(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178720
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04298 20160101AFI20241218BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20241218BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20241218BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241218BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241218BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20241218BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241218BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20241218BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20241218BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241218BHJP
【FI】
H01M8/04298
H01M8/04014
H01M8/04029
H01M8/04 N
H01M8/0432
H01M8/04694
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/6571
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097088
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大
【テーマコード(参考)】
5H031
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H031KK03
5H031KK08
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB29
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA33
5H127BA39
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB28
5H127BB37
5H127BB39
5H127CC07
5H127DB99
5H127DC90
5H127DC96
5H127DC97
5H127EE14
5H127EE15
5H127EE16
5H127EE18
5H127EE19
5H127EE22
5H127EE23
5H127EE24
(57)【要約】
【課題】二次電池の劣化を抑制しつつ二次電池を暖機できる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システムの暖機装置60は、第2供給路31cから分岐し、かつ二次電池12に隣接して延びる暖機用流路61と、第2供給路31cから暖機用流路61に熱交換後の空気を流通可能とする流路制御弁33と、流路制御弁33の動作を制御する制御装置70と、を備える。制御装置70は、二次電池12の温度が予め設定された閾値より低くなった場合、エアコンプレッサ32に対して二次電池12から放電させるとともに、インタークーラ25での熱交換後の空気を暖機用流路61に流すために流路制御弁33を切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補機の電源となる二次電池と、
燃料電池スタックと、
空気を前記燃料電池スタックに圧送するエアコンプレッサと、
前記エアコンプレッサから吐出された空気を前記燃料電池スタックへの供給前に熱媒体と熱交換させるインタークーラと、
前記インタークーラでの熱交換後の空気を前記燃料電池スタックに供給するための供給路と、を備える燃料電池システムであって、
前記供給路から分岐し、かつ前記二次電池に隣接して延びる暖機用流路と、
前記供給路から前記暖機用流路に、熱交換後の空気を流通可能とする切替弁と、
前記切替弁の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記二次電池の温度が予め設定された閾値より低くなった場合、前記エアコンプレッサを前記補機として前記二次電池から放電させるとともに、
当該放電によって駆動した前記エアコンプレッサから吐出され、前記インタークーラで熱交換された空気が前記暖機用流路に流れるように前記切替弁を切り替えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池スタックのアノード極から排出された水素ガスが流れ込む希釈器を備え、前記暖機用流路を流れた空気は、前記希釈器に供給される請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池スタックへの冷却水の供給、及び前記燃料電池スタックからの前記冷却水の排出を行う冷却水回路を備え、前記冷却水回路は、前記冷却水を圧送する冷却水ポンプを含み、前記冷却水ポンプは、前記二次電池を電源とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記二次電池の暖機を補助する補助用ヒータを備える請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックを搭載した燃料電池システムには、二次電池を備えるものがある。二次電池は、例えば、燃料電池スタックにエアを供給するためのポンプの電源である。二次電池は、温度が低下すると充放電性能が低下するため、二次電池の暖機が行われるようになっている。特許文献1には、二次電池の暖機をヒータで行う燃料電池システムの暖機装置が開示されている。特許文献1に開示の暖機装置では、二次電池からの電力供給によって加熱されたヒータの熱が二次電池に伝わることで二次電池が暖機されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ヒータを用いた二次電池の暖機では、二次電池からヒータに流れた電流が多くなるほど、ヒータによる暖機時間を短縮できるが、ヒータに流す電流が多くなるほど、ヒータが過度に高温になってしまう。すると、二次電池が劣化してしまい好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための燃料電池システムは、補機の電源となる二次電池と、燃料電池スタックと、空気を前記燃料電池スタックに圧送するエアコンプレッサと、前記エアコンプレッサから吐出された空気を前記燃料電池スタックへの供給前に熱媒体と熱交換させるインタークーラと、前記インタークーラでの熱交換後の空気を前記燃料電池スタックに供給するための供給路と、を備える燃料電池システムであって、前記供給路から分岐し、かつ前記二次電池に隣接して延びる暖機用流路と、前記供給路から前記暖機用流路に、熱交換後の空気を流通可能とする切替弁と、前記切替弁の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記二次電池の温度が予め設定された閾値より低くなった場合、前記エアコンプレッサを前記補機として前記二次電池から放電させるとともに、当該放電によって駆動した前記エアコンプレッサから吐出され、前記インタークーラで熱交換された空気が前記暖機用流路に流れるように前記切替弁を切り替えることを要旨とする。
【0006】
これによれば、二次電池の暖機は、二次電池からエアコンプレッサへの放電に伴う内部暖機と、暖機用流路に流れた空気を用いた外部暖機とによって行われる。外部暖機は、インタークーラでの熱交換後の空気を用いて行われる。インタークーラでの熱交換後の空気は、燃料電池スタックに供給される空気であるため、過度に高温になることはない。したがって、ヒータを用いた場合のように、外部暖機による加熱が過度の高温で行われることがない。これにより、二次電池が過度の高温になることによる二次電池の劣化を抑制できる。その結果、二次電池の劣化を抑制しつつ、内部暖機と外部暖機の両方で二次電池を好適に暖機できる。
【0007】
燃料電池システムについて、前記燃料電池スタックのアノード極から排出された水素ガスが流れ込む希釈器を備え、前記暖機用流路を流れた空気は、前記希釈器に供給されてもよい。
【0008】
これによれば、二次電池の外部暖機に用いた空気を、水素ガスの希釈に利用できる。
燃料電池システムについて、前記燃料電池スタックへの冷却水の供給、及び前記燃料電池スタックからの前記冷却水の排出を行う冷却水回路を備え、前記冷却水回路は、前記冷却水を圧送する冷却水ポンプを含み、前記冷却水ポンプは、前記二次電池を電源としてもよい。
【0009】
これによれば、エアコンプレッサに加えて、冷却水ポンプにも二次電池から放電させるため、エアコンプレッサのみに放電させる場合と比べると、二次電池における内部抵抗に基づくジュール熱が大きくなる。このため、エアコンプレッサのみに二次電池から放電させる場合と比べると、二次電池の温度を高くできる結果、二次電池の内部暖機機能を高めて、二次電池の暖機を速やかに行うことができる。
【0010】
燃料電池システムについて、前記二次電池の暖機を補助する補助用ヒータを備えていてもよい。
これによれば、補助用ヒータによって、二次電池の暖機を補助できるため、二次電池の暖機をより速やかに行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、二次電池の劣化を抑制しつつ二次電池を暖機できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、燃料電池システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、二次電池と暖機用流路とを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、流路制御弁を第1位置に切り替えたときを示す模式図である。
【
図4】
図4は、流路制御弁を第2位置に切り替えたときを示す模式図である。
【
図5】
図5は、別例の燃料電池システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、燃料電池システムを具体化した一実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。
<燃料電池システム>
図1に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池スタック11と、冷却水回路20と、空気供給回路30と、水素ガス回路40と、空気排出回路50と、暖機装置60と、二次電池12と、制御装置70と、を備える。
【0014】
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック11は、複数の燃料電池セルを備える。複数の燃料電池セルの各々は、カソード極と、アノード極と、両極の間に配置された電解質膜とが積層された、高分子膜型燃料電池セルである。燃料電池スタック11の燃料電池セルは、空気中の酸素と水素との化学反応によって発電を行う。
【0015】
<冷却水回路>
冷却水回路20は、燃料電池スタック11への冷却水の供給、及び燃料電池スタック11からの冷却水の排出を行う。冷却水回路20は、冷却水循環流路21と、ラジエータ23と、冷却水ポンプ24と、インタークーラ25と、を備える。
【0016】
冷却水循環流路21には、燃料電池スタック11を冷却するための冷却水が流れる。冷却水循環流路21において、冷却水の流れる方向を「流れ方向」と記載する。冷却水循環流路21における流れ方向の上流端部及び下流端部は、燃料電池スタック11に接続されている。
【0017】
ラジエータ23は、冷却水循環流路21の一部を形成している。ラジエータ23は、冷却水循環流路21を流れる冷却水と外気とを熱交換させる。よって、燃料電池スタック11と熱交換された冷却水は、ラジエータ23での外気との熱交換によって冷却される。
【0018】
冷却水ポンプ24は、冷却水循環流路21における流れ方向において、ラジエータ23より下流側、かつインタークーラ25の上流側に設けられている。冷却水ポンプ24は、冷却水循環流路21で冷却水を循環させるべく、冷却水を圧送する。冷却水ポンプ24を駆動させるモータM1は、インバータ13と電気的に接続されている。インバータ13は、二次電池12から放電された直流電力を交流電力に変換してモータM1に供給する。そして、インバータ13の駆動によってモータM1が駆動すると、冷却水ポンプ24が駆動する。したがって、冷却水ポンプ24は、二次電池12を電源とする。
【0019】
インタークーラ25は、冷却水循環流路21における流れ方向において、冷却水ポンプ24より下流側、かつ燃料電池スタック11の上流側に設けられている。インタークーラ25は、冷却水循環流路21の一部を形成している。インタークーラ25は、冷却水循環流路21を流れる熱媒体としての冷却水と、後に説明するエアコンプレッサ32から吐出された空気とを熱交換させる。
【0020】
<空気供給回路>
空気供給回路30は、燃料電池スタック11への空気の供給を行う。空気供給回路30は、空気供給流路31と、エアコンプレッサ32と、切替弁としての流路制御弁33と、を備える。
【0021】
空気供給流路31には、燃料電池スタック11に供給するための空気が流れる。空気供給流路31において、空気の流れる方向を「流れ方向」と記載する。空気供給流路31における流れ方向の下流端部は、燃料電池スタック11に接続されている。空気供給流路31における流れ方向の上流端部は、吸気フィルタFを介して大気に開放されている。
【0022】
エアコンプレッサ32は、空気供給流路31における流れ方向において、吸気フィルタFより下流側に設けられている。エアコンプレッサ32は、モータM2を備える。モータM2は、インバータ14と電気的に接続されている。インバータ14は、二次電池12から放電された直流電力を交流電力に変換してモータM2に供給する。そして、インバータ14の駆動によってモータM2が駆動すると、エアコンプレッサ32が駆動する。エアコンプレッサ32は、吸気フィルタF及び空気供給流路31を介して吸入した空気を圧縮して空気供給流路31に吐出するとともに、燃料電池スタック11に空気を圧送する。
【0023】
空気供給流路31の一部は、インタークーラ25を通過している。
流路制御弁33は、空気供給流路31における流れ方向において、インタークーラ25より下流側に設けられている。流路制御弁33は、空気供給流路31を流れる空気の流通方向を制御する。流路制御弁33は、後に詳述する。
【0024】
空気供給流路31は、第1供給路31aと、冷却流路31bと、第2供給路31cと、を備える。第1供給路31aは、エアコンプレッサ32の吐出口32aとインタークーラ25の入口25aとを接続する。第1供給路31aには、エアコンプレッサ32による圧送によって高温となった空気が流れる。以下の説明において、エアコンプレッサ32による圧送によって高温となった空気を、「高温空気」と記載する。高温空気の温度は、燃料電池スタック11の発電に適した温度より高い。
【0025】
冷却流路31bは、インタークーラ25の入口25aと、インタークーラ25の出口25bと、を接続する。冷却流路31bは、インタークーラ25の内部に配置されている。したがって、空気供給流路31の冷却流路31bが、インタークーラ25を通過する空気供給流路31の一部である。
【0026】
冷却流路31bには、エアコンプレッサ32から吐出された高温空気が流れる。インタークーラ25では、冷却水循環流路21を流れる冷却水と、冷却流路31bを流れる高温空気との間で熱交換が行われる。これにより、高温空気は、冷却される。したがって、インタークーラ25は、エアコンプレッサ32から吐出された空気を、燃料電池スタック11への供給前に冷却水と熱交換させる。インタークーラ25での熱交換によって、高温空気より温度の下がった空気を「温調空気」と記載する。温調空気の温度は、燃料電池スタック11の発電に適した温度範囲内の温度である。したがって、インタークーラ25は、高温空気との熱交換によって、燃料電池スタック11の発電に適した温度範囲まで高温空気を冷却する。
【0027】
第2供給路31cは、インタークーラ25の出口25bと燃料電池スタック11とを接続する。そして、第2供給路31cに流れ込んだ温調空気は、燃料電池スタック11のカソード極に供給される。したがって、第2供給路31cは、インタークーラ25での熱交換後の空気を燃料電池スタック11に供給するための供給路である。また、第2供給路31cには、流路制御弁33が設けられている。このため、第2供給路31cに流れ込んだ温調空気は、流路制御弁33に流れ込む。
【0028】
<水素ガス回路>
水素ガス回路40は、燃料電池スタック11への水素ガスの供給、及び燃料電池スタック11からの水素ガスの排出を行う。水素ガス回路40は、水素ガス供給流路41と、インジェクタ42と、水素ガス循環流路46と、気液分離器47と、水素循環ポンプ48と、を備える。
【0029】
水素ガス供給流路41には、燃料電池スタック11に供給する水素ガスが流れる。水素ガス供給流路41において、水素ガスの流れる方向を「流れ方向」とする。水素ガス供給流路41における流れ方向の下流端部は、燃料電池スタック11に接続されている。
【0030】
インジェクタ42は、水素ガス供給流路41における流れ方向において、上流端部側に設けられている。インジェクタ42は、例えば弁体が電磁的に駆動する電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタ42は、図示しない水素タンクから燃料電池スタック11に供給される水素ガスの流量を調整する。
【0031】
水素ガス循環流路46は、燃料電池スタック11と、水素ガス供給流路41におけるインジェクタ42より下流側と、に接続されている。燃料電池スタック11のアノード極からは、燃料電池スタック11において反応しなかった水素ガスと、水素ガスと酸素との化学反応によって生成された水分と、窒素等の不純物と、を含むアノードオフガスが排出される。そして、燃料電池スタック11のアノード極から排出されたアノードオフガスは、水素ガス循環流路46に流れ込む。
【0032】
気液分離器47は、水素ガス循環流路46に設けられている。気液分離器47は、水素ガス循環流路46を経由して気液分離器47に流れ込んだアノードオフガスを、水素ガスと水及び不純物とに分離する。
【0033】
水素循環ポンプ48は、水素ガス循環流路46におけるアノードオフガスの流れ方向において、気液分離器47より下流側に設けられている。水素循環ポンプ48は、気液分離器47によってアノードオフガスから分離された水素ガスを水素ガス供給流路41に流すことで、水素ガス回路40で水素ガスを循環させる。水素循環ポンプ48は、モータM3を備える。モータM3は、インバータ15と電気的に接続されている。インバータ15は、二次電池12から放電された直流電力を交流電力に変換してモータM3に供給する。そして、インバータ15の駆動によってモータM3が駆動すると、水素循環ポンプ48が駆動する。
【0034】
<空気排出回路>
空気排出回路50は、燃料電池スタック11から排出された空気を大気へ排出する。空気排出回路50は、空気排出流路51と、エア調圧弁52と、希釈器53と、を備える。空気排出流路51には、燃料電池スタック11のカソード極から排出された空気と水とを含むカソードオフガスが流れる。空気排出流路51において、カソードオフガスの流れる方向を「流れ方向」とする。空気排出流路51の流れ方向の上流端部は、燃料電池スタック11に接続されている。
【0035】
エア調圧弁52は、空気排出流路51における流れ方向において、燃料電池スタック11より下流側に設けられている。エア調圧弁52は、例えば電磁弁である。エア調圧弁52は、弁開度の変更を通じて燃料電池スタック11内の空気の圧力を調整する。
【0036】
希釈器53は、空気排出流路51における流れ方向において、エア調圧弁52より下流側に設けられている。希釈器53には、空気排出流路51からカソードオフガスが流れ込む。希釈器53は、供給されたカソードオフガスを酸素と水とに分離する。また、気液分離器47によってアノードオフガスから分離された水及び不純物と、水素ガスとが、気液分離器47から希釈器53に排出される。したがって、希釈器53には、燃料電池スタック11のアノード極から排出された水素ガスが流れ込む。希釈器53では、気液分離器47から希釈器53に排出された水素ガス及び不純物が、カソードオフガスによって希釈される。希釈器53によって希釈された水素ガスは、空気排出流路51の下流端部から燃料電池システム10外に排出される。希釈器53で分離された水は貯水タンク54に貯留される。
【0037】
<制御装置>
制御装置70は、図示しないプロセッサと、記憶部と、を備える。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置70は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置70は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0038】
制御装置70は、燃料電池システム10を制御する。図示しない上位制御装置からの発電指令に基づいて、流路制御弁33の流路及びエア調圧弁52の弁開度を制御するとともに、モータM2のインバータ14を制御して、エアコンプレッサ32の駆動を制御する。これにより、空気供給流路31における空気の流量が制御される。
【0039】
また、制御装置70は、発電指令に基づいて、インジェクタ42及びモータM3のインバータ15の駆動を制御する。これにより、水素ガス循環流路46における水素ガスの流量が制御される。
【0040】
また、制御装置70は、発電指令に基づいて、冷却水ポンプ24のモータM1のインバータ13の駆動を制御する。これにより、冷却水循環流路21を冷却水が循環する。冷却水の循環により、燃料電池スタック11が冷却されるとともに、インタークーラ25で、エアコンプレッサ32から圧送された高温空気が冷却される。これらにより、燃料電池スタック11に所望する温度及び流量の温調空気が供給されるとともに、所望する流量の水素が供給される。その結果、発電指令に基づく発電量を燃料電池スタック11が発電する。
【0041】
<二次電池>
二次電池12は、図示しないDC/DCコンバータを介して燃料電池スタック11に接続されている。二次電池12の各々は、DC/DCコンバータによって変圧された燃料電池スタック11からの出力電力によって充電される。
【0042】
二次電池12は、エアコンプレッサ32、冷却水ポンプ24、及び水素循環ポンプ48に放電する。したがって、二次電池12は、補機としてのエアコンプレッサ32、冷却水ポンプ24、及び水素循環ポンプ48の電源である。二次電池12は、図示しないセルを複数備えるとともに、それら複数のセルを収容したケース12aを備える。ケース12aは、例えば、四角箱状である。
【0043】
二次電池12には、リチウムイオン電池が採用される。リチウムイオン電池製の二次電池12において、充放電には温度依存性がある。また、二次電池12には、充放電効率を高めるための動作温度範囲が存在する。二次電池12の温度が、動作温度範囲より高いと、二次電池12の劣化が早まって好ましくない。
【0044】
二次電池12の温度が、動作温度範囲より低いと、二次電池12の内部抵抗が上昇して充放電効率が低下して好ましくない。特に、二次電池12の温度が動作温度範囲より低いと、充電において制限が掛かってしまう。すると、二次電池12の充電が不可能になるため、燃料電池スタック11からの出力電力が二次電池12に充電できなくなって好ましくない。このため、二次電池12の温度が動作温度範囲より低い場合は、二次電池12を動作温度範囲まで暖機する必要がある。
【0045】
<暖機装置>
暖機装置60は、二次電池12を動作温度範囲まで暖機する。
暖機装置60は、上記流路制御弁33と、暖機用流路61と、上記制御装置70と、を備える。暖機装置60は、温度センサ64を備えていてもよい。
【0046】
温度センサ64は、二次電池12の温度を検出するため、例えば、二次電池12のケース12aの外面に設置されている。温度センサ64は、制御装置70と電気的に接続されている。温度センサ64の検出値は、制御装置70に入力される。
【0047】
流路制御弁33は、第1ポート33aと、第2ポート33bと、第3ポート33cと、を備える。第1ポート33aは、インタークーラ25の出口25bと接続されている。第2ポート33bは、燃料電池スタック11と接続されている。したがって、流路制御弁33は、第2供給路31cに設けられている。第3ポート33cは、暖機用流路61と接続されている。
【0048】
暖機用流路61の第1端部61aは、上記のように第3ポート33cに接続されている。したがって、暖機用流路61は、流路制御弁33を介して第2供給路31cから分岐している。暖機用流路61の第2端部61bは、空気排出流路51に接続されている。暖機用流路61の第2端部61bは、空気排出流路51の流れ方向におけるエア調圧弁52より下流、かつ希釈器53より上流に接続されている。
【0049】
図3及び
図4に示すように、流路制御弁33は、第1位置P1と第2位置P2の2位置に切り替え可能である。第1位置P1は、第1ポート33aと第2ポート33bを連通させて、冷却流路31bと第2供給路31cを連通させる位置である。また、第1位置P1は、暖機用流路61を遮断する位置でもある。
【0050】
第2位置P2は、第1ポート33aと第3ポート33cと連通させて、冷却流路31bと暖機用流路61を連通させる位置である。また、第2位置P2は、空気供給流路31を遮断する位置でもある。したがって、流路制御弁33は、第2供給路31cから暖機用流路61に、熱交換後の空気を流通可能とする。
【0051】
制御装置70は、温度センサ64の検出値に基づいて、流路制御弁33を第1位置P1又は第2位置P2に切り替える。したがって、制御装置70は、流路制御弁33の動作を制御する。
【0052】
温度センサ64の検出値が予め設定された閾値より低い場合、制御装置70は、流路制御弁33を第2位置P2に切り替える。閾値は、二次電池12の動作範囲温度の下限値に設定されている。この閾値は、実験等によって予め設定されている。温度センサ64の検出値が閾値以上の場合、制御装置70は、流路制御弁33を第1位置P1に維持する。
【0053】
そして、制御装置70によって流路制御弁33が第1位置P1に切り替えられると、インタークーラ25での熱交換後の空気、つまり温調空気は、流路制御弁33及び第2供給路31cを経由して燃料電池スタック11に供給される。このとき、温調空気は、暖機用流路61には流れ込まない。したがって、流路制御弁33が第1位置P1に切り替えられたときは、燃料電池スタック11は発電するときである。
【0054】
また、制御装置70によって流路制御弁33が第2位置P2に切り替えられると、インタークーラ25での熱交換後の空気、つまり温調空気は、流路制御弁33及び暖機用流路61を経由して空気排出流路51に供給される。これにより、温調空気は、空気排出流路51を経由して希釈器53に流れ込む。したがって、暖機用流路61を流れた空気は、希釈器53に供給される。また、流路制御弁33が第2位置P2に切り替えられると、温調空気は、第2供給路31cには流れ込まないため、燃料電池スタック11は発電しない。
【0055】
図2に示すように、暖機用流路61の一部は、ヒートシンク62として機能する。ヒートシンク62は、暖機用流路61の一部を拡幅して形成されている。ヒートシンク62は、熱伝導率の高い金属材料によって形成されている。ヒートシンク62の内部には、温調空気が流れ込む。図示しないが、ヒートシンク62の内部には、図示しない放熱フィンが設けられている。
【0056】
ヒートシンク62は、二次電池12のケース12aを載置するための載置面62aを備える。載置面62aは、ケース12aの下面の全面を載置できる大きさである。そして、ヒートシンク62の載置面62aには、伝熱シート63を介して二次電池12のケース12aが載置されている。したがって、暖機用流路61は、ヒートシンク62の部分において、二次電池12に隣接して延びている。ヒートシンク62の熱は、伝熱シート63及びヒートシンク62を介して二次電池12に伝わる。そして、暖機用流路61に流れ込んだ温調空気は、二次電池12と熱交換される。ヒートシンク62での熱交換後の空気の温度は、温調空気より低くなる。ヒートシンク62での熱交換後の空気を「低温空気」と記載する。
【0057】
<二次電池の暖機>
次に、暖機装置60による二次電池12の暖機を説明する。なお、燃料電池スタック11による発電前とする。このとき、流路制御弁33は、第1位置P1に切り替えられている。
【0058】
制御装置70は、温度センサ64の検出値に基づいて、二次電池12の暖機を行うか否かを判定する。
温度センサ64の検出値が予め設定された閾値より低い場合、制御装置70は、二次電池12の暖機を行う。制御装置70は、エアコンプレッサ32を駆動させるために、インバータ14を駆動させる。すると、インバータ14には、二次電池12から放電されるため、二次電池12は、内部抵抗に基づくジュール熱が発生して暖機される。つまり、二次電池12は、内部暖機される。したがって、制御装置70は、二次電池12の温度が予め設定された閾値より低くなった場合、エアコンプレッサ32を補機として、二次電池12に放電させる。
【0059】
また、インバータ14の駆動によってモータM2が駆動されるため、エアコンプレッサ32が駆動される。そして、エアコンプレッサ32によって空気が圧縮される。エアコンプレッサ32から吐出された高温空気は、空気供給流路31の第1供給路31aに吐出される。
【0060】
また、二次電池12の暖機を行う場合、制御装置70は、流路制御弁33を第1位置P1から第2位置P2に切り替える。つまり、二次電池12の暖機では、制御装置70は、二次電池12の放電によって駆動したエアコンプレッサ32から吐出され、かつインタークーラ25で熱交換された空気が、暖機用流路61に流れるように、流路制御弁33を切り替える。すると、第1供給路31aに吐出された高温空気は、インタークーラ25での熱交換によって冷却されて温調空気となった後、第3ポート33cを経由して暖機用流路61に流れ込む。暖機用流路61に流れ込んだ温調空気は、暖機用流路61を流れる間に若干放熱して温度が下がる。
【0061】
そして、暖機用流路61のヒートシンク62において、ケース12a及び伝熱シート63を介した二次電池12と温調空気との熱交換により、二次電池12が暖められる。つまり、二次電池12は、外部暖機される。ヒートシンク62を通過した低温空気は、空気排出流路51に流れ込む。空気排出流路51に流れ込んだ低温空気は、希釈器53を経由して、大気に排出される。
【0062】
温度センサ64の検出値が閾値以上になると、制御装置70は、二次電池12の暖機を停止する。制御装置70は、流路制御弁33を第2位置P2から第1位置P1に切り替える。すると、第1供給路31aに吐出された高温空気は、インタークーラ25での熱交換によって冷却されて温調空気となった後、第2ポート33b及び第2供給路31cを経由して燃料電池スタック11に供給される。これにより、燃料電池スタック11が発電する。
【0063】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)暖機装置60による二次電池12の暖機は、エアコンプレッサ32への二次電池12の放電に伴う内部暖機と、暖機用流路61に流れた温調空気を用いた外部暖機とによって行われる。外部暖機に利用される温調空気は、インタークーラ25での熱交換後の空気であって、燃料電池スタック11の発電のために供給される空気である。このため、温調空気の温度が、過度に高温になることはない。したがって、二次電池12の暖機のためにヒータを用いた外部暖機と異なり、外部暖機による加熱で二次電池12が過度の高温になることがない。よって、二次電池12が過度の高温になることを抑制できるため、二次電池12の劣化を抑制できる。その結果、二次電池12の劣化を抑制しつつ、内部暖機と外部暖機の両方で二次電池12を好適に暖機できる。
【0064】
(2)二次電池12の暖機は、インタークーラ25での熱交換後の空気を用いて行われる。つまり、二次電池12の暖機は、エアコンプレッサ32によって圧縮された後の空気の持つ熱エネルギーを利用して行われる。通常、エアコンプレッサ32によって圧縮された空気は、インタークーラ25による熱交換後、燃料電池スタック11に供給されるため、空気の持つ熱エネルギーは、そのまま捨てられる。しかし、暖機装置60による二次電池12の暖機では、捨てられていた熱エネルギーを有効に利用して行われるため、暖機装置60による二次電池12の暖機は、非常に有用である。
【0065】
(3)二次電池12の外部暖機は、燃料電池スタック11の発電に必要なエアコンプレッサ32を用いて行うことができる。よって、二次電池12の暖機は、ヒータ等の加熱装置を別途用いずに行うことができる。したがって、燃料電池システム10は、コスト上昇を抑えながら、二次電池12を好適に暖機できる。
【0066】
(4)暖機用流路61は、二次電池12との熱交換用のヒートシンク62を備える。そして、ヒートシンク62は、二次電池12と適度な熱交換を可能にする。したがって、二次電池12の暖機が、過度に高温に加熱されたり、暖機が速やかに行われなかったりすることを抑制できる。
【0067】
(5)インタークーラ25で熱交換された空気は、暖機用流路61を流れるため、インタークーラ25での熱交換直後より、温度が下がる。また、二次電池12は、ケース12aを介して温調空気と熱交換される。このため、二次電池12は、インタークーラ25での熱交換直後の空気と熱交換されないため、二次電池12が過度に外部暖機されることをより好適に抑制できる。
【0068】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○
図5に示すように、切替弁を、流路制御弁33に代えて、流量制御弁36としてもよい。流量制御弁36は、三方弁である。流量制御弁36は、第1ポート36aと、第2ポート36bと、第3ポート36cと、を備える。第1ポート36aは、インタークーラ25の出口25bと接続されている。第2ポート36bは、燃料電池スタック11と接続されている。第3ポート36cは、暖機用流路61と接続されている。
【0069】
暖機用流路61の第1端部61aは、上記のように第3ポート36cに接続されている。暖機用流路61の第2端部61bは、空気排出流路51に接続されている。暖機用流路61の第2端部61bは、空気排出流路51の流れ方向におけるエア調圧弁52より下流、かつ希釈器53より上流に接続されている。
【0070】
流量制御弁36は、第2供給路31c及び暖機用流路61の双方に流す温調空気の流量を制御できる。例えば、燃料電池スタック11による発電を優先させる場合は、流量制御弁36は、第2供給路31cに多量の温調空気を流しつつ、暖機用流路61に少量の温調空気を流すように制御される。逆に、二次電池12の暖機を優先させる場合は、流量制御弁36は、暖機用流路61に多量の温調空気を流しつつ、第2供給路31cに少量の温調空気を流すように制御される。また、流量制御弁36は、暖機用流路61又は第2供給路31cのみに温調空気を流すことも可能である。
【0071】
空気供給回路30は、エアフローセンサ34を、空気供給流路31における流れ方向において、吸気フィルタFより下流側、かつエアコンプレッサ32より上流側に備えている。エアフローセンサ34は、空気供給流路31における空気の流量を検出する。エアフローセンサ34は、制御装置70と電気的に接続されている。
【0072】
<二次電池の暖機>
燃料電池スタック11による発電中に、二次電池12の暖機を行う場合について説明する。制御装置70は、温度センサ64の検出値に基づいて、二次電池12の暖機を行うか否かを判定している。
【0073】
低温環境下での燃料電池スタック11による発電時、制御装置70は、温度センサ64の検出値に基づいて、二次電池12の暖機を行うか否かを判定する。
温度センサ64の検出値が閾値より低い場合、制御装置70は、エアコンプレッサ32による吐出容量を多くするようにインバータ14を駆動させる。すると、二次電池12からの放電量が多くなる。すると、二次電池12は、内部抵抗に基づくジュール熱がさらに発生して内部暖機される。
【0074】
エアコンプレッサ32から吐出された高温空気は、空気供給流路31の第1供給路31aに吐出される。また、制御装置70は、流量制御弁36において、暖機用流路61に多量の温調空気を流しつつ、第2供給路31cには少量の温調空気を流すように制御する。このとき、制御装置70は、エアフローセンサ34の検出値に基づいてエア調圧弁52の開度を調節することにより、暖機用流路61及び第2供給路31cそれぞれに流す流量を調節する。
【0075】
すると、第1供給路31aに吐出された高温空気は、冷却流路31bによって冷却されて温調空気となった後、第3ポート36cを経由して暖機用流路61に多量に流れ込む。暖機用流路61のヒートシンク62において二次電池12と温調空気との熱交換により、二次電池12が暖められる。つまり、二次電池12は、外部暖機される。
【0076】
なお、燃料電池システム10は、二次電池12の近傍に補助用ヒータ65を備えていてもよい。補助用ヒータ65は、暖機装置60による暖機を補助するものであるため、過度に高温になることはない。このように構成した場合、補助用ヒータ65によって暖機装置60による二次電池12の暖機を補助できるため、二次電池12の暖機がスムーズに行われる。
【0077】
また、流量制御弁36から第2供給路31cを経由して燃料電池スタック11に流れ込んだ温調空気は、燃料電池スタック11の発電に供される。燃料電池スタック11からは、アノードオフガスが水素ガス循環流路46に流れ込む。気液分離器47は、水素ガス循環流路46を経由して気液分離器47に流れ込んできたアノードオフガスを、水素ガスと水及び不純物とに分離する。
【0078】
燃料電池スタック11から排出されたカソードオフガスは、エア調圧弁52を経由して希釈器53に流れ込む。さらに、二次電池12を暖機した後の低温空気は、空気排出流路51で合流して希釈器53に流れ込む。そして、希釈器53では、気液分離器47から希釈器53に排出された水素ガス及び不純物が、低温空気及びカソードオフガスによって希釈される。
【0079】
したがって、暖機用流路61を流れた温調空気は、低温空気となって希釈器53に供給される。これにより、希釈器53では、カソードオフガスだけでなく、低温空気も利用して水素ガスを希釈できる。したがって、カソードオフガスだけで水素ガスを希釈する場合と比べて、希釈器53での希釈効率を高めることができる。
【0080】
○二次電池12の温度検出は、二次電池12の温度を直接検出する温度センサ64でなくてもよい。例えば、空気供給流路31に温度センサを設けて、空気供給流路31の空気の温度から二次電池12の温度を間接的に検出してもよい。要は、二次電池12の温度を検出できれば、二次電池12の温度検出方法は、温度センサ64によって二次電池12の温度を直接検出する方法に限定されない。
【0081】
○暖機装置60による二次電池12の暖機の際、制御装置70は、二次電池12による放電を、エアコンプレッサ32のインバータ14だけでなく、冷却水ポンプ24のインバータ13にも行うように制御してもよい。この場合、二次電池12は、エアコンプレッサ32に加え、冷却水ポンプ24の電源となる。したがって、冷却水ポンプ24も補機となる。これによれば、二次電池12における内部抵抗に基づくジュール熱が大きくなるため、二次電池12の内部暖機温度を高めることができる。その結果、二次電池12の暖機をより速やかに行うことができる。
【0082】
又は、暖機装置60による二次電池12の暖機の際、制御装置70は、二次電池12による放電を、エアコンプレッサ32のインバータ14だけでなく、水素循環ポンプ48のインバータ15にも行うようにしてもよい。この場合、二次電池12は、エアコンプレッサ32に加え、水素循環ポンプ48の電源となる。したがって、水素循環ポンプ48も補機となる。
【0083】
○暖機用流路61は、空気排出流路51に接続せずに大気開放してもよい。
○暖機装置60の暖機用流路61にヒートシンク62は無くてもよい。この場合、暖機用流路61を複数回折り返した形状として、二次電池12と熱交換可能とする面積を増やしてもよい。
【0084】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記暖機用流路には、前記二次電池との熱交換を行うヒートシンクが設けられている。
【符号の説明】
【0085】
10…燃料電池システム、11…燃料電池スタック、12…二次電池、20…冷却水回路、24…補機としての冷却水ポンプ、25…インタークーラ、31c…第2供給路、32…補機としてのエアコンプレッサ、33…切替弁としての流路制御弁、36…切替弁としての流量制御弁、48…補機としての水素循環ポンプ、53…希釈器、61…暖機用流路、65…補助用ヒータ、70…制御装置。