(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178718
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】フォイル軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097085
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 史也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文博
(72)【発明者】
【氏名】中根 健太
(72)【発明者】
【氏名】小栗 孝司
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 冬樹
【テーマコード(参考)】
3J012
【Fターム(参考)】
3J012AB20
3J012BB01
3J012CB03
3J012CB05
3J012DB05
3J012DB12
3J012EB10
(57)【要約】
【課題】回転軸を安定的に支持すること。
【解決手段】第1挿入板部32には、抜け止め部材50と軸方向Aに対向し、抜け止め部材50との摩耗を抑制する摩耗抑制部材60が設けられている。これによれば、摩耗抑制部材60によって第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗が抑制される。このため、トップフォイル30における軸受ハウジング20に対する位置が軸受ハウジング20の軸方向Aでずれてしまうことが抑制される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、
前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に配置される薄板状のトップフォイルと、
前記軸受ハウジングと前記トップフォイルとの間において前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、を有し、
前記軸受ハウジングの内周面には、前記軸受ハウジングにおける軸方向の端部に開口する溝が形成されており、
前記トップフォイルの少なくとも一端には、前記溝に向けて屈曲し、前記溝に挿入される第1挿入板部が形成され、
前記バンプフォイルの少なくとも一端には、前記溝に向けて屈曲し、前記溝に挿入される第2挿入板部が形成され、
前記軸方向において前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部に重なるとともに前記溝を覆う一対の抜け止め部を備えているフォイル軸受であって、
前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方には、前記抜け止め部と前記軸方向に対向し、前記抜け止め部との摩耗を抑制する摩耗抑制部材が設けられていることを特徴とするフォイル軸受。
【請求項2】
前記溝には、前記第1挿入板部と前記第2挿入板部との両方が挿入され、
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部と前記第2挿入板部との間で、前記抜け止め部と接触可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項3】
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部と前記第2挿入板部との間から前記第1挿入板部と前記溝との間にかけて延在し、前記抜け止め部と接触可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のフォイル軸受。
【請求項4】
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部に設けられており、
前記第2挿入板部には、前記軸方向において前記抜け止め部と対向するように屈曲形成された対向部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項5】
前記摩耗抑制部材の硬度は、前記第1挿入板部の硬度よりも低いことを特徴とする請求項4に記載のフォイル軸受。
【請求項6】
前記摩耗抑制部材の外周面には、第1コーティング層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のフォイル軸受。
【請求項7】
前記トップフォイルの軸受面及び前記第1挿入板部の外周面には、第2コーティング層が形成されており、
前記第1挿入板部の外周面に形成された前記第2コーティング層は、前記摩耗抑制部材で覆われていることを特徴とする請求項6に記載のフォイル軸受。
【請求項8】
前記第1コーティング層の硬度は、前記第2コーティング層の硬度よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載のフォイル軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォイル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
フォイル軸受は、軸受ハウジングと、トップフォイルと、バンプフォイルと、を有している。軸受ハウジングは、筒状である。軸受ハウジングには、回転軸が挿通される。トップフォイルは、薄板状である。トップフォイルは、回転軸と軸受ハウジングとの間に配置されている。バンプフォイルは、薄板状である。バンプフォイルは、軸受ハウジングとトップフォイルとの間においてトップフォイルを弾性的に支持する。
【0003】
例えば特許文献1のように、軸受ハウジングの内周面には、溝が形成されている場合がある。溝は、軸受ハウジングにおける軸方向の端部に開口している。トップフォイルの少なくとも一端には、溝に向けて屈曲し、溝に挿入される第1挿入板部が形成されている。バンプフォイルの少なくとも一端には、溝に向けて屈曲し、溝に挿入される第2挿入板部が形成されている。
【0004】
フォイル軸受は、一対の抜け止め部を備えている。各々の抜け止め部は、軸受ハウジングの軸方向において第1挿入板部及び第2挿入板部に重なるとともに溝を覆う。トップフォイル及びバンプフォイルは、軸受ハウジングの軸方向に移動する場合がある。このとき、トップフォイルの第1挿入板部及びバンプフォイルの第2挿入板部が各々の抜け止め部に接触することで、各々の抜け止め部は、トップフォイル及びバンプフォイルの軸受ハウジングからの抜けを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方が抜け止め部に接触することにより、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方、及び抜け止め部が摩耗する虞がある。第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方、及び抜け止め部が摩耗すると、トップフォイル及びバンプフォイルの少なくとも一方における軸受ハウジングに対する位置が軸受ハウジングの軸方向でずれてしまう。トップフォイル及びバンプフォイルの少なくとも一方における軸受ハウジングに対する位置が軸受ハウジングの軸方向でずれてしまうと、回転軸を安定的に支持することができなくなってしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するフォイル軸受は、回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に配置される薄板状のトップフォイルと、前記軸受ハウジングと前記トップフォイルとの間において前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、を有し、前記軸受ハウジングの内周面には、前記軸受ハウジングにおける軸方向の端部に開口する溝が形成されており、前記トップフォイルの少なくとも一端には、前記溝に向けて屈曲し、前記溝に挿入される第1挿入板部が形成され、前記バンプフォイルの少なくとも一端には、前記溝に向けて屈曲し、前記溝に挿入される第2挿入板部が形成され、前記軸方向において前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部に重なるとともに前記溝を覆う一対の抜け止め部を備えているフォイル軸受であって、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方には、前記抜け止め部と前記軸方向に対向し、前記抜け止め部との摩耗を抑制する摩耗抑制部材が設けられている。
【0008】
これによれば、摩耗抑制部材によって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗が抑制される。このため、トップフォイル及びバンプフォイルの少なくとも一方における軸受ハウジングに対する位置が軸受ハウジングの軸方向でずれてしまうことを抑制することができる。その結果、回転軸を安定的に支持することができる。
【0009】
上記フォイル軸受において、前記溝には、前記第1挿入板部と前記第2挿入板部との両方が挿入され、前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部と前記第2挿入板部との間で、前記抜け止め部と接触可能に設けられているとよい。
【0010】
これによれば、摩耗抑制部材が、第1挿入板部と第2挿入板部との間で、抜け止め部と接触することにより、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0011】
上記フォイル軸受において、前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部と前記第2挿入板部との間から前記第1挿入板部と前記溝との間にかけて延在し、前記抜け止め部と接触可能に設けられているとよい。
【0012】
これによれば、摩耗抑制部材が、第1挿入板部と第2挿入板部との間から第1挿入板部と溝との間にかけて延在した状態で、抜け止め部と接触することにより、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0013】
上記フォイル軸受において、前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部に設けられており、前記第2挿入板部には、前記軸方向において前記抜け止め部と対向するように屈曲形成された対向部が設けられているとよい。
【0014】
これによれば、バンプフォイルが軸受ハウジングの軸方向に移動して、対向部が抜け止め部に接触すると、対向部にばね作用が生じることにより、抜け止め部に作用する荷重が吸収される。したがって、第2挿入板部及び抜け止め部の摩耗を抑制することができる。一方で、摩耗抑制部材によって第1挿入板部と抜け止め部との摩耗が抑制される。以上により、第1挿入板部及び第2挿入板部と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0015】
上記フォイル軸受において、前記摩耗抑制部材の硬度は、前記第1挿入板部の硬度よりも低いとよい。これによれば、摩耗抑制部材が抜け止め部に接触したときに、抜け止め部が摩耗してしまうことを抑制することができる。
【0016】
上記フォイル軸受において、前記摩耗抑制部材の外周面には、第1コーティング層が形成されているとよい。これによれば、摩耗抑制部材が抜け止め部に接触したときに、抜け止め部が摩耗してしまうことを第1コーティング層によってさらに抑制することができる。
【0017】
上記フォイル軸受において、前記トップフォイルの軸受面及び前記第1挿入板部の外周面には、第2コーティング層が形成されており、前記第1挿入板部の外周面に形成された前記第2コーティング層は、前記摩耗抑制部材で覆われているとよい。
【0018】
これによれば、トップフォイルの軸受面の摩耗を第2コーティング層によって抑制しつつも、第1挿入板部と摩耗抑制部材との摩耗も第2コーティング層によって抑制することができる。
【0019】
上記フォイル軸受において、前記第1コーティング層の硬度は、前記第2コーティング層の硬度よりも小さいとよい。
これによれば、第1コーティング層が摩耗することにより生じる摩耗粉が、第2コーティング層の摩耗を助長してしまうことを抑制することができる。したがって、第2コーティング層が摩耗してしまうことによりトップフォイルの軸受面が摩耗してしまうといった問題を回避することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、回転軸を安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態における遠心圧縮機を示す概略構成図である。
【
図4】
図4は、フォイル軸受の一部分を拡大して示す断面斜視図である。
【
図5】
図5は、フォイル軸受の一部分を拡大して示す正面図である。
【
図7】
図7は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図8】
図8は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図9】
図9は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図11】
図11は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図12】
図12は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図13】
図13は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図14】
図14は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図15】
図15は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【
図16】
図16は、変更例におけるフォイル軸受の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、フォイル軸受を具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。なお、本実施形態のフォイル軸受は、遠心圧縮機に搭載されている。遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、燃料電池スタックに供給される流体としての空気を圧縮する。
【0023】
<遠心圧縮機の概略構成>
図1に示すように、遠心圧縮機100は、2つのフォイル軸受10と、ハウジング101と、モータ102と、回転軸103と、インペラ104と、を備えている。モータ102、回転軸103、及びインペラ104は、ハウジング101に収容されている。ハウジング101には、モータ室101a及びインペラ室101bが形成されている。モータ102は、モータ室101aに収容されている。インペラ104は、インペラ室101bに収容されている。回転軸103は、モータ室101aからインペラ室101bに至るまで延びている。回転軸103には、モータ102が取り付けられている。回転軸103の端部には、インペラ104が取り付けられている。そして、モータ102が駆動することにより回転軸103が回転する。インペラ104は、回転軸103の回転に伴い、回転軸103と一体的に回転する。そして、インペラ104の回転に伴い、ハウジング101の外部からインペラ室101b内に空気が吸入されるとともに、インペラ室101b内に吸入された空気が、インペラ104の回転によって圧縮される。インペラ104の回転によって圧縮された空気は、ハウジング101の外部に吐出される。
【0024】
<フォイル軸受>
2つのフォイル軸受10は、回転軸103をラジアル方向Rdに支持している。ラジアル方向Rdは、回転軸103の径方向である。2つのフォイル軸受10は、回転軸103の軸方向においてモータ102を挟む位置に設けられている。2つのフォイル軸受10は、ハウジング101に固定されている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、フォイル軸受10は、筒状の軸受ハウジング20と、薄板状のトップフォイル30と、3つの薄板状のバンプフォイル40と、を有している。また、フォイル軸受10は、一対の抜け止め部としての一対の抜け止め部材50と、を備えている。なお、軸受ハウジング20は、例えばアルミニウムにより形成されている。
【0026】
<軸受ハウジング>
図2に示すように、軸受ハウジング20には、回転軸103が挿通されている。以下の説明では、軸受ハウジング20の軸方向を単に「軸方向A」、軸受ハウジング20の周方向を単に「周方向B」、軸受ハウジング20の径方向を単に「径方向C」と記載する場合もある。
【0027】
図3に示すように、軸受ハウジング20の内周面20aは、周方向Bに湾曲した円筒面である。軸受ハウジング20は、第1端部21と、第2端部22と、を有している。第1端部21及び第2端部22は、軸受ハウジング20における軸方向Aの端部である。第1端部21は、軸受ハウジング20における軸方向Aの一方に位置する端部である。第2端部22は、軸受ハウジング20における軸方向Aの他方に位置する端部である。
【0028】
軸受ハウジング20の内周面20aには、溝20bが形成されている。溝20bは、軸受ハウジング20の内周面20aに3つ設けられている。3つの溝20bは、周方向Bにおいて所定の間隔を空けて配置されている。溝20bは、軸方向Aに延びている。各溝20bは、軸方向Aにおいて軸受ハウジング20の内周面20aの全長に亘って設けられている。各溝20bの軸方向Aの第1端は、軸受ハウジング20における軸方向Aの一方に位置する端部に開口している。各溝20bの軸方向Aの第2端は、軸受ハウジング20における軸方向Aの他方に位置する端部に開口している。したがって、溝20bは、軸受ハウジング20における軸方向Aの端部に開口している。
【0029】
第1端部21及び第2端部22の各々には、環状の切り欠き溝20cが形成されている。両切り欠き溝20cは、軸受ハウジング20の外周面に開放されている。両切り欠き溝20cの一方は、軸受ハウジング20の第1端面に開放されている。両切り欠き溝20cの他方は、軸受ハウジング20の第2端面に開放されている。切り欠き溝20cは、軸方向Aに延びる円筒面20dと、径方向Cに延びる環状面20eと、を有している。各溝20bは、円筒面20d及び環状面20eに開口している。
【0030】
<トップフォイル>
図2に示すように、トップフォイル30は、軸受ハウジング20の内側に配置されている。トップフォイル30は、回転軸103と軸受ハウジング20との間に配置されている。
【0031】
図3に示すように、トップフォイル30は、可撓性を有する長尺状の金属板材を筒状に湾曲させることにより形成されている。トップフォイル30は、略円筒状である。トップフォイル30の軸方向は、軸受ハウジング20の軸方向Aと一致している。トップフォイル30の周方向は、軸受ハウジング20の周方向Bと一致している。トップフォイル30の径方向は、軸受ハウジング20の径方向Cと一致している。トップフォイル30の軸方向Aの長さは、軸受ハウジング20の軸方向Aの長さと同じである。トップフォイル30は、例えば、ステンレス鋼やインコネル(登録商標)型のニッケル合金により形成されている。
【0032】
トップフォイル30は、折り曲げ部31を有している。折り曲げ部31は、トップフォイル30の周方向の一方に位置する端部をトップフォイル30の径方向外側へ折り曲げることにより形成されている。トップフォイル30の周方向の他方に位置する端部は、自由端部になっている。なお、トップフォイル30における折り曲げ部31以外の部分であって、略円筒状に形成されている部分の内周面は、軸受面30aになっている。軸受面30aは、回転軸103を支持する面である。
【0033】
折り曲げ部31は、一対の切欠部31aを有している。各切欠部31aは、折り曲げ部31における軸方向Aの両端縁にそれぞれ設けられている。各切欠部31aは、折り曲げ部31における軸方向Aの端縁の一部を切り欠くことにより形成されている。各切欠部31aは、第1切欠縁311aと、第2切欠縁312aと、を有している。
【0034】
図4に示すように、第1切欠縁311aは、径方向Cに延びている。第1切欠縁311aは、折り曲げ部31の長縁311に連続している。第1切欠縁311aは、第2切欠縁312aに連続している。第2切欠縁312aは、軸方向Aに延びている。第2切欠縁312aは、折り曲げ部31の短縁312に連続している。折り曲げ部31の長縁311と短縁312とは第1切欠縁311a及び第2切欠縁312aを介して接続されている。
【0035】
トップフォイル30の折り曲げ部31は、1つの溝20bに挿入されている。具体的には、折り曲げ部31のうち、各切欠部31aの第1切欠縁311aを軸方向Aの両端とする部分は、溝20bに挿入されている。したがって、折り曲げ部31のうち、各切欠部31aの第1切欠縁311aを軸方向Aの両端とする部分は、溝20bに挿入される第1挿入板部32を形成している。したがって、トップフォイル30は、溝20bに挿入されるとともに軸方向Aに延びる第1挿入板部32を有している。このように、トップフォイル30の一端には、溝20bに向けて屈曲し、溝20bに挿入される第1挿入板部32が形成されている。
【0036】
<バンプフォイル>
図2に示すように、3つのバンプフォイル40は、軸受ハウジング20とトップフォイル30との間に配置されている。3つのバンプフォイル40は、周方向Bにおいて所定の間隔を空けて配置されている。バンプフォイル40の板厚は、トップフォイル30の板厚よりも薄い。
【0037】
図3に示すように、各バンプフォイル40は、可撓性を有する長尺状の金属板材を周方向Bに略円弧状に湾曲させることにより形成されている。各バンプフォイル40の短辺方向は、軸受ハウジング20の軸方向Aと一致している。各バンプフォイル40の短辺方向の長さは、軸受ハウジング20の軸方向Aの長さよりも短い。各バンプフォイル40の短辺方向の長さは、トップフォイル30の軸方向Aの長さよりも短い。各バンプフォイル40は、例えば、ステンレス鋼やインコネル型のニッケル合金により形成されている。
【0038】
図2に示すように、各バンプフォイル40は、複数の谷部43と、複数の山部44と、を有している。各谷部43は、軸受ハウジング20の内周面20aに接触している。各谷部43は、軸受ハウジング20の内周面20aに沿って延びている。各山部44は、トップフォイル30の外周面に接触している。各山部44は、軸受ハウジング20の内周面20aから離れる方向へ突出している。各山部44は、トップフォイル30の外周面に向けて膨らむように弧状に湾曲している。各バンプフォイル40は、周方向Bに谷部43及び山部44が交互に複数配列された波形状である。各バンプフォイル40の周方向Bの両端は、谷部43になっている。
【0039】
図4及び
図5に示すように、各バンプフォイル40は、第2挿入板部41を有している。第2挿入板部41は、バンプフォイル40の周方向Bの両端に位置する谷部43の一方の一部分を、山部44とは反対側へ折り曲げることにより形成されている。各バンプフォイル40の周方向Bの両端に位置する谷部43の他方は、自由端部になっている。
【0040】
図6に示すように、バンプフォイル40の第2挿入板部41には、対向部42が設けられている。対向部42は、バンプフォイル40の第2挿入板部41における軸方向Aの両端側に設けられている。各々の対向部42は、第2挿入板部41における軸方向Aの両端側の部位から周方向Bにおいて同じ方向に延びている。対向部42は、第2挿入板部41となす角度θ1が鈍角となっている。
【0041】
各バンプフォイル40の第2挿入板部41及び対向部42は、各溝20bに挿入される。バンプフォイル40は、溝20bに挿入されるとともに軸方向Aに延びる第2挿入板部41を有している。このように、各バンプフォイル40の一端には、溝20bに向けて屈曲し、溝20bに挿入される第2挿入板部41が形成されている。
【0042】
図2に示すように、3つのバンプフォイル40のうち1つの第2挿入板部41は、トップフォイル30の第1挿入板部32と共に1つの溝20bに挿入されている。したがって、1つの溝20bには、第1挿入板部32と第2挿入板部41との両方が挿入されている。トップフォイル30の第1挿入板部32及びバンプフォイル40の第2挿入板部41は、トップフォイル30の第1挿入板部32の厚み方向と、バンプフォイル40の第2挿入板部41の厚み方向とが一致した状態で、溝20bに挿入されている。
【0043】
残り2つのバンプフォイル40の第2挿入板部41は、残り2つの溝20bの各々に挿入されている。3つのバンプフォイル40は、トップフォイル30よりも径方向Cの外側に配置されている。3つのバンプフォイル40は、軸受ハウジング20とトップフォイル30との間においてトップフォイル30を弾性的に支持する。
【0044】
<抜け止め部材>
図3に示すように、各抜け止め部材50は、円環状である。各抜け止め部材50は、例えば、ステンレス鋼により形成されている。各抜け止め部材50の硬度は、トップフォイル30及びバンプフォイル40の硬度よりも低い。
【0045】
抜け止め部材50の内径は、軸受ハウジング20の円筒面20dの外径と同じである。一対の抜け止め部材50の一方は、軸受ハウジング20の第1端部21に形成された切り欠き溝20cに嵌め込まれる。一対の抜け止め部材50の他方は、軸受ハウジング20の第2端部22に形成された切り欠き溝20cに嵌め込まれる。一対の抜け止め部材50は、環状面20eに当接する。一対の抜け止め部材50は、溝20bにおける環状面20eに開口している部分に対して軸方向Aで対向する。一対の抜け止め部材50は、溝20bを覆う。なお、一対の抜け止め部材50は、図示しない固定手段により軸受ハウジング20に固定される。
【0046】
図3及び
図5に示すように、抜け止め部材50は、軸方向Aにおいて第1挿入板部32及び各バンプフォイル40の第2挿入板部41に重なる。抜け止め部材50は、軸方向Aにおいて、トップフォイル30の第1挿入板部32及び対向部42の一部に対向している。したがって、第2挿入板部41には、軸方向Aにおいて抜け止め部材50と対向するように屈曲形成された対向部42が設けられている。一対の抜け止め部材50は、軸方向Aにおいてトップフォイル30及びバンプフォイル40に対向するとともにトップフォイル30及びバンプフォイル40の軸受ハウジング20からの抜けを防止する。
【0047】
図6に示すように、各々の抜け止め部材50は、軸方向Aにおいて第1挿入板部32に対向し、軸方向Aにおいて第2挿入板部41に重なる位置に対向面50aを有している。対向面50aは、径方向Cに延びる面である。対向面50aは、軸受ハウジング20の軸線に直交する方向に延びている。軸方向Aにおいて、2つの対向面50a間の間隔L1は、軸方向Aにおいて、2つの対向部42各々における第2挿入板部41とは反対側の端部間の長さL2よりも長い。
【0048】
<摩耗抑制部>
トップフォイル30の第1挿入板部32には、摩耗抑制部材60が設けられている。したがって、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32に設けられている。摩耗抑制部材60は、軸方向Aに延びる薄板状である。摩耗抑制部材60は、平板状である。摩耗抑制部材60は、樹脂製である。摩耗抑制部材60の硬度は、トップフォイル30の第1挿入板部32の硬度よりも低い。摩耗抑制部材60の硬度は、抜け止め部材50の硬度よりも低い。
【0049】
摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32におけるバンプフォイル40の第2挿入板部41側に位置する面に設けられている。摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32における厚み方向の一方に位置する面に設けられている。摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32における厚み方向の一方に位置する面に対して厚み方向が一致した状態で第1挿入板部32に設けられている。
【0050】
摩耗抑制部材60における軸方向Aの長さは、トップフォイル30の第1挿入板部32における軸方向Aの長さと同じである。摩耗抑制部材60における軸方向Aの両端面60aは、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aと同一平面上に位置している。摩耗抑制部材60は、各々の抜け止め部材50と軸方向Aで対向している。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間で、抜け止め部材50と接触可能に設けられている。
【0051】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、回転軸103が回転方向Dに回転しており、且つ、回転軸103の回転数が所定の回転数に到達すると、回転軸103とトップフォイル30との間に空気膜105が形成される。これにより、回転軸103がトップフォイル30から浮上する。そして、回転軸103は、空気膜105によりトップフォイル30に対して非接触の状態でラジアル方向Rdに支持される。
【0052】
回転軸103が回転しているとき、回転軸103が軸受ハウジング20の軸線に対して傾斜することが考えられる。回転軸103が軸受ハウジング20の軸線に対して傾斜すると、空気膜105の厚さが軸方向Aにおいて変化する。すると、軸方向Aにおいて、空気膜105によるラジアル方向Rdの動圧が低い箇所と高い箇所が形成される。よって、トップフォイル30及びバンプフォイル40には、軸方向Aに移動する力が作用する。これにより、トップフォイル30及びバンプフォイル40が軸方向Aに移動して、抜け止め部材50に対して必要以上に押し付けられるように接触することが考えられる。
【0053】
図6に示すように、バンプフォイル40が軸方向Aに移動すると、バンプフォイル40の各対向部42は、対向面50aに接触する。バンプフォイル40が軸方向Aに移動して、バンプフォイル40の対向部42が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触すると、対向部42にばね作用が生じることにより、抜け止め部材50の対向面50aに作用する荷重が吸収される。したがって、バンプフォイル40及び抜け止め部材50の摩耗が抑制される。
【0054】
また、対向部42が弾性変形していくと、対向部42が抜け止め部材50に面接触する。よって、バンプフォイル40と抜け止め部材50との接触面積が増大している。したがって、抜け止め部材50に局所的に荷重が作用してしまうことが抑制されている。その結果、バンプフォイル40及び抜け止め部材50の摩耗が抑制される。
【0055】
トップフォイル30が軸方向Aに移動すると、摩耗抑制部材60における軸方向Aの両端面60a、及び第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aが、各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する。したがって、例えば、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていない状態で、第1挿入板部32が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する場合に比べると、各々の抜け止め部材50の対向面50aに対する接触面積が増大している。よって、各々の抜け止め部材50の対向面50aに局所的に荷重が作用してしまうことが抑制されている。このように、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていることによって、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗が抑制されている。したがって、摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制する。
【0056】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第1挿入板部32には、抜け止め部材50と軸方向Aに対向し、抜け止め部材50との摩耗を抑制する摩耗抑制部材60が設けられている。これによれば、摩耗抑制部材60によって第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗が抑制される。このため、トップフォイル30における軸受ハウジング20に対する位置が軸受ハウジング20の軸方向Aでずれてしまうことを抑制することができる。その結果、回転軸103を安定的に支持することができる。
【0057】
(2)溝20bには、第1挿入板部32と第2挿入板部41との両方が挿入されている。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間で、抜け止め部材50と接触可能に設けられている。これによれば、摩耗抑制部材60が、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間で、抜け止め部材50と接触することにより、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0058】
(3)摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32に設けられている。第2挿入板部41には、軸方向Aにおいて抜け止め部材50と対向するように屈曲形成された対向部42が設けられている。これによれば、バンプフォイル40が軸受ハウジング20の軸方向Aに移動して、対向部42が抜け止め部材50に接触すると、対向部42にばね作用が生じることにより、抜け止め部材50に作用する荷重が吸収される。したがって、第2挿入板部41及び抜け止め部材50の摩耗を抑制することができる。一方で、摩耗抑制部材60によって第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗が抑制される。以上により、第1挿入板部32及び第2挿入板部41と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0059】
(4)摩耗抑制部材60の硬度は、トップフォイル30の第1挿入板部32の硬度よりも低い。これによれば、摩耗抑制部材60が抜け止め部材50に接触したときに、抜け止め部材50が摩耗してしまうことを抑制することができる。
【0060】
(5)摩耗抑制部材60における軸方向Aの両端面60aは、トップフォイル30の第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aと同一平面上に位置している。これによれば、摩耗抑制部材60における軸受ハウジング20の軸方向Aの両端面60a、及び第1挿入板部32における軸受ハウジング20の軸方向Aの両端面32aが、各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する。したがって、例えば、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていない状態で、第1挿入板部32が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する場合に比べると、各々の抜け止め部材50の対向面50aに対する接触面積が増大している。よって、各々の抜け止め部材50の対向面50aに局所的に荷重が作用してしまうことが抑制される。このように、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていることによって、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0061】
(6)バンプフォイル40は、可撓性を有する長尺状の金属板材を周方向Bに略円弧状に湾曲させることにより形成されている。このとき、複数の谷部43及び複数の山部44が形成されるように折り曲げ加工が施されるため、トップフォイル30に比べると折り曲げ加工の工程数が多い。したがって、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42を設けるために金属板材を折り曲げる折り曲げ加工は、既存の折り曲げ加工と同時行うことができる。よって、例えば、折り曲げ加工が少ないトップフォイル30の第1挿入板部32に対向部42を設ける場合に比べると、加工の手間を省くことができる。そして、トップフォイル30の第1挿入板部32に摩耗抑制部材60を設けることにより、トップフォイル30の第1挿入板部32に対向部42を設けなくても、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0062】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
○
図7に示すように、摩耗抑制部材60における軸方向Aの長さが、トップフォイル30の第1挿入板部32における軸方向Aの長さよりも長くてもよい。摩耗抑制部材60における軸方向Aの両端面60aは、トップフォイル30の第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aよりも突出している。摩耗抑制部材60は、樹脂製である。摩耗抑制部材60の硬度は、トップフォイル30の第1挿入板部32の硬度よりも低い。したがって、摩耗抑制部材60における軸方向Aの両端部の硬度は、トップフォイル30の第1挿入板部32の硬度よりも低い。このように、摩耗抑制部材60において少なくとも軸方向Aの両端部の硬度が、第1挿入板部32の硬度よりも低くてもよい。
【0064】
これによれば、摩耗抑制部材60の両端部が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触しても、各々の抜け止め部材50の対向面50aに作用する荷重を低減することができる。このように、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていることによって、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0065】
○
図8に示すように、摩耗抑制部材60は、軸方向Aの両端部以外の硬度が第1挿入板部32の硬度と同じであるとともに、軸方向Aの両端部の硬度が第1挿入板部32の硬度よりも低い構成であってもよい。摩耗抑制部材60は、軸方向Aの両端部以外の硬度が第1挿入板部32の硬度と同じである金属板61により形成されている。そして、摩耗抑制部材60は、軸方向Aの両端部が樹脂部62により形成されている。両樹脂部62は、金属板61の両端面それぞれに対して、例えば接着剤等によって接合されている。
【0066】
これによれば、摩耗抑制部材60において軸方向Aの両端部以外の硬度が第1挿入板部32の硬度と同じであるため、摩耗抑制部材60の強度を極力確保することができる。そして、摩耗抑制部材60の両端部が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触しても、各々の抜け止め部材50の対向面50aに作用する荷重を低減することができる。このように、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていることによって、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0067】
○
図9及び
図10に示すように、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32の周囲を取り囲む環状であってもよい。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32a全体を被覆しつつ、第1挿入板部32の外面全体を取り囲んでいる。このように、摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aを少なくとも取り囲んでいてもよい。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間から第1挿入板部32と溝20bとの間にかけて延在し、抜け止め部材50に接触可能に設けられている。
【0068】
図10に示すように、摩耗抑制部材60は、第2切欠縁312aに接触している。これにより、摩耗抑制部材60が第1挿入板部32から径方向Cの内側へ抜け落ちてしまうことが抑制されている。また、摩耗抑制部材60の内周面と第1切欠縁311aとの間の隙間の軸方向Aの長さは、第2切欠縁312aにおける軸方向Aの長さよりも短くなっている。これにより、摩耗抑制部材60が第1挿入板部32に対して軸方向Aへガタついたとしても、摩耗抑制部材60が第1挿入板部32から径方向Cの内側へ抜け落ちてしまうことが抑制されている。
【0069】
これによれば、例えば、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていない状態で、第1挿入板部32が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する場合に比べると、各々の抜け止め部材50の対向面50aに対する接触面積が増大している。よって、各々の抜け止め部材50の対向面50aに局所的に荷重が作用してしまうことが抑制される。このように、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていることによって、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0070】
このように、摩耗抑制部材60が、第1挿入板部32の周囲を取り囲む環状である構成は、第1挿入板部32における軸受ハウジング20の軸方向Aの両端面32aを少なくとも取り囲む構成として好適である。
【0071】
摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間から第1挿入板部32と溝20bとの間にかけて延在し、抜け止め部材50に接触可能に設けられている。これによれば、摩耗抑制部材60が、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間から第1挿入板部32と溝20bとの間にかけて延在した状態で、抜け止め部材50と接触することにより、第1挿入板部32と抜け止め部材50との摩耗を抑制することができる。
【0072】
○
図11に示すように、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32の周囲を取り囲む非環状であってもよい。このように、摩耗抑制部材60が非環状であっても、摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aを少なくとも取り囲んでいればよい。
【0073】
○
図12に示すように、摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32の周囲を取り囲む環状の本体部63と、本体部63の外周面に設けられる第1コーティング層64と、を有している構成であってもよい。このように、摩耗抑制部材60の外周面には、第1コーティング層64が形成されていてもよい。本体部63は、樹脂製である。第1コーティング層64は、本体部63よりも硬度の低い樹脂を本体部63の外周面にコーティングすることにより形成されている。したがって、第1コーティング層64の硬度は、本体部63の硬度よりも低い。
【0074】
これによれば、例えば、摩耗抑制部材60が第1コーティング層64を有しておらず、本体部63が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する場合に比べると、各々の抜け止め部材50の対向面50aに作用する荷重を低減することができる。
【0075】
摩耗抑制部材60の外周面には、第1コーティング層64が形成されている。これによれば、摩耗抑制部材60が抜け止め部材50に接触したときに、抜け止め部材50が摩耗してしまうことを第1コーティング層64によってさらに抑制することができる。
【0076】
○
図13に示すように、摩耗抑制部材60は、
図12に示す実施形態の構成に加えて、本体部63の内周面と第1挿入板部32との間に設けられる第2コーティング層65をさらに有している構成であってもよい。第2コーティング層65は、本体部63よりも硬度の低い樹脂を本体部63の内周面にコーティングすることにより形成されている。したがって、第2コーティング層65の硬度は、本体部63の硬度よりも低い。このように、第1挿入板部32の外周面には、第2コーティング層65が形成されていてもよい。第1挿入板部32の外周面に形成された第2コーティング層65は、摩耗抑制部材60で覆われている。これによれば、第2コーティング層65によって、本体部63と第1挿入板部32との摩耗を回避することができる。したがって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方及び摩耗抑制部材それぞれの耐久性を向上させることができる。
【0077】
○
図14に示すように、摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32における軸方向Aの両端部各々を挟み込むことにより、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aを取り囲んでいる構成であってもよい。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間から第1挿入板部32と溝20bとの間にかけて延在し、抜け止め部材50に接触可能に設けられている。第1挿入板部32における軸方向Aの両端部各々を挟み込む各摩耗抑制部材60は、例えば、第1挿入板部32の端部各々をかしめることにより第1挿入板部32の端部に固定されている。また、各摩耗抑制部材60は、例えば、第1挿入板部32の端部各々に対して溶接により固定されていてもよい。各摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32a全体を被覆している。このように、摩耗抑制部材60が、第1挿入板部32における軸受ハウジング20の軸方向Aの両端部各々を挟み込む構成は、第1挿入板部32における軸受ハウジング20の軸方向Aの両端面32aを取り囲む構成として好適である。
【0078】
○
図15に示すように、摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32を被覆するゴム材であってもよい。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32a全体を被覆しつつ、第1挿入板部32の外面全体を取り囲んでいる。摩耗抑制部材60は、第1挿入板部32と第2挿入板部41との間から第1挿入板部32と溝20bとの間にかけて延在し、抜け止め部材50に接触可能に設けられている。このように、摩耗抑制部材60が、第1挿入板部32を被覆するゴム材である構成は、各々の抜け止め部材50の対向面50aに作用する荷重を低減する構成として好適である。
【0079】
○
図16に示すように、
図13に示す実施形態の構成に加えて、トップフォイル30の軸受面30aに、第2コーティング層65が形成されていてもよい。すなわち、トップフォイル30の軸受面30a及び第1挿入板部32の外周面には、第2コーティング層65が形成されていてもよい。第1コーティング層64の硬度は、第2コーティング層65の硬度よりも小さい。
【0080】
これによれば、トップフォイル30の軸受面30aの摩耗を第2コーティング層65によって抑制しつつも、第1挿入板部32と摩耗抑制部材60との摩耗も第2コーティング層65によって抑制することができる。
【0081】
また、第1コーティング層64の硬度は、第2コーティング層65の硬度よりも小さい。これによれば、第1コーティング層64が摩耗することにより生じる摩耗粉が、第2コーティング層65の摩耗を助長してしまうことを抑制することができる。したがって、第2コーティング層65が摩耗してしまうことによりトップフォイル30の軸受面30aが摩耗してしまうといった問題を回避することができる。
【0082】
○
図9、
図10、
図11、
図12、及び
図13に示す実施形態において、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32に加えて、バンプフォイル40の第2挿入板部41の周囲も取り囲む環状であってもよい。この場合、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられていなくてもよい。要は、第1挿入板部32及び第2挿入板部41の少なくとも一方に、摩耗抑制部材60が設けられていればよい。
【0083】
○
図14に示す実施形態において、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32における軸方向Aの両端部各々に加えて、バンプフォイル40の第2挿入板部41における軸方向Aの両端部各々も挟み込む構成であってもよい。この場合、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられていなくてもよい。
【0084】
○
図15に示す実施形態において、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32に加えて、バンプフォイル40の第2挿入板部41の周囲も被覆するゴム材であってもよい。この場合、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられていなくてもよい。
【0085】
○ 実施形態において、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の第1挿入板部32におけるバンプフォイル40の第2挿入板部41とは反対側に位置する面に設けられていてもよい。
【0086】
○ 実施形態において、摩耗抑制部材60は、バンプフォイル40の第2挿入板部41における厚み方向の一方に位置する面に設けられていてもよい。この場合、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられていなくてもよい。
【0087】
○
図7及び
図8に示す実施形態において、摩耗抑制部材60は、バンプフォイル40の第2挿入板部41における厚み方向の一方に位置する面に設けられていてもよい。この場合、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられていなくてもよい。
【0088】
○ 実施形態において、摩耗抑制部材60が金属製であってもよい。要は、摩耗抑制部材60の材質は樹脂に限定されるものではない。例えば、摩耗抑制部材60が金属製である場合、摩耗抑制部材60は、トップフォイル30の材質よりも硬度が低い金属で形成されている。
【0089】
○ 実施形態において、摩耗抑制部材60の材質がトップフォイル30の材質と同じであってもよい。要は、摩耗抑制部材60の硬度が、トップフォイル30の第1挿入板部32の硬度と同じであってもよい。この場合であっても、摩耗抑制部材60における軸方向Aの両端面60aが、トップフォイル30の第1挿入板部32における軸方向Aの両端面32aと同一平面上に位置していればよい。これによれば、例えば、第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられていない状態で、第1挿入板部32が各々の抜け止め部材50の対向面50aに接触する場合に比べると、各々の抜け止め部材50の対向面50aに対する接触面積が増大している。よって、各々の抜け止め部材50の対向面50aに局所的に荷重が作用してしまうことが抑制される。
【0090】
○ 実施形態において、各々の対向部42は、周方向Bにおいて、互いに反対の方向に延びていてもよい。
○ 実施形態において、例えば、トップフォイル30の第1挿入板部32に摩耗抑制部材60が設けられておらず、トップフォイル30の第1挿入板部32に対向部42が設けられていてもよい。そして、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられておらず、バンプフォイル40の第2挿入板部41に摩耗抑制部材60が設けられていてもよい。要は、第1挿入板部32及び第2挿入板部41の少なくとも一方に、摩耗抑制部材60が設けられていればよい。
【0091】
○ 実施形態において、バンプフォイル40の第2挿入板部41に対向部42が設けられておらず、第1挿入板部32に加えて、第2挿入板部41にも摩耗抑制部材60が設けられていてもよい。要は、第1挿入板部32及び第2挿入板部41の少なくとも一方に、摩耗抑制部材60が設けられていればよい。
【0092】
○ 実施形態において、例えば、第2挿入板部41における軸方向Aの一方側のみに対向部42が設けられていてもよい。したがって、第2挿入板部41における軸方向Aの両端側の少なくとも一方に対向部42が設けられていればよい。
【0093】
○ 実施形態において、抜け止め部材50は、溝20bに圧入される構成であってもよい。
○ 実施形態において、一対の抜け止め部材50の一方を省略してもよい。この場合、溝20bのうち第1端部21側又は第2端部22側に開口している部分を閉塞するとよい。溝20bのうち軸方向Aにおいて閉塞された部分は、軸受ハウジング20の一部である。そして、溝20bのうち軸方向Aにおいて閉塞された部分を、抜け止め部としてもよい。要するに、軸受ハウジング20が抜け止め部を有していてもよい。そして、溝20bのうち軸方向Aにおいて閉塞された部分の抜け止め部とした場合、当該抜け止め部は、軸方向Aにおいて第1挿入板部32及び第2挿入板部41に対向する対向面を有している。
【0094】
○ 実施形態において、フォイル軸受10は、3つのバンプフォイル40を備えている構成であったが、これに限らず、1つの略円筒状のバンプフォイル40を備えている構成であってもよい。この場合、軸受ハウジング20の溝20bは、1つのみでよい。
【0095】
○ 実施形態において、例えば、トップフォイル30の両端に第1挿入板部32が形成されていてもよい。要は、トップフォイル30の少なくとも一端に第1挿入板部32が形成されていればよい。
【0096】
○ 実施形態において、例えば、バンプフォイル40の両端に第2挿入板部41が形成されていてもよい。要は、バンプフォイル40の少なくとも一端に第2挿入板部41が形成されていればよい。
【0097】
○ 実施形態において、フォイル軸受10は、遠心圧縮機100の回転軸103をラジアル方向Rdに支持するものに限らない。要は、フォイル軸受10の適用対象は、適宜変更してもよい。
【0098】
[付記]
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
<付記1>
回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、
前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に配置される薄板状のトップフォイルと、
前記軸受ハウジングと前記トップフォイルとの間において前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、を有し、
前記軸受ハウジングの内周面には、前記軸受ハウジングにおける軸方向の端部に開口する溝が形成されており、
前記トップフォイルの少なくとも一端には、前記溝に向けて屈曲し、前記溝に挿入される第1挿入板部が形成され、
前記バンプフォイルの少なくとも一端には、前記溝に向けて屈曲し、前記溝に挿入される第2挿入板部が形成され、
前記軸方向において前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部に重なるとともに前記溝を覆う一対の抜け止め部を備えているフォイル軸受であって、
前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方には、前記抜け止め部と前記軸方向に対向し、前記抜け止め部との摩耗を抑制する摩耗抑制部材が設けられていることを特徴とするフォイル軸受。これによれば、請求項1と同様の効果を得る。
【0099】
<付記2>
前記摩耗抑制部材は、前記軸方向に延びる薄板状であるとともに前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における厚み方向の一方に位置する面に対して厚み方向が一致した状態で前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方に設けられており、
前記摩耗抑制部材における前記軸方向の長さは、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の長さと同じであり、
前記摩耗抑制部材における前記軸方向の両端面は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の両端面と同一平面上に位置していることを特徴とする<付記1>に記載のフォイル軸受。
【0100】
これによれば、摩耗抑制部材における軸受ハウジングの軸方向の両端面、及び第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方における軸受ハウジングの軸方向の両端面が、抜け止め部に接触する。したがって、例えば、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方に摩耗抑制部材が設けられていない状態で、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方が抜け止め部に接触する場合に比べると、抜け止め部に対する接触面積が増大している。よって、抜け止め部に局所的に荷重が作用してしまうことが抑制される。このように、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方に摩耗抑制部材が設けられていることによって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0101】
<付記3>
前記摩耗抑制部材は、前記軸方向に延びる薄板状であるとともに前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における厚み方向の一方に位置する面に対して厚み方向が一致した状態で前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方に設けられており、
前記摩耗抑制部材における前記軸方向の長さは、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の長さよりも長く、
前記摩耗抑制部材における前記軸方向の両端面は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の両端面よりも突出しており、
前記摩耗抑制部材において少なくとも前記軸方向の両端部の硬度は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方の硬度よりも低いことを特徴とする<付記1>に記載のフォイル軸受。
【0102】
これによれば、摩耗抑制部材において少なくとも軸受ハウジングの軸方向の両端部の硬度が、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方の硬度よりも低い。このため、摩耗抑制部材の両端部が抜け止め部に接触しても、抜け止め部に作用する荷重を低減することができる。このように、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方に摩耗抑制部材が設けられていることによって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0103】
<付記4>
前記摩耗抑制部材は、前記軸方向の両端部以外の硬度が前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方の硬度と同じであるとともに、前記軸方向の両端部の硬度が前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方の硬度よりも低いことを特徴とする<付記3>に記載のフォイル軸受。
【0104】
これによれば、摩耗抑制部材において軸受ハウジングの軸方向の両端部以外の硬度が第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方の硬度と同じであるため、摩耗抑制部材の強度を極力確保することができる。そして、摩耗抑制部材において軸受ハウジングの軸方向の両端部の硬度が、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方の硬度よりも低い。このため、摩耗抑制部材の両端部が抜け止め部に接触しても、抜け止め部に作用する荷重を低減することができる。このように、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方に摩耗抑制部材が設けられていることによって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0105】
<付記5>
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の両端面を少なくとも取り囲んでいることを特徴とする<付記1>に記載のフォイル軸受。
【0106】
これによれば、例えば、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方に摩耗抑制部材が設けられていない状態で、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方が抜け止め部に接触する場合に比べると、抜け止め部に対する接触面積が増大している。よって、抜け止め部に局所的に荷重が作用してしまうことが抑制される。このように、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方に摩耗抑制部材が設けられていることによって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方と抜け止め部との摩耗を抑制することができる。
【0107】
<付記6>
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方の周囲を取り囲む環状であることを特徴とする<付記5>に記載のフォイル軸受。
【0108】
このように、摩耗抑制部材が、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方の周囲を取り囲む環状である構成は、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方における軸受ハウジングの軸方向の両端面を少なくとも取り囲む構成として好適である。
【0109】
<付記7>
前記摩耗抑制部材は、
前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方の周囲を取り囲む環状の本体部と、
前記本体部の外周面に設けられる第1コーティング層と、を有し、
前記第1コーティング層の硬度は、前記本体部の硬度よりも低いことを特徴とする<付記6>に記載のフォイル軸受。
【0110】
これによれば、例えば、摩耗抑制部材が第1コーティング層を有しておらず、本体部が抜け止め部に接触する場合に比べると、抜け止め部に作用する荷重を低減することができる。
【0111】
<付記8>
前記摩耗抑制部材は、前記本体部の内周面と前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方との間に設けられる第2コーティング層をさらに有し、
前記第2コーティング層の硬度は、前記本体部の硬度よりも低いことを特徴とする<付記7>に記載のフォイル軸受。
【0112】
これによれば、第2コーティング層によって、本体部と第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方との摩耗を回避することができる。したがって、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方及び摩耗抑制部材それぞれの耐久性を向上させることができる。
【0113】
<付記9>
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の両端部各々を挟み込むことにより、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方における前記軸方向の両端面を取り囲んでいることを特徴とする<付記5>に記載のフォイル軸受。
【0114】
このように、摩耗抑制部材が、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方における軸受ハウジングの軸方向の両端部各々を挟み込む構成は、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方における軸受ハウジングの軸方向の両端面を取り囲む構成として好適である。
【0115】
<付記10>
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部及び前記第2挿入板部の少なくとも一方を被覆するゴム材であることを特徴とする<付記1>に記載のフォイル軸受。
【0116】
このように、摩耗抑制部材が、第1挿入板部及び第2挿入板部の少なくとも一方を被覆するゴム材である構成は、抜け止め部に作用する荷重を低減する構成として好適である。
<付記11>
前記摩耗抑制部材は、前記第1挿入板部に設けられており、
前記第2挿入板部には、前記軸方向において前記抜け止め部と対向するように屈曲形成された対向部が設けられていることを特徴とする<付記1>~<付記10>のいずれか1つに記載のフォイル軸受。これによれば、請求項4と同様の効果を得る。
【符号の説明】
【0117】
10…フォイル軸受、20…軸受ハウジング、20a…内周面、20b…溝、21…軸受ハウジングにおける軸方向の端部としての第1端部、22…軸受ハウジングにおける軸方向の端部としての第2端部、30…トップフォイル、30a…軸受面、32…第1挿入板部、40…バンプフォイル、41…第2挿入板部、42…対向部、50…抜け止め部としての抜け止め部材、60…摩耗抑制部材、64…第1コーティング層、65…第2コーティング層、103…回転軸。