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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178717
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/08 20060101AFI20241218BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20241218BHJP
   H10B 43/20 20230101ALI20241218BHJP
   H10B 43/23 20230101ALI20241218BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20241218BHJP
   H10B 43/35 20230101ALI20241218BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G11C16/08 130
G11C16/04 170
H10B43/20
H10B43/23
H10B43/27
H10B43/35
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097084
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 浩己
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225BA19
5B225CA01
5B225DB02
5B225DB08
5B225DB22
5B225DB30
5B225EA05
5B225EB10
5B225FA02
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083EP76
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA01
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA12
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA18
5F083LA21
5F083MA01
5F083MA15
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR28
5F101BA42
5F101BA44
5F101BA46
5F101BB02
5F101BB08
5F101BC01
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の動作速度を向上する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、互いに隣り合い、かつ直列に接続された第1メモリセル及び第2メモリセルと、第1メモリセルに接続された第1ワード線と、第2メモリセルに接続された第2ワード線と、制御回路と、を備え、制御回路は、各々がプログラム動作と、プログラム動作の後のベリファイ動作とを有する複数のプログラムループ動作を実行し、複数のプログラムループ動作に含まれ、第1メモリセルを対象とした第1プログラムループ動作において、プログラム動作の際に、第1期間に、第1ワード線に第1書込み電圧を供給しつつ、第2ワード線に第1書込み電圧未満の第1電圧を供給し、第1期間の後の第2期間に、第1ワード線に第1電圧未満の第2電圧を供給しつつ、第2ワード線に第2電圧より高い第3電圧を供給する、ように構成される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣り合い、かつ直列に接続された第1メモリセル及び第2メモリセルと、
前記第1メモリセルに接続された第1ワード線と、
前記第2メモリセルに接続された第2ワード線と、
制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
各々がプログラム動作と、前記プログラム動作の後のベリファイ動作とを有する複数のプログラムループ動作を実行し、
前記複数のプログラムループ動作に含まれ、前記第1メモリセルを対象とした第1プログラムループ動作において、前記プログラム動作の際に、
第1期間に、前記第1ワード線に第1書込み電圧を供給しつつ、前記第2ワード線に前記第1書込み電圧未満の第1電圧を供給し、
前記第1期間の後の第2期間に、前記第1ワード線に前記第1電圧未満の第2電圧を供給しつつ、前記第2ワード線に前記第2電圧より高い第3電圧を供給する、
ように構成される、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1プログラムループ動作において、前記ベリファイ動作の際に、
第3期間に、前記第1ワード線及び前記第2ワード線に前記第2電圧及び前記第3電圧より高い第4電圧を供給し、
前記第3期間の後の第4期間に、前記第2ワード線に前記第4電圧を供給しつつ、前記第1ワード線に前記第4電圧未満の第1ベリファイ電圧を供給する、
ように構成される、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第2期間の後、前記第3期間の前に、
前記第1ワード線に前記第2電圧を供給しつつ、前記第2ワード線に前記第2電圧を供給する、
ように構成される、
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2メモリセルと隣り合い、かつ前記第2メモリセルを介して前記第1メモリセルと直列に接続された第3メモリセルと、
前記第3メモリセルに接続された第3ワード線と、
をさらに備え、
前記制御回路は、
前記第2期間に、前記第3ワード線に前記第2電圧を供給する、
ように構成される、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数のプログラムループ動作は、前記第1プログラムループ動作より後に実行され、前記第1メモリセルを対象とした第2プログラムループ動作をさらに含み、
前記制御回路は、前記第2プログラムループ動作において、前記プログラム動作の際に、
第5期間に、前記第1ワード線に前記第1書込み電圧より高い第2書込み電圧を供給しつつ、前記第2ワード線に前記第1電圧を供給し、
前記第5期間の後の第6期間に、前記第1ワード線に前記第2電圧を供給しつつ、前記第2ワード線に、前記第2電圧より高い第5電圧を供給する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記第2書込み電圧が第6電圧未満である場合に、前記第2ワード線に、前記第5電圧として前記第3電圧を供給し、
前記第2書込み電圧が前記第6電圧以上である場合に、前記第5電圧を前記第3電圧より高い電圧とする、
ように構成される、
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第1プログラムループ動作、及び前記第2プログラムループ動作を、連続して実行する、
ように構成され、
前記第5電圧は、前記第3電圧より高い、
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2ワード線は、第1領域、及び前記第1領域より前記制御回路との間の配線長が長い第2領域を含み、
前記第2期間において、前記第2領域の電圧は、前記第1領域の電圧より低い、
請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2期間において、
前記第2領域の電圧は、前記第2電圧以上であり、
前記第1領域の電圧は、前記第2領域の電圧より高い、
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第3電圧は、前記第1電圧未満である、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第3電圧は、前記第4電圧未満である、
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記制御回路は、電圧生成回路を含み、
前記電圧生成回路は、前記第1書込み電圧、前記第1電圧、前記第2電圧、及び前記第3電圧を出力する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能な半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られる。NAND型フラッシュメモリにおいては、高集積化及び大容量化のために3次元のメモリ構造が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-28958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体記憶装置の動作速度を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、互いに隣り合い、かつ直列に接続された第1メモリセル及び第2メモリセルと、上記第1メモリセルに接続された第1ワード線と、上記第2メモリセルに接続された第2ワード線と、制御回路と、を備え、上記制御回路は、各々がプログラム動作と、上記プログラム動作の後のベリファイ動作とを有する複数のプログラムループ動作を実行し、上記複数のプログラムループ動作に含まれ、上記第1メモリセルを対象とした第1プログラムループ動作において、上記プログラム動作の際に、第1期間に、上記第1ワード線に第1書込み電圧を供給しつつ、上記第2ワード線に上記第1書込み電圧未満の第1電圧を供給し、上記第1期間の後の第2期間に、上記第1ワード線に上記第1電圧未満の第2電圧を供給しつつ、上記第2ワード線に上記第2電圧より高い第3電圧を供給する、ように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステム、及びホスト機器の構成の一例を示すブロック図。
図2】実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの構成の一例を説明するための回路図。
図4】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す平面図。
図5】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの断面構造の一例を示す、図4のV-V線に沿った断面図。
図6】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイに含まれるメモリピラーの断面構造の一例を示す、図5のVI-VI線に沿った断面図。
図7】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイに含まれるメモリセルトランジスタの閾値電圧分布の一例を示す模式図。
図8】実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイ、ドライバモジュール、及びロウデコーダモジュールの構成の一例を示すブロック図。
図9】実施形態に係る半導体記憶装置のセンスアンプモジュールの構成の一例を示すブロック図。
図10】実施形態に係る半導体記憶装置の書込み動作の概要を示すタイミングチャート。
図11】実施形態に係る半導体記憶装置のプログラムループ動作の一例を示すタイミングチャート。
図12】変形例に係る半導体記憶装置を用いた書込み動作を説明するための表。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。また、同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0008】
1 実施形態
以下に、実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0009】
1.1 構成
実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0010】
1.1.1 メモリシステム
まず、メモリシステムの構成例について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステム、及びホスト機器の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
メモリシステム3は、例えばSSD(solid state drive)やSDTMカードである。メモリシステム3は、例えば外部のホスト機器4に接続される。メモリシステム3は、ホスト機器4からのデータを記憶する。また、メモリシステム3は、データをホスト機器4に読み出す。
【0012】
メモリシステム3は、半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2を備える。なお、半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、例えばこれらの組合せにより一つの半導体装置を構成してもよい。
【0013】
半導体記憶装置1は、例えばNAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶する。半導体記憶装置1は、NANDバスによって、メモリコントローラ2に接続される。以下では、半導体記憶装置1がNAND型フラッシュメモリである場合を例に説明する。
【0014】
NANDバスは、NANDインタフェースに従った信号DQ<7:0>、DQS、/DQS、/CE、CLE、ALE、/WE、/RE、RE、/WP、及び/RBの各々について、個別の信号線を介して送受信を行う。信号/CEは、チップイネーブル(Chip Enable)信号である。信号/CEは、半導体記憶装置1をイネーブルにするための信号である。信号CLEは、コマンドラッチイネーブル(Command Latch Enable)信号である。信号CLEが“H(High)”レベルである間、半導体記憶装置1に流れる信号DQ<7:0>がコマンドであることが、半導体記憶装置1に通知される。信号ALEは、アドレスラッチイネーブル(Address Latch Enable)信号である。信号ALEが“H”レベルである間、半導体記憶装置1に流れる信号DQ<7:0>がアドレスであることが、半導体記憶装置1に通知される。信号/WEは、ライトイネーブル(Write Enable)信号である。信号/WEは、半導体記憶装置1に信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。例えば、信号/WEは、シングルデータレート(Single Data Rate、SDR)において、信号/WEの立ち上がりエッジ(rising edge)で半導体記憶装置1にコマンド、アドレス、又はデータとしての信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。また、信号/WEは、ダブルデータレート(Double Data Rate、DDR)において、信号/WEの立ち上がりエッジで半導体記憶装置1にコマンド又はアドレスとしての信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。信号/REは、リードイネーブル(Read Enable)信号である。信号/REは、半導体記憶装置1に信号DQ<7:0>を出力することを指示する。例えば、信号/REは、シングルデータレートにおいて、信号/REの立ち下がりエッジ(falling edge)で半導体記憶装置1にデータとしての信号DQ<7:0>を出力すること指示する。また、信号/REは、ダブルデータレートにおいて、信号/REの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジで半導体記憶装置1にデータとしての信号DQ<7:0>を出力すること指示する。信号REは、信号/REの相補信号である。信号/WPは、ライトプロテクト(Write Protect)信号である。信号/WPは、データの書込み及び消去の禁止を半導体記憶装置1に指示する。信号/RBは、レディビジー(Ready Busy)信号である。信号/RBは、半導体記憶装置1がレディ状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示す。信号DQ<7:0>は、例えば8ビットの信号である。信号DQSは、データストローブ(Data Strobe)信号である。信号DQSは、信号DQ<7:0>に係る半導体記憶装置1の動作タイミングを制御するために使用される。例えば、信号DQSは、ダブルデータレートにおいて、信号DQSの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジで半導体記憶装置1にデータとしての信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。また、信号DQSは、ダブルデータレートにおいて、信号/REの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジに基づいて生成される。信号DQSは、半導体記憶装置1からデータとしての信号DQ<7:0>とともに出力される。信号/DQSは、信号DQSの相補信号である。
【0015】
信号DQ<7:0>は、半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間で送受信され、コマンドCMD、アドレスADD、及びデータDATを含む。コマンドCMDは、例えば半導体記憶装置1に消去動作を実行させるコマンド(消去コマンド)、半導体記憶装置1に書込み動作を実行させるコマンド(書込みコマンド)、及び半導体記憶装置1に読出し動作を実行させるコマンド(読出しコマンド)等を含む。データDATは、読出しデータ及び書込みデータを含む。
【0016】
メモリコントローラ2は、ホスト機器4から命令を受取る。メモリコントローラ2は、当該受取った命令に基づいて半導体記憶装置1を制御する。具体的には、メモリコントローラ2は、ホスト機器4から受取った書込み命令に基づいて、書込みを命令されたデータを半導体記憶装置1に書き込む。また、メモリコントローラ2は、ホスト機器4から受取った読出し命令に基づいて、ホスト機器4から読出しを命令されたデータを半導体記憶装置1から読み出してホスト機器4に送信する。
【0017】
以上で説明したメモリシステム3を使用するホスト機器4としては、例えばデジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、及びデータセンタ内のサーバ等が挙げられる。
【0018】
1.1.2 メモリコントローラ
メモリコントローラ2の構成について、引き続き、図1を用いて説明する。
【0019】
メモリコントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)20、内蔵メモリ21、バッファメモリ22、NANDインタフェース回路(NAND I/F)23、及びホストインタフェース回路(ホスト I/F)24を含む。メモリコントローラ2は、例えばSoC(System-on-a-Chip)として構成される。
【0020】
CPU20は、メモリコントローラ2全体の動作を制御する。CPU20は、例えば、半導体記憶装置1に書込み動作、読出し動作、及び消去動作等の各種動作の実行を指示するためのコマンドを発行する。
【0021】
内蔵メモリ21は、例えば、DRAM等の半導体メモリである。内蔵メモリ21は、CPU20の作業領域として使用される。内蔵メモリ21は、半導体記憶装置1を管理するためのファームウェア、及び各種の管理テーブル等を記憶する。
【0022】
バッファメモリ22は、ホスト機器4から受信した書込みデータや、メモリコントローラ2が半導体記憶装置1から受信した読出しデータ等を一時的に記憶する。
【0023】
NANDインタフェース回路23は、NANDバスを介して半導体記憶装置1と接続され、半導体記憶装置1との通信を司る。NANDインタフェース回路23は、CPU20の指示により、コマンドCMD、アドレスADD、及び書込みデータを半導体記憶装置1に送信する。また、NANDインタフェース回路23は、半導体記憶装置1から読出しデータを受信する。
【0024】
ホストインタフェース回路24は、ホストバスを介してホスト機器4と接続され、メモリコントローラ2とホスト機器4との間の通信を司る。ホストインタフェース回路24は、例えば、ホスト機器4から受取った命令及びデータを、それぞれCPU20及びバッファメモリ22に転送する。
【0025】
1.1.3 半導体記憶装置
次に、半導体記憶装置1の内部構成について、図2を用いて説明する。図2は、実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ10、入出力回路11、ロジック制御回路12、アドレスレジスタ13、コマンドレジスタ14、シーケンサ15、ドライバモジュール16、ロウデコーダモジュール17、及びセンスアンプモジュール18を含む。
【0027】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLK(k-1)(kは2以上の整数)を含む。各ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルトランジスタの集合である。各ブロックBLKは、例えばデータの消去単位として使用される。すなわち、同一のブロックBLK内に含まれるメモリセルトランジスタに記憶されるデータは、一括して消去される。メモリセルアレイ10には、複数のビット線、及び複数のワード線が設けられる。複数のビット線、及び複数のワード線については後述する。各メモリセルトランジスタは、1本のビット線、及び1本のワード線に関連付けられる。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0028】
入出力回路11は、信号DQ<7:0>を、メモリコントローラ2との間で送受信する。入出力回路11は、信号DQ<7:0>内のアドレスADD及びコマンドCMDを、それぞれアドレスレジスタ13及びコマンドレジスタ14に転送する。また、入出力回路11は、データDATを、センスアンプモジュール18との間で送受信する。
【0029】
ロジック制御回路12は、メモリコントローラ2から、例えば、信号DQS、/DQS、/CE、CLE、ALE、/WE、/RE、RE、及び/WPを受信する。ロジック制御回路12は、当該受信した信号に基づいて、入出力回路11を制御する。また、ロジック制御回路12は、信号/RBを生成し、メモリコントローラ2に送信する。
【0030】
アドレスレジスタ13は、入出力回路11から転送されるアドレスADDを記憶する。アドレスADDは、例えば、ブロックアドレス、カラムアドレス、及びページアドレスを含む。ブロックアドレス、カラムアドレス、及びページアドレスはそれぞれ、ブロックBLK、ビット線、及びワード線に関連付けられる。アドレスレジスタ13は、当該記憶したアドレスADDを、ロウデコーダモジュール17及びセンスアンプモジュール18に転送する。
【0031】
コマンドレジスタ14は、入出力回路11から転送されるコマンドCMDを記憶する。コマンドレジスタ14は、当該記憶したコマンドCMDをシーケンサ15に転送する。
【0032】
シーケンサ15は、コマンドレジスタ14からコマンドCMDを受取り、受取ったコマンドCMDに基づくシーケンスに従って半導体記憶装置1全体を制御する。例えば、シーケンサ15は、消去コマンド、書込みコマンド、及び読出しコマンドを受取った場合にそれぞれ、ドライバモジュール16に対して、対応する動作において使用される電圧を生成するよう指示する。
【0033】
ドライバモジュール16は、シーケンサ15からの指示に基づいて、消去動作、書込み動作、及び読出し動作等に使用される電圧を生成し、生成した電圧を、メモリセルアレイ10、ロウデコーダモジュール17、及びセンスアンプモジュール18等に供給する。
【0034】
ロウデコーダモジュール17は、アドレスレジスタ13からアドレスADD内のブロックアドレスを受取り、当該ブロックアドレスに基づいてブロックBLK0~BLK(k-1)のいずれかを選択する。ロウデコーダモジュール17は、例えば選択したブロックBLKに、ドライバモジュール16から供給された電圧を供給する。
【0035】
センスアンプモジュール18は、アドレスレジスタ13からアドレスADD内のカラムアドレスを受取る。センスアンプモジュール18は、当該カラムアドレスに基づいて、メモリコントローラ2とメモリセルアレイ10との間で、データDATを転送する。より具体的には、書込み動作の際に、センスアンプモジュール18は、入出力回路11から書込みデータを受取る。センスアンプモジュール18は、当該書込みデータをメモリセルアレイ10に転送する。また、読出し動作の際に、センスアンプモジュール18は、メモリセルアレイ10内の読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタの閾値電圧をセンスして読出しデータを生成する。センスアンプモジュール18は、当該読出しデータを入出力回路11に転送する。
【0036】
1.1.4 メモリセルアレイの回路構成
メモリセルアレイ10の回路構成の一例について、図3を用いて説明する。図3は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの構成の一例を説明するための回路図である。図3では、メモリセルアレイ10に含まれる複数のブロックBLKのうちの1つのブロックBLKの回路が示される。図3に示す例では、ブロックBLKは、5つのストリングユニットSU0、SU1、SU2、SU3、及びSU4を含む。
【0037】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BL(m-1)(mは2以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々は、制御ゲート及び電荷蓄積膜を含む。メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々は、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST1及びST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。なお、以下の説明において、ビット線BL0~BL(m-1)を区別しない場合には、ビット線BL0~BL(m-1)の各々を、単にビット線BLと呼ぶ。また、メモリセルトランジスタMT0~MT7を区別しない場合には、メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々を、単にメモリセルトランジスタMTと呼ぶ。また、選択トランジスタST1及びST2を区別しない場合には、選択トランジスタST1及びST2の各々を、単に選択トランジスタSTと呼ぶ。
【0038】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列に接続される。選択トランジスタST1の第1端は、当該選択トランジスタST1に関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタST1の第2端は、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端に接続される。選択トランジスタST2の第1端は、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端に接続される。選択トランジスタST2の第2端は、ソース線SLに接続される。
【0039】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に接続される。ストリングユニットSU0~SU4内の選択トランジスタST1のゲートはそれぞれ、選択ゲート線SGD0~SGD4に接続される。これに対して、複数の選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通に接続される。しかしながら、これに限られるものではなく、複数の選択トランジスタST2のゲートはそれぞれ、ストリングユニットSUごとに異なる複数の選択ゲート線SGSに接続されてもよい。なお、以下の説明において、ワード線WL0~WL7を区別しない場合には、ワード線WL0~WL7の各々を、単にワード線WLと呼ぶ。また、選択ゲート線SGD0~SGD4を区別しない場合には、選択ゲート線SGD0~SGD4の各々を、単に選択ゲート線SGDと呼ぶ。
【0040】
ビット線BL0~BL(m-1)には、それぞれ異なるカラムアドレスが割り当てられる。各ビット線BLは、複数のブロックBLK間で同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ワード線WL0~WL7は、それぞれブロックBLKごとに設けられる。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0041】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと呼ばれる。それぞれが1ビットデータを記憶する複数のメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量は、例えば「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0042】
なお、メモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数であってよい。各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT、並びに選択トランジスタST1及びST2の個数はそれぞれ、任意の個数であってよい。
【0043】
1.1.5 メモリセルアレイの構造
次に、メモリセルアレイ10の構造について説明する。なお、以下で参照される図面において、X方向はワード線WLの延伸方向に対応する。Y方向はビット線BLの延伸方向に対応する。Z方向は半導体記憶装置1の形成に使用される半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応する。平面図には、図を見易くするためにハッチングが適宜付加される。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連しない。断面図には、図を見易くするために、構成の図示が適宜省略される。各図面に示された構成は、適宜簡略化されて示される。
【0044】
1.1.5.1 平面構造
メモリセルアレイ10の平面構造について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す平面図である。図4では、1つのブロックBLKに対応する領域が示される。
【0045】
メモリセルアレイ10は、積層配線構造、複数のメモリピラーMP、複数のコンタクトCC、並びに複数の部材SLT及びSHEを含む。
【0046】
積層配線構造は、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WL0~WL7に応じてZ方向に沿って積層される構造である。積層配線構造は、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WL0~WL7を含む。以下の説明では、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WL0~WL7の各々を、単に積層配線とも呼ぶ。各積層配線は、X方向に延びる。
【0047】
積層配線構造は、例えばメモリ領域MR及び引出領域HRに分割される。メモリ領域MR及び引出領域HRはX方向に並ぶ。なお、以下の説明において、メモリ領域MR及び引出領域HRのうち引出領域HR側をX方向に沿った一端側と呼ぶ。また、メモリ領域MR及び引出領域HRのうちメモリ領域MR側をX方向に沿った他端側と呼ぶ。
【0048】
メモリ領域MRは、実質的にデータが記憶される領域である。メモリ領域MRには、複数のメモリピラーMPが設けられる。
【0049】
引出領域HRは、積層配線とロウデコーダモジュール17等との接続に用いられる領域である。引出領域HRには、複数のコンタクトCCが設けられる。
【0050】
各部材SLTは、X方向に延びる。各部材SLTは、積層配線構造をメモリ領域MR及び引出領域HRにわたってX方向に横切る。複数の部材SLTは、Y方向に並ぶ。各部材SLTは、当該部材SLTを介して隣り合う積層配線を分断する。複数の部材SLTによって区切られた領域はそれぞれ、1つのブロックBLKに対応する。各部材SLTは、例えば、内部に絶縁体や板状のコンタクトが埋込まれた構造を有する。
【0051】
各部材SHEは、X方向に延びる。各部材SHEは、積層配線構造をメモリ領域MRにわたってX方向に横切る。複数の部材SHEは、Y方向に並ぶ。各部材SHEは、例えば絶縁体が埋込まれた構造を有する。各部材SHEは、例えば当該部材SHEを介して隣り合う選択ゲート線SGDを分断する。複数の部材SLT及びSHEによって区切られた領域はそれぞれ、1つのストリングユニットSUに対応する。
【0052】
なお、以降の説明において、各ブロックBLKにおける5つのストリングユニットSUのうちストリングユニットSU0側をY方向における一端側と呼ぶ。また、各ブロックBLKにおける5つのストリングユニットSUのうちストリングユニットSU4側をY方向における他端側と呼ぶ。
【0053】
引出領域HRにおいて、選択ゲート線SGS及びSGD、並びにワード線WL0~WL7は、上層の導電体層と重ならない複数のテラス部分を有する。
【0054】
複数のテラス部分には、複数のコンタクトCCが設けられる。複数のコンタクトCCの各々は、ロウデコーダモジュール17に電気的に接続される。これにより、選択ゲート線SGS及びSGD、並びにワード線WL0~WL7にそれぞれ、複数のコンタクトCCを介して電圧が供給される。
【0055】
メモリ領域MRにおいて、各メモリピラーMPは、例えば1つのNANDストリングNSとして機能する。このような構成により、メモリセルアレイ10は、データを記憶する。ブロックBLKは、Y方向に並ぶ複数のメモリピラーMPの列を含む。各メモリピラーMPの列において、複数のメモリピラーMPがX方向に並ぶ。図5に示す例では、各ブロックBLKにおいて、例えば24列のメモリピラーMPの列がY方向に並ぶ。複数のメモリピラーMPは、例えば千鳥状に配置される。また、複数のメモリピラーMPは、例えば、Y方向における一端側から数えて5列目、10列目、15列目、及び20列目のメモリピラーMPに、部材SHEが重なるように設けられる。
【0056】
以上のような構成により、X方向に延びる各ブロックBLKのメモリ領域MRにおいて、X方向に沿った一端側の各メモリピラーMPは、当該メモリピラーMPよりX方向に沿った他端側に設けられるメモリピラーMPと比較して、ロウデコーダモジュール17に接続される複数のコンタクトCCに物理的に近い位置に設けられ得る。このような構成において、各ブロックBLKのメモリ領域MRにおいて、X方向に沿った一端側及び他端側を、それぞれNear側及びFar側と呼ぶ。また、このような構成において、各ブロックBLKのメモリ領域MRは、例えばX方向に沿った一端側から他端側に向かってこの順に隣合って並ぶ、Near側の領域、及びFar側の領域を含む。
【0057】
メモリセルアレイ10では、上述のような平面レイアウトが、Y方向に繰返し配置される。
【0058】
なお、メモリセルアレイ10の平面レイアウトは、以上で説明されたレイアウトに限定されない。例えば、隣り合う部材SLTの間に配置される部材SHEの数は、ストリングユニットSUの数に応じて、任意の数に設計され得る。また、各ブロックBLKにおけるメモリピラーMPの個数及び配置は、図4を用いて説明された構成に限定されず、適宜変更され得る。
【0059】
1.1.5.2 断面構造
次に、メモリセルアレイ10の断面構造について説明する。
【0060】
実施形態に係るメモリセルアレイ10の断面構造について、図5を用いて説明する。図5は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの断面構造の一例を示す、図4のV-V線に沿った断面図である。図5では、YZ平面に沿ったメモリセルアレイ10の断面構造の例が示される。
【0061】
メモリセルアレイ10は、半導体基板40、導電体層41~45、及び絶縁体層30~34をさらに含む。
【0062】
より具体的には、半導体基板40の上に、絶縁体層30が設けられる。絶縁体層30は、例えばロウデコーダモジュール17やセンスアンプモジュール18等の図示しない回路を含む。なお、以下の説明では、半導体基板40に対してメモリセルアレイ10が設けられる側を上側とする。
【0063】
絶縁体層30の上に、導電体層41が設けられる。導電体層41は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層41は、ソース線SLとして使用される。導電体層41は、例えばリンがドープされたシリコンを含む。
【0064】
導電体層41の上に、絶縁体層31が設けられる。絶縁体層31の上に、導電体層42が設けられる。導電体層42は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層42は、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層42は、例えばタングステンを含む。
【0065】
導電体層42の上に、複数の絶縁体層32及び複数の導電体層43が積層される。複数の絶縁体層32及び複数の導電体層43は、上方に向かって、絶縁体層32、導電体層43、絶縁体層32、…、導電体層43、絶縁体層32、及び導電体層43の順に積層される。導電体層43は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された複数の導電体層43は、半導体基板40側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電体層43は、例えばタングステンを含む。
【0066】
最上層の導電体層43の上に、絶縁体層33が設けられる。絶縁体層33の上に、導電体層44が設けられる。導電体層44は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層44は、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層44は、例えばタングステンを含む。
【0067】
導電体層44の上に、絶縁体層34が設けられる。絶縁体層34の上に、複数の導電体層45が設けられる。各導電体層45は、例えばY方向に延伸したライン状に形成される。各導電体層45は、ビット線BLとして使用される。導電体層45は、例えば銅を含む。
【0068】
メモリピラーMPの各々は、Z方向に沿って延伸して設けられ、絶縁体層31~33、及び導電体層42~44を貫通する。メモリピラーMPの底部は、導電体層41に接する。メモリピラーMPと導電体層42とが交差した部分は、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと1つの導電体層43とが交差した部分は、1つのメモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリピラーMPと導電体層44とが交差した部分は、選択トランジスタST1として機能する。
【0069】
また、メモリピラーMPの各々は、例えばコア部材50、半導体層51、及び積層膜52を含む。コア部材50は、Z方向に沿って延伸して設けられる。コア部材50の上端は、例えば、導電体層44より上方に位置する。コア部材50の下端は、例えば、導電体層42より下層に位置する。半導体層51は、コア部材50の周囲を覆う。メモリピラーMPの下部において、半導体層51の一部が、導電体層41に接する。積層膜52は、半導体層51と導電体層41とが接する部分を除いて、半導体層51の側面及び底面を覆う。コア部材50は、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含む。半導体層51は、例えばシリコンを含む。
【0070】
メモリピラーMP内の半導体層51の上面上に、柱状のコンタクトCVが設けられる。図示された領域には、3つのメモリピラーMPのうち、1つのメモリピラーMPに対応する1つのコンタクトCVが示される。メモリ領域MRにおいて、部材SHEと重ならない、かつコンタクトCVが接続されないメモリピラーMPには、図示されない領域においてコンタクトCVが接続される。
【0071】
コンタクトCVの上面は、1つの導電体層45に電気的に接続される。コンタクトCVは、部材SLT及びSHEによって区切られた空間のそれぞれにおいて、1つの導電体層45に、1つのコンタクトCVが接続されるように設けられる。つまり、導電体層45の各々には、各ストリングユニットSUに含まれる1つのメモリピラーMPが電気的に接続される。
【0072】
部材SLTは、例えばXZ平面に沿って設けられる部分を有し、導電体層42~44を分割する。部材SLTは、コンタクトLI及びスペーサSPを含む。コンタクトLIは、例えば、X方向に延伸して設けられた部分を有する導電体である。スペーサSPは、例えば、コンタクトLIの側面に設けられる絶縁体である。コンタクトLIと、当該コンタクトLIとY方向に隣合う積層配線との間は、スペーサSPによって分離される。これにより、コンタクトLIと、当該コンタクトLIとY方向に隣合う積層配線とは、互いに電気的に絶縁される。なお、コンタクトLIは、絶縁体であってもよい。この場合、コンタクトLIとスペーサSPとは一体として形成され得る。
【0073】
部材SHEは、例えばXZ平面に沿って設けられる部分を有し、導電体層44を分割する。部材SHEの下面は、例えば、最上層の導電体層43と導電体層44との間に位置する。部材SHEは、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含む。
【0074】
1.1.5.3 メモリピラーの構造
実施形態に係る半導体記憶装置1におけるメモリピラーMPの構造について、図6を用いて説明する。図6は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイに含まれるメモリピラーの断面構造の一例を示す、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
【0075】
積層膜52は、例えばトンネル絶縁膜53、絶縁膜54、及びブロック絶縁膜55を含む。
【0076】
導電体層43を含む断面において、コア部材50は、メモリピラーMPの中央部に設けられる。コア部材50は、XY平面において、例えば円形状を有する。半導体層51は、コア部材50の側面を囲む。トンネル絶縁膜53は、半導体層51の側面を囲む。絶縁膜54は、トンネル絶縁膜53の側面を囲む。ブロック絶縁膜55は、絶縁膜54の側面を囲む。導電体層43は、ブロック絶縁膜55の側面を囲む。トンネル絶縁膜53及びブロック絶縁膜55の各々は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁膜54は、例えば窒化シリコンを含む。
【0077】
以上のような構成により、XY平面において、メモリピラーMPは、例えば円形状を有する。
【0078】
上述したメモリピラーMPにおいて、半導体層51が、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1、及びST2の電流経路として機能する。また、絶縁膜54が、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として使用される。半導体記憶装置1は、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2をオン状態にすることによって、ビット線BLとソース線SLとの間でメモリピラーMPに電流を流す。
【0079】
1.1.6 メモリセルトランジスタの閾値電圧分布
実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧分布について、図7を用いて説明する。図7は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイに含まれるメモリセルトランジスタの閾値電圧分布の一例を示す模式図である。図7に示す閾値電圧分布において、横軸はメモリセルトランジスタMTの閾値電圧に対応する。縦軸はメモリセルトランジスタMTの数に対応する。図7において、メモリセルトランジスタMTの数が、値NMTsとして示される。
【0080】
実施形態に係る半導体記憶装置1において、各ブロックBLKでは、例えば複数のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧によって、8つの状態が形成される。以下では、当該8つの状態を、閾値電圧の低い方から順に、“S0”状態、“S1”状態、“S2”状態、“S3”状態、“S4”状態、“S5”状態、“S6”状態、及び“S7”状態と呼ぶ。“S0”状態~“S7”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの数は、例えば、互いに略同等とされる。
【0081】
“S0”状態は、例えばデータの消去状態に相当する。“S0”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は電圧R1未満である。
【0082】
“S1”状態、“S2”状態、“S3”状態、“S4”状態、“S5”状態、“S6”状態、及び“S7”状態は、データが書き込まれた状態に相当する。“S1”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R1以上であり、かつ電圧R2未満である(R2>R1)。“S2”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R2以上であり、かつ電圧R3未満である(R3>R2)。“S3”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R3以上であり、かつ電圧R4未満である(R4>R3)。“S4”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R4以上であり、かつ電圧R5未満である(R5>R4)。“S5”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R5以上であり、かつ電圧R6未満である(R6>R5)。“S6”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R6以上であり、かつ電圧R7未満である(R7>R6)。“S7”状態に含まれるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電圧R7以上であり、かつ電圧VREAD未満である(VREAD>R7)。電圧VREADは、当該電圧がメモリセルトランジスタMTの制御ゲートに供給された場合に、メモリセルトランジスタMTが“S0”状態~“S7”状態のいずれであっても、メモリセルトランジスタMTをオン状態にする電圧である。
【0083】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートに電圧が供給されると、当該供給される電圧未満の閾値電圧をメモリセルトランジスタMTが有する場合にオン状態になる。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートに電圧が供給されると、当該供給される電圧以上の閾値電圧をメモリセルトランジスタMTが有する場合にオフ状態になる。
【0084】
以上で説明された8種類のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧分布には、それぞれ異なる3ビットデータが割り当てられる。以下に、閾値電圧分布に対するデータの割り付けの一例を列記する。以下では、各状態に割り付けられるデータが、当該状態に対応して“上位ビット、中位ビット、下位ビット”の順に示される。
【0085】
“S0”状態:“1、1、1”データ、
“S1”状態:“1、1、0”データ、
“S2”状態:“1、0、0”データ、
“S3”状態:“0、0、0”データ、
“S4”状態:“0、1、0”データ、
“S5”状態:“0、1、1”データ、
“S6”状態:“0、0、1”データ、
“S7”状態:“1、0、1”データ。
【0086】
このようなデータの割り付けが適用された場合に、下位ビットで構成される1ページデータ(下位ページデータ)は、電圧R1及びR5のそれぞれを用いた読み出し動作によって確定する。中位ビットで構成される1ページデータ(中位ページデータ)は、電圧R2、R4、及びR6のそれぞれを用いた読み出し動作によって確定する。上位ビットで構成される1ページデータ(上位ページデータ)は、電圧R3及びR7のそれぞれを用いた読み出し動作によって確定する。
【0087】
また、隣り合う状態間にはそれぞれ、書込み動作の際にメモリセルトランジスタMTの閾値電圧の判定に使用されるベリファイ電圧が設定される。より具体的に、“S0”状態及び“S1”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V1が設定される。電圧V1は、例えば、電圧R1より高い。“S1”状態及び“S2”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V2が設定される。電圧V2は、例えば、電圧R2より高い。“S2”状態及び“S3”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V3が設定される。電圧V3は、例えば、電圧R3より高い。“S3”状態及び“S4”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V4が設定される。電圧V4は、例えば、電圧R4より高い。“S4”状態及び“S5”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V5が設定される。電圧V5は、例えば、電圧R5より高い。“S5”状態及び“S6”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V6が設定される。電圧V6は、例えば、電圧R6より高い。“S6”状態及び“S7”状態の間には、ベリファイ電圧として電圧V7が設定される。電圧V7は、例えば、電圧R7より高い。
【0088】
なお、実施形態に係る半導体記憶装置1の説明では、各メモリセルトランジスタが3ビットデータを記憶する場合を示したが、これに限られない。半導体記憶装置1は、例えば、各メモリセルトランジスタMTが2ビットデータ、又は4ビットデータ以上を記憶するように構成されてもよい。
【0089】
1.1.7 メモリセルアレイ、ドライバモジュール、及びロウデコーダモジュールの構成
次に、メモリセルアレイ10、ドライバモジュール16、及びロウデコーダモジュール17の接続関係について、図8を用いて説明する。図8は、実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイ、ドライバモジュール、及びロウデコーダモジュールの構成の一例を示すブロック図である。
【0090】
ロウデコーダモジュール17は、ロウデコーダRD0~RD(k-1)を含む。ロウデコーダRD0~RD(k-1)は、ブロックBLKの選択に使用される。ロウデコーダRD0~RD(k-1)はそれぞれ、ブロックBLK0~BLK(k-1)に関連付けられる。
【0091】
各ロウデコーダRDは、例えばブロックデコーダBD、並びにトランジスタTR0~TR19を含む。トランジスタTR0~TR19は、例えば高耐圧のNチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。トランジスタTR0及びTR14は、各ブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGSに関連付けられる。トランジスタTR1~TR8はそれぞれ、各ブロックBLKに含まれるワード線WL0~WL7に関連付けられる。トランジスタTR9及びTR15は、各ブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD0に関連付けられる。トランジスタTR10及びTR16は、各ブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD1に関連付けられる。トランジスタTR11及びTR17は、各ブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD2に関連付けられる。トランジスタTR12及びTR18は、各ブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD3に関連付けられる。トランジスタTR13及びTR19は、各ブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD4に関連付けられる。
【0092】
ブロックデコーダBDは、アドレスADD内のブロックアドレスをデコードする。ブロックデコーダBDは、例えば当該デコードの結果に基づいて、転送ゲート線TG及びbTGにそれぞれ“H”レベルの電圧及び“L(Low)”レベルの電圧を供給する。ブロックデコーダBDは、転送ゲート線TGに“H”レベルの電圧を供給する間、転送ゲート線bTGに“L”レベルの電圧を供給する。また、ブロックデコーダBDは、転送ゲート線TGに“L”レベルの電圧を供給する間、転送ゲート線bTGに“H”レベルの電圧を供給する。
【0093】
各ブロックBLKに関連付けられるトランジスタTR0~TR19は、ドライバモジュール16と当該ブロックBLKとを、信号線SGSD、CG0~CG7、SGDD0~SGDD4、USGS、及びUSGDを介して接続する。なお、以下の説明において、信号線SGSD、CG0~CG7、SGDD0~SGDD4、USGS、及びUSGDを区別しない場合には、信号線SGSD、CG0~CG7、SGDD0~SGDD4、USGS、及びUSGDの各々を、単に信号線CGと呼ぶ。
【0094】
より具体的には、各ロウデコーダRDにおいて、トランジスタTR0のゲートは、転送ゲート線TGに接続される。トランジスタTR0の第1端は、信号線SGSDを介してドライバモジュール16に接続される。トランジスタTR0の第2端は、選択ゲート線SGSに接続される。
【0095】
トランジスタTR1~TR8のゲートは、転送ゲート線TGに接続される。トランジスタTR1~TR8の第1端はそれぞれ、信号線CG0~CG7を介してドライバモジュール16に接続される。トランジスタTR1~TR8の第2端はそれぞれ、ワード線WL0~WL7に接続される。
【0096】
トランジスタTR9~TR13のゲートは、転送ゲート線TGに接続される。トランジスタTR9~TR13の第1端はそれぞれ、信号線SGDD0~SGDD4を介してドライバモジュール16に接続される。トランジスタTR9~TR13の第2端はそれぞれ、選択ゲート線SGD0~SGD4に接続される。
【0097】
トランジスタTR14のゲートは、転送ゲート線bTGに接続される。トランジスタTR14の第1端は、信号線USGSを介してドライバモジュール16に接続される。トランジスタTR14の第2端は、トランジスタTR0の第2端とともに、選択ゲート線SGSに接続される。
【0098】
トランジスタTR15~TR19のゲートは、転送ゲート線bTGに接続される。トランジスタTR15~TR19の第1端は、信号線USGDを介してドライバモジュール16に接続される。トランジスタTR15~TR19の第2端はそれぞれ、トランジスタTR9~TR13の第2端とともに、選択ゲート線SGD0~SGD4に接続される。
【0099】
転送ゲート線TGに“H”レベルの電圧が供給される場合に、トランジスタTR0~TR13はオン状態になる。これにより、各信号線SGSD、CG0~CG7、及びSGDD0~SGDD4の電圧がそれぞれ、トランジスタTR0~TR13を介して、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGD0~SGD4に転送される。転送ゲート線TGに“L”レベルの電圧が供給される場合に、トランジスタTR0~TR13はオフ状態になる。
【0100】
転送ゲート線bTGに“H”レベルの電圧が供給される場合(転送ゲート線TGに“L”レベルの電圧が供給される場合)に、トランジスタTR14~TR19はオン状態になる。これにより、信号線USGSの電圧が、トランジスタTR14を介して、選択ゲート線SGSに転送される。また、信号線USGDの電圧が、トランジスタTR15~TR19を介して、選択ゲート線SGD0~SGD4に転送される。転送ゲート線bTGに“L”レベルの電圧が供給される場合(転送ゲート線TGに“H”レベルの電圧が供給される場合)に、トランジスタTR14~TR19はオフ状態になる。信号線USGS及びUSGDの電圧は、例えば、電圧VSSである。電圧VSSは、接地電圧である。すなわち、ロウデコーダRDの転送ゲート線bTGに“H”レベルの電圧が供給される場合に、当該ロウデコーダRDに対応するブロックBLKの選択ゲート線SGS及びSGD0~SGD4には電圧VSSが供給される(選択トランジスタST1及びST2がオフ状態になる)。
【0101】
各ブロックBLKの選択ゲート線SGS、及びSGD0~SGD4、並びにワード線WL0~WL7の各々について、Near側の領域に含まれる部分と、当該ブロックBLKに関連付けられるロウデコーダRD、又はドライバモジュール16との間の配線長は、Far側の領域に含まれる部分と、当該ロウデコーダRD、又はドライバモジュール16との間の配線長より短くなるように構成される。
【0102】
1.1.8 センスアンプモジュール
次に、センスアンプモジュール18の構成について、図9を用いて説明する。図9は、実施形態に係る半導体記憶装置のセンスアンプモジュールの構成の一例を示すブロック図である。
【0103】
センスアンプモジュール18は、センスアンプユニットSAU0~SAU(m-1)を含む。センスアンプユニットSAU0~SAU(m-1)はそれぞれ、ビット線BL0~BL(m-1)に関連付けられる。以下では、センスアンプユニットSAU0~SAU(m-1)を区別しない場合に、センスアンプユニットSAU0~SAU(m-1)の各々を、単にセンスアンプユニットSAUと呼ぶ。各センスアンプユニットSAUは、例えば、センスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLを含む。
【0104】
センスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLは、バスLBUSに共通に接続される。ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLは、互いにデータを送受信することができる。
【0105】
各センスアンプ部SAには、例えば、シーケンサ15によって生成されたストローブ信号STBが入力される。そして、センスアンプ部SAは、ストローブ信号STBがアサートされたタイミングに基づいて、選択されたメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が読出し電圧以上であるかどうかをセンスする。つまり、センスアンプ部SAは、選択されたメモリセルトランジスタMTの記憶するデータの読出しを、直接的に制御する回路である。
【0106】
ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLのそれぞれは、データを一時的に保持する。ラッチ回路XDLは、半導体記憶装置1の入出力回路とセンスアンプユニットSAUとの間のデータDATの入出力に使用される。また、ラッチ回路XDLは、例えば半導体記憶装置1のキャッシュメモリCMとしても使用され得る。
【0107】
1.2 動作
次に、実施形態に係る半導体記憶装置1を用いた動作について説明する。
【0108】
なお、以下の説明において、アドレスADDに基づいて選択されたワード線WLを選択ワード線WLnと呼ぶ。また、選択されない(非選択の)ワード線WLを非選択ワード線WLuselと呼ぶ。また、非選択ワード線WLuselのうち、選択ワード線WLnとZ方向に隣り合うワード線WLuselを、隣り合うワード線WLn±1と呼ぶ。また、非選択ワード線WLuselのうち、隣り合うワード線WLn±1を除く、全ての非選択ワード線WLuselを非選択ワード線WLothと呼ぶ。
【0109】
また、選択ワード線WLnに接続されたメモリセルトランジスタMTを選択メモリセルトランジスタMTnと呼ぶ。
【0110】
また、選択ワード線WLnに接続される信号線CGを選択信号線CGnと呼ぶ。また、非選択ワード線WLuselに接続される信号線CGを非選択信号線CGuselと呼ぶ。また、非選択信号線CGuselのうち、隣り合うワード線WLn±1に接続される非選択信号線CGuselを隣り合う信号線CGn±1と呼ぶ。また、非選択信号線CGuselのうち、非選択ワード線WLothに接続される非選択信号線CGuselを非選択信号線CGothと呼ぶ。
【0111】
1.2.1 書込み動作の概要
書込み動作の概要について、図10を用いて説明する。図10は、実施形態に係る半導体記憶装置の書込み動作の概要を示すタイミングチャートである。
【0112】
半導体記憶装置1は、書込み動作において、プログラムループ動作(Program loop)を繰り返し実行する。図10では、書込み動作においてプログラムループ動作が実行された回数(以下、ループ数と呼ぶ)の増加に伴う、選択ワード線WLnの電圧の変化が示される。各プログラムループ動作は、プログラム動作(Program)、及び書込みのベリファイ動作(Verify)を含む。以下では、書込みのベリファイ動作を、単にベリファイ動作と呼ぶ。半導体記憶装置1は、プログラムループ動作を繰り返すことで、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を目標とする電圧まで上昇させる。
【0113】
各プログラムループ動作において、シーケンサ15は、ベリファイ動作の前に、プログラム動作を実行する。
【0114】
プログラム動作は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を上昇させ得る動作である。プログラム動作において、複数の選択メモリセルトランジスタMTnは、関連付けられたセンスアンプユニットSAUに記憶された書込みデータに基づいて、プログラム対象又はプログラム禁止に設定される。選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧が目標の閾値電圧に達していない場合、当該選択メモリセルトランジスタMTnは、プログラム対象に設定される。一方、選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧が目標の閾値電圧に達している場合、当該選択メモリセルトランジスタMTnは、プログラム禁止に設定される。
【0115】
プログラム動作では、選択ワード線WLnに電圧VPGMが供給される。電圧VPGMは、選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧を上昇させることが可能な電圧である。電圧VPGMは、例えば、ループ数の増加に応じて高くなる。図10の例では、ループ数が増加するごとに、電圧VPGMが電圧dVP増加する。選択ワード線WLnに電圧VPGMが供給されると、プログラム対象に設定された選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧が上昇する。一方、プログラム禁止に設定された選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧の上昇は抑制される(閾値電圧が維持される)。
【0116】
以下では、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を上昇させる動作を「“0”プログラム動作」と呼び、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を維持させる動作を「“1”プログラム動作」と呼ぶ。
【0117】
シーケンサ15は、プログラム動作を終了すると、ベリファイ動作を実行する。
【0118】
ベリファイ動作は、選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧が目標の閾値電圧に達したかどうかを確認する読出し動作である。シーケンサ15は、例えば、各プログラムループ動作において、プログラム対象に設定される選択メモリセルトランジスタMTnを対象として、所定のベリファイ電圧を用いた読出し動作を実行する。
【0119】
なお、図10の例では、各ベリファイ動作において、1つのベリファイ電圧が用いられる例が示されるが、これに限られない。各ベリファイ動作において、複数のベリファイ電圧が用いられてもよい。この場合、例えば、複数のベリファイ電圧を用いた読出し動作がそれぞれ、順に実行される。
【0120】
ベリファイ動作では、センスアンプユニットSAUが、ビット線BLの電圧に基づいて、選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧が選択ワード線WLnに供給されるベリファイ電圧より高いかどうかを判定する。各センスアンプユニットSAUは、選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧がベリファイ電圧より高いと判定した選択メモリセルトランジスタMTnについて、“ベリファイパス”と判定する。一方、各センスアンプユニットSAUは、選択メモリセルトランジスタMTnの閾値電圧がベリファイ電圧以下である選択メモリセルトランジスタMTnについて、“ベリファイフェイル”と判定する。各センスアンプユニットSAUは、以上で説明されたベリファイ結果を、当該センスアンプユニットSAUの内部のいずれかのラッチ回路に記憶させる。シーケンサ15は、ベリファイ動作が完了すると、当該ベリファイ動作の結果に基づいて、各選択メモリセルトランジスタMTnをプログラム対象又はプログラム禁止に設定し、次のプログラムループ動作を開始する。
【0121】
1.2.2 プログラムループ動作
実施形態における各プログラムループ動作について図11を用いて説明する。図11は、実施形態に係る半導体記憶装置のプログラムループ動作の一例を示すタイミングチャートである。図11では、ワード線WL、選択ゲート線SGS及びSGD、ビット線BL、並びにソース線SLの電圧の変化が示される。
【0122】
図11のビット線BLの電圧において、実線は“1”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BL(以下、ビット線BL(“1”))に対応する。一点鎖線は“0”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BL(以下、ビット線BL(“0”))に対応する。
【0123】
時刻t0~時刻t5において、プログラム動作が実行される。
【0124】
時刻t0において、センスアンプモジュール18は、ビット線BL(“1”)に電圧VBLを供給し、BLプリチャージを行う。電圧VBLは、例えば、電圧VSSより高い電圧である(VBL>VSS)。他方で、ビット線BL(“0”)には、電圧VSSが供給される。
【0125】
また、ロウデコーダモジュール17は、複数のブロックBLKのうちいずれかのブロックBLKを選択する。さらに、ロウデコーダモジュール17は、複数のストリングユニットSUのうちいずれかのストリングユニットSUを選択する。そして、ロウデコーダモジュール17は、選択されたストリングユニットSU(選択ストリングユニットSU)における選択ゲート線SGDに電圧VSを供給する。また、ロウデコーダモジュール17は、非選択ストリングユニットSUの選択ゲート線SGDに電圧VSSを供給する。電圧VSは、ビット線BLに電圧VSSが供給された選択トランジスタST1をオン状態とするが、ビット線BLに電圧VBLが供給された選択トランジスタST1をオフ状態とする電圧である。
【0126】
なお、以下の説明では、選択ストリングユニットSUにおける選択ゲート線SGDを、選択ゲート線SGDselと呼ぶ。また、非選択ストリングユニットSUの選択ゲート線SGDを、選択ゲート線SGDuselと呼ぶ。
【0127】
また、ロウデコーダモジュール17は、選択ゲート線SGSに電圧VSSを供給して、選択トランジスタST2をオフ状態とする。
【0128】
また、ドライバモジュール16は、ソース線SLに、電圧VSLを供給する。電圧VSLは、例えば、電圧VSSより高い。
【0129】
以上の処理により、ビット線BL(“1”)に対応するNANDストリングNSのチャネルは、ビット線BL及びソース線SLから電気的に絶縁されたフローティング状態となる。
【0130】
上述のようにして、同一のプログラム動作において、“0”プログラム動作と、“1”プログラム動作と、をビット線BLごとに設定することができる。
【0131】
ロウデコーダモジュール17は、選択ブロックBLKにおける、いずれかのワード線WLを選択する。
【0132】
時刻t1において、ドライバモジュール16は、選択信号線CGnへの電圧VPGMの供給を開始する。そして、ロウデコーダモジュール17は、選択ワード線WLnへの電圧VPGMの供給を開始する。これにより、選択ワード線WLnの電圧は、電圧VPGMと略同等の電圧まで上昇する。
【0133】
また、ドライバモジュール16は、隣り合う信号線CGn±1及びCGothを含む非選択信号線CGuselへの電圧VPASSの供給を開始する。そして、ロウデコーダモジュール17は、非選択ワード線WLuselへの電圧VPASSの供給を開始する。これにより、非選択ワード線WLuselの電圧は、電圧VPASSと略同等の電圧まで上昇する。
【0134】
ビット線BL(“0”)に対応するNANDストリングNSでは、選択トランジスタST1はオン状態である。これにより、選択ワード線WLnに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネル電位はVSSである。このため、制御ゲートとチャネルとの間の電位差(VPGM-VSS)が大きくなる。この結果、電子が電荷蓄積層に注入されることで、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が上昇される。
【0135】
一方、ビット線BL(“1”)に対応するNANDストリングNSでは、選択ワード線WLnに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネルはフローティング状態である。この場合、例えば、チャネルとワード線WLとの容量カップリングにより、チャネル電位は上昇する。これにより、制御ゲートとチャネルとの間の電位差が小さくなる。この結果、電子は電荷蓄積層にほとんど注入されず、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は維持される。
【0136】
時刻t2において、ドライバモジュール16は、選択信号線CGn、及び非選択信号線CGothへ、例えば、電圧VP-Vを供給し始める。そして、ロウデコーダモジュール17は、選択ワード線WLn、及び非選択ワード線WLothに、例えば、電圧VP-Vを供給する。また、ドライバモジュール16は、隣り合う信号線CGn±1への電圧VCGn±1の供給を開始する。そして、ロウデコーダモジュール17は、隣り合うワード線WLn±1に電圧VCGn±1を供給する。電圧VP-Vは、例えば、電圧VSS以上である(VP-V≧VSS)。すなわち、電圧VP-Vは、電圧VSSと同等であってもよい。電圧VCGn±1は電圧VP-Vより高い電圧である(VCGn±1>VP-V)。また、電圧VP-V及びVCGn±1は、例えば、電圧VPASS及びVREAD未満である(VCGn±1、VP-V<VPASS、VREAD)。
【0137】
選択ワード線WLn、及び非選択ワード線WLothの電圧はそれぞれ、選択信号線CGn、及び非選択信号線CGothから転送された電圧に応じて、電圧VP-Vと略同等の電圧になる。
【0138】
また、隣り合うワード線WLn±1は、Near側の領域において、隣り合う信号線CGn±1から転送された電圧に速やかに応答し得る。これにより、Near側の領域における隣り合うワード線WLn±1(WLn±1(Near))の電圧は、選択ワード線WLnの電圧の影響をほとんど受けることなく、例えば、電圧VCGn±1と略同等の電圧になる。
【0139】
一方、隣り合うワード線WLn±1は、Far側の領域において、Near側の領域と比較して、電圧VPGMから電圧VP-Vへの選択ワード線WLnの電圧降下に起因するカップリングの影響を顕著に受け得る。これにより、Far側の領域における隣り合うワード線WLn±1(WLn±1(Far))の電圧は、例えば、電圧VCGn±1より低くなる。電圧VCGn±1は、例えば、隣り合うワード線WLn±1(Far)の電圧が、電圧VP-Vと略同等以上になるように設定される。なお、図11の例では、隣り合うワード線WLn±1(Far)の電圧が、電圧VP-Vと略同等になる場合が示される。
【0140】
時刻t3において、ロウデコーダモジュール17は、選択ゲート線SGDに電圧VSSを供給する。また、センスアンプモジュール18は、ビット線BLに電圧VSSを供給する。また、ドライバモジュール16は、ソース線SLに、電圧VSSを供給する。
【0141】
時刻t4において、ドライバモジュール16は、隣り合う信号線CGn±1へ電圧VP-Vを供給する。そして、ロウデコーダモジュール17は、隣り合うワード線WLn±1に電圧VP-Vを供給する。これにより、隣り合うワード線WLn±1の電圧は、電圧VP-Vと略同等の電圧になる。すなわち、選択されたブロックBLKの全てのワード線WLの電圧が、互いに略同等になる。
【0142】
以上の動作により、“0”プログラム動作の対象であるメモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層へ電荷が注入される。また、プログラム動作が終了する。
【0143】
そして、時刻t5以降の時刻において、ベリファイ動作が実行される。
【0144】
なお、以下の説明において、プログラム動作において、選択ワード線WLnに電圧VP-Vが供給され始めてから、ベリファイ動作が開始されるまでの期間を期間P-Vと呼ぶ。すなわち、期間P-Vは、時刻t2から時刻t5までの期間である。
【0145】
時刻t5において、ロウデコーダモジュール17は、選択ゲート線SGS及びSGDselに、例えば、電圧VSを供給する。選択ゲート線SGDuselには、例えば、電圧VSSが供給される。なお、ベリファイ動作において選択ゲート線SGDsel及びSGSに供給される電圧はそれぞれ、選択トランジスタST1及びST2をオン状態にする電圧であればよく、電圧VSと異なる電圧であってもよい。以上の処理により、選択ストリングユニットSUの選択トランジスタST1、及び選択トランジスタST2がオン状態になる。また、非選択ストリングユニットSUの選択トランジスタST1がオフ状態になる。
【0146】
また、ドライバモジュール16は、信号線CG0~CG7への電圧VREADの供給を開始する。そして、ロウデコーダモジュール17は、選択ブロックBLKの全てのワード線WLへ電圧VREADを供給する。これにより、当該全てのワード線WLがそれぞれ、例えば、互いに略同等の速度で昇圧される。そして、時刻t5から所定の期間の経過後、上記全てのワード線WLの電圧が、電圧VREADと略同等の電圧まで上昇する。これにより、選択ブロックBLK内のメモリセルトランジスタMTがオン状態になる。
【0147】
時刻t6において、ドライバモジュール16は、選択信号線CGnへの電圧VVRFの供給を開始する。また、ロウデコーダモジュール17は、選択ワード線WLnに電圧VVRFを供給する。これにより、選択ワード線WLnの電圧は、電圧VVRFと同等になる。電圧VVRFは、ベリファイ電圧として設定される電圧V1~V7のいずれかである。すなわち、電圧VVRFは、電圧VREAD未満である(VREAD>VVRF)。電圧VVRFは、読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧に応じて設定される。読出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VVRFより高い場合、メモリセルトランジスタMTはオフ状態になり、閾値電圧が電圧VVRF以下の場合、メモリセルトランジスタMTはオン状態になる。
【0148】
時刻t7において、センスアンプモジュール18は、ビット線BLの電圧を電圧VBLとする。なお、時刻t7において、ビット線BLに供給される電圧は、例えば、電圧VBLと異なる、電圧VSSより高い電圧であってもよい。
【0149】
時刻t8において、ドライバモジュール16は、選択信号線CGnへの電圧VREADの供給を開始する。また、ロウデコーダモジュール17は、選択ワード線WLnに電圧VREADを供給する。これにより、選択ブロックBLKの全てのワード線WLの電圧が、電圧VREADと略同等になる。
【0150】
時刻t9において、ドライバモジュール16は、信号線CG0~CG7への電圧VSSの供給を開始する。また、ロウデコーダモジュール17は、選択ブロックBLKの全てのワード線WLに電圧VSSを供給する。これにより、選択ブロックBLKの全てのワード線WLの電圧が、電圧VSSと略同等になる。
【0151】
また、センスアンプモジュール18は、ビット線BLに電圧VSSを供給する。
【0152】
また、ロウデコーダモジュール17は、選択ゲート線SGDsel及びSGSに電圧VSSを供給する。
【0153】
以上の動作により、選択ストリングユニットSUの選択ワード線WLnに対応するメモリセルトランジスタMTからデータが読み出される。そして、読み出されたメモリセルトランジスタMTについて、“ベリファイパス”であるか、“ベリファイフェイル”であるかが判定される。
【0154】
なお、図11は、あくまで実施形態に係るプログラムループ動作のタイミングチャートの一例であり、ワード線WL、選択ゲート線SGS及びSGD、ビット線BL、並びにソース線SLの各々に供給される電圧の大小関係は、必ずしも図11に示される電圧の大小関係と一致するものではない。
【0155】
また、上述のプログラムループ動作の例では、時刻t1及びt2の間、並びに時刻t6及びt8の間の各々において、非選択信号線CGuselの電圧がそれぞれ同等である例を示したが、これに限られない。時刻t1及びt2の間、並びに時刻t6及びt9の間の各々において、例えば、非選択信号線CGuselのうち、隣り合う信号線CGn±1の電圧が、非選択信号線CGothの電圧より高くてもよい。
【0156】
1.3 効果
実施形態によれば、半導体記憶装置1の動作速度を向上することができる。実施形態の効果について、以下に説明する。
【0157】
実施形態に係る半導体記憶装置1は、プログラム動作において、時刻t1に、選択ワード線WLnに書込み電圧として電圧VPGMを供給しつつ、隣り合うワード線WLn±1に電圧VPASSを供給するように構成される。また、半導体記憶装置1は、時刻t2に、選択ワード線WLnに、例えば、電圧VP-Vを供給しつつ、隣り合うワード線WLn±1に、電圧VP-Vより高い電圧VCGn±1を供給するように構成される。以上のような構成により、実施形態に係る半導体記憶装置1は、ベリファイ動作におけるワード線WLの昇圧を促進することができる。これにより、プログラムループ動作及び書込み動作の速度を向上することができる。したがって、半導体記憶装置1の動作速度を向上することができる。
【0158】
補足すると、期間P-Vにおいて、全ての非選択信号線に電圧VP-Vが供給される場合、隣り合うワード線のFar側の領域は、選択ワード線の電圧降下に起因するカップリングによって、Near側の領域における電圧未満まで過剰に低下し得る。すなわち、隣り合うワード線のFar側の領域における電圧が、電圧VP-V未満になってしまう場合がある。この場合、期間P-Vの経過後、ベリファイ動作において、選択されたブロックの全てのワード線が電圧VREADまで上昇される際に、隣り合うワード線のFar側の領域における昇圧が遅延してしまう。このため、ベリファイ動作が遅くなることによる、プログラムループ動作及び書込み動作の遅延が発生してしまう。
【0159】
実施形態によれば、時刻t2と時刻t4との間において、隣り合う信号線CGn±1には、電圧VP-Vより高い電圧VCGn±1が供給される。これにより、隣り合うワード線WLn±1のFar側の領域における電圧が過剰に低減してしまうことを抑制することができる。すなわち、期間P-Vにおけるカップリングが発生しても、隣り合うワード線WLn±1のFar側の領域における電圧は、例えば、電圧VP-Vと略同等以上に維持される。このため、ベリファイ動作において、選択ブロックBLKの全てのワード線WLに電圧VREADを供給する際に、隣り合うワード線WLn±1の電圧の昇圧が遅れてしまうことが抑制される。
【0160】
また、期間P-Vにおいて、全ての非選択信号線に電圧VP-Vが供給される場合、ベリファイ動作におけるカップリングによっても、隣り合うワード線の昇圧がさらに遅延する場合がある。より具体的には、プログラム動作におけるカップリングにより、隣り合うワード線の昇圧が遅延することで、ベリファイ動作において、選択ワード線の電圧が電圧VREADからベリファイ電圧に低減される際、隣り合うワード線の電圧が電圧VREADに達していない場合がある。この場合、選択ワード線の電圧が低減される一方、隣り合うワード線の電圧が昇圧されることで、選択ワード線、及び隣り合うワード線の電圧が互いに逆方向に変化することになる。これにより、選択ワード線及び隣り合うワード線の間のカップリングの影響が顕著になり、隣り合うワード線の電圧VREADへの昇圧がさらに遅延し、かつ選択ワード線の電圧VVRFへの収束も遅延し得る。このため、ベリファイ動作がさらに遅延し、プログラムループ動作及び書込み動作の遅延が発生してしまう。
【0161】
実施形態によれば、上述のように、プログラム動作における隣り合うワード線WLn±1のFar側の領域における過剰な電圧降下が抑制される。これにより、時刻t5において、選択ブロックBLKの全てのワード線WLに電圧VREADを供給する際に、当該全てのワード線WLを同様の速度で昇圧することができる。これにより、選択ワード線WLnの電圧が電圧VREADから電圧VVRFに低減される際に、隣り合うワード線WLn±1の電圧は、例えば、電圧VREADと同等とされる。すなわち、隣り合うワード線WLn±1の電圧の昇圧が抑制され、選択ワード線WLn、及び隣り合うワード線WLn±1の電圧の逆方向への変化が抑制される。このため、ベリファイ動作においてカップリングの影響が顕著になることが抑制され、隣り合うワード線WLn±1の昇圧の遅延を抑制し、かつ選択ワード線WLnの電圧VVRFへの収束の遅延も抑制することができる。したがって、ベリファイ動作の遅延が抑制される。
【0162】
2 変形例
上述の実施形態は、種々の変形が可能である。以下に、実施形態の変形例に係る半導体記憶装置について説明する。
【0163】
上述の実施形態では、各プログラムループ動作における時刻t2と時刻t4との間において、信号線CGn±1に電圧VCGn±1が供給される場合が示された。しかしながら、これに限られず、ループ数の増加、及び選択ワード線WLnの電圧の上昇にともなって、信号線CGn±1に供給される電圧VCGn±1が上昇するように構成されてもよい。
【0164】
変形例に係る半導体記憶装置1の構成は、実施形態に係る半導体記憶装置1の構成と同等とし得る。以下の説明では、変形例に係る半導体記憶装置1の動作について、実施形態に係る半導体記憶装置1の動作と異なる点について主に説明する。
【0165】
変形例に係る半導体記憶装置1を用いた各プログラムループ動作は、実施形態に係る半導体記憶装置1を用いた各プログラムループ動作と同様とすることができる。このため、以下では、プログラムループ動作のタイミングチャートについての説明を省略し、ループ数の増加に伴う、電圧VPGM及びVCGn±1の上昇について説明する。
【0166】
変形例に係る半導体記憶装置1の動作について、図12を用いて説明する。図12は、変形例に係る半導体記憶装置を用いた書込み動作を説明するための表である。図12では、例として、書込み動作において、18回のプログラムループ動作が実行される場合が示される。また、図12において、各ループ数におけるプログラムループ動作の際の電圧VPGM及びVCGn±1が示される。
【0167】
ループ数が値iである場合における(i回目のプログラムループ動作における)、電圧VPGMは電圧VP(i)である。値iは1以上の整数である。また、電圧VP(i)は、例えば、電圧VP(1)と、電圧dVPに値(i-1)を乗じた電圧とを加算した電圧(VP(1)+(i-1)×dVP)である。
【0168】
変形例において、半導体記憶装置1は、例えば、ループ数及び電圧VPGMに基づいて、書込み動作を複数のセクションSecW1~SecW3に分割する。なお、以降の説明において、複数のセクションSecW1~SecW3の各々を区別しない場合には、複数のセクションSecW1~SecW3の各々を単にセクションSecWと呼ぶ。
【0169】
セクションSecW1は、ループ数が1~6である場合におけるプログラムループ動作を含む。セクションSecW2は、ループ数が7~12である場合におけるプログラムループ動作を含む。セクションSecW3は、ループ数が13~18である場合におけるプログラムループ動作を含む。
【0170】
セクションSecW1において、期間P-Vに、隣り合う信号線CGn±1に供給される電圧VCGn±1は電圧VC(1)とされる。セクションSecW2において、期間P-Vに、隣り合う信号線CGn±1に供給される電圧VCGn±1は電圧VC(2)とされる。電圧VC(2)は、電圧VC(1)より高い電圧である(VC(2)>VC(1))。セクションSecW3において、期間P-Vに、隣り合う信号線CGn±1に供給される電圧VCGn±1は電圧VC(3)とされる。電圧VC(3)は、電圧VC(2)より高い電圧である(VC(3)>VC(2))。
【0171】
すなわち、各プログラムループ動作において、例えば、選択ワード線WLnに供給される電圧VPGMが電圧VP(1)以上であり、電圧VP(7)未満である場合に、ドライバモジュール16は、隣り合う信号線CGn±1に電圧VC(1)を供給する。また、各プログラムループ動作において、例えば、選択ワード線WLnに供給される電圧VPGMが電圧VP(7)以上であり、電圧VP(13)未満である場合に、ドライバモジュール16は、隣り合う信号線CGn±1に電圧VC(2)を供給する。また、各プログラムループ動作において、例えば、選択ワード線WLnに供給される電圧VPGMが電圧VP(13)以上であり、電圧VP(18)未満である場合に、ドライバモジュール16は、隣り合う信号線CGn±1に電圧VC(3)を供給する。
【0172】
なお、以下の説明において、j番目のセクションSecWにおける、電圧VCGn±1を電圧VC(j)と呼ぶ。値jは1以上の整数である。
【0173】
電圧VC(j)は、例えば、電圧VC(1)と、電圧dVCに値(j-1)を乗じた電圧とを加算した電圧(VC(1)+(j-1)×dVC)である。すなわち、半導体記憶装置1は、例えば、ループ数の増加にともなって、セクションSecWが異なるセクションSecWに移行するごとに、所定の電圧だけ上昇させるように、構成される。
【0174】
なお、上述の変形例では、半導体記憶装置1が書込み動作を3つのセクションSecWに分割する例が示されたが、これに限られない。半導体記憶装置1は、書込み動作を2つ、又は4つ以上のセクションSecWに分割してもよい。また、上述の変形例では、半導体記憶装置1が、複数のセクションSecWに含まれるプログラムループ動作の数をそれぞれ同等にする場合の例が示された。しかしながら、これに限られず、複数のセクションSecWにおいて実行されるプログラムループ動作の数は、互いに異なってもよい。
【0175】
また、半導体記憶装置1は、例えば、書込み動作において、ループ数が増加するごとに、電圧VCGn±1を上昇させるように構成されてもよい。
【0176】
以上のように、変形例に係る半導体記憶装置1は、ループ数及び電圧VPGMの増加に応じて、隣り合う信号線CGn±1に供給する電圧VCGn±1を高くするように構成される。これにより、選択ワード線WLnに供給される電圧VPGMの増加による、隣り合うワード線WLn±1のFar側の領域における電圧の過剰な低下が抑制される。
【0177】
すなわち、変形例によれば、半導体記憶装置1は、ループ数及び電圧VPGMの増加に応じて、電圧VCGn±1も高くするように構成される。これにより、電圧VPGMが増加することによって、期間P-Vにおけるカップリングの影響が顕著になり、隣り合うワード線WLn±1のFar側の領域における電圧が、電圧VP-V未満になってしまうことが抑制される。このような構成によっても、半導体記憶装置1の動作速度を向上することができる。
【0178】
3 その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0179】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、3…メモリシステム、4…ホスト機器、10…メモリセルアレイ、11…入出力回路、12…ロジック制御回路、13…アドレスレジスタ、14…コマンドレジスタ、15…シーケンサ、16…ドライバモジュール、17…ロウデコーダモジュール、18…センスアンプモジュール、20…CPU、21…内蔵メモリ、22…バッファメモリ、23…NANDインタフェース回路、24…ホストインタフェース回路、BLK…ブロック、SU…ストリングユニット、NS…NANDストリング、MT…メモリセルトランジスタ、ST1、ST2…選択トランジスタ、BL…ビット線、WL…ワード線、SGS、SGD…選択ゲート線、部材…SLT、SHE、コンタクト…CC、CV。
図1
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図5
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図12