(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178736
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】薬剤監査支援システム及び薬剤監査支援装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097107
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小川 陽平
(72)【発明者】
【氏名】西濃 信晴
(72)【発明者】
【氏名】木田 学武
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 洋和
(72)【発明者】
【氏名】大平 良司
(72)【発明者】
【氏名】外山 司
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047KK03
4C047KK30
4C047KK31
4C047KK32
(57)【要約】
【課題】監査結果に対する信頼性を高め得るようにする。
【解決手段】薬剤監査支援装置1は、監査処理の後の監査結果表示処理において、監査結果画面SC5の分包袋情報欄FB5に各分包袋110に関する情報を表示する。このとき薬剤監査支援装置1は、各分包袋110の監査状態及び分包袋画像PBに加えて、該分包袋画像PBから切り出した各薬剤画像PMを種類毎に分けて表示し、それぞれの種類別薬剤数と、これらを合計した薬剤総数とを合わせて表示することにより、これらをユーザに視認させることができる。これにより薬剤監査支援装置1は、ユーザに対し、鑑別状態に加えて当該鑑別状態を決定する過程で利用された種々の情報についても視覚的に確認させ、当該鑑別状態の妥当性を容易に認識させると共に、追加的に行う作業に要する時間や労力を十分に抑えることができる。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類又は複数種類の薬剤が1個又は複数個収納された分包袋を複数撮影し、前記分包袋ごとに分包袋画像を生成する撮影部と、
前記分包袋画像から個別の前記薬剤を表す部分である薬剤画像をそれぞれ切り出し、当該薬剤画像それぞれについて前記種類を判定し、前記分包袋画像毎に、当該分包袋画像に含まれる前記薬剤画像の総数である薬剤総数と前記種類毎の前記薬剤画像の数である種類別薬剤数とをそれぞれ集計する解析処理部と、
複数の前記分包袋から基準となる基準分包袋を設定すると共に、該基準分包袋以外の前記分包袋を比較対象分包袋に設定する監査処理部と、
前記薬剤画像を表示部に表示するよう制御する表示処理部と
を具え、
前記表示処理部は、前記基準分包袋の前記分包袋画像に含まれる前記薬剤画像と、前記比較対象分包袋の前記分包袋画像に含まれる前記薬剤画像とを、前記種類毎に対応付けて前記表示部に表示すると共に、前記基準分包袋及び前記比較対象分包袋の各々について、前記薬剤総数と前記種類別薬剤数とを、前記表示部に表示する
ことを特徴とする薬剤監査支援システム。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記基準分包袋とそれぞれの前記比較対象分包袋との間で、前記薬剤総数及び前記種類別薬剤数を比較し、一致しなかった前記比較対象分包袋における当該薬剤総数及び当該種類別薬剤数を、一致した場合と異なる手法により表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記基準分包袋及びそれぞれの前記比較対象分包袋について、前記薬剤画像と対応付けて前記分包袋画像を前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項4】
ユーザの操作を受け付ける操作部
をさらに具え、
前記監査処理部は、前記ユーザから前記操作部を介して選択された前記分包袋を前記基準分包袋として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項5】
前記監査処理部は、前記比較対象分包袋に関し、前記基準分包袋との間で前記薬剤総数及び各前記種類別薬剤数の比較結果を基に監査状態を決定し、
前記表示処理部は、前記比較対象分包袋の前記薬剤画像と対応付けて前記監査状態を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作部
をさらに具え、
前記監査処理部は、前記基準分包袋との間で前記薬剤総数及び各前記種類別薬剤数のうち少なくとも1個が一致しなかった前記比較対象分包袋の前記監査状態を、前記ユーザによる確認を必要とする要確認状態に決定し、
前記表示処理部は、前記監査状態が前記要確認状態である前記比較対象分包袋について、前記ユーザから前記操作部を介して当該監査状態を前記要確認状態から他の状態に変更する操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項5に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項7】
前記表示処理部により前記表示部に前記薬剤画像、前記薬剤総数及び前記種類別薬剤数が表示された状態において、前記監査処理部は、前記ユーザから前記操作部を介して当該監査状態を前記要確認状態から他の状態に変更する操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項6に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項8】
前記解析処理部は、前記薬剤画像に基づいた、大きさ及び/又は形状に関する判定結果を基に、当該薬剤画像の前記種類を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項9】
前記監査処理部は、前記基準分包袋とそれぞれの前記比較対象分包袋との間で、前記薬剤総数及び各前記種類別薬剤数を比較し、前記薬剤総数及び前記種類別薬剤数の少なくとも1個が一致しなかった前記比較対象分包袋を要確認分包袋とし、
前記表示処理部は、前記基準分包袋及び前記要確認分包袋について、前記薬剤画像、前記薬剤総数及び前記種類別薬剤数を、前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項10】
前記分包袋は、複数が相互に連続的に接続されることにより分包袋連続体を構成し、
前記撮影部は、前記分包袋連続体を構成するそれぞれの前記分包袋をそれぞれ撮影し、それぞれの前記分包袋画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項11】
前記分包袋を揺動させる揺動部
をさらに具え、
前記撮影部は、前記揺動部により揺動された前記分包袋を撮影する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援システム。
【請求項12】
1種類又は複数種類の薬剤が1個又は複数個収納された分包袋を複数撮影し、前記分包袋ごとに分包袋画像を生成する撮影部と、
前記分包袋画像から個別の前記薬剤を表す部分である薬剤画像をそれぞれ切り出し、当該薬剤画像それぞれについて前記種類を判定し、前記分包袋画像毎に、当該分包袋画像に含まれる前記薬剤画像の総数である薬剤総数と前記種類毎の前記薬剤画像の数である種類別薬剤数とをそれぞれ集計する解析処理部と、
複数の前記分包袋から基準となる基準分包袋を設定すると共に、該基準分包袋以外の前記分包袋を比較対象分包袋に設定する監査処理部と、
情報を表示する表示部と、
前記薬剤画像を前記表示部に表示するよう制御する表示処理部と
を具え、
前記表示処理部は、前記基準分包袋の前記分包袋画像に含まれる前記薬剤画像と、前記比較対象分包袋の前記分包袋画像に含まれる前記薬剤画像とを、前記種類毎に対応付けて前記表示部に表示すると共に、前記基準分包袋及び前記比較対象分包袋の各々について、前記薬剤総数と前記種類別薬剤数とを、前記表示部に表示する
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項13】
前記分包袋は、複数が連続的に接続されることにより分包袋連続体を構成し、
前記撮影部は、前記分包袋連続体を構成するそれぞれの前記分包袋をそれぞれ撮影し、それぞれの前記分包袋画像を生成する
ことを特徴とする請求項12に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項14】
前記分包袋を揺動させる揺動部
をさらに具え、
前記撮影部は、前記揺動部により揺動された前記分包袋を撮影する
ことを特徴とする請求項12に記載の薬剤監査支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤監査支援システム及び薬剤監査支援装置に関し、例えば複数個の薬剤が収納され一包化された分包袋の監査を支援する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1回の服用機会に複数種類の薬剤を服用する患者のために、予め当該薬剤を1個の分包袋に収納しておく一包化を行うことにより、当該患者が服用時に処方箋に記載された薬剤の種類や数量に基づき服用する薬剤を準備する負担の軽減が図られている。
【0003】
この一包化を行う場合、患者に薬剤を提供する薬剤師等は、医師の処方に従って薬剤を調剤すると共に、各分包袋に薬剤が適切に収納されていることを確認してから、当該分包袋を患者に渡す必要がある。しかし、各分包袋に収納されている多種多様な薬剤を薬剤師等が確認するには、多大な労力を要する。
【0004】
そこで、薬剤監査支援装置として、分包袋を搬送しながら該分包袋を撮影して画像を生成し、当該画像の解析結果に基づいた表示等を行う薬剤監査支援装置が提案されている。このような薬剤監査支援装置では、撮影された画像から各薬剤の画像を抽出し、当該抽出した画像が処方箋に記載された薬剤と一致するか否かを判定し、画面等により判定結果を通知するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-18230号公報(
図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる構成の薬剤監査支援装置では、各分包袋の判定結果として、例えば「正しい」、「正しくない」、「不足」、或いは「余分」といった情報が通知されるものの、このような判定結果が得られた理由や過程についてまでは通知されない。
【0007】
また、画像を基に薬剤の判定処理を行う場合には、各分包袋における各薬剤の状態の影響を受けることや、解析処理の精度が必ずしも十分でないことがあるため、正しい判定結果が得られず、判定結果が誤判定である恐れがある。このため、上述した薬剤監査支援装置を使用する薬剤師等は、通知された判定結果を必ずしも信頼することができず、また通知された判定結果から誤判定の理由を判断することが困難であるため、分包袋を目視確認する等の手間を要する、という問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、監査結果に対する信頼性を高め得る薬剤監査支援システム及び薬剤監査支援装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の薬剤監査支援システムにおいては、1種類又は複数種類の薬剤が1個又は複数個収納された分包袋を複数撮影し、分包袋ごとに分包袋画像を生成する撮影部と、分包袋画像から個別の薬剤を表す部分である薬剤画像をそれぞれ切り出し、当該薬剤画像それぞれについて種類を判定し、分包袋画像毎に、当該分包袋画像に含まれる薬剤画像の総数である薬剤総数と種類毎の薬剤画像の数である種類別薬剤数とをそれぞれ集計する解析処理部と、複数の分包袋から基準となる基準分包袋を設定すると共に、該基準分包袋以外の分包袋を比較対象分包袋に設定する監査処理部と、薬剤画像を表示部に表示するよう制御する表示処理部とを設け、表示処理部は、基準分包袋の分包袋画像に含まれる薬剤画像と、比較対象分包袋の分包袋画像に含まれる薬剤画像とを、種類毎に対応付けて表示部に表示すると共に、基準分包袋及び比較対象分包袋の各々について、薬剤総数と種類別薬剤数とを、表示部に表示するようにした。
【0010】
また本発明の薬剤監査支援装置においては、1種類又は複数種類の薬剤が1個又は複数個収納された分包袋を複数撮影し、分包袋ごとに分包袋画像を生成する撮影部と、分包袋画像から個別の薬剤を表す部分である薬剤画像をそれぞれ切り出し、当該薬剤画像それぞれについて種類を判定し、分包袋画像毎に、当該分包袋画像に含まれる薬剤画像の総数である薬剤総数と種類毎の薬剤画像の数である種類別薬剤数とをそれぞれ集計する解析処理部と、複数の分包袋から基準となる基準分包袋を設定すると共に、該基準分包袋以外の分包袋を比較対象分包袋に設定する監査処理部と、情報を表示する表示部と、薬剤画像を表示部に表示するよう制御する表示処理部とを設け、表示処理部は、基準分包袋の分包袋画像に含まれる薬剤画像と、比較対象分包袋の分包袋画像に含まれる薬剤画像とを、種類毎に対応付けて表示部に表示すると共に、基準分包袋及び比較対象分包袋の各々について、薬剤総数と種類別薬剤数とを、表示部に表示するようにした。
【0011】
本発明は、表示部に対し、基準分包袋及び比較対象分包袋のそれぞれについて、当該薬剤の種類毎に各薬剤画像を表示すると共に種類別薬剤数を表示し、さらに薬剤総数を表示する。これにより本発明は、ユーザに対し、比較対象分包袋から得られた分包袋画像に対する解析処理及び鑑別処理の過程を視認させ、問題の有無等を容易に把握させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、監査結果に対する信頼性を高め得る薬剤監査支援システム及び薬剤監査支援装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】薬剤監査支援装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
【
図3】分包袋読取装置の内部構成を示す略線的正面図である。
【
図4】薬剤監査支援装置の回路構成を示す略線図である。
【
図6】監査状態テーブルの構成を示す略線図である。
【
図7】薬剤監査テーブルの構成を示す略線図である。
【
図8】分包袋画像及び薬剤画像を示す略線図である。
【
図9】薬剤監査支援処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】新規監査処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】分包袋セット案内画面の構成を示す略線図である。
【
図13】監査中表示画面の構成を示す略線図である。
【
図14】撮影処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】分包袋画像における各薬剤の位置の判定を示す略線図である。
【
図16】解析処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】監査処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】監査結果表示処理手順(1)を示すフローチャートである。
【
図20】監査結果表示処理手順(2)を示すフローチャートである。
【
図22】監査状態が要確認である監査結果画面を示す略線図である。
【
図23】監査状態を修正又は無視に変更した監査結果画面を示す略線図である。
【
図24】詳細表示処理手順を示すフローチャートである。
【
図27】監査完了通知画面の構成を示す略線図である。
【
図29】修正監査選択画面の構成を示す略線図である。
【
図31】他の実施の形態による挿入検出部の構成を示す略線図である。
【
図32】他の実施の形態による挿入検出部の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.薬剤監査支援装置の構成]
[1-1.薬剤監査支援装置の全体構成]
図1に模式的な斜視図を示すように、薬剤監査支援システムとしての薬剤監査支援装置1は、大きく分けて分包袋読取装置2及び監査結果表示装置3により構成されている。また分包袋読取装置2の内部には、全体を統括的に制御する制御部4が設けられている。この薬剤監査支援装置1は、
図2(A)及び(B)に示す分包袋110が連続的に接続された分包袋連続体100を対象として、薬剤師等のユーザにより監査が行われる際に、当該監査の支援処理を行うようになっている。
【0016】
以下では、薬剤監査支援装置1(
図1)において監査結果表示装置3が設けられた側を前側とし、その反対側を後側とし、該監査結果表示装置3に対峙したユーザから見た右側及び左側を定義し、さらに上側及び下側を定義するものとする。
【0017】
分包袋読取装置2は、全体として直方体状に構成されており、下側の約2/3乃至3/4程度の部分に相当する下部ユニット5と、その上側に設けられた上部ユニット6とに分けられている。この上部ユニット6は、後側の下端近傍において開閉部7を介して下部ユニット5に取り付けられており、該開閉部7を中心として回動することにより開閉し得るようになっている。また下部ユニット5及び上部ユニット6の間には、後述する分包袋連続体を搬送するための搬送空間10が形成されている。
【0018】
監査結果表示装置3(
図1)は、全体として薄板状に形成されており、分包袋読取装置2における下部ユニット5の一側面に対し、図示しない取付部材を介して取り付けられている。因みに取付部材は、下部ユニット5に対する監査結果表示装置3の角度を調整し得るようになっている。また監査結果表示装置3は、表示部及び操作部としてのタッチパネル8を有すると共に、図示しない接続ケーブルを介して下部ユニット5と電気的に接続されており、制御部4の制御に基づき種々の表示画面を表示し得ると共に、ユーザのタッチ操作による入力を受け付け得る。
【0019】
[1-2.分包袋連続体の構成]
次に、
図2(A)及び(B)を参照しながら、分包袋連続体100の構成について説明する。なお、
図2(A)は分包袋連続体100を上側から見た模式的な平面図であり、
図2(B)は該分包袋連続体100を前側から見た模式的な平面図である。
【0020】
分包袋連続体100は、複数の分包袋110が左右方向に連なった構成となっている。各分包袋110は、十分な柔軟性を有すると共に可視光の透過率が比較的高い、すなわち透明度が高い樹脂製のフィルムにより構成されている。また分包袋110は、前後方向及び左右方向の長さに対し上下方向の長さが十分に短い、扁平な形状となっている。
【0021】
この分包袋110は、上側フィルム111及び下側フィルム112の間に密閉された袋状部113が形成されており、当該袋状部113内の空間である収納空間113Sに薬剤Mが収納されている。この1個の分包袋110には、例えば1人の患者が1回の服用機会(例えば朝食後等)に服用するべく処方された、1種類又は複数種類であって1個又は複数個の薬剤Mが全て収納されている。このように1種類又は複数種類でなる複数個の薬剤Mを1個の分包袋110にまとめて収納することを、一包化とも呼ぶ。さらに、処方箋によっては、1種類であり1個の薬剤Mを1個の分包袋110に収納することを、一包化された分包袋110として扱うこともある。本実施の形態では、1種類又は複数種類の薬剤Mが1個又は複数個収納された分包袋110が複数連なった分包袋連続体100を対象として、以下説明する。
【0022】
分包袋110は、その製造時に、例えば1枚のフィルム材における前後方向の中央に仮想的な折曲げ線を設定し、収納すべき薬剤Mを集めた状態で該折曲げ線よりも後側に載せ、折曲げ線に沿って前側部分を上側から後側へ折り返して、当該薬剤Mを上側フィルム111及び下側フィルム112により挟んだ状態とする。続いて分包袋110は、当該薬剤Mの左側、右側及び後側がそれぞれ熱圧着等の処理によって融着されることにより、左周縁部114、右周縁部115及び後周縁部116(以下、これらをまとめて周縁部117と呼ぶ)がそれぞれ形成される。
【0023】
また分包袋連続体100は、左右方向に十分に長いフィルム材を用いることにより、各分包袋110が左右方向に連結された状態で製造されると共に、各分包袋110の境界部分が前後方向に沿って断続的に切断されることにより、いわゆるミシン目が形成される。これにより分包袋連続体100は、左右方向に沿って細長い形状に構成されると共に、患者等が服用時に各分包袋110を容易に切り離し得るようになっている。
【0024】
ここで分包袋110の厚さ、すなわち上下方向の長さに着目すると、収納空間113Sに収納されている薬剤Mに応じて袋状部113がやや厚くなっている一方、周縁部117(すなわち左周縁部114、右周縁部115及び後周縁部116)が全てフィルム材2枚分程度の厚さであり、十分に薄くなっている。
【0025】
[1-3.分包袋読取装置の内部構成]
次に、分包袋読取装置2の内部構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、下部ユニット5の前側面及び上部ユニット6の前側面をそれぞれ省略した模式的な正面図である。分包袋読取装置2の内部には、搬送空間10の近傍に搬送部31、挿入検出部32、揺動部33、撮影部34及び排出検出部35が配置されている。
【0026】
搬送部31は、左右方向に離れた3箇所にそれぞれ配置された3組の搬送ローラ対により構成されている。各搬送ローラ対は、下側の駆動ローラ及び上側の従動ローラにより構成されている。この搬送部31は、図示しない駆動ローラから各駆動ローラに駆動力を供給することにより駆動ローラを回転させ、分包袋連続体100(
図2)における各分包袋110の後周縁部116を挟持して左方向又は右方向へ搬送する。
【0027】
挿入検出部32は、搬送空間10の右端近傍に配置されており、例えば光学センサを含んだ構成となっている。具体的に挿入検出部32は、上側の発光部から検知光を発光し、下側の受光部によりこの検知光の一部を受光し、その光量に応じた検出信号を光学センサにより生成して制御部4に送信する。
【0028】
これに応じて制御部4は、挿入検出部32から受信した検出信号を基に、搬送空間10の右端近傍における分包袋連続体100の有無や搬送速度等を認識できる。また制御部4は、受信した検出信号を基に、分包袋110(
図2)の袋状部113及び周縁部117を区別して認識し、該袋状部113が撮影部34に到達するタイミングを算出する。
【0029】
揺動部33は、搬送空間10の下側、すなわち下部ユニット5側における中央よりもやや右側に設けられており、前後方向に沿った細長い揺動レバーを左右方向にやや離れた複数箇所にそれぞれ配置している。この揺動部33は、図示しないアクチュエータ等によって各揺動レバーを振動させることにより、搬送されている分包袋連続体100を揺動させる。
【0030】
撮影部34は、複数の光源や撮像素子、並びに集光レンズ等の光学部品により構成されており、これらの光学部品を下部ユニット5側及び上部ユニット6側に適宜振り分けて配置している。この撮影部34は、搬送空間10に沿って分包袋連続体100が搬送されると、各分包袋110が到達したタイミングに合わせて、各光源を適宜発光させると共に撮像素子により画像を生成して制御部4へ供給する。これに応じて制御部4は、当該画像に対し所定の画像処理等を施した上で、解析処理、監査処理及び表示処理等の各種処理を行う(詳しくは後述する)。
【0031】
排出検出部35は、搬送空間10の左端近傍に配置されており、挿入検出部32と同様の光学センサとして構成されている。具体的に排出検出部35は、上側の発光部から検知光を発光し、下側の受光部によりこの検知光の一部を受光し、その光量に応じた検出信号を生成して制御部4に送信する。これに応じて制御部4は、排出検出部35から受信した検出信号を基に、搬送空間10の左端近傍における分包袋連続体100の有無や搬送速度等を認識できる。
【0032】
[1-4.薬剤監査支援装置の回路構成及び薬剤に関する情報の記憶]
次に、薬剤監査支援装置1の回路構成について、
図4を参照しながら説明する。制御部4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、また記憶部20やタッチパネル8等と接続されている。この制御部4は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部20等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0033】
記憶部20は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性の記憶媒体であり、後述する各種処理に必要な情報が予め格納された各種テーブル、各処理の結果を逐次格納するための各種テーブルや生成された画像ファイルのような種々の情報、並びに各種プログラム等を記憶する。この記憶部20は、各薬剤Mの属性に関する情報として、
図5(A)~(C)に示すように、薬剤サイズテーブルT1、薬剤形状テーブルT2及び薬剤種類テーブルT3を予め記憶している。
【0034】
薬剤サイズテーブルT1は、薬剤Mの大きさに関する属性の情報を格納したテーブルであり、例えば「小」、「中」、「大」、及び「特大」といった大きさと、それぞれの大きさにおける長辺の長さに関する条件を表す情報とがそれぞれ格納されている。
【0035】
薬剤形状テーブルT2は、薬剤Mの形状に関する属性の情報を格納したテーブルであり、例えば「円」、「楕円」、「カプセル」、及び「半錠」といった形状と、それぞれの形状として判定するための判定条件を表す情報とがそれぞれ格納されている。また薬剤形状テーブルT2には、他の何れの形状にも該当しないことを表す「不明」も格納されている。
【0036】
さらに薬剤形状テーブルT2の判定条件には、「短辺/長辺比率」、「境界線」及び「鋭角」といった3種類の詳細な条件が設けられている。「短辺/長辺比率」は、薬剤Mにおける短辺の長さを長辺の長さで除算して得られた比率に関する条件である。「境界線」は、主に短辺方向に沿った境界線の有無を表す条件である。「鋭角」は、外周を表す曲線上における鋭角の部分の有無及び個数を表す条件である。
【0037】
薬剤種類テーブルT3は、実際に分包袋110に収納される薬剤Mの種類とその属性(サイズ及び形状)との対応付けに関する情報を格納したテーブルであり、例えば種類として「小・円」、「中・円」、「楕円」、及び「カプセル」といった情報が格納されており、それぞれの属性としてサイズ及び形状を表す情報が対応付けて格納されている。このうちサイズとして記号「-」が格納されている場合、当該種類の薬剤Mではサイズを問わないことを意味する。
【0038】
また記憶部20は、各分包袋110における監査処理の状態及びユーザによる対処の状態を表す属性である監査状態に関し、
図6に示す監査状態テーブルT4を予め記憶している。この監査状態テーブルT4には、監査状態を表す情報として、例えば「未解析」、「解析済」、「OK」、「要確認」、「無視」、「修正」及び「基準」等が格納されている。
【0039】
このうち「未解析」は、監査処理の前に必要な解析処理(詳しくは後述する)が未実行であり、このため当該監査処理も未実行であることを表す。以下では、この状態を未解析状態とも呼ぶ。「解析済」は、解析処理を完了したものの監査処理が未実行であることを表す。以下では、この状態を解析済状態とも呼ぶ。
【0040】
「OK」は、監査結果に問題が無かったこと、すなわち当該分包袋110に適切な種類及び数量の薬剤Mが収納されていると判定されたことを表す。以下では、この状態をOK状態とも呼ぶ。「要確認」は、監査結果に問題があったこと、すなわち分包袋110に適切な種類及び数量の薬剤Mが収納されていないと判定され、ユーザによる確認作業が必要であることを表す。以下では、この状態を要確認状態とも呼ぶ。
【0041】
「無視」は、ユーザによる確認作業の結果、解析処理等において不具合があったことが原因であり、当該分包袋110に収納された薬剤Mに問題が無いことが確認された場合に、当該ユーザにより設定される。「修正」は、ユーザによる確認作業の結果、実際の分包袋110において薬剤Mの過不足等の問題があるため、当該ユーザによる修正作業が必要である場合に、当該ユーザにより設定される。「基準」は、解析処理が終了した段階で、ユーザにより当該分包袋110が他の分包袋と比較するための基準となる基準分包袋に設定されたことを表す。
【0042】
また記憶部20には、
図7に示すように、分包袋毎に監査に関する情報を格納するための薬剤監査テーブルT5が設けられている。記憶部20には、1個の分包袋連続体100に対する1回の監査に対し1個の薬剤監査テーブルT5が生成され、格納されるようになっている。この薬剤監査テーブルT5には、袋番号欄、監査状態欄、薬剤総数欄、種類別薬剤数欄、分包袋画像ファイル名欄、薬剤画像ファイル名欄、及びメモ欄が設けられている。
【0043】
袋番号欄には、分包袋連続体100における各分包袋110の左端からの順序に基づいた番号(以下これを袋番号と呼ぶ)が格納される。監査状態欄には、監査状態が格納される。薬剤総数欄には、薬剤Mの総数が集計されて格納される。種類別薬剤数欄には、薬剤Mの種類毎の数が集計されて格納される。分包袋画像ファイル名欄には、後述する分包袋画像PBのファイル名が格納される。薬剤画像ファイル名欄には、後述する各薬剤画像PMのファイル名がそれぞれ格納される。メモ欄には、後述するメモの内容が格納される。
【0044】
また制御部4(
図4)は、記憶部20に記憶している所定のプログラムを読み出して実行することにより、その内部に複数の機能ブロックを形成する。具体的に制御部4は、搬送処理部21、揺動処理部22、撮影処理部23、解析処理部24、監査処理部25、表示処理部26及び対応処理部27等を形成する。
【0045】
搬送処理部21は、搬送部31を制御することにより、搬送空間10の右側から左側へ向けて分包袋連続体100(
図2)を搬送させる。また搬送処理部21は、挿入検出部32及び排出検出部35からそれぞれ得られる検出信号を基に、分包袋連続体100が正常に搬送されているか否かを判定し、また該分包袋連続体100における各分包袋110の袋状部113が撮影部34に到達するタイミングを算出する。
【0046】
揺動処理部22は、揺動部33を制御することにより、各揺動レバーを適宜振動させ、搬送されている分包袋連続体100における各分包袋110の袋状部113内に収納されている各薬剤Mの姿勢や位置を適宜変位させる。特に袋状部113内では、複数の薬剤Mが上下方向に重なっていた場合、振動によりこの重なりが崩されることが期待される。
【0047】
撮影処理部23は、搬送処理部21から通知されるタイミング、すなわち分包袋連続体100における各分包袋110の袋状部113が撮影部34(
図3)に到達するタイミングに合わせて、撮影部34の各光源を適宜発光させると共に撮像素子により画像データを生成させ、これを取得する。続いて撮影処理部23は、当該画像データに対し所定の変換処理や画像調整処理等を施すことにより、
図8(A)に示すような分包袋画像PBを生成し、これを解析処理部24へ供給する。また撮影処理部23は、分包袋画像PBのファイル名を薬剤監査テーブルT5(
図7)に格納する。
【0048】
解析処理部24(
図4)は、撮影処理部23から供給される分包袋画像PBに対しエッジ検出等の画像処理を施し、さらに薬剤Mごとの画像をそれぞれ切り出すことにより、
図8(B)に示すように、複数の薬剤画像PMを生成する。続いて解析処理部24は、各薬剤画像PMを基に各薬剤Mの大きさ及び形状をそれぞれ判定し、これらを基に種類を判定する。ここで、各薬剤画像PMと薬剤の種類との関係は、
図8(C)に示す表のようにまとめることができる。以下では、このように薬剤画像PMを基に各薬剤Mの種類を判定する処理を解析処理と呼び、このとき得られた判定結果を解析結果とも呼ぶ。また解析処理部24は、得られた解析結果を基に、各薬剤Mの種類毎に数を集計し、その値(以下これを種類別薬剤数と呼ぶ)と、各薬剤画像PMのファイル名と、薬剤Mの総数(以下これを薬剤総数と呼ぶ)とを、薬剤監査テーブルT5(
図7)にそれぞれ格納する。
【0049】
監査処理部25は、各分包袋110について、ユーザに設定された基準分包袋との間で各種類の個数が一致するか否かを判定し、監査状態を決定する。すなわち監査処理部25は、薬剤総数及び全ての種類の薬剤Mにおける薬剤数が何れも一致した場合には監査状態を「OK」とし、少なくとも1項目において数が不一致であった場合には監査状態を「要確認」とする。また監査処理部25は、決定した監査状態を薬剤監査テーブルT5に格納する。
【0050】
表示処理部26は、例えば所定のメニュー画面や監査結果を表す画面等(詳しくは後述する)、種々の表示画面を生成してタッチパネル8に表示させる。対応処理部27は、監査結果の表示に応じてユーザからタッチパネル8を介した操作入力を受け付け、当該操作に応じた処理を実行する。
【0051】
[2.薬剤監査支援処理]
次に、薬剤監査支援装置1による薬剤監査支援処理について、詳細に説明する。薬剤監査支援装置1の制御部4は、電源が投入されると、所定の初期化処理等を行った後、記憶部20(
図4)から薬剤監査支援プログラムを読み出して実行する。これにより制御部4は、
図4に示した各機能ブロックを内部に形成すると共に、
図9に示す薬剤監査支援処理手順RT1を開始し、最初のステップSP1に移る。
【0052】
ステップSP1において制御部4は、表示処理部26により、
図10に示す初期画面SC1をタッチパネル8に表示させ、次のステップSP2に移る。この初期画面SC1には、新規監査開始ボタンBT1、過去監査修正ボタンBT2、中断監査再開ボタンBT3、過去監査確認ボタンBT4及び設定ボタンBT5が表示されている。
【0053】
新規監査開始ボタンBT1は、「新規監査開始」といった文字が表示されており、押下操作により新規の監査処理を開始することを意味する。過去監査修正ボタンBT2は、「過去監査の修正」といった文字が表示されており、押下操作により、過去に実施された監査処理における各分包袋の監査状態を修正することを意味する。中断監査再開ボタンBT3は、「中断した監査の再開」といった文字が表示されており、押下操作により、過去に中断された監査処理を再開することを意味する。過去監査確認ボタンBT4は、「過去監査の確認」といった文字が表示されており、押下操作により、過去に実施された監査処理の結果を表示することを意味する。
【0054】
ステップSP2(
図9)において制御部4は、新規監査開始ボタンBT1が押下されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP3に移り、サブルーチンとして新規監査処理を実行し(詳しくは後述する)、該新規監査処理を終了すると再びステップSP1に戻る。一方、ステップSP2において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP4に移る。
【0055】
ステップSP4において制御部4は、過去監査修正ボタンBT2が押下されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP5に移り、サブルーチンとして過去監査修正処理を実行し(詳しくは後述する)、該過去監査修正処理を終了すると再びステップSP1に戻る。一方、ステップSP4において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP6に移る。
【0056】
ステップSP6において制御部4は、中断監査再開ボタンBT3が押下されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP7に移り、サブルーチンとして中断監査再開処理を実行し(詳しくは後述する)、該中断監査再開処理を終了すると再びステップSP1に戻る。一方、ステップSP6において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP8に移る。
【0057】
ステップSP8において制御部4は、過去監査確認ボタンBT4が押下されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP9に移り、サブルーチンとして過去監査確認処理を実行し(詳しくは後述する)、該過去監査確認処理を終了すると再びステップSP1に戻る。一方、ステップSP8において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP10に移る。
【0058】
ステップSP10において制御部4は、設定ボタンBT5が押下されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP11に移り、サブルーチンとして設定処理を実行し、該設定処理を終了すると再びステップSP1に戻る。この設定処理は、例えば記憶部20に記憶されている薬剤サイズテーブルT1、薬剤形状テーブルT2及び薬剤種類テーブルT3等の記憶内容を、ユーザの操作に従って修正する処理である。一方、ステップSP10において否定結果が得られると、制御部4は何ら処理を行うこと無く、再びステップSP1に戻る。
【0059】
[2-1.新規監査処理]
次に、薬剤監査支援処理手順RT1(
図9)のステップSP3において実行する新規監査処理について説明する。この新規監査処理では、薬剤監査支援装置1において分包袋連続体100に関し新たな監査処理を行うようになっている。具体的に制御部4は、薬剤監査支援処理手順RT1においてステップSP3に移ると、
図11に示す新規監査処理手順RT2をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP21に移る。またこのとき制御部4は、新たな薬剤監査テーブルT5(
図7)を生成すると共に、一意の識別番号とこのときの日時を表す情報とをそれぞれ生成し、当該薬剤監査テーブルT5と対応付けて記憶部20に記憶させる。
【0060】
ステップSP21において制御部4は、表示処理部26(
図4)によって、
図12に示す分包袋セット案内画面SC2をタッチパネル8に表示させ、次のステップSP22に移る。この分包袋セット案内画面SC2には、画像PC21、メッセージMS21及び開始ボタンBT21が表示される。
【0061】
画像PC21は、薬剤監査支援装置1の外観を表す図と、該薬剤監査支援装置1の左側における搬送空間10への挿入箇所付近を指す矢印とにより構成されており、分包袋連続体100をセットするべき箇所を案内している。メッセージMS21は、例えば「分包袋をセットして開始ボタンを押して下さい」といった文章であり、ユーザに対し、分包袋連続体100を搬送空間10の右側付近にセットした上で開始ボタンBT21を押下するよう促している。開始ボタンBT21は、例えば「開始」の文字が表示された操作ボタンであり、押下操作により分包袋連続体100の搬送の開始と各分包袋110の撮影処理の開始とを指示する。
【0062】
ステップSP22において制御部4は、開始ボタンBT21が押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部4はこのステップSP22を繰り返すことにより、開始ボタンBT21が押下されるのを待ち受ける。一方、ステップSP22において肯定結果が得られると、制御部4は撮影処理及びその後の監査処理を実行するべく、次のステップSP23に移る。
【0063】
ステップSP23において制御部4は、表示処理部26により、
図13に示す監査中表示画面SC3をタッチパネル8に表示させ、次のステップSP24に移る。この監査中表示画面SC3には、分包袋セット案内画面SC2と同様の画像PC21の他、メッセージMS31及び中止ボタンBT31が表示される。メッセージMS31は、例えば「監査中・・・しばらくお待ち下さい」といった文章であり、ユーザに対し、現在の動作の状況として撮影処置や監査処置の実行中であることを説明している。中止ボタンBT31は、例えば「中止」の文字が表示された操作ボタンであり、押下操作により実行中の撮影処理や監査処理の中止を指示する。
【0064】
ステップSP24において制御部4は、後述するサブルーチンを実行することにより撮影処理を行い、次のステップSP25に移る。この撮影処理では、各分包袋110から分包袋画像PBをそれぞれ撮影して分包袋画像PBをそれぞれ生成する。またこの撮影処理では、各分包袋画像PBの解析処理を行うことにより、各薬剤Mの薬剤画像PMを切り出すと共に各薬剤Mの種類を判定するようになっている。
【0065】
ステップSP25において制御部4は、後述するサブルーチンを実行することにより監査処理を行い、次のステップSP26に移る。この監査処理では、基準となる基準分包袋と各分包袋との間で各薬剤Mを種類毎に比較する監査処理を行い、得られた監査結果を表示する。またこの監査処理では、ユーザによる対応が必要な監査結果があった場合、該ユーザの操作に基づいた対応処理を行うようになっている。
【0066】
ステップSP26において制御部4は、新規監査処理手順RT2を終了し、元の薬剤監査支援処理手順RT1(
図9)に戻る。
【0067】
[2-2.撮影処理]
次に、新規監査処理手順RT2(
図11)のステップSP24において実行する撮影処理について説明する。この撮影処理では、分包袋連続体100を搬送しながら各分包袋110を順次撮影するようになっている。具体的に制御部4は、新規監査処理手順RT2においてステップSP24に移ると、
図14に示す撮影処理手順RT3をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP31に移る。
【0068】
ステップSP31において制御部4は、搬送処理部21(
図4)によって、搬送部31による分包袋連続体100の搬送を開始し、次のステップSP32に移る。ステップSP32において制御部4は、搬送処理部21によって、挿入検出部32から受信した検出信号を基に、各分包袋110の袋状部113を検出し、次のステップSP33に移る。なお搬送処理部21は、当該分包袋連続体100における分包袋110の数を計数しており、この数を当該分包袋110の順序と見なして以降の処理を行う。
【0069】
ステップSP33において制御部4は、搬送処理部21によって、分包袋110の袋状部113を検出したタイミングと、搬送部31による分包袋連続体100の搬送速度とを基に、該分包袋110が揺動部33及び撮影部34に到達する時刻をそれぞれ算出し、次のステップSP34に移る。
【0070】
ステップSP34において制御部4は、搬送処理部21の制御によって、搬送部31により分包袋110を揺動部33の位置まで搬送し、次のステップSP35に移る。ステップSP35において制御部4は、揺動処理部22(
図4)によって、揺動部33により分包袋110を揺動させ、次のステップSP36に移る。これにより分包袋110では、袋状部113内で薬剤Mが上下方向に重なっていたとしても、この重なりを崩して分散させることが期待される。
【0071】
ステップSP36において制御部4は、搬送処理部21の制御によって、搬送部31により分包袋110を撮影部34の位置まで搬送し、次のステップSP37に移る。ステップSP37において制御部4は、撮影処理部23(
図4)によって、撮影部34により分包袋110を撮影して分包袋画像PB(
図8(A))を生成し、当該分包袋110の順序を表す数字と対応付けて当該分包袋画像PBを記憶部20に記憶させ、次のステップSP38に移る。
【0072】
ステップSP38において制御部4は、解析処理部24(
図4)によって、分包袋画像PBにおける各薬剤Mの位置を判定し、次のステップSP39に移る。具体的に解析処理部24は、まず
図15(A)に示すように、縦方向及び横方向に沿った複数の分割線LDにより、分包袋画像PBを複数の領域に分割する。このとき分割線LDは、分包袋110における袋状部113の部分を縦方向及び横方向に概ね等分割するように、その位置が設定される。例えば解析処理部24は、分包袋画像PBを縦方向及び横方向にそれぞれ3分割することにより、合計9個の領域に分割する。
【0073】
続いて解析処理部24は、分包袋画像PBから各薬剤Mの外形をそれぞれ抽出すると共に、各薬剤Mの中心となる薬剤中心点QMを抽出する。その上で解析処理部24は、抽出した薬剤中心点QMの数、すなわち分包袋画像PBに含まれている薬剤Mの数(以下これを薬剤数と呼ぶ)を計数すると共に、該薬剤中心点QMが含まれる領域の数(以下これを薬剤領域数と呼ぶ)を計数する。
【0074】
ここで、
図15(B)に示したように、薬剤数が4以上であり、且つ薬剤領域数が3以下であった場合は、分包袋110内で薬剤Mが偏って位置しており、各薬剤Mの画像を適切に切り出すことが難しいと推測される。このような場合、当該分包袋110を揺動することにより、このような偏りを解消できる可能性がある。一方、
図15(A)に示すように、薬剤数が4以上であっても薬剤領域数が4以上であった場合や、薬剤数が3以下であった場合には、分包袋110内で薬剤Mが適度に分散した位置にあり、各薬剤Mの画像を適切に切り出すことが可能と推測される。
【0075】
ステップSP39において制御部4は、分包袋110の再揺動が必要であるか否か、具体的には薬剤数が4以上であり且つ薬剤領域数NAが3以下であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは当該分包袋110を揺動部33において再度揺動させるべきであることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP40に移り、搬送処理部21(
図4)の制御によって、搬送部31により分包袋110を揺動部33の位置まで右方向へ搬送し、すなわちこれまでとは逆の方向へ戻すように搬送して揺動部33に到達させ、ステップSP35に戻る。
【0076】
一方、ステップSP39において否定結果が得られると、このことは分包袋画像PBから各薬剤Mの画像(すなわち薬剤画像PM)を適切に切り出し得る可能性が高いことを表している。このとき制御部4は、薬剤監査テーブルT5(
図7)に対し、該分包袋110と対応付けて分包袋画像PBのファイル名を格納すると共に、該分包袋画像PBのファイルを記憶部20に記憶させ、次のステップSP41に移る。また制御部4は、薬剤監査テーブルT5における当該分包袋110の監査状態を未解析に設定する。
【0077】
ステップSP41において制御部4は、後述する解析処理のサブルーチンを実行することにより解析処理を行い、次のステップSP42に移る。この解析処理では、分包袋画像PBから各薬剤Mの薬剤画像PMを切り出すと共に、各薬剤Mの形状及び大きさからその種類を判定し、さらに各薬剤Mの種類ごとの数を集計するようになっている。
【0078】
ステップSP42において制御部4は、搬送処理部21の制御によって、搬送部31により分包袋110を搬送空間10の左側へ排出させ、次のステップSP43に移る。ステップSP43において制御部4は、薬剤監査テーブルT5の各監査状態おける未解析の有無を基に、分包袋連続体100(
図2)を構成する全ての分包袋110について分包袋画像PBの撮影及びその解析処理を完了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部4は再度ステップSP32に戻り、次の分包袋110に対し一連の処理を繰り返す。
【0079】
一方、ステップSP43において肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP44に移り、撮影処理手順RT3を終了して元の新規監査処理手順RT2(
図11)に戻る。
【0080】
[2-3.解析処理]
次に、撮影処理手順RT3(
図14)のステップSP41において実行する解析処理について説明する。この解析処理では、1個の分包袋110に関し、分包袋画像PBから各薬剤Mの薬剤画像PMを切り出すと共に各薬剤Mの種類を判定するようになっている。具体的に制御部4は、撮影処理手順RT3においてステップSP41に移ると、
図16に示す解析処理手順RT5をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP51に移る。
【0081】
ステップSP51において制御部4は、解析処理部24(
図4)によって、分包袋画像PBから各薬剤Mの薬剤画像PM(
図8(B))を切り出し、次のステップSP52に移る。ステップSP52において制御部4は、解析処理部24によって、薬剤画像PMのうち種類を未判定であるものを1個選択し、次のステップSP53に移る。以下、このとき選択された薬剤画像PMを選択薬剤画像PMSと呼び、当該選択薬剤画像PMSにより表される薬剤Mを選択薬剤MSと呼ぶ。
【0082】
ステップSP53において制御部4は、解析処理部24によって、選択薬剤画像PMSを基に選択薬剤MSの大きさ及び形状を判定し、次のステップSP54に移る。具体的に解析処理部24は、各薬剤画像PMを基に、各薬剤Mの大きさ(長辺及び短辺の長さ)を算出し、薬剤サイズテーブルT1及び薬剤形状テーブルT2(
図5(A)及び(B))を参照して各薬剤Mの大きさ(「小」や「中」等)及び形状(「円」や「楕円」等)をそれぞれ判定する。
【0083】
ステップSP54において制御部4は、解析処理部24によって、薬剤種類テーブルT3(
図5(C))を参照し、選択薬剤画像PMSの大きさ及び形状と対応する種類を判定し、次のステップSP55に移る。ステップSP55において制御部4は、解析処理部24によって、選択薬剤画像PMSの属性として大きさ、形状及び種類を表す情報を設定し、該選択薬剤画像PMS及びその属性を対応付けて記憶部20に一時的に記憶させてから、次のステップSP56に移る。因みに解析処理部24は、選択薬剤画像PMSのサイズ及び形状が、薬剤種類テーブルT3に登録されている何れの種類とも一致しなかった場合、当該選択薬剤画像PMSの種類を「不明」とする。
【0084】
ステップSP56において制御部4は、分包袋画像PBから切り出された全ての薬剤画像PMについて、種類の判定及び属性の設定を完了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部4は再度ステップSP52に戻り、残りの薬剤画像PMについても種類の判定及び属性の設定を行う。
【0085】
一方、ステップSP56において肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP57に移り、解析処理部24によって薬剤Mの種類毎に数(すなわち種類別薬剤数)を集計すると共に、薬剤画像PMの数である薬剤総数を集計し、その次のステップSP58に移る。ステップSP58において制御部4は、解析処理部24によって、薬剤監査テーブルT5(
図7)に対し、解析結果として、該分包袋110と対応付けて各種類の種類別薬剤数及び各薬剤画像PMのファイル名をそれぞれ格納すると共に薬剤総数を格納し、また監査状態を解析済に変更して、次のステップSP59に移る。ステップSP59において制御部4は、解析処理手順RT5を終了し、元の撮影処理手順RT3(
図14)に戻る。
【0086】
なお解析処理手順RT5については、撮影処理手順RT3(
図14)のステップSP41からサブルーチンとして実行される形態に限らない。例えば解析処理手順RT5は、撮影処理手順RT3と並行して実行されるようにし、該撮影処理手順RT3により順次生成される分包袋画像PBに対し順次解析処理を実行するようにしても良い。これにより、解析処理を完了するまでの所要時間の短縮を図ることが可能となる。
【0087】
[2-4.監査処理]
次に、新規監査処理手順RT2(
図11)のステップSP25において実行する監査処理について説明する。この監査処理では、基準となる基準分包袋と各分包袋110との間で薬剤Mの種類毎の数量をそれぞれ比較し、得られた比較結果に応じて監査状態を設定するようになっている。具体的に制御部4は、新規監査処理手順RT2においてステップSP25に移ると、
図17に示す監査処理手順RT6をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP61に移る。
【0088】
ステップSP61において制御部41は、監査処理部25(
図4)によって、記憶部20に格納されている薬剤監査テーブルT5(
図7)における袋番号が小さいものから所定数(例えば3個)分となる分包袋110の解析結果、すなわち各薬剤画像PMをそれぞれ読み出し、次のステップSP62に移る。
【0089】
ステップSP62において制御部41は、表示処理部26(
図4)によって、
図18(A)に示す基準選択画面SC4をタッチパネル8に表示させ、次のステップSP22に移る。この基準選択画面SC4は、監査処理において基準とするべき分包袋110である基準分包袋をユーザに選択させるための表示画面となっている。
【0090】
具体的に基準選択画面SC4は、上部にメッセージMS41が表示され、最も左側に項目名欄CT4が表示され、その右側に3個の分包袋情報欄FB4(FB41、FB42及びFB43)が表示され、最も右側にその他ボタンBT41が表示されている。
【0091】
メッセージMS41は、例えば「監査の基準とする分包袋を選んでください」といった文章が表示され、ユーザに対し何れかの分包袋情報欄FB4を選択するように促している。項目名欄CT4には、薬剤種類テーブルT3(
図5(C))に格納されている薬剤の種類が縦方向に並べて表示されている。各分包袋情報欄FB4には、それぞれ1個の分包袋110に関する情報が表示される。因みに基準選択画面SC4には、初期状態として、袋番号が1乃至3の分包袋110に関する情報が、分包袋情報欄FB41、FB42及びFB43にそれぞれ表示される。その他ボタンBT41は、ユーザにより押下操作がなされると、所定の分包袋選択画面(図示せず)が表示され、分包袋情報欄FB4に情報を表示する袋番号を選択させることができる。
【0092】
各分包袋情報欄FB4は、
図18(A)の一部を抜き出して
図18(B)に示すように、上側から順に基準選択ボタンBS、分包袋画像PB及び薬剤画像表示欄AMが設けられている。基準選択ボタンBSは、例えば「1包目」のような文字が配置されたボタンであり、分包袋110の袋番号を表すと共に、押下操作が可能なボタンとなっている。分包袋画像PBは、撮影処理手順RT3(
図14)により生成された画像であり、分包袋情報欄FB41の大きさに合わせて、やや縮小された状態で表示される。薬剤画像表示欄AMには、項目名欄CT4に表示された薬剤Mの種類とそれぞれ対応付けて、薬剤画像PMが並べて表示される。
【0093】
なお各分包袋情報欄FB4には、記憶部20に格納されている薬剤監査テーブルT5(
図7)から、各分包袋110に関する解析結果である種々の情報を読み出し、薬剤画像PM等と組み合わせて表示しても良い。具体的には、例えば各分包袋110に収納されている薬剤Mの総数を分包袋画像PBの近傍に表示しても良く、また薬剤Mの種類別薬剤数を項目名欄CT4に表示された薬剤Mの種類と対応付けて表示しても良い。或いは、例えば各分包袋情報欄FB4から分包袋画像PBを省略しても良い。
【0094】
このときユーザは、各分包袋情報欄FB4に表示された表示内容を入念に確認すると共に実際の分包袋110と見比べる等して、基準分包袋とするべき分包袋110を検討し、何れか1個の分包袋110を選択することになる。
【0095】
ステップSP63(
図17)において制御部4は、ユーザから、基準選択画面SC4(
図18(A))における何れかの分包袋情報欄FB4の基準選択ボタンBSに対する押下操作がなされると、当該分包袋情報欄FB4に表示された分包袋110を基準分包袋として決定し、次のステップSP64に移る。このとき監査処理部25は、薬剤監査テーブルT5(
図7)に対し、基準選択ボタンBSが押下された分包袋情報欄FB4と対応する分包袋の監査状態欄に「基準」を格納する。また以下では、基準分包袋以外の分包袋110を比較対象分包袋と呼ぶ。
【0096】
ステップSP64において制御部4は、監査処理部25によって、監査状態が解析済である比較対象分包袋のうち、袋番号が最も小さいものを1個選択して着目分包袋とし、次のステップSP65に移る。ステップSP65において制御部4は、監査処理部25によって、記憶部20に記憶している薬剤監査テーブルT5(
図7)から、基準分包袋及び着目分包袋について、全種類の種類別薬剤数をそれぞれ読み込み、次のステップSP66に移る。
【0097】
ステップSP66において制御部4は、監査処理として、基準分包袋と着目分包袋との間で、各薬剤Mの種類毎に種類別薬剤数を比較し、全種類において一致するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは着目分包袋に適切な種類及び数の薬剤Mが収納されていると見なし得ることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP67に移る。
【0098】
ステップSP67において制御部4は、監査処理部25によって、着目分包袋の監査状態を「OK」に決定し、薬剤監査テーブルT5(
図7)における着目分包袋の監査状態欄にこの「OK」を格納して、次のステップSP69に移る。
【0099】
一方、ステップSP66において否定結果が得られると、このことは少なくとも1種類において種類別薬剤数が一致していないため、ユーザに確認させる必要があることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP68に移る。
【0100】
ステップSP68において制御部4は、監査処理部25によって、着目分包袋の監査状態を「要確認」に決定し、薬剤監査テーブルT5(
図7)における着目分包袋の監査状態欄にこの「要確認」を格納して、次のステップSP69に移る。また以下では、監査状態が要確認である分包袋110を要確認分包袋とも呼ぶ。
【0101】
ステップSP69において制御部4は、全ての分包袋110について監査処理を行ったか否か、すなわち薬剤監査テーブルT5(
図7)における全ての監査状態欄がOK又は要確認の何れかに変更されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは監査状態が解析済のままである分包袋110、すなわち解析処理が実行済であるものの監査処理が未実行である分包袋110がまだ残っていることを表している。このとき制御部4は、ステップSP64に戻り、残りの分包袋110の監査状態を決定する。
【0102】
一方、ステップSP69において肯定結果が得られると、このことは分包袋連続体100(
図2)を構成する全ての分包袋110について監査状態が決定されたことを表している。このとき制御部4は、次のステップSP70に移り、監査処理手順RT6を終了して元の新規監査処理手順RT2(
図11)に戻る。
【0103】
なお監査処理手順RT6については、新規監査処理手順RT2(
図11)のステップSP25からサブルーチンとして実行される形態に限らない。例えば監査処理手順RT6は、解析処理手順RT5(
図16)と並行して実行されるようにし、該解析処理手順RT5により各分包袋110の解析結果が得られる度に、当該解析結果を基に監査処理を逐次実行するようにしても良い。これにより、監査処理を完了するまでの所要時間の短縮を図ることが可能となる。
【0104】
[2-5.監査結果表示処理]
次に、新規監査処理手順RT2(
図11)のステップSP26において実行する監査結果表示処理について説明する。この監査結果表示処理では、監査処理の結果を表示してユーザに確認させると共に、「要確認」である分包袋について対処方針に応じて監査状態を変更させるようになっている。具体的に制御部4は、新規監査処理手順RT2においてステップSP26に移ると、
図19及び
図20に示す監査結果表示処理手順RT7をサブルーチンとして開始し、最初のステップSP71に移る。
【0105】
ステップSP71において制御部4は、表示処理部26(
図4)によって、表示すべき分包袋の範囲を表す表示範囲を、袋番号の小さい方から順に表示されるよう初期化し、次のステップSP72に移る。例えば表示処理部26は、基準分包袋の袋番号が「1」であった場合、これに続く袋番号「2」及び「3」を表示範囲の初期値として設定する。
【0106】
ステップSP72において制御部4は、表示処理部26によって、基準分包袋及び表示範囲の各分包袋110について、薬剤監査テーブルT5(
図7)から各種情報を読み込み、次のステップSP73に移る。
【0107】
ステップSP73において制御部4は、表示処理部26によって、
図21(A)に示す監査結果画面SC5をタッチパネル8に表示させ、次のステップSP74に移る。この監査結果画面SC5は、各対象分包袋についての監査処理の結果を基準分包袋と比較しながらユーザに提示するための表示画面となっている。
【0108】
具体的に監査結果画面SC5は、基準選択画面SC4(
図18)と一部類似した構成となっており、最も左側に項目名欄CT5が表示され、その右側に基準情報欄FS5が表示され、その右側に分包袋情報欄FB5(FB51及びFB52)が表示され、最も右側に監査完了・中断ボタンBT51が表示されている。
【0109】
項目名欄CT5は、最上部近傍に袋番号を表す「No.」が表示され、上下方向の中央付近に分包袋110に収納されている薬剤総数が表示され、その下側に項目名欄CT4(
図18)と同様に薬剤種類テーブルT3(
図5(C))に格納されている薬剤の種類が縦方向に並べて表示されている。
【0110】
監査完了・中断ボタンBT51は、監査処理を完了又は中断するためのボタンである。薬剤監査テーブルT5(
図7)に格納された各分包袋110の監査状態に要確認が含まれていない場合、監査完了・中断ボタンBT51には「監査完了」の文字列が表示され、押下操作により監査処理の完了が可能となる。一方、薬剤監査テーブルT5(
図7)に格納された各分包袋110の監査状態に要確認が1個以上含まれていた場合、監査完了・中断ボタンBT51には「監査中断」の文字列が表示され、押下操作により監査処理の中断が可能となる。
【0111】
基準情報欄FS5は、基準分包袋に関する情報を表示する部分である。この基準情報欄FS5は、
図21(A)の一部を抜き出して
図21(B)に示すように、上側から順に袋番号欄NB5、監査状態表示欄LN5、分包袋画像PB、メモ欄ME5、薬剤総数欄NP5、薬剤画像表示欄AM5及び基準再選択ボタンBS5が表示されている。袋番号欄NB5には、基準分包袋の袋番号が表示される。監査状態表示欄LN5には、基準分包袋の監査状態である「基準」が表示される。分包袋画像PBは、撮影処理手順RT3(
図14)により生成された画像であり、基準情報欄FS5の大きさに合わせて、やや縮小された状態で表示される。薬剤総数欄NP5には、薬剤総数が表示される。薬剤画像表示欄AM5は、左側ないし中央に、項目名欄CT5に表示された薬剤Mの種類とそれぞれ対応付けて各薬剤画像PMが並べて表示され、その右側の薬剤数欄NM5に種類別薬剤数が表示される。基準再選択ボタンBS5は、「基準再選択」と表示されたボタンであり、押下された場合、基準分包袋を再度選択することができる。
【0112】
分包袋情報欄FB5は、各分包袋110に関する情報を表示する部分であり、概ね基準情報欄FS5と同様に構成されているもの、基準選択ボタンBSに代えて修正ボタンBC5及び無視ボタンBG5が設けられている点において相違している。修正ボタンBC5は、ユーザにより押下操作されると、監査状態を「修正」に切り替える。無視ボタンBG5は、ユーザにより押下操作されると、監査状態を「無視」に切り替える。なお基準情報欄FS5及び分包袋情報欄FB5においては、分包袋画像PBの表示を省略しても良い。
【0113】
監査状態表示欄LNには、当該分包袋110の監査状態がそれぞれ表示される。またこの監査状態表示欄LNは、当該分包袋110に関する詳細な情報を表す詳細画面(詳しくは後述する)を表示するための操作ボタンにもなっている。
【0114】
ステップSP74(
図19)において制御部4は、表示処理部26によって、監査結果画面SC5(
図21(A))においてユーザに注意を促すべき箇所を強調表示し、次のステップSP75に移る。具体的に表示処理部26は、例えば
図21(A)と対応する
図22に示すように、分包袋情報欄FB6の分包袋情報欄FB61及びFB62において、監査状態が「OK」以外であった場合、監査状態表示欄LN61及びLN62の背景部分を通常とは異なる色、例えば赤色や黄色等とすることにより強調する。
【0115】
また表示処理部26は、
図22に示すように、各分包袋情報欄FB6において薬剤総数及び各種類別薬剤数のうち基準分包袋と異なる箇所を、他と異なる表示方法、例えば反転表示とすることにより強調する。具体的に
図22では、分包袋情報欄FB61における薬剤総数の数字「4」の箇所と、薬剤Mの種類「中・円」における薬剤数の数字「1」の箇所が、反転表示により強調されている。
【0116】
ステップSP75において制御部4は、監査処理部25によって、薬剤監査テーブルT5(
図7)における全ての分包袋の監査状態を参照し、要確認が1個以上あるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは監査状態が要確認であった分包袋110のうち少なくとも1個についてユーザによる確認の作業が行われていないため、監査処理を完了できないものの、中断であれば可能であることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP76に移る。ステップSP76において制御部4は、表示処理部26によって、監査結果画面SC6(
図22)に示したように、監査完了・中断ボタンBT61に「監査中断」の文字を表示させ、次のステップSP78に移る。
【0117】
一方、ステップSP75において否定結果が得られると、このことは監査状態が要確認であった全ての分包袋110についてユーザにより確認の作業がなされたため、監査処理を完了できる状態となったことを表している。このとき制御部4は、次のステップSP77に移る。ステップSP77において制御部4は、表示処理部26によって、監査結果画面SC5(
図21)に示したように、監査完了・中断ボタンBT51に「監査完了」の文字を表示させ、次のステップSP78に移る。
【0118】
ステップSP78において制御部4は、表示処理部26によって、修正ボタンBC5が押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このとき制御部4は次のステップSP79に移る。ステップSP79において制御部4は、監査処理部25によって、当該分包袋110の監査状態を修正に変更した後、ステップSP72に戻る。これにより、例えば
図23に示す監査結果画面SC7における分包袋情報欄FB71のように、監査状態表示欄LN71に監査状態として「修正」が表示されることになる。一方、ステップSP78において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP80に移る。
【0119】
ステップSP80において制御部4は、表示処理部26によって、無視ボタンBG5が押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このとき制御部4は次のステップSP81に移り、監査処理部25によって当該分包袋110の監査状態を無視に変更した後、ステップSP72に戻る。これにより、例えば
図23に示した監査結果画面SC7における分包袋情報欄FB72のように、監査状態表示欄LN72に監査状態として「無視」が表示されることになる。一方、ステップSP80において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP82に移る。
【0120】
ステップSP82において制御部4は、監査状態表示欄LNが押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはユーザに当該分包袋110に関する詳細な情報を確認する意思があるものと推測される。このとき制御部4は、次のステップSP83に移る。
【0121】
ステップSP83において制御部4は、サブルーチンとして
図24に示す詳細表示処理手順RT10を開始し、最初のステップSP101に移る。ステップSP101において制御部4は、表示処理部26によって、
図25に示す詳細画面SC8をタッチパネル8に表示させ、次のステップSP102に移る。
【0122】
詳細画面SC8は、1個の分包袋110に関する情報を画面の広い範囲に渡って大きく表示したものであり、左上側に分包袋画像PBが比較的大きく表示される。詳細画面SC8における左右方向の中央部分には、上側から順に袋番号欄NB8、監査状態表示欄LN8、メモ欄ME8、薬剤総数欄NP8及び薬剤画像表示欄AM8が表示されている。この薬剤画像表示欄AM8は、左側に薬剤Mの種類(「丸・小」等)が上下方向に並べて表示され、その右側に各種類の薬剤画像PMがそれぞれ表示され、さらにその右側の薬剤数欄NMにそれぞれの種類別薬剤数が表示される。また薬剤総数及び各種類別薬剤数の数字は、監査結果画面SC5等と同様に、基準分包袋と値が異なる箇所のみ強調されており、具体的には他の箇所と異なる反転表示となっている。
【0123】
詳細画面SC8の右側部分には、上側から順にメモ欄ME8、修正ボタンBC8、無視ボタンBG8、及び戻るボタンBK8が表示される。メモ欄ME8は、ユーザによりメモとして入力された文字列を表示する。またメモ欄ME8は、操作ボタンとしても機能し、押下操作されるとユーザによる文字の入力や修正が可能となる(詳しくは後述する)。修正ボタンBC8は、「修正」の文字列が表示されており、監査結果画面SC5の修正ボタンBC5(
図21(A))と同様、押下操作により当該分包袋110の監査状態を修正に変更する。無視ボタンBG8は、「無視」の文字列が表示されており、監査結果画面SC5の無視ボタンBG5(
図21(A))と同様、押下操作により当該分包袋110の監査状態を無視に変更する。戻るボタンBK8は、「一覧へ戻る」の文字列が表示されており、押下操作により、詳細画面SC8の表示を終了して監査結果画面SC5(
図21)の表示に戻る。
【0124】
ステップSP102において制御部4は、詳細画面SC8のメモ欄ME8が押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはユーザに当該分包袋110に関するメモを入力又は更新する意図があることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP103に移る。
【0125】
ステップSP103において制御部4は、所定の文字入力画面(図示せず)をタッチパネル8に表示することにより、ユーザにメモの内容を表す文字を入力させ、又は更新させる。また制御部4は、この文字入力画面において文字入力を終了する所定の操作を受け付けると、入力又は更新された文字列を薬剤監査テーブルT5(
図7)における当該分包袋110のメモ欄に格納し、再度ステップSP101に戻る。なお、ここで入力されたメモの文字列は、その後に表示される詳細画面SC8(
図25)のメモ欄ME8や、監査結果画面SC7(
図23)における分包袋情報欄FB72のメモ欄ME72等に表示される。
【0126】
一方、ステップSP102において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP104に移り、修正ボタンBC8が押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP105に移り、監査結果表示処理手順RT7(
図19)のステップSP79と同様、監査処理部25によって、当該分包袋110の監査状態を修正に変更した後、ステップSP109に移る。
【0127】
一方、ステップSP104において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP106に移り、無視ボタンBG8が押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP107に移り、監査結果表示処理手順RT7(
図19)のステップSP81と同様、監査処理部25によって、当該分包袋110の監査状態を修正に変更した後、ステップSP109に移る。
【0128】
一方、ステップSP106において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP108に移り、戻るボタンBK8が押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは詳細画面SC8において何れのボタンも押下操作されていないため、現在の表示内容を継続すべきであることを表している。このとき制御部4は再度ステップSP101に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0129】
一方、ステップSP108において肯定結果が得られると制御部4は次のステップSP109に移る。ステップSP109において制御部4は、詳細表示処理手順RT10を終了し、元の監査結果表示処理手順RT7(
図19)に戻り、ステップ83からステップSP72に戻る。
【0130】
一方、ステップSP82において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP84に移る。ステップSP84において制御部4は、表示処理部26によって、表示範囲を変更する操作指示があったか否かを判定する。具体的に表示処理部26は、例えば監査結果画面SC5(
図21(A))における分包袋情報欄FB5の部分に対し、左方向又は右方向へ向かうスワイプ操作があったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP85に移る。
【0131】
ステップSP85において制御部4は、項目名欄CT5、基準情報欄FS5及び監査完了・中断ボタンBT51等を維持したまま、スワイプ操作の内容に応じて分包袋情報欄FB5の表示内容を左右方向にスクロールさせて表示範囲を変更し、再度ステップSP72に戻る。
【0132】
例えば、
図21(A)に示した監査結果画面SC5のように表示範囲の袋番号が「2」及び「3」であった状態において、ユーザにより分包袋情報欄FB5の部分に対し左方向へ向かうスワイプ操作がなされた場合を想定する。このとき表示処理部26は、分包袋情報欄FB5の表示内容を徐々に左方向へ移動させ、袋番号「2」の情報を左端部分から徐々に消去すると共に、袋番号「3」の情報の右隣に次の袋番号「4」の情報を左端部分から徐々に表示していく。なお表示処理部26は、スワイプ操作の距離や回数に応じて、分包袋情報欄FB5の表示内容を左方向へ移動させる処理を繰り返す。
【0133】
また、例えば
図22に示した監査結果画面SC6のように表示範囲の袋番号が「5」及び「6」であった状態において、分包袋情報欄FB6の部分に対し右方向へ向かうスワイプ操作がなされた場合を想定する。このとき表示処理部26は、分包袋情報欄FB6の表示内容を徐々に右方向へ移動させ、袋番号「6」の情報を右端部分から徐々に消去すると共に、袋番号「5」の情報の左隣に次の袋番号「4」の情報を右端部分から徐々に表示していく。なお表示処理部26は、スワイプ操作の距離や回数に応じて、分包袋情報欄FB5の表示内容を右方向へ移動させる処理を繰り返す。
【0134】
一方、ステップSP84において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP86に移る。ステップSP86において制御部4は、監査結果画面SC5(
図21(A))等の完了・中断ボタンBT51等に対し押下操作がされたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは監査結果画面SC5等において何ら押下操作がされていないため、現在の表示内容を継続すべきであることを表している。このとき制御部4は再度ステップSP72に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0135】
一方、ステップSP86において肯定結果が得られると、このことは、ユーザが監査結果の表示を終了又は中断する意思を有していることを表している。このとき制御部4は、各分包袋110の監査状態に応じた処理を行うべく、次のステップSP87(
図20)に移る。
【0136】
ステップSP87において制御部4は、ステップSP75(
図19)と同様に、監査処理部25によって、薬剤監査テーブルT5(
図7)における全ての分包袋の監査状態を参照し、要確認が1個以上あるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは現在実行中の監査処理を完了することはできないものの、中断をすることは可能であることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP88に移る。
【0137】
ステップSP88において制御部4は、
図26に示すように、監査結果画面SC6等に重ねるようにして中断確認画面SC10を表示し、次のステップSP89に移る。この中断確認画面SC10には、上側にメッセージMS10が表示されており、その下側における左側に中断ボタンBN10が表示され、その右側にキャンセルボタンBC10が表示されている。
【0138】
メッセージMS10は、例えば「監査を中断しますか?」といった文字列が表示されており、ユーザに対し監査を中断するか否かを問いかけると共に、中断ボタンBN10又はキャンセルボタンBC10の何れかを押下操作するように促している。中断ボタンBN10は、監査の中断を指示するためのボタンである。キャンセルボタンBC10は、監査を中断せずに直前の監査結果画面SC6等に戻るためのボタンである。
【0139】
ステップSP89において制御部4は、中断ボタンBN10が押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはキャンセルボタンBC10が押下操作されたため、直前の監査結果画面SC6等を再度表示する必要があることを表している。このとき制御部4は、再度ステップSP72(
図19)に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0140】
一方、ステップSP89において肯定結果が得られると、このことは現在実行中の監査を中断する必要があることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP90に移り、薬剤監査テーブルT5(
図7)に未保存の情報があれば該薬剤監査テーブルT5に保存し、次のステップSP96に移る。
【0141】
また、ステップSP87において否定結果がられると、このことは全ての分包袋110の監査状態に要確認が残っていないため、現在実行中の監査を完了し得ることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP91に移る。
【0142】
ステップSP91において制御部4は、監査処理部25によって、薬剤監査テーブルT5(
図7)における全ての分包袋の監査状態を参照し、修正が1個以上あるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは現在の監査を完了し得ることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP92に移る。
【0143】
ステップSP92において制御部4は、表示処理部26によって、
図27に示すように、初期画面SC1(
図10)に監査完了通知画面SC11を重ねた状態で表示する。この監査完了通知画面SC11は、上側にメッセージMS11が表示され、その下側にOKボタンBT11が表示されている。メッセージMS11は、例えば「監査が完了しました。」といった文字列であり、ユーザに対し監査が完了したことを通知する。OKボタンBT11は、押下操作されると監査完了通知画面SC11を消去し、初期画面SC1(
図10)のみを表示した状態に戻り、次のステップSP96に移る。
【0144】
一方、ステップSP91において肯定結果が得られると、このことは、ユーザに対し修正作業を行うか否かについて確認する必要があることを表している。このとき制御部4は、次のステップSP93に移り、表示処理部26によって、
図28に示すように、初期画面SC1(
図10)に修正確認画面SC12を重ねた状態で表示して、その次のステップSP94に移る。
【0145】
この修正確認画面SC12は、上側にメッセージMS12が表示され、その下側における左側に修正ボタンBR12が表示され、その右側にキャンセルボタンBC12が表示されている。メッセージMS12は、例えば「監査が完了しました。監査の修正が必要な分包袋があります。すぐに修正・再監査を行いますか?」といった文字列であり、ユーザに対し監査が完了したことを通知すると共に修正作業を直ちに行うか否かを尋ねている。修正ボタンBR12は、押下操作された場合、ユーザに直ちに修正作業を行う意思があり、且つ再度の監査処理(すなわち再監査)を実行する方針であることを表す。キャンセルボタンBC12は、押下操作された場合、ユーザが直ちに修正作業を行わない方針であることを表す。
【0146】
ステップSP94において制御部4は、修正ボタンBR12が押下操作されたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、制御部4は次のステップSP95に移り、サブルーチンとして修正処理を実行する。制御部4は、この修正処理において、監査状態が修正である分包袋110のみを対象として、撮影処理手順RT3(
図14)、解析処理手順RT5(
図16)、監査処理手順RT6(
図17)及び監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)を順次実行する。一方、ステップSP94において否定結果が得られると、制御部4は次のステップSP96に移る。
【0147】
ステップSP96において制御部4は、監査結果表示処理手順RT7を終了して元の新規監査処理手順RT2(
図11)のステップSP26に戻り、次のステップSP27に移って当該新規監査処理手順RT2を終了する。これに伴い制御部4は、薬剤監査支援処理手順RT1(
図9)のステップSP3からステップSP1に戻り、初期画面SC1(
図10)を表示する。
【0148】
なお監査結果表示処理手順RT7については、新規監査処理手順RT2(
図11)のステップSP26からサブルーチンとして実行される形態に限らない。例えば監査結果表示処理手順RT7は、監査処理手順RT6(
図7)と並行して実行されるようにし、該監査処理手順RT6により各分包袋110の監査結果が得られる度に、当該監査結果を基に監査結果を順次表示するようにしても良い。これにより、監査結果を表示するまでの待機時間の短縮を図ることが可能となる。
【0149】
[2-6.過去監査修正処理]
次に、薬剤監査支援処理手順RT1(
図9)のステップSP5において実行する過去監査修正処理について説明する。この過去監査修正処理では、薬剤監査支援装置1において分包袋連続体100に関し過去に行った監査処理に関する情報を修正するようになっている。具体的に制御部4は、まず表示処理部26(
図4)によって、
図29に示す修正監査選択画面SC21をタッチパネル8(
図1)に表示させる。
【0150】
修正監査選択画面SC21は、上側にメッセージMS21が表示されており、その下側に複数の選択ボタンBN(BN1、BN2及びBN3)が上下方向に沿って整列配置されている。メッセージMS21は、例えば「修正する監査を選択してください」といった文字列が表示されており、ユーザに対し何れかの選択ボタンBNを押下操作するよう促している。各選択ボタンBNは、長方形状に形成されており、その右側に一意の管理番号や当該監査が実行された日時等が表示される。
【0151】
なお修正監査選択画面SC21には、例えば各選択ボタンBN内に管理番号や日時、或いは基準分包袋の分包袋画像PB等を表示しても良く、或いは例えば各選択ボタンBNの右側に分包袋110の総数や監査状態が「要確認」である分包袋110の数等を表示しても良い。すなわち修正監査選択画面SC21には、各選択ボタンBNと対応付けて、当該監査に関する種々の情報を表示しても良い。
【0152】
制御部4は、修正監査選択画面SC21において何れかの選択ボタンBNが押下操作されると、選択された監査の薬剤監査テーブルT5(
図7)を記憶部20から読み出し、
図30に示す監査修正画面SC22を表示する。この監査修正画面SC22は、監査結果画面SC7(
図23)等と類似した構成であるものの、監査完了・中断ボタンBT71等に代えて修正開始ボタンBT22が表示されている。またこのとき制御部4は、分包袋情報欄FB22において、監査状態が修正である分包袋110についてのみ抽出した状態で各情報を表示する。
【0153】
制御部4は、この監査修正画面SC22を表示した状態において修正開始ボタンBT22が押下操作されると、修正監査処理を開始する。制御部4は、この修正監査処理において、監査状態が修正である分包袋110についてのみを対象として、撮影処理手順RT3(
図14)、解析処理手順RT5(
図16)、監査処理手順RT6(
図17)及び監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)を順次実行する。このとき制御部4は、新たに得られた監査結果により薬剤監査テーブルT5(
図7)を適宜上書きし、更新する。
【0154】
[2-7.中断監査再開処理]
次に、薬剤監査支援処理手順RT1(
図9)のステップSP7において実行する中断監査再開処理について説明する。この中断監査再開処理では、薬剤監査支援装置1において分包袋連続体100に関し過去に行った監査処理のうち中断したものについて、監査処理を再開するようになっている。
【0155】
具体的に制御部4は、まず表示処理部26(
図4)によって、所定の中断監査選択画面(図示せず)をタッチパネル8(
図1)に表示させる。この中断監査選択画面は、修正監査選択画面SC21(
図29)と類似した構成であり、過去に中断された監査に関する情報が表示される。
【0156】
制御部4は、この中断監査選択画面において何れかの監査が選択されると、選択された監査の薬剤監査テーブルT5(
図7)を記憶部20から読み出し、監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)を実行する。
【0157】
[2-8.過去監査確認処理]
次に、薬剤監査支援処理手順RT1(
図9)のステップSP9において実行する過去監査確認処理について説明する。この過去監査確認処理では、薬剤監査支援装置1において分包袋連続体100に関し過去に行った監査処理について、監査の結果を表示するようになっている。
【0158】
具体的に制御部4は、まず表示処理部26(
図4)によって、所定の過去監査選択画面(図示せず)をタッチパネル8(
図1)に表示させる。この過去監査選択画面は、修正監査選択画面SC21(
図29)と類似した構成であり、過去に行われた監査に関する情報が表示される。
【0159】
制御部4は、この過去監査選択画面において何れかの監査が選択されると、選択された監査の薬剤監査テーブルT5(
図7)を記憶部20から読み出し、監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)を実行する。
【0160】
[3.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による薬剤監査支援装置1は、撮影処理、解析処理及び監査処理を行った後の監査結果表示処理において、監査結果画面SC5(
図21(A))の分包袋情報欄FB5に各分包袋110に関する情報を表示する。このとき薬剤監査支援装置1は、各分包袋110の監査状態及び分包袋画像PBに加えて、該分包袋画像PBから切り出した各薬剤画像PMを種類毎に分けて表示し、それぞれの種類別薬剤数と、これらを合計した薬剤総数とを合わせて表示する。
【0161】
このため薬剤監査支援装置1は、薬剤師等のユーザに対し、「OK」や「要確認」といった監査状態に加えて、最初に撮影された分包袋画像PB、種類毎に分けられた各薬剤Mの薬剤画像PM、種類別薬剤数、並びに薬剤総数を全て視認させることができる。これにより薬剤監査支援装置1は、ユーザに対し、鑑別処理の結果として鑑別状態を提示するのみで無く、解析処理や監査処理において鑑別状態を決定する際に利用された種々の情報についても視覚的に確認させることができる。
【0162】
すなわち薬剤監査支援装置1は、例えば監査状態が「要確認」であった分包袋110に関し、分包袋画像PBを視認させ得ると共に、各薬剤Mの薬剤画像PMを種類毎に分けた状態で視認させることができる。このため薬剤監査支援装置1は、分包袋110に問題があり監査状態が正しいのか、或いは監査状態が誤っており分包袋110に薬剤Mが適切に収納されているのか、といったことを、ユーザに極めて容易に判断させることができる。
【0163】
これを換言すれば、薬剤監査支援装置1では、原理上、分包袋110内における薬剤Mの配置等によっては、撮影部34により撮影された分包袋画像PBから各薬剤画像PMを適切に切り出し得ない可能性があり、誤った監査結果が得られる場合が考えられる。しかし薬剤監査支援装置1では、監査状態を決定するための判定材料となる分包袋画像PB、各薬剤画像PM、該薬剤画像PMから判定された当該薬剤Mの種類、並びに集計された数を提示しているため、ユーザに対し、当該判定の過程を容易に追跡させることができる。
【0164】
また薬剤監査支援装置1では、監査結果画面SC5(
図21(A))において、基準分包袋及び各比較対象分包袋のそれぞれについて、薬剤総数及びそれぞれの種類別薬剤数を数字により表すようにした。これにより薬剤監査支援装置1は、分包袋画像PBの数をユーザに数えさせる必要が無く、数字同士を見比べさせるだけで差異の有無や差異が生じている薬剤Mの種類を極めて短時間で認識させることができる。
【0165】
これにより薬剤監査支援装置1は、ユーザが自ら確認すべき箇所を容易に特定させることができるので、当該ユーザに対し余分な確認作業等を行わせることが無く、必要最小限の作業により適切な監査結果を提供することができる。すなわち薬剤監査支援装置1は、ユーザから高い信頼性を得ることができ、監査結果を積極的に利用することにより当該ユーザが監査に要する時間の短縮や必要な労力の軽減を図ることができる。特に薬剤監査支援装置1は、1個の分包袋110に収納される薬剤Mの数が比較的多い場合や、1個の分包袋連続体100を構成する分包袋110の数が比較的多い場合に、ユーザが監査に要する時間の短縮度合や必要な労力の軽減度合を格段に高めることができる。
【0166】
また薬剤監査支援装置1は、監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)のステップSP74において、監査結果画面SC6(
図22)のように、各分包袋情報欄FB6において、各分包袋110の薬剤総数及び各種類別薬剤数のうち基準分包袋と異なる箇所を反転表示として強調するようにした。このため薬剤監査支援装置1は、基準分包袋との間で薬剤総数及び各種類別薬剤数に関して差異がある箇所をユーザに容易に視認させることができ、その後の確認等の作業を極めて円滑に進めさせることができる。
【0167】
さらに薬剤監査支援装置1は、監査処理手順RT6(
図17)のステップSP62及びSP63等において、基準選択画面SC4(
図18)をユーザに提示し、監査処理において基準とする基準分包袋を当該ユーザに選択させるようにした。このため薬剤監査支援装置1では、当該ユーザが入念に確認して問題が無いことを納得できた分包袋を基準分包袋として選択させることができるので、その後に行われる監査処理の結果に対する信頼感を高めることができる。
【0168】
また別の観点から見ると、薬剤監査支援装置1は、分包袋連続体100における何れかの分包袋110から選択された基準分包袋と、他の比較対象分包袋との間で、薬剤総数や各種類別薬剤数を相互に比較するため、正解とすべき薬剤Mの画像を予め登録しておく必要が無い。換言すれば、薬剤監査支援装置1は、ユーザに対し、正解とすべき薬剤Mの画像を予め記憶部20に記憶させる必要が無い。このため薬剤監査支援装置1は、事前の登録処理等をユーザに行わせる必要が無く、極めて容易に監査処理等を行わせることができる。これにより薬剤監査支援装置1は、仮に新たな薬剤Mが登場したような場合であっても、ユーザに事前の登録処理等を行わせることなく、薬剤監査支援処理を直ちに開始することができる。
【0169】
さらに薬剤監査支援装置1は、各比較対象分包袋の監査状態を、監査処理においてOK又は要確認とすることに加えて、監査の結果をユーザに確認させた上で、当該ユーザに当該監査状態を修正又は無視に変更させるようにした(
図6並びに
図19のステップSP78~SP81等)。これにより薬剤監査支援装置1は、ユーザが監査結果を確認した上で決定した対処の方針を新たな監査状態として保持することができ、当該方針に応じた適切な処理を実行できる。すなわち薬剤監査支援装置1は、例えば監査状態が修正に変更された場合、ユーザにより当該分包袋110に対する修正作業が行われた後に、当該分包袋110についての再度の撮影処理、解析処理や監査処理等、追加的に必要となる処理についても、続けて実行することができる。
【0170】
さらに薬剤監査支援装置1は、監査処理において監査状態が要確認となった分包袋110が1個以上あった場合、ユーザが監査結果表示処理を終了する意思を有していたとしても、当該監査を完了させるのではなく中断させるようにした。また薬剤監査支援装置1は、中断された監査の情報を保存しておき、後に当該監査の続きを再開できるようにした。このため薬剤監査支援装置1は、ユーザに対し監査状態が要確認となっている分包袋110が残っているか否かを容易に認識させることができ、また中断された監査を再開した場合には、要確認のまま残っている分包袋110を中心に、当該ユーザに効率良く確認の作業を行わせることができる。
【0171】
さらに薬剤監査支援装置1は、監査を完了した後も、完了した監査の修正や確認を行い得るようにした。これにより薬剤監査支援装置1は、過去に行われ既に完了した監査についてユーザが内容の修正や参照を行いたい場合に、記憶部20から該当する薬剤監査テーブルT5(
図7)を読み出すことにより、監査処理を行った直後と同様に、監査結果の詳細な情報を確認させ、また適宜修正させることができる。
【0172】
ところで各分包袋110に収納される薬剤Mの種類及び数に関しては、例えば1種類且つ1個の場合や、1種類且つ複数個の場合、或いは複数種類且つ複数個の場合等、様々な組み合わせが考えられる。しかし薬剤監査支援装置1は、いずれの場合においても、監査結果画面SC5(
図21)において薬剤総数及び種類別薬剤数をそれぞれ表示するため、ユーザに対し、薬剤Mの種類ごとの数を容易に認識させると共に、他の種類の薬剤Mの混入や、該薬剤Mが割れていること等についても、容易に把握させることができる。
【0173】
以上の構成によれば、本実施の形態による薬剤監査支援装置1は、監査処理の後の監査結果表示処理において、監査結果画面SC5の分包袋情報欄FB5に各分包袋110に関する情報を表示する。このとき薬剤監査支援装置1は、各分包袋110の監査状態及び分包袋画像PBに加えて、該分包袋画像PBから切り出した各薬剤画像PMを種類毎に分けて表示し、それぞれの種類別薬剤数と、これらを合計した薬剤総数とを合わせて表示することにより、これらをユーザに視認させることができる。これにより薬剤監査支援装置1は、ユーザに対し、鑑別状態に加えて当該鑑別状態を決定する過程で利用された種々の情報についても視覚的に確認させ、当該鑑別状態の妥当性を容易に認識させると共に、追加的に行う作業に要する時間や労力を十分に抑えることができる。
【0174】
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)のステップSP74において、監査結果画面SC6(
図22)のように、各分包袋情報欄FB6において薬剤総数及び各種類別薬剤数のうち基準分包袋と異なる箇所を強調する際に、反転表示とする形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば文字の色や背景の色を他の部分と変更し、又は文字の大きさやフォント等を変更し、さらには下線や外枠、或いは種々の図形等により装飾を施しても良く、さらには点滅や時間の経過に応じて文字を変形させる等、種々の手法により強調するようにしても良い。また監査状態表示欄LNについても、監査状態に応じて背景の色を変更する以外にも、例えば文字の色や大きさ、或いはフォント等を変更しても良く、さらには下線や外枠、或いは種々の図形等により装飾を施しても良い。
【0175】
また上述した実施の形態においては、監査処理手順RT6(
図17)のステップSP62~SP63において、基準選択画面SC4(
図18(A))をタッチパネル8に表示させ、各分包袋情報欄FB4の内容をユーザに視認させた上で、何れか1個の分包袋110を基準分包袋として選択させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば撮影処理手順RT3(
図14)の開始前に、ユーザに対し目視により基準分包袋とすべき分包袋110を予め選択させ、当該分包袋110の順序を表す数字等を当該ユーザに入力させることにより、基準分包袋を設定しても良い。
【0176】
さらに上述した実施の形態においては、監査結果表示処理手順RT7(
図19及び
図20)のステップSP71において、表示範囲を袋番号の小さい方から順に表示されるよう初期化する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば監査状態が要確認であった袋番号のみを抽出し、当該抽出した袋番号のうち小さい方から順に表示されるよう初期化しても良い。或いは、例えば監査結果画面SC5(
図21(A))の右上部分等に「要確認抽出ボタン」(図示せず)を設け、該要確認抽出ボタンが押下操作されると、監査状態が要確認の分包袋110のみを抽出して情報を表示するようにしても良い。或いは、監査状態が「修正」の分包袋110のみを抽出して情報を表示する「修正抽出ボタン」や、監査状態が「無視」の分包袋110のみを抽出して情報を表示する「無視抽出ボタン」等を設けても良い。
【0177】
さらに上述した実施の形態においては、監査結果画面SC5(
図21(A))において、基準情報欄FS5及び各分包袋情報欄FB5にそれぞれ分包袋画像PB(
図21(B))を表示する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば分包袋画像PBを省略しても良い。
【0178】
さらに上述した実施の形態においては、監査結果画面SC5(
図21(A))において、基準情報欄FS5及び各分包袋情報欄FB5にそれぞれメモ欄ME5(
図21(B))を表示する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばメモ欄ME5を省略しても良い。また当該メモ欄ME5については、ユーザにより任意の文字列を入力させる形態に限らず、例えば「切り出し間違い」や「薬剤割れ」等、入力される頻度が比較的高い文字列をプルダウン形式で表示し、ユーザに選択させるようにしても良い。
【0179】
さらに上述した実施の形態においては、監査結果画面SC5(
図21(A))において、基準情報欄FS5に基準再選択ボタンBS5を表示する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば基準再選択ボタンBS5を省略しても良い。
【0180】
さらに上述した実施の形態においては、監査結果画面SC5(
図21(A))において、各分包袋情報欄FB5に修正ボタンBC5及び無視ボタンBG5を表示する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば修正ボタンBC5及び無視ボタンBG5のうち少なくとも一方を省略しても良い。
【0181】
さらに上述した実施の形態においては、撮影処理手順RT3(
図14)のステップSP39において撮影部34において撮影された分包袋画像PBを基に再揺動が必要であるか否かを判定し、必要であった場合には揺動部33の位置へ逆走して揺動させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば挿入検出部32に撮像素子を設け、該撮像素子により予備撮影処理を行って予備分包袋画像を生成し、当該予備分包袋画像における薬剤Mの位置等を基に、揺動部33において分包袋110を揺動させるか否かを決定し、或いは揺動の度合(強さや時間等)を調整するようにしても良い。
【0182】
さらに上述した実施の形態においては、薬剤Mの形状に関する判定条件として、短辺/長辺比率、境界線の有無及び鋭角の有無又は数を用いる場合について述べた(
図5(B))しかし本発明はこれに限らず、例えば曲線部分における曲率等、種々の条件を適宜組み合わせて用いても良い。
【0183】
さらに上述した実施の形態においては、薬剤サイズテーブルT1(
図5(A))により薬剤Mの大きさを4段階に区分する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば薬剤Mの大きさを3段階以下又は5段階以上に区分しても良い。また薬剤Mの形状に関しては、薬剤形状テーブルT2(
図5(B))のように5種類に区分する形態に限らず、4種類以下又は6種類以上に区分しても良い。さらに薬剤Mの種類に関しては、薬剤種類テーブルT3(
図5(C))のように4種類とする形態に限らず、3種類以下又は5種類以上としても良い。
【0184】
さらに上述した実施の形態においては、薬剤種類テーブルT3(
図5(C))のように薬剤Mのサイズ及び形状の組み合わせを基に当該薬剤Mの種類を規定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば薬剤Mの色や表面の光沢の度合等、他の様々な要素を適宜組み合わせて当該薬剤Mの種類を規定しても良い。
【0185】
さらに上述した実施の形態においては、解析処理部24(
図4)により、各薬剤画像PMを基に各薬剤Mの大きさや形状を判定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば撮影部34の近傍や該撮影部34の内部等にレーザ光の反射等を利用した形状測定センサを設け、当該形状測定センサにより各薬剤Mの大きさや形状を判定しても良い。
【0186】
さらに上述した実施の形態においては、薬剤監査支援装置1(
図1)に監査結果表示装置3を設け、該監査結果表示装置3のタッチパネル8に監査結果画面SC5(
図21(A))等の各画面を表示する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば薬剤監査支援装置1に無線LAN(Local Area Network)等を利用した通信機能を有する通信部を設け、所定のタブレット端末やスマートフォン等と通信接続し得るようにしても良い。この場合、タブレット端末等において所定のアプリケーションやブラウザ等を実行させて当該薬剤監査支援装置1と接続させ、当該タブレット端末等が有するタッチパネル等に監査結果画面SC5等の各画面を表示させることができる。またこの場合、タブレット端末等が有する制御部において、解析処理や監査処理等の各種処理における少なくとも一部を実行するようにしても良い。
【0187】
さらに上述した実施の形態においては、制御部4(
図4)の内部に機能ブロックとして搬送処理部21、揺動処理部22、撮影処理部23、解析処理部24、監査処理部25、表示処理部26及び対応処理部27等を形成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば監査結果表示装置3に設けられた所定の制御部(図示せず)の内部に機能ブロックとして搬送処理部21、揺動処理部22、撮影処理部23、解析処理部24、監査処理部25、表示処理部26及び対応処理部27等を形成しても良い。具体的には、例えば、制御部4の内部に搬送処理部21、揺動処理部22及び撮影処理部23を設け、監査結果表示装置3の制御部内に解析処理部24、監査処理部25、表示処理部26及び対応処理部27を形成しても良い。或いは、例えば、制御部4の内部に搬送処理部21、揺動処理部22、撮影処理部23、解析処理部24及び監査処理部25を設け、監査結果表示装置3の制御部内に表示処理部26及び対応処理部27等を形成しても良い。さらには、例えば薬剤監査支援装置1に上述した通信部を設け、該通信部を介して演算処理機能を有するコンピュータ装置(図示せず)等と接続し、該コンピュータ装置の演算処理部等に解析処理部24及び監査処理部25を形成するようにしても良い。
【0188】
さらに上述した実施の形態においては、制御部4内に形成される撮影処理部23、解析処理部24、監査処理部25及び表示処理部26が、何れも記憶部20(
図4)に各種情報等を記憶させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば撮影処理部23、解析処理部24、監査処理部25及び表示処理部26に対しそれぞれ専用の記憶部を設け、該専用の記憶部にそれぞれの情報を記憶させるようにしても良い。或いは、例えば上述したように薬剤監査支援装置1を外部のコンピュータ装置(図示せず)等と接続させ、該コンピュータ装置の演算処理部等に解析処理部24及び監査処理部25を形成する場合に、該コンピュータ装置内に記憶部を設け、該解析処理部24等の情報を該コンピュータ装置内の記憶部に記憶させても良い。
【0189】
さらに上述した実施の形態においては、分包袋読取装置2(
図1)の下部ユニット5と監査結果表示装置3とを図示しない接続ケーブルにより接続する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば下部ユニット5及び監査結果表示装置3にそれぞれ無線LAN等を利用した無線通信部を設け、両者を無線により接続しても良い。またこの場合、監査結果表示装置3を下部ユニット5に対し着脱可能に構成しても良い。これにより、例えばユーザに該監査結果表示装置3を下部ユニット5から取り外させ、該ユーザが視認しやすい位置に該監査結果表示装置3を設置させることができ、作業効率の向上に寄与することができる。
【0190】
さらに上述した実施の形態においては、制御部4において所定のプログラムを読み出して実行することにより、搬送処理部21(
図4)等の各機能ブロックをソフトウェアにより形成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば搬送処理部21等の各機能ブロックのうち少なくとも一部をハードウェアにより構成しても良い。
【0191】
さらに上述した実施の形態においては、制御部4において実行する各種プログラムを記憶部20に予め記憶させておく形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば各種プログラムのうち少なくとも1個について、薬剤監査支援装置1に無線LANや有線LAN等を利用した通信機能を有する通信部を設け、該通信部及び所定のネットワークを介して接続される所定のサーバ装置等から取得して実行するようにしても良い。また、記憶部20に記憶している薬剤サイズテーブルT1(
図5(A))等の各種データや各種情報についても、少なくとも一部をサーバ装置等から取得するようにしても良い。さらには、例えば薬剤監査支援装置1において生成した薬剤監査テーブルT5をサーバ装置等へアップロードし、他の情報処理装置等において参照又は修正し得るようにしても良い。
【0192】
さらに上述した実施の形態においては、挿入検出部32において上側に発光部を設けると共に下側に受光部を設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば下側に発光部を設けると共に上側に受光部を設けるようにしても良い。排出検出部35についても同様である。
【0193】
さらに上述した実施の形態においては、薬剤サイズテーブルT1、薬剤形状テーブルT2及び薬剤種類テーブルT3(
図5(A)~(C))を記憶部20に予め記憶させておく形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば薬剤サイズテーブルT1及び薬剤形状テーブルT2のうち少なくとも一方を記憶部20に予め記憶させておくようにしても良い。この場合、薬剤種類テーブルT3については、解析処理の結果を基にそれぞれの値を格納することが考えられる。
【0194】
さらに上述した実施の形態においては、複数の分包袋110が連続的に接続された分包袋連続体100を解析処理や監査処理等の対象とし、搬送部31(
図3)によって分包袋連続体100を搬送する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば複数の分包袋110が接続されず互いに分離している場合に、これらの複数の分包袋110を一群のグループとみなして監査処理等の対象とし、各分包袋110を搬送空間10へ順次挿入させて搬送部31により順次搬送しても良い。
【0195】
さらに上述した実施の形態においては、分包袋読取装置2の挿入検出部32(
図3)を光学センサとして構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、種々の手法により分包袋連続体100の存在を検出する種々のセンサとして構成しても良い。一例として、
図31及び
図32に示すように、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置202において、挿入検出部32に代わる挿入検出部232を設けることができる。
【0196】
挿入検出部232は、アーム軸232AX、アーム部232A、スプリング232K及び変位検出部232Sにより構成されている。アーム軸232AXは、前後方向に沿った細長い円柱状の部品であり、上部ユニット206により回転可能に支持されている。アーム部232Aは、前後方向に薄い板状に形成されており、アーム軸232AXにより前後方向に貫通されている。このアーム部232Aは、アーム軸232AXの取付部分から左下方向に向けて延設された細長い棒状のアーム接触部232ACと、アーム軸232AXの取付部分から右上側に向けて扇状に広がる検出板232ADとを有している。
【0197】
スプリング232Kは、アーム部232Aの検出板232ADに対し、アーム軸232AXを中心として矢印R2方向へ回動させるよう付勢している。このスプリング232Kは、例えばアーム接触部232ACから分包袋101に対し、該分包袋101が殆ど変形しない程度の比較的弱い力(例えば10[gf]以下の荷重)を作用させるよう、ばね定数等が適切に選定されている。変位検出部232Sは、例えば光学センサや超音波センサ、或いは磁気センサ等であり、検出板232ADが移動(回動)したことを検出する。
【0198】
挿入検出部232は、分包袋連続体100が搬送空間10内へ挿入されると、該分包袋連続体100の分包袋101によりアーム接触部232ACが左上方向に押し上げられ、アーム軸232AXを中心としてアーム部232Aを矢印R1方向へ回動させる。このとき挿入検出部232は、アーム部232Aの検出板232ADが右下方向へ変位し、該検出板232ADを変位検出部232Sにより検出する。制御部4は、挿入検出部232から得られる検出結果を基に、分包袋連続体100が挿入されたことを認識することができる。また排出検出部35についても、該挿入検出部232と同様の構成としても良い。
【0199】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0200】
さらに上述した実施の形態においては、撮影部としての撮影部34と、解析処理部としての解析処理部24と、監査処理部としての監査処理部25と、表示処理部としての表示処理部26とによって薬剤監査支援システムとしての薬剤監査支援装置1を構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる撮影部と、解析処理部と、監査処理部と、表示処理部とによって薬剤監査支援システムを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明は、例えば薬剤師による分包袋の監査を支援する薬剤監査支援装置で利用できる。
【符号の説明】
【0202】
1……薬剤監査支援装置、2……分包袋読取装置、3……監査結果表示装置、4……制御部、8……タッチパネル、10……搬送空間、20……記憶部、21……搬送処理部、22……揺動処理部、23……撮影処理部、24……解析処理部、25……監査処理部、26……表示処理部、27……対応処理部、31……搬送部、32……挿入検出部、33……揺動部、34……撮影部、35……排出検出部、41……制御部、100……分包袋連続体、101……分包袋、113……袋状部、113S……収納空間、117……周縁部、FB4、FB5、FB6、FB71、FB72……分包袋情報欄、FS5……基準情報欄、LN……監査状態表示欄、LN5、LN71、LN72、LN8……監査状態表示欄、M……薬剤、ME5、ME72、ME8……メモ欄、NB5、NB8……袋番号欄、NM、NM5……薬剤数欄、NP5、NP8……薬剤総数欄、PB……分包袋画像、PM……薬剤画像、SC1……初期画面、SC4……基準選択画面、SC5、SC6、SC7……監査結果画面、SC8……詳細画面、T1……薬剤サイズテーブル、T2……薬剤形状テーブル、T3……薬剤種類テーブル、T4……監査状態テーブル、T5……薬剤監査テーブル。