IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

<>
  • 特開-電動工具用集塵システム 図1
  • 特開-電動工具用集塵システム 図2
  • 特開-電動工具用集塵システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178789
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】電動工具用集塵システム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20241218BHJP
   B25D 17/18 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B25F5/00 H
B25F5/00 Z
B25F5/00 C
B25D17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097207
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 斉
(72)【発明者】
【氏名】古澤 正規
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慶
【テーマコード(参考)】
2D058
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CA05
2D058CB07
2D058DA23
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA11
3C064BA12
3C064BA36
3C064BB12
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA26
3C064CA53
3C064CA80
3C064CB05
3C064CB06
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB24
3C064CB63
3C064CB73
3C064CB82
3C064DA02
3C064DA05
3C064DA22
3C064DA35
(57)【要約】
【課題】電動工具と集塵アタッチメントとがそれぞれ電源としてバッテリを有するものであっても、バッテリ切れによって何れか一方の作動が停止することを防止する。
【解決手段】電動工具用集塵システムSは、スイッチ18のON/OFF操作に基づいて本機側DCモータ7を制御する本機側コントローラ13及び、本機側バッテリパック26を有するハンマドリル1と、ダクト80、ダストボックス65、集塵ファン94、集塵側DCモータ92、集塵側コントローラ96、集塵側バッテリパック101を有する集塵アタッチメント60と、を含み、集塵アタッチメント60をハンマドリル1へ取り付けた状態で、本機側コントローラ13と集塵側コントローラ96とが電気的に接続されて、機側バッテリパック26と集塵側バッテリパック101とが、集塵側コントローラ96によってそれぞれ単独で本機側DCモータ7及び集塵側DCモータ92の電源として使用可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ON/OFF操作されるスイッチと、本機側DCモータと、前記スイッチのON/OFF操作に基づいて前記本機側DCモータを制御する本機側コントローラと、本機側バッテリと、を有する電動工具と、
前記電動工具の使用時に発生する粉塵を集塵するために前記電動工具へ取り付けられ、吸引部と、前記吸引部から吸引された粉塵を捕捉する集塵部と、前記吸引部に吸引力を発生させるファンと、前記ファンを回転させる集塵側DCモータと、前記集塵側DCモータを制御する集塵側コントローラと、集塵側バッテリと、を有する集塵アタッチメントと、を含む電動工具用集塵システムであって、
前記集塵アタッチメントを前記電動工具へ取り付けた状態で、前記本機側コントローラと前記集塵側コントローラとが電気的に接続されて、前記本機側バッテリと前記集塵側バッテリとが、前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラによってそれぞれ単独で前記本機側DCモータ及び前記集塵側DCモータの電源として使用可能となることを特徴とする電動工具用集塵システム。
【請求項2】
前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラは、先に前記本機側バッテリを前記両DCモータの電源として単独使用した後、前記集塵側バッテリを前記両DCモータの電源として単独使用することを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵システム。
【請求項3】
前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラは、先に前記集塵側バッテリを前記両DCモータの電源として単独使用した後、前記本機側バッテリを前記両DCモータの電源として単独使用することを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵システム。
【請求項4】
前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラは、前記両バッテリの電圧をそれぞれ監視し、前記両DCモータの電源として先に単独使用した一方の前記バッテリの電圧値が、前記両DCモータが駆動できない所定値以下となると、他方の前記バッテリを前記両DCモータの電源として単独使用することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電動工具用集塵システム。
【請求項5】
前記集塵側コントローラが、前記両DCモータの電源として単独使用する前記バッテリを決定し、前記集塵側バッテリの電圧値が前記所定値以下となると、前記本機側コントローラが、前記両DCモータの電源として単独使用する前記バッテリを決定することを特徴とする請求項4に記載の電動工具用集塵システム。
【請求項6】
前記本機側バッテリは、前記電動工具に設けた本機側バッテリ装着部に着脱可能であり、前記集塵側バッテリは、前記集塵アタッチメントに設けた集塵側バッテリ装着部に着脱可能であり、前記本機側バッテリ装着部と前記集塵側バッテリ装着部との各前記バッテリの着脱構造は同じであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電動工具用集塵システム。
【請求項7】
前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラは、前記両バッテリの何れか一方が前記バッテリ装着部に非装着である場合でも、他方の前記バッテリを前記両DCモータの電源として単独使用することを特徴とする請求項6に記載の電動工具用集塵システム。
【請求項8】
前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラは、前記スイッチのON操作に伴い、先に前記集塵側DCモータを駆動させた後に前記本機側DCモータを駆動させることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵システム。
【請求項9】
前記本機側コントローラ又は前記集塵側コントローラは、前記スイッチのOFF操作に伴い、前記本機側DCモータが駆動停止した後に前記集塵側DCモータを駆動停止させることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の電動工具用集塵システム。
【請求項10】
前記本機側バッテリ及び前記集塵側バッテリの電圧が前記所定値以下となった場合にその旨を報知する報知手段が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の電動工具用集塵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具と、電動工具の使用時に発生する粉塵を集塵するために電動工具に取り付けられる集塵アタッチメントとを含む電動工具用集塵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンマドリル等の電動工具を用いてコンクリートや石材等の被加工材を加工する場合、被加工材から発生した粉塵が飛散しないように、電動工具には、特許文献1に開示されるように、粉塵を吸引する吸引部と、吸引された粉塵を貯留する集塵部と、吸引力を発生させるファンを備えた集塵用モータとを備えた集塵アタッチメントを取り付けて電動工具用集塵システムが形成される。電動工具と集塵アタッチメントには、電源となるバッテリがそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願第3222386号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電動工具用集塵システムでは、電動工具と集塵アタッチメントとがそれぞれ自己のバッテリを電源として駆動するため、自己のバッテリの残容量がモータが駆動不能な量まで低下すると使用できない。よって、作業途中でバッテリ切れにより集塵アタッチメントの作動が停止して電動工具のみが作動したり、逆にバッテリ切れにより電動工具の作動が停止して集塵アタッチメントのみが作動を続けたりして作業の中断を余儀なくされる。また、バッテリの使用効率も低下してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、電動工具と集塵アタッチメントとがそれぞれ電源としてバッテリを有するものであっても、バッテリ切れによって何れか一方の作動が停止することを防止でき、使い勝手及びバッテリの使用効率の向上が期待できる電動工具用集塵システムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、電動工具用集塵システムであって、ON/OFF操作されるスイッチと、本機側DCモータと、スイッチのON/OFF操作に基づいて本機側DCモータを制御する本機側コントローラと、本機側バッテリと、を有する電動工具と、
電動工具の使用時に発生する粉塵を集塵するために電動工具へ取り付けられ、吸引部と、吸引部から吸引された粉塵を捕捉する集塵部と、吸引部に吸引力を発生させるファンと、ファンを回転させる集塵側DCモータと、集塵側DCモータを制御する集塵側コントローラと、集塵側バッテリと、を有する集塵アタッチメントとを含む。
そして、集塵アタッチメントを電動工具へ取り付けた状態で、本機側コントローラと集塵側コントローラとが電気的に接続されて、本機側バッテリと集塵側バッテリとが、本機側コントローラと集塵側コントローラとによってそれぞれ単独で本機側DCモータ及び集塵側DCモータの電源として使用可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、両バッテリがそれぞれ両DCモータの電源として単独使用可能となるので、電動工具と集塵アタッチメントとがそれぞれ電源としてバッテリを有するものであっても、バッテリ切れによって何れか一方の作動が停止することを防止できる。よって、使い勝手が向上する。また、2つのバッテリを順番に使用して使い切ることができるので、バッテリの使用効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電動工具用集塵システムの中央縦断面図である。
図2図1のA-A線部分の左半分拡大図である。
図3】電動工具用集塵システムの作動制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態において、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、先に本機側バッテリを両DCモータの電源として単独使用した後、集塵側バッテリを両DCモータの電源として単独使用するようにしてもよい。
この構成によれば、集塵側バッテリよりも容量が大きい場合が多い本機側バッテリを優先的に使用できる。
本開示の一実施形態において、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、先に集塵側バッテリを両DCモータの電源として単独使用した後、本機側バッテリを両DCモータの電源として単独使用するようにしてもよい。
この構成によれば、本機側バッテリの残容量低下を抑制して、電動工具を単独で使用する際の電源を確保できる。
本開示の一実施形態において、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、両バッテリの電圧をそれぞれ監視し、両DCモータの電源として先に単独使用した一方のバッテリの電圧値が、両DCモータが駆動できない所定値以下となると、他方のバッテリを両DCモータの電源として単独使用するようにしてもよい。
この構成によれば、電圧値に応じて両バッテリを使い分けることができ、一方のバッテリ切れによる作動停止を効果的に防止可能となる。
本開示の一実施形態において、集塵側コントローラが、両DCモータの電源として単独使用するバッテリを決定し、集塵側バッテリの電圧値が所定値以下となると、本機側コントローラが、両DCモータの電源として単独使用するバッテリを決定するようにしてもよい。
この構成によれば、本機側バッテリの使用を抑える一方、集塵側バッテリの電圧値が低下しても集塵システムの作動制御を続行できる。
【0010】
本開示の一実施形態において、本機側バッテリは、電動工具に設けた本機側バッテリ装着部に着脱可能であり、集塵側バッテリは、集塵アタッチメントに設けた集塵側バッテリ装着部に着脱可能であり、本機側バッテリ装着部と集塵側バッテリ装着部との各バッテリの着脱構造は同じであってもよい。
この構成によれば、同じ定格電圧であれば両バッテリの何れも電動工具及び集塵アタッチメントに装着でき、使い勝手が向上する。
本開示の一実施形態において、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、両バッテリの何れか一方がバッテリ装着部に非装着である場合でも、他方のバッテリを両DCモータの電源として単独使用するようにしてもよい。
この構成によれば、1つのバッテリが装着されていればシステム全体を作動させることができ、使い勝手の一層の向上に繋がる。
本開示の一実施形態において、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、スイッチのON操作に伴い、先に集塵側DCモータを駆動させた後に本機側DCモータを駆動させるようにしてもよい。
この構成によれば、集塵アタッチメントを先に作動させて吸引力を発生させることができ、電動工具による作業と同時に粉塵の吸引が確実に行える。
本開示の一実施形態において、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、スイッチのOFF操作に伴い、本機側DCモータが駆動停止した後に集塵側DCモータを駆動停止させるようにしてもよい。
この構成によれば、電動工具の作動停止後に集塵経路に粉塵を残留させることなく集塵部に集塵することができる。
本開示の一実施形態において、本機側バッテリ及び集塵側バッテリの電圧が所定値以下となった場合にその旨を報知する報知手段が設けられていてもよい。
この構成によれば、作業者は両バッテリの交換や充電といった対応が迅速に行える。
【実施例0011】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具の一例であるハンマドリル1に集塵アタッチメント60を取り付けて、電動工具用集塵システム(以下単に「集塵システム」という。)Sを形成した一例を示す中央縦断面図である。
まず、ハンマドリル1について説明する。
ハンマドリル1は、ハウジングとして、内側ハウジング2と、モータハウジング3と、上外側ハウジング4と、下外側ハウジング5とを有している。内側ハウジング2は、前後方向に延びる打撃機構部6を収容している。モータハウジング3は、内側ハウジング2の下方に連結され、本機側DCモータ7を収容している。本機側DCモータ7は、モータハウジング3内で回転軸8を上向きとした姿勢で保持されている。回転軸8の上部は、内側ハウジング2に保持された軸受9に支持されて、上端に設けたピニオン10を内側ハウジング2内に突出させている。
上外側ハウジング4は、モータハウジング3の上側で内側ハウジング2の外側を覆っている。
【0012】
下外側ハウジング5は、前筒部11とハンドル部12とを有している。前筒部11は、モータハウジング3の外側を下方から覆っている。モータハウジング3の後側で前筒部11内には、図示しない制御回路基板を備えた本機側コントローラ13が上下方向に収容されている。本機側コントローラ13は、制御回路基板に搭載されたCPU及びCPUに接続されたメモリを含んで構成され、それらによりハンマドリル1の動作を制御する。
前筒部11の前面で左右方向の中央には、上下方向に前ガイド溝14が形成されている。前ガイド溝14より上側前方には、集塵アタッチメント60の取付け用の上係止凹部15が形成されている。前筒部11の左右の側面には、図2に示すように、集塵アタッチメント60の取付け用の横係止凹部16が形成されている。横係止凹部16の前後には、前筒部11の下端から上方へ延びる一対の横ガイド溝17,17が形成されている。
【0013】
ハンドル部12は、前筒部11の下部と繋がって後方へ延びた後、上方へ延びて上外側ハウジング4の後端と繋がっている。
ハンドル部12内には、スイッチ18が設けられている。スイッチ18は、プランジャ19を前方へ突出させている。スイッチ18には、本機側第1リード線20が接続されている。本機側第1リード線20は、本機側コントローラ13へ電気的に接続されて、プランジャ19の押し込みに伴うON信号を本機側コントローラ13へ入力可能となっている。
スイッチ18の前方には、スイッチレバー21が設けられている。スイッチレバー21は、下端を中心として前後へ揺動可能にハンドル部12へ設けられている。スイッチレバー21は、常態では、スイッチ18のプランジャ19が当接して、ハンドル部12から前方へ突出する突出姿勢となっている。スイッチレバー21を突出姿勢から後方へ押し込むと、プランジャ19が押し込まれてスイッチ18がONする。
前筒部11の下面で本機側コントローラ13の下方には、下方へ開口する接続口22が設けられている。接続口22には、メスコネクタ23が下向きに設けられている。メスコネクタ23には、本機側第2リード線24が接続されている。本機側第2リード線24は、本機側コントローラ13と電気的に接続されている。
【0014】
ハンドル部12の下部には、本機側バッテリ装着部25が設けられている。本機側バッテリ装着部25には、電源となる本機側バッテリパック26が後方からスライド装着されている。本機側バッテリパック26は、本開示の本機側バッテリの一例である。
本機側バッテリ装着部25には、装着された本機側バッテリパック26と電気的に接続される端子台27が設けられている。端子台27には、本機側第3リード線28が接続されている。本機側第3リード線28は、本機側コントローラ13と電気的に接続されている。本機側コントローラ13は、本機側第3リード線28を介して本機側バッテリパック26から電源の供給を受けると共に、本機側バッテリパック26から電圧に係る情報を取得可能となっている。本機側コントローラ13には、前筒部11の側面に露出する本機側報知ランプ29が設けられている。本機側報知ランプ29には、例えばLEDが使用される。本機側コントローラ13は、本機側バッテリパック26から取得した電圧値が、メモリに予め記憶された所定値以下になると、本機側報知ランプ29を点灯又は点滅させて電圧低下を報知する。本機側報知ランプ29は、本開示の報知手段の一例である。
【0015】
打撃機構部6は、ツールホルダ35を有している。ツールホルダ35は、内側ハウジング2の前側で回転可能に保持されて前後方向に延びる筒状である。内側ハウジング2内で回転軸8の前側には中間軸36が、後側にはクランク軸37がそれぞれ上下方向に支持されている。中間軸36及びクランク軸37には、それぞれギヤ38及びギヤ39が設けられている。ギヤ38及びギヤ39は、回転軸8のピニオン10と噛合している。中間軸36は、上端に第1ベベルギヤ40を有している。
ツールホルダ35には、切替スリーブ41がスプライン結合されている。切替スリーブ41の後方でツールホルダ35の後端には、第2ベベルギヤ42が回転可能に外装されている。第2ベベルギヤ42は、中間軸36の第1ベベルギヤ40と噛合している。第2ベベルギヤ42は、切替スリーブ41が後退位置で係合することで、第1ベベルギヤ40の回転をツールホルダ35へ伝達する。切替スリーブ41の前後位置は、上外側ハウジング4の後面に設けられた切替ツマミ51で切替操作可能となっている。
【0016】
内側ハウジング2の後部内には、シリンダ43が保持されている。シリンダ43は、ツールホルダ35の後部に同軸で挿入されている。シリンダ43には、ピストン44が前後移動可能に収容されている。クランク軸37の上部には、偏心ピン45が突設されている。ピストン44と偏心ピン45とは、コネクティングロッド46により連結されている。シリンダ43内でピストン44の前方には、空気室47を介してストライカ48が前後移動可能に収容されている。ストライカ48の前方でツールホルダ35内には、インパクトボルト49が設けられている。インパクトボルト49には、ツールホルダ35の前端に挿入されたビットBが当接する。ツールホルダ35の前部には、ビットBを着脱操作するための操作スリーブ50が外装されている。
【0017】
ハンマドリル1では、スイッチレバー21を押し込み操作すると、スイッチ18がONする。本機側コントローラ13は、スイッチ18のON信号を本機側第1リード線20を介して得ると、本機側バッテリパック26から得た電源を本機側DCモータ7へ給電して回転軸8を回転させる。すると、クランク軸37が回転し、コネクティングロッド46を介してピストン44を前後移動させる。よって、連動したストライカ48がインパクトボルト49を介してビットBを打撃する。切替ツマミ51の操作により、切替スリーブ41を後退位置へ切り替えると、中間軸36から第2ベベルギヤ42を介してツールホルダ35に回転が伝達されるハンマドリルモードとなる。切替スリーブ41を前進位置へ切り替えると、ツールホルダ35が回転せず打撃のみを行うハンマモードとなる。
【0018】
次に、集塵アタッチメント60について説明する。
集塵アタッチメント60は、箱状のケーシング61を有する。ケーシング61は、本体部62と、前突出部63と、後突出部64とを備えている。本体部62は、上下方向に延び、前突出部63は、本体部62の上部から前方に延びている。本体部62の前側と前突出部63の下側とにダストボックス65が着脱可能となっている。後突出部64は、本体部62の下部から後方に延びている。本体部62と後突出部64とがハンマドリル1に取り付け可能となっている。
本体部62の上面で左右方向の中央には、上係止凸部66が上向きに形成されている。上係止凸部66は、ハンマドリル1の前筒部11に設けた上係止凹部15に差し込み可能となっている。
本体部62の後面上部には、係止板67が上下方向に設けられている。係止板67は、前筒部11の前面に設けた前ガイド溝14に係止可能となっている。
【0019】
本体部62の後面から後突出部64の上面にかけて、左右両側には、一対の側板68,68が設けられている。側板68,68の間には、ハンマドリル1の前筒部11が上方から嵌合されている。各側板68の内面には、前後一対の突条69,69が形成されている。この突条69,69は、前筒部11の側面に設けた横ガイド溝17,17に嵌合している。
各側板68の外面には、上下方向に延びる凹部70が形成されている。凹部70には、フック板71が収容されている。フック板71は、凹部70に嵌合して上下方向に延びる帯板状で、図2に示すように、中間部の内側が凹部70内で前後方向の軸72を中心に回転可能に結合されている。フック板71の下部は、凹部70の内面との間に設けたコイルバネ73によって、左右外側へ押圧されている。よって、フック板71は、図2に実線で示すように上部が左右内側へ傾倒するロック位置に付勢される。フック板71の上端には、内側へ突出する係止爪74が設けられている。係止爪74は、ロック位置で凹部70に設けた透孔75を貫通して側板68の内側に突出する。係止爪74は、ハンマドリル1への集塵アタッチメント60の取り付け位置で、前筒部11の横係止凹部16に係止可能となっている。フック板71の下部を凹部70側へ押圧すると、フック板71は、図2に二点鎖線で示すように、係止爪74が側板68の左右外側へ傾倒するロック解除位置へ傾倒する。
【0020】
後突出部64の上面には、受け部76が設けられている。受け部76は、集塵アタッチメント60の取り付け位置で前筒部11の下面と当接する。受け部76の後方で後突出部64の上面には、接続筒77が上向きに突設されている。接続筒77は、後突出部64の左右方向の中央に位置してオスコネクタ78を上向きに保持している。接続筒77は、集塵アタッチメント60の取り付け位置で前筒部11の下面の接続口22に接続されて、オスコネクタ78を接続口22のメスコネクタ23に接続する。
【0021】
前突出部63には、ダクト80が設けられている。ダクト80の前端は、前突出部63の前面で前向きに開口している。ダクト80は、前突出部63内で後方に引き回されて本体部62内でUターンし、後端を前突出部63の下方で本体部62の前面に開口させている。ダクト80の前端は、本開示の吸引部の一例である。
ダストボックス65は、前突出部63の下側でケーシング61に前方から装着される箱状体である。ダストボックス65は、蓋体81とボックス本体82とを下端同士でヒンジ結合してなる。蓋体81は、前側内面にフィルタ83を有し、ボックス本体82は、フィルタ83を前方から覆う。ダストボックス65は、本開示の集塵部の一例である。
本体部62の前面下端には、左右方向に係止軸84が設けられている。ボックス本体82の下面には、左右方向に受け凹部85が形成されている。ダストボックス65は、係止軸84に受け凹部85を係合させて、蓋体81の上端に設けた弾性片86を前突出部63の下面に係止させることで、ケーシング61へ着脱可能に装着される。蓋体81には、上側に入口87が、下側に出口88がそれぞれ設けられている。入口87は、ダクト80の下側の端部に接続されている。出口88は、フィルタ83の後側に設けられている。
【0022】
出口88の後側で本体部62内には、モータ収容室90が仕切形成されている。出口88は、ダストボックス65の装着状態で、モータ収容室90の前側に設けられた開口部91に当接してモータ収容室90に接続される。
モータ収容室90には、集塵側DCモータ92が収容されている。集塵側DCモータ92は、回転軸93を下向きにした姿勢で保持されている。回転軸93には、集塵ファン94が固定されている。集塵ファン94の径方向外側となる本体部62の左右の側面には、図示しない排気口が形成されている。集塵ファン94は、本開示のファンの一例である。
集塵側DCモータ92には、正負の集塵側第1リード線95,95が接続されている。集塵側第1リード線95,95は、本体部62と後突出部64との間の仕切を貫通して後突出部64内に引き出されている。後突出部64内には、図示しない制御回路基板を備えた集塵側コントローラ96が設けられている。集塵側コントローラ96は、制御回路基板に搭載されたCPU及びCPUに接続されたメモリを含んで構成され、それらにより集塵アタッチメント60の動作を制御する。集塵側第1リード線95,95は、集塵側コントローラ96へに電気的に接続されている。集塵側コントローラ96は、オスコネクタ78と集塵側第2リード線97を介して電気的に接続されている。
【0023】
後突出部64には、集塵側バッテリ装着部100が設けられている。集塵側バッテリ装着部100に、集塵アタッチメント60の電源となる集塵側バッテリパック101が後方からスライド装着されている。集塵側バッテリ装着部100への集塵側バッテリパック101の装着構造は、本機側バッテリ装着部25への本機側バッテリパック26の装着構造と同じである。集塵側バッテリパック101は、本開示の集塵側バッテリの一例である。
集塵側バッテリ装着部100内には、装着された集塵側バッテリパック101と電気的に接続する端子台102が設けられている。端子台102は、集塵側コントローラ96と集塵側第3リード線103を介して電気的に接続されている。
集塵側コントローラ96には、後突出部64の側面に露出する集塵側報知ランプ104が設けられている。集塵側報知ランプ104には、例えばLEDが使用される。集塵側コントローラ96は、集塵側バッテリ装着部100に集塵側バッテリパック101が装着されると、集塵側バッテリパック101の電圧を監視する。集塵側コントローラ96は、集塵側バッテリパック101の電圧値が、予め記憶された所定値以下になると、集塵側報知ランプ104を点灯又は点滅させて電圧低下を報知する。集塵側報知ランプ104は、本開示の報知手段の一例である。
【0024】
以上の如く構成された集塵システムSにおいて、集塵アタッチメント60は、ハンマドリル1の前筒部11の下方に後突出部64を位置させた状態で、側板68,68の突条69,69と前筒部11の横ガイド溝17,17とを上下に合わせて、ハンマドリル1に対して上下方向へ相対移動させる。すると、横ガイド溝17,17に突条69,69が下方から嵌合すると共に、本体部62の上係止凸部66が前筒部11の上係止凹部15に下方から差し込まれる。また、本体部62の係止板67が前筒部11の前ガイド溝14に下方から係止する。
このとき、側板68,68のフック板71,71は、相対的に下方へ移動する前筒部11と干渉してロック位置からロック解除位置へ揺動して集塵アタッチメント60の相対移動を許容する。そして、集塵アタッチメント60の取り付け位置では、ロック位置に戻った各フック板71の係止爪74が前筒部11の横係止凹部16にそれぞれ係止する。よって、ハンマドリル1に対する集塵アタッチメント60の下方への移動が規制されて集塵アタッチメント60の取り付けが完了する。
この取り付け完了と同時に後突出部64の接続筒77が、前筒部11の接続口22に接続されて、オスコネクタ78をメスコネクタ23に接続する。よって、本機側コントローラ13が、本機側第2リード線及び集塵側第2リード線を介して集塵側コントローラ96へ電気的に接続されることになる。
【0025】
ここでハンマドリル1に装着されるビットBは、前端に吸込口が開口する吸塵路を軸心に有して外周に図示しないホース取付部が外装される吸塵ビットとなっている。よって、集塵アタッチメント60において吸引力が発生するダクト80の前端と、ホース取付部との間にフレキシブルホース105が接続される。
このフレキシブルホース105で接続することで、ビットBと集塵アタッチメント60とに跨がって空気が流れる集塵経路Rが形成される。この集塵経路Rは、図1に点線矢印で示すように、ビットBから、フレキシブルホース105、ダクト80、ダストボックス65、モータ収容室90を介して排気口に至る経路である。
【0026】
集塵側コントローラ96は、本機側コントローラ13と電気的に接続されると、本機側バッテリパック26と集塵側バッテリパック101との電圧の有無を判定し、その判定結果に応じて使用するバッテリパックを選択して集塵システムSの作動制御を実行する。この作動制御は、集塵側コントローラ96のCPUに接続されたメモリを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に予め記憶されるプログラムに基づいて実行される。
但し、集塵システムSの作動制御において、バッテリパックからの電圧がある、とは、各DCモータ7,92を駆動させるのに十分な電圧値(例えば36V)がある場合をいう。また、バッテリパックからの電圧がない、とは、各DCモータ7,92を駆動させるのに十分な電圧値はないが、本機側コントローラ13又は集塵側コントローラ96の作動に必要な電圧値(例えば5V)はある場合をいう。
【0027】
以下、集塵システムSの作動制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップ(以下「S」と表記)1で、ハンマドリル1のスイッチレバー21の押し込み操作に伴うスイッチ18のONが確認されると、集塵側コントローラ96は、S2で、集塵側バッテリパック101からの電圧が有るか否かを判別する。ここで集塵側バッテリパック101の電圧が有ると判定されれば、S3で、本機側バッテリパック26からの電圧が有るか否かを判別する。ここで本機側バッテリパック26の電圧が有ると判定されれば、S4で、本機側バッテリパック26の電源を集塵アタッチメント60の集塵側コントローラ96にも供給し、S5で、本機側バッテリパック26の電源のみで本機側DCモータ7及び集塵側DCモータ92をそれぞれ駆動させてハンマドリル1及び集塵アタッチメント60を作動させる。ここで本機側バッテリパック26の使用を優先としたのは、集塵側バッテリパック101よりも本機側バッテリパック26の方が容量が大きい場合が多いからである。
【0028】
ハンマドリル1及び集塵アタッチメント60の作動の詳細を説明する。
本機側コントローラ13には、スイッチ18のON信号と共に、集塵側コントローラ96から本機側バッテリパック26の電源使用指示が入力される。すると、本機側コントローラ13は、本機側バッテリパック26の電源を本機側第2リード線24及び集塵側第2リード線97を介して集塵側コントローラ96へ供給する。こうして集塵側コントローラ96から電源を得ると、集塵側DCモータ92が駆動して回転軸93が回転し、集塵ファン94を回転させる。すると、集塵経路Rが負圧となってビットBの先端開口に吸引力が発生する。
本機側コントローラ13は、スイッチ18のON信号を得てから予め設定された数秒間の遅延時間の経過を待って、本機側バッテリパック26から得られる電源を本機側DCモータ7へ供給する。よって、本機側DCモータ7が集塵側DCモータ92よりも遅れて駆動して回転軸8が回転し、中間軸36及びクランク軸37を回転させる。ここではハンマドリルモードとハンマモードとの何れを選択してもピストン44は常に往復動するため、連動するストライカ48によってインパクトボルト49を介してビットBは打撃される。
【0029】
被加工材から生じた粉塵は、ビットB内の吸塵路に吸い込まれてフレキシブルホース105を介してダクト80内に進入する。そして、粉塵は、集塵経路Rを通ってダストボックス65内に進入し、フィルタ83に捕捉されてボックス本体82内に貯留する。
作業終了に伴い、スイッチレバー21の押し込み操作を解除すると、スイッチ18がOFFする。本機側コントローラ13は、スイッチ18のOFFを確認すると、本機側DCモータ7への電源供給を停止してハンマドリル1の作動を停止させる。そして、スイッチ18のOFF信号を集塵側コントローラ96へ送信する。すると、集塵側コントローラ96は、スイッチ18のOFFを確認後、予め設定した数秒間の遅延時間の経過を待って集塵側DCモータ92への電源供給を停止する。よって、ハンマドリル1の作動停止時に集塵経路R内に残留していた粉塵をダストボックス65に貯留することができる。
集塵側コントローラ96は、S6でスイッチ18のOFFを確認して集塵側DCモータ92の遅延停止を実行した後、作動制御を終了する。S6の判別でスイッチ18のONが継続されていれば、S2で戻って両バッテリパック26,101の電圧の有無を引き続き確認する。
【0030】
こうして本機側バッテリパック26が両DCモータ7,92の電源として単独使用されて残容量が低下すると、S3の判別で、本機側バッテリパック26からの電圧がないと判定される。すると、集塵側コントローラ96は、S7で、集塵側バッテリパック101の電源を、集塵側第2リード線97及び本機側第2リード線24を介してハンマドリル1の本機側コントローラ13にも供給する。よって、S8で、集塵側バッテリパック101が単独使用されて、集塵側バッテリパック101の電源のみでハンマドリル1及び集塵アタッチメント60が作動することになる。
一方、S2の判別で、集塵側バッテリパック101からの電圧がないことが確認されると、S9で、本機側バッテリパック26からの電圧が有るか否かが判別される。ここで本機側バッテリパック26の電圧有りが確認されると、S10で、作動制御の主体を本機側コントローラ13に切り替える。
そして、本機側コントローラ13は、S11で、本機側バッテリパック26の電源を集塵側コントローラ96にも供給し、S12で、本機側バッテリパック26の電源のみでハンマドリル1及び集塵アタッチメント60を作動させる。
なお、S9で本機側バッテリパック26の電源もないことが確認されると、何れのバッテリパックの残容量もないため、スイッチ18をON操作してもハンマドリル1及び集塵アタッチメント60は作動しない(S13)。よって、本機側コントローラ13は、S14で本機側報知ランプ29及び集塵側報知ランプ104を点灯又は点滅させて両バッテリパック26,101のバッテリ切れを報知する。
【0031】
集塵アタッチメント60をハンマドリル1から取り外す際は、左右のフック板71,71の下部を押し込んで各フック板71をロック解除位置へ移動させる。すると、各係止爪74が前筒部11の横係止凹部16から外れて集塵アタッチメント60の相対移動が許容される。よって、取り付け時と逆に集塵アタッチメント60をハンマドリル1からの離間方向へ相対移動させることができる。すると、側板68,68の突条69,69が前筒部11の横ガイド溝17,17から外れると共に、本体部62の係止板67が前ガイド溝14から下方へ離間する。同時に本体部62の上係止凸部66が前筒部11の上係止凹部15から抜き取られる。こうして集塵アタッチメント60の取り外しが完了する。
ダストボックス65内に貯留した粉塵を廃棄する際には、弾性片86を押し下げて前突出部63との係止を解除させる。そして、ダストボックス65をそのまま係止軸84を中心に前方へ倒すようにすれば、ダストボックス65をケーシング61から取り外すことができる。蓋体81を開放すれば、ボックス本体82の内部に貯留した粉塵を廃棄することができる。
【0032】
上記形態の集塵システムSは、ON/OFF操作されるスイッチ18と、本機側DCモータ7と、スイッチ18のON/OFF操作に基づいて本機側DCモータ7を制御する本機側コントローラ13と、本機側バッテリパック26と、を有するハンマドリル1を含む。
また、集塵システムSは、ハンマドリル1の使用時に発生する粉塵を集塵するためにハンマドリル1へ取り付けられ、ダクト80と、ダクト80吸引部から吸引された粉塵を捕捉するダストボックス65と、ダクト80に吸引力を発生させる集塵ファン94と、集塵ファン94を回転させる集塵側DCモータ92と、集塵側DCモータ92を制御する集塵側コントローラ96と、集塵側バッテリパック101と、を有する集塵アタッチメント60と、を含む。
そして、集塵アタッチメント60をハンマドリル1へ取り付けた状態で、本機側コントローラ13と集塵側コントローラ96とが電気的に接続されて、本機側バッテリパック26と集塵側バッテリパック101とが、集塵側コントローラ96によってそれぞれ単独で本機側DCモータ7及び集塵側DCモータ92の電源として使用可能となる。
この構成によれば、ハンマドリル1と集塵アタッチメント60とがそれぞれ電源としてバッテリパックを有するものであっても、バッテリ切れによって何れか一方の作動が停止することを防止できる。よって、使い勝手が向上する。また、2つのバッテリパック26,101を順番に使用して使い切ることができるので、両バッテリパック26,101の使用効率も向上する。
【0033】
集塵側コントローラ96は、先に本機側バッテリパック26を両DCモータ7,92の電源として単独使用した後、集塵側バッテリパック101を両DCモータ7,92の電源として単独使用する(S1~S8)。
よって、集塵側バッテリパック101よりも容量が大きい場合が多い本機側バッテリパック26を優先的に使用できる。
集塵側コントローラ96は、両バッテリパック26,101の電圧をそれぞれ監視し、両DCモータ7,92の電源として先に単独使用した一方のバッテリパック26(101)の電圧値が、両DCモータ7,92が駆動できない所定値以下となると、他方のバッテリパック101(26)を両DCモータ7,92の電源として使用する(S1~S12)。
よって、電圧値に応じて両バッテリパック26,101を使い分けることができ、一方のバッテリ切れによる作動停止を効果的に防止可能となる。
集塵側コントローラ96が、両DCモータ7,92の電源として単独使用するバッテリパック26(101)を決定し、バッテリパック26(101)の電圧値が所定値以下となると、本機側コントローラ13が、両DCモータ7,92の電源として単独使用するバッテリパック101(26)を決定する(S10~S12)。
よって、本機側バッテリパック26の使用を抑える一方、集塵側バッテリパック101の電圧値が低下しても集塵システムSの作動制御を続行できる。
【0034】
本機側バッテリパック26は、ハンマドリル1に設けた本機側バッテリ装着部25に着脱可能であり、集塵側バッテリパック101は、集塵アタッチメント60に設けた集塵側バッテリ装着部100に着脱可能であり、本機側バッテリ装着部25と集塵側バッテリ装着部100との両バッテリパック26,101の着脱構造は同じである。
よって、同じ定格電圧であれば両バッテリパック26,101の何れもハンマドリル1及び集塵アタッチメント60に装着でき、使い勝手が向上する。
集塵側コントローラ96は、スイッチ18のON操作に伴い、先に集塵側DCモータ92を駆動させた後に本機側DCモータ7を駆動させる。
よって、集塵アタッチメント60を先に作動させて吸引力を発生させることができ、ハンマドリル1による作業と同時に粉塵の吸引が確実に行える。
集塵側コントローラ96は、スイッチ18のOFF操作に伴い、本機側DCモータ7が駆動停止した後に集塵側DCモータ92を駆動停止させる。
よって、ハンマドリル1の作動停止後に集塵経路Rに粉塵を残留させることなくダストボックス65に集塵することができる。
本機側バッテリパック26及び集塵側バッテリパック101の電圧が所定値以下となった場合にその旨を報知する本機側報知ランプ29及び集塵側報知ランプ104が設けられている。
よって、作業者は両バッテリパック26,101の交換や充電といった対応が迅速に行える。
【0035】
以下、本開示の変更例について説明する。
上記作動制御では、先に本機側バッテリパックを両DCモータの電源として単独使用した後、集塵側バッテリパックを両DCモータの電源として単独使用しているが、これと逆に、先に集塵側バッテリパックを両DCモータの電源として単独使用した後、本機側バッテリパックを両DCモータの電源として単独使用するようにしてもよい。
この場合、本機側バッテリパックの残容量低下を抑制して、ハンマドリルを単独で使用する際の電源を確保できる。
上記作動制御では、両バッテリパックに、両DCモータを駆動させるに十分な電圧値がない場合に電圧なしの判定を行っているが、本機側コントローラ又は集塵側コントローラは、両バッテリパックの何れか一方がバッテリ装着部に非装着の場合でも電圧なしの判定を行って、他方のバッテリパックを両DCモータの電源として単独使用してもよい。
この場合、1つのバッテリパックが装着されていればシステム全体を作動させることができ、使い勝手の一層の向上に繋がる。
また、電源として単独使用するバッテリパックの決定は、バッテリパックの電圧値によるものに限らない。例えば、各バッテリ装着部に、バッテリパックの装着を検知するセンサやスイッチ等の検知手段を設けて、バッテリパックが装着されているか否かの判定に基づいて電源として単独使用するバッテリパックを決定してもよい。
【0036】
ハンマドリルにおいて、本機側DCモータの位置及び向き、本機側コントローラの位置及び向きは、上記実施例に限定しない。例えば本機側DCモータは、回転軸を前向きや斜め前向きとした姿勢であってもよいし、本機側コントローラは横向きであってもよい。
本機側バッテリ装着部の位置も適宜変更できる。本機側バッテリパックは、後方からでなく前方や側方からスライド装着させてもよい。本機側バッテリパックが2個装着される場合は、2個を1つの本機側バッテリとして単独使用し、集塵側バッテリとの使い分けを行えばよい。
但し、本開示の本機側バッテリは、上記実施例の本機側バッテリパックのように着脱可能なものに限らない。例えば、本機側バッテリは、電動工具のハウジングへ着脱不能に保持されて、ケーブルを介した充電が可能なものであってもよい。
打撃機構部の構造は、上記実施例に限定しない。動作モードは、ドリルモードが選択できるものであってもよい。
電動工具は、ハンマドリルに限らず、電動ハンマ等の他の電動工具であってもよい。
上記実施例では、電動工具に装着する先端工具として吸塵ビットを用いているが、先端工具は、吸塵ビットでなくてもよい。この場合、電動工具の先端に、先端工具の外側を覆う筒状の別のアタッチメントを取り付けて、当該アタッチメントに設けたホース取付部と集塵アタッチメントの吸引部とをフレキシブルホースで接続してもよい。
【0037】
電動工具に対する集塵アタッチメントの取り付け方向は、上下方向に限らない。取り付け方向は、例えば前後方向であってもよい。
集塵アタッチメントにおいて、集塵側DCモータの位置及び向き、ダストボックスの位置や構造は、上記実施例に限らない。例えば集塵側DCモータは、回転軸を上向きや横向きとした姿勢で収容してもよい。集塵側DCモータとファンの軸とを別にして、集塵側DCモータの回転軸からファンの軸へ回転伝達してもよい。
集塵部は、ダストボックスに限らず、フィルタがないサイクロン構造であってもよい。よって、集塵経路は適宜変更可能である。
集塵側バッテリ装着部への集塵側バッテリパックの装着も、後方からのスライド装着でなく、前方や側方からのスライド装着であってもよい。
但し、本開示の集塵側バッテリも、上記実施例の集塵側バッテリパックのように着脱可能なものに限らない。例えば、集塵側バッテリは、集塵アタッチメントのケーシングへ着脱不能に保持されて、ケーブルを介した充電が可能なものであってもよい。
集塵アタッチメントにおいて、フレキシブルホースの接続部は、ケーシングの前面でなく、上面や側面等の他の位置であってもよい。但し、集塵アタッチメントは、フレキシブルホースを用いないものであってもよい。例えば、集塵アタッチメントは、集塵経路を内設してケーシングから突出する筒状のスライド部を有し、スライド部の先端に、先端工具が貫通する吸込口を設けたものであってもよい。
報知手段は、ランプに限らず、例えば文字や数字を表示して報知するようにしてもよい。報知手段は、電子音等の音声を利用したり、ランプと音声とを併用したりしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・ハンマドリル、2・・内側ハウジング、3・・モータハウジング、4・・上外側ハウジング、5・・下外側ハウジング、6・・打撃機構部、7・・本機側DCモータ、8・・回転軸、11・・前筒部、12・・ハンドル部、13・・本機側コントローラ、18・・スイッチ、21・・スイッチレバー、23・・メスコネクタ、25・・本機側バッテリ装着部、26・・本機側バッテリパック、29・・本機側報知ランプ、35・・ツールホルダ、44・・ピストン、48・・ストライカ、49・・インパクトボルト、60・・集塵アタッチメント、61・・ケーシング、62・・本体部、65・・ダストボックス、71・・フック板、78・・オスコネクタ、83・・フィルタ、92・・集塵側DCモータ、94・・集塵ファン、96・・集塵側コントローラ、100・・集塵側バッテリ装着部、101・・集塵側バッテリパック、104・・集塵側報知ランプ、B・・ビット、R・・集塵経路、S・・電動工具用集塵システム。
図1
図2
図3