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特開2024-178832塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法
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  • 特開-塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178832
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20241218BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B05C5/02
B05D1/26 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097280
(22)【出願日】2023-06-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビリグォーツ
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雅樹
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
【Fターム(参考)】
4D075AC02
4D075AC88
4D075AC91
4D075CA47
4D075CA48
4D075EA05
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA36
4F041CA03
4F041CA16
(57)【要約】
【課題】高精度で塗布幅を変更可能な塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法を提供する。
【解決手段】塗布装置1は、ダイヘッド10と、モータ31及びスライダ33を有する往復移動装置30とを備える。ダイヘッド10は、固定ダイヘッド11と、固定ダイヘッド11に対して移動可能な可動ダイヘッド15とを有し、塗布物質Cが吐出される吐出口19が固定ダイヘッド11と可動ダイヘッド15との間に形成され、可動ダイヘッド15の移動により吐出口19の開口面積が可変である。可動ダイヘッド15は、モータ31により直線的に往復移動するスライダ33に取り付けられ、往復移動装置30の作動によって可動ダイヘッド15が直線的に往復移動する。塗布物質塗布済対象物の製造方法は、塗布対象物を受台に配置し、塗布対象物に塗布装置1から吐出された塗布物質Cを塗布し、塗布物質Cが塗布された塗布対象物を前記受台から取り出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ダイヘッドと、前記固定ダイヘッドに対して移動可能な可動ダイヘッドと、を有するダイヘッドであって、塗布物質が吐出される吐出口が前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとの間に形成され、前記可動ダイヘッドの移動により前記吐出口の開口面積を変えることができる、ダイヘッドと、
モータと、前記モータの作動により直線的に往復移動するスライダと、を有する往復移動装置と、を備え、
前記可動ダイヘッドが前記スライダに取り付けられていて、前記往復移動装置の作動によって前記可動ダイヘッドが直線的に往復移動する、
塗布装置。
【請求項2】
前記可動ダイヘッドを前記固定ダイヘッドに向けて押さえる押さえ部材を備える、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、リニアガイドを有し、
前記リニアガイドのレールが前記可動ダイヘッドに固定されている、
請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記固定ダイヘッド及び前記可動ダイヘッドは、相互に対向する面に嵌合構造を有する、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記固定ダイヘッド及び前記可動ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとを仮固定する仮固定機構を有し、
前記固定ダイヘッド及び前記押さえ部材は、前記固定ダイヘッドと前記押さえ部材とを固定する本固定機構を有する、
請求項2に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとの間に設けられた樹脂製のシムを有する、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記シムは、PEEK、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、PBT、及びPPSからなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成されている、
請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の塗布装置によって吐出された塗布物質が塗布対象物に塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって、
前記塗布物質が塗布される前記塗布対象物を受台に配置する工程と、
前記受台に配置された前記塗布対象物に、前記塗布装置から吐出された前記塗布物質を塗布する工程と、
前記塗布物質が塗布された前記塗布対象物を前記受台から取り出す工程と、を備える、
塗布物質塗布済対象物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法に関し、特に塗布幅を変更可能な塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、基板に対して、接着剤等の塗布物質を塗布するものとして、ダイヘッドを有する塗布装置がある。このような塗布装置は、矩形の塗膜を形成するように塗布物質を塗布するのが一般的であるが、円形等の曲線部を有する塗膜を形成するように塗布物質を塗布することができるように、塗布幅を変えることができるものがある。塗布幅可変の塗布装置として、固定ダイプレートと可動ダイプレートの接合面にスリット状ノズルを形成し、可動ダイプレートをスライド機構によってスライド移動させることで、スリット長を変化させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-97000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された塗布装置は、モータの回転を、複数の歯車を組み合わせた歯車列を介して、可動ダイプレートにつながるネジ軸に伝達しているため、歯車のバックラッシュ等に起因して、スリット長を意図した大きさに合わせ難い。
【0005】
本開示は上述の課題に鑑み、高精度で塗布幅を変更可能な塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る塗布装置は、固定ダイヘッドと、前記固定ダイヘッドに対して移動可能な可動ダイヘッドと、を有するダイヘッドであって、塗布物質が吐出される吐出口が前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとの間に形成され、前記可動ダイヘッドの移動により前記吐出口の開口面積を変えることができる、ダイヘッドと、モータと、前記モータの作動により直線的に往復移動するスライダと、を有する往復移動装置と、を備え、前記可動ダイヘッドが前記スライダに取り付けられていて、前記往復移動装置の作動によって前記可動ダイヘッドが直線的に往復移動する。
【0007】
このように構成すると、スライダの移動量が可動ダイヘッドの移動量に直接的に反映されるため、可動ダイヘッドを高精度で迅速に移動させることができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様に係る塗布装置として、上記本開示の第1の態様に係る塗布装置において、前記可動ダイヘッドを前記固定ダイヘッドに向けて押さえる押さえ部材を備えていてもよい。
【0009】
このように構成すると、固定ダイヘッドと可動ダイヘッドとが意図せずに離れてしまうことを抑制することができる。
【0010】
また、本開示の第3の態様に係る塗布装置として、上記本開示の第1の態様に係る塗布装置において、前記押さえ部材は、リニアガイドを有し、前記リニアガイドのレールが前記可動ダイヘッドに固定されていてもよい。
【0011】
このように構成すると、押さえ部材に対して、可動ダイヘッドを、あらかじめ決められた軌道で移動させることができる。
【0012】
また、本開示の第4の態様に係る塗布装置として、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る塗布装置において、前記固定ダイヘッド及び前記可動ダイヘッドは、相互に対向する面に嵌合構造を有していてもよい。
【0013】
このように構成すると、固定ダイヘッドに対して、可動ダイヘッドを、あらかじめ決められた軌道で移動させることができる。
【0014】
また、本開示の第5の態様に係る塗布装置として、上記本開示の第2の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る塗布装置において、前記固定ダイヘッド及び前記可動ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとを仮固定する仮固定機構を有し、前記固定ダイヘッド及び前記押さえ部材は、前記固定ダイヘッドと前記押さえ部材とを固定する本固定機構を有していてもよい。
【0015】
このように構成すると、固定ダイヘッドと可動ダイヘッドとを仮固定した状態で、固定ダイヘッドと押さえ部材とを本固定することができ、その後に仮固定を解除しても、固定ダイヘッドと可動ダイヘッドとの距離を適切に維持することができる。
【0016】
また、本開示の第6の態様に係る塗布装置として、上記本開示の第1の態様乃至第5の態様のいずれか1つの態様に係る塗布装置において、前記ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとの間に設けられた樹脂製のシムを有していてもよい。
【0017】
このように構成すると、樹脂製のシムを有するので、固定ダイヘッドと可動ダイヘッドとの摺動面の摩擦を低減することができると共に、塗布物質の漏洩を低減することができる。
【0018】
また、本開示の第7の態様に係る塗布装置として、上記本開示の第6の態様に係る塗布装置において、前記シムは、PEEK、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、PBT、及びPPSからなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成されていてもよい。
【0019】
このように構成すると、耐摩耗性の向上及び塗布物質漏洩のさらなる低減を図ることができる。
【0020】
本開示の第8の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、上記本開示の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る塗布装置によって吐出された塗布物質が塗布対象物に塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって、前記塗布物質が塗布される前記塗布対象物を受台に配置する工程と、前記受台に配置された前記塗布対象物に、前記塗布装置から吐出された前記塗布物質を塗布する工程と、前記塗布物質が塗布された前記塗布対象物を前記受台から取り出す工程と、を備える。
【0021】
このように構成すると、塗布物質が高精度で塗布された塗布物質塗布済対象物を迅速に製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、スライダの移動量が可動ダイヘッドの移動量に直接的に反映されるため、可動ダイヘッドを高精度で迅速に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)は一実施の形態に係る塗布装置の分解斜視図、(B)は当該塗布装置の垂直断面図である。
図2】(A)は一実施の形態に係る塗布装置が備える固定ダイヘッドの正面図、(B)は一実施の形態に係る塗布装置が備える可動ダイヘッドの正面図である。
図3】塗布物質を塗布済対象物に塗布する態様を例示する平面図である。
図4】一実施の形態に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0025】
まず図1(A)及び図1(B)を参照して、一実施の形態に係る塗布装置1を説明する。図1(A)は塗布装置1の分解斜視図、図1(B)は塗布装置1の垂直断面図である。塗布装置1は、塗布物質Cを塗布する装置であって、塗布物質Cを塗布している最中に塗布幅を変えることができる装置である。塗布装置1で塗布される塗布物質Cは、例えば、接着剤等の樹脂であってもよく、典型的には、塗布されている最中は流動性を有する所定の粘度を有し、塗布後の時間経過と共に粘度が上昇して、最終的には流動性を失って硬化するものであってよい。以下、まず、塗布装置1の構成を説明する。塗布装置1は、ダイヘッド10と、移動装置30と、押さえ部材50とを備えている。
【0026】
ダイヘッド10は、固定ダイヘッド11と、可動ダイヘッド15と、シム21とを有している。ダイヘッド10は、固定ダイヘッド11と可動ダイヘッド15とを、シム21を挟んで合わせることにより、固定ダイヘッド11と可動ダイヘッド15との間にスリット状の吐出口19が形成されている。吐出口19は、塗布物質Cが吐出される開口であり、典型的にはダイヘッド10の下部に形成されている。また、ダイヘッド10は、外部から塗布物質Cの供給を受ける導入口(不図示)を有している。ダイヘッド10は、可動ダイヘッド15が、固定ダイヘッド11に対して、両者が対向する面に沿って移動することにより、吐出口19の開口面積(スリットの長さ)を変えることができるようになっている。以下、説明の便宜上、図1(A)に示すように、可動ダイヘッド15が移動する方向(吐出口19の幅方向)をX方向、固定ダイヘッド11と可動ダイヘッド15とが重なる方向をY方向、ダイヘッド10の高さの方向をZ方向という場合がある。X方向、Y方向、及びZ方向は、相互に直交している。
【0027】
固定ダイヘッド11は、典型的には金属で概ね厚板状に形成されている。固定ダイヘッド11のX方向の長さは、塗布物質Cを塗布するワーク(塗布対象物)の大きさに応じて決定するとよい。固定ダイヘッド11は、可動ダイヘッド15に対向する面(以下「第1対向面12」という。)が、全体的に平坦に形成されたうえで、ボルト穴13(図1(B)参照)が複数形成されている。ボルト穴13は、カムフォロアボルト25(図1(B)参照)が取り付けられる穴である。なお、図面の複雑化を回避するため、図1(A)中ではボルト穴13及びカムフォロアボルト25の図示を省略している。カムフォロアボルト25は、シム21のうちの固定シム22を固定ダイヘッド11に取り付けると共に、外輪が可動ダイヘッド15に接触しながら可動ダイヘッド15の移動に伴って回転するものである。
【0028】
図2(A)に示す固定ダイヘッド11の正面図を併せて参照すると明確なように、カムフォロアボルト25は、複数が、X方向に、間隔をあけて、配列されている。換言すれば、固定ダイヘッド11は、複数のボルト穴13(図1(B)参照)がX方向に間隔をあけて配列されている。また、第1対向面12には、第1仮固定穴28が複数形成されている。それぞれの第1仮固定穴28は、ボルト穴13の間に形成されている。このため、第1対向面12には、ボルト穴13及び第1仮固定穴28が、X方向に延びる仮想直線上を、適宜の間隔をあけて交互に形成されていることになる。第1仮固定穴28の用途については後述する。ボルト穴13及び第1仮固定穴28は、典型的には固定ダイヘッド11の高さ(Z方向の距離)の半分よりも上方に形成されており、本実施の形態では固定ダイヘッド11の頂部から固定ダイヘッド11の高さの約1/3下方の位置に形成されている。固定ダイヘッド11は、厚板状の厚さ(Y方向の距離)が、ボルト穴13及び第1仮固定穴28の深さよりも大きく形成されている。
【0029】
可動ダイヘッド15は、典型的には金属で概ね厚板状に形成されている。可動ダイヘッド15の側面形状(Y-Z平面における形状)は、典型的には固定ダイヘッド11の側面形状に対して対称(第1対向面12を対称軸とする線対称)に形成されている。可動ダイヘッド15のX方向の長さは、典型的には固定ダイヘッド11のX方向の長さよりも大きくなっている。可動ダイヘッド15は、固定ダイヘッド11に対向する面(以下「第2対向面16」という。)が、全体的に平坦に形成されたうえで、ボルト溝17が形成されている。ボルト溝17は、固定ダイヘッド11に取り付けられた複数のカムフォロアボルト25を収容する溝である。
【0030】
図2(B)に示す可動ダイヘッド15の正面図を併せて参照すると明確なように、ボルト溝17は、第2対向面16のX方向全体にわたって形成されている。ボルト溝17の高さ(Z方向の距離)は、カムフォロアボルト25の外輪の直径に相当する高さに形成されている。また、ボルト溝17は、第1対向面12と第2対向面16とを合わせてダイヘッド10としたときに、カムフォロアボルト25に対応する位置に形成されている。ボルト溝17の中(溝の底部)には、第2仮固定穴29が複数形成されている。複数の第2仮固定穴29は、典型的には第1仮固定穴28(図1(A)参照)同士と同じ間隔で形成されているが、これに加えてボルト穴13に対応する位置にも形成されていてもよい。第2仮固定穴29は、可動ダイヘッド15における第2対向面16の裏側の面まで貫通している。第2仮固定穴29の用途については後述する。
【0031】
第1対向面12に取り付けられた複数のカムフォロアボルト25と、第2対向面16に形成されたボルト溝17とは、カムフォロアボルト25がボルト溝17に嵌まり込むようになっており、嵌合構造に相当する。この嵌合構造は、可動ダイヘッド15が固定ダイヘッド11に対して移動する方向を案内することに寄与する。嵌合構造は、本実施の形態では、可動ダイヘッド15及び固定ダイヘッド11が、ボルト溝17が延びる方向に、すなわちカムフォロアボルト25が配列された方向に、相対移動可能な構造になっている。
【0032】
可動ダイヘッド15は、第2対向面16の裏側の面に、レール溝18が形成されている。レール溝18は、押さえ部材50の構成要素であるリニアガイド55のレール56が嵌め込まれる溝である。レール溝18は、可動ダイヘッド15に対してレール56の位置を決めるためのものであるため、可動ダイヘッド15に対してレール56を動かない程度に嵌め込むことができる深さがあれば足りる。レール溝18は、典型的には、ボルト溝17と平行に延びるように形成されている。
【0033】
シム21は、典型的には、樹脂製のシムプレートが用いられる。シム21は、本実施の形態では、固定シム22と、可動シム23とを有している。固定シム22は、固定ダイヘッド11の第1対向面12に取り付けられるものである。固定シム22は、本実施の形態では、概ね第1対向面12と同形状の長方形から、吐出口19の側に対応する辺の中ほどの部分が切り欠かれた形状になっている。固定シム22は、カムフォロアボルト25によって第1対向面12に取り付けられている。可動シム23は、可動ダイヘッド15の第2対向面16に取り付けられるものである。可動シム23は、固定シム22の切り欠かれた部分の一部を充足する大きさに形成されており、本実施の形態では細長い長方形状に形成されている。固定シム22及び可動シム23は、相互に重ならないようにして第1対向面12と第2対向面16とに挟まれて、シム21としての機能を果たす。
【0034】
シム21は、ダイヘッド10の吐出口19の大きさを規定する役割を有する。典型的には、シム21の厚さが、スリット状の吐出口19の厚さ(Y方向の距離)となる。また、吐出口19からダイヘッド10の内部を見たときの、固定シム22と可動シム23との間隔が、スリット状の吐出口19の長さ(X方向の距離)となる。シム21は、可動シム23が可動ダイヘッド15の移動に伴ってX方向に移動することにより、固定シム22と可動シム23との間隔が変化して、吐出口19の開口面積が変わるようになっている。
【0035】
シム21は、耐摩耗性、寸法精度(加工精度)、シール性(密閉性)、耐薬品性、均一性、及び/又は硬度の観点から、適切な材料で形成されているとよい。シム21は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、及びPPS(ポリフェニレンスルファイド)からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成されているとよい。特に、上記の特性を総合的に勘案すると、PEEKで形成するのが最適であり、以降、列記した順の優先度でシム21の材料として採用するとよい。しかしながら、寸法精度よりもシール性を重視する場合は超高分子量ポリエチレンをポリアセタールに優先させてもよく、耐摩耗性よりも寸法精度及びシール性を重視する場合はPBT又はPPSをポリアセタールや超高分子量ポリエチレンに優先させてもよい。なお、シム21は、使用状況によっては、ユニレート(登録商標)で形成されていてもよい。シム21は、上述のような種類の樹脂で形成されていることで、両者が共に金属製である固定ダイヘッド11と可動ダイヘッド15とが直接擦れ合うことを回避することができるようになっている。
【0036】
移動装置30は、固定ダイヘッド11に対して可動ダイヘッド15を移動させる装置である。移動装置30は、典型的には単軸ロボットが用いられるが、リニアモータや、その他の直線移動が可能な装置を用いてもよい。移動装置30は、図1(A)に示すように(図1(B)への図示は省略している)、モータ31と、ボールネジ32と、スライダ33とを有している。移動装置30は、モータ31の作動によってボールネジ32がその軸線まわりに回転し、このボールネジ32の回転により、ボールネジ32に挿通されたスライダ33が、ボールネジ32の軸線に沿って移動するようになっている。移動装置30は、電気で作動するモータ31の軸を正方向又は逆方向に回転させることで、ボールネジ32を介してスライダを直線的に往復移動させることができ、往復移動装置に相当する。
【0037】
移動装置30は、固定ダイヘッド11が固定された位置調整板88に固定されており、当該位置調整板88に対してモータ31及びボールネジ32は移動しないようになっている。移動装置30は、スライダ33が、取付具35を介して、可動ダイヘッド15に接続されている。この構成により、スライダ33の直線的な往復移動に連動して、可動ダイヘッド15が直線的に往復移動するようになっている。本実施の形態では、移動装置30として単軸ロボットが用いられているので、スライダ33の移動方向変換時に、従来のように歯車を組み合わせて移動させたときに生じるバックラッシュを抑制することができ、高精度な位置決めを実現することができる。
【0038】
押さえ部材50は、可動ダイヘッド15を、固定ダイヘッド11に向けて押さえる部材である。押さえ部材50は、固定ダイヘッド11の反対側から可動ダイヘッド15を包み込むように設けられて、固定ダイヘッド11に固定される。押さえ部材50は、可動ダイヘッド15を固定ダイヘッド11に向けて押さえたときに、可動ダイヘッド15が固定ダイヘッド11に対して移動可能になるように押さえる。押さえ部材50のX方向の距離は、固定ダイヘッド11のX方向の距離よりも小さくなっており、X方向における押さえ部材50の左右の外側に第1仮固定穴28及び第2仮固定穴29が通じる部分が現れるようになっている。押さえ部材50は、カバー51と、リニアガイド55とを有している。図1(A)では、構成の理解のために、カバー51とリニアガイド55とを分離して示しているが、実際は、リニアガイド55がカバー51に固定されている。
【0039】
カバー51は、本実施の形態では、垂直カバー52と、水平カバー53とを有している。垂直カバー52は、可動ダイヘッド15のレール溝18が形成された面に対向して配置される。垂直カバー52は、リニアガイド55が取り付けられている。垂直カバー52は、リニアガイド55を介して、可動ダイヘッド15を固定ダイヘッド11に向けて(Y方向に)押し付けている。水平カバー53は、ダイヘッド10の上部を覆うように配置される。水平カバー53は、垂直カバー52の上部から、可動ダイヘッド15の上部を越えて、固定ダイヘッド11の上部まで延びている。水平カバー53は、ボルト(不図示)を通すための長穴54が、押さえ部材50を取り付けた状態における固定ダイヘッド11の上部の位置に複数形成されている。水平カバー53は、長穴54を通したボルトにより、固定ダイヘッド11に固定される。したがって、固定ダイヘッド11の上面には、押さえ部材50を固定するボルトを締結するためのネジ穴が形成されている。垂直カバー52及び水平カバー53は、本実施の形態では別体に構成されたものがボルトで結合されているが、一体に形成されたものであってもよい。
【0040】
リニアガイド55は、カバー51によって可動ダイヘッド15を固定ダイヘッド11の方に押さえ付けながら、固定ダイヘッド11に対する可動ダイヘッド15の移動を円滑に行うために設けられた部材である。リニアガイド55は、レール56と、キャリッジ57とを有している。レール56は、キャリッジ57の移動を案内するための部材で、直線状に形成されている。キャリッジ57は、ボールスプラインを内部に有しており、レール56上を低負荷で移動可能になっている。本実施の形態では、レール56が可動ダイヘッド15のレール溝18に固定され、キャリッジ57が垂直カバー52に固定されている。可動ダイヘッド15は、第2対向面16において複数のカムフォロアボルト25に支持され、この反対側の面においてレール56に支持されていることで、固定ダイヘッド11に対して安定的かつ円滑に移動することができるようになっている。
【0041】
上述のように構成された塗布装置1は、本実施の形態では、ダイヘッド10の全体も直線往復移動可能なように、移動装置30とは別の単軸ロボット81を備えている。単軸ロボット81のスライダは、固定ダイヘッド11が固定された位置調整板88に対して、接続用部材85を介して接続されている。位置調整板88は、単軸ロボット81が固定された架台83に、リニアガイド55と同様の構成のリニアガイドで接続されている。
【0042】
塗布装置1は、高精度な塗布物質Cの塗布を行うために、組み立てる際は適切に構築するとよい。以下に、塗布装置の適切な構築を行う手順を説明する。以下の構築手順の説明に先立って、次のことを行っておく。固定ダイヘッド11の第1対向面12に、カムフォロアボルト25を用いて固定シム22を取り付けておく。可動ダイヘッド15の第2対向面16には、可動シム23を取り付けておく。移動装置30に取り付けられた取付具35と可動ダイヘッド15とは、分離されている。可動ダイヘッド15から分離された移動装置30は、図1(A)では説明の便宜上位置調整板88から離れているが、実際は位置調整板88に固定されている。この状態から、構築手順の説明を始める。
【0043】
上述の状態から、固定ダイヘッド11に可動ダイヘッド15を合わせて、固定ダイヘッド11及び可動ダイヘッド15を覆うように押さえ部材50を配置する。押さえ部材50を配置したら、水平カバー53の長穴54にボルトを通し、そのボルトを固定ダイヘッド11の上面に形成されたネジ穴にねじ込んで仮締めする。ここでの仮締めは、固定ダイヘッド11に対して可動ダイヘッド15を動かすことができる余地を残してボルトを締めることである。このとき、可動ダイヘッド15は、固定ダイヘッド11に取り付けられたカムフォロアボルト25及び押さえ部材50のレール56に支持されているので、脱落することはない。
【0044】
押さえ部材50を固定ダイヘッド11に仮固定したら、ボルトを、可動ダイヘッド15のレール溝18が形成された面の側から第2仮固定穴29(図2(B)参照)に通したうえで、固定ダイヘッド11に形成された第1仮固定穴28(図2(A)参照)にねじ込む。この第2仮固定穴29を通して第1仮固定穴28にねじ込むボルトは、押さえ部材50の左右の外側でねじ込み、後に取り外すことを予定しているため、仮固定といえる。ここでの仮固定は、シム21を介して第1対向面12と第2対向面16とが密着するように強固に固定する。この仮固定により、第1対向面12及び/又は第2対向面16とシム21との間に隙間が生じることを抑制することができ、ダイヘッド10から意図せずに塗布物質Cが漏洩することを抑制することができる。本実施の形態では、第1仮固定穴28、第2仮固定穴29、及び第2仮固定穴29を通して第1仮固定穴28にねじ込まれるボルトが、仮固定機構に相当する。
【0045】
固定ダイヘッド11と可動ダイヘッド15とを仮固定したら、押さえ部材50を可動ダイヘッド15の方に押圧して密着させた状態で、長穴54に通してあるボルトを固定ダイヘッド11上面のネジ穴にさらにねじ込む。このようにして、押さえ部材50を固定ダイヘッド11に強固に固定する。ここで行う固定は、塗布装置1の作動時にも維持されるものであり、本固定といえる。本実施の形態では、長穴54、固定ダイヘッド11の上面に形成されたネジ穴、及び長穴54を通して固定ダイヘッド11の上面に形成されたネジ穴にねじ込まれるボルトが、本固定機構に相当する。押さえ部材50を固定ダイヘッド11に本固定したら、第2仮固定穴29を通して第1仮固定穴28にねじ込んでいたボルトを取り外す。これにより、可動ダイヘッド15が固定ダイヘッド11に対して適切な位置に維持されたまま、可動ダイヘッド15が固定ダイヘッド11に対してX方向に移動可能になる。
【0046】
図3に示すように、塗布装置1(図3には便宜上ダイヘッド10のみを示している)は、典型的には、塗布物質Cが塗布される塗布対象物としてのワークWが載置される受台99の上方に、吐出口19(図1(B)参照)を下方に向けて、配置される。そして、吐出口19から塗布物質Cを適宜の位置で吐出させながら、ワークWが載置された受台99をY方向に移動(本実施の形態では図3の紙面の下方から上方へ移動)させることで、ワークWに塗布物質Cが塗布される。ワークWに向けて塗布物質Cを吐出させている最中に、移動装置30によって可動ダイヘッド15を固定ダイヘッド11に対して移動させることで、ワークWに塗布される塗布物質Cの幅(X方向の長さ)を変化させることができる。また、単軸ロボット81によってダイヘッド10全体をX方向に移動させることで、ワークWに対して塗布物質Cを塗布する位置を変えることができる。
【0047】
次に図4を参照して、ワークWに塗布物質Cが塗布された塗布物質塗布済対象物(以下「塗布済ワークCW」という。)を製造する方法を説明する。図4は、塗布済ワークCWの製造の手順を説明するフローチャートである。ここで説明する塗布済ワークCWの製造は、上述の塗布装置1を用いて行われる。以下の塗布済ワークCWの製法の説明は、塗布装置1の作用の説明を兼ねる。以下の説明において、塗布装置1の構成に言及しているときは、適宜図1(A)~図3を参照することとする。以下の説明における塗布装置1の動作は、典型的には制御装置(不図示)によって行われる。
【0048】
塗布済ワークCWの製造を開始したら、塗布物質Cを塗布する対象のワークWを、受台99に配置する(S1)。受台99へのワークWの配置は、ロボットハンド(不図示)が行うこととしてもよく、操作者(オペレーター)が行うこととしてもよい。受台99に固定手段(不図示)が設けられている場合は、受台99にワークWを載置した後、固定手段(不図示)によってワークWを受台99に対して動かないように固定するとよい。
【0049】
ワークWを受台99に配置したら、受台99がY方向への移動を開始すると共に、ダイヘッド10の吐出口19から適時に塗布物質Cを吐出させて、吐出口19から吐出された塗布物質CをワークWに塗布する(S2)。前述のように、ワークWに向けて塗布物質Cを吐出させている最中に、可動ダイヘッド15及び/又はダイヘッド10全体をX方向に往復移動させることで、ワークWに塗布される塗布物質Cの幅及びワークWに対する塗布位置を適宜変えることができる。このことにより、ワークWに対して、多様な形状の、例えば、円形、楕円形、三角形、矩形や台形を含む四角形、五角形等の多角形等の、塗布物質Cの膜を形成することができる。このとき、単軸ロボットが用いられた移動装置30で可動ダイヘッド15を移動させ、ダイヘッド10全体を単軸ロボット81で移動させているので、高精度で迅速に移動させることができる。そのため、短い距離であれば瞬時に塗布幅(X方向の距離)を変更することができ、図3に示す塗布物質Cの膜のように、ほぼ直角に近い段差を有する形状に塗布物質Cを塗布することができる。また、シム21がPEEK等の樹脂で形成されているので、シム21に対して摺動する第1対向面12及び第2対向面16が摩擦により損傷することを低減することができると共に、摺動面から塗布物質Cが漏洩することを低減することができる。ワークWへの塗布物質Cの塗布が完了すると、塗布済ワークCWが生成されることになる。
【0050】
塗布済ワークCWが生成されたら、塗布済ワークCWを受台99から取り出す(S3)。受台99からの塗布済ワークCWの取り出しは、ロボットハンド(不図示)が行うこととしてもよく、操作者(オペレーター)が行うこととしてもよい。このとき、固定手段(不図示)によってワークWを受台99に固定していたときは、固定手段(不図示)を外してからワークWを取り出す。以上で、1つの塗布済ワークCWの製造が終了する。1つの塗布済ワークCWの製造が終了したら、次に塗布物質Cを塗布するワークWがあるか否かを判断する(S4)。次のワークWがある場合、ワークWを受台99に配置する工程(S1)に戻り、以降、上述の手順を繰り返す。次のワークWがない場合、塗布済ワークCWの製造を終了する。
【0051】
以上で説明したように、本実施の形態に係る塗布装置1によれば、単軸ロボットが用いられた移動装置30が直接的に可動ダイヘッド15を移動させるので、可動ダイヘッド15を高精度で迅速に移動させることができる。このことにより、多様な形状の塗布物質Cを、意図したとおりにワークWに塗布することができ、例えば狭い額縁のワークWに対しても幅の微調整が可能となる。また、固定ダイヘッド11及び可動ダイヘッド15が、リニアガイド55を有する押さえ部材50で保持されているので、可動ダイヘッド15を、固定ダイヘッド11から意図せずに離れることを抑制しつつ、あらかじめ決められた軌道で移動させることができる。また、固定ダイヘッド11及び可動ダイヘッド15は、カムフォロアボルト25がボルト溝17に嵌まり込む嵌合構造を有しているので、安定的かつ円滑に可動ダイヘッド15を移動させることができる。また、押さえ部材50をダイヘッド10から取り外し、可動ダイヘッド15を固定ダイヘッド11から分離させ、カムフォロアボルト25を固定ダイヘッド11から外すだけで、固定シム22を固定ダイヘッド11から取り外すことができる。このことにより、固定シム22の洗浄や交換を簡便に行うことができる。また、固定ダイヘッド11に形成され第1仮固定穴28及び可動ダイヘッド15に形成された第2仮固定穴29を利用して塗布装置1を組み立てることで、固定ダイヘッド11に対する可動ダイヘッド15の平行出しを適切に行うことができる。これにより、塗布物質Cの高精度な塗布が可能なダイヘッド10を構築することができる。
【0052】
以上の説明では、ダイヘッド10がシム21を有することとしたが、シム21を省略しても悪影響が生じない場合は、シム21を省略してもよい。この場合、吐出口19は、固定ダイヘッド11及び/又は固定ダイヘッド11に直接形成するとよい。しかしながら、シム21を有することで、耐摩耗性の向上及び塗布物質漏洩の低減を図ることができるため、シム21を有することが好ましい。
【0053】
以上の説明では、ワークWが載置された受台99を、塗布装置1に対してY方向に移動させることで、ワークWに塗布物質Cを塗布することとした。しかしながら、受台99に代えて塗布装置1をY方向に移動させることとしてもよく、塗布装置1及び受台99の双方を移動させることとしてもよい。
【0054】
以上の説明では、本発明の実施の形態に係る塗布装置及び塗布物質塗布済対象物の製造方法を、一例として図1(A)~図4を用いて説明したが、各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択的に採用したものも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1 塗布装置
10 ダイヘッド
11 固定ダイヘッド
15 可動ダイヘッド
17 ボルト溝(嵌合構造)
19 吐出口
21 シム
25 カムフォロアボルト(嵌合構造)
28 第1仮固定穴(仮固定機構)
29 第2仮固定穴(仮固定機構)
30 移動装置(往復移動装置)
31 モータ
33 スライダ
50 押さえ部材
54 長穴(本固定機構)
55 リニアガイド
56 レール
C 塗布物質
CW 塗布済ワーク(塗布物質塗布済対象物)
W ワーク(塗布対象物)
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ダイヘッドと、前記固定ダイヘッドに対して移動可能な可動ダイヘッドと、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとの間に設けられたシムと、を有するダイヘッドであって、塗布物質が吐出される吐出口が前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとの間に形成され、前記可動ダイヘッドの移動により前記吐出口の開口面積を変えることができる、ダイヘッドと、
モータと、前記モータの作動により直線的に往復移動するスライダと、を有する往復移動装置と、を備え、
前記可動ダイヘッドが前記スライダに取り付けられていて、前記往復移動装置の作動によって前記可動ダイヘッドが直線的に往復移動
前記シムは、前記固定ダイヘッドに取り付けられる固定シムと、前記可動ダイヘッドに取り付けられる可動シムと、を含み、
前記固定ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドに対して前記固定シムを取り付けるカムフォロアボルトを有し、
前記可動ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドに対向する面に、前記カムフォロアボルトの外輪を収容するボルト溝が、前記可動ダイヘッドが直線的に往復移動する方向に延びて形成されており、
前記ボルト溝は、前記カムフォロアボルトの前記外輪の直径に相当する幅に形成されていて、前記可動ダイヘッドが直線的に往復移動した場合に前記外輪を回転させるように構成されており、
前記カムフォロアボルト及び前記ボルト溝は、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとを嵌合させる嵌合構造を構成する、
塗布装置。
【請求項2】
前記往復移動装置は、前記モータの作動により軸線まわりに回転するボールねじを有し、
前記スライダは、前記ボールねじに挿通されていて前記ボールねじの回転に伴って前記ボールねじの軸線に沿って直線的に往復移動する、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記可動ダイヘッドを前記固定ダイヘッドに向けて押さえる押さえ部材を備え、
前記押さえ部材は、前記固定ダイヘッドに固定されるカバーと、前記カバーに取り付けられたリニアガイドと、を有し、
前記リニアガイドのレールが前記可動ダイヘッドに固定されている、
請求項に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記固定ダイヘッド及び前記可動ダイヘッドは、相互に対向する面に前記嵌合構造を有する、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記固定ダイヘッド及び前記可動ダイヘッドは、前記固定ダイヘッドと前記可動ダイヘッドとを仮固定する仮固定機構を有し、
前記固定ダイヘッド及び前記押さえ部材は、前記固定ダイヘッドと前記押さえ部材とを固定する本固定機構を有
前記仮固定機構は、前記固定ダイヘッドの前記可動ダイヘッドに対向する面に複数が形成された第1仮固定穴であってボルトがねじ込まれる第1仮固定穴と、前記可動ダイヘッドの前記固定ダイヘッドに対向する面からその裏面に貫通した第2仮固定穴であって前記ボルトを通す大きさで前記第1仮固定穴に対応する位置に複数が形成された第2仮固定穴と、を含み、
前記本固定機構は、前記カバーに形成された長穴と、前記固定ダイヘッドに形成されたネジ穴であって前記長穴を通したボルトがねじ込まれるネジ穴と、を含む、
請求項に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記シムは、樹脂製のシムである、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記シムは、PEEK、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、PBT、及びPPSからなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成されている、
請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の塗布装置によって吐出された塗布物質が塗布対象物に塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって、
前記塗布物質が塗布される前記塗布対象物を受台に配置する工程と、
前記受台に配置された前記塗布対象物に、前記塗布装置から吐出された前記塗布物質を塗布する工程と、
前記塗布物質が塗布された前記塗布対象物を前記受台から取り出す工程と、を備える、
塗布物質塗布済対象物の製造方法。