IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特開2024-178715ロックホッパの運転方法、および固体移動装置
<>
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図1
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図2
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図3
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図4
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図5
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図6
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図7
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図8
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図9
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図10
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図11
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図12
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図13
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図14
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図15
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図16
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図17
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図18
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図19
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図20
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図21
  • 特開-ロックホッパの運転方法、および固体移動装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178715
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ロックホッパの運転方法、および固体移動装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/26 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
C01B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097081
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】當房 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉本 俊純
(72)【発明者】
【氏名】大本 節男
(72)【発明者】
【氏名】大宮 孝真
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140DA03
4G140DB02
4G140DB05
4G140DC02
(57)【要約】
【課題】不燃性ガスの混入を意図しない経路における不燃性ガスの濃度が高まることなどを抑制できるようにすること。
【解決手段】ロックホッパの運転方法は、固体移動工程を有する。固体移動工程は、ロックホッパ内に固体を導入するまたはロックホッパから固体を排出することによって、可燃性ガス生成システム内および可燃性ガス生成システム外のいずれか一方から他方に固体を移動させる工程である。可燃性ガス生成システムは、可燃性ガスを生成するシステムである。ロックホッパの運転方法は、不燃性ガス導入工程と、排出工程と、を有する。不燃性ガス導入工程は、固体の導入口および固体の排出口とは別の経路からロックホッパ内に不燃性ガスを導入する工程である。排出工程は、ロックホッパ内のガスを、固体の導入口および固体の排出口とは別の経路を用いてロックホッパから排出する工程である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体移動工程を有したロックホッパの運転方法であって、
前記固体移動工程は、ロックホッパ内に固体を導入するまたは前記ロックホッパから前記固体を排出することによって、可燃性ガス生成システム内および前記可燃性ガス生成システム外のいずれか一方から他方に固体を移動させる工程であり、
可燃性ガス生成システムは、可燃性ガスを生成するシステムであり、
不燃性ガス導入工程と、排出工程と、を有し、
前記不燃性ガス導入工程は、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別の経路からロックホッパ内に不燃性ガスを導入する工程であり、
前記排出工程は、前記ロックホッパ内のガスを、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別の経路を用いて前記ロックホッパから排出する工程であるロックホッパの運転方法。
【請求項2】
前記不燃性ガス導入工程は、酸素追い出し工程を含み、
前記排出工程は、不燃性ガス追い出し工程を含み、
前記ロックホッパは、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別に、可燃性ガス排出経路、不燃性ガス排出経路、および不燃性ガス供給経路に接続されており、
前記可燃性ガス排出経路は、可燃性ガスを含んだガスが前記ロックホッパから排出される経路であり、
前記酸素追い出し工程は、前記ロックホッパ内に酸素が存在する状態において、不燃性ガスによって酸素を追い出すべく、前記ロックホッパと前記不燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ、前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記不燃性ガスを供給する工程であり、
前記不燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ前記ロックホッパに可燃性ガスを供給することによって前記ロックホッパから前記可燃性ガス排出経路へと前記ロックホッパ内の前記不燃性ガスを排出する工程であって且つ前記酸素追い出し工程の後に実行される工程である請求項1記載のロックホッパの運転方法。
【請求項3】
前記ロックホッパは、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別に、可燃性ガス排出経路、および不燃性ガス供給経路に接続されており、
前記可燃性ガス排出経路は、可燃性ガスを含んだガスが前記ロックホッパから排出される経路であり、
前記不燃性ガス導入工程および前記排出工程は、可燃性ガス追い出し工程を含み、
前記可燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパ内に前記可燃性ガスが含まれる状態において、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ、前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに不燃性ガスを供給する工程であり、
前記固体移動工程は、前記可燃性ガス追い出し工程の後に実行される請求項1記載のロックホッパの運転方法。
【請求項4】
前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、
前記生成ガス経路は、前記可燃性ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記混在ガス経路は、前記可燃性ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記不燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパ内の不燃性ガスを前記混在ガス経路に排出する工程であり、
生成ガス取り出し工程を有し、
前記生成ガス取り出し工程は、前記ロックホッパに生成ガスが存在する状態で、前記ロックホッパと前記生成ガス経路とを連通状態とすることによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記生成ガス経路に流出させる工程であり、
前記生成ガスは、前記可燃性ガス生成システムによって生成される前記可燃性ガスである請求項2記載のロックホッパの運転方法。
【請求項5】
前記ロックホッパに供給される前記可燃性ガスは、炭化水素であり、
前記可燃性ガス生成システムが用いる原料は、炭化水素であり、
前記可燃性ガス生成システムの生成対象となる前記可燃性ガスは、水素であり、
前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、
前記不燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ、前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記炭化水素を供給する工程である請求項2記載のロックホッパの運転方法。
【請求項6】
加圧工程を有し、
前記加圧工程は、前記ロックホッパ内を前記可燃性ガス排出経路から遮断しつつ前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記炭化水素を供給する工程であって且つ前記不燃性ガス追い出し工程の後に実行される工程である請求項5記載のロックホッパの運転方法。
【請求項7】
前記固体移動工程は、固形物払出工程であり、
前記固形物払出工程は、炭化水素の熱分解によって生成された前記炭化水素および水素の混合気である生成ガスと前記固体としての炭素とのうちの前記炭素が前記ロックホッパ内に充填されている状態で、前記排出口を開放することによって前記ロックホッパから炭素を前記可燃性ガス生成システム外に排出する工程であり、
前記酸素追い出し工程は、前記固形物払出工程によって前記ロックホッパ内に侵入した酸素を前記ロックホッパから追い出す工程である請求項2記載のロックホッパの運転方法。
【請求項8】
固形物貯留工程と、脱圧工程と、生成ガス追い出し工程と、を有し、
前記固形物貯留工程は、前記熱分解によって生成された前記炭素を前記導入口から前記ロックホッパ内に受け入れる工程であり、
前記脱圧工程は、前記導入口を遮断した状態において前記ロックホッパから前記生成ガスを前記可燃性ガス排出経路に排出する工程であり、
前記生成ガス追い出し工程は、前記脱圧工程の後、前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記不燃性ガスを供給することによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記可燃性ガス排出経路に排出する工程であり、
前記固形物払出工程は、前記生成ガス追い出し工程の後に実行される請求項7記載のロックホッパの運転方法。
【請求項9】
前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、
前記生成ガス経路は、前記生成ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記混在ガス経路は、前記可燃性ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、
生成ガス回収工程を有し、
前記生成ガス回収工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記炭化水素を前記ロックホッパに供給することによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記生成ガス経路に排出する工程であって且つ、前記脱圧工程と前記生成ガス追い出し工程との間に実行される工程であり、
前記生成ガス追い出し工程は、前記ロックホッパ内の前記炭化水素を前記混在ガス経路に排出する工程である請求項8記載のロックホッパの運転方法。
【請求項10】
前記炭化水素の前記熱分解は、前記炭化水素の圧力が大気圧よりも高い状態においてなされるものであり、
前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、
加圧工程を有し、
前記加圧工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパへと前記炭化水素を供給することによって前記ロックホッパ内を加圧する工程であり、
前記固形物貯留工程は、前記加圧工程の後に実行される請求項8記載のロックホッパの運転方法。
【請求項11】
前記ロックホッパに供給される前記可燃性ガスは、炭化水素であり、
前記可燃性ガス生成システムが用いる原料は、炭化水素であり、
前記可燃性ガス生成システムの生成対象となる前記可燃性ガスは、水素であり、
前記固体移動工程は、固形物受入工程を含み、
前記固形物受入工程は、前記炭化水素を水素と炭素とに熱分解するための前記固体としての触媒を前記可燃性ガス生成システム外から前記導入口を介して前記ロックホッパへと供給する工程であり、
前記酸素追い出し工程は、前記固形物受入工程によって前記ロックホッパに侵入した酸素を前記ロックホッパから追い出す工程である請求項2記載のロックホッパの運転方法。
【請求項12】
前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、
加圧工程、および固形物払出工程を有し、
前記加圧工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパへと前記炭化水素を供給することによって前記ロックホッパ内を加圧する工程であり、
前記固形物払出工程は、前記熱分解のための反応器側に前記触媒を供給すべく前記排出口から前記触媒を排出する工程であって且つ、前記加圧工程の後に実行される工程であり、
前記反応器内の圧力は大気圧よりも高い請求項11記載のロックホッパの運転方法。
【請求項13】
脱圧工程を有し、
前記脱圧工程は、前記固形物払出工程によって前記ロックホッパ内に流入した生成ガスを前記可燃性ガス排出経路から排出する工程であり、
前記生成ガスは、前記炭化水素の熱分解によって生成された前記炭化水素および水素の混合気である請求項12記載のロックホッパの運転方法。
【請求項14】
生成ガス追い出し工程を有し、
前記生成ガス追い出し工程は、前記脱圧工程の後に、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに不燃性ガスを供給することによって前記ロックホッパから前記可燃性ガス排出経路へと前記生成ガスを排出する工程である請求項13記載のロックホッパの運転方法。
【請求項15】
前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、
前記生成ガス経路は、前記生成ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記混在ガス経路は、前記生成ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記脱圧工程は、前記生成ガスを前記生成ガス経路へと排出する工程であり、
前記生成ガス追い出し工程は、前記ロックホッパから前記混在ガス経路へと前記生成ガスを排出する工程であり、
前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、
生成ガス回収工程を有し、
前記生成ガス回収工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記炭化水素を前記ロックホッパに供給することによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記生成ガス経路に排出する工程であって且つ前記脱圧工程と前記生成ガス追い出し工程との間に実行される請求項14記載のロックホッパの運転方法。
【請求項16】
不燃性ガス排出工程を有し、
前記不燃性ガス排出工程は、前記生成ガス追い出し工程の後に、前記ロックホッパから前記不燃性ガス排出経路に前記不燃性ガスを排出する工程であり、
前記固形物受入工程は、前記不燃性ガス追い出し工程の後に実行される請求項14記載のロックホッパの運転方法。
【請求項17】
前記ロックホッパから前記可燃性ガス排出経路へと排出された前記可燃性ガスを、前記可燃性ガス生成システムにおいて生成対象ガスを生成するための経路に戻すようにした請求項3記載のロックホッパの運転方法。
【請求項18】
可燃性ガス生成システム内および前記可燃性ガス生成システム外のいずれか一方から他方に固体を移動させるために利用されるロックホッパを備える固体移動装置であって、
可燃性ガス生成システムは、可燃性ガスを生成するシステムであり、
前記ロックホッパは、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別に、排出経路、および不燃性ガス供給経路に接続されており、
可燃性ガス排出経路は、可燃性ガスを含んだガスが前記ロックホッパから排出される経路であり、
不燃性ガス供給経路は、前記ロックホッパに不燃性ガスを供給する経路である固体移動装置。
【請求項19】
前記排出経路は、可燃性ガス排出経路および不燃性ガス排出経路を含み、
前記可燃性ガス排出経路は、前記ロックホッパ内の可燃性ガスを含んだガスが排出される経路であり、
前記不燃性ガス排出経路は、前記ロックホッパ内の不燃性ガスを大気に放出する経路である請求項18記載の固体移動装置。
【請求項20】
前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、
前記生成ガス経路は、前記可燃性ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、
前記混在ガス経路は、前記可燃性ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路である請求項19記載の固体移動装置。
【請求項21】
前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、
前記可燃性ガス供給経路は、前記ロックホッパに可燃性ガスを供給する経路である請求項18記載の固体移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックホッパの運転方法、および固体移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、可燃性ガスを生成する際に生成される固形物を除去する集塵装置が記載されている。この集塵装置は、可燃性ガスから固形物を取り除くフィルタ装置を備える。そしてフィルタ装置は、受け入れ弁を介してロックホッパに接続されている。受け入れ弁が開状態となっている期間に、フィルタからロックホッパに固形物が蓄積する。ロックホッパに蓄積された固形物が所定量に達すると、受け入れ弁が閉じられる。そしてロックホッパ内に不燃性ガスとしての窒素が供給される。その後、ロックホッパから固形物が排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-110166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記装置では、ロックホッパ内に供給された窒素に起因して、可燃性ガスの生成経路内の窒素濃度が高まるおそれがある。また、ロックホッパから固体を大気開放された空間に放出する場合等には、大気中に可燃ガスが流出するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.固体移動工程を有したロックホッパの運転方法であって、前記固体移動工程は、ロックホッパ内に固体を導入するまたは前記ロックホッパから前記固体を排出することによって、可燃性ガス生成システム内および前記可燃性ガス生成システム外のいずれか一方から他方に固体を移動させる工程であり、可燃性ガス生成システムは、可燃性ガスを生成するシステムであり、不燃性ガス導入工程と、排出工程と、を有し、前記不燃性ガス導入工程は、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別の経路からロックホッパ内に不燃性ガスを導入する工程であり、前記排出工程は、前記ロックホッパ内のガスを、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別の経路を用いて前記ロックホッパから排出する工程であるロックホッパの運転方法。
【0006】
上記不燃性ガス導入工程で導入された不燃性ガスを排出工程において排出するなら、ロックホッパにおける導入口または排出口のうちいずれかの側にあって不燃性ガスの混入を意図しない経路における不燃性ガスの濃度が高まることを抑制できる。また、上記排出工程において、不燃性ガス導入工程によって導入した不燃性ガスによって可燃性ガスをロックホッパから追い出すなら、固体移動工程において、システム外に可燃性ガスが流出することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態にかかる燃料ガス生成システムの構成を示す図である。
図2】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図3】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図4】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図5】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図6】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図7】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図8】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図9】同実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図10】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図11】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図12】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図13】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図14】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図15】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図16】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図17】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図18】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
図19】第2の実施形態にかかる燃料ガス生成システムの構成を示す図である。
図20】第3の実施形態にかかる燃料ガス生成システムの構成を示す図である。
図21】第4の実施形態にかかる炭素排出処理の一工程を示す図である。
図22】同実施形態にかかる触媒供給処理の一工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
「システム構成」
図1に、本実施形態にかかる可燃性ガスの生成システムの構成を示す。図1に示すシステムは、メタンを原料として水素を生成するシステムである。水素は、一例として発電用のガスタービンの燃料であってもよい。
【0009】
図1に示すように、システムに供給されるメタンは圧縮機10にて加圧されて可燃性ガス供給経路50に供給される。可燃性ガス供給経路50には、原料ガス経路12が接続されている。原料ガス経路12内のメタンは、熱交換器14によって加熱された後、反応器16に供給される。反応器16は、熱分解によってメタンを水素と炭素とに分解する装置である。反応器16には、触媒が設けられている。触媒は、一例として、鉄である。反応器16において、触媒の状態は、一例として流動床触媒の状態とされる。反応器16内において、反応するメタンおよび触媒の温度は、たとえば、750~900°Cとされる。また、反応器16内の圧力は、大気圧よりも高い。反応器16内の圧力は、たとえば数ata~数十ataであってもよい。
【0010】
反応器16において熱分解によって生成された水素および炭素と、反応器16内のメタンとは、熱交換器14へと流入する。熱交換器14から流出したメタンおよび水素の混合気と、炭素とは、サイクロン20に流入する。サイクロン20は、混合気と炭素との混合物から炭素を分離する遠心分離装置である。サイクロン20は、フィルタ装置22に接続されている。これは、サイクロン20によっては分離できなかった炭素を捕捉する装置である。フィルタ装置22から流出する混合気は、圧縮機24によって圧縮された後、水素精製装置26に供給される。水素精製装置26は、一例として、PSA(Pressure Swing Adsorption)である。水素精製装置26によって混合気から抽出された水素が、本システムによって生成される水素である。
【0011】
水素精製装置26によって分離されたメタンは、オフガス圧縮機28によって圧縮された後、原料ガス経路12に戻される。なお、水素精製装置26においてメタンを分離する際に水素が利用されることから、オフガス圧縮機28には、メタンに加えて水素が流入する。
【0012】
サイクロン20およびフィルタ装置22によって混合気から分離された炭素は、供給ホッパ30へと流入する。供給ホッパ30は、導入バルブ32を介してロックホッパ34に接続されている。ロックホッパ34は、排出バルブ36を介して炭素を貯蔵庫38に排出する。貯蔵庫38は、大気開放されている。
【0013】
ロックホッパ34には、可燃性ガス供給バルブ52を介して可燃性ガス供給経路50が接続されている。また、ロックホッパ34には、不燃性ガス供給バルブ58を介して不燃性ガス供給経路56が接続されている。不燃性ガス供給経路56には、システムに供給される窒素が圧縮機54によって加圧されて供給される。
【0014】
ロックホッパ34は、生成ガスバルブ62を介して生成ガス経路60に接続されている。生成ガス経路60は、オフガス圧縮機28に接続されている。ロックホッパ34は、混在ガスバルブ66を介して混在ガス経路64に接続されている。混在ガス経路64には、ロックホッパ34から、メタン、水素、および窒素の混合気が排出される。この混合気は、混在ガス圧縮機72によって加圧されて水素精製装置74に供給される。水素精製装置74は、一例として、PSA(Pressure Swing Adsorption)である。水素精製装置74によって混合気から抽出された水素も、本システムによって生成される水素である。なお、水素精製装置74によって混合気から分離されたメタンと窒素との混合器は、たとえば燃焼によって除去してもよい。
【0015】
ロックホッパ34は、不燃性ガス排出バルブ70を介して不燃性ガス排出経路68に接続されている。不燃性ガス排出経路68は、大気開放されている。
貯蔵庫38に排出される固体には、厳密には、炭素のみならず、触媒である鉄と炭素との化合物が含まれる。再生装置40は、この化合物から鉄を抽出する。再生装置40によって抽出された鉄は、システムに新たに供給される鉄と合流して供給ホッパ80に供給される。
【0016】
供給ホッパ80は、導入バルブ82を介してロックホッパ84に接続されている。ロックホッパ84は、排出バルブ86を介して反応器16に接続されている。
ロックホッパ84には、可燃性ガス供給バルブ92を介して可燃性ガス供給経路90が接続されている。可燃性ガス供給経路90は可燃性ガス供給経路50に接続されている。ロックホッパ84は、不燃性ガス供給バルブ96を介して不燃性ガス供給経路94に接続されている。不燃性ガス供給経路94には、圧縮機54によって圧縮された窒素が供給される。
【0017】
ロックホッパ84は、生成ガスバルブ102を介して生成ガス経路100に接続されている。生成ガス経路100は、オフガス圧縮機28に接続されている。ロックホッパ84は、混在ガスバルブ106を介して混在ガス経路104に接続されている。混在ガス経路104には、ロックホッパ84から、メタン、水素、および窒素の混合気が排出される。この混合気は、混在ガス圧縮機72によって加圧されて水素精製装置74に供給される。ロックホッパ84は、不燃性ガス排出バルブ110を介して不燃性ガス排出経路108に接続されている。不燃性ガス排出経路108は、大気開放されている。
【0018】
制御装置200は、上述の生成システムを制御対象とする。制御装置200は、導入バルブ32、排出バルブ36、可燃性ガス供給バルブ52、不燃性ガス供給バルブ58、生成ガスバルブ62、混在ガスバルブ66、および不燃性ガス排出バルブ70を操作する。また、制御装置200は、導入バルブ82、排出バルブ86、可燃性ガス供給バルブ92、不燃性ガス供給バルブ96、生成ガスバルブ102、混在ガスバルブ106および不燃性ガス排出バルブ110を操作する。
【0019】
制御装置200は、PU202および記憶装置204を備えている。PU202は、CPU、GPU、およびTPU等の少なくとも1つを備えるソフトウェア処理装置である。記憶装置204には、上記14個のバルブを開閉する指令を含んだプログラムが記憶されている。このプログラムをPU202が実行することにより、上記14個のバルブの開閉制御が実現される。
【0020】
「炭素排出処理」
上述したように、反応器16内の圧力は、大気圧よりも高い。これにより、サイクロン20内の圧力およびフィルタ装置22内の圧力も大気圧よりも高い。一方、貯蔵庫38は、大気開放されている。そのため、反応器16を含む加圧系内の圧力を維持しつつ、炭素を加圧系から排出するために、上記ロックホッパ34が利用される。以下では、ロックホッパ34を用いた炭素の排出処理について図2図9を用いて説明する。なお、図2図9の図番は、工程の時系列に従っている。
【0021】
図2は、ロックホッパ34に固体の炭素112が蓄積された状態を示す。図2には、導入バルブ32、排出バルブ36、可燃性ガス供給バルブ52、不燃性ガス供給バルブ58、生成ガスバルブ62、混在ガスバルブ66、および不燃性ガス排出バルブ70の開閉状態を色分けして示している。すなわち、黒塗りのバルブは、閉状態であることを示す一方、白塗りのバルブは、開状態であることを示す。図2に示すように、ロックホッパ34に炭素112を蓄積する工程においては、上記7個のバルブのうちの導入バルブ32のみが開状態となっている。これにより、供給ホッパ30に流入した炭素112は、ロックホッパ34に流入する。なお、ロックホッパ34には、さらに、反応器16から流出した水素およびメタンの混合気も流入する。
【0022】
図3は、ロックホッパ34内を減圧する工程を示す。この工程は、図2に示した状態となることを条件に実行される工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの生成ガスバルブ62のみが開状態とされる。これにより、ロックホッパ34内の水素およびメタンの混合気である生成ガスが生成ガス経路60に流出する。
【0023】
図4は、ロックホッパ34から上記生成ガスを追い出す工程を示す。この工程は、図3に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの不燃性ガス供給バルブ58および混在ガスバルブ66のみが開状態とされる。これにより、不燃性ガス供給経路56からロックホッパ34に窒素が流入する。これにより、ロックホッパ34内の生成ガスが混在ガス経路64へと流出する。
【0024】
図5は、炭素112をロックホッパ34から排出する工程である。この工程は、図4に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの排出バルブ36のみが開状態とされる。これにより、炭素112は、重力の作用に従って、貯蔵庫38へと落下する。
【0025】
図6に、ロックホッパ34内の酸素を追い出す工程を示す。この工程は、図5に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの不燃性ガス供給バルブ58と不燃性ガス排出バルブ70との2つのみが開状態とされる。これにより、不燃性ガス供給経路56からロックホッパ34に窒素が流入する。ロックホッパ34には、図5の工程において排出口34bから酸素が流入している。そのため、この酸素は、ロックホッパ34への窒素の流入に伴って不燃性ガス排出経路68へと流出する。
【0026】
図7に、ロックホッパ34から窒素を追い出す工程を示す。この工程は、図6に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの可燃性ガス供給バルブ52と混在ガスバルブ66との2つのみが開状態とされる。これにより、可燃性ガス供給バルブ52からロックホッパ34へとメタンが流入する。そのため、ロックホッパ34内の窒素が混在ガス経路64に排出される。
【0027】
図8に、ロックホッパ34内を加圧する工程を示す。この工程は、図7に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの可燃性ガス供給バルブ52のみが開状態とされる。これにより、ロックホッパ34内のメタンの充填濃度が上昇し、ロックホッパ34内の圧力が上昇する。この工程は、ロックホッパ34内の圧力と反応器16内の圧力との差を低減するための工程である。この工程では、供給ホッパ30内の圧力とロックホッパ34内の圧力とを等しくすることが望ましい。
【0028】
図9に、ロックホッパ34に炭素を堆積する工程を示す。この工程は、図8に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの導入バルブ32のみが開状態とされる。これにより、炭素が蓄積されることにより、図2に示した状態となる。
【0029】
「触媒の供給処理」
上述した供給ホッパ80には、大気開放された状態で、鉄が供給される。大気圧下で供給される鉄を反応器16を備える加圧系に供給するために、ロックホッパ84が利用される。以下では、ロックホッパ84を用いた触媒の供給処理について図10図18を用いて説明する。
【0030】
図10は、供給ホッパ80内に触媒としての鉄114が供給された状態を示す。この状態では、導入バルブ82、排出バルブ86、可燃性ガス供給バルブ92、不燃性ガス供給バルブ96、生成ガスバルブ102、混在ガスバルブ106および不燃性ガス排出バルブ110の7個のバルブの全てが閉状態とされている。
【0031】
図11は、鉄114をロックホッパ84に供給する工程を示す。この工程は、図10の状態となることを条件に実行される。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの導入バルブ82のみが開状態とされる。これにより、供給ホッパ80内の鉄114は、重力の作用によってロックホッパ84の導入口84bへと落下する。
【0032】
図12は、ロックホッパ84内の酸素を追い出す工程を示す。この工程は、図11に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの不燃性ガス供給バルブ96および不燃性ガス排出バルブ110の2つのバルブのみが開状態とされる。これにより、不燃性ガス供給バルブ96からロックホッパ84へと窒素が供給される。ロックホッパ84には、図11に示した工程において供給ホッパ80から酸素が流入している。この酸素は、ロックホッパ84への窒素の流入に伴って、不燃性ガス排出経路108から排出される。
【0033】
図13は、ロックホッパ84内の窒素を追い出す工程を示す。図13に示す工程は、図12に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの可燃性ガス供給バルブ92および混在ガスバルブ106の2つバルブのみが開状態とされる。これにより、可燃性ガス供給経路90からロックホッパ84にメタンが流入する。そのため、ロックホッパ84内の窒素が混在ガス経路104に追い出される。
【0034】
図14に、ロックホッパ84内を加圧する工程を示す。この工程は、図13に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの可燃性ガス供給バルブ92のみが開状態とされる。これにより、可燃性ガス供給経路90からロックホッパ84にメタンが流入する。これにより、ロックホッパ84内のメタンの濃度が上昇することによって、ロックホッパ84内が加圧される。この工程は、ロックホッパ84内の圧力と反応器16内の圧力との差を低減するために設けられている。この工程において、ロックホッパ84内の圧力と排出バルブ86の下流の圧力とを等しくすることが望ましい。
【0035】
図15に、鉄114を反応器16に供給する工程を示す。この工程は、図14に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの排出バルブ86のみが開状態とされる。これにより、ロックホッパ84内の鉄114が重力の作用によりロックホッパ84から排出される。
【0036】
図16に、ロックホッパ84内の圧力を低下させる工程を示す。この工程は、図15に示した工程に続く工程である。この工程においては、PU202により、7個のバルブのうちの生成ガスバルブ102のみが開状態とされる。これにより、ロックホッパ84内の生成ガスが生成ガス経路100に流出する。なお、図15に示した工程では、反応器16側から生成ガスがロックホッパ84内に流入する。そのため、図16の工程が開始される時点においてロックホッパ84には、生成ガスが存在する。
【0037】
図17に、ロックホッパ84内の生成ガスを追い出す工程を示す。この工程は、図16に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの不燃性ガス供給バルブ96および混在ガスバルブ106の2つのバルブのみが開状態とされる。これにより、不燃性ガス供給経路94からロックホッパ84へと窒素が流入する。これにより、ロックホッパ84内の生成ガスが混在ガス経路104に追い出される。
【0038】
図18に、ロックホッパ84内を減圧する工程を示す。この工程は、図17に示した工程に続く工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの不燃性ガス排出バルブ110のみが開状態とされる。これにより、ロックホッパ84内の窒素が不燃性ガス排出バルブ110へと流出することによって、ロックホッパ84内の圧力が大気圧相当となる。
【0039】
「本実施形態の作用および効果」
(1-1)PU202は、図6に示す工程において窒素によってロックホッパ34の酸素を追い出した後、メタンをロックホッパ34に供給することによって、ロックホッパ34から窒素を追い出した。これにより、導入バルブ32の開弁に伴って反応器16側に窒素が流入することを抑制できる。
【0040】
(1-2)PU202は、導入バルブ32の開弁に先立って、図8に示したようにロックホッパ34を加圧した。これにより、導入バルブ32を開弁する際に必要な負荷を軽減できる。特に、導入口34aの面積が大きいなら、導入バルブ32の上流の圧力と下流の圧力との差が大きい場合、開弁に加わる負荷が顕著に大きくなる。これに対し、導入バルブ32の開弁に先立って、ロックホッパ34内を加圧しておくことにより、開弁にかかる負荷を軽減できる。
【0041】
また、導入バルブ32の開弁に伴って反応器16側の圧力変動が生じることを抑制できる。
(1-3)PU202は、ロックホッパ34内に炭素112を貯留した後、図3に示す工程において、生成ガスバルブ62を開弁した。これにより、ロックホッパ34内のメタンおよび水素の混合気を生成ガス経路60へと流出させることができる。この混合気は、オフガス圧縮機28によって圧縮された後、反応器16に供給される。そのため、システムに供給されるメタンに対するシステムが生成する水素の比である水素の生成効率を高めることができる。
【0042】
(1-4)PU202は、図5に示すロックホッパ34から炭素112を追い出す工程に先立って、図4に示した工程によって、ロックホッパ34に窒素を供給することによってロックホッパ34から水素およびメタンの混合気を混在ガス経路64に追い出した。これにより、排出バルブ36の開弁に伴って、可燃性ガスが大気に放出されることを抑制できる。また、混在ガス経路64内の混合気は、混在ガス圧縮機72によって加圧された後、水素精製装置74によって水素が抽出される。これにより、システムに供給されるメタンに対するシステムが生成する水素の比である水素の生成効率を高めることができる。
【0043】
(1-5)PU202は、ロックホッパ84に触媒を充填した後、図12に示す工程において、ロックホッパ84に窒素を供給した。これにより、図11に示した工程によってロックホッパ84に流入した酸素を、ロックホッパ84から不燃性ガス排出経路108へと追い出すことができる。
【0044】
(1-6)PU202は、排出バルブ86を開弁させるのに先立って、図13に示す工程において、ロックホッパ84にメタンを供給することによってロックホッパ84内の窒素を混在ガス経路104に追い出した。これにより、ロックホッパ84内の窒素が反応器16へと流入することを抑制できる。
【0045】
(1-7)PU202は、排出バルブ86を開弁させるのに先立って、図14に示す工程において、ロックホッパ84内のメタン濃度を高めることによってロックホッパ84内を加圧した。これにより、排出バルブ86を開弁する際に必要な負荷を軽減できる。特に、排出口84aの面積が大きいなら、排出バルブ86の上流の圧力と下流の圧力との差が大きい場合、開弁に加わる負荷が顕著に大きくなる。これに対し、排出バルブ86の開弁に先立って、ロックホッパ84内を加圧しておくことにより、開弁にかかる負荷を軽減できる。
【0046】
また、排出バルブ86の開弁に伴って反応器16側の圧力変動が生じることを抑制できる。
(1-8)PU202は、ロックホッパ84から反応器16へと鉄114を供給した後、生成ガスバルブ102を開弁させた。これにより、ロックホッパ84内のメタンおよび水素の混合気を生成ガス経路100へと流出させることができる。この混合気は、オフガス圧縮機28によって圧縮された後、反応器16に供給される。そのため、システムに供給されるメタンに対するシステムが生成する水素の比である水素の生成効率を高めることができる。
【0047】
(1-9)PU202は、図16に示した工程の後、ロックホッパ84内に窒素を供給することによって、ロックホッパ84内の水素とメタンとの混合気を混在ガス経路104に追い出した。混在ガス経路104内の混合気は、混在ガス圧縮機72によって加圧された後、水素精製装置74によって水素が抽出される。これにより、システムに供給されるメタンに対するシステムが生成する水素の比である水素の生成効率を高めることができる。
【0048】
(1-10)PU202は、ロックホッパ84内の水素とメタンとの混合気を混在ガス経路104に追い出した後、図18に示した工程によって不燃性ガス排出バルブ110を開弁させることによって、ロックホッパ84内を大気開放した。これにより、その後、導入バルブ82を開弁させる際の導入バルブ82の上流と下流との圧力差を軽減することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0050】
図19に、本実施形態にかかる燃焼ガスの生成システムを示す。なお、図19において、図1に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、フィルタ装置22から流出した水素とメタンとの混合気は、水素精製装置120に供給される。水素精製装置120は、分離膜を備えて混合気から水素を分離する装置である。水素精製装置120によって分離された水素は、水素精製装置26によって抽出された水素と比較して圧力が低い。そこで、本実施形態では、水素精製装置120によって分離された水素を圧縮機124にて加圧する。
【0051】
また、水素精製装置120によって分離されたメタンは、圧力が高い。そのため、水素精製装置120によって分離されたメタンは、オフガス圧縮機28を介すことなく、原料ガス経路12に戻される。
【0052】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0053】
図20に、本実施形態にかかる燃焼ガスの生成システムを示す。なお、図20において、図19に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、生成ガス経路60,100内の混合気を、圧縮機124に供給する。これにより、システムの最終生成ガス中に微量のメタンが混入する。本実施形態は、最終製品中に微量のメタンが混入することを許容するシステムである。
【0054】
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0055】
本実施形態では、図2図9に示した工程と、図10図18に示した工程とに、それぞれ1つ工程を追加する。
図21に、炭素の排出処理の一部を示す。図21の上段に示す工程は、図3に示した工程である。また、図21の下段に示す工程は、図4に示した工程である。本実施形態では、それらの工程の間に、図21の中段に示す工程を追加する。
【0056】
図21の中段に示す工程は、ロックホッパ34内の水素とメタンとの混合気である生成ガスを追い出す工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの可燃性ガス供給バルブ52および生成ガスバルブ62の2つのバルブのみが開状態とされる。これにより、可燃性ガス供給経路50からロックホッパ34にメタンが流入する。そのため、ロックホッパ34内の生成ガスは、生成ガス経路60へと追い出される。そのため、図21の下段の工程において、混在ガス経路64に流出する気体はメタンと窒素の混合気となる。
【0057】
図22に、触媒の供給処理の一部を示す。図22の上段に示す工程は、図16に示した工程である。図22の下段に示す工程は、図17に示した工程である。本実施形態では、それらの工程の間に、図22の中段に示す工程を追加する。
【0058】
図22の中段に示す工程は、ロックホッパ84内の水素とメタンとの混合気である生成ガスを追い出す工程である。この工程では、PU202により、7個のバルブのうちの可燃性ガス供給バルブ92および生成ガスバルブ102の2つのバルブのみが開状態とされる。これにより、可燃性ガス供給経路90からロックホッパ84にメタンが流入する。そのため、ロックホッパ84内の生成ガスは、生成ガス経路100へと追い出される。そのため、図22の下段の工程において、混在ガス経路104に流出する気体はメタンと窒素の混合気となる。
【0059】
そのため、図1に示した水素精製装置74が不要となる。
<対応関係>
上記実施形態における事項等と、下記「付記」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「付記」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]固体移動工程は、図5に示す工程と、図15に示す工程と、に対応する。不燃性ガス導入工程は、図6に示す工程と、図12に示す工程と、に対応する。排出工程は、図7に示す工程と、図13に示す工程と、に対応する。[2]可燃性ガス排出通路は、図2図9における生成ガス経路60および混在ガス経路64と、図10図18における生成ガス経路100および混在ガス経路104と、に対応する。不燃性ガス排出経路は、図2図9における不燃性ガス排出経路68と、図10図18における不燃性ガス排出経路108と、に対応する。不燃性ガス供給経路は、図2図9における不燃性ガス供給経路56と、図10図18における不燃性ガス供給経路94と、に対応する。酸素追い出し工程は、図6に示す工程と、図12に示す工程と、に対応する。不燃性ガス追い出し工程は、図7に示す工程と、図13に示す工程と、に対応する。[3]可燃性ガス追い出し工程は、図4に示す工程と、図17に示す工程と、に対応する。[4]生成ガス取り出し工程は、図3に示す工程と、図16に示す工程と、に対応する。[5]可燃性ガス供給経路は、図2図9における可燃性ガス供給経路50と図10図18における可燃性ガス供給経路90と、に対応する。[6]加圧工程は、図8および図14に示す工程に対応する。[7]固形物払出工程は、図5に示す工程に対応する。[8]固形物貯留工程は、図9に示す工程に対応する。脱圧工程は、図3に示す工程に対応する。生成ガス追い出し工程は、図4に示す工程に対応する。[9]生成ガス回収工程は、図21の中段に示す工程に対応する。[10]加圧工程は、図8に示す工程に対応する。[11]固形物受け入れ工程は、図11に示す工程に対応する。触媒は、鉄114に対応する。[12]可燃性ガス供給経路は、可燃性ガス供給経路90に対応する。加圧工程は、図14に示す工程に対応する。固形物払出工程は、図15に示す工程に対応する。[13]脱圧工程は、図16に示す工程に対応する。[14]生成ガス追い出し工程は、図17に示す工程に対応する。[15]生成ガス回収工程は、図22の中段に示す工程に対応する。[16]不燃性ガス排出工程は、図18に示す工程に対応する。[17]図1および図19において、生成ガス経路60,100がオフガス圧縮機28に接続されていることに対応する。また、図1図19および図20において、混在ガス経路64が水素精製装置74に接続されていることに対応する。図20において、生成ガス経路60,100が圧縮機124に接続されていることに対応する。[18]可燃性ガス排出通路は、図2図9における生成ガス経路60および混在ガス経路64と、図10図18における生成ガス経路100および混在ガス経路104と、に対応する。不燃性ガス供給経路は、図2図9における不燃性ガス供給経路56と、図10図18における不燃性ガス供給経路94と、に対応する。[19]不燃性ガス排出経路は、図2図9における不燃性ガス排出経路68と、図10図18における不燃性ガス排出経路108と、に対応する。[20]生成ガス経路60,100および混在ガス経路64,104に対応する。[21]可燃性ガス供給経路は、図2図9における可燃性ガス供給経路50と図10図18における可燃性ガス供給経路90と、に対応する。
【0060】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
「生成ガス経路の接続先について」
・たとえば、生成ガス経路60内の水素およびメタンの混合気を加圧して圧縮機24に供給する圧縮機を設けることによって、生成ガス経路60を同圧縮機に接続してもよい。
【0062】
・たとえば、生成ガス経路100内の水素およびメタンの混合気を加圧して圧縮機24に供給する圧縮機を設けることによって、生成ガス経路100を同圧縮機に接続してもよい。
【0063】
「混在ガス経路の接続先について」
・混在ガス経路64を、たとえば、ガスタービンの入り口に接続してもよい。その際、混在ガス経路64とガスタービンとの間に圧縮機を設けてもよい。
【0064】
・混在ガス経路104を、たとえば、ガスタービンの入り口に接続してもよい。その際、混在ガス経路104とガスタービンとの間に圧縮機を設けてもよい。
「可燃性ガス生成システムについて」
図1図20に例示したシステムから水素精製装置26および水素精製装置74を削除してもよい。その場合、たとえば、水素精製装置26および水素精製装置74の位置にガスタービンを配置してもよい。これにより、燃料の一部を水素とする発電システム等を構成できる。
【0065】
図19に例示したシステムから水素精製装置120および水素精製装置74を削除してもよい。その場合、水素精製装置120および水素精製装置74の位置にガスタービンを配置してもよい。これにより、燃料の一部を水素とする発電システム等を構成できる。
【0066】
「可燃性ガス排出経路について」
・ロックホッパ34に接続される可燃性ガス排出経路が、生成ガス経路60および混在ガス経路64を備えることは必須ではない。たとえば、それらを共通の経路としてもよい。その場合、可燃性ガス排出経路から流出する混合気から水素を抽出する水素精製装置を設ければよい。
【0067】
・ロックホッパ84に接続される可燃性ガス排出経路が、生成ガス経路100および混在ガス経路104を備えることは必須ではない。たとえば、それらを共通の経路としてもよい。その場合、可燃性ガス排出経路から流出する混合気から水素を抽出する水素精製装置を設ければよい。
【0068】
「可燃性ガス供給経路について」
・可燃性ガス供給経路50を備えることは必須ではない。可燃性ガス供給経路50を備えない場合、図7および図8に示す工程に代えて、混在ガスバルブ66を開弁状態としつつ導入バルブ32を開弁させる工程を設けてもよい。これにより、供給ホッパ30側からの物質の侵入によって窒素を混在ガス経路64へと追い出すことができる。
【0069】
「固体移動装置について」
・「可燃性ガス排出経路について」の欄に記載したように生成ガス経路60および混在ガス経路64を共通の1つの経路とする場合、生成ガスバルブ62および混在ガスバルブ66に代えて、それらを1つのバルブとしてもよい。
【0070】
・「可燃性ガス排出経路について」の欄に記載したように生成ガス経路100および混在ガス経路104を共通の1つの経路とする場合、生成ガスバルブ102および混在ガスバルブ106に代えて、それらを1つのバルブとしてもよい。
【0071】
「炭化水素について」
・熱分解の対象とされる炭化水素としては、メタンに限らない。たとえばプロパンであってもよい。
【0072】
「不燃性ガスについて」
・不燃性ガス供給経路からロックホッパに供給される不燃性ガスとしては、窒素に限らない。たとえばヘリウムであってもよい。
【0073】
「システムの圧力について」
・ロックホッパの導入口または排出口のいずれか一方が大気開放されて且つ、いずれか他方が大気圧よりも高いことは必須ではない。たとえば、一方が大気開放されて且つ、他方が大気圧よりも低くてもよい。またたとえば、双方とも大気圧よりも高いものの、それら圧力に大きな差があってもよい。
【0074】
「制御装置について」
制御装置としては、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行される処理の少なくとも一部を実行するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成を備える処理回路を含んでいればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える処理回路。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える処理回路。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える処理回路。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置は、複数であってもよい。また、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0075】
<付記>
1.固体移動工程を有したロックホッパの運転方法であって、前記固体移動工程は、ロックホッパ内に固体を導入するまたは前記ロックホッパから前記固体を排出することによって、可燃性ガス生成システム内および前記可燃性ガス生成システム外のいずれか一方から他方に固体を移動させる工程であり、可燃性ガス生成システムは、可燃性ガスを生成するシステムであり、不燃性ガス導入工程と、排出工程と、を有し、前記不燃性ガス導入工程は、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別の経路からロックホッパ内に不燃性ガスを導入する工程であり、前記排出工程は、前記ロックホッパ内のガスを、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別の経路を用いて前記ロックホッパから排出する工程であるロックホッパの運転方法。
【0076】
上記不燃性ガス導入工程で導入された不燃性ガスを排出工程において排出するなら、ロックホッパにおける導入口または排出口のうちいずれかの側にあって不燃性ガスの混入を意図しない経路における不燃性ガスの濃度が高まることを抑制できる。また、上記排出工程において、不燃性ガス導入工程によって導入した不燃性ガスによって可燃性ガスをロックホッパから追い出すなら、固体移動工程において、システム外に可燃性ガスが流出することを抑制できる。
【0077】
2.前記不燃性ガス導入工程は、酸素追い出し工程を含み、前記排出工程は、不燃性ガス追い出し工程を含み、前記ロックホッパは、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別に、可燃性ガス排出経路、不燃性ガス排出経路、および不燃性ガス供給経路に接続されており、前記可燃性ガス排出経路は、可燃性ガスを含んだガスが前記ロックホッパから排出される経路であり、前記酸素追い出し工程は、前記ロックホッパ内に酸素が存在する状態において、不燃性ガスによって酸素を追い出すべく、前記ロックホッパと前記不燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ、前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記不燃性ガスを供給する工程であり、前記不燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ前記ロックホッパに可燃性ガスを供給することによって前記ロックホッパから前記可燃性ガス排出経路へと前記ロックホッパ内の前記不燃性ガスを排出する工程であって且つ前記酸素追い出し工程の後に実行される工程である上記1記載のロックホッパの運転方法。
【0078】
上記方法によれば、不燃性ガスによってロックホッパ内の酸素を追い出した後、可燃性ガスをロックホッパに供給する。これにより、酸素の追い出しに用いた不燃性ガスを、ロックホッパから追い出すことができる。
【0079】
3.前記ロックホッパは、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別に、可燃性ガス排出経路、および不燃性ガス供給経路に接続されており、前記可燃性ガス排出経路は、可燃性ガスを含んだガスが前記ロックホッパから排出される経路であり、前記不燃性ガス導入工程および前記排出工程は、可燃性ガス追い出し工程を含み、前記可燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパ内に前記可燃性ガスが含まれる状態において、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ、前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに不燃性ガスを供給する工程であり、前記固体移動工程は、前記可燃性ガス追い出し工程の後に実行される上記1記載のロックホッパの運転方法。
【0080】
上記方法では、固体移動工程に先立って、ロックホッパに不燃性ガスを供給することによってロックホッパから可燃性ガスを追い出すことができる。したがって、固体移動工程において、可燃性ガスが可燃性ガス生成システムの外に流出することを抑制できる。
【0081】
4.前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、前記生成ガス経路は、前記可燃性ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記混在ガス経路は、前記可燃性ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記不燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパ内の不燃性ガスを前記混在ガス経路に排出する工程であり、生成ガス取り出し工程を有し、前記生成ガス取り出し工程は、前記ロックホッパに生成ガスが存在する状態で、前記ロックホッパと前記生成ガス経路とを連通状態とすることによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記生成ガス経路に流出させる工程であり、前記生成ガスは、前記可燃性ガス生成システムによって生成される前記可燃性ガスである上記2記載のロックホッパの運転方法。
【0082】
上記生成ガス取り出し工程によれば、ロックホッパ内の生成ガスを混在ガス経路とは別の生成ガス経路へと流出させることができる。これにより、混在ガス経路内の気体とは別に、生成ガス経路内の生成ガスを処理することが可能となる。
【0083】
5.前記ロックホッパに供給される前記可燃性ガスは、炭化水素であり、前記可燃性ガス生成システムが用いる原料は、炭化水素であり、前記可燃性ガス生成システムの生成対象となる前記可燃性ガスは、水素であり、前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、前記不燃性ガス追い出し工程は、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ、前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記炭化水素を供給する工程である上記2または4記載のロックホッパの運転方法。
【0084】
上記方法では、炭化水素をロックホッパに供給することによって、ロックホッパ内の不燃性ガスを可燃性ガス排出経路に追い出すことができる。
6.加圧工程を有し、前記加圧工程は、前記ロックホッパ内を前記可燃性ガス排出経路から遮断しつつ前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記炭化水素を供給する工程であって且つ前記不燃性ガス追い出し工程の後に実行される工程である上記5記載のロックホッパの運転方法。
【0085】
上記加圧工程によれば、ロックホッパ内を加圧することができる。そのため、ロックホッパと連通可能な加圧空間との圧力差を低減できる。
7.前記固体移動工程は、固形物払出工程であり、前記固形物払出工程は、炭化水素の熱分解によって生成された前記炭化水素および水素の混合気である生成ガスと前記固体としての炭素とのうちの前記炭素が前記ロックホッパ内に充填されている状態で、前記排出口を開放することによって前記ロックホッパから炭素を前記可燃性ガス生成システム外に排出する工程であり、前記酸素追い出し工程は、前記固形物払出工程によって前記ロックホッパ内に侵入した酸素を前記ロックホッパから追い出す工程である上記2,4~6のいずれか1つに記載のロックホッパの運転方法。
【0086】
上記固形物払出工程により、ロックホッパには、排出口から酸素が侵入する。そこで上記方法では、酸素追い出し工程によって、侵入した酸素をロックホッパの外に追い出すことができる。
【0087】
8.固形物貯留工程と、脱圧工程と、生成ガス追い出し工程と、を有し、前記固形物貯留工程は、前記熱分解によって生成された前記炭素を前記導入口から前記ロックホッパ内に受け入れる工程であり、前記脱圧工程は、前記導入口を遮断した状態において前記ロックホッパから前記生成ガスを前記可燃性ガス排出経路に排出する工程であり、前記生成ガス追い出し工程は、前記脱圧工程の後、前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに前記不燃性ガスを供給することによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記可燃性ガス排出経路に排出する工程であり、前記固形物払出工程は、前記生成ガス追い出し工程の後に実行される上記7記載のロックホッパの運転方法。
【0088】
上記生成ガス追い出し工程によれば、ロックホッパ内の炭素を排出口から排出するのに先立って、ロックホッパ内の生成ガスをロックホッパの外に追い出すことができる。そのため、排出口から生成ガスが流出することを抑制できる。
【0089】
9.前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、前記生成ガス経路は、前記生成ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記混在ガス経路は、前記可燃性ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、生成ガス回収工程を有し、前記生成ガス回収工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記炭化水素を前記ロックホッパに供給することによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記生成ガス経路に排出する工程であって且つ、前記脱圧工程と前記生成ガス追い出し工程との間に実行される工程であり、前記生成ガス追い出し工程は、前記ロックホッパ内の前記炭化水素を前記混在ガス経路に排出する工程である上記8記載のロックホッパの運転方法。
【0090】
上記生成ガス回収工程によれば、生成ガスを生成ガス経路に回収できる。
10.前記炭化水素の前記熱分解は、前記炭化水素の圧力が大気圧よりも高い状態においてなされるものであり、前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、加圧工程を有し、前記加圧工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパへと前記炭化水素を供給することによって前記ロックホッパ内を加圧する工程であり、前記固形物貯留工程は、前記加圧工程の後に実行される上記8または9記載のロックホッパの運転方法。
【0091】
上記加圧工程によれば、ロックホッパ内の圧力と、熱分解がなされる空間内の圧力との圧力差を低減できる。
11.前記ロックホッパに供給される前記可燃性ガスは、炭化水素であり、前記可燃性ガス生成システムが用いる原料は、炭化水素であり、前記可燃性ガス生成システムの生成対象となる前記可燃性ガスは、水素であり、前記固体移動工程は、固形物受入工程を含み、前記固形物受入工程は、前記炭化水素を水素と炭素とに熱分解するための前記固体としての触媒を前記可燃性ガス生成システム外から前記導入口を介して前記ロックホッパへと供給する工程であり、前記酸素追い出し工程は、前記固形物受入工程によって前記ロックホッパに侵入した酸素を前記ロックホッパから追い出す工程である上記2~10のいずれか1つに記載のロックホッパの運転方法。
【0092】
上記固形物受入工程によれば、ロックホッパ内に酸素が流入する。そこで上記方法では、酸素追い出し工程を設けることにより、ロックホッパ内に流入した酸素をロックホッパの外に追い出すことができる。
【0093】
12.前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、加圧工程、および固形物払出工程を有し、前記加圧工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記ロックホッパへと前記炭化水素を供給することによって前記ロックホッパ内を加圧する工程であり、前記固形物払出工程は、前記熱分解のための反応器側に前記触媒を供給すべく前記排出口から前記触媒を排出する工程であって且つ、前記加圧工程の後に実行される工程であり、前記反応器内の圧力は大気圧よりも高い上記11記載のロックホッパの運転方法。
【0094】
上記加圧工程によれば、ロックホッパ内と反応器側との圧力差を低減できる。
13.脱圧工程を有し、前記脱圧工程は、前記固形物払出工程によって前記ロックホッパ内に流入した生成ガスを前記可燃性ガス排出経路から排出する工程であり、前記生成ガスは、前記炭化水素の熱分解によって生成された前記炭化水素および水素の混合気である上記12記載のロックホッパの運転方法。
【0095】
上記脱圧工程によれば、ロックホッパ内の生成ガスの濃度を低下させることができる。
14.生成ガス追い出し工程を有し、前記生成ガス追い出し工程は、前記脱圧工程の後に、前記ロックホッパと前記可燃性ガス排出経路とを連通状態としつつ前記不燃性ガス供給経路から前記ロックホッパに不燃性ガスを供給することによって前記ロックホッパから前記可燃性ガス排出経路へと前記生成ガスを排出する工程である上記13記載のロックホッパの運転方法。
【0096】
上記可燃性ガス追い出し工程によれば、不燃性ガスによって、ロックホッパ内の生成ガスを追い出すことができる。
15.前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、前記生成ガス経路は、前記生成ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記混在ガス経路は、前記生成ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記脱圧工程は、前記生成ガスを前記生成ガス経路へと排出する工程であり、前記生成ガス追い出し工程は、前記ロックホッパから前記混在ガス経路へと前記生成ガスを排出する工程であり、前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、生成ガス回収工程を有し、前記生成ガス回収工程は、前記可燃性ガス供給経路から前記炭化水素を前記ロックホッパに供給することによって、前記ロックホッパ内の前記生成ガスを前記生成ガス経路に排出する工程であって且つ前記脱圧工程と前記生成ガス追い出し工程との間に実行される請求項14記載のロックホッパの運転方法。
【0097】
上記生成ガス回収工程によれば、生成ガスを生成ガス経路に回収することができる。したがって、生成ガスが混在ガス経路に流出することを抑制できる。
16.不燃性ガス排出工程を有し、前記不燃性ガス排出工程は、前記生成ガス追い出し工程の後に、前記ロックホッパから前記不燃性ガス排出経路に前記不燃性ガスを排出する工程であり、前記固形物受入工程は、前記不燃性ガス追い出し工程の後に実行される上記14または15記載のロックホッパの運転方法。
【0098】
上記不燃性ガス追い出し工程を設けることにより、設けない場合と比較して固形物受入工程の実行直前におけるロックホッパ内の圧力を低くすることができる。
17.前記ロックホッパから前記可燃性ガス排出経路へと排出された前記可燃性ガスを、前記可燃性ガス生成システムにおいて生成対象ガスを生成するための経路に戻すようにした上記3記載のロックホッパの運転方法。
【0099】
上記方法によれば、可燃性ガスを生成対象ガスの生成に有効利用できる。
18.可燃性ガス生成システム内および前記可燃性ガス生成システム外のいずれか一方から他方に固体を移動させるために利用されるロックホッパを備える固体移動装置であって、可燃性ガス生成システムは、可燃性ガスを生成するシステムであり、前記ロックホッパは、前記固体の導入口および前記固体の排出口とは別に、排出経路、および不燃性ガス供給経路に接続されており、可燃性ガス排出経路は、可燃性ガスを含んだガスが前記ロックホッパから排出される経路であり、不燃性ガス供給経路は、前記ロックホッパに不燃性ガスを供給する経路である固体移動装置。
【0100】
上記不燃性ガス供給経路から導入された不燃性ガスを排出経路から排出するなら、ロックホッパにおける導入口または排出口のうちいずれかの側にあって不燃性ガスの混入を意図しない経路における不燃性ガスの濃度が高まることを抑制できる。また、不燃性ガス供給経路から導入した不燃性ガスによって可燃性ガスをロックホッパから排出経路に追い出すなら、固体をシステム内およびシステム外のいずれか一方から他方に移動させる際、システム外に可燃性ガスが流出することを抑制できる。
【0101】
19.前記排出経路は、可燃性ガス排出経路および不燃性ガス排出経路を含み、前記可燃性ガス排出経路は、前記ロックホッパ内の可燃性ガスを含んだガスが排出される経路であり、前記不燃性ガス排出経路は、前記ロックホッパ内の不燃性ガスを大気に放出する経路である上記18記載の固体移動装置。
【0102】
上記構成では、排出経路に、不燃性ガスを大気に放出する経路と、可燃性ガスを排出する経路とが含まれることから、大気中に可燃性ガスが流出することを抑制できる。
20.前記可燃性ガス排出経路は、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含み、前記生成ガス経路は、前記可燃性ガスを前記ロックホッパから取り出す経路であり、前記混在ガス経路は、前記可燃性ガスと前記不燃性ガスとを前記ロックホッパから取り出す経路である上記19記載の固体移動装置。
【0103】
上記構成では、可燃性ガス排出経路が、生成ガス経路と、混在ガス経路とを含むことから、ロックホッパから可燃性ガスを追い出すに際して、ロックホッパ内に不燃性ガスが含まれるか否かに応じて互いに異なる経路を利用できる。
【0104】
21.前記ロックホッパは、可燃性ガス供給経路に接続されており、前記可燃性ガス供給経路は、前記ロックホッパに可燃性ガスを供給する経路である上記18~20のいずれか1つに記載の固体移動装置。
【0105】
上記構成では、可燃性ガス供給経路からロックホッパに可燃性ガスを供給することによって、ロックホッパ内の不燃性ガスをロックホッパから追い出すことができる。
【符号の説明】
【0106】
14…熱交換器
16…反応器
20…サイクロン
22…フィルタ装置
24…圧縮機
26…水素精製装置
28…オフガス圧縮機
30…供給ホッパ
32…導入バルブ
34…ロックホッパ
36…排出バルブ
50…可燃性ガス供給経路
52…可燃性ガス供給バルブ
56…不燃性ガス供給経路
58…不燃性ガス供給バルブ
60…生成ガス経路
62…生成ガスバルブ
64…混在ガス経路
66…混在ガスバルブ
68…不燃性ガス排出経路
70…不燃性ガス排出バルブ
72…混在ガス圧縮機
74…水素精製装置
80…供給ホッパ
82…導入バルブ
84…ロックホッパ
84a…排出口
86…排出バルブ
90…可燃性ガス供給経路
92…可燃性ガス供給バルブ
94…不燃性ガス供給経路
96…不燃性ガス供給バルブ
100…生成ガス経路
102…生成ガスバルブ
104…混在ガス経路
106…混在ガスバルブ
108…不燃性ガス排出経路
110…不燃性ガス排出バルブ
112…炭素
114…鉄
120…水素生成装置
200…制御装置
202…PU
204…記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22