(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178734
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241218BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G03G15/08 322Z
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097104
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅彦
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077DA18
2H077DA35
2H077DA52
2H077GA02
2H077GA13
2H270LA18
2H270LA26
2H270LA28
2H270LA87
2H270LA91
2H270LA99
2H270LB02
2H270LD03
2H270MA18
2H270MC30
2H270RA10
2H270RC03
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】画像品位を保つ。
【解決手段】画像形成装置1は、トナー画像を形成する画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10のトナー量を検出する検出部74と、画像形成ユニット10の周囲の湿度又は温度の少なくとも何れか一方を計測する計測部75と、トナー量が所定値以下であるか否かを判定する判定部76とを設け、判定部76が、画像形成ユニット10のトナーの残量が所定値以下であると判定するとき、計測部75が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度以下である場合のトナー量は、計測部75が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度よりも高い場合のトナー量よりも多いようにする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニットの現像剤量を検出する検出部と、
前記画像形成ユニットの周囲の湿度又は温度の少なくとも何れか一方を計測する計測部と、
前記現像剤量が所定値以下であるか否か判定する判定部と
を有し、
前記判定部が、前記画像形成ユニットの前記現像剤量が前記所定値以下であると判定するとき、前記計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度以下である場合の前記現像剤量は、前記計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が前記所定の湿度又は前記所定の温度よりも高い場合の前記現像剤量よりも多い
画像形成装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記画像形成ユニットの周囲の湿度を計測し、
前記判定部が、前記現像剤量が前記所定値以下であると判定するとき、前記計測部が計測した湿度が前記所定の湿度以下である場合の前記現像剤量は、前記計測部が計測した湿度が前記所定の湿度よりも高い場合の前記現像剤量よりも多い
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記画像形成ユニットの周囲の湿度及び温度を計測し、
前記判定部が、前記現像剤量が前記所定値以下であると判定するとき、前記計測部が計測した湿度及び温度が前記所定の湿度以下及び前記所定の温度以下である場合の前記現像剤量は、前記計測部が計測した湿度及び温度が前記所定の湿度及び前記所定の温度よりも高い場合の前記現像剤量よりも多い
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤量が所定のロー所定値以下であるか否か判定するロー判定部と、
前記現像剤量が前記ロー所定値以下であると前記ロー判定部が判定してから前記現像剤量が前記所定値以下であると前記判定部が判定するまでの前記現像剤の使用可能量である現像剤使用可能量を、前記計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が前記所定の温度又は前記所定の湿度よりも高い場合よりも、前記計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が前記所定の湿度又は前記所定の温度以下である場合の方が、少なく設定する現像剤使用可能量設定部と
をさらに有し、
前記判定部は、
前記現像剤量が前記ロー所定値以下であると前記ロー判定部が判定してから、前記現像剤使用可能量以上に前記現像剤が使用されると、前記現像剤量が前記所定値以下であると判定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤使用可能量設定部は、
前記画像形成ユニットの寿命に対する使用率が低い場合よりも該使用率が高い場合の方が前記現像剤使用可能量を少なく設定する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤使用可能量設定部は、
前記使用率が所定の第1寿命判定値以上の場合、前記使用率が前記第1寿命判定値よりも低い所定の第2寿命判定値以上かつ前記第1寿命判定値未満の場合よりも、前記現像剤使用可能量を少なく設定する
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤使用可能量設定部は、
前記計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が前記所定の湿度又は前記所定の温度以下である場合、前記現像剤使用可能量を所定の基準値よりも少なく設定する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像剤使用可能量設定部は、
前記画像形成ユニットが寿命に到達した場合、前記現像剤使用可能量を前記基準値に戻す
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記判定部は、
前記画像形成ユニットに残留している前記現像剤に新たな前記現像剤が混入されるべき時点で、前記現像剤量が前記所定値以下となったと判定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば、電子写真方式のプリンタや複写機等の画像形成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置(プリンタとも呼ばれる)として、コンピュータ装置等から供給される画像に基づき、トナーカートリッジから現像剤(トナーとも呼ばれる)を現像装置に供給して現像装置により現像剤像(トナー画像とも呼ばれる)を形成して紙等の媒体に転写し、これに熱及び圧力を加えて定着させることにより、印刷処理を行うものが広く普及している。
【0003】
このような画像形成装置においては、現像装置内の現像剤の残量が少なくなったことを検知しユーザに報知するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような画像形成装置においては、現像剤の劣化に伴い、現像装置内に残存している現像剤である残現像剤と、交換後の新たなトナーカートリッジ(現像剤カートリッジとも呼ぶ)から新規供給される現像剤である新規供給現像剤との特性差が大きいときに画像品位が低下することがあった。そのため、現像装置内の現像剤の残量が少ないことを適切なタイミングで判定し、適切なタイミングで現像剤カートリッジを交換したいといった要望があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、画像品位を保ち得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、現像剤像を形成する画像形成ユニットと、画像形成ユニットの現像剤量を検出する検出部と、画像形成ユニットの周囲の湿度又は温度の少なくとも何れか一方を計測する計測部と、現像剤量が所定値以下であるか否か判定する判定部とを設け、判定部が、画像形成ユニットの現像剤量が所定値以下であると判定するとき、計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度以下である場合の現像剤量は、計測部が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度よりも高い場合の現像剤量よりも多いようにした。
【0008】
本発明は、残現像剤の劣化が少ない時点で現像剤カートリッジの交換を促すことができ、適切に現像剤カートリッジが交換されるときは残現像剤と新規供給現像剤との特性差を抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、残現像剤の劣化が少ない時点で現像剤カートリッジの交換を促すことができ、適切に現像剤カートリッジが交換されるときは残現像剤と新規供給現像剤との特性差を抑えることができ、画像品位を保ち得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成装置の内部構成を示す左側面図である。
【
図2】画像形成ユニットの内部構成を示す左側面図である。
【
図3】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施の形態による印刷処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施の形態によるトナーエンプティ決定ドットカウント値表を示す表である。
【
図6】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】第1の実施の形態による評価結果を示す表である。
【
図9】第1の実施の形態によるトナーエンプティ状態発生時に対する新規供給トナー供給直後における現像ローラ上の電位及びトナー付着量の上昇を示すグラフである。
【
図10】第2の実施の形態による印刷処理手順(1)を示すフローチャートである。
【
図11】第2の実施の形態による印刷処理手順(2)を示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施の形態による使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表を示す表である。
【
図13】第2の実施の形態による使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表を示す表である。
【
図14】第2の実施の形態による評価結果を示す表である。
【
図15】第2の実施の形態によるトナーエンプティ状態発生時に対する新規供給トナー供給直後における現像ローラ上の電位及びトナー付着量の上昇を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態による画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタであり、媒体としての用紙Pにカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)。画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、
図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。画像形成装置1は、いわゆる直接転写方式、すなわち画像形成ユニット10(後述する)の感光体ドラム37(後述する)から用紙Pに現像剤画像としてのトナー画像を直接転写する構成となっている。
【0013】
画像形成装置1は、制御部15により全体を統括制御する。この制御部15は、メモリ55(
図3)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、様々な処理を実行する。また制御部15は、コンピュータ装置等の上位装置16(
図3)と無線又は有線により接続されており、この上位装置16から印刷対象の画像を表す画像データが与えられると共に該画像データの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0014】
筐体2の下部には、用紙カセット4が設けられている。用紙カセット4は、印刷すべき面である印刷面を下側に向けた姿勢で紙等の用紙Pを堆積した状態で収納する。
【0015】
用紙カセット4の前上側には、ホッピングローラ5が配設されている。ホッピングローラ5は、図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され回転することにより、用紙Pを1枚ずつ分離させて搬送路Wへ繰り出す。用紙Pの搬送方向におけるホッピングローラ5の下流側には、ピンチローラ6及び7と、搬送ローラ8と、レジストローラ9とが配設されている。搬送ローラ8は、ピンチローラ6との間で用紙Pを挟持して図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され回転することにより、用紙Pを搬送する。レジストローラ9は、ピンチローラ7との間で用紙Pを挟持して図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され回転することにより、用紙Pの斜行を修正しつつ、画像形成ユニット10Kに向けて搬送する。
【0016】
ピンチローラ7及びレジストローラ9の後側には、搬送路Wの上側に、4個の画像形成ユニット10K、10C、10M及び10Yが前側から後側へ向かって順に配置されている。画像形成ユニット10K、10C、10M及び10Yは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。以下では、画像形成ユニット10K、10C、10M及び10Yをまとめて画像形成ユニット10とも呼ぶ。
【0017】
図2に示すように、画像形成ユニット10は、現像装置11、トナーカートリッジ12及びプリントヘッド13により構成されている。現像装置11の内部には、現像ローラ35等の複数のローラや感光体ドラム37等が組み込まれている。各ローラや感光体ドラム37は、何れも中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、現像装置11により回転可能に支持されている。感光体ドラム37は、下端近傍を搬送路Wに当接させている。また一部のローラは、導電性を有する材料により構成されており、所定の高電圧が印加される(詳細は後述する)。
【0018】
トナーカートリッジ12は、トナーを収容しており、現像装置11の上側に取り付けられている。このトナーカートリッジ12は、収容しているトナーを現像装置11へ供給する。このトナーは、負帯電性のトナーであり、例えば、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤及び離型剤で構成され、外添剤(疎水シリカ)が添加されており、粉砕法により得られた粉砕形状の平均粒径7[μm]の現像剤が利用されている。以下では、トナーカートリッジ12が新品に交換される際に現像装置11内に残存しているトナーを残トナーとも呼び、新品のトナーカートリッジ12から現像装置11に供給されるトナーを新規供給トナーとも呼ぶ。
【0019】
また筐体2(
図1)内には、各画像形成ユニット10K、10C、10M及び10Yとそれぞれ対応するように、プリントヘッド13K、13C、13M及び13Y(以下、これらをまとめてプリントヘッド13とも呼ぶ)が設けられている。プリントヘッド13は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子が左右方向に沿って複数配置されており、制御部15から供給されるビットマップデータに基づいて適宜発光する。
【0020】
画像形成ユニット10は、印刷処理を行う場合、現像装置11の各ローラや感光体ドラム37等を適宜回転させ、また各ローラ等に所定の高電圧を印加しながら、プリントヘッド13を適宜発光させる。これにより画像形成ユニット10は、トナーカートリッジ12から供給されるトナーを用いながら、感光体ドラム37の周側面にトナー画像を形成する。このとき感光体ドラム37は、回転することにより、形成されたトナー画像を下端近傍、すなわち搬送路Wの近傍に移動させる。
【0021】
一方、搬送路Wの下側、すなわち4個の画像形成ユニット10の下側となる位置には、転写搬送部20が配置されている。転写搬送部20は、前搬送ローラ21、後搬送ローラ22、転写ベルト23並びに4個の転写ローラ24(24K、24C、24M及び24Y)により構成されている。以下では、転写ローラ24K、24C、24M及び24Yをまとめて転写ローラ24とも呼ぶ。
【0022】
前搬送ローラ21及び後搬送ローラ22は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状でなり、上端近傍を搬送路Wに極めて近接させる位置に配置されている。転写ベルト23は、可撓性を有する材料により構成された無端ベルトであり、前搬送ローラ21及び後搬送ローラ22の周囲を周回するように張架されている。このため転写ベルト23は、前搬送ローラ21及び後搬送ローラ22の間に張架された上側の部分において、搬送路Wに沿って走行しており、また各画像形成ユニット10における感光体ドラム37の下端近傍に当接している。
【0023】
転写ローラ24(24K、24C、24M及び24Y)は、前搬送ローラ21と後搬送ローラ22との間において、画像形成ユニット10(10K、10C、10M及び10Y)の真下となる箇所にそれぞれ配置されている。また各転写ローラ24は、上方向に付勢されており、上端近傍を転写ベルト23に当接させている。これを換言すれば、各転写ローラ24は、搬送路W上において、各画像形成ユニット10における感光体ドラム37との間に転写ベルト23をそれぞれ挟持している。また転写ローラ24は、感光体ドラム37上に付着されたトナーによるトナー画像を用紙Pに転写する転写時において感光体ドラム37の表面電位と転写ローラ24の表面電位とに電位差を持たせるための転写電圧が印加されている。
【0024】
転写搬送部20は、図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され前搬送ローラ21、後搬送ローラ22及び各転写ローラ24を適宜回転させることにより、転写ベルト23を前搬送ローラ21及び後搬送ローラ22の周囲で周回させ、搬送路Wにおいて後方向(以下これを搬送方向とも呼ぶ)へ走行させる。このとき転写搬送部20は、前側のピンチローラ7及びレジストローラ9により用紙Pが供給されていれば、これを各画像形成ユニット10の感光体ドラム37と各転写ローラ24との間で転写ベルト23と共に挟持し、搬送路Wに沿って後方向へ搬送する。さらに画像形成ユニット10は、トナー画像を形成していれば、該トナー画像を感光体ドラム37の外周面から用紙Pの上面(すなわち印刷面)に転写させる。
【0025】
画像形成装置1では、搬送路Wに沿って用紙Pを後方向へ進行させており、該用紙Pに対し、画像形成ユニット10K、10C、10M及び10Yから各色のトナー画像(すなわちブラックトナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像及びイエロートナー画像)が順次転写される。以下では、ブラックトナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像及びイエロートナー画像をまとめてカラートナー画像とも呼ぶ。
【0026】
画像形成ユニット10及び転写搬送部20の後側には、定着器25が配置されている。定着器25は、制御部15の制御に基づき、搬送路Wを挟んで対向するように配置されたヒートローラ31及び定着ベルト32を加熱すると共に、図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され、ヒートローラ31及び定着ベルト32をそれぞれ所定方向へ回転させる。これにより定着器25は、転写搬送部20から受け取った用紙P、すなわち各色のトナー画像が重ねて転写された用紙Pに対して熱及び圧力を加えてトナーを定着させ、さらに後方へ引き渡す。
【0027】
定着器25の後方及び上方には、ピンチローラ26及び27と、排出ローラ28及び29とが配設されている。排出ローラ28は、ピンチローラ26との間で用紙Pを挟持して図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され回転することにより、定着器25から引き渡される用紙Pを後上方へ搬送する。排出ローラ29は、ピンチローラ27との間で用紙Pを挟持して図示しない駆動源からギヤ等を経由して動力が伝達され回転することにより、筐体2の上側に設けられたスタッカ部30に用紙Pを排出する。
【0028】
このように画像形成装置1では、画像形成ユニット10においてトナーを用いたトナー画像を形成して転写搬送部20において該トナー画像を転写ベルト23により搬送される用紙Pに転写し、さらに定着器25において定着させることにより、該用紙Pに画像を印刷する(すなわち画像を形成する)。
【0029】
さらに筐体2内には、温湿度センサ14が配設されている。温湿度センサ14は、筐体2内の温度及び湿度を測定し、測定結果を制御部15へ送出する。またさらに筐体2内には、濃度センサ17が配設されている。濃度センサ17は、転写ベルト23上に作成される濃度測定用のパターンを検出し、検出結果を制御部15へ送出する。制御部15は、濃度センサ17から取得した検出結果に基づき、濃度補正等の画像品位保持動作を行う。
【0030】
[1-2.画像形成ユニットの構成]
次に、画像形成ユニット10の構成について説明する。上述したように、画像形成ユニット10(
図2)は、現像装置11、トナーカートリッジ12及びプリントヘッド13により構成されている。現像装置11は、筐体の内部に、トナーを収容するトナー収容空間39が設けられると共に、その下方に、帯電ローラ33、供給ローラ34、現像ローラ35、現像ブレード36、感光体ドラム37及びクリーニングブレード38が配置されている。
【0031】
トナー収容空間39は、現像装置11の上側にトナーカートリッジ12が装着されると、該トナーカートリッジ12から供給される未使用のトナー(新規供給トナー)を内部に収容する。トナー収容空間39には、トナーセンサ40が設けられている。トナーセンサ40は、トナー収容空間39に収容されているトナーの上面の位置に応じた検知結果を取得し、この検知結果を制御部15(
図1)へ送出する。制御部15は、トナーセンサ40から取得した検知結果に基づき、トナー収容空間39に収容されているトナーの量が所定量であるロー所定値以下となったトナーロー状態が発生したか否かを判定する。
【0032】
帯電ローラ33は、矢印で示される方向に回転し、負の高電圧である帯電電圧が印加されることにより、感光体ドラム37を帯電させる。供給ローラ34は、矢印で示される方向に回転し、負の高電圧である供給電圧が印加されることにより、現像ローラ35にトナーを供給する。現像ブレード36は、現像ローラ35上に供給されたトナーを薄層に形成する。現像ローラ35は、感光体ドラム37に対向させて配設され、矢印で示される方向に回転し、負の高電圧である現像電圧が印加されることにより、感光体ドラム37の表面に形成された静電潜像に、現像ローラ35が担持するトナーを現像させる。感光体ドラム37は、静電潜像を表面(表層部分)に担持する部材であり、矢印で示される方向に回転することにより、感光体ドラム37の表面に現像されたトナー画像を用紙Pに転写する。クリーニングブレード38は、感光体ドラム37上の転写残トナーを掻き落として回収する。
【0033】
かかる構成において、制御部15(
図1)から印刷指示が行われると、感光体ドラム37、現像ローラ35、供給ローラ34、帯電ローラ33及び転写ローラ24がそれぞれ回転する。これと共にヒートローラ31(
図1)が回転し、定着ベルト32は、ヒートローラ31の回転に伴い連れ回りで回転する。それぞれのローラ及びドラムの回転方向は、
図2に矢印で示す通りである。
【0034】
帯電ローラ33に印加された帯電電圧とその回転とにより感光体ドラム37の表層は一様に帯電される。感光体ドラム37の帯電された部分がプリントヘッド13の下方に到達すると、プリントヘッド13は制御部15から送られた印刷すべき画像に従って発光を行い、感光体ドラム37上に静電潜像を形成する。感光体ドラム37上の静電潜像が形成された部分が現像ローラ35に到達すると、感光体ドラム37上の静電潜像と現像ローラ35との電位差により、現像ブレード36によって薄層化された現像ローラ35上にあるトナーが感光体ドラム37に移動する。
【0035】
用紙P上に転写されたトナーは、温められたヒートローラ31からの熱と、ヒートローラ31と定着ベルト32との間の圧力により、用紙P上に定着される。一方、転写されずに感光体ドラム37上に残った一部のトナーはクリーニングブレード38で掻き取られ、印刷終了後、図示しない廃トナーチューブを経て廃トナーボックスに回収される。
【0036】
[1-3.画像形成装置の制御構成]
図3に示すように、画像形成装置1は、制御部15、インタフェイス制御部53、操作表示部54、メモリ55、各種センサ63、プロセス制御部64、現像電圧制御部65、供給電圧制御部66、層形成電圧制御部67、帯電電圧制御部68、露光制御部69、モータ制御部70及び転写電圧制御部71を有している。
【0037】
制御部15は、マイクロプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、メモリ55から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入出力ポートに接続された各部を制御し、上位装置16から印刷データ及び制御命令を受信して画像形成装置1の全体を制御し、印刷動作を行う。この制御部15は、印刷制御部50及びトナー使用量制御部51を有している。印刷制御部50は、インタフェイス制御部53を介して受信した印刷データ及び制御命令に基づいて画像形成装置1の印刷動作を制御する。トナー使用量制御部51は、トナーロー状態の発生からトナーエンプティ状態と判定するまでに使用可能なトナー量(すなわちドットカウントDot)である使用可能トナー量を示す使用可能ドットカウントを決定する。
【0038】
インタフェイス制御部53は、上位装置16へ画像形成装置1に関する情報を送信すると共に、上位装置16から印刷データ及び制御命令を含む印刷ジョブを受信する。操作表示部54は、操作者の入力操作を受け付ける操作ボタン等の入力部とディスプレイ等の表示部とにより構成された操作パネル等である。
【0039】
メモリ55はROM(Read Only Memory)56及びRAM(Random Access Memory)57からなる記憶部である。このメモリ55は、
図5に示すトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1を記憶している。またメモリ55は、現像装置11のドラムカウントDrを記憶する。ドラムカウントDrとは、感光体ドラム37の回転数(印刷距離)の測定値であり、感光体ドラム37の使用数を表す値である。さらにメモリ55は、ドットカウントDotを記憶する。ドットカウントDotとは、トナー量がプリントヘッド13による露光単位であるドット単位の値に換算されたものである。
【0040】
ROM56は、画像形成装置1全体の動作の制御及び処理を行うための制御プログラム(ソフトウェア)や制御データ等を記憶する。またROM56は、装置内温度記録部58A、装置内湿度記録部59A、転写ベルト温度記録部60A及び日時記録部61Aを有している。装置内温度記録部58Aは、温湿度センサ14(
図1)から制御部15が取得した画像形成装置1内部の温度を示す装置内温度Tを記憶する。装置内湿度記録部59Aは、温湿度センサ14(
図1)から制御部15が取得した画像形成装置1内部の湿度を示す装置内湿度Hを記憶する。以下では、装置内温度Tと装置内湿度Hとをまとめて装置内温湿度とも呼ぶ。転写ベルト温度記録部60Aは、筐体2内に設けられた、転写ベルト23の表面の温度を測定する転写ベルト温度計(図示せず)から制御部15が取得した、転写ベルト23の温度を示す転写ベルト温度を記憶する。日時記録部61Aは、上述した装置内温湿度及び転写ベルト温度が測定された日時である測定日時を記憶する。さらにROM56は、例えば画像形成装置1の電源が遮断される際に、RAM57における装置内温度記録部58B、装置内湿度記録部59B、転写ベルト温度記録部60B及び日時記録部61Bのそれぞれ装置内温度T、装置内湿度H、転写ベルト温度及び測定日時を記憶する。
【0041】
RAM57は、例えば書き換え可能なフラッシュROM等であり、制御プログラムの実行に伴って生成される各種情報を一時的に記憶する。またRAM57は、装置内温度記録部58B、装置内湿度記録部59B、転写ベルト温度記録部60B及び日時記録部61Bを有している。装置内温度記録部58B、装置内湿度記録部59B、転写ベルト温度記録部60B及び日時記録部61Bは、それぞれ、上述した装置内温度T、装置内湿度H、転写ベルト温度及び測定日時を一時的に記憶する。
【0042】
各種センサ63は、温湿度センサ14及びトナーセンサ40や、用紙Pを検出する複数のセンサである。
【0043】
プロセス制御部64は、印刷制御部50からの指示に基づいて各ローラへ印加する電圧の制御を行う。現像電圧制御部65は、現像装置11内の現像ローラ35に印加する電圧である現像電圧を制御する。供給電圧制御部66は、現像装置11内の供給ローラ34に印加する電圧である供給電圧を制御する。層形成電圧制御部67は、現像装置11内の現像ブレード36に印加する電圧を制御する。帯電電圧制御部68は、帯電ローラ33に印加する電圧である帯電電圧を制御する。露光制御部69は、印刷データに応じてプリントヘッド13の各LEDの露光を制御する。モータ制御部70は、感光体ドラムモータ(図示せず)を制御し、感光体ドラム37を回転駆動する。感光体ドラム37は、一方の端部において現像ローラ35及び供給ローラ34(
図1)とギヤが噛み合っており、回転駆動力を伝達させることにより、現像ローラ35及び供給ローラ34を回転させる。転写電圧制御部71は、各転写ローラ24に印加する電圧である転写電圧を制御する。
【0044】
上述したインタフェイス制御部53、操作表示部54、メモリ55、各種センサ63及び濃度センサ17は、印刷制御部50と接続されており、印刷制御部50と信号の入出力を行う。また、プロセス制御部64、現像電圧制御部65、供給電圧制御部66、層形成電圧制御部67、帯電電圧制御部68、転写電圧制御部71及びモータ制御部70は、印刷制御部50と接続されており、印刷制御部50からの出力信号を受けて動作する。
【0045】
[1-4.汚れかぶり対策印刷制御]
次に、第1の実施の形態による、トナーカートリッジ12交換後における残トナーと新規供給トナーとの帯電特性差抑制による汚れかぶり対策印刷制御について説明する。この汚れかぶり対策印刷制御は、使用可能ドットカウント決定工程と画像形成工程とからなる。使用可能ドットカウント決定工程において制御部15は、トナーロー状態が発生した場合、使用可能ドットカウントを決定する。画像形成工程において制御部15は、トナーロー状態の発生後に使用可能ドットカウント分だけ印刷を行う。
【0046】
制御部15は、トナーセンサ40からの検出結果に基づき、現像装置11のトナーの残量を検知し、トナーロー状態が発生しているか否かを印刷制御部50により判定する。トナーロー状態が発生していない場合、制御部15は、印刷制御部50により印刷動作を行う。このとき印刷制御部50は、モータ制御部70、露光制御部69、現像電圧制御部65、供給電圧制御部66、層形成電圧制御部67、帯電電圧制御部68及び転写電圧制御部71を制御する。モータ制御部70は、印刷制御部50から指示を受けると、感光体ドラムモータを制御し、感光体ドラム37を回転駆動する。露光制御部69は、印刷制御部50から指示を受けると、プリントヘッド13の発光を制御する。現像電圧制御部65、供給電圧制御部66、層形成電圧制御部67、帯電電圧制御部68及び転写電圧制御部71は、印刷制御部50から指示を受けると、それぞれ現像ローラ35、供給ローラ34、現像ブレード36、帯電ローラ33及び転写ローラ24へ印加する電圧を制御する。
【0047】
一方、トナーロー状態が発生した場合、制御部15は、使用可能ドットカウント決定工程において、温湿度センサ14からの検出結果に基づき、トナー使用量制御部51により使用可能ドットカウントを決定する。
【0048】
このときトナー使用量制御部51は、
図5に示すトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1における16個のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1から1つを選択し、使用可能ドットカウントを示すトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E(後述する)として決定する。トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1に示すように、トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1は、30[℃]<装置内温度Tである場合と、20[℃]<装置内温度T≦30[℃]かつ20[%]<装置内湿度Hである場合、基準値である基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_st(120000ドットカウント)に設定されている。また、同一の装置内湿度Hの場合、基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに到達するまで、装置内温度Tが高くなるほどトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1は高くなる。さらに、同一の装置内温度Tの場合、基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに到達するまで、装置内湿度Hが高くなるほどトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1は高くなる。
【0049】
ここで、画像形成装置1においては、装置内温度Tが低くなるほど、トナーカートリッジ12交換時の残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しやすい環境となる。また、画像形成装置1においては、装置内湿度Hが低くなるほど、トナーカートリッジ12交換時の残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しやすい環境となる。
【0050】
続いて制御部15は、画像形成工程において印刷制御部50により印刷動作を行う。このときトナー使用量制御部51は、印刷動作に要した分のドットカウントDotを増加させる。印刷制御部50は、トナーロー状態発生時からのドットカウントDotであるトナーロー発生後使用ドットカウントが使用可能ドットカウントに到達するまでは、印刷動作を実行する。一方、トナーロー発生後使用ドットカウントが使用可能ドットカウントに到達すると、印刷制御部50は、印刷動作を中止し、トナーカートリッジ12を新品に交換するようユーザに促す。
【0051】
[1-5.印刷処理]
次に、画像形成装置1による印刷処理の具体的な処理手順について、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。制御部15は、印刷処理手順RT1を開始しステップSP1に移る。印刷処理手順RT1の開始時において、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eは、基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに予め設定されている。ステップSP1において制御部15は、装置内温湿度(装置内温度T及び装置内湿度H)、ドラムカウントDr並びにドットカウントDotを印刷制御部50により取得し、ステップSP2へ移る。ステップSP2において制御部15は、インタフェイス制御部53を介し印刷制御部50により印刷ジョブを受信し、ステップSP3に移る。
【0052】
ステップSP3において制御部15は、トナーロー状態が発生しているか否かを印刷制御部50により判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、現在トナーロー状態であることを表し、このとき制御部15は、ステップSP4に移る。一方、ステップSP3において否定結果が得られると、このことは、現在トナーロー状態ではないため通常の印刷動作を継続することを表し、このとき制御部15は、ステップSP4乃至SP10をスキップしてステップSP11に移り、今回の印刷ジョブの印刷動作を印刷制御部50により実行する。
【0053】
ステップSP4において制御部15は、ステップSP1において取得したドットカウントDotを、トナーロー状態が発生した際のドットカウントDotであるトナーロー発生時ドットカウントDot_Lとしてトナー使用量制御部51により設定し、ステップSP5に移る。ステップSP5において制御部15は、装置内温度T及び装置内湿度Hに基づき、トナーエンプティ状態と判定するドットカウントDotであるトナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eを、
図5に示すトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1からトナー使用量制御部51により選択して設定し、ステップSP6に移る。
【0054】
ステップSP6において制御部15は、ドットカウントDotからトナーロー発生時ドットカウントDot_Lをトナー使用量制御部51により減算(すなわちドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_L)することにより、トナーロー発生後使用ドットカウントを算出し、ステップSP7に移る。
【0055】
ステップSP7において制御部15は、ドットカウントDotからトナーロー発生時ドットカウントDot_Lを減算した値(トナーロー発生後使用ドットカウント)がトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E以上である(すなわちトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E≦ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_L)か否かをトナー使用量制御部51により判定する。
【0056】
ここで否定結果が得られると、このことは、現在はトナーエンプティ状態と判定される状態ではなく現像装置11内にトナーが十分残っているためトナーカートリッジ12の交換を行う必要はなく、トナー残量が少ないときに発生しやすいかすれが発生しないため、通常の印刷動作を継続することを表し、このとき制御部15は、ステップSP8乃至SP10をスキップしてステップSP11に移り、今回の印刷ジョブの印刷動作を印刷制御部50により実行する。なお実際には、トナーロー状態が発生したと判定した直後において印刷ジョブの印刷動作を実行するまでは、ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_Lは0となるため、ステップSP7において制御部15は否定結果を得て、ステップSP11に移る。ステップSP11において制御部15は、今回の印刷ジョブの印刷を印刷制御部50により実行し、ステップSP12に移る。
【0057】
ステップSP12において制御部15は、印刷実行後のドラムカウントDrが、感光体ドラム37の寿命を示すドラムカウントDrであるドラムカウント寿命Dr_end以上となった(すなわちドラムカウント寿命Dr_end≦ドラムカウントDr)か否かを印刷制御部50により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、感光体ドラム37(すなわち現像装置11)は未だ寿命に到達していないため、引き続き上述した処理を行うことを表し、このとき制御部15は、ステップSP1に戻る。
【0058】
この後も印刷が繰り返されることによりドットカウントDotが増加し、トナーロー発生後使用ドットカウントがトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E以上となると、制御部15は、ステップSP7において肯定結果を得て、ステップSP8に移る。すなわち、ステップSP7において肯定結果が得られると、このことは、トナーエンプティ状態と判定するドットカウントDotに到達した(すなわちトナーロー発生後使用ドットカウントが使用可能ドットカウントに到達した)ため現像装置11内にトナーが十分残っておらずトナーカートリッジ12の交換を行う必要があり、トナー残量が少ないときに発生しやすいかすれが発生し画像品位が低下するおそれがあるため、トナーカートリッジ12が交換される必要があることを表し、このとき制御部15は、ステップSP8に移る。
【0059】
ステップSP8において制御部15は、印刷制御部50により印刷を中止し、ステップSP9に移る。ステップSP9において制御部15は、トナーエンプティ状態となったため、トナーカートリッジ12の交換を促すメッセージであるトナーカートリッジ交換誘導メッセージを印刷制御部50により操作表示部54に表示し、ステップSP10に移る。
【0060】
ステップSP10において制御部15は、新たなトナーカートリッジ12に交換されるまで、トナーカートリッジ交換誘導メッセージを操作表示部54に表示した状態のまま待ち受け、新たなトナーカートリッジ12に交換されると、ステップSP11に移る。ステップSP11において制御部15は、今回の印刷ジョブの印刷を印刷制御部50により実行し、ステップSP12に移る。
【0061】
ステップSP12において否定結果が得られると、このことは、感光体ドラム37(すなわち現像装置11)は未だ寿命に到達していないため、引き続き上述した処理を行うことを表し、このとき制御部15は、ステップSP1に戻る。このように、トナーカートリッジ12の交換が行われると現像装置11が寿命を迎えない限りは印刷可能であるため、制御部15は、次の印刷ジョブを受ける待機状態に戻る。
【0062】
一方、ステップSP12において肯定結果が得られると、このことは、感光体ドラム37(すなわち現像装置11)が寿命に到達したため、トナーカートリッジ12内部のトナーを使用し切るまでは印刷を行うことを表し、このとき制御部15は、ステップSP13に移る。ステップSP13において制御部15は、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eを基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_st(120000ドットカウント)にトナー使用量制御部51により戻し、トナーカートリッジ12内のトナーがなくなるまでは印刷を実行し、ステップSP14に移り、印刷処理手順RT1を終了する。
【0063】
このように、現像装置11が寿命を迎えた場合であっても、画像形成装置1は、トナーカートリッジ12内のトナーを使い切るまでは、印刷可能とし、印刷を続行するようにした。このため画像形成装置1は、トナーカートリッジ12内にトナーが残った状態にかかわらずに現像装置11が寿命を迎えてしまったために印刷が行えなくなることを防止し、ユーザの利益を保つことができる。但し、現像装置11が寿命を迎えているために、その後のトナーカートリッジ12の交換は行われないため、画像形成装置1は、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eを基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに戻すことにより、トナーロー状態になってからトナーエンプティ状態と判定するまでの使用可能トナー量を、かすれが発生しないぎりぎりの残トナー量まで印刷できるように、デフォルトの値(すなわち基準値)に戻すようにした。
【0064】
[1-6.画像形成装置の機能構成]
次に、画像形成装置1の機能構成について説明する。画像形成装置1の制御部15(
図3)は、メモリ55に予め記憶された印刷処理プログラムを読み出して実行することにより、
図6に示すような各機能ブロックを形成する。
【0065】
画像形成ユニット10は、現像剤像としてのトナー画像を形成する。検出部74は、印刷制御部50及びトナーセンサ40と対応しており、画像形成ユニット10の現像剤量としてのトナー量を検出する、計測部75は、印刷制御部50及び温湿度センサ14と対応しており、画像形成ユニット10の周囲の湿度又は温度の少なくとも何れか一方を計測する。判定部76は、トナー使用量制御部51と対応しており、トナー量が所定値以下となりトナーエンプティ状態が発生したか否かを判定する。
【0066】
ロー判定部77は、印刷制御部50及びトナーセンサ40と対応しており、トナー量が所定のロー所定値以下となりトナーロー状態が発生したか否か判定する。現像剤使用可能量設定部78は、トナー使用量制御部51と対応しており、トナー量がロー所定値以下であるとロー判定部77が判定してからトナー量が所定値以下であると判定部76が判定するまで(すなわちトナーロー状態が発生してからトナーエンプティ状態が発生するまで)のトナーの使用可能量であるトナー使用可能量を、計測部75が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の温度又は所定の湿度よりも高い場合よりも、計測部75が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度以下である場合の方が、少なく設定する。
【0067】
[1-7.汚れかぶり対策印刷制御の評価]
次に、汚れかぶり対策印刷制御の評価について説明する。この汚れかぶり対策印刷制御の評価に関しては、以下に示す比較例1-1、比較例1-2、比較例1-3、比較例1-4、実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3、実施例1-4、実施例1-5、実施例1-6、実施例1-7、実施例1-8、実施例1-9及び実施例1-10の条件で、上述した構成の画像形成装置1(
図1)により印刷を行ってその印刷物を採取し、採取した印刷物に対して汚れ及びかぶりについてそれぞれ評価を行い、それぞれの評価結果を総合的に判定した。
【0068】
本評価では、画像形成装置1において上述した印刷処理手順RT1を実施し、トナーを消費させトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後に印刷画像密度を50[%]とした印刷と白紙の印刷とを実施し、その印刷物における汚れを目視で確認し、かぶりを色差で確認することにより、トナーの帯電差による印刷品質の不具合が発生しているか否かを判定した。
【0069】
[1-7-1.印刷物採取方法]
・比較例1-1……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例1-2……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例1-3……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例1-4……トナーロー状態から20<T[℃]≦30及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-1……トナーロー状態からT[℃]≦10及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り90000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-2……トナーロー状態からT[℃]≦10及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-3……トナーロー状態からT[℃]≦10及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-4……トナーロー状態からT[℃]≦10及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-5……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-6……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-7……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-8……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り114000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-9……トナーロー状態から20<T[℃]≦30及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stからトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例1-10……トナーロー状態から20<T[℃]≦30及び20<H[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
【0070】
[1-7-2.汚れの評価]
本評価では、紙面内の汚れを評価した。本評価では、
図7(A)に示すように、白紙のA4用紙P全域に印刷画像密度を50[%]とした印刷パターンPTを形成して得られた印刷物を目視で観察し、汚れ80の発生有無を判定した。ここで印刷画像密度とは、画像を画素単位で分解した場合に、全画素数のうち用紙Pにトナーを転写する画素数の割合を表す値である。
【0071】
ここで、低温低湿下では、トナーが劣化すると現像ローラ35上のトナー帯電が上昇しやすくなり、電位やトナー付着量が上がりやすくなる。そのような残トナーに帯電の低い新規供給トナーが混ざると現像ローラ35上のトナー層厚を均一化することが困難となり、本来現像されないトナーまでもが現像され汚れが発生すると考えられる。
【0072】
本評価では、印刷物に汚れを目視で認識できず汚れが未発生である場合に、汚れが良好であると判定し
図8において「○」を記載し、印刷物において目を凝らすと印刷のある部分が濃く見え濃度が一部濃くなっている場合に、汚れが許容範囲であると判定し
図8において「△」を記載し、印刷物に汚れを目視で認識でき汚れが発生した場合に、汚れが不良であると判定し
図8において「×」を記載した。
【0073】
[1-7-3.かぶりの評価]
本評価では、紙面内のかぶりを評価した。本評価では、
図7(B)に示すように、白紙のA4用紙P(エクセレントペーパー・PPR-DA4TDB_55kg紙:沖電気工業株式会社製)全域に印刷を行わずに、該用紙Pを横送りで1枚白紙で印刷し、分光濃度計(X-Rite 528:エックスライト社製)により、D50光源、角度は2[°]、ステータスIの設定で、かぶりが発生していない白紙部82の色彩値をL1、a1及びb1と、かぶりが発生したかぶり発生部84の色彩値をL2、a2及びb2として測定した。また本評価では、印刷済の用紙Pと、未印刷の同一の用紙Pとの色差ΔEを以下の(1)式に従って算出した。
【0074】
【0075】
さらに本評価では、色差ΔE≦0.50でありかぶりが目視で認識できない程度である場合に、色差ΔEが良好であると判定し
図8において「○」を記載し、0.50<色差ΔE≦1.00であり目を凝らすとかぶりが見えるが、気にならない程度である場合に、色差ΔEが許容範囲であると判定し
図8において「△」を記載し、色差ΔE<1.00でありかぶりが目視で認識できる場合に、色差ΔEが不良であると判定し
図8において「×」を記載した。
【0076】
[1-7-4.総合判定]
図8に示すように、汚れ及び色差の評価が両方とも「○」の場合は、総合判定に効果ありとして「◎」を記載し、汚れ及び色差の評価の何れか一方でも「×」の場合は、総合判定に効果なしとして「×」を記載し、汚れ及び色差の評価の一方が「△」で他方が「○」の場合は、目視では効果ありとして、総合判定に「○」を記載した。
【0077】
[1-8.効果等]
以上の構成において画像形成装置1は、画像形成装置1が置かれている環境を示す装置内温湿度(装置内温度T及び装置内湿度H)に応じて、トナーロー状態が発生してからトナーエンプティ状態と判定するまでの使用可能トナー量を適正な値に変更するようにした。具体的に画像形成装置1は、トナーロー状態発生時において低湿度環境のときは、高湿度環境のときよりも現像装置11内のトナー残量が多い状態でトナーエンプティ状態と判定するようにした。このため画像形成ユニット10は、トナーエンプティ状態において、低湿度環境のときは高湿度環境のときよりも、現像装置11内のトナー残量が多い状態となる。
【0078】
また画像形成装置1は、トナーロー状態発生時において低温度環境のときは、高温度環境のときよりも現像装置11内のトナー残量が多い状態でトナーエンプティ状態と判定するようにした。このため画像形成ユニット10は、トナーエンプティ状態において、低温度環境のときは高温度環境のときよりも、現像装置11内のトナー残量が多い状態となる。
【0079】
このため画像形成装置1は、トナーロー状態が発生してからトナーエンプティ状態と判定するまでの使用可能トナー量が装置内温湿度(装置内温度T及び装置内湿度H)に関わらず一定である場合と比較して、トナーエンプティ状態においてトナーカートリッジ12が交換される際に現像装置11内に残存している残トナーと新たなトナーカートリッジ12から供給される新規供給トナーとの帯電差を小さくすることができる。これにより画像形成装置1は、残トナーと新規供給トナーとの帯電差による汚れやかぶりの発生を抑え、印刷品質を向上できる。
【0080】
これに対し、画像形成装置1は、トナーカートリッジ12交換前後において、現像電圧を適宜変更して現像ローラ35上のトナー層を一定の層厚に制御することにより、残トナーと新規供給トナーとの帯電差によって発生する汚れやかぶりの発生を抑えることも考えられる。しかしながらその場合、画像形成装置1は、現像電圧を適宜変更する複雑な処理を行う必要がある。
【0081】
また、画像形成装置1は、トナーカートリッジ12交換後における印刷前において供給ローラ34、現像ローラ35、現像ブレード36及び帯電ローラ33を回転させ現像装置11内の残トナーを撹拌して帯電を安定化させる空回し制御を行うことにより、残トナーと新規供給トナーとの帯電差によって発生する汚れやかぶりの発生を抑えることも考えられる。しかしながらその場合、画像形成装置1は、空回し制御を行う時間を要するためプリントファースト速度が低下してしまうと共に、供給ローラ34、現像ローラ35、現像ブレード36及び帯電ローラ33を空回し制御のために回転させるため現像装置11の各ローラが摩耗し寿命に近付いてしまう。
【0082】
これに対し画像形成装置1は、現像電圧を適宜変更する複雑な処理を行う必要をなくすことができると共に、空回し制御を行う必要をなくすことによりプリントファースト速度を向上させると共に現像装置11の各ローラの摩耗量を減少させ長寿命化させることができる上で、残トナーと新規供給トナーとの帯電差による汚れやかぶりの発生を抑えることができる。
【0083】
図9(A)に、トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)の全てのトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stとした、比較例の画像形成装置の場合の測定結果を示す。この測定時における装置内温度Tは9~12[℃]、装置内湿度Hは10~14[%]である。また
図9(A)は、ドラムカウントDrがドラムカウント寿命Dr_endに対し50[%]の状態、すなわち、現像装置寿命に対する現像装置11の使用率が50[%]の状態である。以下では、現像装置寿命に対する現像装置11の使用率を、現像装置使用率とも呼ぶ。
図9(A)の左側のグラフGr150teは、トナーエンプティ状態発生時における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。さらに
図9(A)の右側のグラフGr150tcは、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。グラフGr150tcはグラフGr150teと比較して、現像ローラ35上の電位が-10[V]程度上昇し、現像ローラ35上のトナー付着量が0.2[mg・cm
2]程度上昇している。
【0084】
一方、
図9(B)に、トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)におけるトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を
図5のように基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに対し適宜変更した、本実施の形態の画像形成装置1の場合の測定結果を示す。
図9(B)は、
図9(A)と同様に、現像装置使用率が50[%]の状態である。
図9(B)の左側のグラフGr50teは、グラフGr150teと同様に、トナーエンプティ状態発生時における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。また
図9(B)の右側のグラフGr50tcは、グラフGr150tcと同様に、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。グラフGr50tcはグラフGr50teと比較して、現像ローラ35上の電位が-5[V]程度上昇し、現像ローラ35上のトナー付着量が0.1[mg・cm
2]程度上昇している。
【0085】
図9に示したように、本実施の形態による画像形成装置1は、比較例と比較して、トナーエンプティ状態発生時に対する、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上のトナー付着量及び電位の上昇を抑制できている。
【0086】
このように画像形成装置1は、現像装置11内に残存するトナー量を画像形成装置1の温湿度環境に応じて最適化することにより、残トナーの帯電特性を新規供給トナーに近い状態に保つことができる。
【0087】
以上の構成によれば画像形成装置1は、トナー画像を形成する画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10のトナー量を検出する検出部74と、画像形成ユニット10の周囲の湿度又は温度の少なくとも何れか一方を計測する計測部75と、トナー量が所定値以下であるか否かを判定する判定部76とを設け、判定部76が、画像形成ユニット10の現像剤としてのトナーの残量が所定値以下であると判定するとき、計測部75が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度以下である場合のトナー量は、計測部75が計測した湿度又は温度の少なくとも何れか一方が所定の湿度又は所定の温度よりも高い場合のトナー量よりも多いようにした。
【0088】
これにより画像形成装置1は、残トナーの劣化が少ない時点でトナーカートリッジ12の交換を促すことができ、適切にトナーカートリッジ12が交換されるときは残トナーと新規供給トナーとの特性差を抑えることができる。
【0089】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.画像形成装置の構成]
図1及び
図3に示すように第2の実施の形態による画像形成装置101は、第1の実施の形態による画像形成装置1と比較して、制御部15に代わる制御部115を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0090】
[2-2.画像形成装置の制御構成]
図3に示すように第2の実施の形態による制御部115は、第1の実施の形態による制御部15と比較して、印刷制御部50に代わる印刷制御部150と、トナー使用量制御部51に代わるトナー使用量制御部151とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0091】
[2-3.汚れかぶり対策印刷制御]
次に、第2の実施の形態による、トナーカートリッジ12交換後における残トナーと新規供給トナーとの帯電特性差抑制による汚れかぶり対策印刷制御について説明する。この汚れかぶり対策印刷制御は、使用可能ドットカウント決定工程と画像形成工程とからなる。使用可能ドットカウント決定工程において制御部115は、トナーロー状態が発生した場合、現像装置使用率に応じて使用可能ドットカウントを決定する。画像形成工程において制御部115は、トナーロー状態の発生後に使用可能ドットカウント分だけ印刷を行う。
【0092】
制御部115は、トナーセンサ40からの検出結果に基づき、現像装置11のトナーの残量を検知し、トナーロー状態が発生しているか否かを印刷制御部150により判定する。トナーロー状態が発生していない場合、制御部115は、第1の実施の形態と同様に印刷制御部150により印刷動作を行う。
【0093】
一方、トナーロー状態が発生した場合、制御部115は、使用可能ドットカウント決定工程において、現像装置使用率と、温湿度センサ14からの検出結果とに基づき、トナー使用量制御部151により使用可能ドットカウントを決定する。
【0094】
このときトナー使用量制御部151は、現像装置使用率が80[%]以上である場合、
図12に示す使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101における16個のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2から1つを選択し、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eとして決定する。
【0095】
一方、このときトナー使用量制御部151は、現像装置使用率が90[%]以上である場合、
図13に示す使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102における16個のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3から1つを選択し、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eとして決定する。
【0096】
使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102と使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101とを比較すると、装置内温湿度(装置内温度T及び装置内湿度H)の条件が同一の場合、多くの装置内温湿度において、トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3の方がトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2よりも値が小さくなっている。
【0097】
ここで、画像形成装置101においては、画像形成装置1と同様に、装置内温度T又は装置内湿度Hが低くなるほど、トナーカートリッジ12交換による残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しやすい環境となる。これに加えて、画像形成装置101においては、現像装置使用率が高くなり現像装置11が寿命に近付くと、現像装置11内の各ローラの摩耗が進み、汚れやかぶりの発生頻度が上がりやすくなる。
【0098】
続いて制御部115は、画像形成工程において印刷制御部150により印刷動作を行う。このときトナー使用量制御部151は、印刷動作に要した分のドットカウントDot及びドラムカウントDrを増加させる。印刷制御部150は、トナーロー発生後使用ドットカウントが使用可能ドットカウントに到達するまでは、印刷動作を実行する。一方、トナーロー発生後使用ドットカウントが使用可能ドットカウントに到達すると、印刷制御部150は、印刷動作を中止し、トナーカートリッジ12を新品に交換するようユーザに促す。
【0099】
[2-4.印刷処理]
次に、画像形成装置101による印刷処理の具体的な処理手順について、印刷処理手順RT1(
図4)と対応するステップに同一符号を付した
図10及び
図11に示す印刷処理手順RT101を用いて説明する。ステップSP1~ステップSP4において制御部115は、印刷処理手順RT1(
図4)と同様の処理を行い、ステップSP101に移る。
【0100】
ステップSP101において制御部115は、ドラムカウントDrをドラムカウント寿命Dr_endで除算した値が第1寿命判定値としての使用率9割時ドラムカウント閾値Drth90である90[%]以上である(すなわち、ドラムカウントDr/ドラムカウント寿命Dr_end≧使用率9割時ドラムカウント閾値Drth90)か否かを印刷制御部150により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、現在、現像装置使用率は90[%]未満であることを表し、このとき制御部115は、ステップSP105に移る。
【0101】
ステップSP105において制御部115は、ドラムカウントDrをドラムカウント寿命Dr_endで除算した値が第2寿命判定値としての使用率8割時ドラムカウント閾値Drth80である80[%]以上である(すなわち、ドラムカウントDr/ドラムカウント寿命Dr_end≧使用率8割時ドラムカウント閾値Drth80)か否かを印刷制御部150により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、現在、現像装置使用率は80[%]未満であり、現像装置11内の各ローラの摩耗が進んでいないため、トナーカートリッジ12交換による残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しにくい状態であるため、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eを基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとすることを表し、このとき制御部115は、ステップSP106乃至SP108とステップSP8乃至SP10(
図11)とをスキップしてステップSP11(
図11)に移り、今回の印刷ジョブの印刷動作を印刷制御部150により実行する。
【0102】
一方、印刷が繰り返され、現像装置使用率が80[%]以上となると、現像装置11内の各ローラの摩耗が進み、トナーカートリッジ12交換による残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しやすい状態であるため、制御部115は、ステップSP105において肯定結果を得て、ステップSP106(
図10)に移る。
【0103】
ステップSP106において制御部115は、装置内温度T及び装置内湿度Hに基づき、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eを、
図12に示す使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2からトナー使用量制御部151により選択して設定し、ステップSP107に移る。
【0104】
ステップSP107において制御部115は、ドットカウントDotからトナーロー発生時ドットカウントDot_Lをトナー使用量制御部151により減算(すなわちドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_L)することにより、トナーロー発生後使用ドットカウントを算出し、ステップSP108に移る。
【0105】
ステップSP108において制御部115は、ドットカウントDotからトナーロー発生時ドットカウントDot_Lを減算した値(トナーロー発生後使用ドットカウント)がトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E以上である(すなわちトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E≦ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_L)か否かをトナー使用量制御部151により判定する。
【0106】
ここで否定結果が得られると、このことは、現在は現像装置使用率が80[%]以上ではあるものの、トナーエンプティ状態と判定される状態ではなく現像装置11内にトナーが十分残っているためトナーカートリッジ12の交換を行う必要はなく、トナー残量が少ないときに発生しやすいかすれが発生しないため、通常の印刷動作を継続することを表し、このとき制御部115は、ステップSP8乃至SP10(
図11)をスキップしてステップSP11に移り、今回の印刷ジョブの印刷動作を印刷制御部150により実行する。
【0107】
一方、印刷が繰り返され、現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態で、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_E≦ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_Lとなると、トナーカートリッジ12交換による残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しやすい状態であるため、制御部115は、ステップSP108(
図10)において肯定結果を得て、ステップSP8(
図11)に移り、印刷処理手順RT1(
図4)と同様の処理を行う。
【0108】
一方、現像装置使用率が80[%]以上となってから印刷が繰り返され、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_E≦ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_Lとなる前に現像装置使用率が90[%]以上となると、現像装置使用率が80[%]以上であった場合よりも、現像装置11内の各ローラの摩耗がさらに進み、トナーカートリッジ12交換による残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合がさらに発生しやすい状態であるため、制御部115は、ステップSP101(
図10)において肯定結果を得て、ステップSP102に移る。
【0109】
ステップSP102において制御部115は、装置内温度T及び装置内湿度Hに基づき、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eを、
図13に示す使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3からトナー使用量制御部151により選択して設定し、ステップSP103に移る。
【0110】
ステップSP103において制御部115は、ドットカウントDotからトナーロー発生時ドットカウントDot_Lをトナー使用量制御部151により減算(すなわちドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_L)することにより、トナーロー発生後使用ドットカウントを算出し、ステップSP104に移る。
【0111】
ステップSP104において制御部115は、ドットカウントDotからトナーロー発生時ドットカウントDot_Lを減算した値(トナーロー発生後使用ドットカウント)がトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E以上である(すなわちトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E≦ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_L)か否かをトナー使用量制御部151により判定する。
【0112】
ここで否定結果が得られると、このことは、現在は現像装置使用率が90[%]以上であるものの、トナーエンプティ状態と判定される状態ではなく現像装置11内にトナーが十分残っているためトナーカートリッジ12の交換を行う必要はなく、トナー残量が少ないときに発生しやすいかすれが発生しないため、通常の印刷動作を継続することを表し、このとき制御部115は、ステップSP8乃至SP10(
図11)をスキップしてステップSP11(
図11)に移り、今回の印刷ジョブの印刷動作を印刷制御部150により実行する。
【0113】
一方、現像装置使用率が90[%]以上となってから印刷が繰り返され、トナーエンプティ決定ドットカウントDot_E≦ドットカウントDot-トナーロー発生時ドットカウントDot_Lとなると、トナーカートリッジ12交換による残トナーと新規供給トナーとの帯電差による印刷不具合が発生しやすい状態であるため、制御部115は、ステップSP104において肯定結果を得て、ステップSP8(
図11)に移り、印刷処理手順RT1(
図4)と同様の処理を行う。
【0114】
また一方、ステップSP12及びSP13(
図11)において制御部115は、印刷処理手順RT1(
図4)と同様の処理を行い、ステップSP15に移り、印刷処理手順RT101を終了する。
【0115】
[2-5.汚れかぶり対策印刷制御の評価]
次に、汚れかぶり対策印刷制御の評価について説明する。この汚れかぶり対策印刷制御の評価に関しては、以下に示す比較例2-1、比較例2-2、比較例2-3、比較例2-4、比較例2-5、比較例2-6、比較例2-7、実施例2-1、実施例2-2、実施例2-3、実施例2-4、実施例2-5、実施例2-6、実施例2-7、実施例2-8、実施例2-9、実施例2-10、実施例2-11、実施例2-12、実施例2-13、実施例2-14、実施例2-15、実施例2-16、実施例2-17、実施例2-18、実施例2-19、実施例2-20、実施例2-21、実施例2-22、実施例2-23、実施例2-24、実施例2-25、実施例2-26、実施例2-27、実施例2-28、実施例2-29及び実施例2-30の条件で、上述した構成の画像形成装置101(
図1)により印刷を行ってその印刷物を採取し、採取した印刷物に対して汚れ及びかぶりについてそれぞれ評価を行い、それぞれの評価結果を総合的に判定した。
【0116】
本評価では、画像形成装置101において上述した印刷処理手順RT101を実施し、第1の実施の形態と同様に、トナーを消費させトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後に印刷画像密度を50[%]とした印刷と白紙の印刷とを実施し、その印刷物における汚れを目視で確認し、かぶりを色差で確認することにより、トナーの帯電差による印刷品質の不具合が発生しているか否かを判定した。
【0117】
[2-5-1.印刷物採取方法]
・比較例2-1……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例2-2……トナーロー状態から10<T[℃]≦20及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例2-3……トナーロー状態から20<T[℃]≦30及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例2-4……トナーロー状態から20<T[℃]≦30及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例2-5……トナーロー状態から20<T[℃]≦30及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例2-6……トナーロー状態から30<T[℃]及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・比較例2-7……トナーロー状態から30<T[℃]及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2及びDot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-1……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り78000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-2……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り84000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-3……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-4……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-5……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り84000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-6……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り90000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-7……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-8……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-9……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から20<T[℃]≦30及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り90000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-10……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から20<T[℃]≦30及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-11……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から20<T[℃]≦30及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-12……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-13……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-14……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-15……現像装置使用率が90[%]以上の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-16……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り84000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-17……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-18……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-19……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態からT[℃]≦10及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-20……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り90000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-21……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-22……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-23……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から10<T[℃]≦20及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-24……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から20<T[℃]≦30及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り96000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-25……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から20<T[℃]≦30及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-26……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から20<T[℃]≦30及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-27……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及びH[%]≦20の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-28……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及び20<H[%]≦50の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stのままとしトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-29……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及び50<H[%]≦80の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り108000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
・実施例2-30……現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満の状態でトナーロー状態から30<T[℃]及び80<H[%]の装置内温湿度を保ちトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stから使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の通り102000に変化させてトナーエンプティ状態を発生させた後にトナーカートリッジ12を新品に交換し、その直後の印刷物を採取
【0118】
[2-5-2.汚れの評価]
本評価では、第1の実施の形態と同様の評価方法で紙面内の汚れを評価した。評価結果を
図14に示す。
【0119】
[2-5-3.かぶりの評価]
本評価では、第1の実施の形態と同様の評価方法でかぶりを評価した。評価結果を
図14に示す。
【0120】
[2-5-4.総合判定]
本評価では、第1の実施の形態と同様の評価方法で総合評価を行った。評価結果を
図14に示す。
【0121】
[2-6.効果等]
第1の実施の形態による画像形成装置1においては、トナーエンプティ状態においてトナーカートリッジ12が交換される際に現像装置11内に残存している残トナーと新たなトナーカートリッジ12から供給される新規供給トナーとの帯電差を小さくすることができ、残トナーと新規供給トナーとの帯電差による汚れやかぶりの発生を抑え、印刷品質を向上できた。
【0122】
しかしながら、現像装置寿命に対する現像装置11の使用率が上がり現像装置11が寿命に近付くと、現像装置11内の各ローラの摩耗が進み、汚れやかぶりの発生頻度が上がりやすくなり、汚れの抑制とかぶりの抑制との両立が困難となるため、画像形成装置1の汚れかぶり対策印刷制御では、やや不十分となる場合があった。
【0123】
これに対し画像形成装置101は、まず、画像形成装置1と同様に画像形成装置101が置かれている環境を示す装置内温湿度(装置内温度T及び装置内湿度H)に応じて、トナーロー状態が発生してからトナーエンプティ状態と判定するまでの使用可能トナー量を適正な値に変更するようにした。具体的に画像形成装置101は、画像形成装置1と同様に、トナーロー状態発生時において低湿度環境のときは、高湿度環境のときよりも現像装置11内のトナー残量が多い状態でトナーエンプティ状態と判定するようにした。また画像形成装置1は、トナーロー状態発生時において低温度環境のときは、高温度環境のときよりも現像装置11内のトナー残量が多い状態でトナーエンプティ状態と判定するようにした。
【0124】
それに加えて画像形成装置101は、感光体ドラム37の回転数であるドラムカウントDr(具体的には現像装置使用率)に応じて、トナーロー状態が発生してからトナーエンプティ状態と判定するまでの使用可能トナー量を適正な値に変更するようにした。具体的に画像形成装置101は、トナーロー状態発生後において、ドラムカウントDrが所定の回転数であるドラムカウント寿命Dr_endに近付き、現像装置11が寿命に近付く程、トナー残量が多い状態でトナーエンプティ状態と判定するようにした。
【0125】
このため画像形成装置101は、画像形成装置1のようにドラムカウントDrに関わらず装置内温湿度(装置内温度T及び装置内湿度H)のみに応じて、トナーロー状態が発生してからトナーエンプティ状態と判定するまでの使用可能トナー量を変更する場合と比較して、現像装置11内の各ローラの摩耗が進むことによる汚れやかぶりの発生頻度向上を考慮して、トナーエンプティ状態においてトナーカートリッジ12が交換される際に現像装置11内に残存している残トナーと新たなトナーカートリッジ12から供給される新規供給トナーとの帯電差を小さくすることができる。これにより画像形成装置101は、残トナーと新規供給トナーとの帯電差による汚れやかぶりの発生を抑え、印刷品質を向上できる。
【0126】
図15(A)に、使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)の全てのトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stとした、比較例の画像形成装置の場合の測定結果を示す。この測定時における装置内温度Tは9~12[℃]、装置内湿度Hは10~14[%]である。また
図15(A)は、現像装置使用率が80[%]の状態である。
図15(A)の左側のグラフGr180teは、トナーエンプティ状態発生時における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。また
図15(A)の右側のグラフGr180tcは、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。グラフGr180tcはグラフGr180teと比較して、現像ローラ35上の電位が-20[V]程度上昇し、現像ローラ35上のトナー付着量が0.4[mg・cm
2]程度上昇している。
【0127】
このように、現像剤使用率が80[%]である場合、第1の実施の形態(
図9)のように現像剤使用率が50[%]である場合と比較して、トナーエンプティ状態発生時に対する、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量が上昇しやすくなっている。
【0128】
一方、
図15(B)に、使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)におけるトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e2を
図12のように基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに対し適宜変更した、本実施の形態の画像形成装置101の場合の測定結果を示す。
図15(B)は、
図15(A)と同様に、現像装置使用率が80[%]の状態である。
図15(B)の左側のグラフGr80teは、グラフGr180teと同様に、トナーエンプティ状態発生時における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。また
図15(B)の右側のグラフGr80tcは、グラフGr180tcと同様に、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。グラフGr80tcはグラフGr80teと比較して、現像ローラ35上の電位が-5[V]程度上昇し、現像ローラ35上のトナー付着量が0.15[mg・cm
2]程度上昇している。
【0129】
図15(A)及び
図15(B)に示すように、本実施の形態による画像形成装置101は、現像装置使用率が80[%]の状態において、比較例と比較して、トナーエンプティ状態発生時に対する、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量の上昇を抑制できている。
【0130】
また、
図15(C)に、使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)の全てのトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stとした、比較例の画像形成装置の場合の測定結果を示す。また
図15(C)は、現像装置使用率が90[%]の状態である。
図15(C)の左側のグラフGr190teは、トナーエンプティ状態発生時における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。またに
図15(C)の右側のグラフGr190tcは、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。グラフGr190tcはグラフGr190teと比較して、現像ローラ35上の電位が-35[V]程度上昇し、現像ローラ35上のトナー付着量が0.55[mg・cm
2]程度上昇している。
【0131】
このように、現像剤使用率が90[%]である場合、
図15(A)のように現像剤使用率が80[%]である場合と比較して、トナーエンプティ状態発生時に対する、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量がさらに上昇しやすくなっている。
【0132】
一方、
図15(D)に、使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)におけるトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e3を
図13のように基準トナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_stに対し適宜変更した、本実施の形態の画像形成装置101の場合の測定結果を示す。
図15(D)は、
図15(C)と同様に、現像装置使用率が90[%]の状態である。
図15(D)の左側のグラフGr90teは、グラフGr190teと同様に、トナーエンプティ状態発生時における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。また
図15(D)の右側のグラフGr90tcは、グラフGr190tcと同様に、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量を示している。グラフGr90tcはグラフGr90teと比較して、現像ローラ35上の電位が-5[V]程度上昇し、現像ローラ35上のトナー付着量が0.15[mg・cm
2]程度上昇している。
【0133】
図15(D)及び
図15(C)に示すように、本実施の形態による画像形成装置101は、現像装置使用率が90[%]の状態において、比較例と比較して、トナーエンプティ状態発生時に対する、トナーエンプティ状態発生後にトナーカートリッジ12が新品に交換されトナーカートリッジ12から現像装置11へ新規供給トナーが供給された直後における現像ローラ35上の電位及びトナー付着量の上昇を抑制できている。
【0134】
このように画像形成装置101は、現像装置使用率が高まり、現像装置使用率が低い場合よりも現像ローラ35上の電位及びトナー付着量が上昇しやすくなったとしても、現像装置11内に残存するトナー量を環境に応じて最適化することにより、残トナーの帯電特性を新規供給トナーに近い状態に保つことができる。
【0135】
その他、第2の実施の形態による画像形成装置101は、第1の実施の形態による画像形成装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0136】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態において画像形成装置1は、装置内温度T又は装置内湿度Hの少なくとも何れか一方が低いほど大きくなるトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1を用意し、装置内温度T及び装置内湿度Hに基づきトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1をトナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eに設定し、印刷に要したドットカウントDotをトナーロー発生後使用ドットカウントとして累積し、トナーロー発生後使用ドットカウントがトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E以上となった場合、トナーエンプティ状態であると判定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、装置内温度T及び装置内湿度Hに関わらずトナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eは一律の値とし、装置内温度T又は装置内湿度Hが低いほど大きくなるトナー消費量補正係数を用意し、装置内温度T及び装置内湿度Hに基づきトナー消費量補正係数を決定し、トナーロー状態発生後に印刷に要したドットカウントDotにトナー消費量補正係数を乗算することにより、装置内温度T又は装置内湿度Hの少なくとも何れか一方が低いほど、実際のドットカウントDotよりも計算上のドットカウントが大きくなるようにしてトナーロー発生後使用ドットカウントとして累積し、トナーロー発生後使用ドットカウントがトナーエンプティ決定ドットカウントDot_E以上となった場合、トナーエンプティ状態であると判定しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0137】
また上述した第1の実施の形態において画像形成装置1は、装置内温度T及び装置内湿度Hに基づきトナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eをトナーエンプティ決定ドットカウント値表TB1(
図5)のトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1から選択して設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、装置内温度T又は装置内湿度Hの少なくとも何れか一方に基づきトナーエンプティ決定ドットカウントDot_Eをトナーエンプティ決定ドットカウント値Dot_e1から選択して設定しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0138】
さらに上述した第2の実施の形態において画像形成装置101は、現像装置使用率が80[%]以上90[%]未満である場合の使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB101(
図12)と、現像装置使用率が90[%]以上である場合の使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表TB102(
図13)との2通りのトナーエンプティ決定ドットカウント値表を用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置101は、他の種々の現像剤使用率に応じたトナーエンプティ決定ドットカウント値表を用いても良い。
【0139】
さらに上述した第2の実施の形態において画像形成装置101は、感光体ドラム37のドラムカウントDrを現像装置使用率として用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置101は、供給ローラ34や現像ローラ35等、他の種々のローラの使用率を現像装置使用率として用いても良い。
【0140】
さらに上述した実施の形態においては、直接転写方式の画像形成装置1又は101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、中間転写ベルト上に一次転写されたトナー画像を用紙に二次転写する中間転写方式等、種々の方式のプリンタに本発明を適用しても良い。
【0141】
さらに上述した実施の形態においては、4つの画像形成ユニット10を用いる画像形成装置1又は101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、1つのプロセスユニットを用いる単色画像形成装置や、2つ、3つ又は5つ以上の任意の個数の画像形成ユニットを用いる画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0142】
さらに上述した実施の形態においては、電子写真方式のプリンタである画像形成装置1又は101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば複写機、ファクシミリ装置や自動原稿読み取り装置等の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に本発明を適用して良い。
【0143】
さらに上述した実施の形態においては、カット済のカット紙に印刷を行う画像形成装置1又は101に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ロール状の用紙に印刷を行うラベルプリンタである画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0144】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0145】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成ユニットとしての画像形成ユニット10と、検出部としての検出部74と、計測部としての計測部75と、判定部としての判定部76とにより、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる画像形成ユニットと、検出部と、計測部と、判定部とによって、画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、電子写真方式のプリンタに利用できる。
【符号の説明】
【0147】
1、101……画像形成装置、2……筐体、4……用紙カセット、5……ホッピングローラ、6、7……ピンチローラ、8……搬送ローラ、9……レジストローラ、10……画像形成ユニット、11……現像装置、12……トナーカートリッジ、13……プリントヘッド、14……温湿度センサ、15、115……制御部、16……上位装置、17……濃度センサ、20……転写搬送部、21……前搬送ローラ、22……後搬送ローラ、23……転写ベルト、24……転写ローラ、25……定着器、26、27……ピンチローラ、28、29……排出ローラ、30……スタッカ部、31……ヒートローラ、32……定着ベルト、33……帯電ローラ、34……供給ローラ、35……現像ローラ、36……現像ブレード、37……感光体ドラム、38……クリーニングブレード、39……トナー収容空間、40……トナーセンサ、50、150……印刷制御部、51、151……トナー使用量制御部、53……インタフェイス制御部、54……操作表示部、55……メモリ、56……ROM、57……RAM、58A、58B……装置内温度記録部、59A、59B……装置内湿度記録部、60A、60B……転写ベルト温度記録部、61A、61B……日時記録部、63……各種センサ、64……プロセス制御部、65……現像電圧制御部、66……供給電圧制御部、67……層形成電圧制御部、68……帯電電圧制御部、69……露光制御部、70……モータ制御部、71……転写電圧制御部、74……検出部、75……計測部、76……判定部、77……ロー判定部、78……現像剤使用可能量設定部、80……汚れ、82……白紙部、84……かぶり発生部、TB1……トナーエンプティ決定ドットカウント値表、TB101……使用率8割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表、TB102……使用率9割時トナーエンプティ決定ドットカウント値表、P……用紙、Dr……ドラムカウント、Dot……ドットカウント、Dot_L……トナーロー発生時ドットカウント、Dot_E……トナーエンプティ決定ドットカウント、Dot_e1、Dot_e2、Dot_e3……トナーエンプティ決定ドットカウント値、Dot_st……基準トナーエンプティ決定ドットカウント値、Dr_end……ドラムカウント寿命、Drth90……使用率9割時ドラムカウント閾値、Drth80……使用率8割時ドラムカウント閾値、T……装置内温度、H……装置内湿度、W……搬送路、P……用紙。