(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178819
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】摩擦具及び熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20241218BHJP
B43K 29/02 20060101ALI20241218BHJP
B43K 23/12 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B43L19/00 C
B43K29/02 F
B43K23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097249
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】原田 耕輔
(57)【要約】
【課題】摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる摩擦具及びそれを備えた熱変色性筆記具を提供する。
【解決手段】摩擦部21と、摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3と、を備える。摩擦部21が、基部3の下面より下方に突出され且つ基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられる。摩擦操作時、基部3の下面を被筆記面に対向させ、基部3の上方から摩擦部21の周囲の基部3(透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成される。把持部4の透視部41を通して基部3の上面が視認可能に構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部を備えた摩擦具であって、
前記摩擦部と、
前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部と、を備え、
前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記基部の上方から前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする摩擦具。
【請求項2】
前記摩擦部の周囲の基部より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部を備え、
前記把持部の外部より前記把持部を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成される請求項1に記載の摩擦具。
【請求項3】
前記摩擦部の周囲の基部より上方に突出される対向側壁部よりなる把持部を備え、
前記把持部の対向側壁部の相互間に、前記把持部の外部と内部とを連通する窓孔が形成され、
前記把持部の外部より前記窓孔を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記窓孔及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成される請求項1に記載の摩擦具。
【請求項4】
前記基部より側方に設けられる把持部を備え、前記基部の上面が露出され、摩擦使用時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記基部の上面が外部より直接、視認可能に構成される請求項1に記載の摩擦具。
【請求項5】
内部に熱変色性インキが収容された軸筒と、前記軸筒の上端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記軸筒の下端部に設けられる摩擦部と、を備え、
前記摩擦部が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、
前記軸筒の下端部に、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部を備え、
前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、
前記摩擦部の周囲の基部より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部を備え、
前記把持部の外部より前記把持部を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項6】
内部に熱変色性インキが収容された軸筒と、前記軸筒の上端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記軸筒の下端部に設けられる摩擦部と、を備え、
前記摩擦部が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、
前記軸筒の下端部に、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部を備え、
前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、
前記摩擦部の周囲の基部より上方に突出される対向側壁部よりなる把持部を備え、
前記把持部の対向側壁部の相互間に、前記把持部の外部と内部を連通する窓孔が形成され、
前記把持部の外部より前記窓孔を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記窓孔及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項7】
内部に熱変色性インキが収容された軸筒と、前記軸筒の一端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記軸筒のペン先側に着脱自在に設けられるキャップと、前記キャップの下端部に設けられる摩擦部と、を備え、
前記摩擦部が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、
前記キャップの下端部に、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部を備え、
前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、
前記キャップは、前記摩擦部の周囲の基部より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部を備え、
前記把持部の外部より前記把持部を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦具及び熱変色性筆記具に関する。詳細には、被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦具及び前記摩擦具を備えた熱変色性筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、摩擦体の側面に透視部を備え、該透視部の頂部外面に弾性材料よりなる摩擦部が設けられた構成が開示されている。また、特許文献2には、筆跡等を消去する消去部と、消去部の近傍に筆記面が視認可能な可視部とからなる消去具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-95013号公報
【特許文献2】特開2014-177053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の摩擦体は、摩擦操作時、側面の透視部を介して視認側から反対側を視認できる構成であるが、透視部の向きを適正に視認側に合わせる必要があり、透視部を視認する向きによっては、摩擦部と被筆記面上の摩擦箇所の周囲とが重なって視覚され、摩擦箇所の周囲を明確に視認することができないおそれがある。
【0005】
特許文献2において、
図1及び
図2に開示の消去具は、消去時、消去部と消去部分の周囲とが重なって視覚されるおそれがあり、
図3乃至
図6に開示の消去具は、消去時、消去部分の周囲全体の視認が、直接の視認と可視部を介する視認とからなり、消去部分の周囲全体を均一に視認できないおそれがある。即ち、消去箇所の周囲を明確に視認することができないおそれがある。
【0006】
本願発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる摩擦具及びそれを備えた熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の発明は、被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部を備えた摩擦具であって、前記摩擦部と、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部と、を備え、前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記基部の上方から前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする摩擦具
である。
【0008】
前記第1の発明の摩擦具は、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0009】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の摩擦具において、前記摩擦部の周囲の基部より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部を備え、前記把持部の外部より前記把持部を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成される摩擦具である。
【0010】
前記第2の発明の摩擦具は、摩擦操作時、把持部を把持した状態であっても、基部の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部を挟持する指と指の間の把持部を通して、基部の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0011】
本願の第3の発明は、前記第1の発明の摩擦具において、前記摩擦部の周囲の基部より上方に突出される対向側壁部よりなる把持部を備え、前記把持部の対向側壁部の相互間に、前記把持部の外部と内部とを連通する窓孔が形成され、前記把持部の外部より前記窓孔を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記窓孔及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成される摩擦具である。
【0012】
前記第3の発明の摩擦具は、摩擦操作時、把持部を把持した状態であっても、基部の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部を挟持する指と指の間の窓孔を通して、基部の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0013】
本願の第4の発明は、前記第1の発明の摩擦具において、前記基部より側方に設けられる把持部を備え、前記基部の上面が露出され、摩擦使用時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記基部の上面が外部より直接、視認可能に構成される摩擦具である。
【0014】
前記第4の発明の摩擦具は、摩擦操作時、把持部を把持した状態であっても、基部の上面を直接、視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0015】
本願の第5の発明は、内部に熱変色性インキが収容された軸筒と、前記軸筒の上端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記軸筒の下端部に設けられる摩擦部と、を備え、前記摩擦部が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、前記軸筒の下端部に、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部を備え、前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、前記摩擦部の周囲の基部より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部を備え、前記把持部の外部より前記把持部を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具である。
【0016】
前記第5の発明の熱変色性筆記具は、摩擦操作時、把持部を把持した状態であっても、基部の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部を挟持する指と指の間の把持部を通して、基部の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0017】
本願の第6の発明は、内部に熱変色性インキが収容された軸筒と、前記軸筒の上端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記軸筒の下端部に設けられる摩擦部と、を備え、前記摩擦部が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、前記軸筒の下端部に、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部を備え、前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、前記摩擦部の周囲の基部より上方に突出される対向側壁部よりなる把持部を備え、前記把持部の対向側壁部の相互間に、前記把持部の外部と内部を連通する窓孔が形成され、前記把持部の外部より前記窓孔を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記窓孔及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具である。
【0018】
前記第6の発明の熱変色性筆記具は、摩擦操作時、把持部を把持した状態であっても、基部の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部を挟持する指と指の間の窓孔を通して、基部の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0019】
本願の第7の発明は、内部に熱変色性インキが収容された軸筒と、前記軸筒の一端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記軸筒のペン先側に着脱自在に設けられるキャップと、前記キャップの下端部に設けられる摩擦部と、を備え、前記摩擦部が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、前記キャップの下端部に、前記摩擦部が設けられ且つ透明材料からなる基部を備え、前記摩擦部が、前記基部の下面より下方に突出され且つ前記基部によって環状に連続して包囲されるように設けられ、前記キャップは、前記摩擦部の周囲の基部より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部を備え、前記把持部の外部より前記把持部を通して前記基部の上面が視認可能に構成され、
摩擦操作時、前記基部の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部及び前記摩擦部の周囲の基部を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具である。
【0020】
前記第7の発明の熱変色性筆記具は、摩擦操作時、軸筒から取り外したキャップを用い、キャップの把持部を把持した状態であっても、把持部の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部を挟持する指と指の間の把持部を通して、基部の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明の摩擦具は、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0022】
本願発明の熱変色性筆記具は、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】本発明の第2の実施の形態を示すものであり、(a)が正面図であり、(b)が(a)のA-A断面図である。
【
図10】本発明の第4の実施の形態の正面図である。
【
図11】本発明の第5の実施の形態の正面図である。
【
図12】本発明の第6の実施の形態の要部縦断面図である。
【
図14】本発明の摩擦具及び熱変色性筆記具を用いた摩擦操作時の視認状態を示す概略図である。(a)は基部を上方より視認した状態を示す。(b)は前記(a)の基部を被筆記面上に位置させ、該基部を上方より視認した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態の摩擦具1を
図1乃至
図3に示す。尚、本発明の摩擦具において、「下」とは摩擦体側を指し、「上」とはその反対側を指す。
【0025】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦体2と、該摩擦体2が下面に取り付けられた基部3と、該基部3の上方に設けられた把持部4と、を備える。
【0026】
・摩擦体
摩擦体2は、合成ゴムまたはエラストマー等のゴム弾性材料(ゴム弾性を有する材料)により一体に形成される。ゴム弾性材料は、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。本実施の形態では、摩擦体2は、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー)の射出成形により得られる。前記ゴム弾性を有する材料は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗屑が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。
【0027】
摩擦体2は、着色された材料(不透明な材料)により形成される。摩擦体2は、摩擦部21と、摩擦部21より上方に一体に連設される、摩擦部21の外径より小さい外径を有する取付部22とを備える。摩擦部21の下端部(頂部)は凸曲面状に形成される。摩擦部21と取付部22との間に上向きの段部23が形成される。摩擦部21及び取付部22は横断面円形状を有する。
【0028】
・基部
基部3は、板状(円板状)に形成される。基部3の中央には、下方に開口される取付孔31が形成される。取付孔31は円形断面を有する。取付孔31は、上下に貫通される構成であるが、これ以外に、下方のみに開口される構成でもよい。取付孔31に摩擦体2の取付部22が圧入または嵌合により固着される。摩擦体2が基部3に固着された状態において、摩擦体2の摩擦部21が基部3の下面より下方に突出され、摩擦体2の上向きの段部23が基部3の下面に当接される。尚、基部3の下面に摩擦部21を設ける構成としては、前記基部3の下面の取付孔31に摩擦体2を圧入または嵌合により固定する構成の他、基部3の下面(もしくは下面の取付孔)に摩擦体を接着、溶着、二色成形等により固定する構成、または基部3の下面に凸部を突設し、該凸部の外面に摩擦体2を、圧入、嵌着、接着、溶着、二色成形等により固着する構成が挙げられる。
【0029】
基部3の上面及び下面は平面状に形成される。基部3は均一肉厚を有する板状に形成される。基部3は、透明材料により形成される。尚、本発明で、透明とは上下に透視可能であれば半透明を含む。基部3を構成する透明材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネイト(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリル、ABS樹脂等の合成樹脂、またはガラス等が挙げられる。
【0030】
基部3は、摩擦部21を環状に連続して包囲するように設けられる。即ち、摩擦部21が、基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられる。摩擦部の周囲の基部3は、上方から下方に透視可能な環状に連続した透視部32(環状の透視部32)を構成する。
【0031】
摩擦体2の上下方向の長さ(全長)は、5mm以下が好ましい。それにより、摩擦操作時、基部3の軸方向上方(真上)から径方向に僅かに離れた斜め上方向から、基部3の上面を視認した際、摩擦部21のシルエットが大きく視認されることを回避し、摩擦部21の周囲(即ち摩擦箇所の周囲)をより明確に視認できる。
【0032】
・把持部
把持部4は、筒状(円筒状)に形成される。把持部4は基部3の上面より上方に連設される。把持部4は、透明材料により形成される。把持部4を構成する透明材料は、基部3と同様、例えば、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネイト(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリル、ABS樹脂等の合成樹脂、またはガラス等が挙げられる。
【0033】
把持部4は、基部3の透視部32を包囲するよう、摩擦部21の外周面から径方向外方に一定距離だけ離れた基部3上面の位置に形成される。把持部4の側壁は、把持部4の外部と把持部4の内部との間を透視可能な透視部41が構成される。外部より、把持部4の側壁の透視部41を介して、基部3の環状の透視部32及び摩擦体2のシルエットを視認可能である。
【0034】
把持部4が上端開口部を備える。それにより、基部3の軸方向上方(基部3の真上)から把持部4の上端開口部を通して、基部3の環状の透視部32を直接、視認できる。
【0035】
尚、把持部4と基部3とは一体に形成されるが、把持部4を備えた部材と、基部3を備えた部材とを連結する構成でもよい。
【0036】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、透明材料からなる環状の透視部32の上面から下面を通して、摩擦部21の周囲(被筆記面上の摩擦箇所の周囲)を明確に視認できる。また、把持部4の側壁の透視部41を通して、基部3の環状の透視部32を視認でき、基部3の軸方向上方(基部3の真上)から径方向に僅かに離れた位置からでも、摩擦部21の周囲(被筆記面上の摩擦箇所の周囲)を明確に視認できる。
【0037】
本実施の形態の摩擦具1は、被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部21を備えた摩擦具であって、前記摩擦部21と、前記摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3と、を備え、前記摩擦部21が、前記基部3の下面より下方に突出され且つ前記基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられ、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記基部3の上方から前記摩擦部21の周囲の基部3(基部3の環状の透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成される。
【0038】
それにより、本実施の形態に摩擦具1は、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0039】
本実施の形態の摩擦具1は、前記摩擦具において、前記摩擦部21の周囲の基部3より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部4を備え、前記把持部4の外部より前記把持部4(把持部4の側壁の透視部41)を通して前記基部3の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部4(把持部4の透視部41)及び前記摩擦部21の周囲の基部3(基部3の透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成される摩擦具である。
【0040】
それにより、本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、把持部4を把持した状態であっても、基部3の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部4を挟持する指と指の間の把持部4(把持部4の側壁の透視部41)を通して、基部3の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0041】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態の摩擦具1を
図4乃至
図6に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦体2と、該摩擦体2が下面に取り付けられた基部3と、該基部3の上方に設けられた把持部4と、を備える。
【0042】
・把持部
把持部4は、基部3の透視部32を包囲するよう、摩擦部21の外周面から径方向外方に一定距離だけ離れた基部3上面の位置に形成される。把持部4は、基部3の上面より上方に連設され、摩擦部を径方向両側から挟む一に配置される1対の対向側壁部42を備える下部4aと、下部4aより上方に一体に連設される円筒状の上部4bと、からなる。前記対向側壁部42の相互間に2つの窓孔43が形成される。尚。この構成以外に、1対の対向側壁部42の片側が互いに連結され、1つの窓孔が形成される構成でもよい。
【0043】
把持部4は、不透明材料(例えば、着色された合成樹脂または金属)により形成される。また、第1の実施の形態と同様、透明性材料により構成してもよい。
【0044】
把持部4の窓孔43は、把持部4の外部と把持部4の内部との間を透視可能な透視部を構成する。把持部4の窓孔43(透視部)を介して、外部より基部3の環状の透視部32及び摩擦体2のシルエットを視認可能である。
【0045】
本実施の形態は、第1の実施の形態と同様、把持部4が上端開口部を備える。それにより、基部3の軸方向上方(基部3の真上)から把持部4の上端開口部を通して、基部3の環状の透視部32を直接視認できる。
【0046】
尚、把持部4と基部3の構成は、両者が一体に形成される構成、または、把持部4を備えた部材と基部3を備えた部材とが連結される構成が挙げられる。
【0047】
尚、他の構成(摩擦体2及び基部3の構成)の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0048】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、透明材料からなる環状の透視部32の上面から下面を通して、摩擦部21の周囲(被筆記面上の摩擦箇所の周囲)を明確に視認できる。また、把持部4の窓孔43(透視部)を通して、基部3の環状の透視部32を視認でき、基部3の軸方向上方(基部3の真上)から僅かに径方向に離れた位置からでも、摩擦部21の周囲(被筆記面上の摩擦箇所の周囲)を明確に視認できる。
【0049】
本実施の形態の摩擦具1は、被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部21を備えた摩擦具であって、前記摩擦部21と、前記摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3と、を備え、前記摩擦部21が、前記基部3の下面より下方に突出され且つ前記基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられ、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記基部3の上方から前記摩擦部21の周囲の基部3(基部3の環状の透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成される。
【0050】
それにより、本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0051】
本実施の形態の摩擦具1は、前記摩擦具において、前記摩擦部21の周囲の基部3より上方に突出される対向側壁部42よりなる把持部4を備え、前記把持部4の対向側壁部42の相互間に、前記把持部4の外部と内部とを連通する窓孔43が形成され、前記把持部4の外部より前記窓孔43を通して前記基部3の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記窓孔43(透視部)及び前記摩擦部21の周囲の基部3を通して被筆記面が視認可能に構成される摩擦具である。
【0052】
それにより、本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、把持部4を把持した状態であっても、基部3の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部4を挟持する指と指の間の窓孔43を通して、基部3の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0053】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態の摩擦具1を
図7及び
図9に示す。
【0054】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦体2と、該摩擦体2が下面に取り付けられた基部3とを備える。基部3は板状に形成される。基部の上面及び下面の形状は、半円状に形成されるが、長方形でもよい。
【0055】
・把持部
基部3の側方に把持部4が設けられる。把持部4は、基部3の側方より径方向外方に突出するように設けられる。。把持部4は、例えば、直方体形状に形成される。把持部4は、上面が凸曲面状であり且つ下面が平面状である形状でもよい。把持部4の下面は平面状が好ましい。把持部4の内部は中実であるが、中空であってもよい。把持部4は、合成樹脂または金属により形成される。基部3の下面は、把持部4の下面より上方に位置される。
【0056】
図8に示すように、摩擦操作時、把持部4の下面が被筆記面上に載置した状態で、把持部4の上面を把持した際、摩擦部21が被筆記面に圧接されるように設定される。即ち、
図7に示すように、把持部4の下面に接する仮想延長面上から摩擦部21の下端が突出されるよう設定される。それにより、把持部4の下面を被筆記面上に適正に摺接させながら、摩擦部21で被筆記面上の熱変色性の筆跡または像を摩擦することができる。
【0057】
把持部4の下面は、被筆記面との摺動面となる。把持部4の下面は、平面状に形成される。それにより、摩擦操作時、把持部4の下面が被筆記面上で安定して支持され、小さい力で摩擦操作が可能となる。これ以外に、把持部4の下面は、複数の突起群で構成してもよい。それにより、摩擦操作時、把持部4が複数の突起群の各々の突起により、安定して被筆記面上で支持されるとともに把持部が被筆記面上を円滑に摺動できる。
【0058】
把持部4と基部3の構成は、両者が一体に形成される構成、または、把持部4備えた部材と基部3を備えた部材とが連結される構成が挙げられる。
【0059】
尚、他の構成(摩擦体2及び基部3の構成)の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0060】
本実施の形態の摩擦具1は、被筆記面上の熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦部21を備えた摩擦具であって、前記摩擦部21と、前記摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3と、を備え、前記摩擦部21が、前記基部3の下面より下方に突出され且つ前記基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられ、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記基部3の上方から前記摩擦部21の周囲の基部3(基部3の環状の透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成される。
【0061】
それにより、本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0062】
本実施の形態の摩擦具1は、前記基部3より側方に設けられる把持部4を備え、前記基部3の上面が露出され、摩擦使用時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記基部3の上面が外部より直接、視認可能に構成される摩擦具である。
【0063】
それにより、本実施の形態の摩擦具1は、摩擦操作時、把持部4を把持した状態であっても、基部3の上面を直接、視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0064】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態の熱変色性筆記具5を
図10に示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の摩擦具1を一端部に備えた熱変色性筆記具である。具体的には、第1の実施の形態の摩擦具(把持部4)の上方に、軸筒6を連設し、該軸筒6の上端部にペン先61を設けた構成である。尚、本発明の熱変色性筆記具の軸筒において、「上」とはペン先側を指し、「下」とはその反対側を指す。
【0065】
軸筒6内に熱変色性インキが収容され、ペン先61より熱変色性インキが吐出可能である。軸筒6の上端よりペン先61が出没可能に構成されるか、または、軸筒6の上端部にペン先61が固定される。尚、他の構成(摩擦体2、基部3及び把持部4の構成)の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0066】
本実施の形態の熱変色性筆記具5は、内部に熱変色性インキが収容された軸筒6と、前記軸筒6の上端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先61と、前記軸筒6の下端部に設けられる摩擦部21と、を備え、前記摩擦部21が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、前記軸筒6の下端部に、前記摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3を備え、前記摩擦部21が、前記基部3の下面より下方に突出され且つ前記基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられ、前記摩擦部21の周囲の基部3より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部4を備え、前記把持部4の外部より前記把持部4を通して前記基部3の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部4(把持部4の透視部41)及び前記摩擦部21の周囲の基部3(基部3の透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成される熱変色性筆記具である。
【0067】
それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具5は、摩擦操作時、把持部4を把持した状態であっても、基部3の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部4を挟持する指と指の間の把持部4(把持部4の透視部41)を通して、基部3の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0068】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態の熱変色性筆記具5を
図11に示す。本実施の形態は、第2の実施の形態の摩擦具1を一端部に備えた熱変色性筆記具である。
【0069】
第2の実施の形態の摩擦具1(把持部4)の上方に、軸筒6を連設し、該軸筒6の上端部にペン先61を設けた構成である。軸筒6内に熱変色性インキが収容され、ペン先61より熱変色性インキが吐出可能である。軸筒6の上端よりペン先61が出没可能に構成されるか、または、軸筒6の上端部にペン先61が固定される。尚、他の構成(摩擦体2、基部3及び把持部4の構成)の説明は、第2の実施の形態と同じである。
【0070】
本実施の形態の熱変色性筆記具5は、内部に熱変色性インキが収容された軸筒6と、前記軸筒6の上端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先61と、前記軸筒6の下端部に設けられる摩擦部21と、を備え、前記摩擦部21が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、前記軸筒6の下端部に、前記摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3を備え、前記摩擦部21が、前記基部3の下面より下方に突出され且つ前記基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられ、前記摩擦部21の周囲の基部3より上方に突出される対向側壁部42よりなる把持部4を備え、前記把持部4の対向側壁部42の相互間に、前記把持部4の外部と内部を連通する窓孔43が形成され、前記把持部4の外部より前記窓孔43を通して前記基部3の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記窓孔43及び前記摩擦部21の周囲の基部3(透視部)を通して被筆記面が視認可能に構成される熱変色性筆記具である。
【0071】
それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具は、摩擦操作時、把持部4を把持した状態であっても、基部3の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部4を挟持する指と指の間の窓孔43を通して、基部3の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0072】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態の熱変色性筆記具5を
図12及び
図13に、示す。本実施の形態は、第1の実施の形態の摩擦具1をキャップ7として適用した構成である。尚、本発明の熱変色性筆記具のキャップにおいて、「上」とは開口側を指し、「下」とはその反対側を指す。
【0073】
・軸筒
軸筒6は、内部に熱変色性インキが収容される。軸筒6の上端部に、前記熱変色性インキが吐出可能なペン先61が設けられる。軸筒6のペン先側に、キャップ7(摩擦具1)が着脱自在に設けられる。
【0074】
・キャップ
摩擦具1(キャップ7)は、第1の実施の形態と同様、摩擦体2と、該摩擦体2が下面に取り付けられた基部3と、基部3の上方に設けられた把持部4(円筒状のキャップ本体)と、を備える。
【0075】
把持部4の内面に、軸筒6のペン先側外面に嵌合可能な突起が設けられる。前記突起は、例えば、互いに上下に離隔して配置される、環状突起71と点状突起72とからなる。
尚、他の構成(摩擦体2、基部3及び把持部4の構成)の説明は、第1の実施の形態と同じである。
【0076】
本実施の形態は、内部に熱変色性インキが収容された軸筒6と、前記軸筒6の一端部に設けられ且つ前記熱変色性インキが吐出可能なペン先61と、前記軸筒6のペン先側に着脱自在に設けられるキャップ7と、前記キャップ7の下端部に設けられる摩擦部21と、を備え、前記摩擦部21が、被筆記面上の前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色可能である熱変色性筆記具であって、前記キャップ7の下端部に、前記摩擦部21が設けられ且つ透明材料からなる基部3を備え、前記摩擦部21が、前記基部3の下面より下方に突出され且つ前記基部3によって環状に連続して包囲されるように設けられ、前記キャップ7は、前記摩擦部21の周囲の基部3より上方に設けられ且つ透明材料からなる筒状の把持部4を備え、前記把持部4の外部より前記把持部4を通して前記基部3の上面が視認可能に構成され、摩擦操作時、前記基部3の下面を被筆記面に対向させ、前記把持部4(把持部4の透視部41)及び前記摩擦部21の周囲の基部3(基部3の透視部32)を通して被筆記面が視認可能に構成されることを特徴とする熱変色性筆記具である。
【0077】
それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具5は、摩擦操作時、軸筒6から取り外したキャップ7を用い、キャップ7の把持部4を把持した状態であっても、把持部4の軸方向上方より径方向に僅かに離れた斜め上方向から、把持部4を挟持する指と指の間の把持部4(透視部41)を通して、基部3の上面を視認できる。その結果、摩擦操作時、被筆記面上の摩擦箇所の周囲を明確に視認でき、熱変色させたい部分のみを確実且つ容易に熱変色させることができる。
【0078】
<本発明の作用の概念図>
図14に、本発明の摩擦操作時の作用を説明する概念図である。作用は、第1乃至第6の実施の形態において共通である。
【0079】
被筆記面上(紙面上)に、熱変色性インキによる筆跡(例えばABCDEFG)が5列、記載されている。摩擦操作時、摩擦体2を、熱変色性の筆跡の熱変色させたい部分(例えば3列目のD)に押し当てるととともに、基部3の上方から基部3の環状の透視部32を通して、摩擦体2のシルエットを視認しながら、摩擦体2の周囲(摩擦箇所の周囲)の被筆記面を明確に視認することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 摩擦具
2 摩擦体
21 摩擦部
22 取付部
23 段部
3 基部
31 取付孔
32 透視部
4 把持部
41 透視部
42 対向側壁部
43 窓孔(透視部)
5 熱変色性筆記具
6 軸筒
61 ペン先
7 キャップ(摩擦具)
71 環状突起
72 点状突起
S 被筆記面