(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178778
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】フラックス供給装置およびフラックス供給方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20241218BHJP
B05C 3/02 20060101ALI20241218BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C3/02
H05K3/34 503B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097176
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】近堂 遼太
(72)【発明者】
【氏名】永口 悠二
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
5E319
【Fターム(参考)】
4F040AA12
4F040AB20
4F040BA42
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB08
4F042CB10
5E319CD22
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】フラックスの供給停止期間に液だれを発生させることなく、定められた供給量に対して精確にフラックスを供給することができるフラックス供給装置を提供する。
【解決手段】フラックス供給装置は、フラックスが収容されたフラックスカートリッジからフラックスが供給されて貯留するフラックスポットと、フラックスカートリッジからフラックスポットへフラックスの供給を遮断するために、フラックスカートリッジ内の空間を負圧状態に保つ吸引ポンプとを備える。このように、フラックスの供給停止期間にフラックスカートリッジ内の空間を負圧状態に保つことにより、フラックスカートリッジからフラックスポットへフラックスを吐出する吐出口からフラックスが漏れ出て液だれが生じることを防ぐことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスが収容されたフラックスカートリッジから前記フラックスが供給されて貯留するフラックスポットと、
前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへ前記フラックスの供給を遮断するために、前記フラックスカートリッジ内の空間を負圧状態に保つ吸引ポンプと
を備えるフラックス供給装置。
【請求項2】
前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへ前記フラックスを供給させるために、前記空間を正圧状態にする与圧ポンプを備える請求項1に記載のフラックス供給装置。
【請求項3】
前記吸引ポンプと前記フラックスカートリッジを接続する配管と、前記与圧ポンプと前記フラックスカートリッジを接続する配管は、前記フラックスカートリッジに接続される側で互いに一部を共有している請求項2に記載のフラックス供給装置。
【請求項4】
前記吸引ポンプは、前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへ前記フラックスを供給させるために、前記空間の負圧状態を解除する請求項1に記載のフラックス供給装置。
【請求項5】
前記フラックスポットは、供給された前記フラックスの貯留量を検出する検出部を有し、
前記検出部の出力に基づいて前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへ前記フラックスを供給させる請求項1に記載のフラックス供給装置。
【請求項6】
前記フラックスポットに貯留されている前記フラックスは、大気圧下に解放されている請求項1に記載のフラックス供給装置。
【請求項7】
前記フラックスカートリッジに接続され、前記フラックスポットへ前記フラックスを供給する配管は、透明樹脂で形成されている請求項1に記載のフラックス供給装置。
【請求項8】
前記フラックスの塗布対象である実装体を前記フラックスに浸漬させるための凹部が設けられたステージと、
前記フラックスポットから前記凹部へ前記フラックスを充填する充填位置と、前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへ前記フラックスを供給する供給位置の間で、前記フラックスポットを往復させる移動機構を備え、
前記吸引ポンプは、少なくとも前記フラックスポットが前記供給位置に存在しない間は、前記フラックスカートリッジ内の空間を負圧状態に保つ請求項1に記載のフラックス供給装置。
【請求項9】
フラックスが収容されたフラックスカートリッジから前記フラックスを貯留するフラックスポットへ前記フラックスを供給する供給ステップと、
吸引ポンプを作動させて前記フラックスカートリッジ内の空間を負圧状態にすることにより、前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへの前記フラックスの供給を遮断する遮断ステップと
を有するフラックス供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックス供給装置およびフラックス供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状のフラックスを半導体チップに代表される実装体に塗布するフラックス塗布装置が実用化されている。フラックス塗布装置には、例えばフラックスが収容された交換式のカートリッジからフラックスを取り出して供給する、フラックス供給装置が組み込まれていることが多い。フラックス供給装置は、例えばポンプを用いてフラックスをカートリッジから塗布部へ供給する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実装体へのフラックス塗布量は厳密に定められており、例えば浸漬槽に充填されたフラックスに実装体を浸漬してその塗布を実現する場合においては、当該浸漬槽に供給されるフラックスの供給量も厳しく管理される。すなわち、カートリッジから吐出されるフラックス量は、定められた供給量に対して精確でなければならない。また、塗布対象となる実装体によって塗布するフラックスが異なる場合があるが、フラックス供給装置は、粘度の異なるいずれのフラックスを扱う場合であっても、供給停止期間に液だれを発生させることは好ましくない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、フラックスの供給停止期間に液だれを発生させることなく、定められた供給量に対して精確にフラックスを供給することができるフラックス供給装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様におけるフラックス供給装置は、フラックスが収容されたフラックスカートリッジから前記フラックスが供給されて貯留するフラックスポットと、前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへ前記フラックスの供給を遮断するために、前記フラックスカートリッジ内の空間を負圧状態に保つ吸引ポンプとを備える。
【0007】
また、本発明の第2の態様におけるフラックス供給方法は、フラックスが収容されたフラックスカートリッジから前記フラックスを貯留するフラックスポットへ前記フラックスを供給する供給ステップと、吸引ポンプを作動させて前記フラックスカートリッジ内の空間を負圧状態にすることにより、前記フラックスカートリッジから前記フラックスポットへの前記フラックスの供給を遮断する遮断ステップとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フラックスの供給停止期間にフラックスカートリッジ内の空間を負圧状態に保つことにより、フラックスカートリッジからフラックスポットへフラックスを吐出する吐出口からフラックスが漏れ出て液だれが生じることを防ぐことができる。したがって本発明により、フラックスの供給停止期間に液だれを発生させることなく、定められた供給量に対して精確にフラックスを供給することができるフラックス供給装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るフラックス供給装置の全体構成を模式的に示す図である。
【
図2】フラックス供給装置のシステム構成を示す図である。
【
図3】演算処理部の処理手順を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態に係るフラックス供給装置100の全体構成を模式的に示す図である。フラックス供給装置100は、フラックスカートリッジ200に収容されたフラックスをフラックス塗布装置に供給する装置である。フラックス供給装置100は、独立したユニットとしてフラックス塗布装置に組み込まれてもよいし、フラックス塗布装置の一部として構成されてもよい。
【0012】
フラックス供給装置100は、装着された交換式のフラックスカートリッジ200に収容されたフラックスFXをフラックス塗布装置へ供給する。すなわち、フラックスカートリッジ200が装着されるとフラックスFXの供給が可能となり、収容されたフラックスFXを消費し終えれば、あるいは他の種類のフラックスFXを供給する場合には、目的に応じた新たなフラックスカートリッジ200に交換される。
【0013】
フラックス供給装置100は、主に、フラックスポット110、与圧ポンプ120、吸引ポンプ130、ステージ150、演算処理部160、移動機構170を備える。フラックスポット110は、フラックスカートリッジ200から供給されたフラックスFXを貯留し、ステージ150の表面に凹部として設けられた浸漬槽151へ当該フラックスFXを供給するフラックス中継機能を担う。
【0014】
具体的には、フラックスポット110は、上部が周辺空間へ解放された内部空間である貯留槽111を備え、フラックスカートリッジ200から供給されたフラックスFXは、一時的に貯留槽111に貯留される。このように貯留されたフラックスFXが大気圧下に解放されていることにより、作業者は、異なる種類のフラックスFXに切り替える作業等においてメンテナンス作業を行いやすい。
【0015】
また、フラックスポット110は、貯留槽111に貯留されたフラックスFXの貯留量を検出する検出部113を備える。検出部113は、例えば貯留槽111の深さ方向に沿って設置されたフォトセンサアレイであり、反射光の受光位置に応じてフラックスFXの液面を同定することにより、その貯留量を検出する。検出部113は、フラックスFXの貯留量を検出できるセンサを含むものであれば、いずれの構成であっても構わない。検出部113の検出信号は、演算処理部160へ送信される。
【0016】
フラックスポット110は、貯留槽111の底面に制御弁114を備える。制御弁114は、演算処理部160からの開閉信号により開閉される。制御弁114が開状態にされると、貯留槽111に貯留されたフラックスFXは、重力の作用に従って外部空間へ吐出される。制御弁114が閉状態に維持されれば、貯留槽111に貯留されたフラックスFXは、外部空間へ漏れることはない。
【0017】
与圧ポンプ120は、吸気口121から周辺空間の空気を取り込んでフラックスカートリッジ200の内部空間210へ送り込むことにより、その気相210bを正圧状態にして、収容されたフラックスFXである液相210aを押し下げる機能を担うポンプである。与圧ポンプ120は、演算処理部160からの与圧信号に応じて動作する。
【0018】
吸引ポンプ130は、内部空間210の気相210bから空気を吸い込んで排気口131から吐き出すことにより気相210bを負圧状態に保ち、収容されたフラックスFXを内部空間210に留める機能を担うポンプである。吸引ポンプ130は、演算処理部160からの吸引信号に応じて動作する。
【0019】
与圧ポンプ120および吸引ポンプ130とフラックスカートリッジ200は、三方弁145を介して互いに接続されている。具体的には、与圧ポンプ120と三方弁145は第1エアチューブ141によって接続され、吸引ポンプ130と三方弁145は第2エアチューブ142によって接続され、三方弁145とフラックスカートリッジ200の気相210bに通じる第1ジョイント201とは第3エアチューブ143によって接続されている。すなわち、与圧ポンプ120とフラックスカートリッジ200を接続する接続配管と、吸引ポンプ130とフラックスカートリッジ200を接続する接続配管は、フラックスカートリッジ200に接続される第1ジョイント201側で互いに一部を共有している構成となっている。このように構成することにより、気相に通じるジョイントを一つしか有さないフラックスカートリッジであっても、与圧ポンプ120に加えて吸引ポンプ130も接続することができる。なお、第3エアチューブ143は、第1ジョイント201と接続される端において、第1ジョイント201との着脱を容易にする着脱機構を備えることが好ましい。
【0020】
三方弁145が備える内部弁は、与圧ポンプ120が動作する期間においては第1エアチューブ141と第3エアチューブ143が貫通するように変位し、吸引ポンプ130が動作する期間においては第2エアチューブ142と第3エアチューブ143が貫通するように変位する。第1エアチューブ141、第2エアチューブ142、第3エアチューブ143は、空気の流通による膨張および収縮が抑制される例えば塩化ビニル樹脂製の配管が採用され得る。
【0021】
フラックスカートリッジ200は、気相210bに通じる第1ジョイント201の他に、液相210aに通じる第2ジョイント202を備える。また、フラックスポット110がフラックスFXの供給を受ける供給位置に配置された場合に、その貯留槽111と対向する位置に吐出口148が設けられている。吐出口148に一端が接続されたフラックスチューブ147は、その他端において第2ジョイント202へ接続される。なお、フラックスチューブ147は、第2ジョイント202と接続される他端において、第2ジョイント202との着脱を容易にする着脱機構を備えることが好ましい。
【0022】
また、フラックスチューブ147は、透明樹脂で形成された配管であることが好ましい。
図1においては比較的短い直線状のチューブとして描かれているが、フラックスカートリッジ200の装着位置とフラックスポット110の供給位置が離れている場合も多く、比較的長いフラックスチューブ147が湾曲して配設されるような場合もある。特にそのような場合において、フラックスチューブ147が透明樹脂で形成されていれば、フラックスFXがチューブ内を円滑に流れているか否かを作業者が確認することができるので、効果的である。
【0023】
なお、フラックスカートリッジ200は、フラックス供給装置100に設けられたホルダ180に対して着脱可能である。新たなフラックスカートリッジ200がホルダ180に装着された場合には、第3エアチューブ143の一端は、当該新たなフラックスカートリッジ200の第1ジョイント201に接続され、フラックスチューブ147の一端は、当該新たなフラックスカートリッジ200の第2ジョイント202に接続される。逆に、フラックスカートリッジ200がホルダから取り外す場合には、第1ジョイント201から第3エアチューブ143の一端が離脱され、第2ジョイント202からフラックスチューブ147の一端が離脱される。
【0024】
ステージ150は、その表面の一部に凹部として掘り下げられた浸漬槽151を備える。なお、
図1においては浸漬槽151がステージ150に一つだけ設けられている様子を示すが、複数設けられていてもよい。浸漬槽151は、フラックスポット110からの供給を受けてフラックスFXを充填させる。フラックス塗布装置は、塗布対象となる実装体を保持して搬送し、その塗布面を浸漬槽151に満たされたフラックスFXに浸漬させる。そして、引き上げた後に塗布面を乾燥させ、所定位置まで搬送する。
【0025】
移動機構170は、浸漬槽151へフラックスFXを充填する充填位置と、フラックスカートリッジ200からフラックスFXの供給を受ける供給位置との間で、フラックスポット110を往復移動するための機構である。移動機構170は、例えばアクチュエータとしてのモータと動力伝達機構としてのギア列を含み、演算処理部160からの駆動信号を受けてフラックスポット110を目的位置へ移動させる。なお、
図1においては、吐出口148の直下にフラックスポット110貯留槽111が配置される供給位置を実線で示し、浸漬槽151の直上にフラックスポット110制御弁114が配置される充填位置を点線で示している。
【0026】
図2は、フラックス供給装置100のシステム構成を示す図である。フラックス供給装置100の制御システムは、主に、演算処理部160、与圧ポンプ120、吸引ポンプ130、検出部113、制御弁114、移動機構170によって構成される。演算処理部160は、フラックス供給装置100の制御とプログラムの実行処理を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)である。プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理チップと連携する構成であってもよい。
【0027】
演算処理部160は、フラックス供給プログラムが指示する処理に応じて様々な演算を実行する機能演算部としての役割も担う。具体的には、演算処理部160は、供給制御部161、駆動制御部162として機能し得る。供給制御部161は、与圧ポンプ120へ与圧信号を送信して動作させることにより、気相210bを正圧状態にさせ、フラックスカートリッジ200内のフラックスFXを吐出口148から吐出させる。また、吸引ポンプ130へ吸引信号を送信して動作させることにより、気相210bを負圧状態にさせ、フラックスカートリッジ200内のフラックスFXが吐出口148から流出しないように遮断する。
【0028】
また、供給制御部161は、制御弁114へ開閉信号を送信して動作させることにより、貯留槽111のフラックスFXを浸漬槽151へ移したり、その流れを遮断したりする。また、供給制御部161は、検出部113の検出信号を受信して貯留槽111内のフラックスFXの貯留量を把握し、例えばその貯留量が予め設定された閾値を下回った場合には、駆動制御部162と協働して、貯留槽111へフラックスFXを供給させるフラックス供給処理を開始させる。
【0029】
駆動制御部162は、移動機構170へ駆動信号を送信することにより、移動機構のアクチュエータを駆動させ、フラックスポット110を、ステージ150上の目標位置へ移動させる。駆動制御部162は、供給制御部161からフラックス供給処理を開始する旨の指令を受けると、フラックスカートリッジ200からフラックスFXの供給を受ける供給位置へフラックスポット110を移動させる。また、フラックス塗布装置の制御部から、
浸漬槽151へ予め設定された個数の実装体を浸漬させた旨の通知を受けた場合には、浸漬槽151へフラックスFXを充填する充填位置へフラックスポット110を移動させる。
【0030】
このように構成されたフラックス供給装置100によれば、フラックスFXをフラックスポット110へ供給する場合において、その供給完了時に直ちにフラックスカートリッジ200の気相210bを負圧状態に切り替えるため、粘度の異なるいずれのフラックスを扱う場合であっても、液だれを発生させることがない。したがって、定められた供給量に対して精確な分量のフラックスFXをフラックスポット110へ供給することができる。また、フラックスポット110が供給位置に存在しない期間においても、吸引ポンプ130を動作させてフラックスカートリッジ200の気相210bを負圧状態に保つことができるので、液だれを発生させることがなく、したがって、ステージ150を汚染する恐れもない。
【0031】
次に、フラックスFXをフラックスカートリッジ200からフラックスポット110の貯留槽111へ供給させるフラックス供給処理と、フラックスFXを貯留槽111から浸漬槽151へ充填させるフラックス充填処理を実行する場合の、演算処理部160の処理手順について説明する。
図3は、演算処理部160の処理手順を説明するフロー図である。図示するフローは、フラックス供給処理が開始され、移動機構170によりフラックスポット110が供給位置へ移動された時点から開始する。
【0032】
供給制御部161は、ステップS101で、吸引ポンプ130へ送信していた吸引信号を停止させ、吸引ポンプ130の動作を停止させる。続いてステップS102で、与圧ポンプ120へ与圧信号を送信して、与圧ポンプ120の動作を開始させる。このようなポンプ動作の切替えにより、フラックスカートリッジ200の気相210bを正圧状態へ転換し、吐出口148からフラックスFXを吐出させる。
【0033】
供給制御部161は、ステップS103で、検出部113からの検出信号を取得し、貯留槽111に貯留されたフラックスFXの貯留量を検出する。そしてステップS104で、予め設定された貯留量まで増加したか否かを判断し、増加していないと判断した場合には供給未完了としてステップS103へ戻る。増加したと判断した場合には供給完了としてステップS105へ進む。
【0034】
供給制御部161は、ステップS105へ進むと、与圧ポンプ120へ送信していた与圧信号を停止させ、与圧ポンプ120の動作を停止させる。続いてステップS106で、吸引ポンプ130へ吸引信号を送信して、吸引ポンプ130の動作を開始させる。このようなポンプ動作の切替えにより、フラックスカートリッジ200の気相210bを負圧状態へ転換し、吐出口148からのフラックスFXの流出を遮断してフラックス供給処理を完了させる。
【0035】
駆動制御部162は、フラックス充填処理の開始の指示を受け付けると、ステップS107で、移動機構170へ駆動信号を送信することにより、フラックスポット110を充填位置へ移動させる。フラックスポット110が充填位置へ到達したら、供給制御部161は、ステップS108で、制御弁114へ開信号を送信して開状態へ遷移させる。
【0036】
供給制御部161は、ステップS109で、検出部113からの検出信号を取得し、貯留槽111に貯留されたフラックスFXの貯留量を検出する。そしてステップS110で、予め設定された貯留量まで減少したか否かを判断し、減少していないと判断した場合には充填未完了としてステップS109へ戻る。減少したと判断した場合には充填完了としてステップS111へ進む。
【0037】
供給制御部161は、ステップS111へ進むと、制御弁114へ閉信号を送信して閉状態へ遷移させる。続いてステップS112で、駆動制御部162は、移動機構170へ駆動信号を送信することにより、フラックスポット110を供給位置へ移動させ、一連の処理を終了する。なお、上述のように、フラックスポット110が供給位置に存在しない間は、供給制御部161は、吸引ポンプ130へ吸引信号を送信して、フラックスカートリッジ200の気相210bを負圧状態に保つ。
【0038】
以上説明したフラックス供給装置100によれば、与圧ポンプ120と吸引ポンプ130をそれぞれ設けたが、一つのポンプで排気と吸気を切り替える構成であってもよい。また、フラックスカートリッジ200から収容されたフラックスFXを吐出する構成は、与圧ポンプ120を動作させて気相210bを正圧状態に転換する構成に限らない。また、フラックスカートリッジ200から貯留槽111へのフラックスFXの供給量監視、貯留槽111から浸漬槽151へのフラックスFXの充填量監視は、検出部113を用いた構成に限らない。例えば簡易的には、制御弁114の開放時間を定めることにより充填量が一定となるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
100…フラックス供給装置、110…フラックスポット、111…貯留槽、113…検出部、114…制御弁、120…与圧ポンプ、121…吸気口、130…吸引ポンプ、131…排気口、141…第1エアチューブ、142…第2エアチューブ、143…第3エアチューブ、145…三方弁、147…フラックスチューブ、148…吐出口、150…ステージ、151…浸漬槽、160…演算処理部、161…供給制御部、162…駆動制御部、170…移動機構、180…ホルダ、200…フラックスカートリッジ、201…第1ジョイント、202…第2ジョイント、210…内部空間、210a…液相、210b…気相