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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178755
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】スイッチング駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097139
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 信太朗
(72)【発明者】
【氏名】高 杭賢
【テーマコード(参考)】
5H740
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740BA12
5H740BB05
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740LL01
5H740MM01
(57)【要約】
【課題】回路規模を小さく抑えつつ、サージ抑制およびスイッチング速度の高速化を図ることができるスイッチング駆動装置の提供。
【解決手段】スイッチング駆動装置1は、パワー半導体41のゲート端子Gpに対する第1充電回路C1、第1放電回路C2および第2放電回路C3と、それらの回路C1,C2,C3を制御する制御回路30とを備える。ターンオン時には、第1充電回路C1による充電を行う第1ターンオン動作モード、第1充電回路C1による充電および第2放電回路C3による放電を行う第2ターンオン動作モードを実行する。ターンオフ時に、第1放電回路C2および第2放電回路C3による放電を行う第1ターンオフ動作モード、第1放電回路C2による放電を行う第2ターンオフ動作モードを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子のゲート端子に駆動電圧または駆動電流を供給するスイッチング駆動装置であって、
ターンオン抵抗と第1スイッチング素子を有し、前記半導体素子のターンオン時に前記ゲート端子を充電する第1回路と、
ターンオフ抵抗と第2スイッチング素子を有し、前記半導体素子のターンオフ時に前記ゲート端子を放電する第2回路と、
前記ゲート端子に接続され、ゲート抵抗と第3スイッチング素子を有して前記ゲート端子の放電または充電を行う第3回路と、
前記第1乃至第3スイッチング素子のオン/オフを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記半導体素子のターンオン時に、前記第1回路による充電と前記第3回路による放電または充電とを制御して、第1ターンオン動作モードを実行させた後に、該第1ターンオン動作モードよりも低速な第2ターンオン動作モードを実行し、
前記半導体素子のターンオフ時に、前記第2回路による放電と前記第3回路による放電または充電とを制御して、第1ターンオフ動作モードを実行させた後に、該第1ターンオフ動作モードよりも低速な第2ターンオフ動作モードを実行する、スイッチング駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング駆動装置において、
前記第3回路は、前記第2回路と並列に設けられる放電回路であり、
前記第1ターンオン動作モードでは、前記第1回路による充電を行い、
前記第2ターンオン動作モードでは、前記第1回路による充電および前記第3回路による放電を行い、
前記第1ターンオフ動作モードでは、前記第2回路による放電および前記第3回路による放電を行い、
前記第2ターンオフ動作モードでは、前記第2回路による放電を行う、スイッチング駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスイッチング駆動装置において、
前記第3回路は、前記第1回路と並列に設けられる充電回路であり、
前記第1ターンオン動作モードでは、前記第1回路による充電および前記第3回路による充電を行い、
前記第2ターンオン動作モードでは、前記第1回路による充電を行い、
前記第1ターンオフ動作モードでは、前記第2回路による放電を行い、
前記第2ターンオフ動作モードでは、前記第2回路による放電および前記第3回路による充電を行う、スイッチング駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスイッチング駆動装置において、
前記第3回路が放電を行う回路である場合には、前記第2ターンオン動作モードを実行した後に、さらに前記第1ターンオン動作モードを再実行し、
前記第3回路が充電を行う回路である場合には、前記第2ターンオフ動作モードを実行した後に、さらに前記第1ターンオフ動作モードを再実行する、スイッチング駆動装置。
【請求項5】
請求項1に記載のスイッチング駆動装置において、
前記半導体素子の電圧、電流および温度の少なくとも一つを検知する検知部をさらに備え、
前記制御装置は、前記検知部の検知情報に基づいて前記第3スイッチング素子のオン/オフを制御する、スイッチング駆動装置。
【請求項6】
請求項2に記載のスイッチング駆動装置において、
前記第1ターンオフ動作モードにおける前記第3回路による放電期間は、前記半導体素子の入力電圧または前記半導体素子を流れる電流が低くなるほど長く設定される、スイッチング駆動装置。
【請求項7】
請求項2に記載のスイッチング駆動装置において、
前記第2ターンオン動作モードにおける前記第3回路による放電期間は、前記半導体素子の入力電圧または前記半導体素子を流れる電流または前記半導体素子のデバイス温度が高くなるほど長く設定される、スイッチング駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換器の小型化と高出力密度化には、パワー半導体の低損失化が必要である。しかし、高速スイッチングによる低損失化とスイッチング時のサージ増大とはトレードオフの関係にある。そのため、従来、スイッチング速度を高速化しつつ、サージ電圧を許容電圧以内に抑える多段式ゲート抵抗駆動回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-129396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ターンオン時は充電回路のP型MOSFET(PMOS)を介してスイッチングの高速化を図り、ターンオフ時は放電回路のN型MOSFET(NMOS)を介してスイッチングの高速化を図っている。しかしながら、PMOSおよびNMOSを設けることにより、回路サイズや回路コストが増えるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によるスイッチング駆動装置は、半導体素子のゲート端子に駆動電圧または駆動電流を供給するスイッチング駆動装置であって、ターンオン抵抗と第1スイッチング素子を有し、前記半導体素子のターンオン時に前記ゲート端子を充電する第1回路と、ターンオフ抵抗と第2スイッチング素子を有し、前記半導体素子のターンオフ時に前記ゲート端子を放電する第2回路と、前記ゲート端子に接続され、ゲート抵抗と第3スイッチング素子を有して前記ゲート端子の放電または充電を行う第3回路と、前記第1乃至第3スイッチング素子のオン/オフを制御する制御装置と、を備える。そして、前記制御装置は、前記半導体素子のターンオン時に、前記第1回路による充電と前記第3回路による放電または充電とを制御して、第1ターンオン動作モードを実行させた後に、該第1ターンオン動作モードよりも低速な第2ターンオン動作モードを実行し、前記半導体素子のターンオフ時に、前記第2回路による放電と前記第3回路による放電または充電とを制御して、第1ターンオフ動作モードを実行させた後に、該第1ターンオフ動作モードよりも低速な第2ターンオフ動作モードを実行する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、回路規模を小さく抑えつつ、サージ抑制およびスイッチング速度の高速化を図ることができるスイッチング駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電力変換装置の構成の一部を示す図である。
図2】第1の実施形態におけるスイッチング駆動装置の詳細を説明する図である。
図3】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、第1の実施形態におけるターンオフ時の各信号の波形例を示す図である。
図4】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、第1の実施形態におけるターンオン時の各信号の波形例を示す図である。
図5】スイッチング駆動装置における、パワー半導体の状態を検知する構成を示す図である。
図6】(a)はターンオフ時の時間幅とドレインソース間電圧との関係を示し、(b)はターンオフ時の時間幅とドレインソース電流との関係を示す。
図7】(a)、(b)、(c)は、ターンオン時の時間幅の設定方法を説明する図である。
図8】第1の実施形態の変形例を示す図である。
図9】第2の実施形態のスイッチング駆動装置を説明する図である。
図10】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、第2の実施形態におけるターンオフ時の各信号の波形例を示す図である。
図11】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、第2の実施形態におけるターンオン時の各信号の波形例を示す図である。
図12】第3の実施形態に係るスイッチング駆動装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。また、以下の説明では、同一または類似の要素および処理には同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。なお、以下に記載する内容はあくまでも本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明は下記の実施の形態に限定されるものではなく、他の種々の形態でも実施する事が可能である。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施の形態のスイッチング駆動装置の適用例を示す図であり、電力変換装置の構成の一部を示す図である。電力変換装置は、例えば、電動車両に搭載された電動モータを駆動する。電動モータは3相コイルを有し、電力変換装置には、3相コイルに所定の通電パターンを印加するための三相スイッチングアームを備えている。図1は、電力変換装置に設けられた三相スイッチングアーム500U,500V,500Wの内の1相分である、三相スイッチングアーム500Uを示したものである。
【0010】
三相スイッチングアーム500Uには、上アームのパワー半導体42と下アームのパワー半導体41とが設けられている。パワー半導体41,42には、例えば、IGBT、Si-MOSFET、GaN-MOSFETなどの半導体素子が用いられる。なお、図1では、パワー半導体41,42にMOSFETを用いた場合を示した。
【0011】
パワー半導体41,42には、主回路用高圧側端子(IGBTであればコレクタ端子、MOSFETであればドレイン端子)と、主回路用低圧側端子(IGBTであればエミッタ端子、MOSFETであればソース端子)と、制御用端子(ゲート端子)とが設けられている。なお、所望の出力電流値に応じてパワー半導体をさらに多並列接続しても良い。
【0012】
上アーム側の正極配線52は、図示されていないバッテリなど直流電圧源の正極端子に接続される。下アーム側の負極配線51は直流電圧源の負極端子に接続される。正極配線52はパワー半導体42の主回路用高圧側端子(ドレイン端子)に接続される。パワー半導体42の主回路用低圧側端子(ソース端子)は、三相スイッチングアーム500Uの出力端子53、および、パワー半導体41の主回路用高圧側端子(ドレイン端子)に接続される。パワー半導体41の主回路用低圧側端子(ソース端子)は、負極配線51に接続される。出力端子53は電動モータなどの負荷に接続される。
【0013】
パワー半導体41のゲート端子Gpおよびソース端子Spは、パワー半導体41に駆動電力を送るゲート駆動装置10のゲート端子13、ソース端子14にそれぞれ接続される。パワー半導体42のゲート端子Gpおよびソース端子Spは、パワー半導体42に駆動電力を送るゲート駆動装置20のゲート端子13、ソース端子14にそれぞれ接続される。
【0014】
ゲート駆動装置10,20は制御回路30に接続される。制御回路30は例えばマイコン等により構成される。制御回路30は、上位の制御装置(不図示)より入力される駆動指令に基づいて、ゲート駆動装置10,20毎に制御指令を出力し、各パワー半導体41,42のオン/オフを個別に制御する。その結果、出力端子53を介して電動モータなどの負荷へ交流の電圧が出力される。
【0015】
図2は、スイッチング駆動装置の詳細を説明する図である。スイッチング駆動装置の基本構成はゲート駆動装置10,20のいずれか一方と制御回路30とで構成され、図2に示す例では、ゲート駆動装置10と制御回路30とで構成されるスイッチング駆動装置1を示した。ゲート駆動装置20と制御回路30とで構成されるスイッチング駆動装置も、図2に示すスイッチング駆動装置1と同様の構成であって同様の動作をする。以下では、スイッチング駆動装置1を例に説明する。
【0016】
図2は、パワー半導体41とパワー半導体41に対応するスイッチング駆動装置1とを示す図であって、ゲート駆動装置10の詳細を示したものである。なお、図1のゲート駆動装置20もゲート駆動装置10と同様の構成である。ゲート駆動装置10は、スイッチング素子M1を有する第1充電回路C1と、スイッチング素子M2を有する第1放電回路C2と、スイッチング素子M3を有する第2放電回路C3とを備えている。以下の説明では、パワー半導体41、スイッチング素子M2,M3がN型MOSFETで、スイッチング素子M1がP型MOSFETである場合を例に説明する。
【0017】
第1充電回路C1は、正側電源V1、スイッチング素子M1、オンゲート抵抗R1および逆流防止用ダイオードDi1を備えている。スイッチング素子M1のソース側端子S1は、正側電源V1に接続される。スイッチング素子M1のゲート端子G1は、ゲート駆動装置10の信号端子11に接続される。スイッチング素子M1のドレイン側端子D1は、オンゲート抵抗R1の一端に接続される。オンゲート抵抗R1の他端は、逆流防止用ダイオードDi1のアノードに接続される。
【0018】
第1放電回路C2は、スイッチング素子M2、オフゲート抵抗R2および逆流防止用ダイオードDi2を備えている。スイッチング素子M2のソース側端子S2は、ゲート駆動装置10のソース端子14に接続される。スイッチング素子M2のゲート端子G2は、ゲート駆動装置10の信号端子11に接続される。スイッチング素子M2のドレイン側端子D2は、オフゲート抵抗R2の一端に接続される。オフゲート抵抗R2の他端は、逆流防止用ダイオードDi2のカソードに接続される。
【0019】
第2放電回路C3は、スイッチング素子M3および充放電ゲート抵抗R3を備えている。充放電ゲート抵抗R3の一端は、ゲート駆動装置10のゲート端子13に接続される。充放電ゲート抵抗R3の他端は、スイッチング素子M3のドレイン側端子D3に接続される。スイッチング素子M3のソース側端子S3は、ゲート駆動装置10のソース端子14に接続される。スイッチング素子M3のゲート端子G3は、ゲート駆動装置10の信号端子12に接続される。
【0020】
逆流防止用ダイオードDi1のカソードは、逆流防止用ダイオードDi2のアノードに接続されると共に、ゲート駆動装置10のゲート端子13および充放電ゲート抵抗R3の一端に接続される。第1放電回路C2と第2放電回路C3とは、ゲート端子13に対して並列に接続されている。なお、逆流防止用ダイオードDi1,Di2を省略した構成でもよい。
【0021】
ゲート駆動装置10の信号端子11,12は制御回路30に接続される。ゲート駆動装置10のゲート端子13は、パワー半導体41のゲート端子Gpに接続される。ゲート駆動装置10のソース端子14は、パワー半導体41のソース端子Spに接続される。なお、図2に示す例では、信号端子11,12を共通の制御回路30に接続したが、各信号端子11,12を独立して設けられた2つの制御回路に個別に接続するような構成としても良い。
【0022】
(ターンオフ時の動作説明)
図3は、パワー半導体41のターンオフ時における各信号の波形例を示す図である。波形(A)は、信号端子11の電圧波形を示す。波形(B)は、信号端子12の電圧波形を示す。波形(C)は、パワー半導体41のゲートソース(GpSp)間の電圧(以下ではゲートソース間電Vgsと記載する)を示す。波形(D)は、パワー半導体41のドレインソース(DpSp)間の電圧(以下ではドレインソース間電圧Vdsと記載する)を示す。波形(E)は、パワー半導体41のドレインソース(DpSp)間を流れる電流(以下ではドレインソース電流Idsと記載する)を示す。波形(F)は、パワー半導体41のスイッチング損失の波形を示す。なお、図3において破線で示す波形は、図2に示す回路図において第2放電回路C3を削除した構成(以下では、従来構成と呼ぶ)の場合の信号波形を示す。
【0023】
波形(A)の実線で示すように、時刻t0において、パワー半導体41をオフする制御指令が、制御回路30からゲート駆動装置10の信号端子11に入力される。すなわち、信号端子11の電圧がLレベルからHレベルに切り替えられる。この信号がスイッチング素子M1,M2のゲート端子G1,G2に入力されると、P型MOSFETであるスイッチング素子M1はオンからオフへ切り替わり、N型MOSFETであるスイッチング素子M2はオフからオンへ切り替わる。
【0024】
また、波形(B)に示すように、時刻t0において、信号端子12には、スイッチング素子M3をオフからオンする制御指令が入力される。すなわち、信号端子12の電圧がLレベルからHレベルに切り替えられる。この信号がスイッチング素子M3のゲート端子G3に入力されると、N型MOSFETであるスイッチング素子M3はオフからオンへ切り替わる。なお、信号端子12にオンの制御指令が入力されるタイミングは、時刻t0よりも遅くてもよい。
【0025】
時刻t0にスイッチング素子M2がオン(スイッチング素子M1はオフ)すると、図2のパワー半導体41のゲート端子Gpより、逆流防止用ダイオードDi2、オフゲート抵抗R2およびスイッチング素子M2を経由して、パワー半導体41のゲートソース間容量の放電が開始される。また、時刻t0にスイッチング素子M3がオンすると、パワー半導体41のゲート端子Gpより、充放電ゲート抵抗R3およびスイッチング素子M3を経由して、パワー半導体41のゲートソース間容量の放電が開始される。その結果、波形(C)の実線で示すように、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsが減少し始める。
【0026】
時刻t1にパワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsがミラー期間に到達すると、波形(D)の実線で示すように、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsが増加し始める。波形(C)の破線で示す従来構成の場合には、パワー半導体41のゲート容量をCとすると、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsの放電時定数τ1はCR2となる。一方、本実施形態では、波形(B)に示すように時刻t0にスイッチング素子M3もオンとされるため、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsの放電時定数τ2はC(R2//R3)となる。なお、R2//R3は、並列接続された抵抗R2,R3の合成抵抗を表す。そのため、スイッチング素子M3がオンしている間(t1~t2)は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsの放電速度が高速化され、ドレインソース間電圧Vdsが急激に増加する。
【0027】
波形(C)に示すように、時刻t2にゲートソース電圧Vgsにおけるミラー期間が終了すると、波形(E)に示すように、パワー半導体41のドレインソース間に流れる電流(ドレインソース電流Ids)が減少し始める。この時刻t2において、制御回路30から信号端子12にスイッチング素子M3をオフする制御指令が入力される。すなわち、信号端子12の電圧がHレベルからLレベルに切り替えられる。なお、信号端子12にオフの制御指令が入力されるタイミングは、時刻t2より遅くてもよい。時刻t2以降は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsの放電時定数は、従来構成の場合と同じCR2となる。そのため、時刻t2以降に発生する放電時定数に関連するパワー半導体41のドレインソース間のサージ電圧は、従来構成の場合と同様となる。
【0028】
パワー半導体41のスイッチング損失量は、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsとパワー半導体41のドレインソース電流Idsの積算合計値で表される。波形(F)に示すように、従来構成の場合(破線)には、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsを許容電圧以下に抑制するためにオフゲート抵抗R2が大きく設定され、スイッチング損失は時刻t0から時刻t3まで発生する。一方、本実施形態では、時刻t0にスイッチング素子M3をオンすることで放電速度が高速化されるので、波形(F)に示すように、時刻t1から時刻t3までのより短い期間において損失が発生する。このように、本実施形態では、従来構成の場合(破線)と比べてスイッチング損失の発生する期間が短くなるので、損失の時間積分値である損失量も従来構成の場合よりも小さくなる。すなわち、第1の実施形態においては、従来構成の場合に比べてターンオフにおけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0029】
(ターンオン時の動作説明)
図4は、パワー半導体41のターンオン時における各信号の波形例を示す図である。波形(A)は、信号端子11の電圧波形を示す。波形(B)は、信号端子12の電圧波形を示す。波形(C)は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsを示す。波形(D)は、図1に示した上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsを示す。波形(E)は、パワー半導体41のドレインソース電流Idsを示す。波形(F)は、パワー半導体41のスイッチング損失を示す。図3の場合と同様に、破線で示す波形は従来構成の場合の信号波形を示す。
【0030】
波形(A)の実線で示すように、時刻t0において、パワー半導体41をオンする制御指令が、制御回路30からゲート駆動装置10の信号端子11に入力される。すなわち、信号端子11の電圧がHレベルからLレベルに切り替えられる。この信号がスイッチング素子M1,M2のゲート端子G1,G2に入力されると、スイッチング素子M1はオフからオンへ切り替わり、スイッチング素子M2はオンからオフへ切り替わる。スイッチング素子M1がオンすると、正側電源V1、スイッチング素子M1、逆流防止用ダイオードDi1およびオンゲート抵抗R1を経由して流れる充電電流により、図2のパワー半導体41のゲートソース間容量が充電される。その結果、波形(C)の実線で示すように波形パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsが増加し始める。
【0031】
時刻t1において、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsが閾電圧Vthを超えると、波形(D),(E)の実線で示すように、図1の上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsが増加し始め、パワー半導体41のドレインソース電流Idsが増加し始める。すなわち、下アーム側のパワー半導体41がオンするとパワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsが減少し、逆にオフ状態である上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsが増加する。
【0032】
波形(B)に示すように、時刻t2において、制御回路30から信号端子12にスイッチング素子M3をオンする制御指令が入力される。すなわち、信号端子12の電圧がLレベルからHレベルに切り替えられる。なお、信号端子12にオンの制御指令が入力されるタイミングは、時刻t2より早くてもよい。
【0033】
時刻t2に信号端子12の電圧がHレベルになるとスイッチング素子M3がオンし、パワー半導体41のゲート端子Gpより、充放電ゲート抵抗R3およびスイッチング素子M3を経由してパワー半導体41のゲートソース間容量が放電される。その結果、スイッチング素子M3がオンの時は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsは、第2放電回路C3の充放電ゲート抵抗R3と第1充電回路C1のオンゲート抵抗R1との比で決定される電圧値に収束する。波形(C),(D)の実線で示すように、時刻t2から時刻t3ではパワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsは一定に保たれる。そのため、パワー半導体41のドレインソース電流Idsの変化が緩やかになるとともに、上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsの増加が緩やかになって抑制される。
【0034】
波形(B)に示すように、時刻t3において、制御回路30から信号端子12にスイッチング素子M3をオフする制御指令が入力される。すなわち、信号端子12の電圧がHレベルからLレベルに切り替えられる。なお、信号端子12にオフの制御指令が入力されるタイミングは時刻t3より遅くてもよい。波形(F)の実線で示すように、パワー半導体41のスイッチング損失は、時刻t1から時刻t4までにおいて発生する。
【0035】
従来構成の場合(破線)には、上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsを許容電圧以下に抑制するために、オンゲート抵抗R1が大きく設定される。一方、本実施形態では、スイッチング素子M3をオンすることで充電速度を低速化し、パワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsを許容電圧以下に抑制している。そのため、オンゲート抵抗R1を従来構成の場合よりも小さく設定することが可能となり、スイッチング素子M3がオフである期間において充電速度を従来よりも高速とすることができる。その結果、波形(F)に示すように、損失の発生する期間が従来構成の場合(破線)よりも短くなる。すなわち、第1の実施形態においては、従来構成の場合に比べてターンオンにおけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0036】
(制御回路30における制御指令生成方法)
次いで、制御回路30における制御指令の生成方法について説明する。上述した制御回路30からの制御指令は、パワー半導体41の状態に応じて生成するのが好ましい。図5は、図2の場合と同様にスイッチング駆動装置1に関する回路構成を示したものであって、パワー半導体41の状態を検知する手段を備えている。
【0037】
図5では、パワー半導体41の状態を検知する手段として、パワー半導体41のドレインソース電流Idsを検知する素子電流検出部61と、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsを検知する素子電圧検出部62と、パワー半導体41の温度Tjを検知する素子温度検出部63とを備えている。制御回路30には、上位の制御装置からの駆動指令S、各検出部61~63の状態検出情報(Ids,Vds,Tj)が入力される。
【0038】
制御回路30は駆動指令Sのみ、または、駆動指令Sおよび状態検出情報(Ids,Vds,Tj)の両方に基づいて、ゲート駆動装置10の信号端子11および信号端子12のそれぞれに制御指令を送る。なお、パワー半導体41の状態検出情報としては、上記以外の情報として、例えば、ドレインソース間電圧Vdsの変化率の立ち上がりや、ドレインソース間電圧Vdsおよびドレインソース電流Idsの変化率の立下りなど、任意に選ぶことができる。このように、制御回路30は、検知されたパワー半導体41の状態に応じて制御指令を生成することで、パワー半導体41のスイッチング動作をより適切に制御することができる。
【0039】
また、図示は省略するが、制御回路30に代えて、信号端子11へ制御指令を出力する制御回路30Aと、信号端子12へ制御指令を出力する制御回路30Bとを個別に設けても良い。上位からの駆動指令Sおよびパワー半導体41の状態検出情報(Ids,Vds,Tj)は、各制御回路30A,30Bに対して個別に入力される。
【0040】
次に、状態検出情報(Ids,Vds,Tj)を使用した制御について説明する。なお、図2のゲート駆動装置10の信号端子12に入力される制御指令、すなわち、図3および図4の波形(B)に示す信号端子12の電圧のHレベルに関して、Hレベルの時間幅をΔtonとする。時間幅Δtonは、図5の素子電圧検出部62で検出されたパワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsに基づいて設定しても良いし、素子電流検出部61で検出されたドレインソース電流Idsに基づいて設定しても良い。その場合、素子電圧検出部62および素子電流検出部61の検出値の両方を用いても良いし、片方だけ用いても良い。
【0041】
まず、パワー半導体41のターンオフ時における信号端子12の制御指令生成方法について説明する。図3の時間幅Δtonが大きいほど、ターンオフ時により高速スイッチングとなる。図6(a)は、ターンオフ時の時間幅Δtonを、ドレインソース間電圧Vdsに基づいて設定する場合を示す。図6(a)に示すように、素子電圧検出部62の検出値が大きいほど時間幅Δtonを小さく、検出値が小さいほど時間幅Δtonを大きく設定する。その際に、時間幅Δtonに最大値(Δton_max)や最小値(Δton_min)を設けても良い。また、時間幅Δtonの値は線形的に変化させなくても良いし、離散的な値を使用しても良い。このように設定するのは、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsが小さいほど、許容電圧までの電圧差が大きくなることにより、スイッチング速度をより高速化できるからである。図6(a)のように時間幅Δtonを設定することで、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsに応じて、より広範囲で高速スイッチングを実現でき、スイッチング損失が低減される。
【0042】
図6(b)は、ターンオフ時の時間幅Δtonを、ドレインソース電流Idsに基づいて設定する場合を示す。この場合、素子電流検出部61の検出値が大きいほど時間幅Δtonを小さく、素子電流検出部61の検出値が小さいほど時間幅Δtonを大きく設定する。その際に、時間幅Δtonに最大値(Δton_max)や最小値(Δton_min)を設けても良い。また、時間幅Δtonの値は線形的に変化させなくても良いし、離散的な値を使用しても良い。このように設定するのは、パワー半導体41のドレインソース電流Idsが小さいほど、許容電圧までの電圧差が大きくなることにより、スイッチング速度をより高速化できるからである。図6(b)に示すように時間幅Δtonを設定することで、パワー半導体41のドレインソース電流Idsに応じて、より広範囲で高速スイッチングを実現でき、スイッチング損失が低減される。
【0043】
次に、パワー半導体41のターンオン時における信号端子12の制御指令生成方法について説明する。図4の波形(B)に示す時間幅Δtonが小さいほど、ターンオン時により高速スイッチングとなる。なお、図4において、信号端子12の電圧信号の時間幅Δtonの立ち下がり時刻は、例えば、パワー半導体41のターンオン終了時刻でも良いし、ターンオン終了時刻から任意の時間を加算もしくは減算した値でも良い。その場合、時間幅Δtonの立ち上がり時刻は、立ち下がり時刻から時間幅Δtonを差し引いた値とされる。
【0044】
図7(a)は、ターンオン時の時間幅Δtonを、素子電圧検出部62で検出されるドレインソース間電圧Vdsに基づいて設定する場合を示す。その場合、素子電圧検出部62の検出値が大きいほど時間幅Δtonを大きく、検出値が小さいほど時間幅Δtonを小さく設定する。その際に、時間幅Δtonに最大値(Δton_max)や最小値(Δton_min)を設けても良い。また、時間幅Δtonの値は線形的に変化させなくても良いし、離散的な値を使用しても良い。このように設定するのは、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsが小さいほど、許容電圧までの電圧差が大きくなることにより、このようなターンオン動作を行うことで、スイッチング速度をより高速化できるからである。図7(a)のように時間幅Δtonを設定することにより、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsに応じてより広範囲で高速スイッチングを実現でき、スイッチング損失が低減される。
【0045】
図7(b)は、ターンオン時の時間幅Δtonを、素子電流検出部61で検出されるドレインソース電流Idsに基づいて設定する場合を示す。その場合、素子電流検出部61の検出値が大きいほど時間幅Δtonを大きく、素子電流検出部61の検出値が小さいほど時間幅Δtonを小さく設定する。その際に、時間幅Δtonに最大値(Δton_max)や最小値(Δton_min)を設けても良い。また、時間幅Δtonの値は線形的に変化させなくても良いし、離散的な値を使用しても良い。このように設定するのは、パワー半導体41のドレインソース電流Idsが小さいほど、許容電圧までの電圧差が大きくなることにより、このようなターンオン動作を行うことで、スイッチング速度をより高速化できるからである。図7(b)のように時間幅Δtonを設定することにより、パワー半導体41のドレインソース電流Idsに応じてより広範囲で高速スイッチングを実現でき、スイッチング損失が低減される。
【0046】
図7(c)は、ターンオン時の時間幅Δtonを、素子温度検出部63で検出されるパワー半導体41の温度Tjに基づいて設定する場合を示す。その場合、温度Tjが大きいほど時間幅Δtonを大きく、温度Tjが小さいほど時間幅Δtonを小さく設定する。その際に、時間幅Δtonに最大値(Δton_max)や最小値(Δton_min)を設けても良い。また、時間幅Δtonの値は線形的に変化させなくても良いし、離散的な値を使用しても良い。このように設定するのは、パワー半導体41の温度Tjが小さいほど、許容電圧までの電圧差が大きくなることにより、このようなターンオン動作を行うことで、スイッチング速度をより高速化できるからである。図7(c)のように時間幅Δtonを設定することにより、パワー半導体41の温度Tjに応じてより広範囲で高速スイッチングを実現でき、スイッチング損失が低減される。
【0047】
(変形例)
図8は、上述した第1の実施形態の変形例を示す図である。図8に示す変形例では、第2放電回路C3を並列接続された2つの放電回路で構成した。並列接続された放電回路の一方は充放電ゲート抵抗3Rとスイッチング素子M3とを備え、他方は充放電ゲート抵抗5Rとスイッチング素子M5とを備える。図8に示す例では、充放電ゲート抵抗3R,5Rを可変抵抗としたが、可変抵抗でなくても良い。なお、第2放電回路C3において、並列接続される放電回路は3つ以上であっても良い。
【0048】
充放電ゲート抵抗3R,5Rの値は制御回路30の制御指令に応じて決めても良いし、図5に示した素子電流検出部61、素子電圧検出部62および素子温度検出部63の検出値を用いて決定してもよい。図8の構成の場合、例えば、ターンオフの場合に、スイッチング素子M2,M3,M5の全てをオンすることで、さらに高速化を図ることができる。なお、図2に示した第2放電回路C3の場合にも、充放電ゲート抵抗R3を可変抵抗とすることで、例えば、素子温度Tjの値に応じて可変抵抗の値を制御することで、より適切に充放電制御を行うことができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態のスイッチング駆動装置1を説明する図である。図9に示すスイッチング駆動装置1は、制御回路30と、パワー半導体41に駆動電力を送るゲート駆動装置10Aとを備える。なお、図示は省略するが、上アーム側のパワー半導体42に関するスイッチング駆動装置も、ゲート駆動装置10Aと同様の構成のゲート駆動装置を備えている。
【0050】
ゲート駆動装置10Aは、スイッチング素子M1を有する第1充電回路C1と、スイッチング素子M2を有する第1放電回路C2と、スイッチング素子M4を有する第2充電回路C4とを備えている。以下の説明では、パワー半導体41およびスイッチング素子M2がN型MOSFETで、スイッチング素子M1,M4がP型MOSFETである場合を例に説明する。
【0051】
ゲート駆動装置10Aの第1充電回路C1および第1放電回路C2は、図2に示したゲート駆動装置10の第1充電回路C1および第1放電回路C2と同一構成である。第2充電回路C4は、スイッチング素子M4および充放電ゲート抵抗R4を備えている。スイッチング素子M4のソース側端子S4は、正側電源V2に接続される。スイッチング素子M4のゲート端子G4は、ゲート駆動装置10Aの信号端子12に接続される。スイッチング素子M4のドレイン側端子D4は、充放電ゲート抵抗R4の一端に接続される。充放電ゲート抵抗R4の他端は、ゲート駆動装置10Aのゲート端子13に接続される。
【0052】
逆流防止用ダイオードDi1のカソードは、逆流防止用ダイオードDi2のアノードに接続されると共に、ゲート駆動装置10Aのゲート端子13および充放電ゲート抵抗R4の他端に接続される。第1充電回路C1と第2充電回路C4とは、ゲート端子13に対して並列に接続されている。なお、逆流防止用ダイオードDi1,Di2を省略した構成でもよい。
【0053】
ゲート駆動装置10Aの信号端子11,12は制御回路30に接続される。ゲート駆動装置10Aのゲート端子13は、パワー半導体41のゲート端子Gpに接続される。ゲート駆動装置10Aのソース端子14は、パワー半導体41のソース端子Spに接続される。図9に示す例では、信号端子11,12を共通の制御回路30に接続したが、各信号端子11,12を独立して設けられた2つの制御回路に個別に接続するような構成としても良い。正側電源V1,V2の電位は異なっていても良いが一般には等しく設定され、本実施形態においても同一電位に設定されている場合を例に説明する。
【0054】
(ターンオフ時の動作説明)
図10は、パワー半導体41のターンオフ時における各信号の波形例を示す図である。波形(A)は、信号端子11の電圧波形を示す。波形(B)は、信号端子12の電圧波形を示す。波形(C)は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsを示す。波形(D)は、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsを示す。波形(E)は、パワー半導体41のドレインソース電流Idsを示す。波形(F)は、パワー半導体41のスイッチング損失の波形を示す。なお、図10において破線で示す波形は、図9に示す回路図において第2充電回路C4を削除した従来構成の場合の信号波形を示す。
【0055】
波形(A)の実線で示すように、時刻t0において、パワー半導体41をオフする制御指令が、制御回路30からゲート駆動装置10の信号端子11に入力される。すなわち、信号端子11の電圧がLレベルからHレベルに切り替えられる。この信号がスイッチング素子M1,M2のゲート端子G1,G2に入力されると、P型MOSFETであるスイッチング素子M1はオンからオフへ切り替わり、N型MOSFETであるスイッチング素子M2はオフからオンへ切り替わる。
【0056】
時刻t0にスイッチング素子M2がオン(スイッチング素子M1はオフ)すると、パワー半導体41のゲート端子Gpより、逆流防止用ダイオードDi2、オフゲート抵抗R2およびスイッチング素子M2を経由して、パワー半導体41のゲートソース間容量の放電が開始される。その結果、波形(C)の実線で示すように、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsが減少し始める。
【0057】
第1の実施形態で説明したように、従来構成の場合(破線)には、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsを許容電圧以下に抑制するために、オフゲート抵抗R2の値を大きく設定している。一方、第2の実施形態における第1放電回路C2のオフゲート抵抗R2の値は、従来構成の場合よりも小さく設定される。例えば、図10に示す例では、時刻t0から時刻t1までのゲートソース間電圧Vgsの放電時定数が図3に示す時定数τ2と同じになるように、オフゲート抵抗R2の値が設定される。そのため、図10における時刻t0から時刻t1までのゲートソース間電圧Vgsの実線ラインの傾きは、図3の波形(C)の時刻t0~t1における実線ラインの傾きと同じになっている。
【0058】
時刻t1にパワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsがミラー期間に到達すると、波形(D)の実線で示すように、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsが増加し始める。波形(C)の実線で示すように、時刻t2においてパワー半導体41のゲートソース電圧Vgsに関するミラー期間が終了すると、波形(E)に示すように、パワー半導体41のドレインソース電流Idsが減少し始める。
【0059】
波形(B)に示すように、時刻t21において、制御回路30から信号端子12にスイッチング素子M4をオンする制御指令が入力される。すなわち、信号端子12の電圧がHレベルからLレベルに切り替えられる。なお、信号端子12にオンの制御指令が入力されるタイミング(時刻t21)は、時刻t2より遅くてもよい。
【0060】
時刻t21にスイッチング素子M4がオンすると、正側電源V2、スイッチング素子M4、充放電ゲート抵抗R4を経由して充電電流が流れる。その結果、スイッチング素子M4がオンの時は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsは、第2充電回路C4の充放電ゲート抵抗R4と第1放電回路C2のオフゲート抵抗R2との比で決定される電圧値に収束する。このように、第1放電回路C2で放電を行っている最中にスイッチング素子M4をオンすることにより放電速度が低速化され、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsが許容電圧以下に抑制される。
【0061】
そのため、上述したようにオフゲート抵抗R2の値を従来構成の場合よりも小さく設定することが可能となり、スイッチング素子M3がオフである期間において放電速度を従来よりも高速化することができる。その結果、波形(F)の実線で示すように、損失の発生する期間がオフゲート抵抗R2を大きくする従来構成の場合(破線)よりも短くなる。すなわち、第2の実施形態においても、従来構成の場合に比べてターンオフにおけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0062】
なお、図10に示す例では、信号端子12にオフの制御指令が入力されるタイミング、すなわちLレベルからHレベルに切り替わるタイミングの時刻t3は、ドレインソース電流Idsがゼロとなる時刻t3と同時でも良いし、時刻t3より遅くてもよい。
【0063】
(ターンオン時の動作説明)
図11は、パワー半導体41のターンオン時における各信号の波形例を示す図である。波形(A)は、信号端子11の電圧波形を示す。波形(B)は、信号端子12の電圧波形を示す。波形(C)は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsを示す。波形(D)は、図1に示した上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsを示す。波形(E)は、パワー半導体41のドレインソース電流Idsを示す。波形(F)は、パワー半導体41のスイッチング損失を示す。また、破線で示す波形は、図9に示す回路図において第2充電回路C4を削除した従来構成の場合の信号波形を示す。
【0064】
波形(A)に示すように、時刻t0において、パワー半導体41をオンする制御指令が、制御回路30からゲート駆動装置10の信号端子11に入力される。すなわち、信号端子11の電圧がHレベルからLレベルに切り替えられる。この信号がスイッチング素子M1,M2のゲート端子G1,G2に入力されると、スイッチング素子M1はオフからオンへ切り替わり、スイッチング素子M2はオンからオフへ切り替わる。時刻t0にスイッチング素子M1がオン(スイッチング素子M2はオフ)すると、正側電源V1、スイッチング素子M1、逆流防止用ダイオードDi1およびオンゲート抵抗R1を経由して充電電流が流れる。
【0065】
また、波形(B)に示すように、信号端子12には、時刻t0にスイッチング素子M4をオフからオンする制御指令が制御回路30から入力される。すなわち、信号端子12の電圧がHレベルからLレベルに切り替えられる。時刻t0にスイッチング素子M4がオンすると、正側電源V2、スイッチング素子M4、充放電ゲート抵抗R4を経由して充電電流が流れる。なお、信号端子12にオンの制御指令が入力されるタイミングは、時刻t0より遅くてもよい。
【0066】
第2充電回路C4を備えていない従来構成のように第1充電回路C1だけによる充電を行う場合、パワー半導体41のゲート容量をCとすると、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsの充電時定数τ3はCR1になる。一方、第2の実施形態では、並列接続された第1充電回路C1と第2充電回路C4とにより充電を行うので、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsの充電時定数τ4はC(R1//R4)となる。なお、R1//R4は、並列接続された抵抗R1,R4の合成抵抗を表す。そのため、スイッチング素子M4がオンしている間は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vdsの充電速度が高速化され、ドレインソース間電圧Vdsが従来に比べて急激に増加する。
【0067】
波形(C)の実線で示すように、時刻t1において、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsが閾電圧(Vth)を超えると、波形(D),(E)の実線で示すように、上アーム側のパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsが増加し始めると共に、パワー半導体41のドレインソース電流Idsが増加し始める。
【0068】
波形(B)に示すように、時刻t2において、制御回路30から信号端子12にスイッチング素子M4をオフする制御指令が入力される。すなわち、信号端子12の電圧がLレベルからHレベルに切り替えられる。なお、信号端子12にオフの制御指令が入力されるタイミングは、時刻t2より遅くてもよい。時刻t2以降は、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vgsの充電時定数は従来構成の場合と同じCR1となる。そのため、時刻t2以降に発生する充電時定数に関連するパワー半導体41のドレインソース間のサージ電圧は、従来構成の場合と同様となる。
【0069】
波形(F)の実線で示すように、パワー半導体41のスイッチング損失は、時刻t1から時刻t4までの間で発生し、対アームのパワー半導体42のドレインソース間電圧Vdsを抑制するためにオンゲート抵抗R1を大きくする従来構成の場合(破線)に比べて、損失期間をより短くすることができる。すなわち、第2の実施形態においても、従来構成の場合に比べてターンオンにおけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0070】
なお、時刻t3以降に、波形(B)に示すように、制御回路30から信号端子12にスイッチング素子M4をオンする制御指令を入力し、高速スイッチングを行ってもよい。これにより、スイッチング素子M4がオンの時には、波形(C)に示すようにゲートソース間電圧Vgsが高速で上昇するのでターンオン動作が高速化され、パワー半導体41のスイッチング損失量はさらに低減される。
【0071】
なお、第2の実施形態の場合においても、図5に示す素子電流検出部61、素子電圧検出部62および素子温度検出部63を備える構成を適用することができる。
【0072】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係るスイッチング駆動装置1を示す図である。図2に示したゲート駆動装置10は電圧駆動型のゲート駆動装置であったが、図12に示すゲート駆動装置10Bは電圧駆動型を定電流駆動型に変更した場合の一例を示したものである。スイッチング素子M1,M2,M3は、定電流型駆動型のスイッチング素子に置き換えられている。なお、図12ではオペアンプを使用した方式としているが、オペアンプを使用した方式でなくても良い。各オペアンプの正側の入力端子には、ゲート駆動装置10Bの信号端子11,12,15を介して制御回路30から制御指令が入力される。
【0073】
また、スイッチング素子M1,M2,M3の全てを定電流型駆動型とせず、電圧駆動型と定電流型駆動型とを併用しても良い。例えば、ターンオフは定電流駆動型、ターンオンは電圧駆動型にしたいという場合には、スイッチング素子M2,M3に関しては図12に示す構成とし、スイッチング素子M1に関しては図2に示した構成とすれば良い。電圧駆動型の場合には回路構成がシンプルになるが、電流量が負荷によって変わる。一方、定電流駆動型は電流が一定なので制御しやすいが、回路構成が電圧駆動型の場合に比べてやや複雑になる。
【0074】
なお、図12は、図2の構成で電圧駆動型のスイッチング素子M1,M2,M3を定電流型駆動型のスイッチング素子に置き換えたものであるが、図9の構成においても定電流型駆動型のスイッチング素子を適用することが可能である。
【0075】
以上説明した本発明の実施形態および変形例によれば、以下の作用効果を奏する。
【0076】
(1)図2~4,9~12等に示すように、パワー半導体41のゲート端子Gpに駆動電圧または駆動電流を供給するスイッチング駆動装置1は、ターンオン抵抗R1と第1スイッチング素子M1を有し、パワー半導体41のターンオン時にゲート端子Gpを充電する第1回路(第1充電回路C1)と、ターンオフ抵抗R2と第2スイッチング素子M2を有し、パワー半導体41のターンオフ時にゲート端子Gpを放電する第2回路(第1放電回路C2)と、ゲート端子Gpに接続され、ゲート抵抗(充放電ゲート抵抗R3またはR4)と第3スイッチング素子M3またはM4を有してゲート端子Gpの放電または充電を行う第3回路(第2放電回路C3または第2充電回路C4)と、第1乃至第3スイッチング素子M1~M4のオン/オフを制御する制御装置(制御回路30)と、を備える。
【0077】
そして、制御回路30は、パワー半導体41のターンオン時に、第1回路(第1充電回路C1)による充電と第3回路(第2放電回路C3または第2充電回路C4)による放電または充電とを制御して、図4または図11の時刻t0~t2における第1ターンオン動作モードを実行させた後に、該第1ターンオン動作モードよりも低速な図4の時刻t2~t3または図11の時刻t2~t3における第2ターンオン動作モードを実行する。このように第1および第2ターンオン動作モードを実行することで、ターンオン時のサージ電圧を抑制しつつ、パワー半導体41におけるスイッチング損失の発生する期間を短くすることが可能となる。その結果、ターンオン時におけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0078】
また、パワー半導体41のターンオフ時に、第2回路(第1放電回路C2)による放電と第3回路(第2放電回路C3または第2充電回路C4)による放電または充電とを制御して、図3の時刻t0~t2または図10の時刻t0~t21における第1ターンオフ動作モードを実行させた後に、該第1ターンオフ動作モードよりも低速な図3の時刻t2~t3または図10の時刻t21~t3における第2ターンオフ動作モードを実行する。このように第1および第2ターンオフ動作モードを実行することで、ターンオフ時のサージ電圧を抑制しつつ、パワー半導体41におけるスイッチング損失の発生する期間を短くすることが可能となる。その結果、ターンオフ時におけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0079】
上述のように、スイッチング駆動装置1は、第1回路(第1充電回路C1)および第2回路(第1放電回路C2)対して第3回路(第2放電回路C3または第2充電回路C4)を追加するだけで、すなわち、コスト増を抑えつつ、サージ抑制とターンオン時およびターンオフ時のスイッチング損失量の低減とを図ることができる。
【0080】
(2)上記(1)において、図2、12に示すように、第3回路は、第1放電回路C2(第2回路)と並列に設けられる第2放電回路C3である。そして、図4の時刻t0~t2における第1ターンオン動作モードでは、第1充電回路C1(第1回路)による充電を行い、時刻t2~t3における第2ターンオン動作モードでは、第1充電回路C1による充電および第2放電回路C3による放電を行う。また、図3の時刻t0~t2における第1ターンオフ動作モードでは、第1放電回路C2による放電および第2放電回路C3による放電を行い、時刻t2~t3における第2ターンオフ動作モードでは、第1放電回路C2による放電を行う。
【0081】
図2,12のスイッチング駆動装置1では、図4に示す第2ターンオン動作モードにおいて、第1充電回路C1による充電を行いつつ第2放電回路C3による放電を行って充電低速化によるサージ抑制を図っているので、オンゲート抵抗R1を従来よりも小さく設定することが可能となる。その結果、第1ターンオン動作モードにおける充電速度を従来よりも高速化することができ、ターンオン時におけるスイッチング損失量を低減することができる。また、図3に示す第1ターンオフ動作モードでは、第1放電回路C2による放電および第2放電回路C3による放電を実行することで、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsの放電時定数τ2はC(R2//R3)となり、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vdsの放電速度が高速化される。その結果、従来と比べてスイッチング損失の発生する期間が短くなり、ターンオフ時のスイッチング損失量を低減することができる。
【0082】
(3)上記(1)において、図9に示すように、第3回路は、第1充電回路C1(第1回路)と並列に設けられる第2充電回路C4である。そして、図11の時刻t0~t2における第1ターンオン動作モードでは、第1充電回路C1による充電および第2充電回路C4による充電を行い、時刻t2~t3における第2ターンオン動作モードでは、第1充電回路C1による充電を行う。また、図10における時刻t0~t21における第1ターンオフ動作モードでは、第1放電回路C2による放電を行い、時刻t21~t3における第2ターンオフ動作モードでは、第1放電回路C2による放電および第2充電回路C4による充電を行う。
【0083】
図9のスイッチング駆動装置1では、図11の時刻t0~t2における第1ターンオン動作モードでは、第1充電回路C1による充電および第2充電回路C4による充電を行うので、パワー半導体41のドレインソース間電圧Vdsの充電時定数τ4はC(R1//R4)となる。そのため、パワー半導体41のゲートソース間電圧Vdsの放電速度が高速化され、従来と比べてスイッチング損失の発生する期間が短くなり、ターンオン時のスイッチング損失量を低減することができる。また、図10に示す第2ターンオフ動作モードにおいて、第1放電回路C2で放電を行っている最中にスイッチング素子M4をオンすることにより放電速度を低速化しているので、オフゲート抵抗R2を従来よりも小さく設定することが可能となる。その結果、第1ターンオフ動作モードにおける放電速度が高速化され、スイッチング損失の発生する期間が従来と比べて短くなり、ターンオフ時におけるスイッチング損失量を低減することができる。
【0084】
(4)上記(1)において、図2に示すように、第3回路が放電を行う第2放電回路C3である場合には、第2ターンオン動作モードを実行した後に、さらに図4の時刻t3以降のように、第1充電回路C1(第1回路)による充電を行う第1ターンオン動作モードを再実行する。また、図9に示すように第3回路が充電を行う第2充電回路C4である場合には、図10の第2ターンオフ動作モードを実行した後に、さらに図10の時刻t3以降のように、第1放電回路C2(第2回路)による放電を行う第1ターンオフ動作モードを再実行する。このような制御を行うことにより、パワー半導体41のスイッチング動作をより高速に行うことができる。
【0085】
(5)上記(1)において、図5等に示すように、パワー半導体41の電圧Vds、電流Idsおよび温度Tjの少なくとも一つを検知する検知部(素子電流検出部61、素子電圧検出部62、素子温度検出部63)をさらに備え、制御回路30は、検知部の検知情報(電圧Vds、電流Idsおよび温度Tj)に基づいて第3スイッチング素子M3のオン/オフを制御する。このように、検知されたパワー半導体41の状態に応じて第3スイッチング素子M3のオン/オフを制御することで、パワー半導体41のスイッチング動作をより適切に制御することができる。
【0086】
(6)例えば、上記(2)において、図3の時刻t0~t2の第1ターンオフ動作モードにおける第3回路(第2放電回路C3)による放電期間(時間幅Δton)は、図6(a),6(b)に示すように、パワー半導体41の入力電圧(ドレインソース間電圧Vds)またはパワー半導体41を流れるドレインソース電流Idsが低くなるほど長く設定される。
【0087】
(7)例えば、上記(2)において、図4の時刻t2~t3の第2ターンオン動作モードにおける第3回路(第2放電回路C3)による放電期間(時間幅Δton)は、図7に示すように、パワー半導体41の入力電圧Vdsまたはパワー半導体41を流れるドレインソース電流Idsまたはパワー半導体41のデバイス温度Tjが高くなるほど長く設定される。
【0088】
以上説明した各実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1…スイッチング駆動装置、10,10A,10B,20…ゲート駆動装置、30…制御回路、41,42…パワー半導体、51…負極配線、52…正極配線、53…出力端子、61…素子電流検出部、62…素子電圧検出部、63…素子温度検出部、C1…第1充電回路、C2…第1放電回路、C3…第2放電回路、Di1,Di2…逆流防止用ダイオード、M1,M2,M3、M4,M5…スイッチング素子、R1…オンゲート抵抗、R2…オフゲート抵抗、R3,R4,R5…充放電ゲート抵抗、V1,V2…正側電源、Δton…時間幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12