(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178815
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】接合装置、接合方法及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097244
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 清孝
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044PP15
5F044PP16
5F044PP17
(57)【要約】
【課題】第1物体に第2物体を接合させるのに有利な接合装置を提供する。
【解決手段】第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、前記第2物体を保持して当該第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドと、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する第1カメラと、前記ヘッドに対して前記第2物体がアライメントされた状態において前記第1カメラで取得された画像に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する制御部と、を有する、ことを特徴とする接合装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、
前記第2物体を保持して当該第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドと、
前記ヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する第1カメラと、
前記ヘッドに対して前記第2物体がアライメントされた状態において前記第1カメラで取得された画像に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する制御部と、
を有する、ことを特徴とする接合装置。
【請求項2】
前記ヘッドによって保持される前の前記第2物体を撮像して画像を取得する第2カメラを更に有し、
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像と、前記第2カメラで取得された画像とを比較することによって、前記接合面の状態を判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記第2物体は、フレームに貼られたテープによって保持された状態で前記接合装置に搬入され、
前記第2カメラは、前記テープによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する、
ことを特徴とする請求項2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像と、前記接合面の状態が良好である前記第2物体を撮像して取得された基準画像とを比較することによって、前記接合面の状態を判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像から、前記接合面への異物の付着が検知された場合に、前記接合面の状態が不良であると判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項6】
前記ヘッドによって保持された前記第2物体の前記接合面に付着している異物を除去するためのクリーニングを行うクリーニング部を更に有する、ことを特徴とする請求項5に記載の接合装置。
【請求項7】
前記クリーニング部は、前記ヘッドによって保持された前記第2物体の前記接合面に対向して配置され、当該接合面に対してエアを吹き付けることで当該接合面に付着している異物を除去する、ことを特徴とする請求項6に記載の接合装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像から、前記接合面の外形の欠け、前記接合面に形成されているパターンの位置ずれ、前記接合面に形成されているパターンの欠け、又は、前記接合面への異物の付着が検知された場合に、前記接合面の状態が不良であると判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項9】
前記制御部によって前記接合面の状態が不良であると判定された前記第2物体を、前記ヘッドから受け取って収容する収容部を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接合装置。
【請求項10】
第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、
前記第2物体を保持して当該第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドと、
前記ヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得するカメラと、
前記カメラで取得された画像から前記ヘッドに対する前記第2物体のアライメントに必要となるアライメント量を求め、前記アライメント量に基づいて当該画像を画像処理して得られた結果に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する制御部と、
を有する、ことを特徴とする接合装置。
【請求項11】
第1物体に第2物体を接合させる接合方法であって、
前記第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する工程と、
前記ヘッドに対して前記第2物体がアライメントされた状態において前記工程で取得された画像に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する工程と、
を有する、ことを特徴とする接合方法。
【請求項12】
第1物体に第2物体を接合させる接合方法であって、
前記第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する工程と、
前記工程で取得された画像から前記ヘッドに対する前記第2物体のアライメントに必要となるアライメント量を求め、前記アライメント量に基づいて当該画像を画像処理して得られた結果に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する工程と、
を有する、ことを特徴とする接合方法。
【請求項13】
第1物体を準備する工程と、
第2物体を準備する工程と、
請求項11又は12に記載の接合方法に従って前記第1物体に前記第2物体を接合させた接合物を形成する工程と、
前記接合物を処理して物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合装置、接合方法及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチップが形成された半導体ウエハ同士を接合する接合装置に関して、一方の半導体ウエハを他方の半導体ウエハに対して回転させて積層(接合)することで、良品チップの数を最大にする技術が提案されている(特許文献1参照)。また、接合装置に関して、半導体ウエハに形成されたチップの良否(良品/不良品)を判定し、良品と判定されたチップのみに対して実装用基板を接合する技術も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-38946号公報
【特許文献2】特開2010-274347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接合装置において、チップの接合に接着剤を使用する場合には、チップを搬送する際に付着する異物を除去する必要はない。一方、ハイブリッドボンディングによってチップを接合する場合には、接合面に付着する異物がチップの接合に影響を与えるため、チップを接合する直前において、チップの状態、即ち、チップの良否を判定することが好ましい。
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に提案されている技術では、半導体ウエハ上でのチップの良否の判定に限定され、半導体ウエハからチップを剥離して接合するまでの間(例えば、チップを搬送している間)に不良となるチップを判定することができない。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、第1物体に第2物体を接合させるのに有利な接合装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての接合装置は、第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、前記第2物体を保持して当該第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドと、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する第1カメラと、前記ヘッドに対して前記第2物体がアライメントされた状態において前記第1カメラで取得された画像に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、第1物体に第2物体を接合させるのに有利な接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一側面としての接合装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】基板ステージを+Z方向から示す上面図である。
【
図3】第1実施形態における接合動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】ボンディングヘッドがダイを保持した状態を模式的に示す図である。
【
図5】ダイの接合面の状態を判定する手法を説明するための図である。
【
図6】ダイの接合面の状態を判定する手法を説明するための図である。
【
図7】本発明の一側面としての接合装置のボンディング部の構成を模式的に示す図である。
【
図8】第2実施形態における接合動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の一側面としての接合装置のボンディング部の構成を模式的に示す図である。
【
図10】第3実施形態における接合動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】第4実施形態における接合動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
以下では、半導体デバイスが形成された基板(ウエハ)を第1物体(第1接合物)とし、半導体デバイスを含む個片化されたダイを第2物体(第2接合物)とするが、これらに限定されるものではない。
【0013】
第1物体は、半導体デバイスが形成された基板の他に、例えば、シリコン基板、配線が形成されたシリコン基板、ガラス基板、配線が形成されたガラスパネル、配線が形成された有機パネル(PCB)を含む。また、第1物体は、例えば、金属パネル、半導体デバイスが形成された基板に既に幾つかの半導体デバイスを含むダイが接合されたものを含む。
【0014】
第2物体は、個片化されたダイの他に、例えば、既に幾つかの個片化されたダイを積み重ねたもの、材料の小片、光学素子、MEMS、構造物を含む。
【0015】
また、第1物体と第2物体との接合方式についても限定されるものではない。第1物体と第2物体との接合方式は、例えば、接着剤による接合、仮接着剤による接合、ハイブリッドボンディングによる接合、原子拡散接合、真空貼り合わせ、バンプ接合などを含む。このように、第1物体と第2物体との接合方式は、様々な仮接合や永久接合の方式を含む。
【0016】
本発明の一側面としての接合装置の産業上の適用例として、例えば、以下に示す適用例が考えられる。
【0017】
第1の適用例としては、積層メモリの製造が考えられる。本発明の一側面としての接合装置を積層メモリの製造に適用する場合、第1物体は、半導体デバイスであるメモリが製造された基板(ウエハ)であり、第2物体は、個片化されたダイであるメモリである。積層メモリの製造では、一般的には、8層程度の積層が行われるため、8層目の接合においては、第1物体は、基板上に既に6層のメモリが接合されている基板となる。また、最終層は、メモリを駆動するドライバである場合もある。
【0018】
第2の適用例としては、プロセッサのヘテロジニアスインテグレーションが考えられる。これは、従来のプロセッサが1つの半導体素子の中にロジック回路やSRAMを構成したSoCが主流であるのに対して、各素子に最適なプロセスを適用して別々の基板で製造し、それらを接合してプロセッサを製造するものである。これにより、プロセッサのコストダウン及び歩留まりの向上を実現することができる。本発明の一側面としての接合装置をヘテロジニアスインテグレーションに適用する場合、第1物体は、半導体デバイスであるロジックデバイスが形成された基板(ウエハ)である。第2物体は、プロービング後に個片化されたSRAM、アンテナ、ドライバなどのダイである。通常、異なるダイが順次接合されるため、第1物体は、接合物が順次増加し、例えば、SRAMから接合を開始する場合、SRAMの次の素子を接合する際には、ロジック基板(ウエハ)にSRAMが接合されているものが第1物体となる。なお、複数のダイを接合する場合には、接合の順番としては、ボンディングヘッドが接合済みのダイと干渉しないように、薄いダイから接合することが好ましい。
【0019】
第3の適用例としては、シリコンインターポーザを用いた2.5D接合が考えられる。シリコンインターポーザとは、シリコン基板(ウエハ)上に配線が形成されたものである。2.5D接合とは、シリコンインターポーザを用いて、個片化されたダイを接合して、ダイ間の電気的な接合を行うものである。本発明の一側面としての接合装置をシリコンインターポーザへのダイ接合に適用する場合、第1物体は、配線が形成されたシリコン基板(ウエハ)であり、第2物体は、個片化されたダイである。一般的には、複数種類のダイがシリコンインターポーザに接合されるため、第1物体は、シリコンインターポーザに幾つかのダイが接合されたものも含む。また、複数のダイを接合する場合、接合の順番としては、ボンディングヘッドが接合済みのダイと干渉しないように、薄いダイから接合することが好ましい。
【0020】
第4の適用例としては、有機インターポーザ、或いは、ガラスインターポーザを用いた2.1D接合が考えられる。有機インターポーザとは、パッケージ基板として用いられる有機パネル(PCB基板、CCL基板)上に配線が形成されたものである。ガラスインターポーザとは、ガラスパネル上に配線が形成されたものである。2.1D接合とは、有機インターポーザ又はガラスインターポーザに個片化されたダイを接合して、インターポーザ上の配線でダイ間の電気的な接合を行うものである。本発明の一側面としての接合装置を有機インターポーザへのダイ接合に適用する場合、第1物体は、配線が形成された有機パネルであり、第2物体は、個片化されたダイである。本発明の一側面としての接合装置をガラスインターポーザへのダイ接合に適用する場合、第1物体は、配線が形成されたガラスパネルであり、第2物体は、個片化されたダイである。一般的には、複数種類のダイが有機インターポーザ又はガラスインターポーザに接合されるため、第1物体は、有機インターポーザ又はガラスインターポーザに幾つかのダイが接合されたものも含む。また、複数のダイを接合する場合、接合の順番としては、ボンディングヘッドが接合済みのダイと干渉しないように、薄いダイから接合することが好ましい。
【0021】
第5の適用例としては、ファンアウトパッケージ製造工程の仮接合が考えられる。個片化されたダイをモールド樹脂でウエハ状に再構成してパッケージ化するファンアウトウエハレベルパッケージが知られている。また、個片化されたダイをモールド樹脂でパネル状に再構成してパッケージ化するファンアウトパネルレベルパッケージが知られている。これらのパッケージは、アドバンストパッケージとして半導体製造に適用されている。パッケージ化では、ダイからバンプへの再配線形成、或いは、異種ダイ間を接合する再配線がモールドされた再構成基板上に形成される。この際、ダイの配列精度が低いと、ステップアンドリピート方式の露光装置を用いて再配線パターンを転写する際に、再配線パターンをダイに高精度に位置決め(位置合わせ)することができない。従って、ダイを高精度に配列することが求められている。本発明の一側面としての接合装置をファンアウトパッケージ製造工程に適用する場合、第1物体は、金属パネルであり、第2物体は、個片化されたダイである。個片化されたダイは、仮接合剤によって金属パネルなどの基板に仮接合される。その後、モールド装置によって、ウエハ状又はパネル状にモールドされ、モールド後に金属パネルから剥離することで、再構成ウエハ又は再構成パネルが製造される。この接合に適用する場合、モールド工程による配列変形を補正するように、接合装置による接合位置を調整することが好ましい。
【0022】
第6の適用例としては、異種基板接合が考えられる。例えば、赤外画像センサの分野において、InGaAsが高感度材料として知られている。従って、光を受光するセンサ部にはInGaAsを使用し、データを取り出すロジック回路には高速処理を実現するシリコンを使用することで、高感度で高速な赤外画像センサを製造することが可能である。但し、InGaAsの結晶は、4インチなどの小径の基板(ウエハ)しか量産化されておらず、シリコン基板では主流である300mmよりも小型である。そこで、ロジック回路を形成した300mmシリコン基板の上に、個片化したInGaAs基板を接合する技術が提案されている。このような異なる材料から構成され、サイズが異なる基板を接合する異種基板接合においても、本発明の一側面としての接合装置を適用することが可能である。本発明の一側面としての接合装置を異種基板接合に適用する場合、第1物体は、シリコン基板(ウエハ)などの大口径の基板であり、第2物体は、InGaAsなどの材料の小片である。かかる材料の小片は、結晶をスライスしたものであるが、四角形に切り出しておくことが好ましい。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一側面としての接合装置BDの構成を模式的に示す図である。接合装置BDは、ウエハなどの基板6(第1物体)の任意の位置に、個片化されたダイ51(第2物体)を接合させる。ダイ51は、ダイシングフレーム5に貼られたダイシングテープに配列(保持)された状態で提供される。本明細書においては、各図に示すように、XYZ座標系によって方向を示す。典型的には、XY平面は、水平面に対して平行な面であり、Z軸は、鉛直方向に平行な軸である。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交又は交差する方向の例として示されている。
【0024】
接合装置BDは、
図1に示すように、マウント2によって制振されたベース1の上に配置されたピックアップ部3及びボンディング部4を有する。本実施形態では、1つのベース1の上にピックアップ部3及びボンディング部4が配置されているが、ピックアップ部3及びボンディング部4は、別々のベースの上に個別に配置されていてもよい。
【0025】
接合装置BDは、CPUやメモリなどを含む情報処理装置(コンピュータ)で構成された制御部CNTを更に有する。制御部CNTは、記憶部に記憶されたプログラムに従って、接合装置BDの各部、例えば、ピックアップ部3及びボンディング部4を統括的に制御して接合装置BDを動作させる。
【0026】
ピックアップ部3は、ピックアップヘッド31と、リリースヘッド32と、ダイ観察カメラ311と、を含む。ピックアップ部3は、基板6に接合すべきダイ51を、リリースヘッド32によってダイシングテープから剥離し、ダイシングテープから剥離したダイ51をピックアップヘッド31で吸引(吸着)して保持する。ピックアップヘッド31は、例えば、ダイ51を180度回転させて、ボンディング部4のボンディングヘッド423に渡す。
【0027】
ピックアップヘッド31は、ダイ51の接合面に接触する。従って、ハイブリッドボンディングなどのように表面を活性化させて接合を行う接合方式に適用する場合には、ピックアップヘッド31の接合面に接触する表面を処理することが好ましい。例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コートやフッ素コートなどの安定性が高い表面に加工したり、高密度なピン形状などの小さい形状に加工して接触面積を減らしたりするとよい。
【0028】
ダイシングフレーム5の上方には、ピックアップヘッド31に隣接して、ダイ観察カメラ311(第2カメラ)が設けられている。ダイ観察カメラ311は、ダイシングテープに配列されたダイ51を撮像して画像を取得する。制御部CNTは、ダイ観察カメラ311で取得された画像から、ダイシングテープに配列された、ダイ51の特徴点(箇所)の位置、ダイ51の外径寸法、ダイ51の接合面の状態を求める。このように、ダイ観察カメラ311は、制御部CNTと協同して、ダイ51の特徴点の位置、ダイ51の外径寸法、ダイ51の接合面の状態を計測する機能を実現する。
【0029】
ボンディング部4は、ステージ定盤41と、上部ベース42と、を含む。ステージ定盤41の上には、基板ステージ43が搭載されている。基板ステージ43は、リニアモーターなどの駆動機構(不図示)によって、X方向及びY方向に関して駆動可能に構成されている。また、基板ステージ43は、Z方向に平行な軸周りの回転に関して駆動可能に構成されていてもよい。但し、基板ステージ43をZ方向に平行な軸周りの回転に関して駆動する代わりに、ボンディングヘッド423がダイ51をZ方向に平行な軸周りの回転に関して駆動してもよい。
【0030】
基板ステージ43には、ダイ観察カメラ431(第1カメラ)が設けられている。ダイ観察カメラ431は、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を撮像して画像を取得する。制御部CNTは、ダイ観察カメラ431で取得された画像から、ボンディングヘッド423によって保持された、ダイ51の特徴点(箇所)の位置、ダイ51の外径寸法、ダイ51の接合面の状態を求める。このように、ダイ観察カメラ431は、制御部CNTと協同して、ダイ51の特徴点の位置、ダイ51の外径寸法、ダイ51の接合面の状態を計測する機能を実現する。基板ステージ43には、バーミラー432が設けられている。バーミラー432は、干渉計422のターゲットとして用いられる。基板ステージ43は、基板チャック433を介して、基板6を保持する。
【0031】
上部ベース42には、基板観察カメラ421が設けられている。基板観察カメラ421は、基板ステージ43(基板チャック433)によって保持された基板6を撮像して画像を取得する。制御部CNTは、基板観察カメラ421で取得された画像から、基板ステージ43によって保持された、基板6の特徴点(箇所)の位置及び基板6の接合面の状態を求める。このように、基板観察カメラ421は、制御部CNTと協同して、基板6の特徴点(箇所)の位置及び基板6の接合面の状態を計測する機能を実現する。基板観察カメラ421は、例えば、計測光として赤外光を用いて、基板上又は基板内部に構成された素子パターンやマークを計測可能なカメラであってもよい。
【0032】
上部ベース42には、更に、バーミラー432を用いて基板ステージ43の位置を計測するための干渉計422、及び、ピックアップヘッド31から渡されるダイ51を保持するボンディングヘッド423が設けられている。
【0033】
基板6(の接合対象箇所)に対してダイ51を接合する際には、例えば、ボンディングヘッド423を下方(-Z方向)に駆動することで、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を、基板ステージ43によって保持された基板6に接合させる。また、基板ステージ43又は基板チャック433を上方(+Z方向)に駆動することで、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を、基板ステージ43によって保持された基板6に接合させてもよい。
【0034】
本実施形態では、ピックアップヘッド31がダイ51を180度回転させてボンディングヘッド423に渡す構成を採用している。但し、ピックアップヘッド31とボンディングヘッド423との間に1つ以上のダイ保持部を設け、ピックアップヘッド31からダイ保持部にダイ51を渡し、ダイ保持部からボンディングヘッド423にダイ51を渡してもよい。また、ボンディングヘッド423を駆動する駆動機構を設けて、ボンディングヘッド423がピックアップヘッド31からダイ51を受けるように、ボンディングヘッド423を駆動してもよい。なお、接合装置BDは、生産性を向上させるために、複数のピックアップヘッド、複数のリリースヘッド、複数のボンディングヘッドを有していてもよい。
【0035】
図2は、基板ステージ43を+Z方向から示す上面図である。基板6は、基板チャック433を介して、基板ステージ43によって保持される。基板6又は基板ステージ43は、互いに直交又は交差するX方向及びY方向、及び、それらに直交するZ方向に平行な軸周りの回転に関して位置決めされる。従って、基板ステージ43には、バーミラー432、詳細には、バーミラー432aと、432bとが設けられている。バーミラー432aは、干渉計422a及び422cのターゲットとして用いられる。制御部CNTは、干渉計422aからの出力に基づいて基板ステージ43のX方向の位置を求め、干渉計422a及び422cからの出力に基づいて基板ステージ43のZ方向に平行な軸周りの回転(回転量)を求めることが可能である。バーミラー432bは、干渉計422bのターゲットとして用いられる。制御部CNTは、干渉計422bからの出力に基づいて基板ステージ43のY方向の位置を求めることが可能である。制御部CNTは、干渉計422a、422b及び422cからの出力に基づいて、X方向、Y方向、及び、それらに直交するZ方向に平行な軸周りの回転に関して、基板6又は基板ステージ43をフィードバック制御する。このように、干渉計422及び制御部CNTは、基板6又は基板ステージ43を位置決めする位置決め機構として機能する。
【0036】
基板ステージ43(の上面)には、基準プレート434が設けられている。基準プレート434には、本実施形態では、複数のマーク434a、434b及び434cが配置(描画)されている。基準プレート434は、熱膨張率が低い材料で構成され、高い位置精度でマーク434a、434b及び434cが描画されている。例えば、基準プレート434は、石英基板で構成され、その上に、半導体リソグラフィー工程の描画方法を用いてマーク434a、434b及び434cが描画されている。基準プレート434は、基板6の表面と略同一高さの表面を有し、基板観察カメラ421で観察可能であるが、基準プレート434を観察するためのカメラが別に設けられてもよい。
【0037】
基板ステージ43は、大きな範囲で駆動される粗動ステージと、小さな範囲で高精度に駆動される微動ステージとを組み合わせた構成を有していてもよい。かかる構成では、ダイ観察カメラ431、バーミラー432a及び432b、基板チャック433及び基準プレート434は、高精度な位置決めを実現するために、微動ステージに設けられる。
【0038】
ここで、基準プレート434を用いて、基板ステージ43の原点位置、倍率、X軸及びY軸の方向(回転)と直交度を保証する方法について説明する。マーク434aを基板観察カメラ421で観察し、基板観察カメラ421で取得される画像の中心にマーク434aが位置するときの干渉計の計測値(出力値)を、基板ステージ43の原点とする。次いで、マーク434bを基板観察カメラ421で観察し、基板観察カメラ421で取得される画像の中心にマーク434bが位置するときの干渉計の計測値に基づいて、基板ステージ43のY軸の方向(回転)及びY方向の倍率を決定する。次に、マーク434cを基板観察カメラ421で観察し、基板観察カメラ421で取得される画像の中心にマーク434cが位置するときの干渉計の計測値に基づいて、基板ステージ43のX軸の方向(回転)及びX方向の倍率を決定する。
【0039】
このように、基準プレート434のマーク434bからマーク434aの方向を接合装置BDのY軸、マーク434cからマーク434aの方向を接合装置BDのX軸として、軸の方向と直交度とのキャリブレーションを行うことができる。また、マーク434bとマーク434aとの間隔を接合装置BDのY軸のスケール基準、マーク434cとマーク434aとの間隔を接合装置BDのX軸のスケール基準としてキャリブレーションを行うことができる。
【0040】
干渉計においては、気圧変動や温度変動に起因する光路の屈折率の変化によって、計測値が変動してしまう。従って、任意のタイミングでキャリブレーションを行い、基板ステージ43の原点位置、倍率、X軸及びY軸の方向(回転)と直交度を保証することが望ましい。なお、干渉計の計測値の変動を低減するために、基板ステージ43が配置された空間を温調チャンバーで覆い、温調チャンバーの内部の温度を制御するようにしてもよい。
【0041】
本実施形態では、基板ステージ43に設けられた基準プレート434を基板観察カメラ421で観察する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基準プレート434を上部ベース42に設け、上部ベース42に設けられた基準プレート434をダイ観察カメラ431で観察することで、基板ステージ43の原点位置、倍率、X軸及びY軸の方向(回転)と直交度を保証してもよい。また、基準プレート434を観察してキャリブレーションを行うことに代えて、例えば、基準面への突き当て動作によるキャリブレーションを行ってもよいし、白色干渉計などの絶対値が保証されている位置計測器を用いて高精度な位置決めを行ってもよい。
【0042】
図3を参照して、接合装置BDの第1実施形態における動作、即ち、基板6にダイ51を接合させる接合動作(接合方法)について説明する。かかる接合動作は、上述したように、制御部CNTが接合装置BDの各部を統括的に制御することで行われる。
【0043】
S1001では、接合装置BDに基板6を搬入し、基板ステージ43(基板チャック433)によって基板6を保持する。基板6の接合面(及びダイ51の接合面)に異物が付着すると接合不良を引き起こすため、接合装置BDの内部(空間)は、例えば、クラス1程度の高い清浄度に維持されている。更に、基板6は、高い清浄度を維持するために、FOUPなどの密閉度が高く、且つ、高い清浄度が維持された容器に収容され、かかる容器から接合装置BDに搬入される。また、清浄度を高めるために、接合装置BDに基板6を搬入した後に、接合装置BDの内部で基板6を洗浄してもよい。接合装置BDに搬入された基板6に対しては、接合のための前処理も実施される。例えば、基板6とダイ51とを接着剤によって接合する場合には、基板6に接着剤を塗布する処理が実施され、基板6とダイ51とをバイブリッドボンディングによって接合する場合には、基板6の接合面(表面)を活性化させる処理が実施される。基板6は、プリアライナーによって、ノッチ又はオリフラと、基板6の外形位置とに基づいてラフにアライメントされ、基板チャック433を介して、基板ステージ43に保持される。
【0044】
S1002では、基板アライメントを行う。具体的には、基板ステージ43によって保持された基板6を基板観察カメラ421で撮像して画像を取得し、かかる画像に基づいて、基板6の特徴点の位置を求めて、基板6の接合面の位置が決定される。なお、基板6の特徴点の位置と基板6の接合面との位置関係(相対位置)は、既知である。基板6を基板観察カメラ421で撮像するためのフォーカス調整は、例えば、基板観察カメラ421に含まれているフォーカス調整機構によって実現される。また、基板6を基板観察カメラ421で撮像するためのフォーカス調整は、基板ステージ43(によって保持された基板6)をZ方向に駆動することによって実現されてもよい。基板6には、アライメントマークが形成されている場合が多いが、アライメントマークが形成されていない場合には、基板6の位置を特定可能な特徴点を計測すればよい。例えば、制御部CNTは、基板観察カメラ421で取得される画像の中心に対する基板6の特徴点(の像)の相対位置を、基板6の特徴点の位置として求める。
【0045】
接合装置BDの基準点に対するマークの相対位置を高精度に計測するために、オフセット量を事前に求めてもよい。具体的には、基準プレート434のマークが基板観察カメラ421の視野に入るように基板ステージ43を駆動し、かかるマークの位置を基板観察カメラ421で計測する。この際の基板ステージ43の位置と、基板観察カメラ421で計測されたマークの位置とに基づいて、基板観察カメラ421で計測されるマークの位置に対するオフセット量を決定する。なお、接合装置BDの基準点は、一般的には、基準プレート434の特定のマークの位置とされることが多いが、基準となる位置であれば別の位置(例えば、基板ステージ43の原点位置)でもよい。
【0046】
また、干渉計422による回転方向の計測範囲は狭いため、基板ステージ43によって補正可能な回転量は小さい。従って、基板6の回転量が大きい場合には、基板ステージ43から基板6を取り外し、基板6の回転を補正してから、基板ステージ43で基板6を再度保持することが好ましい。このように、基板ステージ43において基板6を保持しなおした場合には、基板アライメントを再度行う必要がある。なお、基板アライメントでは、フォーカス調整の間に、或いは、高さ計測器(不図示)を用いて、基板6の接合面の高さ方向(Z方向)の位置(所謂、表面位置)を計測するとよい。基板6の厚さにはバラツキがあり、接合動作の際に基板6とダイ51との間のギャップを高精度に管理(制御)するためには、基板6の表面位置を計測することが有利となる。
【0047】
基板ステージ43は、基準プレート434を用いて、基板ステージ43の原点位置、倍率、X軸及びY軸の方向(回転)と直交度が保証されるため、基板ステージ43の原点位置、X軸、Y軸を基準として、基板6の特徴点の位置が計測される。基板6には、接合対象箇所となる半導体デバイスが一定の周期で形成されている。これらの半導体デバイスは、複数の層が半導体製造装置で高精度に位置決めされて形成されているため、一般的には、ナノレベルの精度を有する周期で繰り返して配列している。従って、基板アライメントでは、基板6の全ての接合対象箇所(半導体デバイス)のそれぞれに対応する特徴点の位置を計測する必要はない。例えば、制御部CNTは、基板6の接合対象箇所の数よりも少ない数の計測対象箇所の位置を計測し、その計測結果を統計処理することで、基板6の複数の接合対象箇所の位置を決定してもよい。なお、基板6の計測対象箇所は、半導体デバイスの配列情報に基づいて決定することができる。制御部CNTは、基板6の複数の接合対象箇所の位置を決定するために、計測対象箇所の位置の計測結果に基づいて、接合対象箇所の繰り返し配列の原点位置と、X軸及びY軸の方向の回転量及び直交度と、繰り返し周期の倍率誤差を求めればよい。
【0048】
また、基板ステージ43(基板チャック433)は、基板6の温度を調整する温調機能を有することが好ましい。これは、例えば、シリコンウエハを考えると、その熱膨張係数が3ppm/度であり、300mm径の場合、温度が1度上昇すると、最外周で150mm×0.000003=0.00045mm=450nmの変位が生じてしまうからである。基板アライメントを行った後に基板6の接合対象箇所が変位すると、高い位置精度で接合を行うことができないため、基板ステージ43によって保持された基板6の温度を0.1度以下の精度で安定させることが好ましい。
【0049】
また、基板6が、配線が形成されたインターポーザである場合には、基板6の接合対象箇所は、半導体デバイスの配列ではなく、繰り返し形成されている配線の配列に基づいて決定される。なお、基板6が、パターンを有していないウエハ又はパネルである場合には、基板アライメントは行われない。
【0050】
基板6の搬入(S1001)及び基板アライメント(S1002)と並行して、或いは、その後に実施されるダイ51に関する処理を説明する。
【0051】
S2001では、接合装置BDに、ダイサーで個片化されたダイ51がダイシングテープに配列されたダイシングフレーム5を搬入する。一般的に、ダイシングフレーム5は、密封されていないマガジンで運搬される。但し、ダイ51の接合面に異物が付着すると接合不良を引き起こすため、ダイシングフレーム5は、密閉度が高く、且つ、高い清浄度で維持された容器で運搬するとよい。また、清浄度を高めるために、接合装置BDの内部において、ダイシングフレーム5に貼られたダイシングテープに配列されたダイ51を洗浄してもよい。ダイシングフレーム5は、プリアライナー(不図示)によって、その外形基準で、回転方向とシフト位置がラフに位置決めされている。
【0052】
S2002では、ピックアップヘッド31及びリリースヘッド32によって、ダイシングフレーム5(ダイシングテープ)からダイ51をピックアップする。具体的には、ピックアップすべきダイ51がピックアップヘッド31とリリースヘッド32との間に位置する(挟まれる)ように、ピックアップヘッド31及びリリースヘッド32を位置決めする。そして、ピックアップすべきダイ51を、ピックアップヘッド31で吸引しながら、リリースヘッド32によってダイシングレームから剥離することで、ピックアップヘッド31で保持する。ピックアップすべきダイ51は、例えば、接合装置BDに対してオンラインで伝達される良品ダイ(KGD:Known Good Die)情報に基づいて決定される。通常は、良品ダイのみがピックアップされるが、基板6の不良な接合対象箇所(不良な半導体デバイス)に不良ダイ(KBD:Known Bad Die)を接合する場合には、不良ダイがピックアップされる。
【0053】
S2003では、ピックアップヘッド31によって保持されたダイ51をボンディングヘッド423に移載(搬送)し、かかるダイ51をボンディングヘッド423によって保持する。
図4は、ボンディングヘッド423がダイ51を保持した状態を模式的に示す図である。ピックアップヘッド31によってダイ51をピックアップする際は、ダイ51の接合面51aがピックアップヘッド31に対向している。一方、ボンディングヘッド423に対しては、基板6の接合面51aの反対側の非接合面51bがボンディングヘッド423に対向するようにダイ51が搬送される。従って、ボンディングヘッド423は、
図4に示すように、非接合面51bを吸引することで、接合面51aを基板6に対向させてダイ51を保持する。なお、ダイ51の接合面51aには、素子パターン501やアライメントマーク502が形成されている。
【0054】
ボンディングヘッド423に対するダイ51の移載は、ピックアップヘッド31がボンディングヘッド423に対して直接行ってもよいし、ダイ保持部を介して行ってもよい。また、ダイ51を搬送している間において、ダイ51(の接合面51a)に対して、基板6とダイ51との接合のための前処理を実施してもよい。前処理は、例えば、ダイ51(の接合面51a)の洗浄処理、接着剤による接合の場合には、接着剤の塗布処理、ハイブリッドボンディングによる接合の場合には、ダイ51の接合面51aを活性化させる処理を含む。
【0055】
S1001、S1002、S2001、S2002及びS2003の処理によって、
図4に示すように、基板6が基板ステージ43(基板チャック433)によって保持され、ダイ51がボンディングヘッド423によって保持された状態となる。
【0056】
S1003では、ダイアライメントを行う。まず、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の位置を計測する。具体的には、ダイ観察カメラ431の視野にダイ51の特徴点、例えば、ダイ51の接合面51aの素子パターン501やアライメントマーク502が入るように、基板ステージ43を駆動する。ダイ51をダイ観察カメラ431で撮像するためのフォーカス調整は、例えば、ダイ観察カメラ431に含まれているフォーカス調整機構によって実現されてもよいし、基板ステージ43(ダイ観察カメラ431)をZ方向に駆動することによって実現されてもよい。なお、半導体製造工程でアライメントに用いられるアライメントマークが形成されたスクライブラインは、ダイシングによって除去されるため、ダイ51は、アライメントマーク502を有していない場合もある。このような場合には、ダイ51に配置されたパッド又はバンプの配列の終端部や非周期的な配列においてダイ51の位置を特定可能な領域や外形を特徴点として、ダイ51の位置を計測してもよい。
【0057】
接合部CNTは、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51をダイ観察カメラ431で撮像して取得される画像の中心に対するダイ51の特徴点(の像)の相対位置を、ダイ51の特徴点の位置として求める。ダイ51の位置を計測する際には、ダイ51の複数の特徴点の位置を計測して、ダイ51の回転(回転量)も計測するとよい。ダイ51の複数の特徴点の位置を計測するために、各特徴点の位置を計測する度に基板ステージ43を駆動してもよいし、複数の特徴点を一度に観察できるようにダイ観察カメラ431の視野が設計されてもよい。
【0058】
ダイ51の回転は、ダイ51を基板6に接合させる際に基板ステージ43を回転させることによって補正することが可能である。但し、上述したように、干渉計422による回転方向の計測範囲は狭いため、基板ステージ43によって補正可能な回転量は小さい。従って、ダイ51の回転量が大きい場合には、ボンディングヘッド423からダイ51を取り外し、ダイ51の回転を補正してから、ボンディングヘッド423でダイ51を再度保持することが好ましい。このように、ボンディングヘッド423においてダイ51を保持しなおした場合には、ダイアライメントを再度行う必要がある。
【0059】
なお、ダイアライメントでは、フォーカス調整の間に、或いは、高さ計測器(不図示)を用いて、ダイ51の接合面51aの高さ方向(Z方向)の位置(所謂、表面位置)を計測するとよい。ダイ51の厚さにはバラツキがあり、接合動作の際に基板6とダイ51との間のギャップを高精度に管理(制御)するためには、ダイ51の表面位置を計測することが有利となる。
【0060】
また、ダイ51の複数の位置の高さを計測し、ダイ51を基板6に接合させる際に、ダイ51又は基板6の姿勢を、チルト機構(不図示)によって調整してもよい。かかるチルト機構は、例えば、基板ステージ43、基板チャック433又はボンディングヘッド423に組み込まれる。
【0061】
ダイアライメントでは、ダイ51の特徴点の位置に基づいて、ダイ51の外形形状と、ダイ51の特徴点(例えば、素子パターン501やアライメントマーク502)の位置との関連付けも行われる。このようにして関連付けられたダイ51の外形形状と特徴点との相対的な位置関係を示す情報を含む位置情報は、接合装置BDが有する記憶部(不図示)に記憶させる。なお、かかる位置情報は、接合装置BDの外部から接合装置BDが有する記憶部に入力して記憶させてもよい。
【0062】
また、ダイアライメントでは、制御部CNTにおいて、ダイ観察カメラ431で取得された画像に基づいて、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aの状態(品質)を判定する。ここで、ダイ51の接合面51aの状態とは、ダイ51の接合面51aの良否に関する状態を意味する。ダイ51の接合面51aの状態は、例えば、接合面51aの外形の欠けの有無、接合面51aに形成されている素子パターン501の位置ずれの有無、接合面51aに形成されている素子パターン501の欠けの有無、接合面51aへの異物の付着の有無などを含む。
【0063】
例えば、ハイブリッドボンディングを考えると、ダイシングフレーム5からボンディングヘッド423にダイ51を搬送している間に接合面51aに異物が付着した場合、基板6に対するダイ51の接合強度が低下する可能性がある。従って、ダイ51を基板6に接合させる前(直前)に、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aの状態を判定することが重要となる。
【0064】
そこで、本実施形態では、ダイ51を基板6に接合させる前(直前)に、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51(の接合面51a)をダイ観察カメラ431で撮像して取得された画像に基づいて、接合面51aの状態を判定する。例えば、ダイ観察カメラ311で取得された画像と、ダイ観察カメラ431で取得された画像とを比較することによって、ダイ51の接合面51aの状態を判定することが可能である。ここで、ダイ観察カメラ311で取得される画像は、ダイシングテープからピックアップする前、即ち、ボンディングヘッド423によって保持される前のダイ51の画像に相当する。
【0065】
具体的には、
図5に示すように、ダイ観察カメラ311で取得された画像IM1と、ダイ観察カメラ431で取得された画像IM2、IM3、IM4又はIM5とを比較する。これにより、画像IM1と画像IM2とが比較された場合には、接合面51aの外形の欠けが検知され、画像IM1と画像IM3とが比較された場合には、接合面51aに形成されている素子パターン501の位置ずれが検知される。また、画像IM1と画像IM4とが比較された場合には、接合面51aに形成されている素子パターン501の欠けが検知され、画像IM1と画像IM5とが比較された場合には、接合面51aへの異物の付着が検知される。このような状態が検知された場合には、ダイ51の接合面51aの状態が不良であると判定し、このような状態が検知されない場合には、ダイ51の接合面51aの状態が良好であると判定する。なお、ダイ観察カメラ311で取得された画像IM1の代わりに、接合面51aの状態が良好であるダイ51を撮像して取得された基準画像を用いても、ダイ51の接合面51aの状態を判定することができる。
図5は、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aの状態を判定する手法を説明するための図である。
【0066】
本実施形態では、ダイ51の接合面51の状態の判定に用いるダイ51(の接合面51a)の画像が、ボンディングヘッド423に対してダイ51がアライメントされた状態においてダイ観察カメラ431で取得された画像であるものとして説明した。但し、実際には、ダイ観察カメラ431で画像を取得する際に、ボンディングヘッド423に対してダイ51がアライメントされた状態であるとは限らない。ボンディングヘッド423に対してダイ51がアライメントされていない場合には、
図6に示すように、ダイ観察カメラ431で取得された画像IM7に対して画像処理を施す必要がある。具体的には、ダイ観察カメラ431で取得された画像IM7から、ボンディングヘッド423に対するダイ51のアライメントに必要となるアライメント量を求め、かかるアライメント量に基づいて、画像IM7に対して画像処理を施す。そして、ダイ観察カメラ431で取得された画像IM7を画像処理して得られた結果である画像IM8に基づいて、ダイ51の接合面51の状態を判定すればよい。
図6は、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aの状態を判定する手法を説明するための図である。
【0067】
図3に戻って、S1004では、基板6とダイ51とを接合するための位置決めを行う。具体的には、基板6の接合対象箇所に対してダイ51が位置決めされるように、基板ステージ43を駆動する。この際、制御部CNTは、干渉計422による計測結果に基づいて、基板ステージ43(の位置)をフィードバック制御する。また、S1002及びS1003で得られた基板6の位置や回転量及びダイ51の位置や回転量を反映して、基板ステージ43の目標位置を決定する。更に、ダイ51を基板6に接合させる接合動作に起因するシフトが発生する場合には、かかるシフト分をオフセット量として考慮して、基板ステージ43の目標位置を決定する。
【0068】
S1005では、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を、基板ステージ43(基板チャック433)によって保持された基板6に接合させる。本実施形態では、ダイアライメント(S1003)において、接合面51aの状態が良好であると判定さている場合に、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を基板6に接合させる。一方、ダイアライメント(S1003)において、接合面51aの状態が不良であると判定さている場合には、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を基板6に接合させない。
【0069】
ダイ51と基板6とを接合させるための動作としては、ボンディングヘッド423を昇降させてもよいし、基板ステージ43(基板チャック433)を昇降させてもよい。ボンディングヘッド423や基板ステージ43を昇降する際の位置決め精度の低下を抑制するために、ボンディングヘッド423や基板ステージ43には、高い再現性を有する昇降駆動系を採用することが好ましい。また、フィードバック制御を継続しながら基板ステージ43を昇降する場合には、バーミラー432が干渉計422の光路から外れないように、バーミラー432のZ方向の幅を設計すればよい。一方、ボンディングヘッド423を昇降させる場合には、エンコーダー又はギャップセンサーでボンディングヘッド423のX方向の位置ずれやY方向の位置ずれをモニターしながらフィードバック制御すればよい。また、基板6とダイ51との間のギャップを高精度に制御するために、昇降駆動系のZ軸方向の位置を計測するリニアエンコーダが設けられていてもよい。基板6とダイ51とが接触すると、干渉計422を用いてフィードバック制御されている基板ステージ43が拘束されてしまうため、フィードバック制御を停止するなど、接触の前後において制御方法を異ならせてもよい。ここでは、基板6の接合対象箇所にダイ51を接触させるまでを説明したが、バンプ接合では、所定の圧着圧で基板6にダイ51を押し付けるなどの接合に必要な処理が追加される。また、ダイ51を基板6に接合させた後に、ダイ51と基板6との接合状態を観察する処理が追加されてもよい。
【0070】
S1006では、基板6の全ての接合対象箇所にダイ51を接合させたかどうかを判定する。一般的に、基板6には、数十個から数百個の接合対象箇所(半導体デバイス)が存在し、各接合対象箇所にダイ51が接合されるため、基板6に対するダイ51の接合は複数回繰り返される。基板6の全ての接合対象箇所にダイ51を接合させていない場合には、基板6の次の接合対象箇所にダイ51を接合させるために、S2002に移行する。なお、本実施形態では、接合(S1005)の後に、基板6の全ての接合対象箇所にダイ51を接合させたかどうかを判定し、ダイ51のピックアップ(S2002)を行う。但し、ダイ51のピックアップ(S2002)は、ダイアライメント(S1003)から接合(S1005)までの間に並行して実施されてもよい。また、1つの接合対象箇所(半導体デバイス)に複数種類のダイが接合される場合は、1つの種類のダイの接合が1つの基板6の全ての接合対象箇所に対して終了した後に、次の種類のダイの接合が開始される。この場合、S2002では、次の種類のダイがピックアップされる。この際、次の種類のダイに対応するダイシングフレームの搬入動作など必要な処理が実施される。
【0071】
基板6の全ての接合対象箇所にダイ51を接合させた場合には、S1007に移行する。S1007では、接合装置BDから、ダイ51が接合された基板6を搬出する。基板6は、FOUPに戻されてもよいし、別の容器に戻されてもよい。但し、一般的には、ダイ51を接合することによって基板6の厚さが変化し、基板6を保管する際に基板間の隙間を接合前の基板に比べて広げる必要があるため、別の容器に戻される。
【0072】
本実施形態では、1つの基板6に対して複数のダイ51を接合する接合動作について説明したが、かかる接合動作は、必要な数の基板6に対して繰り返される。なお、ダイシングフレーム5に貼られたダイシングテープに配列されたダイ51の数は基板6の接合対象箇所(半導体デバイス)の数と一般的に異なるため、基板6の搬入とダイシングフレーム5の搬入とは同期しない。1つの基板6に対してダイ51を接合している間に、ダイシングフレーム5からダイ51がなくなれば、ダイシングフレーム5を新たに搬入する。また、1つの基板6の全ての接合対象箇所にダイ51が接合されてもダイシングフレーム5にダイ51が残っていれば、それらのダイ51は次の基板6に対する接合に用いられる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、基板6にダイ51を接合する直前において、ダイ51の接合面51aの状態(の良否)を判定することが可能である。例えば、ダイシングフレーム5からボンディングヘッド423にダイ51を搬送している間に不良となるダイ51を判定することができる。従って、本実施形態では、基板6にダイ51を接合させるのに有利な接合装置BDを提供することができる。
【0074】
<第2実施形態>
ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aに異物が付着している場合、接合装置BDの内部において、ダイ51の接合面51aに付着している異物を除去するためのクリーニングを行うことが好ましい。従って、接合装置BDには、
図7に示すように、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aに付着している異物を除去するためのクリーニングを行うクリーニング部435が設けられていてもよい。
図7は、接合装置BDのボンディング部4の構成を模式的に示す図である。
【0075】
クリーニング部435は、ボンディング部4において、例えば、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51(の接合面51a)に対向するように、基板ステージ43に設けられる。クリーニング部435は、本実施形態では、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aに対してエアを吹き付けることで(即ち、エアブローによって)、ダイ51の接合面51aに付着している異物を除去する。従って、クリーニング部435は、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aに付着している異物を吹き飛ばすことが可能な位置に配置すればよく、例えば、ステージ定盤41や上部ベース42に配置されていてもよい。なお、接合装置BDにクリーニング部435を設ける際には、クリーニング部435によってダイ51の接合面51aから吹き飛ばされた異物を接合装置BDから排出する機構(例えば、バキューム機構)も設けることが好ましい。
【0076】
図8を参照して、接合装置BDの第2実施形態における動作、即ち、基板6にダイ51を接合させる接合動作(接合方法)について説明する。かかる接合動作は、上述したように、制御部CNTが接合装置BDの各部を統括的に制御することで行われる。本実施形態における接合動作は、第1実施形態における接合動作(
図3)と比較して、ダイアライメント(S1003)と位置決め(S1004)との間に、S3001、S3002及びS3003の処理を含む点で異なる。
【0077】
S3001では、ダイアライメント(S1003)におけるダイ51の接合面51aの状態の判定(結果)に基づいて、ダイ51の接合面51aに異物が付着しているかどうかを判定する。ダイ51の接合面51aに異物が付着していない場合には、S1004に移行する。一方、ダイ51の接合面51aに異物が付着している場合には、S3002に移行する。
【0078】
S3002では、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aのクリーニングを行う。具体的には、
図7に示すように、クリーニング部435がボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aに対向するように、基板ステージ43を駆動する。そして、ダイ51の接合面51aに対して、クリーニング部435からエアを吹き付けることで、ダイ51の接合面51aに付着している異物を除去する。なお、クリーニング部435によってダイ51の接合面51aから吹き飛ばした異物は、バキューム機構によって、接合装置BDから排出することが好ましい。
【0079】
S3003では、クリーニング部435によって異物が除去されたダイ51の接合面51aの状態を判定(確認)することを目的として、S1003と同様に、ダイアライメントを行う。
【0080】
このように、本実施形態によれば、基板6にダイ51を接合する直前において、ダイ51の接合面51aに異物が付着している場合には、かかる異物を除去して、接合面51aの状態を良好にすることができる。従って、本実施形態では、基板6にダイ51を接合させるのに有利な接合装置BDを提供することができる。
【0081】
<第3実施形態>
ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aの状態が不良である場合には、かかるダイ51を廃棄する必要がある。従って、接合装置BDには、
図9に示すように、接合面51aの状態が不良であると判定されたダイ51を、ボンディングヘッド423から受け取って収容する収容部436が設けられていてもよい。
図9は、接合装置BDのボンディング部4の構成を模式的に示す図である。
【0082】
収容部436は、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51を、ボンディングヘッド423から受け取ることが可能な構造を有し、複数のダイ51を収容可能に構成されている。収容部436は、本実施形態では、基板ステージ43に設けられているが、ボンディングヘッド423からダイ51を受け取ることが可能な位置に設けられていればよい。ボンディングヘッド423から収容部436にダイ51を渡すのではなく、ボンディングヘッド423から、ピックアップヘッド31を介して、収容部436にダイ51を渡すようにしてもよい。この場合、収容部436は、ピックアップヘッド31からダイ51を受け取ることが可能な位置に設けられる。収容部436は、接合装置BDから容易に取り外し可能に固定され、接合面51aの状態が不良であると判定されたダイ51を収納した状態で取り外し可能な構造を有することが好ましい。
【0083】
図10を参照して、接合装置BDの第3実施形態における動作、即ち、基板6にダイ51を接合させる接合動作(接合方法)について説明する。かかる接合動作は、上述したように、制御部CNTが接合装置BDの各部を統括的に制御することで行われる。本実施形態における接合動作は、第1実施形態における接合動作(
図3)と比較して、ダイアライメント(S1003)と位置決め(S1004)との間に、S4001、S4002及びS4003の処理を含む点で異なる。
【0084】
S4001では、ダイアライメント(S1003)におけるダイ51の接合面51aの状態の判定(結果)に基づいて、ダイ51の接合面51aの状態が良好であるか、即ち、ダイ51が良品であるかどうかを判定する。ダイ51が良品である場合には、S1004に移行する。一方、ダイ51が良品でない場合(即ち、ダイ51が不良品である場合)には、S4002に移行する。
【0085】
S4002では、収容部436がボンディングヘッド423の下方に位置するように、基板ステージ43を駆動する。
【0086】
S4003では、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51(不良品)を、ボンディングヘッド423から収容部436に渡して(移載して)、収容部436で収容する。
【0087】
このように、本実施形態によれば、基板6にダイ51を接合する直前において、不良品と判定されたダイ51を収容部436に収容して廃棄することが可能となる。従って、本実施形態では、基板6にダイ51を接合させるのに有利な接合装置BDを提供することができる。
【0088】
<第4実施形態>
第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて接合装置BDを動作させることも可能である。
図11を参照して、接合装置BDの第4実施形態における動作、即ち、基板6にダイ51を接合させる接合動作(接合方法)について説明する。かる接合動作は、上述したように、制御部CNTが接合装置BDの各部を統括的に制御することで行われる。本実施形態における接合動作は、第1実施形態における接合動作(
図3)と比較して、ダイアライメント(S1003)と位置決め(S1004)との間に、S3001、S3002、S3003、S4001、S4002及びS4003の処理を含む点で異なる。
【0089】
S3001では、ダイアライメント(S1003)におけるダイ51の接合面51aの状態の判定(結果)に基づいて、ダイ51の接合面51aに異物が付着しているかどうかを判定する。ダイ51の接合面51aに異物が付着していない場合には、S4001に移行する。一方、ダイ51の接合面51aに異物が付着している場合には、S3002に移行する。
【0090】
S3002では、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51の接合面51aのクリーニングを行う。
【0091】
S3003では、クリーニング部435によって異物が除去されたダイ51の接合面51aの状態を判定(確認)することを目的として、S1003と同様に、ダイアライメントを行う。
【0092】
S4001では、ダイアライメント(S1003又はS3003)におけるダイ51の接合面51aの状態の判定(結果)に基づいて、ダイ51の接合面51aの状態が良好であるか、即ち、ダイ51が良品であるかどうかを判定する。ダイ51が良品である場合には、S1004に移行する。一方、ダイ51が良品でない場合(即ち、ダイ51が不良品である場合)には、S4002に移行する。
【0093】
S4002では、収容部436がボンディングヘッド423の下方に位置するように、基板ステージ43を駆動する。
【0094】
S4003では、ボンディングヘッド423によって保持されたダイ51(不良品)を、ボンディングヘッド423から収容部436に渡して(移載して)、収容部436で収容する。
【0095】
このように、本実施形態によれば、基板6にダイ51を接合する直前において、ダイ51の接合面51aに異物が付着している場合には、かかる異物を除去して、接合面51aの状態を良好にすることができる。また、基板6にダイ51を接合する直前において、不良品と判定されたダイ51を収容部436に収容して廃棄することが可能となる。従って、本実施形態では、基板6にダイ51を接合させるのに有利な接合装置BDを提供することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、第2実施形態で説明した処理(S3001、S3002及びS3003)を行った後に、第3実施形態で説明した処理(S4001、S4002及びS4003)を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、第3実施形態で説明した処理(S4001、S4002及びS4003)を行った後に、第2実施形態で説明した処理(S3001、S3002及びS3003)を行ってもよい。
【0097】
<第5実施形態>
上述した実施形態における接合装置BDを用いて物品(半導体IC素子、液晶表示素子、MEMSなど)を製造する製造方法について説明する。物品は、第1物体を準備する工程と、第2物体を準備する工程と、接合装置BD(接合方法(接合動作))を用いて第1物体と第2物体を接合して接合物を形成する工程と、接合された接合物を他の周知の工程で処理することにより製造される。他の周知の工程には、プロービング、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0098】
本明細書の開示は、以下の接合装置、接合方法及び物品の製造方法を含む。
【0099】
(項目1)
第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、
前記第2物体を保持して当該第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドと、
前記ヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する第1カメラと、
前記ヘッドに対して前記第2物体がアライメントされた状態において前記第1カメラで取得された画像に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する制御部と、
を有する、ことを特徴とする接合装置。
【0100】
(項目2)
前記ヘッドによって保持される前の前記第2物体を撮像して画像を取得する第2カメラを更に有し、
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像と、前記第2カメラで取得された画像とを比較することによって、前記接合面の状態を判定する、ことを特徴とする項目1に記載の接合装置。
【0101】
(項目3)
前記第2物体は、フレームに貼られたテープによって保持された状態で前記接合装置に搬入され、
前記第2カメラは、前記テープによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する、
ことを特徴とする項目2に記載の接合装置。
【0102】
(項目4)
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像と、前記接合面の状態が良好である前記第2物体を撮像して取得された基準画像とを比較することによって、前記接合面の状態を判定する、ことを特徴とする項目1に記載の接合装置。
【0103】
(項目5)
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像から、前記接合面への異物の付着が検知された場合に、前記接合面の状態が不良であると判定する、ことを特徴とする項目1乃至4のうちいずれか1項目に記載の接合装置。
【0104】
(項目6)
前記ヘッドによって保持された前記第2物体の前記接合面に付着している異物を除去するためのクリーニングを行うクリーニング部を更に有する、ことを特徴とする項目5に記載の接合装置。
【0105】
(項目7)
前記クリーニング部は、前記ヘッドによって保持された前記第2物体の前記接合面に対向して配置され、当該接合面に対してエアを吹き付けることで当該接合面に付着している異物を除去する、ことを特徴とする項目6に記載の接合装置。
【0106】
(項目8)
前記制御部は、前記第1カメラで取得された画像から、前記接合面の外形の欠け、前記接合面に形成されているパターンの位置ずれ、前記接合面に形成されているパターンの欠け、又は、前記接合面への異物の付着が検知された場合に、前記接合面の状態が不良であると判定する、ことを特徴とする項目1乃至7のうちいずれか1項目に記載の接合装置。
【0107】
(項目9)
前記制御部によって前記接合面の状態が不良であると判定された前記第2物体を、前記ヘッドから受け取って収容する収容部を更に有する、ことを特徴とする項目1乃至8のうちいずれか1項目に記載の接合装置。
【0108】
(項目10)
第1物体に第2物体を接合させる接合装置であって、
前記第2物体を保持して当該第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドと、
前記ヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得するカメラと、
前記カメラで取得された画像から前記ヘッドに対する前記第2物体のアライメントに必要となるアライメント量を求め、前記アライメント量に基づいて当該画像を画像処理して得られた結果に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する制御部と、
を有する、ことを特徴とする接合装置。
【0109】
(項目11)
第1物体に第2物体を接合させる接合方法であって、
前記第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する工程と、
前記ヘッドに対して前記第2物体がアライメントされた状態において前記工程で取得された画像に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する工程と、
を有する、ことを特徴とする接合方法。
【0110】
(項目12)
第1物体に第2物体を接合させる接合方法であって、
前記第2物体を前記第1物体に接合させるヘッドによって保持された前記第2物体を撮像して画像を取得する工程と、
前記工程で取得された画像から前記ヘッドに対する前記第2物体のアライメントに必要となるアライメント量を求め、前記アライメント量に基づいて当該画像を画像処理して得られた結果に基づいて、前記第2物体の前記第1物体の側の接合面の状態を判定し、前記接合面の状態が不良である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させず、前記接合面の状態が良好である場合には、前記ヘッドによって保持された前記第2物体を前記第1物体に接合させるように、前記ヘッドを制御する工程と、
を有する、ことを特徴とする接合方法。
【0111】
(項目13)
第1物体を準備する工程と、
第2物体を準備する工程と、
項目11又は12に記載の接合方法に従って前記第1物体に前記第2物体を接合させた接合物を形成する工程と、
前記接合物を処理して物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【0112】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0113】
BD:接合装置 CNT:制御部 6:基板 51:ダイ 423:ボンディングヘッド 431:ダイ観察カメラ