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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178691
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】基板及び基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20241218BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20241218BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097024
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和之
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
【Fターム(参考)】
2H092GA17
2H092GA25
2H092GA30
2H092GA33
2H092GA35
2H092GA62
2H092HA03
2H092JA24
2H092MA18
2H092MA19
2H092MA20
2H092NA27
2H192BB12
2H192CB35
2H192CB37
2H192DA24
2H192EA22
2H192EA43
2H192GB33
2H192HA62
2H192JA33
(57)【要約】
【課題】高密度配置を実現する。
【解決手段】基板21は、ベース部21F2と、ベース部21F2のベース面21F2S上に配された膜部36であって、ベース面21F2Sに接する第1面36Aと、第1面36Aとは反対側に位置していて第1面36Aよりもベース面21F2Sに沿う第1方向についての寸法が大きい第2面36Bと、を有する膜部36と、ベース面21F2S上に、膜部36に対して隣り合って配されていて導電膜21F4からなる第1導電部37と、膜部36の第2面36B上に配されて導電膜21F4のうちの第1導電部37とは別の部分からなる第2導電部38と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部のベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面よりも前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が大きい第2面と、を有する膜部と、
前記ベース面上に、前記膜部に対して隣り合って配されていて導電膜からなる第1導電部と、
前記膜部の前記第2面上に配されて前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分からなる第2導電部と、を備える基板。
【請求項2】
前記第2導電部は、前記第2面側から前記ベース面側に向けて垂れ下がる垂下部を有しており、
前記第1導電部は、前記垂下部と平面に視て重畳する重畳部を有する請求項1記載の基板。
【請求項3】
前記膜部は、導電性材料からなる請求項1または請求項2記載の基板。
【請求項4】
配線及び画素電極を備えており、
前記導電膜は、透明電極材料からなり、
前記膜部は、金属材料からなり、
前記膜部及び前記第2導電部は、前記配線を構成し、
前記第1導電部は、前記画素電極を構成する請求項3記載の基板。
【請求項5】
前記膜部は、絶縁性材料からなる請求項1または請求項2記載の基板。
【請求項6】
前記膜部は、前記第1面を有していて第1材料からなる第1膜部と、前記第1膜部上に配され、前記第2面を有していて前記第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる第2膜部と、を有する請求項1または請求項2記載の基板。
【請求項7】
ベース部と、
前記ベース部のベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面に比べて前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる第2面と、前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第3面と、前記第3面とは前記第1方向について反対側に位置していて前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第4面と、を有する膜部と、
前記膜部の前記第3面上に配されて導電膜からなる第1導電部と、
前記膜部の前記第4面上に配されて前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分からなる第2導電部と、を備える基板。
【請求項8】
前記膜部と前記導電膜との間に配される絶縁膜を備えており、
前記膜部は、導電性材料からなり、
前記第1導電部及び前記第2導電部は、前記絶縁膜上に配される請求項7記載の基板。
【請求項9】
ベース部のベース面上に膜を成膜し、前記膜をパターニングして前記ベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面よりも前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が大きい第2面と、を有する膜部を設け、
前記膜部上に導電膜を成膜し、前記導電膜の一部によって前記ベース面上にて前記膜部に対して隣り合って配される第1導電部を設け、前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分によって前記膜部の前記第2面上に配される第2導電部を設ける基板の製造方法。
【請求項10】
前記膜として、第1材料からなる第1膜と、前記第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる第2膜と、を前記ベース面上に順次に成膜し、
前記第1膜及び前記第2膜をエッチングすることで、前記第1膜の残存部分によって前記第1面を有する第1膜部と、前記第2膜の残存部分によって前記第2面を有する第2膜部と、からなる前記膜部を設ける請求項9記載の基板の製造方法。
【請求項11】
ベース部のベース面上に膜を成膜し、前記膜をパターニングして前記ベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面と比べて前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる第2面と、前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第3面と、前記第3面とは前記第1方向について反対側に位置していて前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第4面と、を有する膜部を設け、
前記膜部上に導電膜を成膜し、前記導電膜をエッチングすることで、前記導電膜の一部によって前記膜部の前記第3面上に配される第1導電部を設け、前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分によって前記膜部の前記第4面上に配される第2導電部を設ける基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、基板及び基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置を構成する基板及びその製造方法の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、基板としてTFTアレイ基板が開示されている。特許文献1では、絶縁性基板にレジスト膜を形成し、ゲート配線およびゲート電極のパターンのレジスト膜を除去し、レジスト膜のパターンを用いて、ウェットエッチングによって絶縁性基板に溝を形成し、レジスト膜を残したまま金属膜をスパッタリングによって堆積し、レジスト膜を剥離することで金属膜をリフトオフして、ゲート配線およびゲート電極が絶縁性基板に埋め込まれた状態とすることで、ゲート配線およびゲート電極の平坦化を行い、溝とゲート配線およびゲート電極との間に絶縁性の液状材料を塗布して焼成し、平坦化膜を形成し、周知の方法を用いて、TFTアレイ基板を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-268343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のTFTアレイ基板においては、ゲート配線およびゲート電極が絶縁性基板の溝に埋め込まれた状態で設けられている。ゲート配線およびゲート電極が埋め込まれる溝は、レジスト膜のパターンを用いて絶縁性基板をウェットエッチングすることで設けられている。このレジスト膜のパターンに係る精細度は、レジスト膜をパターニングするための設備の性能に依存するものの、当該性能を向上させるのには限度がある。このため、ゲート配線をより高密度に配置することが求められる場合に対応に苦慮していた。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、高密度配置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる基板は、ベース部と、前記ベース部のベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面よりも前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が大きい第2面と、を有する膜部と、前記ベース面上に、前記膜部に対して隣り合って配されていて導電膜からなる第1導電部と、前記膜部の前記第2面上に配されて前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分からなる第2導電部と、を備える。
【0007】
(2)また、上記基板は、上記(1)に加え、前記第2導電部は、前記第2面側から前記ベース面側に向けて垂れ下がる垂下部を有しており、前記第1導電部は、前記垂下部と平面に視て重畳する重畳部を有してもよい。
【0008】
(3)また、上記基板は、上記(1)または上記(2)に加え、前記膜部は、導電性材料からなってもよい。
【0009】
(4)また、上基板記は、上記(3)に加え、配線及び画素電極を備えており、前記導電膜は、透明電極材料からなり、前記膜部は、金属材料からなり、前記膜部及び前記第2導電部は、前記配線を構成し、前記第1導電部は、前記画素電極を構成してもよい。
【0010】
(5)また、上記基板は、上記(1)または上記(2)に加え、前記膜部は、絶縁性材料からなってもよい。
【0011】
(6)また、上記基板は、上記(1)から上記(5)のいずれかに加え、前記膜部は、前記第1面を有していて第1材料からなる第1膜部と、前記第1膜部上に配され、前記第2面を有していて前記第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる第2膜部と、を有してもよい。
【0012】
(7)本明細書に記載の技術に関わる基板は、ベース部と、前記ベース部のベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面に比べて前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる第2面と、前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第3面と、前記第3面とは前記第1方向について反対側に位置していて前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第4面と、を有する膜部と、前記膜部の前記第3面上に配されて導電膜からなる第1導電部と、前記膜部の前記第4面上に配されて前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分からなる第2導電部と、を備える。
【0013】
(8)また、上記基板は、上記(7)に加え、前記膜部と前記導電膜との間に配される絶縁膜を備えており、前記膜部は、導電性材料からなり、前記第1導電部及び前記第2導電部は、前記絶縁膜上に配されてもよい。
【0014】
(9)本明細書に記載の技術に関わる基板の製造方法は、ベース部のベース面上に膜を成膜し、前記膜をパターニングして前記ベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面よりも前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が大きい第2面と、を有する膜部を設け、前記膜部上に導電膜を成膜し、前記導電膜の一部によって前記ベース面上にて前記膜部に対して隣り合って配される第1導電部を設け、前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分によって前記膜部の前記第2面上に配される第2導電部を設ける。
【0015】
(10)また、上記基板の製造方法は、上記(9)に加え、前記膜として、第1材料からなる第1膜と、前記第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる第2膜と、を前記ベース面上に順次に成膜し、前記第1膜及び前記第2膜をエッチングすることで、前記第1膜の残存部分によって前記第1面を有する第1膜部と、前記第2膜の残存部分によって前記第2面を有する第2膜部と、からなる前記膜部を設けてもよい。
【0016】
(11)本明細書に記載の技術に関わる基板の製造方法は、ベース部のベース面上に膜を成膜し、前記膜をパターニングして前記ベース面上に配された膜部であって、前記ベース面に接する第1面と、前記第1面とは反対側に位置していて前記第1面と比べて前記ベース面に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる第2面と、前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第3面と、前記第3面とは前記第1方向について反対側に位置していて前記第1面側から前記第2面側に向けて立ち上がる第4面と、を有する膜部を設け、前記膜部上に導電膜を成膜し、前記導電膜をエッチングすることで、前記導電膜の一部によって前記膜部の前記第3面上に配される第1導電部を設け、前記導電膜のうちの前記第1導電部とは別の部分によって前記膜部の前記第4面上に配される第2導電部を設ける。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載の技術によれば、高密度配置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係る液晶表示装置を構成する液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板などの平面図
図2】実施形態1に係る液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板などの断面図
図3】実施形態1に係る液晶パネルを構成するアレイ基板の電気的構成を示す回路図
図4】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域の断面図
図5】実施形態1に係る膜部、第1導電部及び第2導電部を示す断面図
図6】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第6工程にて、フォトマスクを介してレジスト膜を露光した状態を示す図5と同様の断面図
図7】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第6工程にて、現像したレジスト膜をマスクとして用いて第3金属膜をエッチングし始めた状態を示す状態を示す図5と同様の断面図
図8】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第6工程にて、第3金属膜のエッチングが完了した状態を示す図5と同様の断面図
図9】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第6工程にて、第1透明電極膜を成膜した状態を示す図5と同様の断面図
図10】実施形態2に係る膜部、第1導電部及び第2導電部を示す断面図
図11】実施形態2に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第6工程にて、現像したレジスト膜をマスクとして用いて第3金属膜をエッチングし始めた状態を示す状態を示す図10と同様の断面図
図12】実施形態2に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第6工程にて、第3金属膜のエッチングが完了した状態を示す図10と同様の断面図
図13】実施形態3に係る液晶表示装置を構成する液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板などの平面図
図14】実施形態3に係る液晶パネルのアレイ基板に備わる引き出し配線を示す平面図
図15】実施形態3に係る膜部、第1導電部及び第2導電部を示す断面図
図16】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第1工程にて、フォトマスクを介してレジスト膜を露光した状態を示す図15と同様の断面図
図17】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第1工程にて、現像したレジスト膜をマスクとして用いて第1金属膜をエッチングし始めた状態を示す状態を示す図15と同様の断面図
図18】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第1工程にて、第1金属膜のエッチングが完了した状態を示す図15と同様の断面図
図19】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第2工程を経てから、第3工程にて、第2金属膜を成膜した状態を示す図15と同様の断面図
図20】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程にて、第2金属膜をエッチングし始めた状態を示す状態を示す図15と同様の断面図
図21】実施形態4に係る膜部、第1導電部及び第2導電部を示す断面図
図22】実施形態5に係る膜部、第1導電部及び第2導電部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、表示機能及びタッチパネル機能(位置入力機能)を備える液晶表示装置10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、図2図4から図9の上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
【0020】
液晶表示装置10は、図1に示すように、横長の方形状をなしていて画像を表示可能な液晶パネル(表示装置、表示パネル)11と、液晶パネル11に対して表示に利用するための光を照射する外部光源であるバックライト装置(照明装置)と、を少なくとも備える。バックライト装置は、液晶パネル11に対して裏側(背面側)に配置され、白色の光(白色光)を発する光源(例えばLEDなど)や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材などを有する。液晶パネル11は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAとされる。これに対し、液晶パネル11の画面における表示領域AAを取り囲む額縁状の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域NAAとされる。
【0021】
液晶パネル11に関して図1に加えて図2を参照して詳しく説明する。液晶パネル11は、図1及び図2に示すように、一対の基板20,21を貼り合わせてなる。一対の基板20,21のうち表側(正面側)が対向基板(CF基板)20とされ、裏側(背面側)がアレイ基板(基板)21とされる。対向基板20及びアレイ基板21は、いずれもガラス基板20GS,21GSの内面側に各種の膜が積層形成されてなる。一対の基板20,21間には、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む液晶層(媒質層)22が介在して配される。一対の基板20,21の外周端部間には、液晶層22をシールするシール部23が介在して設けられている。シール部23は、液晶層22を取り囲むよう方形の枠状(無端環状)に形成されている。なお、両基板20,21の外面側には、それぞれ偏光板14が貼り付けられている。
【0022】
対向基板20は、図1及び図2に示すように、短辺寸法がアレイ基板21の短辺寸法よりも短い。対向基板20は、アレイ基板21に対して短辺方向(Y軸方向)についての一方の端部が揃う形で貼り合わせられている。従って、アレイ基板21のうち、短辺方向についての他方の端部は、対向基板20に対して側方に突き出して露出する露出部21Aとされる。この露出部21Aは、全域が非表示領域NAAであり、次述する表示機能やタッチパネル機能に係る各種信号を供給するためのドライバ(実装部品、信号供給部)12及びフレキシブル基板13が実装されている。
【0023】
図1及び図2に示されるドライバ12は、内部に駆動回路を有するLSIチップからなる。ドライバ12は、アレイ基板21の露出部21Aに対してCOG(Chip On Glass)実装されている。ドライバ12は、フレキシブル基板13によって伝送される各種信号を処理する。ドライバ12は、表示領域AAの配線(具体的には後述するソース配線27及びタッチ配線30)に対して各種信号(例えば画像信号、タッチ信号など)を供給するものである。フレキシブル基板13は、絶縁性及び可撓性を有する合成樹脂材料(例えばポリイミド系樹脂等)からなる基材上に多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板13は、図1及び図2に示すように、その一端側がアレイ基板21の露出部21Aに、他端側が外部の回路基板に、それぞれ接続されている。フレキシブル基板13は、露出部21Aのうち、ドライバ12に対してY軸方向について表示領域AA側とは反対側の端部に接続されている。
【0024】
本実施形態に係る液晶パネル11は、画像を表示する表示機能と、表示される画像に基づいて使用者が入力する位置(入力位置)を検出するタッチパネル機能と、を併有している。液晶パネル11には、タッチパネル機能を発揮するためのタッチパネルパターンが一体化(インセル化)されている。このタッチパネルパターンは、いわゆる投影型静電容量方式とされており、その検出方式が自己容量方式とされる。タッチパネルパターンは、図1に示すように、液晶パネル11の板面内においてマトリクス状に並んで配される複数のタッチ電極(位置検出電極)29から構成されている。タッチ電極29は、液晶パネル11の表示領域AAに配されている。従って、液晶パネル11の表示領域AAは、入力位置を検出可能なタッチ領域(位置入力領域)とほぼ一致しており、非表示領域NAAが入力位置を検出不能な非タッチ領域(非位置入力領域)とほぼ一致している。そして、使用者が視認する液晶パネル11の表示領域AAの画像に基づいて位置入力をしようとして液晶パネル11の表面(表示面)に導電体である指(位置入力体)を近づけると、その指とタッチ電極29との間で静電容量が形成されることになる。これにより、指の近くにあるタッチ電極29にて検出される静電容量には指が近づくのに伴って変化が生じ、指から遠くにあるタッチ電極29とは異なるものとなるので、それに基づいて入力位置を検出することが可能となる。なお、図1での図示以外にも、タッチ電極29の具体的な設置数は適宜に変更可能である。タッチ電極29は、平面に視て略方形状をなしており、一辺の寸法が数mm程度とされる。従って、タッチ電極29は、平面に視た大きさが後述する画素よりも遙かに大きく、X軸方向及びY軸方向について複数ずつの画素に跨る範囲に配置されている。
【0025】
次に、アレイ基板21における表示領域AAの構成について図3を用いて説明する。アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図3に示すように、TFT(薄膜トランジスタ、スイッチング素子)24及び画素電極25が少なくとも設けられている。TFT24及び画素電極25は、複数ずつX軸方向及びY軸方向に沿って間隔を空けて並んでマトリクス状(行列状)に設けられている。これらTFT24及び画素電極25の周りには、互いに直交(交差)するゲート配線(走査配線)26及びソース配線(画像配線、信号配線)27が配設されている。ゲート配線26は、X軸方向に沿って延在する。ソース配線27は、Y軸方向に沿って延在する。TFT24は、ゲート配線26に接続されるゲート電極24Aと、ソース配線27に接続されるソース電極24Bと、画素電極25に接続されるドレイン電極24Cと、ソース電極24B及びドレイン電極24Cに接続されて半導体材料からなる半導体部24Dと、を有する。そして、TFT24は、ゲート配線26によってゲート電極24Aに供給される走査信号に基づいて駆動される。すると、ドライバ12からソース配線27によってソース電極24Bに供給される画像信号(データ信号)に係る電位が、半導体部24Dを介してドレイン電極24Cに供給される。その結果、画素電極25は、画像信号に係る電位に充電される。画素電極25は、ゲート配線26とソース配線27とに取り囲まれた領域に配されており、平面形状が例えば略長方形をなしている。
【0026】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図3に示すように、全ての画素電極25と重畳する形で共通電極28が形成されている。共通電極28は、表示領域AAのほぼ全域にわたって延在している。共通電極28のうち、各画素電極25と重畳する部分には、各画素電極25の長辺方向に沿って延在するスリットが複数ずつ開口形成されている。なお、図3では、スリットの図示を省略している。画素電極25が充電されるのに伴って互いに重畳する画素電極25と共通電極28との間に電位差が生じると、スリットの開口縁と画素電極25との間には、アレイ基板21の板面に沿う成分に加えて、アレイ基板21の板面に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が生じる。従って、このフリンジ電界を利用することで液晶層22に含まれる液晶分子の配向状態を制御することができる。つまり、本実施形態に係る液晶パネル11は、動作モードがFFS(Fringe Field Switching)モードとされている。そして、この共通電極28は、既述したタッチ電極29を構成している。共通電極28は、既述したスリットに加えて、隣り合うタッチ電極29の間を仕切る仕切スリットを有する。この仕切スリットによって共通電極28は、碁盤目状に分割されて相互が電気的に独立した複数のタッチ電極29からなる。
【0027】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図3に示すように、複数のタッチ電極29に対して接続される複数のタッチ配線(配線、位置検出配線)30が設けられている。タッチ配線30は、Y軸方向に沿って延在し、ソース配線27に並行している。複数のタッチ配線30は、複数のタッチ電極29に対して個別に接続されている。タッチ配線30には、ドライバ12から表示機能に係る共通信号(基準電位信号)と、タッチ機能に係るタッチ信号(位置検出信号)と、が異なるタイミングでもって(時分割して)供給されるようになっている。ドライバ12からタッチ配線30に共通信号が供給されるタイミングが表示期間であり、ドライバ12からタッチ配線30にタッチ信号が供給されるタイミングがセンシング期間(位置検出期間)である。表示期間では、共通信号が全てのタッチ配線30に対して供給されるので、全てのタッチ電極29が基準電位となって共通電極28として機能する。このように、本実施形態に係る液晶表示装置10は、表示機能及びタッチパネル機能を備えるとともに高精細化されたものであるため、ドライバ12が複数実装されるとともにそれら複数のドライバ12の高機能化が図られている。
【0028】
対向基板20における内面側の表示領域AAには、図4に示すように、青色(B)、緑色(G)及び赤色(R)を呈する3色のカラーフィルタ32が設けられている。互いに異なる色を呈する複数のカラーフィルタ32は、ゲート配線26の延在方向(X軸方向)に隣り合うよう並んで配される。互いに異なる色を呈する複数のカラーフィルタ32は、ソース配線27の延在方向(Y軸方向)に沿って延在している。このように、互いに異なる色を呈する複数のカラーフィルタ32は、全体としてストライプ状に配列されている。これらのカラーフィルタ32は、アレイ基板21側の各画素電極25と平面に視て重畳する配置とされている。この液晶パネル11においては、X軸方向に沿って並ぶ赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ32と、各カラーフィルタ32と対向する3つの画素電極25と、が3色の画素をそれぞれ構成している。そして、この液晶パネル11においては、X軸方向に沿って隣り合う赤色、緑色及び青色の3色の画素によって所定の階調のカラー表示を可能な表示画素が構成されている。また、対向基板20には、互いに異なる色を呈する複数のカラーフィルタ32を仕切るよう、ブラックマトリクス33が設けられている。ブラックマトリクス33は、平面に視て格子状をなしており、複数ずつのゲート配線26及びソース配線27と重畳する。カラーフィルタ32上(液晶層22側)には、平坦化のために対向基板20のほぼ全域にわたってベタ状に配されるオーバーコート膜34が設けられている。オーバーコート膜34上には、液晶層22に含まれる液晶分子を配向させるための配向膜35が設けられている。
【0029】
ここで、アレイ基板21の内面側に積層形成された各種の膜について主に図4を参照しつつ説明する。アレイ基板21には、図4に示すように、下層側(ガラス基板21GS側)から順に第1金属膜、ゲート絶縁膜21F1、半導体膜、第2金属膜、第1層間絶縁膜(ベース部)21F2、第3金属膜(膜)21F3、第1透明電極膜(導電膜)21F4、第2層間絶縁膜(絶縁膜)21F5、第2透明電極膜、配向膜31が積層形成されている。このうち、第3金属膜21F3に関しては図7に図示されており、第1透明電極膜21F4に関しては図9に図示されている。第1金属膜、第2金属膜及び第3金属膜21F3は、それぞれCu(銅)、Ti(チタン)、AL(アルミニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)等の中から選択される1種類の金属材料からなる単層膜または異なる種類の金属材料からなる積層膜や合金とされることで導電性及び遮光性を有している。このうち、第3金属膜21F3は、例えばCu/Ti、Ti/Al/Ti、Mo/Al/Mo等のような積層膜によって構成されてもよい。第1金属膜は、ゲート配線26やTFT24のゲート電極24Aなどを構成する。第2金属膜は、ソース配線27、TFT24のソース電極24B及びドレイン電極24Cなどを構成する。第3金属膜21F3は、タッチ配線30の一部などを構成する。第3金属膜21F3の膜厚は、第1透明電極膜21F4の膜厚よりも大きい。半導体膜は、材料として例えば酸化物半導体、アモルファスシリコン等を用いた薄膜からなり、TFT24の半導体部24Dなどを構成する。第1透明電極膜21F4及び第2透明電極膜は、透明電極材料(例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)など)からなる。第1透明電極膜21F4は、タッチ配線30の一部や画素電極25などを構成する。第2透明電極膜は、共通電極28(タッチ電極29)などを構成する。配向膜31は、ポリアミドなどからなる。配向膜31は、アレイ基板21の最内面に位置し、液晶層22に含まれる液晶分子を配向させる。
【0030】
ゲート絶縁膜21F1、第1層間絶縁膜21F2及び第2層間絶縁膜21F5は、それぞれSiN(窒化ケイ素)、SiO(酸化ケイ素)、SiO(酸窒化ケイ素)等の無機材料からなる。ゲート絶縁膜21F1は、下層側の第1金属膜と、上層側の半導体膜及び第2金属膜と、を絶縁状態に保つ。例えば、第1金属膜からなるゲート配線26と、第2金属膜からなるソース配線27と、の交差箇所は、ゲート絶縁膜21F1により絶縁状態に保たれる。また、第1金属膜からなるゲート電極24Aと、半導体膜からなる半導体部24Dと、の重畳箇所は、ゲート絶縁膜21F1により絶縁状態に保たれる。第1層間絶縁膜21F2は、下層側の半導体膜及び第2金属膜と、上層側の第3金属膜21F3及び第1透明電極膜21F4と、を絶縁状態に保つ。第3金属膜21F3及び第1透明電極膜21F4からなるタッチ配線30は、第2金属膜からなるソース配線27に対して第1層間絶縁膜21F2を介して重畳して配されている。互いに重畳するタッチ配線30及びソース配線27は、第1層間絶縁膜21F2により絶縁状態に保たれる。第2層間絶縁膜21F5は、下層側の第3金属膜21F3及び第1透明電極膜21F4と、上層側の第2透明電極膜と、を絶縁状態に保つ。例えば、第1透明電極膜21F4を含むタッチ配線30及び画素電極25と、第2透明電極膜からなる共通電極28(タッチ電極29)と、の重畳箇所は、第2層間絶縁膜21F5によって絶縁状態に保たれる。
【0031】
上記したように、本実施形態に係るアレイ基板21では、図7及び図9に示すように、第1層間絶縁膜21F2の上面であるベース面21F2S上に第3金属膜21F3と第1透明電極膜21F4とが絶縁膜を介することなく連続して設けられている。そして、図5に示すように、第3金属膜21F3によってベース面21F2S上に配される膜部36が構成されるのに対し、第1透明電極膜21F4によってベース面21F2S上に配される第1導電部37と、膜部36上に配される第2導電部38と、が構成される。互いに重なり合う膜部36及び第2導電部38によってタッチ配線30が構成されるのに対し、第1導電部37によって画素電極25が構成される。タッチ配線30は、金属材料からなる膜部36と、透明電極材料からなる第2導電部38と、の積層構造となっていることから、仮に膜部36と第2導電部38とのうちのいずれか一方のみによってタッチ配線を構成した場合に比べると、導電性が高くて配線抵抗が低くなっている。また、タッチ配線30は、次述する第1導電部37(画素電極25)に比べると、低抵抗になっている。これにより、タッチ配線30により伝送されるタッチ信号や共通信号に鈍りが生じ難くなる。一方、画素電極25は、透明電極材料からなる第1導電部37によって構成されているから、画素電極25の透光性を担保することができるとともに、画素電極25を充電して共通電極28との間に電界を発生させることができる。
【0032】
第3金属膜21F3からなる膜部36は、図5に示すように、X軸方向(第1方向)についての断面形状が、逆テーパ形状(逆台形状)とされている。このX軸方向は、第1層間絶縁膜21F2のベース面21F2Sに沿い且つタッチ配線30の延在方向(Y軸方向)と直交(交差)する方向、つまりタッチ配線30の幅方向である。膜部36は、X軸方向についての寸法(幅寸法)が、Z軸方向についてベース面21F2S側からその反対側に向けて連続的に漸次増加する構成とされる。膜部36は、Z軸方向についての寸法(高さ寸法)が、後述する第1導電部37におけるZ軸方向についての寸法よりも大きい。また、膜部36は、X軸方向についての断面形状が対称形状とされる。
【0033】
膜部36は、図5に示すように、第1層間絶縁膜21F2のベース面21F2Sに接する第1面36Aと、第1面36Aとは反対側に位置する第2面36Bと、第1面36Aと第2面36Bとの間の少なくとも一部を繋ぐ一対の第3面36Cと、を有する。第1面36Aは、膜部36の底面であると言え、接するベース面21F2SとZ軸方向について同じ高さとなっている。第2面36Bは、膜部36の頂面であると言え、第1面36A及びベース面21F2Sよりも膜部36の厚み分高い配置とされる。第3面36Cは、膜部36の側面であると言える。第1面36A及び第2面36Bは、X軸方向についての各中央位置が一致している。第2面36Bは、第1面36AよりもX軸方向についての寸法が大きい。第3面36Cは、裏側、つまりベース面21F2S側を指向するよう配されている。第3面36Cは、X軸方向に対して傾いた傾斜面とされる。一対の第3面36Cは、X軸方向に対してなす傾斜角度が同一とされる。第3面36CがX軸方向に対してなす内角は、鈍角とされる。
【0034】
第1透明電極膜21F4からなる第1導電部37は、図5に示すように、ベース面21F2S上にて上記した膜部36に対してX軸方向について隣り合って配されている。第1導電部37は、膜部36をX軸方向について両側から挟むよう少なくとも2つが配されている。これに対し、第2導電部38は、第1透明電極膜21F4のうちの第1導電部37とは別の部分からなり、膜部36の第2面36B上に配されている。第2導電部38は、膜部36の高さ分、ベース面21F2SよりもZ軸方向について表側に離れた位置(高い位置)に配されている。ここで、膜部36の高さが第3金属膜21F3の膜厚と一致するのに対し、第1導電部37の厚さが第1透明電極膜21F4の膜厚と一致していることから、膜部36の高さは、第1導電部37の厚さよりも大きい。そして、膜部36は、第2面36Bが第1面36AよりもX軸方向についての寸法が大きいことから、製造に際して第1透明電極膜21F4を成膜すると、第1導電部37と第2導電部38との間には、自ずと断切れが生じるようになっている。これにより、第1導電部37と第2導電部38との電気的な独立性を担保することができる。本実施形態では、従来のように、第1透明電極膜21F4上にレジスト膜を成膜し、そのレジスト膜をパターニングする必要がないことから、レジスト膜をパターニングするための設備(露光装置等)の性能に依らず、第1導電部37及び第2導電部38の配置密度を高めることが可能とされる。このように、本実施形態によれば、第1導電部37及び第2導電部38を従来よりも高密度に配置することができる。
【0035】
第2導電部38は、図5に示すように、膜部36の第2面36B側からベース面21F2S側に向けて垂れ下がる垂下部38Aを有する。垂下部38Aは、第2導電部38におけるX軸方向についての両端位置に一対備わる。一対の垂下部38Aは、膜部36におけるX軸方向についての両端部に対してX軸方向についてそれぞれ外側に位置している。垂下部38Aは、その下端位置が、Z軸方向について第2面36Bとベース面21F2Sとの間となる配置とされる。これに対し、第1導電部37は、垂下部38Aと平面に視て重畳する重畳部37Aを有する。重畳部37Aは、第1導電部37におけるX軸方向についての両端位置に一対備わる。重畳部37Aは、少なくとも垂下部38Aに対して直下となる位置に配されるとともに、垂下部38Aの下端部に対してZ軸方向について間隔を空けて対向している。重畳部37Aは、一部が、膜部36のうちのX軸方向についての端部と平面に視て重畳しており、第3面36Cの一部(X軸方向についての端部)に対して直下に位置している。このように、第1導電部37及び第2導電部38は、平面に視て隙間無く配置されている。これにより、第1導電部37及び第2導電部38の配置密度をより高くすることができる。
【0036】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて液晶パネル11の製造方法を説明する。液晶パネル11の製造方法には、対向基板20を製造する対向基板製造工程(CF基板製造工程)と、アレイ基板21を製造するアレイ基板製造工程(基板製造工程)と、製造された対向基板20とアレイ基板21とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、が含まれている。以下では、このうちのアレイ基板製造工程について説明する。
【0037】
アレイ基板製造工程には、ゲート配線26及びゲート電極24A等を形成する第1工程と、ゲート絶縁膜21F1を形成する第2工程と、半導体部24D等を形成する第3工程と、ソース配線27、ソース電極24B及びドレイン電極24C等形成する第4工程と、第1層間絶縁膜21F2を形成する第5工程と、タッチ配線30及び画素電極25等を形成する第6工程と、第2層間絶縁膜21F5を形成する第7工程と、共通電極28(タッチ電極29)等を形成する第8工程と、配向膜31を形成する第9工程と、が少なくとも含まれる。このうちの第6工程及び第7工程に関して図5から図9を用いて説明する。
【0038】
第6工程では、図6に示すように、第1層間絶縁膜21F2のベース面21F2S上に第3金属膜21F3をベタ状に成膜し、さらに第3金属膜21F3上にレジスト膜PR1をベタ状に成膜する。その後、露光装置と、フォトマスクPM1と、を用いてレジスト膜PR1を露光する。第6工程で用いられるレジスト膜PR1は、ポジ型の感光性レジスト材料からなる。ここで、フォトマスクPM1について説明する。フォトマスクPM1は、十分に高い透光性を有する透明な基材PM1Aと、基材PM1Aの主面に形成される遮光膜PM1Bと、を備える。遮光膜PM1Bは、露光装置の光源からの露光光を遮光し、部分的な開口PM1Cを有する。フォトマスクPM1は、遮光膜PM1Bの形成範囲が光を遮る遮光領域とされ、開口PM1Cの形成範囲(遮光膜PM1Bの非形成範囲)が光を透過する透過領域とされている。遮光膜PM1Bは、複数のタッチ配線30と重畳するよう設けられている。
【0039】
第6工程において、露光装置の光源から発せられた露光光が、上記のような構成のフォトマスクPM1を介してレジスト膜PR1に対して照射されると、レジスト膜PR1は、遮光膜PM1Bと重畳する範囲が非露光とされ、開口PM1Cと重畳する範囲が選択的に露光される。露光に続いて現像が行われると、図7に示すように、ポジ型のレジスト膜PR1のうちの露光部分は、現像液によって溶解される速度、つまり溶解速度が早いので除去される。一方、非露光部分については溶解速度が遅くなっていて残存することになる。
【0040】
以上のようにしてレジスト膜PR1をパターニングしたら、図7に示すように、レジスト膜PR1をマスクとして用いて第3金属膜21F3をエッチングする。このとき、エッチング液を用いるウェットエッチングと、真空放電プラズマを用いるドライエッチングと、のいずれかを行うことができる。第3金属膜21F3をエッチングすることで第3金属膜21F3がパターニングされると、図8に示すように、X軸方向についての断面形状が逆テーパ形状となる膜部36が設けられる。このような逆テーパ形状の膜部36をウェットエッチングによって形成するには、例えば第3金属膜21F3の金属材料に対して染み込み易いエッチング液を選択して用いればよい。このような逆テーパ形状の膜部36をドライエッチングによって形成するには、仮に膜部を順テーパ形状とする場合に比べて、反応ガスに含有させる酸素系ガスの量を多くするなどし、反応ガスの総流量を増加させればよい。このようにして設けられた逆テーパ形状の膜部36は、第1層間絶縁膜21F2のベース面21F2Sに接する第1面36Aと、第1面36Aとは反対側に位置していて第1面36AよりもX軸方向についての寸法が大きい第2面36Bと、ベース面21F2Sを指向する第3面36Cと、を有する。その後、膜部36上に残存したレジスト膜PR1を剥離する。
【0041】
第6工程では、図9に示すように、膜部36及びベース面21F2S上に第1透明電極膜21F4をベタ状に成膜する。成膜された第1透明電極膜21F4は、膜部36の第2面36B上に配される部分と、ベース面21F2S上に配される部分と、を含むことになる。第1透明電極膜21F4のうちの膜部36の第2面36B上に配される部分のうち、膜部36におけるX軸方向についての両端部からはみ出した部分がそれぞれ垂れ下がる状態となるとともに、それぞれの下端部がベース面21F2S上に配される部分から物理的に切り離された状態となる。つまり、第1透明電極膜21F4のうちの膜部36の第2面36B上に配される部分である第2導電部38と、ベース面21F2S上に配される部分である第1導電部37と、の間には、膜部36による段差に起因した断切れが生じる。これにより、第1導電部37と第2導電部38との電気的な独立性を担保することができる。このように、第1透明電極膜21F4からなる第1導電部37及び第2導電部38を設けるに際し、従来のようにレジスト膜のパターニングを行う必要がないから、第1導電部37及び第2導電部38の密度が、従来のようにレジスト膜のパターンに依存することがない。従って、本実施形態によれば、第1導電部37及び第2導電部38の配置密度を従来よりも高めることができる。
【0042】
以上のようにして第6工程を終えた後に第7工程を行い、第2層間絶縁膜21F5を成膜する。すると、図5に示すように、第2層間絶縁膜21F5によって第1導電部37及び第2導電部38が覆われるとともに、第2導電部38の垂下部38Aと、第1導電部37の重畳部37Aと、の間に空けられた隙間が充填される。これにより、第1導電部37と第2導電部38との絶縁性が担保される。
【0043】
以上説明したように本実施形態のアレイ基板(基板)21は、第1層間絶縁膜(ベース部)21F2と、第1層間絶縁膜21F2のベース面21F2S上に配された膜部36であって、ベース面21F2Sに接する第1面36Aと、第1面36Aとは反対側に位置していて第1面36Aよりもベース面21F2Sに沿う第1方向についての寸法が大きい第2面36Bと、を有する膜部36と、ベース面21F2S上に、膜部36に対して隣り合って配されていて第1透明電極膜(導電膜)21F4からなる第1導電部37と、膜部36の第2面36B上に配されて第1透明電極膜21F4のうちの第1導電部37とは別の部分からなる第2導電部38と、を備える。
【0044】
膜部36における第2面36B上に位置する第2導電部38は、ベース面21F2S上に位置する第1導電部37に対して膜部36の分、ベース面21F2Sよりも高い配置となっている。その上で、膜部36は、第2面36Bが第1面36Aよりもベース面21F2Sに沿う第1方向についての寸法が大きいことから、第1透明電極膜21F4のうちの互いに別の部分からなる第1導電部37と第2導電部38との間には、断切れが生じる。これにより、第1導電部37と第2導電部38との電気的な独立性を担保することができる。このように、第1導電部37及び第2導電部38の密度が、従来のようにレジスト膜のパターンに依存することがないので、従来よりも高密度配置を実現することができる。
【0045】
また、第2導電部38は、第2面36B側からベース面21F2S側に向けて垂れ下がる垂下部38Aを有しており、第1導電部37は、垂下部38Aと平面に視て重畳する重畳部37Aを有する。このようにすれば、第1導電部37と第2導電部38とが平面に視て隙間無く配置される。これにより、第1導電部37及び第2導電部38の配置密度をより高くすることができる。
【0046】
また、膜部36は、導電性材料からなる。このようにすれば、膜部36及び第2導電部38が互いに導通するので、第1導電部37に比べると、低抵抗になる。従って、膜部36及び第2導電部38によって例えば信号を伝送する場合、信号に鈍りが生じ難くなる。
【0047】
また、タッチ配線(配線)30及び画素電極25を備えており、第1透明電極膜21F4は、透明電極材料からなり、膜部36は、金属材料からなり、膜部36及び第2導電部38は、タッチ配線30を構成し、第1導電部37は、画素電極25を構成する。透明電極材料からなる第1導電部37によって画素電極25が構成されるので、画素電極25の透光性を担保することができるとともに、画素電極25を充電して電界を発生させることができる。金属材料からなる膜部36と、透明電極材料からなる第2導電部38と、によってタッチ配線30が構成されるので、タッチ配線30によって伝送される信号に鈍りが生じ難くなる。
【0048】
また、本実施形態のアレイ基板21の製造方法は、第1層間絶縁膜21F2のベース面21F2S上に第3金属膜21F3を成膜し、第3金属膜21F3をパターニングしてベース面21F2S上に配された膜部36であって、ベース面21F2Sに接する第1面36Aと、第1面36Aとは反対側に位置していて第1面36Aよりもベース面21F2Sに沿う第1方向についての寸法が大きい第2面36Bと、を有する膜部36を設け、膜部36上に第1透明電極膜21F4を成膜し、第1透明電極膜21F4の一部によってベース面21F2S上にて膜部36に対して隣り合って配される第1導電部37を設け、第1透明電極膜21F4のうちの第1導電部37とは別の部分によって膜部36の第2面36B上に配される第2導電部38を設ける。
【0049】
ベース面21F2S上に成膜された第3金属膜21F3をパターニングして設けられる膜部36は、第2面36Bが第1面36Aよりもベース面21F2Sに沿う第1方向についての寸法が大きい。そして、膜部36上に第1透明電極膜21F4を成膜すると、第1透明電極膜21F4のうち、膜部36の第2面36B上に配される部分である第2導電部38と、ベース面21F2S上に配される部分である第1導電部37と、の間には、断切れが生じる。これにより、第1導電部37と第2導電部38との電気的な独立性を担保することができる。このように、第1導電部37及び第2導電部38の密度が、従来のようにレジスト膜のパターンに依存することがないので、従来よりも高密度配置を実現することができる。
【0050】
<実施形態2>
実施形態2を図10から図12によって説明する。この実施形態2では、膜部136の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0051】
本実施形態に係る膜部136は、図10に示すように、互いに材料が異なる第1膜部39及び第2膜部40の積層構造とされる。第1膜部39は、ベース面121F2Sに接する第1面136Aを有していて第1材料からなる。第1膜部39の第1材料としては、例えばCuやAl等が用いられる。また、第1膜部39は、第3面136Cの一部(第1面136Aに連なる部分)を有する。第2膜部40は、第1膜部39上に配され、第2面136Bを有していて第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる。アレイ基板121の製造方法に含まれる第6工程にて第3金属膜121F3(図11を参照)をエッチングする際のエッチングレートに関して、第2膜部40の第2材料は、第1膜部39の第1材料よりも低い。第2膜部40の第2材料としては、例えばITOやTi等が用いられている。第2膜部40は、第1膜部39よりもZ軸方向についての寸法が大きくてもよい。また、第2膜部40は、第3面136Cの一部(第2面136Bに連なる部分)を有する。このようにすれば、第6工程において第3金属膜121F3がエッチングされると、第1膜部39の第1材料が多く除去されるのに対し、第2膜部40の第2材料が多く残存することで、ベース面121F2Sを指向する第3面136Cを有する膜部136を容易に設けることができる。
【0052】
次に、アレイ基板121の製造方法に含まれる第6工程について詳しく説明する。第6工程では、図11に示すように、ベース面121F2S上に配される上記した第1材料からなる第1膜121F3Aと、第1膜121F3A上に配されて上記した第2材料からなる第2膜121F3Bと、を順次に成膜することで、第3金属膜121F3が成膜される。ここで、次述するエッチングとしてウェットエッチングを行う場合は、第1膜121F3Aの第1材料として、例えばCuが用いられ、Cuよりもエッチングレートが低い第2膜121F3Bの材料として、例えばITOが用いられることで、第3金属膜121F3は、例えばITO/Cuの積層膜とされる。一方、エッチングとしてドライエッチングを行う場合は、第1膜121F3Aの第1材料として、例えばAlが用いられ、Alよりもエッチングレートが低い第2膜121F3Bの材料として、例えばTiが用いられることで、第3金属膜121F3は、例えばTi/Alの積層膜とされる。
【0053】
第6工程において、第3金属膜121F3をエッチングすると、図12に示すように、第1膜121F3A及び第2膜121F3Bがそれぞれ選択的に除去されるとともに、第1膜121F3Aの残存部分によって第1膜部39が設けられ、第2膜121F3Bの残存部分によって第2膜部40が設けられる。このとき、第2膜部40よりもエッチングレートが高い第1膜部39が多く除去されるのに対し、第1膜部39の第1材料よりもエッチングレートが低い第2膜部40が多く残存する。これにより、第2面136BよりもX軸方向についての寸法が小さい第1面136Aを有する第1膜部39と、第1面136Aよりも第1方向についての寸法が大きい第2面136Bを有する第2膜部40と、からなる膜部136を容易に設けることができる。
【0054】
以上説明したように本実施形態のアレイ基板121によれば、膜部136は、第1面136Aを有していて第1材料からなる第1膜部39と、第1膜部39上に配され、第2面136Bを有していて第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる第2膜部40と、を有する。製造に際しては、第1材料からなる第1膜(膜)121F3Aと、第2材料からなる第2膜(膜)121F3Bと、を連続して成膜した後、2つの膜121F3A,121F3Bを一括してエッチングすることで、第1膜部39と第2膜部40とを有する膜部136が設けられる。第2膜部40の第2材料が第1膜部39の第1材料よりもエッチングレートが低いので、エッチングを行うことで膜部136を容易に設けることができる。
【0055】
また、本実施形態のアレイ基板121の製造方法は、第3金属膜121F3として、第1材料からなる第1膜121F3Aと、第1材料よりもエッチングレートが低い第2材料からなる第2膜121F3Bと、をベース面121F2S上に順次に成膜し、第1膜121F3A及び第2膜121F3Bをエッチングすることで、第1膜121F3Aの残存部分によって第1面136Aを有する第1膜部39と、第2膜121F3Bの残存部分によって第2面136Bを有する第2膜部40と、からなる膜部136を設ける。このようにすれば、第1膜121F3A及び第2膜121F3Bをエッチングする際に、第2膜121F3Bよりもエッチングレートが高い第1膜121F3Aが、第1膜121F3Aよりもエッチングレートが低い第2膜121F3Bよりも多く除去される。これにより、第2面136Bよりも第1方向についての寸法が小さい第1面136Aを有する第1膜部39と、第1面136Aよりも第1方向についての寸法が大きい第2面136Bを有する第2膜部40と、からなる膜部136を容易に設けることができる。
【0056】
<実施形態3>
実施形態3を図13から図20によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態1とは異なる膜部42、第1導電部43及び第2導電部44を設けた場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る液晶パネル211を構成するアレイ基板221の非表示領域NAAには、図13に示すように、ソース配線227から引き出される引き出し配線41が設けられている。引き出し配線41は、表示領域AAにおいてY軸方向に沿って延在するソース配線227の両端部のうち、Y軸方向についてドライバ212に近い側の端部に接続されている。複数の引き出し配線41は、非表示領域NAAにおいて、ドライバ212の配置領域から表示領域AAに向けて延出する。ここで、ドライバ212は、長辺寸法が表示領域AAの短辺寸法よりも小さい。従って、複数の引き出し配線41は、ドライバ212側から表示領域AA側に向けて扇状に広がるよう引き回されている。これに伴い、引き出し配線41の一部は、図14に示すように、X軸方向及びY軸方向に対して斜め方向に沿って延在する斜め配線部41Aとなっている。複数の斜め配線部41Aにおける配列ピッチは、複数のソース配線227における配列ピッチよりも狭い。
【0058】
ここで、例えば液晶パネル211の高精細化が求められる場合、ソース配線227及び引き出し配線41の設置数を多くすることになる。それ以外にも、例えば液晶パネル211の狭額縁化が求められる場合、アレイ基板221の非表示領域NAAを狭くすることになる。いずれにおいても、複数の斜め配線部41Aにおける配列ピッチをより狭くする必要が生じ、斜め配線部41Aを高密度に配置することが求められる傾向にある。以下では、斜め配線部41Aの高密度配置を実現するための引き出し配線41の構成について詳しく説明する。
【0059】
引き出し配線41の断面構成について図15を参照しつつ説明する。本実施形態に係る複数の引き出し配線41には、図15に示すように、ガラス基板(ベース部)221GSの上面であるベース面221GS1上に配される膜部42からなる第1引き出し配線41αと、膜部42に対してゲート絶縁膜(絶縁膜)221F1を介して上層側に配される第1導電部43からなる第2引き出し配線41βと、膜部42に対してゲート絶縁膜221F1を介して上層側に配される第2導電部44からなる第3引き出し配線41γと、が含まれる。つまり、膜部42、第1導電部43及び第2導電部44によって3本の引き出し配線41α~41γが構成されている。膜部42、第1導電部43及び第2導電部44は、複数ずつ設けられている。
【0060】
第1引き出し配線41αを構成する膜部42は、図15に示すように、X軸方向(第1方向)についての断面形状が、順テーパ形状(台形状)とされている。このX軸方向は、ガラス基板221GSのベース面221GS1上に沿い且つ引き出し配線41の延在方向と直交(交差)する方向、つまり引き出し配線41の幅方向である。膜部42は、X軸方向についての寸法(幅寸法)が、Z軸方向についてベース面221GS1側からその反対側に向けて連続的に漸次減少する構成とされる。また、膜部42は、X軸方向についての断面形状が対称形状とされる。
【0061】
膜部42は、図15に示すように、ガラス基板221GSのベース面221GS1に接する第1面42Aと、第1面42Aとは反対側に位置する第2面42Bと、それぞれ第1面42Aと第2面42Bとの間を繋ぐ第3面42C及び第4面42Dと、を有する。第1面42Aは、膜部42の底面であると言え、接するベース面221GS1とZ軸方向について同じ高さとなっている。第2面42Bは、膜部42の頂面であると言え、第1面42A及びベース面221GS1よりも膜部42の厚み分高い配置とされる。第3面42C及び第4面42Dは、いずれも膜部42の側面であると言える。第1面42A及び第2面42Bは、X軸方向についての各中央位置が一致している。そして、第2面42Bは、第1面42AよりもX軸方向についての寸法が小さい。第3面42Cは、第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がり、表側、つまりベース面221GS1側とは反対側を指向するよう配されている。第4面42Dは、第3面42CとはX軸方向について反対側に位置していて第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる。第4面42Dも、第3面42Cと同様に、表側、つまりベース面221GS1側とは反対側を指向するよう配されている。第3面42C及び第4面42Dは、いずれもX軸方向に対して傾いた傾斜面とされる。第3面42C及び第4面42Dは、X軸方向に対してなす傾斜角度が同一とされる。第3面42C及び第4面42DがX軸方向に対してなす内角は、鋭角とされ、例えば45°よりも大きくて90°よりも小さくてもよい。このような構成の膜部42は、上層側のゲート絶縁膜221F1によって覆われている。ゲート絶縁膜221F1のうち、膜部42を覆う部分は、膜部42の外形に沿う断面形状となっており、第2面42B、第3面42C及び第4面42Dのそれぞれに並行する部分を含む。
【0062】
第2引き出し配線41βを構成する第1導電部43は、図15に示すように、ゲート絶縁膜221F1を介して膜部42の第3面42C上に配されている。第1導電部43は、膜部42の第3面42Cに並行するよう、X軸方向に対して傾いた断面形状とされる。X軸方向に対する第1導電部43の傾斜角度は、X軸方向に対する第3面42Cの傾斜角度とほぼ等しい。第3引き出し配線41γを構成する第2導電部44は、ゲート絶縁膜221F1を介して膜部42の第4面42D上に配されている。第2導電部44は、膜部42の第4面42Dに並行するよう、X軸方向に対して傾いた断面形状とされる。X軸方向に対する第2導電部44の傾斜角度は、X軸方向に対する第4面42Dの傾斜角度とほぼ等しい。
【0063】
上記した膜部42は、図17に示すように、ガラス基板221GSのベース面221GS1上に配される第1金属膜221F6からなる。膜部42によって構成される第1引き出し配線41αは、接続対象のソース配線227(図13を参照)に対してゲート絶縁膜221F1に設けられたコンタクトホールを通して接続されている。第1導電部43は、図20に示すように、ゲート絶縁膜221F1上に配される第2金属膜(導電膜)221F7からなる。第2導電部44は、第2金属膜221F7のうちの第1導電部43とは別の部分からなる。製造に際しては、膜部42上に成膜された第2金属膜221F7をエッチングすることで、第1導電部43及び第2導電部44が設けられる。ここで、上記したように、膜部42は、第2面42Bが第1面42Aと比べてX軸方向についての寸法が小さいから、第2金属膜221F7をエッチングすると、第2金属膜221F7のうち、第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる第3面42C及び第4面42D上にそれぞれ配される部分が選択的に残存することになり、当該部分によって第1導電部43及び第2導電部44が設けられる。本実施形態では、従来のように、第2金属膜221F7上にレジスト膜を成膜し、そのレジスト膜をパターニングする必要がないことから、レジスト膜をパターニングするための設備(露光装置等)の性能に依らず、第1導電部43及び第2導電部44の配置密度を高めることが可能とされる。このように、本実施形態によれば、第1導電部43及び第2導電部44を従来よりも高密度に配置することができる。また、第1金属膜221F6からなる膜部42と、第2金属膜221F7からなる第1導電部43及び第2導電部44と、は、間に介在するゲート絶縁膜221F1によって絶縁されているので、相互の電気的な独立性が担保される。
【0064】
次に、アレイ基板221の製造方法に含まれる第1工程から第3工程について詳しく説明する。第1工程では、図16に示すように、ガラス基板221GSのベース面221GS1上に第1金属膜221F6をベタ状に成膜し、さらに第1金属膜221F6上にレジスト膜PR2をベタ状に成膜する。その後、露光装置と、フォトマスクPM2と、を用いてレジスト膜PR2を露光する。第1工程で用いられるレジスト膜PR2は、ポジ型の感光性レジスト材料からなる。ここで、フォトマスクPM2について説明する。フォトマスクPM2は、十分に高い透光性を有する透明な基材PM2Aと、基材PM2Aの主面に形成される遮光膜PM2Bと、を備える。遮光膜PM2Bは、露光装置の光源からの露光光を遮光し、部分的な開口PM2Cを有する。フォトマスクPM2は、遮光膜PM2Bの形成範囲が光を遮る遮光領域とされ、開口PM2Cの形成範囲(遮光膜PM2Bの非形成範囲)が光を透過する透過領域とされている。遮光膜PM2Bは、複数の第1引き出し配線41αと重畳するよう設けられている。
【0065】
第1工程において、露光装置の光源から発せられた露光光が、上記のような構成のフォトマスクPM2を介してレジスト膜PR2に対して照射されると、レジスト膜PR2は、遮光膜PM2Bと重畳する範囲が非露光とされ、開口PM2Cと重畳する範囲が選択的に露光される。露光に続いて現像が行われると、図17に示すように、ポジ型のレジスト膜PR2のうちの露光部分は、現像液によって溶解される速度、つまり溶解速度が早いので除去される。一方、非露光部分については溶解速度が遅くなっていて残存することになる。
【0066】
以上のようにしてレジスト膜PR2をパターニングしたら、図17に示すように、レジスト膜PR2をマスクとして用いて第1金属膜221F6をエッチングする。このとき、エッチング液を用いるウェットエッチングと、真空放電プラズマを用いるドライエッチングと、のいずれかを行うことができる。第1金属膜221F6をエッチングすることで第1金属膜221F6がパターニングされると、図18に示すように、X軸方向についての断面形状が順テーパ形状となる膜部42が設けられる。このようにして設けられた順テーパ形状の膜部42は、ガラス基板221GSのベース面221GS1に接する第1面42Aと、第1面42Aとは反対側に位置していて第1面42AよりもX軸方向についての寸法が大きい第2面42Bと、ベース面221GS1を指向する第3面42Cと、を有する。その後、膜部42上に残存したレジスト膜PR2を剥離する。
【0067】
第2工程では、図19に示すように、膜部42及びベース面221GS1上にゲート絶縁膜221F1をベタ状に成膜する。成膜されたゲート絶縁膜221F1は、膜部42の第2面42B、第3面42C及び第4面42D上に配される部分と、ベース面221GS1上に配される部分と、を含むことになり、このうちの前者は、膜部42に倣った断面形状となる。続いて、第3工程では、ゲート絶縁膜221F1上に第2金属膜221F7をベタ状に成膜する。成膜された第2金属膜221F7は、ゲート絶縁膜221F1に並行しており、ゲート絶縁膜221F1のうちの膜部42に乗り上げる部分上に配される部分は、膜部42に倣った断面形状となる。
【0068】
そして、第3工程では、図20に示すように、所定のマスクを介することなく、第2金属膜221F7を直接的にエッチングする。つまり、従来であれば、第2金属膜221F7上にレジスト膜を成膜し、露光装置等を用いてパターニングしたレジスト膜をマスクとして用いて第2金属膜221F7をエッチングするのに対し、本実施形態では、そのようなパターニングしたレジスト膜を要することなく、第2金属膜221F7の全域をエッチングしている。このとき、真空放電プラズマを用いるドライエッチングを行うのが好ましいが、エッチング液を用いるウェットエッチングでもよい。エッチングが行われると、第2金属膜221F7のうち、ゲート絶縁膜221F1を介して膜部42の第3面42C及び第4面42D上に配される部分は、他の部分よりもZ軸方向についての高さが大きいことから、エッチングによって除去されずに選択的に残存することになる。この残存部分によって第3面42C上に配される第1導電部43と、第4面42D上に配される第2導電部44と、が設けられる。このように、第2金属膜221F7からなる第1導電部43及び第2導電部44を設けるに際し、従来のようにレジスト膜のパターニングを行う必要がないから、第1導電部43及び第2導電部44の密度が、従来のようにレジスト膜のパターンに依存することがない。従って、本実施形態によれば、第1導電部43及び第2導電部44の配置密度を従来よりも高めることができる。
【0069】
以上説明したように本実施形態のアレイ基板221は、ガラス基板(ベース部)221GSと、ガラス基板221GSのベース面221GS1上に配された膜部42であって、ベース面221GS1に接する第1面42Aと、第1面42Aとは反対側に位置していて第1面42Aに比べてベース面221GS1に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる第2面42Bと、第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる第3面42Cと、第3面42Cとは第1方向について反対側に位置していて第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる第4面42Dと、を有する膜部42と、膜部42の第3面42C上に配されて第2金属膜(導電膜)221F7からなる第1導電部43と、膜部42の第4面42D上に配されて第2金属膜221F7のうちの第1導電部43とは別の部分からなる第2導電部44と、を備える。
【0070】
膜部42は、第2面42Bが第1面42Aと比べてベース面221GS1に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる。従って、製造に際して膜部42上に成膜された第2金属膜221F7をエッチングすると、第2金属膜221F7のうち、第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる第3面42C及び第4面42D上にそれぞれ配される部分が選択的に残存することになり、当該部分によって第1導電部43及び第2導電部44が設けられる。このように、第1導電部43及び第2導電部44の密度が、従来のようにレジスト膜のパターンに依存することがないので、従来よりも高密度配置を実現することができる。
【0071】
また、膜部42と第2金属膜221F7との間に配されるゲート絶縁膜(絶縁膜)221F1を備えており、膜部42は、導電性材料からなり、第1導電部43及び第2導電部44は、ゲート絶縁膜221F1上に配される。導電性材料からなる膜部42によって信号等を伝送することが可能となる。導電性材料からなる膜部42と第1導電部43及び第2導電部44との間には、ゲート絶縁膜221F1が介在することで、相互の電気的な独立性が担保される。
【0072】
また、本実施形態のアレイ基板221の製造方法は、ガラス基板221GSのベース面221GS1上に第1金属膜(膜)221F6を成膜し、第1金属膜221F6をパターニングしてベース面221GS1上に配された膜部42であって、ベース面221GS1に接する第1面42Aと、第1面42Aとは反対側に位置していて第1面42Aと比べてベース面221GS1に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる第2面42Bと、第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる第3面42Cと、第3面42Cとは第1方向について反対側に位置していて第1面42A側から第2面42B側に向けて立ち上がる第4面42Dと、を有する膜部42を設け、膜部42上に第1透明電極膜(導電膜)21F4を成膜し、第2金属膜221F7をエッチングすることで、第2金属膜221F7の一部によって膜部42の第3面42C上に配される第1導電部43を設け、第2金属膜221F7のうちの第1導電部43とは別の部分によって膜部42の第4面42D上に配される第2導電部44を設ける。
【0073】
ベース面221GS1上に成膜された第1金属膜221F6をパターニングして設けられる膜部42は、第2面42Bが第1面42Aと比べてベース面221GS1に沿う第1方向についての寸法が小さいか同じとされる。従って、膜部42上に成膜した第2金属膜221F7をエッチングすると、第2金属膜221F7のうち、膜部42の第3面42C上に配される部分と、膜部42の第4面42D上に配される部分と、が選択的に残存することになり、当該部分によって第1導電部43及び第2導電部44が設けられる。このように、第1導電部43及び第2導電部44の密度が、従来のようにレジスト膜のパターンに依存することがないので、従来よりも高密度配置を実現することができる。
【0074】
<実施形態4>
実施形態4を図21によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態3から膜部342の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態3と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0075】
本実施形態に係る膜部342は、図21に示すように、ゲート絶縁膜321F1からなる。つまり、膜部342は、絶縁性材料からなる。これに伴い、本実施形態では、複数の引き出し配線341は、第1導電部343と第2導電部344とによって構成される。第1導電部343は、膜部342の第3面342C上に直接載る形で配され、第2導電部344は、膜部342の第4面342D上に直接載る形で配される。このような構成であっても、上記した実施形態3と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0076】
<実施形態5>
実施形態5を図22によって説明する。この実施形態5では、上記した実施形態1に記載した膜部436の構成を変更し、実施形態1に記載した第1導電部437及び第2導電部438によって実施形態3に記載した引き出し配線441を構成した場合を示す。なお、上記した実施形態1,3と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0077】
本実施形態に係る膜部436、第1導電部437及び第2導電部438は、図22に示すように、アレイ基板421の非表示領域NAAに配されており、このうちの第1導電部437及び第2導電部438が、実施形態3に記載した引き出し配線441を構成している(図13を参照)。そして、膜部436は、ガラス基板(ベース部)421GSのベース面421GS1上に配されていて、ゲート絶縁膜421F1からなる。つまり、膜部436は、絶縁性材料からなる。第1導電部437は、ガラス基板421GSのベース面421GS1上にて、膜部436に対して隣り合って配されていて、第2金属膜の一部からなる。第1導電部437は、複数の引き出し配線441に含まれる第4引き出し配線441δを構成する。第2導電部438は、膜部436の第2面436B上に配されていて、第2金属膜のうちの第1導電部437とは別の部分からなる。第2導電部438は、複数の引き出し配線441に含まれていて、第4引き出し配線441δとは別の第5引き出し配線441εを構成する。このように、膜部436が絶縁性材料からなることで、第1導電部437第2導電部438の導電性が同等になる。従って、第1導電部437によって構成される第4引き出し配線441δと、第2導電部438によって構成される第5引き出し配線441εと、で配線抵抗が同等になる。これにより、第4引き出し配線441δによって伝送される画像信号と、第5引き出し配線441εによって伝送される画像信号と、で生じ得る鈍りに差が生じ難くなる。このような構成であっても、上記した実施形態1,3と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0078】
以上説明したように本実施形態によれば、膜部436は、絶縁性材料からなる。このようにすれば、第1導電部437及び第2導電部438の導電性が同等になる。従って、第1導電部437及び第2導電部438によって例えば信号をそれぞれ伝送する場合、第1導電部437によって伝送される信号と、第2導電部438によって伝送される信号と、で生じ得る鈍りに差が生じ難くなる。
【0079】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)実施形態1,2,5に記載した構成において、膜部36,136,436は、第3面36Cがベース面21F2S,121F2Sや第1面36A,136Aとほぼ平行となるよう構成されてもよい。
【0081】
(2)実施形態3,4に記載した構成において、膜部42,342は、第2面42BにおけるX軸方向についての寸法が、第1面42AにおけるX軸方向についての寸法と等しくてもよい。その場合、膜部42,342は、X軸方向についての断面形状が方形状となり、第3面42C,342C及び第4面42D,342DがX軸方向に対してベース面221GS1に対してほぼ垂直をなす。
【0082】
(3)実施形態1,2,5に記載した構成において、第2導電部38,438が垂下部38Aを有さない構成でもよい。
【0083】
(4)実施形態1,2に記載した構成において、タッチ配線30以外の配線を、膜部36,136及び第2導電部38によって構成することも可能である。
【0084】
(5)実施形態1,2に記載した構成において、画素電極25以外の電極や配線を、第1導電部37によって構成することも可能である。
【0085】
(6)実施形態1,2に記載した構成において、第1導電部37及び第2導電部38を、金属材料(金属膜)によって構成することも可能である。その場合、膜部36,136及び第1導電部37によって配線を構成し、第2導電部38によって別の配線を構成することも可能である。また、膜部36,136を絶縁性材料によって構成し、金属材料からなる第1導電部37によって配線を構成することも可能である。
【0086】
(7)実施形態1,2に記載した構成において、共通電極28を非分割構成とし、液晶パネル11にタッチパネル機能を内蔵させなくしてもよい。その場合、タッチ配線30に代えて共通電極28に共通信号を供給する共通配線を、膜部36,136及び第2導電部38によって構成することが可能である。
【0087】
(8)実施形態3から実施形態5に記載した構成において、ソース配線227以外の配線(例えばゲート配線26等)に接続される引き出し配線41,341,441を、膜部42,342、第1導電部43,343及び第2導電部44,344のいずれかによって構成することも可能である。
【0088】
(9)実施形態3から実施形態5に記載した構成において、引き出し配線41,341,441以外の配線(例えばゲート配線26ソース配線227等)を、膜部42,342、第1導電部43,343及び第2導電部44,344のいずれかによって構成することも可能である。
【0089】
(10)ベース部は、第1層間絶縁膜21F2及びガラス基板221GS,421GS以外であってもよい。
【0090】
(11)レジスト膜PR1,PR2は、ポジ型以外にもネガ型であってもよい。
【0091】
(12)液晶パネル11,211の平面形状は、縦長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形などでもよい。
【0092】
(13)液晶パネル11,211は、透過型以外にも反射型や半透過型であってもよい。
【0093】
(14)液晶パネル11,211以外の表示パネル(有機EL表示パネル等)でもよい。
【符号の説明】
【0094】
21,121,221,321,421…アレイ基板(基板)、21F2…第1層間絶縁膜(ベース部)、21F2S,121F2S…ベース面、21F3,121F3…第3金属膜(膜)、21F4…第1透明電極膜(導電膜)、25…画素電極、30…タッチ配線(配線)、36,136,436…膜部、36A,136A…第1面、36B,136B,436B…第2面、37,437…第1導電部、37A…重畳部、38,438…第2導電部、38A…垂下部、39…第1膜部、40…第2膜部、42,342…膜部、42A…第1面、42B…第2面、42C,342C…第3面、42D,342D…第4面、43,343…第1導電部、44,344…第2導電部、121F3A…第1膜、121F3B…第2膜、221GS,421GS…ガラス基板(ベース部)、221GS1,421GS1…ベース面、221F1,321F1,421F1…ゲート絶縁膜(絶縁膜)、221F6…第1金属膜(膜)、221F7…第2金属膜(導電膜)
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