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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178739
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】薬剤監査支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097112
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】西濃 信晴
(72)【発明者】
【氏名】小川 陽平
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 洋和
(72)【発明者】
【氏名】木田 学武
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA17
4C047KK11
4C047KK30
4C047KK31
(57)【要約】
【課題】保守作業を容易化し得るようにする。
【解決手段】薬剤監査支援装置1は、分包袋読取装置2の開閉部7により下部ユニット5に対し上部ユニット6を回動させ、閉状態又は開状態に遷移させるようにした。分包袋読取装置2は、閉状態であれば、搬送部51の各搬送ローラ対61において、駆動ローラ62に従動ローラ63を当接させて分包袋連続体100を搬送でき、撮影部54において、上側撮影部54Aを下側撮影部54Bと対向させて分包袋画像を良好に撮影できる。その一方で分包袋読取装置2は、閉状態であれば、搬送空間50の上側に隣接する箇所に十分な大きさの取出空間80を形成する。このため薬剤監査支援装置1は、分包袋連続体100の詰まりが発生した場合、ユーザに対し、上部ユニット6を開状態に遷移させ、該分包袋連続体100を上方向ないし前方向へ取り出させる、といった極めて容易な保守作業を行わせれば済む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が収納された分包袋が搬送方向又はその反対方向に搬送される搬送空間が上面に形成された下部ユニットと、
前記搬送空間の上側を閉塞可能な上部ユニットと、
前記下部ユニットに対し前記上部ユニットを複数の状態に遷移可能に支持する遷移支持部と、
前記下部ユニットに設けられた下側搬送部と、前記上部ユニットに設けられた上側搬送部とを有し、前記上側搬送部が前記下側搬送部に当接又は極めて近接された状態で前記分包袋を前記搬送方向又は前記反対方向へ搬送する搬送部と、
前記分包袋を撮影する撮影部と
を具え、
前記遷移支持部は、
前記上部ユニットを閉状態に遷移させた場合、前記搬送空間の上側を当該上部ユニットにより閉塞し、
前記上部ユニットを前記閉状態と異なる開状態に遷移させた場合、前記搬送空間の上側に、前記分包袋を当該搬送空間から取り出させるための取出空間を形成する
ことを特徴とする薬剤監査支援装置。
【請求項2】
前記遷移支持部は、
前記上部ユニットを前記閉状態に遷移させた場合、前記上側搬送部を、前記下側搬送部との間に前記分包袋を挟持可能な位置において対向させ、
前記上部ユニットを前記開状態に遷移させた場合、前記上側搬送部を、前記下側搬送部との間に前記分包袋を挟持し得ない位置に離隔させる
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項3】
前記撮影部は、
前記下部ユニットに設けられた下側撮影部と、前記上部ユニットに設けられた上側撮影部とを有し、前記上側撮影部が前記下側撮影部と対向及び近接した状態で前記分包袋を撮影する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項4】
前記遷移支持部は、
前記上部ユニットを前記閉状態に遷移させた場合、前記上側撮影部を、前記分包袋の撮影が可能な位置において前記下側撮影部と対向させ、
前記上部ユニットを前記開状態に遷移させた場合、前記上側撮影部を、前記分包袋の撮影が可能な位置から離隔させる
ことを特徴とする請求項3に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項5】
前記上側撮影部及び前記下側撮影部は、前記分包袋に光を照射する発光部をそれぞれ具え、
前記撮影部は、前記分包袋に対し、前記上側撮影部から光を照射した状態の画像と、前記下側撮影部から光を照射した状態の画像とをそれぞれ撮影する
ことを特徴とする請求項4に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項6】
前記遷移支持部は、
前記搬送方向と平行な中心軸を回動中心として、前記下部ユニットに対し前記上部ユニットを回動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項7】
前記中心軸は、前記搬送空間よりも上側に設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項8】
前記遷移支持部は、
前記搬送方向と交差する変位方向に沿って、前記下部ユニットに対し前記上部ユニットを変位させる
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項9】
前記搬送空間に前記分包袋が挿入されたことを検出する挿入検出部と、
前記搬送部を制御する制御部と
をさらに具え、
前記制御部は、前記分包袋の搬送を開始する場合、前記搬送部による搬送を停止させた状態において前記挿入検出部により当該分包袋が挿入されたことを検出してから、前記搬送部による搬送を開始させる
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項10】
前記上部ユニットの前記閉状態から前記開状態への遷移を許可又は禁止するロック機構
をさらに具えることを特徴とする請求項1に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項11】
前記ロック機構は、前記上部ユニットに設けられると共に、前記上部ユニットの前記開状態への遷移を禁止した禁止状態から当該遷移を許可した許可状態に切り替えるための解除レバーを有し、
前記解除レバーは、前記上部ユニットを前記下部ユニットから引き離す方向に変位された場合に、前記禁止状態から前記許可状態に切り替える
ことを特徴とする請求項10に記載の薬剤監査支援装置。
【請求項12】
前記搬送部は、複数の前記分包袋が連続的に接続された分包袋連続体を前記搬送方向又は前記反対方向へ搬送する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れかに記載の薬剤監査支援装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤監査支援装置に関し、例えば複数個の薬剤が収納され一包化された分包袋の監査を支援する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、1回の服用機会に複数種類の薬剤を服用する患者のために、予め当該薬剤を1個の分包袋に収納しておく一包化を行うことにより、当該患者が服用時に処方箋に記載された薬剤の種類や数量に基づき、服用する薬剤を準備する負担の軽減が図られている。
【0003】
この一包化を行う場合、患者に薬剤を提供する薬剤師等は、医師の処方に従って薬剤を調剤すると共に、各分包袋に薬剤が適切に収納されていることを確認してから、当該分包袋を患者に渡す必要がある。しかし、各分包袋に収納されている多種多様な薬剤を薬剤師等が確認するには、多大な労力を要する。
【0004】
そこで、薬剤監査支援装置として、分包袋が連続的に接続された分包袋連続体を搬送しながら各分包袋を撮影して画像を生成し、当該画像の解析結果に基づいた表示等を行う薬剤監査支援装置が提案されている。このような薬剤監査支援装置では、分包袋の内部で薬剤同士が重なっていると、画像の解析が困難となる。そこで薬剤監査支援装置として、分包袋に振動を与える振動手段を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-144101号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した薬剤監査支援装置では、分包袋連続体を搬送する搬送部において、例えば搬送路の上側及び下側にそれぞれローラを配置して分包袋連続体を挟持し、該ローラの回転により該分包袋連続体を搬送する。また薬剤監査支援装置では、各分包袋を撮影する撮影部において、例えば上側に発光素子を配置すると共に下側に撮像素子を配置することにより、陰影が表れた画像を生成し、この画像を基に各薬剤の外形を判別することができる。
【0007】
一方、上述した分包袋連続体は、全体として紐のような細長い形状に構成されているため、ねじれた状態や絡まった状態となる場合がある。そうすると薬剤監査支援装置では、分包袋連続体が搬送路上で詰まりを生じ、正常に搬送できなくなるため、各分包袋を正常に撮影できなくなる。
【0008】
また、接続されていない個別の分包袋を搬送する場合においても、該分包袋が折れ曲がった状態で搬送される可能性がある。そうすると薬剤監査支援装置では、搬送路上で該分包袋が詰まりを発生させるため、正常に搬送できなくなり、また該分包袋を正常に撮影できなくなる。
【0009】
このような場合、薬剤監査支援装置では、分包袋連続体又は個別の分包袋を搬送路から外し、ねじれや折れ曲がりを解消してから、再び当該分包袋連続体又は個別の分包袋を搬送部により搬送させる、といった保守作業を行う必要ある。しかし、この薬剤監査支援装置では、搬送部や撮影部を構成する各部品が搬送路を挟むように配置されているため、保守作業において分包袋連続体又は個別の分包袋を搬送路から除去することが困難であり、手間や時間を要する、という問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保守作業を容易化し得る薬剤監査支援装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明の薬剤監査支援装置においては、薬剤が収納された分包袋が搬送方向又はその反対方向に搬送される搬送空間が上面に形成された下部ユニットと、搬送空間の上側を閉塞可能な上部ユニットと、下部ユニットに対し上部ユニットを複数の状態に遷移可能に支持する遷移支持部と、下部ユニットに設けられた下側搬送部と、上部ユニットに設けられた上側搬送部とを有し、上側搬送部が下側搬送部に当接又は極めて近接された状態で分包袋を搬送方向又は反対方向へ搬送する搬送部と、分包袋を撮影する撮影部とを設け、遷移支持部は、上部ユニットを閉状態に遷移させた場合、搬送空間の上側を当該上部ユニットにより閉塞し、上部ユニットを閉状態と異なる開状態に遷移させた場合、搬送空間の上側に、分包袋を当該搬送空間から取り出させるための取出空間を形成するようにした。
【0012】
本発明は、閉状態であれば、搬送部において上側搬送部を下側搬送部と当接又は極めて近接させて分包袋を搬送し得ると共に撮影部において各分包袋の撮影を行う。その一方で本発明は、開状態であれば、搬送部の上側搬送部を下側搬送部から引き離し、搬送空間の上部に取出空間を形成することにより、ユーザによって分包袋を当該搬送空間から容易に取り出させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保守作業を容易化し得る薬剤監査支援装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態による薬剤監査支援装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
図2】第1の実施の形態による分包袋読取装置の外観構成を示す略線的正面図である。
図3】第1の実施の形態による分包袋読取装置の外観構成を示す略線的右側面図である。
図4】ロック機構部の構成を示す略線的右側面図である。
図5】分包袋連続体の構成を示す略線図である。
図6】第1の実施の形態による分包袋読取装置の内部構成を示す略線的正面図である。
図7】第1の実施の形態による分包袋読取装置の内部構成を示す略線的平面図である。
図8】第1の実施の形態による分包袋読取装置の内部構成を示す略線的右側面図である。
図9】撮影部の構成を示す略線的正面図である。
図10】分包袋連続体の正常な搬送の様子(1)を示す略線図である。
図11】分包袋連続体の正常な搬送の様子(2)を示す略線図である。
図12】分包袋連続体の正常な搬送の様子(3)を示す略線図である。
図13】分包袋連続体の正常な搬送の様子(4)を示す略線図である。
図14】分包袋連続体が正常に搬送された場合の分包袋画像を示す略線図である。
図15】分包袋連続体の正常な搬送の様子(5)を示す略線図である。
図16】分包袋連続体の正常でない搬送の様子(1)を示す略線図である。
図17】分包袋連続体の正常でない搬送の様子(2)を示す略線図である。
図18】分包袋連続体が正常に搬送されていない場合の分包袋画像を示す略線図である。
図19】通知画面の構成を示す略線図である。
図20】第1の実施の形態による上部ユニットを開状態に遷移させた薬剤監査支援装置の構成を示す略線的斜視図である。
図21】第2の実施の形態による分包袋読取装置の内部構成を示す略線的正面図である。
図22】第3の実施の形態による薬剤監査支援装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
図23】第3の実施の形態による分包袋読取装置の閉状態における外観構成を示す略線的な3面図である。
図24】第3の実施の形態による分包袋読取装置の開状態における外観構成を示す略線的な3面図である。
図25】第4の実施の形態による薬剤監査支援装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
図26】第4の実施の形態による分包袋読取装置の閉状態における外観構成を示す略線的な3面図である。
図27】第4の実施の形態による分包袋読取装置の開状態における外観構成を示す略線的な正面図及び右側面図である。
図28】第5の実施の形態による薬剤監査支援装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
図29】第5の実施の形態による分包袋読取装置の閉状態における外観構成を示す略線的な3面図である。
図30】第5の実施の形態による分包袋読取装置の開状態における外観構成を示す略線的な3面図である。
図31】第6の実施の形態による分包袋読取装置の外観構成を示す略線的な正面図及び右側面図である。
図32】第7の実施の形態による分包袋読取装置の閉状態における外観構成を示す略線的な正面図及び右側面図である。
図33】第7の実施の形態による分包袋読取装置の開状態における外観構成を示す略線的な正面図及び右側面図である。
図34】他の実施の形態による薬剤監査支援装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
図35】他の実施の形態による挿入検出部の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0016】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.薬剤監査支援装置の外観構成]
図1図2及び図3(A)に模式図を示すように、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1は、大きく分けて分包袋読取装置2及び監査結果表示装置3により構成されている。この薬剤監査支援装置1は、薬剤師等のユーザにより分包袋の監査が行われる際に、当該監査の支援処理(以下これを監査処理と呼ぶ)を行うようになっている。また第1の実施の形態においては、図5(A)及び(B)に示す分包袋110が連続的に接続された分包袋連続体100(詳しくは後述する)を対象として説明する。
【0017】
なお、図1は薬剤監査支援装置1の全体的な外観を示す斜視図である。また図2及び図3(A)は、薬剤監査支援装置1から監査結果表示装置3を省略し、分包袋読取装置2のみの正面図及び右側面図をそれぞれ表している。以下では、薬剤監査支援装置1において監査結果表示装置3が設けられた側を前側とし、その反対側を後側とし、該監査結果表示装置3に対峙したユーザから見た右側及び左側を定義し、さらに上側及び下側を定義するものとする。
【0018】
分包袋読取装置2は、全体として直方体状に形成されており、その内部に全体を統括的に制御する制御部4が設けられている。この制御部4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等、並びに記憶部等を有しており、RAMワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0019】
また分包袋読取装置2は、下側の約2/3乃至3/4程度の部分に相当する下部ユニット5と、その上側に設けられた上部ユニット6と、両者を回動可能に接続する開閉部7とにより構成されている。
【0020】
下部ユニット5は、直方体状に形成された下部フレーム10を中心に構成されており、該下部フレーム10の内部及び外部に種々の部品が取り付けられている。下部フレーム10の右側面には、挿入される分包袋連続体100(図5、詳しくは後述する)を案内する挿入ガイド11が設けられている。また下部フレーム10の左側面には、排出される分包袋連続体を案内する排出ガイド12が設けられている。
【0021】
挿入ガイド11は、図3(A)に示したように、底挿入ガイド11B、前挿入ガイド11F及び後挿入ガイド11Rにより構成されている。底挿入ガイド11Bは、前後方向に沿った円柱における右側半分のような形状であり、円筒状の周側面を有している。前挿入ガイド11Fは、底挿入ガイド11Bの前側に隣接しており、該底挿入ガイド11Bよりも直径がやや大きい円柱における右側半分のような形状となっている。後挿入ガイド11Rは、底挿入ガイド11Bの後側に隣接しており、前挿入ガイド11Fと同様、該底挿入ガイド11Bよりも直径がやや大きい円柱における右側半分のような形状となっている。すなわち挿入ガイド11は、底挿入ガイド11Bに対し、フランジ状の前挿入ガイド11F及び後挿入ガイド11Rを設けたような構成となっている。
【0022】
排出ガイド12は、底排出ガイド12B、前排出ガイド12F及び後排出ガイド12Rにより構成されている。この排出ガイド12は、挿入ガイド11とほぼ左右対称に構成されており、全体として前後方向に沿った円柱における左側半分のような形状となっている。
【0023】
下部フレーム10の上面である下部フレーム上面10Tには、前後方向に関する中央付近であり全体の約1/3を占める範囲に、搬送凹部13が形成されている。この搬送凹部13は、下部フレーム上面10Tにおけるその前側部分及び後側部分よりも、やや低く凹んだ形状に形成されている。また搬送凹部13は、下側の搬送底面13B、前側の搬送前側面13F、及び後側の搬送後側面13Rにより内側面が形成されている。
【0024】
上部ユニット6は、直方体状に形成された上部フレーム20を中心に構成されており、該上部フレーム20の内部及び外部に種々の部品が取り付けられている。上部フレーム20は、前側面に取手部21が設けられると共に、後側面に係止部22が設けられている。
【0025】
取手部21は、前側面における左右方向の中央付近に配置されており、周囲よりも後方向へ凹んだ形状となっている。この取手部21は、後述するように、ユーザにより指先等が挿入された状態で、上部ユニット6に対し上方向ないし後方向へ力を加える際に使用される。係止部22は、上部フレーム20の後側面から後方向へ突出しており、左右方向から見た場合の形状が、各辺の長さが異なる四角形状となっている。
【0026】
上部フレーム20の下面である上部フレーム下面20Bには、前後方向に関する中央付近であり全体の約1/3を占める範囲に、搬送上面23Tが形成されている。この搬送上面23Tは、下部フレーム10の搬送底面13Bとの間に所定の間隔を空けて対向している。このため分包袋読取装置2では、搬送底面13B、搬送前側面13F及び搬送後側面13R、並びに搬送上面23Tにより、該分包袋読取装置2を左右方向に貫通する空間である搬送空間50(図3(B)に斜線で示す)を形成している。また搬送底面13Bにおける前後方向の長さ、すなわち搬送前側面13F及び搬送後側面13Rの間隔は、分包袋連続体100における前後方向の長さL1(図5(A))よりも僅かに大きく(広く)なっている。
【0027】
開閉部7は、下部フレーム10及び上部フレーム20の境界部分における後端付近に配置されている。この開閉部7は、下部フレーム10側に設けられた下側軸受部7Bと、上部フレーム20側に設けられた上側軸受部7Aと、該下側軸受部7B及び該上側軸受部7Aを接続する回動軸体7Sとにより構成されている。
【0028】
下側軸受部7Bは、下部フレーム10における後上側の端部近傍に設けられており、左右方向に沿った仮想的な中心軸X7を中心とした丸孔が穿設されている。上側軸受部7Aは、上部フレーム20における後下側の端部近傍に設けられており、中心軸X7を中心とした丸孔が穿設されている。回動軸体7Sは、中心軸X7を中心とした円柱状に形成されており、下側軸受部7Bの丸孔及び上側軸受部7Aの丸孔に挿通されている。
【0029】
かかる構成により、分包袋読取装置2は、開閉部7の中心軸X7を回動中心として、下部ユニット5に対し上部ユニット6を回動させることができる。具体的に分包袋読取装置2は、図1図2及び図3(A)に示したように、下部ユニット5の下部フレーム上面10Tと上部ユニット6の上部フレーム下面20Bとを当接若しくは極めて近接させた状態(以下これを閉状態と呼ぶ)において、後述する監査支援処理を行うようになっている。
【0030】
また分包袋読取装置2は、この閉状態において上部ユニット6に対しユーザにより上後方向へ力が加えられた場合、該上部ユニット6が開閉部7を中心として図3(A)における矢印R1方向(すなわち時計回り)に約120度回動する。これにより分包袋読取装置2は、図3(B)に示すように、係止部22を下部フレーム10の後側面に当接させた状態(以下これを開状態と呼ぶ)に遷移して静止する。
【0031】
分包袋読取装置2は、この開状態において、上部ユニット6のほぼ全てを下部フレーム上面10Tの真上から外れた後側に位置させており、下部ユニット5の下部フレーム上面10Tを大きく露出させている。これを換言すると、分包袋読取装置2は、この開状態において、搬送空間50の上側に隣接する部分に、上部ユニット6の構成部品が存在しない十分な大きさの空間(以下これを取出空間80と呼ぶ)が形成されている。このため分包袋読取装置2は、この取出空間80(図3(B)に斜線で示す)を介して、下部フレーム上面10Tの搬送凹部13に対し、ユーザにより様々な作業を容易に行わせることができる。
【0032】
なお分包袋読取装置2は、開状態(図3(B))において上部ユニット6に対し前下方向へ向かう力が加えられると、該上部ユニット6が開閉部7を中心として図3(B)における矢印R2方向(すなわち反時計回り)に回動し、図3(A)等に示した閉状態に戻る。
【0033】
これを他の観点から見ると、開閉部7は、下部ユニット5に対し上部ユニット6を複数の状態に遷移し得るように支持している、ということができる。このため以下では、開閉部7を遷移支持部とも呼ぶ。
【0034】
これに加えて上部ユニット6には、取手部21の後側ないし下側に、ロック機構部24が設けられている。ロック機構部24は、図4(A)に模式的な右側面図を示すように、掴み回動体31、掴みばね32、ストッパ33、ロックレバー34及びロックばね35等により構成されている。
【0035】
解除レバーとしての掴み回動体31は、大きく分けて掴み板31A、支持体31B及び連動突起31Cにより構成されている。掴み板31Aは、全体として上下方向に薄い板状に形成されており、前側が下方へ垂れ下がるように湾曲されている。この掴み板31Aは、取手部21内における上端近傍に位置している。支持体31Bは、前後方向に長い棒状に形成されており、その後端近傍に左右方向に貫通する軸孔31BHが穿設されている。この軸孔31BHには、左右方向に沿った細長い円柱状の軸体36が挿通されている。この軸体36は、上部フレーム20に固定されている。このため掴み回動体31は、軸体36を中心として、矢印R1方向又は矢印R2方向へ回動することができる。連動突起31Cは、支持体31Bの上側に位置しており、該支持体31Bの上面よりも上方向へ突出している。
【0036】
掴みばね32は、例えば概ね上下方向に沿ったコイルスプリングであり、掴み回動体31における支持体31Bの下側に位置している。この掴みばね32は、上端が支持体31Bの下側に取り付けられると共に、下端が上部フレーム20の所定箇所に取り付けられ、さらに自然状態から伸張されている。このため掴みばね32は、弾性力の作用により掴み回動体31を下方向へ引っ張り、図4における矢印R2方向(すなわち反時計回り)に回動させるように付勢する。
【0037】
ストッパ33は、掴み回動体31における支持体31Bの下側であって掴みばね32と異なる箇所に位置しており、上部フレーム20に固定されている。このストッパ33は、支持体31Bの下面と当接することにより、掴み回動体31の矢印R2方向への回動範囲を規制する。
【0038】
ロックレバー34は、大きく分けてレバー本体34A、ロック爪34B及び連動突起34Cにより構成されている。レバー本体34Aは、全体として上下方向に細長い直方体状に形成されており、その上端近傍に左右方向に貫通する軸孔34AHが穿設されている。軸孔34AHには、左右方向に沿った細長い円柱状の軸体37が挿通されている。軸体37は、上部フレーム20に固定されている。このためロックレバー34は、軸体37を中心として、矢印R1方向又は矢印R2方向へ回動することができる。ロック爪34Bは、レバー本体34Aの下端に設けられており、前側を向いた鉤状に形成されている。連動突起34Cは、レバー本体34Aの後面における上端近傍に設けられており、該レバー本体34Aの後面よりも後方向へ突出している。
【0039】
ロックばね35は、例えば概ね前後方向に沿ったコイルスプリングであり、ロックレバー34におけるレバー本体34Aの後側に位置している。このロックばね35は、前端がロックレバー34の後側に取り付けられると共に、後端が上部フレーム20の所定箇所に取り付けられ、さらに自然状態から圧縮されている。このためロックばね35は、弾性力の作用によりロックレバー34を前方向へ押し出し、図4における矢印R1方向(すなわち時計回り)に回動させるように付勢する。
【0040】
また下部フレーム10におけるロック機構部24のほぼ真下となる箇所には、下部フレーム上面10Tから上方向に向けて、下部係合体38が立設されている。下部係合体38は、全体として上下方向に沿った細長い直方体状であり、後面の上端近傍に後方向に向けて被係合突起38Aが立設されている。
【0041】
かかる構成においてロック機構部24は、分包袋読取装置2が閉状態(図3(A)等)であるときに、外力が加えられていなければ、ロックばね35の作用によりロックレバー34を前方向へ付勢してロック爪34Bを下部係合体38の被係合突起38Aと係合させる。このとき掴み回動体31は、掴みばね32の作用により下方向に付勢され、ストッパ33に当接した状態で静止している。これにより分包袋読取装置2は、仮に上部ユニット6に対し上方向へ向かう力が作用したとしても、閉状態を確実に維持できる。以下、このように上部ユニット6の回動及び開状態への遷移を禁止した状態を禁止状態と呼ぶ。
【0042】
一方、ロック機構部24は、分包袋読取装置2が閉状態(図3(A)等)であるときに、掴み回動体31の掴み板31Aに対し、ユーザから指先等により上方向へ向かう外力が加えられると、該掴み回動体31を矢印R1方向へ回動させて連動突起31Cをロックレバー34の連動突起34Cに当接させる。そうするとロックレバー34は、連動突起31Cを介して掴み回動体31から力が伝達され、矢印R2方向へ回動し、ロック爪34Bと下部係合体38の被係合突起38Aとの係合を解除させる。これにより分包袋読取装置2は、掴み回動体31の掴み板31Aを介して上部ユニット6に対し引き続き上方向へ向かう力が加えられると、開閉部7を中心に該上部ユニット6を回動させ、開状態(図3(B))に遷移することができる。以下、このように上部ユニット6の回動及び開状態への遷移を許可した状態を許可状態と呼ぶ。
【0043】
因みにロック機構部24は、ロックレバー34におけるロック爪34Bの前下側部分が斜めに切り落とされたように傾斜している。このためロック機構部24は、上部ユニット6が開状態(図3(B))の位置から前方向ないし下方向へ回動されて閉状態(図3(A)等)へ遷移する際に、ロック爪34Bを下部係合体38の被係合突起38Aに当接させて乗り上げさせるようにしてロックレバー34を一時的に矢印R2方向へ回動させる。その後ロック機構部24は、上部ユニット6が引き続き下方向へ回動されると、ロックレバー34のロック爪34Bを下部係合体38の該被係合突起38Aと係合させることができる。
【0044】
監査結果表示装置3(図1)は、全体として薄板状に形成されており、分包袋読取装置2における下部ユニット5の一側面に対し、図示しない取付部材を介して取り付けられている。因みに取付部材は、下部ユニット5に対する監査結果表示装置3の角度を調整し得るようになっている。また監査結果表示装置3は、タッチパネル8を有すると共に、図示しない接続ケーブルを介して下部ユニット5と電気的に接続されており、制御部4の制御に基づき種々の表示画面を表示し得ると共に、ユーザのタッチ操作による入力を受け付け得る。さらに監査結果表示装置3は、図示しない有線インタフェース又は無線インタフェースを有しており、所定のサーバ装置等(図示せず)と通信接続することにより、例えば薬剤Mに関する情報等を取得し、また監査処理の結果に関する情報等を送信する等、種々の情報を送受信することができる。
【0045】
[1-2.分包袋連続体の構成]
次に、図5(A)及び(B)を参照しながら、分包袋連続体100の構成について説明する。なお、図5(A)は分包袋連続体100を上側から見た模式的な平面図であり、図5(B)は該分包袋連続体100を前側から見た模式的な平面図である。
【0046】
分包袋連続体100は、複数の分包袋110が左右方向に連なった構成となっている。各分包袋110は、十分な柔軟性を有すると共に可視光の透過率が比較的高い、すなわち透明度が高い樹脂製のフィルムにより構成されている。また分包袋110は、前後方向及び左右方向の長さに対し上下方向の長さが十分に短い、扁平な形状となっている。
【0047】
この分包袋110は、上側フィルム111及び下側フィルム112の間に密閉された袋状部113が形成されており、当該袋状部113内の空間である収納空間113Sに薬剤Mが収納されている。この1個の分包袋110には、例えば1人の患者が1回の服用機会(例えば朝食後等)に服用するべく処方された、1種類又は複数種類であって1個又は複数個の薬剤Mが全て収納されている。このように1種類又は複数種類でなる複数個の薬剤Mを1個の分包袋110にまとめて収納することを、一包化又は分包化とも呼ぶ。さらに、処方箋によっては、1種類であり1個の薬剤Mを1個の分包袋110に収納することを、一包化された分包袋110として扱うこともある。本実施の形態では、1種類又は複数種類の薬剤Mが1個又は複数個収納された分包袋110が複数連なった分包袋連続体100を対象として、以下説明する。
【0048】
分包袋110は、その製造時に、例えば1枚のフィルム材における前後方向の中央に仮想的な折曲げ線を設定し、収納すべき薬剤Mを集めた状態で該折曲げ線よりも後側に載せ、折曲げ線に沿って前側部分を上側から後側へ折り返して、当該薬剤Mを上側フィルム111及び下側フィルム112により挟んだ状態とする。続いて分包袋110は、当該薬剤Mの左側、右側及び後側がそれぞれ熱圧着等の処理によって融着されることにより、左周縁部114、右周縁部115及び後周縁部116(以下、これらをまとめて周縁部117と呼ぶ)がそれぞれ形成される。
【0049】
また分包袋連続体100は、左右方向に十分に長いフィルム材を用いることにより、各分包袋110が左右方向に連結された状態で製造されると共に、各分包袋110の境界部分が前後方向に沿って断続的に切断されることにより、いわゆるミシン目が形成される。これにより分包袋連続体100は、左右方向に沿って細長い形状に構成されると共に、患者等が服用時に各分包袋110を容易に切り離し得るようになっている。
【0050】
次に、分包袋110の厚さ、すなわち上下方向の長さに着目すると、収納空間113Sに収納されている薬剤Mに応じて袋状部113がやや厚くなっている一方、周縁部117(すなわち左周縁部114、右周縁部115及び後周縁部116)が全てフィルム材2枚分程度の厚さであり、十分に薄くなっている。
【0051】
ここで、分包袋連続体100の厚さを左右方向に沿って連続的に見る場合を想定する。当該分包袋連続体100のうち、後側の後周縁部116の部分は、常に一定の厚さとなる。一方、当該分包袋連続体100のうち、後周縁部116よりも前側の袋状部113、左周縁部114及び右周縁部115では、比較的厚い袋状部113と、比較的薄い左周縁部114及び右周縁部115とが、交互に出現することになる。
【0052】
今度は、分包袋110における光の透過率に着目する。分包袋110のうち袋状部113では、上側フィルム111及び下側フィルム112の透過率が十分に高く、各薬剤Mの箇所のみ透過率が局所的に低下することになる。一方、分包袋110のうち周縁部117では、融着されたことに伴い、上側フィルム111及び下側フィルム112と比較して、光の透過率に差異が発生している。
【0053】
以下では、分包袋連続体100のうち前側ないし中央の部分、すなわち各分包袋110の袋状部113、左周縁部114及び右周縁部115に相当する部分を分包袋連続体前部101と呼ぶ。また、分包袋連続体100のうち後側部分、すなわち各分包袋110の後周縁部116に相当する部分を分包袋連続体後部102と呼ぶ。
【0054】
[1-3.分包袋読取装置の内部構成]
次に、分包袋読取装置2の内部構成について、図6図7及び図8を参照しながら説明する。図6は、下部フレーム10の前側面及び上部フレーム20の前側面をそれぞれ省略した模式的な正面図である。図7は、分包袋読取装置2から上部ユニット6を省略し下部ユニット5のみとした模式的な平面図である。図8は、下部フレーム10の右側面及び上部フレーム20の右側面をそれぞれ省略した模式的な右側面図である。
【0055】
分包袋読取装置2の内部には、下方に制御部4が配置されると共に、搬送空間50の近傍に搬送部51、挿入検出部52、揺動部53、撮影部54及び排出検出部55が配置され、また該搬送空間50からやや離れた箇所に開閉検出部56が配置されている。
【0056】
搬送部51は、左右方向に離れた3箇所にそれぞれ配置された搬送ローラ対61A、61B及び61Cにより構成されている。搬送ローラ対61Aは、下側の駆動ローラ62A及び上側の従動ローラ63Aにより構成されている。これと同様に、搬送ローラ対61Bは、下側の駆動ローラ62B及び上側の従動ローラ63Bにより構成され、搬送ローラ対61Cは、下側の駆動ローラ62C及び上側の従動ローラ63Cにより構成されている。
【0057】
駆動ローラ62Aは、下部フレーム10側に設けられており、搬送底面13Bにおける後ろ寄りの右端近傍に配置されている。この駆動ローラ62Aは、中心軸を前後方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されており、その中心部分において回転可能に支持されている。また駆動ローラ62Aは、例えばステンレス等の金属材料や各種樹脂材料、あるいはゴムのような摩擦係数が比較的高い材料等を適宜組み合わせて構成されており、周側面における摩擦抵抗が比較的高くなっている。さらに駆動ローラ62Aは、その大部分を搬送底面13Bよりも下側に位置させているものの、該搬送底面13Bに形成された孔部を介して、上端近傍の一部分のみを該搬送底面13Bよりも上側に、すなわち搬送空間50内に突出させている。この駆動ローラ62Aは、図示しない駆動モータやアクチュエータ等から所定のギアやベルト等を介して駆動力が伝達されている。
【0058】
駆動ローラ62Bは、搬送底面13Bにおける後ろ寄りの左右方向に関する中央付近に配置されている。駆動ローラ62Cは、搬送底面13Bにおける後ろ寄りの左端近傍に配置されている。この駆動ローラ62B及び62Cは、配置箇所以外の点において、何れも駆動ローラ62Aと同様に構成されている。
【0059】
従動ローラ63Aは、上部フレーム20側に設けられており、搬送上面23Tにおける後ろ寄りの右端近傍であって、駆動ローラ62Aの真上となる位置に配置されている。この従動ローラ63Aは、駆動ローラ62Aと同様に、中心軸を前後方向に沿わせた扁平な円柱状に形成されており、その中心部分において回転可能に支持されている。また従動ローラ63Aは、図示しない付勢部材により、下方向へ向けて付勢されている。さらに従動ローラ63Aは、その大部分を搬送上面23Tよりも上側に位置させているものの、該搬送上面23Tに形成された孔部を介して、下端近傍の一部分のみを該搬送上面23Tよりも下側に、すなわち搬送空間50内に突出させている。
【0060】
従動ローラ63Bは、搬送上面23Tにおける後ろ寄りの左右方向に関する中央付近であって、閉状態(図1図2及び図3(A))において駆動ローラ62Bの真上となる位置に配置されている。従動ローラ63Cは、搬送上面23Tにおける後ろ寄りの左端近傍に配置されている。この従動ローラ63B及び63Cは、配置箇所以外の点において、何れも従動ローラ63Aと同様に構成されている。
【0061】
かかる構成により搬送部51は、上部フレーム20を閉塞させた閉状態(図1図2及び図3(A))において、各従動ローラ63(63A、63B及び63C)を、各駆動ローラ62(62A、62B及び62C)にそれぞれ当接させる。また、この閉状態から上部フレーム20が回動され開状態(図3(B))に遷移された場合、搬送部51は、各従動ローラ63(63A、63B及び63C)を該上部フレーム20と共に回動させ、各駆動ローラ62(62A、62B及び62C)から離隔させる。
【0062】
搬送部51は、閉状態において、制御部4の制御に基づき駆動モータ(図示せず)を回転させることにより、各駆動ローラ62を図6における反時計回り(矢印R2に沿った方向)に回転させ、これに伴い各従動ローラ63を時計回り(矢印R1に沿った方向)に回転させる。
【0063】
この状態において搬送部51は、分包袋連続体100(図5)が搬送空間50の右側から挿入されてきた場合、まず搬送ローラ対61A(すなわち駆動ローラ62A及び従動ローラ63A)により、当該分包袋連続体100の分包袋連続体後部102を挟持し、駆動力を伝達して左方向へ進行させる。続いて搬送部51は、当該分包袋連続体後部102を搬送ローラ対61B及び搬送ローラ対61Cにより順次挟持し、当該分包袋連続体100を左方向へ進行させる。
【0064】
このようにして搬送部51は、分包袋連続体100を左方向へ搬送することができる。以下では、左方向を搬送方向とも呼ぶ。因みに搬送部51は、各駆動ローラ62を時計回り(矢印R1に沿った方向)に回転させることにより、分包袋連続体100を右方向(以下これを反対方向とも呼ぶ)へ搬送することもできる。また以下では、駆動ローラ62を下側搬送部とも呼び、また従動ローラ63を上側搬送部とも呼ぶ。
【0065】
挿入検出部52(図6)は、例えば光学センサであり、上側の発光部52A及び下側の受光部52Bにより構成されている。発光部52Aは、上部フレーム20側に設けられており、搬送上面23Tにおける右端近傍の前寄りに配置されている。この発光部52Aは、制御部4の制御に基づき、挿入検出光L52を発光する。以下では、搬送空間50を挿入検出光L52が横切る位置を挿入位置P52(図7)と呼ぶ。
【0066】
受光部52Bは、下部フレーム10側に設けられており、搬送底面13Bにおける右端近傍の前寄りであって、閉状態(図1図2及び図3(A))において発光部52Aの真下となる位置に配置されている(図7)。この受光部52Bは、発光部52Aにより発光された挿入検出光L52の少なくとも一部を受光し、その光量に応じた検出信号を生成して制御部4に供給する。
【0067】
これに応じて制御部4は、供給された検出信号を基に、挿入位置P52を分包袋連続体100が横切ったか否か、該挿入位置P52を横切っているのが袋状部113又は周縁部117の何れであるか等を判定する。また制御部4は、このとき得られた判定結果を基に、袋状部113が撮影部54に到着するタイミングを算出する。さらに制御部4は、搬送部51における駆動ローラ62の回転速度から分包袋連続体100の搬送速度を得ることができ、これを用いて袋状部113が撮影部54に到達するタイミングを算出することもできる。
【0068】
揺動部53(図6及び図7)は、搬送底面13Bにおける挿入検出部52(すなわち受光部52B)の左側に位置しており、右側から左側に向けて揺動レバー53A、53B及び53Cが所定間隔毎に順次配置されている。このうち揺動レバー53B及び53Cは、何れも揺動レバー53Aと同様に構成されており、位置のみが相違している。そこで以下では、揺動レバー53Aを中心に説明する。
【0069】
揺動レバー53Aは、全体として前後方向に細長い直方体状に形成されており、所定の樹脂又はゴム等の材料により構成されている。また揺動レバー53Aは、その大部分が下部フレーム10内に埋め込まれるように位置しているものの、搬送底面13Bに形成された孔部を介して、その上端近傍部分を該搬送底面13Bよりも上側に突出させている。
【0070】
さらに揺動レバー53Aは、下部フレーム10に対し上下方向に揺動可能に取り付けられており、図示しないアクチュエータから上下方向への振動が伝達されると、これに応じて振動する。このため揺動レバー53Aは、分包袋連続体100が搬送空間50内を搬送されている状態において、分包袋110における袋状部113の下面に接している場合、該分包袋110内の薬剤Mに対し振動を与えることができる。
【0071】
揺動部53は、搬送空間50内における揺動レバー53A、53B及び53Cの真上となる位置(以下これを揺動位置P53と呼ぶ)に分包袋連続体100の分包袋110が到達した状態において、制御部4の制御に基づき振動する。これにより揺動部53は、分包袋110にこの振動を伝達し、該分包袋110内に収納されている各薬剤Mを揺動させることにより、袋状部113内において各薬剤Mの姿勢や位置を適宜変位させることができる。これにより分包袋110では、袋状部113内で薬剤Mが上下方向に重なっていたとしても、この重なりを崩して分散させることが期待される。
【0072】
撮影部54は、図9に模式的な正面図を示すように、上側の上側撮影部54A及び下側の下側撮影部54Bを互いに対向させるように配置している。上側撮影部54Aは、上部ユニット6の上部フレーム20に取り付けられており、透過光源71及び透過カバー72、並びに図示しないレンズ等を有している。透過光源71は、複数の透過光発光体73を前後方向及び左右方向に配列させており、各透過光発光体73は、例えばLED(Light Emitting Diode)素子であり、電流が供給されると主に下方向に向けて発光する。透過カバー72は、上下方向に薄い板状であり、光透過率が高い樹脂材料又は透明ガラス等により構成されている。透過カバー72の下面は、搬送上面23Tと連続した平面を形成している。
【0073】
かかる構成により上側撮影部54Aは、制御部4の制御に基づき、透過光源71の各透過光発光体73を発光させる。各透過光発光体73から出射された光は、図示しないレンズ等により、透過カバー72の下側において前後方向及び左右方向に関し概ね均等な明るさとなるように拡散され、透過カバー72を通過して搬送空間50内に到達する。
【0074】
下側撮影部54Bは、下部ユニット5の下部フレーム10に取り付けられており、反射光源75、透過カバー76、集光レンズ77及び撮像素子78等を有している。反射光源75は、透過光発光体73と同様のLED(Light Emitting Diode)素子や所定のレンズ(図示せず)等によって構成されており、電流が供給されると主に斜め上方向に向けて発光する。透過カバー76は、上側撮影部54Aの透過カバー72と同様、上下方向に薄い板状であり、光透過率が高い樹脂材料又は透明ガラス等により構成されている。
【0075】
集光レンズ77は、光を収束させる機能を有するレンズであり、透過カバー76を通過し下方向へ向かう光を撮像素子78の上面における中央付近に収束させる。撮像素子78は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等であり、受光機能を有する複数の素子を格子状に配置した構成であり、集光レンズ77により集光された光を受光し、これに応じた画像信号を生成して制御部4へ供給する。
【0076】
撮影部54は、搬送空間50における撮像素子78の真上となる位置(以下これを撮影位置P54(図7)と呼ぶ)に分包袋連続体100の分包袋110が到達した状態において、透過光源71を発光させ、撮像素子78により生成した画像信号を制御部4へ供給する。このとき得られた画像信号では、分包袋110内における薬剤Mの部分が暗くなり、他の部分が明るくなるため、該薬剤Mの輪郭が良好に表れる。制御部4は、この画像信号を基に所定の変換処理や画像処理等を施すことにより、薬剤Mの輪郭が良好に表れた輪郭画像を生成する。
【0077】
また撮影部54は、撮影位置P54に分包袋110が到達した状態において、反射光源75を発光させ、このとき発光された光の一部を分包袋110内の薬剤Mにおいて反射させて撮像素子78に到達させ、該撮像素子78により生成した画像信号を制御部4へ供給する。このとき得られた画像信号では、分包袋110を下側から見た様子がそのまま表れるため、各薬剤Mの表面(下面)の色や模様等が良好に表れる。制御部4は、この画像信号を基に所定の変換処理や画像処理等を施すことにより、薬剤Mの表面が良好に表れた表面画像を生成する。
【0078】
排出検出部55(図6)は、例えば挿入検出部52と同様の光学センサであり、上側の発光部55A及び下側の受光部55Bにより構成されている。発光部55Aは、上部フレーム20側に設けられており、搬送上面23Tにおける左端近傍の前寄りに配置されている。この発光部55Aは、制御部4の制御に基づき、排出検出光L55を発光する。以下では、搬送空間50を排出検出光L55が横切る位置を排出位置P55(図7)と呼ぶ。
【0079】
受光部55Bは、下部フレーム10側に設けられており、搬送底面13Bにおける左端近傍の前寄りであって、閉状態(図1図2及び図3(A))において発光部55Aの真下となる位置に配置されている(図7)。この受光部55Bは、発光部55Aにより発光された排出検出光L55の少なくとも一部を受光し、その光量に応じた検出信号を生成して制御部4に供給する。
【0080】
これに応じて制御部4は、供給された検出信号を基に、排出位置P55を分包袋連続体100が横切ったか否か、該排出位置P55を横切っているのが袋状部113又は周縁部117の何れであるか等を判定する。
【0081】
開閉検出部56(図7)は、例えば磁気センサであり、下部フレーム10における下部フレーム上面10Tの後端近傍に設けられている。また上部フレーム20における上部フレーム下面20Bのうち開閉検出部56と対向する箇所には、所定の磁性体(図示せず)が埋め込まれている。この開閉検出部56は、磁気の検出レベルに応じた磁気検出信号を生成して制御部4へ供給する。制御部4は、この磁気検出信号を所定の閾値と比較して得られる比較結果を基に、上部ユニット6が閉塞状態であるか否かを判定することができる。
【0082】
[1-4.監査支援処理]
次に、薬剤監査支援装置1(図1等)による監査支援処理について、分包袋連続体100(図5)を正常に搬送できる場合と正常に搬送できない場合とに分けて、それぞれ説明する。
【0083】
[1-4-1.正常に搬送できる場合]
まず、薬剤監査支援装置1が分包袋連続体100を正常に搬送できる場合について説明する。薬剤監査支援装置1は、薬剤師等のユーザから、タッチパネル8を介して所定の操作を受け付けると、制御部4の制御により監査処理を開始する。具体的に制御部4は、タッチパネル8に所定の案内画面(図示せず)を表示することにより、ユーザに対し、分包袋連続体100の先頭部分を分包袋読取装置2の右側における挿入ガイド11に沿って搬送空間50内へ挿入させる。また制御部4は、挿入検出部52を制御し、挿入検出光L52(図6)が遮られるか否かを監視する。
【0084】
ここで図10は、図7と同様、分包袋読取装置2の上部ユニット6を省略して下部ユニット5の上側を模式的に表している。また図10は、ユーザの作業等により、分包袋連続体100の先頭部分が挿入ガイド11上に載置された状態を表している。この場合、分包袋連続体100は、ねじれ等が形成されておらず、各分包袋110において上側フィルム111(図5)を常に上側に向けたような姿勢となっている。
【0085】
この図10に示した状態において、ユーザにより分包袋連続体100が左方向へ挿入されると、図10と対応する図11に示すように、該分包袋連続体100は、先頭近傍が挿入位置P52に到達し、挿入検出光L52(図6)を遮る。また分包袋連続体100は、分包袋連続体後部102の左端近傍部分が搬送部51の搬送ローラ対61Aに到達する。
【0086】
このとき薬剤監査支援装置1は、制御部4により、挿入検出部52において挿入検出光L52が遮られたことを認識すると、駆動ローラ62(62A、62B及び62C)の回転を開始させ、搬送部51による分包袋連続体100の左方向(すなわち搬送方向)への搬送を開始する。
【0087】
続いて薬剤監査支援装置1は、図10等と対応する図12に示すように、分包袋連続体100における先頭の分包袋110を揺動位置P53に到達させる。このとき制御部4は、揺動部53のアクチュエータ(図示せず)を動作させることにより、揺動レバー53A(図7)等を振動させ、この振動を分包袋110に伝達させる。
【0088】
また薬剤監査支援装置1は、引き続き搬送ローラ対61Aによって分包袋連続体100を左方向(すなわち搬送方向)へ搬送することにより、該分包袋連続体100の先頭近傍を搬送ローラ対61Bに到達させ、該搬送ローラ対61Bにより分包袋連続体後部102を挟持する。これにより薬剤監査支援装置1は、搬送ローラ対61Aと共に搬送ローラ対61Bにより分包袋連続体100を搬送方向へ搬送する。
【0089】
やがて薬剤監査支援装置1は、図10等と対応する図13に示すように、分包袋連続体100における先頭の分包袋110を撮影位置P54に到達させる。このとき制御部4は、撮影部54を制御することにより、分包袋110の画像を撮影し、図14(A)に示すような分包袋画像C1を生成する。
【0090】
続いて制御部4は、撮影部54によって撮影位置P54の画像を断続的に撮影させる。これにより撮影部54は、図14(B)及び図14(C)に示すように、撮影範囲に対する各分包袋110の位置が逐次変化するような画像を順次生成する。
【0091】
その後、制御部4は、図10等と対応する図15に示すように、分包袋連続体100における先頭の分包袋110を排出位置P55よりも左側に到達させ、当該分包袋110を搬送空間50の外へ排出する。
【0092】
また制御部4は、撮影部54により各分包袋110を撮影して得られた分包袋画像C1等を基に、所定の解析処理や監査処理等を行うことにより、各分包袋110に所定の種類及び数の薬剤Mが収納されているか否かをそれぞれ判定し、得られた監査結果をタッチパネル8に表示する。
【0093】
[1-4-2.正常に搬送できない場合]
次に、薬剤監査支援装置1が分包袋連続体100を正常に搬送できない場合について説明する。薬剤監査支援装置1は、正常に搬送できる場合と同様に、ユーザによるタッチパネル8を介した操作等に基づき、制御部4の制御により監査支援処理を開始する。
【0094】
図11と対応する図16は、ユーザの作業等により、分包袋連続体100の先頭部分が挿入ガイド11上に載置された状態を表している。ここでは、分包袋連続体100における途中部分に、ねじれ箇所100TWが形成されているものとする。このため分包袋連続体100は、このねじれ箇所100TWの付近において、見かけ上の厚さ(すなわち上下方向の長さ)が他の部分よりも格段に大きくなっている。具体的には、分包袋連続体100のねじれ箇所100TW付近における見かけ上の厚さが、分包袋読取装置2の搬送空間50における上下方向の長さ、すなわち搬送底面13B及び搬送上面23T(図6等)の間隔よりも大きくなっている。
【0095】
その後、薬剤監査支援装置1は、搬送部51により分包袋連続体100を搬送していくと、やがて図17に示すように、ねじれ箇所100TWが挿入ガイド11の近傍に到達する。このとき薬剤監査支援装置1では、このねじれ箇所100TWにおける見かけ上の厚さが搬送空間50における上下方向の長さよりも大きくなるため、該ねじれ箇所100TWを搬送空間50内へ進行させることができず、詰まりを発生させることになる。
【0096】
またこのとき薬剤監査支援装置1では、撮影部54によって撮影位置P54の画像を断続的に撮影するため、例えば図18(A)及び(B)に示す分包袋画像C11及びC12を順次生成した後に、図18(C)に示す分包袋画像C13を生成することになる。これに応じて制御部4は、分包袋画像C13(図18(C))が分包袋画像C12(図18(B))と殆ど変化していないことから、分包袋連続体100が正常に搬送されておらず、適切な分包袋画像が得られないと判断する。
【0097】
そこで制御部4は、搬送部51、揺動部53及び撮影部54等の動作を停止させると共に、図19に示す通知画像C21をタッチパネル8(図1)に表示させる。この通知画像C21には、例えば「搬送不良が発生しました。上ユニットを開けて分包袋連続体を除去してください。」といった内容のメッセージM21が表示されている。
【0098】
そうすると薬剤監査支援装置1は、このメッセージM21を目視したユーザの作業により、上部ユニット6が閉状態(3(A)等)から回動されて開状態(図3(B))に遷移される。このとき薬剤監査支援装置1は、図3(B)に加えて図20に模式的な斜視図を示すように、分包袋連続体100が存在する搬送空間50の上側に取出空間80が形成されている。
【0099】
具体的に取出空間80(図3(B))は、上下方向の長さ(すなわち高さ)が、少なくとも分包袋連続体100の厚さである長さL2(図5(B))と同等以上であり、好ましくは分包袋連続体100における前後方向の長さL1(図5(A))と同等以上である。また取出空間80は、前後方向の長さが、分包袋連続体100における前後方向の長さL1と同等以上となっている。さらに取出空間80は、その前側において、下部ユニット5の前側面よりも前側の空間と連接されると共に、その右側において、下部ユニット5の右側面よりも右側の空間と連接され、その左側において、下部ユニット5の左側面よりも左側の空間と連接されている。
【0100】
このためユーザは、例えば分包袋連続体100を上方向ないし前方向へ持ち上げることにより、該分包袋連続体100を上部ユニット6や搬送部51の従動ローラ63(図6)等に干渉させること無く、搬送空間50内から薬剤監査支援装置1の前側等へ容易に取り除くことができる。
【0101】
またユーザは、例えば分包袋連続体100を薬剤監査支援装置1の右方向又は左方向へ引き抜くことにより、該分包袋連続体100を搬送空間50内から容易に取り除くことができ、また該分包袋連続体100のねじれを解消した後に、挿入ガイド11に沿った挿入作業を円滑に行うことができる。
【0102】
[1-5.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1は、分包袋読取装置2の開閉部7により、下部ユニット5に対し上部ユニット6を回動させることによって閉状態(図1図2及び図3(A)等)又は開状態(図3(B)及び図20)に遷移させ得るようにした。
【0103】
分包袋読取装置2は、閉状態であれば、搬送部51(図6)の各搬送ローラ対61において、駆動ローラ62及び従動ローラ63を互いに対向させると共に当接させることにより、分包袋連続体100を搬送することができる。また分包袋読取装置2は、閉状態であれば、撮影部54(図6及び図9)において、上側撮影部54Aを下側撮影部54Bと対向させることにより、透過光源71から出射された光を利用した分包袋画像を撮影することができる。
【0104】
その一方で分包袋読取装置2は、開状態に遷移された場合、搬送部51の各搬送ローラ対61において、従動ローラ63が上部フレーム20と共に遷移することで該従動ローラ63及び駆動ローラ62の当接が解除され、搬送空間50の上側に隣接する部分に取出空間80を形成する。これにより分包袋読取装置2は、ユーザに分包袋連続体100を容易に取り出させることができる。
【0105】
すなわち薬剤監査支援装置1は、分包袋連続体100の監査処理を行う際に、該分包袋連続体100の構造上、ねじれ箇所100TW(図16等)が形成される可能性を排除できず、監査処理において詰まりを発生させる恐れがある。しかし薬剤監査支援装置1は、分包袋連続体100のねじれ箇所100TW等に起因して詰まりが発生した場合に、上部ユニット6を開状態に遷移させるだけで、該分包袋連続体100を容易に取り出させることができる。すなわち薬剤監査支援装置1は、ユーザに対し、分包袋連続体100をその先頭又は末尾まで右方向又は左方向から完全に引き抜かせる、といった煩わしい作業を行わせる必要が無く、上部ユニット6の回動及び分包袋連続体100の前上方向等への取出といった、極めて容易な保守作業を行わせれば良い。
【0106】
特に薬剤監査支援装置1は、上部ユニット6を開状態(図3(B)及び図20)に遷移させた際に、搬送空間50の上側から上部フレーム20だけでなく、搬送部51(図6)の各搬送ローラ対61における従動ローラ63や、撮影部54の上側撮影部54A等を一体に変位させ、取出空間80を形成する。このため薬剤監査支援装置1は、例えば特許文献1の図2図3等に記載された状態と比較して、ユーザに分包袋連続体100を極めて容易に取り出させることができる。
【0107】
また分包袋読取装置2は、開閉部7を下部ユニット5及び上部ユニット6の後側に配置し、且つ該開閉部7の中心軸X7を搬送方向である左右方向と平行になるようにした(図2及び図3)。このため薬剤監査支援装置1は、上部ユニット6を開状態(図3(B)及び図20)としたときに、該上部ユニット6を下部ユニット5の後上側に位置させ、搬送空間50の真上に隣接する箇所に十分な大きさの空間である取出空間80を形成することができる。
【0108】
さらに分包袋読取装置2は、上部ユニット6にロック機構部24(図4)を設け、閉状態(図1図2及び図3(A)等)において、ロックレバー34のロック爪34Bを下部係合体38と係合させるようにした。このため薬剤監査支援装置1は、閉状態において搬送部51により分包袋連続体100を搬送する際に、この閉状態を安定的に維持できるので、該搬送部51の各搬送ローラ対61において従動ローラ63を駆動ローラ62に確実に押し付けさせ、該分包袋連続体100を確実に挟持させ、円滑に搬送することができる。
【0109】
その一方で薬剤監査支援装置1は、ロック機構部24における掴み回動体31の掴み板31Aに対し、ユーザから指先等により上方向へ向かう外力が加えられると、該掴み回動体31をロックレバー34と連動させ、該ロックレバー34と下部係合体38との係合を容易に解除させることができる。
【0110】
また薬剤監査支援装置1は、係合を解除するために掴み板31Aに対しユーザが力を加えるべき方向と、上部ユニット6を閉状態から開状態へ遷移する際に変位する方向とを、何れも上方向とした。このため薬剤監査支援装置1は、閉状態である上部ユニット6をユーザにより開状態に遷移させる際に、当該ユーザにより掴み板31Aに対し上方向へ向かう力を加えさせ続けるだけで、ロック機構部24におけるロック爪34B及び下部係合体38の係合を解除させると共に上部ユニット6を閉状態から開状態へ回動させることができる。
【0111】
さらに他の観点から見ると、分包袋読取装置2では、搬送部51の各搬送ローラ対61における駆動ローラ62やこれを駆動するモータ等、揺動部53、撮影部54の集光レンズ77及び撮像素子78等、並びに制御部4等、重量が比較的大きいものや搬送空間50の上下何れにも配置可能であるものを、何れも下部ユニット5側に配置した。その一方で分包袋読取装置2では、搬送部51の従動ローラ63や撮影部54の透過光源71等、重量が比較的小さいものや搬送空間50を挟んで下部ユニット5と反対側に配置するもののみを、上部ユニット6側に配置した。
【0112】
このため薬剤監査支援装置1は、分包袋読取装置2における上部ユニット6の大きさや重量を比較的小さく抑えることができ、ユーザに対し極めて容易な作業により該上部ユニット6を回動させることができる。また薬剤監査支援装置1は、上部ユニット6を開状態(図3(B)及び図20)に変位させるのに必要な空間を小さく抑えることができ、また開状態における重量バランスの悪化も十分に抑制できる。
【0113】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1は、分包袋読取装置2の開閉部7により下部ユニット5に対し上部ユニット6を回動させ、閉状態又は開状態に遷移させるようにした。分包袋読取装置2は、閉状態であれば、搬送部51の各搬送ローラ対61において、駆動ローラ62に従動ローラ63を当接させて分包袋連続体100を搬送でき、撮影部54において、上側撮影部54Aを下側撮影部54Bと対向させて分包袋画像を良好に撮影できる。その一方で分包袋読取装置2は、開状態であれば、搬送空間50の上側に隣接する箇所に、十分な大きさの取出空間80を形成する。このため薬剤監査支援装置1は、分包袋連続体100の詰まりが発生した場合、ユーザに対し、上部ユニット6を開状態に遷移させ、該分包袋連続体100を上方向ないし前方向へ取り出させる、といった極めて容易な保守作業を行わせれば済む。
【0114】
[2.第2の実施の形態]
図6と対応する図21に示すように、第2の実施の形態では、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置202が設けられている。この分包袋読取装置202は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2と比較して、下部ユニット5及び搬送部51に代わる下部ユニット205及び搬送部251を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0115】
搬送部251は、搬送ローラ対61に代わる搬送ローラ対261(261A、261B及び261C)により構成されている。この搬送ローラ対261は、第1の実施の形態による搬送ローラ対61と比較して、下部ユニット205側にトルクリミッタ264(264A、264B及び264C)を有する点において相違するものの、駆動ローラ62や従動ローラ63等、他の点については同様に構成されている。
【0116】
トルクリミッタ264Aは、搬送部251により分包袋連続体100を搬送する際に駆動ローラ62Aに加えられる搬送トルクよりも僅かに大きい空転トルクにより空転するように調整されている。トルクリミッタ264B及び264Cは、このトルクリミッタ264Aと同様に構成されている。
【0117】
この分包袋読取装置202では、搬送部251により分包袋連続体100を詰まらせることなく搬送している場合、駆動ローラ62に対し搬送トルクが作用するため、トルクリミッタ264が空転せずに駆動力を伝達し、該分包袋連続体100を正常に搬送し続けることができる。
【0118】
一方、分包袋読取装置202では、搬送部251による分包袋連続体100の搬送中に詰まりが発生した場合、駆動ローラ62に対し搬送トルクよりも大きい空転トルクが作用する。これによりトルクリミッタ264は、直ちに空転することになる。その後、分包袋読取装置202では、第1の実施の形態と同様に、撮影部54により撮影された分包袋画像等を基に、制御部4により詰まりの発生が検出され、搬送部251のモータ等を停止させる。
【0119】
すなわち分包袋読取装置202では、搬送部251により搬送中の分包袋連続体100に詰まりが発生した場合、直ちにトルクリミッタ264を空転させ駆動ローラ62を停止させることができる。これにより分包袋読取装置202では、駆動ローラ62から分包袋連続体100に対し過剰な力の作用により損傷させることを未然に防止できる。
【0120】
また分包袋読取装置202は、その他の点においても第1の実施の形態による分包袋読取装置2と同様の作用効果を奏し得る。
【0121】
[3.第3の実施の形態]
図1と対応する図22(A)に示すように、第3の実施の形態による薬剤監査支援装置301は、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1と比較して、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置302を有する点において相違する。分包袋読取装置302は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2における下部ユニット5、上部ユニット6及び開閉部7に代えて、下部ユニット305、上部ユニット306及び開閉部307を有している。
【0122】
下部ユニット305は、図23に3面図(平面図、正面図及び右側面図)を示すように、挿入ガイド311、排出ガイド312及び搬送凹部313等が、第1の実施の形態による下部ユニット5における挿入ガイド11、排出ガイド12及び搬送凹部13等よりも前寄りに配置されている。また下部ユニット305は、搬送凹部313等の位置に合わせて、搬送部51や撮影部54(図6)等も、第1の実施の形態と比較して前寄りに配置されている。
【0123】
上部ユニット306は、全体として第1の実施の形態による上部ユニット6(図1等)と概ね同等の大きさであるものの、前後方向に関する中央付近において、前側半分を占める前上部ユニット306Fと後側半分を占める後上部ユニット306Rとに分割されている。
【0124】
後上部ユニット306Rは、下部ユニット305における上面の後側半分に固定されている。前上部ユニット306Fは、後上側の端部近傍において、第1の実施の形態における開閉部7と対応する開閉部307により、後上部ユニット306Rに対し回動可能に支持されている。この前上部ユニット306Fは、第1の実施の形態における上部ユニット6(図2図4及び図6等)と同様、下部ユニット305の搬送凹部313における搬送底面313Bと対応する位置に搬送上面323Tが設けられており、さらに搬送部51の従動ローラ63や撮影部54の上側撮影部54A等が設けられている。また搬送底面313B及び搬送上面323Tの間には、図23(C)において斜線で示すように、分包袋連続体100を搬送する搬送空間350が形成されている。
【0125】
この分包袋読取装置302は、図22(A)及び図23において、搬送底面313Bに対し搬送上面323Tを近接させると共に対向させた閉状態となっており、第1の実施の形態と同様、搬送部51により分包袋連続体100を搬送でき、また撮影部54により分包袋110の画像を撮影することができる。
【0126】
また分包袋読取装置302は、閉状態においてユーザにより前上部ユニット306Fに対し上方向ないし後方向へ向かう力が加えられると、前上部ユニット306Fの上面後端に設けた開閉部307を回動中心として該前上部ユニット306Fを回動させ、図22(B)及び図24に示す開状態となる。分包袋読取装置302は、この開状態において、搬送底面313Bに対し搬送上面323Tを大きく引き離しており、図24(C)において斜線で示すように、搬送空間350の上側に隣接する部分に、十分な大きさの取出空間380を形成している。
【0127】
このため分包袋読取装置302は、例えば監査処理の実行中に分包袋連続体100の詰まりが発生した場合、ユーザにより前上部ユニット306Fを開状態に遷移させることにより、搬送空間350内から取出空間380を経由するようにして分包袋連続体100を容易に取り出させることができる。
【0128】
また第3の実施の形態による薬剤監査支援装置301は、その他の点においても、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0129】
[4.第4の実施の形態]
図1と対応する図25(A)に示すように、第4の実施の形態による薬剤監査支援装置401は、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1と比較して、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置402を有する点において相違する。分包袋読取装置402は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2における下部ユニット5、上部ユニット6及び開閉部7に代えて、下部ユニット405、上部ユニット406及び開閉部407を有している。
【0130】
下部ユニット405は、図26に3面図(平面図、正面図及び右側面図)を示すように、第1の実施の形態における下部ユニット5と概ね同様に構成され、上面に搬送凹部13が設けられているものの、上面の後端近傍における左右の両端に開閉部407がそれぞれ設けられている点において相違する。上部ユニット406は、第1の実施の形態における上部ユニット6と概ね同様に構成され、下面に搬送上面23Tが設けられているものの、後面の左右両端近傍に、開閉部407と対応する形状の凹部406Dがそれぞれ形成されている点において相違する。
【0131】
開閉部407は、上下方向に沿った細長い直方体状に形成されており、下部ユニット405の上面における右後端部及び左後端部にそれぞれ立設されている。この開閉部407は、上部ユニット406の凹部406Dと係合しており、該上部ユニット406を上下方向に沿って、すなわち分包袋連続体100の搬送方向である左右方向と交差する方向(以下これを変位方向とも呼ぶ)に沿って、スライドさせ得るように構成されている。
【0132】
この分包袋読取装置402は、図25(A)及び図26において、搬送凹部13に対し搬送上面23Tを近接させた状態で対向させた閉状態となっており、第1の実施の形態と同様、搬送部51により分包袋連続体100を搬送でき、また撮影部54により分包袋110の画像を撮影することができる。
【0133】
また分包袋読取装置402は、閉状態においてユーザにより上部ユニット406に対し上方向へ向かう力が加えられると、凹部406Dを開閉部407に沿ってスライドさせながら該上部ユニット406を上方向へ変位させ、図25(B)及び図27に示す開状態となる。分包袋読取装置402は、この開状態において、搬送底面13Bに対し搬送上面23Tを大きく引き離しており、図27(B)に斜線で示すように、搬送空間50の上側に隣接する部分に十分な大きさの取出空間480を形成している。
【0134】
このため分包袋読取装置402は、例えば監査処理の実行中に分包袋連続体100の詰まりが発生した場合、ユーザにより上部ユニット406を開状態に遷移させることにより、搬送空間50内から取出空間480を経由するようにして分包袋連続体100を容易に取り出させることができる。
【0135】
また第4の実施の形態による薬剤監査支援装置401は、その他の点においても、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0136】
[5.第5の実施の形態]
図1および図22(A)と対応する図28(A)に示すように、第5の実施の形態による薬剤監査支援装置501は、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1と比較して、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置502を有する点において相違する。分包袋読取装置502は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2における下部ユニット5、上部ユニット6及び開閉部7に代えて、下部ユニット505、上部ユニット506及び開閉部507を有している。
【0137】
下部ユニット505は、全体的に第3の実施の形態による下部ユニット305(図22図23及び図24)と類似した構成となっている。すなわち下部ユニット505は、図29に3面図(平面図、正面図及び右側面図)を示すように、挿入ガイド511、排出ガイド512及び搬送凹部513等が、第1の実施の形態による下部ユニット5における挿入ガイド11、排出ガイド12及び搬送凹部13等よりも前寄りに配置されている。また下部ユニット505は、搬送凹部513等の位置に合わせて、搬送部51や撮影部54(図6)等も、第1の実施の形態と比較して前寄りに配置されている。
【0138】
上部ユニット506は、全体的に第3の実施の形態による上部ユニット306(図22図23及び図24)と類似した構成となっている。すなわち上部ユニット506は、前後方向に関する中央付近において、前側半分を占める前上部ユニット506Fと後側半分を占める後上部ユニット506Rとに分割されている。
【0139】
後上部ユニット506Rは、下部ユニット505における上面の後側半分に固定されている。また後上部ユニット506Rは、前面における左寄り及び右寄りとなるそれぞれの箇所に、上下方向に沿った直線状の凹部506Dがそれぞれ形成されている。一方、前上部ユニット506Fは、後面における左寄り及び右寄りとなるそれぞれの箇所に、開閉部507が取り付けられている。開閉部507は、第4の実施の形態における開閉部407(図25図26及び図27)と同様、上下方向に沿った細長い直線状に形成されている。この開閉部507は、後上部ユニット506Rの凹部506Dと係合しており、該後上部ユニット506Rに対し前上部ユニット506Fを上下方向にスライドさせ得るように構成されている。
【0140】
また前上部ユニット506Fは、第3の実施の形態による前上部ユニット306Fと同様、下部ユニット505の搬送凹部513における搬送底面513Bと対応する位置に搬送上面523Tが設けられており、さらに搬送部51の従動ローラ63や撮影部54の上側撮影部54A等が設けられている。また搬送底面513B及び搬送上面523Tの間には、分包袋連続体100を搬送する搬送空間550が形成されている。
【0141】
この分包袋読取装置502は、図28(A)及び図29において、搬送底面513Bに対し搬送上面523Tを近接させると共に対向させた閉状態となっており、第1の実施の形態と同様、搬送部51により分包袋連続体100を搬送でき、また撮影部54により分包袋110の画像を撮影することができる。
【0142】
また分包袋読取装置502は、閉状態においてユーザにより前上部ユニット506Fに対し上方向へ向かう力が加えられると、凹部506Dに対し開閉部507をスライドさせながら該前上部ユニット506Fを上方向へ変位させ、図28(B)及び図30に示す開状態となる。分包袋読取装置502は、この開状態において、搬送底面513Bに対し搬送上面523Tを大きく引き離しており、図30(C)に斜線で示すように、搬送空間550の上側に隣接する部分に十分な大きさの取出空間580を形成している。
【0143】
このため分包袋読取装置502は、例えば監査処理の実行中に分包袋連続体100の詰まりが発生した場合、ユーザにより前上部ユニット506Fを開状態に遷移させることにより、搬送空間550内から取出空間580を経由するようにして分包袋連続体100を容易に取り出させることができる。
【0144】
また第5の実施の形態による薬剤監査支援装置501は、その他の点においても、第1の実施の形態による薬剤監査支援装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0145】
[6.第6の実施の形態]
図2及び図3(A)と対応する図31(A)及び(B)に示すように、第6の実施の形態では、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置602が設けられている。この分包袋読取装置602は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2と比較して、下部ユニット5及び上部ユニット6に代わる下部ユニット605及び上部ユニット606を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0146】
下部ユニット605は、第1の実施の形態による下部ユニット5と比較して、挿入ガイド11、排出ガイド12及び搬送凹部13に代わる挿入ガイド611、排出ガイド612及び搬送凹部613を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0147】
挿入ガイド611、排出ガイド612及び搬送凹部613は、挿入ガイド11、排出ガイド12及び搬送凹部13よりもやや上側に設けられており、該搬送凹部613の搬送底面613Bが下部フレーム610の上面である下部フレーム上面610Tと同等の高さとなっている。因みに下部ユニット605は、搬送底面613Bの高さに合わせて、搬送部51の駆動ローラ62や揺動部53、及び撮影部54の下側撮影部54B等が、何れも第1の実施の形態よりもやや高い位置に設けられている。
【0148】
上部ユニット606は、第1の実施の形態による上部ユニット6と比較して、搬送上面23Tに代わる搬送上面623Tが設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。搬送上面623Tは、該搬送上面23Tよりもやや上側に配置されており、上部フレーム620の下面である上部フレーム下面620Bよりもやや高い位置に設けられている。
【0149】
かかる構成により分包袋読取装置602は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2と比較して、搬送空間650が搬送空間50よりもやや高い位置に形成されている。また分包袋読取装置602は、その他の点においても、第1の実施の形態による分包袋読取装置2と同様の作用効果を奏し得る。
【0150】
[7.第7の実施の形態]
図2及び図3(A)と対応する図32(A)及び(B)に示すように、第7の実施の形態では、分包袋読取装置2に代わる分包袋読取装置702が設けられている。この分包袋読取装置702は、第1の実施の形態による分包袋読取装置2と比較して、下部ユニット5、上部ユニット6及び開閉部7に代わる下部ユニット705、上部ユニット706及び開閉部707を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0151】
下部ユニット705は、第1の実施の形態による下部ユニット5と概ね同様に構成されているものの、開閉部707の一部を構成する下側軸受部707Bが該下部ユニット5と異なっている。下側軸受部707Bは、下部ユニット705の上面における後端近傍から上方向へ向けて立設されており、該下部ユニット705の後面よりも後方へは突出していない。この下側軸受部707Bには、左右方向に沿った仮想的な中心軸X707を中心とした左右方向に貫通する丸孔が穿設されている。この中心軸X707は、前後方向に関し、下部ユニット705の後面よりもやや前側に位置している。
【0152】
上部ユニット706は、第1の実施の形態による上部ユニット6から後上側部分の近傍を斜めに切り落としたような傾斜部706Sを有しており、該傾斜部706Sの後下端近傍に上側軸受部707Aが形成されている。この上側軸受部707Aには、下側軸受部707Bと同様、中心軸X707を中心とした左右方向に貫通する丸孔が穿設されている。回動軸体707Sは、第1実施の形態による回動軸体7Sと同様、中心軸X707を中心とした円柱状に形成されており、下側軸受部707Bの丸孔及び上側軸受部707Aの丸孔に挿通されている。
【0153】
かかる構成により、分包袋読取装置702は、開閉部707の中心軸X707を回動中心として、下部ユニット705に対し上部ユニット706を回動させることができる。すなわち分包袋読取装置702は、図32(A)及び(B)に示した閉状態から上部ユニット706を上方向ないし後方向へ持ち上げるように回動させることにより、図33(A)及び(B)に示すような開状態に遷移させることができる。
【0154】
分包袋読取装置702は、この開状態において、搬送底面13Bに対し搬送上面23Tを大きく引き離しており、図33(B)に斜線で示すように、搬送空間50の上側に隣接する部分に十分な大きさの取出空間780を形成している。これに加えて分包袋読取装置702は、開状態において、上部ユニット706の傾斜部706Sを下部ユニット705の後側面と略平行となる角度まで回動させる程度に留めており、該上部ユニット706を該下部ユニット705の後側面よりも前側に位置させている。
【0155】
このため分包袋読取装置702では、下部ユニット705の後側面よりも後側に空間を確保する必要なく、上部ユニット706を開状態に遷移させることができ、第1の実施の形態等と比較して必要な床面積を縮小でき、省スペース化を図ることができる。また分包袋読取装置702は、その他の点においても第1の実施の形態による分包袋読取装置2と同様の作用効果を奏し得る。
【0156】
[8.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、開閉部7の回動動作によって下部ユニット5に対し上部ユニット6を回動させることにより分包袋読取装置2を閉状態又は開状態に遷移させる形態について述べた。また上述した第4の実施の形態においては、開閉部407のスライド動作によって下部ユニット405に対し上部ユニット406を上下方向へ変位させることにより分包袋読取装置402を閉状態又は開状態に遷移させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば開閉部7等に代えて周知のリンク機構等、他の種々の機構や、これらを適宜組み合わせた機構を設けても良い。要は、搬送部51により分包袋連続体100を搬送し得ると共に撮影部54により分包袋画像を撮影し得る閉状態と、搬送空間50の上側に十分な大きさの取出空間80等を形成する開状態とを遷移させることができれば良い。
【0157】
また上述した第1の実施の形態においては、分包袋読取装置2が開状態(図3(B)及び図20)であるときに形成される取出空間80が、その前側において下部ユニット5の前側面よりも前側の空間と連接される形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば開状態において、薬剤監査支援装置1を構成する部品等により、取出空間80がその前側において下部ユニット5の前側面よりも前側の空間と連接されない一方、上側の空間と連接されるようにしても良い。要は、ユーザが搬送空間50内から取出空間80を経由して分包袋連続体100を外部へ円滑に取り出すこと(すなわち外部の空間へ移動させること)ができれば良い。
【0158】
さらに上述した第1の実施の形態においては、分包袋読取装置2の撮影部54(図9)を、上部ユニット6側の上側撮影部54A及び下部ユニット5側の下側撮影部54Bにより構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば上側撮影部54Aを省略し下側撮影部54Bのみにより撮影部54を構成しても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0159】
さらに上述した第1の実施の形態においては、分包袋読取装置2の閉状態において、下部ユニット5に対する上部ユニット6の前後方向及び左右方向に関する位置を、開閉部7により規定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図1及び図20と対応する図34に示す薬剤監査支援装置801の分包袋読取装置802のように、下部ユニット805の上面に位置決め突起815を設けると共に、上部ユニット806の下面に位置決め穴825を設けても良い。このうち位置決め突起815は、搬送底面13Bの外側且つ近傍に、上下方向に沿った微小な円柱状に形成されている。また位置決め穴825は、搬送上面23Tの外側且つ近傍に配置されており、直径が位置決め突起815よりも僅かに大きい丸穴となっている。このような構成において分包袋読取装置802は、閉状態に遷移した際に、位置決め突起815を位置決め穴825に挿入させることにより、下部ユニット805に対する上部ユニット806の前後方向及び左右方向に関する位置を精度良く合わせることができる。これにより分包袋読取装置802では、搬送部51(図6)における駆動ローラ62に対する従動ローラ63の位置を精度良く合わせ、分包袋連続体100を確実に挟持して良好に搬送することができる。
【0160】
さらに上述した第1の実施の形態においては、分包袋読取装置2の挿入検出部52(図6)を光学センサとする形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、種々の手法により分包袋連続体100の存在や搬送状態等を検出する種々のセンサとしても良い。一例として、図35に示す挿入検出部952のように、走行検出部965及び薬剤通過検出部966を組み合わせた構成とすることが考えられる。
【0161】
走行検出部965は、前後方向に沿った中心軸965Xを中心として回転可能に構成された走行検出ローラ965C、該中心軸965Xに設けられ走行検出ローラ965Cと一体に回転する検出片965D、光や磁気等を利用して検出片965Dの通過を検出する回転検出部965S等を有している。
【0162】
薬剤通過検出部966は、上部ユニット6により前後方向に沿った中心軸を中心として回動可能に支持されたアーム軸966AX、概ね左右方向に沿った棒状に形成されアーム軸966AXに左端が取り付けられたアーム部966A、該アーム部966Aを下方向に付勢するスプリング966Bを有している。また薬剤通過検出部966は、これに加えてアーム部966Aにおける右端に設けられ前後方向に沿った中心軸966X、該中心軸966Xを中心として回転可能な通過検出ローラ966C、超音波センサや磁気センサ等であり通過検出ローラ966Cの上下方向への変位を検出する変位検出部966S等を有している。
【0163】
挿入検出部952は、分包袋連続体100が搬送されている場合、走行検出ローラ965C及び通過検出ローラ966Cをそれぞれ回転させる。このとき挿入検出部952は、走行検出ローラ965Cの回転を回転検出部965Sによって検出することができる。また薬剤通過検出部966は、分包袋連続体100の長手方向(左右方向)に沿って見た場合、袋状部113及び周縁部117の間で見かけ上の厚さが異なるため、通過検出ローラ966Cが上下方向に変位し、これを変位検出部966Sにより検出することができる。
【0164】
制御部4は、回転検出部965S及び変位検出部966Sから得られるそれぞれの検出結果を基に、分包袋連続体100が搬送されているか否か、該分包袋連続体100の搬送速度、及び各分包袋110における袋状部113の位置等をそれぞれ判定及び認識することができる。また排出検出部55についても、該挿入検出部952と同様の構成としても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0165】
さらに上述した実施の形態においては、撮影部54により撮影された分包袋画像C11等(図18)を基に、分包袋連続体100を正常に搬送できているか否か、すなわち該分包袋連続体100の詰まりが発生しているか否かを判定する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば挿入検出部52及び排出検出部55からそれぞれ得られる検出信号や、該検出信号と分包袋画像C11等との組み合わせを基に、分包袋連続体100の搬送状態を判定するようにしても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0166】
さらに上述した第1の実施の形態においては、監査処理の開始時に搬送部51の駆動ローラ62等を停止させておき、挿入検出部52により分包袋連続体100を検出してから該駆動ローラ62等を回転させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば監査処理の開始時に搬送部51の駆動ローラ62等の回転を開始させるようにしても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0167】
さらに上述した第1の実施の形態においては、上部ユニット6にロック機構部24(図4)を設け、取手部21内に配置した掴み板31Aに対し上方向へ向かう力が加えられるとロック爪34B及び被係合突起38Aの係合を解除する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば取手部21の外側にレバーやボタン等を配置し、該レバーやボタン等に対する操作に応じて係合を解除するようにしても良い。また、例えば下部ユニット5側にロック機構部24を設けても良い。あるいは、例えば上部ユニット6の自重により閉状態を良好に維持できる場合等に、ロック機構部24を省略しても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0168】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送部51(図6)に3組の搬送ローラ対61を設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば搬送部51に2組又は4組以上の搬送ローラ対61を設けても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0169】
さらに上述した第1の実施の形態においては、分包袋読取装置2(図6)の下部ユニット5側に揺動部53を設け、該揺動部53に3本の揺動レバー53A等を設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば揺動部53に2本以下又は4本以上の揺動レバー53A等を設けても良く、また上部ユニット6側に揺動部53を設けても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0170】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薬剤監査支援装置1(図1)に監査結果表示装置3を設け、タッチパネル8に各種画面を表示させる形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば薬剤監査支援装置1から監査結果表示装置3を省略すると共に、該薬剤監査支援装置1に無線LAN(Local Area Network)等を利用した通信機能を有する通信部を設け、図示しないタブレット端末やスマートフォン、あるいはパーソナルコンピュータ等に各種画面の情報を送信して当該各種画面を表示させるようにしても良い。さらに、薬剤監査支援装置1及び監査結果表示装置3に無線LAN等を利用した通信機能を有する通信部をそれぞれ設け、両者の間で各種情報を送受信することにより、タッチパネル8に各種画面を表示するようにしても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0171】
さらに上述した第1の実施の形態においては、分包袋読取装置2の下部ユニット5側に制御部4を設け、該制御部4において分包袋画像C1等を基に解析処理や監査処理等を行う形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば薬剤監査支援装置1に通信機能を持たせ、図示しないタブレット端末やスマートフォン、あるいはパーソナルコンピュータ等に分包袋画像を送信して解析処理や監査処理等のうち少なくとも一部を行わせるようにしても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0172】
さらに上述した第1の実施の形態においては、挿入検出部52において上側に発光部を設けると共に下側に受光部を設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば下側に発光部を設けると共に上側に受光部を設けるようにしても良い。また挿入検出部52は、挿入検出光L52のような光を利用する手法に限らず、例えば超音波や物理的なスイッチ等を利用する手法により、分包袋連続体100を検出しても良い。排出検出部55についても同様であり、第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0173】
さらに上述した第1の実施の形態においては、撮影部54(図6及び図9)のうち、上側ユニット6側に配置する上側撮影部54Aに透過光源71及び透過カバー72等を設け、下側ユニット5側に配置する下側撮影部54Bに反射光源75等を設ける形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば撮像素子78を上側撮影部54A側に設ける等、各構成部品を上側撮影部54A側又は下側撮影部54Bに適宜配置しても良い。或いは、例えば撮影部54を構成する全ての部品を下側ユニット5側に設けても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0174】
さらに上述した第1の実施の形態においては、複数の分包袋110が連続的に接続された分包袋連続体100を解析処理や監査処理等の対象とし、搬送部51(図6)によって分包袋連続体100を搬送する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば複数の分包袋110が接続されず互いに分離している場合に、これらの複数の分包袋110を一群のグループとみなして監査処理等の対象とし、各分包袋110を挿入ガイド11側から搬送空間50へ順次挿入させて搬送部51により順次搬送しても良い。第2~第7の実施の形態についても同様である。
【0175】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0176】
さらに上述した第1の実施の形態においては、下部ユニットとしての下部ユニット5と、上部ユニットとしての上部ユニット6と、遷移支持部としての開閉部7と、搬送部としての搬送部51と、撮影部としての撮影部54とによって薬剤監査支援装置としての薬剤監査支援装置1を構成する形態について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる下部ユニットと、上部ユニットと、遷移支持部と、搬送部と、撮影部とによって薬剤監査支援装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、例えば薬剤師による分包袋の監査を支援する薬剤監査支援装置で利用できる。
【符号の説明】
【0178】
1、301、401、501……薬剤監査支援装置、2、202、302、402、502、602、702……分包袋読取装置、5、205、305、405、505、605、705……下部ユニット、6、306、406、506、606、706……上部ユニット、7、307、407、507、707……開閉部、8……タッチパネル、10、610……下部フレーム、10T、610T……下部フレーム上面、11、311、511、611……挿入ガイド、12、312、512、612……排出ガイド、13、313、513、613……搬送凹部、13B、131B、513B、613B……搬送底面、20、620……上部フレーム、20B、620B……上部フレーム下面、21……取手部、24……ロック機構部、23T、323T、523T、623T……搬送上面、31……掴み回動体、31A……掴み板、34……ロックレバー、34B……ロック爪、38……下部係合体、38A……被係合突起、50、350、550、650……搬送空間、51、251……搬送部、52……挿入検出部、53……揺動部、54……撮影部、54A……上側撮影部、54B……下側撮影部、55……排出検出部、56……開閉検出部、61、261……搬送ローラ対、62……駆動ローラ、63……従動ローラ、80、380、480、580、780……取出空間、100……分包袋連続体、100TW……ねじれ箇所、110……分包袋、113……袋状部、117……周縁部、264……トルクリミッタ、306F、506F……前上部ユニット、306R、506R……後上部ユニット、406D、506D……凹部、M……薬剤、P52……挿入位置、P53……揺動位置、P54……撮影位置、P55……排出位置、X7、X707……中心軸。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図35