(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178836
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】レーザ式ガス分析計及びレーザ式ガス分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/39 20060101AFI20241218BHJP
G01N 21/3504 20140101ALI20241218BHJP
【FI】
G01N21/39
G01N21/3504
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097286
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 佑恭
(72)【発明者】
【氏名】武田 直希
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 郁洋
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC07
2G059EE01
2G059GG02
2G059GG09
2G059HH01
2G059JJ11
2G059KK01
2G059MM01
2G059NN02
(57)【要約】
【課題】本開示は、測定対象ガスの温度の影響を抑制するレーザ式ガス分析計を提供する。
【解決手段】波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、レーザ光を出射するレーザ素子と、前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域で波長が掃引され、駆動電流を前記レーザ素子に供給する変調光生成部と、を有する発光部と、前記測定対象空間を通過した前記レーザ光を受光する受光素子と、受光信号処理部と、を有する受光部と、を備え、前記受光信号処理部は、第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から前記第1測定対象ガスの温度を検出し、第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から第2測定対象ガスの濃度を測定し、前記温度に基づいて、前記第2測定対象ガスの濃度に対して温度補正を行うレーザ式ガス分析計。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域のレーザ光を出射するレーザ素子と、
前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域で波長が掃引され、駆動電流を前記レーザ素子に供給する変調光生成部と、を有する発光部と、
前記測定対象空間を通過した前記レーザ光を受光する受光素子と、
前記受光素子から出力された検出信号に対し、検波波形の振幅に基づいて測定対象ガスの分析を行う受光信号処理部と、を有する受光部と、
を備え、
前記受光信号処理部は、第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から前記第1測定対象ガスの温度を検出し、第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から第2測定対象ガスの濃度を測定し、前記温度に基づいて、前記第2測定対象ガスの濃度に対して温度補正を行う、
レーザ式ガス分析計。
【請求項2】
前記受光信号処理部は、
前記第1測定対象ガスについて、第1波長における第1吸収係数と第2波長における第2吸収係数との比と、温度との関係を示す第1テーブルと、
前記第2測定対象ガスについて、温度と濃度との関係を示す第2テーブルと、
を備える、
請求項1に記載のレーザ式ガス分析計。
【請求項3】
前記受光信号処理部は、
前記第1テーブルを用いて前記比に基づいて前記第1測定対象ガスの前記温度を検出し、前記第2テーブルを用いて、前記第2測定対象ガスの前記濃度に対して、前記第1測定対象ガスの前記温度に基づいて温度補正を行う、
請求項2に記載のレーザ式ガス分析計。
【請求項4】
波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析方法であって、
前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域で波長を掃引しながら、前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域のレーザ光を出射する工程と、
前記測定対象空間を通過した前記レーザ光を受光素子で受光する工程と、
前記受光素子から出力された検出信号に対し、検波波形の振幅に基づいて測定対象ガスの分析を行う工程と、
第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から前記第1測定対象ガスの温度を検出し、第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から第2測定対象ガスの濃度を測定し、前記温度に基づいて、前記第2測定対象ガスの濃度に対して温度補正を行う工程と、
を含む、
レーザ式ガス分析方法。
【請求項5】
波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
第1測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む第1波長帯域の第1レーザ光を出射する第1レーザ素子と、
第2測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む第2波長帯域の第2レーザ光を出射する第2レーザ素子と、
前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域で波長が掃引され、駆動電流を前記第1レーザ素子及び前記第2レーザ素子のそれぞれに供給する変調光生成部と、を有する発光部と、
前記測定対象空間を通過した前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を受光する受光素子と、
前記受光素子から出力された検出信号に対し、検波波形の振幅に基づいて測定対象ガスの分析を行う受光信号処理部と、を有する受光部と、
を備え、
前記受光信号処理部は、前記第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から前記第1測定対象ガスの温度を検出し、前記第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から前記第2測定対象ガスの濃度を測定し、前記温度に基づいて、前記第2測定対象ガスの濃度に対して温度補正を行う、
レーザ式ガス分析計。
【請求項6】
波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析方法であって、
第1測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む第1波長帯域において第1レーザ光を出射する工程と、
第2測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む第2波長帯域において第2レーザ光を出射する工程と、
前記測定対象空間を通過した前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を受光素子で受光する工程と、
前記第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から前記第1測定対象ガスの温度を検出し、前記第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から前記第2測定対象ガスの濃度を測定し、前記温度に基づいて、前記第2測定対象ガスの濃度に対して温度補正を行う工程と、
を含む、
レーザ式ガス分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ式ガス分析計及びレーザ式ガス分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、波長可変レーザ分光法及び波長変調光分光法により、測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現場において測定対象ガスのガス濃度を測定する際、ガスの温度が変化する場合がある。ガスの温度が変化しても、精度よく測定対象ガスのガス濃度を測定することが求められている。
【0005】
本開示は、測定対象ガスの温度の影響を抑制するレーザ式ガス分析計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域のレーザ光を出射するレーザ素子と、前記測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域で波長が掃引され、駆動電流を前記レーザ素子に供給する変調光生成部と、を有する発光部と、前記測定対象空間を通過した前記レーザ光を受光する受光素子と、前記受光素子から出力された検出信号に対し、検波波形の振幅に基づいて測定対象ガスの分析を行う受光信号処理部と、を有する受光部と、を備え、前記受光信号処理部は、第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から前記第1測定対象ガスの温度を検出し、第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から第2測定対象ガスの濃度を測定し、前記温度に基づいて、前記第2測定対象ガスの濃度に対して温度補正を行うレーザ式ガス分析計を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のレーザ式ガス分析計によれば、測定対象ガスの温度の影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、水素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
【
図3】
図3は、水素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
【
図4】
図4は、酸素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
【
図5】
図5は、酸素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
【
図6】
図6は、酸素ガスの吸収スペクトルを用いた温度測定について説明する図である。
【
図7】
図7は、水素ガスのガス濃度の補正について説明する図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計の処理について説明する図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計の処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右及び前後等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、それぞれ略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0012】
例えば、略平行は、2つの線又は2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内であれば互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0013】
≪第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計≫
第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、波長可変レーザ分光法により測定対象空間に存在する測定対象ガスのガス濃度を測定するレーザ式ガス分析計である。第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、発光部と、受光部と、を備える。
【0014】
第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計における発光部は、測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域のレーザ光を出射するレーザ素子を有する。また、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計における発光部は、測定対象ガスの吸収線スペクトルの光吸収波長を含む波長帯域で波長が掃引され、駆動電流をレーザ素子に供給する変調光生成部を有する。
【0015】
第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計における受光部は、測定対象空間を通過した前記レーザ光を受光する受光素子と、受光素子から出力された検出信号に対し、検波波形の振幅に基づいて測定対象ガスの分析を行う受光信号処理部と、を有する。第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計における受光信号処理部は、第1測定対象ガスの2つの波長における吸収係数から温度検出を行う。そして、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計における受光信号処理部は、第2測定対象ガスの1つの波長における吸収係数から測定対象ガス濃度を測定し、第1測定対象ガスに基づく温度検出結果に基づいて、第2測定対象ガスに対して温度補正を行う。
【0016】
図1は、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計1の構成を示す図である。第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計について、レーザ式ガス分析計1を用いて説明する。
【0017】
気体状のガス分子は、それぞれ固有の光吸収波長及び吸収強度を表す吸収線スペクトルを有する。また、レーザ光は、特定の波長でスペクトル線幅が狭い光である。レーザ式ガス分析計は、レーザ素子が、気体状のガス分子である測定対象ガスが吸収する光吸収波長のレーザ光を発光し、測定対象ガスにレーザ光を吸収させる。そして、レーザ式ガス分析計は、光吸収波長におけるレーザ光の吸収量に基づいて測定対象ガスの有無を検出する。加えて、レーザ式ガス分析計は、光吸収波長におけるレーザ光の吸収量が測定対象ガスの濃度に比例するため濃度を検出できる。
【0018】
レーザ式ガス分析計1は、壁50aと壁50bとの内部を流通するガスに含まれる特定のガスの濃度を測定する。また、レーザ式ガス分析計1は、ガス濃度が0又は所定値以下であるならばガスが無いことを検出できる。言い換えると、レーザ式ガス分析計1は、ガスの有無も検出できる。
【0019】
レーザ式ガス分析計1は、発光部10と、受光部20と、通信線30と、を備える。通信線30は発光部10と受光部20との間で電気信号により通信する。なお、通信線30に換えて無線や光通信のような通信部を採用してもよい。レーザ式ガス分析計1は、これら通信線、無線、光通信による通信部を採用できる。
【0020】
レーザ式ガス分析計1は、発光部10から検出光40を出射する。そして、検出光40は壁50aと壁50bとの内部の測定対象空間に投光される。
【0021】
検出光40が測定対象空間内に投光されると、検出光40の光量の一部は、特定のガスによって吸収される。発光部10から投光された検出光40において吸収されなかった残りの光、すなわち透過光が、受光部20に入射する。受光部20は、入射した透過光の光量を検出する。受光部20は、検出された透過光の光量から特定のガス濃度を求める。
【0022】
続いて各部の詳細について説明する。
【0023】
[発光部10]
発光部10の光学的機能について説明する。測定対象ガスが吸収する特定の吸収線スペクトルの中心波長をλとする。発光部10は、中心波長λ及びその周辺の波長で、波長を変調しながら、検出光40を受光部20に向けて出射する。略平行光である検出光40は、発光部窓板14を透過し、壁50a,50bの内部、すなわち測定対象ガスを含むガスが流通する空間に伝播する。
【0024】
発光部10は、変調光生成部11と、レーザ素子12と、コリメートレンズ13と、発光部窓板14と、発光部容器15と、を少なくとも備える。
【0025】
(変調光生成部11)
変調光生成部11は、信号処理・電流駆動回路である。発光部10は、測定対象ガスの吸光特性に応じたレーザ光を照射する必要がある。加えて、発光部10は、レーザ光を周波数変調された変調光とする必要がある。そこで、変調光生成部11は、測定対象ガスの吸光特性に応じたレーザ光を周波数変調された変調光として発光するための駆動電流信号を、レーザ素子12に供給する。
【0026】
(レーザ素子12)
レーザ素子12は中心波長λ及びその周辺の波長で発光する。レーザ素子12は、例えば、分布帰還型(DFB(Distributed Feedback))レーザである。また、レーザ素子12は、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser Diode)でもよい。さらに、レーザ素子12は、例えば、分布反射型(DBR(Distributed Bragg Reflector))レーザでもよい。
【0027】
レーザ素子12は、駆動電流と温度により、発光波長を可変制御可能である。したがって、レーザ素子12が発光するレーザ光の中心波長が、測定対象ガスの吸収線スペクトルの中心波長となるように温度制御される。また、レーザ光の中心波長の周辺の波長が時間的に掃引されるように、駆動電流が制御される。さらに、波長変調分光法により高感度にて測定できるように、適切な波長変調振幅および周波数を有する正弦波が駆動電流に重畳される。
【0028】
レーザ素子12の発光点は、コリメートレンズ13の焦点付近に配置されている。レーザ素子12からの出射光は、拡散しつつコリメートレンズ13に入射して、略平行光である検出光40に変換される。
【0029】
(コリメートレンズ13)
コリメートレンズ13は、中心波長λ及びその周辺の波長において透過率が高い材料で構成される。コリメートレンズ13は、レーザ素子12から出射した検出光40を略平行光に変換する。コリメートレンズ13が検出光40を平行光に変換することにより、発光部10は、拡散による損失を抑えながら、検出光40を受光部20まで伝送できる。
【0030】
なお、本形態ではコリメートレンズ13を用いるものとして説明するが、コリメートレンズに限定する趣旨ではない。例えば、コリメートレンズの代わりに放物面鏡を用いることもできる。
【0031】
(発光部窓板14)
発光部窓板14は、発光部容器15の一部に穴を開けてそれを塞ぐように設けられている。発光部窓板14は、検出光40の光路内にあり、検出光40を透過させつつ、測定対象空間におけるガスが発光部10の内部に進入しないようにする。発光部窓板14は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等が直接ガスに触れないようにする。発光部窓板14は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等が直接ガスに触れないように保護する。
【0032】
(発光部容器15)
発光部容器15は、内部に光学素子、光学部品及び電気電子回路等を収容する。発光部容器15は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等を外気から隔絶する。発光部容器15は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等を風雨、塵埃及び汚れ等から保護する。
【0033】
図1に示すように、測定対象ガスを含むガスが流通する配管等の壁50a及び壁50bのそれぞれに穴が開けられている。フランジ51a及びフランジ51bのそれぞれは、溶接等によりそれらの穴に固定されている。
【0034】
発光部10は、発光部容器15に光軸調整フランジ52aを備える。光軸調整フランジ52aは、フランジ51aに対して機械的に移動可能に取り付けられる。発光部10は、光軸調整フランジ52aによりフランジ51aに取り付けられることによって、位置調整できる。光軸調整フランジ52aは、検出光40の出射角を調整する。光軸調整フランジ52aは、光軸調整フランジ52bとあわせて、発光部10から出射される検出光40が受光部20において最大の光量で受光されるように調整する。
【0035】
[受光部20]
次に、受光部20について説明する。受光部20は、受光部窓板24を透過した検出光40を受光し、測定対象ガスにより吸収された光量について分析する。受光部20は、受光信号処理部21と、受光素子22と、集光レンズ23と、受光部窓板24と、受光部容器25と、を少なくとも備える。
【0036】
(受光信号処理部21)
受光信号処理部21は、受信した検出光40に基づいて、測定対象ガスのガス濃度を算出する信号処理・受光回路である。受光信号処理部21は、受光素子22により検出光40を電気信号に変換した信号を処理して、測定対象ガスのガス濃度を算出する。より具体的に説明すると、受光信号処理部21は、受光素子22により検出光40を電気信号に変更した信号に対して、ロックインアンプにより検出光40の変調周波数の2倍の周波数成分を抽出する。そして、受光信号処理部21は、抽出した成分から測定対象ガスのガス濃度を算出する。
【0037】
(受光素子22)
受光素子22には、中心波長λ及びその周辺の波長において、感度を有する受光素子を選択できる。
【0038】
(集光レンズ23)
集光レンズ23は、中心波長λ及びその周辺の波長において、透過率が高い材料で構成する。集光レンズ23により、検出光40は受光素子22に集光されるため、高い信号強度を得ることができる。検出光40は、集光レンズ23の焦点付近に受光面が配置された受光素子22に入射する。なお、本形態では集光レンズ23を用いているが、集光レンズ23に代えて、放物面鏡、ダブレットレンズや回折レンズなどを採用することもできる。
【0039】
受光素子22からの受光信号は、受光信号処理部21に検出信号として送られる。受光信号処理部21では、この検出信号を処理して、ガス濃度を算出する。
【0040】
(受光部窓板24)
受光部窓板24は、受光部容器25の一部に穴を開けてそれを塞ぐように設けられている。受光部窓板24は、検出光40の光路内にあり、検出光40を透過させつつ、測定対象空間におけるガスが受光部20の内部に進入しないようにする。受光部窓板24は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等が直接ガスに触れないようにする。受光部窓板24は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等が直接ガスに触れないように保護する。
【0041】
(受光部容器25)
受光部容器25は、内部に光学素子、光学部品及び電気電子回路等を収容する。受光部容器25は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等を外気から隔絶する。受光部容器25は、内部に収納する光学素子、光学部品及び電気電子回路等を風雨、塵埃、及び汚れ等から保護する。
【0042】
受光部20は、受光部容器25に光軸調整フランジ52bを備える。光軸調整フランジ52bは、フランジ51bに対して機械的に移動可能に取り付けられる。受光部20は、光軸調整フランジ52bによりフランジ51bに取り付けられることによって、位置調整できる。光軸調整フランジ52bは、検出光40の入射角を調整する。光軸調整フランジ52bは、光軸調整フランジ52aとあわせて、発光部10から出射される検出光40が受光部20において最大の光量で受光されるように調整する。
【0043】
<受光信号処理部21における処理>
受光信号処理部21における処理について説明する。
【0044】
レーザ式ガス分析計は、環境温度変化によって、測定対象ガスの吸収強度が変化する場合がある。測定対象ガスの吸収強度が変化すると、正確な濃度が得られない場合がある。
【0045】
レーザ式ガス分析計の校正時は、均一な温度環境下で補正を行うため,環境条件が一定である。しかし,煙道などの実際の設置環境は温度が一定に管理されているとは限らず,温度は時間的に変動する場合がある。温度の変化により測定対象ガスの吸収強度が変化する。温度の変化により測定対象ガスの吸収強度が変化すると、測定対象ガスについて測定濃度値も変化する。
【0046】
例えば、
図2及び
図3のそれぞれは、水素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
図2は、温度を変えたときの水素ガスの吸収スペクトルを示す。
図3は、温度を変えたときの水素ガスの吸収スペクトルにおけるピーク強度を示す。
【0047】
図2は、波長が2ナノメートル付近における波長λminから波長λmaxまでの波長範囲における水素ガスの吸収断面積を示す図である。なお、
図2における例において、波長λmaxは、波長λminより0.0012ナノメートル長い。
図2の横軸は波長(単位:ナノメートル(nm))、
図2の縦軸は吸収断面積(単位:平方センチメートル毎分子(cm
2/molecule)である。線L11、線L12、線L13、線L14、線L15は、それぞれ温度25℃、200℃、500℃、600℃、1200℃における吸収断面積を示す。
図3の横軸は温度(単位:セルシウス度(℃))、縦軸は
図2のピーク(波長λpeak付近)における吸収断面積を示す。
【0048】
図3の線L2に示すように、常温(25℃)から600℃にかけて、吸収スペクトルが非線形的に変化する。したがって、測定対象ガスにおける温度変化の激しい環境下において、温度補正によって測定誤差を低減する必要がある。
【0049】
レーザ式ガス分析計は、校正時と同様の環境条件であれば補正可能である。一方、温度が変化すると、吸収波形が温度に依存した状態でガス濃度測定が行われるため、レーザ式ガス分析計において測定対象ガスの正確な濃度が得られない場合がある。
【0050】
そこで、本実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、3つ以上の波長における吸収強度を利用して計測を行う。そして、本実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、3つの波長のうち2つの波長における吸収強度を利用して温度測定を行う。そして、本実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、もう1つの波長における吸収強度を用いて、濃度測定を行うとともに、温度測定を行った結果を用いて、温度補正を行う。
【0051】
本実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、分析計自身で温度補正を行いながら測定をするため、広範囲の温度環境下かつ温度変化の激しい環境下において正確な濃度測定ができる。
【0052】
第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、1つのレーザを使用して、温度測定用吸収スペクトルと濃度測定用吸収スペクトルを測定する。第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、例えば、温度測定用スペクトルの近傍に測定対象ガスの吸収スペクトル(濃度測定用の吸収スペクトル)が存在する場合に適用する。第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、1つのレーザにおける掃引波長範囲に温度測定用吸収スペクトル及び濃度測定用吸収スペクトルがある場合に適用される。
【0053】
具体的に、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計1を用いて説明する。ここでは、レーザ式ガス分析計1が、酸素ガスを用いて温度測定を行い、水素ガスのガス濃度の補正を行う場合について説明する。
【0054】
図4は、酸素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
図4は、温度を変えたときの酸素ガスの吸収スペクトルを示す。
図4は、波長が760ナノメートル付近における波長λmin1から波長λmax1までの波長範囲における吸収係数を示す図である。なお、
図4における例において、波長λmax1は、波長λmin1より0.07ナノメートル長い。
図4の横軸は波長(単位:ナノメートル(nm))、
図4の縦軸は吸収係数(単位:任意単位)である。線L31、線L32、線L33は、それぞれ温度25℃、400℃、1200℃における吸収係数を示す。
【0055】
図4に示すように、酸素ガスは、波長λmin1から波長λmax1の間にピークP1及びピークP2の2つのピークを有する。ピークP1における波長は波長λpeak1である。また、ピークP2における波長は波長λpeak2である。ピークP1における酸素ガスの温度に対する吸収係数の変化と、ピークP2における酸素ガスの温度に対する吸収係数の変化は異なる。
図5は、酸素ガスの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。具体的には、
図5は、
図4におけるピークP1とピークP2における吸収係数を示す図である。
図5の横軸は温度(単位:セルシウス度(℃))、
図5の縦軸は吸収係数(単位:任意単位)である。線L41、線L42は、それぞれピークP1、ピークP2における吸収係数である。
図5に示すように、温度に対するピークP1とピークP2における吸収係数の変動は異なる。そこで、レーザ式ガス分析計1は、ピークP1における吸収係数と、ピークP2における吸収係数の比に基づいて、温度を推定する。
【0056】
図6は、酸素ガスの吸収スペクトルを用いた温度測定について説明する図である。
図6の横軸はピークP1における吸収係数とピークP2における吸収係数の比(単位:無次元)、
図6の縦軸は温度(単位:セルシウス度(℃))である。
【0057】
図6における線L5に示すように、ピークP1における吸収係数とピークP2における吸収係数の比に対して、温度は単調減少する。したがって、レーザ式ガス分析計1は、ピークP1における吸収係数とピークP2における吸収係数の比に基づいて、温度を算出できる。
【0058】
次に、測定対象である水素ガスにおけるガス濃度について温度依存性を説明する。
図7は、水素ガスのガス濃度の補正について説明する図である。
図7の横軸は温度(単位:セルシウス度(℃))、
図7の縦軸は温度25℃におけるガス濃度を基準とした補正係数である。
図7における線L6に示すように、測定対象ガスの温度がわかれば、測定対象ガスのガス濃度を補正できる。
【0059】
次に、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計における処理について説明する。
図8は、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計1の処理について説明する図である。
【0060】
図8における線La1は、レーザ素子12から出射する検出光40の波長を示す。線Lb1は、受光信号処理部21における処理波形を示す。なお、線Lb1は、検出光40における変調周波数の2倍の周波数を参照波としたロックインアンプの出力を示す。線Lb1は、吸収スペクトルの二次微分に相当する。なお、矢印の方向に時間が進行するとする。
【0061】
レーザ式ガス分析計1において、検出光40における波長変調周期T1において、温度測定用吸収スペクトルと濃度測定用吸収スペクトルの両方が含まれるとする。
【0062】
図8に示すように、レーザ式ガス分析計1は、温度測定用吸収スペクトルSPT1、温度測定用吸収スペクトルSPT2及び濃度測定用吸収スペクトルSPDを取得できる。例えば、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2は、同じ測定対象ガスによる吸収スペクトルであって、濃度測定用吸収スペクトルSPDは、異なる測定対象ガスによる吸収スペクトルでもよい。具体的に説明すると、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2は、酸素ガスによる吸収スペクトル、濃度測定用吸収スペクトルSPDは、水素ガスによる吸収スペクトルであってもよい。なお、例えば、温度測定用吸収スペクトルSPT1、温度測定用吸収スペクトルSPT2及び濃度測定用吸収スペクトルSPDを同じ測定対象ガスから取得してもよい。
【0063】
レーザ式ガス分析計1は、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2のそれぞれについてピーク強度又はピークにおける吸収係数を測定する。具体的には、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、温度測定用吸収スペクトルSPT1におけるピーク波長でのピーク強度又は吸収係数を測定する。また、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク波長でのピーク強度又は吸収係数を測定する。
【0064】
そして、レーザ式ガス分析計1は、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク強度比又は吸収係数比を求める。具体的には、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、温度測定用吸収スペクトルSPT1におけるピーク強度と温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク強度との比(ピーク強度比)を求める。または、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、温度測定用吸収スペクトルSPT1におけるピークの吸収係数と温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピークの吸収係数との比(吸収係数比)を求める。
【0065】
そして、レーザ式ガス分析計1は、求めたピーク強度比又は吸収係数比に基づいて温度を推定する。具体的には、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク強度比又は吸収係数比に基づいて、測定対象ガスの温度を検出する。
【0066】
例えば、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、ピーク強度比又は吸収係数比と、温度との関係(例えば、
図6)を示す温度変換テーブルを備えていてもよい。そして、受光信号処理部21は、温度変換テーブルを用いて、測定したピーク強度比又は吸収係数比に基づいて、測定対象ガスの温度を検出してもよい。
【0067】
なお、温度測定用吸収スペクトルSPT1におけるピーク波長が第1波長の一例、温度測定用吸収スペクトルSPT1におけるピーク波長での吸収係数が第1吸収係数の一例、である。また、温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク波長が第2波長の一例、温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク波長での吸収係数が第2吸収係数の一例、である。温度変換テーブルが第1テーブルの一例である。
【0068】
さらに、レーザ式ガス分析計1は、濃度測定用吸収スペクトルSPDを用いて、測定対象のガス濃度を測定する。具体的には、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、濃度測定用吸収スペクトルSPDにおけるピーク強度に基づいて、測定対象ガスのガス濃度を測定する。
【0069】
そして、レーザ式ガス分析計1は、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2を用いて推定した温度に基づいて、濃度測定用吸収スペクトルSPDを用いて測定した測定対象のガス濃度を補正する。具体的には、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2におけるピーク強度比又は吸収係数比に基づいて検出した温度に基づいて、測定対象ガスの濃度を補正する。
【0070】
例えば、レーザ式ガス分析計1における受光信号処理部21は、測定対象ガスの濃度と、温度との関係(例えば、
図7)を示す濃度補正テーブルを備えていてもよい。そして、受光信号処理部21は、濃度補正テーブルを用いて、測定した濃度を補正してもよい。なお、濃度補正テーブルが第2テーブルの一例である。
【0071】
第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計によれば、測定対象ガスの温度が変動しても、測定対象ガスの温度変動の影響を抑制して、安定してガス濃度を測定できる。
【0072】
≪第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計≫
第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、1つのレーザを使用していたが、複数のレーザを用いてもよい。第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計として、複数のレーザを用いる場合について説明する。
【0073】
第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、複数のレーザを使用して、温度測定用吸収スペクトルと濃度測定用吸収スペクトルを測定する。第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、例えば、温度測定用スペクトルの近傍に測定対象ガスの吸収スペクトル(濃度測定用の吸収スペクトル)が存在しない場合に適用する。第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計は、1つのレーザにおける掃引波長範囲に温度測定用吸収スペクトルがあり、別のレーザにおける掃引波長範囲に濃度測定用吸収スペクトルがある場合に適用される。
【0074】
図9は、第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計2の構成を示す図である。
【0075】
第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計2は、壁50aと壁50bとの内部を流通するガスに含まれる特定のガスの濃度を測定する。レーザ式ガス分析計2は、第1実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計1に対して、レーザ素子12に換えて、レーザ素子12aとレーザ素子12bと備える点が異なる。なお、レーザ式ガス分析計2は2つのレーザ素子を備えるが、レーザ式ガス分析計が備えるレーザ素子の数は2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0076】
レーザ素子12aは、検出光40aを出射する。レーザ素子12bは、検出光40bを出射する。レーザ式ガス分析計2は、レーザ素子12aから出射した検出光40aを光軸41上に透過するとともに、レーザ素子12bから出射された検出光40bを光軸41上に反射する合成素子16を備える。合成素子16における面16aにおいて、レーザ素子12bから出射した検出光40bが反射される。
【0077】
受光素子22は、レーザ素子12aから出射された検出光40a及びレーザ素子12bから出射された検出光40bを検出可能な波長帯域を有する。
【0078】
次に、第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計における処理について説明する。
図10は、第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計の一例であるレーザ式ガス分析計2の処理について説明する図である。
【0079】
図10における線La21、線L22は、それぞれレーザ素子12a、レーザ素子12bから出射する検出光40の波長を示す。線Lb21、線Lb22は、それぞれレーザ素子12aから出射する検出光40a、レーザ素子12bから出射する検出光40bについて受光信号処理部21における処理波形を示す。なお、線Lb21、線Lb22は、それぞれ検出光40a、検出光40bにおける変調周波数の2倍の周波数を参照波としたロックインアンプの出力を示す。線Lb21及び線Lb22のそれぞれは、吸収スペクトルの二次微分に相当する。なお、矢印の方向に時間が進行するとする。
【0080】
レーザ式ガス分析計2において、レーザ素子12aから出射する検出光40における波長変調周期T21において、温度測定用吸収スペクトルが含まれるとする。また、レーザ式ガス分析計2において、レーザ素子12bから出射する検出光40における波長変調周期T22において、濃度測定用吸収スペクトルが含まれるとする。
【0081】
図10に示すように、レーザ式ガス分析計2は、レーザ素子12aから出射する検出光40aにより、温度測定用吸収スペクトルSPT1及び温度測定用吸収スペクトルSPT2を取得できる。また、レーザ式ガス分析計2は、レーザ素子12bから出射する検出光40bにより、濃度測定用吸収スペクトルSPDを取得できる。
【0082】
図10にスペクトルSPとして示すように、温度測定用吸収スペクトルSPT1、温度測定用吸収スペクトルSPT2及び濃度測定用吸収スペクトルSPDを並べることにより、レーザ式ガス分析計2は、レーザ式ガス分析計1と同様の吸収スペクトルを取得できる。そして、レーザ式ガス分析計2は、レーザ式ガス分析計1と同様に処理できる。
【0083】
第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計によれば、測定対象ガスの温度が変動しても、測定対象ガスの温度変動の影響を抑制して、安定してガス濃度を測定できる。また、第2実施形態に係るレーザ式ガス分析計によれば、様々な測定対象ガスに対応できる。
【0084】
なお、上記の具体例では、酸素ガスを用いて温度を推定し、水素ガスのガス濃度を補正したが、温度測定用ガス及び測定対象ガスは上記の例に限らない。様々なガスを温度測定用ガス又は測定対象ガスとして採用できる。
【0085】
以上、レーザ式ガス分析計を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本開示の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0086】
1、2 レーザ式ガス分析計
10 発光部
11 変調光生成部
12、12a、12b レーザ素子
13 コリメートレンズ
14 発光部窓板
15 発光部容器
16 合成素子
20 受光部
21 受光信号処理部
22 受光素子
23 集光レンズ
24 受光部窓板
25 受光部容器
30 通信線
50a、50b 壁
51a、51b フランジ
52a、52b 光軸調整フランジ