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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178728
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20241218BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20241218BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241218BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20241218BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20241218BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20241218BHJP
   H10K 50/842 20230101ALI20241218BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20241218BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/28 Z
G02B5/30
G02B5/32
H10K50/00
H10K50/86
H10K50/842
H10K77/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097097
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 徹也
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
3K107
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB23
2H149BA02
2H149BA04
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA06
2H149EA10
2H149FC02
2H149FC07
2H149FC08
2H149FC09
2H199AB12
2H199AB42
2H199AB47
2H199AB52
2H199AB62
2H199CA13
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA48
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA66
2H199CA68
2H199CA70
2H199CA75
2H199CA86
2H199CA87
2H249CA01
2H249CA06
2H249CA09
2H249CA22
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107CC43
3K107DD11
3K107EE26
3K107EE27
3K107EE30
3K107EE42
3K107FF15
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、画像を表示する表示部を備える表示素子と、前記表示素子に重なる第1位相差板と、前記表示素子に重なることなく、前記表示素子に対して隣り合うホログラフィック光学素子と、前記第1位相差板及び前記ホログラフィック光学素子に対して空気層を介して向かい合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する第2位相差板と、前記第2面に配置された反射型偏光板と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を備える表示素子と、
前記表示素子に重なる第1位相差板と、
前記表示素子に重なることなく、前記表示素子に対して隣り合うホログラフィック光学素子と、
前記第1位相差板及び前記ホログラフィック光学素子に対して空気層を介して向かい合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する第2位相差板と、
前記第2面に配置された反射型偏光板と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記表示素子は、直線偏光の表示光を出射するように構成され、
前記第1位相差板及び前記第2位相差板は、1/4波長板であり、
前記反射型偏光板は、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と異なる第2直線偏光を透過するように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ホログラフィック光学素子は、レンズ作用を有し、前記反射型偏光板で反射された光を前記反射型偏光板に向けて反射するように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、前記ホログラフィック光学素子の裏面側に配置された遮光体を備える、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ホログラフィック光学素子は、外光を透過するように構成されている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示素子は、照明装置と、前記照明装置と前記第1位相差板との間に配置された液晶パネルと、前記照明装置と前記液晶パネルとの間に配置された第1偏光板と、前記液晶パネルと前記第1位相差板との間に配置された第2偏光板と、を備えている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記照明装置は、導光板と、前記導光板の側面と向かい合う光源と、を備え、
前記表示素子及びホログラフィック光学素子が並ぶ方向において、前記液晶パネルは、前記光源と前記ホログラフィック光学素子との間に位置している、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1位相差板、前記第2位相差板、及び、前記ホログラフィック光学素子は、それぞれ反射防止層で覆われている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示素子及びホログラフィック光学素子が並ぶ方向において、前記表示部の幅は、前記ホログラフィック光学素子の幅と同等である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記ホログラフィック光学素子の法線は、前記反射型偏光板の法線と平行であり、
前記表示素子の法線は、前記反射型偏光板の法線に対して傾斜している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
画像を表示する表示部を備える表示素子と、
前記表示素子に重なることなく、前記表示素子に対して隣り合うホログラフィック光学素子と、
前記表示素子及び前記ホログラフィック光学素子に向かい合う第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、を有する透明基板と、
前記表示素子及び前記ホログラフィック光学素子をそれぞれ前記第1主面に接着する透明接着層と、
を備える、表示装置。
【請求項12】
前記表示素子は、前記第2主面で全反射される表示光を出射するように構成されている、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記ホログラフィック光学素子は、レンズ作用を有し、前記第2主面で反射された光を前記透明基板に向けて反射するように構成されている、請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
さらに、前記ホログラフィック光学素子の裏面側に配置された遮光体を備える、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記ホログラフィック光学素子は、外光を透過するように構成されている、請求項13に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示素子は、照明装置と、前記照明装置と前記透明基板との間に配置された液晶パネルと、前記照明装置と前記液晶パネルとの間に配置されたプリズムシートと、を備えている、請求項11に記載の表示装置。
【請求項17】
前記照明装置は、導光板と、前記導光板の側面と向かい合う光源と、を備え、
前記表示素子及びホログラフィック光学素子が並ぶ方向において、前記液晶パネルは、前記光源と前記ホログラフィック光学素子との間に位置している、請求項16に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを用いて、例えば仮想現実(VR:VirtualReality)を提供する技術が注目されている。ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの眼前に設けられたディスプレイに画像が表示されるように構成されている。これにより、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザは、臨場感のある仮想現実空間を体験することができる。
このようなヘッドマウントディスプレイを実現する技術の一例として、ホログラフィック光学素子を用いて表示素子からの光をユーザの瞳に導く技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-148655号公報
【特許文献2】特開2010-33026号公報
【特許文献3】特開2009-157026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、小型化が可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
画像を表示する表示部を備える表示素子と、前記表示素子に重なる第1位相差板と、前記表示素子に重なることなく、前記表示素子に対して隣り合うホログラフィック光学素子と、前記第1位相差板及び前記ホログラフィック光学素子に対して空気層を介して向かい合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する第2位相差板と、前記第2面に配置された反射型偏光板と、を備える。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置は、
画像を表示する表示部を備える表示素子と、前記表示素子に重なることなく、前記表示素子に対して隣り合うホログラフィック光学素子と、前記表示素子及び前記ホログラフィック光学素子に向かい合う第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、を有する透明基板と、前記表示素子及び前記ホログラフィック光学素子をそれぞれ前記第1主面に接着する透明接着層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態の表示装置DSPを適用したメガネ1の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した表示装置DSPの一構成例を示す図である。
図3図3は、図2に示した表示装置DSPに適用可能な表示素子DEの一構成例を示す図である。
図4図4は、図2に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図5図5は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図6図6は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図7図7は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図8図8は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図9図9は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図10図10は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図11図11は、図10に示した表示装置DSPに適用可能な表示素子DEの一構成例を示す図である。
図12図12は、図10に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図13図13は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図14図14は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図15図15は、ホログラフィック光学素子HEの製造方法の一例を説明するための図である。
図16図16は、ホログラフィック光学素子HEの製造方法の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。X軸、Y軸、及び、Z軸は、90°以外の角度で交差していてもよい。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
図1は、本実施形態の表示装置DSPを適用したメガネ1の外観の一例を示す斜視図である。
メガネ1は、例えば、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、を備えている。表示装置DSPR、DSPLは、いずれも表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEを備えている。表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEは、第1方向Xに並んでいる。表示装置DSPR、DSPLは、第2方向Yに並んでいる。なお、表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEは、第2方向Yに並んでいてもよいし、第1方向X及び第2方向Yとは異なる方向に並んでいてもよい。
【0011】
表示装置DSPR、DSPLは、実質的に同一構成であり、以下、単に表示装置DSPとして説明する。
【0012】
図2は、図1に示した表示装置DSPの一構成例を示す図である。
【0013】
表示装置DSPは、表示素子DEと、第1位相差板R1と、ホログラフィック光学素子HEと、第2位相差板R2と、反射型偏光板RPと、を備えている。表示素子DE、第1位相差板R1、ホログラフィック光学素子HE、第2位相差板R2、及び、反射型偏光板RPは、いずれもX-Y平面に沿った平板状に形成されている。ホログラフィック光学素子HEの法線Nhe、反射型偏光板RPの法線Nrp、及び、表示素子DEの法線Ndeは、互いに平行であり、いずれも第3方向Zに平行である。
【0014】
表示素子DEは、照明装置ILと、液晶パネルPNLと、第1偏光板P1と、第2偏光板P2と、を備えている。第1偏光板P1は、第3方向Zにおいて照明装置ILと液晶パネルPNLとの間に配置されている。液晶パネルPNLは、第3方向Zにおいて第1偏光板P1と第2偏光板P2との間に配置されている。第1偏光板P1の透過軸T1と、第2偏光板P2の透過軸T2とは、互いに直交している。一例では、透過軸T1は第1方向Xに平行であり、透過軸T2は第2方向Yに平行である。このような表示素子DEは、直線偏光の表示光DLを第2偏光板PL2から出射するように構成されている。第2偏光板PL2から出射時の表示光DLの偏光軸は、透過軸T2に平行である。第2偏光板PL2から出射時の表示光DLは、例えば、発散光である。
【0015】
なお、表示素子DEの構成は、図示した例に限らない。例えば、表示素子DEは、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、マイクロLED、ミニLEDなどの自発光型の発光素子を備えた表示パネルであってもよい。表示素子DEが発光素子を備えた表示パネルである場合、照明装置や第1偏光板は省略される。
【0016】
第1位相差板R1は、第3方向Zにおいて表示素子DEに重なっている。図示した例では、第1位相差板R1は、第2偏光板P2に重なっている。このような第1位相差板R1は、1/4波長板であり、透過する所定波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。詳述しないが、第1位相差板R1の遅相軸は、第1偏光板P1の透過軸T1に対して約45°の角度で交差している。
本明細書で、2つの部材が「重なる」状態とは、一方の部材の法線上に他の部材の一部が存在している状態と定義する。そして、「重なる」状態は、2つの部材が互いに接している状態、2つの部材が互いに接着されている状態、2つの部材の間に空間や他の部材が存在している状態を含むものとする。
【0017】
ホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zにおいて表示素子DEに重なることなく、第1方向Xにおいて表示素子DEに対して隣り合うように配置されている。ホログラフィック光学素子HEは、支持体BS1に支持されている。ホログラフィック光学素子HEは、干渉縞のパターンを記録した樹脂フィルムであり、特定波長の入射光を所定の方向に回折するとともに、入射光を集光するレンズ作用を有している。
【0018】
第2位相差板R2は、第3方向Zにおいて、第1位相差板R1及びホログラフィック光学素子HEに対して空気層Aを介して対向するように配置されている。第2位相差板R2は、第1面R2aと、第1面R2aの反対側の第2面R2bと、を有している。第1面R2a及び第2面R2bは、第3方向Zにおいて対向している。第1面R2aは、第1位相差板R1及びホログラフィック光学素子HEに向かい合う面に相当する。このような第2位相差板R2は、1/4波長板であり、透過する所定波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。詳述しないが、第2位相差板R2の遅相軸は、第2偏光板P2の透過軸T2に対して約45°の角度で交差し、また、第1位相差板R1の遅相軸と直交している。
【0019】
反射型偏光板RPは、第2位相差板R2の第2面R2bに配置されている。また、図示した例では、反射型偏光板RP及び第2位相差板R2の積層体は、透明な支持体BS2に支持されている。反射型偏光板RPとしては、多層薄膜型のものや、ワイヤグリッド型のものなどを適用可能である。このような反射型偏光板RPは、第1直線偏光を反射し、第1直線偏光とは異なる第2直線偏光を透過するように構成されている。反射型偏光板RPの透過軸Trpと、第2偏光板P2の透過軸T2とは、互いに直交している。一例では、透過軸Trpは第1方向Xに平行であり、第1直線偏光の偏光軸は透過軸Trpに直交し、第2直線偏光の偏光軸は透過軸Trpに平行である。
【0020】
以下に、表示装置DSPにおける光学作用について簡単に説明する。
表示素子DEから出射された表示光DLは、破線で示すように、第1位相差板R1を透過した後に、空気層Aを経由して、第2位相差板R2を透過し、反射型偏光板RPで反射される。反射型偏光板RPで反射された表示光DLは、空気層Aを経由してホログラフィック光学素子HEで反射される。ホログラフィック光学素子HEで反射された表示光DLは、再び空気層Aを経由して、第2位相差板R2を透過した後に反射型偏光板RPを透過し、ホログラフィック光学素子HEのレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0021】
図3は、図2に示した表示装置DSPに適用可能な表示素子DEの一構成例を示す図である。
【0022】
液晶パネルPNLは、透過型であり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、を備えている。液晶層LCは、第3方向Zにおいて第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSEによって封止されている。
液晶パネルPNLは、第3方向Zにおいて照明装置ILと第1位相差板R1との間に配置されている。第1偏光板P1は、第3方向Zにおいて照明装置ILと液晶パネルPNLとの間に配置され、例えば第1基板SUB1に接着されている。第2偏光板P2は、第3方向Zにおいて液晶パネルPNLと第1位相差板R1との間に配置され、例えば第2基板SUB2に接着されている。
表示部DAは、液晶パネルPNLにおいて、画像を表示するように構成された領域である。表示素子DEの法線Ndeとは、例えば第1基板SUB1あるいは第2基板SUB2の法線に相当する。
【0023】
照明装置ILは、導光板LGと、光源LSと、を備えている。導光板LGは、第3方向Zにおいて第1偏光板P1と向かい合っている。光源LSは、第1方向Xにおいて導光板LGの側面LGaと向かい合っている。光源LSは、第1方向Xにおいて、導光板LGを挟んでホログラフィック光学素子HEとは反対側に配置されている。液晶パネルPNLは、第1方向Xにおいて、光源LSとホログラフィック光学素子HEとの間に位置している。
【0024】
光源LSは、詳述しないが、青波長の光を出射するように構成された発光素子、緑波長の光を出射するように構成された発光素子、及び、赤波長の光を出射するように構成された発光素子と、を備えている。これらの発光素子としては、例えば、レーザー素子が適用される。
【0025】
光源LSから出射された光は、導光板LGの内部で全反射されながら伝播される。伝播される光のうち、全反射条件から外れた光は、導光板LGから液晶パネルPNLに向かって出射され、照明光を形成する。液晶パネルPNLに入射する照明光は、法線Ndeに対して傾斜している。液晶パネルPNLは、表示部DAにおいて照明光を選択的に変調する。そして、照明光の一部は、第2偏光板P2を透過し、直線偏光の表示光DLを形成する。
【0026】
図4は、図2に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【0027】
まず、表示素子DEの第2偏光板P2を透過した第1直線偏光LP1の表示光DLは、第1位相差板R1を透過して第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
【0028】
第2位相差板R2を透過した第1直線偏光LP1は、反射型偏光板RPで反射される。反射型偏光板RPで反射された第1直線偏光LP1は、第2位相差板R2を透過して第2円偏光CP2に変換される。第2円偏光CP2は、第1円偏光CP1とは逆回りの円偏光である。
【0029】
第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、ホログラフィック光学素子HEで反射・回折される。ホログラフィック光学素子HEで反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2を透過して第2直線偏光LP2に変換される。第2直線偏光LP2は、第1直線偏光LP1と直交する偏光軸を有する直線偏光である。
【0030】
第2位相差板R2を透過した第2直線偏光LP2は、反射型偏光板RPを透過し、ホログラフィック光学素子HEのレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0031】
なお、図4を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよいし、第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0032】
このような構成例によれば、ガラスや樹脂などで形成された光学部品を備える光学システムと比較して、第3方向Zに沿った厚さを薄くすることができ、しかも、軽量化を実現することができる。したがって、表示装置DSPの小型化が可能となる。
【0033】
また、表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zに重なることなく、第1方向Xに並んでいる。つまり、第3方向Zにおいて表示素子DEと反射型偏光板RPとの間に、ホログラフィック光学素子HEが存在しない。このため、表示素子DEから反射型偏光板RPに至る表示光DLの光路において、表示光DLがホログラフィック光学素子HEで反射されることがない。したがって、ホログラフィック光学素子HEにおいて、反射型偏光板RPからの反射光のほぼすべてが反射される場合を想定すると、表示素子DEから出射された表示光DLのほぼ100%を瞳Eに集光することができ、光の利用効率を向上することができる。
【0034】
図5は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図5に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、ホログラフィック光学素子HEの裏面側に遮光体LSMが配置された点で相違している。図示した例では、遮光体LSMは、第3方向Zにおいて、支持体BS1に重なっている。ホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zにおいて第2位相差板R2と遮光体LSMとの間に位置している。
遮光体LSMは、支持体BS1に接着されたフィルムであってもよいし、メガネに対して着脱可能な板材であってもよい。また、遮光体LSMは、外光の透過率を変更可能に構成された液晶素子などであってもよい。
このような構成例の表示装置DSPを備えたメガネは、例えば、仮想現実を提供する用途に利用することができる。
【0035】
図6は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図6に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、ホログラフィック光学素子HEが外光ALを透過するように構成された点で相違している。ユーザは、表示装置DSPの周辺環境を視認しながら、表示素子DEに表示された画像を視認することができる。
このような構成例の表示装置DSPを備えたメガネは、例えば、拡張現実を提供する用途に利用することができる。
【0036】
図7は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図7に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、ホログラフィック光学素子HEがそれぞれ反射防止層ARで覆われている点で相違している。
反射防止層ARが存在しない場合、第1位相差板R1と空気層との界面、第2位相差板R2と空気層との界面、及び、ホログラフィック光学素子HEと空気層との界面において、不所望な反射光を生成するおそれがある。このような不所望な反射光は、表示光DLの正規の光路とは異なる光路を通ってユーザの瞳Eに到達するおそれがあり、表示品位の低下を招く原因となり得る。
図7に示す構成例によれば、第1位相差板R1と空気層との界面での反射、第2位相差板R2と空気層との界面での反射、及び、ホログラフィック光学素子HEと空気層との界面での反射が抑制される。このため、表示品位の低下を抑制することができる。
【0037】
図8は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図8に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、表示光DLが平行光である点で相違している。このような構成例においては、表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEが並ぶ第1方向において、表示部DAの幅Wdaは、ホログラフィック光学素子HEの幅Wheと同等である。
表示光DLが発散光である場合、幅Wheは、幅Wdaより大きく設定する必要がある。図8に示す構成例においては、図2に示した構成例と比較して、ホログラフィック光学素子HEの幅Wheを小さくすることができ、表示装置DSPのさらなる小型化が可能となる。また、表示光DLの出射角度が一定であるため、光学設計が容易となる。
図示していないが、図7に示した構成例と同様に、反射防止層ARが適用されてもよい。
【0038】
図9は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図9に示す構成例は、図2に示した構成例と比較して、表示素子DEの法線Ndeが反射型偏光板RPの法線Nrpに対して傾斜している点で相違している。表示素子DEは、ホログラフィック光学素子HEに近接する端部DEaと、端部DEaとは反対側の端部DEbとを有している。表示素子DEは、端部DEbが端部DEaよりも反射型偏光板RPに近接するように傾斜している。なお、ホログラフィック光学素子HEの法線Nheは、法線Nrpと平行である。
表示素子DEの法線Ndeに沿って出射される表示光DLは、発散光でもよいし、平行光であってもよい。なお、表示素子DEは、瞳Eに正規の画像が集光されるように、歪を考慮した画像を表示するように構成されている。
このような構成例によれば、第1方向Xに沿った幅を低減することができ、表示装置DSPのさらなる小型化が可能となる。また、図2等に示した構成例と比較して、表示光DLの出射角度の傾きが小さく、光学設計が容易となるとともに、表示光を正面方向に出射するための既存の照明装置ILを適用することができる。
図示していないが、図7に示した構成例と同様に、反射防止層ARが適用されてもよい。
【0039】
図10は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
【0040】
表示装置DSPは、表示素子DEと、ホログラフィック光学素子HEと、透明基板SBと、透明接着層ADと、を備えている。表示素子DE、ホログラフィック光学素子HE、及び、透明基板SBは、いずれもX-Y平面に沿った平板状に形成されている。
【0041】
表示素子DEは、図2に示した構成例と同様に、照明装置ILと、液晶パネルPNLと、第1偏光板P1と、第2偏光板P2と、を備えている。なお、表示素子DEが発光素子を備えた表示パネルである場合、照明装置や第1偏光板は省略される。
【0042】
ホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zにおいて表示素子DEに重なることなく、第1方向Xにおいて表示素子DEに対して隣り合うように配置されている。ホログラフィック光学素子HEは、支持体BS1に支持されている。ホログラフィック光学素子HEは、特定波長の入射光を所定の方向に回折するとともに、入射光を集光するレンズ作用を有している。
【0043】
透明基板SBは、第3方向Zにおいて、表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEに対向するように配置されている。液晶パネルPNLは、第3方向Zにおいて照明装置ILと透明基板SBとの間に配置されている。
透明基板SBは、第1主面SBaと、第1主面SBaの反対側の第2主面SBbと、を有している。第1主面SBa及び第2主面SBbは、第3方向Zにおいて対向している。第1主面SBaは、表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEに向かい合う面に相当する。第2主面SBbは、透明基板SBよりも低い屈折率を有する低屈折率層に接している。図示した例では、低屈折率層は、空気である。このような透明基板SBは、ガラス基板あるいは樹脂基板である。
【0044】
透明接着層ADは、表示素子DE及びホログラフィック光学素子HEをそれぞれ第1主面SBaに接着している。透明接着層ADの屈折率は、不所望な反射界面の生成を抑制する観点で、透明基板SBと同等であることが望ましい。
【0045】
以下に、表示装置DSPにおける光学作用について簡単に説明する。
表示素子DEから出射された表示光DLは、破線で示すように、透明接着層ADを透過した後に、透明基板SBに入射する。透明基板SBに入射した表示光DLは、第2主面SBbにおいて全反射される。換言すると、表示素子DEは、第2主面SBbで全反射される角度で表示光DLを出射するように構成されている。透明基板SBで反射された表示光DLは、透明接着層ADを透過した後に、ホログラフィック光学素子HEで反射される。ホログラフィック光学素子HEで反射された表示光DLは、再び透明接着層ADを透過して、透明基板SBを透過し、ホログラフィック光学素子HEのレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0046】
図11は、図10に示した表示装置DSPに適用可能な表示素子DEの一構成例を示す図である。
【0047】
表示素子DEは、液晶パネルPNLと、照明装置ILと、プリズムシートPSと、を備えている。プリズムシートPSは、第3方向Zにおいて液晶パネルPNLと照明装置ILとの間に配置されている。
【0048】
液晶パネルPNLは、図3に示した構成例と同様に、透過型であり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、を備えている。
【0049】
照明装置ILは、導光板LGと、光源LSと、を備えている。導光板LGは、第3方向ZにおいてプリズムシートPSと向かい合っている。光源LSは、第1方向Xにおいて導光板LGの側面LGaと向かい合っている。光源LSは、第1方向Xにおいて、導光板LGを挟んでホログラフィック光学素子HEとは反対側に配置されている。液晶パネルPNLは、第1方向Xにおいて、光源LSとホログラフィック光学素子HEとの間に位置している。
【0050】

光源LSから出射された光は、導光板LGの内部で全反射されながら伝播される。伝播される光のうち、全反射条件から外れた光は、導光板LGから液晶パネルPNLに向かって出射され、照明光を形成する。照明光は、プリズムシートPSを透過する際に、上記の通り第2主面SBbで全反射されるような角度に屈折される。プリズムシートPSを透過した照明光は、液晶パネルPNLに入射する。液晶パネルPNLは、表示部DAにおいて照明光を選択的に変調する。そして、照明光の一部は、第2偏光板P2を透過し、直線偏光の表示光DLを形成する。
【0051】
図12は、図10に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【0052】
まず、表示素子DEの第2偏光板P2を透過した第1直線偏光LP1の表示光DLは、透明基板SBに入射し、第2主面SBbで全反射される。第2主面SBbで全反射された表示光DLは、ホログラフィック光学素子HEで反射・回折される。ホログラフィック光学素子HEで反射された表示光DLは、透明基板SBを透過し、ホログラフィック光学素子HEのレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0053】
なお、図12を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよい。また、第2偏光板P2を透過した後の表示光DLの偏光状態は、直線偏光に維持されている必要はない。
【0054】
このような構成例によれば、図2に示した構成例と同様の効果が得られる。
また、位相差板や反射型偏光板等の光学部品が不要であり、軽量化及びコスト削減を実現することができる。
また、図2に示した構成例と比較して、第3方向Zに沿った厚さをさらに薄くすることができる。
また、表示素子DEと空気層との界面、ホログラフィック光学素子HEと空気層との界面が存在しないため、表示光DLの光路上での不所望な反射を抑制することができる。
【0055】
図13は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図13に示す構成例は、図10に示した構成例と比較して、ホログラフィック光学素子HEの裏面側に遮光体LSMが配置された点で相違している。
遮光体LSMの構成については、図5を参照して説明した構成例と同様である。
このような構成例の表示装置DSPを備えたメガネは、例えば、仮想現実を提供する用途に利用することができる。
【0056】
図14は、図1に示した表示装置DSPの他の構成例を示す図である。
図14に示す構成例は、図10に示した構成例と比較して、ホログラフィック光学素子HEが外光ALを透過するように構成された点で相違している。ユーザは、表示装置DSPの周辺環境を視認しながら、表示素子DEに表示された画像を視認することができる。
このような構成例の表示装置DSPを備えたメガネは、例えば、拡張現実を提供する用途に利用することができる。
【0057】
以下に、ホログラフィック光学素子HEの製造方法について簡単に説明する。
【0058】
図15は、ホログラフィック光学素子HEの製造方法の一例を説明するための図である。
【0059】
感光性樹脂PPは、透明な支持体BSの一方の面に形成されている。ここでの支持体BSは、図2等に示した支持体BS1と同一であってもよいし、支持体BS1とは別体であってもよい。
【0060】
物体光Obは、平行光であり、レンズL1を介して感光性樹脂PPに向けて照射される。このとき、物体光Obは、支持体BSの法線Nbsに沿った方向から照射される。
参照光Rfは、平行光であり、レンズL2を介して感光性樹脂PPに向けて照射される。このとき、参照光Rfは、支持体BSの法線Nbsに対して傾斜した方向から照射される。参照光Rf及び物体光Obは、同一波長の光であり、感光性樹脂PPの位置において干渉する。
感光性樹脂PPにおいては、参照光Rf及び物体光Obの干渉縞が記録される。これにより、法線Nbsに対して傾斜した方向からの入射光(発散光)に対して、凹面鏡と同等のレンズ作用を有するホログラフィック光学素子HEが製造される。このようにして製造されたホログラフィック光学素子HEは、例えば、図2等に示した表示装置DSPのホログラフィック光学素子HEとして適用可能である。
【0061】
図16は、ホログラフィック光学素子HEの製造方法の他の例を説明するための図である。
【0062】
図16に示す製造方法は、図15に示した製造方法と比較して、参照光Rfが平行光であって、レンズを介することなく感光性樹脂PPに向けて照射される点で相違している。参照光Rf及び物体光Obは、同一波長の光であり、感光性樹脂PPの位置において干渉する。
感光性樹脂PPにおいては、参照光Rf及び物体光Obの干渉縞が記録される。これにより、法線Nbsに対して傾斜した方向からの入射光(平行光)に対して、凹面鏡と同等のレンズ作用を有するホログラフィック光学素子HEが製造される。このようにして製造されたホログラフィック光学素子HEは、例えば、図8に示した表示装置DSPのホログラフィック光学素子HEとして適用可能である。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、小型化が可能な表示装置を提供することができる。
【0064】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
DSP…表示装置
DE…表示素子 PNL…液晶パネル IL…照明装置
R1…第1位相差板 R2…第2位相差板 RP…反射型偏光板
HE…ホログラフィック光学素子
SB…透明基板 AD…透明接着層
LSM…遮光体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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