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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178810
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】加湿ユニット及び加湿空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20241218BHJP
   F24F 6/04 20060101ALI20241218BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20241218BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20241218BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/00 H
F24F6/00 301
F24F6/04
F24F8/108 110
F24F8/80 400
F24F8/80 110
F24F8/80 238
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097238
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】前田 潤哉
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 祐馬
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BA02
3L055DA04
3L055DA05
(57)【要約】
【課題】高い加湿性能を有する加湿ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の加湿ユニットは、内筒部、外筒部、及び底部を有し、前記内筒部、前記外筒部、及び前記底部により形成される貯水空間に貯水可能な筐体であって、前記内筒部は、前記送風装置から送風される空気を吸い込む開口である吸込口を下側に有し、前記外筒部は、前記内筒部の外側を囲んでおり、前記底部は、前記内筒部の下端部と前記外筒部の下端部とを接続する、筐体と、前記貯水空間に設けられ、吸水性を有し、前記空気を加湿して前記加湿空気を生成する加湿フィルタと、前記外筒部の上側に設けられた、前記加湿空気を側方に向けて放出する開口である吹出口と、前記外筒部、前記内筒部、及び前記加湿フィルタの上側を覆うよう設けられた上蓋と、を備え、前記吹出口の少なくとも一部は、前記内筒部の上端より上側に位置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風装置から送風される空気を加湿して加湿空気を放出する加湿ユニットであって、
内筒部、外筒部、及び底部を有し、前記内筒部、前記外筒部、及び前記底部により形成される貯水空間に貯水可能な筐体であって、
前記内筒部は、前記送風装置から送風される空気を吸い込む開口である吸込口を下側に有し、
前記外筒部は、前記内筒部の外側を囲んでおり、
前記底部は、前記内筒部の下端部と前記外筒部の下端部とを接続する、筐体と、
前記貯水空間に設けられ、吸水性を有し、前記空気を加湿して前記加湿空気を生成する加湿フィルタと、
前記外筒部の上側に設けられた、前記加湿空気を側方に向けて放出する開口である吹出口と、
前記外筒部、前記内筒部、及び前記加湿フィルタの上側を覆うよう設けられた上蓋と、を備え、
前記吹出口の少なくとも一部は、前記内筒部の上端より上側に位置する、
加湿ユニット。
【請求項2】
前記加湿フィルタは上側に上部開口を有する筒状であって、
前記上部開口を覆うフィルタ蓋をさらに備え、
前記フィルタ蓋は、
前記内筒部に着脱可能に連結される連結部と、
前記内筒部の上側に位置し、前記内筒部の中央に対向する位置に設けられ下側に突出した頂部から外側に向かうにつれて上側に傾斜するよう形成された傾斜部と、
前記傾斜部の逆側となる上側に形成された凹部に設けられた、使用者により把持可能な把持部と、を有する、
請求項1に記載の加湿ユニット。
【請求項3】
前記内筒部の上端は、前記外筒部の上端より上側に位置する、
請求項1に記載の加湿ユニット。
【請求項4】
前記内筒部は、鉛直方向に垂直な方向における断面の面積が、下端から上端に向かって徐々に小さくなっている、
請求項1に記載の加湿ユニット。
【請求項5】
前記吹出口と前記上蓋とが一体であって、前記外筒部に着脱自在に連結可能である、
請求項1に記載の加湿ユニット。
【請求項6】
前記送風装置の上面に設けられた被係合部に対向する位置に、前記被係合部に係合する係合部をさらに備える、
請求項1に記載の加湿ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の加湿ユニットと、
吸い込んだ空気を清浄して清浄された空気を、上面に設けられた清浄空気吹出口から前記加湿ユニットが位置する上側に向けて送風する空気清浄ユニットと、を備え、
前記被係合部は、前記清浄空気吹出口に設けられた桟の隙間により形成され、
前記桟は、前記空気清浄ユニットの上面の外形と相似形であって、内側に向かうにしたがって小さくなる形状で複数形成される、
加湿空気清浄機。
【請求項8】
請求項1に記載の加湿ユニットと、
吸い込んだ空気を清浄して清浄した空気を前記加湿ユニットに向けて送風する空気清浄ユニットと、を備える、
加湿空気清浄機。
【請求項9】
前記空気清浄ユニットは、
周囲の空気を吸い込む開口である吸込口を有する筐体と、
吸い込んだ空気を清浄する清浄部と、
供給される電力により回動するモータと、
前記モータにより駆動され、空気を送風するファンと、
前記モータを覆うモータカバーと、
清浄された前記空気を上側に向けて送風する清浄空気吹出口を有する上面部材と、を備え、
前記モータカバーは、上面に上開口部を有し、
前記上面部材は、前記上開口部の上側に、上面視で前記上開口部の全体を覆うよう設けられた遮蔽部を有する、
請求項8に記載の加湿空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、加湿ユニット及び加湿空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の、清浄機本体と、洗浄機本体の上に加湿部としての加湿器を備える空気清浄機があった。この空気清浄機の加湿器は、本体、係合部、湿潤フィルター部、及び通気部を備え、本体の底部には第1の開口部が形成され、その反対側となる上面に第2の開口部が形成されている。第1開口部から入り込んだ気流が湿潤フィルター部を通過し、湿潤気流となって通気部の通気口から外部へ出る構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3225216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の加湿器では、気体の流れが下方から上方、上方から側方、側方から上方へと2回変化して通気口から外部へ出る構成となっており、気体の流れが変化する度に風速が低下し、広い範囲で加湿するという観点で不十分であった。これにより、特許文献1に記載の加湿器では十分な加湿性能が得られないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を提供する。
【0006】
本発明の一態様の加湿ユニットは、送風装置から送風される空気を加湿して加湿空気を放出する加湿ユニットであって、
内筒部、外筒部、及び底部を有し、前記内筒部、前記外筒部、及び前記底部により形成される貯水空間に貯水可能な筐体であって、
前記内筒部は、前記送風装置から送風される空気を吸い込む開口である吸込口を下側に有し、
前記外筒部は、前記内筒部の外側を囲んでおり、
前記底部は、前記内筒部の下端部と前記外筒部の下端部とを接続する、筐体と、
前記貯水空間に設けられ、吸水性を有し、前記空気を加湿して前記加湿空気を生成する加湿フィルタと、
前記外筒部の上側に設けられた、前記加湿空気を側方に向けて放出する開口である吹出口と、
前記外筒部、前記内筒部、及び前記加湿フィルタの上側を覆うよう設けられた上蓋と、を備え、
前記吹出口の少なくとも一部は、前記内筒部の上端より上側に位置する。
【0007】
上記のような加湿ユニットによれば、送風装置に加湿ユニットを載せることで、送風装置に容易に加湿機能を追加することができる。また、吹出口により加湿空気を側方に向けて放出する構成であり、加湿フィルタを径方向、すなわち側方に向かって通過した加湿空気を、方向転換することなくそのまま放出することができるため、風速の低下を防止でき、高い加湿性能が得られる。また、吹出口を側方に設けることにより、吹出口を上側に設けた構成と比較して加湿空気が遠くまで到達するため、さらに高い加湿性能が得られる。さらに、吹出口を上面に設ける構成と比較して、吹出口から内部に塵埃が進入しづらくなるため、進入した塵埃が加湿フィルタ等に付着することに起因する加湿性能の低下を抑制できる。
【0008】
上記加湿ユニットにおいて好ましくは、前記加湿フィルタは上側に上部開口を有する筒状であって、
前記上部開口を覆うフィルタ蓋をさらに備え、
前記フィルタ蓋は、
前記内筒部に着脱可能に連結される連結部と、
前記内筒部の上側に位置し、前記内筒部の中央に対向する位置に設けられ下側に突出した頂部から外側に向かうにつれて上側に傾斜するよう形成された傾斜部と、
前記傾斜部の逆側となる上側に形成された凹部に設けられた、使用者により把持可能な把持部と、を有する。
【0009】
上記のような加湿ユニットによれば、傾斜部により内筒部において下側から上側に向かう空気の流れを外側に向けて案内することができる。また、傾斜部の逆側に凹部が形成され、この凹部に把持部を設けることができるため、空間を有効に利用できる。またこの凹部に把持部を設けることで、凹部を設けることなく把持部を設けた構成と比較して、フィルタ蓋の高さを抑えることができ、加湿ユニットの高さを低くすることができる。
【0010】
上記加湿ユニットにおいて好ましくは、前記内筒部の上端は、前記外筒部の上端より上側に位置する。
【0011】
このような構成により、貯水空間に許容量を超える水を注入した場合であっても、内筒部の上端より先に外筒部の上端を超えて外側に水が流出し、内筒部の内側に水が流出することを防止できる。そのため、貯水空間から流出した水が内筒部の下側に位置する送風装置に進入することによる送風装置の故障を防止できる。
【0012】
上記加湿ユニットにおいて好ましくは、前記内筒部は、鉛直方向に垂直な方向における断面の面積が、下端から上端に向かって徐々に小さくなっている。
【0013】
このような構成により、内筒部を上側に向けて通過する空気の風速が速くなり、吹出口から放出される加湿空気を遠くまで到達させることができる。
【0014】
上記加湿ユニットにおいて好ましくは、前記吹出口と前記上蓋とが一体であって、前記外筒部に着脱自在に連結可能である。
【0015】
このような構成により、吹出口と上蓋とを取り外して上から貯水領域に給水でき、利便性を高めることができる。また、吹出口が筐体と一体となった構成と比較して、貯水領域の水量を目視しやすくなり、満水位置を確認しやすくなる。
【0016】
上記加湿ユニットにおいて好ましくは、前記送風装置の上面に設けられた被係合部に対向する位置に、前記被係合部に係合する係合部をさらに備える。
【0017】
このような構成により、送風装置に対して加湿ユニットを安定して載置することができる。
【0018】
本発明の一態様の加湿空気清浄機は、上記の係合部を有する加湿ユニットと、
吸い込んだ空気を清浄して清浄された空気を、上面に設けられた清浄空気吹出口から前記加湿ユニットが位置する上側に向けて送風する空気清浄ユニットと、を備え、
前記被係合部は、前記清浄空気吹出口に設けられた桟の隙間により形成され、
前記桟は、前記空気清浄ユニットの上面の外形と相似形であって、内側に向かうにしたがって小さくなる形状で複数形成される。
【0019】
このような構成により、空気清浄ユニットに対して加湿ユニットががたつかず、安定させることができる。
【0020】
本発明の一態様の加湿空気清浄機は、上記の加湿ユニットと、
吸い込んだ空気を清浄して清浄した空気を前記加湿ユニットに向けて送風する空気清浄ユニットと、を備える。
【0021】
上記加湿空気清浄機において好ましくは、前記空気清浄ユニットは、
周囲の空気を吸い込む開口である吸込口を有する筐体と、
吸い込んだ空気を清浄する清浄部と、
供給される電力により回動するモータと、
前記モータにより駆動され、空気を送風するファンと、
前記モータを覆うモータカバーと、
清浄された前記空気を上側に向けて送風する清浄空気吹出口を有する上面部材と、を備え、
前記モータカバーは、上面に上開口部を有し、
前記上面部材は、前記上開口部の上側に、上面視で前記上開口部の全体を覆うよう設けられた遮蔽部を有する。
【0022】
このような構成により、空気清浄ユニットの上側から水が進入してきた場合でも、遮蔽部にかかり遮蔽部の外縁から流れ落ちる水がモータカバーの上開口部から侵入しづらくなり、モータに水がかかってしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態の加湿空気清浄機を前面側から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態の加湿空気清浄機の背面側から見た斜視図である。
図3図3は、実施形態の加湿空気清浄機において、空気清浄ユニットと加湿ユニットとを分離した状態を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態の加湿ユニットを下側から見た斜視図である。
図5図5は、実施形態の加湿ユニットを上側から見た分解斜視図である。
図6図6は、実施形態の加湿ユニットを下側から見た分解斜視図である。
図7図7は、実施形態の加湿空気清浄機の断面図である。
図8図8は、実施形態の空気清浄ユニットの斜視図である。
図9図9は、実施形態の空気清浄ユニットの、上面部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図10図10は、内筒上嵌合部の拡大図である。
図11図11は、フィルタ蓋下嵌合部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態の加湿空気清浄機について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
【0025】
本明細書では、加湿空気清浄機1を鉛直方向に対して垂直な平面に載置しているものとして説明する。加湿空気清浄機1の操作部39a~39cが設けられた側を前面側といい、その逆側であって電源ケーブル39gが設けられた側を背面側という。加湿空気清浄機1の上下方向を高さ方向ということがある。
【0026】
[加湿空気清浄機1の全体構成]
図1は、加湿空気清浄機1を前面側から見た斜視図であり、図2は背面側から見た斜視図である。図3は、空気清浄ユニット3と加湿ユニット2とを分離した状態を示す斜視図である。
【0027】
図1図3に示されるように、加湿空気清浄機1は、加湿ユニット2及び空気清浄ユニット3を含む。空気清浄ユニット3は、単体で空気清浄機としても使用可能である。
【0028】
[加湿ユニット2]
加湿ユニット2は、空気清浄ユニット3の上に、空気清浄ユニット3に着脱自在に載せて配置される。加湿ユニット2は、空気清浄ユニット3で生成された空気の流れ(以下、「気流」ともいう)を利用して、吸込口から空気を吸い込み、吹出口から加湿した空気である加湿空気を放出する。すなわち、加湿ユニット2は、送風装置として機能する空気清浄ユニット3から送風される空気を加湿して加湿空気を放出する。送風装置は空気清浄ユニット3であることが好ましいが、空気を清浄する機能を有さない送風装置を採用することも可能である。
【0029】
図4は、加湿ユニット2を下側から見た斜視図である。図5及び図6は、加湿ユニット2の分解斜視図であり、図5は上側から見た図、図6は下側から見た図である。図7は、加湿空気清浄機1の断面図である。
【0030】
図示されるように、加湿ユニット2は、上蓋21、吹出口部22、フィルタ蓋23、加湿フィルタ24、銀ビーズホルダ25、及び筐体26を含む。図1及び図2に示されるように、組み立てられた状態の加湿ユニット2の外観は、下側から順に筐体26、吹出口部22、上蓋21と重ねられたものとなる。
【0031】
[筐体26]
筐体26は、外筒部261、内筒部262、底部263、並びに係合部264aを含む。これらの、外筒部261、内筒部262、底部263、並びに係合部264aは樹脂で形成されるが、その他の材料により形成されてもよい。筐体26は、加湿ユニット2の最下部に位置しており、空気清浄ユニット3の上に直接載置される。筐体26は、外筒部261、内筒部262、及び底部263により形成される貯水空間263aに加湿用の水を貯水可能である。
【0032】
[外筒部261]
外筒部261は、外形が円筒状の部材であり、筐体26の外殻を形成する。外筒部261は、内筒部262を囲んで設けられる。
【0033】
外筒部261の上端部には、吹出口部下嵌合部22cと嵌合する、外筒上嵌合部261aが形成される。外筒上嵌合部261aと吹出口部下嵌合部22cとが嵌合するとき、外筒上嵌合部261aは吹出口部下嵌合部22cの外側に位置する。
【0034】
外筒部261は、上下方向に延び透過性を有する樹脂またはガラス等で形成された水量窓261bを有する。水量窓261bは、外筒部261の内側と外側とを貫通する貫通孔に設けられる。水量窓261bは、保持する水の適正量または上限量を示すガイドを有する。使用者は、水量窓261bから、筐体26がその中の貯水空間263aに保持する水の量、及びその水の量が適正量または上限量であるか、を視認可能である。
【0035】
[内筒部262]
内筒部262は、円筒状の部材であり、外筒部261の内側に外筒部261に囲まれて配置される。内筒部262は、空気清浄ユニット3の清浄空気吹出口31bから送風される空気を吸い込む開口となる吸込口262aを、下側に有する。内筒部262は、下端から上端に向かって徐々に径が小さくなるよう形成されており、これにより、下端から上端に向かって鉛直方向に垂直な方向における断面の面積が小さくなっている。この構成により、径が一定である構成と比較して、内筒部262の内側を通過する空気の流れる速度が速くなり、または遅くなることが抑制される。
【0036】
内筒部262の上端部には、フィルタ蓋23のフィルタ蓋下嵌合部23dと、回転により着脱自在に嵌合する、内筒上嵌合部262bが形成される。図10は、内筒上嵌合部262bの拡大図である。図11は、フィルタ蓋下嵌合部23dの拡大図である。内筒上嵌合部262bとフィルタ蓋下嵌合部23dとが嵌合するとき、内筒上嵌合部262bはフィルタ蓋下嵌合部23dの内側に位置する。具体的には、内筒上嵌合部262bはL字状に形成された溝状の凹部262cを有し、この凹部262cに矩形状の凸部であるフィルタ蓋下嵌合部23dが嵌合可能になっている。フィルタ蓋下嵌合部23dは、L字状の内筒上嵌合部262bの凹部262cに対して、下側に挿入された後、右側に移動可能である。このとき、内筒部262に対してフィルタ蓋23が回動する。内筒上嵌合部262bの凹部262cの先端部には、フィルタ蓋下嵌合部23dに形成された凹部23eに係合する凸部262eが形成されており、フィルタ蓋下嵌合部23dが凹部262cの凸部262eを乗り越えることで、凹部262cの凸部262eとフィルタ蓋下嵌合部23dの凹部23eとが係合し、内筒部262とフィルタ蓋23とが嵌合した状態で安定する。
【0037】
[底部263]
底部263は、外筒部261の下端部と内筒部262の下端部とを接続するよう形成される。底部263は、加湿フィルタ24の底面の最内側よりも外側に位置し、加湿フィルタ24の底面に当接する。すなわち、加湿フィルタ24の底面の最内側よりも内側の部分が内筒部262である。
【0038】
外筒部261、内筒部262、及び底部263は連続して形成されており、上側から見て円環状の貯水空間263aを形成する。貯水空間263aは、加湿に用いる水を保持する。内筒部262の上端262dは、外筒部261の上端261cよりも高くなっている。そのため、貯水空間263aに許容量を超える水が注入されると、この水は外筒部261の上端261cを超えて、外筒部261の外側に流出することとなり、内筒部262の内側には流出しない。なお、貯水空間263aには、水以外の加湿用の液体を保持させてもよい。
【0039】
図4に示すように、底部263の下側には、上側に向かって凹むよう形成された凹部264b及び264cを有する。これらの凹部264b及び264cは、上側から見て円状となる筐体26の中心に対して逆側となる位置に設けられる。凹部264bの周方向の長さは、凹部264cの周方向の長さの約2倍である。凹部264b及び264cは、係合部264aの周方向の端部に位置する。
【0040】
[係合部264a]
係合部264aは、底部263の下側の面であって、空気清浄ユニット3の上面に設けられた被係合部31cに対抗する位置に、被係合部31cと係合するよう、4つ形成される。具体的には、4つの係合部264aは、周方向において互いに均等間隔となるよう、上側から見て円状となる筐体26の中心に対して90°の角度を有する位置に、周方向に延びるよう設けられる。係合部264aの周方向の長さは、係合部264aが挿入される空気清浄ユニット3の上面部材31の桟31aの隙間により形成される被係合部31cの周方向の長さと同じであり、互いに係合した状態のとき、筐体26が上面部材31に対して回動することを防止することで、加湿ユニット2が空気清浄ユニット3に対して回動することを防止する。係合部264aは、径方向に延びるリブ264eを、それぞれ3つずつ有する。これらのリブ264eは、上側よりも下側の方が径方向に短くなるよう形成されているため、被係合部31cと係合させやすい。これらのリブ264eは、係合部264aが挿入された空気清浄ユニット3の上面部材31の桟31aの隙間により形成される被係合部31cを径方向に接続する方向に延び、この上面部材31に対する筐体26のがたつきを防止する。
【0041】
[銀ビーズホルダ25]
銀ビーズホルダ25は、貯水空間263aに保持される水に銀イオンを付与するための銀で形成された銀ビーズを保持するケースであって、貯水空間263aに配置される。銀ビーズホルダ25に保持される銀ビーズは、貯水空間263aの水に触れることで銀イオンを放出し、この水の除菌及びぬめり防止などを行う。銀ビーズホルダ25は、使用者によって、貯水空間263aに着脱可能である。
【0042】
[加湿フィルタ24]
加湿フィルタ24は、高い吸水性を有する繊維などの材料で形成された、上側に上部開口24aを有する円筒状の部材であって、内筒部262と外筒部261との間の貯水空間263aに設けられる。加湿フィルタ24は、加湿ユニット2を通過する空気に含まれる水蒸気、すなわち水分子の割合を増加させることで空気を加湿し、湿度を上昇させる。加湿フィルタ24は、細い繊維状の材料が密に配置されて形成されることで、繊維状の材料の間に小さな空隙を形成し、毛細管現象によって、貯水空間263aの水面より上側まで水を吸い上げる。図5及び図6に示されるように、加湿フィルタ24は、周方向においてジグザグ状に折り畳まれ、上側から見て円環状になっている。このようなジグザグ状に形成されることで、加湿フィルタ24が吸い込んでいる水に加湿フィルタ24を通過する空気が効果的に触れ、効果的に空気を加湿可能となっている。
【0043】
図7の断面図に示されるように、加湿フィルタ24は、径方向において内筒部262と外筒部261との中央に配置される。加湿フィルタ24の底面は底部263に接し、上面はフィルタ蓋23の最外側部23fの下面に当接するか、この下面の直ぐ下側に位置する。これにより、加湿フィルタ24とフィルタ蓋23との間の隙間を空気が流れ、加湿効果が低下することが防止され、効果的な加湿が可能となる。
【0044】
[フィルタ蓋23]
フィルタ蓋23は、加湿フィルタ24の上部開口を覆うよう加湿フィルタ24の上側に設けられる。フィルタ蓋23は、加湿フィルタ24の上部開口を覆う蓋部23aと、蓋部23aから下側に向かって円筒状に延びる円筒部23bを有する。円筒部23bには、側方に貫通する貫通孔である開口23cが、周方向に均等に4か所形成される。円筒部23bの下端近傍には、周方向に均等な位置に設けられた、内側に向かって突出して形成された矩形状の凸部であるフィルタ蓋下嵌合部23dが形成される。フィルタ蓋下嵌合部23dは、上述のとおり内筒部262の内筒上嵌合部262bと着脱可能に嵌合する。なお、フィルタ蓋下嵌合部23dは、フィルタ蓋23を着脱可能に内筒部262に連結する、「連結部」の一例である。フィルタ蓋下嵌合部23d及び内筒上嵌合部262bとは異なる構成により、フィルタ蓋23と内筒部262とを連結する連結部が構成されてもよい。
【0045】
フィルタ蓋23の蓋部23aは、径方向の最外部に位置する円環状の最外側部23f、その内側に位置する円環状の外側部23g、及びその内側であって中央部に位置する円錐部23hを含む。最外側部23fの外縁は、上側から見て、加湿フィルタ24の外縁よりやや外側に位置している。これにより、蓋部23aは加湿フィルタ24の全体を覆っている。円錐部23hは、下側に凸となった円錐状に形成され、内筒部262の中央に対向する位置に設けられ下側に向かって突出した頂部23jを頂点とし、外側部23gの内側の端の円状の部分を、その底面を構成する円の周とする。円錐部23hの下側の面は、頂部23jから外側に向かうにつれて上側に傾斜するよう形成された傾斜部23kを形成する。円錐部23hの上側の面は、蓋部23aの上面において下側に向かって窪んだすり鉢状になっている。円錐部23hのこの凹部には、蓋部23aの中心を通り径方向に直線状に延びる、使用者により把持可能な把持部23iが形成される。使用者は、この把持部23iを把持して、筐体26に対してフィルタ蓋23を回動させ、フィルタ蓋23のフィルタ蓋下嵌合部23dと、筐体26の内筒部262の内筒上嵌合部262bとを嵌合させ、またはこれらの嵌合を解除させることができる。
【0046】
[吹出口部22]
吹出口部22は、筐体26の上側に設けられた円筒状の部材であり、外筒部261と同じ径を有する。吹出口部22は、上下方向に延び、周方向に均等な位置に複数設けられた桟22aを有する。桟22aの隙間により形成される開口が、加湿フィルタ24によって加湿された加湿空気を側方に向けて放出する開口である吹出口22bとなる。図7に示されるように、吹出口22bの下端は、外筒部261の上端261cの上側に位置する。吹出口22bは、上蓋21の下端まで延びており、上下方向において吹出口22bの少なくとも一部は、内筒部262の上端262dより上側に位置している。
【0047】
吹出口部22の下端部には、外筒上嵌合部261aと嵌合する吹出口部下嵌合部22cが形成される。外筒上嵌合部261aと吹出口部下嵌合部22cとが嵌合するとき、吹出口部下嵌合部22cは外筒上嵌合部261aの内側に位置する。
【0048】
[上蓋21]
上蓋21は、吹出口部22の上側に、筐体26の外筒部261及び内筒部262、加湿フィルタ24、フィルタ蓋23、並びに吹出口部22を覆うように設けられる。上蓋21は、筐体26及び吹出口部22と同じ径を有しており、吹出口部22とねじで連結されることで、吹出口部22と一体になるよう固定されている。上蓋21の上面は平坦な円状であり、加湿ユニット2の上面となる。
【0049】
[空気清浄ユニット3]
空気清浄ユニット3は、円筒状の外形を有し、側面に設けられた吸込口37aから吸い込んだ空気を清浄して、上面に設けられた清浄空気吹出口31bから清浄された空気を上側に向けて送風する。清浄空気吹出口31bから上側に向けて送風される空気は、空気清浄ユニット3の上に加湿ユニット2が載置されているときは、加湿ユニット2の吸込口262aに向けて送風することとなる。
【0050】
図8及び図9は、空気清浄ユニット3の外観を示す斜視図である。図8は上面部材31を取り付けた状態を示し、図9は上面部材31を取り外した状態を示す。図示されるように、空気清浄ユニット3は、上面部材31、モータ32、モータカバー33、ファン34、ガイド35、HEPA(High Efficiency Pariculate Air)フィルタ36、筐体37、吸込口37a、底蓋38、操作部39a~39c、表示部39d~39f、及び電源ケーブル39gを含む。
【0051】
[筐体37]
筐体37は、外形が円筒状であって、空気清浄ユニット3の周囲を覆うよう構成される。筐体37の上面には、上面部材31が着脱自在に取り付けられ、底面には底蓋38が着脱自在に取り付けられる。
【0052】
筐体37は、その側面に、上記のように周囲から空気を取り込む開口である吸込口37aを有する。吸込口37aは、筐体37の側面を貫通するよう設けられた複数の貫通孔で構成され、筐体37の前面及び背面を中心に設けられるが、これに限定されるものではない。吸込口37aは、筐体37の側面ではなく底面または底面近傍に設けられてもよいし、その他の場所に設けられてもよい。ただし、筐体37の側面に吸込口37aを設けると、空気を効率的に吸い込むことが可能であり好ましい。
【0053】
筐体37の前面には、操作部39a~39c、及び表示部39d~39fが設けられる。操作部39a~39cは、それぞれ使用者によって操作可能なボタンであり、例えば、操作部39aが強度設定ボタン、操作部39bがタイマーボタン、操作部39cが電源ボタンである。強度設定ボタンである操作部39aは、操作されることで空気清浄ユニット3の動作強度を、弱、中、強、及びオートの間で変更可能である。動作強度が弱、中、及び強のときは、モータ32の回転数を変化させてファン34の単位時間当たりの回転数を変化させ、空気清浄ユニット3が単位時間あたりに吸込み、放出する空気の量を変化させる。動作強度がオートの場合には、筐体37の内部に設けられたセンサーにより検知された、空気に含まれる埃、煙、もしくは花粉などの物質の量、匂いの強さ、温度または湿度などに基づいて、モータ32の回転数を変化させる。このセンサーは、例えば、埃センサー、匂いセンサー、温度センサー、湿度センサー、またはこれらの組み合わせなどのセンサーであってよいが、これらに限定されない。タイマーボタンである操作部39bは、操作されることで空気清浄ユニット3が自動的に停止するまでの時間である自動停止タイマーを設定及び変更可能である。自動停止時間は、例えば1時間、2時間、4時間の間で設定可能である。電源ボタンである操作部39cは、操作されることで空気清浄ユニット3のオン・オフを制御可能である。
【0054】
表示部39d~39fは、それぞれ操作部39a~39cの上側に設けられ、それぞれの下側に位置する操作部39a~39cの機能に対応した表示を行う。表示部39d~39fは、それぞれ1以上のLED素子などの表示装置で構成される。具体的には、強度設定ボタンである操作部39aの上側に設けられる表示部39dは、現在の動作強度が、弱、中、強、及びオートのいずれであるかを、点灯するLED素子の数で識別可能に表示する。タイマーボタンである操作部39bの上側に設けられる表示部39eは、自動停止タイマーの設定がされているかどうかと、設定されている自動停止タイマーの種類、すなわち自動停止するまでの時間を、点灯するLED素子の数で識別可能に表示する。電源ボタンである操作部39cの上側に設けられる表示部39fは、空気清浄ユニット3が電源オンの状態であるか、電源オフの状態であるかを、LED素子の点灯または非点灯の状態で識別可能に表示する。なお、表示部39d~39fの構成はLED素子に限定されるものではなく、液晶表示装置、または有機EL表示装置などであってもよい。表示部39d~39fが液晶表示装置または有機EL表示装置のときは、点灯する素子の数ではなく、空気清浄ユニット3の状態を、文字、数字、及び記号などにより、使用者に視認可能に表示してよい。
【0055】
操作部39a~39c及び表示部39d~39fの裏側には、操作部39a~39cに対する操作を受け付け、表示部39d~39fの表示を制御する制御装置を備えた制御基板が配置される。制御装置は、空気清浄ユニット3の各要素を制御する。この制御基板には、制御装置を構成する半導体集積回路及び電子部品等が搭載される。
【0056】
電源ケーブル39gは、図2に示すように筐体37の背面の下端部に設けられ、空気清浄ユニット3に対する電力の供給を行う。電源ケーブル39gは、家庭用電源に接続可能であり、供給される電力を図示しない電圧変換部に入力する。電圧変換部は、入力された交流電圧を、必要な直流電圧に変換して空気清浄ユニット3の各構成に供給する。
【0057】
[HEPAフィルタ36]
HEPAフィルタ36は、吸込口37aから吸い込んだ空気を通過させ、この空気に含まれる埃、花粉、及びウイルスなどの粒子を取り除くことで空気を清浄する。HEPAフィルタ36は、JIS規格で規定されるように、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕獲率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルターである。HEPAフィルタ36には、活性炭を練り込んでもよい。これにより、脱臭機能を付与することができる。HEPAフィルタ36は、鉛直方向に垂直な面における断面が円環状の、円筒状の部材である。ファン34により作られる気流により、吸込口37aから吸い込まれた空気は、HEPAフィルタ36を径方向に通過した後、上側に向かって流れる。なお、HEPAフィルタ36は、本発明の「清浄部」の一具体例であるが、他のフィルタに置き換えられてもよいし、空気を清浄する機能を有する他の構成に置き換えられてもよい。
【0058】
[ファン34]
ファン34は、HEPAフィルタ36の上側であって、上側から見て空気清浄ユニット3の中心を回転軸とするよう設けられ、回動することで空気清浄ユニット3における空気の流れ、すなわち気流を作って、空気を送風する。本実施形態の加湿空気清浄機1では、加湿ユニット2はファンを有していないため、空気清浄ユニット3のファン34が、空気清浄ユニット3に加え加湿ユニット2における空気の流れも作ることとなる。
【0059】
ファン34は、モータ32のシャフト32aに連結しており、モータ32が回動することで回動する。すなわち、ファン34はモータ32により回転駆動される。ファン34によって作られる加湿空気清浄機1における空気の流れについては後述する。
【0060】
ファン34の下側であって、ファン34とHEPAフィルタ36との間には、HEPAフィルタ36の上側の開口に合わせた大きさのファン吸込口34aが設けられる。ファン吸込口34aは、同心円状の桟と、径方向に延びる桟とを含んで形成される。
【0061】
[ガイド35]
ガイド35は、ファン吸込口34aの上側であって径方向外側に形成された、上下方向に壁状に延びる部分である。ガイド35は、ファン34によって作られた気流の方向を上側に案内するよう機能する。
【0062】
[モータ32]
モータ32は、ファン34の上側であって、上側から見て空気清浄ユニット3の中心を回転軸とするよう設けられる。モータ32の回転軸には、上側から見て空気清浄ユニット3の中心に沿って、モータ32から下側に向かって延びるシャフト32aが連結している。モータ32は、供給される電力により回動する。
【0063】
[モータカバー33]
モータカバー33は、モータ32を覆うよう設けられる。モータカバー33は、上面が上に凸のドーム状、底面が下に凸のすり鉢状になっており、側面は円筒状である。図7及び図9に示されるように、モータカバー33は、その上面に、円状の開口部である上開口部33aを有する。この上開口部33aには、同心円状の桟と径方向に延びる桟とで形成された蓋33bが取り付けられる。モータカバー33は、その下面に、円状の開口部である下開口部33cを有する。
【0064】
モータカバー33の内側には、モータ32に供給する電圧及び電流を制御するための制御基板32bが設けられる。
【0065】
[上面部材31]
上面部材31は、空気清浄ユニット3の上面に設けられ、空気清浄ユニット3によって清浄された空気を上側に向けて送風する清浄空気吹出口31bを有する。上面部材31は、筐体37に着脱可能に連結可能な円状の部材であって、空気清浄ユニット3の上側を覆うカバーである。上面部材31は、中心部に円板状の遮蔽部31dと、遮蔽部31dの外側に形成された、上面部材31と同心円状に形成された桟31aと、径方向に延びる桟31eとを有する。遮蔽部31dは、モータカバー33の上開口部33aの上側に、上面視で上開口部33aの全体を覆うよう設けられており、上開口部33aよりも大きい面積を有する。上記の桟31a及び31eの隙間により、清浄空気吹出口31b及び被係合部31cが形成される。清浄空気吹出口31b及び被係合部31cは、いずれも周方向に延びる貫通孔であり、桟31a及び31eにより画定される。被係合部31cには、加湿ユニット2の筐体26の下側に形成された、係合部264aを挿入可能である。
【0066】
[底蓋38]
底蓋38は、筐体37の底部に着脱可能に設けられる。底蓋38を取り外すと、底蓋38を取り外した位置に形成される開口から、HEPAフィルタ36を下側に向かって取り出すことができる。すなわち、HEPAフィルタ36を交換する際には、使用者は底蓋38を取り外してHEPAフィルタ36の出し入れを行う。
【0067】
[加湿空気清浄機1内での空気の流れ]
図7の矢印は、加湿空気清浄機1内での空気の流れを示す。この空気の流れは、上述のようにファン34によって作られる。図7に示されるように、空気清浄ユニット3の周囲の空気が、空気清浄ユニット3のファン吸込口34aから空気清浄ユニット3内に吸い込まれる。このとき、吸い込まれた空気はHEPAフィルタ36を通過する。HEPAフィルタ36を通過した空気は、上側に向かって流れ、ファン吸込口34aを通過し、ファン34によって径方向外側に流れる。このとき、径方向外側に流れた空気はガイド35に当たって上側に向けて案内され、モータカバー33の径方向外側を、上側に向かって流れる。その後、清浄された空気は、空気清浄ユニット3の上面部材31に設けられた清浄空気吹出口31bから、空気清浄ユニット3の上側に配置された加湿ユニット2に向かって、空気清浄ユニット3から放出される。
【0068】
空気清浄ユニット3の清浄空気吹出口31bから上側に向かって放出された空気は、加湿ユニット2の内筒部262に設けられた吸込口262aから加湿ユニット2に吸い込まれる。その後、この空気は内筒部262の上側に設けられた傾斜部23kに当たることで、加湿フィルタ24が位置する径方向外側に向かって案内され、加湿フィルタ24を径方向に通過することで加湿される。このようにして加湿された空気は、吹出口部22に設けられた吹出口22bから、加湿ユニット2の側方に向かって放出される。
【0069】
このように、本実施形態の加湿空気清浄機1では、加湿フィルタ24を径方向に通過することで加湿された空気が、そのままの気流の勢いを保ったまま、吹出口22bから側方に向かって放出されることとなる。そのため、加湿フィルタ24を径方向に通過した空気を上側に向けて方向転換する構成と比較して、勢いを保ったまま空気を放出することができるため、より遠くまで送風することが可能となる。これにより、同様の気流を発生させることができるモータ32及びファン34を備える空気清浄ユニット3を備える構成であっても、加湿空気清浄機1が配置された空間をより効果的に加湿することができ、加湿性能を高めることができる。換言すると、同じ加湿性能を有する加湿空気清浄機1を構成する際には、より小型化、または低消費電力化させた構成にすることも可能である。
【0070】
[変形例]
本発明の加湿ユニット、空気清浄ユニット、及び加湿空気清浄機は、上記実施形態の加湿空気清浄機1の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下にその変形例を示すが、変形例はこれらに限定されない。
【0071】
実施形態の加湿空気清浄機1は、鉛直方向に対して垂直な面における断面が円状となる円筒状の形状を有していたが、必ずしも円筒状ではなく、断面が楕円状の楕円筒状であってもよいし、四角柱状または三角柱状などの多角柱状であってもよい。また、加湿空気清浄機1は、上下方向の位置に応じて断面の形状が異なる柱状であってもよい。また、加湿空気清浄機1は、円錐状であってもよいし、円錐の上部が取り除かれた円錐台状などであってもよい。例えば加湿空気清浄機1が円錐状のとき、空気清浄ユニット3が円錐台状で、加湿ユニット2が円錐状であってもよい。
【0072】
上記のように加湿空気清浄機1が円筒状ではない場合、各構成は、加湿空気清浄機1を上面から見た形状に応じた形状になる。例えば、上面部材31に形成される桟31aは、空気清浄ユニット3の上面の外形と相似形であって、内側に向かうにしたがって小さくなる形状で複数形成されることとなる。
【0073】
加湿ユニット2は、内部にモータ及びファンを有する構成としてもよい。ただし、モータ及びファンを有さない実施形態の構成は、より簡易かつ低コストの構成にできるため好ましい。
【0074】
実施形態のHEPAフィルタ36は円筒状に形成されていたが、筒状のフィルタを複数に分割した形状のフィルタを用いてもよい。このような構成であっても、一定の加湿効果が得られる。
【0075】
[実施形態及び変形例のまとめ]
以上のように、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2は、送風装置として機能する空気清浄ユニット3から送風される空気を加湿して加湿空気を放出する加湿ユニット2であって、筐体26、加湿フィルタ24、吹出口22b、及び上蓋21を備える。筐体26は、内筒部262、外筒部261、及び底部263を有し、内筒部262、外筒部261、及び底部263により形成される貯水空間263aに貯水可能である。内筒部262は、空気清浄ユニット3から送風される空気を吸い込む開口である吸込口262aを下側に有する。外筒部261は、内筒部262の外側を囲む。底部263は、内筒部262の下端部と外筒部261の下端部とを接続する。加湿フィルタ24は、貯水空間263aに設けられ、吸水性を有し、空気を加湿して加湿空気を生成する。吹出口22bは、外筒部261の上側に設けられ、加湿空気を側方に向けて放出する開口である。上蓋21は、外筒部261、内筒部262、及び加湿フィルタ24の上側を覆うよう設けられる。吹出口22bの少なくとも一部は、内筒部262の上端より上側に位置する。
【0076】
また、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2において、加湿フィルタ24は上側に上部開口24aを有する筒状であり、上部開口24aを覆うフィルタ蓋23をさらに備える。このフィルタ蓋23は、連結部として機能するフィルタ蓋下嵌合部23dと、傾斜部23kと、把持部23iとを有する。フィルタ蓋下嵌合部23dは、内筒部262に着脱可能に連結される。傾斜部23kは、内筒部262の上側に位置し、内筒部262の中央に対向する位置に設けられ下側に突出した頂部23jから外側に向かうにつれて上側に傾斜するよう形成される。把持部23iは、傾斜部23kの逆側となる上側に形成された凹部に設けられ、使用者により把持可能である。
【0077】
また、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2において、内筒部262は、鉛直方向に垂直な方向における断面の面積が、下端から上端に向かって徐々に小さくなっている。
【0078】
また、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2は、吹出口22bを有する吹出口部22と上蓋21とが一体であって、これらは外筒部261に着脱自在に連結可能である。
【0079】
また、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2は、空気清浄ユニット3の上面に設けられた被係合部31cに対向する位置に、被係合部31cに係合する係合部264aをさらに備える。
【0080】
また、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2を含む加湿空気清浄機1において、被係合部31cは、清浄空気吹出口31bに設けられた桟31a及び31eの隙間により形成される。桟31aは、空気清浄ユニット3の上面の外形と相似形であって、内側に向かうにしたがって小さくなる形状で複数形成される。
【0081】
また、本実施形態及び変形例の加湿ユニット2を含む加湿空気清浄機1において、空気清浄ユニット3は、筐体37、清浄部として機能するHEPAフィルタ36、モータ32、ファン34、モータカバー33、上面部材31を備える。筐体37は、周囲の空気を吸い込む開口である吸込口37aを有する。HEPAフィルタ36は、吸い込んだ空気を清浄する。モータ32は、供給される電力により回動する。ファン34は、モータ32により駆動され、空気を送風する。モータカバー33は、モータ32を覆う。上面部材31は、清浄された空気を上側に向けて送風する清浄空気吹出口31bを有する。モータカバー33は、上面に上開口部33aを有し、上面部材31は、上開口部33aの上側に、上面視で上開口部33aの全体を覆うよう設けられた遮蔽部31dを有する。
【0082】
ところで、特許文献1に記載の、清浄機本体と、洗浄機本体の上に加湿部としての加湿器を備える空気清浄機では、許容量を超える水を注入すると、水が装置の内側に流出してしまう構成となっている。
【0083】
これに対して、本実施形態の加湿ユニット2では、内筒部262の上端262dが、外筒部261の上端261cよりも高くなっている。そのため、貯水空間263aに許容量を超える水が注入された場合でも、この水は外筒部261の上端261cを超えて外筒部261の外側に流出することとなり、内筒部262の内側には流出しない。これにより、内筒部262の下側に位置する空気清浄ユニット3に水が進入することによる空気清浄ユニット3の故障を防止できる。
【符号の説明】
【0084】
1…加湿空気清浄機
2…加湿ユニット
21…上蓋
22…吹出口部
22a…桟
22b…吹出口
22c…吹出口部下嵌合部
23…フィルタ蓋
23a…蓋部
23b…円筒部
23c…開口
23d…フィルタ蓋下嵌合部
23h…円錐部
23i…把持部
23j…頂部
23k…傾斜部
24…加湿フィルタ
24a…上部開口
25…銀ビーズホルダ
26…筐体
261…外筒部
261a…外筒上嵌合部
261b…水量窓
262…内筒部
262a…吸込口
262b…内筒上嵌合部
263…底部
263a…貯水空間
264a…係合部
264e…リブ
3…空気清浄ユニット
31…上面部材
31a、31e…桟
31b…清浄空気吹出口
31c…被係合部
31d…遮蔽部
32…モータ
32a…シャフト
32b…制御基板
33…モータカバー
33a…上開口部
33b…蓋
33c…下開口部
34…ファン
34a…ファン吸込口
35…ガイド
36…HEPAフィルタ
37…筐体
37a…吸込口
38…底蓋
39a~39c…操作部
39d~39f…表示部
39g…電源ケーブル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11