(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178712
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】消泡剤
(51)【国際特許分類】
A23L 29/10 20160101AFI20241218BHJP
C13B 99/00 20110101ALI20241218BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20241218BHJP
A23L 11/45 20210101ALN20241218BHJP
【FI】
A23L29/10
C13B99/00
C12N1/00 E
A23L11/45 106B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097068
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】平川 剛
【テーマコード(参考)】
4B020
4B035
4B065
【Fターム(参考)】
4B020LB18
4B020LC10
4B020LG05
4B020LQ06
4B035LC16
4B035LE03
4B035LG09
4B035LG11
4B035LG12
4B035LK06
4B065AA19X
4B065BB40
4B065BC19
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】起泡性が高い発泡液に対しても優れた消泡性が得られる消泡剤を提供することである。
【解決手段】動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含むことを特徴とする消泡剤を用いる。動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の重量に基づいて、動植物油(A)の含有量が10~85重量%、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)の含有量が0.5~15重量%、ソルビタン脂肪酸エステル(C)の含有量が10~70重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有量が0.3~12重量%であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含むことを特徴とする消泡剤。
【請求項2】
動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の重量に基づいて、動植物油(A)の含有量が10~85重量%、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)の含有量が0.5~15重量%、ソルビタン脂肪酸エステル(C)の含有量が10~70重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有量が0.3~12重量%である請求項1に記載の消泡剤。
【請求項3】
洗浄工程、加工工程、成形工程及び充填工程からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品製造工程において、請求項1又は2に記載の消泡剤を食品原料、洗浄液及び/又は食品中間体に添加することを特徴とする食品の製造方法。
【請求項4】
工業原料、食品原料及び医薬原料からなる群より選ばれる少なくとも1種の発酵産生物を生産する発酵工程において、請求項1又は2に記載の消泡剤を発酵液に添加して発酵させることを特徴とする発酵産生物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「油脂、多価アルコール脂肪酸エステル、大豆リン脂質および天然ロウの中から選ばれる1種又は2種以上の脂質10部と、無機物質0.5ないし300部とから成る組成物において、1種又は2種以上の脂質が脂質分解酵素により加水分解処理されていることを特徴とする、食品、飼料製造用あるいは発酵工業用の消泡剤組成物」が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の消泡剤では、十分な消泡性が得られないという問題がある。
本発明の目的は、起泡性が高い発泡液に対しても優れた消泡性が得られる消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含む点を要旨とする。
【0006】
本発明の食品の製造方法の特徴は、洗浄工程、加工(切断、粉砕、混合、煮沸及び/又は加熱等)工程、成形工程及び充填工程からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品製造工程において、上記に記載の消泡剤を食品原料、洗浄液及び/又は食品中間体に添加する点を特徴とする。
【0007】
本発明の発酵産生物の製造方法の特徴は、工業原料、食品原料及び医薬原料からなる群より選ばれる少なくとも1種の発酵産生物を生産する発酵工程において、上記の消泡剤を発酵液に添加して発酵させる点を要旨とする。
【0008】
動植物油(A)としては、動植物から得られる油であれば制限がなく、植物油(菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、ヤシ油、べに花油、オリーブ油、こめ油、ごま油、アマニ油、ひまし油、綿実油、ひまわり油、落花生油及び荏胡麻油等)及び動物油(牛脂、豚油、羊油、鯨油及び魚油等)が挙げられる。これらのうち、消泡性の観点から植物油が好ましく、異なる種類の動植物油(A)を混合して使用してもよい。
【0009】
動植物油(A)の融点(℃)としては、-25~30が好ましく、さらに好ましくは-20~15、特に好ましくは-17~0である。
融点(℃)は、JIS K0064-1992に準拠して測定される値である(以下同様である。)。すなわち、試料を毛管に充填し、予想した融点より約10℃低い温度まで徐々に昇温又は冷却させたのち、温度が1分間に約3℃上昇するように加熱する。予想した融点より約5℃低い温度となった後,1分間に約1℃上昇するように加熱を続ける。試料が毛管内で溶融して固体を認めなくなったときの温度を読み取り融点とする。
【0010】
石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)のうち石油ワックスとしては、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。また、合成ワックスとしては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス及び酸変性ポリエチレンワックス等が挙げられる。これらのうち、消泡性の観点からパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスが好ましく、異なる種類のワックス(B)を混合して使用してもよい。
【0011】
石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)の融点(℃)としては、40~150が好ましく、さらに好ましくは50~120、特に好ましくは61~110である。この範囲であると消泡性がさらに良好となる。
【0012】
ソルビタン脂肪酸エステル(C)としては、ソルビタンの脂肪酸モノエステル、ソルビタンの脂肪酸ジエステル及びソルビタンの脂肪酸トリエステルが含まれ、ソルビタン脂肪酸エステル(C)を構成する脂肪酸としては、炭素数8~24(好ましくは10~22、さらに好ましくは12~18)の脂肪酸が含まれる。ソルビタン脂肪酸エステル(C)は、同じ種類の脂肪酸で構成されてもよく、一部又は全部の脂肪酸が異なった種類で構成されてもよい。また、異なる種類のソルビタン脂肪酸エステル(C)を混合して使用してもよい。
【0013】
ソルビタン脂肪酸エステル(C)としては、ソルビタンモノオクタネート、ソルビタンモノデカネート、ソルビタンモノドデカネート、ソルビタンモノテトラデカネート、ソルビタンモノヘキサデカネート、ソルビタンモノオクタデカネート、ソルビタンモノヘキサデセネート、ソルビタンモノオクタデセネート、ソルビタンモノオクタデカジエネート、ソルビタンジオクタネート、ソルビタンジドデカネート、ソルビタンジヘキサデセネート、ソルビタンジオクタデカネート、ソルビタンジオクタデセネート、ソルビタンジオクタデカジエネート、ソルビタントリオクタネート、ソルビタントリドデカネート、ソルビタントリヘキサデセネート、ソルビタントリオクタデカネート、ソルビタントリオクタデセネート及びソルビタントリオクタデカジエネート等が挙げられる。
【0014】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)としては、重合度が3~20であるポリグリセリンの脂肪酸エステルが含まれ、部分エステルでもフルエステルでもよく、これらの混合体でもよい。
【0015】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を構成する脂肪酸はソルビタン脂肪酸エステル(C)を構成する脂肪酸と同様である。
【0016】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)のエステル化率(モル%)は、15~100が好ましく、さらに好ましくは30~70である。
【0017】
エステル化率(%)は、JIS K0070-1992「4.1中和滴定法」に準拠して、けん化価(K; mgKOH/g)及び水酸基価(H; mgKOH/g)を求め、次式で求められる。
エステル化率(モル%)=100K/(K+H)
【0018】
動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の重量に基づいて、動植物油(A)の含有量(重量%)は10~85 (さらに好ましくは22~75、特に好ましくは36~66)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)の含有量(重量%)は0.5~15(さらに好ましくは1~10、特に好ましくは2~8)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)の含有量(重量%)は10~70(さらに好ましくは20~60、特に好ましくは30~50)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有量(重量%)は0.3~12(さらに好ましくは0.8~9、特に好ましくは1.5~6)が好ましい。この範囲であると消泡性がさらに良好となる。
【0019】
本発明の消泡剤の製造方法としては、特に制限はないが、公知の方法(特許第4898994号等)等が適用でき、動植物油(A)の一部、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を加熱撹拌しながら、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)を溶解させて溶解液(A’BCD)を得る工程、動植物油(A)の残部を撹拌しながらこれに溶解液(A’BCD)を投入して混合物(ABCD)を得る工程、並びに混合物(ABCD)を微細化処理(均質化処理)をして消泡剤を得る方法等が適用できる。
【0020】
本発明の消泡剤は、本発明の効果を阻害しない限り、動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外に、その他の化合物{シリコーンオイル(25℃動粘度100~3万、変性体を含む)、アルキレンビスアルキルアミド(アルキレンの炭素数2~6、アルキルの炭素数10~18)、脂肪酸アルミニウム(脂肪酸の炭素数10~18)、疎水性シリカ}、公知の添加剤(分散剤、乳化剤、凍結防止剤、粘度指数向上剤等)及び/又は溶剤等を含有してもよい。
【0021】
本発明の消泡剤にその他の化合物、公知の添加剤及び/又は溶剤等を含有する場合、これらは、動植物油(A)、石油ワックス及び合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種のワックス(B)、ソルビタン脂肪酸エステル(C)及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)と均一に混合できれば製造工程のいずれの段階で混合してもよい。
【0022】
本発明の食品の製造方法において、食品原料、洗浄液及び/又は食品中間体に消泡剤を添加する添加箇所としては、洗浄工程、加工工程、成形工程及び充填工程からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品製造工程、これらの工程よりも前の工程及びこれらの工程よりも後の工程を含み、廃棄物処理工程(食品の製造方法によって発生する廃棄物を処理する工程であって廃水処理工程を含む)も含む。
【0023】
消泡剤の添加方法は特に制限はなく、事前に、食品原料、洗浄液及び/又は食品中間体に添加しておいてもよいし、食品製造工程で連続又は断続的に添加してもよく、これらのいずれか、または両方の方法で添加することができる。
【0024】
食品としては特に制限はないが、生鮮食品(野菜、果物、鮮魚及び精肉等)、加工食品(醸造食品、缶詰食品、瓶詰食品、レトルト食品、冷凍食品及びフリーズドライ食品等)及び飲料(茶、コーヒー、ココア、果汁飲料、炭酸飲料、スポーツ飲料、ノンアルコール飲料、酒、加工乳、乳飲料、豆乳及びスープ等)等が挙げられる。
【0025】
消泡剤の添加量は、発泡状態によって適宜添加量を調整することができ特に制限はないが、食品原料、洗浄液又は食品中間体の重量に基づいて、0.001~10重量%程度が好ましい。
【0026】
本発明の発酵産生物の製造方法において、発酵液に消泡剤を添加する添加箇所としては、発酵工程、発酵工程よりも前の工程及び発酵工程よりも後の工程を含み、廃棄物処理工程(発酵産生物の製造方法によって発生する廃棄物を処理する工程であって廃水処理工程を含む)も含む。
【0027】
消泡剤の添加方法は特に制限はなく、事前に、発酵液に添加しておいてもよいし、発酵工程で連続又は断続的に添加してもよく、これらのいずれか、または両方の方法で添加することができる。
【0028】
工業原料、食品原料及び医薬原料からなる群より選ばれる少なくとも1種の発酵産生物としてはアミノ酸、タンパク質、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸、アミン及び炭化水素が含まれる。これらの発酵産生物は、工業原料、食品原料及び/又は医薬原料として有用な物質である。
【0029】
アミノ酸としては、バリン、ロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びヒスチジン等が挙げられる。
【0030】
タンパク質としては、酵素(酸化還元酵素、加水分解酵素及び合成酵素等)、ホルモンタンパク質(インターフェロンα、成長ホルモン、インスリン及びグルカゴン等)、発光タンパク質(ルシフェラーゼ等)及びペプチド等が挙げられる。
【0031】
アルコールとしては、モノオール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ドデカノール、イソオクタデカノール、フェノール及びオクタデセノール等);ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン等);及び糖類{単糖類(グリセリン、エリトルロース、エリトリトール、アラビノース、キシルロース、キシリトール、フルクトース、ソルボース、グルコース、マンノース、ラクトース及びソルビトール等)、二糖類(スクロース、ラクトース及びトレハロース等)、三糖類(ラフィノース及びマルトトリオース等)、四糖類(アカルボース及びスタキオース等)及び多糖類(デンプン、セルロース、デキストリン及びキチン等)}等が挙げられる。
【0032】
カルボン酸としては、エタン酸、プロパン酸、デカン酸、オクタデセン酸、エタン二酸、ブタン二酸、2-プロペン酸、2-メチルプロペン酸、ブテン二酸、2-メチリデンブタン二酸、安息香酸及びベンゼンジカルボン酸等が挙げられる。
【0033】
カルボン酸エステルとしては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ペンタン酸メチル、ドデカン酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ドデシル、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸プロピル及びサリチル酸メチル等が挙げられる。
【0034】
ヒドロキシカルボン酸としては、2-ヒドロキシエタン酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2,3-ジヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、2-ジヒドロキシブタン二酸、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸及び2-ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
【0035】
アミンとしては、アンモニア、メチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン及びトリエチレンテトラミン等が挙げられる。
【0036】
炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、デカン、ドデカン、エチレン、プロピレン、ブテン、1,3-ブタジエン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン及びスチレン等が挙げられる。
【0037】
消泡剤の添加量は、発泡状態によって適宜添加量を調整することができ特に制限はないが、発酵液の重量に基づいて、0.001~10重量%程度が好ましい。
【0038】
発酵工程で使用できる発酵菌としては特に制限は無く、公知の微生物(たとえば、特開2013-39085号公報の0023段落、特開2011-92188号公報の0012段落に記載された微生物)等が使用できる。
【0039】
発酵工程で使用できる原料としては、発酵菌に悪影響がなければ特に制限は無く、糖質原料(さとうきび、モラセス及び甜菜糖等)、デンプン原料(トウモロコシ、ソルガム及びジャガイモ等)、セルロース原料(針葉樹又は広葉樹等の木材、バガス、コーンストーバー、稲藁、籾殻、ネピアグラス、ケナフ、コウゾ、桑、アシ及びタケ等)、家畜のし尿及び排水(製紙工場排水等)等が使用できる他に、微生物用培地(食品や医薬品等の製造用)等も使用できる。
【実施例0040】
以下、特記しない限り、部は重量部を意味する。
<製造例1>
ポリグリセリン(e1){ポリグリセリン#750、阪本薬品工業株式会社、ポリグリセリンの重合度10}100部(0.13モル)、脂肪酸(f1){ルナック S-98、花王株式会社、ステアリン酸、「ルナック」は同社の登録商標である。}157.4部(0.55モル)及び水酸化カリウム{試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社}0.8部を窒素雰囲気下で混合した後、減圧下150℃で水を留去しながらエステル化反応させて、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d1:エステル化率30モル%)を得た。
【0041】
<製造例2>
ポリグリセリン(e1)100部(0.13モル)、脂肪酸(f2){ルナック O-V、花王株式会社、オレイン酸}270.8部(0.98モル)及び水酸化カリウム1.1部を窒素雰囲気下で混合した後、減圧下150℃で水を留去しながらエステル化反応して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d2:エステル化率55モル%)を得た。
【0042】
<製造例3>
ポリグリセリン(e1)(0.13モル)100部、脂肪酸(f3){ルナック L-98、花王株式会社、ラウリン酸}179部(0.89モル)及び水酸化カリウム0.8部を窒素雰囲気下で混合した後、減圧下150℃で水を留去しながらエステル化反応して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d3:エステル化率49モル%)を得た。
【0043】
<製造例4>
ポリグリセリン(e2)(0.20モル){ポリグリセリン#500、阪本薬品工業株式会社、ポリグリセリンの重合度6}100部、脂肪酸(f4){ルナック MY-98、花王株式会社、ミリスチン酸}308.1部(1.34モル)及び水酸化カリウム1.2部を窒素雰囲気下で混合した後、減圧下150℃で水を留去しながらエステル化反応して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d4:エステル化率70モル%)を得た。
【0044】
<製造例5>
ポリグリセリン(e3){ポリグリセリン#310、阪本薬品工業株式会社、ポリグリセリンの重合度4}100部(0.32モル)、脂肪酸(f2)243.2部(0.88モル)及び水酸化カリウム1部を窒素雰囲気下で混合した後、減圧下150℃で水を留去しながらエステル化反応して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d5:エステル化率43モル%)を得た。
【0045】
<製造例6>
ポリグリセリン(e3)100部(0.32モル)、脂肪酸(f3)261.4部(1.30モル)及び水酸化カリウム1.1部を窒素雰囲気下で混合した後、減圧下150℃で水を留去しながらエステル化反応して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(d6:エステル化率60モル%)を得た。
【0046】
<実施例1>
動植物油(a1){菜種白絞油、日清オイリオグループ株式会社、融点-6℃}36部、ワックス(b1){Paraffin Wax-140、パラフィンワックス、日本精蝋株式会社、融点61℃}8部を80℃で均一混合したのち、30℃まで攪拌しながら冷却して混合液を得た。この混合液をホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG-92G、タイテック株式会社、「ハイフレックス」はテルモ株式会社の登録商標である。)にて4000rpmで均質化処理してワックス分散液を得た。このワックス分散液にソルビタン脂肪酸エステル(c1){レオドール SP-L10、ソルビタンモノラウレート、花王株式会社、「レオドール」は同社の登録商標である。}50部及びポリグリセリン脂肪酸エステル(d1){重合度10のポリグリセリンのステアリン酸部分エステル、エステル化率30モル%}6部を加えて均一混合して、本発明の消泡剤(1)を得た。
【0047】
<実施例2>
動植物油(a2){綿実油、日清オイリオグループ株式会社、融点0℃}45部、ワックス(b2){Paraffin Wax-155、パラフィンワックス、日本精蝋株式会社、融点69℃}5部を80℃で均一混合したのち、30℃まで攪拌しながら冷却して混合液を得た。この混合液をホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG-92G、タイテック株式会社)にて4000rpmで均質化処理してワックス分散液を得た。このワックス分散液にソルビタン脂肪酸エステル(c2){ノニオン MP-30R、ソルビタンモノミリステート、日油株式会社}47部及びポリグリセリン脂肪酸エステル(d2){重合度10のポリグリセリンのオレイン酸部分エステル、エステル化率55モル%}3部を加えて均一混合して、本発明の消泡剤(2)を得た。
【0048】
<実施例3>
動植物油(a3){ひまわり油、株式会社J-オイルミルズ、融点―17℃}57部、ワックス(b3){Hi-Mic-1090、マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋株式会社、融点88℃}6部を100℃で均一混合したのち、30℃まで攪拌しながら冷却して混合液を得た。この混合液をホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG-92G、タイテック株式会社)にて4000rpmで均質化処理してワックス分散液を得た。このワックス分散液にソルビタン脂肪酸エステル(c3){ノニオン OP-80R、ソルビタンモノオレート、日油株式会社}35部及びポリグリセリン脂肪酸エステル(d3){重合度10のポリグリセリンのラウリン酸部分エステル、エステル化率49モル%}2部を加えて均一混合して、本発明の消泡剤(3)を得た。
【0049】
<実施例4>
動植物油(a4){コーン油、株式会社J-オイルミルズ、融点―14℃}66部、ワックス(b4){Hi-Mic-2065、マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋株式会社、融点75℃}4部及びソルビタン脂肪酸エステル(c4){ポエム S-65V、ソルビタントリステアレート、日油株式会社、「ポエム」は理研ビタミン株式会社の登録商標である。}28.5部を80℃で均一混合したのち、30℃まで攪拌しながら冷却して混合液を得た。この混合液をホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG-92G、タイテック株式会社)にて4000rpmで均質化処理してワックス分散液を得た。このワックス分散液にポリグリセリン脂肪酸エステル(d4){重合度6のポリグリセリンのミリスチン酸部分エステル、エステル化率70モル%}1.5部を加えて均一混合して、本発明の消泡剤(4)を得た。
【0050】
<実施例5>
動植物油(a5){べに花油、株式会社J-オイルミルズ、融点―5℃}50部、ワックス(b5){ハイワックス 220P、ポリエチレンワックス、三井化学株式会社、融点110℃}2部を120℃で均一混合したのち、30℃まで攪拌しながら冷却して混合液を得た。この混合液をホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG-92G、タイテック株式会社)にて4000rpmで均質化処理してワックス分散液を得た。このワックス分散液に、ソルビタン脂肪酸エステル(c2)45部及びポリグリセリン脂肪酸エステル(d5){重合度4のポリグリセリンのオレイン酸部分エステル、エステル化率43モル%}3部を加えて均一混合して、本発明の消泡剤(5)を得た。
【0051】
<実施例6>
動植物油(a1)60部、ワックス(b3)5部を100℃で均一混合したのち、30℃まで攪拌しながら冷却して混合液を得た。この混合液をホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG-92G、タイテック株式会社)にて4000rpmで均質化処理してワックス分散液を得た。このワックス分散液に、ソルビタン脂肪酸エステル(c3)30部及びポリグリセリン脂肪酸エステル(d6){重合度4のポリグリセリンのラウリン酸部分エステル、エステル化率60モル%}5部を加えて均一混合して、本発明の消泡剤(6)を得た。
【0052】
<比較例>
特許文献1の処方例1に準拠して、比較用の消泡剤(H)を調製した。
【0053】
測定試料として実施例1~6及び比較例で得た消泡剤を用いて、以下のとおり消泡性を評価した。
【0054】
1.消泡性1(発泡成分:豆乳由来のサポニン、ペクチン及びレシチン)
活栓付きメスシリンダー(100mL)に豆乳(キッコーマン おいしい無調整豆乳、キッコーマン株式会社)40mLを入れ、60℃の恒温槽に保持して温度調整した後、豆乳に測定試料3μLを添加し、メスシリンダーを上下に強く10回振盪し起泡させてから豆乳及び泡の体積(mL)を読み取り下表に示した。この値が小さいほど消泡性が優れている。
ブランクとして、豆乳に測定試料3μLを添加しないこと以外、上記と同様にして豆乳及び泡の体積(mL)を読み取り下表に示した。
【0055】
【0056】
2.消泡性2(発泡成分:ゼラチン、鶏肉来のコラーゲン)
鶏肉の細切れ50部、ニンジンのみじん切り(1辺約2mm)50部、粉末ゼラチン(森永クックゼラチン、森永製菓株式会社、「クックゼラチン」は同社の登録商標である。)10部及びイオン交換水890部を混合し、調理液を調製した。調理液150mLに測定試料2μLを添加したのち、メスシリンダー(500mL)へ移し、90℃に保持した。ディフューザーストーンをメスシリンダーの底部へ挿入するとともにすぐに200L/分の空気を送気して調理液及び泡の体積(mL)が500mLに到達するまでの時間(秒)を計測し、下表に示した。この時間が長いほど消泡性に優れる。
ブランクとして、調理液に測定試料2μLを添加しないこと以外、上記と同様にして調理液及び泡の体積(mL)を読み取り下表に示した。
【0057】
【0058】
3.消泡性3(発泡成分:哺乳びん洗い由来のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル)
哺乳びん洗い800ml(100%食品用原料成分の哺乳びん洗い、野菜も洗える、基剤(水)、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、界面活性剤(しょ糖脂肪酸エステル)、界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル)、金属封鎖剤(クエン酸ナトリウム)、安定化剤(エタノール)、安定化剤(安息香酸ナトリウム)、安定化剤(ポリリジン);ピジョン株式会社)5部及びイオン交換水995部を混合し、洗浄液を調製した。洗浄液150mLに測定試料5μLを添加したのち、メスシリンダー(500mL)へ移し、30℃に保持した。ディフューザーストーンをメスシリンダーの底部へ挿入するとともにすぐに200L/分の空気を送気して洗浄液及び泡の体積(mL)が500mLに到達するまでの時間(秒)を計測し、下表に示した。この時間が長いほど消泡性に優れる。
ブランクとして、洗浄液に測定試料5μLを添加しないこと以外、上記と同様にして洗浄液及び泡の体積(mL)を読み取り下表に示した。
【0059】
【0060】
4.消泡性4(発泡成分:LB培地由来のヘプトン)
LB培地(ナカライテスク株式会社)25部、枯草菌(Bacillus subtilis)培養液5部及びイオン交換水970部を均一混合して培養液を調製し、この培養液150mLをメスシリンダー(500mL)に入れて35℃に温度調整した後、培養液に測定試料2μLを添加し、この温度でディフューザーストーンをメスシリンダーの底部へ挿入するとともにすぐに400mL/分の空気を送気して発酵液及び泡の体積(mL)が500mLに到達するまでの時間(秒)を計測し、下表に示した。この時間が長いほど消泡性に優れる。
ブランクとして、培養液に測定試料2μLを添加しないこと以外、上記と同様にして培養液及び泡の体積(mL)が500mLに到達するまでの時間(秒)を計測し下表に示した。
なお、枯草菌(Bacillus subtilis)培養液はNITEバイオテクノロジーセンターより購入し、上記培養液を用いて事前に培養した培養液を使用した。
【0061】
【0062】
5.消泡性5(発泡成分:糖みつ由来のデキストラン、サポナリン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、イースト由来のホスファチジルコリン)
さとうきび糖みつ(株式会社丸協農産)30部、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(イオネット T-80V、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)1.5部、ドライイースト(スーパーカメリア、日清フーズ株式会社)3部及びイオン交換水965.5部を均一混合して、バイオエタノール発酵液を調整し、この発酵液150mLをメスシリンダー(500mL)に入れて35℃に温度調整した後、発酵液に測定試料4μLを添加し、この温度で、ディフューザーストーンをメスシリンダーの底部へ挿入するとともにすぐに200mL/分の空気を送気して、発酵液及び泡の体積(mL)が500mLに到達するまでの時間(秒)を計測し、下表に示した。この時間が長いほど消泡性に優れる。
ブランクとして、発酵液に測定試料4μLを添加しないこと以外、上記と同様にして発酵液及び泡の体積(mL)が500mLに到達するまでの時間(秒)を計測し下表に示した。
【0063】
【0064】
本発明の消泡剤(実施例1~6)は、従来の消泡剤(比較例)に比べ、消泡性が非常に優れていた。
以上の結果から、食品原料、洗浄液及び/又は食品中間体に含まれる発泡成分(サポニン等の配糖体やペクチン等の多糖類、レシチン等のリン脂質;ゼラチンやコラーゲン等のタンパク質;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤等)が、洗浄工程、加工工程、成形工程及び充填工程からなる群より選ばれる少なくとも1種の食品製造工程において、泡によるトラブルを生じさせることを防ぐことができる。
【0065】
また、発酵液に含まれる発泡成分(ヘプトン等のポリペプチド;デキストラン等の多糖類やサポナリン等の配糖体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤、ホスファチジルコリン等のリン脂質等)が、工業原料、食品原料及び医薬原料からなる群より選ばれる少なくとも1種の発酵産生物を生産する発酵工程において、泡によるトラブルを生じさせることを防ぐことができる。