落下した際に破損することがあるので通常の排水集合管の受口部材においてはR3より大きいことが好ましい。本発明に係る排水集合管(自体)は、受口部材の先端外周の面取り(R)を過度に大きくない(R0.1≦R≦R3)にも関わらず耐衝撃性を向上させたことを特徴とする。たとえば、本発明に係る排水集合管を構成する受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の先端外周の面取り(R)はR1であって、通常の排水集合管を構成する受口部材の先端外周の面取り(R)(たとえば通常の場合にはR3よりも大きいためにR3は含まれないがここではR3とする)よりも相当に小さいにもかかわらず、排水集合管が落下した際に破損しないという耐衝撃性を備える。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
このような特徴(受口
(雌側)の底の面取り部の面取りが小さい箇所を備えない、および/または、受口
(雌側)部材の周方向の厚み
(肉厚)が過度に厚くない)を備えた本発明に係る排水集合管は、排水集合管の製造工場から施工現場までの輸送途中に梱包資材であるダンボール箱ごと落下しても排水集合管および排水集合管に含まれる樹脂製の受口部材が破損しないことが担保されている。このような耐衝撃性を備えた排水集合管が本発明に係る排水集合管である。すなわち、受口
(雌側)の底に上述した大きさの面取りを備えないで(受口
(雌側)の底にR0.3よりも大きな面取り部を備えて)耐衝撃性を備えた、および/または、
上部管140の下端が挿入される下部管110の受口における(図12(B)、(C)に示す)雌側の肉厚tおよび受口部材(横枝管受口部材146および上管受口部材144)の接着部
(受口部材が接着される部分)における雌側の周方向の厚み
(肉厚)は
、3mm以上10mm以下であるにも関わらず耐衝撃性を備えた排水集合管が、本発明に係る排水集合管である。なお、上述した樹脂成形品に入っているウエルドラインも排水集合管が落下した際に割れの起点となる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記排水集合管が樹脂製であることに起因して前記外層部材の取り付け箇所においてパーティングラインまたはウエルドラインによる0.01mm以上0.8mm以下の段差を前記排水集合管の外表面に備え、
前記外層部材の内径が前記排水集合管の外径よりも小さい締り嵌めではなく、
前記段差があることおよび前記締り嵌めではないことが、前記外層部材の止水性を阻害する要因となり、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記内周側部材を水に接触させないように物としての以下の<条件>を満足する止水性を、前記止水性を阻害する要因を物としての特徴として備えた排水集合管であるにも関わらず、備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられた排水集合管。
<条件>
第1の時間が経過するまで、第1水圧を前記上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、
第2の時間が経過するまで、前記第1水圧よりも低い第2水圧を前記下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間が経過するまで前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、
前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記外周側部材の上端および前記外周側部材の下端からの水の侵入がない。
【請求項2】
前記第1の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記上端から水面までの距離が前記第1水圧に対応する深さまで、前記上端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項3】
前記第1の時間は12時間であって、前記第1水圧は200mm水頭であることを特徴とする、請求項2に記載の排水集合管。
【請求項4】
前記第2の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を上方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下同じ状態で、前記下端から水面までの距離が前記第2水圧に対応する深さまで、前記下端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項5】
前記第2の時間は12時間であって、前記第2水圧は35mm水頭であることを特徴とする、請求項4に記載の排水集合管。
【請求項6】
前記第3の状態は、水を入れた散水器を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記下端の部分に散水器で散水することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項7】
前記第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3であることを特徴とする、請求項6に記載の排水集合管。
【請求項8】
水の侵入がないことは、前記状態の完了前後の前記排水集合管の重量の変化を確認すること、筒状の前記外層部材を前記排水集合管の軸芯に沿って切断して切り開いて前記内周側部材を確認すること、または、筒状の前記外層部材を筒状のままで前記排水集合管の軸芯に沿って抜いて前記内周側部材を確認することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項9】
前記外周側部材と前記内周側部材との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、前記水分検出素材が変性していないことを確認することを特徴とする、請求項8に記載の排水集合管。
【請求項10】
建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管の製造方法であって、前記排水集合管は外層部材を備え、前記製造方法は前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含み、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記製造方法は、
前記排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、前記樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、
前記樹脂製の部品を用いて前記排水集合管を組み立てる組み立てステップと、
前記内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、前記外周側部材を前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、
前記排水集合管が備える前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、
前記検査ステップは、
前記外周側部材の上端から水面までの距離が所定の深さまで前記上端の部分を含めて前記排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、
前記水浸ステップの完了後に、前記上端からの水の侵入がないことを確認することにより、前記止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含み、
前記所定の深さは200mm水頭に対応する深さであって、前記所定の時間は12時間であることを特徴とする、排水集合管の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記排水集合管が樹脂製であることに起因して前記外層部材の取り付け箇所においてパーティングラインまたはウエルドラインによる0.01mm以上0.8mm以下の段差を前記排水集合管の外表面に備え、
前記外層部材の内径が前記排水集合管の外径よりも小さい締り嵌めではなく、
前記段差があることおよび前記締り嵌めではないことが、前記外層部材の止水性を阻害する要因となり、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記内周側部材を水に接触させないように物としての以下の<条件>を満足する止水性を、前記止水性を阻害する要因を物としての特徴として備えた排水集合管であるにも関わらず、備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられた排水集合管。
<条件>
第1の時間である12時間が経過するまで、第1水圧である200mm水頭を前記外周側部材の上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、
第2の時間である12時間が経過するまで、前記第1水圧よりも低い第2水圧である35mm水頭を前記外周側部材の下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間である100秒間が経過するまで前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、
前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記上端および前記下端からの水の侵入がない。
【請求項2】
前記第1の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記上端から水面までの距離が前記第1水圧に対応する深さまで、前記上端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項3】
前記第1の時間は12時間であって、前記第1水圧は200mm水頭であることを特徴とする、請求項2に記載の排水集合管。
【請求項4】
前記第2の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を上方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下同じ状態で、前記下端から水面までの距離が前記第2水圧に対応する深さまで、前記下端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項5】
前記第2の時間は12時間であって、前記第2水圧は35mm水頭であることを特徴とする、請求項4に記載の排水集合管。
【請求項6】
前記第3の状態は、水を入れた散水器を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記下端の部分に散水器で散水することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項7】
前記第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3であることを特徴とする、請求項6に記載の排水集合管。
【請求項8】
水の侵入がないことは、前記状態の完了前後の前記排水集合管の重量の変化を確認すること、筒状の前記外層部材を前記排水集合管の軸芯に沿って切断して切り開いて前記内周側部材を確認すること、または、筒状の前記外層部材を筒状のままで前記排水集合管の軸芯に沿って抜いて前記内周側部材を確認することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項9】
前記外周側部材と前記内周側部材との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、前記水分検出素材が変性していないことを確認することを特徴とする、請求項8に記載の排水集合管。
【請求項10】
建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管の製造方法であって、前記排水集合管は外層部材を備え、前記製造方法は前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含み、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記製造方法は、
前記排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、前記樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、
前記樹脂製の部品を用いて前記排水集合管を組み立てる組み立てステップと、
前記内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、前記外周側部材を前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、
前記排水集合管が備える前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、
前記検査ステップは、
前記外周側部材の上端から水面までの距離が所定の深さまで前記上端の部分を含めて前記排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、
前記水浸ステップの完了後に、前記上端からの水の侵入がないことを確認することにより、前記止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含み、
前記所定の深さは200mm水頭に対応する深さであって、前記所定の時間は12時間であることを特徴とする、排水集合管の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの貫通孔に施工される樹脂製の排水集合管であって、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記排水集合管が樹脂製であることに起因して前記外層部材の取り付け箇所においてパーティングラインまたはウエルドラインによる0.01mm以上0.8mm以下の段差を前記排水集合管の外表面に備え、
前記外層部材の内径が前記排水集合管の外径よりも小さい締り嵌めではなく、
前記段差があることおよび前記締り嵌めではないことが、前記外層部材の止水性を阻害する要因となり、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記内周側部材を水に接触させないように物としての以下の<条件>を満足する止水性を、前記止水性を阻害する要因を物としての特徴として備えた排水集合管であるにも関わらず、備えて前記外周側部材が前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付けられた排水集合管。
<条件>
第1の時間である12時間が経過するまで、第1水圧である200mm水頭を前記外周側部材の上端の部分に付与する第1の状態を継続させて、
第2の時間である12時間が経過するまで、前記第1水圧よりも低い第2水圧である35mm水頭を前記外周側部材の下端の部分に付与する第2の状態を継続させて、または、第3の時間である100秒間が経過するまで1秒あたりの散水量は100cm
3
で前記下端の部分に散水する第3の状態を継続させて、
前記第1の状態および前記第2の状態の完了後に、前記第1の状態および前記第3の状態の完了後に、または、前記第1の状態、前記第2の状態および前記第3の状態の完了後に、前記上端および前記下端からの水の侵入がない。
【請求項2】
前記第1の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記上端から水面までの距離が前記第1水圧に対応する深さまで、前記上端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項3】
前記第1の時間は12時間であって、前記第1水圧は200mm水頭であることを特徴とする、請求項2に記載の排水集合管。
【請求項4】
前記第2の状態は、水を貯めた水槽を準備して、前記排水集合管の上部管を上方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下同じ状態で、前記下端から水面までの距離が前記第2水圧に対応する深さまで、前記下端の部分を含めて前記排水集合管を前記水槽に貯めた水に浸すことを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項5】
前記第2の時間は12時間であって、前記第2水圧は35mm水頭であることを特徴とする、請求項4に記載の排水集合管。
【請求項6】
前記第3の状態は、水を入れた散水器を準備して、前記排水集合管の上部管を下方にした状態であって前記床スラブに施工された後と上下逆の状態で、前記下端の部分に散水器で散水することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項7】
前記第3の時間は100秒間であって、1秒あたりの散水量は100cm3であることを特徴とする、請求項6に記載の排水集合管。
【請求項8】
水の侵入がないことは、前記状態の完了前後の前記排水集合管の重量の変化を確認すること、筒状の前記外層部材を前記排水集合管の軸芯に沿って切断して切り開いて前記内周側部材を確認すること、または、筒状の前記外層部材を筒状のままで前記排水集合管の軸芯に沿って抜いて前記内周側部材を確認することを特徴とする、請求項1に記載の排水集合管。
【請求項9】
前記外周側部材と前記内周側部材との間に水分または湿気により変性する水分検出素材を設けて、水の侵入がないことは、前記水分検出素材が変性していないことを確認することを特徴とする、請求項8に記載の排水集合管。
【請求項10】
建築物の床スラブの貫通孔に配置される樹脂製の排水集合管の製造方法であって、前記排水集合管は外層部材を備え、前記製造方法は前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップを含み、
前記排水集合管は、前記床スラブの上方に突出する上部管と、前記上部管の下方の下部管と、前記排水集合管における横枝管接続部の下から前記下部管までの外周に設けられた少なくとも2層からなる外層部材とを含み、
前記上部管は、上階から排水を流入させる上管を接続する上管接続部と、前記床スラブの上方において横枝管を接続する少なくとも1つの横枝管接続部とを含み、
前記外層部材は、内周側部材と、前記内周側部材の外周を覆うように前記排水集合管に取り付けられる外周側部材とを含み、
前記製造方法は、
前記排水集合管に含まれる樹脂製の部品を樹脂成形して準備する、または、前記樹脂製の部品を搬入して準備する樹脂準備ステップと、
前記樹脂製の部品を用いて前記排水集合管を組み立てる組み立てステップと、
前記内周側部材を水に接触させないという止水性を備えるように、前記外周側部材を前記排水集合管に直接または他部材を用いて取り付ける外層部材取り付けステップと、
前記排水集合管が備える前記外層部材の止水性を担保するための検査ステップとを含み、
前記検査ステップは、
前記外周側部材の上端から水面までの距離が所定の深さまで前記上端の部分を含めて前記排水集合管を所定の時間が経過するまで水に浸す水浸ステップと、
前記水浸ステップの完了後に、前記上端からの水の侵入がないことを確認することにより、前記止水性が良好であると判断する判断ステップと、を含み、
前記所定の深さは200mm水頭に対応する深さであって、前記所定の時間は12時間であることを特徴とする、排水集合管の製造方法。