(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178821
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241218BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 K
G06F21/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097257
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】糸川 喜裕
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC34
5C062AF02
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】スキャンメール機能の使い勝手と、セキュリティの向上の両立が図れる画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ログインユーザの所属するグループが対応付けられた許可ドメインを設定した許可ドメインリスト43bを構築し、その許可ドメインリスト43bの許可ドメインと送信先メールアドレスのドメインとの一致を判断する。一致しない場合は、メール送信を制限し、一致する場合はメール送信を許可する。これにより、MFP10を使用しているユーザの所属するグループに応じて、メール送信の制限を実行することができる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信インタフェースと、コントローラと、スキャナとを備える画像形成装置であって、
前記コントローラは、
前記スキャナにより形成されたスキャンデータをメール送信する際に、
取得ドメインと許可ドメインとが一致する場合に、前記通信インタフェースを介して前記スキャンデータをメール送信し、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成され、前記取得ドメインは、メール送信の送信先メールアドレスに含まれるドメインであり、前記許可ドメインは、前記画像形成装置に予め登録されている許可ドメインリストに含まれるドメインであり、
前記画像形成装置は、
ログイン可能なユーザを複数所属させることが可能なグループを、複数登録可能であり、
前記許可ドメインリストには、
前記許可ドメインリストに含まれる前記許可ドメインに、複数の前記グループの何れかを対応付ける設定が可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するが、ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応していない前記許可ドメインと前記取得ドメインとが一致するならば、前記スキャンデータのメール送信を制限し、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致し、且つ、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応している前記許可ドメインと前記取得ドメインとが一致するならば、前記スキャンデータのメール送信を制限しないように構成され、前記ログインユーザは、前記画像形成装置にログインしているユーザである、画像形成装置。
【請求項2】
不揮発性メモリを、更に備え、
前記許可ドメインリストは、
複数の前記許可ドメインの情報が前記不揮発性メモリに記憶されて構成され、前記不揮発性メモリに記憶された1つの前記許可ドメインあたり複数の前記グループを対応付ける設定が可能であり、前記グループとして第1グループと第2グループを設定可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
前記取得ドメインが、前記不揮発性メモリに記憶された前記許可ドメインで、且つ、前記第1グループ及び前記第2グループの両グループに対応付けられている前記許可ドメインと一致するならば、前記ログインユーザが所属している前記グループが前記第1グループである場合、及び、前記ログインユーザが所属している前記グループが前記第2グループである場合の何れの場合にも、前記スキャンデータのメール送信を制限しないように構成される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザインタフェースを、更に備え、
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて、設定画面を前記ユーザインタフェースに表示させるように構成され、前記設定画面は、前記許可ドメインリストに含まれる複数の前記許可ドメインと、複数の前記許可ドメインの各々に対応し前記グループを入力するための複数の入力オブジェクトと、を含む画面であり、
前記コントローラは、
前記入力オブジェクトを介して前記グループの入力を受け付けた場合に、入力された前記グループを、前記入力オブジェクトに対応する前記許可ドメインに対応付けるよう、前記許可ドメインリストを更新するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
不揮発性メモリを、更に備え、
前記許可ドメインリストは、
複数の前記許可ドメインが不揮発性メモリに記憶されて構成され、
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて、前記不揮発性メモリに記憶された複数の前記許可ドメインを読み出し、前記設定画面を表示し、
前記入力オブジェクトを介して前記グループの入力を受け付けた場合に、入力された前記グループを、前記入力オブジェクトに対応する前記許可ドメインに対応付けて前記不揮発性メモリに記憶させることで、前記許可ドメインリストを更新するように構成される、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザインタフェースを、更に備え、
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて、入力画面を前記ユーザインタフェースに表示させるように構成され、前記入力画面は、前記送信先メールアドレスを入力するための画面であり、
前記コントローラは、
前記入力画面において入力された前記送信先メールアドレスの前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するが、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応していない前記許可ドメインと前記取得ドメインとが一致するならば、入力された前記送信先メールアドレスをメール送信に用いることを制限し、
前記入力画面において入力された前記送信先メールアドレスの前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致し、且つ、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応している前記許可ドメインと前記取得ドメインが一致するならば、入力された前記送信先メールアドレスをメール送信に用いることを制限しないように構成される、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記送信先メールアドレスの候補を登録したアドレス帳を、更に備え、
前記入力画面は、
前記送信先メールアドレスを選択するための選択候補を表示し、選択された前記選択候補に基づいて前記送信先メールアドレスを入力することが可能に構成され、
前記コントローラは、
前記アドレス帳に登録された候補のうち、前記ログインユーザが所属している前記グループに対応する候補を、前記入力画面において前記選択候補とし、前記ログインユーザが所属している前記グループに対応しない候補については、前記入力画面において前記選択候補としないように構成され、
前記アドレス帳に登録された候補に対応付けることが可能な前記グループと、
前記許可ドメインリストに含まれる前記許可ドメインに対応付けることが可能な前記グループと、は同一である、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記入力画面において入力された前記送信先メールアドレスを取得した時に、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するか否かを判断して、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限し、
更に、前記スキャナにより形成されたスキャンデータを取得し、前記入力画面により取得した前記送信先メールアドレスにメール送信するためのデータを作成した後にも、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するか否かを判断して、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成される、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記送信先メールアドレスを取得した時に、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するか否かを判断して、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限し、
更に、前記スキャナにより形成された前記スキャンデータのメール送信に失敗して、当該スキャンデータを再送信する際に、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するか否かを判断して、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しないが、前記許可ドメインリストに含まれる前記許可ドメインのサブドメインと前記取得ドメインが一致する場合に、
前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応していない前記許可ドメインのサブドメインと前記取得ドメインが一致するならば、メール送信を制限し、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応している前記許可ドメインのサブドメインと前記取得ドメインが一致するならば、メール送信を制限しない、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、
メール送信を許可するメールアドレスのリストである許可アドレスリストを設定可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスの場合に、前記スキャンデータをメール送信し、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれないメールアドレスの場合に、メール送信を制限するように構成され、
前記許可アドレスリストには、
前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスに、複数の前記グループの何れかを対応付ける設定が可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるが、前記ログインユーザが所属しているグループと前記許可アドレスリストにおいて対応していないメールアドレスである場合に、
前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するが、前記取得ドメインが、前記ログインユーザが所属しているグループと前記許可ドメインリストにおいて対応していない前記許可ドメインと一致するならば、メール送信を制限し、
前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致し、且つ、前記取得ドメインが、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応している前記許可ドメインと一致するならば、メール送信を制限しないように構成される、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
通信インタフェースと、コントローラと、スキャナとを備える画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、
前記スキャナにより形成されたスキャンデータのメール送信を許可するメールアドレスのリストである許可アドレスリストを設定可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
メール送信の送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスの場合に、前記スキャンデータをメール送信し、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれないメールアドレスの場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成され、
前記画像形成装置は、
ログイン可能なユーザを複数所属させることが可能なグループを、複数登録可能であり、
前記許可アドレスリストには、
前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスに、複数のグループの何れかを対応付ける設定が可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるが、ログインユーザが所属している前記グループと前記許可アドレスリストにおいて対応していないメールアドレスならば、前記スキャンデータのメール送信を制限し、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであり、且つ、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可アドレスリストにおいて対応しているメールアドレスならば、前記スキャンデータのメール送信を制限しないように構成され、前記ログインユーザは、前記画像形成装置にログインしているユーザである、画像形成装置。
【請求項12】
不揮発性メモリを、更に備え、
前記許可アドレスリストは、
複数の前記メールアドレスの情報が前記不揮発性メモリに記憶されて構成され、前記不揮発性メモリに記憶された1つの前記メールアドレスあたり複数の前記グループを対応付ける設定が可能であり、前記グループとして第1グループと第2グループを設定可能であり、
前記コントローラは、
前記スキャンデータをメール送信する際に、
前記送信先メールアドレスが、前記不揮発性メモリに記憶された前記メールアドレスで、且つ、前記第1グループ及び前記第2グループの両グループに対応付けられている前記メールアドレスと一致するならば、前記ログインユーザが所属している前記グループが前記第1グループである場合、及び、前記ログインユーザが所属している前記グループが前記第2グループである場合の何れの場合にも、前記スキャンデータのメール送信を制限しないように構成される、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
ユーザインタフェースを、更に備え、
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて、設定画面を前記ユーザインタフェースに表示させるように構成され、前記設定画面は、前記許可アドレスリストに含まれる複数の前記メールアドレスと、複数の前記メールアドレスの各々に対応し前記グループを入力するための複数の入力オブジェクトと、を含む画面であり、
前記コントローラは、
前記入力オブジェクトを介して前記グループの入力を受け付けた場合に、入力された前記グループを、前記入力オブジェクトに対応する前記メールアドレスに対応付けるよう、前記許可アドレスリストを更新するように構成される、請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
不揮発性メモリを、更に備え、
前記許可アドレスリストは、
複数の前記メールアドレスが不揮発性メモリに記憶されて構成され、
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて、前記不揮発性メモリに記憶された複数の前記メールアドレスを読み出し、前記設定画面を表示し、
前記入力オブジェクトを介して前記グループの入力を受け付けた場合に、入力された前記グループを、前記入力オブジェクトに対応する前記メールアドレスに対応付けて前記不揮発性メモリに記憶させることで、前記許可アドレスリストを更新するように構成される、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
ユーザインタフェースを、更に備え、
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて、入力画面を前記ユーザインタフェースに表示させるように構成され、前記入力画面は、前記送信先メールアドレスを入力するための画面であり、
前記コントローラは、
前記入力画面において入力された前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるが、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可アドレスリストにおいて対応していない前記メールアドレスと前記送信先メールアドレスとが一致するならば、入力された前記送信先メールアドレスをメール送信に用いることを制限し、
前記入力画面において入力された前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであり、且つ、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可アドレスリストにおいて対応している前記メールアドレスと前記送信先メールアドレスとが一致するならば、入力された前記送信先メールアドレスをメール送信に用いることを制限しないように構成される、請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記送信先メールアドレスの候補を登録したアドレス帳を、更に備え、
前記コントローラは、
前記アドレス帳に登録された候補のうち、前記ログインユーザが所属している前記グループに対応する候補を、前記入力画面において前記送信先メールアドレスを選択するための選択候補とし、前記ログインユーザが所属している前記グループに対応しない候補については、前記入力画面において前記送信先メールアドレスを選択するための選択候補としないように構成され、
前記アドレス帳に登録された候補に対応付けることが可能な前記グループと、
前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスに対応付けることが可能な前記グループと、は同一である、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記コントローラは、
前記入力画面において入力された前記送信先メールアドレスを取得した時に、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるか否かを判断して、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスでない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限し、
更に、前記スキャナにより形成されたスキャンデータを取得し、前記入力画面により取得した前記送信先メールアドレスにメール送信するためのデータを作成した後にも、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるか否かを判断して、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスでない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成される、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記コントローラは、
前記送信先メールアドレスを取得した時に、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるか否かを判断して、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスでない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限し、
更に、前記スキャナにより形成された前記スキャンデータのメール送信に失敗して、当該スキャンデータを再送信する際に、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるか否かを判断して、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスでない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成される、請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナで形成されたスキャンデータをメールで送信する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、スキャナで形成されたスキャンデータをメールで送信するスキャンメール機能を備えた画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置のようにスキャンメール機能を備えた画像形成装置では、セキュリティ上の観点ではメールの送信先を制限する必要があるが、過度な制限はユーザビリティの低下に繋がる虞がある。そこで、本発明は、スキャンメール機能の使い勝手と、セキュリティの向上の両立が図れる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、実施例に開示する画像形成装置は、通信インタフェースと、コントローラと、スキャナとを備える画像形成装置であって、前記コントローラは、前記スキャナにより形成されたスキャンデータをメール送信する際に、取得ドメインと許可ドメインとが一致する場合に、前記通信インタフェースを介して前記スキャンデータをメール送信し、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致しない場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成され、前記取得ドメインは、メール送信の送信先メールアドレスに含まれるドメインであり、前記許可ドメインは、前記画像形成装置に予め登録されている許可ドメインリストに含まれるドメインであり、前記画像形成装置は、ログイン可能なユーザを複数所属させることが可能なグループを、複数登録可能であり、前記許可ドメインリストには、前記許可ドメインリストに含まれる前記許可ドメインに、複数の前記グループの何れかを対応付ける設定が可能であり、前記コントローラは、前記スキャンデータをメール送信する際に、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致するが、ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応していない前記許可ドメインと前記取得ドメインとが一致するならば、前記スキャンデータのメール送信を制限し、前記取得ドメインと前記許可ドメインとが一致し、且つ、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可ドメインリストにおいて対応している前記許可ドメインと前記取得ドメインとが一致するならば、前記スキャンデータのメール送信を制限しないように構成され、前記ログインユーザは、前記画像形成装置にログインしているユーザである。
【0006】
また、上記課題を解決するために、実施例に開示する画像形成装置は、通信インタフェースと、コントローラと、スキャナとを備える画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記スキャナにより形成されたスキャンデータのメール送信を許可するメールアドレスのリストである許可アドレスリストを設定可能であり、前記コントローラは、前記スキャンデータをメール送信する際に、メール送信の送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスの場合に、前記スキャンデータをメール送信し、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれないメールアドレスの場合に、前記スキャンデータのメール送信を制限するように構成され、前記画像形成装置は、ログイン可能なユーザを複数所属させることが可能なグループを、複数登録可能であり、前記許可アドレスリストには、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスに、複数のグループの何れかを対応付ける設定が可能であり、前記コントローラは、前記スキャンデータをメール送信する際に、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであるが、ログインユーザが所属している前記グループと前記許可アドレスリストにおいて対応していないメールアドレスならば、前記スキャンデータのメール送信を制限し、前記送信先メールアドレスが、前記許可アドレスリストに含まれるメールアドレスであり、且つ、前記ログインユーザが所属している前記グループと前記許可アドレスリストにおいて対応しているメールアドレスならば、前記スキャンデータのメール送信を制限しないように構成され、前記ログインユーザは、前記画像形成装置にログインしているユーザである。
【発明の効果】
【0007】
実施例に開示する画像形成装置では、スキャンメール機能の使い勝手と、セキュリティの向上の両立が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る通信システムのブロック図である。
【
図2】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図4】不揮発性領域36bに記憶されるデータと、その記憶先アドレスの一例を示す図である。
【
図6】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図7】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図8】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図9】入力画面110,111a、宛先選択画面111bを示す図である。
【
図10】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図11】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図12】userA、userBのそれぞれがログインしていた場合のアドレス帳41bを示す図である。
【
図13】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図14】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図15】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図16】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図17】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図18】制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図19】第2実施形態に係る許可リスト設定画面170を示す図である。
【
図20】第2実施形態に係る不揮発性領域36bに記憶されるデータと、その記憶先アドレスの一例を示す図である。
【
図21】第2実施形態に係る制御プログラム34のフローチャートを示す図である。
【
図22】第2実施形態に係るuserA、userBのそれぞれがログインしていた場合の許可アドレスリスト85bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、適宜図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る通信システムのブロック図である。
図1に示す通信システムは、MFP(画像形成装置の一例)10とサーバ50とPC60とを備える。
【0010】
MFP10は、CPU(コントローラの一例)12、メモリ14、ユーザI/F15、スキャナ20、プリンタ22、モデム24、ネットワークI/F28(通信インターフェースの一例)を主に備えている。I/Fは、インタフェースの略である。これらの構成要素は、バス32を介して互いに通信可能とされている。
【0011】
CPU12は、メモリ14内の制御プログラム34に従って処理を実行する。また、CPU12は、EWS(Embedded Web Serverの略)プログラム35に従った処理を実行することにより、ウェブサーバとして機能する。CPU12がEWSプログラム35に従って動作することで実現するウェブサーバのことを、EWSとも述べる。また、メモリ14は、データ記憶領域36を備える。データ記憶領域36は、制御プログラム34等の実行に必要なデータなどを記憶する領域である。データ記憶領域36は、揮発性領域36aと、不揮発性領域36b(不揮発性メモリの一例)を備えている。尚、メモリ14は、RAM、NVRAM、CPU12が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。メモリ14は、さらに、HDD、MFP10に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体などが組み合わされていても良い。例えば、揮発性領域36aはRAMに設けられ、不揮発性領域36bはNVRAMに設けられる。また、揮発性領域36aと不揮発性領域36bとを物理的に別のメモリに設けずに、1つのメモリ14内に設けても良い。また、メモリ14は、RAM、フラッシュメモリなどの単体でも良い。この場合、メモリ14は、揮発性領域36a又は不揮発性領域36bの一方だけを備える構成でも良い。
【0012】
また、メモリ14は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体の一例であっても良い。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0013】
また、ユーザI/F15は、ディスプレイ16、入力I/F18、無線I/F19を有する。ディスプレイ16は、MFP10の各種情報を表示する液晶ディスプレイである。ディスプレイ16は、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ等の他の表示方式のディスプレイでも良い。入力I/F18は、例えば、ディスプレイ16と一体的に構成されているタッチパネルであり、ディスプレイ16上に表示されたアイコン,ボタン等へのユーザ操作を受け付ける。入力I/F18は、タッチパネル以外にも、ハードキー等であっても良い。また、MFP10は、ディスプレイ単体、入力I/F単体をユーザインタフェースとして備えても良い。無線I/F19は、NFC(登録商標)等の近距離無線通信によりICカードの読み取りを行うためのインタフェースである。
【0014】
スキャナ20は、例えば、CCDやCISなどの読取センサを有し、原稿の読取りに応じた画像データを、スキャンデータとして生成する。プリンタ22は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する印刷動作を実行する。シートは、用紙やOHPである。プリンタ22の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。
【0015】
モデム24は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、伝送可能な信号に変調して、電話回線網38を介して送信する、あるいは、電話回線網38から入力された信号を受信し、原稿データを復調するものである。
【0016】
ネットワークI/F28は、TCP/IPなどのネットワークプロトコルで通信を行うためのI/Fである。これにより、MFP10は、サーバ50、PC60などの外部装置と通信可能とされている。
【0017】
尚、本明細書では、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU12の処理を示す。即ち、以下の説明における「判断」、「選択」、「決定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU12の処理を表している。CPUによる処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。即ち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指しても良い。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU12の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU12が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU12の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0018】
また、本明細書の「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。即ち、CPU12が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0019】
また、CPU12による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU12による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0020】
MFP10は、IFAX処理及びScanToEmail処理を実行することが可能である。IFAX処理及びScanToEmail処理は、スキャナ20により画像を読み取ることでスキャンデータを作成し、作成したスキャンデータを任意のメールアドレスに送信(以下、単に「メール送信」という場合がある)する処理である。尚、IFAX処理は、作成したスキャンデータを、国際規格に従った手法でメール送信する処理である。ScanToEmailは、IFAXの規格にこだわらず、例えば、MFP10の製造メーカが規定した規格に従って、スキャンデータをメール送信する処理である。そして、第1実施形態のMFP10は、許可ドメインリストが設定されており、IFAX処理及びScanToEmail処理において、許可ドメインリストに登録されているドメイン(以下、単に、「許可ドメイン」又は「許可ドメインリスト」という場合がある)を含むメールアドレス及びサブドメインを含むメールアドレス以外のメールアドレスへのメール送信を制限する。ドメインは、メールアドレスのアットマーク(@)の後ろの文字列である。また、ドメインを含むメールアドレス、サブドメインを含むメールアドレスのことを、便宜上「ドメインのメールアドレス」「サブドメインのメールアドレス」とも記載する。
【0021】
まず、許可ドメインリストなど、メール送信に係る、各種のパラメータの設定について説明する。尚、パラメータをメモリ14に記憶させることを、設定と述べることもある。パラメータをメモリ14に記憶させることを、登録と述べることもある。MFP10での許可ドメインリストの登録は、例えば、EWSによって提供するウェブページにおいて実行することができる。以下に、PC60から送信されたウェブページの表示要求を受信したMFP10で実行される制御プログラム34の処理を、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。尚、PC60は、ブラウザを用いて表示要求を送信する。また、MFP10は、許可ドメインリストの登録等、以下に説明するEWSによって可能な登録等の操作を、管理者がMFP10にログインした状態で、入力I/F18のタッチパネルで受け付けても良い。
【0022】
まず、ウェブページの表示要求が行われると、EWSとして機能するCPU12は、管理者ログイン画面を示すウェブページデータ(画像データの一例)をPC60に送信する(S100)。ウェブページデータを受信したPC60のブラウザは、ウェブページデータが示す画面をPC60のディスプレイに表示させる。PC60のユーザは、PC60のユーザI/Fを用いて、ブラウザに表示された画面を操作することができる。ブラウザへの操作内容を示す情報は、PC60から、MFP10に送信される。ウェブページデータに基づく画面への操作内容を示す情報をMFP10が受信することを、単に、画面を介して操作を受け付ける、画面を介して入力される、と述べても良い。ウェブページを介して操作を受け付ける、ウェブページを介して入力される、と述べても良い。PC60から、管理者ログイン画面を介して管理者ログイン操作を受け付け、管理者ログインに成功すると(S102:YES)、CPU12は、不揮発性領域36bから、許可ドメインリスト43、IFAX設定、ScanToEmail設定(
図4参照)のパラメータを読み出す。管理者ログイン操作は、例えば、管理者IDとパスワードの入力でも良い。パラメータは設定値と述べても良い。許可ドメインリスト43、IFAX設定、ScanToEmail設定のパラメータをそれぞれ、単に許可ドメインリスト43、IFAX設定、ScanToEmail設定と述べても良い。CPU12は、読み出した許可ドメインリスト43、IFAX設定、ScanToEmail設定に基づいて、許可リスト設定画面70(
図3参照、設定画面の一例)を示すウェブページデータを作成し、PC60に送信する(S104)。そして、PC60において許可リスト設定画面70が表示される。EWSにより表示するウェブページは、本願のユーザI/Fの一例である。
【0023】
図3に示すように、許可リスト設定画面70には、許可ドメイン入力欄72と、サブドメイン許可設定欄74と、許可区別ドメイン入力欄76と、グループ入力欄77(入力オブジェクトの一例)の組み合わせが各行ごとに表示される。
図3に示すように、各行の入力欄を区別して説明する場合は、符号の後ろにアルファベット「a~e」を付加して説明する。許可ドメイン入力欄72は、メール送信を許可するドメインである許可ドメインを入力する欄である。
図3では、許可ドメイン入力欄72aに許可ドメイン「brother.co.jp」が入力され、許可ドメイン入力欄72bに許可ドメイン「brothergroup.net」が入力され、許可ドメイン入力欄72cに許可ドメイン「brother.ne.jp」が入力され、許可ドメイン入力欄72dに許可ドメイン「patentoffice.co.jp」が入力され、許可ドメイン入力欄72eに許可ドメイン「salesoffice.co.jp」が入力されている。尚、登録可能な許可ドメインの数は、5つに限らず、1つ又は他の複数個でも良い。
【0024】
また、サブドメイン許可設定欄74は、IFAX処理及びScanToEmail処理において、許可ドメイン入力欄72に入力された許可ドメインのサブドメインのメールアドレスへのメール送信を許可するか否かを設定する欄である。サブドメインのメールアドレスへのメール送信を許可する場合に、サブドメイン許可設定欄74にチェックマーク(レ)が入力される。また、許可区別ドメイン入力欄76は、サブドメインのメールアドレスへのメール送信が制限されず許可される場合に、許可されるサブドメインの区別ドメインを入力する欄である。
【0025】
また、グループ入力欄77は、許可ドメイン入力欄72に入力した許可ドメイン、及び許可区別ドメイン入力欄76に入力した区別ドメインのサブドメインのメールアドレスへのメール送信を許可するグループを入力する欄である。本実施形態では、登録可能なグループとして、「庶務、営業G(グループの略)、営業Gマネージャー、開発G、知財G、パブリック」の6つのグループが設定されている。
図3では、グループ入力欄77a,77bにグループ「開発G、営業G」が入力され、グループ入力欄77cにグループ「開発G」が入力され、グループ入力欄77dにグループ「知財G」が入力され、グループ入力欄77eにグループ「営業G、パブリック」が入力されている。つまり、許可ドメイン、許可ドメインのサブドメインには、1又は複数のグループを対応付けることが可能となっている。また、許可リスト設定画面70には、許可ドメイン入力欄72の上方に、IFAX処理とScanToEmail処理との少なくとも一方を選択するための選択欄78も表示されている。
【0026】
また、許可リスト設定画面70は、図示しない完了ボタンを備えている。この完了ボタンが操作されると、ブラウザが、上記した72~78の各欄に入力されているパラメータをMFP10へ送信する。MFP10は、受信したパラメータを、
図4のメモリ14に記憶させる。即ち、パラメータを登録したいとき、管理者は72~78の各欄に、登録したいパラメータを入力し、完了ボタンを押せば良い。そして、許可リスト設定画面70での設定が完了すると(S106:YES)、許可リスト設定画面70で設定された情報を、
図4に示すように、許可ドメインリスト43や設定情報として不揮発性領域36bに記憶する(S108)。即ち、MFP10への許可ドメインリスト43の登録が行われる。このように、MFP10の管理者のみが、MFP10での許可ドメインリスト43の登録を行うことができる。尚、
図4は、不揮発性領域36bに記憶されるデータと、その記憶先アドレスの一例を示している。
図4での記憶領域80a~lには、アドレス帳41が記憶されている。アドレス帳41は、スキャンデータの送信先メールアドレスとして予め登録しておくことで、メール送信時に利用できるものである。
図4のアドレス帳41では、例えば、
図4の左から順に、メールアドレス、名前、かな(苗字)、グループの情報が設定されている。MFP10の管理者やユーザは、例えば、EWSや入力I/F18を介して、アドレス帳41を編集し、アドレス帳41の情報を変更することができる。尚、アドレス帳41に、FAX送信するための電話番号などを登録しても良い。
【0027】
図4の記憶領域80m~qには、許可ドメインリスト43が記憶されており、
図4の左から順に、許可ドメイン入力欄72に入力された許可ドメインの情報、サブドメイン許可設定欄74への入力の有無を示す情報、許可区別ドメイン入力欄76に入力された区別ドメインの情報、グループ入力欄77に入力されたグループの情報の各々が記憶されている。つまり、許可リスト設定画面70で受け付けたこれらの情報を許可ドメインリスト43として記憶している。サブドメイン許可設定欄74への入力の有無を示す情報は、サブドメイン許可設定欄74にチェックマークが入力された場合にONに設定され、サブドメイン許可設定欄74にチェックマークが入力されていない場合にOFFに設定される。
【0028】
また、EWSによって提供するウェブページでは、IFAX処理及びScanToEmail処理においてEmailが送信される際のEmail件名及びEmail本文の設定を行うことができる。そして、ウェブページにおいてEmail件名及びEmail本文の設定が行われると、
図4に示すように、記憶領域80rにEmail件名が、記憶領域80sにEmail本文が記憶される。
【0029】
記憶領域80tのIFAX設定及び記憶領域80uのScanToEmail設定は、選択欄78への入力の有無を示すものであり、選択欄78にチェックマークが入力された場合にONに設定され、選択欄78にチェックマークが入力されていない場合にOFFに設定される。
【0030】
また、MFP10は、ディレクトリサーバからアドレス帳をダウンロードする機能を有する。例えば、サーバ50は、アドレス帳41と同一、あるいは近似するデータ形式のアドレス帳41a(
図1参照)を記憶可能である。アドレス帳41aにも、アドレス帳41と同様に、
図4に示すメールアドレス、名前、かな(苗字)、グループの情報が設定されている。サーバ50は、ディレクトリサーバとして機能し、MFP10からのアクセスに応じてアドレス帳41aを送信する。MFP10は、ディレクトリサーバを利用する機能がオンされると、例えば、LDAP(Lightweight Directory Access Protocolの略)規格に準じた通信により、サーバ50との認証を実行し、サーバ50からアドレス帳41aをダウンロードして揮発性領域36aに記憶して利用する。
図4の記憶領域80vには、LDAPを用いてサーバ50からアドレス帳41aをダウンロードする機能の設定情報が記憶されており、設定を有効にした場合にONに設定され、設定を無効にした場合にOFFに設定される。
【0031】
また、記憶領域80w~zには、MFP10にログインするためのログイン認証情報44が記憶されており、
図4の左から順番に、ユーザ名(登録ユーザ)、ログインパスワード、グループが記憶されている。
図4では、一例として、ユーザ名「admin」、「public」、「userA」、「userB」の4人のユーザが登録されている。ログイン認証情報44は、EWSや入力I/F18により編集が可能である。各ユーザを、1又は複数のグループに所属させることができる。また、各グループは、複数のユーザを所属させることができる。
【0032】
グループの設定において、管理者が、アドレス帳41に設定したグループを、許可ドメインリスト43、及びログイン認証情報44に対しても同様に設定すれば、各情報に設定可能なグループを同一にすることができる。そして、アドレス帳41から選択されたメールアドレスにメール送信する際、メール送信を行うユーザがログイン認証情報44で所属するグループに基づいて、許可ドメインリスト43においてその所属するグループが関連付けられた許可ドメインを判断すればメール送信の制限を適切に実行できる。即ち、設定可能なグループを同一にすることによって、後述するユーザの所属するグループに応じたメール送信の制限を適切に行うことができる。また、MFP10が、各情報のグループを同一にする(統一する)処理を実行しても良い。例えば、MFP10は、アドレス帳41、許可ドメインリスト43、ログイン認証情報44の各情報の登録時に、不揮発性領域36bに記憶されているグループの中から、設定するグループを選択させる処理を実行する。また、この不揮発性領域36bに記憶されるグループについては、管理者により追加・削除を受け付けても良い。尚、3つの情報のグループが完全に一致しなくとも良い。また、本実施形態では、グループとして、「庶務、営業G、営業Gマネージャー、開発G、知財G、パブリック」の6つのグループを、アドレス帳41、許可ドメインリスト43、ログイン認証情報44に設定可能となっている。
【0033】
続いて、MFP10におけるログイン処理について説明する。制御プログラム34は、MFP10の待機状態において、
図5に示すホーム画面100をディスプレイ16に表示する。ホーム画面100には、MFP10により実行可能な画像処理に応じたアイコン102が表示される。例えば、制御プログラム34は、ホーム画面100に、ファックス処理を実行するためのアイコン102aと、印刷処理を実行するためのアイコン102bと、スキャン処理を実行するためのアイコン102cとを表示する。
【0034】
また、ホーム画面100の上部には、ログイン操作を行うためのログインボタン103が表示される。
図5に示す状態では、任意のユーザがログインしていないログアウト状態を示している。制御プログラム34は、ログアウト状態において、ログインボタン103に、「public」の文字を表示する。このログアウト状態では、ログイン認証情報44の「public」ユーザの設定や権限に応じた機能が実行可能である。
【0035】
ホーム画面100を表示した後の制御プログラム34の処理を、
図6に示すフローチャートを用いて説明する。まず、制御プログラム34は、任意のユーザによってログインされているログイン状態であるか否かを判断する(S11)。ログアウト状態の場合(S11:NO)、
図5に示すように、「public」の文字をログインボタン103に表示し(S13)、ログインボタン103が操作されたか否かを判断する(S15)。
【0036】
制御プログラム34は、ユーザ名と、パスワードを入力するログイン受付画面(図示略)をディスプレイ16に表示し、ログイン受付画面によりユーザ名とパスワードを受け付ける(S17)。ログイン受付画面で受け付けたユーザ名とパスワードの組み合わせがログイン認証情報44(
図4参照)の何れかのユーザの情報と一致した場合、ログイン認証に成功したと判断し(S19:YES)、認証に成功したユーザ名をログインユーザ名として不揮発性領域36bに記憶し(S21)、ログイン受付画面を消してホーム画面100を表示し、S11を実行する。ログイン状態である場合、S11で肯定判断し(S11:YES)、不揮発性領域36bに記憶されたログインユーザ名をログインボタン103に表示する(S23)。尚、認証に失敗した場合(S19:NO)、ログイン受付画面を消してエラーをディスプレイ16に表示し、ログイン状態ではないので(S11:NO)、「public」の文字をログインボタン103に表示したホーム画面100を再び表示する(S13)。また、ログイン認証を行う方法は、パスワードに限らず、ICカードや生体認証でも良い。
【0037】
上記したように、MFP10は、ログイン操作に応じてユーザが切り替わる。以下の説明では、入力I/F18を操作中のユーザ、即ち、MFP10がログアウト状態で操作中であれば「public」ユーザを、ログイン状態で操作中であればログインユーザを、まとめて「現ユーザ」と称して説明する。従って、「現ユーザ」は、ログインの有無や、ログインしたユーザに応じて変更される。
【0038】
また、S15で否定判断した場合(S15:NO)、ログイン用のICカードが無線I/F19にかざされたか否かを判断し(S25)、無線I/F19とICカードによる近距離無線通信に成功した場合(S25:YES)、ICカードからユーザ名を読み出し(S27)、読み出したユーザ名をログインユーザ名として不揮発性領域36bに記憶し(S21)、MFP10をログイン状態にする。また、ICカードがかざされなかった場合(S25:NO)、ログアウト状態のままホーム画面100に対する操作を受け付け、操作内容に応じた処理を実行し(S29)、S11を実行する。
【0039】
また、S23を実行すると、ログアウトボタンが操作されたか否かを判断する(S31)。例えば、ログイン状態においてログインユーザ名を表示したログインボタン103を操作されると、ログアウトの実行を確認する確認画面(図示略)を表示し、ログアウトの操作を受け付ける。ログアウトの操作がされると(S31:YES)、ログアウトに伴う処理を実行し(S33)、S21で記憶したログインユーザ名の情報を不揮発性領域36bから削除して(S35)、ログアウト状態となり、S11を実行する。
【0040】
また、ログイン状態となった後、ログアウトボタンが操作されず(S31:NO)、ホーム画面100に対する何らかの操作もない無操作の状態が所定時間だけ経過した場合(37:YES)、ログアウト処理を実行する(S33)。また、ログイン状態において、ホーム画面100に対する操作が実行されると、受け付けた操作に応じた処理を実行する(S37:NO、S29)。
【0041】
続いて、MFP10での、メール送信を伴う処理を説明する。IFAX処理が実行される場合には、アイコン102aが操作される。アイコン102aが操作されると、ディスプレイ16に、IFAX処理での送信先メールアドレスを設定するための入力画面110(
図9参照)を表示し、
図7、
図8に示す処理を開始する。
【0042】
まず、アドレス入力処理を実行する(S109)。アドレス入力処理では、
図10に示すように、手動による入力か、アドレス帳41による入力かを判断する(S151)。入力画面110のアイコン110a(
図9参照)が操作された場合(S151:手動)、送信先メールアドレスを手動で入力するための入力画面111a(
図9参照)を表示する(S153)。入力画面111aを表示した後、送信先メールアドレスの入力が完了したか判断し(S155)、入力が完了すると(S155:YES)、入力されたメールアドレスを送信先メールアドレスとして設定し(S157)、設定した送信先メールアドレスを、入力画面110(
図9参照)の送信先メールアドレス表示欄110cに表示し、
図10の処理を終了する。
【0043】
一方、入力画面110のアイコン110b(
図9参照)が操作された場合(S151:アドレス帳)、ディレクトリサーバからアドレス帳41aをダウンロードする機能が有効になっているか判断し(S159)、記憶領域80v(
図4参照)に「ON」が記憶されている場合(S159:YES)、サーバ50からアドレス帳41aを取得して揮発性領域36aに記憶し(S161)、S163を実行し、記憶領域80vに「OFF」が記憶されている場合(S159:NO)、不揮発性領域36bからアドレス帳41を取得して揮発性領域36aに記憶し(S165)、S163を実行する。
【0044】
制御プログラム34は、S163において、
図11に示す現ユーザ用のアドレス構築処理を実行し、
図10でS161を実行した場合はアドレス帳41aから、又はS165を実行した場合はアドレス帳41から、現ユーザが所属するグループに応じたアドレス帳を、不揮発性領域36bに構築する。このため、以下の説明では、この現ユーザ用に構築するアドレス帳を、アドレス帳41bと称して説明する。また、以下の説明では、S165が実行された場合(アドレス帳41)について説明する。尚、アドレス帳41aは、アドレス帳41と同一、あるいは近似するデータ形式であるため、S161を実行した場合も、以下に説明するS165を実行した場合と同様に処理できる。
【0045】
図11に示すように、まず、揮発性領域36aにおけるアドレス帳41bを記憶するための記憶領域を初期化し(S171)、変数nに1をセットする(S173)。
図11の処理で用いる変数nは、
図4に示すアドレス帳41における上から何行目であるのかを示すものである。次に、アドレス帳41からAccessGroup(以下、AGという)(n)のデータを取得し(S175)、取得したAG(n)のデータを分離し(S177)、変数mに1をセットする(S179)。AGは、例えば、
図4に示すアドレス帳41における1行ごと(送信先メールアドレスごと)のグループ欄の情報であり、例えば、AG(n=1)の「Mizuho」であれば、1行目のグループ欄に設定されたグループ「開発G、営業G」の2つを示す。また、変数mは、例えば、AG(n)が示すグループ欄に設定されたグループを分離した場合に、
図4における左から何番目のグループであるのかを示す変数である。例えば、AG(1)の「Mizuho」であれば、変数m=1がグループ欄の最も左の「開発G」であり、変数m=2が左から2番目の「営業G」である。
【0046】
次に、AG(n)-(m)が示すグループのユーザリストを取得する(S181)。ユーザリストとは、グループに所属する登録ユーザのリストである。例えば、AG(1)-(1)のグループ「開発G」であれば、ログイン認証情報44に登録されている登録ユーザのうち、所属するグループとして「開発G」が設定されているユーザ(本実施例では、admin)をユーザリストとして取得する。同様に、例えば、AG(1)-(2)のグループ「営業G」であれば、ユーザリストは、「営業G」に所属するユーザ(adminとuserA)となる。
【0047】
S181で取得したユーザリストに現ユーザが含まれる場合(S182:YES)、揮発性領域36aのアドレス帳41bに、アドレスセット(n)を設定し(S183)、S185を実行する。アドレスセットとは、
図4に示すアドレス帳41における1行ごとの情報「メールアドレス、名前、かな(苗字)、グループ」である。
【0048】
また、ユーザリストに現ユーザが含まれていない場合(S182:NO)、変数mがAG(n)の分離後リスト最大値より大きいか否かを判断する(S187)。分離後リスト最大値は、AG(n)から分離したグループ数であり、AG(1)であれば「開発G、営業G」の2(=分離後リスト最大値)である。変数mが分離後リスト最大値以下である場合(S187:NO)、変数mに1を加算し(S189)、S181からの処理を再度実行する。これにより、1つのAG(n)から分離した各グループについて、
図4のグループ欄の左から順番に、現ユーザがユーザリストに含まれるか判断し、含まれる場合は、その行のアドレスセットをアドレス帳41bに追加する。また、変数mが分離後リスト最大値より大きくなると(S187:YES)、S185において、変数nがアドレス帳リスト最大値より大きいか否かを判断する。
【0049】
アドレス帳リスト最大値は、
図10のアドレス帳41に登録されているアドレスセットの数(登録されている送信先メールアドレスの数)である。変数nがアドレス帳リスト最大値以下の場合(S185:NO)、変数nに1を加算し(S191)、増やした後のAG(n+1)に対して、S175を実行する。これにより、アドレス帳41の各行(アドレスセット)について、
図4における上から下に順番にAGを分離し、ユーザリストに現ユーザが含まれるか判断して、含まれる場合は、そのアドレスセットをアドレス帳41bに追加する。現ユーザの所属するグループがグループ欄に設定されたアドレスセットのみをアドレス帳41bに追加できる。変数nがアドレス帳リスト最大値より大きくなると(S185:YES)、
図11に示す処理を終了する。
【0050】
図12は、
図4に示すアドレス帳41に対して、userA、userBのそれぞれがログインしていた場合に構築されるアドレス帳41bを示している。
図12の上側の図に示すように、userAがログインしていた場合、アドレス帳41に登録されたアドレスセットのうち、userAの所属するグループ「営業マネージャー、営業G」のうち、少なくとも一方のグループがグループ欄に含まれるアドレスセット(5つ)がアドレス帳41bに設定される。また、
図12の下側の図に示すように、userBがログインしていた場合、アドレス帳41に登録されたアドレスセットのうち、userBの所属するグループ「知財G」を含むアドレスセット(3つ)がアドレス帳41bに設定される。
【0051】
図10に示すように、S163を実行すると、宛先選択画面111b(
図9参照)を表示する。宛先選択画面111b(本願の入力画面の一例)において、S163で作成したアドレス帳41bに含まれるメールアドレスのみを、選択候補として表示する(S165)。例えば、アドレス帳41bに含まれるメールアドレスを、プルダウンメニューにより選択候補として表示する。即ち、アドレス帳41に含まれるアドレスセットのうち、現ユーザの所属するグループがグループ欄に設定されたアドレスセットのメールアドレスのみを、送信先メールアドレスの選択候補として表示する。宛先選択画面111bにおいて、選択候補のうち、任意のメールアドレスが選択されたか判断し(S167)、選択が完了すると(S167:YES)、選択されたメールアドレスを、IFAX処理での送信先メールアドレスとして設定し(S157)、送信先メールアドレス表示欄110c(
図9参照)に表示する。
【0052】
図7に示すように、S109を実行すると、入力画面110のスタートボタン110d(
図9参照)が操作されたか否かを判断し(S110)、スタートボタン110dが操作されると(S110:YES)、S112を実行する。不揮発性領域36bの記憶領域80tを参照して、IFAX対象設定がONになっているか否かを判断する(S112)。IFAX対象設定がONになっている場合(S112:YES)、即ち、IFAX処理でのメール送信が制限される場合に、入力アドレスチェック処理が実行される(S114)。
【0053】
入力アドレスチェック処理では、
図13に示すように、入力画面111aにおいて入力、又は宛先選択画面111bにおいて選択された送信先メールアドレスを取得する(S201)。尚、S201で取得した送信先メールアドレスを、取得アドレスと記載する。現ユーザ用の許可ドメインリスト構築処理を実行する(S203)。
【0054】
図11に示す現ユーザ用のアドレス帳構築処理では、現ユーザが所属するグループに応じたアドレス帳41bを構築したが、現ユーザ用の許可ドメインリスト構築処理では、現ユーザが所属するグループに応じた許可ドメインリスト(
図12参照)を、
図14に示す処理で構築する。処理が似通っているため、
図11と同様の処理内容についての説明を省略する。また、以下の説明では、現ユーザ用に構築する許可ドメインリストを、許可ドメインリスト43bと称して説明する。
【0055】
図14に示すように、まず、揮発性領域36aの許可ドメインリスト43bを記憶する記憶領域を初期化し(S211)、変数nに1をセットする(S213)。
図14の処理で用いる変数nは、
図4に示す許可ドメインリスト43の上から何行目であるのかを示すものである。また、
図4の許可ドメインリスト43における1行ごとの情報「許可ドメイン、サブドメイン許可設定、区別ドメイン、グループ」を、ドメインセットと称する。
【0056】
次に、許可ドメインリスト43からAG(n)のデータを取得し(S215)、取得したAG(n)のデータを分離し(S217)、変数mに1をセットする(S219)。変数mは
図11と同様であり、例えば、AG(1)の「brother.co.jp」のグループ「開発G、営業G」であれば、変数m=1が「開発G」であり、変数m=2が「営業G」である。
【0057】
AG(n)-(m)のユーザリストを取得し(S221)、取得したユーザリストに現ユーザが含まれていない場合(S222:NO)、変数mがAG(n)の分離後リスト最大値より大きくなるまで変数mを増加させ、各ユーザリストについてS222を判断する(S227,S229)。S221で取得したユーザリストに現ユーザが含まれる場合(S222:YES)、揮発性領域36aの許可ドメインリスト43bに、ドメインセット(n)を記憶する(S223)。変数nと、許可ドメインリスト43に登録されているドメインセット(許可ドメイン)の数である許可ドメインリスト最大値を比較し、全てのドメインセットを判断するまで変数nを増加させ(S225、S231)、S215以降を繰り返し実行し各ユーザリストについて判断する。許可ドメインリスト最大値は、許可ドメインリスト43に登録されている許可ドメインの数であり、
図4に示すように、本実施例では5である。これにより、許可ドメインリスト43の各行(ドメインセット)について、
図4における上から下に順番にAGを分離し、ユーザリストに現ユーザが含まれるか判断して、含まれる場合は、そのドメインセットを許可ドメインリスト43bに追加する。現ユーザの所属するグループが含まれるドメインセットのみを許可ドメインリスト43bに追加できる。
【0058】
図12の上側の図に示すように、userAがログインしていた場合、許可ドメインリスト43に登録されたドメインセットのうち、userAの所属するグループ「営業マネージャー、営業G」のうち、少なくとも一方のグループを含むドメインセットが許可ドメインリスト43bに設定される。また、
図12の下側の図に示すように、userBがログインしていた場合、許可ドメインリスト43に登録されたドメインセットのうち、userBの所属するグループ「知財G」を含むドメインセットが許可ドメインリスト43bに設定される。
【0059】
図13に示すように、S203を実行すると、S205の許可ドメインリスト照合処理を実行する。許可ドメインリスト照合処理では、
図15に示すように、S201で取得した取得アドレスの@マーク以降を、ドメインとして取得する(S241)。尚、S241で取得するドメインを、取得ドメインと記載する。変数nを1にセットする(S242)。
図15の処理における変数nは、許可ドメインリスト43b(
図12参照)の上から何行目であるのかを示すものである。以下、userAがログインユーザである場合について説明する。また、以下の説明において、
図11や
図14と同様の処理内容については説明を省略する。
【0060】
取得ドメインと、許可ドメインリスト(n)のドメイン(以下、単に許可ドメインリスト(n)という場合がある)とが完全一致であるか否かを判断する(S244)。例えば、変数n=1の場合、取得ドメインと、userA用の許可ドメインリスト(1)「brother.co.jp」(
図12参照)とが完全に一致するか否かが判断される。この際、例えば、取得ドメインが「brother.co.jp」である場合には、取得ドメインと許可ドメインリスト(n)とが完全一致であると判断され(S244:YES)、照合成功となる(S246)。
【0061】
一方、例えば、取得ドメインが「brother.co.jp」のサブドメイン「ab.brother.co.jp」である場合、取得ドメインと許可ドメインリスト(1)とは完全一致ではないと判断する(S244:NO)。許可ドメインリスト(1)に対するサブドメイン許可設定リスト(1)(許可ドメインリスト43bの1行目のサブドメイン許可設定欄74の設定)がONであるか否かを判断する(S248)。userAの場合、サブドメイン許可設定リスト(1)は、OFFであるため(S248:NO)、取得ドメインが「brother.co.jp」のサブドメイン「ab.brother.co.jp」である場合に、照合成功とはならない。
【0062】
次に、S250で変数nに1を加算することで、変数nに2がセットされて、その変数nが許可ドメインリスト43bの許可ドメインリスト最大値より大きいか否かを判断する(S252)。
図12に示すように、userA用の許可ドメインリスト最大値は3となる。この場合、変数nが許可ドメイン最大値以下であるため(S252:NO)、S244を再度実行する。
【0063】
2回目のS244では、取得ドメインと、userA用の許可ドメインリスト(2)「brothergroup.net」とが完全一致であるか否かを判断する。この際、例えば、取得ドメインが「brothergroup.net」である場合には、取得ドメインと許可ドメインリスト(2)とが完全一致であると判断し(S244:YES)、照合成功となる(S246)。
【0064】
一方、例えば、取得ドメインが「brothergroup.net」のサブドメイン「dp.brothergroup.net」である場合には、取得ドメインと許可ドメインリスト(2)とは完全一致しないと判断し(S244:NO)、サブドメイン許可設定リスト(2)がONであるか否かを判断する(S248)。
図12に示すように、userA用のサブドメイン許可設定リスト(2)はONであるため、肯定判断し(S248:YES)、取得ドメインを独自ドメインと区別ドメインとに分離する(S255)。サブドメインは、主となるドメインを基に設定されたものであり、主となるドメインの前に任意の文字列が加えられたドメインである。この主となるドメインを、独自ドメインと記載し、独自ドメインの前に加えられた文字列を、区別ドメインと記載する。例えば、取得ドメインが「dp.brothergroup.net」であれば、独自ドメイン「brothergroup.net」と、区別ドメイン「dp」とに分離する。分離する方法は、特に限定されないが、例えば、取得ドメインのトップドメイン側から許可ドメインリスト(n)と完全一致する文字列がある場合は、完全一致した部分を独自ドメインとし、残りの部分を区別ドメインとしても良い。仮に、許可ドメインリスト(n)と完全一致するドメインが含まれていなかった場合、次のS257で否定判断しても良い。あるいは、トップレベルドメインの情報等、独自ドメインの分離に必要な情報を、予めデータ記憶領域36に記憶させても良く、DNS等に問い合わせても良い。
【0065】
尚、S255で取得ドメインから分離した独自ドメインを取得独自ドメインと記載し、取得ドメインから分離した区別ドメインを取得区別ドメインと記載する。許可ドメインリスト43は、S255で分離した取得独自ドメインと許可ドメインリスト(2)とが完全一致であるか否かを判断する(S257)。例えば、取得独自ドメインが「brothergroup.net」であれば、許可ドメインリスト(2)「brothergroup.net」と一致するため(S257:YES)、サブドメイン照合処理を実行する(S259)。尚、取得独自ドメインと、許可ドメインリスト(n)が一致しない場合は、S250を実行する。
【0066】
例えば、「brothergroup.net」を独自ドメインとした場合に、その独自ドメインの前に区別ドメイン「ap」の文字列を加えた「ap.brothergroup.net」が、「brothergroup.net」のサブドメインとなる。つまり、サブドメインは、区別ドメイン(例えば、「ap」)と独自ドメイン(例えば、「brothergroup.net」)とから構成されるドメインである。また、
図12の許可ドメインリスト43bの例では、許可ドメインリスト(1)「brother.co.jp」に対応するサブドメイン許可設定リスト(1)はOFFであり、許可ドメインリスト(2)「brothergroup.net」及び許可ドメインリスト(3)「salesoffice.co.jp」に対応するサブドメイン許可設定リスト(2)(3)はONである。この場合、「brother.co.jp」のサブドメインのメールアドレスへのメール送信が制限され、「brothergroup.net」のサブドメイン、もしくは、「salesoffice.co.jp」のサブドメインのメールアドレスへのメールが制限されない。
【0067】
サブドメイン照合処理では、
図16に示すように、許可区別ドメインリスト(2)の設定(許可ドメインリスト43bの2行目の許可区別ドメイン入力欄76の設定)があるか否かを判断する(S271)。例えば、
図3では、許可ドメイン「brothergroup.net」に対応する許可区別ドメイン入力欄76bに、区別ドメイン「ap」及び「dp」が入力されている。
図12に示すように、許可区別ドメインリスト(2)には「ap」及び「dp」が設定されているため、許可区別ドメインリスト(2)の設定はあると判断する(S271:YES)。続いて、許可区別ドメインリスト(2)の中に取得区別ドメインと完全一致であるものがあるか否かを判断する(S273)。ここで、許可区別ドメインリスト(2)には「ap」及び「dp」が設定されており、取得区別ドメインが「dp」であれば、許可区別ドメインリスト(2)の中に取得区別ドメインと完全一致であるものがあると判断し(S273:YES)、サブドメイン照合成功とする(S275)。つまり、「dp」を含む「brothergroup.net」のサブドメイン「dp.brothergroup.net」が照合成功となる。また、許可区別ドメインリスト(2)には「ap」も設定されているため、「ap」を含むサブドメイン「ap.brothergroup.net」においても照合成功となる。一方、取得区別ドメインが「ap」及び「dp」以外である場合には、許可区別ドメインリスト(2)の中に取得区別ドメインと完全一致であるものがないと判断し(S273:NO)、サブドメイン照合失敗とする(S277)。つまり、サブドメイン「dp.brothergroup.net」及び「ap.brothergroup.net」のみが照合成功となり、それ以外のサブドメインは照合失敗となる。そして、S275若しくはS277の処理が完了すると、サブドメイン照合処理が終了する。
【0068】
サブドメイン照合処理が終了すると、
図15に示すように、サブドメイン照合が成功したか否かを判断する(S261)。そして、サブドメイン照合が成功した場合(S261:YES)に、照合成功とする(S246)。一方、サブドメイン照合が失敗した場合(S261:NO)に、S250で変数nに1を加算する。この際、変数nが3にセットされて、その変数n(=3)は許可ドメインリスト最大値(=3)以下であるため(S252:NO)、S244に戻る。
【0069】
S244では、取得ドメインと許可ドメインリスト(3)「salesoffice.co.jp」とが完全一致であるか否かを判断する。この際、例えば、取得ドメインが「salesoffice.co.jp」である場合には、取得ドメインと許可ドメインリスト(3)とが完全一致であると判断し(S244:YES)、照合成功となる(S246)。
【0070】
一方、例えば、取得ドメインが「salesoffice.co.jp」のサブドメイン「kp.salesoffice.co.jp」である場合には、取得ドメインと許可ドメインリスト(3)とは完全に一致しないと判断する(S244:NO)。ここで、
図12に示すように、サブドメイン許可設定リスト(3)はONであるため、取得独自ドメインと許可ドメインリスト(3)とが完全に一致するか否かを判断する(S255)。取得独自ドメインが「salesoffice.co.jp」であれば、許可ドメインリスト(3)と完全一致するため(S257:YES)、サブドメイン照合処理を実行する(S259)。
【0071】
サブドメイン照合処理では、
図16に示すように、区別ドメインリスト(3)の設定があるか否かを判断する(S271)。
図3では、許可ドメイン「salesoffice.co.jp」に対応する許可区別ドメイン入力欄76eには区別ドメインが入力されていない。このため、許可区別ドメインリスト(3)の設定は無いと判断し(S271:NO)、S275を実行する。このため、本実施例では、サブドメイン許可設定欄74がONに設定され、許可区別ドメイン入力欄76に区別ドメインが入力されていない場合には、その許可区別ドメイン入力欄76に対応する許可ドメインの全てのサブドメインであれば、制限されず許可される。つまり、許可ドメイン「salesoffice.co.jp」の全てのサブドメインのメールアドレスへのメール送信が制限されず許可される。つまり、区別ドメインが例えば「kp」に限らず、「ap」,「dp」、あるいは別の文字列のいずれであっても、「salesoffice.co.jp」のサブドメインは、サブドメイン照合成功となる。尚、サブドメイン許可設定欄74がONに設定され、許可区別ドメイン入力欄76に区別ドメインが入力されていない場合、全ての取得区別ドメインについて照合失敗と判断しても良い。
【0072】
図15に示すように、サブドメイン照合が成功した場合(S261:YES)、照合成功となり(S246)、サブドメイン照合が失敗した場合(S261:NO)、S250で変数nに1を加算する。この際、変数n(=4)は許可ドメインリスト最大値(=3)より大きいため(S252:YES)、照合失敗となる(S263)。そして、許可ドメインリスト照合処理が終了する。
【0073】
許可ドメインリスト照合処理が終了すると、
図13に示すように、照合成功であるか否かを判断する(S207)。そして、照合成功の場合(S207:YES)に、ドメイン制限エラーがないことを示す情報をメモリ14に記憶し(S208)、照合失敗の場合(S207:NO)に、ドメイン制限エラーであることを示す情報をメモリ14に記憶し(S209)、
図13の処理を終了する。尚、エラーであることを示す情報をメモリ14に記憶させることを、エラーを発生させると述べても良い。
【0074】
入力アドレスチェック処理が終了すると、
図7に示すように、S120においてドメイン制限エラーが発生しているか否かを判断する(S120)。ドメイン制限エラーが発生している場合(S120:YES)に、ディスプレイ16にエラー画面を表示し(S122)、入力画面110において設定されたメールアドレス、つまり、IFAX処理でのスキャンデータの送信予定のメールアドレスの設定を削除する(S124)。そして、S109に戻る。
【0075】
また、S120でドメイン制限エラーが発生していない場合(S120:NO)に、不揮発性領域36bからEmail件名及びEmail本文(
図4参照)を取得する(S126)。次に、
図8に示すように、スキャン処理を実行し(S128)、作成したスキャンデータを取得する(S130)。そして、ジョブ種別がIFAXのメール送信用データを作成する(S132)。このメール送信用データには、ジョブ種別(IFAX)と取得アドレスとEmail件名とEmail本文とスキャンデータとが含まれる。そして、メール送信用データが作成されると、メール送信処理を実行する(S134)。
【0076】
メール送信処理では、
図17に示すように、メール送信用データに含まれるジョブ種別がIFAXであるか否かを判断する(S281)。尚、
図3の選択欄78は、許可ドメインリストに登録された許可ドメインへのメール送信を許可する処理を選択するものである。つまり、選択欄78は、許可ドメインリストに登録されていないドメインへのメール送信を制限する処理を選択するものである。このため、IFAX処理を選択する選択欄78aにチェックマークが入力されることで、IFAX処理時において、許可ドメインリストに登録されていないドメインのメールアドレスへのメール送信が制限される。
【0077】
また、ScanToEmail処理を選択する選択欄78bにチェックマークが入力されることで、ScanToEmail処理時において、許可ドメインリストに登録されていないドメインのメールアドレスへのメール送信が制限される。ここで、先に作成されたメール送信用データに含まれるジョブ種別はIFAXであるため、ジョブ種別がIFAXであると判断し(S281:YES)、IFAX対象設定がONであるか否かを判断する(S283)。
図4に示すように、IFAX対象設定がONであるため、IFAX対象設定はONであると判断する(S283:YES)。そして、許可ドメインリスト照合処理を実行する(S285、
図15)。この処理については先に説明したため、説明を省略する。許可ドメインリスト照合処理が終了すると、照合成功であるか否かを判断する(S287)。そして、照合失敗の場合(S287:NO)に、ドメイン制限エラーが発生したと判断し(S289)、メール送信処理が終了する。一方、照合成功である場合(S287:YES)に、メール送信用データを取得アドレスに送信し(S291)、メール送信処理が終了する。
【0078】
メール送信処理が終了すると、
図8に示すように、S134の結果、ドメイン制限エラーが発生していると判断したか否かを判断する(S136)。ドメイン制限エラーが発生している場合(S136:YES)、エラー画面をディスプレイ16に表示し(S138)、本フローが終了する。一方、ドメイン制限エラーが発生していない場合(S136:NO)、S291で送信したメール送信用データの送信が正常に完了したか否かを判断する(S140)。メール送信用データの送信が正常に完了した場合(S140:YES)に、送信完了画面をディスプレイ16に表示し(S142)、本フローが終了する。また、メール送信用データの送信が正常に完了していない場合(S140:NO)、送信失敗画面をディスプレイ16に表示する(S144)。そして、リトライジョブとしてメール送信用データを不揮発性領域36bに記憶して(S146)、本フローが終了する。
【0079】
尚、
図7のS112においてIFAX対象設定がOFFである場合(S112:NO)に、S126に進み、S114の入力アドレスチェック処理をスキップする。このため、
図13のS205の許可ドメインリスト照合処理(S205)をスキップする。また、
図17のS283においてIFAX対象設定がOFFである場合(S283:NO)に、ジョブ種別がScanToEmailであるか否かを判断する(S293)。ジョブ種別がIFAXである場合、ジョブ種別はScanToEmailでないと判断し(S293:NO)、S291に進む。つまり、S283においてIFAX対象設定がOFFである場合(S283:NO)にも、S285の許可ドメインリスト照合処理をスキップする。このため、IFAX対象設定がOFFの状態でIFAX処理が実行された場合には、取得アドレスを許可ドメインリスト43bで照合する処理を実行せずに、IFAX処理が実行される。つまり、IFAX処理でのスキャンデータの送信は、何れのメールアドレスであっても制限されることなく行われる。
【0080】
次に、ScanToEmail処理について説明する。尚、制御プログラム34によるScanToEmail処理は、先に説明したIFAX処理とほぼ同じであるため、異なる箇所のみ説明する。ScanToEmail処理が実行される場合には、
図5に示すホーム画面100においてアイコン102cが操作される。これにより、ディスプレイ16にScanToEmail処理での送信先メールアドレスを入力するための入力画面(図示略)を表示する。許可ドメインリスト43は、
図7、
図8の処理を開始し、IFAX処理での入力画面と同様に手動若しくはアドレス帳41bによりメールアドレスが設定される。アドレス帳41bを用いる場合、IFAX処理と同様に、現ユーザのグループに応じて、宛先選択画面111bに表示するメールアドレスの選択候補を制限する。
【0081】
ScanToEmail処理では、S112においてScanToEmail対象設定がONであるか否かを判断する。また、S132においてジョブ種別がScanToEmailのメール送信用データを作成する。また、メール送信処理のS281においてジョブ種別がIFAXでないと判断し(S281:NO)、S293においてジョブ種別はScanToEmailであると判断する(S293:YES)。そして、S295においてScanToEmail対象設定がONである場合(S295:YES)、S285に進む。尚、これらの処理以外の処理は、先に説明した制御プログラム34によるIFAX処理と同じである。これにより、ScanToEmail処理においても、IFAX処理と同様に、現ユーザの所属するグループに応じた許可ドメインリストの照合を実行し、スキャンデータの送信制限を行うことができる。
【0082】
また、S146において不揮発性領域36bに記憶したリトライジョブ、つまり、メール送信に失敗して不揮発性領域36bに記憶したメール送信用データは、制御プログラム34の処理により再送信される。詳しくは、
図18に示すように、リトライジョブが不揮発性領域36bに記憶されてから所定時間が経過したか否かを判断する(S301)。そして、所定時間が経過した場合(S301:YES)に、不揮発性領域36bにリトライジョブとして記憶されたメール送信用データを取得する(S303)。続いて、メール送信処理を実行する(S305)。ここでのメール送信処理も、先に説明したメール送信処理(
図17参照)と同じであるため、説明を省略する。
【0083】
そして、メール送信処理においてドメイン制限エラーが発生したか否かを判断する(S307)。この際、ドメイン制限エラーが発生している場合(S307:YES)に、エラー画面をディスプレイ16に表示して(S309)、本フローが終了する。一方、ドメイン制限エラーが発生していない場合(S307:NO)に、メール送信処理でのメール送信用データの送信が正常に完了したか否かを判断する(S311)。そして、メール送信用データの送信が正常に完了した場合(S311:YES)に、送信完了画面をディスプレイ16に表示して(S313)、不揮発性領域36bからリトライジョブを削除する(S315)。これにより、本フローが終了する。一方、メール送信用データの送信が正常に完了していない場合(S311:NO)に、送信失敗画面をディスプレイ16に表示して(S317)、本フローが終了する。このように、IFAX処理若しくはScanToEmail処理でのリトライジョブが再送信される際にも、現ユーザの所属するグループと許可ドメインリストに従ったスキャンデータの送信制限が実行される。
【0084】
上記した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0085】
上述したように、ログインユーザの所属するグループが対応付けられた許可ドメインの許可ドメインリスト43bを構築する(
図12参照)。そして、例えば、userAがログインユーザである場合、userAが所属しないグループ(開発G、知財G、パブリック)を、許可ドメインリスト43で対応付けられた許可ドメイン「brother.ne.jp」、「patentoffice.co.jp」の送信先メールアドレスについては、スキャンデータのメール送信を制限する。また、userAが所属するグループ(営業Gマネージャー、営業G)を、許可ドメインリスト43で対応付けられた許可ドメイン「brother.co.jp」、「brothergroup.net」、「salesoffice.co.jp」の送信先メールアドレスについては、スキャンデータのメール送信を制限しない。
【0086】
これによれば、スキャンデータの送信先メールアドレスを、ログインユーザが所属するグループにより管理できる。送信先メールアドレスから取得した取得ドメインが、所属するグループに対応付けられた許可ドメインであれば送信を許可し、そうでなければ、送信を制限できる。これにより、ログインユーザが所属するグループに応じてメール送信機能の送信の許可・制限を実行できる。また、デバイスごとに登録されるアドレス帳41が異なっていても、使用するユーザが所属するグループによって送信先の制限を統括的に管理できる。例えば、ユーザが所属する部署や働く場所が固定されていれば、使用するMFP10が限定されており、そのMFP10の変更を行うことで、送信先の制限を適切に行うことができる。しかしながら、人事異動による部署の変更、あるいは、フリーアドレスオフィスによる自由な職場環境によって、ユーザが使用するMFP10が変更される可能性もある。そこで、ユーザが所属するグループによって、送信先を管理することで、スキャンメール機能の使い勝手と、セキュリティの向上の両立を図ることができる。
【0087】
また、不揮発性領域36bに記憶する情報として、1つの許可ドメインに対して、複数のグループを対応付けて記憶可能となっている(
図4参照)。そして、取得ドメインが、ログインユーザの所属グループの何れのグループに対応付けられた許可ドメインと一致しても、送信を許可する。仮に、1つのグループに対して複数の許可ドメインを対応付けて記憶しようとすると、複数のグループに対応付けられた許可ドメインについては、対応する複数のグループのぞれぞれと関連付けて許可ドメインの文字列等を記憶する必要がある。このため、1つのグループに対応付ける許可ドメインの数が増加すると、メモリ14に確保する必要がある記憶容量が増加する。これに対し、1つの許可ドメインに対して、複数のグループを対応付けるように記憶することで、不揮発性領域36bに記憶する許可ドメインの数を減らし、記憶容量を削減できる。
【0088】
また、EWSのウェブページに対する操作に応じて、許可リスト設定画面70を表示し、グループ入力欄77においてグループを受け付け、受け付けたグループと対応する許可ドレスを対応付けて許可ドメインリスト43に記憶する。これによれば、EWSを介して許可リスト設定画面70を操作することで、許可ドメインリスト43に含まれる許可ドメインに対するグループの設定や、設定されたグループの変更をすることができる。
【0089】
また、EWSのウェブページに対する操作に応じて、不揮発性領域36bの許可ドメインリスト43から許可ドメインを読み出し、許可リスト設定画面70に表示する。そして、グループ入力欄77で入力されたグループを、そのグループ入力欄77に対応する許可ドメインに対応付けて許可ドメインリスト43に記憶し更新する。これによれば、許可ドメインリスト43を不揮発性領域36bに記憶することで、MFP10の電源をON・OFFした後も継続して前の許可ドメインリスト43を使用できる。そして、不揮発性領域36bの許可ドメインリスト43のグループの情報を、許可リスト設定画面70で更新できる。
【0090】
また、入力画面110において送信先メールアドレスの入力を受け付け、ログインユーザが所属しているグループと許可ドメインリスト43bで対応していない許可ドメインの送信先メールアドレスについてはメール送信を制限し、対応している許可ドメインリストの送信先メールアドレスについてはメール送信を制限しない。これによれば、入力画面110で入力された送信先メールアドレスの取得ドメインを、許可ドメインリスト43bの許可ドメインやグループで判断でき、メール送信の制限を実行するか否かを判断できる。
【0091】
また、送信先メールアドレスを選択するための選択候補を、宛先選択画面111bに表示する(
図9参照)。アドレス帳41に登録された候補のうち、ログインユーザが所属しているグループに対応する候補のみを、宛先選択画面111bにおいて選択候補として表示する。これによれば、ログインユーザが送信可能な送信先メールアドレスに絞って表示を行うことで、送信可能な送信先メールアドレスを確認する必要がなくなり、送信ミス、送信エラーの発生を抑制できる。
【0092】
また、入力画面110で送信先メールアドレスを設定した時(S205)に加え、メール送信用データを作成した後にも(S285)、取得ドメインと許可ドメインとが一致するか否かを判断している。これによれば、送信先メールアドレスを取得してから、メール送信用データを作成する迄の間に、許可ドメインリスト43が変更された場合に、変更後の許可ドメインリスト43の設定を反映してスキャンデータの送信を制限できる。
【0093】
また、入力画面110で送信先メールアドレスを設定した時(S205)に加え、メール送信に失敗して、再送する際にも(S305)、取得ドメインと許可ドメインとが一致するか否かを判断している。これによれば、メール送信に失敗してから再送信を実行する迄の間に、許可ドメインリスト43が変更された場合、変更後の許可ドメインリスト43の設定を反映してスキャンデータの送信を制限できる。
【0094】
また、取得ドメインと許可ドメインとが一致しない場合、許可ドメインリスト43に含まれるサブドメインと取得ドメインが一致し、且つ、ログインユーザが所属しているグループと許可ドメインリスト43において対応している許可ドメインのサブドメインと取得ドメインが一致するならば、メール送信を許可する。これによれば、取得ドメインと許可ドメインとが一致しない場合であっても、ログインユーザのグループに対応する許可ドメインのサブドメインと取得ドメインが一致するならば、メール送信を制限しない。これにより、許可ドメインリスト43に含まれる任意の許可ドメインのサブドメインを、スキャンデータの送信を許可するドメインとして設定することができる。
【0095】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。上記した第1実施形態では、許可ドメインリスト43を用いて、メール送信の制限を実行するか否かを判断した。これに対し、第2実施形態では、許可ドメインリスト43に加え、許可アドレスリストを用いてメール送信の制限を実行するか否かを判断する。尚、第2実施形態は、許可アドレスリストを用いること以外は、基本的には、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同様の内容についての説明は、適宜省略する。
【0096】
図19に示すように、第2実施形態の許可リスト設定画面170(設定画面の一例)には、第1実施形態の表示項目に加え、許可アドレス入力欄82と、グループ入力欄83の組み合わせを、各行ごとに表示する。許可アドレス入力欄82は、メール送信を許可するメールアドレス(以下、許可アドレスという)を入力する欄である。
図19では、許可アドレス入力欄82aに許可アドレス「taro.horita@brother.co.jp」が入力され、許可アドレス入力欄82bに許可アドレス「hanako.aichi@brother.co.jp」が入力されている。尚、登録可能な許可アドレスの数は、限定されない。
【0097】
また、グループ入力欄83は、許可アドレス入力欄82に入力した許可アドレスへのメール送信を許可するグループを入力する欄である。
図19では、グループ入力欄83aにグループ「開発G、営業G」が入力され、グループ入力欄83bにグループ「営業Gマネージャー」が入力されている。許可アドレスには、1又は複数のグループを対応付けることが可能となっている。第1実施形態と同様に、CPU12は、EWSのウェブページにより許可アドレス入力欄82の許可アドレス、グループ入力欄83のグループを受け付け、許可リスト設定画面170で設定された情報を、
図20に示すように、許可アドレスリスト85として不揮発性領域36bに記憶する。許可アドレスリスト85は、例えば、許可ドメインリスト43の記憶領域80a~80qの後の記憶領域86a,86bに記憶される。
【0098】
図21は、第2実施形態の許可ドメインリスト照合処理を示している。第2実施形態の制御プログラム34は、
図6以降の処理を第1実施形態と同様に実行し、
図13の入力アドレスチェック処理のS205の許可ドメインリスト照合処理において、
図21の処理を開始する。
図21に示すように、まず、制御プログラム34は、現ユーザ用の許可アドレスリスト構築処理を実行する(S401)。この現ユーザ用の許可アドレスリスト構築処理では、第1実施形態の現ユーザ用のアドレス帳構築処理(
図11参照)や、現ユーザ用の許可ドメインリスト構築処理(
図14参照)と同様に、現ユーザの所属するグループに対応する許可アドレスリスト85bを、揮発性領域36aに構築する。
【0099】
具体的には、
図14を用いて説明すると、揮発性領域36aの許可アドレスリスト85bを構築する記憶領域を初期化した後(S211)、
図20に示す許可アドレスリスト85における各行のグループ欄の情報を、変数nを用いてAG(n)として分離し(S217)、変数n,mを用いたAG(n)-(m)により、各グループ欄のグループを左から順番に取得する(S221)。そして、取得したAG(n)-(m)が示すグループのユーザリストに、現ユーザ(パブリック、又はログインユーザ)が含まれるか判断する(S222)。現ユーザがユーザリストに含まれる場合、メールセット(許可アドレスリスト85の各行の情報)(n)を許可アドレスリスト85bに設定し(S222:YES、S223)、含まれない場合は許可アドレスリスト85bに設定せずに(S222:NO)、次のAG(n)-(m)を判断する(S227)。このようにして、現ユーザの所属するグループに応じた許可アドレスリスト85bを構築する。
【0100】
図22は、
図20に示す許可アドレスリスト85に対して、userA、userBのそれぞれがログインしていた場合の許可アドレスリスト85bを示している。
図22の上側の図に示すように、userAがログインしていた場合、許可アドレスリスト85に登録されたメールセットのうち、userAの所属するグループ「営業マネージャー、営業G」の少なくとも一方のグループを含むメールセットが許可アドレスリスト85bに設定される。また、
図12の下側の図に示すように、userBがログインしていた場合、許可アドレスリスト85に登録されたメールセットのうち、userBの所属するグループ「知財G」を含むメールセットが許可アドレスリスト85bに設定される。
図12に示す例では、userBの場合、該当するメールセットがないため、許可アドレスリスト85bとして登録されるメールセットがない。このように、現ユーザの所属するグループの少なくとも1つが、許可アドレスリスト85のグループ欄に設定されたメールセットを、不揮発性領域36bの許可アドレスリスト85bとして構築することができる。
【0101】
図21において、S401を実行すると、変数nに1をセットし(S403)、
図13のS201で取得した取得アドレスと、S401で構築した許可アドレスリスト85bのn番目の許可アドレスリスト(n)の許可アドレスとが完全一致するか否かを判断する(S405)。一致する場合(S405:YES)、照合成功と判断し(S407)、
図21の処理を終了して
図13のS207を実行する。
【0102】
一方、一致しない場合(S405:NO)、変数nに1を加算し(S409)、変数nが許可アドレスリスト最大値より大きいか否かを判断する(S411)。ここでいう許可アドレスリスト最大値とは、許可アドレスリスト85bのメールセットの数(登録されている許可アドレスの数)である。変数nが許可アドレスリスト最大値以下の場合(S411:NO)、S405を実行する。
【0103】
そして、変数nが許可アドレスリスト最大値より大きくなると(S411:YES)、S413において、第1実施形態の
図15の許可ドメインリスト照合処理(S241)を開始し、処理が終了すると、
図21の処理を終了して
図13のS207を実行する。これにより、許可アドレスリスト85bを用いて照合に成功しなかった場合、許可ドメインリスト43bによる照合を実行する。このようにして、第2実施形態では、許可ドメインリスト43に加え、許可アドレスリスト85を用いて、メール送信の制限を実行するか否かを判断する。
【0104】
尚、上記した説明では、
図13の入力アドレスチェック処理のS205において、
図21の処理を開始する場合について説明したが、
図17のメール送信処理のS285においても同様に、
図21の許可ドメインリスト照合処理を実行しても良い。即ち、
図8に示すスキャンデータを作成した後のメール送信時(S134)や、
図18に示すメールの再送信時(S305)にも、許可アドレスリスト85を用いた照合を実行し、許可アドレスリスト85bを用いて照合に成功しなかった場合、許可ドメインリスト43bによる照合を実行しても良い。この場合、
図21の処理を終了した後、
図17のS287を実行する。
【0105】
上記した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下の効果を奏する。
【0106】
上述したように、第2実施形態では、メール送信を許可するメールアドレスのリストである許可アドレスリスト85が設定可能となっている。許可アドレスリスト85は、1つの許可アドレスに、複数のグループを対応付ける設定が可能となっている。そして、制御プログラム34は、取得アドレス(送信先メールアドレス)が、許可アドレスリスト85bに含まれる許可アドレスの場合に、メール送信し、含まれない場合、メール送信を制限する。また、取得アドレスが、許可アドレスリスト85bに含まれる許可アドレスであるが、ログインユーザのグループと対応していない場合(S405:YES)、第1実施形態と同様に、取得ドメインと許可ドメインとの一致を判断する(S413)。これによれば、送信先メールアドレスが、許可アドレスリスト85bに含まれる許可アドレスであるが、ログインユーザが所属しているグループに対応していない許可アドレスである場合でも、許可ドメインリスト43bによりメール送信を許可できる。即ち、取得ドメインと許可ドメインとが一致し、且つ、取得ドメインが、ログインユーザが所属しているグループと許可ドメインリスト43bにおいて対応している許可ドメインである場合に、メール送信を許可できる。
【0107】
尚、上述した各実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の各実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
例えば、上述した各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更できる。つまり、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記した第2実施形態では、許可ドメインリスト43と許可アドレスリスト85の両方を用いた照合を実行したが、許可アドレスリスト85だけで照合を実行しても良い。例えば、制御プログラム34は、S411で肯定判断した場合(S411:YES)、S413を実行せずに、照合失敗と判断して
図21の処理を終了しても良い。これにより、取得アドレスを取得した際(S205)、スキャンデータを作成した後(S285)、あるいはメール再送信時(S305)において、許可アドレスリスト85bだけを用いた照合を実行できる。また、S205、S285、S305のうち、少なくとも1つでは、両方の照合を実行し、残りのステップではどちらか一方の照合を行うなど、組み合わせて照合を実行しても良い。
また、上記した第2実施形態では、先に許可アドレスリスト85bを用いた照合を実行し、許可アドレスリスト85bを用いて照合に成功しなかった場合に、許可ドメインリスト43bによる照合を実行した。しかしながら、先に、許可ドメインリスト43bを用いた照合を実行し照合に成功しなかった場合に、許可アドレスリスト85bによる照合を実行しても良い。
また、上記各実施形態では、取得アドレスを取得した際(S205)、スキャンデータを作成した後(S285)、メール再送信時(S305)の3つのタイミングで許可ドメインリスト照合処理を実行したが、少なくとも1つのタイミングで実行しても良い。
また、第2実施形態のように、許可ドメインリスト43と許可アドレスリスト85の両方の照合を実行する場合に、許可ドメインリスト43又は許可アドレスリスト85の一方において、グループを考慮しない照合を実行しても良い。即ち、現ユーザの所属するグループに応じた許可ドメインリスト43bの構築や、許可アドレスリスト85bの構築を実行せずに、許可ドメインリスト43や許可アドレスリスト85で照合を実行しても良い。
また、各実施形態では、許可ドメイン及びサブドメインによるメール送信の制限を実行したが、許可ドメインによる制限のみを実行しても良い。
【0108】
また、第1実施形態では、許可リスト設定画面70において、許可ドメイン入力欄72とサブドメイン許可設定欄74と許可区別ドメイン入力欄76とを表示したが、許可区別ドメイン入力欄76を表示せず、許可ドメイン入力欄72とサブドメイン許可設定欄74を表示しても良い。この場合には、サブドメイン許可設定欄74でチェックされた許可ドメインに対して、全てのサブドメインがスキャンデータの送信可能なサブドメインとされる。また、許可リスト設定画面70において、サブドメイン許可設定欄74を表示させず、許可ドメイン入力欄72と許可区別ドメイン入力欄76とを表示されても良い。このような場合には、許可区別ドメイン入力欄76に入力された区別ドメインを含むサブドメインがスキャンデータの送信可能なサブドメインとされる。
また、上記各実施形態におけるデータの記憶先(揮発性領域36a、不揮発性領域36b)は、一例である。例えば、許可ドメインリスト43bを、不揮発性領域36bに記憶しても良い。
また、1つの許可ドメインに対して、グループが1つしか対応付けることができない構成でも良い。
また、各実施形態において、EWSとユーザI/F15の両方でドメインやメールアドレスの登録を受け付けたが、どちらか一方のみで登録を受け付けも良い。
また、上記各実施形態では、CPU12によって
図2、
図6乃至
図8、
図10、
図11、
図13乃至
図18、
図21に示す処理が実行される例を説明したが、これら処理は、CPU12に限らず、ASICや他の論理集積回路により実行されても良いし、これら処理が、CPU等やASIC、他の論理集積回路が協働することにより実行されても良い。また、これらのCPU12に代わって処理する装置や協働して処理する装置は、本願のコントローラの一例である。また、CPU12とメモリ14の一部、例えばバッファなど、の組み合わせをコントローラの一例としても良い。
【符号の説明】
【0109】
10:MFP、12:CPU、15 ユーザI/F、20:スキャナ、28:ネットワークI/F、36b 不揮発性領域、41,41a,41b アドレス帳、43,43b 許可ドメインリスト、70,170 許可リスト設定画面、77 グループ入力欄、85,85b 許可アドレスリスト、110 入力画面、111b 宛先選択画面。