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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178701
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】商品陳列棚
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20241218BHJP
   A47F 1/12 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
A47F1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097042
(22)【出願日】2023-06-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年2月15日から17日、スーパーマーケット・トレードショー2023に出展し公開
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】山根 伴哉
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BB04
3B118DA12
(57)【要約】
【課題】スライドベース上に収納された商品が押圧体により前方に押し出されるようになっている商品陳列棚において、よりスムーズに補充作業を進めることができるようにする。
【解決手段】スライドベース23を後方側の収納姿勢から前方側の補充姿勢となるように前方方向に引き出し操作したとき、押圧体24の係止部53がスライドベース23の被係止部29に係止されて、ばね部材26の付勢力に抗しながらスライドベース23上で押圧体24がガイド機構25に沿って後位置に自動的に変位するように構成する。スライドレール21に、スライドベース23を補充姿勢に維持するためのロック機構62を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(20)と、
支持部材(20)に設置された固定レール(32)と、固定レール(32)に対して前後方向にスライド可能に構成された可動レール(33)とを含むスライドレール(21)と、
スライドレール(21)を介して、支持部材(20)に対して後方側の収納姿勢と、前方側の補充姿勢との間で前後方向に移動可能に構成されたスライドベース(23)と、
スライドベース(23)上の前方寄りの前位置と、スライドベース(23)上の後方寄りの後位置との間で前後方向に移動可能に構成され、スライドベース(23)上に載置された商品(22)を前方に押し出す押圧体(24)と、
押圧体(24)を前後方向に案内するガイド機構(25)と、
ガイド機構(25)に沿って押圧体(24)を前方に付勢するばね部材(26)と
を備え、
押圧体(24)に係止部(53)が形成され、支持部材(20)の前部には、当該係止部(53)が係止される被係止部(29)が形成されており、
スライドベース(23)が収納姿勢から補充姿勢となるように前方方向に引き出し操作されたとき、係止部(53)が被係止部(29)に係止されて、ばね部材(26)の付勢力に抗しながらスライドベース(23)上で押圧体(24)がガイド機構(25)に沿って後位置に変位するように構成されていることを特徴とする商品陳列棚。
【請求項2】
ばね部材(26)が、渦巻きコイル状のぜんまい部(55)と、当該ぜんまい部(55)を収納するケース(49)とを備えるぜんまいばねであり、
ケース(49)が押圧体(24)に設けられ、ぜんまい部(55)の終端部(55b)がスライドベース(23)の前端に固定されており、
スライドレール(21)に、スライドベース(23)を補充姿勢に維持するためのロック機構(62)が設けられている、請求項1に記載の商品陳列棚。
【請求項3】
ロック機構(62)が、可動レール(33)に装着される操作軸(63)と、操作軸(63)の前端に形成されて操作軸(63)を回転させる操作レバー(64)と、操作軸(63)の後端に形成されて、操作軸(63)の回転に応じて回転される操作片(65)とを有し、
スライドベース(23)を補充姿勢として、可動レール(33)を固定レール(32)から引出した状態で、操作レバー(64)を回転操作することで、操作片(65)が固定レール(32)の前端に係合されて、スライドベース(23)が収納姿勢に変位することを阻止するように構成されている、請求項2に記載の商品陳列棚。
【請求項4】
スライドベース(23)を収納姿勢として、可動レール(33)を固定レール(32)内に引き入れた状態で、操作レバー(64)を回転操作することで、操作片(65)が固定レール(32)に形成された被係止片(67)に係合されて、スライドベース(23)が補充姿勢に変位することを阻止するように構成されている、請求項3に記載の商品陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を列状に収納陳列する商品陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る商品陳列棚は、支柱に固定された支持部材と、支持部材に前後方向に移動可能に支持されたスライドベースと、スライドベース上に設けられて、商品を前方に押し出す押圧体と、押圧体を前方に付勢するばね部材とを備えるが、同様の構成を備える商品陳列棚は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の商品陳列棚において、スライドベース上に陳列された商品群の1つが取り除かれると、ばね部材の付勢力を受けた押圧体によって残りの商品は前方に押し出され、取り除かれた商品によって生じる空きスペースは残りの商品で埋められる。このため、スライドベース上の最前方に位置する商品を常に取り出していけば、商品を補充した順番と商品を取出す順番とを完全に一致させて、所謂先入れ先出し方式で、商品を順々に取り出すことができる。商品の補充順と商品の取出し順とが不一致となり、使用期限切れや賞味期限切れの商品が提供されることを防ぐこともできる。同様の商品陳列棚は特許文献2にも見受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3227572号公報
【特許文献2】実用新案登録第2569516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の商品陳列棚において、商品を補充する際には、作業者は、スライドベースを前方に引出したのち、押圧体をばね部材の付勢力に抗して後位置へ移動させ、最奥側の商品と押圧体との間にスペースを作ったのちに、当該スペースに商品を収納させる。このため、商品の補充作業中においては、作業者は押圧体をばね部材の付勢力に抗して後位置へ維持し続ける必要があり、押圧体の維持が煩わしい点、および片手で補充作業を進めることができない点に改良の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、スライドベース上に収納された商品が押圧体により前方に押し出されるようになっている商品陳列棚において、よりスムーズに補充作業を進めることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る商品陳列棚は、支持部材20と、支持部材20に設置された固定レール32と、固定レール32に対して前後方向にスライド可能に構成された可動レール33とを含むスライドレール21と、スライドレール21を介して、支持部材20に対して後方側の収納姿勢と、前方側の補充姿勢との間で前後方向に移動可能に構成されたスライドベース23と、スライドベース23上の前方寄りの前位置と、スライドベース23上の後方寄りの後位置との間で前後方向に移動可能に構成され、スライドベース23上に載置された商品22を前方に押し出す押圧体24と、押圧体24を前後方向に案内するガイド機構25と、ガイド機構25に沿って押圧体24を前方に付勢するばね部材26とを備える。押圧体24に係止部53が形成され、支持部材20の前部には、当該係止部53が係止される被係止部29が形成されている。そして、スライドベース23が収納姿勢から補充姿勢となるように前方方向に引き出し操作されたとき、係止部53が被係止部29に係止されて、ばね部材26の付勢力に抗しながらスライドベース23上で押圧体24がガイド機構25に沿って後位置に変位するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
ばね部材26が、渦巻きコイル状のぜんまい部55と、当該ぜんまい部55を収納するケース49とを備えるぜんまいばねである。ケース49が押圧体24に設けられ、ぜんまい部55の終端部55bがスライドベース23の前端に固定されている。スライドレール21に、スライドベース23を補充姿勢に維持するためのロック機構62が設けられている。
【0008】
ロック機構62は、可動レール33に装着される操作軸63と、操作軸63の前端に形成されて操作軸63を回転させる操作レバー64と、操作軸63の後端に形成されて、操作軸63の回転に応じて回転される操作片65とを有する。スライドベース23を補充姿勢として、可動レール33を固定レール32から引出した状態で、操作レバー64を回転操作することで、操作片65が固定レール32の前端に係合されて、スライドベース23が収納姿勢に変位することを阻止するように構成されている。
【0009】
スライドベース23を収納姿勢として、可動レール33を固定レール32内に引き入れた状態で、操作レバー64を回転操作することで、操作片65が固定レール32に形成された被係止片67に係合されて、スライドベース23が補充姿勢に変位することを阻止するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の商品陳列棚のように、スライドベース23を収納姿勢から補充姿勢となるように前方方向に引き出し操作されたとき、係止部53が被係止部29に係止されて、ばね部材26の付勢力に抗しながらスライドベース23上で押圧体24がガイド機構25に沿って後位置に変位するように構成されていると、商品22の補充作業を行う際には、作業者がスライドベース23を補充姿勢となるように引き出し操作し、当該スライドベース23を補充姿勢に維持するだけで、自動的に押圧体24を後位置に変位させるとともに、当該後位置に押圧体24を維持させることができる。これにより、作業者が商品22の補充作業を行う際に、押圧体24を後位置へ変位させる必要や、押圧体24を後位置へ維持しておく必要がなく、よりスムーズに商品22の補充作業を進めることができる。片手で押圧体24を維持しながら、もう片方の手で商品22の補充作業を進めるのではなく、両手で商品22の補充作業を進めることができるので、この点でもよりスムーズに商品22の補充作業を進めることができる。
【0011】
ばね部材26がぜんまいばねであり、ぜんまい部55を収納するケース49が押圧体24に固定され、ぜんまい部55の終端部55bがスライドベース23の前端に固定されている構成を採った場合には、ばね部材26の付勢力が大きいと、当該付勢力により、スライドベース23が前方側の補充姿勢から後方側の収納姿勢に不用意に移動するおそれがあり、また、このようにスライドベース23が補充姿勢から収納姿勢に移動すると、ばね部材26の付勢力により押圧体24が前後位置から前方に向かって不用意に変位するおそれがある。このため、上記のようなばね部材26の構成を採った場合には、作業者はスライドベース23を補充姿勢に維持しながら、商品22の補充作業を行うことが必要となり、スライドベース23の維持作業が煩わしい点に不利がある。そこで、本発明のように、スライドレール21に、スライドベース23を補充姿勢に維持するためのロック機構62が設けられていると、不用意にスライドベース23が収納姿勢に移動することは勿論のこと、不用意に押圧体24が前方に変位することを確実に防ぐことができるので、作業者は両手で商品22の補充作業を進めることが可能となり、よりスムーズに商品22の補充作業を進めることができる。
【0012】
ロック機構62が、可動レール33に沿って前後方向に伸びる操作軸63と、操作軸63の前端に形成されて操作軸63を回転させる操作レバー64と、操作軸63の後端に形成されて、操作軸63の回転に応じて回転される操作片65とを有するものとし、スライドベース23を補充姿勢として、可動レール33を固定レール32から引出した状態で、操作レバー64を回転操作することで、操作片65が固定レール32の前端に係合されて、スライドベース23が収納姿勢に変位することを阻止するように構成することができる。これによれば、操作レバー64を回転させるだけのワンタッチの操作で、ロック機構62をオンとして、スライドベース23を補充姿勢に維持することができる。したがって、ロック機構62のロック操作が容易で手間取ることは無く、商品22の補充作業もスムーズに進めることができる。
【0013】
スライドベース23を収納姿勢として、可動レール33を固定レール32内に引き入れた状態で、操作レバー64を回転操作することで、操作片65が固定レール32に形成された被係止片67に係合されて、スライドベース23が補充姿勢に変位することを阻止するように構成されていると、ロック機構62に、スライドベース23を収納姿勢に保持させる機能を付与することができる。これによれば、商品22の補充作業後にスライドベース23を収納姿勢に保持させることができるので、商品22の販売時において、不用意にスライドベース23が補充姿勢に変位することを防ぐことができる。操作レバー64を回転操作するだけでのワンタッチの操作で、ロック機構62をオンとして、スライドベース23を収納姿勢に維持することが可能であり、ロック操作が容易である点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る商品陳列棚の縦断側面図であり、スライドベースが補充姿勢にあるとともに、押圧体が後位置にある状態を示している。
図2】本発明の実施形態に係る商品陳列棚が適用される冷蔵オープンショーケースの縦断側面図である。
図3】商品陳列棚の平面図である。
図4】商品陳列棚の平面図である。
図5】商品陳列棚の縦断側面図であり、図4のB-B線断面図である。
図6】商品陳列棚の要部の縦断正面図であり、図5のC-C線断面図である。
図7】商品陳列棚の要部の縦断正面図であり、図3のA-A線断面図である。
図8】商品陳列棚の分解斜視図である。
図9】(a)は商品陳列棚を構成する押圧体とばね部材の分解斜視図であり、(b)はばね部材の縦断側面図である。
図10】商品陳列棚を構成するロック機構を示す説明図であり、(a)はスライドベースが収納姿勢にあるときのロック状態を示しており、(b)はスライドベースが補充姿勢にあるときのロック状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態) 図1から図10に、本発明に係る商品陳列棚を冷蔵オープンショーケースに適用した実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2に示すように冷蔵オープンショーケース(以下、単に「ショーケース」と記す。)は、前面に開口を有する断熱箱体からなるケース本体1と、ケース本体1の下面を支持する基台2とを備える。ケース本体1で囲まれる庫内3は、側面視コ字状の内ケース4により陳列室5と循環通路6とに区画されている。前方へ開口する陳列室5には、陳列対象である商品22(図3参照)を載置するための商品陳列棚7が上下多段状に設置されている。本実施形態におけるショーケースにおいては、計3段の商品陳列棚7が設置されている。陳列対象である商品22としては、例えば冷蔵食品が挙げられる。
【0016】
循環通路6は、陳列室5を三方から取り囲むように側面視コ字状に形成されている。この循環通路6には、同通路6内に空気流を形成するための循環ファン9と、同通路6を流れる空気を冷却するための蒸発器10とが設けられている。循環通路6の上部前端には下向きの吹出口11が設けられ、同通路6の下部前端には上向きの吸込口12が設けられている。循環ファン9が駆動することにより、蒸発器10で冷却された冷気が吹出口11から吸込口12へ下向きに吹き出されて、陳列室5の前面に冷気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンは、陳列室5内の空気を冷却するとともに、陳列室5への外気の侵入を遮断する。基台2内に形成された機械室13には、圧縮機14、凝縮器15、凝縮器ファン16などが設置されている。
【0017】
図1および図8に示すように、商品陳列棚7は、背板17(図5参照)に固定された支持部材20と、支持部材20に固定されたスライドレール21と、スライドレール21により前後方向に移動可能に構成されて、商品22が載置されるスライドベース23と、スライドベース23上に載置された商品22を前方に押し出す押圧体24と、押圧体24を前後方向に案内するガイド機構25と、ガイド機構25に沿って押圧体24を前方に付勢するばね部材26とで構成される。
【0018】
図8に示すように、支持部材20は、背板17に係止固定される左右一対のブラケット27・27と、両ブラケット27・27の間に架設された連結板28とで構成される。各ブラケット27の後端には、背板17に形成された係止穴に係止されるフック27a・27bが形成されている。図1図6および図8に示すように、連結板28の前端には、押圧体24の係止部53に係止される被係止部29が上向きに折り曲げ形成されている。図6において、符号30は、ブラケット27と連結板28とを連結するアームを示す。
【0019】
図8に示すように、左右のブラケット27・27のそれぞれには、スライドレール21が設置されている。図6および図10(a)(b)に示すように、各スライドレール21は、ブラケット27に固定された固定レール32と、固定レール32に対して前後方向にスライド可能に構成された第1可動レール33a(33)と、第1可動レール33aに対して前後方向にスライド可能に構成された第2可動レール33b(33)とを備える。これら固定レール32と可動レール33a・33bのそれぞれは、前後方向に直線的に伸びる金属製の長尺体で構成される。図6に示すように固定レール32と第2可動レール33bの断面は、「C」字状に形成され、第1可動レール33aの断面は、「エ」字状に形成されている。固定レール32の内部には、第1可動レール33aがボール35を介して前後方向にスライド可能に保持されている。第2可動レール33bの内部には、第1可動レール33aがボール36を介して前後方向にスライド可能に保持されている。これらボール35・36は、図外のリテーナにより保持されている。
【0020】
図1および図8に示すように、スライドベース23は、スライドレール21の第2可動レール33bに固定された矩形状のベース本体38と、ベース本体38の盤面を左右方向に区画するように装着された仕切板39とで構成される。図1および図6に示すように、ベース本体38は、上下に偏平な中空箱状に形成されている。図3および図8に示すように、ベース本体38には、3枚の仕切板39が装着されており、ベース本体38には商品22が前後方向に列状に収納される収納通路40(40a~40d)が左右方向に4列形成されている。図3に示すように、一つの収納通路40には、最大で5個の商品22が収納される。各収納通路40の左右方向の寸法は、同寸法に設定されている。図1に示すように、ベース本体38の前端には、各収納通路40の前端を区画して商品22の落下を防止する前壁41が取り付けられている。この前壁41は、商品の価格等を表示するプライスカードを保持するカードレールからなる。なお、収納通路40や同通路40に収納される商品22の数は一例であって、ショーケースサイズや商品サイズによって、収納通路40及び商品22の数は適宜変更することができる。
【0021】
図3に示すように、収納通路40には、各列の最後尾に位置する商品22を介して、商品22を前方に押し出す押圧体24が設けられている。図7図9(a)に示すように、押圧体24は、収納通路40内に前後方向に形成されたガイドレール44に沿って、前後方向に移動可能に構成されたランナーユニット45と、ランナーユニット45に装着支持された押圧板46と、押圧板46の左右二箇所に下方に向かって突設されたガイド体47とで構成される。図9(a)に示すように、ガイドレール44は、ベース本体38の中空部に配される上向きに開口を有する断面コ字状の条材であり、その左右壁の上端内面のそれぞれにレール壁44a・44aが対向状に突設されている。図7に示すように、ガイドレール44は、スライドベース23の各収納通路40内の左右方向の中央部に形成されている。図9(a)(b)に示すように、ランナーユニット45は、ガイドレール44のレール壁44a・44aで前後方向にスライド自在に支持されるスライダー48と、ガイドレール44よりも上方に位置するばね箱(ケース)49と、ばね箱49の前方に形成されて押圧板46を垂直姿勢に固定支持するホルダー50とを有し、これらスライダー48、ばね箱49、およびホルダー50が一体に形成されたプラスチック成形品で構成される。
【0022】
図7に示すように、各収納通路40のガイドレール44を挟む左右対称位置には、ガイド体47を案内支持するガイド溝52が前後方向に形成されている。以上より、押圧体24は、ガイド溝52内にガイド体47が挿入された状態で、ガイドレール44に沿ってランナーユニット45が移動することで、押圧板46が垂直姿勢を維持しながら前後方向に移動することができる。このガイド体47の下端が、支持部材20の連結板28に設けられた被係止部29に係止される係止部53となる。
【0023】
これらガイドレール44とガイド溝52とにより、本実施形態におけるガイド機構25が構成される。図3に示すように、ガイドレール44とガイド溝52とは、スライドベース23のベース本体38の後端から前方近傍に至るように形成されている。
【0024】
図9(a)(b)に示すように、ばね部材26は、定荷重のぜんまいばねであり、先のランナーユニット45を構成するばね箱49と、ばね箱49内に収納される渦巻きコイル状のぜんまい部55とを備える。ぜんまい部55の巻回の終端部55bはガイドレール44の前端に固定されている。ばね箱49の下端には、ガイドレール44に連通する引出し口58が形成されており、引出し口58から引出されたぜんまい部55の終端部55bは、ガイドレール44内を通って、ガイドレール44の前端に固定された把持片59に連結されている。スライダー48の中央には、ぜんまい部55の条材55aとの接触を避けるための逃げ凹部60が形成されている。
【0025】
以上より、スライドベース23は、スライドレール21を介して、支持部材20に対して後方側の収納姿勢(図5参照)と、前方側の補充姿勢(図1参照)との間で前後方向に移動可能に構成されている。収納姿勢においては、スライドレール21の第1・第2可動レール33a・33bは、固定レール32内に収容されており(図5図10(a)参照)、この収納姿勢から、作業者が後述するロック機構62を解除し、その操作レバー64、またはベース本体38の下部に指を掛けて手前に引っ張ることで、固定レール32から第1・第2可動レール33a・33bを引出して、スライドベース23を前方側の補充姿勢(図1図10(b)参照)に変位させることができる。また、押圧体24は、ガイド機構25に沿って、スライドベース23上の前方寄りの前位置(図3の左から3列目の収納通路40(40c)参照)と、後方寄りの後位置(図3の左から2列目の収納通路40(40b)参照)との間で前後方向に移動可能に構成されている。ばね部材26の付勢力により、押圧体24には、常に前向きの付勢力が作用している。
【0026】
右方のスライドレール21のそれぞれには、スライドベース23を補充姿勢、或いは収納姿勢に保持するためのロック機構62が設けられている。図1および図10(a)(b)に示すように、ロック機構62は、第2可動レール33bの下端に装着されて前後方向に伸びる操作軸63と、操作軸63の前端に形成されて操作軸63を回転操作させる操作レバー64と、操作軸63の後端に形成されて、操作軸63の回転操作に応じて従動回転される操作片65とを有する。図10(b)に示すように、操作軸63は、第2可動レール33bの前後端に形成されたシャフトホルダー66・66に支持されている。各シャフトホルダー66は円筒体であり、第2可動レール33bの下端に固定されている。操作片65はフック状の金属成形品であり、操作軸63の周方向に向かって片持ち状に張り出されている。操作片65は、後方側のシャフトホルダー66を挟むように2分割されている。
【0027】
図10(a)に示すように、固定レール32の後方下端には、被係止片67が固定されており、スライドベース23を収納姿勢として、第1・第2可動レール33a・33bを固定レール32内に引き入れた状態で、操作レバー64を外向き(図10(a)では時計方向)に回転操作することで、操作片65を上方に変位させて被係止片67に係合させて、スライドベース23が前方向に変位すること(スライドベース23が補充姿勢に変位すること)を阻止することができる。この状態から操作レバー64を内向き(図10(a)では反時計方向)に回転操作することで、操作片65を下方に変位させて、操作片65と被係止片67との係合状態を解除させて、スライドベース23を収納姿勢から補充姿勢に変位させることができる。また、図10(b)に示すように、スライドベース23を補充姿勢として、第1・第2可動レール33a・33bを固定レール32から引出した状態で、操作レバー64を外向き(図10(b)では時計方向)に回転操作することで、操作片65を上方に変位させて固定レール32の前端に係合させて、スライドベース23が後方向に変位すること(スライドベース23が収納姿勢に変位すること)を阻止することができる。
【0028】
以上のような構成からなる商品陳列棚において、スライドベース23が後方側の収納姿勢にあり、しかもスライドベース23の収納通路40に商品22が収納されていない状態では、押圧体24の押圧板46は、ばね部材26の付勢力により前位置にある(図3の右側の収納通路40(40d)参照)。また、ロック機構62の操作片65は被係止片67に係合している(図10(a)参照)。このような状態から、作業者が操作レバー64を内向きに回転操作して、操作片65と被係止片67との係合状態を解除したうえで、スライドベース23のベース本体38の下部、または操作レバー64に手指を掛けて、スライドベース23を前方に引出すと、スライドレール21を介してスライドベース23を前方側の補充姿勢に移動させることができる(図1参照)。また、このようにスライドベース23を後方側の収納姿勢から前方側の補充姿勢に移動させると、当該スライドベース23上に形成された押圧体24も前方側に移動していくが、押圧体24のガイド体47の下端に形成された係止部53が支持部材20の連結板28に形成された被係止部29に係合することで、押圧体24は、ガイド機構25に沿ってスライドベース23に対して相対的に後方側に変位して、前位置から後位置へ変位する。つまり、スライドベース23を収納姿勢から補充姿勢に移動させることで、押圧体24を前位置から後位置に自動的に変位させることができる。
【0029】
このように押圧体24が後位置にある状態では、押圧体24にはばね部材26の付勢力が作用しており、同時に、スライドベース23には、これを前方側の補充姿勢から後方側の収納姿勢に変位させようとするばね部材26の付勢力が作用している。そこで、スライドベース23を補充姿勢に維持するとともに、押圧体24を後位置に維持させるため、ロック機構62の操作レバー64を外向きに回転操作して、操作片65をスライドレール21の固定レール32の前端に係合させる。これにより、スライドベース23を補充姿勢に維持させるとともに、押圧体24を後位置に維持させることができるので、作業者は両手を使って押圧体24とベース本体38の前壁41との間の収納通路40のスペースに商品22を補充する補充作業を進めることができる。
【0030】
商品22の補充作業後は、作業者はロック機構62の操作レバー64を内向きに回転操作して、操作片65と固定レール32との係合状態を解除したうえで、スライドベース23を後方側の収納姿勢に向かって移動させる。スライドベース23が収納姿勢となると、作業者は再びロック機構62の操作レバー64を外向きに回転操作して、被係止片67に操作片65を係合させる。これにより、スライドベース23が不用意に補充姿勢に変位することを防ぐことができる。
【0031】
このようにスライドベース23が収納姿勢にある状態では、ばね部材26の付勢力を受けて、押圧体24の押圧板46は収納通路40内に前後列状に収納されている複数個の商品22を前方に押し出す。このため、商品22が販売されるとき、顧客が最前方に位置する商品22を収納通路40から抜き取ると、その都度、押圧体24が収納通路40内に収納されている商品22を前進させる。したがって商品22を常にスライドベース23から抜き取りやすい最前位置に位置させることができる。
【0032】
以上のように本実施形態の商品陳列棚においては、スライドベース23を収納姿勢から補充姿勢となるように前方方向に引き出し操作されたとき、係止部53が被係止部29に係止されて、ばね部材26の付勢力に抗しながらスライドベース23上で押圧体24がガイド機構25に沿って後位置に変位するように構成したので、商品22の補充作業を行う際には、作業者がスライドベース23を補充姿勢となるように引き出し操作し、当該スライドベース23を補充姿勢に維持するだけで、自動的に押圧体24を後位置に変位させるとともに、当該後位置に押圧体24を維持させることができる。これにより、作業者が商品22の補充作業を行う際に、押圧体24を後位置へ変位させる必要や、押圧体24を後位置へ維持しておく必要がなく、よりスムーズに商品22の補充作業を進めることができる。片手で押圧体24を維持しながら、もう片方の手で商品22の補充作業を進めるのではなく、両手で商品22の補充作業を進めることができるので、この点でもよりスムーズに商品22の補充作業を進めることができる。
【0033】
本実施形態のように、スライドレール21に、スライドベース23を補充姿勢に維持するためのロック機構62を設けていると、不用意にスライドベース23が収納姿勢に移動することや、不用意に押圧体24が前方に変位することを確実に防ぐことができる。これにより、作業者は両手で商品22の補充作業を行うことができる。また、よりスムーズに商品22の補充作業を進めることができる。
【0034】
ロック機構62を、可動レール33に沿って前後方向に伸びる操作軸63と、操作軸63の前端に形成されて操作軸63を回転させる操作レバー64と、操作軸63の後端に形成されて、操作軸63の回転に応じて回転される操作片65とを有するものとし、スライドベース23を補充姿勢として、可動レール33を固定レール32から引出した状態で、操作レバー64を回転操作することで、操作片65が固定レール32の前端に係合されて、スライドベース23が収納姿勢に変位することを阻止するように構成した。これによれば、操作レバー64を回転させるだけのワンタッチの操作で、ロック機構62をオンとして、スライドベース23を補充姿勢に維持することができる。したがって、ロック機構62のロック操作が容易で手間取ることは無く、商品22の補充作業もスムーズに進めることができる。
【0035】
スライドベース23を収納姿勢として、可動レール33を固定レール32内に引き入れた状態で、操作レバー64を回転操作することで、操作片65が固定レール32に形成された被係止片67に係合されて、スライドベース23が補充姿勢に変位することを阻止するように構成したので、ロック機構62に、スライドベース23を収納姿勢に保持させる機能を付与することができる。これによれば、商品22の補充作業後にスライドベース23を収納姿勢に保持させることができるので、商品22の販売時において、不用意にスライドベース23が補充姿勢に変位することを防ぐことができる。操作レバー64を回転操作するだけでのワンタッチの操作で、ロック機構62をオンとして、スライドベース23を収納姿勢に維持することが可能であり、ロック操作が容易である点でも優れている。
【0036】
ロック機構62の回転軸63は、操作片65が被係止片67及び固定レール32の前端に係合する向きに回転するように、ばね部材(例えばキックばね)で付勢することができる。この場合には、スライドベース23を後方側の収納姿勢から前方側の補充姿勢へ移動させる操作は、ばね部材の付勢力に抗して、被係止片67に対する操作片65の係合状態が解除される向きへ操作レバー64を回転操作したのち、これを保持したままスライドベース23を前方へと移動させる。そして、第1・第2可動レール33a・33bを固定レール32から引出した状態で操作レバー64を離せば、操作片65はばね部材の付勢力で固定レール32の前端に係合する向きに自動的に変位し、操作片65と固定レール32の前端との係合状態が確立される。
【0037】
一方、スライドベース23を前方側の補充姿勢から後方側の収納姿勢へ移動させる操作は、ばね部材の付勢力に抗して、固定レール32の前端に対する操作片65の係合状態が解除される向きへ操作レバー64を回転操作したのち、これを保持したままスライドベース23を後方へと移動させる。そして、第1・第2可動レール33a・33bを固定レール32内に引き入れた状態で操作レバー64を離せば、操作片65はばね部材の付勢力で被係止片67に係合する向きに自動的に変位し、操作片65と被係止片67との係合状態が確立される。このように、回転軸63をばね部材で付勢した場合には、収納姿勢から補充姿勢、或いは補充姿勢から収納姿勢へとスライドベース23を移動させる操作の一部を自動化することができる。
【符号の説明】
【0038】
20 支持部材
21 スライドレール
22 商品
23 スライドベース
24 押圧体
25 ガイド機構
26 ばね部材
29 被係止部
32 固定レール
33 可動レール
33a 第1可動レール
33b 第2可動レール
49 ケース(ばね箱)
53 係止部
55 ぜんまい部
55b 終端部
62 ロック機構
63 操作軸
64 操作レバー
65 操作片
67 被係止片
図1
図2
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図10