(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178772
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20241218BHJP
G07D 11/237 20190101ALI20241218BHJP
B65H 1/26 20060101ALI20241218BHJP
B65H 7/10 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B65H9/00 Z
G07D11/237
B65H1/26 312D
B65H7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097163
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 康平
【テーマコード(参考)】
3E141
3F048
3F102
3F343
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141DA08
3E141FG03
3F048AA06
3F048AB03
3F048BA20
3F048BA23
3F048BB02
3F048CA03
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC11
3F048EB02
3F048EB24
3F048EB32
3F102AA15
3F102AB03
3F102BA01
3F102BB10
3F102CA03
3F102CB02
3F102CB06
3F102EA01
3F102EA16
3F102EB02
3F102EC11
3F102FA03
3F343FA04
3F343FB07
3F343FC11
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA11
3F343HA21
3F343HB07
3F343HC01
3F343HC06
(57)【要約】
【課題】 搬送されている紙葉類のずれ及びスキューを取得し、信頼性の高い紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 紙葉類処理装置は、搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送機構と、複数枚の紙葉類を順次、前記搬送機構に送り出す給紙部と、前記搬送機構により搬送される紙葉類の前記搬送路に対するずれ及びスキューを検出する検出センサと、前記給紙部を調整する調整機構と、前記検出センサにより検出されたずれ及びスキューに基づいて補正量を算出し、前記補正量に基づいて前記調整機構により前記給紙部を調整するコントローラと、を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送機構と、
複数枚の紙葉類を順次、前記搬送機構に送り出す給紙部と、
前記搬送機構により搬送される紙葉類の前記搬送路に対するずれ及びスキューを検出する検出センサと、
前記給紙部を調整する調整機構と、
前記検出センサにより検出されたずれ及びスキューに基づいて補正量を算出し、前記補正量に基づいて前記調整機構により前記給紙部を調整するコントローラと、を備えている、
紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記給紙部は、複数枚の紙葉類が積層される支持テーブルと、積層されている紙葉類を順次、取出して前記搬送路に送る取出し機構と、を有し、
前記調整機構は、前記支持テーブルの設置位置をずれ方向に調整するずれ調整機構と、前記支持テーブルの設置位置を回転方向に調整するスキュー調整機構と、を有している
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記給紙部は、昇降自在に設けられた昇降ベースを有し、
前記スキュー調整機構は、前記昇降ベースに回転自在に支持された回転ベースと、前記回転ベースを回動する第1アクチュエータと、を有し、
前記支持テーブルは、スライド方向にスライド可能に支持され、
前記ずれ調整機構は、前記支持テーブルを前記スライド方向にスライドさせる第2アクチュエータを有している、
請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記検出センサは、前記搬送路に沿って搬送される紙葉類に所定幅のレーザー光を放出する光源と、レーザー光を受光する受光部と、を有し、
前記受光部は、受光したレーザー光の幅の変化を検出する、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記検出センサは、前記搬送路に沿って搬送される紙葉類を撮像するラインセンサであり、前記ラインセンサにより撮像された画像と基準画像とを比較して、撮像した紙葉類のずれ及びスキューを検出する検出部を有している、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類処理装置として、市場に流通した複数枚の紙幣を集めて処理する紙幣処理機などが知られている。紙葉類処理装置は、搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送機構を備え、搬送されている紙葉類を検査したり、集積したりする。搬送中の紙葉類には、搬送路に対するずれやスキューが生じる。ずれやスキューが大きくなると、紙葉類処理装置における紙葉類の検査や集積の性能が低下することが分かっている。
この対策として、作業者による調整(保守)があるが、調整は困難であり膨大な時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4601792号公報
【特許文献2】特許第3432860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の課題は、搬送されている紙葉類のずれ及びスキューを取得し、信頼性の高い紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る紙葉類処理装置は、搬送路に沿って紙葉類を搬送する搬送機構と、複数枚の紙葉類を順次、前記搬送機構に送り出す給紙部と、前記搬送機構により搬送される紙葉類の前記搬送路に対するずれ及びスキューを検出する検出センサと、前記給紙部を調整する調整機構と、前記検出センサにより検出されたずれ及びスキューに基づいて補正量を算出し、前記補正量に基づいて前記調整機構により前記紙給部を調整するコントローラと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の内部構造の一例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態に係る紙葉類処理装置の給紙部、検出センサ、及び調整機構を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すA矢視から見たスキュー調整機構の平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すB矢視から見たずれ調整機構の平面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す検出センサの周辺を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、上記実施形態に係る紙葉類処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、光源と受光部との間を通過する紙葉類の平面図である。
【
図8】
図8は、紙葉類のずれ(又はスキュー)に対するずれ(又はスキュー)の検出数を示すグラフである。
【
図9】
図9は、上記実施形態に係る紙葉類処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宣変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面や説明をより明確にするため、実際の様態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宣省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る紙葉類処理装置10の内部構造の一例を示す正面図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置10は、取出し部12と、搬送機構14と、給紙部16と、検出センサ28と、検査部18と、区分処理部20と、を備えている。
取出し部12は、供給された複数枚の紙葉類Pを1枚ずつ取出し可能であり、取出しローラ22を有している。取出しローラ22は、回転可能に設けられ、複数枚の紙葉類Pから1枚ずつ取出し可能である。
搬送機構14は、取出し部12によって取出された紙葉類Pを搬送路15に沿って搬送する。
【0009】
給紙部16は、搬送機構14に順次、紙葉類Pを送り出す。給紙部16は、支持テーブル24と、取出し機構25と、を有している。支持テーブル24は、取出し部12から搬送路15を介して搬送された紙葉類Pを積層可能であり、紙葉類Pを支持する。取出し機構25は、取出しローラ26を有し、支持テーブル24に支持された紙葉類Pを1枚ずつ搬送路15に取出し可能である。
検出センサ28は、搬送機構14により搬送路15を搬送される紙葉類Pの搬送路15に対するずれ及びスキュー(傾き)を検出する。
【0010】
検査部18は、給紙部16から取出されてから搬送路15を搬送される紙葉類Pの物理量を検出し、紙葉類Pの券種判別、真偽判別、正損判別、印刷状態の検査などを行う。一例において、検査部18は、第1センサ18a、第2センサ18b、第3センサ18c、第4センサ18d、第5センサ18e、及び第6センサ18fを有している。
第1センサ18aは、搬送路15を搬送される紙葉類Pの搬送方向における長さを検出する。第2センサ18bは、搬送路15を搬送される紙葉類Pの厚さを検出する。
第3センサ18c、第4センサ18d、及び第5センサ18eは、紙葉類Pの画像情報を検出する。画像情報とは、例えば、輝度である。
第3センサ18cは、紙葉類Pの表面の画像情報を検出する。第4センサ18dは、紙葉類Pの裏面の画像情報を検出する。第5センサ18eは、紙葉類Pの透過画像情報を検出する。
【0011】
第6センサ18fは、紙葉類Pの磁気的な特徴を検出する。上記した磁気的な特徴とは、例えば、紙葉類Pに含まれる磁性体の量である。なお、第6センサ18fは、紙葉類Pの磁気的な特徴を検出することができればよく、一般に知られる各種のセンサを第6センサ18fに適用可能である。
なお、検査部18は、第1センサ18a、第2センサ18b、第3センサ18c、第4センサ18d、第5センサ18e、及び第6センサ18fに加え、紙葉類Pの物理量を検出可能な種々のセンサを有してもよい。
【0012】
区分処理部20は、検査部18にて検査された紙葉類Pを区分して集積する。区分処理部20は、検査部18による検査結果に基づいて紙葉類Pを区分処理する。区分処理部20は、複数の集積結束部20a,20b,20c,20dと、排除券集積部20fと、を有している。集積結束部20a,20b,20cは、それぞれ、検査部18で正券と判定された紙葉類Pを集積及び結束する。集積結束部20dは、検査部18で損券と判定された紙葉類Pを集積及び結束する。
排除券集積部20fは、搬送路15の終端に設けられ、検査部18で排除券と判定された紙葉類Pを集積する。
【0013】
紙葉類処理装置10は、支持テーブル24の設置位置を調整する調整機構29を備えている。上記設置位置とは、支持テーブル24から紙葉類Pを取出す際の支持テーブル24の位置である。
以下、
図2を参照して、給紙部16、検出センサ28、及び調整機構29について詳細に説明する。
図2は、上記実施形態に係る紙葉類処理装置10の給紙部16、検出センサ28、及び調整機構29を示す正面図である。ここで、
図2に示す第1方向X、第2方向Y、第3方向Zについて定義する。第1方向Xは、紙葉類Pが搬送される搬送方向に相当する。第2方向Yは、紙葉類Pが積層される積層方向に相当する。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向であり、後述する紙葉類Pのずれ方向に相当する。
【0014】
給紙部16の取出し機構25は、昇降機構30をさらに有している。昇降機構30は、昇降モータ31と、連結部35と、昇降ベース36と、で構成されている。昇降モータ31は、位置が固定されている固定ベース38に固定されている。昇降モータ31は、第2方向Yに延出する柱状の昇降軸33を有している。昇降軸33は、昇降モータ31を駆動することで第2方向Yに移動する。
【0015】
連結部35は、第2方向Yに延出して形成され、昇降モータ31に連結された一端と、昇降ベース36に固定された他端と、を有している。より詳細には、連結部35は、昇降モータ31の昇降軸33に連結され、昇降モータ31を駆動することにより第2方向Yに移動する。
昇降ベース36は、第1方向X及び第2方向Yに延在する板状に形成され、連結部35と一体的に第2方向Yに昇降自在である。
【0016】
調整機構29は、支持テーブル24の設置位置を回転方向(スキュー方向)に調整するスキュー調整機構32と、支持テーブル24の設置位置をずれ方向に調整するずれ調整機構34と、を有している。
まず、スキュー調整機構32について
図2及び
図3を参照して説明する。
図3は、
図2に示すA矢視から見たスキュー調整機構32の平面図である。なお、
図3では、昇降ベース36を省略している。
【0017】
図2及び
図3に示すように、スキュー調整機構32は、第1アクチュエータ40と、2つのリンク42,44と、回転体46と、回転ベース48と、中心軸50と、を有している。第1アクチュエータ40は、昇降ベース36に固定されている。一例において、第1アクチュエータ40は、モータとして形成され、第2方向Yに延出する円柱状の第1回転軸41を有している。第1回転軸41は、第1アクチュエータ40を駆動することで回転する。
【0018】
リンク42の一端は第1回転軸41に固定され、リンク42の他端はリンク44の一端に回動自在に連結されている。さらに、リンク44の他端は回転体46の外周部に回動自在に連結されている。
回転体46は、中空の筒状であり、中心軸50を挿通するために第2方向Yに貫通して形成された貫通孔を有している。
回転ベース48は、回転体46の第2方向Yにおけるリンク44が連結された一端と反対側の端部に固定されている。回転ベース48は、中心軸50を挿通するために第2方向Yに貫通して形成された貫通孔を有している。
【0019】
中心軸50は、第2方向Yに延在し円柱状に形成され、昇降ベース36、回転体46、回転ベース48を貫通し、昇降ベース36の下方及び回転ベース48の上方に延出している。中心軸50は、昇降ベース36に固定され、回転体46及び回転ベース48の貫通孔の内周面に接触している。つまり、回転ベース48は、昇降ベース36に中心軸50を中心として回転自在に支持されている。一例において、中心軸50は、第2方向Yにおいて紙葉類Pの中心と対向している。
上記のようにスキュー調整機構32が構成されているため、第1アクチュエータ40を駆動すると、第1回転軸41の回転がリンク42,44を介して回転体46に伝達され、回転ベース48が回転体46と共に中心軸50を中心として回転する。
【0020】
次に、ずれ調整機構34について
図2及び
図4を参照して説明する。
図4は、
図2に示すB矢視から見たずれ調整機構34の平面図である。なお、
図4では、支持テーブル24及び回転ベース48を併せて示している。
図2及び
図4に示すように、ずれ調整機構34は、第2アクチュエータ52と、リンク54と、ピン56と、2つのガイド58,60と、を有している。第2アクチュエータ52は、モータとして形成され、第2方向Yに延出する円柱状の第2回転軸53を有している。第2回転軸53は、第2アクチュエータ52を駆動することで回転する。
【0021】
リンク54の一端は第2回転軸53に固定され、リンク54の他端はピン56を固定している。
ピン56は、第2方向Yに延出して円柱状に形成され、支持テーブル24を第2方向Yに貫通して形成された長孔Hに挿通されている。長孔Hは、第1方向Xに延びる孔であり、支持テーブル24の紙葉類Pが積層される領域ARから離れて位置している。一例において、長孔Hは、領域ARから第1方向Xに離間している。
【0022】
2つのガイド58,60は、互いに第1方向Xに離間して位置し、回転ベース48に固定されている。ガイド58,60は、支持テーブル24を支持している。ガイド58,60は、支持テーブル24の紙葉類Pを積層する表面と反対側に形成された凸部P1,P2を収容する凹部C1,C2を有している。凸部P1,P2及び凹部C1,C2は、均一な幅で第3方向Zに延在して形成されている。凸部P1は凸部P2と平行であり、凹部C1は凹部C2と平行である。
つまり、支持テーブル24は、ガイド58,60の凹部C1,C2に沿ってスライド可能に回転ベース48に支持されている。
【0023】
上記のようにずれ調整機構34が構成されているため、第2アクチュエータ52を駆動すると、第2回転軸53の回転によりリンク54が回動し、ピン56を介して支持テーブルに紙葉類Pの長手方向(一例では第1方向X)及び幅方向(一例では第3方向Z)の成分を有する力が作用する。支持テーブル24は、ガイド58,60により長手方向への移動が制限されているため、作用した力のうち幅方向の成分により幅方向にスライドする。以下、「支持テーブル24がスライドする方向」、一例では「凹部C1,C2(凸部P1,P2)に沿った方向」を「スライド方向SD」と称する。
【0024】
支持テーブル24の動きについてまとめると、昇降機構30、スキュー調整機構32、及びずれ調整機構34が上記のように構成されているため、支持テーブル24は、昇降モータ31の駆動により第2方向Yに移動し、第1アクチュエータ40の駆動により中心軸50を中心として回転し、第2アクチュエータ52の駆動によりスライド方向SDにスライドする。つまり、第1アクチュエータ40及び第2アクチュエータ52により、支持テーブル24から取出される際の紙葉類Pの設置位置(ずれ方向における位置や回転方向における角度)を調整することができる。また、取出しローラ26を駆動した状態で支持テーブル24を上方に移動させることにより、最上層に位置する紙葉類Pから順番に搬送路15に紙葉類Pを取出すことができる。取出された紙葉類Pは、検出センサ28に搬送される。
【0025】
次に、検出センサ28について
図2及び
図5を参照して説明する。
図5は、
図2に示す検出センサ28の周辺を示す斜視図である。
図2及び
図5に示すように、検出センサ28は、複数の搬送ローラR1,R2,R3,R4や、一対の搬送ベルトBL1,BL2などで規定される搬送路15に位置している。搬送ベルトBL1は、無端状のベルトであり、搬送ローラR1や搬送ローラR2などに巻き付けられている。搬送ベルトBL2は、無端状のベルトであり、搬送ローラR3や搬送ローラR4などに巻き付けられている。
【0026】
検出センサ28は、光源28aと、受光部28bと、を有している。光源28a及び受光部28bは、搬送方向(第1方向X)に直交する方向(一例では第2方向Y)において、搬送路15を挟んで対向して配置されている。光源28aは、ほぼ均一な所定幅を有するレーザー光LZを搬送路15に沿って搬送される紙葉類Pに向けて放出する。受光部28bは、放出されたレーザー光LZのうち紙葉類Pに遮られていないレーザー光LZを受光し、受光した紙葉類Pの幅の長さL1を検出する。検出センサ28は、受光部28b検出した長さL1に基づいて、紙葉類Pにより遮られたレーザー光LZの幅の長さL1を算出する。具体的には、長さL2は、放出したレーザー光LZの所定幅の長さから長さL1を減算して算出される。受光部28bは、1枚の紙葉類Pに対する受光したレーザー光LZの幅変化(長さL2の変化)を検出する。
【0027】
一例において、光源28aから放出されるレーザー光LZの所定幅は、紙葉類Pの幅W1と同じ長さであり、レーザー光LZの第3方向Zにおける一端は、搬送ベルトBL1,BL2の中心aに位置している。
検出センサ28は、搬送路15を搬送されている1枚の紙葉類Pから、長さL2を所定の間隔(例えば、2ミリ秒)で複数回検出し、複数回検出された長さL2に基づいて、紙葉類Pの搬送路15に対するずれやスキューを算出する。
【0028】
次に、紙葉類処理装置10の制御構成について説明する。
図6は、上記実施形態に係る紙葉類処理装置10の制御構成を示すブロック図である。
図6に示すように、紙葉類処理装置10は、コントローラ62と、操作部66と、表示部68と、をさらに備えている。コントローラ62は、メモリ64を有している。コントローラ62は、取出し部12、搬送機構14、取出し機構25、検出センサ28、調整機構29、操作部66、及び表示部68にそれぞれ接続されている。
【0029】
コントローラ62は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などを備えるコンピュータとして構成され、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、取出し部12、搬送機構14、取出し機構25、調整機構29、表示部68のそれぞれの動作など、紙葉類処理装置10の全体の動作を制御する。
例えば、コントローラ62は、取出し部12の取出しローラ22により紙葉類Pを1枚ずつ搬送路15に取出し、搬送路15を介して紙葉類Pを支持テーブル24に積層することができる。このとき、コントローラ62は、取出し部12から取出した紙葉類Pの枚数をカウントし、任意の枚数の紙葉類Pを支持テーブル24に積層することができる。
【0030】
コントローラ62は、紙葉類Pを支持テーブル24に積層する前に、第1アクチュエータ40及び第2アクチュエータ52により支持テーブル24を回転及びスライドさせて、支持テーブル24を積層位置に動かすことができる。積層位置とは、支持テーブル24の領域ARに紙葉類Pを積層可能な位置のことである。
コントローラ62は、取出し機構25により、積層された紙葉類Pを順次、搬送機構14に送り出し、搬送路15により紙葉類Pを搬送することができる。このとき、コントローラ62は、検出センサ28により紙葉類Pの各々のずれ及びスキューを検出することができる。
【0031】
コントローラ62は、検出センサ28で検出された紙葉類Pのずれ及びスキューを取得し、取得したずれ及びスキューを基に補正量を算出することができる。補正量とは、次に搬送される紙葉類Pのずれ及びスキューを減少させるための値である。コントローラ62は、算出された補正量をそのときの支持テーブル24の設置位置と関連付けてメモリ64に記憶することができる。設置位置は、具体的には、ずれ方向(第3方向Z)における位置や搬送方向(第1方向X)に対する回転角度である。
【0032】
コントローラ62は、支持テーブル24の設置位置をメモリ64に記憶することができる。コントローラ62は、メモリ64に補正量が記憶されているか否かを判断することができる。
コントローラ62は、メモリ64に記憶されている補正量に基づいて、第1アクチュエータ40及び第2アクチュエータ52により支持テーブル24の設置位置を調整することができる。
【0033】
コントローラ62は、操作部66を介した操作者の操作に基づいて、取出し部12、搬送機構14など、紙葉類処理装置10の各種の機器の駆動を制御することができる。また、コントローラ62は、操作者による操作情報、検査部18や検出センサ28で取得した情報、判断した情報などを表示部68に表示することができる。
メモリ64は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の一般に知られている記憶媒体で形成され、検査部18の検査対象となる紙葉類Pの幅W1などの情報を格納している。
紙葉類処理装置10は、上記のように構成されている。
【0034】
次に、ずれ及びスキューを算出する方法について詳細に説明する。
図7は、光源28aと受光部28bとの間を通過する紙葉類Pの平面図である。なお、
図7では、搬送ベルトBL1,BL2と、正常な姿勢の紙葉類Pと、を二点鎖線で併せて示している。なお、上記した正常な姿勢とは、ベルトBL1,BL2の中心aと紙葉類Pの中心とが一致し、且つ、紙葉類Pの側縁が搬送方向Xに平行な状態を指す。
図7に示しように、紙葉類Pは、ずれ方向(第3方向Z)において下方にずれている。より詳細には、二点鎖線で示される紙葉類Pの中心に対して、長さLMだけ下方にずれている。また、紙葉類Pは、二点鎖線で示される紙葉類Pに対して角度θだけ傾き、スキューが生じている。
【0035】
検出センサ28は、1枚の紙葉類Pに対して長さLを所定の間隔で複数回検出する。一例において、検出センサ28は、長さL21から長さL29まで9回分の長さL2を検出する。紙葉類Pにスキューが生じている場合、長さL2は、線形的に変化する。一例において、長さL2は、搬送方向側に位置しているほど大きくなり、9箇所の長さのうち長さL21が最大である。検出センサ28は、複数回検出された長さL2に基づいて、ずれ及びスキューを算出する。
【0036】
ずれを算出する場合、まず、検出した複数の長さL2の平均値を算出する。次に、紙葉類Pの幅W1の半分の長さである幅W2と比較することで、ずれの大きさ及び方向を算出する。具体的には、平均値を幅W2から減算することでずれの大きさ及び方向を算出する場合、得られた値の絶対値をずれの大きさ(長さLM)とし、得られた値の符号に応じてずれの方向を算出する。
図7で例えると、得られた値が正である場合、紙葉類Pが下方にずれていると判断し、得られた値が負である場合、紙葉類Pが上方にずれていると判断する。
【0037】
スキューを算出する場合、まず、複数の長さL2から任意の2つの長さL2を選択する。
図7に示す例では、長さL21と長さL29を選択している。次に、長さL21の中心aと反対側の第1端部E1から長さL29の中心aと反対側の第2端部E2までの第1方向Xの長さLAと、第1端部E1から第2端部E2までの第3方向Zの長さLBと、を算出する。続いて、算出された長さLA,LBと下記の式Fとから紙葉類Pのスキュー(角度θ)を算出する。
θ=arctan(長さLA/長さLB)・・・(F)
【0038】
検出センサ28は、上述した算出方法で1枚の紙葉類に関するずれ及びスキューを検出する。コントローラ62は、検出センサ28で検出されたずれ及びスキューをメモリ64に記憶する。コントローラ62は、支持テーブル24に積層された所定枚数の紙葉類Pを連続的に取出し、検出センサ28で所定枚数分のずれ及びスキューを検出する。コントローラ62は、所定枚数分の紙葉類Pのずれに対応するずれの検出数を示すグラフと、所定枚数分の紙葉類Pのスキューに対するスキューの検出数を示すグラフと、を作成する。コントローラ62は、所定枚数分の紙葉類Pのずれ及びスキューに基づいて補正量を算出する。
【0039】
検出センサ28がずれ及びスキューを検出するための構成は、上記に限定されない。例えば、光源28a及び受光部28bは、搬送路15を挟んで対向配置されていなくともよい。その場合、光源28aは、搬送路15を搬送される紙葉類Pに向けてレーザー光LZを放出し、受光部28bは、紙葉類Pで反射されるレーザー光LZを検出する。
また、検出センサ28は、ずれ及びスキューを検出できればよく、レーザー光LZを使用するセンサであることに限定されない。例えば、検出センサ28は、搬送路15を搬送される紙葉類Pを撮像するラインセンサであってもよい。その場合、検出センサ28は、カメラにより撮像された画像とずれ及びスキューが生じていない基準画像とを比較して、撮像した紙葉類Pのずれ及びスキューを検出する検出部を有している。
【0040】
次に、補正量を算出する方法について詳細に説明する。なおずれに対する補正量とスキューに対する補正量とは、同様の方法で算出可能なため、ずれに対する補正量を算出する方法を例として説明する。
図8は、紙葉類Pのずれ(又はスキュー)に対するずれ(又はスキュー)の検出数を示すグラフである。
図8に示すように、コントローラ62は、メモリ64に記憶されている所定枚数分の紙葉類Pのずれの分布を取得している。
【0041】
図8の例において、検出数が最大となる第1ずれ値M1と、所定枚数分の紙葉類Pのずれの平均である第2ずれ値M2とは、ずれが0となる基準値bから離間している。コントローラ62は、第1ずれ値M1又は第2ずれ値M2が基準値bと重なるような補正量を算出する。例えば、補正量は、第1ずれ値M1又は第2ずれ値M2に-1を乗じた値である。
図8で例えると、第2ずれ値M2が-0.4mmであるため、補正量は+0.4mmになる。
【0042】
傾きの補正量を算出する場合も同様であり、検出数が最大となる第1スキュー値SK1又は所定枚数分の紙葉類Pのスキューの平均である第2スキュー値SK2を基準値bに近づけるような補正量を算出する。
コントローラ62は、補正量を算出する際の支持テーブル24の設置位置から、補正量分だけ支持テーブル24を移動及び回転させて動かすことで、次に支持テーブル24から搬送路15に取出される紙葉類Pのずれ及びスキューを減少させる。
【0043】
図2乃至
図4に示す調整機構29を有している場合における設定位置の調整の一例について説明する。
中心軸50が積層されている紙葉類Pの中心と対向しているため、支持テーブル24は、紙葉類Pの中心周りで回転する。そのため、支持テーブル24を回転させた場合であっても、積層された紙葉類Pは、ずれ方向に移動しない。一方、支持テーブル24を回転させると、スライド方向SDは変化する。
スライド方向SDとずれ方向(第3方向Z)とが一致していれば、第1ずれ値M1又は第2ずれ値M2に-1を乗じた値をそのままスライドさせて、ずれを調整することができるため、積層された紙葉類Pにスキューが生じていない状態(搬送方向に対して傾いていない状態)で支持テーブル24をスライドさせることが好ましい。
【0044】
上記のことから、補正量とその補正量を算出した際の設定位置とがメモリ64に記憶されている場合、コントローラ62は、積層されている紙葉類Pを取出す際、ずれを調整した後、スキューを調整する。より具体的には、まず、メモリ64内の設定位置から回転角度を0にした位置に支持テーブル24を動かし、補正量だけ支持テーブル24をスライドさせてずれを調整する。その後、メモリ64内の設定位置(回転角度)と補正量とを考慮して支持テーブル24を回転させ、スキューを調整する。
なお、調整する手順は上記に限定されず、スキューを調整した後、ずれ方向とスライド方向SDとの角度を考慮して、スライドさせてずれを調整してもよい。
【0045】
次に、紙葉類Pのずれ及びスキューを調整する手順について説明する。
図9は、上記実施形態に係る紙葉類処理装置10の処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、紙葉類処理装置10の処理が開始されると、コントローラ62は、昇降モータ31、第1アクチュエータ40、及び第2アクチュエータ52により、支持テーブル24を積層位置に移動させる(S1)。次に、コントローラ62は、取出し部12から取出しローラ22により所定枚数の紙葉類Pを取出し、搬送路15を介して所定枚数の紙葉類Pを支持テーブル24に積層する(S2)。
【0046】
次いで、コントローラ62は、メモリ64に補正量が記憶されているか否かを判断し(S3)、メモリ64に補正量が記憶されている場合、補正量とその補正量を検出する際の支持テーブル24の設定位置とに基づいて、第1アクチュエータ40及び第2アクチュエータ52により支持テーブル24を動かし(回転及びスライドさせ)、支持テーブル24の位置を調整する(S4)。続いて、コントローラ62は、取出し機構25により支持テーブル24から紙葉類Pを搬送路15に取出して搬送する(S5)。
一方、メモリ64に補正量が記憶されていない場合(S3)、コントローラ62は、ステップS5に移行する。
【0047】
次に、コントローラ62は、検出センサ28で検出した紙葉類Pのずれ及びスキューを取得し、メモリ64に記憶する(S6)、所定枚数分のずれ及びスキューを取得しているか否かを判断する(S7)。所定枚数分のずれ及びスキューを取得していない場合(S7)、コントローラ62は、ステップS5に移行する。
一方、所定枚数分のずれ及びスキューを取得している場合(S7)、コントローラ62は、所定枚数分のずれ及びスキューに基づいて補正量を算出し(S8)、算出した補正量をメモリ64に記憶する。
【0048】
次いで、コントローラ62は、続けて紙葉類Pの検査(処理)を行うか否かを判断し(S10)、続けて紙葉類Pの検査を行う場合、ステップS1に移行する。
一方、続けて紙葉類Pの検査を行わない場合(S10)、コントローラ62は、紙葉類処理装置10の処理を終了する。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上記のように構成された紙葉類処理装置10によれば、紙葉類処理装置10は、給紙部16と、検出センサ28と、調整機構29と、を備えている。コントローラ62は、検出センサ28により検出されたずれ及びスキューに基づいて補正量を算出し、補正量に基づいて調整機構29により給紙部16を調整する。
これにより、紙葉類Pのずれ及びスキューを取得し、取得したずれ及びスキューを基に給紙部16にある紙葉類Pのずれ及びスキューを減少させることで、検査部18で行われる検査や区分処理部20で行われる集積の精度を向上し、信頼性の高い紙葉類処理装置10を得ることができる。
【0050】
給紙部16は、支持テーブル24と、取出し機構25と、を有している。さらに、調整機構29は、スキュー調整機構32とずれ調整機構34とを有している。これにより、支持テーブル24に積層された複数枚の紙葉類のずれ及びスキューを1回で調整することができる。
紙葉類処理装置10は、昇降自在に設けられた昇降ベース36と、昇降ベース36に回転自在に支持された回転ベース48と、回転ベースにスライド方向SDにスライド可能に支持された支持テーブル24と、第1アクチュエータ40と、第2アクチュエータ52と、を有している。これにより、第1アクチュエータ40及び第2アクチュエータ52のみの駆動でずれ及びスキューを減少させることができる。
【0051】
検出センサ28は、搬送路15に沿って搬送される紙葉類Pに所定幅のレーザー光LZを放出する光源28aと、レーザー光LZを受光する受光部28bと、を有している。上記の構成により長さL1,L2を正確に計測できるため、正確なずれ及びスキューを検出することができる。
一方、検出センサ28が紙葉類Pを撮像するラインセンサである場合、ずれ及びスキューの取得と同時に、紙葉類Pの検査を行うこともできる。
【0052】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…紙葉類処理装置、12…取出し部、14…搬送機構、15…搬送路、16…給紙部、18…検査部、20…区分処理部、24…支持テーブル、25…取出し機構、26…取出しローラ、28…検出センサ、28a…光源、28b…受光部、29…調整機構、30…昇降機構、31…昇降モータ、32…スキュー調整機構、34…ずれ調整機構、36…昇降ベース、40…第1アクチュエータ、48…回転ベース、52…第2アクチュエータ、62…コントローラ、64…メモリ、LZ…レーザー光、P…紙葉類、SD…スライド方向。