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特開2024-178838報知装置、交通情報提供装置及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178838
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】報知装置、交通情報提供装置及び車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241218BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097288
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】杉江 正峻
(72)【発明者】
【氏名】大塚 泰介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC04
5H181FF03
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】先行車両の右左折についての適切な報知を可能にする報知装置、交通情報提供装置及び車両が提供される。
【解決手段】報知装置(10)は、車両(6)で使用される報知装置(10)であって、先行車両の進行方向に先行車両が右折又は左折が可能な第1地点及び第2地点が存在する場合に、先行車両により近い第2地点の存在について報知を行う制御部を備える。制御部は、第1地点及び第2地点に関する情報を含む交通情報を取得してよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で使用される報知装置であって、
先行車両の進行方向に前記先行車両が右折又は左折が可能な第1地点及び第2地点が存在する場合に、前記先行車両により近い前記第2地点の存在について報知を行う制御部を備える、報知装置。
【請求項2】
前記制御部は、交通情報提供装置から前記第1地点及び前記第2地点に関する情報を含む交通情報を取得する、請求項1に記載の報知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2地点と前記先行車両との距離及び前記先行車両の速度に基づいて、前記報知の形態を決定する、請求項1又は2に記載の報知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2地点の周囲における通行の障害となり得る対象の存在も含めて、前記第2地点の存在について報知を行う、請求項1又は2に記載の報知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記先行車両の走行予定ルートに関する車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて前記第2地点の存在について報知を行うか否かを決定する、請求項1又は2に記載の報知装置。
【請求項6】
路上の車両含む対象を検出する検出装置と、
先行車両の進行方向に右折又は左折が可能な第1地点及び前記先行車両により近い第2地点が存在し、前記第2地点から第1距離以内に前記先行車両が存在し、前記先行車両から第2距離以内に後続車両が存在する場合に、少なくとも前記第2地点の存在についての情報を含む交通情報を前記後続車両に出力する制御部と、を備える、交通情報提供装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記先行車両が右折又は左折すると判定する場合に、前記交通情報を前記後続車両に出力する、請求項6に記載の交通情報提供装置。
【請求項8】
前記路上の車両から、前記車両の位置に関する情報を含む車両情報を取得する通信部を有し、
前記制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第2地点と前記先行車両との距離、及び前記先行車両から後続車両との距離を算出する、請求項6又は7に記載の交通情報提供装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の報知装置が搭載された、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知装置、交通情報提供装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、路側に路上観察装置を設置して、車両及び歩行者などを検出して、接近車両などに対して危険を通知する安全運転支援システムの開発が進められている。安全運転支援に関連して、例えば特許文献1は、車両の右左折のために方向指示器(ターンシグナルランプ)を点灯させた場合に、走行路面にその情報をプロジェクタで表示する装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-007581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、方向指示器を点灯させた先行車両が進入しようとしている場所(例えば駐車場)の入り口の先に、別の右左折可能な場所(例えば交差点)がある場合に、後続車両が先行車両の進入先を勘違いして衝突するおそれがある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、先行車両の右左折についての適切な報知を可能にする報知装置、交通情報提供装置及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る報知装置は、
車両で使用される報知装置であって、
先行車両の進行方向に前記先行車両が右折又は左折が可能な第1地点及び第2地点が存在する場合に、前記先行車両により近い前記第2地点の存在について報知を行う制御部を備える。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記制御部は、交通情報提供装置から前記第1地点及び前記第2地点に関する情報を含む交通情報を取得する。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)又は(2)において、
前記制御部は、前記第2地点と前記先行車両との距離及び前記先行車両の速度に基づいて、前記報知の形態を決定する。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記第2地点の周囲における通行の障害となり得る対象の存在も含めて、前記第2地点の存在について報知を行う。
【0010】
(5)本開示の一実施形態として、(1)から(4)のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記先行車両の走行予定ルートに関する車両情報を取得し、前記車両情報に基づいて前記第2地点の存在について報知を行うか否かを決定する。
【0011】
(6)本開示の一実施形態に係る交通情報提供装置は、
路上の車両含む対象を検出する検出装置と、
先行車両の進行方向に右折又は左折が可能な第1地点及び前記先行車両により近い第2地点が存在し、前記第2地点から第1距離以内に前記先行車両が存在し、前記先行車両から第2距離以内に後続車両が存在する場合に、少なくとも前記第2地点の存在についての情報を含む交通情報を前記後続車両に出力する制御部と、を備える。
【0012】
(7)本開示の一実施形態として、(6)において、
前記制御部は、前記先行車両が右折又は左折すると判定する場合に、前記交通情報を前記後続車両に出力する。
【0013】
(8)本開示の一実施形態として、(6)又は(7)において、
前記路上の車両から、前記車両の位置に関する情報を含む車両情報を取得する通信部を有し、
前記制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第2地点と前記先行車両との距離、及び前記先行車両から後続車両との距離を算出する。
【0014】
(9)本開示の一実施形態に係る車両は、
(1)から(5)のいずれかの報知装置が搭載された車両である。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、先行車両の右左折についての適切な報知を可能にする報知装置、交通情報提供装置及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る報知装置、交通情報提供装置を備える通信システムの構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る交通情報提供装置の機能ブロック図の一例である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る報知装置の機能ブロック図の一例である。
図4図4は、後続車両が先行車両の進入先を勘違いする状況の例を示す図である。
図5図5は、交通情報提供装置で実行される処理の例を示すフローチャートである。
図6図6は、報知装置で実行される処理の例を示すフローチャートである。
図7図7は、後続車両における報知の形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る報知装置10(図1参照)、交通情報提供装置5(図1参照)及び車両6(図1参照)が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0018】
(通信システム)
図1は、一実施形態に係る交通情報提供装置5、報知装置10を備える通信システム1の構成例を示す。交通情報提供装置5は、図1の例において路上観察装置であるが、車両6に搭載される運転支援装置によって実現されてよい。路上観察装置は、具体例として路側機又は監視カメラ装置などである。以下において、交通情報提供装置5は、複数の道路7(車道)が交差する交差点の近くに配置される路側機であるとして説明する。通信システム1は、交通情報を提供する交通情報提供システムである。通信システム1は、具体例として高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の安全運転支援通信システムであってよい。
【0019】
交通情報提供装置5は、路上の車両6、物体及び人などを観察する装置である。物体は例えば交通標識、信号機4、ガードレール、看板、縁石などの設置物を含む。ここで、交通情報提供装置5によって観察される路上の車両6、物体及び人などは、以下において「対象」と称されることがある。交通情報提供装置5は、交差点以外の路側に配置されてよい。交通情報提供装置5の詳細については後述する。
【0020】
道路7を走る自動車などの車両6は、報知装置10を搭載してよい。報知装置10は、運転支援装置の一例であって、走行において危険性のある対象を検知した場合に運転者にその存在を報知する装置である。報知は、表示(画像)又は音によって運転者に知らせることを意味する。報知の手法は、表示又は音に限定されず、例えば振動又はフラッシュによって行われてよい。報知には、警告を発することが含まれる。報知装置10の詳細については後述する。車両6は、車載検出装置を搭載してよい。車載検出装置は、周囲の車両6、物体及び人などを検出する装置であって、交通情報提供装置5として機能してよい。つまり、交通情報提供装置5は本実施形態のように路側機であってよいが、これに限定されず、監視カメラ装置、車載検出装置又はこれらの組み合わせで構成されてよい。通信システム1では、交通情報提供装置5と、車両6に搭載された装置とが、互いに無線通信を行うことが可能である。また、複数の車両6は、車両6に搭載された装置の通信機能を用いて、互いに無線通信を行うことが可能であってよい。通信システム1では、さらに、歩行者9が所持する電子機器を含んで無線通信を行うことが可能であってよい。電子機器は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末装置である。
【0021】
交通情報提供装置5は、車両6の運転者の安全運転を支援するための交通情報(安全運転支援情報)を、車両6に通知することが可能である。交通情報は、例えば車両6が右折又は左折が可能な地点の情報、車間距離の情報、車両6の速度の情報、信号機4の点灯の状態及び道路7の形状などを含んでよい。また、交通情報提供装置5は、近くの車両6及び歩行者9を検知する。交通情報提供装置5は、例えば横断歩道3を渡る歩行者9を検知することができる。交通情報提供装置5は、例えば交差点に近づく車両6を検知することができる。交通情報提供装置5は、検知した対象(車両6及び歩行者9など)に関する情報を、交通情報に含めて車両6に通知することが可能である。検知した対象に関する情報は、対象の移動状態を含んでよい。交通情報提供装置5は、公知の手法(例えばディープラーニングによる物体認識)によって対象を識別して、識別コードを車両6に通知してよい。識別コードは、例えば車両6、歩行者9、設置物などのそれぞれに割り当てられる記号、文字、数字又はこれらの組み合わせであってよい。つまり、交通情報提供装置5は、識別した対象の種類を識別コードによって車両6に通知してよい。また、交通情報提供装置5は、識別した対象の位置の座標を交通情報に含めて車両6に通知してよい。また、交通情報提供装置5は、例えば得られた撮影画像から対象の移動履歴を抽出して、移動の方向及び速度を示すベクトルを算出してよい。交通情報提供装置5は、算出したベクトルを対象の移動状態として交通情報に含めて車両6に通知してよい。また、交通情報提供装置5は、車両6に通知する交通情報に、他の車両6から通知される情報も含めることが可能である。また、上記のように、交通情報提供装置5は、これらの情報を歩行者9が所持するスマートフォン等の電子機器に通知することが可能であってよい。
【0022】
車両6は車両情報を交通情報提供装置5又は他の車両6に送信してよい。車両情報は交通情報提供装置5を介して他の車両6に送信されてよい。車両情報は、例えば、車両6の位置、速度、走行する方向、ウィンカーの点灯状態に関する情報などを含み得る。車両情報は、車両6の走行予定ルートに関する情報を含んでよい。走行予定ルートは、車両6に搭載したカーナビゲーションシステムで設定された走行経路によって生成されてよい。車両6は、搭載している報知装置10によって、交通情報提供装置5などから通知される各種情報を受け取ることができる。報知装置10は、具体例としてカーナビゲーションシステム又はドライブレコーダなどであってよい。報知装置10は、交通情報提供装置5から通知される情報に基づいて、警告などの報知を運転者に行うことによって、運転者の安全運転を支援することができる。ここで、車両6が上記の車載検出装置を備える場合に、検出結果を交通情報として他の車両6に送信してよい。
【0023】
このように、通信システム1は、車両6の運転者の安全運転を支援する。ここで、車両6は、自動車に限定されない。例えば、車両6は、自動二輪車、バス、路面電車、自転車を含み得る。
【0024】
(交通情報提供装置の機能ブロック図)
図2は、本実施形態に係る交通情報提供装置5の機能ブロック図である。交通情報提供装置5は、検出装置50と、通信部と、記憶部と、制御部と、を備える。交通情報提供装置5の通信部、記憶部、制御部は、報知装置10の構成要素と区別するために、以下の説明において、それぞれ提供側通信部51、提供側記憶部52、提供側制御部53と称される。検出装置50は複数であってよい。複数の検出装置50はそれぞれが独立に動作可能であってよい。
【0025】
検出装置50は路上の車両6、物体及び人(歩行者9)を含む対象を検出する。検出装置50はセンサを含んで構成される。検出装置50は、例えばイメージセンサを含んで構成される可視光カメラであってよい。また、検出装置50は、赤外線センサを含んで構成される赤外線カメラであってよい。
【0026】
ここで、検出装置50が含むセンサは、イメージセンサ及び赤外線センサに限定されない。検出装置50が含むセンサは、例えば3Dレーザースキャナなどを含み得る。検出装置50は、センサが検出した撮影画像などを提供側制御部53に出力する。
【0027】
提供側通信部51は、提供側制御部53によって制御されて車両6と無線通信を行う。提供側通信部51は、通信回路と、アンテナとで構成されてよい。アンテナは例えば無指向性のアンテナであってよい。提供側通信部51は、例えばITSに割り当てられている700MHz帯を使用して無線通信を行ってよい。また、提供側通信部51は、例えば無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を用いて無線通信を行ってよい。
【0028】
提供側通信部51は、アンテナで受信した信号に対して増幅処理などの各種処理を行い、処理後の受信信号を提供側制御部53に出力する。また、提供側制御部53は、情報を含む送信信号を提供側通信部51に出力してよい。提供側通信部51は、提供側制御部53から入力される送信信号に対して増幅処理などの各種処理を行って、処理後の送信信号をアンテナから無線送信してよい。
【0029】
提供側記憶部52は、各種の情報を記憶するメモリとしての機能を有してよい。提供側記憶部52は、例えば提供側制御部53において実行されるプログラム、及び、提供側制御部53において実行された処理の結果などを記憶してよい。また、提供側記憶部52は、提供側制御部53のワークメモリとして機能してよい。提供側記憶部52は、例えばROM及びRAMなどの半導体メモリ等により構成することができるが、これに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。提供側記憶部52は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを含んでよい。
【0030】
本実施形態において、提供側記憶部52は交通情報提供装置5が設置されている周辺の地図情報を記憶する。また、本実施形態において、提供側記憶部52は検出装置50によって撮影された撮影画像などの検出結果を記憶する。
【0031】
提供側制御部53は、交通情報提供装置5の動作を制御する。提供側制御部53は、1つ以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、アクセス可能なメモリ(例えば提供側記憶部52)からプログラムをロードして、交通情報提供装置5の各種の機能を実現させてよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくともいずれかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。提供側制御部53は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)及びSiP(System In a Package)の少なくともいずれかを含んでよい。
【0032】
(報知装置の機能ブロック図)
図3は、本実施形態に係る報知装置10の機能ブロック図である。報知装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、報知部14と、を備える。
【0033】
通信部11は、制御部13によって制御されて提供側通信部51及び他の車両6と無線通信を行う。通信部11は、通信回路と、アンテナとで構成されてよい。アンテナは例えば無指向性のアンテナであってよい。通信部11は、例えばITSに割り当てられている700MHz帯を使用して無線通信を行ってよい。また、通信部11は、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を用いて無線通信を行ってよい。
【0034】
通信部11は、アンテナで受信した信号に対して増幅処理などの各種処理を行い、処理後の受信信号を制御部13に出力する。また、制御部13は、情報を含む送信信号を通信部11に出力してよい。通信部11は、制御部13から入力される送信信号に対して増幅処理などの各種処理を行って、処理後の送信信号をアンテナから無線送信してよい。
【0035】
記憶部12は、各種の情報を記憶するメモリとしての機能を有してよい。記憶部12は、例えば制御部13において実行されるプログラム、及び、制御部13において実行された処理の結果などを記憶してよい。また、記憶部12は、制御部13のワークメモリとして機能してよい。記憶部12は、例えばROM及びRAMなどの半導体メモリ等により構成することができるが、これに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。記憶部12は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSDなどを含んでよい。
【0036】
制御部13は、報知装置10の動作を制御する。制御部13は、1つ以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、アクセス可能なメモリ(例えば記憶部12)からプログラムをロードして、報知装置10の各種の機能を実現させてよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくともいずれかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けICを含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイスを含んでよい。PLDは、FPGAを含んでよい。制御部13は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC及びSiPの少なくともいずれかを含んでよい。
【0037】
本実施形態において、制御部13は、通信部11を介して交通情報提供装置5から交通情報を取得し、交通情報に基づいて、車両6(自車)の通行の障害となり得る対象について報知を行う。制御部13は、自車が先行車両6A(図4参照)の後続車両6B(図4参照)であって、進行方向に先行車両6Aが右折又は左折が可能な第1地点71及び第2地点72(図4参照)が存在する場合に、先行車両6Aにより近い第2地点72について報知を行う。第1地点71、第2地点72及び報知の詳細については後述する。また、制御部13は、報知装置10が搭載されている車両6(自車)の位置、速度などの走行状態を示す情報を、例えばECU(Electronic Control Unit)などから取得してよい。
【0038】
報知部14は、運転者への報知に用いられる機器である。報知は、例えば走行において危険性のある対象を検知した場合にその存在を運転者に知らせる警告などである。報知部14は、例えば警告画像を表示するディスプレイであってよいし、警告を音声で知らせるスピーカーであってよい。本実施形態において、報知部14は、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)を含んで構成される。ヘッドアップディスプレイは、車両6の搭乗者(特に運転者)が視認可能であるようにウインドシールド(フロントガラス)に画像を投影する。画像が投影されたウインドシールドが警告画像を表示するディスプレイに対応する。また、本実施形態において、報知部14は、スピーカーも含み、音声を併用して警告することが可能である。
【0039】
(報知方法)
通信システム1では、例えば図4に示すような危険性の高い地点の存在について、運転者の注意を引くように報知することができる。図4の左図のように、自車が先行車両6Aの後続車両6Bとして同じ車線を走行しているとする。先行車両6Aが左折の方向指示器を動作(点灯)させたときに、先行車両6Aの進行方向に左折が可能な第1地点71及び第2地点72が存在する。図4の例において、第1地点71が交差点であり、第2地点72が店舗の入り口である。例えば後続車両6Bの運転者が店舗の入り口(第2地点72)の存在に気付かずに、先行車両6Aの進入先が交差点(第1地点71)であると勘違いすることがあり得る。このような場合、図4の右図のように、先行車両6Aにより近い第2地点72で先行車両6Aが左折すると、後続車両6Bが先行車両6Aと衝突するおそれがある。ここで、後続車両6Bの運転者が第2地点72の存在を知らない場合であっても、交通情報提供装置5はそのような危険性の高い地点を検出することができる。通信システム1では、交通情報提供装置5と報知装置10とが連携し、危険性の高い地点の存在を交通情報として共有することができる。つまり、本実施形態に係る報知装置10は、交通情報提供装置5から交通情報を取得して、交通情報に基づいて衝突を回避できるように運転者に警告することができる。ここで、図4の例において、第2地点72は先行車両6Aが左折可能な地点であるが、車道を挟んで反対側にある右折可能な地点であってよい。この場合も、後続車両6Bの運転者が先行車両6Aの進入先を勘違いすると、先行車両6Aと後続車両6Bが衝突するおそれがある。
【0040】
図5及び図6は、通信システム1で実行される、運転者への報知を実行するための処理例を示すフローチャートである。図5が交通情報提供装置5で実行される処理を示し、図6が報知装置10で実行される処理を示す。以下、交通情報提供装置5、報知装置10の順に処理が説明される。
【0041】
提供側制御部53は、車両6が右折又は左折が可能な地点があるかを判定する(ステップS1)。車両6が右折又は左折が可能な地点は、例えば店舗、施設又は駐車場の入り口及び交差点などである。提供側制御部53は、任意の手段で車両6が右折又は左折が可能な地点の存在を把握してよい。提供側制御部53は、例えば提供側記憶部52に記憶されている地図情報に基づいて右折又は左折が可能な地点の存在を把握してよい。また、提供側制御部53は、例えば提供側記憶部52に記憶されている過去の車両6についての検出結果に基づいて、車両6が右折又は左折が可能な地点を特定してよい。また、提供側制御部53は、周辺環境の観察に基づいて車両6が右折又は左折が可能な地点の存在を把握してよい。具体的に述べると、提供側制御部53は、検出装置50から取得した撮影画像に基づいて、縁石に高低差がある地点、店舗の看板がある地点及び駐車場がある地点などを車両6が右折又は左折が可能な地点と判定してよい。
【0042】
提供側制御部53は、車両6が右折又は左折が可能な地点がある場合に(ステップS1のYes)、その地点の位置情報を取得する(ステップS2)。取得される位置情報は、例えば地図情報に基づく座標情報であって、提供側記憶部52に記憶(登録)されてよい。取得される位置情報は、交通情報提供装置の位置との相対的な位置関係によって算出されてよい。そして、提供側制御部53は、位置情報を取得したのち、処理がステップS3に進む。ここで、車両6が右折又は左折が可能な地点がない場合に(ステップS1のNo)、処理がステップS3に進む。ここで、車両6が右折又は左折が可能な地点がない場合とは、既に全ての右左折可能な地点が把握されており、新たに登録すべき地点がないことを含む。以下において、車両6が右折又は左折が可能な地点に、第1地点71及び第2地点72(図4参照)が含まれるとして説明する。また、第2地点72は第1地点71よりも先行車両6Aに近い地点であるとする。
【0043】
検出装置50は、路上の車両6、物体及び人を含む対象を検出する(ステップS3)。検出装置50は、周辺の車両6等を観察した撮影画像などを提供側制御部53に出力する。以下において、周辺の車両6に先行車両6A及び後続車両6B(図4参照)が含まれるとして説明する。
【0044】
提供側制御部53は、先行車両6Aが右折又は左折する場合に(ステップS4のYes)、ステップS5の処理に進む。提供側制御部53は、例えば撮像画像に基づいて、先行車両6Aの方向指示器の動作(点灯)によって、右折又は左折することを判定してよい。提供側制御部53は、例えば撮像画像に基づいて、先行車両6Aが走行する道路のレーンが右折専用又は左折専用であることを判別し、右折又は左折することを判定してよい。提供側制御部53は、例えば先行車両6Aに関する車両情報に含まれる、ウィンカーに関する情報によって、右折又は左折することを判定してよい。提供側制御部53は、先行車両6Aが右折も左折もしない場合に(ステップS4のNo)、すなわち先行車両6Aが直進するような場合に、一連の処理を終了する。ここで、交通情報提供装置5は、ステップS1又はステップS3に戻って、一連の処理を再び開始してよい。
【0045】
提供側制御部53は、第2地点72が先行車両6Aから第1距離以内である場合に(ステップS5のYes)、ステップS6の処理に進む。第1距離は、例えば先行車両6A及び後続車両6Bが走行している車道の法定速度に応じて定められてよく、一例として50mであるが、特定の値に限定されない。第1距離は、先行車両6Aが実際に走行している速度に応じて定められてよい。提供側制御部53は、第2地点72が先行車両6Aから第1距離より離れている場合に(ステップS5のNo)、一連の処理を終了する。ここで、交通情報提供装置5は、ステップS1又はステップS3に戻って、一連の処理を再び開始してよい。
【0046】
提供側制御部53は、先行車両6Aから第2距離以内に後続車両6Bが存在する場合に(ステップS6のYes)、ステップS7の処理に進む。第2距離は、例えば先行車両6A及び後続車両6Bが走行している車道の法定速度に応じて定められてよく、一例として30mであるが、特定の値に限定されない。第2距離は、後続車両6Bが実際に走行している速度に応じて定められてよい。提供側制御部53は、先行車両6Aから第2距離より離れて後続車両6Bが存在する場合に(ステップS6のNo)、すなわち先行車両6Aと後続車両6Bの車間距離が第2距離より大きい場合に、一連の処理を終了する。ここで、交通情報提供装置5は、ステップS1又はステップS3に戻って、一連の処理を再び開始してよい。
【0047】
提供側制御部53は、交通情報を後続車両6Bに出力する(ステップS7)。このように、提供側制御部53は、第2地点72が先行車両6Aから第1距離以内であって、先行車両6Aから第2距離以内に後続車両6Bが存在すると判定する場合に、交通情報を後続車両6Bに出力する。交通情報は、少なくとも第2地点72の存在についての情報を含む。本実施形態において、交通情報は、車両6が右折又は左折が可能な地点の存在の情報、車間距離の情報(車両6の位置情報)、車両6の速度の情報及び周辺の歩行者9などの対象の移動状態の情報を含む。つまり本実施形態において、提供側制御部53は、第2地点72の周囲における後続車両6Bの通行の障害となり得る対象の存在も交通情報に含めて、交通情報を後続車両6Bに出力する。後続車両6Bに搭載された報知装置10は、以下の処理を実行する。
【0048】
図6に示すように、制御部13は、交通情報を取得する(ステップS11)。制御部13は、先行車両6Aが既に第2地点72を通過した場合に(ステップS12のYes)、報知せずに又は後述の矢印Daなどの表示を消去して、一連の処理を終了する。制御部13は、先行車両6Aがまだ第2地点72を通過していない場合に(ステップS12のNo)、ステップS13の処理に進む。ここで、制御部13は、第2地点72の周囲における通行の障害となり得る対象の存在も含めて、第2地点72の存在について報知を行ってよい。また、制御部13は、先行車両6Aの走行予定ルートに関する車両情報を取得できる場合に、取得された車両情報に基づいて第2地点72の存在について報知を行うか否かを決定してよい。
【0049】
制御部13は、先行車両6Aとの距離及び先行車両6Aの速度に基づいて、報知の形態を決定する(ステップS13)。制御部13は、報知を実行し(ステップS14)、ステップS11に戻って、一連の処理を再び開始する。上記のように、本実施形態において、報知部14はヘッドアップディスプレイを含んで構成される。本実施形態において、報知の形態は、ウインドシールドに投影される図形の形状、色、点滅などの形態を含む。図7は、後続車両6Bにおける報知の形態を例示する図である。図7に示されるように、先行車両6Aが第2地点72で左折し得ることが、ウインドシールドに投影される矢印Daで示されてよい。制御部13は、例えば先行車両6Aとの距離が近づいたり、先行車両6Aが減速したりした場合に、矢印Daを点滅させて、さらに運転者の注意を引くようにしてよい。このとき、矢印Daの表示色が変化したり、警告音が発せられたりしてよい。制御部13は、例えば先行車両6Aが加速した場合に、第2地点72で左折する可能性が低くなったと判定して、矢印Daの表示を小さくしたり、消したりしてよい。制御部13は、例えば先行車両6Aが第2地点72から所定の第3距離以内に接近しているにもかかわらず、減速していない場合に、第2地点72で左折する可能性が低くなったと判定して、矢印Daの表示を小さくしたり、消したりしてよい。第3距離は、先行車両6Aが安全に第2地点72を左折するために減速を始める必要がある距離であってよい。第3距離は、先行車両6Aの速度によって決定してよい。第3距離は、第1距離と同じ距離としてよい。また、図7に示されるように、第2地点72の周囲において通行の障害となり得る対象(具体例として自転車)の存在が、別の矢印Dbで示されてよい。
【0050】
このように、制御部13は、第2地点72と先行車両6Aとの距離及び先行車両6Aの速度に基づいて、報知の形態を決定してよい。また、制御部13は、第2地点72の周囲における通行の障害となり得る対象の存在も含めて、第2地点72の存在について報知を行ってよい。制御部13は、例えば先行車両6Aが自動運転車であって、目的地などの情報が交通情報提供装置5を介して交通情報として得られる場合に、目的地などの情報を報知の形態の決定に用いてよい。制御部13は、例えば先行車両6Aの目的地が遠方であって、第2地点72で左折する可能性が低い場合に、矢印Daを小さくしたり、消したりしてよい。また、制御部13は、先行車両6Aに関する車両情報に含まれる、走行予定ルートに関する情報に基づいて、先行車両6Aが第2地点72へ進入する予定がないと判定する場合には、矢印Daを表示させなくてよい。制御部13は、走行予定ルートに関する情報が、先行車両6Aが第1地点71へ進入することを示す場合に、第2地点72へ進入する予定がないと判定してよい。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る報知装置10、交通情報提供装置5及び車両6は、上記の構成によって、先行車両6Aの右左折についての適切な報知を可能にする。後続車両6Bの運転者は、目視による判断だと、先行車両6Aが右左折して進入する場所を勘違いするおそれがある。本実施形態に係る報知装置10、交通情報提供装置5及び車両6(後続車両6B)は、先行車両6Aの右左折についての適切な報知を可能にするため、安全運転に寄与できる。
【0052】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。本開示は、これらに実質的に相当するプログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0053】
1 通信システム
3 横断歩道
4 信号機
5 交通情報提供装置
6 車両
6A 先行車両
6B 後続車両
7 道路
9 歩行者
10 報知装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
14 報知部
50 検出装置
51 提供側通信部
52 提供側記憶部
53 提供側制御部
71 第1地点
72 第2地点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7