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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017872
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/139 20060101AFI20240201BHJP
   F16F 15/30 20060101ALI20240201BHJP
   F16F 15/134 20060101ALI20240201BHJP
   F16D 7/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F16F15/139 B
F16F15/30 E
F16F15/134 A
F16D7/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120805
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】萩原 ▲祥▼行
(57)【要約】
【課題】低コスト化が可能な動力伝達装置を提供する。
【解決手段】動力伝達装置100は、フライホイール10、トルクリミッタユニット5、及びダンパユニット2を備える。トルクリミッタユニット5は、第1及び第2サイドプレート51,52と、摩擦プレート56とを有する。第1サイドプレート51は、フライホイール10に取り付けられる。第1サイドプレート51は、フライホイール10に対して軸方向第1側に配置される。摩擦プレート56は、軸方向において第1サイドプレート51と第2サイドプレート52との間に配置される。ダンパユニット2は、入力回転体21,22と、出力プレート232と、弾性部材24とを有する。出力プレート232は、軸方向において、第1サイドプレート51とフライホイール10との間に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライホイールと、
前記フライホイールに取り付けられるトルクリミッタユニットと、
前記トルクリミッタユニットに取り付けられるダンパユニットと、
を備え、
前記トルクリミッタユニットは、
前記フライホイールに取り付けられ、前記フライホイールに対して軸方向第1側に配置される第1サイドプレートと、
前記第1サイドプレートと一体的に回転するように構成され、前記第1サイドプレートに対して軸方向第2側に配置される第2サイドプレートと、
軸方向において前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートとの間に配置される摩擦プレートと、
を有し、
前記ダンパユニットは、
前記摩擦プレートと一体的に回転するように構成される入力回転体と、
前記入力回転体と相対回転可能に配置され、軸方向において、前記第1サイドプレートと前記フライホイールとの間に配置される出力プレートと、
前記入力回転体と前記出力プレートとを弾性的に連結する弾性部材と、
を有する、
動力伝達装置。
【請求項2】
前記第1サイドプレートは、外周部と、前記外周部に対して軸方向第1側に配置される内周部と、を有する、
請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記フライホイールは、
本体部と、
前記本体部に対して径方向外側に配置され、前記本体部から軸方向第1側に突出する取付部と、
を有し、
前記第1サイドプレートは、前記取付部に取り付けられ、
前記出力プレートは、前記第1サイドプレートと前記本体部との間に配置される、
請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記フライホイールは、
前記取付部に対して径方向外側に配置され、前記取付部に対して軸方向第1側に突出する突出部、
を有する、
請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記入力回転体は、
前記摩擦プレートが取り付けられる第1入力プレートと、
前記第1入力プレートに対して軸方向第2側に配置され、前記第1入力プレートと一体的に回転するように構成される第2入力プレートと、
を有する、
請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記出力プレートの外径は、前記第1サイドプレートの内径と同じである、
請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記摩擦プレートは、第1入力プレートと別部材である、
請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記第1サイドプレートは、その内周面が前記出力プレートの外周面と対向しないように配置される、
請求項1に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動力伝達装置は、エンジンのトルク変動を吸収するように構成されている。この動力伝達装置は、フライホイール、トルクリミッタユニット、及びダンパユニットを有している(例えば、特許文献1)。ダンパユニットは、トルクリミッタユニットを介して、フライホイールに取り付けられている。トルクリミッタユニットは、フライホイールとダンパユニットとの間で、所定値以上のトルクの伝達を規制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-55810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように構成された動力伝達装置の低コスト化が要望されている。そこで、本発明の課題は、低コスト化が可能な動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る動力伝達装置は、フライホイールと、トルクリミッタユニットと、ダンパユニットとを備える。トルクリミッタユニットは、フライホイールに取り付けられる。ダンパユニットは、トルクリミッタユニットに取り付けられる。トルクリミッタユニットは、第1サイドプレートと、第2サイドプレートと、摩擦プレートとを有する。第1サイドプレートは、フライホイールに取り付けられる。第1サイドプレートは、フライホイールに対して軸方向第1側に配置される。第2サイドプレートは、第1サイドプレートと一体的に回転するように構成される。第2サイドプレートは、第1サイドプレートに対して軸方向第2側に配置される。摩擦プレートは、軸方向において第1サイドプレートと第2サイドプレートとの間に配置される。ダンパユニットは、入力回転体と、出力プレートと、弾性部材とを有する。入力回転体は、摩擦プレートと一体的に回転するように構成される。出力プレートは、入力回転体と相対回転可能に配置される。出力プレートは、軸方向において、第1サイドプレートとフライホイールとの間に配置される。弾性部材は、入力回転体と出力プレートとを弾性的に連結する。
【0006】
上述した構成によれば、出力プレートは、第1サイドプレートとフライホイールとの間に配置されている。このため、第1サイドプレートとフライホイールとは、相対回転したときに互いに干渉しない。したがって、第1サイドプレートと出力プレートとを一つの部材から取り出した場合に、出力プレートの外周面を削る工程を省略することができ、低コスト化が可能となる。
【0007】
第2態様に係る動力伝達装置は、第1態様に係る動力伝達装置において、次のように構成される。第1サイドプレートは、外周部と、内周部とを有する。内周部は、外周部に対して軸方向第1側に配置される。
【0008】
第3態様に係る動力伝達装置は、第1又は第2態様に係る動力伝達装置において、次のように構成される。フライホイールは、本体部と、取付部とを有する。取付部は、本体部に対して径方向外側に配置される、取付部は、本体部から軸方向第1側に突出する。第1サイドプレートは、取付部に取り付けられる。出力プレートは、第1サイドプレートと本体部との間に配置される。
【0009】
第4態様に係る動力伝達装置は、第3態様に係る動力伝達装置において、次のように構成される。フライホイールは、突出部を有する。突出部は、取付部に対して径方向外側に配置される。突出部は、取付部に対して軸方向第1側に突出する。
【0010】
第5態様に係る動力伝達装置は、第1から第4態様のいずれかに係る動力伝達装置において、次のように構成される。入力回転体は、第1入力プレートと、第2入力プレートとを有する。第1入力プレートは、摩擦プレートが取り付けられる。第2入力プレートは、第1入力プレートに対して軸方向第2側に配置される。第2入力プレートは、第1入力プレートと一体的に回転するように構成される。
【0011】
第6態様に係る動力伝達装置は、第1から第5態様のいずれかに係る動力伝達装置において、次のように構成される。出力プレートの外径は、第1サイドプレートの内径と同じである。
【0012】
第7態様に係る動力伝達装置は、第1から第6態様のいずれかに係る動力伝達装置において、次のように構成される。摩擦プレートは、第1入力プレートと別部材である。
【0013】
第8態様に係る動力伝達装置は、第1から第7態様のいずれかに係る動力伝達装置において、次のように構成される。第1サイドプレートは、その内周面が出力プレートの外周面と対向しないように配置される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コスト化が可能な動力伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】動力伝達装置の断面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】トルクリミッタユニットの拡大断面図。
図4】フランジプレートの正面図。
図5】フランジプレート及び第1サイドプレートが形成された1枚のプレートの正面図。
図6】変形例に係るフライホイールの拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置100の正面図であり、図2図1のII-II線断面図である。図2において、O-O線は動力伝達装置100の回転軸である。図2において、動力伝達装置100の左側にエンジン(図示省略)が配置され、右側に電動機や変速装置等を含む駆動ユニット(図示省略)が配置される。
【0017】
なお、以下の説明において、軸方向とは、動力伝達装置100の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。なお、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向に完全に一致している必要はなく、また、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の直径方向に完全に一致している必要はない。
【0018】
図1及び図2に示すように、動力伝達装置100は、エンジンと駆動ユニットの入力シャフト111との間に設けられている。動力伝達装置100は、エンジンと駆動ユニットとの間で伝達されるトルクを制限するとともに、回転変動を減衰するように構成されている。動力伝達装置100は、フライホイール10、トルクリミッタユニット5、及びダンパユニット2を有している。
【0019】
[フライホイール]
フライホイール10は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。フライホイール10は、本体部11、及び取付部12を有している。本体部11と取付部12とは、一つの部材として互いに一体的に構成されている。なお、本体部11は、取付部12と別部材として構成されていてもよい。この場合、本体部11をフレキシブルプレートとすることができる。
【0020】
本体部11は、円板状である。取付部12は、本体部11に対して径方向外側に配置されている。取付部12は、周方向に延びる環状である。取付部12は、本体部11に対して軸方向第1側に突出している。
【0021】
取付部12は、取付面121を有している。取付面121は、軸方向第1側を向く面である。軸方向視において、取付面121は、環状である。取付部12は、取付面121上に、複数のネジ孔122を有している。複数のネジ孔122は、周方向に配列されている。また、取付部12は、複数のノックピン(図示省略)を有している。複数のノックピンは、周方向に配列されている。ノックピンは、取付面121から軸方向第1側に突出している。このノックピンを、トルクリミッタユニット5の外周部に形成されたノックピン用穴に挿入することによって、トルクリミッタユニット5は、フライホイール10に対して位置決めがされる。
【0022】
[トルクリミッタユニット5]
トルクリミッタユニット5は、フライホイール10に取り付けられるように構成されている。詳細には、トルクリミッタユニット5は、その外周部において、フライホイール10の取付部12に取り付けられている。
【0023】
トルクリミッタユニット5は、ダンパユニット2に対して径方向外側に配置されている。トルクリミッタユニット5は、フライホイール10とダンパユニット2との間で伝達されるトルクを制限するように構成されている。すなわち、トルクリミッタユニット5は、所定値以上のトルクの伝達を規制するように構成されている。
【0024】
図3に示すように、トルクリミッタユニット5は、第1サイドプレート51、第2サイドプレート52、プレッシャプレート53、コーンスプリング54、第1摩擦材55a、第2摩擦材55b、及び摩擦プレート56を有している。
【0025】
<第1サイドプレート>
第1サイドプレート51は、環状である。第1サイドプレート51は、フライホイール10に取り付けられる。詳細には、第1サイドプレート51は、フライホイール10の取付部12に取り付けられている。第1サイドプレート51は、フライホイール10に対して、軸方向第1側に配置されている。
【0026】
第1サイドプレート51は、外周部511と内周部512とを有する。第1サイドプレート51は、内周部512において、コーンスプリング54による付勢力を受けている。
【0027】
第1サイドプレート51の外周部511は、フライホイール10に取り付けられるように構成されている。詳細には、外周部511は、ネジ穴122に螺合するボルト(図示省略)を通すための貫通孔513を有している。
【0028】
第1サイドプレートの内周部512は、外周部511に対して軸方向第1側に配置されている。内周部512は、軸方向に延びる連結部514を介して外周部511と連結している。
【0029】
<第2サイドプレート>
第2サイドプレート52は、第1サイドプレート51と一体的に回転するように構成されている。具体的には、第2サイドプレート52は、ネジ穴122に螺合するボルト(図示省略)によって、第1サイドプレート51とともにフライホイール10に固定されている。第2サイドプレート52は、第1サイドプレート51に対して、軸方向第2側に配置されている。
【0030】
第2サイドプレート52は、環状である。第2サイドプレート52の外径は、第1サイドプレート51の外径と略同じである。第2サイドプレート52の内径は、第1サイドプレート51の内径よりも大きい。
【0031】
第2サイドプレート52は、外周部521及び内周部522を有している。第2サイドプレート52の外周部521は、フライホイール10に取り付けられるように構成されている。詳細には、外周部521は、ネジ穴122に螺合するボルト(図示省略)を通すための貫通孔523を有している。
【0032】
第2サイドプレート52の外周部521は、第1サイドプレート51の外周部511と接触している。一方、第2サイドプレート52の内周部522は、第1サイドプレート51と軸方向において間隔をあけて配置されている。第2サイドプレート52の板厚は、第1サイドプレート51の板厚よりも薄い。
【0033】
<摩擦プレート>
摩擦プレート56は、環状である。摩擦プレート56は、後述する第1及び第2入力プレート21,22と一体的に回転するように構成されている。詳細には、摩擦プレート56は、第1入力プレート21に取り付けられている。摩擦プレート56は、第1入力プレート21に対して、軸方向の第1側に配置されている。摩擦プレート56は、第1入力プレート21よりも薄い。摩擦プレート56は、軸方向において、第1サイドプレート51と第2サイドプレート52との間に配置されている。
【0034】
<第2締結部>
図2に示すように、第2締結部57は、摩擦プレート56をダンパユニット2に締結している。詳細には、第2締結部57は、摩擦プレート56と第1入力プレート21とを締結している。第2締結部57は、後述する第1締結部26に対して、径方向内側に配置されている。なお、第2締結部57は、例えばリベットである。
【0035】
<摩擦材>
図3に示すように、第1及び第2摩擦材55a、55bは、環状である。第1摩擦材55aは、軸方向において、摩擦プレート56と第1サイドプレート51との間に配置されている。第2摩擦材55bは、軸方向において、摩擦プレート56と第2サイドプレート52との間に配置されている。詳細には、第2摩擦材55bは、軸方向において、摩擦プレート56とプレッシャプレート53との間に配置されている。
【0036】
第1及び第2摩擦材55a、55bは、摩擦プレート56に取り付けられている。第1摩擦材55aは、第1サイドプレート51と摩擦係合する。また、第2摩擦材55bは、プレッシャプレート53と摩擦係合する。所定値以上のトルクが入力されると、第1摩擦材55aは、第1サイドプレート51と摺動し、第2摩擦材55bは、プレッシャプレート53と摺動する。この結果、第1サイドプレート51と摩擦プレート56とは相対回転する。なお、第1摩擦材55aは、第1サイドプレート51に固定されており、摩擦プレート56と摩擦係合していてもよい。また、第2摩擦材55bは、プレッシャプレート53に固定されており、摩擦プレート56と摩擦係合していてもよい。
【0037】
<プレッシャプレート>
プレッシャプレート53は、環状である。プレッシャプレート53は、軸方向において、第1サイドプレート51と第2サイドプレート52との間に配置されている。詳細には、プレッシャプレート53は、軸方向において、第2摩擦材55bとコーンスプリング54との間に配置されている。
【0038】
<コーンスプリング>
コーンスプリング54は、軸方向において、第2サイドプレート52とプレッシャプレート53との間に配置されている。なお、コーンスプリング54は、第2サイドプレート52の内周部522に当接している。コーンスプリング54は、プレッシャプレート53を軸方向の第1側に向かって付勢している。これにより、プレッシャプレート53と第1サイドプレート51とによって、摩擦プレート56、並びに第1及び第2摩擦材55a、55bを挟み込む。
【0039】
[ダンパユニット2]
図2に示すように、ダンパユニット2は、トルクリミッタユニット5に取り付けられている。ダンパユニット2は、回転変動を減衰するように構成されている。ダンパユニット2は、第1入力プレート21、第2入力プレート22、ハブフランジ23、及び複数の弾性部材24を有している。また、ダンパユニット2は、ヒス発生機構25を有している。なお、第1入力プレート21及び第2入力プレート22が、本発明の入力回転体に相当する。
【0040】
<第1及び第2入力プレート>
第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、互いに一体的に回転する。また、第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、軸方向に相対的に移動不能である。第1入力プレート21及び第2入力プレート22は、摩擦プレート56と一体的に回転するように構成されている。詳細には、摩擦プレート56が第1入力プレート21に取り付けられている。なお、摩擦プレート56は、第1入力プレート21と別部材であるが、摩擦プレート56は、第1入力プレート21と一つの部材として一体的に構成されていてもよい。第1入力プレート21及び第2入力プレート22は、ともに中心孔を有する環状の部材である。
【0041】
第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、軸方向において互いに間隔をあけて配置されている。第2入力プレート22は、第1入力プレート21に対して軸方向の第2側に配置されている。第2入力プレート22は、第2サイドプレート52に対して、軸方向の第2側に配置されている。
【0042】
第1入力プレート21は、複数の第1窓部211を有している。なお、本実施形態では、第1入力プレート21は、4つの第1窓部211を有している。各第1窓部211は、周方向において配列している。
【0043】
第2入力プレート22は、複数の第2窓部221を有している。なお、本実施形態では、第2入力プレート22は、4つの第2窓部221を有している。各第2窓部221は、周方向において配列している。各第2窓部221は、軸方向視において、各第1窓部211と重複する位置に配置されている。
【0044】
<第1締結部>
第1締結部26は、第1入力プレート21と第2入力プレート22とを締結している。第1締結部26は、例えばリベットである。第1締結部26は、第2サイドプレート52に対して、軸方向の第2側に配置されている。また、第1締結部26は、軸方向視において、第1サイドプレート51と重複するように配置されている。
【0045】
<ハブフランジ23>
ハブフランジ23は、第1及び第2入力プレート21,22からのトルクを出力側の装置に伝達するように構成されている。ハブフランジ23は、ハブ231、及びフランジプレート232(出力プレートの一例)を有している。ハブ231とフランジプレート232とは、複数の歯と、この歯が噛み合う複数の凹部と、によって一体化されている。
【0046】
ハブ231は筒状であり、第1入力プレート21及び第2入力プレート22の中心孔内に配置されている。ハブ231の内周部には、軸方向に延びるスプライン孔が形成されている。このスプライン孔に出力側の部材である入力シャフト111がスプライン係合可能である。
【0047】
フランジプレート232は、ハブ231の外周面から径方向に延びている。フランジプレート232は、環状に形成されている。フランジプレート232は、第1入力プレート21及び第2入力プレート22と相対回転可能に配置されている。
【0048】
フランジプレート232は、軸方向において、第1入力プレート21と第2入力プレート22との間に配置されている。また、フランジプレート232は、軸方向において、第1サイドプレート51とフライホイール10との間に配置されている。詳細には、フランジプレート232は、軸方向において、第1サイドプレート51と本体部11との間に配置されている。すなわち、軸方向の第1側から順に、第1サイドプレート51、フランジプレート232、フライホイール10の本体部11の順で配置されている。
【0049】
フランジプレート232は、その外周面が第1サイドプレート51の内周面と対向しないように配置されている。具体的には、フランジプレート232の外周面は、第1サイドプレート51の内周面に対して軸方向第2側に配置されている。このため、第1サイドプレート51とフランジプレート232とは互いに干渉しない。なお、内周面とは、径方向において内側を向く面であり、外周面とは、径方向において外側を向く面である。
【0050】
図4は、フランジプレート232の正面図である。図4に示すように、フランジプレート232は、円板状に形成されている。フランジプレート232は、中心孔235と、複数の収容孔233を有している。なお、本実施形態では、フランジプレート232は、4つの収容孔233を有している。各収容孔233は、周方向において配列している。各収容孔233は、軸方向視において、各第1窓部211及び各第2窓部221と重複する位置に配置されている。
【0051】
ハブ231は、フランジプレート232の中心孔235内を延びている。そして、ハブ231の外周面に形成された複数の歯が、中心孔235を画定する内壁面に形成された複数の凹部に噛み合っている。これにより、ハブ231とフランジプレート232とが一体的に回転する。
【0052】
フランジプレート232は、複数のストッパ部234を有している。本実施形態では、フランジプレート232は、4つのストッパ部234を有している。ストッパ部234は、径方向外側に突出している部分である。このストッパ部234に、第2入力プレート22の延在部223(図2参照)が当接することによって、第1及び第2入力プレート21、22のフランジプレート232に対する相対回転が規制される。
【0053】
図5に示すように、フランジプレート232の外径は、第1サイドプレート51の内径と同じである。なお、本実施形態において、フランジプレート232の外径とは、ストッパ部234の先端から、反対側に配置されたもう一方のストッパ部234の先端までの寸法である。また、第1サイドプレート51の板厚は、フランジプレート232の板厚と同じである。このため、1枚のプレートから、第1サイドプレート51とフランジプレート232とを取り出すことができる。また、第1サイドプレート51の内周面とフランジプレート232の外周面とが対向しないように配置されているため、フランジプレート232の外周部を削らなくても、第1サイドプレート51の内周面とフランジプレート232の外周面とが干渉することを防止できる。すなわち、本実施形態では、フランジプレート232のストッパ部234の先端部を削らなくても、ストッパ部234の先端面は、第1サイドプレート51の内周面と干渉しない。このため、ストッパ部234の先端部を削る工程を省略することができ、結果として低コスト化することができる。
【0054】
<弾性部材>
図1及び図2に示すように、弾性部材24は、第1及び第2入力プレート21,22とフランジプレート232とを回転方向に弾性的に連結するように構成されている。弾性部材24は、例えば、コイルスプリングである。
【0055】
弾性部材24は、フランジプレート232の収容孔233に収容されている。また、弾性部材24は、第1入力プレート21の第1窓部211に収容されるとともに、第2入力プレート22の第2窓部221にも収容されている。
【0056】
[動作]
エンジンからフライホイール10に伝達されたトルクは、トルクリミッタユニット5を介してダンパユニット2に入力される。ダンパユニット2では、第1及び第2入力プレート21,22にトルクが入力され、このトルクは、弾性部材24を介してハブフランジ23に伝達される。そして、ハブフランジ23から、出力側の電動機、発電機、変速機等に動力が伝達される。
【0057】
また、例えば、エンジン始動時においては、出力側の慣性量が大きいために、出力側からエンジンに過大なトルクが伝達される場合がある。このような場合は、トルクリミッタユニット5によってエンジン側に伝達されるトルクが所定値以下に制限される。
【0058】
[変形例]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0059】
(a)図6に示すように、フライホイール10は、第1突出部13(突出部の一例)を有していてもよい。第1突出部13は、取付部12に対して径方向外側に配置されている。第1突出部13は、周方向に延びる環状である。第1突出部13は、取付部12に対して軸方向第1側に突出している。すなわち、第1突出部13の先端面130は、取付部12の取付面121に対して軸方向第1側に位置している。なお、第1突出部13の先端面130は、軸方向第1側を向いている。
【0060】
第1突出部13は、軸方向第1側に向かって厚さtが徐々に薄くなっている。第1突出部13は、軸方向第1側に向かって外径が徐々に小さくなっている。
【0061】
第1突出部13は、第1内周面131と、第2内周面132とを有している。第2内周面132は、第1内周面131に対して軸方向第2側に配置されている。第2内周面132は、第1内周面131よりも内径が小さい。第2内周面132は、トルクリミッタユニット5の外周面と当接している。なお、第1内周面131は、トルクリミッタユニット5と径方向において間隔をあけて配置されている。
【0062】
また、フライホイール10は、第2突出部14を有していてもよい。第2突出部14は、取付部12に対して径方向外側に配置されている。第2突出部14は、周方向に延びる環状である。第2突出部14は、取付部12に対して軸方向第2側に突出している。すなわち、第2突出部14は、第1突出部13と反対側に突出している。第2突出部14の先端面141は、本体部11に対して軸方向第2側に位置している。なお、第2突出部14の先端面141は、軸方向第2側を向いている。
【0063】
第2突出部14は、軸方向第1側に向かって外径が徐々に小さくなっている。なお、フライホイール10の外径は、軸方向第1側向かって徐々に小さくなっている。また、第2突出部14は、軸方向第1側に向かって内径が徐々に小さくなっている。
【0064】
また、取付部12は、取付面121の外周端部に、溝部123を有していてもよい。溝部123は、周方向に延びている。軸方向第1側から見ると、溝部123は、環状である。
【0065】
(b)上記実施形態では、ハブフランジ23を、ハブ231とフランジプレート232との2つの部材により構成したが、1つの部材によって構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
2 :ダンパユニット
21 :第1入力プレート
22 :第2入力プレート
232 :フランジプレート
24 :弾性部材
5 :トルクリミッタユニット
51 :第1サイドプレート
511 :外周部
512 :内周部
52 :第2サイドプレート
56 :摩擦プレート
10 :フライホイール
11 :本体部
12 :取付部
13 :第1突出部
100 :動力伝達装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6