(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178730
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 305
G06F3/12 353
G06F3/12 373
G06F3/12 385
G06F3/12 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097099
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザビリティを高め得る情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】所定のプログラムを読み出して実行することにより、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーション及びプリントサーバといった機能を実行するPCにおいて、プリントサーバ5は、ネットワーク上のプリンタを探索する探索部80と、検出されたプリンタから、該プリンタが利用可能な機能を取得する優先度取得部81と、プリンタへのOSからの印刷ジョブの送信先である仮想プリンタを作成するか否かを、プリンタの機能に基づき決定する決定部82と、決定部82において仮想プリンタを作成すると決定したプリンタの仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成部83とを設ける。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステムを有する情報処理装置に対し、
ネットワーク上のプリンタを探索する探索ステップと、
前記探索ステップにおいて検出された前記プリンタから、該プリンタの仮想プリンタの作成に関する優先度を取得する優先度取得ステップと、
前記探索ステップにおいて検出された前記プリンタへの前記オペレーティングシステムからの印刷ジョブの送信先である前記仮想プリンタを作成するか否かを前記優先度に基づき決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて前記仮想プリンタを作成すると決定した前記プリンタの前記仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成ステップと
を実行させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記オペレーティングシステムからプリンタ検索要求を受信する検索要求受信ステップと、
前記プリンタ検索要求に対して、作成された前記仮想プリンタを示す情報の応答を送信する応答ステップと
をさらに有する請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記仮想プリンタ作成ステップは、
前記優先度である、前記プリンタにおける印刷に関する機能に基づいて、該プリンタの前記仮想プリンタを作成するか否かを決定する
請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記仮想プリンタ作成ステップは、
前記優先度である、前記プリンタにおける印刷に関する機能と、印刷に関する機能の利用履歴とに基づいて、該プリンタの前記仮想プリンタを作成するか否かを決定する
請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記オペレーティングシステムに前記プリンタのプリントキューが追加される際に、前記オペレーティングシステムが直接検索した前記プリンタである実プリンタと、前記仮想プリンタとで、異なる態様で表示部に表示させる通知制御ステップ
をさらに有する請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記通知制御ステップは、
前記仮想プリンタが作成された場合に、該仮想プリンタの使用を促す通知を前記オペレーティングシステムに実行させる
請求項5に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記通知制御ステップは、
前記仮想プリンタの名称のポップアップ表示を前記オペレーティングシステムに実行させる
請求項6に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記仮想プリンタ作成ステップは、
作成した前記仮想プリンタの名称に、該仮想プリンタと対応した前記プリンタが有する、前記オペレーティングシステムにおける印刷設定では設定されない機能の名称を含める
請求項5に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記応答に基づいて前記オペレーティングシステムから前記仮想プリンタを送信先とした前記印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信ステップと、
受信した前記印刷ジョブを前記仮想プリンタと対応した前記プリンタに送信する印刷ジョブ送信ステップと
をさらに有する請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
前記オペレーティングシステムにおける印刷設定よりも多機能な追加印刷設定の指示を受け付ける追加印刷設定ステップと、
前記印刷ジョブ受信ステップにおいて受信された前記印刷ジョブに対し前記追加印刷設定を適用する印刷ジョブ変換ステップと
をさらに有し、
前記印刷ジョブ送信ステップは、前記印刷ジョブ変換ステップにおいて前記追加印刷設定が適用された前記印刷ジョブを前記仮想プリンタと対応した前記プリンタに送信する
請求項9に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記追加印刷設定ステップにおいて設定された前記追加印刷設定の履歴を保存する印刷履歴保存ステップ
をさらに有する請求項10に記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
ネットワーク上のプリンタを探索する探索ステップと、
前記探索ステップにおいて検出された前記プリンタから、該プリンタの仮想プリンタの作成に関する優先度を取得する優先度取得ステップと、
前記探索ステップにおいて検出された前記プリンタへのオペレーティングシステムからの印刷ジョブの送信先である前記仮想プリンタを作成するか否かを前記優先度に基づき決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて前記仮想プリンタを作成すると決定した前記プリンタの前記仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成ステップと
を有する情報処理方法。
【請求項13】
ネットワーク上のプリンタを探索する探索部と、
前記探索部において検出された前記プリンタから、該プリンタの仮想プリンタの作成に関する優先度を取得する優先度取得部と、
前記探索部において検出された前記プリンタへのオペレーティングシステムからの印刷ジョブの送信先である前記仮想プリンタを作成するか否かを前記優先度に基づき決定する決定部と、
前記決定部において前記仮想プリンタを作成すると決定した前記プリンタの前記仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成部と
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置に関し、画像形成装置において印刷を行う情報処理装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷設定情報を保存し、プリントキューに関連付ける情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、情報処理装置から画像形成装置を利用する場合、その画像形成装置に対応したプリンタドライバが情報処理装置上で動作するOS(Operating System)にインストールされることが一般的である。一方で、近年では、特定のプロトコルを使用することによりプリンタドライバを使用せずに印刷を可能とする印刷システムがOSに導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、情報処理装置が特定のプロトコルを用いて探索し検出した全ての画像形成装置をOSに登録してしまうと、ユーザが適切な画像形成装置を選択することが困難となりユーザビリティが低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ユーザビリティを高め得る情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の情報処理プログラムにおいては、オペレーティングシステムを有する情報処理装置に対し、ネットワーク上のプリンタを探索する探索ステップと、探索ステップにおいて検出されたプリンタから、該プリンタの仮想プリンタの作成に関する優先度を取得する優先度取得ステップと、探索ステップにおいて検出されたプリンタへのオペレーティングシステムからの印刷ジョブの送信先である仮想プリンタを作成するか否かを優先度に基づき決定する決定ステップと、決定ステップにおいて仮想プリンタを作成すると決定したプリンタの仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成ステップとを実行させるようにした。
【0008】
また本発明の情報処理方法においては、ネットワーク上のプリンタを探索する探索ステップと、探索ステップにおいて検出されたプリンタから、該プリンタの仮想プリンタの作成に関する優先度を取得する優先度取得ステップと、探索ステップにおいて検出されたプリンタへのオペレーティングシステムからの印刷ジョブの送信先である仮想プリンタを作成するか否かを優先度に基づき決定する決定ステップと、決定ステップにおいて仮想プリンタを作成すると決定したプリンタの仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成ステップとを有するようにした。
【0009】
さらに本発明の情報処理装置においては、ネットワーク上のプリンタを探索する探索部と、探索部において検出されたプリンタから、該プリンタの仮想プリンタの作成に関する優先度を取得する優先度取得部と、探索部において検出されたプリンタへのオペレーティングシステムからの印刷ジョブの送信先である仮想プリンタを作成するか否かを優先度に基づき決定する決定部と、決定部において仮想プリンタを作成すると決定したプリンタの仮想プリンタを作成する仮想プリンタ作成部とを設けるようにした。
【0010】
本発明は、特定のプロトコルにより探索した全ての画像形成装置の個数よりも少ない個数の仮想画像形成装置をユーザに提示し、ユーザに対し画像形成装置を選択しやすくさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定のプロトコルにより探索した全ての画像形成装置の個数よりも少ない個数の仮想画像形成装置をユーザに提示し、ユーザに対し画像形成装置を選択しやすくさせることができ、ユーザビリティを高め得る情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】プリンタ追加前のプリントキュー管理UIの構成を示す図である。
【
図3】プリンタ追加UI及びプリンタ使用推奨メッセージの構成を示す図である。
【
図4】プリンタ追加後のプリントキュー管理UIの構成を示す図である。
【
図7】仮想プリンタの設定情報の例を示す図である。
【
図10】プリントサーバ動作処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】印刷処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】仮想プリンタ作成処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】通知表示処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】検索応答処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】プリントサーバの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.PCの構成]
図1に示すようにPC1は、いわゆるパーソナルコンピュータであり、制御部2により全体を統括制御する。この制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、オペレーティングシステム(OS)3、アプリケーション4及びプリントサーバ5といった機能を実行する。またPC1は、外部に設けられた図示しない画像形成装置としてのプリンタ(以下、実プリンタとも呼ぶ)へ印刷ジョブを送信することにより、該プリンタにおいて印刷を実行させる。
【0015】
[2.OSの構成]
OS3は、PC1の制御を行うための基本ソフトウェアであり、例えば、macOS(登録商標)やWindows(登録商標)である。OS3は、プリントシステム10、外部接続I/F11及び表示制御部12を有している。このOS3は、例えば、AirPrint(登録商標)やMopria(登録商標)等に対応する印刷システムが導入されており、プリンタに対応したプリンタドライバが該OS3にインストールされることなく、印刷ジョブの生成とプリンタへの印刷ジョブの送信を行うことができる。
【0016】
[2-1.プリントシステムの構成]
プリントシステム10は、プリントキュー管理部14、印刷設定UI制御部15及び印刷ジョブ生成部16を有しており、印刷に関する種々の制御を行う。
【0017】
[2-1-1.プリントキュー管理部の構成]
PC1において印刷が行われる場合、プリントキュー管理部14は、プリントキューと呼ばれる論理プリンタを作成し印刷物の出力先となるプリンタの情報を関連付ける。印刷時に使用するプリンタとしてユーザによりプリントキューが選択されると、PC1は、選択されたプリントキューに関連付けられた情報に基づき印刷ジョブ生成部16により印刷ジョブを生成すると共に該印刷ジョブをプリンタへ送信する。
【0018】
図2に、ユーザによるプリントキューの一覧を確認する操作に応じてプリントキュー管理部14により表示制御部12を介し表示部6に表示されるダイアログボックスであるプリントキュー管理UI17の例を示す。この表示部6は、例えば液晶ディスプレイにより構成されており、各種情報を表示する。プリントキュー管理UI17は、プリントキュー一覧表示部18、追加ボタン19及び削除ボタン20により構成されている。
【0019】
プリントキュー一覧表示部18は、作成済みの各プリントキューを表示するプリントキュー表示部22a及び22b(以下ではまとめてプリントキュー表示部22とも呼ぶ)を有している。各プリントキュー表示部22は、名前表示部23及び状態表示部24を有している。名前表示部23は、プリントキューと関連付けられたプリンタを識別する、プリンタ毎に固有の名前であるプリンタ名を表示している。状態表示部24は、プリンタの状態を表示している。例えばプリントキュー表示部22aに表示されたプリントキューの場合、該プリントキューと関連付けられたプリンタの名前が「プリンタA-001」であり、該プリンタは現在オフラインとなっている。
【0020】
プリントキュー管理UI17においてユーザにより追加ボタン19が選択されると、プリントキュー管理部14は、
図3に示すダイアログボックスであるプリンタ追加UI29を表示制御部12により表示部6に表示する。プリンタ追加UI29は、プリンタ一覧表示部25及び追加ボタン26により構成されている。プリントキュー管理部14は、プリンタ追加UI29を表示すると、Bonjourプロトコルによるプリンタ検索要求をブロードキャストで送信し、該プリンタ検索要求に応答した各プリンタの名前27及び接続方法28をプリンタ一覧表示部25に表示する。ここで、プリンタからの応答には、プリンタ名、接続方法の種類や、そのプリンタが対応するドライバレスプロトコルといった情報が含まれており、OS3が利用可能なドライバレスプロトコルをサポートするプリンタのみが、プリンタ一覧表示部25に表示される。
【0021】
プリンタ一覧表示部25においてユーザによりプリントキューとして追加したいプリンタ(例えばプリンタ名が「プリンタB-002-特色印刷」)が選択された上で追加ボタン26が選択されると、プリントキュー管理部14は、
図4に示すように、プリンタ追加UI29を閉じ、プリントキュー管理UI17のプリントキュー一覧表示部18に、追加されたプリントキューを示すプリントキュー表示部22cを表示させる。
【0022】
一方、プリントキュー管理UI17のプリントキュー一覧表示部18においてユーザにより削除したいプリントキューのプリントキュー表示部22が選択された上で削除ボタン20が選択されると、プリントキュー管理部14は、該プリントキューのプリントキュー表示部22を削除すると共に、プリントキュー自体を削除する。
【0023】
[2-1-2.印刷設定UI制御部の構成]
アプリケーション4から印刷が指示されると、印刷設定UI制御部15は、
図5に示すダイアログボックスである印刷設定UI30を表示制御部12により表示部6に表示することにより、ユーザに対し印刷設定を選択させる。印刷設定UI30は、プリンタ選択部31、部数指定部32、両面印刷指定部33、用紙サイズ選択部34、印刷方向選択部35、プリントボタン36及びキャンセルボタン37により構成されている。
【0024】
プリンタ選択部31は、印刷で使用されるプリントキューをユーザに対しドロップダウンリストから選択させる。このドロップダウンリストには、プリントキュー一覧表示部18(
図4)に表示されていた全てのプリントキュー表示部22における名前表示部23により示されるプリンタ名が表示されている。
【0025】
部数指定部32、両面印刷指定部33、用紙サイズ選択部34及び印刷方向選択部35は、ドライバレスプロトコルで定義された印刷設定を選択させる箇所であり、それぞれ、印刷部数、両面印刷、用紙サイズ及び印刷方向をユーザに選択及び指定させる。
【0026】
ユーザによりプリントボタン36が選択されると、後述する印刷ジョブ生成部16は、印刷設定UI30においてユーザにより選択及び指定された印刷設定で、印刷処理を開始する。一方、ユーザによりキャンセルボタン37が選択されると、印刷ジョブ生成部16は印刷処理を開始せず、印刷設定UI制御部15は、印刷設定UI30を閉じる。
【0027】
[2-1-3.印刷ジョブ生成部の構成]
印刷ジョブ生成部16は、印刷処理において、アプリケーション4により作成された文書データと、印刷設定UI30(
図5)において選択及び指定された印刷設定とに基づき、印刷ジョブを生成する。続いて印刷ジョブ生成部16は、プリンタ選択部31(
図5)において選択されたプリントキューに関連付けられたプリンタへ生成した印刷ジョブを外部接続I/F11を介し送信する。
【0028】
[2-2.外部接続I/Fの構成]
外部接続I/F11は、PC1に接続された他のPCや周辺機器とデータを送受信する通信手段である。この外部接続I/F11は、複数の接続方法をサポートしており、ネットワーク接続の場合はネットワーク接続I/F40を、USB接続の場合はUSB接続I/F41を使用する。ネットワーク接続I/F40は、ネットワークアドレスとポート番号との組み合わせでアクセス先を指定し、ネットワークアドレスをPC1自身のものにすることにより、PC1上で動作しているプリントサーバ5と通信することができる。
【0029】
[2-3.表示制御部の構成]
表示制御部12は、各種情報を表示部6に表示することにより、種々の情報をユーザに提示する。
【0030】
[3.アプリケーションの構成]
アプリケーション4は、ユーザが文書ファイルや図形ファイル等の閲覧や編集を行い印刷を指示するためのソフトウェアである。
【0031】
[4.プリントサーバの構成]
プリントサーバ5は、イベント受信処理部43、応答生成部44、イベント応答部45、プリンタ検知部46、仮想プリンタ作成制御部47、仮想プリンタ48(仮想プリンタ48a、48b及び48c)、追加印刷設定UI制御部49、印刷履歴50、通知制御部51並びにデータ送信部52を有している。
【0032】
[4-1.イベント受信処理部の構成]
イベント受信処理部43は、プリントシステム10から送信されたプリンタ検索要求や印刷ジョブを受信すると共に、プリンタ検知部46により検知された新たなプリンタの接続といったイベントを受信し、イベントに応じた処理を行う。
【0033】
[4-2.応答生成部の構成]
応答生成部44は、イベント受信処理部43が受信したイベントがプリントシステム10から送信されたプリンタ検索要求であった場合、ドライバレスプロトコルをサポートした実プリンタを模倣して、該プリンタ検索要求に対する応答であるプリンタ検索応答を生成する。このとき応答生成部44は、例えばBonjourプロトコルによるプリンタ検索要求にのみBonjourプロトコルを用いてプリンタ検索応答を生成するものの、Bonjourプロトコル以外のプロトコルによるプリンタ検索要求に対してはプリンタ検索応答を生成しない。
【0034】
[4-3.イベント応答部の構成]
イベント応答部45は、イベント受信処理部43がイベントに応じた処理を行った結果や、応答生成部44が生成したプリンタ検索応答をイベント送信元に応答する。
【0035】
[4-4.プリンタ検知部の構成]
プリンタ検知部46は、外部接続I/F11を監視し、PC1に新たな実プリンタが接続されたことを検知した場合、イベント受信処理部43に通知する。
【0036】
[4-5.仮想プリンタ作成制御部の構成]
仮想プリンタ作成制御部47は、仮想プリンタ48を作成するか否かを判定し、作成する場合はその仮想プリンタ48の特徴を表す仮想プリンタ名を決定し、該仮想プリンタ名を含む例えば
図7に示す設定情報54を持つ仮想プリンタ48を作成する。
【0037】
[4-6.仮想プリンタの構成]
仮想プリンタ48(仮想プリンタ48a、48b及び48c)は、必要に応じて複数個作成され、本実施の形態の場合、仮想プリンタ48a、48b及び48cの3つの仮想プリンタ48が作成されている。以下では、仮想プリンタ48a、48b及び48cをまとめて仮想プリンタ48とも呼ぶ。仮想プリンタ48は、印刷ジョブ変換部53及び設定情報54を有している。印刷ジョブ変換部53は、印刷設定UI30(
図5)においてユーザにより選択及び指定された印刷設定と、後述する追加印刷設定UI55(
図6)においてユーザにより選択された印刷設定である追加印刷設定とに基づき、プリントシステム10から送信された印刷ジョブから、実プリンタで処理可能な形式に変換した印刷ジョブを生成する。
【0038】
図7に示すように設定情報54は、仮想プリンタ48と対応した実プリンタから取得された情報であり、プリンタ名60、機能61及び接続先62といった属性とその属性の値との情報を格納している。プリンタ名60は、仮想プリンタ48を識別する名前である仮想プリンタ名を示している。機能61は、ドライバレスプロトコルでは定義されておらず印刷設定UI30(
図5)では設定することができないものの、プリンタ名60で示される仮想プリンタ名の仮想プリンタと対応した実プリンタでは利用することのできる追加機能を示している。接続先62は、プリンタ名60で示される仮想プリンタ名の仮想プリンタと対応した実プリンタの接続先を示している。例えばプリンタ名が「プリンタB-002-特色印刷」であるプリンタは、印刷設定UI30(
図5)では、特色印刷、トナーセーブ及びトラッピングの機能は設定できないものの、機能61において示されているように、特色印刷、トナーセーブ及びトラッピングの機能は利用可能となっている。
【0039】
応答生成部44(
図1)は、設定情報54(
図7)のプリンタ名60の属性の値を参照し、プリンタ検索応答にその値を含める。プリントキュー管理部14は、プリンタ追加UI29(
図3)のプリンタ一覧表示部25において、プリンタ検索応答に含まれている、プリンタ名60の属性の値を、名前27の部分に表示する。
【0040】
[4-7.追加印刷設定UI制御部の構成]
追加印刷設定UI制御部49は、
図6に示すダイアログボックスである追加印刷設定UI55を表示制御部12により表示部6に表示することにより、ユーザに対し印刷処理時において追加の印刷設定を選択させる。すなわち、上述した印刷設定UI30(
図5)ではドライバレスプロトコルで定義されている基本的な機能のみが設定可能であるため、PC1は、プリンタにおいて利用可能なその他の機能を追加印刷設定UI55においてユーザに設定させる。追加印刷設定UI55は、特色印刷指定部56、トナーセーブ指定部57、トラッピング指定部58及びプリントボタン59により構成されている。特色印刷指定部56、トナーセーブ指定部57及びトラッピング指定部58は、ドライバレスプロトコルでは定義されていないもののプリンタにおいて利用可能なその他の印刷設定を選択させる箇所であり、それぞれ、特色印刷、トナーセーブ及びトラッピングのON/OFFをユーザに選択させる。追加印刷設定UI制御部49は、設定情報54(
図7)の機能61の属性の値を参照し、該値により示される機能のON/OFFを選択させるドロップダウンリストを追加印刷設定UI55に表示する。このため、追加印刷設定UI55において設定可能な機能は実プリンタによって異なることとなる。また追加印刷設定UI制御部49は、追加印刷設定UI55(
図6)においてユーザにより設定された追加印刷設定を取得し、該追加印刷設定により示される、ユーザが今回の印刷で利用した機能を印刷履歴50に保存する。
【0041】
[4-8.印刷履歴の構成]
図8に示すように印刷履歴50は、追加印刷設定UI55(
図6)で選択された機能の情報が保存され、機能名64、利用回数65及び最終利用日66の情報を格納している。機能名64は、利用された追加印刷設定の機能を識別する機能名を示している。利用回数65は、機能名64で示される機能名の機能が利用された回数を示している。最終利用日66は、機能名64で示される機能名の機能が最後に利用された日付を示している。
【0042】
[4-9.通知制御部の構成]
通知制御部51(
図1)は、PC1に新たに仮想プリンタ48が追加されたか否かを判定し、追加された場合はその仮想プリンタ48の仮想プリンタ名を取得し、該仮想プリンタ名により示されるプリンタの使用をユーザに推奨するメッセージを表示することを示す通知依頼をOS3の表示制御部12へ送信する。
【0043】
[4-10.データ送信部の構成]
データ送信部52は、プリンタ選択部31(
図5)において選択されたプリントキューに関連付けられたプリンタへ、印刷ジョブ変換部53により変換された印刷ジョブを外部接続I/F11を介し送信する。
【0044】
[5.プリントサーバ動作処理]
次に、プリントサーバ5によるプリントサーバ動作処理の具体的な処理手順について、
図10に示すフローチャートを用いて説明する。PC1の電源が投入されると、制御部2は、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)を開始し、ステップSP1に移る。ここで、プリントサーバ5はバッググラウンドで常に動作しており、何らかのイベントを受信するまで待機する。
【0045】
ステップSP1においてプリントサーバ5は、イベント受信処理部43によりイベントを受信し、ステップSP2に移る。ステップSP2(印刷ジョブ受信ステップ)においてプリントサーバ5は、受信したイベントが印刷ジョブであったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、プリントサーバ5は、ステップSP3に移る。ステップSP3においてプリントサーバ5は、
図11に示す印刷処理手順SRT1を実行することにより、印刷処理を行い、ステップSP10に移る。
【0046】
一方、ステップSP2において否定結果が得られると、プリントサーバ5は、ステップSP4に移る。ステップSP4(探索ステップ)においてプリントサーバ5は、受信したイベントが新たな実プリンタの接続であったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、プリントサーバ5は、ステップSP5に移る。ステップSP5においてプリントサーバ5は、
図12に示す仮想プリンタ作成処理手順SRT2を実行することにより、必要に応じて仮想プリンタ48の作成を行い、ステップSP10に移る。
【0047】
一方、ステップSP4において否定結果が得られると、このときプリントサーバ5は、ステップSP6に移る。ステップSP6(検索要求受信ステップ)においてプリントサーバ5は、受信したイベントがプリンタ検索要求であったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、プリントサーバ5は、ステップSP7に移る。ステップSP7においてプリントサーバ5は、
図13に示す通知表示処理手順SRT3を実行することにより、仮想プリンタ48の使用をユーザに推奨するメッセージを表示することを示す通知依頼をOS3へ送信し、ステップSP8に移る。ステップSP8においてプリントサーバ5は、
図14に示す検索応答処理手順SRT4を実行することにより、プリンタ検索要求に対するプリンタ検索応答をOS3へ返信し、ステップSP10に移る。
【0048】
一方、ステップSP6において否定結果が得られると、このことは、受信したイベントは、印刷ジョブ、新たなプリンタの接続、又はプリンタ検索要求の何れでもないことを表し、このときプリントサーバ5は、ステップSP9に移る。ドライバレスプロトコルでは、プリンタ状態の問い合わせや、印刷ジョブの情報の問い合わせといった、印刷ジョブ、新たなプリンタの接続、又はプリンタ検索要求以外の種々のイベントが発生する。このためステップSP9においてプリントサーバ5は、このようなイベントに対応した、その他の応答処理をイベント受信処理部43により行い、ステップSP10に移る。
【0049】
ステップSP10においてプリントサーバ5は、例えばPC1の電源が遮断されることにより処理を終了するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、プリントサーバ5は、ステップSP11へ移り、プリントサーバ動作処理手順RT1を終了する。一方、ステップSP10において否定結果が得られると、プリントサーバ5は、ステップSP1へ移り、上述した処理を繰り返す。
【0050】
[5-1.印刷処理]
次に、プリントサーバ5による印刷処理の具体的な処理手順について、
図11に示すフローチャートを用いて説明する。制御部2は、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP3においてプリントサーバ5における印刷処理手順SRT1(
図11)を開始し、ステップSP21に移る。ステップSP21においてプリントサーバ5は、受信した印刷ジョブに含まれている印刷設定をイベント受信処理部43により取得し、ステップSP22に移る。この印刷設定は、印刷設定UI30(
図5)において設定されたものである。
【0051】
ステップSP22(追加印刷設定ステップ)においてプリントサーバ5は、追加印刷設定UI制御部49により追加印刷設定UI55(
図6)を表示部6に表示し、ユーザにより追加の印刷設定が選択されプリントボタン59が選択されるまで待ち受け、プリントボタン59が選択されると、ステップSP23に移る。
【0052】
ステップSP23においてプリントサーバ5は、追加印刷設定UI55(
図6)においてユーザにより設定された追加印刷設定を追加印刷設定UI制御部49により取得し、ステップSP24に移る。ステップSP24(印刷履歴保存ステップ)においてプリントサーバ5は、追加印刷設定により示される、ユーザが今回の印刷で利用した機能を追加印刷設定UI制御部49により印刷履歴50に保存することにより印刷履歴50を更新し、ステップSP25に移る。
【0053】
ステップSP25(印刷ジョブ変換ステップ)においてプリントサーバ5は、ステップSP21において取得した印刷設定と、ステップSP23において取得した追加印刷設定とに基づき、印刷ジョブを印刷ジョブ変換部53により生成し、ステップSP26に移る。ステップSP26(印刷ジョブ送信ステップ)においてプリントサーバ5は、プリンタ選択部31(
図5)において選択されたプリントキューに関連付けられた実プリンタへ生成した印刷ジョブをデータ送信部52により外部接続I/F11を介し送信し、ステップSP27へ移り、印刷処理手順SRT1を終了し、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP10に移る。
【0054】
[5-2.仮想プリンタ作成処理]
次に、プリントサーバ5による仮想プリンタ作成処理の具体的な処理手順について、
図12に示すフローチャートを用いて説明する。制御部2は、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP5においてプリントサーバ5における仮想プリンタ作成処理手順SRT2(
図12)を開始し、ステップSP31に移る。ステップSP31(優先度取得ステップ)においてプリントサーバ5は、PC1に新たに接続された実プリンタから該実プリンタが利用可能な印刷に関する機能をプリンタ検知部46により例えば
図9に示す取得済み設定情報70(取得済み設定情報70a(
図9(A))、70b(
図9(B))及び70c(
図9(C)))として取得し、ステップSP32に移る。ステップSP32(印刷履歴取得ステップ)においてプリントサーバ5は、印刷履歴50を仮想プリンタ作成制御部47により取得することにより、ユーザが過去に利用した機能を参照し、ステップSP33に移る。
【0055】
ステップSP33(決定ステップ)においてプリントサーバ5は、ステップSP31において取得したプリンタの機能と、ステップSP32において取得したユーザが過去に利用した機能とを比較することにより、仮想プリンタ48を作成するか否かを仮想プリンタ作成制御部47により判定する。仮想プリンタ48を作成するか否かの判定基準としては、例えば以下の2つの条件が考えられる。1つ目の条件は、過去にユーザが利用した機能を持たないプリンタの仮想プリンタ48を作成しないというものである。2つ目の条件は、ユーザが頻繁に利用する機能を有するプリンタの仮想プリンタ48を優先して作成するというものである。
【0056】
例えば、
図9に取得済み設定情報70の例を示したように、「プリンタB-001」(取得済み設定情報70a)、「プリンタB-002」(取得済み設定情報70b)及び「プリンタB-003」(取得済み設定情報70c)、の3台の実プリンタがPC1に新たに接続されたとし、そのとき印刷履歴50は
図8に示した状態だったとする。この場合、全てのプリンタ(「プリンタB-001」、「プリンタB-002」及び「プリンタB-003」)は、印刷履歴50に存在する機能(特色印刷、トナーセーブ及びトラッピング)の少なくとも何れかを利用できるため、1つ目の条件には該当しない。このため仮想プリンタ作成制御部47は、2つ目の条件に従い、ユーザが頻繁に利用する機能をより多く持つ「プリンタB-002」の仮想プリンタ48を作成する一方、他の2つのプリンタ(「プリンタB-001」及び「プリンタB-003」)の仮想プリンタ48は作成しない。「プリンタB-002」の仮想プリンタ48を作成すると判定したため、プリントサーバ5は、ステップSP33において肯定結果を得て、ステップSP34に移る。
【0057】
ステップSP34(仮想プリンタ名決定ステップ)においてプリントサーバ5は、仮想プリンタ作成制御部47により、仮想プリンタ48の特徴を表す名前を仮想プリンタ名として決定し、ステップSP35に移る。例えば上述した例の場合、仮想プリンタ作成制御部47は、印刷履歴50(
図8)に示されているように、ユーザの利用回数が最も多く(30回)、かつ、最終利用日が最近(2022/9/14)である特色印刷をプリンタ名に付加することにより、仮想プリンタ48の名前である仮想プリンタ名を、「プリンタB-002-特色印刷」に決定する。
【0058】
ステップSP35(仮想プリンタ作成ステップ)においてプリントサーバ5は、ステップSP34において決定した仮想プリンタ名を含む
図7に示す設定情報54を持つ仮想プリンタ48を仮想プリンタ作成制御部47により作成し、ステップSP36へ移り、仮想プリンタ作成処理手順SRT2を終了し、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP10に移る。ここで、上述した例で追加される実プリンタの実際のプリンタ名は「プリンタB-002」であったものの、プリントサーバ5が作成する仮想プリンタ48のプリンタ名は「プリンタB-002-特色印刷」となる。このため、この仮想プリンタ48の設定情報54は、
図7に示すものとなる。
【0059】
一方、ステップSP33において否定結果が得られると、仮想プリンタ48を作成すべきプリンタはないと判定したため、このときプリントサーバ5は、ステップSP34及びSP35をスキップしてステップSP36へ移り、仮想プリンタ作成処理手順SRT2を終了し、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP10に移る。
【0060】
[5-3.通知表示処理]
次に、プリントサーバ5による通知表示処理の具体的な処理手順について、
図13に示すフローチャートを用いて説明する。制御部2は、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP7においてプリントサーバ5における通知表示処理手順SRT3(
図13)を開始し、ステップSP41に移る。ステップSP41においてプリントサーバ5は、通知表示処理手順SRT3を前回実行してからPC1に新たに追加された仮想プリンタ48の有無を確認し、新たな仮想プリンタ48が追加されたか否かを通知制御部51により判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、新たに追加された仮想プリンタ48があることを表し、このときプリントサーバ5は、ステップSP42に移る。ステップSP42においてプリントサーバ5は、新たに追加された仮想プリンタ48の設定情報54(
図7)のプリンタ名60から通知制御部51により仮想プリンタ名を取得し、ステップSP43に移る。
【0061】
ステップSP43(通知制御ステップ)においてプリントサーバ5は、取得した仮想プリンタ名により示されるプリンタの使用をユーザに推奨するメッセージを表示部6に表示することを示す通知依頼を通知制御部51によりOS3のプリントキュー管理部14へ送信し、ステップSP44へ移り、通知表示処理手順SRT3を終了し、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP8に移る。
【0062】
ここで、プリントキュー管理部14は、プリントサーバ5による通知表示処理が行われる前の段階において、プリントキューの一覧を確認する操作がユーザにより行われると、プリントキュー管理UI17(
図2)を表示部6に表示する。プリントキュー管理UI17においてユーザにより追加ボタン19が選択されると、プリントキュー管理部14は、プリンタ追加UI29(
図3)を表示部6に表示する。これと同時にプリントキュー管理部14は、プリンタ検索要求を送信する。プリントサーバ5は、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP6において、受信したイベントがこのプリンタ検索要求であると判定すると、通知表示処理手順SRT3(
図13)を開始する。
【0063】
続いてプリントキュー管理部14は、ステップSP43における通知依頼をプリントサーバ5から受信すると、
図3に示すように、プリンタ使用推奨メッセージ76を表示部6に表示する。プリンタ使用推奨メッセージ76は、使用を推奨するプリンタをユーザに提示する内容を示している。具体的にプリンタ使用推奨メッセージ76は、仮想プリンタ作成処理手順SRT2(
図12)におけるステップSP35において作成され、通知表示処理手順SRT3(
図13)におけるステップSP42において取得された、仮想プリンタ名が「プリンタB-002-特色印刷」のプリンタの使用を推奨する内容を示している。ユーザは、プリンタ使用推奨メッセージ76を確認することにより、プリンタ追加UI29のプリンタ一覧表示部25に表示されたプリンタのうち、どのプリンタを優先的に選択してプリントキューに追加すれば良いのかを把握できる。
【0064】
一方、ステップSP41(
図13)において否定結果が得られると、このことは、新たに追加された仮想プリンタ48はないことを表し、このときプリントサーバ5は、ステップSP42及びSP43をスキップしてステップSP44へ移り、通知表示処理手順SRT3を終了し、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP8に移る。
【0065】
[5-4.検索応答処理]
次に、プリントサーバ5による検索応答処理の具体的な処理手順について、
図14に示すフローチャートを用いて説明する。制御部2は、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP8においてプリントサーバ5における検索応答処理手順SRT4(
図14)を開始し、ステップSP51に移る。ステップSP51においてプリントサーバ5は、プリンタ検索要求に応じ仮想プリンタ48における仮想プリンタ名、機能及び接続先の情報を含むプリンタ検索応答を応答生成部44により生成し、ステップSP52に移る。このとき応答生成部44は、仮想プリンタ作成処理手順SRT2(
図12)におけるステップSP34において決定された仮想プリンタ名である「プリンタB-002-特色印刷」を含むプリンタ検索応答を生成する。
【0066】
ステップSP52(応答ステップ、通知制御ステップ)においてプリントサーバ5は、生成したプリンタ検索応答をイベント応答部45により要求元であるOS3のプリントキュー管理部14に送信し、ステップSP53へ移り、検索応答処理手順SRT4を終了し、プリントサーバ動作処理手順RT1(
図10)におけるステップSP10に移る。
【0067】
図3に示すように、プリンタ追加UI29においてはプリンタ検索要求に対し返信されたプリンタ検索応答に含まれるプリンタが表示される。本実施の形態の場合、「プリンタB-001」及び「プリンタB-003」は仮想プリンタ48が作成されず、「プリンタB-002」は仮想プリンタ48が作成された。このため、「プリンタB-001」、「プリンタB-002」及び「プリンタB-003」は、実プリンタからのプリンタ検索応答に含まれるプリンタ名が表示される。これに対し、「プリンタB-002」のみが、実プリンタのプリンタ名と共に、仮想プリンタ48からのプリンタ検索応答に含まれる仮想プリンタ名である「プリンタB-002-特色印刷」が表示される。
【0068】
[6.プリントサーバの機能構成]
次に、プリントサーバ5の機能構成について説明する。画像形成装置1の制御部2(
図1)は、ROMに予め記憶されたプリントサーバ動作処理プログラムを読み出して実行することにより、
図15に示すような各機能ブロックを形成する。
【0069】
探索部80は、プリンタ検知部46及びイベント受信処理部43(
図1)と対応しており、ネットワーク上のプリンタ(実プリンタ)を探索する。優先度取得部81は、プリンタ検知部46(
図1)と対応しており、探索部80において検出されたプリンタから、該プリンタの仮想プリンタ48の作成に関する優先度である、該プリンタが利用可能な機能(
図9)を取得する。決定部82は、仮想プリンタ作成制御部47(
図1)と対応しており、探索部80において検出されたプリンタのOS3からの印刷ジョブの送信先である仮想プリンタ48を作成するか否かを、プリンタの機能に基づき決定する。仮想プリンタ作成部83は、仮想プリンタ作成制御部47(
図1)と対応しており、決定部82において仮想プリンタ48を作成すると決定したプリンタの仮想プリンタ48を作成する。
【0070】
検索要求受信部84は、イベント受信処理部43(
図1)と対応しており、OS3からプリンタ検索要求を受信する。応答部85は、イベント応答部45(
図1)と対応しており、プリンタ検索要求に対して、作成された仮想プリンタ48を示す情報であるプリンタ検索応答を送信する。印刷ジョブ受信部86は、イベント受信処理部43(
図1)と対応しており、プリンタ検索応答に基づいてOS3から仮想プリンタ48を送信先とした印刷ジョブを受信する。印刷ジョブ送信部87は、データ送信部52(
図1)と対応しており、受信した印刷ジョブを仮想プリンタ48と対応したプリンタに送信する。
【0071】
通知制御部88は、通知制御部51(
図1)と対応しており、OS3に直接検出された実プリンタと、仮想プリンタ48とで、異なる態様で表示部6に表示させてユーザに通知する。追加印刷設定部89は、追加印刷設定UI制御部49(
図1)と対応しており、OS3における印刷設定よりも多機能な印刷設定(追加印刷設定)の指示を受け付ける。印刷ジョブ変換部90は、印刷ジョブ変換部53(
図1)と対応しており、印刷ジョブ受信部86において受信された印刷ジョブに対し追加印刷設定部89において設定された追加印刷設定を適用する。印刷履歴保存部91は、追加印刷設定UI制御部49(
図1)と対応しており、追加印刷設定部89において設定された印刷設定の履歴である印刷履歴50を保存する。
【0072】
[7.効果等]
以上の構成においてPC1は、プリントサーバ5において、優先度としての、PC1に新たに接続された実プリンタにおける印刷に関する機能(
図9)と、ユーザの印刷に関する機能の過去の利用履歴としての印刷履歴50(
図8)とに基づき、該実プリンタの仮想プリンタ48を作成するか否かを判定するようにした。このためPC1は、該PC1に新たに接続された複数の実プリンタから仮想プリンタ48を作成する実プリンタを選択させるという煩雑な作業をユーザに強いることを防止でき、ユーザビリティを向上させることができる。
【0073】
またPC1は、該PC1に複数の実プリンタが接続された場合、ユーザの利用頻度が高い機能を備えたプリンタのみの仮想プリンタ48を作成するため、プリンタ追加UI29(
図3)において表示する仮想プリンタの個数が無駄に多くなることを防止できる。このためPC1は、プリントキューに追加するプリンタをユーザに対し容易に選択させることができ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0074】
さらにPC1は、仮想プリンタ48を作成することにより、ドライバレスプロトコルでは対応していない、例えばトナーセーブ、特色印刷やトラッピング等の機能を用いて印刷を行うことができるため、より多くの印刷機能をユーザに提供でき、ユーザビリティを向上させることができる。
【0075】
さらにPC1は、該PC1が移動されることにより接続されるネットワークが変更され新たなネットワークに接続された場合であって、特に新たに接続されたネットワークに属する実プリンタの個数が膨大であった場合であっても、仮想プリンタ48を作成するプリンタの選択をユーザに行わせることなく、かつ、プリントキューに追加するプリンタの選択を容易にさせることができる。
【0076】
さらにPC1は、仮想プリンタ48の名前(例えば「プリンタB-002-特色印刷」)において、該仮想プリンタ48と対応した実プリンタの名前(例えば「プリンタB-002」)に加えて、該実プリンタが有する、OS3における印刷設定UI30(
図5)では設定されない機能の名前(例えば特色印刷)を含めるようにした。このためPC1は、ユーザが利用を望む機能を搭載している可能性が高いプリンタをプリンタ追加UI29(
図3)においてユーザに認識しやすくさせることができ、プリントキューにどのプリンタを追加するかを選択する際のユーザの判断を補助することができる。
【0077】
さらにPC1は、OS3にプリンタのプリントキューを追加する際に、仮想プリンタ48を作成した場合は該仮想プリンタ48(例えば「プリンタB-002-特色印刷」)のプリントキューへの追加を推奨するプリンタ使用推奨メッセージ76(
図3)をポップアップ表示するようにプリントサーバ5からOS3に依頼するようにした。このためPC1は、ユーザが利用を望む機能を搭載している可能性が高いプリンタをユーザに選択させやすくすることができる。
【0078】
このようにPC1は、OS3にプリンタのプリントキューが追加される際に、仮想プリンタ48の仮想プリンタ名として該仮想プリンタ48と対応したプリンタの機能を示す「特色印刷」等の文字が付加された仮想プリンタ名をプリンタ追加UI29(
図3)に表示するようにした。すなわちPC1は、OS3が直接検索した実プリンタ(プリンタ追加UI29(
図3)における「プリンタB-001」、「プリンタB-002」及び「プリンタB-003」)と、仮想プリンタ48(プリンタ追加UI29(
図3)における「プリンタB-002」-特色印刷)とをプリンタ追加UI29(
図3)において互いに異なる態様で表示するようにした。またPC1は、OS3にプリンタのプリントキューが追加される際に、仮想プリンタ48である「プリンタB-002-特色印刷」の追加を推奨するプリンタ使用推奨メッセージ76を表示するようにした。すなわちPC1は、OS3にプリンタのプリントキューが追加される際に、仮想プリンタ48と実プリンタとを異なる態様でユーザに通知するようにした。
【0079】
以上の構成においてプリントサーバ5は、ネットワーク上のプリンタを探索する探索部80と、探索部80において検出されたプリンタから、該プリンタの仮想プリンタ48の作成に関する優先度である、該プリンタが利用可能な機能を取得する優先度取得部81と、探索部80において検出されたプリンタへのOS3からの印刷ジョブの送信先である仮想プリンタ48を作成するか否かを、プリンタの機能に基づき決定する決定部82と、決定部82において仮想プリンタ48を作成すると決定したプリンタの仮想プリンタ48を作成する仮想プリンタ作成部83とを設けるようにした。
【0080】
これによりプリントサーバ5は、特定のプロトコルにより探索した全てのプリンタの個数よりも少ない個数の仮想プリンタをユーザに提示し、ユーザに対しプリンタを選択しやすくさせることができる。
【0081】
[8.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においてPC1は、仮想プリンタ作成処理手順SRT2(
図12)において、PC1に新たに接続された実プリンタにおける印刷に関する機能(
図9)と、ユーザの印刷に関する機能の過去の利用履歴としての印刷履歴50(
図8)とに基づき、該実プリンタの仮想プリンタ48を作成するか否かを判定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、PC1は、PC1(すなわちユーザ)との距離が短いプリンタほど仮想プリンタ48を作成する優先度を高くし、優先度が低いプリンタは仮想プリンタ48を作成しないようにしても良い。その場合、PC1は、例えば、PC1とプリンタとの間のWi-Fi(登録商標)の電波強度が強いほど距離が短いと推測したり、プリンタからのネットワークレスポンスが早いほど距離が短いと推測したりしても良い。またPC1は、プリンタがアクセス制御されている環境において該プリンタのアクセス権限を有している場合は仮想プリンタ48を作成する優先度を高くしたり、管理者により予めプリンタ毎に優先度を設定したりしても良い。
【0082】
さらに上述した実施の形態においてPC1は、仮想プリンタ作成処理手順SRT2(
図12)において、優先度としての、PC1に新たに接続された実プリンタにおける印刷に関する機能(
図9)と、ユーザの印刷に関する機能の利用履歴としての印刷履歴50(
図8)とに基づき、該実プリンタの仮想プリンタ48を作成するか否かを判定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、PC1は、優先度としての、PC1に新たに接続された実プリンタにおける印刷に関する機能(
図9)のみに基づき、該実プリンタの仮想プリンタ48を作成するか否かを判定しても良い。
【0083】
さらに上述した実施の形態においてPC1は、仮想プリンタ作成処理手順SRT2(
図12)において、PC1に新たに接続された実プリンタから1台のみを選択し、その実プリンタの仮想プリンタ48を作成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、PC1は、PC1に新たに接続された実プリンタから2台以上の種々の個数の実プリンタを選択し、その実プリンタの仮想プリンタ48を作成しても良い。但し、PC1に新たに接続された実プリンタから可能な限り個数を減らしてその実プリンタの仮想プリンタ48を作成した方が、PC1は、プリンタ追加UI29(
図3)において表示する仮想プリンタ48の個数を減らすことができるため、プリントキューに追加するプリンタをユーザに対し容易に選択させることができる。
【0084】
さらに上述した実施の形態においてPC1は、仮想プリンタ48を作成するか否かの判定基準として、上述した2つの条件に限らず、他の種々の条件を用いても良い。
【0085】
さらに上述した実施の形態においてPC1は、OS3にプリンタのプリントキューが追加される際に、仮想プリンタ48の名前に、該仮想プリンタ48と対応した実プリンタの名前に加えて該実プリンタが有する機能の名前を含め、プリンタ追加UI29(
図3)に表示する場合について述べた。本発明はこれに限らず、PC1は、仮想プリンタ48の名前に、該仮想プリンタ48と対応した実プリンタの名前に加えて例えば「多機能」等、他の種々の文字を含めても良い。要は、ユーザが利用を望む機能を搭載している可能性が高いプリンタであることをユーザが認識しやすい名前とすれば良い。
【0086】
さらに上述した実施の形態においてPC1は、OS3にプリンタのプリントキューが追加される際に、仮想プリンタ48の追加を推奨するプリンタ使用推奨メッセージ76を表示する場合について述べた。本発明はこれに限らず、PC1は、プリンタ追加UI29(
図3)における仮想プリンタ48の名前27及び接続方法28の文字を他の実プリンタとは異なる態様で表示したり、プリンタ使用推奨メッセージ76を表示しないようにしたりしても良い。要は、追加を推奨している仮想プリンタ48をユーザに認識しやすくすれば良い。
【0087】
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0088】
さらに上述した実施の形態においては、探索部としての探索部80と、優先度取得部としての優先度取得部81と、決定部としての決定部82と、仮想プリンタ作成部としての仮想プリンタ作成部83とにより、情報処理装置としてのプリントサーバ5を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる探索部と、優先度取得部と、判定部と、仮想プリンタ作成部とによって、情報処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像形成装置において印刷を行う場合に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
1……PC、2……制御部、3……OS、4……アプリケーション、5……プリントサーバ、6……表示部、10……プリントシステム、11……外部接続I/F、12……表示制御部、14……プリントキュー管理部、15…印刷設定UI制御部、16……印刷ジョブ生成部、17……プリントキュー管理UI、18……プリントキュー一覧表示部、19……追加ボタン、20……削除ボタン、22……プリントキュー表示部、23……名前表示部、24……状態表示部、25……プリンタ一覧表示部、26……追加ボタン、27……名前、28……接続方法、29……プリンタ追加UI、30……印刷設定UI、31……プリンタ選択部、32……部数指定部、33……両面印刷指定部、34……用紙サイズ選択部、35……印刷方向選択部、36……プリントボタン、37……キャンセルボタン、40……ネットワーク接続I/F、41……USB接続I/F、43……イベント受信処理部、44……応答生成部、45……イベント応答部、46……プリンタ検知部、47……仮想プリンタ作成制御部、48……仮想プリンタ、49……追加印刷設定UI制御部、50……印刷履歴、51……通知制御部、52……データ送信部、53……印刷ジョブ変換部、54……設定情報、55……追加印刷設定UI、56……特色印刷指定部、57……トナーセーブ指定部、58……トラッピング指定部、59……プリントボタン、60……プリンタ名、61……機能、62……接続先、64……機能名、65……利用回数、66……最終利用日、70……取得済み設定情報、74……プリンタ追加UI、76……プリンタ使用推奨メッセージ、80……探索部、81……優先度取得部、82……判定部、83……仮想プリンタ作成部、84……検索要求受信部、85……応答部、86……印刷ジョブ受信部、87……印刷ジョブ送信部、88……通知制御部、89……追加印刷設定部、90……印刷ジョブ変換部、91……印刷履歴保存部。