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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178690
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241218BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20241218BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241218BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/695
G03B15/00 Q
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097023
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 成俊
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA13
5C122EA63
5C122EA65
5C122FH11
5C122FH14
5C122GD04
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】動物を適切に追従するための技術を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、撮像部で撮影した映像から動物の移動を検出する動物検出部112と、動物の移動に周期性があるか否かを判断する判断部113と、撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、動物の移動に追従する追従動作を実行させる駆動制御部114と、を備え、駆動制御部は、判断部113によって移動に周期性がないと判断された動物について、追従動作を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮影した映像から動物の移動を検出する動物検出部と、
前記動物の移動に周期性があるか否かを判断する判断部と、
前記撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、前記動物の移動に追従する追従動作を実行させる駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記判断部によって前記移動に周期性がないと判断された前記動物について、前記追従動作を実行する、
撮像装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記動物の移動に、横方向の周期性があるか否かを判断し、
前記駆動制御部は、前記判断部によって前記横方向の周期性がないと判断された前記動物について前記追従動作を実行する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮像部で撮影した映像から移動する物体を検出する移動物体検出部と、
前記移動物体検出部が検出した前記物体が動物であることを検出する動物検出部と、
前記物体の移動に周期性があるか否かを判断する判断部と、
前記撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、動物であると判断された前記物体の移動に追従する追従動作を実行させる駆動制御部と、
を備え、
前記動物検出部は、前記物体の移動に周期性があると判断された場合、前記物体が動物ではないと判断する、
撮像装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記物体の移動に、横方向の周期性があるか否かを判断し、
前記動物検出部は、前記物体の移動に、横方向の周期性があると判断された場合、前記物体が動物ではないと判断する、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像部で撮影した映像から動物の移動を検出するステップと、
前記動物の移動に周期性があるか否かを判断するステップと、
前記撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、前記動物の移動に追従する追従動作を実行させるステップと、
を備え、
前記追従動作を実行させるステップは、前記移動に周期性がないと判断された前記動物について、前記追従動作を実行する、
撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物を撮影するための撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野生動物の生態調査・研究などのために、カメラで撮影した映像から動物を検出し、検出した動物の移動に合わせて追従するために、パンチルト台を駆動させて撮影方向を変えながら当該動物を撮影する撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-154391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラで撮影した映像において、揺れている木や草など、動物ではないが動いている物体が存在している場合、その物体が動物であると誤認識してしまい、誤認識した物体に対する追従を行ってしまう場合がある。
【0005】
上記を鑑み、本発明の目的は、動物を適切に追従するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の撮像装置は、撮像部で撮影した映像から動物の移動を検出する動物検出部と、前記動物の移動に周期性があるか否かを判断する判断部と、前記撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、前記動物の移動に追従する追従動作を実行させる駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記判断部によって前記移動に周期性がないと判断された前記動物について、前記追従動作を実行する。
【0007】
本発明の他の態様の撮像装置は、撮像部で撮影した映像から移動する物体を検出する移動物体検出部と、前記移動物体検出部が検出した前記物体が動物であることを検出する動物検出部と、前記物体の移動に周期性があるか否かを判断する判断部と、前記撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、動物であると判断された前記物体の移動に追従する追従動作を実行させる駆動制御部と、を備え、前記動物検出部は、前記物体の移動に周期性があると判断された場合、前記物体が動物ではないと判断する。
【0008】
本発明のある態様の撮像方法は、撮像部で撮影した映像から動物の移動を検出するステップと、前記動物の移動に周期性があるか否かを判断するステップと、前記撮像部のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行するパンチルト台に、前記動物の移動に追従する追従動作を実行させるステップと、を備え、前記移動に周期性がないと判断された前記動物について、前記追従動作を実行する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本実施形態の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本実施形態の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動物を適切に追従するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る撮像部とパンチルト台との具体的な構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。
図4】撮像装置の基本的な追従動作について説明するための図である。
図5図5(a)~図5(d)は、第1実施形態の撮像装置における移動の周期性に基づく追従動作について説明するための図である。
図6】第1実施形態に係る撮像装置の処理を説明するためのフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。
図8図8(a)~図8(d)は、第2実施形態の撮像装置における移動の周期性に基づく追従動作について説明するための図である。
図9】第2実施形態に係る撮像装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る撮像装置1の構成例を示す図である。図1に示す例では、三脚40の台にパンチルト台20が取り付けられ、パンチルト台20の上に撮像部10が固定される。パンチルト台20は、電動のモータなどの駆動機構を有し、水平方向に回転することで、固定されている撮像部10をパンさせることができる。また、パンチルト台20は、垂直方向に、例えば±20°の範囲で回転することで、固定されている撮像部10をチルトさせることができる。撮像部10にはレンズユニット30が取り付けられている。
【0013】
図2は、第1実施形態に係る撮像部10とパンチルト台20との具体的な構成を示す図である。パンチルト台20は、パンチルト台20を水平方向に回転させるためのステッピングモータ又はサーボモータ(不図示)、パンチルト台20を垂直方向に回転させるためのステッピングモータ又はサーボモータ(不図示)、及び水平方向用のモータと垂直方向用のモータのそれぞれを駆動するためのパンチルト駆動部21を備える。パンチルト駆動部21は、撮像部10の制御部11から供給される制御信号をもとに、水平方向用のモータと垂直方向用のモータのそれぞれに流す電流を制御して、パンチルト台20のパン方向の動きとチルト方向の動きとを制御する。つまりパンチルト駆動部21は、撮像部10のパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行する。
【0014】
撮像部10は、制御部11、撮像センサ12、レンズ駆動部13及びレンズユニット30を備える。撮像部10は、可視光カメラ、近赤外線カメラ、及び遠赤外線カメラのいずれであってもよい。第1実施形態では、遠赤外線カメラを例に考える。レンズユニット30は、撮像センサ12の焦点距離を切り替える可変式のズームレンズを有する。レンズ駆動部13は、ズームレンズを撮像センサ12に近づけることで画角を広角側に切り替えることができ、ズームレンズを撮像センサ12から遠ざけることで画角を狭角側に切り替えることができる。つまりレンズ駆動部13は、撮像センサ12の焦点距離を調整する。
【0015】
撮像センサ12には、撮影する波長に応じて、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、InGaAs(インジウムガリウムヒ素)センサ、マイクロボロメータなどを使用することができる。撮像センサ12は、レンズユニット30を介して入射される光を電気的な映像信号に変換する。撮像センサ12は、30Hz又は60Hzのフレームレートの動画を撮像して、制御部11に出力する。
【0016】
図3は、第1実施形態に係る撮像部10の制御部11の構成例を示す図である。制御部11は、映像処理部111、動物検出部112、判断部113及び駆動制御部114を備える。図3及び後述の図7に示す各構成要素は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU、ROM、RAM、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ISP(Image Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェアなどのプログラムを利用できる。
【0017】
映像処理部111は、撮像センサ12から入力される映像に対して、階調補正、輪郭補正などの各種の映像処理を施して出力する。
【0018】
動物検出部112は、撮像部10で撮影した映像から動物を検出する。動物検出部112は、映像処理が施された映像信号に基づいて、観測対象とする動物、その動物の動きベクトル、および動物の移動速度を検出するための動物検出器を備える。動物検出器は例えば、観測対象とする動物の全身、顔、顔のパーツ(左目、右目、口、左耳、右耳など)毎に生成され、辞書データとして保持される。各動物検出器は、観測対象とする動物の映った多数の画像に含まれる動物の全身、顔、顔のパーツの特徴量をそれぞれ学習することで生成される。画像内の動物の全身、顔、顔のパーツは、学習前にアノテーションツールにより枠付けされる。特徴量として例えば、HOG(Histograms of Oriented Gradients)、Haar-like、LBP(Local Binary Patterns)などを使用することができる。本実施形態の動物検出部112は、動物検出器を用いて、公知の方法により撮像部10で撮影した映像中の物体について動物らしさを示すスコアを算出し、そのスコアが所定の閾値以上である物体を動物として検出する。動物検出部112は、動物らしさを示すスコアが最小値0.0から最大値1.0の範囲で示される場合、例えば、0.7が所定の閾値として設定される。動物検出部112で設定されている所定の閾値は、以下の説明においては、単に閾値と称することもある。
【0019】
動物検出部112は、入力される映像の各フレーム画像に基づいて、各動物検出器を用いて観測対象とする動物を探索する。フレーム画像内において観測対象とする動物が検出されると、検出した動物が後続するフレーム画像内において追従される。動物の追従には例えば、パーティクルフィルタ、ミーンシフト法、オプティカルフローなどを使用することができる。
【0020】
動物検出部112は、検出した動物の移動を検出する。例えば、動物検出部112は、検出した動物の追従処理において、動物の動きベクトルを検出することができる。動物検出部112は、背景差分法などの公知の技術を用いて動物の移動を検出することができる。例えば、動物検出部112は、背景差分法により抽出したエリアの輪郭を抽出することにより、動物の移動を検出することができる。
【0021】
判断部113は、各種判断処理を実行する。例えば、本実施形態の判断部113は、検出した動物の移動に周期性があるか否かを判断する。ここでの移動の周期性とは、例えば、特定の位置を原点として、おおよそ一定の時間間隔で原点に戻る移動を繰り返すことをいう。例えば、風で揺れる木々などは、上下又は左右に繰り返し移動するため、移動に周期性がある物体といえる。また、風車などの人工物は、羽根が繰り返し回転移動するため、移動に周期性がある物体といえる。一方、鹿や鳥などの動物は、不規則に移動するため、移動に周期性がない物体といえる。例えば、判断部113は、検出した物体がある方向に移動した後に移動を開始したときの位置とは異なる位置に留まっている場合、検出した物体の移動に周期性がないと判断する。例えば、判断部113は、検出した物体が一方向から他方向へと往復する移動を繰り返して移動を開始したときの位置と同じ位置に留まっている場合、検出した物体の移動に周期性があると判断する。
【0022】
本実施形態の判断部113は、動物の移動に横方向の周期性があるか否かを判断する。一般に、草や木などは横方向から風が吹きつけられて横方向の移動を繰り返すことが多いことから、このような周期的に動く物体は実際には動物ではない可能性が高いためである。
【0023】
駆動制御部114は、パンチルト駆動部21を駆動してパンチルト台20にパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行させることで、パンチルト台20の動作を制御する。駆動制御部114は、検出した動物の動きに追従する追従動作をパンチルト台20に実行させる。本実施形態の駆動制御部114は、判断部113によって検出した動物の移動に周期性があると判断された場合には、動物検出部112によって動物として検出された場合であっても、追従動作を実行しない。
【0024】
本実施形態の駆動制御部114は、判断部113によって検出した動物の移動に、横方向の周期性があると判断された場合には、動物検出部112によって動物として検出された場合であっても、追従動作を実行しないこととしてもよい。
【0025】
ここで、図4を用いて、撮像装置1の基本的な追従動作について説明する。図4では、紙面左右方向又は水平方向を横方向とし、紙面上下方向又は鉛直方向を縦方向とする。後述の図5及び図8も同様とする。
【0026】
図4は、撮像センサ12により撮影され、映像処理部111で映像処理が施された撮影映像の例を示している。例えば、図4に示すように、撮影映像に対して、所定範囲Rが、映像の中央部分を含む範囲であり、映像の端部に近い位置に設定されている。所定範囲Rは、映像の少なくとも横方向に定められればよい。図4の撮影映像P1では、動物Tが所定範囲R内に存在する状態から右方向に移動することで、動物Tの位置が所定範囲R外に含まれる位置へ移動している。このとき、動物検出部112は、検出した動物Tの所定範囲R外への移動を検出する。このような動物の移動に応答して、駆動制御部114は、動物Tの移動方向である右方向を撮影するようにパンチルト台20を動作させることで、動物Tを追従する。その結果、動物Tを追従するようにパンチルト台20を動作させた後の撮影映像P2のように、動物Tを所定範囲R内で再び撮影することができる。
【0027】
図5を用いて、第1実施形態の撮像装置1における移動の周期性に基づく追従動作について説明する。図5は、動物である物体O1と植物である物体O2とが撮影されている例を示す。
【0028】
動物検出部112は、図5(a)の撮影映像P3において2つの物体O1及び物体O2を検出し、検出した物体O1及び物体O2について、動物検出処理を行うことで、動物らしさを示すスコアを算出する。ここでは、物体O1及び物体O2のいずれも動物らしさを示すスコアが閾値以上であったものとする。このとき、動物検出部112は、物体O1を動物であると適切に判断している一方で、植物である物体O2を動物であると誤判断している。
【0029】
動物検出部112は、図5(b)の撮影映像P4において物体O1の左方向の移動及び物体O2の左右方向に往復する移動を検出する。このとき、判断部113は、物体O1及び物体O2の移動に周期性があるか否かを判断する。物体O1は左方向に移動した後に移動を開始したときの位置とは異なる位置に留まっているため、判断部113は物体O1の移動に周期性がないと判断する。物体O2は左右方向の移動を繰り返して移動を開始したときの位置と同じ位置に留まっているため、判断部113は物体O2の移動に周期性があると判断する。図5(b)の撮影映像P4において周期性がないと判断された物体O1が所定範囲R外に位置しているため、判断部113は物体O1が所定範囲R外に移動したと判断する。その結果、駆動制御部114は物体O1の追従を開始する。
【0030】
物体O1の追従を開始した結果、図5(c)の撮影映像P5において物体O1が所定範囲R内に位置している。一方、物体O1の追従の結果、図5(c)の撮影映像P5において物体O2は所定範囲R外に位置することになったが、駆動制御部114は、周期性があると判断された物体O2については追従を行わない。すなわち、駆動制御部114は、移動に周期性がある場合には、動物らしさを示すスコアが閾値以上であることから動物であると判断された場合であっても、検出した動物に対して追従動作を実行しない。
【0031】
物体O1の追従の結果、図5(d)の撮像映像P6において物体O1が所定範囲Rの中央に位置しているため、判断部113は物体O1が所定範囲R内に納まっていると判断する。その後、駆動制御部114は、物体O1の追従を終了する。
【0032】
図6を用いて、第1実施形態に係る撮像装置1の処理を説明する。図6は、第1実施形態に係る撮像装置1の制御部11の処理S10のフローチャートである。
【0033】
ステップS11で、映像処理部111は、撮像センサ12で撮像された映像を入力して、入力された映像に対して所定の映像処理を実施する。
【0034】
ステップS12で、動物検出部112は、撮像された映像のフレーム画像内において動物検出器を用いて物体を探索することにより、物体が検出されたか否かを判断する。物体が検出されない場合(ステップS12のNo)、処理S10はステップS20に進む。物体が検出された場合(ステップS12のYes)、処理S10はステップS13に進む。
【0035】
ステップS13で、動物検出部112は、動物検出器を用いて、公知の方法により検出した物体について動物らしさを示すスコアを算出する。
【0036】
ステップS14で、動物検出部112は、検出した物体について算出した動物らしさを示すスコアが閾値以上であるか否かを判断する。スコアが閾値以上ではない場合(ステップS14のNo)、処理S10はステップS20に進む。スコアが閾値以上である場合(ステップS14のYes)、動物検出部112は検出した物体を動物の可能性がある物体と判断し、処理S10はステップS15に進む。
【0037】
ステップS15で、動物検出部112は、検出した物体が移動を開始したか否かを判断する。判断部113は、例えば、ステップS14でスコアが閾値以上の物体、つまり動物の可能性があると判断された物体が画角内のいずれかの位置から画面端の方向へ向かって単位時間あたりに一定の距離移動した場合に、動物が移動を開始したと判断する。ここで画角とは、撮像部10の撮像範囲を示す角度である。動物が移動を開始していない場合(ステップS15のNo)、処理S10はステップS20に進む。動物が移動を開始した場合(ステップS15のYes)、処理S10はステップS16に進む。
【0038】
ステップS16で、判断部113は、動物の移動に周期性があるか否かを判断する。周期性がない場合(ステップS16のNo)、処理S10はステップS20に進む。周期性がある場合(ステップS16のYes)、処理S10はステップS17に進む。
【0039】
ステップS17で、判断部113は、映像において動物が所定範囲外に移動するか否かを判断する。例えば、判断部113は、動物が画面端の方向へ向かって移動し、所定範囲から出た場合、又は動物の移動速度を検知して動物が一定時間経過後に所定範囲から出そうな場合に、動物が所定範囲外に移動すると判断する。例えば、判断部113は、動物が動きを停止している場合、動物が所定範囲外に移動しないと判断する。動物が所定範囲外に移動する場合(ステップS17のYes)、処理S10はステップS18に進む。動物が所定範囲外に移動しない場合(ステップS17のNo)、処理S10はステップS20に進む。
【0040】
ステップS18で、駆動制御部114は、動物の移動方向に向けて、パンチルト駆動部21を駆動してパン動作及びチルト動作の少なくとも一方を実行させることでパンチルト台20に追従動作を実行させる。これにより、所定範囲外に移動した動物を所定範囲内に戻すことができる。例えば、駆動制御部114は、動物が所定範囲の中央に戻るようにパンチルト台20を動作させることが好ましい。
【0041】
ステップS19で、判断部113は、映像において動物が所定範囲内に納まっているか否かを判断する。例えば、判断部113は、動物が所定範囲内に存在する場合、又は動物が動きを停止させている場合、動物が所定範囲内に納まっていると判断する。動物が所定範囲内に納まっている場合(ステップS19のYes)、処理S10はステップS20に進む。動物が所定範囲内に納まっていない場合(ステップS19のNo)、処理S10はステップS18に戻り、動物が所定範囲内に納まるまでステップS18及びS19が繰り返し実行される。
【0042】
ステップS20で、判断部113は、撮影を終了するか否かを判断する。例えば、使用者が撮像装置1の操作ボタンを操作して撮影を終了することが選択された場合に、撮影を終了すると判断される。撮影を終了する場合(ステップS20のYes)、処理S10は終了する。撮影を終了しない場合(ステップS20のNo)、処理S10はステップS11に戻り、撮影が終了するまでステップS11~S20が繰り返し実行される。
【0043】
従来の撮像装置では、撮影対象の動物以外の移動物体(風で揺れる木々、風車などの人工物など)を動物と間違えて誤検出して、追従してしまう問題があった。
【0044】
これに対し、第1実施形態では、駆動制御部114は、判断部113によって動物の移動に周期性がないと判断された動物について、追従動作を実行する。検出した物体が一定周期で繰り返すような動きをしている場合、検知した物体が実際には動物ではない可能性が高いことから、検知した物体の移動の周期性を判断することにより、動物を誤検出した場合であっても、適切に動物の追従動作を実行できるようになる。
【0045】
第1実施形態では、駆動制御部114は、判断部113によって横方向の周期性がないと判断された動物について、追従動作を実行する。上述したように、草や木などは横方向から風が吹きつけられて横方向の移動を繰り返すことが多い。そのため、横方向の周期性の有無を判断することにより、動物を誤検出した場合であっても、より適切に動物の追従動作を実行できるようになる。
【0046】
第2実施形態
以下、第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0047】
図7は、第2実施形態に係る撮像部10の制御部11の構成例を示す図である。制御部11は、映像処理部111、動物検出部112、判断部113及び駆動制御部114に加えて、移動物体検出部115を備える。
【0048】
移動物体検出部115は、撮像部10で撮影した映像から移動する物体を検出する。移動物体検出部115は、映像処理が施された映像信号に基づいて、物体、その物体の動きベクトル、および物体の移動速度を検出するための物体検出器を備える。
【0049】
第2実施形態の動物検出部112は、検出した物体の移動に周期性があると判断された場合、検出した物体が動物ではないと判断する。
【0050】
図8を用いて、第2実施形態の撮像装置1における移動の周期性に基づく追従動作について説明する。図8は、動物である物体O1と植物である物体O2とが撮影されている例を示す。
【0051】
移動物体検出部115は、図8(a)の撮影映像P7において2つの物体O1及び物体O2を検出するとともに、物体O1の左方向の移動及び物体O2の左右方向に往復する移動を検出する)。動物検出部112は、動物検出器を用いて、検出した物体O1及び物体O2について動物らしさを示すスコアを算出する。ここでは、物体O1及び物体O2のいずれも動物らしさを示すスコアが閾値以上であったものとする。判断部113は、物体O1及び物体O2の移動に周期性があるか否かを判断する。動物検出部112は、判断部113が物体O1の移動に周期性がないと判断した場合、検出した物体O1を動物として判断する。また、動物検出部112は、判断部113が物体O2の移動に周期性があると判断した場合、検出した物体O2を動物ではないと判断する。すなわち、動物検出部112は、物体の移動に周期性がある場合には、動物らしさを示すスコアが閾値以上であっても、検出した物体が動物であるとは判断しない。
【0052】
図8(b)の撮影映像P8において動物と判断された物体O1が所定範囲R外に位置しているため、判断部113は物体O1が所定範囲R外に移動したと判断する。その結果、駆動制御部114は物体O1の追従を開始する。
【0053】
物体O1の追従を開始した結果、図8(c)の撮影映像P9において物体O1が所定範囲R内に位置している。一方、物体O1の追従の結果、図8(c)の撮影映像P9において物体O2は所定範囲R外に位置することになったが、物体O2は動物とは判断されていないため、駆動制御部114は、物体O2については追従を行わない。
【0054】
物体O1の追従の結果、図8(d)の撮像映像P10において物体O1が所定範囲Rの中央に位置しているため、判断部113は物体O1が所定範囲R内に納まっていると判断する。その後、駆動制御部114は、物体O1の追従を終了する。
【0055】
図9は、第2実施形態に係る制御部11の処理S30の処理のフローチャートである。図9のステップS31、S37~S40は、図6のステップS11、S17~S20と基本的に同様であるため、その説明を省略する。
【0056】
ステップS32で、移動物体検出部115は、撮像された映像のフレーム画像内において物体検出器を用いて物体を探索することにより、物体が検出されたか否かを判断する。物体が検出されない場合(ステップS32のNo)、処理S30はステップS40に進む。物体が検出された場合(ステップS32のYes)、処理S30はステップS33に進む。
【0057】
ステップS33で、移動物体検出部115は、物体が移動を開始したか否かを判断する。移動物体検出部115は例えば、検出した物体が画角内のいずれかの位置から画面端の方向へ向かって単位時間あたりに一定の距離移動した場合に、物体が移動を開始したと判断する。物体が移動を開始していない場合(ステップS33のNo)、処理S30はステップS40に進む。物体が移動を開始した場合(ステップS33のYes)、処理S30はステップS34に進む。
【0058】
ステップS34で、動物検出部112は、動物検出器を用いて、公知の方法により検出した物体について動物らしさを示すスコアを算出する。
【0059】
ステップS35で、動物検出部112は、検出した物体について算出した動物らしさを示すスコアが閾値以上であるか否かを判断する。スコアが閾値以上ではない場合(ステップS35のNo)、処理S30はステップS40に進む。スコアが閾値以上である場合(ステップS35のYes)、動物検出部112はスコアが閾値以上である物体を動物の可能性がある物体と判断し、処理S30はステップS36に進む。
【0060】
ステップS36で、判断部113は、検出した物体の移動に周期性があるか否かを判断する。周期性がない場合(ステップS36のNo)、動物検出部112は検出した物体を動物として判断し、処理S30はステップS37に進む。周期性がある場合(ステップS36のYes)、処理S30はステップS40に進む。
【0061】
その後、撮影が終了するまで、動物であると判断された物体について追従動作が実行される(ステップS37~S40)。
【0062】
第2実施形態では、動物検出部112は、物体の移動の周期性があると判断された場合、物体が動物ではないと判断する。本構成によると、動物の誤検出を抑制することができるため、適切に動物の追従動作を実行できるようになる。
【0063】
第2実施形態では、判断部113は、物体の移動に横方向の周期性がある否かを判断し、動物検出部112は、物体の移動に横方向の周期性がある場合には物体が動物ではないと判断してもよい。本構成によると、適切に動物の追従動作を実行できるようになる。
【0064】
以下、変形例を説明する。
【0065】
上述の実施形態では、パン動作とチルト動作の両方が可能なパンチルト台20を使用する例を説明した。この点、パンチルト台20の代わりに、パン動作のみが可能なパン台、又はチルト動作のみが可能なチルト台を使用してもよい。例えば、観測範囲の地形に凹凸が少なく、観測対象の動物が地面上を主に移動する動物である場合、パン台のみを使用することもある。
【0066】
撮像装置1は、三脚40を使用しない、天井、壁、ポールなどに取り付けられたPTZカメラで構成されてもよい。PTZカメラとは、カメラの向き、およびカメラのズーム倍率を変化させるPTZ(Pan-Tilt-Zoom)機構を備えるカメラのことである。
【0067】
実施形態では、判断部113は、動物の移動において横方向の周期性があるか否かを判断したが、動物の移動において縦方向の移動の周期性や回転方向の周期性があるか否かを判断してもよい。
【0068】
実施形態では、上記ステップS14及びS35において、撮影映像から抽出される特徴量と動物検出モデルとの対比によって動物らしさを示すスコアが閾値以上であるか否かが判断されたが、これに代えて又はこれに加えて、検知した物体が例えば以下の条件(1)及び(2)のいずれか1つ以上を満たすか否かが判断されてもよい。
(1)検知した物体の温度が観測対象の動物に対応する温度を基準とした所定温度範囲内にある(例えば、検知した物体の温度が37℃~38℃)。
(2)物体の移動速度が観測対象の動物に対応する移動速度を基準とした所定速度範囲内にある。
【0069】
上記実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0070】
1 撮像装置、 10 撮像部、 11 制御部、 111 映像処理部、 112 動物検出部、 113 判断部、 114 駆動制御部、 115 移動物体検出部、 12 撮像センサ、 13 レンズ駆動部、 20 パンチルト台、 21 パンチルト駆動部、 30 レンズユニット、 40 三脚。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9