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特開2024-178846音出力装置、音出力方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178846
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】音出力装置、音出力方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/175 20060101AFI20241218BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20241218BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G10K11/175
H04R1/10 101B
H04R1/10 104E
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097309
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】金岡 利知
(72)【発明者】
【氏名】長尾 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】森脇 哲人
【テーマコード(参考)】
5D005
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
5D005BB01
5D061FF02
5D220AA02
(57)【要約】
【課題】機能及び/又は使い勝手を向上させた音出力装置、音出力方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】音出力装置は、ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、第1出力部の近傍において物体の接近を検出する第1検出部と、第1検出部による物体の接近の検出に基づいて、第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させる制御部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、
前記ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、
前記第1出力部の近傍において物体の接近を検出する第1検出部と、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、前記第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させる制御部と、
を備える、音出力装置。
【請求項2】
前記第2出力部の近傍において物体の接近を検出する第2検出部を備え、
前記制御部は、前記第2検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第2出力部によって前記第1音を出力させ、前記第1出力部によって前記第2音を出力させる、
請求項1に記載の音出力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1出力部の少なくとも一部が前記物体に覆われるのを前記第1検出部が検出することに基づいて、前記第1出力部によって前記第1音を出力させ、前記第2出力部によって前記第2音を出力させる、
請求項1に記載の音出力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1出力部による前記第1音の出力の開始に基づいて、前記第2出力部による前記第2音の出力を開始させ、前記第1出力部による前記第1音の出力の終了に基づいて、前記第2出力部による前記第2音の出力を終了させる、
請求項1から3の何れか一項に記載の音出力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2音を、前記第1音及び前記第2出力部の周囲環境の音の少なくとも一方より小さい音として出力する、
請求項1から3の何れか一項に記載の音出力装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2音を、前記第2出力部の周囲環境の音の周波数特性に応じた音として出力する、
請求項1から3の何れか一項に記載の音出力装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2音を、前記第2出力部の周囲環境の音の周波数特性に応じた周波数特性を有する音として出力する、
請求項6に記載の音出力装置。
【請求項8】
前記第1出力部の周囲環境の音を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記第1音として、前記記憶部に記憶された前記周囲環境の音を含む音出力する、
請求項1から3の何れか一項に記載の音出力装置。
【請求項9】
他の電子機器と通信する通信部を備え、
前記制御部は、前記第1音として、前記他の電子機器から受信した音を含む音出力する、
請求項1から3の何れか一項に記載の音出力装置。
【請求項10】
ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、
前記ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、
前記第1出力部の周囲の第1外部音を収音する第1収音部と、
前記第1収音部によって収音される前記第1外部音の所定の変化に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、前記第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力される制御部と、
を備える、音出力装置。
【請求項11】
第1出力部の近傍において第1検出部によって物体の接近を検出するステップと、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させるステップと、
を含む、音出力方法。
【請求項12】
電子機器に、
第1出力部の近傍において第1検出部によって物体の接近を検出するステップと、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させるステップと、
を実行させる、プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音出力装置、音出力方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンなどから音を出力するデバイス(例えばウェアラブルデバイス又はヒアラブルデバイスなど)に関連する種々の技術が提案されている。例えば、非特許文献1には、ユーザが手で耳を覆うなどの動作(ジェスチャ)を判別することができるイヤホン型デバイスに関する技術が提案されている。この技術は、イヤホンから出力された音の漏れをマイクによって取得した結果に基づいて、ユーザが手で耳を覆うなどの複数の動作(ジェスチャ)を判別することを提案している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】雨坂宇宙,外3名,”音漏れ信号を用いたヒアラブルデバイス向け手形状認識手法の検討”,[online],令和4年12月8日,WISS 2022:第30回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ,[令和5年5月24日検索],インターネット<URL: https://www.wiss.org/WISS2022Proceedings/data/12.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような音を出力するデバイス(以下、「音出力装置」とも記す)に更なる改善を施すことにより、このようなデバイスの機能及び/又は使い勝手を向上させることが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、機能及び/又は使い勝手を向上させた音出力装置、音出力方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る音出力装置は、
ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、
前記ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、
前記第1出力部の近傍において物体の接近を検出する第1検出部と、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、前記第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させる制御部と、
を備える。
【0007】
一実施形態に係る音出力装置は、
ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、
前記ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、
前記第1出力部の周囲の第1外部音を収音する第1収音部と、
前記第1収音部によって収音される前記第1外部音の所定の変化に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、前記第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させる制御部と、
を備える。
【0008】
一実施形態に係る音出力方法は、
第1出力部の近傍において第1検出部によって物体の接近を検出するステップと、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させるステップと、
を含む。
【0009】
一実施形態に係るプログラムは、
電子機器に、
第1出力部の近傍において第1検出部によって物体の接近を検出するステップと、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させるステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によれば、機能及び/又は使い勝手を向上させた音出力装置、音出力方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る音出力装置の使用態様の例を示す図である。
図2】一実施形態に係る音出力装置の使用態様の例を示す図である。
図3】一実施形態に係る音出力装置の使用態様の例を示す図である。
図4】一実施形態に係る音出力装置を含むシステムの使用態様の例を示す図である。
図5】一実施形態に係る音出力装置の機能的な概略構成を示すブロック図である。
図6】一実施形態に係る音出力装置の使用態様の例を示す図である。
図7】一実施形態に係る音出力装置の動作の例を説明するフローチャートである。
図8】一実施形態に係る音出力装置の動作の例を説明するフローチャートである。
図9】一実施形態に係る音出力装置の動作の例を説明するフローチャートである。
図10A】一実施形態に係る音出力装置の検出部による検出の例を示す図である。
図10B】一実施形態に係る音出力装置の検出部による検出の例を示す図である。
図11】一実施形態に係る音出力装置の機能的な概略構成を示すブロック図である。
図12】一実施形態に係る音出力装置の使用態様の例を示す図である。
図13】一実施形態に係る音出力装置の機能的な概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
本開示において、「音出力装置」とは、音を出力する電子機器としてよい。ここで、「電子機器」とは、電力により駆動される機器としてよい。また、本開示において、「ユーザ」とは、一実施形態に係る音出力装置及び/又は当該音出力装置を含むシステムを使用する者(典型的には人間)としてよい。また、「システム」とは、電力により駆動される機器を含むものとしてよい。
【0014】
以下説明する一実施形態に係る音出力装置は、周囲環境の音を常時記録しつつ、当該周囲環境の音をユーザに聞かせるように出力することができる。また、一実施形態に係る音出力装置は、例えば携帯電話又はスマートフォンとともに使用されるウェアラブルデバイス(又はヒアラブルデバイス)のように、音声通話の音声をユーザに聞かせるように出力することができる。また、一実施形態に係る音出力装置は、ユーザの手などによる所定のジェスチャを検出すると、当該音出力装置から出力される再生音又は音声通話がユーザに聞き取りやすくなるように動作する。
【0015】
一実施形態に係る音出力装置は、種々の態様で実施することができる。図1乃至図4は、音出力装置のいくつかの実施形態の例を示す図である。以下、図1乃至図4を参照して、いくつかの実施形態に係る音出力装置について説明する。
【0016】
図1に示す実施形態に係る音出力装置1Aは、ヘッドホン型の電子機器として構成することができる。図2に示す実施形態に係る音出力装置1Bは、インナーイヤー型イヤホン又はカナル型イヤホンのような電子機器として構成することができる。図3に示す実施形態に係る音出力装置1Cは、骨伝導イヤホンのような電子機器として構成することができる。図4に示す実施形態に係る音出力装置1Dは、図2に示した実施形態に係る音出力装置1Bと少なくとも部分的に同様の構成を含みつつ、他の電子機器(例えばスマートフォン100)と連携するシステムを構成することができる。
【0017】
図1に示す音出力装置1Aは、例えば、左側の筐体11と、右側の筐体12と、ヘッドバンド13と、を備えている。左側の筐体11及び右側の筐体12は、ヘッドバンド13を介して接続される。すなわち、ヘッドバンド13の両端には、左側の筐体11及び右側の筐体12が接続される。ユーザが音出力装置1Aを装着した場合、左側の筐体11は、ユーザUの左耳E1に接して配置される。左側の筐体11は、ユーザUの左耳E1に聞かせる音の出力に用いられる。ユーザが音出力装置1Aを装着した場合、右側の筐体12は、ユーザUの右耳E2に接して配置される。右側の筐体12は、ユーザUの右耳E2に聞かせる音の出力に用いられる。
【0018】
図1に示す音出力装置1Aにおいて、ヘッドバンド13は、ユーザUの頭頂部付近から左右の耳に沿って配置されている。しかしながら、ヘッドバンド13に代えて、例えばユーザUの後頭部又は額部付近に配置されるバンドとしてもよいし、例えばユーザUの首の付近に位置するネックバンドなどとしてもよい。音出力装置1Aは、オーバーイヤー型、オンイヤー型、又はオープンエア型などのヘッドホンと同様の又は類似した構成としてよい。また、音出力装置1Aは、例えばヘッドセットと同様の又は類似した構成としてよい。
【0019】
図1に示すように、音出力装置1Aの左側の筐体11は、第1出力部21と、第1検出部31と、を備えている。
【0020】
第1出力部21は、ユーザUの左耳E1に向けて音が出力されるように、ユーザUの左耳E1に対向して配置される。第1出力部21は、任意のスピーカ(ラウドスピーカ)のようなダイナミックスピーカを含んで構成してよい。
【0021】
第1検出部31は、第1出力部21の近傍に配置される。第1検出部31は、音出力装置1Aを装着したユーザUの左耳E1の近傍に配置されてよい。第1検出部31は、例えば左側の筐体11の周囲環境の音を収音するマイク(マイクロフォン)を含んで構成してよい。第1検出部31は、空気振動としての音をダイヤフラムなどによって受け止めて、これを電気信号に変換する音響機器としてよい。
【0022】
また、図1に示すように、音出力装置1Aの右側の筐体12は、第2出力部22と、第2検出部32と、を備えている。
【0023】
第2出力部22は、ユーザUの右耳E2に向けて音が出力されるように、ユーザUの右耳E2に対向して配置される。第2出力部22は、任意のスピーカ(ラウドスピーカ)のようなダイナミックスピーカを含んで構成してよい。
【0024】
第2検出部32は、第2出力部22の近傍に配置される。第2検出部32は、音出力装置1Aを装着したユーザUの右耳E2の近傍に配置されてよい。第2検出部32は、例えば右側の筐体12の周囲環境の音を収音するマイク(マイクロフォン)を含んで構成してよい。第2検出部32は、空気振動としての音をダイヤフラムなどによって受け止めて、これを電気信号に変換する音響機器としてよい。
【0025】
図2に示す音出力装置1Bは、例えば、左側の筐体11と、右側の筐体12と、を備えている。図2に示す音出力装置1Bは、図1に示した音出力装置1Aと異なり、ヘッドバンド13を備えていない。音出力装置1Bにおいて、左側の筐体11と、右側の筐体12とは、有線及び無線の少なくとも一方により接続されてよい。ユーザが音出力装置1Bを装着した場合、左側の筐体11は、ユーザUの左耳E1に配置される。左側の筐体11は、ユーザUの左耳E1に聞かせる音の出力に用いられる。ユーザが音出力装置1Bを装着した場合、右側の筐体12は、ユーザUの右耳E2に配置される。右側の筐体12は、ユーザUの右耳E2に聞かせる音の出力に用いられる。図2に示す音出力装置1Bは、音出力装置1は、耳掛け型イヤホン、インナーイヤー型イヤホン、又はカナル型イヤホンと同様の又は類似した構成としてよい。また、音出力装置1Bは、例えばイヤセットと同様の又は類似した構成としてよい。
【0026】
図2に示すように、音出力装置1Bの左側の筐体11は、第1出力部21と、第1検出部31と、を備えている。また、図1に示すように、音出力装置1Aの右側の筐体12は、第2出力部22と、第2検出部32と、を備えている。これらの機能部は、図1に示した音出力装置1Aの場合と同様の思想に基づくものとしてよい。
【0027】
図3に示す音出力装置1Cは、例えば、左側の筐体11と、右側の筐体12と、ヘッドバンド13と、を備えている。左側の筐体11及び右側の筐体12は、ヘッドバンド13を介して接続される。すなわち、ヘッドバンド13の両端には、左側の筐体11及び右側の筐体12が接続される。ユーザが音出力装置1Cを装着した場合、左側の筐体11は、ユーザUの左耳E1の比較的近くの位置に配置されてよい。左側の筐体11は、ユーザUの左耳E1に聞かせる音の出力に用いられる。ユーザが音出力装置1Cを装着した場合、右側の筐体12は、ユーザUの右耳E2の比較的近くの位置に配置されてよい。右側の筐体12は、ユーザUの右耳E2に聞かせる音の出力に用いられる。図3に示すように、音出力装置1Cにおいて、左側の筐体11及び/又は右側の筐体12は、ユーザUの耳を覆うように配置されなくてもよい(又はユーザUの耳の上に配置されなくてもよい)。
【0028】
図3に示す音出力装置1Cにおいて、ヘッドバンド13は、ユーザUの後頭部付近から左右の耳に沿って配置されている。しかしながら、ヘッドバンド13は、例えばユーザUの頭頂部又は額部付近に配置されるバンドとしてもよい。
【0029】
図3に示すように、音出力装置1Cの左側の筐体11は、第1出力部21と、第1検出部31と、を備えている。また、音出力装置1Cの右側の筐体12は、第2出力部22と、第2検出部32と、を備えている。
【0030】
音出力装置1Cにおいて、第1出力部21及び第2出力部22は、それぞれ骨伝導イヤホン(骨伝導スピーカ)としてよい。この場合、第1出力部21及び第2出力部22は、それぞれユーザUの左耳E1及び右耳E2の上又は直近に配置されなくてよい。また、第1出力部21及び第2出力部22は、それぞれユーザUの耳孔又は外耳道などに挿入されなくてもよい。
【0031】
音出力装置1Cにおいて、第1検出部31及び第2検出部32は、図1に示した音出力装置1Aの場合と同様の思想に基づくものとしてよい。
【0032】
上述した音出力装置1A、音出力装置1B、及び音出力装置1Cは、それぞれ単体で動作又は機能するものとして説明した。しかしながら、音出力装置1A、音出力装置1B、及び音出力装置1Cにおいて、それぞれの機能の一部を、他の電子機器に担わせてもよい。
【0033】
図4に示す音出力装置1Dは、図2に示した音出力装置1Bと少なくとも部分的に同様の構成を含んでよい。また、音出力装置1Dは、例えばスマートフォン100のような他の電子機器と、有線及び無線の少なくとも一方により接続されてよい。例えば、音出力装置1Dは、スマートフォン100と無線によりペアリングすることで、スマートフォン100と連携することができる。例えば、音出力装置1Dは、スマートフォン100が再生する音楽及び/又は音声などの音をユーザに聴覚的に知覚させることができる。また、音出力装置1Dは、スマートフォン100による通話の音声などの音をユーザに聴覚的に知覚させることができる。
【0034】
以上説明した音出力装置1A、音出力装置1B、音出力装置1C、音出力装置1Dは、適宜、「音出力装置1」と総称することがある。
【0035】
図5は、上述した音出力装置1の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
【0036】
図5に示すように、音出力装置1は、第1出力部21、第2出力部22、第1検出部31、第2検出部32、制御部40、記憶部50、通信部60、及び電源部70を備えてよい。図5に示すように、音出力装置1は、第1出力部21、第2出力部22、第1検出部31、第2検出部32、記憶部50、通信部60、及び電源部70は、それぞれ制御部40に接続されてよい。一実施形態において、音出力装置1は、図5に示す機能部の一部を含まなくてもよいし、図5に示す機能部以外の機能を含んでもよい。
【0037】
第1出力部21及び第2出力部22は、ユーザUに音声等の聴覚的に知覚可能な情報を出力する。第1出力部21及び/又は第2出力部22は、上述のように、任意のスピーカを含んで構成してよい。また、第1出力部21及び/又は第2出力部22は、上述のように、任意の骨伝導イヤホンを含んで構成してよい。第1出力部21及び第2出力部22は、聴覚的に知覚可能な情報を気導音及び/又は骨導音などとしてユーザUに出力する任意の機能部としてよい。このように、第1出力部21は、ユーザUの一方の耳(例えば左耳E1)に知覚させる音を出力する。また、第2出力部22は、ユーザUの他方の耳(例えば右耳E2)に知覚させる音を出力する。
【0038】
第1検出部31及び第2検出部32は、それぞれ第1出力部21及び第2出力部22の近傍において例えばユーザの手(掌又は指)などの物体の接近を検出可能な任意の機能部としてよい。例えば、第1検出部31及び第2検出部32は、上述のように、それぞれ左側の筐体11及び右側の筐体12の周囲環境の音を収音するマイク(マイクロフォン)を含んで構成してよい。第1検出部31及び/又は第2検出部32をマイクで構成する場合の、ユーザの手のような物体の接近を検出する態様については、さらに後述する。
【0039】
また、第1検出部31及び/又は第2検出部32は、マイクに代えて、例えば任意の近接センサを含んで構成してもよい。また、第1検出部31及び/又は第2検出部32は、マイクとともに、例えば任意の近接センサをさらに含んで構成してもよい。このような構成についても、さらに後述する。
【0040】
制御部40は、音出力装置1を構成する各機能部をはじめとして、音出力装置1の全体を制御及び/又は管理する。制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などを含めて構成することができる。一実施形態において、制御部40は、例えばCPU(ハードウェア)及び当該CPUで実行されるプログラム(ソフトウェア)を含んで構成してもよい。制御部40は、制御部40の動作に必要な記憶部(メモリ)を適宜含んでもよい。
【0041】
制御部40は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路、及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実現されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実現されることが可能である。
【0042】
一実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続又は処理を実行するために構成された、1以上の回路又はユニットを含む。例えば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス若しくは構成の組み合わせを含むことにより、以下に説明する機能を実行してもよい。
【0043】
記憶部50は、制御部40及び/又は通信部60などから取得した情報を記憶する。また記憶部50は、制御部40によって実行されるプログラム等を記憶する。その他、記憶部50は、例えば制御部40による演算結果などの各種データも記憶する。さらに、記憶部50は、制御部40が動作する際のワークメモリ等も含んでよい。一実施形態において、記憶部50は、例えばリングバッファのような任意のバッファを含めて構成されてよい。記憶部50は、例えば半導体メモリ又は磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。例えば、記憶部50は、光ディスクのような光学記憶装置としてもよいし、光磁気ディスクなどとしてもよい。また、例えば、記憶部50は、本実施形態に係る音出力装置1に挿入されたメモリカードのような記憶媒体としてもよい。また、記憶部50は、制御部40として用いられるCPUの内部メモリであってもよい。
【0044】
一実施形態において、記憶部50は、第1検出部31及び/又は第2検出部32が検出した音をデータとして記憶してよい。また、一実施形態において、記憶部50にデータ記憶された音は、ユーザの操作等に応じて、第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力されてよい。
【0045】
通信部60は、無線通信をはじめとする各種の機能を実現することができる。通信部60は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の種々の通信方式による通信を実現してよい。通信部60は、例えばITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)において通信方式が標準化されたモデムを含んでよい。通信部60は、例えばアンテナを介して、例えば外部サーバ又はクラウドサーバのような外部機器と、ネットワークを介して無線通信してよい。一実施形態において、通信部60は、例えば外部サーバ又はクラウドサーバなどの外部のデータベースから、各種情報を受信してよい。また、このようにして通信部60が受信した各種情報は、記憶部50に記憶してもよい。一実施形態において、通信部60は、音出力装置1から出力する音及び/又は通話音声のデータを、他の電子機器から受信してよい。
【0046】
通信部60は、無線通信を行う機能部に限定されるものではない。例えば、通信部60は、他の電子機器などのような外部機器とケーブルなどで有線接続するためのインタフェースとして構成してもよい。
【0047】
電源部70は、例えばリチウムイオン電池並びにその充電及び放電のための制御回路などを備え、音出力装置1の全体に電力を供給する。電源部70は、リチウムイオン電池などの二次電池に限らず、例えばボタン電池などの一次電池であってもよい。また、電源部70は、一次電池又は二次電池ではなく、例えば音出力装置1の外部から電力の供給を受けるための機能部としてもよい。
【0048】
上述のように、例えば図4に示したようなシステムにおいては、音出力装置1Dの機能部のうち、例えば制御部40、記憶部50、及び通信部60の少なくとも一部の機能を少なくとも部分的に担わせてもよい。
【0049】
次に、一実施形態に係る音出力装置1の動作について説明する。
【0050】
一実施形態に係る音出力装置1の通常の用途としては、例えば一般的なヘッドホン又はイヤホンの機能を兼ねるものとしてよい。
【0051】
例えば、制御部40は、記憶部50にデータとして記憶された音楽及び/又は音声などの音を第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力させてよい。また、音出力装置1は、通信部60を介してデータとして受信した音楽及び/又は音声などの音を、第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力させてよい。また、音出力装置1は、通信部60を介してデータとして受信した通話音声などの音を、第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力させてよい。
【0052】
この場合、制御部40は、マイクとして機能する第1検出部31及び/又は第2検出部32が取得する周囲環境の音の波形とは逆位相の波形の音を、第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力させてよい(ノイズキャンセリング)。制御部40は、前述した周囲環境の音の波形とは逆位相の波形の音を、音楽及び/又は音声に重畳させた音を出力させてよいし、音楽及び/又は音声に重畳させずに(ノイズキャンセリングのみの効果として)出力させてよい。また、制御部40は、マイクとして機能する第1検出部31及び/又は第2検出部32が取得する周囲環境の音をそのまま又は適宜処理した音(アンビエントサウンド)を、第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力させてよい。
【0053】
以下、例えば空港又は鉄道の駅などにおいてユーザが音出力装置1を使用している最中に、当該ユーザが注目すべき放送が流れるような場面を想定する。例えばユーザが音出力装置1を使用(着用)しながら空港のロビーなどで飛行機の搭乗を待機している場合、当該ユーザが搭乗する予定の飛行機についての搭乗案内の放送が流れることがある。また、例えばユーザが音出力装置1を使用(着用)しながら駅のホーム又は待合室などで列車の乗車を待機している場合、当該ユーザが乗車する予定の列車についての駅構内で放送が流れることがある。
【0054】
ここで、ユーザが使用している音出力装置1は、例えば音楽又は放送を出力していてもよいし、電話の通話音声を出力していてもよいし、ノイズキャンセリングの効果を発揮していてもよい。また、ユーザが使用している音出力装置1は、例えば外音取り込みをした周囲環境の音(アンビエントサウンド)を出力していてもよいし、何も音を出力していなくてもよい。
【0055】
このような場面で、ユーザが音出力装置1を使用していると、ユーザが注目すべき情報を聞き逃すことが想定される。これは、例えば音出力装置1が音楽又は音声などを出力していると、その音が周囲環境の音をかき消すことにより、周囲環境の音がユーザの耳に入らなくなるためと考えられる。また、例えば音出力装置1が音楽又は音声などを出力していなくても、ユーザが他の作業に没頭していた場合に、注目すべき情報を聞き逃す可能性があると考えられる。さらに、周囲環境の音が仮にユーザの耳に入ったとしても、その時点でユーザが当該音に注意(意識)を向けていないことで、注目すべき情報を聞き逃すことも多分に想定される。
【0056】
第1検出部31及び/又は第2検出部32によって取得した周囲環境の音を、記憶部50に記憶しておくことで、上述のような場面において、一実施形態に係る音出力装置1のユーザは、聞き逃した(かもしれない)周囲環境の音を簡単な操作で聞き返すことができる。具体的には、ユーザは注目すべき情報を聞き逃したと感じた際に、音出力装置1を操作して数秒前からの音を聞き返すことができるように構成してよい。もしくは、注目すべき情報が予め音出力装置1に登録されている場合には、制御部40が自動的に当該箇所の音を再生するように構成してよい。したがって、一実施形態に係る音出力装置1によれば、機能及び/又は使い勝手を向上させることができる。
【0057】
一般的に、人間は、耳にしている音が煩わしいと感じる時などに、自然と手又は指などを使って耳を覆う又は塞ぐような仕草(ジェスチャ)を行う傾向にある。例えば、図6に示すように、ユーザUが音出力装置1Bを着用して使用している場面を想定する。この場面で、音出力装置1Bは、第1出力部21から音楽又は音声などの音を出力しているものとする。第1出力部21から出力される音は、ユーザUの左耳E1によって聴覚的に認識される。このような状況で、ユーザUが例えば左耳E1から入る音が煩わしいと感じる場合、ユーザUは、煩わしい方の耳(この場合左耳E1)を手又は指などを使って覆う又は塞ぐような仕草を行う。また、そのような場面において、そのようなジェスチャを行うように、予めユーザUに知らせておいてもよい。
【0058】
また、例えば、音出力装置1Bが第1出力部21から音楽又は音声などの音を出力していない場面を想定してもよい。このような場合、ユーザUが注目すべき周囲環境の音を聞き逃したかもしれないと感じるときに、それを聞きたい方の耳(例えば耳E1)を手又は指などを使って覆う又は塞ぐような仕草を行うよう、予めユーザUに知らせておいてもよい。
【0059】
図6は、ユーザUが、左手LHによって左耳E1を覆う又は塞ぐようなジェスチャを行っている様子を示す図である。この場合、音出力装置1の左側の筐体11の第1検出部31は、ユーザUの左手LHによって覆われる。したがって、後述のように、第1検出部31は、ユーザUの手の接近を検出することができる。図6に示すようにユーザUの左手LHによって左耳E1が覆われると、ユーザUの左耳E1に周囲環境の音が入りにくくなる。
【0060】
そこで、このようなユーザUのジェスチャをトリガとして、制御部40は、それまでに第1検出部31及び/又は第2検出部32によって取得した周囲環境の音を再生して、第1出力部21から音として出力する。
【0061】
制御部40は、ユーザUのジェスチャをトリガとして、例えば5秒前などの時点からの周囲環境の音を再生してよい。ユーザUのジェスチャをトリガとして、どの程度以前からの周囲環境の音を再生するかは、音出力装置1の用途又は使用目的などに応じて、適宜設定されてよい。また、少し前の時点の周囲環境の音を再生するために、制御部40は、第1検出部31及び/又は第2検出部32によって取得される音声のデータを、記憶部50に絶えず記憶しておいてよい。
【0062】
また、例えば音出力装置1を用いてユーザUが電話の通話中のような場合に、ユーザUが左手LHによって左耳E1を覆うようなジェスチャを行なうことも想定される。このような場合、制御部40は、第1検出部31及び/又は第2検出部32によって取得されて記憶部50に記憶されたデータに基づく音の再生の代わりに、音声通話の音をそのまま又は少し増幅するなどして、第1出力部21から出力してもよい。
【0063】
以下、上述のような、所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む音を、便宜的に「第1音」とも記す。
【0064】
また、図6にて説明した動作において、ユーザUは、もう一方の耳(右耳E2)を手などで覆うようなジェスチャを行っていない。このため、ユーザUの右耳E2に周囲環境の音が入ってしまうことが想定される。例えば、図6に示す音出力装置1Bの右側の筐体12がカナル型の第2出力部22を備える場合、第2出力部22がユーザUの右耳E2の耳孔に密着するように挿入される。しかし、このような場合でも、僅かながら、ユーザUの右耳E2に周囲環境の音が入り得ると考えられる。また、第2検出部32によって取得された周囲環境の音を、第2出力部によって出力されている場合、ユーザUは当該周囲環境の音を煩わしく感じると考えられる。また、図6に示す音出力装置1Bの右側の筐体12がインナーイヤー型又は耳掛け型の第2出力部22を備える場合、第2出力部22とユーザUの右耳E2との間には隙間が生じる。したがって、このような場合、ユーザUの右耳E2には相応の周囲環境の音が入り得る。
【0065】
そこで、制御部40は、ユーザUが左耳E1を覆うようなジェスチャを行っている最中右耳E2側の第2出力部22から、所定のマスキング音を含む音を出力させてよい。以下、所定のマスキング音を含む音を、便宜的に「第2音」とも記す。ここで、所定のマスキング音とは、ユーザUの右耳E2に入る周囲環境の音を知覚しにくくするような任意の音としてよい。周囲環境の音が知覚しにくいとは、ユーザUの右耳E2にとって、周囲環境の音が低減して感じられることを含んでよい。例えば、所定のマスキング音とは、ホワイトノイズ、ブラウンノイズ、及びピンクノイズなどの少なくともいずれかとしてよい。また、所定のマスキング音とは、例えば、第2出力部22の周囲環境の音の周波数特性に応じた音を含んでもよい。また、所定のマスキング音とは、例えば、第2出力部22の周囲環境の音の周波数特性に応じた周波数特性を有する音を含んでもよい。例えば、制御部40は、第2検出部32によって検出される周囲環境の音の周波数特性を解析し、当該周波数特性の音をマスキングするような音を、第2出力部22から出力してもよい。
【0066】
さらに、所定のマスキング音とは、音として目立つ度合いを低減するために、例えば第1出力部21から出力される音(すなわち第1音)、及び(第2検出部32によって取得される)第2出力部22の周囲環境の音の少なくとも一方より小さい音としてもよい。
【0067】
図7は、一実施形態に係る音出力装置1の動作の例を説明するフローチャートである。以下、図7を参照して、一実施形態に係る音出力装置1の動作について、さらに説明する。以下の制御は、音出力装置1の制御部40によって実行される制御(動作)としてよい。
【0068】
図7に示す動作が開始する時点で、上述のように、音出力装置1は、所定の音などを出力していてもよいし、何も音を出力していなくてもよい。したがって、図7に示す動作が開始する時点で、制御部40は、第1出力部21及び/又は第2出力部22から出力される所定の音の有無に関連する制御を行ってよい。
【0069】
図7に示す動作が開始すると、第1検出部31及び/又は第2検出部32は、音出力装置1の周囲環境の音を検出する(ステップS11)。
【0070】
次に、制御部40は、第1検出部31及び/又は第2検出部32によって検出された周囲環境の音を、データとして記憶部50に記憶する(ステップS12)。
【0071】
次に、第1検出部31がユーザUの手などの物体の接近を検出したか否か判定する(ステップS13)。ユーザUの手などの物体の接近が検出されていない場合、制御部40は、ステップS11に戻って処理を続行する。
【0072】
一方、ステップS13においてユーザUの手などの物体の接近が検出されている場合、制御部40は、記憶部50に記憶されたデータに基づく(周囲環境の)音(第1音)の、第1出力部21からの出力(再生)を開始する(ステップS14)。ここで、制御部40は、記憶部50に記憶されたデータに基づく(周囲環境の)音を、例えば3秒ごと又は5秒ごとなどの時間に区切って、順次連続して再生してもよい。上述のように、第1音とは、所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む音としてよい。
【0073】
また、制御部40は、第1出力部21からの第1音の出力中に、第2出力部22が第2音を出力するように制御する(ステップS15)。第2音とは、所定のマスキング音を含む音としてよい。ステップS15の後、制御部10は、図7に示す動作を再び開始してもよい。
【0074】
このように、一実施形態に係る音出力装置1において、制御部40は、第1検出部31による例えばユーザの手の接近の検出に基づいて、第1出力部21が第1音を出力し、第2出力部22が第2音を出力するように制御する。また、制御部40は、第1音として、記憶部50に記憶された音出力装置1の周囲環境の音を含む音出力してもよい。
【0075】
また、一実施形態において、制御部40は、第1出力部21による第1音の出力の開始に基づいて、第2出力部22による第2音の出力を開始してもよい。この場合、制御部40は、第1出力部21による第1音の出力の終了に基づいて、第2出力部22による第2音の出力を終了してもよい。
【0076】
図6に示したように、ユーザUは、例えば、第1出力部21が出力する音が煩わしいと感じる場合、又は、周囲環境の音に注目したい場合、第1出力部21が音を出力している側の耳を手などで覆うようなジェスチャを行うようにしてよい。この場合、手で覆われた側の第1出力部21からは、周囲環境の音が少し前からプレイバックされる。また、手で覆われていない側の第2出力部22からは、マスキング音が出力される。したがって、音出力装置1によれば、ユーザは、例えば左耳E1を覆うジェスチャにより、聞き逃したかもしれない周囲環境の音に注目する(意識を向ける)ことができる。
【0077】
図6に示した例においては、ユーザUが左耳E1を覆うジェスチャを行う場合について説明した。次に、ユーザUが右耳E2を覆うジェスチャを行う場合について説明する。
【0078】
図8は、ユーザUが左耳E1を覆うジェスチャを行う場合に、一実施形態に係る音出力装置1が行う動作の例を説明するフローチャートである。以下、図7において説明した動作とは異なる動作について説明する。すでに図7において説明した動作と同様又は類似となる動作の説明は、適宜、簡略化又は省略する。
【0079】
図8に示す動作が開始すると、ステップS21及びステップS22は、図7において説明したステップS11及びステップS12と同様としてよい。
【0080】
次に、第2検出部32がユーザUの手などの物体の接近を検出したか否か判定する(ステップS23)。ユーザUの手などの物体の接近が検出されていない場合、制御部40は、ステップS21に戻って処理を続行する。
【0081】
一方、ステップS23においてユーザUの手などの物体の接近が検出されている場合、制御部40は、記憶部50に記憶されたデータに基づく(周囲環境の)音(第1音)の、第2出力部22からの出力(再生)を開始する(ステップS24)。ここで、制御部40は、記憶部50に記憶されたデータに基づく(周囲環境の)音を、例えば3秒ごと又は5秒ごとなどの時間に区切って、順次連続して再生してもよい。
【0082】
また、制御部40は、第2出力部21からの第1音の出力中に、第1出力部21が第2音を出力するように制御する(ステップS25)。第2音とは、所定のマスキング音を含む音としてよい。ステップS25の後、制御部10は、図7に示す動作を再び開始してもよい。
【0083】
このように、一実施形態に係る音出力装置1において、制御部40は、第2検出部32による例えばユーザの手の接近の検出に基づいて、第2出力部22が第1音を出力し、第1出力部21が第2音を出力するように制御してもよい。
【0084】
一実施形態に係る音出力装置1によれば、ユーザUは例えば右手を用いて右耳E2を覆うジェスチャを行うことにより、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
次に、音出力装置1を用いて電話の通話を行う場合の動作について説明する。
【0086】
図9は、音出力装置1を用いて電話の通話を行う場合に、一実施形態に係る音出力装置1が行う動作の例を説明するフローチャートである。以下、図7又は図8において説明した動作とは異なる動作について説明する。すでに図7又は図8において説明した動作と同様又は類似となる動作の説明は、適宜、簡略化又は省略する。
【0087】
図9に示す動作が開始すると、通信部60は、例えば他の電子機器などから送信される音声通話のデータを受信する(ステップS31)。
【0088】
次に、制御部40は、ステップS31において受信したデータに基づく音声通話の音を、第1出力部21及び第2出力部22から出力する(ステップ32)。
【0089】
次に、第1検出部31がユーザUの手などの物体の接近を検出したか否か判定する(ステップS33)。ユーザUの手などの物体の接近が検出されていない場合、制御部40は、ステップS31に戻って処理を続行する。
【0090】
一方、ステップS33においてユーザUの手などの物体の接近が検出されている場合、制御部40は、第1出力部21から出力する第1音の音量を上げる(ステップS34)。
【0091】
また、制御部40は、第1出力部21からの第1音の出力中に、第2出力部22が第2音を出力するように制御する(ステップS35)。ステップS35の後、制御部10は、図9に示す動作を再び開始してもよい。
【0092】
一実施形態に係る音出力装置1において、制御部40は、第1音として、例えば他の電子機器から受信した音を含む音出力してもよい。
【0093】
次に、一実施形態に係る音出力装置1の第1検出部31及び第2検出部32によるジェスチャ検出について、さらに説明する。
【0094】
まず、第1検出部31及び第2検出部32が、それぞれ左側の筐体11及び右側の筐体12の周囲環境の音を収音するマイク(マイクロフォン)を含んで構成される場合について説明する。
【0095】
出願人は、図2に示したようにユーザUが例えば左耳E1を手などで覆っていない場合と、図6に示したようにユーザUが例えば左耳E1を左手LHなどで覆っている場合とでは、第1検出部31が検出する音の特性が変化することを確かめた。
【0096】
図10A及び図10Bは、第1検出部31が検出する(周囲環境の)音の周波数の時間変化を示す図である。図10A及び図10Bにおいて、横軸は経過時間を示し、縦軸は音の周波数を示す。図10A及び図10Bにおいて、色の薄い(白に近い)部分は当該周波数の音が検出されたことを表し、色の濃い(黒に近い)部分は当該周波数の音が検出されていないことを表している。
【0097】
図10Aは、ユーザUが例えば左耳E1を手などで覆わなかった場合に第1検出部31が検出する(周囲環境の)音の周波数を示す図である。一方、図10Bは、ユーザUが例えば左耳E1を手などで覆った場合に第1検出部31が検出する(周囲環境の)音の周波数を示す図である。図10Bにおいて、時刻t1から時刻t2までの時間、ユーザUは左耳E1を手などで覆っていたことを示す。すなわち、時刻t1まで、及び、時刻t2の後は、ユーザUの左耳E1は手などで覆われていない。
【0098】
図10A及び図10Bの比較から分かるように、両者のグラフからは特徴的な差異が見られる。すなわち、ユーザUが例えば左耳E1を手などで覆わなかった場合と覆った場合とで、第1検出部31によって検出される音の周波数については、検出可能な変化が生じることが分かる。図10Bにおいて、時刻t1から時刻t2までの時間、8000Hz以下のような比較的周波数の低い音はあまり変化していない。一方、図10Bにおいて、時刻t1から時刻t2までの時間、8000Hz以上のような比較的周波数の高い音はカットされている。
【0099】
以上の結果から、ユーザUが例えば左耳E1を手などで覆うと、第1検出部31によって検出される比較的周波数の高い音はカットされることが分かる。したがって、第1検出部31によって検出される音の比較的周波数の高い成分に基づいて、ユーザUの例えば左耳E1が手などによって覆われたか否かを判定することができる。
【0100】
このように、一実施形態において、制御部40は、第1出力部21の少なくとも一部がユーザの手などの物体に覆われるのを第1検出部31が検出することに基づいて、第1出力部21が第1音を出力し、第2出力部22が第2音を出力するように制御してもよい。また、一実施形態において、第1検出部31は、第1出力部21の周囲の第1外部音を収音する第1収音部として構成されてもよい。この場合、制御部40は、第1収音部によって収音される第1外部音の所定の変化(例えば周波数)に基づいて、第1出力部21が第1音を出力し、第2出力部22が第2音を出力するように制御してもよい。
【0101】
上述する一実施形態において、第1検出部31は、第1出力部21の少なくとも一部がユーザUの手によって覆われることを検出していたが、これに限定されない。より具体的には、第1検出部31は、第1出力部21の少なくとも一部が、紙、板、布や椀などの種々の物体に覆われることを検出してよい。
【0102】
次に、第1検出部31及び第2検出部32が、それぞれ左側の筐体11及び右側の筐体12に接近する物体を検出可能な近接センサを含んで構成される場合について説明する。第1検出部31及び第2検出部32が近接センサを含む場合、これら第1検出部31及び第2検出部32は、ユーザの手などが第1検出部31又は第2検出部32にそれぞれ接近したことを直接的に検出することができる。
【0103】
(他の実施形態)
以下、本開示に係る他の実施形態について説明する。
【0104】
図11は、他の実施形態に係る音出力装置の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
【0105】
図5にて説明した音出力装置1において、第1検出部31及び第2検出部32は、マイク又は近接センサのいずれかによって構成されることを想定していた。しかしながら、例えばマイクによってユーザUが手をかざすジェスチャを検出する場合、音の時間変化に基づいて判定する必要がある。したがって、ユーザUが手をかざすジェスチャを検出するのに若干の時間を要する。そこで、図11に示す音出力装置2のように、マイクとして構成される第1検出部31及び第2検出部32の他に、さらに第1近接センサ81及び第2近接センサ82を備えてもよい。このようにすれば、ユーザUが手をかざすジェスチャを行ったか否かを検出する精度を向上させることができる。
【0106】
図12は、他の実施形態に係る音出力装置の使用態様の例を示す図である。
【0107】
図12に示す音出力装置3は、図3に示した音出力装置1Cと異なる点として、第1検出部31から若干離れた位置に、第3出力部23を備えてよい。図12においては、第1検出部31から若干離れた位置のヘッドバンド13上において、第3出力部23が配置されている。しかしながら、第3出力部23は、ヘッドバンド13以外の部材に配置されてもよい。図12においては図示を省略してあるが、例えば右側も同様に、第2検出部32から若干離れた位置のヘッドバンド13上などにおいて、第4出力部24が配置されてもよい。
【0108】
第3出力部23及び第4出力部24は、それぞれ第1検出部31及び第2検出部32(マイク)によって検出可能な例えばノイズなどの所定の音を出力してよい。例えば、ユーザUが左耳E1に手をかざすジェスチャを行っていない場合、第3出力部23から出力されるノイズなどの所定の音は、第1検出部31によって顕著に検出される。一方、ユーザUが左耳E1に手をかざすジェスチャを行っている場合、第3出力部23から出力されるノイズなどの所定の音は、第1検出部31によって検出されるとしても、比較的弱まって検出される。したがって、第3出力部23から出力されるノイズなどの所定の音が第1検出部31によって検出されるレベルに基づいて、ユーザUが左耳E1に手をかざすジェスチャを行っているか否かを判定してもよい。
【0109】
図13は、当該他の実施形態に係る音出力装置の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。図13に示す音出力装置3は、図5に示した音出力装置1と異なる点として、第3出力部23及び第4出力部24を備えてよい。第3出力部23及び第4出力部24は、それぞれ、例えば第1出力部21及び第2出力部22と同様の構成としてよい。また、制御部40は、第3出力部23及び第4出力部24から所定のノイズなどの音が出力されるように制御を行ってよい。さらに、図13に示す音出力装置3において、図11に示した音出力装置2のように、さらに第1近接センサ81及び/又は第2近接センサ82のような近接センサを備えてもよい。
【0110】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことができる。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段又は各ステップ等は論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段又は各ステップ等と置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段又は各ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0111】
例えば、汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る音出力装置1として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る音出力装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は、当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【0112】
[付記1]
ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、
前記ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、
前記第1出力部の近傍において物体の接近を検出する第1検出部と、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、前記第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させる制御部と、
を備える、音出力装置。
[付記2]
前記第2出力部の近傍において物体の接近を検出する第2検出部を備え、
前記制御部は、前記第2検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第2出力部によって前記第1音を出力させ、前記第1出力部によって前記第2音を出力させる、
付記1に記載の音出力装置。
[付記3]
前記制御部は、前記第1出力部の少なくとも一部が前記物体に覆われるのを前記第1検出部が検出することに基づいて、前記第1出力部によって前記第1音を出力させ、前記第2出力部によって前記第2音を出力させる、
付記1に記載の音出力装置。
[付記4]
前記制御部は、前記第1出力部による前記第1音の出力の開始に基づいて、前記第2出力部による前記第2音の出力を開始させ、前記第1出力部による前記第1音の出力の終了に基づいて、前記第2出力部による前記第2音の出力を終了させる、
付記1から3の何れか一項に記載の音出力装置。
[付記5]
前記制御部は、前記第2音を、前記第1音及び前記第2出力部の周囲環境の音の少なくとも一方より小さい音として出力する、
付記1から4の何れか一項に記載の音出力装置。
[付記6]
前記制御部は、前記第2音を、前記第2出力部の周囲環境の音の周波数特性に応じた音として出力する、
付記1から5の何れか一項に記載の音出力装置。
[付記7]
前記制御部は、前記第2音を、前記第2出力部の周囲環境の音の周波数特性に応じた周波数特性を有する音として出力する、
付記6に記載の音出力装置。
[付記8]
前記第1出力部の周囲環境の音を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記第1音として、前記記憶部に記憶された前記周囲環境の音を含む音出力する、
付記1から7の何れか一項に記載の音出力装置。
[付記9]
他の電子機器と通信する通信部を備え、
前記制御部は、前記第1音として、前記他の電子機器から受信した音を含む音出力する、
付記1から8の何れか一項に記載の音出力装置。
[付記10]
ユーザの一方の耳に音を出力する第1出力部と、
前記ユーザの他方の耳に音を出力する第2出力部と、
前記第1出力部の周囲の第1外部音を収音する第1収音部と、
前記第1収音部によって収音される前記第1外部音の所定の変化に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、前記第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させる制御部と、
を備える、音出力装置。
[付記11]
第1出力部の近傍において第1検出部によって物体の接近を検出するステップと、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させるステップと、
を含む、音出力方法。
[付記12]
電子機器に、
第1出力部の近傍において第1検出部によって物体の接近を検出するステップと、
前記第1検出部による前記物体の接近の検出に基づいて、前記第1出力部によって所定の再生音及び所定の通話音声の少なくとも一方を含む第1音を出力させ、第2出力部によって所定のマスキング音を含む第2音を出力させるステップと、
を実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0113】
1,1A,1B,1C,1D 音出力装置
11 筐体(左側)
12 筐体(右側)
13 ヘッドバンド
21 第1出力部
22 第2出力部
23 第3出力部
24 第4出力部
31 第1検出部
32 第2検出部
40 制御部
50 記憶部
60 通信部
70 電源部
81 第1近接センサ
82 第2近接センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13