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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178762
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】化学蓄熱反応器
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
F28D20/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097150
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩苔 翼
(72)【発明者】
【氏名】下村 智章
(57)【要約】
【課題】化学蓄熱材の水和反応を利用した放熱動作の遅延を抑えることを可能にした化学蓄熱反応器を提供する。
【解決手段】化学蓄熱反応器21は、脱水反応により蓄熱し、水和反応により放熱する化学蓄熱材HMと、化学蓄熱材HMと熱交換可能に設けられる第1熱交換器22と、化学蓄熱材HMと第1熱交換器22とが配置される蓄熱室23aを有する第1容器23とを備える。第1熱交換器22は、複数の流路管FTと、複数の流路管FTの両端部である第1端部FTa及び第2端部FTbのうち、第1端部FTaを連結する第1連結流路管FT1と、第2端部FTbを連結する第2連結流路管FT2とを有する。第1容器23は、第1連結流路管FT1に熱媒体を流入する流入部23bと、第2連結流路管FT2から熱媒体を流出する流出部23cとを有する。化学蓄熱反応器21は、第1熱交換器22から第1容器23に伝熱する伝熱経路部25をさらに備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水反応により蓄熱し、水和反応により放熱する化学蓄熱材と、
前記化学蓄熱材と熱交換可能に設けられる熱交換器と、
前記化学蓄熱材と前記熱交換器とが配置される蓄熱室を有する容器と、を備える化学蓄熱反応器であって、
前記熱交換器は、複数の流路管と、
前記複数の流路管の両端部である第1端部及び第2端部のうち、前記第1端部を連結する第1連結流路管と、
前記第2端部を連結する第2連結流路管と、を有し、
前記容器は、前記第1連結流路管に熱媒体を流入する流入部と、
前記第2連結流路管から前記熱媒体を流出する流出部と、を有し、
前記熱交換器から前記容器に伝熱する伝熱経路部をさらに備える、化学蓄熱反応器。
【請求項2】
前記伝熱経路部は、前記第2連結流路管の外周面と前記容器の内面とを連結する熱伝導性部材を含む、請求項1に記載の化学蓄熱反応器。
【請求項3】
前記伝熱経路部は、前記第2連結流路管と前記流出部との間に設けられ、前記第2連結流路管から流出する前記熱媒体を前記容器の内面に沿って流通する伝熱用流路を含む、請求項1に記載の化学蓄熱反応器。
【請求項4】
前記第2連結流路管に流通する前記熱媒体を前記伝熱用流路に送る第1送液流路と、前記伝熱用流路を流通させずに前記容器外に流出させる第2送液流路とを切り替え可能に構成されている、請求項3に記載の化学蓄熱反応器。
【請求項5】
前記容器を収容する外側容器と、前記容器と前記外側容器との間の断熱空間部とをさらに備える、請求項1に記載の化学蓄熱反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学蓄熱反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2に記載されるように、化学蓄熱材と、化学蓄熱材と熱交換可能に設けられる熱交換器と、化学蓄熱材と熱交換器とが配置される蓄熱室を有する容器とを備える化学蓄熱反応器が知られている。化学蓄熱材は、脱水反応により蓄熱する。また、化学蓄熱材は、水和反応により放熱する。特許文献2には、化学蓄熱反応器の容器の内面において生成した結露液が熱交換器に付着することを防止する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-158299号公報
【特許文献2】特開2017-015329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2に記載されるように、化学蓄熱反応器の容器の内面では、化学蓄熱材と水和反応させるために容器内に供給した水蒸気が凝縮する場合がある。このような水蒸気の凝縮により、化学蓄熱材への水蒸気の供給が妨げられることで、化学蓄熱材の水和反応を利用した放熱動作が遅延するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する化学蓄熱反応器は、脱水反応により蓄熱し、水和反応により放熱する化学蓄熱材と、前記化学蓄熱材と熱交換可能に設けられる熱交換器と、前記化学蓄熱材と前記熱交換器とが配置される蓄熱室を有する容器と、を備える化学蓄熱反応器であって、前記熱交換器は、複数の流路管と、前記複数の流路管の両端部である第1端部及び第2端部のうち、前記第1端部を連結する第1連結流路管と、前記第2端部を連結する第2連結流路管と、を有し、前記容器は、前記第1連結流路管に熱媒体を流入する流入部と、前記第2連結流路管から前記熱媒体を流出する流出部と、を有し、前記熱交換器から前記容器に伝熱する伝熱経路部をさらに備える。
【0006】
この構成によれば、熱交換器の熱を、伝熱経路部によって容器に伝熱することができる。このため、熱交換器の熱を利用して容器の温度の上昇を促進することができる。これにより、放熱動作において、容器内に水蒸気が供給されたとき、容器の内面における水蒸気の凝縮を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、化学蓄熱材の水和反応を利用した放熱動作の遅延を抑えることが可能となる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態における化学蓄熱システムを示す概略図である。
図2図2は、化学蓄熱システムの蓄熱動作を説明する概略図である。
図3図3は、化学蓄熱システムの再生動作を説明する概略図である。
図4図4は、化学蓄熱システムの第1放熱動作を説明する概略図である。
図5図5は、化学蓄熱システムの第2放熱動作を説明する概略図である。
図6図6は、化学蓄熱反応器を示す縦断面図である。
図7図7は、図6の7-7線に沿った断面図である。
図8図8は、第2実施形態の化学蓄熱反応器を示す縦断面図である。
図9図9は、図8の9-9線に沿った断面図である。
図10図10は、図8の10-10線に沿った断面図である。
図11図11は、第3実施形態の化学蓄熱反応器を示す概略図である。
図12図12は、第1送液流路の使用状態を示す概略図である。
図13図13は、第2送液流路の使用状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、化学蓄熱反応器の第1実施形態について図面を参照して説明する。
まず、化学蓄熱反応器を用いた化学蓄熱システムの構成及び動作について説明する。
【0010】
<化学蓄熱システムの全体構成>
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、化学蓄熱反応器21と、回収器31と、復水器41と、蒸発器51と、エゼクタEJとを備えている。化学蓄熱システム11は、排熱源HSの熱を蓄熱した後、排熱源HSよりも高い温度の放熱を行うケミカルヒートポンプとして用いることができる。化学蓄熱システム11は、放熱動作時に水蒸気を加熱対象61に送ることができる。
【0011】
<化学蓄熱反応器の概略構成>
化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱システム11の蓄熱動作時に脱水反応し、化学蓄熱システム11の放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材HMを有する。化学蓄熱材HMは、例えば、潮解性を有する化学蓄熱物質の粒子を含む。化学蓄熱材HMは、化学蓄熱物質のみから構成してもよいし、化学蓄熱物質の粒子を水蒸気透過性樹脂等の水蒸気透過性のバインダーで結合した材料であってもよい。化学蓄熱物質としては、例えば、アルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。化学蓄熱材HMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
化学蓄熱物質の一種である塩化カルシウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(A)で表される。
CaCl・HO+HO⇔CaCl・2HO・・・(A)
化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱材HMと熱交換可能に設けられる第1熱交換器22を備えている。化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱材HMから発生した熱を利用して第1熱交換器22の流路内で飽和蒸気を発生させる。化学蓄熱反応器21は、第1容器23を備えている。化学蓄熱反応器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの水和反応に用いられる水蒸気を導入可能に構成されている。また、化学蓄熱反応器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの脱水反応で生じる水蒸気が排出されるように構成されている。
【0013】
化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22としては、例えば、フィンチューブ型の熱交換器、フィンレス熱交換器等が挙げられる。なお、以下で説明する熱交換器についても、特段の説明がない限り同様の熱交換器を用いることができる。
【0014】
<回収器>
回収器31は、水蒸気を吸収する吸収材LMを有している。回収器31は、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから発生した水蒸気を吸収材LMにより回収する。回収器31は、吸収材LMと熱交換する第2熱交換器32と、吸収材LMと第2熱交換器32とを収容する第2容器33とを備えている。
【0015】
吸収材LMは、化学蓄熱材HMを脱水反応させる温度を下げるために用いられる。吸収材LMを用いることで、より低い温度の排熱であっても、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させて蓄熱することが可能となる。吸収材LMとしては、排熱源HSの温度において、脱水反応可能な物質が用いられる。これにより、排熱源HSの熱を利用して吸収材LMを再生することができる。
【0016】
冷却源CSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Cは、排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも低いことで、化学蓄熱材HMの脱水反応を好適に促進することができる。一方、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、同じく排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも高いことが好ましい。このような吸収材LMは、化学蓄熱材HMよりも脱水し易いため、排熱源HSを用いて吸収材LMを再生することで、次の蓄熱動作に効率的に使用することができる。また、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、冷却源CSの温度における水の平衡蒸気圧VP3Cよりも高いことが好ましい。これにより、排熱源HSにより吸収材LMを加熱して発生した水蒸気を冷却源CSによる冷却で凝縮させることで、吸収材LMの再生を効率的に行うことができる。
【0017】
吸収材LMとしては、例えば、ゼオライト、水酸化リチウム、硫酸マグネシウム、臭化ストロンチウム、活性炭、多孔性金属錯体(MOF)等が挙げられる。吸収材LMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
吸収材LMの一種である臭化ストロンチウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(B)で表される。
SrBr・HO+5HO⇔SrBr・6HO・・・(B)
<復水器>
復水器41は、吸収材LMから発生した水蒸気を凝縮させる。また、復水器41は、回収器31を冷却する。復水器41は、冷却源CSから供給される冷却媒体を流通する第3熱交換器42と、第3熱交換器42を収容する第3容器43とを備えている。第3熱交換器42は、復水器41の第3容器43内に流入される水蒸気を冷却することで、凝縮させる。
【0019】
復水器41は、回収器31の第2熱交換器32に水を供給するように構成されている。また、復水器41は、回収器31の第2熱交換器32を通じた水が流入されるように構成されている。復水器41は、例えば、第3容器43内に設けたノズル44を有している。ノズル44は、回収器31の第2熱交換器32を通じた水を第3容器43内に噴出することができる。第3容器43内では、ノズル44から噴出された水のフラッシュ蒸発を利用して水を冷却してもよい。第3容器43内の圧力条件を、回収器31の第2熱交換器32を通じた水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件とすることで、フラッシュ蒸発を利用した水の冷却を行うことができる。
【0020】
<蒸発器>
蒸発器51は、化学蓄熱材HMと反応させる水蒸気を化学蓄熱反応器21に供給する。蒸発器51は、排熱源HSから加熱媒体が供給される第4熱交換器52と、第4熱交換器52を収容する第4容器53とを備えている。蒸発器51の第4熱交換器52は、蒸発用流体である水W1を加熱することで、水蒸気を発生させる。蒸発器51には、復水器41の水W2が図示を省略した流路によって送液可能に構成されることが好ましい。これにより、復水器41の水W2を蒸発器51の水W1として再利用することができる。なお、蒸発器51は、外部から水を供給可能に構成することもできる。
【0021】
<エゼクタ>
エゼクタEJは、蒸発器51から供給された水蒸気を化学蓄熱反応器21に供給する。エゼクタEJは、外部から供給される駆動蒸気を利用して蒸発器51から供給された水蒸気を加圧する。エゼクタEJは、ノズル、ディフューザー等を備えている。エゼクタEJの駆動蒸気としては、例えば、ボイラBで発生する蒸気の一部を利用することができる。ボイラBとしては、例えば、工場等の施設において、別の用途で既設されているものを用いることができる。なお、エゼクタEJの駆動蒸気は、既設の蒸気配管から供給することもできる。
【0022】
<流路構成>
次に、化学蓄熱システム11の主な流路構成について説明する。まず、化学蓄熱システム11の蓄熱動作に用いられる流路について説明する。
【0023】
図2に示すように、化学蓄熱システム11は、化学蓄熱反応器21から回収器31に水蒸気WV1を送る回収用水蒸気流路L1を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1をポンプ62によって化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に送る反応器加熱用流路L2と、第1熱交換器22を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第1流路L3とを有している。化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却した水W2をポンプ63によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、第2熱交換器32を通じた水W2を復水器41に戻す復水器用第1流路L5とを有している。このように、復水器41と回収器31との間には、復水器41で冷却した水W2を回収器31の第2熱交換器32に循環可能にする流路を有している。
【0024】
次に、化学蓄熱システム11の再生動作に用いられる流路について説明する。
図3に示すように、化学蓄熱システム11は、回収器31から復水器41に水蒸気WV2を送る復水器用第2流路L6を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1をポンプ62によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7と、第2熱交換器32を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第2流路L8とを有している。
【0025】
化学蓄熱システム11は、図2に示される回収器冷却用流路L4と図3に示される回収器加熱用流路L7とが切り替え可能に構成されている。これにより、回収器冷却用流路L4を用いる化学蓄熱材HMの蓄熱と、回収器加熱用流路L7を用いる吸収材LMの再生とを交互に行うことができる。なお、回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7との切り替えは、バルブの開閉により行うことができる。
【0026】
次に、化学蓄熱システム11の放熱動作に用いられる流路について説明する。
図4に示すように、化学蓄熱システム11は、蒸発器51で発生された水蒸気WV3を化学蓄熱反応器21に送る反応器用第1水蒸気流路L9aを有している。図5に示すように、化学蓄熱システム11は、蒸発器51で発生された水蒸気WV3を、エゼクタEJを用いて化学蓄熱反応器21に送る反応器用第2水蒸気流路L9bを有している。反応器用第2水蒸気流路は、エゼクタEJで加圧された水蒸気WV4を化学蓄熱反応器21に送る。
【0027】
化学蓄熱システム11は、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22内の水蒸気を加熱対象61に送る蒸気供給流路L10を備えている。加熱対象61は、特に限定されない。加熱対象61としては、例えば、蒸気発生装置等が挙げられる。
【0028】
<化学蓄熱システムの動作>
次に、化学蓄熱システム11の動作の一例について説明する。
(化学蓄熱システムの蓄熱動作)
図2に示すように、化学蓄熱システム11の蓄熱動作では、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1を回収器31により回収する。詳述すると、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1は、回収用水蒸気流路L1を通じて回収器31に送られる。回収器31の第2熱交換器32には、復水器41で冷却された水W2が回収器冷却用流路L4を通じて送られる。回収器31の第2熱交換器32に送られた水W2は、復水器用第1流路L5を通じて復水器41に戻される。このように復水器41で冷却された水W2は、回収器冷却用流路L4及び復水器用第1流路L5を通じて、復水器41と回収器31の第2熱交換器32との間を循環される。
【0029】
化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1が回収器31に送られることで、化学蓄熱材HMの脱水反応が行われる。ここで、化学蓄熱材HMの脱水反応の進行に伴って、化学蓄熱材HMの温度が低下する。化学蓄熱材HMの温度が排熱源HSの加熱媒体の温度よりも低くなったとき、蒸発器51で加熱した水W1を反応器加熱用流路L2及び蒸発器用第1流路L3を通じて、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22と蒸発器51との間を循環させる。蒸発器51は、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体が供給されることで、水W1を加熱することができる。
【0030】
上記のように排熱源HSを利用して化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMを加熱することで、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させる。化学蓄熱システム11の蓄熱動作は、化学蓄熱反応器21と回収器31との間のバルブを閉じることにより停止させることができる。
【0031】
(化学蓄熱システムの再生動作)
図3に示すように、化学蓄熱システム11の再生動作では、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2を復水器41によって凝縮させる。詳述すると、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2は、復水器用第2流路L6を通じて復水器41に送られる。復水器41の第3熱交換器42には、冷却源CSから冷却媒体が供給されている。化学蓄熱システム11の再生動作は、回収器31と復水器41との間のバルブを閉じることにより、停止させることができる。
【0032】
(化学蓄熱システムの放熱動作)
化学蓄熱システム11の放熱動作は、図4に示される第1放熱動作と、図5に示される第2放熱動作とを含む。第1放熱動作及び第2放熱動作では、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体を供給することで、蒸発器51で水蒸気WV3を発生させる。第1放熱動作では、蒸発器51で発生させた水蒸気WV3を、反応器用第1水蒸気流路L9aを通じて化学蓄熱反応器21に送る。第2放熱動作は、第1放熱動作の後に行われる。第2放熱動作では、蒸発器51で発生させた水蒸気WV3をエゼクタEJに供給する。エゼクタEJは、水蒸気WV3を加圧した水蒸気WV4を化学蓄熱反応器21に送る。
【0033】
化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22の流路内の水は、化学蓄熱材HMの水和反応に伴う発熱により加熱される。これにより、第1熱交換器22の流路内において水蒸気を発生させることができる。第1熱交換器22の流路内の水蒸気は、蒸気供給流路L10を通じて加熱対象61に送られる。
【0034】
化学蓄熱システム11の放熱動作は、蒸発器51と化学蓄熱反応器21との間のバルブを閉じることにより停止することができる。化学蓄熱システム11では、放熱動作の前に、蒸発器51で加熱した水W1を、上記反応器加熱用流路L2を通じて化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に送ることが好ましい。
【0035】
<化学蓄熱システムの使用方法>
以上の化学蓄熱システム11の使用方法は、上記蓄熱動作を行う蓄熱ステップと、上記再生動作を行う再生ステップと、上記放熱動作を行う放熱ステップとを備えている。蓄熱ステップと放熱ステップとは、交互に繰り返すことができる。再生ステップは、蓄熱ステップの後、次の蓄熱ステップを開始するまでに行うことができる。化学蓄熱システム11の使用方法では、上述した回収器加熱用流路L7を用いて吸収材LMを再生する再生ステップと、上述した回収器冷却用流路L4を用いて化学蓄熱材HMに蓄熱する蓄熱ステップとを切り替えることができる。本実施形態の放熱ステップは、上記第1放熱動作を行う第1放熱ステップと、上記第2放熱動作を行う第2放熱ステップとを含む。化学蓄熱システム11の使用方法では、放熱ステップの前に、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22を加熱する反応器加熱ステップを行ってもよい。反応器加熱ステップでは、図2に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を反応器加熱用流路L2及び蒸発器用第1流路L3を通じて、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22と蒸発器51との間を循環させる。
【0036】
<化学蓄熱反応器の詳細>
次に、化学蓄熱反応器21の詳細について説明する。
図6及び図7に示すように、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22は、複数の流路管FTを有している。化学蓄熱材HMは、第1熱交換器22の隣り合う流路管FTの間に配置されている。複数の流路管FTの各々は、両端部である第1端部FTaと第2端部FTbとを有している。第1熱交換器22は、複数の流路管FTの第1端部FTaを連結する第1連結流路管FT1と、第2端部FTbを連結する第2連結流路管FT2とを有している。
【0037】
第1容器23は、化学蓄熱材HMと第1熱交換器22とが配置される蓄熱室23aを有している。第1容器23は、第1連結流路管FT1に熱媒体を流入する流入部23bと、第2連結流路管FT2から熱媒体を流出する流出部23cとを有している。第1容器23は、例えば、金属壁により構成されている。第1容器23は、金属壁と、金属壁の外面に積層される断熱層とを有していてもよい。
【0038】
化学蓄熱反応器21は、第1容器23を収容する外側容器24と、第1容器23と外側容器24との間の断熱空間部24aとをさらに備えている。外側容器24の材質としては、例えば、金属、繊維強化プラスチック等が挙げられる。断熱空間部24aは、空気等の気体が充填された気体充填部、又は真空断熱部から構成することができる。断熱空間部24aの断熱性能をより高めるという観点から、断熱空間部24aは、真空断熱部から構成されることが好ましい。このように断熱空間部24aを真空断熱部から構成する場合、外側容器24は、図示を省略した排気部を有している。この排気部を通じて断熱空間部24aの空気を外側容器24の外部に排気した後、排気部を閉塞することで、真空断熱部を設けることができる。真空断熱部の圧力は、断熱性能をより高めるという観点から、100Pa以下であることが好ましい。
【0039】
化学蓄熱反応器21は、第1熱交換器22から第1容器23に伝熱する伝熱経路部25をさらに備えている。本実施形態の伝熱経路部25は、第2連結流路管FT2の外周面と第1容器23の内面とを連結する熱伝導性部材26から構成されている。熱伝導性部材26の材料としては、例えば、銅、ステンレス鋼等の金属材料、窒化アルミニウム等のセラミックス材料、熱伝導性樹脂材料等が挙げられる。熱伝導性部材26は、例えば、第1容器23の側壁の内面及び天井壁の内面の少なくとも一方に接続される。
【0040】
熱伝導性部材26の形状は、特に限定されない。熱伝導性部材26の形状としては、例えば、板状、塊状等が挙げられる。熱伝導性部材26の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0041】
次に、化学蓄熱反応器21の動作の一例と主な作用について説明する。
図2に示すように、例えば、化学蓄熱反応器21の蓄熱動作中において、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に熱媒体を流通させる。このとき、図6及び図7に示すように、化学蓄熱反応器21は、伝熱経路部25を備えている。この構成によれば、第1熱交換器22の熱を、伝熱経路部25によって第1容器23に伝熱することができる。このため、第1熱交換器22の熱を利用して第1容器23の温度の上昇を促進することができる。これにより、放熱動作において、第1容器23内に水蒸気WV3が供給されたとき、第1容器23の内面における水蒸気WV3の凝縮を抑えることが可能となる。
【0042】
なお、化学蓄熱反応器21が蓄熱動作中以外の状態であっても、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に熱媒体を流通させることで、第1熱交換器22の熱を利用した第1容器23の温度の上昇を促進することができる。
【0043】
例えば、80℃の排熱源HSを用いて第1熱交換器22を加熱した場合、化学蓄熱反応器21の伝熱経路部25により、約80℃まで第1容器23の温度を上昇させることが可能となる。このように加熱した第1容器23内に、80℃の排熱源HSを用いて発生させた水蒸気WV3を供給することで、第1放熱動作を行う。このとき、水蒸気WV3の温度と第1容器23の内面の温度との温度差がより小さくなることで、第1容器23の内面における水蒸気WV3の凝縮を抑えることができる。
【0044】
化学蓄熱材HMが化学蓄熱物質として塩化カルシウムを含む場合、水蒸気WV3を第1容器23に供給する第1放熱動作では、第1熱交換器22の温度を約140℃まで上昇させることができる。このため、化学蓄熱反応器21の伝熱経路部25により、第1容器23の温度を約140℃まで上昇させることが可能となる。続いて、第2放熱動作では、エゼクタEJを用いることで、例えば、約100kPaまで加圧された水蒸気WV4を第1容器23内に供給することができる。約100kPaの水蒸気WV4が凝縮する温度は、約100℃である。このため、第1放熱動作時に第1容器23が伝熱経路部25の伝熱により140℃付近の温度まで加熱されることで、第2放熱動作時における第1容器23の内面における水蒸気の凝縮を防ぐことが可能となる。
【0045】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)化学蓄熱反応器21は、脱水反応により蓄熱し、水和反応により放熱する化学蓄熱材HMと、化学蓄熱材HMと熱交換可能に設けられる第1熱交換器22とを備えている。第1熱交換器22は、複数の流路管FTと、複数の流路管FTの両端部である第1端部FTa及び第2端部FTbのうち、第1端部FTaを連結する第1連結流路管FT1と、第2端部FTbを連結する第2連結流路管FT2とを有している。化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱材HMと第1熱交換器22とが配置される蓄熱室23aを有する第1容器23を備えている。第1容器23は、第1連結流路管FT1に熱媒体を流入する流入部23bと、第2連結流路管FT2から熱媒体を流出する流出部23cとを有している。化学蓄熱反応器21は、第1熱交換器22から第1容器23に伝熱する伝熱経路部25をさらに備えている。
【0046】
この構成によれば、上述したように第1熱交換器22の熱を利用して第1容器23の温度の上昇を促進することができる。このため、放熱動作において、第1容器23内に水蒸気WV3が供給されたとき、第1容器23の内面における水蒸気WV3の凝縮を抑えることが可能となる。従って、化学蓄熱材HMの水和反応を利用した放熱動作の遅延を抑えることが可能となる。
【0047】
(1-2)化学蓄熱反応器21の伝熱経路部25は、第1熱交換器22の第2連結流路管FT2の外周面と第1容器23の内面とを連結する熱伝導性部材26により構成されている。このように伝熱経路部25を熱伝導性部材26により構成することで、伝熱経路部25を比較的簡素な構造とすることができる。
【0048】
(1-3)熱伝導性部材26は、第1連結流路管FT1ではなく、第2連結流路管FT2の熱を第1容器23に伝えるように配置されている。すなわち、熱伝導性部材26は、第1熱交換器22の複数の流路管FTを通じた後の熱媒体の熱を第1容器23に伝える。このため、第1熱交換器22の複数の流路管FTと化学蓄熱材HMとの熱交換に対する熱伝導性部材26の影響を抑えることができる。すなわち、蓄熱動作中において、熱伝導性部材26から第1容器23の内面への伝熱が、蓄熱動作中の化学蓄熱材HMの脱水反応に影響を与えることを抑えることができる。
【0049】
(1-4)化学蓄熱反応器21は、水蒸気WV3を第1容器23内に供給する第1放熱動作と、水蒸気WV3よりも高い圧力の水蒸気WV4を第1容器23内に供給する第2放熱動作とを行う用途に用いることができる。ここで、本実施形態の化学蓄熱反応器21の伝熱経路部25は、第1放熱動作中に化学蓄熱材HMによって加熱された第1熱交換器22から第1容器23の内面への伝熱を促進することもできる。このため、第2放熱動作において、第1容器23の内面における水蒸気WV4の凝縮についても抑えることが可能となる。従って、第2放熱動作の遅延を抑えることが可能となる。
【0050】
(1-5)化学蓄熱反応器21は、第1容器23を収容する外側容器24と、第1容器23と外側容器24との間の断熱空間部24aとをさらに備えている。この場合、伝熱経路部25から第1容器23に伝わる熱が外部に放熱されることを抑えることができる。従って、放熱動作において、第1容器23内に水蒸気WV3が供給されたとき、第1容器23の内面における水蒸気WV3の凝縮をより抑えることが可能となる。
【0051】
(1-6)化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却された水W2を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7とを備えている。回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7とは、切り替え可能に構成されている。なお、回収器加熱用流路L7を、蒸発器51で発生させた水蒸気を回収器31の第2熱交換器32に送るように変更することもできる。
【0052】
この場合、冷却源CSの冷却媒体の流路とは独立した回収器冷却用流路L4を通じる水W2と、排熱源HSの加熱媒体の流路とは独立した回収器加熱用流路L7を通じる水W1により回収器31を冷却及び加熱することができる。このため、回収器31の第2熱交換器32において、冷却源CSの冷却媒体に排熱源HSの加熱媒体が混入することを回避することができる。これにより、冷却源CSの系統は、排熱源HSの加熱媒体の性質の影響を受けることはない。また、回収器31の第2熱交換器32において、排熱源HSの加熱媒体に冷却源CSの冷却媒体が混入することを回避することができる。これにより、排熱源HSの系統は、冷却源CSの冷却媒体の性質の影響を受けることはない。従って、化学蓄熱システム11の導入先における冷却源CSの系統と排熱源HSの系統とを独立した状態に維持することが可能となる。
【0053】
(1-7)化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に排熱源HSの加熱媒体を供給する場合では、第1熱交換器22が排熱源HSの加熱媒体の性質や清浄度の影響を受けることになる。これにより、例えば、第1熱交換器22のメンテナンス等に手間を要するおそれがある。これに対して、本実施形態の化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に送る反応器加熱用流路L2をさらに備えている。この場合、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に供給される水W1の性質の安定化や清浄性の確保が容易である。これにより、例えば、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22のメンテナンス等の手間を軽減することが可能となる。化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に蒸発器51で発生させた水蒸気を供給した場合であっても同様の作用及び効果を得ることができる。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
図8図10に示すように、第2実施形態の化学蓄熱反応器21は、伝熱経路部25の構成が第1実施形態の化学蓄熱反応器21と異なる。なお、図8図10では、化学蓄熱反応器21の伝熱経路部25の構成を分かり易くするため、第1熱交換器22の第2連結流路管FT2から流出する熱媒体の流れを白抜き矢印で示し、第1熱交換器22の図示を省略している。
【0056】
本実施形態の伝熱経路部25は、第1熱交換器22の第2連結流路管FT2と、第1容器23の流出部23cとの間に設けられる伝熱用流路27を備えている。伝熱用流路27は、第2連結流路管FT2から流出する熱媒体を第1容器23の内面に沿って流通する。伝熱用流路27は、第1容器23の内面と熱媒体との伝熱面積をより広く確保するという観点から、図8に示すように、第1容器23の内面に沿って蛇行するように配置されることが好ましい。本実施形態では、伝熱用流路27は、第1容器23において向かい合う一対の内面に沿って蛇行するように配置されているが、伝熱用流路27の配置については、第1容器23の形状等に応じて変更することができる。
【0057】
伝熱用流路27を構成する流路管の断面における外周形状としては、例えば、半円形状、円形状、楕円形状、多角形状等が挙げられる。本実施形態の伝熱用流路27を構成する流路管の断面における外周形状は、図10に示すように半円形状である。この外周形状は、例えば、半円形状、三角形状、四角形状等の平坦部を有することが好ましい。この場合、流路管の平坦部を第1容器23の内面の平坦部に接触するように配置することで、伝熱用流路27を構成する流路管と第1容器23との伝熱面積をより広く確保することが可能となる。
【0058】
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)第2実施形態の化学蓄熱反応器21についても、第1実施形態の(1-1)、(1-3)~(1-5)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0059】
(2-2)第2実施形態の化学蓄熱反応器21の伝熱経路部25は、第2連結流路管FT2と流出部23cとの間に設けられる伝熱用流路27により構成されている。伝熱用流路27は、第1熱交換器22の第2連結流路管FT2から流出する熱媒体を第1容器23の内面に沿って流通する。この場合、例えば、第1熱交換器22を流通する熱媒体の熱と第1容器23との間の伝熱抵抗を小さくすることができるため、第1熱交換器22を流通する熱媒体の熱を第1容器23に効率的に伝えることができる。これにより、第1容器23の温度の上昇をより促進することができる。このため、上述した水蒸気WV3の凝縮をより抑えることが可能となる。従って、化学蓄熱材HMの水和反応を利用した放熱動作の遅延をより抑えることが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態について第2実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、第1実施形態及び第2実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
図11に示すように、第3実施形態の化学蓄熱反応器21は、第1熱交換器22の第2連結流路管FT2と伝熱用流路27とを接続する第1送液流路L11を備えている。また、第3実施形態の化学蓄熱反応器21は、第1熱交換器22の第2連結流路管FT2を流通する熱媒体を、伝熱用流路27を流通させずに第1容器23の外部に流出させる第2送液流路L12を備えている。図12及び図13に示すように、化学蓄熱反応器21は、第1送液流路L11と第2送液流路L12とを切り替え可能に構成されている。図11図13では、蓄熱動作で用いられる主な構成のみを概略的に示している。
【0062】
例えば、蓄熱動作時において、第1容器23の温度が熱媒体の温度よりも低い場合、図12に示すように、第1送液流路L11を用いて伝熱用流路27に熱媒体を流通させることができる。また、例えば、蓄熱動作時において、第1容器23の温度が熱媒体の温度よりも高い場合は、図13に示すように、第2送液流路L12を用いることができる。なお、第1送液流路L11と第2送液流路L12との切り替えは、バルブの開閉により行うことができる。
【0063】
第3実施形態の作用及び効果について説明する。
(3-1)第3実施形態の化学蓄熱反応器21についても、第2実施形態の(2-1)及び(2-2)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0064】
(3-2)第3実施形態の化学蓄熱反応器21は、第2連結流路管FT2に流通する熱媒体を伝熱用流路27に送る第1送液流路L11と、伝熱用流路27を流通させずに第1容器23外に流出させる第2送液流路L12とを切り替え可能に構成されている。この場合、第1熱交換器22を流通する熱媒体よりも、第1容器23の温度が高い場合は、第2送液流路L12を用いることで伝熱用流路27への熱媒体の流入を回避することができる。従って、伝熱用流路27を流通する熱媒体を利用した第1容器23の加熱を必要時のみに行うことで、第1容器23の内面の温度を適切な温度に保つことが可能となる。
【0065】
<変更例>
上記実施形態を次のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・上記化学蓄熱反応器21は、放熱動作として第1放熱動作と第2放熱動作とを行う用途に用いられているが、第1放熱動作のみを行う用途に用いることもできる。
・上記化学蓄熱反応器21において、伝熱経路部25は、第2連結流路管FT2の熱を第1容器23の伝えるように配置されているが、第1連結流路管FT1の熱を第1容器23に伝えるように配置することもできる。すなわち、第1実施形態の熱伝導性部材26を第1連結流路管FT1の外周面と第1容器23の内面とを連結する熱伝導性部材に変更することもできる。また、第2実施形態の伝熱用流路27を、流入部23bと第1連結流路管FT1との間に設けられる伝熱用流路に変更することもできる。この変更例の伝熱用流路は、第1連結流路管FT1から流出する熱媒体を第1容器23の内面に沿って流通する。
【0067】
・上記化学蓄熱反応器21において、外側容器24を省略することもできる。
・上記第3実施形態において、第1送液流路L11と第2送液流路L12とを切り替えるバルブは、第1容器23内に配置されているが、バルブを第1容器23の外部に配置することもできる。すなわち、バルブは、第1容器23と外側容器24の間に配置することもできるし、外側容器24の外部に配置することもできる。
【0068】
・上記化学蓄熱システム11では、図2に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に供給しているが、排熱源HSの加熱媒体を化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に供給するように変更することもできる。
【0069】
・上記化学蓄熱システム11では、図3に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7を備えているが、この流路を省略してもよい。すなわち、回収器31の第2熱交換器32に排熱源HSの加熱媒体を供給するように変更してもよい。
【0070】
・上記化学蓄熱システム11の蓄熱動作において、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1の回収は、復水器41と回収器31とを用いて行うこともできる。すなわち、上記蓄熱方法において、化学蓄熱材HMの脱水反応を行う蓄熱ステップは、復水器作動ステップと、復水器作動ステップの後に行う回収器作動ステップとを含んでもよい。復水器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を復水器41に導入する。回収器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を回収器31に導入する。
【0071】
・上記化学蓄熱反応器21は、上記化学蓄熱システム11以外の化学蓄熱システムに用いることもできる。
【符号の説明】
【0072】
21…化学蓄熱反応器
22…第1熱交換器
23…第1容器
23a…蓄熱室
23b…流入部
23c…流出部
24…外側容器
24a…断熱空間部
25…伝熱経路部
26…熱伝導性部材
27…伝熱用流路
FT…流路管
FTa…第1端部
FTb…第2端部
FT1…第1連結流路管
FT2…第2連結流路管
HM…化学蓄熱材
L11…第1送液流路
L12…第2送液流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13